ところで、上述した上下方向に移動する昇降パレットは、収容位置にあるときや、車両を入出庫するための入出庫位置にあるとき等に、必ずしも水平になっている必要はなく、車両の出庫方向を基準とした前後方向について、上下に意図的に傾けられている場合がある。例えば、図9には、図中右側を前方、図中左側を後方として、上昇されて収容位置にあるときに後方側が下方へ僅かに傾き、下降されて入出庫位置にあるときに略水平になるような、昇降パレット100の例を図示している。図9の例では、シーブ102を介して昇降パレット100の前方側を吊り下げている前吊ワイヤロープ104と、昇降パレット100の後方側を吊り下げている後吊ワイヤロープ106とが、ドラム108によって同時に巻き取り及び繰り出しされる構成になっている。
図9の例において、昇降パレット100は、図9(a)に示すように後方側が下方へ僅かに傾斜した状態から、前吊ワイヤロープ104及び後吊ワイヤロープ106がドラム108から同時に繰り出されると、図9(b)に示すように、後方側の傾斜状態を維持しながら下降する。そのまま下降すると、図9(c)に示すように、昇降パレット100の後方側が最初に着地するが、その後も、昇降パレット100の前方側が着地するまで、前吊ワイヤロープ104及び後吊ワイヤロープ106の双方の繰り出しが続行される。すると、図9(d)に示すように、昇降パレット100の前方側が着地したときには、余分に繰り出されたことで後吊ワイヤロープ106が弛んでしまい、弛んだ後吊ワイヤロープ106が昇降パレット100上の駐車スペースに入り込み、車両等を傷つける虞があった。又、仮に昇降パレット100の着地時に後吊ワイヤロープ106が駐車スペースに入り込まなくても、軽量であるがために風等で駐車スペースに入り込み、車両等を傷つける虞があった。このような問題は、弛んでも自重によりコンパクトに折り重なるチェーンの場合は発生しにくく、撚線で軽量に作成されるワイヤロープに特有のものである。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、パレットを吊り下げているワイヤロープの弛みの発生を抑制することにある。
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではない。そのため、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
(1)複数のパレットを備え、それらのパレットが上下方向又は左右方向の少なくとも一方に移動することで、入出庫に係るパレットが所定の入出庫位置へと呼び出される立体駐車装置において、前記複数のパレットのうち、地上において上下方向に移動する昇降パレットの各々の、車両の出庫方向を基準とした、前方側を吊り下げている2本の前吊ワイヤロープ、及び、後方側を吊り下げている2本の後吊ワイヤロープを、同時に巻き取り及び繰り出しするためのドラム構造であって、前記2本の前吊ワイヤロープ及び前記2本の後吊ワイヤロープのうち、前記昇降パレットの一側方寄りを吊り下げている1本の前吊ワイヤロープ及び1本の後吊ワイヤロープを巻き取る第1ドラムと、前記昇降パレットの他側方寄りを吊り下げている1本の前吊ワイヤロープ及び1本の後吊ワイヤロープを巻き取る第2ドラムと、前記第1ドラム及び前記第2ドラムを同軸で回転可能に接続する接続部と、を含み、前記第1ドラム及び前記第2ドラムの各々は、前記前吊ワイヤロープを案内しながら重ならないように巻き取るための螺旋状の前吊ワイヤ用溝と、前記後吊ワイヤロープを案内しながら重ならないように巻き取るための螺旋状の後吊ワイヤ用溝とを、外周部の、回転軸に沿った軸方向の異なる領域に有し、前記前吊ワイヤ用溝が設けられた前吊ワイヤ領域と、前記後吊ワイヤ用溝が設けられた後吊ワイヤ領域との少なくとも一方に、他方と溝底におけるドラム径が異なる異径部分が設けられているドラム構造(請求項1)。
本項に記載のドラム構造は、立体駐車装置が備える複数のパレットのうち、地上において上下方向に移動する昇降パレットの各々を吊り下げている、4本のワイヤロープを同時に巻き取り及び繰り出しするためのものである。これら4本のワイヤロープは、昇降パレットの平面視での四隅近傍を吊り下げており、車両の出庫方向を基準として、昇降パレットの前方側を吊り下げている2本の前吊ワイヤロープと、昇降パレットの後方側を吊り下げている2本の後吊ワイヤロープとを含んでいる。更に、2本の前吊ワイヤロープは、昇降パレットの幅方向に互いに離れた位置を吊り下げ、同様に、2本の後吊ワイヤロープは、昇降パレットの幅方向に互いに離れた位置を吊り下げている。
そして、本項に記載のドラム構造は、第1ドラム、第2ドラム、及び、接続部を含んでおり、第1ドラムは、上記のような4本のワイヤロープのうち、昇降パレットの幅方向の一側方寄りを吊り下げている1本の前吊ワイヤロープと、同じく一側方寄りを吊り下げている1本の後吊ワイヤロープとを巻き取るものである。第2ドラムは、残りの2本のワイヤロープである、昇降パレットの幅方向の他側方寄りを吊り下げている1本の前吊ワイヤロープと、同じく他側方寄りを吊り下げている1本の後吊ワイヤロープとを巻き取るものである。接続部は、これらの第1ドラムと第2ドラムとを、同軸で回転可能に接続するものである。
又、第1ドラム及び第2ドラムの各々は、前吊ワイヤロープを巻き取るための前吊ワイヤ用溝と、後吊ワイヤロープを巻き取るための後吊ワイヤ用溝とを、各ドラムの外周部の、各ドラムの回転軸に沿った軸方向の異なる領域に有している。第1ドラム及び第2ドラムに設けられる前吊ワイヤ用溝は、前吊ワイヤロープを案内しながら重ならないように巻き取るために、各ドラムの外周部に螺旋状に設けられる。これにより、前吊ワイヤロープは、第1ドラム又は第2ドラムの軸方向に沿って巻き取り位置が徐々に変化しながら、前吊ワイヤ用溝に沿って巻き取られる。同様に、後吊ワイヤ用溝は、後吊ワイヤロープを案内しながら重ならないように巻き取るために、各ドラムの外周部に螺旋状に設けられ、これによって、後吊ワイヤロープは、各ドラムの軸方向に沿って巻き取り位置が徐々に変化しながら、後吊ワイヤ用溝に沿って巻き取られる。すなわち、第1ドラム及び第2ドラムの各々において、前吊ワイヤロープ及び後吊ワイヤロープの双方が互いに重ならないように、かつ、前吊ワイヤロープ同士及び後吊ワイヤロープ同士でも重ならないように、巻き取りが行われるものである。
更に、第1ドラム及び第2ドラムの各々は、前吊ワイヤ用溝が設けられた前吊ワイヤ領域と、後吊ワイヤ用溝が設けられた後吊ワイヤ領域との少なくとも一方に、他方と溝底におけるドラム径が異なる異径部分が設けられている。ここで、溝底におけるドラム径とは、螺旋状に設けられる前吊ワイヤ用溝又は後吊ワイヤ用溝の、各ドラムの回転軸について位相が180°異なる2つの溝底の間の、各ドラムの回転軸と直交する距離を示している。すなわち、溝底におけるドラム径が異なると、第1ドラムや第2ドラムが回転したときに巻き取られる或いは繰り出される、前吊ワイヤロープ又は後吊ワイヤロープの長さが異なることになる。このため、前吊ワイヤ領域と後吊ワイヤ領域との少なくとも一方に、他方と溝底におけるドラム径が異なる異径部分が設けられていることで、同じ回転量にも関わらず、前吊ワイヤロープと後吊ワイヤロープとの間で、巻き取り長さや繰り出し長さが相違することとなる。なお、前吊ワイヤ領域と後吊ワイヤ領域との少なくとも一方に設けられる異径部分は、その全体にわたって、他方と溝底におけるドラム径が異なっていれば、溝底におけるドラム径が各ドラムの軸方向に沿って変化してもよく、一様であってもよい。
上記のような異径部分が設けられた第1ドラム及び第2ドラムによって、2本の前吊ワイヤロープ及び2本の後吊ワイヤロープが同時に巻き取り及び繰り出しされることにより、昇降パレットの前方側の昇降速度と後方側の昇降速度との間に、速度差が生じることになる。これにより、収容位置と入出庫位置との間で、昇降パレットの傾きを意図的に変化させる場合であっても、傾きの変化に応じた大きさの異径部分が設けられることで、前吊ワイヤロープや後吊ワイヤロープの弛みの発生が抑制されるものである。しかも、ワイヤロープの弛みの発生が抑制されることで、弛みに起因してワイヤロープがドラムのワイヤ用溝から浮いてしまうことも抑制されるため、第1ドラム及び第2ドラムに対して、ワイヤロープがワイヤ用溝を山越えすることを防止するための措置が不要になるものである。
(2)上記(1)項において、前記後吊ワイヤ領域は、溝底におけるドラム径が前記軸方向に一様であり、前記前吊ワイヤ領域は、溝底におけるドラム径が、前記後吊ワイヤ領域と等しい同径部分と、前記後吊ワイヤ領域よりも大きい前記異径部分とを含むドラム構造(請求項2)。
本項に記載のドラム構造は、第1ドラム及び第2ドラムの各々の、後吊ワイヤ領域の全体にわたって、後吊ワイヤ用溝の溝底におけるドラム径が軸方向に一様になっている。更に、第1ドラム及び第2ドラムの各々は、前吊ワイヤ領域に同径部分と異径部分とを含んでいる。同径部分は、前吊ワイヤ用溝の溝底におけるドラム径が、上述した後吊ワイヤ領域の後吊ワイヤ用溝の溝底におけるドラム径と等しい部分であり、異径部分は、前吊ワイヤ用溝の溝底におけるドラム径が、後吊ワイヤ領域の後吊ワイヤ用溝の溝底におけるドラム径よりも大きい部分である。
このため、第1ドラム及び第2ドラムの回転時に、前吊ワイヤ領域から繰り出される前吊ワイヤロープは、同径部分から繰り出される間は、後吊ワイヤ領域から繰り出される後吊ワイヤロープと同じ量だけ繰り出され、異径部分から繰り出される間は、後吊ワイヤロープよりも多くの量が繰り出されることになる。前吊ワイヤロープの巻き取りについても同様であり、同径部分に巻き取られる間は、後吊ワイヤロープと同じ量だけ巻き取られ、異径部分に巻き取られる間は、後吊ワイヤロープよりも多くの量が巻き取られることになる。これにより、収容位置から入出庫位置まで下降させる間に、昇降パレットの前方側を後方側よりも多く下降させる必要がある場合や、入出庫位置から収容位置まで上昇させる間に、昇降パレットの前方側を後方側よりも多く上昇させる必要がある場合に、入出庫位置での前吊ワイヤロープの弛みの発生が抑制されるものである。
(3)上記(1)項において、前記前吊ワイヤ領域は、溝底におけるドラム径が前記軸方向に一様であり、前記後吊ワイヤ領域は、溝底におけるドラム径が、前記前吊ワイヤ領域と等しい同径部分と、前記前吊ワイヤ領域よりも小さい前記異径部分とを含むドラム構造(請求項3)。
本項に記載のドラム構造は、第1ドラム及び第2ドラムの各々の、前吊ワイヤ領域の全体にわたって、前吊ワイヤ用溝の溝底におけるドラム径が軸方向に一様になっている。更に、第1ドラム及び第2ドラムの各々は、後吊ワイヤ領域に同径部分と異径部分とを含んでいる。同径部分は、後吊ワイヤ用溝の溝底におけるドラム径が、上述した前吊ワイヤ領域の前吊ワイヤ用溝の溝底におけるドラム径と等しい部分であり、異径部分は、後吊ワイヤ用溝の溝底におけるドラム径が、前吊ワイヤ領域の前吊ワイヤ用溝の溝底におけるドラム径よりも小さい部分である。
このため、第1ドラム及び第2ドラムの回転時に、後吊ワイヤ領域から繰り出される後吊ワイヤロープは、同径部分から繰り出される間は、前吊ワイヤ領域から繰り出される前吊ワイヤロープと同じ量だけ繰り出され、異径部分から繰り出される間は、前吊ワイヤロープよりも少ない量が繰り出されることになる。後吊ワイヤロープの巻き取りについても同様であり、同径部分に巻き取られる間は、前吊ワイヤロープと同じ量だけ巻き取られ、異径部分に巻き取られる間は、前吊ワイヤロープよりも少ない量が巻き取られることになる。これにより、上記(2)項のドラム構造と同様に、収容位置から入出庫位置まで下降させる間に、昇降パレットの前方側を後方側よりも多く下降させる必要がある場合や、入出庫位置から収容位置まで上昇させる間に、昇降パレットの前方側を後方側よりも多く上昇させる必要がある場合に、入出庫位置での前吊ワイヤロープの弛みの発生が抑制されるものである。
(4)上記(2)(3)項において、前記異径部分は、溝底におけるドラム径が前記軸方向に一様な不変異径部分と、前記同径部分と前記不変異径部分との間に位置し、前記軸方向に進むに従い溝底におけるドラム径が徐々に変化する変径部分とを含むドラム構造(請求項4)。
本項に記載のドラム構造は、第1ドラム及び第2ドラムの各々の、前吊ワイヤ領域或いは後吊ワイヤ領域に設けられた異径部分が、溝底におけるドラム径が各ドラムの軸方向に一様な不変異径部分と、同径部分と不変異径部分との間に位置し、各ドラムの軸方向に進むに従って、溝底におけるドラム径が徐々に変化する変径部分とを含むものである。すなわち、同径部分及び異径部分が前吊ワイヤ領域に設けられる場合は、溝底におけるドラム径が後吊ワイヤ領域よりも大きくかつ軸方向に一様な不変異径部分と、同径部分から不変異径部分へ向かう方向に進むに従って、溝底におけるドラム径が徐々に大きくなる変径部分とが設けられる。
一方、同径部分及び異径部分が後吊ワイヤ領域に設けられる場合は、溝底におけるドラム径が前吊ワイヤ領域よりも小さくかつ軸方向に一様な不変異径部分と、同径部分から不変異径部分へ向かう方向に進むに従って、溝底におけるドラム径が徐々に小さくなる変径部分とが設けられる。これにより、同径部分から異径部分にかけての、前吊ワイヤロープや後吊ワイヤロープの巻き取り及び繰り出しが円滑に行われ、又、第1ドラム及び第2ドラムの加工性が向上されるものである。なお、前吊ワイヤロープ又は後吊ワイヤロープの一方は、当然のことながら、不変異径部分だけでなく変径部分において繰り出し又は巻き取りされる量も、他方と比較して多く又は少なくなるため、これを考慮して不変異径部分及び変径部分の大きさが設定されるものとする。
(5)上記(4)項において、前記軸方向に関して、前記不変異径部分が、前記前吊ワイヤ領域の、前記前吊ワイヤロープを繰り出し始める側の端部、或いは、前記後吊ワイヤ領域の、前記後吊ワイヤロープを繰り出し始める側の端部に設けられるドラム構造(請求項5)。
本項に記載のドラム構造は、第1ドラム及び第2ドラムの各々において、前吊ワイヤ領域或いは後吊ワイヤ領域に設けられる不変異径部分の、各ドラムの軸方向に関する位置を定めるものである。まず、前吊ワイヤ領域に設けられる場合、不変異径部分は、各ドラムの軸方向に関して、前吊ワイヤ領域の前吊ワイヤロープを繰り出し始める側の端部、換言すれば、前吊ワイヤロープを巻き取り終わる側の端部に設けられる。
他方、後吊ワイヤ領域に設けられる場合、不変異径部分は、各ドラムの軸方向に関して、後吊ワイヤ領域の後吊ワイヤロープを繰り出し始める側の端部、換言すれば、後吊ワイヤロープを巻き取り終わる側の端部に設けられる。このような構成により、不変異径部分及び変径部分を含む異径部分からの前吊ワイヤロープや後吊ワイヤロープの繰り出しは、昇降パレットが収容位置から下降され始める時点から行われることになり、又、異径部分への前吊ワイヤロープや後吊ワイヤロープの巻き取りは、昇降パレットが収容位置へ上昇され終わる直ぐ前の段階で行われることになる。このため、昇降パレットは、所望の傾きの変化が、収容位置に近い高さ範囲内のみで行われ、残りの高さ範囲では、前方側と後方側とが等速に下降又は上昇されるものである。
(6)上記(5)項において、前記異径部分に設けられた前記前吊ワイヤ用溝或いは前記後吊ワイヤ用溝の螺旋方向の長さは、前記入出庫位置の1段上に収容される前記昇降パレットが、その収容位置から前記入出庫位置に下降するまでの間に、前記異径部分からの前記前吊ワイヤロープ或いは前記後吊ワイヤロープの繰り出しが終わる長さであるドラム構造(請求項6)。
本項に記載のドラム構造は、第1ドラム及び第2ドラムの各々において、前吊ワイヤ領域の異径部分(不変異径部分から変径部分)に設けられた前吊ワイヤ用溝の螺旋方向の長さ、或いは、後吊ワイヤ領域の異径部分(不変異径部分から変径部分)に設けられた後吊ワイヤ用溝の螺旋方向の長さを定めるものである。すなわち、これらの長さは、立体駐車装置が備える昇降パレットのうち、入出庫位置の1段上に収容される昇降パレットが、その収容位置から入出庫位置に下降するまでの間に、異径部分からの前吊ワイヤロープ或いは後吊ワイヤロープの繰り出しが終わる長さになっている。
これにより、異径部分における前吊ワイヤロープや後吊ワイヤロープの繰り出し及び巻き取りが、立体駐車装置が備える昇降パレットの中で、収容位置と入出庫位置との間の高さが最も小さい昇降パレットが昇降される高さ範囲内で行われることになる。このため、本項に記載のドラム構造は、上記のような長さの異径部分を有することで、立体駐車装置が備える何れの昇降パレットに適用された場合でも、その昇降パレットが収容位置と入出庫位置との間を昇降される高さ範囲内で、所望の傾斜の変化を実現するものとなる。
(7)上記(6)項において、前記第1ドラム及び前記第2ドラムの各々における、前記前吊ワイヤ用溝の螺旋方向の全体長さ、及び、前記後吊ワイヤ用溝の螺旋方向の全体長さの双方は、少なくとも、前記立体駐車装置の最上段に収容される前記昇降パレットが、その収容位置から前記入出庫位置に下降するまでの間に繰り出される、前記前吊ワイヤロープ或いは前記後吊ワイヤロープの長さと同等若しくはより大きいドラム構造(請求項7)。
本項に記載のドラム構造は、第1ドラム及び第2ドラムの各々における、前吊ワイヤ用溝の螺旋方向の全体長さと、後吊ワイヤ用溝の螺旋方向の全体長さとの、双方を定めるものである。すなわち、これらの長さは、少なくとも、立体駐車装置が備える昇降パレットのうち、立体駐車装置の最上段に収容される昇降パレットが、その収容位置から入出庫位置に下降するまでの間に繰り出される、前吊ワイヤロープや後吊ワイヤロープの長さと同等であるか、若しくはより大きいものである。
換言すれば、第1ドラム及び第2ドラムの各々は、立体駐車装置が備える昇降パレットの中で、最も大きい高さ範囲内を昇降される昇降パレットの昇降に必要な長さを有する、前吊ワイヤロープ及び後吊ワイヤロープを巻き取り可能なものである。これにより、本項に記載のドラム構造は、上記(6)項に記載した構成と相まって、昇降パレット間で共通の長さの前吊ワイヤロープ及び後吊ワイヤロープが巻かれた状態で、立体駐車装置が備える昇降パレットに対して問題なく適用されるものである。従って、昇降される高さ範囲が異なる昇降パレット毎に、長さが異なる前吊ワイヤロープ及び後吊ワイヤロープや、構成が異なるドラム構造を用意する必要がなくなり、立体駐車装置の設置準備や設置の作業性が向上されるものである。
(8)上記(4)から(7)項において、前記変径部分に設けられた前記前吊ワイヤ用溝或いは前記後吊ワイヤ用溝は、その螺旋方向に沿って前記第1ドラム又は前記第2ドラムの外周部を1周から3周する長さを有するドラム構造(請求項8)。
本項に記載のドラム構造は、第1ドラム及び第2ドラムの各々の、前吊ワイヤ領域の変径部分に設けられた前吊ワイヤ用溝の螺旋方向の長さ、或いは、後吊ワイヤ領域の変径部分に設けられた後吊ワイヤ用溝の螺旋方向の長さを定めるものである。すなわち、これらの長さは、第1ドラム又は第2ドラムの外周部を、螺旋方向に沿って1周から3周する長さになっている。これにより、同径部分から異径部分にかけた、溝底におけるドラム径の拡径変化或いは縮径変化が無理なく滑らかに行われるため、前吊ワイヤロープや後吊ワイヤロープの巻き取り及び繰り出しの更なる円滑化や、第1ドラム及び第2ドラムの加工性の更なる向上が図られるものとなる。
(9)上記(1)から(8)項において、前記第1ドラム及び前記第2ドラムの各々は、外周部の前記軸方向の中央近傍に、前記前吊ワイヤロープの端部と前記後吊ワイヤロープの端部との双方が固定されると共に、巻き取り方向に回転するに従い、前記軸方向に関して、前記前吊ワイヤロープを巻き取る位置と前記後吊ワイヤロープを巻き取る位置とが互いに離れるように、前記前吊ワイヤ用溝と前記後吊ワイヤ用溝とが、前記中央近傍を挟んで、互いに反対方向にねじられて設けられているドラム構造。
本項に記載のドラム構造は、第1ドラム及び第2ドラムの各々の、外周部の軸方向の中央近傍に、前吊ワイヤロープの端部と後吊ワイヤロープの端部との双方が固定され、この固定位置を挟んで、前吊ワイヤ用溝と後吊ワイヤ用溝とが、各ドラムの軸方向の両側に設けられる。更に、第1ドラム及び第2ドラムの各々は、巻き取り方向に回転するに従い、軸方向に関して、前吊ワイヤロープを巻き取る位置と後吊ワイヤロープを巻き取る位置とが互いに離れるように、前吊ワイヤ用溝と後吊ワイヤ用溝とが、互いに反対方向にねじられて設けられているものである。これにより、前吊ワイヤロープの端部と後吊ワイヤロープの端部とが近接して纏めて固定されながらも、前吊ワイヤロープと後吊ワイヤロープとが互いに干渉することなく、巻き取り及び繰り出しが行われるものとなる。
(10)上記(1)から(9)項において、前記第1ドラム及び前記第2ドラムの各々は、前記軸方向に関して、前記接続部により接続された側を内側としたとき、前記前吊ワイヤ領域が前記後吊ワイヤ領域よりも外側に設けられるドラム構造。
本項に記載のドラム構造は、第1ドラム及び第2ドラムの各々において、軸方向に関して、第1ドラム及び第2ドラムの接続部により接続された側を内側としたとき、前吊ワイヤ領域が後吊ワイヤ領域よりも外側に設けられるものである。これにより、車両の入出庫の観点等から、昇降パレットの前方側の、幅方向の外側寄りを吊り下げることが好ましい前吊ワイヤロープが、上述したように第1ドラム及び第2ドラムの外側に設けられる前吊ワイヤ領域を介して、巻き取り及び繰り出しされることになる。このため、本項に記載のドラム構造が、立体駐車装置の構造の便宜上、昇降パレットの後方側に設置された場合でも、昇降パレットの幅方向の外側寄りを通して、前吊ワイヤロープが後方から前方へと無理なく配線されるものとなる。
(11)前記昇降パレットを上下移動させるための昇降機構であって、上記(1)から(10)項のいずれか1項記載のドラム構造と、2本の前記前吊ワイヤロープと、2本の前記後吊ワイヤロープとを含むパレット昇降機構(請求項9)。
本項に記載のパレット昇降機構は、立体駐車装置において上下方向に移動される昇降パレットを昇降させるものであり、上記(1)から(10)項のいずれか1項記載のドラム構造に加えて、2本の前吊ワイヤロープと、2本の後吊ワイヤロープとを含むものである。これにより、上記(1)から(10)項のドラム構造と同様の作用を奏しながら、ドラム構造と4本のワイヤロープとを用いて、安定かつスムーズに昇降パレットを昇降させるものである。
(12)上記(11)項において、前記後吊ワイヤロープの各々が、前記前吊ワイヤロープよりも小さいワイヤ径を有するパレット昇降機構(請求項10)。
本項に記載のパレット昇降機構は、2本の後吊ワイヤロープの各々が、前吊ワイヤロープよりも小さいワイヤ径を有するものである。ここで、立体駐車装置の構造の便宜上、昇降パレットの前方側を吊り下げている2本の前吊ワイヤロープには、昇降パレットの後方側を吊り下げている2本の後吊ワイヤロープよりも、大きい荷重がかかることが多い。そこで、負担する荷重に応じて、前吊ワイヤロープと後吊ワイヤロープとでワイヤ径を相違させることで、昇降パレットが安定して吊り下げられる強度を維持しながら、部材費の低減を図るものである。更に、後吊ワイヤロープのワイヤ径が小さくなることで、第1ドラム及び第2ドラムの、後吊ワイヤ領域におけるドラム径の低減を図るものである。
(13)上記(11)(12)項において、前記昇降パレットの各々が、その収容位置にあるときに、前記前方側よりも前記後方側が僅かに下がって傾斜した状態になり、前記入出庫位置にあるときに、前記後方側よりも前記前方側が僅かに下がって傾斜した状態になるように、上下移動可能であるパレット昇降機構(請求項11)。
本項に記載のパレット昇降機構は、昇降パレットが、その収容位置にあるときに、前方側よりも後方側が僅かに下がって傾斜した状態になり、入出庫位置にあるときに、後方側よりも前方側が僅かに下がって傾斜した状態になるように、上下移動可能なものである。これにより、昇降パレットが収容位置にあるときは、パレット上に溜まった水が後方側から流されることとなり、昇降パレットが入出庫位置にあるときは、少なくとも昇降パレットの前方側が着床して、車両の入出庫が安定して行われるものである。
(14)上下方向又は左右方向の少なくとも一方に移動する複数のパレットを含み、上下方向に移動する前記昇降パレット毎に、上記(11)から(13)項のいずれか1項記載のパレット昇降機構を備えた立体駐車装置(請求項12)。
本項に記載の立体駐車装置は、上下方向又は左右方向の少なくとも一方に移動する複数のパレットを含み、そのうちの、上下方向に移動する昇降パレット毎に、上記(11)から(13)項のいずれか1項記載のパレット昇降機構を備えたものである。これにより、上記(11)から(13)項のパレット昇降機構と同様の作用を奏することで、立体駐車装置としての付加価値が向上されるものである。
(15)複数のパレットを備え、それらのパレットが上下方向又は左右方向の少なくとも一方に移動することで、入出庫に係るパレットが所定の入出庫位置へと呼び出される立体駐車装置において、前記複数のパレットのうち、地上において上下方向に移動する昇降パレットの各々の、車両の出庫方向を基準とした、前方側を吊り下げている2本の前吊ワイヤロープ、及び、後方側を吊り下げている2本の後吊ワイヤロープを、同時に巻き取り及び繰り出しすることで、前記昇降パレットを昇降させる方法であって、前記2本の前吊ワイヤロープ及び前記2本の後吊ワイヤロープのうち、前記昇降パレットの一側方寄りを吊り下げている1本の前吊ワイヤロープ及び1本の後吊ワイヤロープを巻き取る第1ドラムと、前記昇降パレットの他側方寄りを吊り下げている1本の前吊ワイヤロープ及び1本の後吊ワイヤロープを巻き取る第2ドラムと、前記第1ドラム及び前記第2ドラムを同軸で回転可能に接続する接続部と、を含むドラム構造を用い、前記第1ドラム及び前記第2ドラムの各々に、前記前吊ワイヤロープを案内しながら重ならないように巻き取るための螺旋状の前吊ワイヤ用溝と、前記後吊ワイヤロープを案内しながら重ならないように巻き取るための螺旋状の後吊ワイヤ用溝とを、外周部の、回転軸に沿った軸方向の異なる領域に設け、前記前吊ワイヤ用溝が設けられた前吊ワイヤ領域と、前記後吊ワイヤ用溝が設けられた後吊ワイヤ領域との少なくとも一方に、他方と溝底におけるドラム径が異なる異径部分を設けることで、前記昇降パレットの前記前方側の昇降速度と前記後方側の昇降速度との間に、速度差を生じさせることを特徴とするパレット昇降方法(請求項13)。
(16)上記(15)項において、前記第1ドラム及び前記第2ドラムの前記後吊ワイヤ領域を、溝底におけるドラム径が前記軸方向に一様になるように設け、前記第1ドラム及び前記第2ドラムの前記前吊ワイヤ領域に、溝底におけるドラム径が、前記後吊ワイヤ領域と等しい同径部分と、前記後吊ワイヤ領域よりも大きい前記異径部分とを設けるパレット昇降方法(請求項14)。
(17)上記(15)項において、前記第1ドラム及び前記第2ドラムの前記前吊ワイヤ領域を、溝底におけるドラム径が前記軸方向に一様になるように設け、前記第1ドラム及び前記第2ドラムの前記後吊ワイヤ領域に、溝底におけるドラム径が、前記前吊ワイヤ領域と等しい同径部分と、前記前吊ワイヤ領域よりも小さい前記異径部分とを設けるパレット昇降方法(請求項15)。
(18)上記(16)(17)項において、前記第1ドラム及び前記第2ドラムの前記異径部分に、溝底におけるドラム径が前記軸方向に一様な不変異径部分と、前記同径部分と前記不変異径部分との間に位置し、前記軸方向に進むに従い溝底におけるドラム径が徐々に変化する変径部分とを設け、前記軸方向に関して、前記不変異径部分を、前記前吊ワイヤ領域の、前記前吊ワイヤロープを繰り出し始める側の端部、或いは、前記後吊ワイヤ領域の、前記後吊ワイヤロープを繰り出し始める側の端部に設け、前記異径部分に設けられた前記前吊ワイヤ用溝或いは前記後吊ワイヤ用溝の螺旋方向の長さを、前記入出庫位置の1段上に収容される前記昇降パレットが、その収容位置から前記入出庫位置に下降するまでの間に、前記異径部分からの前記前吊ワイヤロープ或いは前記後吊ワイヤロープの繰り出しが終わる長さに設けるパレット昇降方法(請求項16)。
(19)上記(15)から(18)項において、前記昇降パレットの各々が、その収容位置にあるときに、前記前方側よりも前記後方側が僅かに下がって傾斜した状態になり、前記入出庫位置にあるときに、前記後方側よりも前記前方側が僅かに下がって傾斜した状態になるように、昇降させるパレット昇降方法(請求項17)。
そして、(15)項から(19)項に記載のパレット昇降方法は、各々、上記(1)から(3)及び(6)項のドラム構造並びに上記(13)項のパレット昇降機構を用いて実行されることで、上記(1)から(3)及び(6)項のドラム構造並びに上記(13)項のパレット昇降機構と同様の作用を奏するものである。
本発明はこのように構成したので、パレットを吊り下げているワイヤロープの弛みの発生を抑制することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。ここで、図面の全体にわたって、同一部分又は対応する部分は、同一符号で示している。又、従来技術と同一部分、若しくは相当する部分については、詳しい説明を省略する。
図1は、本発明の実施の形態に係るパレット昇降機構50を備えた、本発明の実施の形態に係る立体駐車装置70の構成の一例を示している。図示のように、立体駐車装置70は、複数の支柱と複数の梁とによって構成された略矩形の構造体に、複数のパレット72が移動可能に支持された構造である。図1の例において、立体駐車装置70は、地上4段3連基(図1中上下方向に4段、左右方向に3列)の構造であり、複数のパレット72として9基のパレット72a〜72iを備えており、更に、開閉ゲート76(76a〜76c)を備えている。
複数のパレット72a〜72iのうち、2基のパレット72a、72bは、車両Vを入出庫する高さ位置(入出庫位置80)で横行移動のみ行い、4基のパレット72c〜72fは、立体駐車装置70の利用者による呼び出し操作に応じて、入出庫位置80(図1においてパレット72a、72b、72gがある位置)まで、高さ方向及び並列方向に移動可能なものである。一方、残り3基のパレット72g〜72iは、昇降のみ行うものである。又、開閉ゲート76a〜76cの各々は、その後面側の入出庫位置80に所望のパレット72が呼び出された後に開かれ、車両Vの入出庫が終わった後に、利用者の操作により閉じられるものである。
図1に示されている立体駐車装置70は、9基のパレット72a〜72iのうち、パレット72gを除いた8基のパレット72a〜72f、72h、72iに、車両Vが格納された状態である。更に、3基のパレット72a、72b、72gが入出庫位置80にあり、残り6基のパレット72c〜72f、72h、72iが収容位置にある状態である。
又、立体駐車装置70は、詳しい説明は控えるが、上述した複数のパレット72a〜72i、開閉ゲート76a〜76c、及び、パレット昇降機構50の他にも、多くの構成要素を含んでいる。それらの構成要素には、例えば、利用者により立体駐車装置70の各操作を行うための入力が行われる操作盤、立体駐車装置70全体の制御を担う制御部、制御部による制御に応じてパレット72の移動や開閉ゲート76の開閉動作を行うための動力を発生、伝達する駆動部、入出庫位置80にある各パレット72の周辺の物体を検知する複数の光電センサ等が含まれる。
パレット昇降機構50は、パレット72を地上において上下移動させるためのものであり、立体駐車装置70が備える複数のパレット72のうち、昇降を行うパレット72毎に具備されている。すなわち、図1の例では、高さ方向及び並列方向の双方に移動可能なパレット72c〜72fと、高さ方向のみに移動するパレット72g〜72iとが、昇降を行うパレット72に該当する。以降では、このようなパレット72を、昇降パレット72とも呼ぶこととする。図2には、図中右下側を前方側、図中左上側を後方側として、昇降パレット72とパレット昇降機構50とを簡略的に示しており、この図2も参照しながらパレット昇降機構50の構成について説明する。
図1及び図2に示すように、本発明の実施の形態に係るパレット昇降機構50は、本発明の実施の形態に係るドラム構造10と、2本の前吊ワイヤロープ52(52a、52b)と、2本の後吊ワイヤロープ54(54a、54b)と、2つのシーブ56と、モータ58と、チェーン60とを含んでいる。ドラム構造10は、その詳細な構成については後述するが、2本の前吊ワイヤロープ52と2本の後吊ワイヤロープ54とを、同時に巻き取り及び繰り出しするものであり、昇降パレット72の後方側に回転可能に設置される。2本の前吊ワイヤロープ52a、52bは、昇降パレット72の前方側を吊り下げるものであり、ドラム構造10から前方側へと延びて、回転可能に固定されたシーブ56を介して下方へ方向転換された後、昇降パレット72の互いに幅方向に離れた前方側の2隅の近傍に接続されている。2本の後吊ワイヤロープ54a、54bは、昇降パレット72の後方側を吊り下げるものであり、ドラム構造10から下方へ延びて、昇降パレット72の互いに幅方向に離れた後方側の2隅の近傍に接続されている。
上述した前吊ワイヤロープ52と後吊ワイヤロープ54とには、同じワイヤ径のワイヤロープを用いてよいが、昇降パレット72の後方側にかかる荷重が前方側よりも小さくなる傾向にあることを考慮して、後吊ワイヤロープ54のワイヤ径を前吊ワイヤロープ52よりも小さくしてもよい。モータ58は、その回転力を、チェーン60を介してドラム構造10に伝達するようになっており、ドラム構造10の近傍に設置される。ここで、図1において昇降のみ行う昇降パレット72g〜72iが具備するパレット昇降機構50は、基本的に各構成要素の位置が不変である。これに対し、図1において横行移動と昇降との双方を行う昇降パレット72c〜72fが具備するパレット昇降機構50は、各構成要素が、昇降パレット72の横行移動に追従し、パレット72の昇降に追従しないように設置されている。
続いて、図3には、本発明の実施の形態に係るドラム構造10を単体で示しており、この図3及び図2を参照して、ドラム構造10は、第1ドラム12、第2ドラム14、接続部40、スプロケット42、及び、2つの軸部44を含んでいる。第1ドラム12及び第2ドラム14は、前吊ワイヤロープ52及び後吊ワイヤロープ54を実質的に巻き取る部位である。図2の例では、4本のワイヤロープ52a、52b、54a、54bのうち、昇降パレット72の一側方(図中左下)寄りを吊り下げている前吊ワイヤロープ52aと後吊ワイヤロープ54aとが、第1ドラム12により巻き取られる。又、昇降パレット72の他側方(図中右上)寄りを吊り下げている前吊ワイヤロープ52bと後吊ワイヤロープ54bとが、第2ドラム14により巻き取られる。これら第1ドラム12及び第2ドラム14の詳細な構成については後述する。
接続部40は、第1ドラム12と第2ドラム14とを接続する管状のパイプである。スプロケット42は、モータ58による回転力をチェーン60を介して受けるためのものであり、図2の例では、接続部40と第1ドラム12との間に配置されているが、図3の例では、接続部40と第2ドラム14との間に配置されている。すなわち、スプロケット42は、回転力を効率よく受ける位置であれば、その配置位置は任意である。2つの軸部44は、第1ドラム12の図3における左側及び第2ドラム14の図3における右側、換言すれば、ドラム構造10の両端に配置されている。上述したドラム構造10の構成要素は、全て同軸で接続されており、2つの軸部44が回転可能に軸支されることで、ドラム構造10全体が一体的に回転するようになっている。
次に、図4及び図5には、本発明の実施の形態に係るドラム構造10が備える、第1ドラム12及び第2ドラム14の一例の詳細な構成を示している。まず、図4を参照して、図4(a)は第1ドラム12の正面図、図4(b)は図4(a)におけるA−A線での一部断面図、図4(c)は図4(b)の左端側の拡大断面図を示している。図示のように、第1ドラム12は、前吊ワイヤ用溝16が設けられた前吊ワイヤ領域18と、後吊ワイヤ用溝20が設けられた後吊ワイヤ領域22と、2つのワイヤ固定用穴36とを有している。第1ドラム12の回転軸Rに沿った軸方向(図中左右方向)に関して、2つのワイヤ固定用穴36が中央近傍に設けられ、その両側に前吊ワイヤ領域18と後吊ワイヤ領域22とが設けられている。又、同じく軸方向に関して、図3に示した接続部40により接続される側(図4の右側)を内側としたとき、前吊ワイヤ領域18が外側に設けられ、後吊ワイヤ領域22が内側に設けられている。
前吊ワイヤ用溝16は、図2に示した前吊ワイヤロープ52aを、案内しながら重ならないように巻き取るものであり、第1ドラム12の外周部に、本実施形態では図4(a)に太線及び破線の矢印で示すように、左ねじり方向に螺旋状に形成されている。前吊ワイヤ用溝16の螺旋方向の全体長さは、図1に示した立体駐車装置70の最上段に収容される昇降パレット72g〜72iが、それらの収容位置から入出庫位置80に下降するまでの間に繰り出される、前吊ワイヤロープ52aの長さより大きくなっている。一方、後吊ワイヤ用溝20は、図2に示した後吊ワイヤロープ54aを、案内しながら重ならないように巻き取るものであり、第1ドラム12の外周部に、本実施形態では図4(a)に太線及び破線の矢印で示すように、前吊ワイヤ用溝16と反対の右ねじり方向に螺旋状に形成されている。後吊ワイヤ用溝20の螺旋方向の全体長さは、図1に示した立体駐車装置70の最上段に収容される昇降パレット72g〜72iが、それらの収容位置から入出庫位置80に下降するまでの間に繰り出される、後吊ワイヤロープ54aの長さより大きくなっている。
2つのワイヤ固定用穴36は、前吊ワイヤロープ52aの端部と後吊ワイヤロープ54aの端部とを固定するためのものである。このため、前吊ワイヤロープ52aは、第1ドラム12が回転軸Rで図中右側から視て時計回りに回転されると、前吊ワイヤ用溝16のねじり方向に沿って、図中右側から左側へと巻き取られることとなる。すなわち、前吊ワイヤ領域18の図中右側端部が、前吊ワイヤロープ52aの巻き取り始め側(繰り出し終わり側)の端部となり、前吊ワイヤ領域18の図中左側端部が、前吊ワイヤロープ52aの巻き取り終わり側(繰り出し始め側)の端部となる。他方、後吊ワイヤロープ54aは、第1ドラム12が上記と同じ方向に回転されると、後吊ワイヤ用溝20のねじり方向に沿って、前吊ワイヤロープ52aとは反対の図中左側から右側へと巻き取られることとなる。すなわち、後吊ワイヤ領域22の図中左側端部が、後吊ワイヤロープ54aの巻き取り始め側(繰り出し終わり側)の端部となり、後吊ワイヤ領域22の図中右側端部が、後吊ワイヤロープ54aの巻き取り終わり側(繰り出し始め側)の端部となる。
又、後吊ワイヤ領域22は、後吊ワイヤ用溝20の溝底におけるドラム径d22が、第1ドラム12の軸方向に一様になっている。これに対し、前吊ワイヤ領域18は、図4(b)も参照して、同径部分30と異径部分32とを含んでおり、更に、異径部分32が、不変異径部分33と変径部分34とを含んでいる。同径部分30は、その溝底におけるドラム径d30が、後吊ワイヤ領域22の溝底におけるドラム径d22と等しい部分である。異径部分32は、その溝底におけるドラム径が、後吊ワイヤ領域22の溝底におけるドラム径d22よりも大きい部分である。不変異径部分33は、その溝底におけるドラム径d33が、後吊ワイヤ領域22の溝底におけるドラム径d22よりも大きく、かつ、第1ドラム12の軸方向に一様な部分であり、前吊ワイヤ領域18の、前吊ワイヤロープ52aの繰り出し始め側の端部(図中左側端部)に設けられている。同径部分30と不変異径部分33との間に位置する変径部分34は、その溝底におけるドラム径が、同径部分30の溝底におけるドラム径d30と不変異径部分33の溝底におけるドラム径d33とに合わせて、図中左方向に進むに従って徐々に大きくなる部分である。
上述したように、前吊ワイヤ領域18に設けられた前吊ワイヤ用溝16の全体長さは、立体駐車装置70の最上段に収容される昇降パレット72が、その収容位置から入出庫位置80に下降するまでの間に繰り出される、前吊ワイヤロープ52aの長さより大きくなっている。このうち、異径部分32(不変異径部分33から変径部分34)に設けられた前吊ワイヤ用溝16の螺旋方向の長さは、立体駐車装置70において入出庫位置80の1段上に収容される昇降パレット72(72c、72d)が、その収容位置から入出庫位置80に下降するまでの間に、異径部分32からの前吊ワイヤロープ52aの繰り出しが終わる長さになっている。本実施形態では、図4(c)を参照して、不変異径部分33の前吊ワイヤ用溝16の長さが、ねじり方向に沿って第1ドラム12の外周部を約1周する長さ、変径部分34の前吊ワイヤ用溝16の長さが、ねじり方向に沿って第1ドラム12の外周部を約3周する長さになっている。しかしながら、これらの長さは一例であり、例えば、変径部分34の前吊ワイヤ用溝16の長さが、第1ドラム12の外周部を約1周する長さであり、不変異径部分33の前吊ワイヤ用溝16の長さが、第1ドラム12の外周部を約2周する長さ等であってもよい。
ここで、前吊ワイヤロープ52aと後吊ワイヤロープ54aとの双方のワイヤ径が10mmである場合の、第1ドラム12の各部位の大きさの具体例について言及する。例えば、第1ドラム12は、その軸方向の長さが412mm、前吊ワイヤ領域18の軸方向の大きさが165mm、後吊ワイヤ領域22の軸方向の大きさが165mm、最も大きい部分のドラム外径が207mm、後吊ワイヤ領域22の溝底におけるドラム径d22及び同径部分30の溝底におけるドラム径d30が190mm、不変異径部分33の溝底におけるドラム径d33が200mm、前吊ワイヤ用溝16及び後吊ワイヤ用溝20の溝の深さが3.5mmである。しかしながら、第1ドラム12の大きさは、これらの値に限定されるものではなく、前吊ワイヤロープ52a及び後吊ワイヤロープ54aのワイヤ径の大きさや、立体駐車装置70の構成等に応じて、任意の値を取り得る。
続いて、図5を参照して、図5(a)は第2ドラム14の正面図、図5(b)は図5(a)におけるB−B線での一部断面図、図5(c)は図5(b)の右端側の拡大断面図を示している。図示のように、第2ドラム14は、第1ドラム12と同様に、前吊ワイヤ用溝16が設けられた前吊ワイヤ領域18と、後吊ワイヤ用溝20が設けられた後吊ワイヤ領域22と、2つのワイヤ固定用穴36とを有している。第2ドラム14の回転軸Rに沿った軸方向(図中左右方向)に関して、2つのワイヤ固定用穴36が中央近傍に設けられ、その両側に前吊ワイヤ領域18と後吊ワイヤ領域22とが設けられている。又、同じく軸方向に関して、図3に示した接続部40により接続される側(図5の左側)を内側としたとき、前吊ワイヤ領域18が外側に設けられ、後吊ワイヤ領域22が内側に設けられている。
前吊ワイヤ用溝16は、図2に示した前吊ワイヤロープ52bを、案内しながら重ならないように巻き取るものであり、第2ドラム14の外周部に、本実施形態では図5(a)に太線及び破線の矢印で示すように、右ねじり方向に螺旋状に形成されている。前吊ワイヤ用溝16の螺旋方向の全体長さは、図1に示した立体駐車装置70の最上段に収容される昇降パレット72g〜72iが、それらの収容位置から入出庫位置80に下降するまでの間に繰り出される、前吊ワイヤロープ52bの長さより大きくなっている。一方、後吊ワイヤ用溝20は、図2に示した後吊ワイヤロープ54bを、案内しながら重ならないように巻き取るものであり、第2ドラム14の外周部に、本実施形態では図5(a)に太線及び破線の矢印で示すように、前吊ワイヤ用溝16と反対の左ねじり方向に螺旋状に形成されている。後吊ワイヤ用溝20の螺旋方向の全体長さは、図1に示した立体駐車装置70の最上段に収容される昇降パレット72g〜72iが、それらの収容位置から入出庫位置80に下降するまでの間に繰り出される、後吊ワイヤロープ54bの長さより大きくなっている。
2つのワイヤ固定用穴36は、前吊ワイヤロープ52bの端部と後吊ワイヤロープ54bの端部とを固定するためのものである。このため、前吊ワイヤロープ52bは、第2ドラム14が回転軸Rで図中右側から視て時計回りに回転されると、前吊ワイヤ用溝16のねじり方向に沿って、図中左側から右側へと巻き取られることとなる。すなわち、前吊ワイヤ領域18の図中左側端部が、前吊ワイヤロープ52bの巻き取り始め側(繰り出し終わり側)の端部となり、前吊ワイヤ領域18の図中右側端部が、前吊ワイヤロープ52bの巻き取り終わり側(繰り出し始め側)の端部となる。他方、後吊ワイヤロープ54bは、第2ドラム14が上記と同じ方向に回転されると、後吊ワイヤ用溝20のねじり方向に沿って、前吊ワイヤロープ52bとは反対の図中右側から左側へと巻き取られることとなる。すなわち、後吊ワイヤ領域22の図中右側端部が、後吊ワイヤロープ54bの巻き取り始め側(繰り出し終わり側)の端部となり、後吊ワイヤ領域22の図中左側端部が、後吊ワイヤロープ54bの巻き取り終わり側(繰り出し始め側)の端部となる。
又、後吊ワイヤ領域22は、後吊ワイヤ用溝20の溝底におけるドラム径d22が、第2ドラム14の軸方向に一様になっている。これに対し、前吊ワイヤ領域18は、図5(b)も参照して、同径部分30と異径部分32とを含んでおり、更に、異径部分32が、不変異径部分33と変径部分34とを含んでいる。同径部分30は、その溝底におけるドラム径d30が、後吊ワイヤ領域22の溝底におけるドラム径d22と等しい部分である。異径部分32は、その溝底におけるドラム径が、後吊ワイヤ領域22の溝底におけるドラム径d22よりも大きい部分である。不変異径部分33は、その溝底におけるドラム径d33が、後吊ワイヤ領域22の溝底におけるドラム径d22よりも大きく、かつ、第2ドラム14の軸方向に一様な部分であり、前吊ワイヤ領域18の、前吊ワイヤロープ52bの繰り出し始め側の端部(図中右側端部)に設けられている。同径部分30と不変異径部分33との間に位置する変径部分34は、その溝底におけるドラム径が、同径部分30の溝底におけるドラム径d30と不変異径部分33の溝底におけるドラム径d33とに合わせて、図中右方向に進むに従って徐々に大きくなる部分である。
上述したように、前吊ワイヤ領域18に設けられた前吊ワイヤ用溝16の全体長さは、立体駐車装置70の最上段に収容される昇降パレット72が、その収容位置から入出庫位置80に下降するまでの間に繰り出される、前吊ワイヤロープ52bの長さより大きくなっている。このうち、異径部分32(不変異径部分33から変径部分34)に設けられた前吊ワイヤ用溝16の螺旋方向の長さは、立体駐車装置70において入出庫位置80の1段上に収容される昇降パレット72(72c、72d)が、その収容位置から入出庫位置80に下降するまでの間に、異径部分32からの前吊ワイヤロープ52bの繰り出しが終わる長さになっている。本実施形態では、図5(c)を参照して、不変異径部分33の前吊ワイヤ用溝16の長さが、ねじり方向に沿って第2ドラム14の外周部を約1周する長さ、変径部分34の前吊ワイヤ用溝16の長さが、ねじり方向に沿って第2ドラム14の外周部を約3周する長さになっている。しかしながら、これらの長さは一例であって、変径部分34及び不変異径部分33の前吊ワイヤ用溝16の長さを限定するものではない。
ここで、前吊ワイヤロープ52bと後吊ワイヤロープ54bとの双方のワイヤ径が10mmである場合の、第2ドラム14の各部位の大きさの具体例について言及する。例えば、第2ドラム14は、その軸方向の長さが442mm、前吊ワイヤ領域18の軸方向の大きさが165mm、後吊ワイヤ領域22の軸方向の大きさが165mm、最も大きい部分のドラム外径が207mm、後吊ワイヤ領域22の溝底におけるドラム径d22及び同径部分30の溝底におけるドラム径d30が190mm、不変異径部分33の溝底におけるドラム径d33が200mm、前吊ワイヤ用溝16及び後吊ワイヤ用溝20の溝の深さが3.5mmである。しかしながら、第2ドラム14の大きさは、これらの値に限定されるものではなく、前吊ワイヤロープ52b及び後吊ワイヤロープ54bのワイヤ径の大きさや、立体駐車装置70の構成等に応じて、任意の値を取り得る。
図3〜図5に示したような構成を有するドラム構造10は、そのほとんどの構成要素が、例えば鋼材によって形成される。そして、ドラム構造10は、それらの構成要素が個別に形成された後、溶接等によって接合されてもよく、複数の構成要素が一体的に形成された後、残りの構成要素と溶接等によって接合されてもよい。又、ドラム構造10は、特に前吊ワイヤ用溝16及び後吊ワイヤ用溝20の溝加工や、ドラム径が変化する部分の加工等の、細かい加工部分については、予め粗加工された後に細かい切削加工等が行われて仕上げられてもよく、加工精度を高めるために、予めプログラムされた切削機等を使用してもよい。
次に、図6は、図2に示したパレット昇降機構50により、昇降パレット72を収容位置から入出庫位置80へと下降させる様子を、図6における右側を前方側、図6における左側を後方側として示している。なお、パレット昇降機構50の構成や、ドラム構造10の構成については、適宜、図2〜図5を参照されたい。本実施形態のパレット昇降機構50は、昇降パレット72が収容位置にあるときは、水はけ等の観点から、昇降パレット72の前方側よりも後方側を僅かに下げて傾斜した状態にさせる。一方、昇降パレット72が入出庫位置80にあるときは、立体駐車装置70の装置構成や車両Vの入出庫の観点から、昇降パレット72の後方側よりも前方側を僅かに下げて傾斜した状態にさせる。
まず、図6(a)に示すように、パレット昇降機構50は、昇降パレット72をその収容位置において停止させているときは、上述したように、昇降パレット72の前方側よりも後方側を僅かに下げて傾斜させている。この際、前吊ワイヤロープ52と後吊ワイヤロープ54との双方は、第1ドラム12及び第2ドラム14により、最も巻き取られた状態になっている。すなわち、前吊ワイヤロープ52は、第1ドラム12或いは第2ドラム14における、前吊ワイヤ領域18の不変異径部分33まで巻き取られており、後吊ワイヤロープ54は、第1ドラム12或いは第2ドラム14における、後吊ワイヤ領域22の巻き取り終わり側の端部まで巻き取られている。
上記のような状態から、モータ58により、ドラム構造10の第1ドラム12及び第2ドラム14が、図6における時計回り方向に回転されると、前吊ワイヤロープ52が、まず、前吊ワイヤ領域18の不変異径部分33から繰り出され、同時に、後吊ワイヤロープ54が、後吊ワイヤ領域22から繰り出される。このとき、後吊ワイヤ領域22は、軸方向に一様な溝底におけるドラム径d22を有し、前吊ワイヤ領域18の不変異径部分33は、後吊ワイヤ領域22の溝底におけるドラム径d22よりも大きい溝底におけるドラム径d33を有しているため、後吊ワイヤロープ54よりも前吊ワイヤロープ52の繰り出し量が多くなる。このため、昇降パレット72は、後方側よりも前方側の方が大きく下降し、後方側が下方へ僅かに傾斜した状態から、図6(b)に示すように略水平の状態になる。
後吊ワイヤロープ54よりも前吊ワイヤロープ52の繰り出し量が多くなる事象は、前吊ワイヤロープ52が不変異径部分33及び変径部分34から繰り出される間続き、変径部分34からの繰り出しが終わるときには、図6(c)に示すように、昇降パレット72の後方側よりも前方側が僅かに下がって傾斜した状態になる。以降は、前吊ワイヤロープ52が前吊ワイヤ領域18の同径部分30から繰り出さると共に、後吊ワイヤロープ54が後吊ワイヤ領域22から繰り出される。この期間は、同径部分30の溝底におけるドラム径d30が、後吊ワイヤ領域22の溝底におけるドラム径d22と等しいため、前吊ワイヤロープ52と後吊ワイヤロープ54との繰り出し量が等しくなり、昇降パレット72の前方側と後方側とが等速で下降する。やがて、図6(d)に示すように、昇降パレット72の前方側が入出庫位置80に着床すると、モータ58による第1ドラム12及び第2ドラム14の回転が停止され、パレット昇降機構50による昇降パレット72の下降が終了となる。
続いて、図7及び図8には、本発明の実施の形態に係るドラム構造10が具備する、図4及び図5に示した第1ドラム12及び第2ドラム14と異なる形態の、第1ドラム12´及び第2ドラム14´の構成を示している。これらの第1ドラム12´及び第2ドラム14´は、同径部分30と異径部分32(不変異径部分33及び変径部分34)とが、前吊ワイヤ領域18ではなく後吊ワイヤ領域22に設けられている点、及び、前吊ワイヤロープ52よりも後吊りワイヤロープ54のワイヤ径が小さいことを想定している点を除いて、第1ドラム12及び第2ドラム14と同様の構成を有している。このため、同様の構成部分については、説明を省略或いは簡略化するものとする。
まず、図7を参照して、図7(a)は第1ドラム12´の正面図、図7(b)は図7(a)におけるC−C線での一部断面図、図7(c)は図7(b)の右端側の拡大断面図を示している。図示のように、第1ドラム12´は、前吊ワイヤ用溝16が設けられた前吊ワイヤ領域18と、後吊ワイヤ用溝20が設けられた後吊ワイヤ領域22と、2つのワイヤ固定用穴36とを有している。第1ドラム12´の回転軸Rに沿った軸方向(図中左右方向)に関して、2つのワイヤ固定用穴36が中央近傍に設けられ、又、図3に示した接続部40により接続される側(図7の右側)を内側としたとき、前吊ワイヤ領域18が外側に設けられ、ワイヤ固定用穴36を挟んで、後吊ワイヤ領域22が内側に設けられている。
前吊ワイヤロープ52aを案内しながら巻き取るための前吊ワイヤ用溝16は、第1ドラム12´の外周部に、左ねじり方向に螺旋状に形成されている。前吊ワイヤ用溝16の螺旋方向の全体長さは、図1に示した立体駐車装置70の最上段に収容される昇降パレット72g〜72iが、それらの収容位置から入出庫位置80に下降するまでの間に繰り出される、前吊ワイヤロープ52aの長さより大きくなっている。ワイヤ固定用穴36の1つに前吊ワイヤロープ52aの端部が固定されることで、前吊ワイヤ領域18の図中右側端部が、前吊ワイヤロープ52aの巻き取り始め側(繰り出し終わり側)の端部となり、前吊ワイヤ領域18の図中左側端部が、前吊ワイヤロープ52aの巻き取り終わり側(繰り出し始め側)の端部となる。
一方、後吊ワイヤロープ54aを案内しながら巻き取るための後吊ワイヤ用溝20は、第1ドラム12´の外周部に、前吊ワイヤ用溝16と反対の右ねじり方向に螺旋状に形成されている。後吊ワイヤ用溝20の螺旋方向の全体長さは、図1に示した立体駐車装置70の最上段に収容される昇降パレット72g〜72iが、それらの収容位置から入出庫位置80に下降するまでの間に繰り出される、後吊ワイヤロープ54aの長さより大きくなっている。ワイヤ固定用穴36の1つに後吊ワイヤロープ54aの端部が固定されることで、後吊ワイヤ領域22の図中左側端部が、後吊ワイヤロープ54aの巻き取り始め側(繰り出し終わり側)の端部となり、後吊ワイヤ領域22の図中右側端部が、後吊ワイヤロープ54aの巻き取り終わり側(繰り出し始め側)の端部となる。
又、前吊ワイヤ領域18は、前吊ワイヤ用溝16の溝底におけるドラム径d18が、第1ドラム12´の軸方向に一様になっている。これに対し、後吊ワイヤ領域22は、図7(b)も参照して、同径部分30と異径部分32とを含んでおり、更に、異径部分32が、不変異径部分33と変径部分34とを含んでいる。同径部分30は、その溝底におけるドラム径d30が、前吊ワイヤ領域18の溝底におけるドラム径d18と等しい部分である。異径部分32は、その溝底におけるドラム径が、前吊ワイヤ領域18の溝底におけるドラム径d18よりも小さい部分である。不変異径部分33は、その溝底におけるドラム径d33が、前吊ワイヤ領域18の溝底におけるドラム径d18よりも小さく、かつ、第1ドラム12´の軸方向に一様な部分であり、後吊ワイヤ領域22の、後吊ワイヤロープ54aの繰り出し始め側の端部(図中右側端部)に設けられている。同径部分30と不変異径部分33との間に位置する変径部分34は、その溝底におけるドラム径が、同径部分30の溝底におけるドラム径d30と不変異径部分33の溝底におけるドラム径d33とに合わせて、図中右方向に進むに従って徐々に小さくなる部分である。
異径部分32(不変異径部分33から変径部分34)に設けられた後吊ワイヤ用溝20の螺旋方向の長さは、立体駐車装置70において入出庫位置80の1段上に収容される昇降パレット72(72c、72d)が、その収容位置から入出庫位置80に下降するまでの間に、異径部分32からの後吊ワイヤロープ54aの繰り出しが終わる長さになっている。本実施形態では、図7(c)を参照して、不変異径部分33の後吊ワイヤ用溝20の長さが、ねじり方向に沿って第1ドラム12´の外周部を約1周する長さ、変径部分34の後吊ワイヤ用溝20の長さが、ねじり方向に沿って第1ドラム12´の外周部を約3周する長さになっている。
ここで、前吊ワイヤロープ52aのワイヤ径が10mm、後吊ワイヤロープ54aのワイヤ径が9mmである場合の、第1ドラム12´の各部位の大きさの具体例について言及するが、第1ドラム12´の大きさは、これらの値に限定されるものではない。例えば、第1ドラム12´は、その軸方向の長さが412mm、前吊ワイヤ領域18の軸方向の大きさが165mm、後吊ワイヤ領域22の軸方向の大きさが165mm、最も大きい部分のドラム外径が197mm、前吊ワイヤ領域18の溝底におけるドラム径d18及び同径部分30の溝底におけるドラム径d30が190mm、不変異径部分33の溝底におけるドラム径d33が181mm、前吊ワイヤ用溝16及び後吊ワイヤ用溝20の溝の深さが3.5mmである。
続いて、図8を参照して、図8(a)は第2ドラム14´の正面図、図8(b)は図8(a)におけるD−D線での一部断面図、図8(c)は図8(b)の左端側の拡大断面図を示している。図示のように、第2ドラム14´は、第1ドラム12´と同様に、前吊ワイヤ用溝16が設けられた前吊ワイヤ領域18と、後吊ワイヤ用溝20が設けられた後吊ワイヤ領域22と、2つのワイヤ固定用穴36とを有している。第2ドラム14´の回転軸Rに沿った軸方向(図中左右方向)に関して、2つのワイヤ固定用穴36が中央近傍に設けられ、又、図3に示した接続部40により接続される側(図8の左側)を内側としたとき、前吊ワイヤ領域18が外側に設けられ、ワイヤ固定用穴36を挟んで、後吊ワイヤ領域22が内側に設けられている。
前吊ワイヤロープ52bを案内しながら巻き取るための前吊ワイヤ用溝16は、第2ドラム14´の外周部に、右ねじり方向に螺旋状に形成されている。前吊ワイヤ用溝16の螺旋方向の全体長さは、図1に示した立体駐車装置70の最上段に収容される昇降パレット72g〜72iが、それらの収容位置から入出庫位置80に下降するまでの間に繰り出される、前吊ワイヤロープ52bの長さより大きくなっている。ワイヤ固定用穴36の1つに前吊ワイヤロープ52bの端部が固定されることで、前吊ワイヤ領域18の図中左側端部が、前吊ワイヤロープ52bの巻き取り始め側(繰り出し終わり側)の端部となり、前吊ワイヤ領域18の図中右側端部が、前吊ワイヤロープ52bの巻き取り終わり側(繰り出し始め側)の端部となる。
一方、後吊ワイヤロープ54bを案内しながら巻き取るための後吊ワイヤ用溝20は、第2ドラム14´の外周部に、前吊ワイヤ用溝16と反対の左ねじり方向に螺旋状に形成されている。後吊ワイヤ用溝20の螺旋方向の全体長さは、図1に示した立体駐車装置70の最上段に収容される昇降パレット72g〜72iが、それらの収容位置から入出庫位置80に下降するまでの間に繰り出される、後吊ワイヤロープ54bの長さより大きくなっている。ワイヤ固定用穴36の1つに後吊ワイヤロープ54bの端部が固定されることで、後吊ワイヤ領域22の図中右側端部が、後吊ワイヤロープ54bの巻き取り始め側(繰り出し終わり側)の端部となり、後吊ワイヤ領域22の図中左側端部が、後吊ワイヤロープ54bの巻き取り終わり側(繰り出し始め側)の端部となる。
又、前吊ワイヤ領域18は、前吊ワイヤ用溝16の溝底におけるドラム径d18が、第2ドラム14´の軸方向に一様になっている。これに対し、後吊ワイヤ領域22は、図8(b)も参照して、同径部分30と異径部分32とを含んでおり、更に、異径部分32が、不変異径部分33と変径部分34とを含んでいる。同径部分30は、その溝底におけるドラム径d30が、前吊ワイヤ領域18の溝底におけるドラム径d18と等しい部分である。異径部分32は、その溝底におけるドラム径が、前吊ワイヤ領域18の溝底におけるドラム径d18よりも小さい部分である。不変異径部分33は、その溝底におけるドラム径d33が、前吊ワイヤ領域18の溝底におけるドラム径d18よりも小さく、かつ、第2ドラム14´の軸方向に一様な部分であり、後吊ワイヤ領域22の、後吊ワイヤロープ54bの繰り出し始め側の端部(図中左側端部)に設けられている。同径部分30と不変異径部分33との間に位置する変径部分34は、その溝底におけるドラム径が、同径部分30の溝底におけるドラム径d30と不変異径部分33の溝底におけるドラム径d33とに合わせて、図中左方向に進むに従って徐々に小さくなる部分である。
異径部分32(不変異径部分33から変径部分34)に設けられた後吊ワイヤ用溝20の螺旋方向の長さは、立体駐車装置70において入出庫位置80の1段上に収容される昇降パレット72(72c、72d)が、その収容位置から入出庫位置80に下降するまでの間に、異径部分32からの後吊ワイヤロープ54bの繰り出しが終わる長さになっている。本実施形態では、図8(c)を参照して、不変異径部分33の後吊ワイヤ用溝20の長さが、ねじり方向に沿って第2ドラム14´の外周部を約1周する長さ、変径部分34の後吊ワイヤ用溝20の長さが、ねじり方向に沿って第2ドラム14´の外周部を約3周する長さになっている。
ここで、前吊ワイヤロープ52bのワイヤ径が10mm、後吊ワイヤロープ54bのワイヤ径が9mmである場合の、第2ドラム14´の各部位の大きさの具体例について言及するが、第2ドラム14´の大きさは、これらの値に限定されるものではない。例えば、第2ドラム14´は、その軸方向の長さが442mm、前吊ワイヤ領域18の軸方向の大きさが165mm、後吊ワイヤ領域22の軸方向の大きさが165mm、最も大きい部分のドラム外径が197mm、前吊ワイヤ領域18の溝底におけるドラム径d18及び同径部分30の溝底におけるドラム径d30が190mm、不変異径部分33の溝底におけるドラム径d33が181mm、前吊ワイヤ用溝16及び後吊ワイヤ用溝20の溝の深さが3.5mmである。
上記のような構成の第1ドラム12´及び第2ドラム14´を備えたドラム構造10であっても、パレット昇降機構50で使用されたときに、図6に示したような動作をさせることができる。すなわち、図6(a)に示す状態では、前吊ワイヤロープ52は、第1ドラム12´或いは第2ドラム14´における、前吊ワイヤ領域18の巻き取り終わり側の端部まで巻き取られており、後吊ワイヤロープ54は、第1ドラム12´或いは第2ドラム14´における、後吊ワイヤ領域22の不変異径部分33まで巻き取られている。このような状態から、第1ドラム12´及び第2ドラム14´が、図6における時計回り方向に回転されると、後吊ワイヤロープ54が、まず、後吊ワイヤ領域22の不変異径部分33から繰り出され、同時に、前吊ワイヤロープ52が、前吊ワイヤ領域18から繰り出される。このとき、前吊ワイヤ領域18は、軸方向に一様な溝底におけるドラム径d18を有し、後吊ワイヤ領域22の不変異径部分33は、前吊ワイヤ領域18の溝底におけるドラム径d18よりも小さい溝底におけるドラム径d33を有しているため、前吊ワイヤロープ52よりも後吊ワイヤロープ54の繰り出し量が少なくなる。このため、昇降パレット72は、前方側よりも後方側の方が小さく下降し、後方側が下方へ僅かに傾斜した状態から、図6(b)に示すように略水平の状態になる。
前吊ワイヤロープ52よりも後吊ワイヤロープ54の繰り出し量が少なくなる事象は、後吊ワイヤロープ54が不変異径部分33及び変径部分34から繰り出される間続き、変径部分34からの繰り出しが終わるときには、図6(c)に示すように、昇降パレット72の後方側よりも前方側が僅かに下がって傾斜した状態になる。以降は、前吊ワイヤロープ52が前吊ワイヤ領域18から繰り出さると共に、後吊ワイヤロープ54が後吊ワイヤ領域22の同径部分30から繰り出される。この期間は、同径部分30の溝底におけるドラム径d30が、前吊ワイヤ領域18の溝底におけるドラム径d18と等しいため、前吊ワイヤロープ52と後吊ワイヤロープ54との繰り出し量が等しくなり、昇降パレット72の前方側と後方側とが等速で下降する。やがて、図6(d)に示すように、昇降パレット72の前方側が入出庫位置80に着床すると、第1ドラム12´及び第2ドラム14´の回転が停止され、パレット昇降機構50による昇降パレット72の下降が終了となる。
さて、上記構成をなす本発明の実施の形態によれば、次のような作用効果を得ることが可能である。すなわち、本発明の実施の形態に係るドラム構造10は、図1及び図2に示すように、立体駐車装置70が備える複数のパレット72のうち、地上において上下方向に移動する昇降パレット72(72c〜72i)の各々を吊り下げている、4本のワイヤロープを同時に巻き取り及び繰り出しするためのものである。これら4本のワイヤロープは、昇降パレット72の平面視での四隅近傍を吊り下げており、車両Vの出庫方向を基準として、昇降パレット72の前方側を吊り下げている2本の前吊ワイヤロープ52a、52bと、昇降パレット72の後方側を吊り下げている2本の後吊ワイヤロープ54a、54bとを含んでいる。更に、2本の前吊ワイヤロープ52a、52bは、昇降パレット72の幅方向に互いに離れた位置を吊り下げ、同様に、2本の後吊ワイヤロープ54a、54bは、昇降パレット72の幅方向に互いに離れた位置を吊り下げている。
そして、本発明の実施の形態に係るドラム構造10は、図3も参照して、第1ドラム12、第2ドラム14、及び、接続部40を含んでおり、第1ドラム12は、上記のような4本のワイヤロープのうち、昇降パレット72の幅方向の一側方寄りを吊り下げている1本の前吊ワイヤロープ52aと、同じく一側方寄りを吊り下げている1本の後吊ワイヤロープ54aとを巻き取るものである。第2ドラム14は、残りの2本のワイヤロープである、昇降パレット72の幅方向の他側方寄りを吊り下げている1本の前吊ワイヤロープ52bと、同じく他側方寄りを吊り下げている1本の後吊ワイヤロープ54bとを巻き取るものである。接続部40は、これらの第1ドラム12と第2ドラム14とを、同軸で回転可能に接続するものである。
又、図4及び図5に示すように、第1ドラム12及び第2ドラム14の各々は、前吊ワイヤロープ52を巻き取るための前吊ワイヤ用溝16と、後吊ワイヤロープ54を巻き取るための後吊ワイヤ用溝20とを、各ドラム12、14の外周部の、各ドラム12、14の回転軸Rに沿った軸方向(図中左右方向)の異なる領域に有している。第1ドラム12及び第2ドラム14に設けられる前吊ワイヤ用溝16は、前吊ワイヤロープ52を案内しながら重ならないように巻き取るために、各ドラム12、14の外周部に螺旋状に設けられる。これにより、前吊ワイヤロープ52は、第1ドラム12又は第2ドラム14の軸方向に沿って巻き取り位置が徐々に変化しながら、前吊ワイヤ用溝16に沿って巻き取られる。同様に、後吊ワイヤ用溝20は、後吊ワイヤロープ54を案内しながら重ならないように巻き取るために、各ドラム12、14の外周部に螺旋状に設けられ、これによって、後吊ワイヤロープ54は、各ドラム12、14の軸方向に沿って巻き取り位置が徐々に変化しながら、後吊ワイヤ用溝20に沿って巻き取られる。すなわち、第1ドラム12及び第2ドラム14の各々において、前吊ワイヤロープ52及び後吊ワイヤロープ54の双方が互いに重ならないように、かつ、前吊ワイヤロープ52同士及び後吊ワイヤロープ54同士でも重ならないように、巻き取りが行われるものである。
更に、第1ドラム12及び第2ドラム14の各々は、前吊ワイヤ用溝16が設けられた前吊ワイヤ領域18と、後吊ワイヤ用溝20が設けられた後吊ワイヤ領域22との少なくとも一方に、他方と溝底におけるドラム径が異なる異径部分32が設けられている。ここで、溝底におけるドラム径とは、螺旋状に設けられる前吊ワイヤ用溝16又は後吊ワイヤ用溝20の、各ドラム12、14の回転軸Rについて位相が180°異なる2つの溝底の間の、各ドラム12、14の回転軸Rと直交する距離を示している(図4及び図5の符号d22、d30、d33参照)。すなわち、溝底におけるドラム径が異なると、第1ドラム12や第2ドラム14が回転したときに巻き取られる或いは繰り出される、前吊ワイヤロープ52又は後吊ワイヤロープ54の長さが異なることになる。このため、前吊ワイヤ領域18と後吊ワイヤ領域22との少なくとも一方に、他方と溝底におけるドラム径が異なる異径部分32が設けられていることで、同じ回転量にも関わらず、前吊ワイヤロープ52と後吊ワイヤロープ54との間で、巻き取り長さや繰り出し長さを相違させることができる。
上記のような異径部分32が設けられた第1ドラム12及び第2ドラム14によって、2本の前吊ワイヤロープ52a、52b及び2本の後吊ワイヤロープ54a、54bを同時に巻き取り及び繰り出しすることにより、昇降パレット72の前方側の昇降速度と後方側の昇降速度との間に、速度差を生じさせることができる。これにより、収容位置と入出庫位置80との間で、昇降パレット72の傾きを意図的に変化させる場合であっても、傾きの変化に応じた大きさの異径部分32を設けることで、前吊ワイヤロープ52や後吊ワイヤロープ54の弛みの発生を抑制することが可能となる。しかも、ワイヤロープ52、54の弛みの発生が抑制されることで、弛みに起因してワイヤロープ52、54がワイヤ用溝16、20から浮いてしまうことも抑制できるため、第1ドラム12及び第2ドラム14に対する、ワイヤロープ52、54がワイヤ用溝16、20を山越えすることを防止するための措置を不要にすることができる。
又、本発明の実施の形態に係るドラム構造10は、第1ドラム12及び第2ドラム14の各々の、後吊ワイヤ領域22の全体にわたって、後吊ワイヤ用溝20の溝底におけるドラム径d22が軸方向に一様になっている。更に、第1ドラム12及び第2ドラム14の各々は、前吊ワイヤ領域18に同径部分30と異径部分32とを含んでいる。同径部分30は、前吊ワイヤ用溝16の溝底におけるドラム径d30が、上述した後吊ワイヤ領域22の後吊ワイヤ用溝20の溝底におけるドラム径d22と等しい部分であり、異径部分32は、前吊ワイヤ用溝16の溝底におけるドラム径が、後吊ワイヤ領域22の後吊ワイヤ用溝20の溝底におけるドラム径d22よりも大きい部分である。
このため、第1ドラム12及び第2ドラム14の回転時に、前吊ワイヤ領域18から繰り出される前吊ワイヤロープ52は、同径部分30から繰り出される間は、後吊ワイヤ領域22から繰り出される後吊ワイヤロープ54と同じ量だけ繰り出され、異径部分32から繰り出される間は、後吊ワイヤロープ54よりも多くの量が繰り出されることになる。前吊ワイヤロープ52の巻き取りについても同様であり、同径部分30に巻き取られる間は、後吊ワイヤロープ54と同じ量だけ巻き取られ、異径部分32に巻き取られる間は、後吊ワイヤロープ54よりも多くの量が巻き取られることになる。これにより、例えば図6に示すように、収容位置から入出庫位置80まで下降させる間に、昇降パレット72の前方側を後方側よりも多く下降させる必要がある場合や、入出庫位置80から収容位置まで上昇させる間に、昇降パレット72の前方側を後方側よりも多く上昇させる必要がある場合に、入出庫位置80での前吊ワイヤロープ52の弛みの発生を抑制することが可能となる。
一方、本発明の実施の形態に係るドラム構造10は、図7及び図8に示すような第1ドラム12´及び第2ドラム14´を備えていてもよい。すなわち、第1ドラム12´及び第2ドラム14´の各々は、前吊ワイヤ領域18の全体にわたって、前吊ワイヤ用溝16の溝底におけるドラム径d18が軸方向に一様になっている。更に、第1ドラム12´及び第2ドラム14´の各々は、後吊ワイヤ領域22に同径部分30と異径部分32とを含んでいる。同径部分30は、後吊ワイヤ用溝20の溝底におけるドラム径d30が、上述した前吊ワイヤ領域18の前吊ワイヤ用溝16の溝底におけるドラム径d18と等しい部分であり、異径部分32は、後吊ワイヤ用溝20の溝底におけるドラム径が、前吊ワイヤ領域18の前吊ワイヤ用溝16の溝底におけるドラム径d18よりも小さい部分である。
このため、第1ドラム12´及び第2ドラム14´の回転時に、後吊ワイヤ領域22から繰り出される後吊ワイヤロープ54は、同径部分30から繰り出される間は、前吊ワイヤ領域18から繰り出される前吊ワイヤロープ52と同じ量だけ繰り出され、異径部分32から繰り出される間は、前吊ワイヤロープ52よりも少ない量が繰り出されることになる。後吊ワイヤロープ54の巻き取りについても同様であり、同径部分30に巻き取られる間は、前吊ワイヤロープ52と同じ量だけ巻き取られ、異径部分32に巻き取られる間は、前吊ワイヤロープ52よりも少ない量が巻き取られることになる。これにより、第1ドラム12及び第2ドラム14と同様に、図6に示すように、収容位置から入出庫位置80まで下降させる間に、昇降パレット72の前方側を後方側よりも多く下降させる必要がある場合や、入出庫位置80から収容位置まで上昇させる間に、昇降パレット72の前方側を後方側よりも多く上昇させる必要がある場合に、入出庫位置80での前吊ワイヤロープ52の弛みの発生を抑制することができる。
更に、本発明の実施の形態に係るドラム構造10は、図4、図5、図7及び図8に示すように、第1ドラム12、12´及び第2ドラム14、14´の各々の、前吊ワイヤ領域18或いは後吊ワイヤ領域22に設けられた異径部分32が、溝底におけるドラム径d33が各ドラムの軸方向に一様な不変異径部分33と、同径部分30と不変異径部分33との間に位置し、各ドラムの軸方向に進むに従って、溝底におけるドラム径が徐々に変化する変径部分34とを含むものである。すなわち、図4及び図5に示すように、同径部分30及び異径部分32が前吊ワイヤ領域18に設けられる場合は、溝底におけるドラム径d33が後吊ワイヤ領域22よりも大きくかつ軸方向に一様な不変異径部分33と、同径部分30から不変異径部分33へ向かう方向に進むに従って、溝底におけるドラム径が徐々に大きくなる変径部分34とが設けられる。一方、図7及び図8に示すように、同径部分30及び異径部分32が後吊ワイヤ領域22に設けられる場合は、溝底におけるドラム径d33が前吊ワイヤ領域18よりも小さくかつ軸方向に一様な不変異径部分33と、同径部分30から不変異径部分33へ向かう方向に進むに従って、溝底におけるドラム径が徐々に小さくなる変径部分34とが設けられる。これにより、同径部分30から異径部分32にかけての、前吊ワイヤロープ52や後吊ワイヤロープ54の巻き取り及び繰り出しを円滑に行うことができ、又、第1ドラム12、12´及び第2ドラム14、14´の加工性を向上することができる。
又、本発明の実施の形態に係るドラム構造10は、第1ドラム12、12´及び第2ドラム14、14´の各々において、前吊ワイヤ領域18或いは後吊ワイヤ領域22に設けられる不変異径部分33の、各ドラムの軸方向に関する位置が以下のように定められてもよい。すなわち、図4及び図5に示すように、前吊ワイヤ領域18に設けられる場合、不変異径部分33は、各ドラムの軸方向に関して、前吊ワイヤ領域18の前吊ワイヤロープ52を繰り出し始める側の端部(図4における左側端部及び図5における右側端部)、換言すれば、前吊ワイヤロープ52を巻き取り終わる側の端部に設けられる。
他方、図7及び図8に示すように、後吊ワイヤ領域22に設けられる場合、不変異径部分33は、各ドラムの軸方向に関して、後吊ワイヤ領域22の後吊ワイヤロープ54を繰り出し始める側の端部(図7における右側端部及び図8における左側端部)、換言すれば、後吊ワイヤロープ54を巻き取り終わる側の端部に設けられる。このような構成により、不変異径部分33及び変径部分34を含む異径部分32からの前吊ワイヤロープ52や後吊ワイヤロープ54の繰り出しを、昇降パレット72が収容位置から下降され始める時点から行うことができ、又、異径部分32への前吊ワイヤロープ52や後吊ワイヤロープ54の巻き取りを、昇降パレット72が収容位置へ上昇され終わる直ぐ前の段階で行うことができる。このため、昇降パレット72の所望の傾きの変化を、収容位置に近い高さ範囲内のみで行うことができ、残りの高さ範囲では、前方側と後方側とを等速に下降又は上昇させることができる。
又、本発明の実施の形態に係るドラム構造10は、第1ドラム12、12´及び第2ドラム14、14´の各々において、前吊ワイヤ領域18の異径部分32(不変異径部分33から変径部分34)に設けられた前吊ワイヤ用溝16の螺旋方向の長さ、或いは、後吊ワイヤ領域22の異径部分32(不変異径部分33から変径部分34)に設けられた後吊ワイヤ用溝20の螺旋方向の長さを、以下のように定めるものである。すなわち、これらの長さは、図1に示す立体駐車装置70が備える昇降パレット72のうち、入出庫位置80の1段上に収容される昇降パレット72(72c、72d)が、その収容位置から入出庫位置80に下降するまでの間に、異径部分32からの前吊ワイヤロープ52或いは後吊ワイヤロープ54の繰り出しが終わる長さになっている。
これにより、異径部分32における前吊ワイヤロープ52や後吊ワイヤロープ54の繰り出し及び巻き取りを、立体駐車装置70が備える昇降パレット72の中で、収容位置と入出庫位置80との間の高さが最も小さい昇降パレット72が昇降される高さ範囲内で行うことができる。このため、本発明の実施の形態に係るドラム構造10は、上記のような長さの異径部分32を有することで、立体駐車装置70が備える何れの昇降パレット72に適用された場合でも、その昇降パレット72が収容位置と入出庫位置80との間を昇降される高さ範囲内で、所望の傾斜の変化を実現することが可能となる。
更に、本発明の実施の形態に係るドラム構造10は、第1ドラム12、12´及び第2ドラム14、14´の各々における、前吊ワイヤ用溝16の螺旋方向の全体長さと、後吊ワイヤ用溝20の螺旋方向の全体長さとの双方を、以下のように定めてもよい。すなわち、これらの長さは、少なくとも、図1に示す立体駐車装置70が備える昇降パレット72のうち、立体駐車装置70の最上段に収容される昇降パレット72(72g〜72i)が、その収容位置から入出庫位置80に下降するまでの間に繰り出される、前吊ワイヤロープ52や後吊ワイヤロープ54の長さと同等であるか、若しくはより大きいものである。
換言すれば、第1ドラム12、12´及び第2ドラム14、14´の各々は、立体駐車装置70が備える昇降パレット72の中で、最も大きい高さ範囲内を昇降される昇降パレット72の昇降に必要な長さを有する、前吊ワイヤロープ52及び後吊ワイヤロープ54を巻き取り可能なものである。これにより、本発明の実施の形態に係るドラム構造10は、上述したような、異径部分32に設けられた前吊ワイヤ用溝16或いは後吊ワイヤ用溝20の長さを定めた構成と相まって、昇降パレット72間で共通の長さの前吊ワイヤロープ52及び後吊ワイヤロープ54が巻かれた状態で、立体駐車装置70が備える昇降パレット72に対して問題なく適用することができる。従って、昇降される高さ範囲が異なる昇降パレット72毎に、長さが異なる前吊ワイヤロープ52及び後吊ワイヤロープ54や、構成が異なるドラム構造を用意する必要がなくなり、立体駐車装置70の設置準備や設置の作業性を向上することが可能となる。
又、本発明の実施の形態に係るドラム構造10は、第1ドラム12、12´及び第2ドラム14、14´の各々の、前吊ワイヤ領域18の変径部分32に設けられた前吊ワイヤ用溝16の螺旋方向の長さ、或いは、後吊ワイヤ領域22の変径部分32に設けられた後吊ワイヤ用溝20の螺旋方向の長さを、各ドラムの外周部を螺旋方向に沿って1周から3周する長さに定めてもよい。これにより、同径部分30から異径部分32にかけた、溝底におけるドラム径の拡径変化或いは縮径変化を無理なく滑らかに行うことができるため、前吊ワイヤロープ52や後吊ワイヤロープ54の巻き取り及び繰り出しの更なる円滑化や、第1ドラム12、12´及び第2ドラム14、14´の加工性の更なる向上を図ることができる。
加えて、本発明の実施の形態に係るドラム構造10は、図4、図5、図7及び図8で確認できるように、第1ドラム12、12´及び第2ドラム14、14´の各々の、外周部の軸方向の中央近傍に、ワイヤ固定用穴36を介して、前吊ワイヤロープ52の端部と後吊ワイヤロープ54の端部との双方が固定され、この固定位置を挟んで、前吊ワイヤ用溝16と後吊ワイヤ用溝20とが、各ドラムの軸方向の両側に設けられる。更に、第1ドラム12、12´及び第2ドラム14、14´の各々は、巻き取り方向に回転するに従い、軸方向に関して、前吊ワイヤロープ52を巻き取る位置と後吊ワイヤロープ54を巻き取る位置とが互いに離れるように、前吊ワイヤ用溝16と後吊ワイヤ用溝20とが、互いに反対方向にねじられて設けられているものである。これにより、前吊ワイヤロープ52の端部と後吊ワイヤロープ54の端部とを近接して纏めて固定しながらも、前吊ワイヤロープ52と後吊ワイヤロープ54とを互いに干渉させることなく、巻き取り及び繰り出しを行うことができる。
又、本発明の実施の形態に係るドラム構造10は、第1ドラム12、12´及び第2ドラム14、14´の各々において、軸方向に関して、図2及び図3に示した接続部40により接続された側を内側としたとき、前吊ワイヤ領域18が後吊ワイヤ領域22よりも外側に設けられるものである。これにより、車両Vの入出庫の観点等から、昇降パレット72の前方側の、幅方向の外側寄りを吊り下げることが好ましい前吊ワイヤロープ52を、上述したように第1ドラム12、12´及び第2ドラム14、14´の外側に設けられる前吊ワイヤ領域18を介して、巻き取り及び繰り出しすることができる。このため、本発明の実施の形態に係るドラム構造10が、立体駐車装置70の構造の便宜上、昇降パレット72の後方側に設置された場合でも、図2に示すように、昇降パレット72の幅方向の外側寄りを通して、前吊ワイヤロープ52を後方から前方へと無理なく配線することが可能となる。
一方、本発明の実施の形態に係るパレット昇降機構50は、図1に示すような立体駐車装置70において上下方向に移動される昇降パレット72を昇降させるものであり、図2に示すように、上述したようなドラム構造10に加えて、2本の前吊ワイヤロープ52a、52bと、2本の後吊ワイヤロープ54a、54bとを含むものである。これにより、本発明の実施の形態に係るドラム構造10と同様の作用効果を奏しながら、ドラム構造10と4本のワイヤロープ52a、52b、54a、54bとを用いて、安定かつスムーズに昇降パレット72を昇降させることができる。
又、本発明の実施の形態に係るパレット昇降機構50は、2本の後吊ワイヤロープ54a、54bの各々が、前吊ワイヤロープ52a、52bよりも小さいワイヤ径を有していてもよいものである。ここで、立体駐車装置70の構造の便宜上、昇降パレット72の前方側を吊り下げている2本の前吊ワイヤロープ52a、52bには、昇降パレット72の後方側を吊り下げている2本の後吊ワイヤロープ54a、54bよりも、大きい荷重がかかることが多い。そこで、負担する荷重に応じて、前吊ワイヤロープ52a、52bと後吊ワイヤロープ54a、54bとでワイヤ径を相違させることで、昇降パレット72を安定して吊り下げられる強度を維持しながら、部材費の低減を図ることができる。更に、後吊ワイヤロープ54a、54bのワイヤ径が小さくなることで、第1ドラム12´及び第2ドラム14´の、後吊ワイヤ領域22におけるドラム径の低減を図ることもできる。
更に、本発明の実施の形態に係るパレット昇降機構50は、図6に示すように、昇降パレット72が、その収容位置にあるときに、前方側よりも後方側が僅かに下がって傾斜した状態になり、入出庫位置80にあるときに、後方側よりも前方側が僅かに下がって傾斜した状態になるように、上下移動可能なものである。これにより、昇降パレット72が収容位置にあるときは、パレット上に溜まった水を後方側から流すことができ、昇降パレット72が入出庫位置80にあるときは、少なくとも昇降パレット72の前方側が着床した状態で、車両Vの入出庫を安定して行うことができる。
他方、本発明の実施の形態に係る立体駐車装置70は、図1に示すように、上下方向又は左右方向の少なくとも一方に移動する複数のパレット72を含み、そのうちの、上下方向に移動する昇降パレット72毎に、上述したようなパレット昇降機構50を備えたものである。これにより、本発明の実施の形態に係るパレット昇降機構50と同様の作用効果を奏することで、立体駐車装置70としての付加価値を向上することができる。
なお、本発明の実施の形態に係るドラム構造10は、図3〜図5、図7及び図8に示した構成に限定されるものではない。例えば、第1ドラム12、12´及び第2ドラム14、14´と接続部40とを備えていれば、他の任意の構成要素を任意の位置に用いることができる。又、上述した各例では、後吊ワイヤロープ54よりも前吊ワイヤロープ52の繰り出し量及び巻き取り量が多くなるように、前吊ワイヤ領域18や後吊ワイヤ領域22に異径部分32が設けられているが、これとは反対に、前吊ワイヤロープ52よりも後吊ワイヤロープ54の繰り出し量及び巻き取り量が多くなるように、異径部分32が設けられていてもよい。すなわち、後吊ワイヤ領域22の溝底におけるドラム径d22が一様であり、前吊ワイヤ領域18に、後吊ワイヤ領域22の溝底におけるドラム径d22より小さい溝底におけるドラム径を有する異径部分32が設けられてもよい。又、前吊ワイヤ領域18の溝底におけるドラム径d18が一様であり、後吊ワイヤ領域22に、前吊ワイヤ領域18の溝底におけるドラム径d18より大きい溝底におけるドラム径を有する異径部分32が設けられてもよい。これに関連して、昇降パレット72が収容位置や入出庫位置80にあるときの傾斜状態は任意であり、収容位置にあるときに前下がり傾斜や水平であってもよく、入出庫位置80にあるときに後下がり傾斜や水平であってもよい。
更に、第1ドラム12、12´及び第2ドラム14、14´の各々において、前吊ワイヤ領域18と後吊ワイヤ領域22との双方に異径部分32が設けられていてもよい。この場合は、例えば、図4に示したような前吊ワイヤ領域18と図7に示したような後吊ワイヤ領域22とを有する第1ドラム、及び、図5に示したような前吊ワイヤ領域18と図8に示したような後吊ワイヤ領域22とを有する第2ドラムといった構成になる。加えて、異径部分32は、不変異径部分33と変径部分34との双方を含む構成に限定されず、変径部分34のみを含んでいてもよい。又、異径部分32が設けられる位置は、軸方向に関して、前吊ワイヤ領域18の前吊ワイヤロープ16を繰り出し始める側の端部や、後吊ワイヤ領域22の後吊ワイヤロープ20を繰り出し始める側の端部に限定されるものではなく、任意の位置であってよい。
又、前吊ワイヤ用溝16及び後吊ワイヤ用溝20の螺旋のねじり方向は、図4、図5、図7及び図8の例と反対方向であってもよく、前吊ワイヤ用溝16と後吊ワイヤ用溝20とでねじり方向が同じであってもよい。これに関連して、前吊ワイヤロープ52の端部や後吊ワイヤロープ54の端部が固定される位置(ワイヤ固定用穴36の位置)も任意であり、2つのワイヤ固定用穴36が離れていてもよい。更に、異径部分32(不変異径部分33から変径部分34)に設けられた前吊ワイヤ用溝16或いは後吊ワイヤ用溝20の螺旋方向の長さ、前吊ワイヤ用溝16の螺旋方向の全体長さ、及び、後吊ワイヤ用溝20の螺旋方向の全体長さについても、実施例に示した長さに限定されるものではなく、昇降パレット72の収容位置の高さに応じた任意の長さであってよい。又、本発明の実施の形態に係るパレット昇降機構50は、図1及び図2に示した構成に限定されるものではなく、本発明の実施の形態に係るドラム構造10と、2本前吊ワイヤロープ52及び2本の後吊ワイヤロープ54とを備えていれば、他の任意の構成要素を任意の位置に採用してよい。
加えて、本発明の実施の形態に係るドラム構造10や、本発明の実施の形態に係るパレット昇降機構50が適用される立体駐車装置70は、図1に示したような構造に限定されるものではない。すなわち、立体駐車装置70は、高さ方向(図1の上下方向)や並列方向(図1の左右方向)により多くの(又はより少ない)パレット72を備えた構成であってもよく、地上だけではなく地下にパレット72を備えた構成であってもよい。又、パレット72が並列方向には移動せずに、高さ方向の列毎に連動して高さ方向のみに移動するものであってもよい。更に、高さ方向や並列方向だけではなく、前後方向(図1の右手前から左奥方向)に複数列のパレット72を備えた構成であってもよい。
一方、本発明の実施の形態に係るパレット昇降方法は、上述したような本発明の実施の形態に係るドラム構造10、並びに、本発明の実施の形態に係るパレット昇降機構50を用いて実行されることで、ドラム構造10並びにパレット昇降機構50と同様の作用効果を奏することができる。