JP6511473B2 - 電磁波シールドフィルム - Google Patents

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Description

本開示は、電磁波シールドフィルム及びその製造方法、シールドプリント配線板に関する。
近年、スマートフォンやタブレット型情報端末には、大容量のデータを高速に伝送する性能が求められている。大容量のデータを高速伝送するためには高周波信号を用いる必要がある。しかし、高周波信号を用いると、プリント配線板に設けられた信号回路から電磁波ノイズが発生し、周辺機器が誤動作しやすくなる。このような誤動作を防止するために、プリント配線板を電磁波からシールドすることが重要となる。
プリント配線板をシールドする方法として、シールド層と導電性接着剤層とを有する電磁波シールドフィルムを使用することが検討されている(例えば、特許文献1〜3を参照。)。
これら電磁波シールドフィルムは、導電性接着剤層を、プリント配線板のグランド回路を被覆する絶縁層に設けられた開口部と重ねあわせて、加熱加圧し、開口部に導電性接着剤を充填する。これにより、シールド層とプリント配線板のグランド回路とが、導電性接着剤を介して接続され、プリント配線板がシールドされる。
特開2004−095566号公報 WO2006/088127号パンフレット WO2009/019963号パンフレット
しかしながら、導電性接着剤層に含まれる導電性粒子の導電率が低い場合には、シールド層とグランド回路との間の接続抵抗が増大し、シールド特性を低下させる要因になる。そのため、シールドフィルムの導電性接着剤層には、銀粉や銀コート銅粉等の導電率の高い導電性粒子が使用されているが、銀等を使用するため原材料コストが増加するという問題を有する。また、プリント配線板の実装密度が高まるにつれて、グランド回路を被覆する絶縁層に設けられた開口部の径も小さくなる傾向にある。開口部の径が小さくなると、導電性粒子が大量に含まれた導電性接着剤層が開口部に充填されにくくなるという問題も有する。
また、スマートフォンやタブレット型情報端末には薄型化軽量化の要求が高まっており、電磁波シールドフィルムをさらに薄くすることが求められている。しかしながら、導電性接着剤層を有する場合には、電磁波シールドフィルムをさらに薄くすることが困難である。
本開示は、接着剤層に導電性粒子を使用しない場合であってもシールド特性が良好な電磁波シールドフィルム及びその製造方法並びにシールドプリント配線板を実現できるようにすることを目的とする。
本開示の電磁波シールドフィルムの一態様は、凹凸を有する導電性のシールド層と、凹凸を被覆する接着剤層とを備え、凹凸の最大山高さの値は、接着剤層の厚さよりも大きい。
電磁波シールドフィルムの一態様において、凹凸の最大山高さは、20μm以下としてもよい。
電磁波シールドフィルムの一態様において、凹凸の最大山高さは、4μm以上としてもよい。
電磁波シールドフィルムの一態様は、シールド層における接着剤層と反対側の面に保護層を備えていてもよい。
電磁波シールドフィルムの一態様において、保護層は、シールド層側の面の最大山高さの値が、接着剤層の厚さ以上、20μm以下であってもよい。
電磁波シールドフィルムの一態様において保護層は、粒径が1μm以上、20μm以下の粒子を含有していてもよい。
電磁波シールドフィルムの一態様において、接着剤層は絶縁性であってもよい。
電磁波シールドフィルムの製造方法の一態様は、保護層を準備する工程と、保護層の上に凹凸を有する導電性のシールド層を形成する工程と、シールド層の最大山高さの値よりも厚さが薄く、且つ、凹凸を被覆する接着剤層を形成する工程とを備えている。
電磁波シールドフィルムの製造方法の一態様において、保護層を準備する工程は、最大山高さが4μm以上、20μm以下の凹凸を表面に有する保護層を形成する工程とすることができる。
電磁波シールドフィルムの製造方法の一態様において、保護層を準備する工程は、支持基材の上に、樹脂組成物と粒子とを含む保護層用組成物を塗布して硬化させる工程であり、粒子の粒径は、1μm以上、20μm以下であってもよい。
電磁波シールドフィルムの製造方法の一態様において、保護層を準備する工程は、支持基材の上に樹脂層を形成する工程と、樹脂層に凹凸を形成する工程とを含んでいてもよい。
電磁波シールドフィルムの製造方法の一態様において、凹凸を形成する工程は、樹脂層をエンボス加工処理する工程を含んでいてもよい。
電磁波シールドフィルムの製造方法の一態様において、凹凸を形成する工程は、樹脂層をブラスト処理する工程を含んでいてもよい。
電磁波シールドフィルムの製造方法の一態様において、保護層を準備する工程は、表面に凹凸を有する支持基材の上に樹脂層を形成する工程を含んでいてもよい。
電磁波シールドフィルムの製造方法の一態様において、接着剤層を形成する工程は、シールド層の上に、接着剤用組成物を塗布する工程であってもよい。
本開示のシールドプリント配線板は、本開示の電磁波シールドフィルムと、信号回路及びグランド回路が設けられたベース層と、グランド回路の少なくとも一部を露出する開口部が設けられた絶縁層とを有するプリント配線板とを備え、電磁波シールドフィルムと、プリント配線板とは、接着剤層と絶縁層とを対向させて接着され、シールド層の凸部は、接着剤層を突き抜けて、開口部から露出したグランド回路と接している。
本開示の電磁波シールドフィルムによれば、接着剤層に導電性粒子を使用しない場合であってもシールド特性が良好な電磁波シールドフィルムを提供することができる。
一実施形態に係る電磁波シールドフィルムを示す断面図である。 (a)〜(c)は、一実施形態に係る電磁波シールドフィルムの製造方法を工程順に示す断面図である。 一実施形態に係るシールドプリント配線板を示す断面図である。
(電磁波シールドフィルム)
図1に示すように、一実施形態の電磁波シールドフィルム100は、凸部110a及び凹部110bからなる凹凸を有する導電性のシールド層110と、シールド層110の第1の面に接して設けられた接着剤層120とを備えている。シールド層110の凸部110aは、接着剤層120により被覆されている。シールド層110の凸部110aの少なくとも一部は、電磁波シールドフィルム100をプリント配線板に加圧して貼り付けた際に、接着剤層120を突き抜ける。
このような構成とすることにより、電磁波シールドフィルム100をプリント配線板に加圧して貼り付けることにより、シールド層110の凸部110aの少なくとも一部とプリント配線板のグランド回路とを接続することができる。電磁波シールドフィルム100をプリント配線板に貼り付ける前には、シールド層110の凸部110aが接着剤層120から突出していないため、電磁波シールドフィルム100をプリント配線板に容易に仮貼りすることができる。また、接着剤層120とプリント配線板との間に気泡が発生することを抑えることもできる。さらに、プリント配線板に貼り付ける前には、シールド層110の凸部110aが接着剤層120に被覆されているため、凸部110aの表面は酸化されにくく、導電性が低下しにくい。
電磁波シールドフィルム100をプリント配線板に加圧して貼り付けた際に、シールド層110の凸部110aの少なくとも一部が接着剤層120を突き抜けるようにするには、シールド層の凹凸の最大山高さ(Rp)の値を接着剤層120の厚さ(t)よりも大きくすればよい。t<Rpとすることにより、凸部110aが接着剤層120を十分に突き抜け、凸部110aとグランド回路とを良好に接続することが可能となる。これによりシールドフィルムとグランド回路との間の抵抗値が小さくなり、良好なシールド性が得られる。
最大山高さ(Rp)の値は、接着剤層120の厚さ(t)よりも大きければよいが、4μm以上とすることが好ましい。Rpの値を4μm以上とすることにより、シールドフィルムをプリント配線板に加圧して貼り付けた際に、凸部110aが接着剤層120突き抜けやすくすることができる。これにより、電磁波シールドフィルム100とグランド回路との間の抵抗値を小さくし、良好なシールド特性を得ることができる。また、プリント配線板との良好な接着を行うために十分な厚さの接着剤層120を設けることが可能となる。
Rpは特に限定されないが、20μm以下であることが好ましい。Rpを20μm以下とすることにより、電磁波シールドフィルム100の厚さを薄くすることができる。また、接着剤層120の表面の平坦性を確保しやすくなり、電磁波シールドフィルム100をプリント配線板に加圧して貼り付けた際に、電磁波シールドフィルム100とプリント配線板との接着力が良好となる。なお、本発明における最大山高さ(Rp)の値は、実施例に示すJIS B0651:2001に準拠して測定した値である。
接着剤層120の厚さは、シールド層110の凸部110aを被覆できる限りにおいて、できるだけ薄くすることが好ましいが、好ましくは3μm以上、より好ましくは4μm以上、そして好ましくは10μm以下、より好ましくは7μm以下である。接着剤層120の厚みが3μm以上であると、シールド層110の凹凸のRpの値が大きい場合であっても、電磁波シールドフィルム100をプリント配線板に貼り付ける前に、シールド層110の凸部110aが接着剤層120から突出しないようにすることができる。このため、接着剤層120とプリント配線板との間に空気が混入することを抑えることができ、良好な接着力が得られる。また、10μm以下であると電磁波シールドフィルム100を薄くできるとともに、シールド層110の凸部110aを確実にプリント配線板のグランド回路と接続させることができる。
シールド層110の接着剤層120と反対側の第2の面には、必要に応じて保護層130を設けることができる。保護層130は絶縁性の樹脂材料等により形成することができる。保護層130を設ける場合には、保護層130のシールド層110側の面に凹凸を設けることにより、シールド層110の第1の面に容易に凸部110aを形成することができる。保護層130の表面に凹凸を設ける場合には、保護層130の表面のRpを接着剤層の厚さ以上、好ましくは4μm以上、そして20μm以下とすればよい。このような構成とすることにより、シールド層110の第1の面のRpを容易に4μm以上、20μm以下とすることができる。
<シールド層>
シールド層110は、金属膜又は導電性粒子からなる導電膜等とすることができる。金属膜は、例えば、ニッケル、銅、銀、錫、金、パラジウム、アルミニウム、クロム、チタン若しくは亜鉛又はこれらのいずれか1つ以上を含む合金等により形成することができる。金属膜を形成する方法としては、例えば、圧延法、電解めっき法、無電解めっき法、スパッタリング法、電子ビーム蒸着法、真空蒸着法、CVD法、又はメタルオーガニック法等を用いることができる。
導電性粒子は、例えば、カーボン、銀、銅、ニッケル、ハンダ、又は銅粉に銀めっきを施した銀コート銅粒子等とすることができる。また、樹脂ボール若しくはガラスビーズ等の絶縁性の粒子に金属めっきを施した粒子を用いることもできる。これらの導電性粒子は単独で用いることも、2つ以上を混合して用いることもできる。
導電性粒子の形状は、球状、針状、繊維状、フレーク状、又は樹枝状のいずれであってもよく、層状とする観点からはフレーク状が好ましい。
導電性粒子の粒径は特に限定されないが、シールド層110を薄くする観点から、0.1μm以上、10μm以下とすることができる。
シールド層110の厚さは、求められる電磁波シールド特性及び繰り返し屈曲・摺動耐性に応じて適宜選択すればよいが、0.1μm以上、10μm以下程度の厚さとすることができる。
<接着剤層>
接着剤層120は、絶縁性としても導電性としてもよい。小径の開口部への充填性の観点からは、接着剤層120を絶縁性とすることが好ましい。接着剤層120を金属粒子等の導電性フィラーを含まない層とすることにより、接着剤層120の厚さをより薄くすることが可能となるという利点も得られる。
接着剤層120は、特に限定されないが、スチレン系樹脂組成物、酢酸ビニル系樹脂組成物、ポリエステル系樹脂組成物、ポリエチレン系樹脂組成物、ポリプロピレン系樹脂組成物、イミド系樹脂組成物、アミド系樹脂組成物、若しくはアクリル系樹脂組成物等の熱可塑性樹脂組成物、又はフェノール系樹脂組成物、エポキシ系樹脂組成物、ウレタン系樹脂組成物、メラミン系樹脂組成物、若しくはアルキッド系樹脂組成物等の熱硬化性樹脂組成物等を用いることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
接着剤層120には、必要に応じて、硬化促進剤、粘着性付与剤、酸化防止剤、顔料、染料、可塑剤、紫外線吸収剤、消泡剤、レベリング剤、充填剤、難燃剤、及び粘度調節剤等の少なくとも1つが含まれていてもよい。
接着剤層120の厚さは、特に限定されず、必要に応じて適宜設定することができるが、3μm以上、好ましくは4μm以上、10μm以下、好ましくは7μm以下とすることができる。接着剤層120の厚さを3μm以上とすることにより、電磁波シールドフィルム100をプリント配線板に貼り付ける前に、シールド層110の凸部110aが接着剤層120から突出しないようにすることができ、プリント配線板との間に空気が混入することを抑えることができる。また、接着剤層120の厚さを10μm以下とすることにより、シールドフィルムを薄くできるとともにシールド層の凸部を確実にプリント配線板のグランド回路と接続させることができる。
<保護層>
本実施形態の電磁波シールドフィルムは、保護層130を有していてもよい。保護層130は、シールド層110を保護できる所定の機械的強度、耐薬品性及び耐熱性等を満たしていればよい。保護層130は、充分な絶縁性を有し、接着剤層120及びシールド層110を保護できれば特に限定されないが、例えば、熱可塑性樹脂組成物、熱硬化性樹脂組成物、又は活性エネルギー線硬化性組成物等を用いることができる。
熱可塑性樹脂組成物としては、特に限定されないが、スチレン系樹脂組成物、酢酸ビニル系樹脂組成物、ポリエステル系樹脂組成物、ポリエチレン系樹脂組成物、ポリプロピレン系樹脂組成物、イミド系樹脂組成物、又はアクリル系樹脂組成物等を用いることができる。熱硬化性樹脂組成物としては、特に限定されないが、フェノール系樹脂組成物、エポキシ系樹脂組成物、ウレタン系樹脂組成物、メラミン系樹脂組成物、又はアルキッド系樹脂組成物等を用いることができる。活性エネルギー線硬化性組成物としては、特に限定されないが、例えば、分子中に少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する重合性化合物等を用いることができる。保護層130は、単独の材料により形成されていても、2種以上の材料から形成されていてもよい。
保護層130には、必要に応じて、硬化促進剤、粘着性付与剤、酸化防止剤、顔料、染料、可塑剤、紫外線吸収剤、消泡剤、レベリング剤、充填剤、難燃剤、粘度調節剤、及びブロッキング防止剤等の少なくとも1つが含まれていてもよい。
保護層130は、材質又は硬度若しくは弾性率等の物性が異なる2層以上の積層体であってもよい。例えば、硬度が低い外層と、硬度が高い内層との積層体とすれば、外層がクッション効果を有するため、電磁波シールドフィルム100をプリント配線板に加熱加圧する工程においてシールド層110に加わる圧力を緩和できる。このため、プリント配線板に設けられた段差によってシールド層110が破壊されることを抑えることができる。
保護層130の厚さは、特に限定されず、必要に応じて適宜設定することができるが、1μm以上、好ましくは4μm以上、そして20μm以下、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下とすることができる。保護層130の厚さを1μm以上とすることにより接着剤層120及びシールド層110を充分に保護することができる。保護層130の厚さを20μm以下とすることにより、電磁波シールドフィルム100の屈曲性を確保することができ、屈曲性が要求される部材へ電磁波シールドフィルム100を適用することが容易となる。
保護層130のシールド層110側の表面に凹凸を設けることにより、シールド層110の表面に容易に凸部110aを形成することができる。この場合、保護層130のシールド層110側の表面のRpは、接着剤層の厚さ以上、好ましくは4μm以上、そして20μm以下とすることが好ましい。
保護層130の表面に凹凸を設ける場合には、保護層130を、粒子を含む層とすることができる。粒子を添加することにより保護層130の表面に凹凸を容易に形成することができる。
保護層130に添加する粒子は特に限定されず、公知の粒子を用いることができる。例えば、シリカ若しくはアルミナ等の無機粒子、又は樹脂粒子等を用いることができる。
保護層130に添加する粒子の平均粒径は、表面に形成する凹凸の大きさに応じて決定することができるが、1μm以上、好ましくは4μm以上、そして20μm以下、好ましくは15μm以下、より好ましくは10μm以下とすることができる。粒子の平均粒径を1μm以上とすることにより、保護層130の表面の凹凸を大きくし、加熱加圧工程においてシールド層110が接着剤層120を容易に突き抜けるようにできる。粒子の平均粒径を20μm以下とすることにより、保護層130の厚みを薄くできるという利点が得られる。
保護層130に添加する微粒子の量は、保護層130の厚さ、表面に形成する凹凸の大きさ等に応じて決定することができるが、保護層130を形成する樹脂組成物と微粒子との合計に対して1質量%以上、好ましくは5質量%以上、そして30質量%以下、好ましくは20質量%以下とすることができる。微粒子を1質量%以上とすることにより、保護層130の表面に十分な数の凸部を形成することができる。微粒子を30質量%以下とすることにより、凸部同士が連なって凹凸がなだらかになることを抑えることができる。
保護層130に添加する微粒子の形状は特に限定されず、球状、針状、繊維状、フレーク状、及び樹枝状のいずれであってもよいが、保護層130の表面に凹凸を有するシールド層110を容易に形成する観点からは、球状であることが好ましい。
保護層130の表面に凹凸を設ける方法として、ブラスト加工、プラズマ照射、電子線照射、薬剤処理又はエンボス加工等を用いることもできる。
(電磁波シールドフィルムの製造方法)
以下に、電磁波シールドフィルム100の製造方法の一例について説明する。本実施形態の電磁波シールドフィルム100の製造方法は以下の方法に限定されない。
<保護層の形成>
まず、図2(a)に示すように、支持基材140の上に保護層用組成物を塗布して保護層130を形成する。保護層用組成物は、樹脂組成物132に粒子133、溶剤及びその他の配合剤を適量加えて調製することができる。粒子133は、特に限定されず、公知の微粒子を用いることができる。このような粒子としては、例えば、シリカ若しくはアルミナ等の無機粒子、又は樹脂微粒子等とすることができる。粒子133の平均粒径は、1μm以上、好ましくは4μm以上、そして20μm以下、好ましくは15μm以下、より好ましくは10μm以下とすることができる。粒子133の配合量は、樹脂組成物132と粒子133との合計に対して1質量%以上、好ましくは5質量%以上、そして30質量%以下、好ましくは20質量%以下とすることができる。溶剤は、例えば、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール及びジメチルホルムアミド等とすることができる。その他の配合剤としては、架橋剤や重合用触媒、硬化促進
剤、及び着色剤等を加えることができる。その他の配合剤は必要に応じて加えればよく、加えなくてもよい。
次に、支持基材140の片面に、上記で調製した保護層用組成物を塗布する。支持基材140の片面に保護層用組成物を塗布する方法としては、特に限定されず、リップコーティング、コンマコーティング、グラビアコーティング、スロットダイコーティング等、公知の技術を採用することができる。
支持基材140は例えばフィルム状とすることができる。支持基材140は、特に限定されず、例えばポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリイミド系、ポリフェニレンサルファイド系等の材料により形成することができる。
支持基材140と保護層用組成物との間に、離型剤層を設けてもよい。
支持基材140に保護層用組成物を塗布した後、加熱乾燥して溶剤を除去することにより、表面に凹凸形状を有する保護層130が形成される。支持基材140は、保護層130から剥離することができる。支持基材140の剥離は、電磁波シールドフィルム100をプリント配線板に貼り付けた後に行うことができる。このようにすれば、支持基材140により電磁波シールドフィルム100を保護することができる。
以上の方法に代えて、表面が平坦な形状の支持基材を用いて、表面が平坦な保護層を形成した後、保護層の表面に凹凸形状を形成してもよい。凹凸形状は、ブラスト処理、プラズマ照射若しくは電子線照射等によるドライエッチング処理、薬剤処理等によるウエットエッチング処理又はエンボス加工等により行うことができる。
例えば、ブラスト処理では、支持基材の表面にドライアイス等を吹き付けて凹凸形状を付与することができる。エンボス加工では、支持基材の表面に、凹凸形状を有する鋳型を押し付けて凹凸形状を付与することができる。
また、以上の方法に代えて、表面に凹凸形状を有する支持基材の表面に保護層用組成物を塗布、乾燥することで、表面に凹凸形状を有する保護層を形成してもよい。
<シールド層の形成>
次に、図2(b)に示すように、表面に凸部110aを有するシールド層110を形成する。表面に凸部110aを有するシールド層110は、凹凸形状を有する保護層130の表面に、厚さが0.1μm〜10μm程度の金属膜を形成することにより容易に形成できる。金属膜の形成は、電解めっき法、無電解めっき法、スパッタリング法、電子ビーム蒸着法、真空蒸着法、CVD法、又はメタルオーガニック法等により行うことができる。
なお、電解めっき法や無電解めっき法により金属膜を形成した場合には、金属膜の表面に、樹枝状の微小な凹凸を形成することができる。このため、シールド層110とプリント配線板のグランド回路との接続をより確実にすることができる。
シールド層は、導電性粒子を含む導電性ペーストを、凹凸を有する保護層の表面にコーティングすることにより形成してもよい。この場合、必要に応じて、コーティング層の焼成等を行うことができる。
平坦な保護層の上に、金属膜を形成した後、金属膜の表面を荒らすことにより、凹凸を有するシールド層を形成することもできる。また、エンボス加工により銅箔を凹凸形状に加工することにより、凹凸を有するシールド層を形成することもできる。この場合、保護層がない電磁波シールドフィルムを形成することも可能である。
<接着剤層の形成>
次に、図2(c)に示すように、シールド層110の上に接着剤層用組成物を塗布して、接着剤層120を形成する。接着剤層用組成物は、樹脂組成物と溶剤とを含む。樹脂組成物は、特に限定されないが、スチレン系樹脂組成物、酢酸ビニル系樹脂組成物、ポリエステル系樹脂組成物、ポリエチレン系樹脂組成物、ポリプロピレン系樹脂組成物、イミド系樹脂組成物、アミド系樹脂組成物、若しくはアクリル系樹脂組成物等の熱可塑性樹脂組成物、又はフェノール系樹脂組成物、エポキシ系樹脂組成物、ウレタン系樹脂組成物、メラミン系樹脂組成物、若しくはアルキッド系樹脂組成物等の熱硬化性樹脂組成物等とすることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。溶剤は、例えば、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール及びジメチルホルムアミド等とすることができる。必要に応じて、接着剤層用組成物に硬化促進剤、粘着性付与剤、酸化防止剤、顔料、染料、可塑剤、紫外線吸収剤、消泡剤、レベリング剤、充填剤、難燃剤、及び粘度調節剤等の少なくとも1つが含まれていてもよい。接着剤層用組成物中における樹脂組成物の比率は、接着剤層120の厚さ等に応じて適宜設定すればよい。
次に、シールド層110の上に、接着剤層用組成物を塗布する。シールド層110の上に接着剤層用組成物を塗布する方法としては、特に限定されず、リップコーティング、コンマコーティング、グラビアコーティング、又はスロットダイコーティング等を用いることができる。
シールド層110の上に接着剤層用組成物を塗布した後、加熱乾燥して溶剤を除去し、接着剤層120を形成する。なお、必要に応じて、接着剤層120の表面に離型フィルムを貼りあわせてもよい。
電磁波シールドフィルムの製造方法は上述の方法に限られない。例えば、第一支持基材と第二支持基材とを準備し、第一支持基材の表面に、上述の方法と同様にして保護層用組成物を塗布して保護層を形成した後、さらにシールド層を形成する。また、第二支持基材の表面に、上述の方法と同様にして接着剤層用組成物を塗布して接着剤層120を形成する。次いで、第一支持基材上に形成されたシールド層と第二支持基材上に形成された接着剤層とを対向させつつ貼り合わせることで、電磁波シールドフィルムを作製することもできる。
本実施形態の電磁波シールドフィルム100は、接着剤層120を絶縁性とすることができる。この場合には、接着剤層用組成物に導電性フィラーを加えなくてよい。但し、接着剤層120は導電性であってもよく、この場合には接着剤層用組成物に導電性フィラーを加えることができる。導電性フィラーを加える場合においても、シールド層110がグランド回路と直接接続されるため、従来の電磁波シールドフィルムと比べてシールド特性が良好になる。また、従来の導電性接着剤層よりも導電性フィラーの量を低減することができ、コストを低減することもできる。さらに、グランド回路を被覆する絶縁層に形成された開口部の径が小さくても、グランド回路とシールド層との接続が良好になる。
(シールドプリント配線板)
本実施形態の電磁波シールドフィルム100は、以下のようなシールドプリント配線板に用いることができる。図3に示すように、シールドプリント配線板300は、プリント配線板200と、電磁波シールドフィルム100とを有している。
プリント配線板200は、ベース層210と、ベース層210上に形成された信号回路220A及びグランド回路220Bを含むプリント回路220と、グランド回路220Bの少なくとも一部を露出するようにベース層210を覆う絶縁層230とを有している。
ベース層210及び絶縁層230は、どのようなものであってもよいが、例えば樹脂フィルム等とすることができる。この場合、ポリプロピレン、架橋ポリエチレン、ポリエステル、ポリベンゾイミダゾール、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリエーテルイミド、又はポリフェニレンサルファイド等の樹脂により形成することができる。プリント回路220は、例えばベース層210の上に形成された銅配線パターン等とすることができる。
電磁波シールドフィルム100は、接着剤層120を絶縁層230側にしてプリント配線板200と接着されている。シールド層110の凸部110aの一部は、接着剤層120を突き抜け、絶縁層230から露出したグランド回路220Bと接している。このため、接着剤層120が導電性フィラーを含んでいなくても、シールド層110とグランド回路220Bとを導通させ、優れたシールド特性を発揮させることができる。接着剤層120に導電性フィラーが含まれていない場合には、グランド回路220Bとシールド層110との間に導電性フィラーが存在しないため、導電性フィラーによる抵抗を考慮する必要がない。したがって、グランド回路220Bとシールド層110との間の抵抗値が大幅に低下しないため、良好なシールド特性を示す。さらに、接着剤層120が導電性フィラーを含まない場合には、接着剤層120を薄くすることができ、シールドプリント配線板300の厚さを従来よりも薄くすることができる。
次に、シールドプリント配線板300の製造方法について説明する。プリント配線板200の上に、電磁波シールドフィルム100を載置し、プレス機で加熱しつつ加圧する。加熱により柔らかくなった接着剤層120の一部は加圧により絶縁層230の開口部に流れ込む。また、加圧により、シールド層110の凸部110aの少なくとも一部が、接着剤層120を突き抜ける。これにより、シールド層110とグランド回路220Bとが接続される。シールド層110の凹部においては、シールド層110とプリント配線板200との間に十分な量の接着剤層120が存在しているため、電磁波シールドフィルム100とプリント配線板200とは、十分な強度で接着される。
<電磁波シールドフィルムの形成>
支持基材として、厚さが60μmで、表面に離型処理を施したPETフィルムを用いた。支持基材の上に、所定の粒径のシリカ粒子、ビスフェノールA型エポキシ系樹脂及びメチルエチルケトンを含む保護層用組成物(固形分量30質量%)を塗布し、加熱乾燥することにより保護層を形成した。次いで、保護層の表面に厚さが0.5μmの銀を蒸着することにより、シールド層を形成した。次いで、シールド層の表面にエポキシ系樹脂からなる接着剤を塗布して所定の厚さの接着剤層を形成した。
<接着剤層の厚みの測定方法>
接着剤層を形成した後の電磁波シールドフィルムの厚みから接着剤層を形成する前の保護層とシールド層との積層体の厚みを引いた値を、接着剤層の厚みとした。なお、それぞれの厚みは、マイクロメーター((株)ミツトヨ製、MDH−25)を用い、JIS C 2151に準拠して測定した。
<最大山高さの測定方法>
シールド層表面の最大山高さ(Rp)は、Lasertec社製の共焦点顕微鏡を用い、JIS B0651:2001に準拠して測定した。
<接続性の評価>
プリント配線板の表面に電磁波シールドフィルムを仮貼り(120℃、0.5MPa、5秒)した後、加熱加圧(170℃、3MPa、30分)してシールドプリント配線板を形成した。プリント配線板には、互いに間隔をおいて平行に延びる2本の銅箔パターンと、銅箔パターンを覆う厚さが25μmのポリイミドからなる絶縁層を有するものを用いた。絶縁層には、それぞれの銅箔パターンを露出する開口部を設けた。開口部の直径は1mmとした。2本の銅箔パターンの間の電気抵抗値を抵抗計により測定することにより、銅箔パターンと電磁波シールドフィルムとの接続性を評価した。電気抵抗が0.4Ω未満の場合を接続性が良好であるとした。
(実施例1)
保護層用組成物に加える粒子を粒径4μmのシリカ(電気化学工業(株)製、FB−5SDC)とし、シリカの含有量は樹脂組成物とシリカとの合計に対して15質量%とした。得られた保護層の厚さは6μmであった。シールド層表面の最大山高さは4.5μmであった。接着剤層の厚さは3μmとした。抵抗値は0.1Ωであった。
(実施例2)
保護層用組成物に加える粒子を粒径9μmのシリカ(電気化学工業(株)製、FB−12D)とし、シリカの含有量は樹脂組成物とシリカとの合計に対して5質量%とした。得られた保護層の厚さは7μmであった。シールド層表面の最大山高さは5.2μmであった。接着剤層の厚さは3μmとした。抵抗値は0.2Ωであった。
(実施例3)
接着剤層の厚さを5μmとした以外は実施例2と同様にした。抵抗値は0.2Ωであった。
(実施例4)
保護層用組成物に加える粒子を粒径9μmのシリカ(電気化学工業(株)製、FB-12D)とし、シリカの含有量は樹脂組成物とシリカとの合計に対して15質量%とした。得られた保護層の厚さは11μmであった。シールド層表面の最大山高さは9.1μmであった。接着剤層の厚さは3μmとした。抵抗値は0.1Ωであった。
(実施例5)
接着剤層の厚さを5μmとした以外は実施例4と同様にした。抵抗値は0.1Ωであった。
(実施例6)
接着剤層の厚さを8μmとした以外は実施例4と同様にした。抵抗値は0.1Ωであった。
(実施例7)
保護層用組成物に加える粒子を粒径14μmのシリカ(電気化学工業(株)製、FB−940)とし、シリカの含有量は樹脂組成物とシリカとの合計に対して5質量%とした。得られた保護層の厚さは16μmであった。シールド層表面の最大山高さは8.7μmであった。接着剤層の厚さは3μmとした。抵抗値は0.2Ωであった。
(実施例8)
接着剤層の厚さを5μmとした以外は実施例7と同様にした。抵抗値は0.2Ωであった。
(実施例9)
接着剤層の厚さを8μmとした以外は実施例7と同様にした。抵抗値は0.1Ωであった。
(実施例10)
保護層用組成物に加える粒子を粒径14μmのシリカ(電気化学工業(株)製、FB−940)とし、シリカの含有量は樹脂組成物とシリカとの合計に対して15質量%とした。得られた保護層の厚さは20μmであった。シールド層表面の最大山高さは16.3μmであった。接着剤層の厚さは3μmとした。抵抗値は0.1Ωであった。
(実施例11)
接着剤層の厚さを5μmとした以外は実施例10と同様にした。抵抗値は0.1Ωであった。
(実施例12)
接着剤層の厚さを8μmとした以外は実施例10と同様にした。抵抗値は0.1Ωであった。
(実施例13)
保護層用組成物に加える粒子を粒径14μmのシリカ(電気化学工業(株)社製、FB−940)とし、シリカの含有量は樹脂組成物とシリカとの合計に対して25質量%とした。得られた保護層の厚さは20μmであった。シールド層表面の最大山高さは14.6μmであった。接着剤層の厚さは3μmとした。抵抗値は0.2Ωであった。
(実施例14)
接着剤層の厚さを5μmとした以外は実施例13と同様にした。抵抗値は0.2Ωであった。
(実施例15)
接着剤層の厚さを8μmとした以外は実施例13と同様にした。抵抗値は0.2Ωであった。
(比較例1)
保護層用組成物に加える粒子を粒径4μmのシリカ(電気化学工業(株)製、FB−5SDC)とし、シリカの含有量は樹脂組成物とシリカとの合計に対して5質量%とした。得られた保護層の厚さは5μmであった。シールド層表面の最大山高さは2.2μmであった。接着剤層の厚さは3μmとした。抵抗値は0.6Ωであった。
(比較例2)
接着剤層の厚さを5μmとした以外は比較例1と同様にした。抵抗値は1.4Ωであった。
(比較例3)
接着剤層の厚さを8μmとした以外は比較例1と同様にした。抵抗値は1.8Ωであった。
(比較例4)
接着剤層の厚さを5μmとした以外は実施例1と同様にした。抵抗値は0.5Ωであった。
(比較例5)
接着剤層の厚さを8μmとした以外は実施例1と同様にした。抵抗値は1.3Ωであった。
(比較例6)
接着剤層の厚さを8μmとした以外は実施例2と同様にした。抵抗値は0.5Ωであった。
表1に各実施例及び比較例についてまとめて示す。
Figure 0006511473
本発明は、以上の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
本開示の電磁波シールドフィルムは、高周波伝送効率が低下しにくく、プリント配線板等に用いる電磁波シールドフィルム等として有用である。
100 電磁波シールドフィルム
110 シールド層
110a 凸部
120 接着剤層
130 保護層
132 樹脂組成物
133 粒子
140 支持基材
200 プリント配線板
210 ベース層
220 プリント回路
220A 信号回路
220B グランド回路
230 絶縁層
300 シールドプリント配線板

Claims (9)

  1. 凹凸を有する導電性のシールド層と、
    前記凹凸を被覆する接着剤層とを備え、
    前記凹凸の最大山高さの値は、4μm以上、20μm以下で、且つ前記接着剤層の厚さよりも大きく、
    前記接着剤層は、導電性粒子を含有する、電磁波シールドフィルム。
  2. 前記シールド層の前記接着剤層と反対側の面に保護層を備えている、
    請求項に記載の電磁波シールドフィルム。
  3. 前記保護層は、前記シールド層側の面の最大山高さの値が、前記接着剤層の厚さ以上、20μm以下である、請求項に記載の電磁波シールドフィルム。
  4. 前記保護層は、粒径が1μm以上、20μm以下の粒子を含有する、請求項2又は3に記載の電磁波シールドフィルム。
  5. 保護層を準備する工程と、
    前記保護層の上に凹凸を有する導電性のシールド層を形成する工程と、
    前記シールド層の最大山高さの値よりも厚さが薄く、且つ、前記凹凸を被覆する接着剤層を形成する工程とを備え
    前記凹凸は、最大山高さの値が4μm以上、20μm以下であり、
    前記接着剤層は、導電性粒子を含有する、電磁波シールドフィルムの製造方法。
  6. 前記保護層を準備する工程は、最大山高さが4μm以上、20μm以下の凹凸を表面に有する保護層を形成する工程である、請求項に記載の電磁波シールドフィルムの製造方法。
  7. 前記保護層を準備する工程は、支持基材の上に、樹脂組成物と粒子とを含む保護層用組成物を塗布して硬化させる工程であり、
    前記粒子の粒径は、1μm以上、20μm以下である、請求項5又は6に記載の電磁波シールドフィルムの製造方法。
  8. 前記保護層を準備する工程は、支持基材の上に樹脂層を形成する工程と、前記樹脂層に凹凸を形成する工程とを含む、請求項5又は6に記載の電磁波シールドフィルムの製造方法。
  9. 前記凹凸を形成する工程は、前記樹脂層をエンボス加工処理する工程を含む、請求項に記載の電磁波シールドフィルムの製造方法。
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