JP6510336B2 - 換気スリーブ - Google Patents

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本発明は、建物の壁に取り付けられて換気するための換気スリーブに関する。
例えば、特許文献1には、折り畳み式の換気用ダクトが開示されている。この換気用ダクトは、4つの平らな板部分を環状に連ねることで、四角筒形状になっている。4つの板部分の外周には断熱材が設けられている。また、端部にはフランジが取り付けられている。
特開平08−061759号公報
特許文献1の換気用ダクトは、四角筒形状であるため、隅角部がデッドスペースになりやすく、有効な流路断面積を確保する必要から全体の断面積が大きめになる。そのため、建物の壁を貫通させる場合、貫通孔の開口面積が大きめになり、壁の構造強度が低下する。また、住宅用ダクトは、通常、円筒形状であるため、そのような円筒形状のダクトと、特許文献1の換気用ダクトとを接続する場合には、断面形状の違いを補間するための継手が必要となる。
前記問題点を解決するために、本発明に係る換気スリーブは、円筒形状の金属製のスリーブ本体と、
前記スリーブ本体の外周を囲む円筒形状の断熱材と、
前記スリーブ本体の屋外側部分から径方向外側へ突出するとともに前記断熱材の屋外側の端面に被さるフランジと、
を備えたことを特徴とする。
この換気スリーブによれば、円形断面であるため、デッドスペースが出来にくく、断面積を小さくできる。したがって、建物の壁を貫通させる場合、貫通孔の開口面積を小さめにでき、壁の構造強度を高くできる。また、円形断面のダクトと接続する場合に、断面形状の違いを補間するための継手を不要にできる。
前記断熱材が、前記スリーブ本体に対して前記スリーブ本体の軸方向に着脱可能であることが好ましい。これによって、交換等のメンテナンスや廃棄処分時の分別作業を容易化できる。
前記断熱材の屋外側の端面と前記フランジとの間に、外壁の構造用パネルが挟まることが好ましい。これによって、構造用パネルにおける換気スリーブを通すための貫通孔の内径を小さくでき、構造用パネルの構造強度を確保できる。
本発明の換気スリーブによれば、円形断面であるため、断面積を小さくでき、建物の壁の貫通孔の開口面積を小さめにできる。また、円形断面のダクトと接続する場合に、断面形状の違いを補間するための継手を不要にできる。
図1は、本発明の第1実施形態に係る換気スリーブを示し、図2のI−I線に沿う側面断面図である。 図2は、図1のII−II線に沿う、前記換気スリーブの正面断面図である。 図3(a)は、前記換気スリーブの断熱材をスリーブ本体に装着する様子を、同図(b)と同じ切断面から見た正面断面図である。図3(b)は、図1のIIIb−IIIb線に沿う、前記換気スリーブの正面断面図である。 図4は、前記換気スリーブを含むダクト設備の側面断面図である。 図5(a)は、本発明の第2実施形態に係る換気スリーブを示す側面断面図である。図5(b)は、前記第2実施形態に係る換気スリーブを含むダクト設備の要部側面断面図である。 図6(a)は、本発明の第3実施形態に係る換気スリーブを建物の外壁に取り付ける際の状態で示す側面断面図である。図6(b)は、前記第3実施形態に係る換気スリーブを含むダクト設備の要部側面断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面にしたがって説明する。
[第1実施形態]
図1〜図4は、本発明の第1実施形態に係る換気スリーブ1を示したものである。図1に示すように、換気スリーブ1は、スリーブ本体10と、断熱材20と、フランジ30を備えている。図2に示すように、スリーブ本体10は、円筒形状になっている。スリーブ本体10の材質は、亜鉛メッキ鋼、ステンレス鋼、高耐食溶融めっき鋼、アルミニウム等の金属にて構成されている。スリーブ本体10が、スパイラル鋼板にて構成されていてもよい。
図1及び図3(b)に示すように、スリーブ本体10の外周に断熱材20が設けられている。断熱材20は、円筒形状になっており、スリーブ本体10の外周を全周にわたって囲んでいる。断熱材20の材質は、ガラス繊維にて構成されているが、これに限られず、グラスウール、セラミックウール、ロックウール等であってもよい。
図3(a)に示すように、断熱材20は、一対の半割体21,21にて構成されている。これら半割体21,21の一端部21d,21dどうしが、粘着テープ22を介して互いに連接されている。断熱材20をスリーブ本体10に装着する前の段階では、各半割体21が粘着テープ22を中心にして回転されることで、断熱材20が開閉可能になっている。片方の半割体21における前記端部21dとは反対側の端部21eには、粘着テープ23が設けられている。粘着テープ23は、当該片方の半割体21の端部21eから延び出ている。断熱材20をスリーブ本体10に装着する前の段階では、粘着テープ23の延出部分の粘着面には、剥離フィルム24が設けられている。
図3(b)に示すように、断熱材20をスリーブ本体10に装着した状態では、一対の半割体21,21が環状に閉じられている。かつ、片方の半割体21がスリーブ本体10の半周部分に被さり、他方の半割体21がスリーブ本体10の残りの半周部分に被さっている。さらに、半割体21,21の互いに対面する端部21d,21d及び21e,21eどうしがそれぞれ粘着テープ22及び23によって連接されている。断熱材20は、スリーブ本体10から軸方向(図3(b)において紙面直交方向)へ引き抜き可能になっている。要するに、断熱材20は、スリーブ本体10に対して着脱可能である。
図1に示すように、断熱材20の屋内側(同図において右側)の端面は、スリーブ本体10の屋内側の端面と略面一になっている。
断熱材20の屋外側の端面は、スリーブ本体10の屋外側(図1において左側)の端面よりも屋内側に引っ込んでいる。言い換えると、スリーブ本体10の屋外側部分11は、断熱材20よりも屋外側(図1において左側)へ突出している。
図1及び図2に示すように、スリーブ本体10の屋外側部分11の外周には、フランジ30が設けられている。フランジ30は、スリーブ本体10と同様の材質の金属にて構成されている。フランジ30は、フランジ本体31と、取付部32を有している。フランジ本体31は、四角形の板状に形成され、スリーブ本体10から径方向外側へ突出されている。フランジ本体31の屋内側(図1において右側)の面に断熱材20が当てられている。これによって、断熱材20の屋外側の端面にフランジ30が被さっている。
図2に示すように、フランジ本体31の四隅には、取付孔31bが形成されている。
フランジ本体31の中央部には、円形の穴部31cが形成されている。穴部31cの周縁部から屋外側(図1において左側、図2において紙面手前)へ円筒状の取付部32が突出されている。
図1に示すように、穴部31c及び取付部32にスリーブ本体10が挿通されている。詳細な図示は省略するが、取付部32は、周方向の複数箇所においてスリーブ本体10とスポット溶接によって接合されている。
図1に示すように、更に、取付部32は、粘着テープ35を介してスリーブ本体10と接合されている。粘着テープ35は、スリーブ本体10の取付部32よりも屋外側の部分と、取付部32との間に跨がるとともに、取付部32及びスリーブ本体10の全周に亘って貼り付けられている。
<換気スリーブ1の施工例>
図4に示すように、換気スリーブ1は、例えば、建物におけるレンジフードファン7のダクト設備6の一部として利用される。ダクト設備6は、換気ダクト60と、前記換気スリーブ1と、ベントキャップ5とを備えている。換気ダクト60は、ダクト本体61と、その外周に巻かれた断熱材62を含む。図示は省略するが、ダクト本体61及び断熱材62の断面形状は円形である。この換気ダクト60が、レンジフードファン7から建物の外壁4へ延びている。
外壁4は、屋内側(図4において右側)から順次、内装材41と、断熱材42と、構造用パネル43と、胴縁44と、外装材45を構成要素として含む。この外壁4に貫通孔49が形成されている。貫通孔49は、外壁4の各構成要素41,42,43,45を厚み方向に貫通している。貫通孔49に換気スリーブ1が嵌め込まれている。換気スリーブ1の断熱材20の外周面が、外壁4の構成要素41,42,43の貫通孔49の内周面と直接に対面して当接又は近接している。フランジ30は、構造用パネル43の屋外側(図4において左側)の面に宛がわれるとともに、取付孔31b(図2)を通して、ビスや釘等(図示省略)で構造用パネル43に固定されている。
換気スリーブ1の屋内側(図4において右側)の端部に、換気ダクト60の雄型接続端部65が差し込まれている。換気スリーブ1の屋外側(図4において左側)の端部には、ベントキャップ5が差し込まれている。
<換気スリーブ1の製造>
換気スリーブ1は、次のようにして製造され、かつ建物の外壁4に取り付けられる。
換気スリーブ1の製造は、建物の施工現場ではなく、工場において行う。
詳しくは、換気スリーブ1の各部品10〜30を別々に製造する。
そして、スリーブ本体10の外周にフランジ30をスポット溶接にて取り付ける。
次に、断熱材20をスリーブ本体10の外周に装着する。すなわち、図3(a)に示すように、断熱材20を開いた状態でスリーブ本体10の側方に位置させた後、同図の矢印にて示すように、半割体21,21の端部21e,21eどうしを接近させて断熱材20を閉じることで、半割体21,21の間にスリーブ本体10を挟み込む。続いて、剥離フィルム24を剥がし、粘着テープ23を片方の半割体21の端部21eから他方の半割体21の端部21eへ跨るように貼り付ける。これによって、断熱材20をスリーブ本体10に簡単に巻き付けることができる。さらに、断熱材20の屋外側の端面をフランジ30に突き当てることで、断熱材20を簡単かつ正確に位置決めできる。
換気スリーブ1は、部品点数が少なく、簡単に、かつ低コストで製造できる。
また、工場で換気スリーブ1を製造することによって、加工精度を確保でき、品質のばらつきを小さくできる。
<換気スリーブ1の取付>
換気スリーブ1を建物の建築現場へ搬入し、外壁4に取り付ける。
詳しくは、外装材45の設置前における外壁4の貫通孔49に、換気スリーブ1を屋外側(図4において左側)から差し入れる。そして、フランジ本体31を構造用パネル43に突き当て、取付孔31bにビスや釘等を打ち込むことによって、フランジ30と構造用パネル43とを接合する。
また、換気スリーブ1の屋内側(図4において右側)の端部に換気ダクト60の雄型接続端部65を接続する。換気スリーブ1及び換気ダクト60は、共に円形断面であるから、両者の断面形状の違いを補間するための継手を省略できる。
さらに、外装材45を設置するとともに、ベントキャップ5を換気スリーブ1の屋外側の端部に装着する。
換気スリーブ1は、円形断面であるため、内部流路にデッドスペースが出来にくく、断面積を小さくできる。したがって、貫通孔49の開口面積を小さめにでき、外壁4の構造強度を高くできる。
また、断熱材20がスリーブ本体10に対して着脱可能であるから、断熱材20の交換等のメンテナンスや廃棄処分時の分別作業を容易化できる。
次に、本発明の他の実施形態(変形例を含む)を説明する。以下の実施形態において、既述の形態と重複する構成に関しては、図面に同一符号を付して説明を省略する。
[第2実施形態]
図5は、本発明の第2実施形態を示したものである。図5(a)に示すように、換気スリーブ1Bの屋内側(同図において右側)の端部には、ニップル15が設けられている。ニップル15の材質は、スリーブ本体10と同様の材質の金属にて構成されている。ニップル15は、円筒形状になっている。ニップル15の軸方向の中間部の外周には、環状のリブ15bが形成されている。ニップル15におけるリブ15bよりも屋外側(図5(a)において左側)の部分15aが、スリーブ本体10に差し込まれている。リブ15bが、スリーブ本体10の屋内側の端面に突き当っている。これによって、ニップル15が、スリーブ本体10に対して軸方向(図5において左右)に位置決めされている。スリーブ本体10とニップル屋外側部分15aとが、周方向の複数箇所においてビス16にて接合されている。
<第2実施形態の施工例>
図5(b)に示すように、換気スリーブ1Bを建物の外壁4に取り付けると、ニップル15におけるリブ15bよりも屋内側の部分15cが、外壁4よりも屋内側へ突出する。この突出部分15cが、換気ダクト60Bの雌型接続端部66に差し込まれている。
[第3実施形態]
図6は、本発明の第3実施形態を示したものである。
図6(b)に示すように、第3実施形態では、断熱材20の屋外側の端面とフランジ30との間に、外壁4の構造用パネル43Cが挟まっている。構造用パネル43Cにおける貫通孔49Cの内直径は、断熱材20の外直径よりも小さく、スリーブ本体10の外直径に合わせられている。構造用パネル43Cにおける貫通孔49Cの内周面は、スリーブ本体10の外周面と直接に対面して当接又は近接している。
この断熱材20Cの屋外側(同図において左側)の端面が、構造用パネル43Cの屋内側の面に突き当てられている。フランジ30が、構造用パネル43Cを介して、断熱材20の屋外側の端面に被さっている。
図6(a)に示すように、換気スリーブ1Cを外壁4に取り付ける際は、予めスリーブ本体10から断熱材20Cを外しておく。そして、屋外側(同図において左側)からスリーブ本体10を貫通孔49Cに挿し入れることで、フランジ30を構造用パネル43Cに突き当て、フランジ30と構造用パネル43Cとをビスや釘等にて接合する。
次に、断熱材20Cを屋内側(同図において右側)からスリーブ本体10の外周に嵌め込む。
その後、図6(b)に示すように、スリーブ本体10と換気ダクト60との接続、外装材45の設置、ベントキャップ5の装着等を行う。
第3実施形態によれば、構造用パネル43Cにおける貫通孔49Cの内径を第1実施形態よりも小さくすることができる。したがって、構造用パネル43Cの構造強度を十分に確保できる。
本発明は、前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改変をなすことができる。
例えば、第3実施形態(図6)の換気スリーブ1Cにニップル15を設け、換気ダクト60Bの雌型接続端部66と接続可能としてもよい。
本発明は、例えば、建物の換気用のダクト設備に適用できる。
1,1B,1C 換気スリーブ
10 スリーブ本体
11 屋外側部分
20,20C 断熱材
30 フランジ
4 外壁
43 構造用パネル
49 貫通孔

Claims (3)

  1. 建物の外壁に設けられる換気スリーブであって、
    円筒形状の金属製であり前記外壁の構造用パネルから内装材まで貫通するスリーブ本体と、
    前記スリーブ本体の外周を囲むとともに、屋外側の部分が前記構造用パネルの貫通孔に挿し込まれ屋内側の部分が前記内装材の貫通孔に挿し込まれる長さの円筒形状の断熱材と、
    前記スリーブ本体の屋外側部分から径方向外側へ突出するとともに前記断熱材の屋外側の端面に被さるフランジと、
    を備えたことを特徴とする換気スリーブ。
  2. 前記断熱材が、前記スリーブ本体に対して前記スリーブ本体の軸方向に着脱可能であることを特徴とする請求項1に記載の換気スリーブ。
  3. 前記断熱材が、一対の半割体によって構成され、片方の半割体が前記スリーブ本体の半周部分に被さり、他方の半割体が前記スリーブ本体の残りの半周部分に被さることを特徴とする請求項1又は2に記載の換気スリーブ。
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