JP6510211B2 - 水分インジケータ用粉体組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、水分により変色する性質を備えた水分インジケータ用粉体組成物、及び該粉体組成物を採用して成る積層体に関する。
特許文献1〜4には、各種有機酸、呈色性有機化合物、吸水性粉末及び有機溶剤に可溶な高分子結着剤からなる組成物が非水溶媒中に溶解もしくは分散されてなり水に濡れることで消色する水分インジケータ用インキ組成物が記載されており、また、特許文献5には、電子供与性呈色化合物、常温にて固体の酸性化合物、水溶性高分子化合物を含有する水分インジケータ用水性塗料が記載されている。
そして、このような水分インジケータ用水性塗料を使用して、尿や水分を検知するためにオムツや衣類の肌に触れるか、尿や水分に溶解して結果的に肌に触れるようなオムツや衣類の箇所にインジケータを設けることができる。しかしながら、その水分インジケータ用水性塗料には上記のように各種有機酸が含有されているので、その各種有機酸が尿や水分に溶解して、肌が該有機酸により刺激される可能性がある。
また特許文献6には、電子供与性呈色性有機化合物、フェノール性水酸基を有する酸と水酸基とカルボン酸基を有する酸とカルボン酸基を複数有する酸から選ばれた少なくとも1種、水溶性及び油溶性樹脂、シクロデキストリン、及び溶剤を含有する水分インジケータ用液体組成物が記載されている。
しかしながら、これらの溶液状の組成物は専らシート状物に塗布するための用途にのみ使用でき、決して、粉粒体等の形状のものに対して水分インジケータ作用を付与するために使用されるものではない。
特許第3298217号公報 特許第3341445号公報 特許第3396971号公報 特許第3451673号公報 特開2008−111774号公報 特開2013−190415号公報
上記のように、消色や発色により水に濡れたことを表示するための呈色性有機化合物と酸性化合物を含有する組成物からなる水分インジケータは知られている。しかしながら、特許文献1〜4に記載のように、有機溶剤に可溶な樹脂を含有する非水溶媒に溶解してなる組成物である場合には、水分が付着した際に水分インジケータが十分に濡れるまで時間を要するため、消色や発色するまでに時間がかかる。
また、特許文献5に記載されているように、水溶性高分子化合物を含有する水分インジケータとした場合、その水溶性高分子化合物は減感作用を有することから、そのような塗料を塗布した後に印刷部位を乾燥させても発色性が悪化するので、水分検知前に十分な発色性を示すことができない。その結果、水分を検知して消色したとしても、その変色の程度を容易に確認することが困難である。
特許文献6に記載されている組成物によれば、水分インジケータ用組成物を基材に塗布後、かつ水分検知前には十分に発色させることができ、その後水分を検知して十分に消色することができる、あるいは、水分インジケータ用組成物を基材に塗布後、かつ水分検知前に無色ではあるが、水分を検知して十分に発色することができる。
しかしながら、これらの溶液状の組成物を粉粒体に対して塗布・乾燥させることは困難であるし、また明らかな原因は不明であるが、例えば吸水性を有する物質に対して直接塗布すると、水が付着する前の塗布時においてすでに水を検知したように発色をしてしまい、実用化することは困難であった。
そこで、本発明は吸水性物質に対して、pHに関わらず、水分を検知できる水分インジケータ性を付与できる組成物を得ることを課題とする。
本発明は上記の課題を解決するために、以下の手段を採用する。
1.電子供与性呈色性有機化合物、フェノール性水酸基を有する酸又はカルボン酸基を有する酸、シクロデキストリンを含有する水分インジケータ用粉体組成物。
2.電子供与性呈色性有機化合物としてクリスタルバイオレットラクトン、酸としてp−クミルフェノール及び/又は没食子酸エステル 、シクロデキストリンとしてヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンを含有する1に記載の水分インジケータ用粉体組成物。
3.1又は2に記載の水分インジケータ用粉体組成物と吸水性物質との混合物。
4.1又は2に記載の水分インジケータ用粉体組成物が付着してなる吸水性物質。
5.1又は2に記載の水分インジケータ用粉体組成物が溶着してなる吸水性物質。
6.1又は2に記載の水分インジケータ用粉体組成物が接着してなる吸水性物質。
本発明によると、吸水性を有する基材に対して混合させることによって、水分インジケータ性を付与することができる。結果的に、水分検知前の色に対して、水分を検知することにより確実に発色もしくは消色させることができる。
そのため、水分の検知前後において色の変化を十分に有し、その結果確実に水分を検知したことを表示できる。
さらに本発明の水分インジケータ用粉体組成物の各成分を調製することにより、水分を検知して一旦変色した水分インジケータを、乾燥後においても変色した状態とすることが可能であるし、逆に乾燥後には変色前の元の色に復色させることも可能である。
上記課題に記載したように、水溶性樹脂を有する水分インジケータ組成物は減感作用を有する場合があるので、基材上に塗布又は印刷したあとの発色が薄くなり、水分による消色状態との色の差が小さくなるため実用性に劣ることになる。また溶液型の水分インジケータ組成物を吸水性材料と共に使用すると、該溶液型の水分インジケータ組成物を吸水性材料と接触させたときには、すでに水分を検知したかのような反応が開始され、実際には水分インジケータとして使用することが困難であった。
これに対して、本発明の水分インジケータ用粉体組成物は、シクロデキストリンを配合してなるものであり、このため、上記のように、水分検知の前後にて変色の程度が大きいという特徴を備えるものである。そして、この組成物の形態は粉体である。
この結果、水分によって有色から無色、あるいは無色から有色、加えて後述するように水分インジケータ用粉体組成物自体が水分により変色しない染料又は顔料を含有する場合には有色から別の色へ変色する性質を有し、水分インジケータ用粉体組成物が付着した基材が特に吸水性基材であっても、水分や尿が触れた場合に速やかに消色もしくは発色する。
このため、基材に付着した際には目視で確認できない程度にしか着色されていないが、水に濡れることにより十分に発色したことを目視にて確認できる程度に発色性を向上させることができる。
このような本発明の水分インジケータ用粉体組成物を、紙オムツ等に使用される吸水性樹脂等の材料に付着させることにより、水に濡れた場合には電子供与性呈色性有機化合物が発色、もしくは発色されてないパターンとし、そのパターンが消色あるいは発色することの有無を尿を検知するための手段とすることができる。また水分との接触により一旦消色または発色した後に乾燥状態となっても再び元の着色状態に戻らない性質、つまり復色しない性質を有する該水分インジケータ用粉体組成物とする場合には、常に乾燥状態におくことが必要な製品またはその包装材料に付着等することにより、水に濡れたこと、あるいはその履歴を表示して品質チェックに使用する等の管理手段とすることができる。
変色して発色あるいは消色する程度のその色変化をΔE*abにより示すことができる。本発明によれば、ΔE*abを10以上、好ましくは15以上、より好ましくは20以上、さらには25以上とすることができる。
なお、本発明の水分インジケータ用粉体組成物を付着させた基材が水に濡れて、上記のように電子供与性呈色性有機化合物による発色が消色する反応が起きた後には元の色に戻る復色は起きないので、一旦水に濡れたそのような基材がたとえ乾燥しても元の発色に戻ることがなく、乾燥を要する製品等が水に濡れた履歴を有するか否かを容易に確認することができる。
このような性質とした場合には、本発明の水分インジケータ用粉体組成物を、乾燥時と湿潤時を共に表示することが求められる用途に使用することが可能となる。
その組成物を構成する各成分について、以下において順に説明する。
[電子供与性呈色性有機化合物]
電子供与性呈色性有機化合物としては、ロイコ染料として十分に呈色するものであれば限定されず、公知又は市販のものを使用することができる。例えば、酸により発色することができるロイコ染料等の下記の化合物を好適に用いることができる。これらは1種又は2種以上で用いることができる。
(a)フルオラン類…2’−[(2−クロロフェニル)アミノ]−6’−(ジブチルアミノ)−スピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9’−(9H)キサンテン]−3−オン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジメチルアミノベンゾ(a)−フルオラン、3−アミノ−5−メチルフルオラン、2−メチル−3−アミノ−6,7−ジメチルフルオラン、2−ブロモ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、6’−(エチル(4−メチルフェニル)アミノ−2’−(N−メチルフェニルアミノ)−スピロ(イソベンゾフラン1(3H),9’−(9H)キサンテン)−3−オン、3,6−ジフェニルアミノフルオラン、9−エチル(3−メチルブチル)アミノ−スピロ[12H−ベンゾ(a)キサンテン−12,1’(3’H)イソベンゾフラン]−3’−オン、2’ −[ビス(フェニルメチル)アミノ]−6’−(ジエチルアミノ)−スピロ−[イソベンゾフラン−1(3H),9’−(9H)キサンテン]−3−オン等;
(b)フルオレン類…3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオレンスピロ(9,3’)−4’−アザフタリド、3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオレンスピロ(9,3’)−4’,7’−ジアザフタリド等;
(c)ジフェニルメタンフタリド類…3,3−ビス−(p−エトキシ−4−ジメチルアミノフェニル)フタリド等;
(d)ジフェニルメタンアザフタリド類…3,3−ビス−(1−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−4−アザフタリド等;
(e)インドリルフタリド類…3,3−ビス(n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド等;
(f)フェニルインドリルフタリド類…3−(1−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド等;
(g)フェニルインドリルアザフタリド類…3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−[2−エトキシ−4−(N−エチルアニリノ)フェニル]−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド等;
(h)スチリルキノリン類…2−(3−メトキシ−4−ドデコキシスチリル)キノリン等;
(i)ジアザローダミンラクトン類…2−(ジメチルアミノ)−8−(ジメチルアミノ)−4−メチル−スピロ[5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1’(3’H)−イソベンゾフラン]等;
(j)ピリジン類…2,6−ジフェニル−4−(6−ジメチルアミノフェニル)ピリジン、2,6−ジエトキシ−4−(4−ジエチルアミノフェニル)ピリジン等;
(k)キナゾリン類…2−(4−N−メチルアニリノフェニル)−1−フェノキシキナゾリン、2−(4−ジメチルアミノフェニル)−4−(1−メトキシフェニルオキシ)キナ
ゾリン等;
(l)ビスキナゾリン類…4,4’−(エチレンジオキシ)−ビス[2−(1−ジエチルアミノフェニル)キナゾリン]、4,4’−(エチレンジオキシ)−ビス[2−(1−ジ−n−ブチルアミノフェニル)キナゾリン]等;
(m)エチレノフタリド類…3,3−ビス[1,1−ビス−(p−ジメチルアミノフェニル)エチレノ−3]フタリド等;
(n)エチレノアザフタリド類…3,3−ビス[1,1−ビス−(p−ジメチルアミノフェニル)エチレノ−2]−4−アザフタリド、3,3−ビス[1,1−ビス−(p−ジメチルアミノフェニル)エチレノ−2]−4,7−ジアザフタリド等;
(o)アミノフタリド類…3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル) − 6−ジメチルアミノフタリド(クリスタルバイオレットラクトン)等;
本発明では、電子供与性呈色性有機化合物のうち、クリスタルバイオレットラクトン やフルオラン類の少なくとも1種を好適に用いることができる。フルオランとしては特に、2’ −[ビス(フェニルメチル)アミノ]−6’−(ジエチルアミノ)−スピロ−[イソベンゾフラン−1(3H),9’−(9H)キサンテン]−3−オンや、2’−[(2−クロロフェニル)アミノ]−6’−(ジブチルアミノ)−スピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9’−(9H)キサンテン]−3−オン及び3,6−ジフェニルアミノフルオランがより好ましい。
電子供与性呈色性有機化合物の含有率は、水分インジケータ用粉体組成物全体の重量を基準にして0.01重量%〜20重量%であることが好ましく、0.01重量%〜10重量%であることがより好ましい。電子供与性呈色性有機化合物の含有率が0.01重量%よりも小さい場合には、発色濃度が低くなり実用的ではなく、含有率が20重量%よりも大きくても発色濃度に影響せず、むしろ完全に溶解しなくなる。
[フェノール性水酸基を有する酸と水酸基とカルボン酸基を有する酸とカルボン酸基を複数有する酸から選ばれた少なくとも1種]
本発明におけるフェノール性水酸基を有する酸、水酸基とカルボン酸基を有する酸やカルボン酸基を複数有する酸としては下記に示す酸を例示できる。酸によっては本発明の水分インジケータ用粉体組成物による水分インジケータを、無色から水分との接触後に有色に変化させることや、その逆に有色から水分との接触後に無色へと変化させることができる。本発明において、これらの酸から任意の酸を1種以上使用することが可能であるが、酸の組み合わせによっては、変色に関して良くない性質を示す可能性がある。
(フェノール性水酸基を有する酸)
フェノール性水酸基を有する酸としては、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、p−t−ブチルクレゾール、p−ヒドロキシビフェニル、ヒドロキシモノベンジルエーテル、p−クミルフェノール、ブチルヒドロキシアニソール、カテコール、レゾルシン、ヒドロキノン、ビスフェノールA、没食子酸エステル等を使用することができる。このようなフェノール性水酸基を有する酸を採用した場合の多くは、当初無色の水分インジケータを水分接触後に有色とし、その後乾燥しても有色の状態のままとさせることになる。ただし、実施例に記載するように没食子酸プロピルは当初有色であり水分接触後には無色となり、その後乾燥しても無色の状態のままである。
(水酸基とカルボン酸基を有する酸)
水酸基とカルボン酸基を有する酸(フェノール性水酸基を有する酸、カルボン酸基を複数有する酸を含む)としては、グリコール酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、ロイシン酸、サリチル酸、m−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、バリニン、フェノール性水酸基とカルボン酸基をそれぞれ1つ以上有するヒドロキシナフトエ酸、2,4−ヒドロキシ安息香酸、5−スルホサリチル酸等を例示することができる。このような酸を採用した場合の多くは、当初着色された水分インジケータを水分接触後に無色とし、その後乾燥しても無色の状態のままとさせることになる。
(カルボン酸基を複数有する酸)
カルボン酸基を複数有する酸としては、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、フタル酸等を例示することができる。このような酸を採用した場合の多くは、当初着色された水分インジケータを水分接触後に無色とし、その後乾燥すると有色の状態に戻すことができる。そして、上記の各種の化合物から、本発明において特に好ましいのはクエン酸とシュウ酸である。
本発明においては、これらの酸のうち、クエン酸、没食子酸エステルとして没食子酸プロピル、又はp−クミルフェノールが好ましい。
上記のフェノール性水酸基を有する酸と水酸基とカルボン酸基を有する酸とカルボン酸基を複数有する酸から選ばれた少なくとも1種の化合物の含有率は、水分インジケータ用粉体組成物全体の重量を基準にして0.05重量%〜30重量%であることが好ましく、0.05重量%〜20重量%であることがより好ましい。
これらの化合物の種類や電子供与性呈色性有機化合物の種類及びそれらの組み合わせや、これらの化合物の含有率を調整することにより、水分により消色した後に復色させるようにすること、及び、逆に復色させないようにすることを選択することができる。
また、これらの化合物の含有率が0.05重量%よりも小さい場合には、電子供与性呈色性有機化合物に対して過少であるため、十分に発色することができない可能性があり、かつ電子供与性呈色性有機化合物が溶解しない可能性もある。逆に過剰であっても十分に発色することができない。なお、これらの化合物の含有率が0.05重量%よりも小さくても、上記の化合物と電子供与性呈色性有機化合物との組み合わせによっては、問題ない程度に発色や、必要により復色させることができる。
[水溶性及び油溶性樹脂]
本発明の水分インジケータ用粉体組成物には、水溶性及び油溶性樹脂を含有させてもよい。そのような樹脂としては、水溶性かつ油溶性の性質を備える限りは公知の天然高分子、又は合成高分子のいずれであっても良いが有機溶媒にも可溶であることが望ましく、1種又は2種以上を用いることができる。このような水溶性かつ油溶性の性質を備えた樹脂を使用することにより、水分インジケータ用粉体組成物の各粉の保形性や取り扱い性を向上させることができる。
このような樹脂を採用することにより、粉体組成物中の酸が、水に濡れることにより基材上浸透または溶解して広がることになることを防止でき、また、吸水性物質の表面に対してこのような樹脂が粘着剤、接着剤、溶着材料等として機能させることができる。
このような水溶性及び油溶性樹脂としては、プルラン、ザンサンガム、ウェランガム、ラムザンガム、サクシノグルカン等の微生物産系多糖類及びその誘導体、グアーガム、ローカストビーンガム、アラビアガム、デンプン、カラギーナン、アルギン酸等の植物系多糖類及びその誘導体、ゼラチン、カゼイン、アルブミン等の動物系多糖類及びその誘導体、ポリアクリル酸、カルボキシビニルポリマー、スチレン−アクリル共重合体等のアクリル系合成樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルエーテル、ポリN−ビニルアセトアミド及びその共重合体などのビニル系合成樹脂、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース系樹脂、その他、エチレン−マレイン酸共重合体、ポリエチレンオキシド等の合成樹脂又は合成樹脂エマルション等を例示することができる。これらは1種もしくは2種以上を混合して用いることができる。
なかでもポリビニルピロリドンやエチルセルロースを使用することが好ましく、この場合において、紙オムツのように直接肌に触れる部位に使用する場合には、人体への安全性も向上させることができる。具体的な理由は不明であるが、特にポリビニルピロリドンは減感作用を示すにもかかわらず、シクロデキストリンと併用することにより減感作用を抑制させることができる。
水溶性及び油溶性樹脂の含有率は、水分インジケータ用粉体組成物全体の重量を基準にして1重量%〜40重量%であることが好ましく、2重量%〜30重量%であることがより好ましい。水溶性及び油溶性樹脂の含有率が1重量%よりも小さい場合には、本発明の水分インジケータ用粉体組成物が対象物に対して十分な定着性を有しないときがあり、逆に40重量%よりも過剰であると、減感作用が強すぎるために十分に発色することができないときがある。
[シクロデキストリン]
本発明において使用できるシクロデキストリンとしては、シクロデキストリン又はその誘導体(以下、これらを総称して、シクロデキストリン類ということがある。)を用いることができる。シクロデキストリンは、6〜10のD−グルコピラノース基がα−(1,4)グルコシド結合によって環状に結合してなる糖オリゴマーであって、重合度がそれぞれ6、7及び8であるα−、β−及びγ−シクロデキストリンがよく知られている。
本発明においては、このようなα−、β−及びγ−シクロデキストリンのほか、それらの種々のヒドロキシアルキル化誘導体、例えばヒドロキシプロピル化β−シクロデキストリン、ヒドロキシエチル化β−シクロデキストリン、メチル誘導体、例えば、メチル化β−シクロデキストリン、2,6−ジメチル−β−シクロデキストリン、2,3,6−トリメチル−β−シクロデキストリンや、マルトシルシクロデキストリン、グリコシルシクロデキストリン、アセチル化β−シクロデキストリン、トリアセチル化β−シクロデキストリン等も有効に用いられる。
シクロデキストリンの含有率は、水分インジケータ用粉体組成物全体の重量を基準にして1重量%〜30重量%であることが好ましく、2重量%〜20重量%であることがより好ましい。シクロデキストリンの含有率が1重量%よりも小さい場合には、本発明の水分インジケータ用粉体組成物による発色向上効果を十分に発揮することができず、逆に30重量%よりも過剰であると、電子供与性呈色性有機化合物の溶解度が低下する可能性がある。
[紫外線吸収剤]
本発明の水分インジケータ用粉体組成物は、太陽光に含まれる紫外線を選択的に吸収する紫外線吸収剤を含んでよい。紫外線は発色剤を光反応により劣化させるため、紫外線吸収剤はこれを防止するために用いられる。
このような紫外線吸収剤は、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系、トリアジン系、サリチル酸系、シュウ酸アニリド系、マロン酸エステル系、安息香酸系、ケイ皮酸系、およびジベンゾイルメタン系に大別される。より具体的には、ベンゾトリアゾール系のTinuvin326、トリアジン系のTinuvin40(いずれも、BASF製)、シュウ酸アニリド系のHostavin3260HP、マロン酸エステル系のHostavinPR25(いずれもクラリアント製)、ベンゾフェノン系のサイアソーブUV531(サイテックインダストリーズ製)を使用することができる。
紫外線吸収剤は、電子供与性呈色性有機化合物1重量部に対して、50重量部までの量で含まれることが好ましく、10重量部までの量で含まれることがより好ましい。紫外線吸収剤の含有率が大きい場合には、発色濃度が低くなる、あるいは変色がシャープでなくなることがある。
[紫外線散乱剤]
本発明の水分インジケータ用粉体組成物は、紫外線散乱剤を含んでよい。紫外線散乱剤は、太陽光に含まれる紫外線を物理的に反射又は散乱させる。その結果、紫外線の発色剤への作用が防止される。紫外線散乱剤は、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン、α−酸化鉄、および酸化セリウム等の金属酸化物微粒子である。
[光安定剤]
本発明の水分インジケータ用粉体組成物は、光安定剤を含んでよい。光安定剤は、紫外線によって発生するラジカルと発色剤とが反応して発色剤が劣化することを防止する。具体的には、ヒンダードフェノールまたはヒンダードアミンを、光安定剤として使用してよい。
[減感剤]
本発明の水分インジケータ用粉体組成物は、下記の各種減感剤を含有し得る。
(a)炭素数10以上の脂肪族1価アルコール…デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、ペンタデシルアルコール、セチルアルコール、ヘプタデシルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、エイコシルアルコール、ベヘニルアルコール等;
(b)炭素数10以上の脂肪酸…カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸等;
(c)炭素数6以上の脂肪酸モノアミド…カプロン酸アミド、ヘプタン酸アミド、カプリル酸アミド、イナン酸アミド、カプリン酸アミド、ウンデカン酸アミド、ラウリン酸アミド、トリデカン酸アミド、ミリスチン酸アミド、ペンタデカン酸アミド、パルミチン酸アミド、ヘプタデカン酸アミド、ステアリン酸アミド、ノナデカン酸アミド、アラキン酸アミド、ベヘン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド等;
(d)脂肪族・芳香族・脂環式のカルボン酸と、脂肪族・芳香族・脂環式のアルコールとの任意の組み合わせから構成される総炭素数13以上のエステル化合物(以下、「エステル系減感剤」とも言う)のうち、カルボン酸が1塩基酸で、アルコールが1価のもの…カプリル酸エチル、カプリル酸オクチル、カプリル酸ステアリル、カプリン酸ミリスチル、カプリン酸ドコシル、ラウリン酸メチル、ラウリン酸2−エチルヘキシル、ラウリン酸n−デシル、ラウリン酸ラウリル、ラウリン酸ステアリル、ミリスチン酸メチル、ミリスチン酸3−メチルブチル、ミリスチン酸ラウリル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸メチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸ブチル、パルミチン酸ネオペンチル、パルミチン酸ノニル、パルミチン酸シクロヘキシル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、パルミチン酸ラウリル、パルミチン酸ステアリル、ステアリン酸メチル、ステアリン酸n−ブチル、ステアリン酸2−メチルブチル、ステアリン酸3,5,5−トリメチルヘキシル、ステアリン酸n−ウンデシル、ステアリン酸ペンタデシル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸シクロヘキシルメチル、ステアリン酸2−エチルヘキシル、ベヘン酸メチル、ベヘン酸イソプロピル、ベヘン酸ヘキシル、ベヘン酸ラウリル、ベヘン酸ベヘニル、安息香酸セチル、p−tert−ブチル安息香酸ステアリル等;
(e)エステル系減感剤のうち、カルボン酸が多塩基酸で、アルコールが1価のもの…フタル酸ジミリスチル、フタル酸ジステアリル、シュウ酸ジミリスチル、シュウ酸ジセチル、マロン酸ジセチル、コハク酸ジラウリル、グルタル酸ジラウリル、アジピン酸ジウンデシル、アゼライン酸ジラウリル、セバシン酸ジ−(n−ノニル)、1,18−オクタデシルメチレンジカルボン酸ジネオペンチル等;
(f)エステル系減感剤のうち、カルボン酸が1塩基酸で、アルコールが多価のもの…エチレングリコールジミリステート、プロピレングリコールジラウレート、プロピレングリコールジステアレート、へキシレングリコールジパルミテート、1,5−ペンタンジオールジステアレート、1,2,6−ヘキサントリオールトリミリステート、1,4−シクロヘキサンジオールジデシル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジミリステート、キシレングリコールジカプリネート、キシレングリコールジステアレート等;
(g)総炭素数10以上の脂肪族ケトン化合物…2−デカノン、3−デカノン、4−デカノン、2−ウンデカノン、3−ウンデカノン、4−ウンデカノン、5−ウンデカノン、2−ドデカノン、3−ドデカノン、4−ドデカノン、5−ドデカノン、2−トリデカノン、3−トリデカノン、2−テトラデカノン、2−ペンタデカノン、8−ペンタデカノン、2−ヘキサデカノン、3−ヘキサデカノン、9−ヘプタデカノン、2−オクタデカノン、2−ノナデカノン、10−ノナデカノン、2−エイコサノン、11−エイコサノン、2−ヘンエイコサノン、2−ドコサノン、ラウロン、ステアロン等;
(h)総炭素数10以上の脂肪族エーテル化合物…ジペンチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジヘプチルエーテル、ジオクチルエーテル、ジノニルエーテル、ジデシルエーテル、ジウンデシルエーテル、ジドデシルエーテル、ジトリデシルエーテル、ジテトラデシルエーテル、ジペンタデシルエーテル、ジヘキサデシルエーテル、ジオクタデシルエーテル、デカンジオールジメチルエーテル、ウンデカンジオールジメチルエーテル、ドデカンジオールジメチルエーテル、トリデカンジオールジメチルエーテル、デカンジオールジエチルエーテル、ウンデカンジオールジエチルエーテル等;
本発明では、減感剤のうち、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ラウリン酸ラウリル、パルミチン酸ラウリル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、ラウリン酸アミド、ステアリン酸アミドの少なくとも1種が好ましい。
水分インジケータ用粉体組成物中の減感剤の濃度は、その化合物の種類等に応じて適宜設定できるが、発色濃度が低くなることがない程度とすることが必要である。
[その他]
上記に示した成分以外の成分として、酸化防止剤(フェノール系、リン系、および硫黄系等)、赤外線吸収剤、蛍光増白剤、非変色性染料、および非変色性顔料のいずれか一または複数の成分を含んでよい。水分インジケータ用粉体組成物が非変色性染料または非変色性顔料を含む場合には、電子供与性呈色性有機化合物によりもたらされる色と、当該染料または当該顔料により発色された色との混色から、水分を検知することにより、当該染料または当該顔料のみの色へと変化していくこととなる。したがって、水分により変色しない染料又は顔料を併用すると、水分の検知量を目視で確認することがより容易となる場合がある。
[水分インジケータ用粉体組成物の製造方法]
本発明の水分インジケータ用粉体組成物の製造方法は、一旦、溶液としたものを乾燥することにより得ることができる。
その溶液を得る方法としては、必要により加温しつつ行う組成物一般の混合・攪拌による方法であればよく特に限定されるものではない。最も単純には、本発明中の各成分を混合・攪拌のための容器に投入して混合・攪拌させて各成分を溶媒に溶解させることにより均一な組成物とすることにより行うことができる。
もちろん、溶媒を入れた混合・攪拌容器に他の成分を順に投入する等、逐次混合させることも可能である。
水分インジケータ用組成物を溶解する溶剤としては下記に示すものであればよい。そのような溶剤に本発明の水分インジケータ用粉体組成物を添加し溶解させて得た溶液を乾燥させて、必要に応じて粉砕等することにより、本発明の水分インジケータ用粉体組成物を製造することができる。またこの溶液をスプレードライ法によって乾燥させることもできる。
このようにして得られた粉粒体の平均一次粒子径は、一般に顔料として使用可能な程度の平均一次粒子径から10mm程度の粒子といえる範囲である。
[溶剤]
本発明において水分インジケータ用粉体組成物を得るための溶液とするために使用することができる溶剤としては、他の成分を溶解できる溶剤であることが最も重要であり、そのために例えば水溶性及び油溶性樹脂を溶解できることと、電子供与性呈色性有機化合物のような主に有機溶媒に溶解される化合物の両方を溶解できる、という性質を兼ね備えた溶媒を選択することが必要である。
本発明の水分インジケータ用粉体組成物を含有する溶媒としては、エタノール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶媒が使用でき、中でもエタノールやイソプロピルアルコールが好ましい。これらのアルコール系溶媒以外の溶媒を使用すると、水分インジケータ自体の親水性が劣る可能性があり、結果的に水分との接触性が良好でない可能性がある。
このように溶剤として水を含有しない有機溶剤を採用することにより、本発明の水分インジケータ用粉体組成物を印刷等した基材が水に濡れた場合には、電子供与性呈色性有機化合物による発色が消色する反応を非可逆的に行うことができるので、一旦水に濡れたそのような基材をたとえ乾燥しても元の発色に戻ることがないので、乾燥を要する製品等が水に濡れた履歴を有するか否かを容易に確認することができる。
そのような溶剤の水分インジケータ用粉体組成物を得るための溶液中における含有率は、その溶液全体の重量を基準にして50重量%〜95重量%であることが好ましく、50重量%〜90重量%であることがより好ましい。溶剤の含有率が50重量%よりも小さい場合には、本発明にて使用される他の成分を十分に溶解することが困難であり、逆に95重量%よりも過剰であると、他の成分の濃度が低くなりすぎて薄くなることになる。
[水分インジケータ用粉体組成物の用途]
本発明の水分インジケータ用粉体組成物は、水分の存在を検知する用途全般に使用することができる。
特に、吸水性樹脂等の吸水性物質に付着させることにより、その吸水性物質が吸水したことを着色や消色を確認することによって検知することができる。
この吸水性物質としては、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂等公知の吸水性を有する樹脂、木材、紙、布等の公知の吸水性を有する物質でよく、また吸水性物質の形状は、シート状、塊状、粉粒体、繊維状等任意の形状でよい。但し、吸水性物質の形状が粉粒体であれば、吸水性物質に対する水分インジケータ用粉体組成物との量や、吸水性物質と水分インジケータ用粉体組成物の粒子径の関係によって、吸水性物質と水分インジケータ用粉体組成物とが、1対1、1対多、多対1、多対多となるように接触・付着等していても良い。
このような吸水性物質に本発明の水分インジケータ用粉体組成物を一体化させて使用する方法としては、吸水性物質と水分インジケータ用粉体組成物を単に混合してもよく、接触させることによる付着、吸水性物質及び/又は水分インジケータ用粉体組成物を加熱して一部溶解した状態にて接触させることによる溶着、吸水性物質及び/又は水分インジケータ用粉体組成物に接着剤を塗布する等しておき、これらを混合してなる接着等の方法を採用できる。
このようにして得た水分インジケータ用粉体組成物を吸水性物質に一体化させて得た物の用途としては、紙オムツ・衣類や、乾燥剤、乾燥食品の包装紙・包装袋・包装容器、及び電気・機械製品やそれらの部品の包装・容器等の水に濡れていること、あるいは水に濡れた履歴を検知しなくてはならない用途に使用することができる。なお、特に紙オムツに使用する場合には、紙オムツ内に収納される吸水性樹脂の粉体または粒子の表面に付着させることが好ましい。
また、紙オムツ以外にも、樹脂粒子、織布、不織布、樹脂シート、紙、樹脂成型品、金属、木材等の各種基材の表面に対して、本発明の水分インジケータ用粉体組成物を任意の手段によって適用することにより、各種基材表面に水分インジケータ作用を設けることができる。その場合には、水分インジケータ用粉体組成物が水分を検知できる。
さらに、上記の用途の中でも、特に紙オムツ・衣類のように肌に直接触れる部位に用いる場合には、尿や水分によって水分インジケータ用粉体組成物から溶出した酸が肌に接触することにより、その肌が酸によって刺激されることを防止することが必要である。
そこで、水分インジケータ用粉体組成物から溶出した酸がその酸の状態で肌に触れることがないようにする必要がある。
そのため、水分インジケータ用粉体組成物と吸水性樹脂を有する層と肌との間に、常温にて固体である塩基性物質を含有する層を配置してなる構造とすることが求められる。よって、本発明の水分インジケータ用粉体組成物を使用する場合には、必要に応じて、各種基材表面と水分インジケータ用粉体組成物を有する層の肌と接する側に、常温にて固体である塩基性物質を含有する層を積層させておくこともできる。
また、肌と常温にて固体である塩基性物質を含有する層との間に、水分インジケータ用粉体組成物を有する層を配置してなる水分インジケータの構造としてもよい。但しこのときには、水分インジケータ用粉体組成物と吸水性物質を含有する層から溶出した酸成分が専ら常温にて固体である塩基性物質を含有する層に向けて拡がること、又は該塩基性物質を含有する層から溶出した塩基性物質が積極的に水分インジケータ用粉体組成物を含有する層に向けて拡がるようにすることが必要である。
なお、ここで常温にて固体である塩基性物質を含有する層は、上記の水分インジケータ用粉体組成物と同様に、織布、不織布、樹脂シート、紙、樹脂成型品等の各種基材の表面に対して、常温にて固体である塩基性物質を含有する組成物を任意の塗布手段や印刷手段によって適用し、各種基材表面に常温にて固体である塩基性物質を含有する組成物からなる層を設けることができ、また各種基材に常温にて固体である塩基性物質を含有する組成物を含浸させることができる。
常温にて固体である塩基性物質を含有する層を形成するための組成物としては、常温にて固体である塩基性物質、バインダー及び溶剤を含有する組成物である。
ここで、常温にて固体である塩基性物質としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム等の公知の塩基性無機化合物を採用することができ、なかでも炭酸カルシウムや炭酸マグネシウムが好ましい。このような常温にて固体である塩基性物質は、常温にて固体である塩基性物質を含有する層を形成するための組成物中に0.1〜40重量%含有され、0.5〜30重量%が好ましく、特に15.0〜30重量%とすることが好ましい。含有量が40重量%を超えると、粘度が高くなり塗布したり含浸させたりすることが困難になり、逆に含有量が0.1重量%未満になると有機酸を中和することが困難になる。
バインダーとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の水溶性樹脂、特にポリビニルピロリドンであり、このような水溶性樹脂は、常温にて固体である塩基性物質を含有する層を形成するための組成物中に1.0〜40重量%含有され、2.0〜35重量%が好ましく、特に15.0〜30重量%とすることが好ましい。含有量が40重量%を超えると、粘度が高くなり塗布したり含浸させたりすることが困難になり、逆に含有量が1重量%未満になると塗布したり含浸させたりした後の定着性が劣ることになる。
また、溶剤としては水、エタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、イソプロピルアルコールであり、特にイソプロピルアルコールが好ましい。
このような本発明の水分インジケータ用粉体組成物によると、紙オムツ内部に設けた吸水性樹脂表面に該水分インジケータ用粉体組成物を付着させ、さらにその吸水性樹脂が尿や水分を吸収したことを表示できる。
そして、インジケータ用粉体組成物中の有機酸が溶解しても、その溶解してなる尿や水分が肌に接触するには、一旦常温にて固体である塩基性物質からなる層や塩基性物質を含有する層を通過しなくてはならず、その通過時に尿や水分中の有機酸が該塩基性物質と反応して中和することにより、その後に肌に触れたとしても、すでに酸性の溶液ではないので、肌を刺激することがない。
(水分インジケータ用粉体組成物の発色等に関する効果について)
下記表1に示す各実施例1〜5及び各比較例1〜3のインジケータ部を形成するための水分インジケータ用粉体組成物について、まず溶剤にシクロデキストリンを溶解し、この溶液に有機酸を添加する。次いでロイコ染料として電子供与性物質を添加して5分間撹拌した。
得られた溶液を70℃で加熱乾燥し、固化したものを粉砕して、水分インジケータ用粉体組成物を得た。
なお比較例3だけは、70℃で加熱乾燥せずに、溶液のままの状態で使用した。
そのようにして得た各実施例及び各比較例の水分インジケータ用粉体組成物を、高吸水性樹脂と重量比にて1:1で70℃1時間混合して試験サンプルとした。
試験では、水をかける前のサンプルの色、消色又は発色性及び耐酸性及び耐塩基性を確認した。
Figure 0006510211
(水をかける前のサンプルの色)
目視にて各サンプルの色を確認した。
(消色又は発色性)
試験サンプルに水及び生理食塩水を滴下し、消色するか発色するかを確認した。
○:いずれにも消色又は発色する。
×:いずれにも色変化がない。
(耐酸性及び耐塩基性)
試験サンプルに、水、塩酸又はアンモニア水でpHを調製した水を滴下し、消色又は発色を確認した。ここでpHを調製した水とは、pH=4.5、7.0及び8.0の3種類の水をいう。
○:消色又は発色する。
×:色変化がない。
本発明に沿った例である実施例によれば、水をかける前のサンプルの色は白色又は青色であり、水又は生理食塩水を添加した後には目視にてはっきりと確認できるほど発色又は消色をした。
またpH=4.5、7.0及び8.0の3種類の水を滴下しても目視にてはっきりと確認できる程度に発色又は消色をした。
これに対して、シクロデキストリンを配合しない比較例1によると、水をかける前に青色であり、水をかけても青色のままであって、目視にて確認できる変色が起きなかった。これはシクロデキストリンを有していないために、電子供与性物質と酸が当初から反応して発色済みであったことによる。
さらに酸を配合しない比較例2によれば、水をかける前に白色であり、水をかけても白色のままであって、目視にて確認できる変色が起きなかった。これは酸を含有しないので水を滴下しても電子供与性物質が発色しないことによる。
また、乾燥して粉体化していないため、水分インジケータ用粉体組成物の溶液の状態である比較例3によれば、溶媒中に僅かに含有される水分によって既に少し青色を呈しており、水を加えることにより発色するものの、目視による発色前との色の変化は明らかに小さいものであった。この結果によれば、例えば吸水性物質に溶液の状態の水分インジケータ用組成物を塗布すると、その溶液中に含有される水分が吸水性物質に吸収されて、仮に塗布後に乾燥しても一旦吸収された水分までを乾燥させることは実に困難であり、既に発色又は消色した状態となってしまうことが考えられる。
これらの結果によれば、本発明の水分インジケータ用粉体組成物を使用することにより、この組成物を溶媒に溶解した溶液型の組成物を塗布することに対して、吸水性物質に対して水分インジケータ作用を付加することが可能になり、pHに関わらず水分を検知して目視にて十分に確認できる程度に発色又は消色させることができる。

Claims (5)

  1. 電子供与性呈色性有機化合物、フェノール性水酸基を有する酸又はカルボン酸基を有する酸、シクロデキストリンを含有する水分インジケータ用粉体組成物と吸水性物質との混合物
  2. 水分インジケータ用粉体組成物が、電子供与性呈色性有機化合物としてクリスタルバイオレットラクトン、酸としてp−クミルフェノール及び/又は没食子酸エステル、シクロデキストリンとしてヒドロキシプロピル化β−シクロデキストリンを含有する請求項1に記載の水分インジケータ用粉体組成物と吸水性物質との混合物
  3. 水分インジケータ用粉体組成物が吸水性物質に付着してなる、請求項1又は2に記載の水分インジケータ用粉体組成物と吸水性物質との混合物。
  4. 水分インジケータ用粉体組成物が吸水性物質に溶着してなる、請求項1又は2に記載の水分インジケータ用粉体組成物と吸水性物質との混合物。
  5. 水分インジケータ用粉体組成物が吸水性物質に接着してなる、請求項1又は2に記載の水分インジケータ用粉体組成物と吸水性物質との混合物。
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