JP6510092B2 - 保存食品およびその製造方法並びに保存食品用食材パック - Google Patents

保存食品およびその製造方法並びに保存食品用食材パック Download PDF

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Description

本発明は、保存性に優れた保存食品およびその製造方法、並びに保存食品を製造するために用いられる保存食品用食材パックに関するものである。
従来から、食品の腐敗を防いで長期に亘って安定した状態に保持することが望まれており、食品の保存性を向上させる食品添加物として化学的に合成された安息香酸ナトリウム、ソルビン酸等の合成保存料が幅広い食品に対して使用されている。
ところで、近年では、食の安全性に関する関心が高まっており、コンビニエンスストア等で販売されるお弁当などの食品に、合成保存料や合成着色料等の多量の食品添加物が添加されていることが問題視されるようになっている。
このような問題に対応して、特開平5−15330号公報に記載されているように、特定のpH調整剤を添加して製麺した後、特定の水溶液に浸漬してpHを4.5以下に調整等することにより、茹麺の長期に亘る保存を可能にすること等が提案されている。
しかしながら、食品にpH調整剤を添加したり、特定の水溶液に食品を浸漬する必要があり、必ずしも消費者が望む、所謂無添加による保存性の向上という概念を満足させるものではなかった。このような状況下、食品の保存性を向上させる新たな対策が強く望まれていた。
特開平5−15330号公報
本発明は、上述の如き事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、合成保存料等を添加しなくとも食品の保存性を向上させることができる、新規な保存食品およびその製造方法並びに保存食品用食材パックを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、保存食品に含まれる食材を予め燻製にしておくことで、合成保存料を添加することなく当該食材を用いて調理または加工された最終製品である食品の保存性を向上させることができることを新たに見出した。すなわち、従来から食品の保存性を向上させるために食品を燻製にすることは行われている。燻製は食品を木材チップ等を加熱して発生させた燻煙に晒すことにより、燻煙成分中に含まれるフェノール等の殺菌成分を食品に付着させ内部に浸透させると同時に、燻煙によって食品の水分を減少させることにより、特有の食感および風味を付加し保存性を向上させる食品の処理方法である。しかしながら、従来では、燻製にした食品をそのまま或いは調理の後すぐに食に供することしかされていなかった。本発明者らは、最終的な食品を構成する食材を燻製にすることで、当該食材を用いて調理または加工をすることにより保存性に優れた保存食品を得ることができることを新たに見出し、かかる見地に基づいてさらに研究を進めることによって本発明を完成するに至った。本発明は以下のとおりである。
(1)保存性に優れた保存食品の製造方法であって、食材を燻煙で燻すことにより燻製にする燻製工程と、前記燻製工程で燻製にされた食材を含んで調理または加工をすることにより保存食品を得る調理/加工工程とを含み、前記食材が大豆または小豆であり、前記燻製工程の前に前記大豆または小豆を予め加水加熱する加水加熱工程が実施され、前記加水加熱工程と前記燻製工程の間において、加水加熱された前記豆類を乾燥させる乾燥工程が実施され、前記燻製工程が、30〜60℃の燻煙雰囲気内に30〜90分間前記食材を晒すことにより実施されている一方、前記乾燥工程が、40〜70℃の温風雰囲気内に30〜90分間前記食材を晒すことにより実施されていることを特徴とする、保存食品の製造方法
)前記燻製工程において、前記燻煙が、イタヤカエデ、コナラ、タムシバ、ヤマザクラから選択された少なくとも1種の木材チップを加熱することにより得られている(1)に記載の保存食品の製造方法
保存食品の製造方法にかかる本発明によれば、燻製工程において食材を燻製にした後、調理/加工工程においてかかる燻製食材を用いて調理または加工を行って最終的な保存食品を得ることで、燻製工程において食材に付着したフェノール類等の殺菌成分や抗酸化成分を巧く利用して、合成保存料を添加することなく、食品の保存性を向上させることができる。また、従来では食味や食感、見た目の劣化等が生じるため燻製に適さないと考えられていた食品についても、かかる食品の食材を燻製にすることにより、得られた食品の食味や食感、見た目を保持したまま燻製による保存効果を得ることが可能となる。これにより、燻製の適用対象を増大させることができ、燻製による食品の保存性の効果を多種の食品において享受することが可能となったのである。同様に、保存食品にかかる本発明によれば、燻製にされた食材を含んで調理または加工されていることにより、合成保存料を添加することなく長期に亘って保存が可能な保存食品を得ることができる
本発明の保存食品の製造方法における燻製工程等で用いられる燻製機を示す正面図。 図1の側面図。 図1に示す燻製機から開閉扉を取り除いた状態を示す正面図。 燻製を行った食材である大豆を真空包装機を用いて真空状態でフィルム包装された本発明の保存食品用食材パックを示す図。
保存食品の製造方法にかかる本発明によれば、保存性に優れた保存食品の製造方法であって、食材を燻煙で燻すことにより燻製にする燻製工程と、前記燻製工程で燻製にされた食材を含んで調理または加工をすることにより保存食品を得る調理/加工工程とを含むことを特徴とするものである。
本発明の保存食品の製造方法において、「食品」とは、経口摂取し得るものを広く含む概念であり、食材そのものではなく何等かの調理または加工がされたものであればいずれも含まれる。例えば、食材としての大豆や小豆に砂糖や塩を加えて加水加熱調理して得られる餡や、食材としての穀粉に水等を加えて混練した生地を帯状にして成熟させた後に圧延してて線状にカットする加工によって得られるうどんやそば等の麺類、食材としての小麦粉に水やイースト菌等を加えて混練した生地を発酵成熟させた後に加熱して得られるパン類、さらには食材としての米穀を加水加熱調理して搗圧して得られる餅、さらに食材としての根菜を他の食材と共に加熱調理して得られる食品も含まれる。
本発明の保存食品の製造方法において、「食材」とは、調理/加工工程によって得られる保存食品の中に含まれる材料であればいずれでもよい。また、「燻製工程」は、食材を燻煙に晒して燻すことができれば特に限定はされない。すなわち、保存食品の材料となる食材を予め燻製工程において燻製にしておくことにより、燻煙に含まれるフェノール類が食材に付着すると共に、食材表面の水に煙成分が溶け込み水の移動に逆行して食材の内部に浸透拡散してゆくと推察される。フェノール類は殺菌成分および抗酸化成分を含んでおり、かかるフェノール類が付着浸透された食材を用いて目的とする食品を調理または加工することにより、目的とする食品内に燻製食材に付着したフェノール類を拡散させることができ、目的とする食品の保存性を向上させることが可能となるのである。
例えば、食材が大豆や小豆等の豆類である場合には、燻製工程の前に豆類を予め加水加熱(必要に応じて加圧)する加水加熱工程が実施されることが望ましい。豆類を予め加水加熱することにより、豆の外皮の破断や豆内部の水分量の増大が生じ、燻製工程におけるフェノール類の付着や拡散をより一層促進することができ、付着フェノール類の増大により食品の保存性の向上も図られるからである。
さらに、燻製工程の前に豆類を予め加水加熱する加水加熱工程が実施される場合には、加水加熱工程と燻製工程の間において、加水加熱された豆類を乾燥させる乾燥工程が実施されることが望ましい。これにより、加水加熱された豆類の表面部分の水分を蒸発させることができ、燻製工程において、食材の表面の過剰な水分が燻煙と反応して多量の酸が生成されることに起因して、燻製食材や燻製食品を含む目的とする保存食品の酸味が強くなり過ぎることを防止することができる。
さらに、食材が大豆や小豆等の豆類である場合であって、加水加熱工程と乾燥工程が実施された後に、燻製工程を実施する場合には、燻製工程が、30〜60℃の燻煙雰囲気内に30〜90分間前記食材を晒すことにより実施される一方、乾燥工程が、40〜70℃の温風雰囲気内に30〜90分間前記食材を晒すことにより実施されることが望ましい。これにより、燻製にされた大豆や小豆を用いて調理される食品において、安定した保存性と優れた風味や味覚を同時に実現することが可能となる。
さらに、食材が小麦粉である場合は、調理/加工工程においてかかる小麦粉に水やイースト菌等を加えて混練して発酵成熟させた生地を加熱することで燻製により保存性に優れたパンを得ることができる。ここにおいて、パンの食材である小麦粉を燻製にすることにより、パン自体を直接燻製にする場合に比して、食味や食感、見た目を損なうことなく、燻製による保存効果を有するパンを提供することができるのである。
なお、燻製工程において、燻煙を生じさせるために用いられる材料としては、木材チップやおが屑、茶葉等の任意の燻煙材を用いることができる。特に、イタヤカエデ・コナラ・タムシバ・ヤマザクラ・ヤマボウシ・ウリハダカエデ・ヒメシャラ・リョウブ・イヌガヤ・アオハダ・カラスザンショウ・ミズメ・クリ・クマシデ等の地域の森林から伐採された木材を利用した木材チップ類を利用することは、地域森林資源の有効活用を促進し、地域振興等の付随的効果をもたらすことから有益である。特に、燻製工程において、燻煙が、イタヤカエデ、コナラ、タムシバ、ヤマザクラから選択された少なくとも1種の木材チップを加熱することにより得られている場合には、大豆や小豆を食材として用い、保存食品として餡を製造する場合には、餡という食品に適した風味や味覚が得られることが、本発明者らによって見出された。
本発明の保存食品は、燻製にされた食材を含んで調理または加工されることによって得られていることから、食材に付着浸透した燻煙に含まれるフェノール類が目的とする食品内に拡散されており、フェノール類の抗菌性・抗酸化性を巧く利用して、目的とする食品の保存性を向上させることができる。
本発明の保存性に優れた保存食品の製造に用いられる食材が包装された保存食品用食材パックでは、燻製にされた食材が真空状態でフィルム包装されている。ここで、フィルム包装に用いられるフィルムは、例えば、外面がナイロン(NY)で内面がポリエチレン(PE)の複合フィルムや2軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムにポリ塩化ビニリデン(PVDC)コートしたバリアフィルム等、食材に応じて任意に選択され得る公知の食品包装用フィルム材を何れも採用可能である。また、実開平7−43134等に記載の如き公知の真空包装機を用いて真空状態に包装することが可能である。
以下の実施例において本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
図1〜3には、本発明の第一の実施例に従う保存性に優れた保存食品の製造方法における燻製工程で用いられる、燻製機10が示されている。なお、以下の説明において、上方とは、図1〜3中の上方、下方とは、図1〜3中の下方を言い、また前方とは、図2中の左方向、後方とは、図2中の右方向を言うものとする。なお、理解を容易とするため、図2〜3において後述する大豆58と容器60,62を仮想線で記載している。
燻製機10は、全体として略箱体形状を呈する燻製機本体12を有しており、かかる燻製機本体12はスギの間伐材等の材木板によって形成されている。より詳細には、燻製機本体12は、側壁14a〜dと底壁16と天壁18を含んで構成されており、底壁16の下面には底壁16よりも厚肉とされた略矩形平板状の台座20が取り付けられている。燻製機本体12が材木板すなわち断熱材によって形成されていることにより、燻製機本体12内の結露が防止されて、食品の風味等の味が悪化することが有利に回避されるようになっている。また、図3に示されているように、燻製機本体12内の燻製室22は、幅方向(図3中、左右方向)の中央部に設けられ前後方向(図2中、左右方向)に延びる略矩形平板状の仕切壁24によって2つの燻製室22a,22bに分割されている。
図3に示されているように、2つの燻製室22a,22bは略同形状とされており、各燻製室22a,22bにはそれぞれ、上面視で各燻製室22a,22bの略全面に形成された略ロの字枠体状の載置棚26が上下方向に離隔して3個設けられている。ここで、3個の載置棚26はいずれも同形状とされており、中央部分に形成され上下方向に貫通する略矩形断面形状の貫通孔30によって各燻製室22a,22b内の空間が連通されるようになっている。さらに、各燻製室22a,22bの上部には、上面視で略十字枠体状の取付部28が設けられている。加えて、各燻製室22a,22bの底壁16上には、電気コンロ32が載置されている一方、各燻製室22a,22bの上部に設けられた取付部28の下面の中央部には、各燻製室22a,22b内の空気を循環させて各燻製室22a,22b内の温度や燻煙の密度を一定に保つための循環ファン34が取付られている。
図3に示されているように、各燻製室22a,22bには、それぞれに対応する側壁14aの略全面に亘って開口する正面視で略矩形状の開口部36が設けられている。そして、図1に示されているように、各燻製室22a,22bにはそれぞれ、開口部36を開閉する開閉扉38a,38bが蝶番40によって枢支された状態で上下方向に離隔して設けられており、図3に示されているように、開閉扉38aが正面視で3個の載置棚26が設けられた領域に形成されている一方、開閉扉38bが正面視で電気コンロ32が載置された領域に形成されている。なお、開閉扉38a,38bの自由端側(図1中、左端側)には開閉用の取手42が設けられている。
図1〜2に示されているように、燻製機本体12の天壁18は、前方側(図2中、左側)に設けられ前方斜め下方に向かって傾斜する略矩形平板状の天壁前部18aと、後方側(図2中、右側)に設けられ前後方向に向かって水平に延びる略矩形平板状の天壁後部18bと、を含んで構成されている。かかる天壁前部18aには、幅方向(図1中、左右方向)の両端部においてそれぞれ2個の温湿度計44が設置されており、各燻製室22a,22b内における上側および下側の温湿度が外部からモニター可能となっている。また、天壁後部18bには、幅方向(図1中、左右方向)の両端部においてサーモスタット46が設置されており、電気コンロ32をオンオフすることにより各燻製室22a,22b内における温度を設定温度に保つことができるようになっている。さらに、各燻製室22a,22bの天壁後部18bの略中央部には、略円筒形状の排気筒48が側面視で略逆L字状(図2参照)に形成されている。かかる排気筒48は、一端部において各燻製室22a,22bと連通するようになっている一方、他端部において室内の壁50に設けられた挿通孔52を挿通して室外に突設されており、屋外側には燻煙を下方に向かって排出するフードカバー54が取り付けられていると共に屋内側には燻煙を屋外に排気するための排煙ファン56が取り付けられている。
次に、このような燻製機10を好適に用いて製造することのできる、保存食品の製造方法に関する本発明の第一の実施例を、図1〜3を参照しつつ説明する。
先ず、例えば、食材として大豆58を準備する。そして、燻製工程の前に、食材として大豆58に対して加水加熱(必要に応じて加圧)を行う加水加熱工程が実行される。具体的には、例えば、大豆(乾燥したもの)を、6〜8時間(夏季)、14〜15時間(冬季)、5℃に保った冷蔵庫内にて水に浸した後、圧力鍋にて20分〜30分加熱する。かかる加水加熱工程を行った後に燻製工程の前に、すなわち加水加熱工程と燻製工程の間に、加水加熱が行われた大豆58を乾燥させる乾燥工程が実施される。かかる乾燥工程は、例えば、本実施例のように、上述した燻製機10を用いて行うことができる。より詳細には、加水加熱が行われた大豆58を、底面に多数の穴が形成されたトレイ等の容器60内に均等配置されるようにして入れ、各燻製室22a,22bの開閉扉38aを開けてかかる容器60を各燻製室22a,22bの載置棚26上に配置するのである。続いて、開閉扉38a,38bを閉めて、サーモスタット46に乾燥工程を行う温度を設定することにより、乾燥工程が実施される。かかる乾燥工程においては、電気コンロ32上には何も載っておらず、循環ファン34および排煙ファン56がオン状態とされている。これにより、各燻製室22a,22b内の温風が効率的に循環されて、大豆58の乾燥が促進されることとなる。
次に、このようにして加水加熱が行われた大豆58を乾燥させたものを燻煙で燻すことにより燻製にする燻製工程が実行される。各燻製室22a,22bの開閉扉38bを開けて電気コンロ32上に、例えばヤマザクラ等の木材チップが入れられた金属製の容器62を配置する。なお、各燻製室22a,22bの容積は0.323m3 であり、それぞれ100gの木材チップを燻すことにより、燻煙濃度が調整されている。また、燻煙濃度はこれに限定されず、保存食品に要求される保存期間や求められる風味等に応じて任意に設定可能である。続いて、開閉扉38a,38bを閉めて、サーモスタット46に燻製工程を行う温度を設定することにより、燻製工程が実施される。より詳細には、燻製工程においては、循環ファン34がオン状態かつ排煙ファン56がオフ状態とされていることから、容器62に入れられている木材チップが加熱されて発生した燻煙は、循環ファン34によって各燻製室22a,22b内に均一になるようにされると共に、各燻製室22a,22bに充満して大豆58の燻製を良好に実行することができる。
最後に、燻製工程が完了した後は、サーモスタット46の設定温度を各燻製室22a,22bの開閉扉38a,38bを開けても安全な温度以下に設定して、各燻製室22a,22b内の温度が安全な温度以下に下がったところで、燻製された大豆58が入った容器60を取り出す。そして、このようにして燻製工程で燻製にされた大豆58の100gに対して、例えば前処理として水50ccを加えてフードプロセッサーで攪拌した後、フードプロセッサーから水と大豆を取り出し、濾し布に入れて水分を除去する。濾した大豆を鍋に62.5gの砂糖と12.5gの水と共に入れて、鍋の中身をかき混ぜつつ10分〜15分程度加熱調理することによって、保存食品であるこし餡を得る調理/加工工程が実行される。
乾燥工程および燻製工程の条件を変えて食材である大豆58の燻製を作成し、かかる燻製された大豆58を用いて作成されたこし餡の官能評価の結果を、表1に示す。なお、官能評価は、食感・味覚が良好であるものを◎、こし餡のパサつきや苦みや酸味が強いものを△として評価した。これによると、木材チップの樹種(ヤマザクラ,コナラ,イタヤカエデ,タムシバ)によらず、乾燥工程および燻製工程共に30〜90分であるNo.1,2,6〜12,15〜17において良好な官能評価の結果が得られていることが分かる。また、乾燥工程を行わない場合であっても、燻製工程を90分以内とすれば、やや酸味はあるものの、良好な味が得られることが分かった(No.4,13)。なお、乾燥工程については55℃、燻製工程については45℃で実施したが、通常今回行ったような温度範囲の燻製である温燻によれば、温度範囲が例えば30℃〜80℃が望ましいとされていることから、乾燥工程における温度範囲はより好ましくは40〜70℃、燻製工程における温度範囲はより好ましくは30℃〜60℃が望ましいものと考えられる。すなわち、食材として大豆58を用いる場合、乾燥工程が、40〜70℃の温風雰囲気内に30〜90分間食材を晒すことにより実施されている一方、燻製工程が、30〜60℃の燻煙雰囲気内に30〜90分間食材を晒すことにより実施されていることが望ましいと考えられるのである。一方、No.3に示すように乾燥工程を行っても、燻製工程の時間が90分を超えると、苦みやパサつきが強くなることが分かった。さらに、No.5,14に示すように乾燥工程を行わず燻製工程を90分より長くした場合には、酸味や苦みが強くなることが分かった。
また、表2に、本発明の保存食品であるこし餡の保存性を示す実験結果の一例を、従来技術で製造された比較例と共に示す。これによると、こし餡を広口のガラス瓶に入れ、口を開けたままで6日間約17℃の室内に放置した場合、本発明のこし餡では略変化がみられなかったのに対して、比較例のこし餡では、2日後に変化が生じ始め、6日後にはカビが全体に広がる結果になってしまっている。したがって、本発明では、比較例に比して、十分な保存性の向上が図られているということができる。本実施例のように、直接燻製することが困難なこし餡等の調理/加工された食品に対しても、かかる食品に用いる食材を燻製することによって、保存性に優れた保存食品とできることが明らかにできたのである。
加えて、図4に、燻製を行った食材である大豆58を真空包装機66を用いて真空状態でフィルム包装された本発明の保存食品用食材パック68を示す。より詳細には、本実施例の食材である大豆58が燻煙で燻すことによって燻製にされたもの、すなわち保存性に優れた保存食品の製造に用いられる食材である燻製された大豆58、がフィルム包装された本発明の保存食品用食材パック68が示されているのである。具体的には、まず本発明の燻製された食材である大豆58を真空パック用フィルムで形成された袋64に入れた後、公知の真空包装機66を用いて袋64内の空気を抜くと共に袋64の口元を加熱により融着して密封することにより、本発明の第一の実施例である保存食品用食材パック68が完成されるようになっているのである。これにより、保存の効く食品を調理/加工するための食材として市場に流通させることが容易となる。
次に、保存食品の製造方法に関する本発明の第二の実施例について、詳述する。かかる製造方法により、本発明に従う保存食品であるパンを有利に得ることができる。まず、食材として小麦粉を準備する。そして、上記本発明の第一の実施例と同様のやり方で、食材の小麦粉を燻煙で燻すことにより燻製にする燻製工程が実行される。なお、本実施例における燻製工程は、45℃で10分/30分/90分行われている。
燻製工程が完了した後は、燻製された小麦粉を用いてパンを得る調理/加工工程が実行される。より詳細には、燻製された小麦粉と塩とイースト菌を容器に入れて十分に混ぜ合わせ、水を少しずつ入れて粉っ気がなくなるまで捏ねた後、一次発酵(例えば30℃、40分)を行う。2倍程度に膨らんだら生地のガス抜きをして分割し生地を成形した後、二次発酵(例えば40℃、25分)を行う。最後に、オーブンで焼き上げれば(例えば200℃、10分)完成である。
燻製を行った食材である小麦粉を用いて製造された本発明の保存食品であるパンの官能評価の結果を、従来技術として普通の小麦粉で作ったパンを燻煙で燻して燻製する(燻製時間は10分/30分/90分)ことにより製造された比較例と共に示したものを、表3に示す。かかる官能評価は、専門パネリスト4名が、普通の小麦粉で作った燻製していないパンを普通(0点)とし、それぞれの項目について5段階で評価を行い、評価点の平均を算出した。すなわち、燻製の香りについては、「良い香りがする」=2点、「やや良い香りがする」=1点、「普通」=0点、「やや臭い香りがする」=−1点、「臭い香りがする」=−2点とし、酸味(味)については、「燻製の良い酸味がある」=2点、「やや燻製の良い酸味がある」=1点、「普通」=0点、「やや悪い酸味がある」=−1点、「悪い酸味がある」=−2点とした。また、コク(味)については、「コクがある」=2点、「ややコクがある」=1点、「普通」=0点、「ややコクがない」=−1点、「コクがない」=−2点とし、弾力(食感)については、「弾力がある」=2点、「やや弾力がある」=1点、「普通」=0点、「やや弾力がない」=−1点、「弾力がない」=−2点とした。表3によると、本発明のパンの場合には、燻製時間が10分では普通の小麦粉で作った燻製していないパンと変わらないが、燻製時間を30分まで延ばすと燻製の良い香りがすると共に燻製の良い酸味やコクが出てきてかつ弾力が増して歯切れが良くなっている。さらに、燻製時間を90分まで延ばすと燻製の良い香りは維持された状態でコクや弾力がさらに良くなると共に燻製の良い酸味が大幅に改善されて燻製を程良く感じることができて食欲が増すことが分かった。これに対して、普通の小麦粉で作ったパンを燻製した比較例の場合には、燻製時間が10分でも燻製によるやや臭い香りがする上に、燻製時間を30分まで延ばすと燻製による臭い香りが増すと共に燻製のやや悪い酸味が出てくる。さらに、燻製時間を90分まで延ばすと燻製による臭い香りが一層増すと共に燻製の悪い酸味が強くなって後味に苦みを感じて食欲が減ることが分かった。
また、表4に、燻製を行った食材である小麦粉を用いて製造された本発明の保存食品であるパンの保存性評価の一例を、従来技術として普通の小麦粉で作ったパンを用いた比較例と共に示したものを、表4に示す。かかる保存性評価は、パンをフタに直径3ミリの穴を開けた透明な樹脂パックに入れて10〜18℃の室内に放置した状態で行い、外観と食味の2点について評価を行った。ここで、外観の評価とは、色調、光沢、変色、型崩れ、離水、離油、体積の縮み、包装材への付着等の変化を見極めて評価することであり、食味の評価とは、香りと味、旨み等品質の変化を見極めて評価することである。なお、表4に示す今回の評価では、カビが発生し拡大しても食味については製造した時点と変化がなかったことから表4においては外観の評価のみ記載し食味に関する記載は省略している。表4によると、本発明のパンの場合には、燻製時間が10分では2日目までは変化がなくかつ3日目以降は乾燥以外は変化がないがカビの発生については9日目まで遅らせることができることが確認できた。また、燻製時間を30分まで延ばすと2日目までは変化がなくかつ3日目以降は乾燥以外は変化がないのは同じであるがカビの発生が確認されるのが10日目まで延びており、さらに燻製時間を90分まで延ばすとカビの発生が確認されるのが13日目まで延びることが分かった。これに対して、普通の小麦粉で作ったパンを用いた比較例の場合には、2日目までは変化がなくかつ3日目以降は乾燥以外は変化がないのは同じであるがカビの発生が確認されるのが6日目と早く7日目にはカビの拡大が確認されており、本発明のパンの保存性の効果が確認できると共に燻製時間を増やすことにより保存性がさらに改善されることが分かった。
本実施例のように、食味等の劣化が激しく直接燻製することが困難であったパンのような調理/加工された食品に対しても、かかる食品に用いる食材である小麦粉を燻製することによって、保存性に優れた保存食品とできることが明らかにできたのである。また、前述したように、こし餡についてもかかる食品に用いる食材である大豆を燻製することによって、保存性に優れた保存食品とできることが明らかにできた。このようにして燻製の適用対象を増大させることができ、燻製による食品の保存性の効果を多種の食品において享受することができる。例えば、穀粉を食材として含むうどんやもち等に対しても同様な効果が得られる。
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はこれらの具体的な記載によって限定されない。例えば、上記第一の実施例では、食材として大豆58を、また保存食品としてこし餡を例示して説明を行ったが、かかる食材は、調理/加工工程によって得られる保存食品の中に含まれる材料であればいずれでもよい。例えば、食材として大豆58の他に、例えば小豆等の豆類や第二の実施例で例示した小麦粉等の穀粉や米穀や大根等の根菜に対して燻製を施した後、かかる食材を調理/加工することにより得られた餡やパンあるいは麺類や餅や煮物等を保存性に優れた保存食品とすることが可能となっているのである。
58:大豆(食材)、68:保存食品用食材パック

Claims (2)

  1. 保存性に優れた保存食品の製造方法であって、
    食材を燻煙で燻すことにより燻製にする燻製工程と、
    前記燻製工程で燻製にされた食材を含んで調理または加工することにより保存食品を得る調理/加工工程とを含み、
    前記食材が大豆または小豆であり、前記燻製工程の前に前記大豆または小豆を予め加水加熱する加水加熱工程が実施され、
    前記加水加熱工程と前記燻製工程の間において、加水加熱された前記豆類を乾燥させる乾燥工程が実施され、
    前記燻製工程が、30〜60℃の燻煙雰囲気内に30〜90分間前記食材を晒すことにより実施されている一方、前記乾燥工程が、40〜70℃の温風雰囲気内に30〜90分間前記食材を晒すことにより実施されていることを特徴とする、保存食品の製造方法。
  2. 前記燻製工程において、前記燻煙が、イタヤカエデ、コナラ、タムシバ、ヤマザクラから選択された少なくとも1種の木材チップを加熱することにより得られている請求項1に記載の保存食品の製造方法。
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