JP6508967B2 - 繊維集合体 - Google Patents

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Description

本発明は取り扱い性及び耐水性に優れる繊維集合体に関する。
ポリビニルアルコール繊維は有機溶媒ではなく、水を溶媒として使用したポリビニルアルコール水溶液を紡糸原液として用いて紡糸できるという、製造環境が優れていることや、親水性があり水と馴染みやすいことに加えて、耐溶剤性に優れているため、好適な繊維の1つである。
しかしながら、このポリビニルアルコール繊維は手の汗などの少量の湿気によっても溶けてしまうため、取り扱いにくいばかりでなく、適用用途が著しく限定されてしまう、という問題があった。例えば、液体フィルタの濾過材として使用した場合に、溶解してしまい、液体フィルタの濾過材として使用できないものであった。
そのため、ポリビニルアルコール繊維を不溶化して耐水性を付与する技術が提案されている。例えば、本願出願人は「ポリビニルアルコールがα−ヒドロキシ酸によって不溶化された不溶化ポリビニルアルコール繊維が集合した繊維集合体であり、この繊維集合体は下記によって定義される沸騰水浸漬減量率(Ra)が4%以下であることを特徴とする、不溶化ポリビニルアルコール繊維集合体。

Ra={(Mab−Maa)/Mab}×100
Ra:繊維集合体の沸騰水浸漬減量率
Mab:沸騰水に20分間浸漬する前における繊維集合体の質量
Maa:沸騰水に20分間浸漬した後における繊維集合体の質量」(特許文献1)、「無水酸基又はカルボキシル基を含むポリマーによって不溶化された不溶化ポリビニルアルコール繊維を含む繊維集合体。」(特許文献2)を提案した。
また、「ポリビニルアルコールと酸無水物基を有するポリマーとを主成分とする繊維集合体であって、酸無水物基を有するポリマーに含まれる反応性官能基のモル比が、ポリビニルアルコールの活性水素に対して0.02以上であり、該反応性官能基がポリビニルアルコールの活性水素と架橋反応することにより、酸無水物基を有するポリマーとポリビニルアルコールとが結合していることを特徴とする水不溶性ポリビニルアルコール繊維集合体。」(特許文献3)が提案されている。
これら特許文献に開示されているポリビニルアルコール繊維は、α−ヒドロキシ酸又は酸無水物基を有するポリマーによる架橋反応によって、不溶化し、耐水性を高めたものである。しかしながら、これらポリビニルアルコール繊維はたて方向及び/又はよこ方向における伸度が20%未満と伸びにくいため、製造時及び/又は使用時に破断しやすいなど、取り扱い性が悪く、各種用途に適用しにくいものであった。
特開2004−316022号公報(請求項1など) 特開2008−266804号公報(請求項1など) 特開2008−144283号公報(請求項1など)
本発明は上記の問題点を解決するためになされたもので、取り扱い性及び耐水性に優れ、各種用途に適用しやすい繊維集合体を提供することを目的とする。
本発明の請求項1にかかる発明は、「ポリビニルアルコールと無水酸基を含むポリマーとが結合し、アミノ酸が更に結合した繊維の集合体であり、前記繊維集合体のたて方向、よこ方向のいずれの伸度も20%以上、かつ温度80℃の熱水に30分間浸漬した後における質量減少率が5%以下であることを特徴とする繊維集合体。」である。
本発明の請求項2にかかる発明は、「前記ポリビニルアルコールと無水酸基を含むポリマーの質量比は70〜90:30〜10の範囲であって、しかも、該ポリマーの固形分総質量を100mass%としたとき、前記アミノ酸が4mass%以上8mass%未満であることを特徴とする請求項1に記載の繊維集合体。」である。
本発明にかかる繊維集合体は、ポリビニルアルコールと無水酸基を含むポリマーとが結合し、より好適には所定比率のアミノ酸が更に結合した繊維で構成されているため、親水性や耐溶剤性に優れている。また、繊維集合体はたて方向、よこ方向のいずれの伸度も20%以上と、製造時又は使用時に破断しにくく取り扱い性に優れているため、各種用途に適用しやすい。更に、温度80℃の熱水に30分間浸漬した後における質量減少率が5%以下と、耐水性にも優れているため、この点からも各種用途に適用しやすいものである。
(削除)

本発明の繊維集合体はポリビニルアルコール(以下、「PVA」と表記することがある)と無水酸基を含むポリマーとが結合した繊維(以下、便宜上「ポリビニルアルコール系繊維」又は「PVA系繊維」と表記することがある)の集合体であり、前記PVA系繊維は無水酸基を含むポリマーが結合していることによって不溶化しているため、耐水性に優れているとともに、たて方向、よこ方向のいずれの伸度も20%以上と、製造時又は使用時に破断しにくく取り扱い性に優れているため、各種用途に適用しやすい繊維集合体である。
このポリビニルアルコールとしては、ビニルアルコール単位を有するポリビニルアルコール系重合体を使用できる。通常、ポリビニルアルコールはビニルアルコールから直接重合することができないため、酢酸ビニル重合体をけん化することで作製したポリビニルアルコールを使用できる。本発明においては、100モル%けん化したポリビニルアルコール以外に、酢酸ビニルが残存する部分けん化ポリビニルアルコールも使用することができる。部分けん化ポリビニルアルコールのけん化度は特に限定されないが、50モル%以上であるのが好ましく、65モル%以上であるのがより好ましく、80モル%以上であるのが更に好ましい。また、これらの範囲のけん化度を有する再酢化物であっても使用することができる。なお、けん化度の異なる2種類以上のポリビニルアルコールが混在していても良い。
なお、4級アンモニウム塩などを共重合させたり、4級アンモニウム基を有するとともにアルデヒド基などの反応性基を有する低分子量化合物をポリビニルアルコールと反応させるなどして形成したカチオン変性ポリビニルアルコールを使用することもできる。しかしながら、カチオン変性ポリビニルアルコールは分解して臭いを発生する場合があるため、未変性のポリビニルアルコール(100モル%けん化したポリビニルアルコール、部分けん化ポリビニルアルコール、或いは再酢化物)であるのが好ましい。
本発明のポリビニルアルコールの平均重合度は、特に限定するものではないが、PVA系繊維の強度が優れているように400以上であるのが好ましく、1000以上であるのがより好ましい。また、平均重合度が高すぎると、溶媒に対する溶解性が低下し、生産性に劣る場合があるため、8000以下であるのが好ましく、4000以下であるのがより好ましい。なお、平均重合度の異なる2種類以上のポリビニルアルコールが混在していても良い。本発明における「けん化度」、「平均重合度」ともに、JIS K6726に準じて測定した値をいう。なお、けん化度が約70モル%を下回る場合であっても、前記JIS規格に則って測定した値をいう。
本発明のPVA系繊維は上述のようなポリビニルアルコールと無水酸基を含むポリマーとが結合した繊維である。つまり、本発明者らは、ポリビニルアルコールの水酸基とポリマーの無水酸基との間にエステル結合が生じることにより、ポリビニルアルコールと無水酸基を含むポリマーとの架橋構造が形成されていることによって、PVA系繊維は耐水性に優れていると考えている。
この無水酸基を含むポリマーを構成する無水酸基を含むモノマーとして、例えば、無水マレイン酸、ジアクリル酸無水物、ジメタクリル酸無水物などを挙げることができ、無水酸基を含むポリマーとして、例えば、スチレン/無水マレイン酸共重合体、オレフィン(例えば、イソブチレン、ブタジエン)/無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル/無水マレイン酸共重合体、アクリル酸エステル/無水マレイン酸共重合体、メタクリル酸エステル/無水マレイン酸共重合体、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体などの無水マレイン酸系共重合体;ジアクリル酸無水物/スチレン共重合体などのジアクリル酸無水物系共重合体;ジメタクリル酸無水物/スチレン共重合体などのジメタクリル酸無水物系共重合体;などを挙げることができる。これらの中でも、無水マレイン酸系共重合体はポリビニルアルコールとの反応性が高いため好適である。なお、無水酸基を含むポリマーは1種類である必要はなく、2種類以上を含んでいても良い。
また、無水酸基を含むポリマーにおける、無水酸基を含むモノマーと、無水酸基を含まないモノマーとのモル比率は特に限定するものではないが、無水酸基を介してポリビニルアルコールと結合し、耐水性に優れているように、無水酸基を含むモノマーを1モルとした時に、無水酸基を含まないモノマーは0.1〜5モルであるのが好ましく、0.1〜3モルであるのがより好ましく、0.2〜2モルであるのが更に好ましく、0.2〜1モルであるのが更に好ましい。
更に、無水酸基を含むポリマーの分子量は特に限定するものではないが、2万〜500万であるのが好ましく、5万〜400万であるのがより好ましく、10万〜300万であるのがより好ましい。
本発明のPVA系繊維は上述のようなポリビニルアルコールと無水酸基を含むポリマーとが結合した繊維であるが、繊維集合体の伸度が大きくなりやすいように、更にアミノ酸を含み、結合しているのが好ましい。つまり、本発明者らは、低分子量のアミノ酸がPVAと無水酸基を含むポリマーとの結合間に結合することや、アミノ酸がPVA又は無水酸基を含むポリマーと結合することで、PVAと無水酸基ポリマーとの結合間距離が長くなることで伸度が大きくなると考えている。なお、アミノ酸は結合しているため、後述のような耐熱水性が低下するということもない。
このアミノ酸は特に限定するものではないが、例えば、アラニン、グルタミン、グルタミン酸、アルギニン、アスパラギン酸、アスパラギン、システイン、プロリン、グリシン、セリン、チロシン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン、スレオニン、リジンなどを挙げることができる。これらの中でも、グリシンは水との溶解性が高く、添加量を多くすることが可能なため好適である。
このように、本発明のPVA系繊維はポリビニルアルコールと無水酸基を含むポリマーとが結合しているが、耐水性と機械的強度に優れているように、ポリビニルアルコールと無水酸基を含むポリマーとの質量比は10〜99:90〜1であるのが好ましく、60〜95:40〜5であるのがより好ましく、70〜90:30〜10であるのが更に好ましい。
また、アミノ酸を含んでいるのが好ましいが、アミノ酸量が多いと、溶媒に溶解しにくく、紡糸液を調製することが困難になる傾向があり、また、アミノ酸量が少ないと、伸長しにくい繊維集合体となる傾向があるため、アミノ酸量はポリビニルアルコールと無水酸基を含むポリマーとの総量100部に対して、1〜100部含まれているのが好ましく、1.5〜50部含まれているのがより好ましく、2〜30部含まれているのが更に好ましく、3〜20部含まれているのが更に好ましく、3〜10部含まれているのが更に好ましく、3〜8部含まれているのが更に好ましい。
本発明の繊維集合体を構成するPVA系繊維の平均繊維径は特に限定するものではないが、1nm〜10,000nmであることができる。なお、PVA系繊維の表面積を広くして、PVA系繊維の繊維表面を有効に利用できるように、2,000nm以下であるのが好ましく、1,000nm以下であるのがより好ましく、800nm以下であるのが更に好ましく、600nm以下であるのが更に好ましく、400nm以下であるのが更に好ましく、300nm以下であるのが更に好ましい。一方、強度的に優れ、取り扱い性に優れているように、20nm以上であるのがより好ましい。本発明における「繊維径」は、繊維集合体の平面における電子顕微鏡写真から測定して得られる繊維の直径を意味し、「平均繊維径」は50箇所の繊維径の算術平均値をいう。
また、PVA系繊維の繊維長は特に限定するものではないが、1mm以上であるのが好ましく、5mm以上であるのがより好ましく、10mm以上であるのが更に好ましく、実質的に連続繊維であるのが最も好ましい。「実質的に連続繊維」とは、5,000倍の電子顕微鏡写真を撮影した場合に、その端部を確認できないことを意味する。
本発明の繊維集合体は上述のようなPVA系繊維が集合したものであるが、その集合状態は特に限定するものではない。例えば、織物、編物のように、規則的に集合した状態にあっても良いし、不織布のように、不規則に集合した状態にあっても良い。特に、不織布状態にあると、空隙率が高く、各種用途に適用できるため好適である。例えば、本発明の繊維集合体を膜の支持体として用いた場合、高分子電解質、ゲル電解質等の膜構成材料を多くすることができ、膜の性能を低下させることなく、膜の機械的強度を向上させることができるため好適である。
本発明の繊維集合体はたて方向、よこ方向のいずれの伸度も20%以上と伸びやすく、製造時又は使用時に破断しにくいため取り扱いやすく、各種用途に適用できるものである。より好ましくは、たて方向、よこ方向のいずれの伸度も25%以上であり、更に好ましくは、たて方向、よこ方向のいずれの伸度も30%以上である。なお、伸度が高すぎると、逆に取り扱いにくくなる傾向があるため、たて方向、よこ方向のいずれの伸度も200%以下であるのが好ましい。
本発明における伸度は、次の操作によって得られる値をいう。
(1)繊維集合体から長方形の試料(幅:5mm、長さ:50mm)を採取する。なお、繊維集合体のたて方向の伸度を測定する場合には、よこ方向に5mm、たて方向に50mmの試料を採取し、よこ方向の伸度を測定する場合には、たて方向に5mm、よこ方向に50mmの試料を採取する。
(2)引張り試験機[(株)SEARCH社製、TSM−41−cre])を使用し、つかみ間隔20mm、引張り速度20mm/min.で試料が破断するまで引張る。
(3)この時、次の式から得られる値を「伸度」とする。
L=(D/Li)×100=5D
ここで、Lは伸度(単位:%)、Dは破断時の伸び(単位:mm)、Liはつかみ間隔(=20mm)をそれぞれ意味する。
なお、本発明における「たて方向」は繊維集合体製造時における生産方向であり、「よこ方向」はたて方向に直交する方向、別の見方をすれば、繊維集合体製造時における幅方向である。
また、本発明の繊維集合体は各種用途へ適用できるように、耐水性も優れている。つまり、繊維集合体を、温度80℃の熱水に30分間浸漬した後における質量減少率が5%以下である。この質量減少率が小さければ小さい程、耐水性に優れ、各種用途に適用しやすいため、4%以下であるのが好ましく、3%以下であるのがより好ましく、2%以下であるのが更に好ましく、1%以下であるのが更に好ましい。
より具体的には、次の操作により得られる質量減少率が5%以下である。
(1)繊維集合体から、たてが5cmでよこが5cmの正方形試験片を採取し、その質量(Mb)を測定する。
(2)前記試験片を温度80℃の熱水中に浸漬する。
(3)熱水を温度80℃に30分間維持する。
(4)30分後、試験片を取り出し、温度80℃に設定したオーブン中で1時間以上乾燥させた後に、試験片の質量(Ma)を測定する。
(5)次の式に基づいて、質量減少率(Mr、単位:%)を算出する。
Mr=[(Mb−Ma)/Mb)]×100
本発明の繊維集合体の目付(JIS L1085に準じて10cm×10cmとして測定した値)は特に限定するものではないが、0.1〜200g/mであることが好ましく、0.1〜100g/mであることがより好ましく、0.5〜20g/m であることが更に好ましく、1〜10g/mであることが更に好ましい。
また、繊維集合体の厚さは、5N荷重時の外側マイクロメーターを用いて測定した値で、0.5μm〜1.5mmであることが好ましく、0.5μm〜1mmであることがより好ましく、2μm〜100μmであることが更に好ましく、5μm〜50μmであることが更に好ましい。
このような本発明の繊維集合体は伸度が高く、製造時又は使用時に破断しにくく、取り扱い性に優れ、耐水性に優れているため、各種用途に適用できるものである。例えば、フィルタ用濾過材、電気化学素子用セパレータ(例えば、アルカリ一次電池用セパレータ、アルカリ二次電池用セパレータ、リチウムイオン二次電池用セパレータ、電気二重層キャパシタ用セパレータ、電解コンデンサ用セパレータなど)、膜支持体(例えば、固体高分子電解質膜、ゲル電解質膜、ガス分離膜など)の、各種用途に適用できるものである。
本発明の繊維集合体は、例えば、次のようにして製造することができる。
まず、無水酸基を含むポリマー、ポリビニルアルコール、及びアミノ酸を用意する。前述の通り、無水酸基を含むポリマーとして無水マレイン酸系共重合体を用意するのが好ましい。
また、無水酸基を含むポリマー、ポリビニルアルコール、アミノ酸のいずれも溶解させることのできる溶媒を用意する。この溶媒は特に限定するものではないが、例えば、水、アルコール類、その他の有機溶媒を用いることができる。これらの混合溶媒であっても良い。これらの中でも、水は製造環境的に好適である。
次いで、無水酸基を含むポリマー、ポリビニルアルコール及びアミノ酸のいずれもが溶解した紡糸液を調製する。なお、これら原料の溶解方法は特に限定するものではないが、例えば、無水酸基を含むポリマー、ポリビニルアルコール及びアミノ酸を同じ溶媒に溶解させて紡糸液を調整することができる。しかしながら、無水酸基を含むポリマーとポリビニルアルコールとを同じ溶媒に混ぜ合わせて溶解させると、結合が進行し、紡糸液がゲル化してしまい、紡糸が不安定になったり、均一な結合が困難になる傾向があるため、無水酸基を含むポリマーを溶媒に溶解させた溶液、ポリビニルアルコールを溶媒に溶解させた溶液、及びアミノ酸を溶媒に溶解させた溶液を別々に調製した後、任意の割合で混ぜ合わせて、紡糸液を調製するのが好ましい。
なお、紡糸液を調製する場合、前述の通り、ポリビニルアルコールと無水酸基を含むポリマーとの質量比は10〜99:90〜1であるのが好ましく、60〜95:40〜5であるのがより好ましく、70〜90:30〜10であるのが更に好ましい。
また、アミノ酸量が多いと、耐水性に劣る場合があり、アミノ酸量が少ないと、充分な伸度を得られない場合があるため、アミノ酸量はポリビニルアルコールと無水酸基を含むポリマーとの総量100部に対して、1〜100部混合するのが好ましく、1.5〜50部混合するのがより好ましく、2〜30部混合するのが更に好ましく、3〜20部混合するのが更に好ましく、3〜10部混合するのが更に好ましく、3〜8部混合するのが更に好ましい。
なお、紡糸液における無水酸基を含むポリマー、ポリビニルアルコール及びアミノ酸全部の固形分濃度は、これらが溶解できる固形分濃度であれば良く、特に限定するものではないが、粘度が100〜100,000mPa・sであるような固形分濃度であるのが好ましく、100〜10,000mPa・sであるような固形分濃度であるのがより好ましく、100〜2,000mPa・sであるような固形分濃度であるのが更に好ましい。なお、平均繊維径が400nm以下のPVA系繊維を紡糸する場合には、粘度が500〜2,000mPa・sであるような固形分濃度であるのが好ましい。「粘度」は、粘度測定装置(Thermo Electron製)を用い、紡糸時と同じ温度で測定した、シェアレート100s−1の時の値をいう。
次いで、前記紡糸液を紡糸して繊維を形成し、この繊維を集積して前駆繊維集合体を形成することができる。この紡糸方法として、従来公知の紡糸方法を採用することができ、例えば、湿式紡糸法、乾式紡糸法、フラッシュ紡糸法、遠心紡糸法、静電紡糸法、特開2009−287138号公報に開示されているような、ガスの剪断作用により紡糸する方法、或いは特開2011−32593号公報に開示されているような、電界の作用に加えてガスの剪断力を作用させて紡糸する方法などによって紡糸し、紡糸した繊維を直接、ドラムやネット上に集積して、前駆繊維集合体を形成することができる。これらの中でも静電紡糸法によれば、平均繊維径が細く(平均繊維径が2,000nm以下)、繊維径が揃っており、しかも連続した繊維を紡糸できるため好適である。
次いで、結合処理を実施して、本発明の繊維集合体を製造することができる。例えば、無水酸基を含むポリマーが好適である無水マレイン酸系共重合体である場合、100〜200℃で加熱することによって、ポリビニルアルコールと無水マレイン酸系共重合体及び/又はアミノ酸とを結合させて、繊維集合体を製造できる。100℃未満であると、ポリビニルアルコールの水酸基と無水酸基を含むポリマーの無水酸基との間のエステル結合、ポリビニルアルコールの水酸基とアミノ酸のカルボキシル基との間のエステル結合、及び/又は無水酸基を含むポリマーの無水酸基とアミノ酸のアミノ基との間の化学結合が十分に進行しないと考えているためで、120℃以上で加熱するのがより好ましく、130℃以上で加熱するのが更に好ましい。一方で、200℃を超えると、PVA系繊維に着色が生じたり、PVA系繊維同士に部分的な融着が生じたり、繊維集合体の収縮が大きくなるなど、安定して繊維集合体を製造できない傾向があるためで、190℃以下であるのが好ましく、180℃以下であるのが更に好ましい。なお、上記温度は繊維集合体表面における温度であり、熱源の温度は200℃以上であっても良い。
また、加熱時間は、十分に結合が進行する時間であれば良く、特に限定するものではないが、1分以上であるのが好ましく、3分以上であるのがより好ましく、5分以上であるのが更に好ましい。他方、あまり長時間加熱しても結合が進行しないため、1時間以内であるのが好ましく、45分以内であるのがより好ましい。
なお、必要であれば、繊維集合体が各種用途に適合するように、各種後処理を実施することができる。例えば、カレンダー処理などを実施することができる。
以下に、本発明の実施例を記載するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜3、比較例1〜2)
<紡糸液の調製>
完全ケン化ポリビニルアルコール(平均重合度:1000)を純水に溶解させ、固形分濃度15mass%の溶液Aを調製した。
また、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体(メチルビニルエーテル1モル:無水マレイン酸1モル、分子量:22万)を純水に溶解させ、固形分濃度15mass%の溶液Bを調製した。
次いで、完全ケン化ポリビニルアルコールとメチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体との質量比率が8対2となるように、前記溶液Aと溶液Bとを混合して、前駆紡糸液Cを調製した。
そして、前駆紡糸液Cを紡糸液としたもの(比較例1)、前駆紡糸液Cの完全ケン化ポリビニルアルコールとメチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体の固形分総質量に対して、固形分が4mass%となるようにフェニルアラニンを混合し、紡糸液としたもの(実施例1)、同様に、前駆紡糸液Cの固形分総質量に対して、固形分が4mass%となるようにイソロイシンを混合し、紡糸液としたもの(実施例2)、前駆紡糸液Cの固形分総質量に対して、固形分が4mass%となるようにグリシンを混合し、紡糸液としたもの(実施例3)、前駆紡糸液Cの固形分に対して、固形分が8mass%となるようにグリシンを混合し、紡糸液としたもの(比較例2)を、それぞれ用意した。
<繊維集合体の製造>
静電紡糸法により前記紡糸液を紡糸したPVA系連続繊維を、ドラム上に集積させた後、温度180℃で30分間の熱処理を実施して、表1で示すような物性を有する、PVA系連続繊維からなる不織布状集合体(目付:2.5g/m、厚さ:15μm)を製造した。なお、静電紡糸条件は次の通りとした。
・電極:金属ノズル(内径:0.33mm)とステンレスメッシュ
・ノズルからの吐出量:1g/時間
・ノズル先端とドラムとの距離:10cm
・紡糸空間内の温湿度:25℃/30%RH
(実施例4、比較例3)
<紡糸液の調製>
実施例1〜3と同様にして調製した溶液Aと溶液Bとを、完全ケン化ポリビニルアルコールとメチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体との質量比率が9対1となるように、溶液Aと溶液Bとを混合して、前駆紡糸液Dを調製した。
そして、前駆紡糸液Dを紡糸液としたもの(比較例3)、及び前駆紡糸液Dの完全ケン化ポリビニルアルコールとメチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体の固形分総質量に対して、固形分が4.5mass%となるようにフェニルアラニンを混合し、紡糸液としたもの(実施例4)を、それぞれ用意した。
<繊維集合体の製造>
実施例1〜3と同様にして、紡糸、集積及び熱処理を実施して、表1で示すような物性を有する、PVA系連続繊維からなる不織布状集合体(目付:2.5g/m、厚さ:15 μm)を製造した。
(繊維集合体の評価)
(イ)引張り強さ;
(1)不織布状集合体から長方形の試料(幅:5mm、長さ:50mm)を採取した。なお、不織布状集合体のたて方向の伸度を測定する場合には、よこ方向に5mm、たて方向に50mmの試料を採取し、よこ方向の伸度を測定する場合には、たて方向に5mm、よこ方向に50mmの試料を採取した。
(2)引張り試験機[(株)SEARCH社製、TSM−41−cre])を使用し、つかみ間隔20mm、引張り速度20mm/min.で試料が破断するまで引張った。
(3)この試料破断時における強度を「引張り強さ」とした。この結果は表1に示す通りであった。
(ロ)伸度;
(イ)引張り強さの測定における、破断時における試料の伸び(=D、単位:mm)をもとに、次の式から得られる値を「伸度(=L、単位:%)」とした。なお、式中、Liはつかみ間隔(=20mm)を意味する。
L=(D/Li)×100=5D
(ハ)質量減少率;
(1)不織布状集合体から、たてが5cmでよこが5cmの正方形試験片を採取し、その質量(Mb)を測定した。
(2)前記試験片を温度80℃の熱水中に浸漬した。
(3)熱水を温度80℃に30分間維持した。
(4)30分後、試験片を取り出し、温度80℃に設定したオーブン中で1時間以上乾燥させた後に、試験片の質量(Ma)を測定した。
(5)次の式に基づいて、質量減少率(Mr、単位:%)を算出した。
Mr=[(Mb−Ma)/Mb)]×100
Figure 0006508967
このように、本発明の繊維集合体はたて方向、よこ方向のいずれの伸度も20%以上であったため、製造時又は使用時に破断しにくく、取り扱い性の優れるものであった。また、温度80℃の熱水に30分間浸漬した後における質量減少率が5%以下と、耐水性にも優れるものであったため、様々な用途に適用できるものであった。
本発明の繊維集合体は取り扱い性及び耐水性に優れるものであるため、各種用途に適用できるものである。例えば、フィルタ用濾過材、電気化学素子用セパレータ(例えば、アルカリ一次電池用セパレータ、アルカリ二次電池用セパレータ、リチウムイオン二次電池用セパレータ、電気二重層キャパシタ用セパレータ、電解コンデンサ用セパレータなど)、膜支持体(例えば、固体高分子電解質膜、ゲル電解質膜、ガス分離膜など)として好適に使用することができる。

Claims (2)

  1. ポリビニルアルコールと無水酸基を含むポリマーとが結合し、アミノ酸が更に結合した繊維の集合体であり、前記繊維集合体のたて方向、よこ方向のいずれの伸度も20%以上、かつ温度80℃の熱水に30分間浸漬した後における質量減少率が5%以下であることを特徴とする繊維集合体。
  2. 前記ポリビニルアルコールと無水酸基を含むポリマーの質量比は70〜90:30〜10の範囲であって、しかも、該ポリマーの固形分総質量を100mass%としたとき、前記アミノ酸が4mass%以上8mass%未満であることを特徴とする請求項1に記載の繊維集合体。
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