JP2002348401A - ポリケトン多孔体 - Google Patents

ポリケトン多孔体

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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 オレフィンと一酸化炭素の共重合体
とからなるポリケトンにより構成されたポリケトン成形
体において、平均孔径=0.001〜10μmの孔を5
〜70体積%含有するポリケトン多孔体。 内部に少
なくとも一つの長手方向に貫通した空隙を有する中空糸
であって、該空隙の割合が10〜80体積%であるポリ
ケトン中空糸。 【効果】 内部に微細孔を多数有し、強度、寸法安定
性、耐薬品性、耐熱性に優れ、水溶液、有機溶液、電解
質溶液、生体液の分離膜、透析膜として特に有用であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は多数の微細な孔を有
するポリケトン成形体に関する。さらに詳しくは、本発
明は平均孔径が0.001〜10μmである孔を5〜7
0体積%含有するするポリケトン多孔体に関する。該多
孔体は成形体内部および/または表面に多数の空隙を有
するにも関わらず、高い結晶化度および高い融点を有
し、繊維や中空糸膜、フィルム状膜の形状として使用さ
れる。また、該多孔体は高強度であり寸法安定性にも優
れ、さらには優れた耐熱性、耐薬品性を有し、そのま
ま、あるいは膜モジュールに加工され、水性液体や有機
液体、血液、気体等の分離膜として有用である。
【0002】
【従来の技術】近年、一酸化炭素とオレフィンをパラジ
ウムやニッケルを触媒として重合させることにより、一
酸化炭素とオレフィンが実質的完全に交互共重合した脂
肪族ポリケトンが得られることが見い出された。該ポリ
ケトンからなる繊維やフィルム、樹脂は高結晶性で、高
力学物性、高融点、高ガスバリアー性、耐薬品性に優れ
る等の特性を有し、次世代の汎用高分子材料として期待
されている。ポリケトンからなる繊維やフィルムに関し
てはこれまで多数の文献が知られている(例えば、特開
平1−124617号公報、特開平2−112413号
公報、特開平3−120028号公報、特表平4−50
5344号公報、特表平7−508317号公報、特表
平8−507328号公報、米国特許5955019
号、WO9918143号、WO0042089号、特
開平11−60754号公報、WO0009611号、
特開2000−345431号公報)。
【0003】しかしながら、これらの発明においては内
部や表面に微細な孔を多数有するポリケトン繊維やポリ
ケトン中空糸に関する技術は全く知られていない。唯
一、特開平2−4431号公報において、平均孔径が
0.1〜10μmの微孔を有するポリケトン膜の技術が
開示されている。この発明はポリケトンの溶剤としてヘ
キサフルオロイソプロパノール(HFIP)を用いた技
術からなされたものであるが、HFIPはポリケトンに
対して非常に良溶媒であるため貧溶剤と接触すると非常
に疎な構造となり、実際にこの溶媒からキャストされて
得られる膜は空隙率は75〜90%と非常に大きなもの
となる。また、この発明で溶媒として記載されているH
FIPやm−クレゾール、o−クロルフェノールは毒性
が強く、取扱性および製品の安全性に極めて問題があ
り、多孔膜の工業的製造法としては用いることが出来な
い。
【0004】一方、内部に微細な孔を多数有する高分子
成形体に関しては、これまで非常に多数の技術が知られ
ており、例えば、ポリエチレン、ポリメチルメタクリレ
ート、ポリ−4−メチルペンテン、セルロース、エチレ
ン・ビニルアルコール共重合体、ポリスルホン等の微多
孔成形体が知られている(繊維学会誌,49,6,p1
95(1993))。これら既存の高分子材料に微多孔
を形成せしめる方法は、延伸時の力により空隙を形成す
る方法(例えば、特開昭53−143671号公報)、
乾湿式成形時にポリマーに微粒子状の分散物質を添加し
成形後に分散物質を除去する方法(例えば、特開平10
−168659号公報)、乾湿式成形時の相分離構造を
制御する方法(例えば、特公昭53−6249号公報)
等が知られている。
【0005】しかしながら、これら文献記載の技術はポ
リケトンにそのまま適用することは出来ない。例えば、
ポリケトンは極めて高結晶性であるため容易にネック延
伸を行うことが出来ず延伸による微多孔形成は困難であ
る。また、分散物質を除去する方法においてはポリマー
や溶剤、凝固浴の組成・性状により分散相の種類・形状
や大きさが異なるため、これら従来技術をそのままポリ
ケトンに適用することは出来ない。また、溶剤に溶解し
たポリマーを特定条件下の凝固浴中で相分離せしめるこ
とで、微多孔を有する成形体を得ることが知られている
が、微多孔構造を形成せしめる凝固・成形条件はポリマ
ーおよび溶剤の種類、凝固浴の組成等により全く異なる
ため、従来のポリマーの相分離による微多孔構造形成に
関する文献は、相分離によるポリケトン多孔体およびそ
れを得るための技術要件については何の知見も与えるも
のではない。
【0006】
【本発明が解決しようとする課題】本発明が解決しよう
とする課題は、オレフィンと一酸化炭素の共重合体とか
らなるポリケトンにより構成されたポリケトン成形体に
おいて、内部に微細な孔を多数有しかつ力学特性、耐熱
性、耐薬品性、寸法安定性に優れ、そのまま繊維状とし
て、各種機能性化合物の支持体として、また、フィルム
状あるいは中空糸状として、水性液体や有機液体、血
液、気体等の分離膜として効果的なポリケトン多孔体を
提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、基本的に、オ
レフィンと一酸化炭素の共重合体とからなるポリケトン
により構成されたポリケトン成形体において、平均孔径
が0.001〜10μmである孔を5〜70体積%含有
するポリケトン多孔体である。本発明においてポリケト
ン成形体とは、繊維、フィルム、棒、ブロック、球、
筒、鍋状物、布、織編物、シート、多層積層物等のポリ
ケトンからなる人工物を意味し、多孔体とは内部および
/または表面に微細な空隙が多数存在する該成形体を意
味する。
【0008】本発明のポリケトン成形体の製造に用いる
ポリケトン原料は、オレフィンと一酸化炭素を共重合し
てなるポリマーである。より詳細には、本発明のポリケ
トンは、強度、寸法安定性、耐熱性、耐薬品性等の観点
から、エチレンと一酸化炭素が結合した下記式(1) で示
す1−オキソトリメチレンを主たる繰り返し単位とする
ことが好ましい。具体的には90質量%以上が該1−オ
キソトリメチレンであることが望ましい。
【化2】 必要に応じて、プロペン、ヘキセン、シクロヘキセン等
のオレフィンやスチレン、酢酸ビニル等の不飽和炭化水
素を有する化合物と一酸化炭素の結合してなる単位を有
していても良い。
【0009】また、ポリケトン成形体に導電性およびイ
オンの透過性、吸着性を付与する目的では、1−オキソ
トリメチレンの水素原子の少なくとも一つが{−SO3
X基、−COOX基、−PO3X基}または{−R−S
3X基、−R−COOX基、−R−PO3X基}の群か
ら選ばれる少なくも一つの基と置換した繰り返し単位を
有するポリケトンを用いると有用である。(ここで、X
は水素、アルカリ金属、アンモニウム、ホスホニウムの
群から選ばれる化合物であり、Rは炭素、窒素、酸素の
群から選ばれる元素を少なくとも一つ以上有する有機基
である。) この場合、エチレン性不飽和炭化水素とSO3X基お
よび/またはCOOX基および/またはPO3X基とを
有する化合物と一酸化炭素とを共重合したものであって
もよく、 エチレン性不飽和炭化水素とスルホン酸エステル基お
よび/またはカルボン酸エステル基および/またはリン
酸エステル基とを有する化合物と一酸化炭素を共重合し
たものを加水分解したもの、あるいは ポリケトンを重合後、スルホン化や酸化したものであ
ってもよい。
【0010】の例としては、アリルスルホン酸ナトリ
ウムや、アクリル酸、メタクリル酸、ウンデシレン酸等
とオレフィン、一酸化炭素との共重合体が挙げられ、
の例としては、アクリル酸メチルやメタクリル酸メチル
等とオレフィン、一酸化炭素とを共重合後、酸やアルカ
リ溶液で加水分解したものが挙げられ、の例として
は、特開平3−122122号公報に記載のスルホン化
方法等が挙げられる。これら極性基を有する繰り返し単
位の割合は、多すぎると親水性が増し、水に対して膨
潤、溶解が起こり、少なすぎると導電性が不十分となる
ため、好ましくは0.01〜20質量%、より好ましく
は0.1〜10質量%とすることが望ましい。
【0011】本発明のポリケトン多孔体は平均孔径が
0.001〜10μmである孔を5〜70体積%含有す
るものである。なお、本発明において微多孔の体積割合
とは、ポリケトン多孔体の全体積に占める微多孔部の体
積の割合である。ただし、多孔体が繊維であって、内部
に繊維軸方向に貫通した空隙を有する中空糸の場合に
は、中空部を除いた体積に占める微多孔部の体積の割合
を微多孔の体積割合とする。多孔体の孔の平均孔径およ
び孔の体積分率は本発明の実施例記載の方法により測定
される。平均孔径が0.001μm未満の場合、透過性
能が著しく低下し分離膜としての機能が不十分となる。
また、平均孔径が10μmを超える場合、支持体である
ポリケトンの力学物性が低下し脆弱な材料となってしま
う。平均孔径は用途により要求される大きさが異なるた
め、一概に規定することは出来ないが、孔中に機能性化
合物を分散・含有せしめる場合には添加する化合物の大
きさより若干大きめの大きさが好ましく、一般的には
0.01〜5μmの範囲であることが望ましい。また、
水や有機溶液、血液等の分離膜用途では0.001〜1
0μm、好ましくは0.005〜5μm、より好ましく
は0.01〜1μmであることが望ましい。
【0012】ポリケトン多孔体中の微細孔の体積割合は
多ければ多いほど、機能性化合物の支持体としてはより
多くの化合物を含有できるようになり、また、分離膜と
しては時間当たりの分離速度が速くなり好ましいが、微
多孔の占める体積が70%を超えるとポリケトン多孔体
の力学物性の低下が著しくなるという問題が生じる。こ
のため、好ましくは5〜70体積%、より好ましくは1
0〜60体積%、さらに好ましくは15〜50体積%で
あることが望ましい。また、多孔体の孔はそれぞれ独立
した孔であっても、隣接する孔同士が連結したものであ
ってもよい。強度の観点からは独立孔であることが望ま
しいが、分離膜として用いる場合には分離効率の観点か
ら隣接する孔同士が連結したものが望ましい。
【0013】ポリケトンの重合度は、本発明の実施例に
記載した方法で測定される極限粘度で0.3〜20であ
ることが好ましい。得られる多孔体の物性、成形性、重
合コストの観点から、より好ましくは1〜10、最も好
ましくは2〜8である。本発明のポリケトン多孔体はど
のような形態であってもよいが、一般的には繊維状ある
いはフィルム状として用いられる。繊維として用いる場
合は、そのまま微多孔性繊維材料として、あるいは微多
孔内に機能性化合物を保持せしめて機能性繊維材料とし
て、さらには内部に少なくとも一つの長手方向に貫通し
た空隙を有する中空糸膜として用いることが出来る。
【0014】そのまま微多孔性繊維材料として用いる場
合、繊維内部の微多孔の平均孔径を0.1μm以上とす
ると可視光遮蔽繊維としても有用である。また、微多孔
内に機能性化合物を保持せしめる場合、その種類につい
ては特に制限はなく、例えば芳香剤、抗菌剤、難燃剤、
脱臭剤、蛍光剤、紫外線吸収剤、紫外線反射剤、酸化防
止剤、艶消剤、蓄熱剤、顔料、ポリケトン以外の高分子
化合物等の各種化合物が使用出来る。保持せしめる化合
物の状態や形状は特に制限はなく、固体であっても液体
であってもよい。液体で保持せしめる場合には、エマル
ジョンあるいはマイクロカプセルとして保持せしめるこ
とが好ましい。
【0015】ポリケトン多孔体を中空糸膜として用いる
場合、内部に長手方向に貫通した空隙(中空部)の割合
は特に制限はないが、少なすぎると膜の分離効率が低下
し、また多すぎると中空糸の力学特性が低下するため、
好ましくは10〜70体積%、より好ましくは20〜6
0体積%であることが望ましい。さらに、力学特性、膜
の分離性能の観点から、繊維の全体積に対する微多孔部
の体積と中空部の体積の和が、好ましくは15〜80体
積%、より好ましくは30〜75体積%であることが望
ましい。本発明において中空部の割合は、繊維の全断面
積に対する中空部の面積の100分率で表され、電子顕
微鏡あるいは光学顕微鏡により得られる中空糸の断面写
真から、本発明実施例記載の方法で求めることが出来
る。繊維内部にある中空部の数は特に制限はなく1本で
あってもまた複数本であってもよい。ポリケトン多孔体
繊維の外径は特に制限はないが、1〜10000μmの
範囲が一般的であり、機能性繊維材料として用いる場合
は5〜100μmの範囲が、また、中空糸膜として用い
る場合は100〜5000μmの範囲が好適に用いられ
る。繊維は1本で用いてもまたマルチフィラメントとし
て用いてもよく、長繊維あるいは短繊維として用いても
よい。繊維の断面は円、楕円、三角、星形、アルファベ
ット型等の従来公知の形状を適用することが出来る。
【0016】ポリケトン多孔体をフィルムとして用いる
場合、フィルムの厚みは特に制限はなく用途に応じて任
意の厚みと出来るが、通常0.1〜1000μmであ
る。分離膜として用いる場合、膜の厚みの均一性は非常
に重要であり、任意の箇所100点で計測した厚みの、
最小値/最大値が0.8以上であることが望ましい。微
多孔部および中空部は強度を負担しないため、支持体と
なるポリケトンに応力・歪みが集中することになる。こ
のため、ポリケトンのミクロ構造が強固な構造であるこ
とが好ましい。特に、結晶化度は重要なパラメーターで
あり、この値が高いほど高強度、高寸法安定性、高耐熱
性、高耐薬品性となるため、45%以上、より好ましく
は50%以上、特に好ましくは60%以上であることが
望ましい。
【0017】また、繊維状として用いる場合は、結晶が
繊維軸方向に配向したものが強度や寸法安定性等の力学
特性に優れる材料となる。結晶配向度は、繊維中の分子
鎖が繊維軸方向に配列する規則性の度合いを表す構造パ
ラメーターであり、好ましくは結晶配向度が60%以
上、より好ましくは80%以上、特に好ましくは90%
以上であることが望ましい。
【0018】ポリケトン多孔体に望まれる特性として
は、引張強度、沸水収縮率、融点が挙げられる。引っ張
り強度は高ければ高いほど支持体であるポリケトンの量
を減らせて微多孔や中空部の割合を増やすことが可能と
なり、より多くの機能性化合物の添加やより効率的な分
離が出来るようになる。このために引張強度としては、
好ましくは10MPa以上、より好ましくは100MP
a以上、特に好ましくは500MPa以上であることが
望ましい。水の分離膜として用いる場合、水に対して膨
潤・変形しないことが重要である。水に対する寸法安定
性のパラメーターとして沸水収縮率があり、この値が小
さいほど水および熱に対して寸法安定性が優れることを
意味し、具体的には−3〜3%であることが好ましく、
より好ましくは−1〜1%、特に好ましくは−0.3〜
0.3%であることが望ましい。
【0019】また、融点は高いほど高温環境に曝される
用途での展開が可能となるため、好ましくは200℃以
上、より好ましくは220℃以上、特に好ましくは24
0℃以上であることが望ましい。さらに、耐熱性、耐薬
品性、安全性の観点から、ポリケトン多孔体中に含まれ
る亜鉛やカルシウム等の金属量は少ないことが望まし
く、好ましくは1000ppm以下、より好ましくは1
00ppm以下、特に好ましくは10ppm以下である
ことが望ましい。
【0020】本発明のポリケトン多孔体の製造方法は特
に限定されないが、一般的には高分子量・高融点のポ
リケトンでは湿式成形法が、また、融点が230℃未
満のポリケトンについては溶融成形法が用いられる。 湿式成形法の場合、ポリケトンの溶剤をとしては、得
られる多孔体の孔の形状、多孔体の力学特性、安全性、
取扱性の観点から濃厚金属塩溶剤が好適に用いられる。
【0021】以下、濃厚金属塩溶液を溶剤とする湿式成
形法を例に、本発明のポリケトン多孔体の製造法を説明
する。 (1) 相分離による多孔体製造法 ポリケトンを少なくともハロゲン化亜鉛を含有する溶液
に溶解してドープとする。溶剤はハロゲン化亜鉛(例:
塩化亜鉛)単独あるいはハロゲン化亜鉛とその他の塩と
の複合塩の溶液が用いられる。その他の塩としては、ハ
ロゲン化アルカリ金属塩(例:塩化ナトリウム)、ハロ
ゲン化アルカリ土類金属塩(例:塩化カルシウム)等が
挙げられる。ポリケトンをこれら溶剤に溶解し、ポリケ
トンドープが得られる。ドープ中のポリマー濃度を高く
すると多孔体の支持体であるポリケトンが密で孔は微細
となり孔の体積割合を小さくすることが出来る。一方、
ドープ中のポリマー濃度が低いと支持体であるポリケト
ンは疎で孔の体積割合を大きくすることが出来る。ポリ
マー濃度が高すぎると溶剤への均一な溶解が困難とな
り、ポリマー濃度が低すぎるとポリケトン支持体が不連
続となり成形体の強度が著しく低くなるため、ドープ中
のポリマー濃度としては1〜75質量%が好ましく、よ
り好ましくは2〜50質量%、さらに好ましくは3〜3
0質量%とすることが望ましい。
【0022】このドープを紡糸口金もしくはフィルムダ
イから吐出し、凝固浴中にてドープを繊維状もしくはフ
ィルム状に凝固させる。吐出時のドープ温度は、好まし
くは50〜150℃、より好ましくは60〜120℃、
最も好ましくは70〜100℃とすることが望ましい。
紡糸口金およびダイの形状は特に限定されず、従来公知
のものがそのまま適用出来る。また、中空糸の紡口につ
いても、二重管オリフィスやC型オリフィスなど従来公
知のものがそのまま適用出来る。二重管オリフィスを用
いる場合、外側の輪状オリフィスからはポリケトンドー
プを、また、内側の円状オリフィスからは、気体または
ポリケトンに対して非溶解性の液体(非溶剤)を吐出す
ることが好ましく、非溶剤としては、特に凝固速度の速
い水を主成分とする液体が好ましい。また、中空部の形
状維持の点からは内側に流す気体および液体には0.0
1MPa以上の圧力をかけて吐出することが好ましい。
【0023】なお、本発明においてポリケトンに対して
非溶解性の液体(非溶剤)とは、該液体に対して極限粘
度6.0のポリケトンを5質量%添加して、80℃、1
時間加熱攪拌した後のポリケトンの質量減少率が2%未
満である液体を意味する。一方、凝固浴の温度は、得ら
れるポリケトン多孔体中の孔の大きさ・形状を決定する
上で重要な要因であり、目的・用途に応じて温度を選定
することが必要である。凝固温度が高いほど平均孔径の
大きい多孔体が得られるが、高すぎるとポリケトン支持
体の強度が弱くなる。凝固浴温度が低いほど、平均孔径
が小さく強固な構造のポリケトン支持体を有する多孔体
が得られるが、凝固速度が遅くなり設備が長大になり製
造速度が遅くなる。このため、凝固浴温度としては、−
50℃〜100℃、好ましくは−30〜80℃、より好
ましくは−10〜60℃の範囲内から目的に応じて選定
することが望ましい。凝固浴はドープで用いた溶剤に対
比して溶解性の劣る溶液が用いられる。通常、水やメタ
ノール等のポリケトンの非溶剤や、少量のハロゲン化亜
鉛を含有する水溶液または有機溶液が用いられる。
【0024】凝固速度を速くし生産性よく凝固を行う場
合には、水を10重量%以上含有する溶液が好ましい
が、必要に応じてメタノールやアセトン、エチレングリ
コール等の有機溶剤を主成分とし、水を10重量%未満
で、あるいは水を全く含有しない溶液を用いてもよい。
また、凝固浴中および/または凝固浴を出た直後に1.
2〜5倍の凝固延伸を行うと、力学物性に優れるポリケ
トン多孔体が得られる。凝固浴を出た内部に微多孔を有
するポリケトン凝固体は、水や硫酸、塩酸、リン酸等の
酸性水溶液により凝固体中に残存する金属塩を洗浄除去
する。金属塩が成形体中に残存した場合、成形体の力学
物性や耐薬品性、耐熱性の低下や変色、血液分離膜用途
では金属が血液中に溶出する等の問題が起こる。
【0025】特に、本発明のポリケトン多孔体は内部に
金属塩が取り込まれ易いため洗浄を十分に行うことが必
要で、最終的に成形体に含まれる金属塩の残量が好まし
くは1000ppm以下、より好ましくは100ppm
以下、特に好ましくは10ppm以下になるまで繰り返
し洗浄することが望ましい。洗浄に酸性溶液を用いた場
合、引き続き成形体中に残存する酸を洗浄する。洗浄に
は水を主成分とする溶液を用いることが効率的である。
必要に応じてはアルカリ性の溶液で中和洗浄をしてもよ
い。洗浄後のポリケトン成形体は孔中が洗浄液で充たさ
れたものであるが、微多孔の平均孔径および体積割合を
制御する目的で孔中の洗浄液を、水や有機溶剤に置換し
てもよい。この際、ポリケトン成形体の微多孔中に充填
される液体の特性として、沸点が重要である。沸点が高
すぎると、乾燥時にポリケトンが軟化し、微多孔の変
形、閉塞が生じる。また、沸点が低すぎると冷却機が必
要となり生産コストが増大する。このため、好ましくは
沸点が20〜200℃、より好ましくは30〜150
℃、さらに好ましくは40〜120℃、特に好ましくは
50〜100℃の液体が好ましい。
【0026】引き続き、得られたポリケトン成形体を乾
燥する。乾燥温度を高くしすぎないことは特に重要であ
る。乾燥温度が高すぎるとポリケトンが軟化し微多孔の
変形、閉塞が生じ、本発明のポリケトン多孔体が得られ
なくなる。乾燥温度としては、常圧下では好ましくは、
20〜200℃、より好ましくは30〜150℃、さら
に好ましくは40〜120℃、特に好ましくは50〜1
00℃である。また、微多孔中に充填された液体の蒸気
圧以下に減圧して低温で乾燥すると、微多孔の孔径およ
び体積割合の大きな多孔体を得られる。特に、乾燥温度
を徐々に下げていく多段乾燥にすると微多孔構造を維持
して効率的に乾燥することが出来る。
【0027】多段乾燥を行う際の好ましい条件として
は、乾燥温度をTとして、乾燥が進むに連れて徐々にT
が小さくなることが望ましい。具体的なTの範囲として
は、乾燥前に多孔体の空隙中に充填されている液体を
(B) として、以下の3段階の乾燥が挙げられる。 1:膨潤度≧100%の段階、 液体(B)の沸点+60℃≦T≦200℃ ただし、液体(B)の沸点が140℃以上の場合、T=
200℃ 2:50≦膨潤度≦100%の段階、 液体(B)の沸点≦T≦200℃ 3:膨潤度≦50%の段階、 液体(B)の沸点≦T≦液体(B)の沸点+20℃ ただし、膨潤度とは、液体(B)の質量をB、多孔体に
おけるポリケトンの質量をPとして下式により算出され
る値である。 膨潤度 =B/P×100 (質量%)
【0028】上記乾燥条件の具体的な例としては、常圧
で多孔体中の液体が水である場合には、膨潤度が100
質量%以上では160〜200℃で乾燥し、膨潤度が5
0〜100質量%では100〜200℃で、膨潤度が5
0質量%未満では100〜120℃で乾燥する。また、
力学強度を高くする目的で、あるいは、孔径に異方性を
もたせる目的で、乾燥時に張力を印可して1.2〜3倍
の延伸を行ってもよい。このようにして得られたポリケ
トン多孔体を力学強度および耐熱性、寸法安定性を高く
する目的で、定長熱処理あるいは熱延伸を行ってもよ
い。定長熱処理および熱延伸は、1段もしくは2段以上
の多段で行っても良いが、孔を閉塞しないようにポリケ
トン多孔体の融点−20℃以下の温度で処理することが
重要である。
【0029】(2) 微粒子の除去による多孔体製造法 ・上述の製造法(1) において、ポリケトンドープに平均
粒径が0.001〜10μmの微粒子を5〜70体積%
の割合となるように添加する。該粒子は固体微粒子であ
っても、液体微粒子(エマルジョン)であってもよい。
ポリケトンを凝固体とした後に、洗浄浴中あるいは乾燥
後あるいは延伸後に該微粒子の抽出剤で溶解抽出又は分
解抽出する。該微粒子の抽出剤とは、該微粒子を溶解可
能な液体であり、該液体に対して5質量%添加し、0〜
100℃の任意の温度にて、1時間攪拌した後の該微粒
子の溶解による質量減少率が10質量%以上である液体
であり、ポリケトンの非溶剤である。微粒子を抽出除去
後、多孔体中に残存する抽出剤を洗浄除去した後に、ポ
リケトン多孔体中の液体を水および/または有機溶剤に
置換し、上述の乾燥条件にて孔中の液体を乾燥除去す
る。
【0030】・また、上述の製造法(1) において、凝固
浴を出たポリケトン凝固体を平均粒径が0.001〜1
0μmの微粒子分散液で処理し、微粒子を凝固体の全体
積に対して5〜70体積%含浸せしめた後に、洗浄浴中
あるいは乾燥後あるいは延伸後に該微粒子を抽出するこ
とでも本発明のポリケトン多孔体を得ることが出来る。 ・また、酸性化合物または塩基性化合物を含有せしめた
ドープあるいは凝固体に、塩基性化合物または酸性化合
物を添加し、ポリケトン凝固体中に塩微粒子を析出せし
めた後に、該微粒子を溶解抽出することでポリケトン多
孔体が得られる。
【0031】(3) 中空糸 本発明のもう一つの態様は内部に少なくとも一つの長手
方向に貫通した空隙を有する中空糸であり、該空隙の割
合が10〜80体積%であることを特徴とするポリケト
ン中空糸である。該中空糸のポリケトン部分が上述の微
多孔を有するものであっても、微多孔を有さないもので
あっても構わない。ポリケトン部分に微多孔を有さない
ポリケトン中空糸は、嵩高性・軽量性に優れ、また、微
多孔体を有するポリケトン中空糸に比べて高強度・高弾
性率の特長を有し、エアバッグやセールクロス等の高密
度織物や濾過布や清掃用の不織布に有用である。該中空
糸に用いるポリケトンは上述のポリケトン多孔体に用い
るものと同じものが適用出来る。中空糸内部の長手方向
に貫通した空隙(中空部)の割合は、嵩高性、軽量性の
観点から10体積%以上であることが必要である。一
方、80体積%を超えると中空糸の力学特性が著しく低
下するため、好ましくは10〜80体積%、より好まし
くは20〜60体積%であることが望ましい。繊維内部
にある中空部の数は特に制限はなく1本であってもまた
複数本であってもよい。ポリケトン多孔体繊維の径は特
に制限はないが、1〜10000μmの範囲が一般的で
あり、10〜1000μmの範囲が好適に用いられる。
繊維は1本で用いてもまたマルチフィラメントとして用
いてもよく、長繊維あるいは短繊維として用いてもよ
い。
【0032】該中空糸は、結晶化度および結晶配向度で
表される構造パラメーターが高いものが望ましい。結晶
化度は高いほど高強度、高寸法安定性、高耐熱性、高耐
薬品性となるため、50%以上、より好ましくは60%
以上であることが望ましい。 また、結晶配向度が高い
ほど強度や寸法安定性等の力学特性に優れる材料とな
る。結晶配向度は、繊維中の分子鎖が繊維軸方向に配列
する規則性の度合いを表す構造パラメーターであり、好
ましくは結晶配向度が60%以上、より好ましくは80
%以上、特に好ましくは90%以上であることが望まし
い。該中空糸は優れた力学特性を有することが望まれ、
具体的には引っ張り強度が1MPa以上であることが望
ましく、より好ましくは100MPa以上、特に好まし
くは500MPa以上であることが望ましい。また、融
点は高いほど高温環境に曝される用途での展開が可能と
なるため、好ましくは200℃以上、より好ましくは2
20℃以上、特に好ましくは240℃以上であることが
望ましい。本発明のポリケトン多孔体は、微細な空隙を
多数有し、高強度・高融点で耐薬品性、寸法安定性に優
れるものである。そのまま繊維状で用いて多孔質軽量材
料として、また、そのままフィルム状で用いて分離膜と
して、微多孔内に機能性化合物を含有せしめて機能性材
料として、さらには中空糸状で用いて分離膜として有用
である。
【0033】
【発明の実施の形態】本発明を、下記の実施例により具
体的に説明するが、それらは本発明の範囲を限定するも
のではない。本発明に用いられる各測定値の測定方法は
次の通りである。 (1) 極限粘度 極限粘度[η]は次の定義式に基づいて求められる値で
ある。 [η]=lim(T−t)/(t・C) [dl/g] C→0 (ただし、式中のt及びTは、純度98%以上のヘキサ
フルオロイソプロパノール及びヘキサフルオロイソプロ
パノールに溶解したポリケトンの希釈溶液の25℃での
粘度管の流過時間である。Cは上記溶液100ml中の
グラム単位による溶質質量値である。)
【0034】(2) 繊維の外径、フィルム厚み 任意の10本の繊維について外径を光学顕微鏡にて写真
撮影し、それぞれの外径計測しその平均値を繊維の外径
DF(μm)とする。フィルムを幅5mm、長さ100
mmの短冊状に切り、任意の10片の短冊について光学
顕微鏡写真を撮影し、それぞれの厚みを計測しその平均
値をフィルムの厚みDM(μm)とする。 (3) 中空部の外径 中空糸の任意の5カ所の横断面を光学顕微鏡にて写真撮
影し、それぞれの中空部の外径を計測しその平均値を中
空部の外径DT(μm)とする。
【0035】(4) 微多孔の平均孔径、体積割合 ポリケトン繊維およびフィルムを液体窒素に浸漬冷却し
た状態で切断し、繊維の横断面切片(図1)およびフィ
ルムの横断面切片(図2)を調製する。電子顕微鏡を用
いて、得られた切片の倍率500〜50000倍の写真
(画像)を撮影した。撮影したネガ画像を画像解析装置
(IP1000−PC:旭化成社製)を用いて、以下の
方法で計測する。スキャナー(JX−330)を使用し
て、ネガ画像を白黒256階調(ガンマ補正値は2.
2)で取り込む。取り込み領域は撮影倍率によって選択
した。取り込んだ256階調の画像に対し、2値化処理
を行う。この際に設定したパラメーターは、(1) しきい
値(=自動)、(2) シェーディング補正処理(=有
り)、(3) 穴埋め処理(=有り)、(4) ガンマ補正処理
(=補正値γ=2.2)である。得られた2値化画像よ
り、計測エリアラインに接触して、一部が計測範囲から
外れた孔および中空糸の中空部分を除去した後に、粒子
解析を行い、対象孔の円相当径および円相当面積割合を
求める。5視野計測した後に、計測した全孔の円相当径
および円相当面積割合について算術平均値を計算し、平
均孔径DP(μm)および平均微多孔体積割合VP
(%)とする。
【0036】(5) 中空率 (2) 、(3) で求められた繊維外径、中空部外径から下式
により中空部の体積割合(中空率)VTを求める。 VT = DT2/DF2×100 (%) (6) 全空隙部の体積割合 (4) で求められる平均微多孔体積割合VPおよび(5) で
求められる中空率VTより、下式により求める。 全空隙部の体積割合=VT+(100−VT)/100×VP (%) (7) 結晶化度 パーキンエルマー社製示差熱測定装置Pyris1を用
いて下記条件で測定を行う。サンプルは長さ5mmにカ
ットしたものを用いる。 サンプル質量: 1mg 測定温度 : 30℃→300℃ 昇温速度 : 20℃/分 雰囲気 : 窒素、流量=200mL/分 得られる吸発熱曲線において200〜300℃の範囲に
観測される最大の吸熱ピークの面積から計算される熱量
ΔH(J/g)より下記式により算出する。 結晶化度 = ΔH/225 × 100 (%)
【0037】(8) 結晶配向度 株式会社リガク製イメージングプレートX線回折装置R
INT2000を用いて下記の条件で繊維の回折像を取
り込む。 X線源 : CuKα線 出力 : 40KV 152mA カメラ長 : 94.5mm 測定時間 : 3分 得られた画像の2θ=21°付近に観察される(11
0)面を円周方向にスキャンして得られる強度分布の半
値幅Hから下記式により算出する。 結晶配向度=(180−H)/180×100 (%)
【0038】(9) 融点 (7) で得られる吸発熱曲線の200〜300℃の範囲に
観測される最大の吸熱ピークのピークトップ温度を融点
とする。 (10) 残存金属量 高周波プラズマ発光分光分析により、公知の方法を用い
てポリケトン多孔体中の亜鉛量およびカルシウム量を測
定する。 (11) 引張強度 JIS−L−1013に基づいて測定する。繊維は試料
長200mm、フィルムについては幅5.0mm、長さ
100mmの短冊状で測定する。フィルムに関しては、
直交する二方向について測定を行いその平均値を用い
る。試料の断面積は以下の式より求められる値を用い
る。 繊維の断面積 = 3.14×(DF/2)2 (μm2) フィルムの断面積 = 5.0×DM×103 (μm2) (12) 沸水収縮率 試料を沸騰水(100℃)中で30分間の処理前の試料
長(Lb)、処理後の試料長(La)を測定し下式より算
出する。繊維試料は繊維軸方向の試料長を測定し、フィ
ルムに関しては、直交する二方向について測定を行いそ
の平均値を収縮率とする。 沸水収縮率=(Lb−La)/Lb×100 (%)
【0039】A.(繊維)
【実施例1】常法により調製したエチレンと一酸化炭素
が完全交互共重合した極限粘度3.9のポリケトンポリ
マーを、塩化カルシウム40質量%/塩化亜鉛22質量
%を含有する水溶液に添加し、80℃で2時間攪拌後さ
らに90℃で1時間溶解しポリマー濃度10質量%のド
ープを得た。得られたドープを、紡口径0.25mm
φ、L/D=1、ホール数50の紡口より10mmのエ
アーギャップを通した後に、2質量%の塩化カルシウム
及び1.1質量%の塩化亜鉛、0.1質量%の塩酸を含
有する−2℃の水からなる凝固浴に吐出量12.3cc
/分で押し出し凝固糸条とした。引き続きポリケトン凝
固糸を濃度2質量%の塩酸水溶液で洗浄し、さらに40
℃の水で仕上げ洗浄を行った後、速度5m/分で巻き取
った。得られた糸条を簡易脱水した後に、200℃で2
0秒間(膨潤度120%)、引き続き150℃で10秒
間(膨潤度60%)、さらに100℃で1分間の定長乾
燥を行った。乾燥終了後、160℃で20秒の定長熱処
理を行った。この繊維は、内部に平均孔径0.06μm
の微多孔を12.7体積%含有する微多孔繊維であっ
た。
【0040】
【実施例2】実施例1の酸洗浄、水洗を行ったポリケト
ン凝固糸を巻き取り、引き続き1Pa、70℃にて乾燥
を行った。乾燥終了後、160℃で20秒の定長熱処理
を行った。この繊維は、平均孔径0.23μmの孔を3
1.1体積%含有する微多孔繊維であった。
【実施例3】実施例1において凝固浴を水/アセトンを
40質量%/60質量%の割合で含有する混合溶液とす
る以外は同様にして凝固を行い、引き続き酸洗浄、水洗
を行った。水洗後アセトンで洗浄を行い、さらに洗浄し
た凝固糸条をtert−ブチルアルコールに浸漬した後
にボビンに巻き取った。巻き取った凝固糸条を液体窒素
で凍結後、0.01Paの減圧下10分の乾燥を行っ
た。乾燥終了後、160℃で20秒の定長熱処理を行っ
た。この繊維は、平均孔径2.5μmの孔を60.6体
積%含有する微多孔繊維であった。
【0041】
【実施例4】実施例2において、ポリケトンの極限粘度
9.9、ドープのポリマー濃度を4.5質量%とする以
外は同様にして凝固、洗浄、乾燥、熱処理を行った。こ
の繊維は、平均孔径1.2μmの孔を38.9体積%含
有する微多孔繊維であった。
【実施例5】実施例1において、ポリケトンの極限粘度
1.8、ドープのポリマー濃度を20質量%とする以外
は同様にして凝固、洗浄、乾燥、熱処理を行った。この
繊維は、平均孔径0.03μmの孔を6.9体積%含有
する微多孔繊維であった。
【実施例6】実施例4において酸洗浄後の凝固糸を平均
粒径0.3μm、濃度20%の二酸化ケイ素分散液に浸
漬し、二酸化ケイ素微粒子含有凝固糸を得た。凝固糸を
200℃で30秒の乾燥を行った後に、温度60℃の1
N水酸化ナトリウム水溶液で洗浄し糸内部の二酸化ケイ
素微粒子を抽出除去した。引き続き、水洗を行い実施例
2と同じ条件で乾燥、熱処理を行った。この繊維は、平
均孔径0.27μmの孔を22.5体積%含有する微多
孔繊維であった。
【0042】
【実施例7】実施例4において酸洗浄後の凝固糸をアセ
トンに浸漬後、トリメチルホスフェートを2質量%含有
するエチレングリコール浴中に入れ、引き続き酢酸マグ
ネシウムを2質量%含有するエチレングリコール浴に浸
漬後、糸条を100℃に加熱し、内部に平均粒径0.3
μmのトリメチルホスフェートマグネシウム塩微粒子を
含有するポリケトン糸を得た。引き続き、該ポリケトン
糸を水洗後、温度60℃の1N水酸化ナトリウム水溶液
で処理して糸内部のトリメチルホスフェートマグネシウ
ム塩微粒子を抽出除去した。引き続き、水洗を行い実施
例2と同じ条件で乾燥、熱処理を行った。この繊維は、
平均孔径0.25μmの孔を10.5体積%含有する微
多孔繊維であった。
【0043】
【実施例8】実施例2において、洗浄後の凝固糸を80
℃で2.5倍の延伸を行う以外は同じ条件で凝固、洗
浄、乾燥、熱処理を行った。この繊維は、平均孔径0.
07μmの孔を16.2体積%含有する微多孔繊維であ
った。
【実施例9】実施例6において得られた二酸化ケイ素微
粒子含有凝固糸を225℃で30秒間の乾燥を行った後
に、230℃で4倍、243℃で2倍、255℃で1.
5倍の熱延伸を行った後に、温度60℃の1N水酸化ナ
トリウム水溶液で処理し糸内部の二酸化ケイ素微粒子を
抽出除去した。引き続き、水洗、アセトン洗浄、ter
t−ブチルアルコール洗浄を行った後に実施例3と同じ
条件で乾燥、熱処理を行った。この繊維は、平均孔径
0.04μmの孔を12.5体積%含有する微多孔繊維
であった。
【0044】
【実施例10】常法によりポリケトンとして1−オキソ
トリメチレン/1−オキソ,3−メチルトリメチレンが
93質量%/7質量%のターポリマー(極限粘度1.
3)を重合した。このターポリマーにカルシウムヒドロ
キシアパタイトを0.5質量%、IRGANOX(登録
商標;チバスペシャリティケミカルス社)1098を
0.1質量%、IRGANOX(登録商標;チバスペシ
ャリティケミカルス社)1076を0.1質量%添加
し、さらに平均粒径0.3μmの二酸化ケイ素微粒子を
15質量%添加混合した。このポリマー混合物を235
℃で溶融し、0.35mmφ、L/D=2、ホール数7
5の紡口より吐出量144.2cc/分で押し出し、風
速2m/分、温度10℃の冷却風で冷却固化せしめ、速
度200m/分で巻き取った。引き続き、温度60℃の
1N水酸化ナトリウム水溶液で処理し糸内部の二酸化ケ
イ素微粒子を抽出した。さらに、水洗、アセトン洗浄、
tert−ブチルアルコール洗浄を行った後に実施例3
と同じ条件で乾燥、熱処理を行った。この繊維は、平均
孔径0.18μmの孔を10.1体積%含有する微多孔
繊維であった。
【0045】
【比較例1】実施例1において、乾燥を240℃で1分
間とし、熱処理を行わない以外は同様にして凝固、洗
浄、乾燥を行った。得られた糸は、明瞭な孔はほとんど
観察されず、孔の体積割合は0.5%にすぎなかった。
【比較例2】塩化亜鉛/塩化ナトリウムを65質量%/
10質量%の割合で含有する水溶液に、実施例1で用い
たポリケトンを濃度6質量%および平均粒径12μmの
二酸化ケイ素微粒子を3質量%添加して80℃で攪拌溶
解しドープとした。このドープを80℃に加温し、孔径
1mmのマイクロシリンジより10mmのエアギャップ
を経て10℃の水中に押し出し凝固した。得られた糸状
物を塩酸浴に浸漬後、水洗を行った後に、温度60℃の
1N水酸化ナトリウム水溶液で処理し糸内部の二酸化ケ
イ素微粒子を抽出除去した。引き続き、水洗、アセトン
洗浄、tert−ブチルアルコール洗浄を行った後に実
施例3と同じ条件で乾燥、熱処理を行った。得られた糸
状物は、平均孔径が12.3μmと大きいもので、各所
でポリケトン同士が不連続となっていた。このポリケト
ン繊維は強度が7MPaと低く、取り扱い時に容易に形
態が壊れるなど非常に脆いものであった。
【0046】
【比較例3】塩化亜鉛/塩化ナトリウムを65質量%/
10質量%の割合で含有する水溶液に、実施例1で用い
たポリケトンを濃度4質量%および平均粒径0.3μm
の二酸化ケイ素微粒子を16質量%添加して80℃で攪
拌溶解しドープとした。このドープを80℃に加温し、
孔径1mmのマイクロシリンジより10mmのエアギャ
ップを経て10℃の水中に押し出し凝固した。得られた
凝固物を比較例2と同様の処方で処理して、ポリケトン
糸状物を得た。この糸状物を電子顕微鏡で観察したとこ
ろ、微多孔の体積割合が81.2%と高く、支持体であ
るポリケトンが不連続で非常に脆弱な構造であることが
確認された。このポリケトン多孔体は形態の維持が困難
であったため、引っ張り強度については、糸長を10m
mとして測定した。
【0047】実施例1〜10および比較例1〜3で得ら
れたポリケトンフィルムの構造及び性能を表2にまとめ
て示す。
【表1】
【0048】B.(フィルム)
【実施例11】実施例1で得られたポリケトンドープを
安田精機(株)社製製膜機(AUTOMATIC FI
LM APPLICATOR No.542−AB)を
用いて、80℃に加温されたガラス板上に厚み0.5m
mでキャストした。ドープをキャストしたガラス板を−
20℃のメタノールに浸漬凝固後、2℃の水に浸漬し、
引き続き20℃の0.1%塩酸水溶液にて洗浄した。さ
らに、水洗後、アセトン洗浄、tert−ブチルアルコ
ール洗浄を行った後に実施例3と同じ条件で乾燥、熱処
理を行い、ポリケトン多孔膜を得た。この膜は、平均孔
径3.1μmの孔を45.2体積%含有する微多孔膜で
あり、力学特性、寸法安定性、耐熱性も分離膜・透過膜
として実用的な性能を有していた。
【0049】
【実施例12】塩化亜鉛/塩化ナトリウムを65質量%
/10質量%の割合で含有する水溶液に、実施例1で調
製した極限粘度3.9のポリケトンを濃度10質量%、
平均粒径0.3μmの二酸化ケイ素微粒子を2.5質量
%を添加して、80℃で攪拌溶解しドープとした。この
ドープを実施例11と同じ処方でガラス板上にキャス
ト、凝固、酸洗浄、水洗を行った後に、温度60℃の1
N水酸化ナトリウム水溶液で処理し糸内部のシリカ微粒
子を抽出除去した。引き続き、水洗、アセトン洗浄、t
ert−ブチルアルコール洗浄を行った後に実施例3と
同じ条件で乾燥、熱処理を行い、ポリケトン多孔膜を得
た。この膜は、平均孔径0.28μmの孔を18.5体
積%含有する微多孔膜であった。
【0050】
【実施例13】メタノールを重合媒体としアリルスルホ
ン酸ナトリウムを添加する以外は常法に従い、ポリケト
ンの重合を行い、1−オキソトリメチレンを97.5質
量%、1−オキソ,3スルホナトリウムトリメチレンを
2.5質量%からなる極限粘度4.3のポリケトンを得
た。このポリケトンをドープキャスト時の厚みを0.3
mmとする以外は実施例2と同じ処方で製膜し、スルホ
ン化ポリケトン多孔膜を得た。この膜は、平均孔径0.
08μmの孔を20.5体積%含有する微多孔膜であっ
た。
【0051】
【比較例4】実施例1で用いたポリケトンをヘキサフル
オロイソプロパノール(HFIP)にポリマー濃度7質
量%で溶解しドープとした。実施例11で用いた製膜機
にて、厚み0.5mmでガラス板上にキャストしたキャ
ストした。ドープをキャストしたガラス板を0℃のイソ
プロピルアルコールに10分間浸漬しHFIPを除去
し、液体窒素にて凍結後、0.01Paにて乾燥を行
い、ポリケトン多孔膜を得た。得られた膜は、平均孔径
5.5μmの孔を81.2体積%含有する疎な構造であ
り、強度が低く、非常に脆く分離膜としては実用が困難
なものであった。
【0052】
【比較例5】比較例4においてドープをキャストしたガ
ラス板を水に10分間浸漬してHFIPを除去し、引き
続きアセトン洗浄を行った後、さらに液体窒素にて凍結
後、0.01Paにて乾燥を行い、ポリケトン多孔膜を
得た。得られた膜は、平均孔径2.4μmの孔を75.
5体積%含有する疎な構造であり、強度が低く、非常に
脆く分離膜としては実用が困難なものであった。
【比較例6】実施例11で調製したドープを用い、厚み
0.3mm、幅180mmのダイより25℃の水中に押
し出してフィルム状凝固体とし、引き続きメッシュロー
ル上で0.1%の塩酸洗浄、40℃での水洗を行った後
に、200℃のドラムロール上で20秒間、引き続き2
30℃のドラムロール上で50秒間の乾燥を行った。こ
のフィルム状物の断面を電子顕微鏡観察したところ、明
瞭な孔は少数しか観察されず孔の体積割合は3.2%で
あり、分離膜としては不十分なものであった。
【0053】実施例11〜13および比較例4〜6で得
られたポリケトンフィルムの構造及び性能を表2にまと
めて示す。
【表2】
【0054】C.(中空糸)
【実施例14】円筒二重管からなるオリフィス(図3)
を用い、二重管の外側の輪状オリフィスより実施例1で
調製したドープを、また二重管内側の円形オリフィスか
らは0.15MPaに加圧した水を吐出した。図3は本
発明の中空糸製造に用いた二重管オリフィスの紡出面を
表す図である。実施例14では、図中の外外径=1.0
mm、外内径=0.6mm、内外径=0.5mmのサイ
ズの二重管オリフィスを用いた。オリフィスより吐出さ
れたドープは10mmのエアギャップを経て温度−2
℃、6質量%の塩化カルシウム及び3.3質量%の塩化
亜鉛、0.3質量%の塩酸を含有するの水溶液からなる
凝固浴に押し出し凝固糸条とし、引き続き2質量%の塩
化カルシウム及び1.1質量%の塩化亜鉛、0.1%の
塩酸を含有する浴を通し、得られたポリケトン凝固糸を
濃度2質量%の塩酸水溶液で洗浄し、さらに濃度0.5
質量%の塩酸水溶液で洗浄後、40℃の温水で仕上げ洗
浄を行った。得られた凝固糸を180℃で1分間乾燥
後、引き続き225℃で1分間の乾燥を行った。得られ
た糸は、繊維の中央に貫通した円筒形の空隙を有する中
空糸であり、中空率は21.2%であった。
【0055】
【実施例15】実施例14で得られた中空糸を225℃
で5倍、240℃で2倍の熱延伸を行った。得られた糸
は中空率が17.3%で、強度が855MPa、融点が
265℃と非常に優れた力学特性、熱特性を有してい
た。
【実施例16】実施例14において、乾燥温度を160
℃で50秒間、125℃で20秒間、100℃で1分
間、引き続き160℃で20秒の熱処理を行う以外は実
施例14と同様にして凝固、洗浄を行いポリケトン繊維
を得た。得られた糸は、微多孔の平均孔径が0.09μ
m、微多孔の体積割合が16.1%、中空率が24.5
%と中空糸膜として活用可能な構造を有していた。
【実施例17】実施例14において、洗浄後の凝固糸を
アセトン洗浄、tert−ブチルアルコール洗浄を行っ
た後に実施例3と同じ条件で乾燥、熱処理を行い、ポリ
ケトン繊維を得た。得られた糸は、微多孔の平均孔径が
3.5μm、微多孔の体積割合が62.2%、中空率が
24.9%と中空糸膜として十分な構造を有していた。
【0056】
【実施例18】図3の二重管オリフィスの図において、
外外径=1.0mm、外内径=0.8mm、内外径=
0.7mmのサイズの二重管オリフィスを用いる以外は
実施例16と同様の処方で、凝固、洗浄、乾燥、熱処理
を行いポリケトン繊維を得た。得られた糸は、微多孔の
平均孔径が0.1μm、微多孔の体積割合が20.1
%、中空率が42%と中空糸膜として十分な構造を有し
ていた。
【実施例19】実施例13で調製したドープを用いる以
外は、実施例16と同じ処方で凝固、洗浄、乾燥、熱処
理を行い、スルホン化ポリケトン中空糸を得た。得られ
た糸は、微多孔の平均孔径が0.05μm、微多孔の体
積割合が8.7%、中空率が20.5%と中空糸膜とし
て利用出来る構造を有していた。
【0057】
【比較例7】実施例14において、二重管オリフィスの
内側の円形オリフィスからポリケトンの溶剤である塩化
カルシウム40質量%/塩化亜鉛22質量%を含有する
水溶液を0.15MPaで吐出する以外は同様にして、
凝固、洗浄、乾燥、熱処理を行った。繊維断面はほとん
どの箇所で閉塞しており、繊維軸方向に貫通する空隙は
観察されなかった。
【比較例8】中空率が80%を超える中空糸を得る目的
で、図3の二重管オリフィスの図において、外外径=
1.0mm、外内径=0.95mm、内外径=0.85
mmのサイズの二重管オリフィスを用いる以外は実施例
14と同様の処方で、凝固、洗浄、乾燥、熱処理を行っ
た。得られた繊維は、繊維外壁の一部が欠落したいわゆ
るC型断面となっており、均一な中空を有する糸を得る
ことが出来なかった。
【0058】実施例14〜19および比較例7、8で得
られたポリケトン中空糸の構造及び性能を表3にまとめ
て示す。
【表3】
【0059】
【発明の効果】本発明によると、内部に微細な孔を多数
有し、かつ、強度、寸法安定性、耐薬品性、耐熱性の力
学特性、熱特性に優れるポリケトン多孔体が得られる。
本発明のポリケトン多孔体は、繊維状やフィルム状、さ
らには中空糸状にして用いると特に有用である。繊維状
とした場合には、そのまま用いると可視光遮蔽繊維や各
種機能性化合物の支持体として用いられ、また、フィル
ム状および中空糸状とした場合には、汚水処理、含油廃
水処理、工業用純水の製造、果汁の処理等の水溶液濾過
膜として、また、有機液体中の不純物除去、有機液体の
回収等の有機溶液濾過膜として、またイオン性液体の透
過膜として、さらには血液や体液の透析膜として極めて
有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において、微多孔の平均孔径および体積
割合を計測する際の繊維試料の横断面の位置を表す図で
ある。
【図2】本発明において、微多孔の平均孔径および体積
割合を計測する際のフィルム試料の横断面の位置を表す
図である。
【図3】本発明の中空糸製造に用いた二重管オリフィス
の紡出面の概要を表す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4D006 GA02 GA41 MA01 MA03 MA22 MA26 MB11 MB16 MB20 MC44X MC73X MC74X MC75X MC78X NA05 NA10 NA16 NA55 NA63 NA64 PB09 PB12 PB17 4F074 AA56 CB33 CB43 CC28Z CC29Z CC32Z CC37Z DA08 DA13 DA15 DA24 DA44 DA53 DA59 4L035 BB04 BB15 BB31 BB54 CC20 DD03 DD07

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 オレフィンと一酸化炭素の共重合体とか
    らなるポリケトンにより構成されたポリケトン成形体に
    おいて、平均孔径が0.001〜10μmである孔を5
    〜70体積%含有することを特徴とするポリケトン多孔
    体。
  2. 【請求項2】 平均孔径が0.01〜1μmの孔の割合
    が15〜50体積%であることを特徴とする請求項1記
    載のポリケトン多孔体。
  3. 【請求項3】 繰り返し単位の90質量%以上が式(1)
    の1−オキソトリメチレンであることを特徴とする請求
    項1または2のいずれか1項に記載のポリケトン多孔
    体。 【化1】
  4. 【請求項4】 繰り返し単位の0.1〜10質量%が、
    1−オキソトリメチレンの水素原子の少なくとも一つが
    {−SO3X基、−COOX基、−PO3X基}または
    {−R−SO3X基、−R−COOX基、−R−PO3
    基}の群から選ばれる少なくも一つの基と置換した繰り
    返し単位であることを特徴とする請求項1〜3のいずれ
    かに記載のポリケトン多孔体。(ここで、Xは水素、ア
    ルカリ金属、アンモニウム、ホスホニウムの群から選ば
    れる化合物であり、Rは炭素、窒素、酸素の群から選ば
    れる元素を少なくとも一つ以上有する有機基である。)
  5. 【請求項5】 ポリケトン多孔体が繊維であることを特
    徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリケトン多
    孔体。
  6. 【請求項6】 ポリケトン繊維が内部に少なくとも一つ
    の長手方向に貫通した空隙を有する中空糸であることを
    特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のポリケトン
    多孔体。
  7. 【請求項7】 繊維の内部にあり長手方向に貫通する空
    隙の割合が10〜60体積%であることを特徴とする請
    求項1〜6のいずれかに記載のポリケトン多孔体。
  8. 【請求項8】 結晶化度が60%以上、結晶配向度が8
    0%以上であることを特徴とする請求項5〜7のいずれ
    かに記載のポリケトン繊維。
  9. 【請求項9】 ポリケトン多孔体がフィルム状であるこ
    とを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリケ
    トン多孔体。
  10. 【請求項10】 ハロゲン化亜鉛を含有する溶液にポリ
    ケトンを溶解したドープを、ポリケトンに対して非溶解
    性である液体(A) 中に押出して固化せしめて多孔体とし
    た後に、該多孔体中の液体(A) を沸点20〜200℃の
    液体(B) に置換した後に乾燥する工程を含むポリケトン
    多孔体の製造方法であって、乾燥温度Tが以下の範囲に
    あることを特徴とするポリケトン多孔体の製造方法。 1:膨潤度≧100%の段階、 液体(B) の沸点+60℃≦T≦200℃ (ただし、液体(B)の沸点が140℃以上の場合はT
    =200℃) 2:50≦膨潤度≦100%の段階、 液体(B) の沸点≦T≦200℃ 3:膨潤度≦50%の段階、 液体(B) の沸点≦T≦液体(B) の沸点+20℃ (ただし、膨潤度とは、液体(B)の質量をB、ポリケ
    トンの質量をPとして下式により算出される値である。 膨潤度(%) =B/P×100 )
  11. 【請求項11】 平均粒径0.001〜10μmである
    微粒子を5〜70体積%含有するポリケトン成形体か
    ら、該微粒子を抽出除去する工程を含むことを特徴とす
    るポリケトン多孔体の製造方法。
  12. 【請求項12】 内部に少なくとも一つの長手方向に貫
    通した空隙を有する中空糸であり、該空隙の割合が10
    〜80体積%であることを特徴とするポリケトン中空
    糸。
  13. 【請求項13】 繊維の内部にあり長手方向に貫通する
    空隙の割合が20〜60体積%であることを特徴とする
    請求項12に記載のポリケトン中空糸。
  14. 【請求項14】 結晶化度が50%以上、結晶配向度が
    60%以上であることを特徴とする請求項12又は13
    に記載のポリケトン中空糸。
  15. 【請求項15】 引張強度が500MPa以上であるこ
    とを特徴とする請求項12〜14記載のポリケトン中空
    糸。
  16. 【請求項16】 二重管オリフィスを用いて中空糸を製
    造する湿式紡糸法において、外側の輪状オリフィスから
    ポリケトンを溶解したドープを吐出すると共に、内側の
    円状オリフィスからは0.01MPa以上の圧力をかけ
    てポリケトンの非溶剤である液体を吐出した後に、ポリ
    ケトンドープを凝固浴中にて中空状に凝固する工程を含
    むことを特徴とするポリケトン中空糸の製造方法。
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