JP2002348401A - ポリケトン多孔体 - Google Patents
ポリケトン多孔体Info
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Abstract
とからなるポリケトンにより構成されたポリケトン成形
体において、平均孔径=0.001〜10μmの孔を5
〜70体積%含有するポリケトン多孔体。 内部に少
なくとも一つの長手方向に貫通した空隙を有する中空糸
であって、該空隙の割合が10〜80体積%であるポリ
ケトン中空糸。 【効果】 内部に微細孔を多数有し、強度、寸法安定
性、耐薬品性、耐熱性に優れ、水溶液、有機溶液、電解
質溶液、生体液の分離膜、透析膜として特に有用であ
る。
Description
するポリケトン成形体に関する。さらに詳しくは、本発
明は平均孔径が0.001〜10μmである孔を5〜7
0体積%含有するするポリケトン多孔体に関する。該多
孔体は成形体内部および/または表面に多数の空隙を有
するにも関わらず、高い結晶化度および高い融点を有
し、繊維や中空糸膜、フィルム状膜の形状として使用さ
れる。また、該多孔体は高強度であり寸法安定性にも優
れ、さらには優れた耐熱性、耐薬品性を有し、そのま
ま、あるいは膜モジュールに加工され、水性液体や有機
液体、血液、気体等の分離膜として有用である。
ウムやニッケルを触媒として重合させることにより、一
酸化炭素とオレフィンが実質的完全に交互共重合した脂
肪族ポリケトンが得られることが見い出された。該ポリ
ケトンからなる繊維やフィルム、樹脂は高結晶性で、高
力学物性、高融点、高ガスバリアー性、耐薬品性に優れ
る等の特性を有し、次世代の汎用高分子材料として期待
されている。ポリケトンからなる繊維やフィルムに関し
てはこれまで多数の文献が知られている(例えば、特開
平1−124617号公報、特開平2−112413号
公報、特開平3−120028号公報、特表平4−50
5344号公報、特表平7−508317号公報、特表
平8−507328号公報、米国特許5955019
号、WO9918143号、WO0042089号、特
開平11−60754号公報、WO0009611号、
特開2000−345431号公報)。
部や表面に微細な孔を多数有するポリケトン繊維やポリ
ケトン中空糸に関する技術は全く知られていない。唯
一、特開平2−4431号公報において、平均孔径が
0.1〜10μmの微孔を有するポリケトン膜の技術が
開示されている。この発明はポリケトンの溶剤としてヘ
キサフルオロイソプロパノール(HFIP)を用いた技
術からなされたものであるが、HFIPはポリケトンに
対して非常に良溶媒であるため貧溶剤と接触すると非常
に疎な構造となり、実際にこの溶媒からキャストされて
得られる膜は空隙率は75〜90%と非常に大きなもの
となる。また、この発明で溶媒として記載されているH
FIPやm−クレゾール、o−クロルフェノールは毒性
が強く、取扱性および製品の安全性に極めて問題があ
り、多孔膜の工業的製造法としては用いることが出来な
い。
成形体に関しては、これまで非常に多数の技術が知られ
ており、例えば、ポリエチレン、ポリメチルメタクリレ
ート、ポリ−4−メチルペンテン、セルロース、エチレ
ン・ビニルアルコール共重合体、ポリスルホン等の微多
孔成形体が知られている(繊維学会誌,49,6,p1
95(1993))。これら既存の高分子材料に微多孔
を形成せしめる方法は、延伸時の力により空隙を形成す
る方法(例えば、特開昭53−143671号公報)、
乾湿式成形時にポリマーに微粒子状の分散物質を添加し
成形後に分散物質を除去する方法(例えば、特開平10
−168659号公報)、乾湿式成形時の相分離構造を
制御する方法(例えば、特公昭53−6249号公報)
等が知られている。
リケトンにそのまま適用することは出来ない。例えば、
ポリケトンは極めて高結晶性であるため容易にネック延
伸を行うことが出来ず延伸による微多孔形成は困難であ
る。また、分散物質を除去する方法においてはポリマー
や溶剤、凝固浴の組成・性状により分散相の種類・形状
や大きさが異なるため、これら従来技術をそのままポリ
ケトンに適用することは出来ない。また、溶剤に溶解し
たポリマーを特定条件下の凝固浴中で相分離せしめるこ
とで、微多孔を有する成形体を得ることが知られている
が、微多孔構造を形成せしめる凝固・成形条件はポリマ
ーおよび溶剤の種類、凝固浴の組成等により全く異なる
ため、従来のポリマーの相分離による微多孔構造形成に
関する文献は、相分離によるポリケトン多孔体およびそ
れを得るための技術要件については何の知見も与えるも
のではない。
とする課題は、オレフィンと一酸化炭素の共重合体とか
らなるポリケトンにより構成されたポリケトン成形体に
おいて、内部に微細な孔を多数有しかつ力学特性、耐熱
性、耐薬品性、寸法安定性に優れ、そのまま繊維状とし
て、各種機能性化合物の支持体として、また、フィルム
状あるいは中空糸状として、水性液体や有機液体、血
液、気体等の分離膜として効果的なポリケトン多孔体を
提供することである。
レフィンと一酸化炭素の共重合体とからなるポリケトン
により構成されたポリケトン成形体において、平均孔径
が0.001〜10μmである孔を5〜70体積%含有
するポリケトン多孔体である。本発明においてポリケト
ン成形体とは、繊維、フィルム、棒、ブロック、球、
筒、鍋状物、布、織編物、シート、多層積層物等のポリ
ケトンからなる人工物を意味し、多孔体とは内部および
/または表面に微細な空隙が多数存在する該成形体を意
味する。
ポリケトン原料は、オレフィンと一酸化炭素を共重合し
てなるポリマーである。より詳細には、本発明のポリケ
トンは、強度、寸法安定性、耐熱性、耐薬品性等の観点
から、エチレンと一酸化炭素が結合した下記式(1) で示
す1−オキソトリメチレンを主たる繰り返し単位とする
ことが好ましい。具体的には90質量%以上が該1−オ
キソトリメチレンであることが望ましい。
のオレフィンやスチレン、酢酸ビニル等の不飽和炭化水
素を有する化合物と一酸化炭素の結合してなる単位を有
していても良い。
オンの透過性、吸着性を付与する目的では、1−オキソ
トリメチレンの水素原子の少なくとも一つが{−SO3
X基、−COOX基、−PO3X基}または{−R−S
O3X基、−R−COOX基、−R−PO3X基}の群か
ら選ばれる少なくも一つの基と置換した繰り返し単位を
有するポリケトンを用いると有用である。(ここで、X
は水素、アルカリ金属、アンモニウム、ホスホニウムの
群から選ばれる化合物であり、Rは炭素、窒素、酸素の
群から選ばれる元素を少なくとも一つ以上有する有機基
である。) この場合、エチレン性不飽和炭化水素とSO3X基お
よび/またはCOOX基および/またはPO3X基とを
有する化合物と一酸化炭素とを共重合したものであって
もよく、 エチレン性不飽和炭化水素とスルホン酸エステル基お
よび/またはカルボン酸エステル基および/またはリン
酸エステル基とを有する化合物と一酸化炭素を共重合し
たものを加水分解したもの、あるいは ポリケトンを重合後、スルホン化や酸化したものであ
ってもよい。
ウムや、アクリル酸、メタクリル酸、ウンデシレン酸等
とオレフィン、一酸化炭素との共重合体が挙げられ、
の例としては、アクリル酸メチルやメタクリル酸メチル
等とオレフィン、一酸化炭素とを共重合後、酸やアルカ
リ溶液で加水分解したものが挙げられ、の例として
は、特開平3−122122号公報に記載のスルホン化
方法等が挙げられる。これら極性基を有する繰り返し単
位の割合は、多すぎると親水性が増し、水に対して膨
潤、溶解が起こり、少なすぎると導電性が不十分となる
ため、好ましくは0.01〜20質量%、より好ましく
は0.1〜10質量%とすることが望ましい。
0.001〜10μmである孔を5〜70体積%含有す
るものである。なお、本発明において微多孔の体積割合
とは、ポリケトン多孔体の全体積に占める微多孔部の体
積の割合である。ただし、多孔体が繊維であって、内部
に繊維軸方向に貫通した空隙を有する中空糸の場合に
は、中空部を除いた体積に占める微多孔部の体積の割合
を微多孔の体積割合とする。多孔体の孔の平均孔径およ
び孔の体積分率は本発明の実施例記載の方法により測定
される。平均孔径が0.001μm未満の場合、透過性
能が著しく低下し分離膜としての機能が不十分となる。
また、平均孔径が10μmを超える場合、支持体である
ポリケトンの力学物性が低下し脆弱な材料となってしま
う。平均孔径は用途により要求される大きさが異なるた
め、一概に規定することは出来ないが、孔中に機能性化
合物を分散・含有せしめる場合には添加する化合物の大
きさより若干大きめの大きさが好ましく、一般的には
0.01〜5μmの範囲であることが望ましい。また、
水や有機溶液、血液等の分離膜用途では0.001〜1
0μm、好ましくは0.005〜5μm、より好ましく
は0.01〜1μmであることが望ましい。
多ければ多いほど、機能性化合物の支持体としてはより
多くの化合物を含有できるようになり、また、分離膜と
しては時間当たりの分離速度が速くなり好ましいが、微
多孔の占める体積が70%を超えるとポリケトン多孔体
の力学物性の低下が著しくなるという問題が生じる。こ
のため、好ましくは5〜70体積%、より好ましくは1
0〜60体積%、さらに好ましくは15〜50体積%で
あることが望ましい。また、多孔体の孔はそれぞれ独立
した孔であっても、隣接する孔同士が連結したものであ
ってもよい。強度の観点からは独立孔であることが望ま
しいが、分離膜として用いる場合には分離効率の観点か
ら隣接する孔同士が連結したものが望ましい。
記載した方法で測定される極限粘度で0.3〜20であ
ることが好ましい。得られる多孔体の物性、成形性、重
合コストの観点から、より好ましくは1〜10、最も好
ましくは2〜8である。本発明のポリケトン多孔体はど
のような形態であってもよいが、一般的には繊維状ある
いはフィルム状として用いられる。繊維として用いる場
合は、そのまま微多孔性繊維材料として、あるいは微多
孔内に機能性化合物を保持せしめて機能性繊維材料とし
て、さらには内部に少なくとも一つの長手方向に貫通し
た空隙を有する中空糸膜として用いることが出来る。
合、繊維内部の微多孔の平均孔径を0.1μm以上とす
ると可視光遮蔽繊維としても有用である。また、微多孔
内に機能性化合物を保持せしめる場合、その種類につい
ては特に制限はなく、例えば芳香剤、抗菌剤、難燃剤、
脱臭剤、蛍光剤、紫外線吸収剤、紫外線反射剤、酸化防
止剤、艶消剤、蓄熱剤、顔料、ポリケトン以外の高分子
化合物等の各種化合物が使用出来る。保持せしめる化合
物の状態や形状は特に制限はなく、固体であっても液体
であってもよい。液体で保持せしめる場合には、エマル
ジョンあるいはマイクロカプセルとして保持せしめるこ
とが好ましい。
場合、内部に長手方向に貫通した空隙(中空部)の割合
は特に制限はないが、少なすぎると膜の分離効率が低下
し、また多すぎると中空糸の力学特性が低下するため、
好ましくは10〜70体積%、より好ましくは20〜6
0体積%であることが望ましい。さらに、力学特性、膜
の分離性能の観点から、繊維の全体積に対する微多孔部
の体積と中空部の体積の和が、好ましくは15〜80体
積%、より好ましくは30〜75体積%であることが望
ましい。本発明において中空部の割合は、繊維の全断面
積に対する中空部の面積の100分率で表され、電子顕
微鏡あるいは光学顕微鏡により得られる中空糸の断面写
真から、本発明実施例記載の方法で求めることが出来
る。繊維内部にある中空部の数は特に制限はなく1本で
あってもまた複数本であってもよい。ポリケトン多孔体
繊維の外径は特に制限はないが、1〜10000μmの
範囲が一般的であり、機能性繊維材料として用いる場合
は5〜100μmの範囲が、また、中空糸膜として用い
る場合は100〜5000μmの範囲が好適に用いられ
る。繊維は1本で用いてもまたマルチフィラメントとし
て用いてもよく、長繊維あるいは短繊維として用いても
よい。繊維の断面は円、楕円、三角、星形、アルファベ
ット型等の従来公知の形状を適用することが出来る。
場合、フィルムの厚みは特に制限はなく用途に応じて任
意の厚みと出来るが、通常0.1〜1000μmであ
る。分離膜として用いる場合、膜の厚みの均一性は非常
に重要であり、任意の箇所100点で計測した厚みの、
最小値/最大値が0.8以上であることが望ましい。微
多孔部および中空部は強度を負担しないため、支持体と
なるポリケトンに応力・歪みが集中することになる。こ
のため、ポリケトンのミクロ構造が強固な構造であるこ
とが好ましい。特に、結晶化度は重要なパラメーターで
あり、この値が高いほど高強度、高寸法安定性、高耐熱
性、高耐薬品性となるため、45%以上、より好ましく
は50%以上、特に好ましくは60%以上であることが
望ましい。
繊維軸方向に配向したものが強度や寸法安定性等の力学
特性に優れる材料となる。結晶配向度は、繊維中の分子
鎖が繊維軸方向に配列する規則性の度合いを表す構造パ
ラメーターであり、好ましくは結晶配向度が60%以
上、より好ましくは80%以上、特に好ましくは90%
以上であることが望ましい。
は、引張強度、沸水収縮率、融点が挙げられる。引っ張
り強度は高ければ高いほど支持体であるポリケトンの量
を減らせて微多孔や中空部の割合を増やすことが可能と
なり、より多くの機能性化合物の添加やより効率的な分
離が出来るようになる。このために引張強度としては、
好ましくは10MPa以上、より好ましくは100MP
a以上、特に好ましくは500MPa以上であることが
望ましい。水の分離膜として用いる場合、水に対して膨
潤・変形しないことが重要である。水に対する寸法安定
性のパラメーターとして沸水収縮率があり、この値が小
さいほど水および熱に対して寸法安定性が優れることを
意味し、具体的には−3〜3%であることが好ましく、
より好ましくは−1〜1%、特に好ましくは−0.3〜
0.3%であることが望ましい。
用途での展開が可能となるため、好ましくは200℃以
上、より好ましくは220℃以上、特に好ましくは24
0℃以上であることが望ましい。さらに、耐熱性、耐薬
品性、安全性の観点から、ポリケトン多孔体中に含まれ
る亜鉛やカルシウム等の金属量は少ないことが望まし
く、好ましくは1000ppm以下、より好ましくは1
00ppm以下、特に好ましくは10ppm以下である
ことが望ましい。
に限定されないが、一般的には高分子量・高融点のポ
リケトンでは湿式成形法が、また、融点が230℃未
満のポリケトンについては溶融成形法が用いられる。 湿式成形法の場合、ポリケトンの溶剤をとしては、得
られる多孔体の孔の形状、多孔体の力学特性、安全性、
取扱性の観点から濃厚金属塩溶剤が好適に用いられる。
形法を例に、本発明のポリケトン多孔体の製造法を説明
する。 (1) 相分離による多孔体製造法 ポリケトンを少なくともハロゲン化亜鉛を含有する溶液
に溶解してドープとする。溶剤はハロゲン化亜鉛(例:
塩化亜鉛)単独あるいはハロゲン化亜鉛とその他の塩と
の複合塩の溶液が用いられる。その他の塩としては、ハ
ロゲン化アルカリ金属塩(例:塩化ナトリウム)、ハロ
ゲン化アルカリ土類金属塩(例:塩化カルシウム)等が
挙げられる。ポリケトンをこれら溶剤に溶解し、ポリケ
トンドープが得られる。ドープ中のポリマー濃度を高く
すると多孔体の支持体であるポリケトンが密で孔は微細
となり孔の体積割合を小さくすることが出来る。一方、
ドープ中のポリマー濃度が低いと支持体であるポリケト
ンは疎で孔の体積割合を大きくすることが出来る。ポリ
マー濃度が高すぎると溶剤への均一な溶解が困難とな
り、ポリマー濃度が低すぎるとポリケトン支持体が不連
続となり成形体の強度が著しく低くなるため、ドープ中
のポリマー濃度としては1〜75質量%が好ましく、よ
り好ましくは2〜50質量%、さらに好ましくは3〜3
0質量%とすることが望ましい。
イから吐出し、凝固浴中にてドープを繊維状もしくはフ
ィルム状に凝固させる。吐出時のドープ温度は、好まし
くは50〜150℃、より好ましくは60〜120℃、
最も好ましくは70〜100℃とすることが望ましい。
紡糸口金およびダイの形状は特に限定されず、従来公知
のものがそのまま適用出来る。また、中空糸の紡口につ
いても、二重管オリフィスやC型オリフィスなど従来公
知のものがそのまま適用出来る。二重管オリフィスを用
いる場合、外側の輪状オリフィスからはポリケトンドー
プを、また、内側の円状オリフィスからは、気体または
ポリケトンに対して非溶解性の液体(非溶剤)を吐出す
ることが好ましく、非溶剤としては、特に凝固速度の速
い水を主成分とする液体が好ましい。また、中空部の形
状維持の点からは内側に流す気体および液体には0.0
1MPa以上の圧力をかけて吐出することが好ましい。
非溶解性の液体(非溶剤)とは、該液体に対して極限粘
度6.0のポリケトンを5質量%添加して、80℃、1
時間加熱攪拌した後のポリケトンの質量減少率が2%未
満である液体を意味する。一方、凝固浴の温度は、得ら
れるポリケトン多孔体中の孔の大きさ・形状を決定する
上で重要な要因であり、目的・用途に応じて温度を選定
することが必要である。凝固温度が高いほど平均孔径の
大きい多孔体が得られるが、高すぎるとポリケトン支持
体の強度が弱くなる。凝固浴温度が低いほど、平均孔径
が小さく強固な構造のポリケトン支持体を有する多孔体
が得られるが、凝固速度が遅くなり設備が長大になり製
造速度が遅くなる。このため、凝固浴温度としては、−
50℃〜100℃、好ましくは−30〜80℃、より好
ましくは−10〜60℃の範囲内から目的に応じて選定
することが望ましい。凝固浴はドープで用いた溶剤に対
比して溶解性の劣る溶液が用いられる。通常、水やメタ
ノール等のポリケトンの非溶剤や、少量のハロゲン化亜
鉛を含有する水溶液または有機溶液が用いられる。
合には、水を10重量%以上含有する溶液が好ましい
が、必要に応じてメタノールやアセトン、エチレングリ
コール等の有機溶剤を主成分とし、水を10重量%未満
で、あるいは水を全く含有しない溶液を用いてもよい。
また、凝固浴中および/または凝固浴を出た直後に1.
2〜5倍の凝固延伸を行うと、力学物性に優れるポリケ
トン多孔体が得られる。凝固浴を出た内部に微多孔を有
するポリケトン凝固体は、水や硫酸、塩酸、リン酸等の
酸性水溶液により凝固体中に残存する金属塩を洗浄除去
する。金属塩が成形体中に残存した場合、成形体の力学
物性や耐薬品性、耐熱性の低下や変色、血液分離膜用途
では金属が血液中に溶出する等の問題が起こる。
金属塩が取り込まれ易いため洗浄を十分に行うことが必
要で、最終的に成形体に含まれる金属塩の残量が好まし
くは1000ppm以下、より好ましくは100ppm
以下、特に好ましくは10ppm以下になるまで繰り返
し洗浄することが望ましい。洗浄に酸性溶液を用いた場
合、引き続き成形体中に残存する酸を洗浄する。洗浄に
は水を主成分とする溶液を用いることが効率的である。
必要に応じてはアルカリ性の溶液で中和洗浄をしてもよ
い。洗浄後のポリケトン成形体は孔中が洗浄液で充たさ
れたものであるが、微多孔の平均孔径および体積割合を
制御する目的で孔中の洗浄液を、水や有機溶剤に置換し
てもよい。この際、ポリケトン成形体の微多孔中に充填
される液体の特性として、沸点が重要である。沸点が高
すぎると、乾燥時にポリケトンが軟化し、微多孔の変
形、閉塞が生じる。また、沸点が低すぎると冷却機が必
要となり生産コストが増大する。このため、好ましくは
沸点が20〜200℃、より好ましくは30〜150
℃、さらに好ましくは40〜120℃、特に好ましくは
50〜100℃の液体が好ましい。
燥する。乾燥温度を高くしすぎないことは特に重要であ
る。乾燥温度が高すぎるとポリケトンが軟化し微多孔の
変形、閉塞が生じ、本発明のポリケトン多孔体が得られ
なくなる。乾燥温度としては、常圧下では好ましくは、
20〜200℃、より好ましくは30〜150℃、さら
に好ましくは40〜120℃、特に好ましくは50〜1
00℃である。また、微多孔中に充填された液体の蒸気
圧以下に減圧して低温で乾燥すると、微多孔の孔径およ
び体積割合の大きな多孔体を得られる。特に、乾燥温度
を徐々に下げていく多段乾燥にすると微多孔構造を維持
して効率的に乾燥することが出来る。
は、乾燥温度をTとして、乾燥が進むに連れて徐々にT
が小さくなることが望ましい。具体的なTの範囲として
は、乾燥前に多孔体の空隙中に充填されている液体を
(B) として、以下の3段階の乾燥が挙げられる。 1:膨潤度≧100%の段階、 液体(B)の沸点+60℃≦T≦200℃ ただし、液体(B)の沸点が140℃以上の場合、T=
200℃ 2:50≦膨潤度≦100%の段階、 液体(B)の沸点≦T≦200℃ 3:膨潤度≦50%の段階、 液体(B)の沸点≦T≦液体(B)の沸点+20℃ ただし、膨潤度とは、液体(B)の質量をB、多孔体に
おけるポリケトンの質量をPとして下式により算出され
る値である。 膨潤度 =B/P×100 (質量%)
で多孔体中の液体が水である場合には、膨潤度が100
質量%以上では160〜200℃で乾燥し、膨潤度が5
0〜100質量%では100〜200℃で、膨潤度が5
0質量%未満では100〜120℃で乾燥する。また、
力学強度を高くする目的で、あるいは、孔径に異方性を
もたせる目的で、乾燥時に張力を印可して1.2〜3倍
の延伸を行ってもよい。このようにして得られたポリケ
トン多孔体を力学強度および耐熱性、寸法安定性を高く
する目的で、定長熱処理あるいは熱延伸を行ってもよ
い。定長熱処理および熱延伸は、1段もしくは2段以上
の多段で行っても良いが、孔を閉塞しないようにポリケ
トン多孔体の融点−20℃以下の温度で処理することが
重要である。
粒径が0.001〜10μmの微粒子を5〜70体積%
の割合となるように添加する。該粒子は固体微粒子であ
っても、液体微粒子(エマルジョン)であってもよい。
ポリケトンを凝固体とした後に、洗浄浴中あるいは乾燥
後あるいは延伸後に該微粒子の抽出剤で溶解抽出又は分
解抽出する。該微粒子の抽出剤とは、該微粒子を溶解可
能な液体であり、該液体に対して5質量%添加し、0〜
100℃の任意の温度にて、1時間攪拌した後の該微粒
子の溶解による質量減少率が10質量%以上である液体
であり、ポリケトンの非溶剤である。微粒子を抽出除去
後、多孔体中に残存する抽出剤を洗浄除去した後に、ポ
リケトン多孔体中の液体を水および/または有機溶剤に
置換し、上述の乾燥条件にて孔中の液体を乾燥除去す
る。
浴を出たポリケトン凝固体を平均粒径が0.001〜1
0μmの微粒子分散液で処理し、微粒子を凝固体の全体
積に対して5〜70体積%含浸せしめた後に、洗浄浴中
あるいは乾燥後あるいは延伸後に該微粒子を抽出するこ
とでも本発明のポリケトン多孔体を得ることが出来る。 ・また、酸性化合物または塩基性化合物を含有せしめた
ドープあるいは凝固体に、塩基性化合物または酸性化合
物を添加し、ポリケトン凝固体中に塩微粒子を析出せし
めた後に、該微粒子を溶解抽出することでポリケトン多
孔体が得られる。
方向に貫通した空隙を有する中空糸であり、該空隙の割
合が10〜80体積%であることを特徴とするポリケト
ン中空糸である。該中空糸のポリケトン部分が上述の微
多孔を有するものであっても、微多孔を有さないもので
あっても構わない。ポリケトン部分に微多孔を有さない
ポリケトン中空糸は、嵩高性・軽量性に優れ、また、微
多孔体を有するポリケトン中空糸に比べて高強度・高弾
性率の特長を有し、エアバッグやセールクロス等の高密
度織物や濾過布や清掃用の不織布に有用である。該中空
糸に用いるポリケトンは上述のポリケトン多孔体に用い
るものと同じものが適用出来る。中空糸内部の長手方向
に貫通した空隙(中空部)の割合は、嵩高性、軽量性の
観点から10体積%以上であることが必要である。一
方、80体積%を超えると中空糸の力学特性が著しく低
下するため、好ましくは10〜80体積%、より好まし
くは20〜60体積%であることが望ましい。繊維内部
にある中空部の数は特に制限はなく1本であってもまた
複数本であってもよい。ポリケトン多孔体繊維の径は特
に制限はないが、1〜10000μmの範囲が一般的で
あり、10〜1000μmの範囲が好適に用いられる。
繊維は1本で用いてもまたマルチフィラメントとして用
いてもよく、長繊維あるいは短繊維として用いてもよ
い。
表される構造パラメーターが高いものが望ましい。結晶
化度は高いほど高強度、高寸法安定性、高耐熱性、高耐
薬品性となるため、50%以上、より好ましくは60%
以上であることが望ましい。 また、結晶配向度が高い
ほど強度や寸法安定性等の力学特性に優れる材料とな
る。結晶配向度は、繊維中の分子鎖が繊維軸方向に配列
する規則性の度合いを表す構造パラメーターであり、好
ましくは結晶配向度が60%以上、より好ましくは80
%以上、特に好ましくは90%以上であることが望まし
い。該中空糸は優れた力学特性を有することが望まれ、
具体的には引っ張り強度が1MPa以上であることが望
ましく、より好ましくは100MPa以上、特に好まし
くは500MPa以上であることが望ましい。また、融
点は高いほど高温環境に曝される用途での展開が可能と
なるため、好ましくは200℃以上、より好ましくは2
20℃以上、特に好ましくは240℃以上であることが
望ましい。本発明のポリケトン多孔体は、微細な空隙を
多数有し、高強度・高融点で耐薬品性、寸法安定性に優
れるものである。そのまま繊維状で用いて多孔質軽量材
料として、また、そのままフィルム状で用いて分離膜と
して、微多孔内に機能性化合物を含有せしめて機能性材
料として、さらには中空糸状で用いて分離膜として有用
である。
体的に説明するが、それらは本発明の範囲を限定するも
のではない。本発明に用いられる各測定値の測定方法は
次の通りである。 (1) 極限粘度 極限粘度[η]は次の定義式に基づいて求められる値で
ある。 [η]=lim(T−t)/(t・C) [dl/g] C→0 (ただし、式中のt及びTは、純度98%以上のヘキサ
フルオロイソプロパノール及びヘキサフルオロイソプロ
パノールに溶解したポリケトンの希釈溶液の25℃での
粘度管の流過時間である。Cは上記溶液100ml中の
グラム単位による溶質質量値である。)
撮影し、それぞれの外径計測しその平均値を繊維の外径
DF(μm)とする。フィルムを幅5mm、長さ100
mmの短冊状に切り、任意の10片の短冊について光学
顕微鏡写真を撮影し、それぞれの厚みを計測しその平均
値をフィルムの厚みDM(μm)とする。 (3) 中空部の外径 中空糸の任意の5カ所の横断面を光学顕微鏡にて写真撮
影し、それぞれの中空部の外径を計測しその平均値を中
空部の外径DT(μm)とする。
た状態で切断し、繊維の横断面切片(図1)およびフィ
ルムの横断面切片(図2)を調製する。電子顕微鏡を用
いて、得られた切片の倍率500〜50000倍の写真
(画像)を撮影した。撮影したネガ画像を画像解析装置
(IP1000−PC:旭化成社製)を用いて、以下の
方法で計測する。スキャナー(JX−330)を使用し
て、ネガ画像を白黒256階調(ガンマ補正値は2.
2)で取り込む。取り込み領域は撮影倍率によって選択
した。取り込んだ256階調の画像に対し、2値化処理
を行う。この際に設定したパラメーターは、(1) しきい
値(=自動)、(2) シェーディング補正処理(=有
り)、(3) 穴埋め処理(=有り)、(4) ガンマ補正処理
(=補正値γ=2.2)である。得られた2値化画像よ
り、計測エリアラインに接触して、一部が計測範囲から
外れた孔および中空糸の中空部分を除去した後に、粒子
解析を行い、対象孔の円相当径および円相当面積割合を
求める。5視野計測した後に、計測した全孔の円相当径
および円相当面積割合について算術平均値を計算し、平
均孔径DP(μm)および平均微多孔体積割合VP
(%)とする。
により中空部の体積割合(中空率)VTを求める。 VT = DT2/DF2×100 (%) (6) 全空隙部の体積割合 (4) で求められる平均微多孔体積割合VPおよび(5) で
求められる中空率VTより、下式により求める。 全空隙部の体積割合=VT+(100−VT)/100×VP (%) (7) 結晶化度 パーキンエルマー社製示差熱測定装置Pyris1を用
いて下記条件で測定を行う。サンプルは長さ5mmにカ
ットしたものを用いる。 サンプル質量: 1mg 測定温度 : 30℃→300℃ 昇温速度 : 20℃/分 雰囲気 : 窒素、流量=200mL/分 得られる吸発熱曲線において200〜300℃の範囲に
観測される最大の吸熱ピークの面積から計算される熱量
ΔH(J/g)より下記式により算出する。 結晶化度 = ΔH/225 × 100 (%)
INT2000を用いて下記の条件で繊維の回折像を取
り込む。 X線源 : CuKα線 出力 : 40KV 152mA カメラ長 : 94.5mm 測定時間 : 3分 得られた画像の2θ=21°付近に観察される(11
0)面を円周方向にスキャンして得られる強度分布の半
値幅Hから下記式により算出する。 結晶配向度=(180−H)/180×100 (%)
観測される最大の吸熱ピークのピークトップ温度を融点
とする。 (10) 残存金属量 高周波プラズマ発光分光分析により、公知の方法を用い
てポリケトン多孔体中の亜鉛量およびカルシウム量を測
定する。 (11) 引張強度 JIS−L−1013に基づいて測定する。繊維は試料
長200mm、フィルムについては幅5.0mm、長さ
100mmの短冊状で測定する。フィルムに関しては、
直交する二方向について測定を行いその平均値を用い
る。試料の断面積は以下の式より求められる値を用い
る。 繊維の断面積 = 3.14×(DF/2)2 (μm2) フィルムの断面積 = 5.0×DM×103 (μm2) (12) 沸水収縮率 試料を沸騰水(100℃)中で30分間の処理前の試料
長(Lb)、処理後の試料長(La)を測定し下式より算
出する。繊維試料は繊維軸方向の試料長を測定し、フィ
ルムに関しては、直交する二方向について測定を行いそ
の平均値を収縮率とする。 沸水収縮率=(Lb−La)/Lb×100 (%)
が完全交互共重合した極限粘度3.9のポリケトンポリ
マーを、塩化カルシウム40質量%/塩化亜鉛22質量
%を含有する水溶液に添加し、80℃で2時間攪拌後さ
らに90℃で1時間溶解しポリマー濃度10質量%のド
ープを得た。得られたドープを、紡口径0.25mm
φ、L/D=1、ホール数50の紡口より10mmのエ
アーギャップを通した後に、2質量%の塩化カルシウム
及び1.1質量%の塩化亜鉛、0.1質量%の塩酸を含
有する−2℃の水からなる凝固浴に吐出量12.3cc
/分で押し出し凝固糸条とした。引き続きポリケトン凝
固糸を濃度2質量%の塩酸水溶液で洗浄し、さらに40
℃の水で仕上げ洗浄を行った後、速度5m/分で巻き取
った。得られた糸条を簡易脱水した後に、200℃で2
0秒間(膨潤度120%)、引き続き150℃で10秒
間(膨潤度60%)、さらに100℃で1分間の定長乾
燥を行った。乾燥終了後、160℃で20秒の定長熱処
理を行った。この繊維は、内部に平均孔径0.06μm
の微多孔を12.7体積%含有する微多孔繊維であっ
た。
ン凝固糸を巻き取り、引き続き1Pa、70℃にて乾燥
を行った。乾燥終了後、160℃で20秒の定長熱処理
を行った。この繊維は、平均孔径0.23μmの孔を3
1.1体積%含有する微多孔繊維であった。
40質量%/60質量%の割合で含有する混合溶液とす
る以外は同様にして凝固を行い、引き続き酸洗浄、水洗
を行った。水洗後アセトンで洗浄を行い、さらに洗浄し
た凝固糸条をtert−ブチルアルコールに浸漬した後
にボビンに巻き取った。巻き取った凝固糸条を液体窒素
で凍結後、0.01Paの減圧下10分の乾燥を行っ
た。乾燥終了後、160℃で20秒の定長熱処理を行っ
た。この繊維は、平均孔径2.5μmの孔を60.6体
積%含有する微多孔繊維であった。
9.9、ドープのポリマー濃度を4.5質量%とする以
外は同様にして凝固、洗浄、乾燥、熱処理を行った。こ
の繊維は、平均孔径1.2μmの孔を38.9体積%含
有する微多孔繊維であった。
1.8、ドープのポリマー濃度を20質量%とする以外
は同様にして凝固、洗浄、乾燥、熱処理を行った。この
繊維は、平均孔径0.03μmの孔を6.9体積%含有
する微多孔繊維であった。
粒径0.3μm、濃度20%の二酸化ケイ素分散液に浸
漬し、二酸化ケイ素微粒子含有凝固糸を得た。凝固糸を
200℃で30秒の乾燥を行った後に、温度60℃の1
N水酸化ナトリウム水溶液で洗浄し糸内部の二酸化ケイ
素微粒子を抽出除去した。引き続き、水洗を行い実施例
2と同じ条件で乾燥、熱処理を行った。この繊維は、平
均孔径0.27μmの孔を22.5体積%含有する微多
孔繊維であった。
トンに浸漬後、トリメチルホスフェートを2質量%含有
するエチレングリコール浴中に入れ、引き続き酢酸マグ
ネシウムを2質量%含有するエチレングリコール浴に浸
漬後、糸条を100℃に加熱し、内部に平均粒径0.3
μmのトリメチルホスフェートマグネシウム塩微粒子を
含有するポリケトン糸を得た。引き続き、該ポリケトン
糸を水洗後、温度60℃の1N水酸化ナトリウム水溶液
で処理して糸内部のトリメチルホスフェートマグネシウ
ム塩微粒子を抽出除去した。引き続き、水洗を行い実施
例2と同じ条件で乾燥、熱処理を行った。この繊維は、
平均孔径0.25μmの孔を10.5体積%含有する微
多孔繊維であった。
℃で2.5倍の延伸を行う以外は同じ条件で凝固、洗
浄、乾燥、熱処理を行った。この繊維は、平均孔径0.
07μmの孔を16.2体積%含有する微多孔繊維であ
った。
粒子含有凝固糸を225℃で30秒間の乾燥を行った後
に、230℃で4倍、243℃で2倍、255℃で1.
5倍の熱延伸を行った後に、温度60℃の1N水酸化ナ
トリウム水溶液で処理し糸内部の二酸化ケイ素微粒子を
抽出除去した。引き続き、水洗、アセトン洗浄、ter
t−ブチルアルコール洗浄を行った後に実施例3と同じ
条件で乾燥、熱処理を行った。この繊維は、平均孔径
0.04μmの孔を12.5体積%含有する微多孔繊維
であった。
トリメチレン/1−オキソ,3−メチルトリメチレンが
93質量%/7質量%のターポリマー(極限粘度1.
3)を重合した。このターポリマーにカルシウムヒドロ
キシアパタイトを0.5質量%、IRGANOX(登録
商標;チバスペシャリティケミカルス社)1098を
0.1質量%、IRGANOX(登録商標;チバスペシ
ャリティケミカルス社)1076を0.1質量%添加
し、さらに平均粒径0.3μmの二酸化ケイ素微粒子を
15質量%添加混合した。このポリマー混合物を235
℃で溶融し、0.35mmφ、L/D=2、ホール数7
5の紡口より吐出量144.2cc/分で押し出し、風
速2m/分、温度10℃の冷却風で冷却固化せしめ、速
度200m/分で巻き取った。引き続き、温度60℃の
1N水酸化ナトリウム水溶液で処理し糸内部の二酸化ケ
イ素微粒子を抽出した。さらに、水洗、アセトン洗浄、
tert−ブチルアルコール洗浄を行った後に実施例3
と同じ条件で乾燥、熱処理を行った。この繊維は、平均
孔径0.18μmの孔を10.1体積%含有する微多孔
繊維であった。
間とし、熱処理を行わない以外は同様にして凝固、洗
浄、乾燥を行った。得られた糸は、明瞭な孔はほとんど
観察されず、孔の体積割合は0.5%にすぎなかった。
10質量%の割合で含有する水溶液に、実施例1で用い
たポリケトンを濃度6質量%および平均粒径12μmの
二酸化ケイ素微粒子を3質量%添加して80℃で攪拌溶
解しドープとした。このドープを80℃に加温し、孔径
1mmのマイクロシリンジより10mmのエアギャップ
を経て10℃の水中に押し出し凝固した。得られた糸状
物を塩酸浴に浸漬後、水洗を行った後に、温度60℃の
1N水酸化ナトリウム水溶液で処理し糸内部の二酸化ケ
イ素微粒子を抽出除去した。引き続き、水洗、アセトン
洗浄、tert−ブチルアルコール洗浄を行った後に実
施例3と同じ条件で乾燥、熱処理を行った。得られた糸
状物は、平均孔径が12.3μmと大きいもので、各所
でポリケトン同士が不連続となっていた。このポリケト
ン繊維は強度が7MPaと低く、取り扱い時に容易に形
態が壊れるなど非常に脆いものであった。
10質量%の割合で含有する水溶液に、実施例1で用い
たポリケトンを濃度4質量%および平均粒径0.3μm
の二酸化ケイ素微粒子を16質量%添加して80℃で攪
拌溶解しドープとした。このドープを80℃に加温し、
孔径1mmのマイクロシリンジより10mmのエアギャ
ップを経て10℃の水中に押し出し凝固した。得られた
凝固物を比較例2と同様の処方で処理して、ポリケトン
糸状物を得た。この糸状物を電子顕微鏡で観察したとこ
ろ、微多孔の体積割合が81.2%と高く、支持体であ
るポリケトンが不連続で非常に脆弱な構造であることが
確認された。このポリケトン多孔体は形態の維持が困難
であったため、引っ張り強度については、糸長を10m
mとして測定した。
れたポリケトンフィルムの構造及び性能を表2にまとめ
て示す。
安田精機(株)社製製膜機(AUTOMATIC FI
LM APPLICATOR No.542−AB)を
用いて、80℃に加温されたガラス板上に厚み0.5m
mでキャストした。ドープをキャストしたガラス板を−
20℃のメタノールに浸漬凝固後、2℃の水に浸漬し、
引き続き20℃の0.1%塩酸水溶液にて洗浄した。さ
らに、水洗後、アセトン洗浄、tert−ブチルアルコ
ール洗浄を行った後に実施例3と同じ条件で乾燥、熱処
理を行い、ポリケトン多孔膜を得た。この膜は、平均孔
径3.1μmの孔を45.2体積%含有する微多孔膜で
あり、力学特性、寸法安定性、耐熱性も分離膜・透過膜
として実用的な性能を有していた。
/10質量%の割合で含有する水溶液に、実施例1で調
製した極限粘度3.9のポリケトンを濃度10質量%、
平均粒径0.3μmの二酸化ケイ素微粒子を2.5質量
%を添加して、80℃で攪拌溶解しドープとした。この
ドープを実施例11と同じ処方でガラス板上にキャス
ト、凝固、酸洗浄、水洗を行った後に、温度60℃の1
N水酸化ナトリウム水溶液で処理し糸内部のシリカ微粒
子を抽出除去した。引き続き、水洗、アセトン洗浄、t
ert−ブチルアルコール洗浄を行った後に実施例3と
同じ条件で乾燥、熱処理を行い、ポリケトン多孔膜を得
た。この膜は、平均孔径0.28μmの孔を18.5体
積%含有する微多孔膜であった。
ン酸ナトリウムを添加する以外は常法に従い、ポリケト
ンの重合を行い、1−オキソトリメチレンを97.5質
量%、1−オキソ,3スルホナトリウムトリメチレンを
2.5質量%からなる極限粘度4.3のポリケトンを得
た。このポリケトンをドープキャスト時の厚みを0.3
mmとする以外は実施例2と同じ処方で製膜し、スルホ
ン化ポリケトン多孔膜を得た。この膜は、平均孔径0.
08μmの孔を20.5体積%含有する微多孔膜であっ
た。
オロイソプロパノール(HFIP)にポリマー濃度7質
量%で溶解しドープとした。実施例11で用いた製膜機
にて、厚み0.5mmでガラス板上にキャストしたキャ
ストした。ドープをキャストしたガラス板を0℃のイソ
プロピルアルコールに10分間浸漬しHFIPを除去
し、液体窒素にて凍結後、0.01Paにて乾燥を行
い、ポリケトン多孔膜を得た。得られた膜は、平均孔径
5.5μmの孔を81.2体積%含有する疎な構造であ
り、強度が低く、非常に脆く分離膜としては実用が困難
なものであった。
ラス板を水に10分間浸漬してHFIPを除去し、引き
続きアセトン洗浄を行った後、さらに液体窒素にて凍結
後、0.01Paにて乾燥を行い、ポリケトン多孔膜を
得た。得られた膜は、平均孔径2.4μmの孔を75.
5体積%含有する疎な構造であり、強度が低く、非常に
脆く分離膜としては実用が困難なものであった。
0.3mm、幅180mmのダイより25℃の水中に押
し出してフィルム状凝固体とし、引き続きメッシュロー
ル上で0.1%の塩酸洗浄、40℃での水洗を行った後
に、200℃のドラムロール上で20秒間、引き続き2
30℃のドラムロール上で50秒間の乾燥を行った。こ
のフィルム状物の断面を電子顕微鏡観察したところ、明
瞭な孔は少数しか観察されず孔の体積割合は3.2%で
あり、分離膜としては不十分なものであった。
られたポリケトンフィルムの構造及び性能を表2にまと
めて示す。
を用い、二重管の外側の輪状オリフィスより実施例1で
調製したドープを、また二重管内側の円形オリフィスか
らは0.15MPaに加圧した水を吐出した。図3は本
発明の中空糸製造に用いた二重管オリフィスの紡出面を
表す図である。実施例14では、図中の外外径=1.0
mm、外内径=0.6mm、内外径=0.5mmのサイ
ズの二重管オリフィスを用いた。オリフィスより吐出さ
れたドープは10mmのエアギャップを経て温度−2
℃、6質量%の塩化カルシウム及び3.3質量%の塩化
亜鉛、0.3質量%の塩酸を含有するの水溶液からなる
凝固浴に押し出し凝固糸条とし、引き続き2質量%の塩
化カルシウム及び1.1質量%の塩化亜鉛、0.1%の
塩酸を含有する浴を通し、得られたポリケトン凝固糸を
濃度2質量%の塩酸水溶液で洗浄し、さらに濃度0.5
質量%の塩酸水溶液で洗浄後、40℃の温水で仕上げ洗
浄を行った。得られた凝固糸を180℃で1分間乾燥
後、引き続き225℃で1分間の乾燥を行った。得られ
た糸は、繊維の中央に貫通した円筒形の空隙を有する中
空糸であり、中空率は21.2%であった。
で5倍、240℃で2倍の熱延伸を行った。得られた糸
は中空率が17.3%で、強度が855MPa、融点が
265℃と非常に優れた力学特性、熱特性を有してい
た。
℃で50秒間、125℃で20秒間、100℃で1分
間、引き続き160℃で20秒の熱処理を行う以外は実
施例14と同様にして凝固、洗浄を行いポリケトン繊維
を得た。得られた糸は、微多孔の平均孔径が0.09μ
m、微多孔の体積割合が16.1%、中空率が24.5
%と中空糸膜として活用可能な構造を有していた。
アセトン洗浄、tert−ブチルアルコール洗浄を行っ
た後に実施例3と同じ条件で乾燥、熱処理を行い、ポリ
ケトン繊維を得た。得られた糸は、微多孔の平均孔径が
3.5μm、微多孔の体積割合が62.2%、中空率が
24.9%と中空糸膜として十分な構造を有していた。
外外径=1.0mm、外内径=0.8mm、内外径=
0.7mmのサイズの二重管オリフィスを用いる以外は
実施例16と同様の処方で、凝固、洗浄、乾燥、熱処理
を行いポリケトン繊維を得た。得られた糸は、微多孔の
平均孔径が0.1μm、微多孔の体積割合が20.1
%、中空率が42%と中空糸膜として十分な構造を有し
ていた。
外は、実施例16と同じ処方で凝固、洗浄、乾燥、熱処
理を行い、スルホン化ポリケトン中空糸を得た。得られ
た糸は、微多孔の平均孔径が0.05μm、微多孔の体
積割合が8.7%、中空率が20.5%と中空糸膜とし
て利用出来る構造を有していた。
内側の円形オリフィスからポリケトンの溶剤である塩化
カルシウム40質量%/塩化亜鉛22質量%を含有する
水溶液を0.15MPaで吐出する以外は同様にして、
凝固、洗浄、乾燥、熱処理を行った。繊維断面はほとん
どの箇所で閉塞しており、繊維軸方向に貫通する空隙は
観察されなかった。
で、図3の二重管オリフィスの図において、外外径=
1.0mm、外内径=0.95mm、内外径=0.85
mmのサイズの二重管オリフィスを用いる以外は実施例
14と同様の処方で、凝固、洗浄、乾燥、熱処理を行っ
た。得られた繊維は、繊維外壁の一部が欠落したいわゆ
るC型断面となっており、均一な中空を有する糸を得る
ことが出来なかった。
られたポリケトン中空糸の構造及び性能を表3にまとめ
て示す。
有し、かつ、強度、寸法安定性、耐薬品性、耐熱性の力
学特性、熱特性に優れるポリケトン多孔体が得られる。
本発明のポリケトン多孔体は、繊維状やフィルム状、さ
らには中空糸状にして用いると特に有用である。繊維状
とした場合には、そのまま用いると可視光遮蔽繊維や各
種機能性化合物の支持体として用いられ、また、フィル
ム状および中空糸状とした場合には、汚水処理、含油廃
水処理、工業用純水の製造、果汁の処理等の水溶液濾過
膜として、また、有機液体中の不純物除去、有機液体の
回収等の有機溶液濾過膜として、またイオン性液体の透
過膜として、さらには血液や体液の透析膜として極めて
有用である。
割合を計測する際の繊維試料の横断面の位置を表す図で
ある。
割合を計測する際のフィルム試料の横断面の位置を表す
図である。
の紡出面の概要を表す図である。
Claims (16)
- 【請求項1】 オレフィンと一酸化炭素の共重合体とか
らなるポリケトンにより構成されたポリケトン成形体に
おいて、平均孔径が0.001〜10μmである孔を5
〜70体積%含有することを特徴とするポリケトン多孔
体。 - 【請求項2】 平均孔径が0.01〜1μmの孔の割合
が15〜50体積%であることを特徴とする請求項1記
載のポリケトン多孔体。 - 【請求項3】 繰り返し単位の90質量%以上が式(1)
の1−オキソトリメチレンであることを特徴とする請求
項1または2のいずれか1項に記載のポリケトン多孔
体。 【化1】 - 【請求項4】 繰り返し単位の0.1〜10質量%が、
1−オキソトリメチレンの水素原子の少なくとも一つが
{−SO3X基、−COOX基、−PO3X基}または
{−R−SO3X基、−R−COOX基、−R−PO3X
基}の群から選ばれる少なくも一つの基と置換した繰り
返し単位であることを特徴とする請求項1〜3のいずれ
かに記載のポリケトン多孔体。(ここで、Xは水素、ア
ルカリ金属、アンモニウム、ホスホニウムの群から選ば
れる化合物であり、Rは炭素、窒素、酸素の群から選ば
れる元素を少なくとも一つ以上有する有機基である。) - 【請求項5】 ポリケトン多孔体が繊維であることを特
徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリケトン多
孔体。 - 【請求項6】 ポリケトン繊維が内部に少なくとも一つ
の長手方向に貫通した空隙を有する中空糸であることを
特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のポリケトン
多孔体。 - 【請求項7】 繊維の内部にあり長手方向に貫通する空
隙の割合が10〜60体積%であることを特徴とする請
求項1〜6のいずれかに記載のポリケトン多孔体。 - 【請求項8】 結晶化度が60%以上、結晶配向度が8
0%以上であることを特徴とする請求項5〜7のいずれ
かに記載のポリケトン繊維。 - 【請求項9】 ポリケトン多孔体がフィルム状であるこ
とを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリケ
トン多孔体。 - 【請求項10】 ハロゲン化亜鉛を含有する溶液にポリ
ケトンを溶解したドープを、ポリケトンに対して非溶解
性である液体(A) 中に押出して固化せしめて多孔体とし
た後に、該多孔体中の液体(A) を沸点20〜200℃の
液体(B) に置換した後に乾燥する工程を含むポリケトン
多孔体の製造方法であって、乾燥温度Tが以下の範囲に
あることを特徴とするポリケトン多孔体の製造方法。 1:膨潤度≧100%の段階、 液体(B) の沸点+60℃≦T≦200℃ (ただし、液体(B)の沸点が140℃以上の場合はT
=200℃) 2:50≦膨潤度≦100%の段階、 液体(B) の沸点≦T≦200℃ 3:膨潤度≦50%の段階、 液体(B) の沸点≦T≦液体(B) の沸点+20℃ (ただし、膨潤度とは、液体(B)の質量をB、ポリケ
トンの質量をPとして下式により算出される値である。 膨潤度(%) =B/P×100 ) - 【請求項11】 平均粒径0.001〜10μmである
微粒子を5〜70体積%含有するポリケトン成形体か
ら、該微粒子を抽出除去する工程を含むことを特徴とす
るポリケトン多孔体の製造方法。 - 【請求項12】 内部に少なくとも一つの長手方向に貫
通した空隙を有する中空糸であり、該空隙の割合が10
〜80体積%であることを特徴とするポリケトン中空
糸。 - 【請求項13】 繊維の内部にあり長手方向に貫通する
空隙の割合が20〜60体積%であることを特徴とする
請求項12に記載のポリケトン中空糸。 - 【請求項14】 結晶化度が50%以上、結晶配向度が
60%以上であることを特徴とする請求項12又は13
に記載のポリケトン中空糸。 - 【請求項15】 引張強度が500MPa以上であるこ
とを特徴とする請求項12〜14記載のポリケトン中空
糸。 - 【請求項16】 二重管オリフィスを用いて中空糸を製
造する湿式紡糸法において、外側の輪状オリフィスから
ポリケトンを溶解したドープを吐出すると共に、内側の
円状オリフィスからは0.01MPa以上の圧力をかけ
てポリケトンの非溶剤である液体を吐出した後に、ポリ
ケトンドープを凝固浴中にて中空状に凝固する工程を含
むことを特徴とするポリケトン中空糸の製造方法。
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