JP6507963B2 - シフトレンジ切替制御装置 - Google Patents
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Description
運転者がシフトレンジの切り替えを要求する操作を連続して行うと、比較的短時間でECUおよびモータの温度が上昇する。そのため、ECUおよびモータの温度を推定し、それぞれの発熱許容温度を超えないように制御するといった手段をとることが重要である。例えば特許文献1では、ECUまたはモータの推定温度が発熱許容温度に達したとき、モータの駆動を禁止することで、ECUおよびモータを保護している。
特許文献1では、例えばモータの推定温度が発熱許容温度に近い状態でイグニッションスイッチがオフされた直後に、再度イグニッションスイッチがオンされる場合、再始動時の温度が製品搭載環境温度に設定されていると、モータを適切に保護できない虞がある。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、アクチュエータの温度を適切に推定可能であるシフトレンジ切替制御装置を提供することにある。
第2の態様では、温度推定部は、車両の始動スイッチがオフされた後、始動スイッチがオフされた後に推定温度の演算を継続する遅延時間を、システム停止時の推定温度である最終温度に応じて可変とし、始動スイッチがオフされた後、再度オンされたときの推定温度である再始動時温度を初期値とする。
これにより、アクチュエータの温度を適切に推定可能である。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態によるシフトレンジ切替制御装置を図1〜図7に示す。
図1および図2に示すように、シフトバイワイヤシステム1は、アクチュエータ10と、シフトレンジ切替機構20と、パーキングロック機構30と、シフトレンジ切替制御装置としてのシフトレンジ切替ECU40と、を備える。
モータ11は、図示しない車両に搭載されるバッテリ50から電力が供給されることにより回転し、シフトレンジ切替機構20の駆動源として機能する。モータ11は、例えばスイッチトリラクタンスモータ(以下、「SRモータ」という。)である。SRモータであるモータ11は、ステータおよびロータが共に突極構造を有し、永久磁石が不要であるので、比較的簡単な構造とすることができる。
減速機13は、モータ11のモータ軸の回転を減速して出力軸14から出力し、シフトレンジ切替機構20に伝達する。出力軸14には、出力軸14の角度を検出する出力軸センサ15が設けられる。出力軸センサ15は、例えばポテンショメータである。出力軸センサ15の回転角に基づき、現在のシフトレンジを検出することができる。
ディテントプレート21は、出力軸14に固定され、アクチュエータ10によって駆動される。ディテントプレート21には、出力軸14と平行に突出するピン24が設けられる。ピン24は、マニュアルバルブ28と接続される。これにより、ディテントプレート21がアクチュエータ10により駆動されることで、マニュアルバルブ28は軸方向に往復移動する。すなわち、シフトレンジ切替機構20は、アクチュエータ10の回転運動を直線運動に変換してマニュアルバルブ28に伝達する。マニュアルバルブ28は、バルブボディ29に設けられる。マニュアルバルブ28が軸方向に往復移動することで、図示しない油圧クラッチへの油圧供給路が切り替えられ、油圧クラッチの係合状態が切り替わることで、シフトレンジが変更される。
ディテントプレート21のディテントスプリング25側には、凹部22、23が形成される。本実施形態では、ディテントスプリング25の基部に近い側を凹部22、遠い側を凹部23とする。
パーキングロッド31は、略L字形状に形成され、一端311側がディテントプレート21に固定される。パーキングロッド31の他端312側には、円錐体32が設けられる。円錐体32は、他端312側に行くほど縮径するように形成される。ディテントプレート21が逆回転方向に揺動すると、円錐体32が矢印P方向に移動する。
パーキングロックポール33は、円錐体32の円錐面と当接し、軸部34を中心に揺動可能に設けられる。パーキングロックポール33のパーキングギア35側には、パーキングギア35と噛み合い可能な凸部331が形成される。
ECU40には、車両に搭載されたバッテリ50から電源リレー51を経由して電力が供給される。また、イグニッションスイッチ52がオフされた後、遅延時間Phが経過すると、ECU40からの指令により、電源リレー51がオフされる。電源リレー51がオフされると、ECU40への電力供給が遮断され。ECU40がオフされる。本実施形態では、遅延時間Phは、シャットダウン処理に要する時間に応じ、所定の時間に設定される。
駆動制御部42は、エンコーダ12から出力されるA相信号およびB相信号の立ち上がりおよび立ち下がりのエッジをカウントし、そのカウント値に応じてモータ11の通電相を所定の順序で切り替えることで、モータ11の回転駆動を制御する。モータドライバ47は、モータ11の各相(U相、V相、W相)への通電に係る駆動信号を出力する。
なお、駆動制御部42および温度推定部43の処理の少なくとも一部は、マイコン41におけるソフトウェア処理に限らず、専用の電子回路によるハードウェア処理であってもよい。
シフトレンジ検出部49は、運転者により操作される図示しないシフトスイッチの操作位置を検出し、ECU40に出力する。
また、IG52がオンされた後、運転者がシフトスイッチを操作することでPレンジまたはnotPレンジの一方から他方に切り替わったことがシフトレンジ検出部49により検出されると、駆動制御部42は、切り替え前後のレンジに応じてモータ11を正回転方向または逆回転方向に駆動する。これにより、シフトレンジが、運転者の所望するレンジに切り替えられる。
初期学習やモータ11の駆動制御の詳細については、公知であるので、説明を省略する。
推定温度Tmが保護温度Tpを超えると、駆動制御部42は、モータ11の駆動を制限することで、モータ11の過熱を防止する。モータ11の駆動制限は、モータ11の駆動停止としてもよいし、駆動抑制としてもよい。
また例えば、不揮発性メモリ44に最終温度Tfを記憶させ、再始動時温度Trを最終温度Tfとする構成において、モータ11の温度が低下した状態にてIG52がオンされると、モータ11の温度が実際より高く推定される。この場合、モータ11の温度が低いにも関わらず、過剰な過熱保護制御が作動する虞がある。
図3に示すシステム停止時処理は、ECU40にて所定の間隔で実行される。
S103では、EUC40は、IG52がオフされてから、遅延時間Phが経過したか否かを判断する。遅延時間Phが経過したと判断された場合(S103:YES)、S105へ移行する。遅延時間Phが経過していないと判断された場合(S103:NO)、S104へ移行する。
S106では、ECU40は、電源リレー51をオフする。これにより、ECU40がオフされる。
S111では、温度推定部43は、最終温度Tfを不揮発性メモリ44から読み出す。
S112では、温度推定部43は、オフ時間Poffをソークタイマ45から取得する。S111の処理と、S112の処理とは、順番を入れ替えてもよい。
Tr=Tf−Ta ・・・(1)
また、式(1)で演算される再始動時温度Trが初期値Td(本実施形態では0)未満となる場合、再始動時温度Trを初期値Tdとする。
オフ時間Poffが、第2の判定閾値P2以上である場合に移行するS117では、温度推定部43は、再始動時温度Trを初期値Tdとする。
図6の例では、オフ時間Poffが短く、再始動時温度Trが高い。そのため、例えば時刻x14にてシフトレンジが切り替えられたとき、推定温度Tmが保護温度Tpを超えると、時刻x14以降、推定温度Tmが保護温度Tp以下となるまでの間、モータ11の駆動を制限する。これにより、モータ11の過熱を適切に保護することができる。
そこで本実施形態では、オフ時間Poffが第1の判定閾値P1以上、第2の判定閾値P2未満の場合、再始動時温度Trを、オフ時間Poffに応じた補正温度Taで最終温度Tfをマイナス補正した値とする。
これにより、IG52再始動後のモータ11の温度を適切に推定することができるので、過剰な過熱保護制御が行われるのを避けることができる。
温度推定部43は、アクチュエータ10のモータ11の駆動状態に応じてモータ11の温度を推定する。
駆動制御部42は、アクチュエータ10のモータ11の駆動を制御するものであって、推定温度Tmが保護温度Tpを超えた場合、モータ11の駆動を制限する。
これにより、IG52がオフされた後、再度オンされたときに、モータ11の温度を適切に推定可能である。
温度推定部43は、EUC40の内部に設けられるソークタイマ45からオフ時間Poffを取得する。ECU40の内部にソークタイマ45を設けることで、例えば他のECU等からオフ時間Poffに係る情報を取得する場合と比較し、信頼性が高まる。
温度推定部43は、オフ時間Poffが第1の判定閾値P1以上、かつ、第2の判定閾値P2未満の場合、再始動時温度Trを、最終温度Tfをオフ時間Poffに応じてマイナス補正した値とする。
温度推定部43は、オフ時間Poffが第2の判定閾値P2以上である場合、再始動時温度Trを、初期値Tdとする。
本発明の第2実施形態を図9に示す。
図9に示すように、本実施形態のシフトバイワイヤシステム2は、シフトレンジ切替制御装置としてのシフトレンジ切替ECU60が上記実施形態と異なる。シフトレンジ切替ECU60は、マイコン41、不揮発性メモリ44、および、モータドライバ47を有し、ソークタイマが設けられていない。
本実施形態における温度推定処理は、エンジンECU65のソークタイマ66からオフ時間Poffを取得する以外は、上記実施形態と同様である。
また、上記実施形態と同様の効果を奏する。
本発明の第3実施形態を図10〜図14に示す。
図10に示すように、本実施形態のシフトバイワイヤシステム3は、シフトレンジ切替制御装置としてのシフトレンジ切替ECU61が上記実施形態と異なる。以下、シフトレンジ切替ECU61を、単に「ECU61」という。
S201では、温度推定部43は、IG52がオフされたか否かを判断する。IG52がオフされていないと判断された場合(S201:NO)、以下の処理を行わない。IG52がオフされたと判断された場合(S201:YES)、S202へ移行する。
また、最終温度Tfが所定温度以下であれば、遅延時間Phをシャットダウン処理に要する時間に応じた所定時間とし、最終温度Tfが所定温度より高い場合、最終温度Tfに応じて遅延時間Phを演算するようにしてもよい。
また、時刻x61にてIG52が再オンされると、温度推定部43は、モータ11の温度を初期値Tdとし、推定温度Tmの演算を行う。
具体的には、温度推定部43は、最終温度Tfが高いほど、遅延時間Phが長くなるように演算する。また、温度推定部43は、モータ11の温度が初期値Tdとみなせる温度まで低下するのに要する時間に応じて、遅延時間Phを演算する。
本実施形態では、不揮発性メモリやソークタイマを持たないECU61において、再始動時温度Trを適切に演算可能である。これにより、ECU61を簡素化することができる。また、IG52がオフされる前の運転におけるシフトレンジの切り替え頻度が低い場合、遅延時間Phが短縮され、余計な遅延制御が行われないので、バッテリ50の放電を抑制することができる。
上記実施形態では、notPレンジとPレンジとの切り替え時にモータが駆動され、例えば、NレンジからDレンジへの切り替えには、モータが駆動されない。他の実施形態では、ディテントプレートの凹部がレンジ(P、N、D、R等)ごとに設けられており、各レンジの切り替え時にモータが駆動されるようにしてもよい。この場合も上記実施形態と同様、温度推定部は、モータが駆動されるごとに、それまでの推定温度に上昇温度を加算する。上昇温度は、切り替え前後のレンジに応じ、適宜設定可能である。また、推定温度の演算方法は、上記実施形態の方法に限らず、どのような演算方法であってもよい。
また例えばnotPレンジ(例えばNレンジ)にてIGがオフされた場合、IGオフ後にモータを駆動してPレンジに切り替えるシステムがある。このようなシステムでは、IGオフ後であって、Pレンジに切り替えるためのモータ駆動が終了したときを「システム停止時」とみなしてもよい。
また、最終温度に係る「システム停止時」をECUオフ時とし、オフ時間の経時開始に係る「システム停止時」をIGオフ時とする、といった具合に、最終温度に係る「システム停止時」と、オフ時間の経時開始に係る「システム停止時」とは、異なっていてもよい。
上記実施形態では、始動スイッチは、イグニッションスイッチである。他の実施形態では、始動スイッチは、例えば電気自動車等におけるパワースイッチ等としてもよい。
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱し
ない範囲において種々の形態で実施可能である。
10・・・アクチュエータ
20・・・シフトレンジ切替機構
40、60、61・・・シフトレンジ切替ECU(シフトレンジ切替制御装置)
41・・・マイコン
42・・・駆動制御部
43・・・温度制御部
44・・・不揮発性メモリ
45、66・・・ソークタイマ(タイマ)
52・・・イグニッションスイッチ(始動スイッチ)
Claims (7)
- 車両のシフトレンジの切り替えに係るアクチュエータ(10)を制御するシフトレンジ切替制御装置であって、
前記アクチュエータの駆動状態に応じて前記アクチュエータの温度を推定する温度推定部(43)と、
前記アクチュエータの駆動を制御するものであって、前記アクチュエータの推定温度が保護温度を超えた場合、前記アクチュエータの駆動を制限する駆動制御部(42)と、
システム停止時の前記推定温度である最終温度を記憶する不揮発性メモリ(44)と、
を備え、
前記温度推定部は、前記車両の始動スイッチ(52)がオフされた後、再度オンされたときの前記推定温度である再始動時温度を、前記最終温度、および、システムが停止してからの経過時間であるオフ時間に基づいて演算し、
前記オフ時間が第1の判定閾値未満の場合、前記再始動時温度を前記最終温度とし、
前記オフ時間が前記第1の判定閾値以上、かつ、第2の判定閾値未満の場合、前記再始動時温度を、前記最終温度を前記オフ時間に応じてマイナス補正した値とし、
前記オフ時間が前記第2の判定閾値以上である場合、前記再始動時温度を初期値とすることを特徴とするシフトレンジ切替制御装置。 - 前記温度推定部は、内部に設けられるタイマ(45)から前記オフ時間を取得することを特徴とする請求項1に記載のシフトレンジ切替制御装置。
- 前記温度推定部は、エンジンの駆動を制御するエンジン制御部(65)に設けられるタイマ(66)から前記オフ時間を取得することを特徴とする請求項1に記載のシフトレンジ切替制御装置。
- 前記温度推定部は、
前記始動スイッチがオフされた後、遅延時間の間、前記推定温度の演算を継続可能であって、
前記遅延時間中に、前記始動スイッチが再度オンされた場合、前記始動スイッチがオフされる前からの前記推定温度の演算を継続する請求項1〜3のいずれか一項に記載のシフトレンジ切替制御装置。 - 車両のシフトレンジの切り替えに係るアクチュエータ(10)を制御するシフトレンジ切替制御装置であって、
前記アクチュエータの駆動状態に応じて前記アクチュエータの温度を推定する温度推定部(43)と、
前記アクチュエータの駆動を制御するものであって、前記アクチュエータの推定温度が保護温度を超えた場合、前記アクチュエータの駆動を制限する駆動制御部(42)と、
を備え、
前記温度推定部は、前記車両の始動スイッチ(52)がオフされた後、前記推定温度の演算を継続する遅延時間を、システム停止時の前記推定温度である最終温度に応じて可変とし、
前記始動スイッチがオフされた後、再度オンされたときの前記推定温度である再始動時温度を初期値とすることを特徴とするシフトレンジ切替制御装置。 - 前記温度推定部は、前記最終温度が高いほど、前記遅延時間が長くなるように演算することを特徴とする請求項4または5に記載のシフトレンジ切替制御装置。
- 前記温度推定部は、前記アクチュエータの温度が初期値とみなせる温度まで低下するのに要する時間に応じて、前記遅延時間を演算することを特徴とする請求項6に記載のシフトレンジ切替制御装置。
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