JP2007185046A - モータの制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】位置センサから出力されるパルス信号を計数したカウンタ値が、モータの実際の回転角に対応した値からずれている場合に、そのずれの原因が位置センサの故障によるものなのか否かを判定することができるモータの制御装置を提供する。
【解決手段】位置センサからのパルス信号のエッジを計数したカウンタ値がモータの実際の回転角に対応する値からずれているとき、その対応する値に対するカウンタ値のずれ量についてその積算値である積算ずれ量ΔPaを所定周期毎に算出する。そして、その積算ずれ量ΔPaの変化速度ΔPsを算出し(S310)、算出された変化速度ΔPsが故障判定値A以上である場合には(S320:YES)、位置センサに故障ありと判定する(S330)。一方、変化速度ΔPsが故障判定値A未満である場合には(S320:NO)、位置センサに故障なしと判定する(S340)。
【選択図】図14

Description

本発明は、モータの制御装置に関する。
従来、ブラシレスモータ等のモータを所定の回転角範囲内で回転駆動し、それによって各種機構を駆動するといったことが行われている。この場合、各種機構を精密に駆動するには、モータの回転角を正確に検出し、その回転角を各種機構の目標とする駆動状態に対応した回転角とすることが重要になる。
こうした回転角を検出するべく、特許文献1に記載のものでは、モータの回転に伴いパルス信号を出力する位置センサとしてエンコーダを設け、その位置センサから出力されるパルス信号を計数するようにしている。この検出方法によれば、同エッジを計数したカウンタ値がモータの回転角に対応した値になり、そのカウンタ値に基づいてモータの回転角を検出することができる。
特開2004−76265号公報
ところで、上記位置センサからのパルス信号のエッジを計数して得られるカウンタ値は、常にモータの実際の回転角に対応しているとは限らず、場合によっては実際の回転角に対応した値からずれてしまうことがある。
例えば、位置センサから出力される信号にノイズが重畳すると、そのノイズのエッジがパルス信号のエッジと誤認されてしまい、パルス信号のエッジを計数して得られるカウンタ値は、モータの実際の回転角に対応した値からずれてしまう。この場合、カウンタ値に基づき検出されるモータの回転角が不正確になるため、その回転角等に基づいてモータを駆動し、各種機器を目標とする駆動状態に制御しようとしても、それを正しく行うことができなくなるといった不具合が発生する。
こうした不具合の発生を抑えるために、本出願人は、先に出願済みの特願2005−218934に記載の装置にて、上記カウンタ値が実際のモータの回転角に対応する正常値からずれている場合、そのカウンタ値に異常ありと判定するようにしている。そして、そのずれ量に対応する分の補正を当該カウンタ値に加えることにより、そのカウンタ値を実際のモータ回転角に対応する値へと戻すようにしている。より詳細には、制御装置により制御されるモータが、複数の電気角センサから位相をずらして出力されるパルス信号の出力パターンに基づき通電相を切り換えることで駆動されるブラシレスモータであり、位置センサからは、各電気角センサからのパルス信号のエッジ間隔よりも短いエッジ間隔のパルス信号が出力される。そして、各電気角センサから出力されるパルス信号のエッジ発生毎に、前回のエッジ発生時におけるカウンタ値と今回のエッジ発生時におけるカウンタ値との差を算出する。そして、この差が、正常値、すなわち各電気角センサから出力されるパルス信号のエッジ間において位置センサから出力されるはずのパルス信号のエッジ数と異なっている場合に、カウンタ値に異常あり(ずれあり)と判定するようにしている。さらに、カウンタ値に異常ありと判定された場合には、その算出された差と正常値との差分を同カウンタ値に加え、これによりそのカウンタ値を実際のモータ回転角に対応する値へと戻すようにしている。
ここで、カウンタ値のずれは、ノイズの重畳のみならず、位置センサの断線やショートなどでも発生するため、上記態様にてカウンタ値のずれを検出しても、そのずれの発生原因がノイズの重畳によるものなのか断線やショートといった故障によるものなのかを区別することができず、この点において更なる改善の余地を残すものとなっている。
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、位置センサから出力されるパルス信号を計数したカウンタ値が、モータの実際の回転角に対応した値からずれている場合に、そのずれの原因が位置センサの故障によるものなのか否かを判定することができるモータの制御装置を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、所定の回転角範囲内での回転駆動が行われるモータと、同モータの回転に伴いパルス信号を出力する位置センサとを備え、その位置センサからのパルス信号のエッジを計数したカウンタ値に基づき、前記モータの回転角を検出するモータの制御装置において、前記カウンタ値が前記モータの実際の回転角に対応する値からずれているとき、その対応する値に対する前記カウンタ値のずれ量を算出する算出手段と、前記ずれ量の変化速度を算出し、その変化速度に基づいて前記位置センサの故障判定を行う判定手段とを備えることをその要旨とする。
位置センサから出力される信号にノイズが重畳する毎に、上記カウンタ値はモータの実際の回転角に対応した値からずれていくが、そうしたノイズの重畳は継続して起きるわけではなく、偶発的に起きることが多いため、ノイズの重畳によるカウンタ値のずれ量について、その変化速度は比較的遅い傾向にある。一方、位置センサの断線やショートなどといった同位置センサの故障時には、その出力信号であるパルス信号が正常に出力されなくなるため、モータが回転してもカウンタ値はほとんど変化しなくなり、上記ずれ量は急速に大きくなっていく。このように、位置センサに故障が生じている場合には、同位置センサから出力される信号にノイズが重畳した場合と比較して、カウンタ値のずれ量の変化速度は速くなるため、こうしたずれ量の変化速度に基づいて位置センサの故障判定を行う同構成によれば、カウンタ値のずれの原因が位置センサの故障によるものなのか否かを判定することができるようになる。
なお、上記ずれ量の変化速度に基づく位置センサの故障判定に際しては、請求項2に記載の発明によるように、前記判定手段は、前記算出される変化速度が、前記パルス信号にノイズが重畳したときの変化速度よりも大きい場合に前記位置センサに故障ありと判定する、といった構成を採用することにより、同位置センサの故障を適切に検出することができるようになる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のモータの制御装置において、前記モータは、その回転時に同モータに設けられた複数の電気角センサから位相をずらして出力されるパルス信号の出力パターンに基づき通電相を切り換えることで駆動されるブラシレスモータであり、前記位置センサは、各電気角センサから出力されるパルス信号のエッジ間隔よりも短いエッジ間隔のパルス信号を出力するものであり、前記算出手段は、各電気角センサから出力されるパルス信号のエッジ発生毎に、今回のエッジ発生時における位置カウンタのカウンタ値Pi と前回のエッジ発生時における位置カウンタのカウンタ値Pi-1 との差(Pi −Pi-1 )を算出し、この差(Pi −Pi-1 )の正常時の値である正常値に対する当該差(Pi −Pi-1 )のずれ量を、前記モータの実際の回転角に対応する値に対する前記カウンタ値のずれ量とすることをその要旨とする。
上記構成によれば、位置カウンタのカウンタ値がモータの実際の回転角に対応した値からずれると、そのずれが差(Pi −Pi-1 )に反映される。すなわち、そのずれの分だけ上記差(Pi −Pi-1 )が正常値からずれることになる。従って、正常値に対する上記差(Pi −Pi-1 )のずれ量を、位置カウンタのカウンタ値におけるモータの実際の回転角に対応する値からのずれ量として用いる同構成によれば、カウンタ値のずれ量を適切に算出することができるようになる。
請求項4に記載の発明は、請求項3記載のモータの制御装置において、前記算出手段は、前記モータの回転状態が正回転中、逆回転中、及び正逆回転反転中のうちのいずれであるかを判断し、前記各電気角センサから出力されるパルス信号のエッジ間において前記位置センサから出力されるパルス信号のエッジ数の適正値が「n」であるとすると、前記正常値をモータ正回転中であれば「n」に設定し、モータ逆回転中であれば「−n」に設定し、モータ正逆回転反転中であれば「0」に設定することをその要旨とする。
位置カウンタのカウンタ値は、ブラシレスモータの正回転時に位置センサからのパルス信号のエッジ毎に「1」ずつ増加してゆき、ブラシレスモータの逆回転時には位置センサからのパルス信号のエッジ毎に「1」ずつ減少してゆく。このため、位置カウンタのカウンタ値が正常であるとき、換言すればカウンタ値がモータの実際の回転角に対応しているとき、差(Pi −Pi-1 )は、モータ正回転中であれば上記エッジ数nに対応して「n」となり、モータ逆回転中であれば「−n」となり、ブラシレスモータの正逆回転反転中であれば「0」となる。この点、同構成によれば、正常値がブラシレスモータの回転状態に応じて「n」、「−n」、及び「0」の間で切り換えられるため、その正常値に対する差(Pi −Pi- 1 )のずれ量をモータの回転状態に関わらず適切に算出することができるようになる。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載のモータの制御装置において、前記ずれ量を補正値として設定し、その補正値分の補正を前記カウンタ値に加える補正手段を備え、前記判定手段は、前記ずれ量の積算値を算出するとともにその積算値の変化速度に基づいて前記位置センサの故障判定を行うことをその要旨とする。
同構成によれば、上記補正手段によってカウンタ値のずれを修正することができるようになる。ここで、カウンタ値に対するずれ量補正を行う場合には、そのずれ補正の実行タイミング毎にずれ量は「0」になる。そのため、位置センサの故障によって上述したようなずれ量の増大が生じたとしても、ずれ補正の実行タイミング毎にずれ量はリセットされる。従って、上記ずれ量補正を行う場合には、ノイズの重畳によるずれ量の変化速度と、位置センサの故障によるずれ量の変化速度との違いが小さくなり、位置センサの故障判定に関する精度が低下してしまうおそれがある。この点、上記算出手段にて算出されたずれ量を積算し、その積算値の変化速度に基づいて位置センサの故障判定を行うようにすれば、そうした不都合の発生を抑えることができる。
すなわち、ノイズの重畳は偶発的に起きることが多く、そうした重畳が発生していなければ、算出されるずれ量は「0」になる。そのため、ノイズの重畳によって生じたずれ量の積算値についてその増大速度は、ずれ量補正を行わない場合のずれ量と同様に、比較的遅くなる。一方、位置センサの故障時には、算出されるずれ量が常に「0」以外の値になるため、その故障時には、ずれ量が算出されるたびにずれ量の積算値は増大する。そのため、位置センサの故障時におけるずれ量の積算値についてその増大速度は、ずれ量補正を行わない場合のずれ量と同様に、ノイズが重畳した場合の変化速度よりも速くなる。そこで同構成では、カウンタ値のずれ量を補正するようにした場合、そうしたずれ量の積算値の変化速度に基づいて位置センサの故障判定を行うようにしており、こうした構成を備えることにより、カウンタ値のずれ量を補正する場合であっても、カウンタ値のずれの原因が位置センサの故障によるものなのか否かを適切に判定することができるようになる。

請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載のモータの制御装置において、前記モータは、内燃機関の機関バルブのバルブ特性を可変とする可変動弁機構の駆動に用いられるものであることをその要旨とする。
内燃機関の可変動弁機構をモータで駆動する場合、上記カウンタ値に基づいてモータの回転角を検出し、その回転角が目標とするバルブ特性に対応した回転角となるようにモータは駆動される。ここで、位置センサに故障が生じていると、カウンタ値はモータの実際の回転角に対応した値からずれていくため、そのカウンタ値に基づき検出されるモータの回転角は不正確になる。従って、当該回転角に基づいてモータを制御しても、バルブ特性を目標とする特性に変更することができず、機関運転に対して悪影響を与えてしまうおそれがある。この点、上記構成によれば、可変動弁機構を駆動するモータの回転角を検出するべく設けられた位置センサについて、その故障判定を適切に行うことができるようになる。
以下、本発明を、エンジンに設けられた可変動弁機構を駆動するモータの制御装置に具体化した一実施形態について、図1〜図14を併せ参照して説明する。
図1に、本実施形態におけるエンジンのシリンダヘッド周りについてその断面構造を示す。
この図1に示すように、このエンジン1には、シリンダヘッド2、シリンダブロック3、及びピストン5によって燃焼室6が区画形成されており、この燃焼室6には吸気通路7及び排気通路8が接続されている。そして、吸気通路7と燃焼室6との間は、吸気バルブ9の開閉動作によって連通・遮断され、排気通路8と燃焼室6との間は、排気バルブ10の開閉動作によって連通・遮断される。
シリンダヘッド2には、吸気バルブ9及び排気バルブ10を駆動するための吸気カムシャフト11及び排気カムシャフト12が設けられている。これら吸気カムシャフト11及び排気カムシャフト12は、エンジン1のクランクシャフトの回転力を利用して回転駆動される。また、吸気カムシャフト11及び排気カムシャフト12には、それぞれ吸気カム11a及び排気カム12aが設けられている。そして、吸気カムシャフト11と一体回転する吸気カム11aによって吸気バルブ9は開閉動作され、排気カムシャフト12と一体回転する排気カム12aによって排気バルブ10は開閉動作される。
また、吸気カム11aと吸気バルブ9との間には、吸気バルブ9のバルブ特性、より詳細には吸気バルブ9の最大リフト量VL、及び同吸気バルブ9の開弁期間に相当する吸気カム11aの作用角INCAMを可変とする可変動弁機構14が設けられている。この可変動弁機構14の駆動を通じて、燃焼室6に導入される吸入空気量を多く必要とする機関運転状態になるほど、最大リフト量VL及び作用角INCAM(開弁期間)は大きくされる。これは最大リフト量VL及び作用角INCAMが大きくなるほど、吸気通路7から燃焼室6への空気の吸入が効率よく行われ、吸入空気量に関する上記要求を満たすことが可能になるためである。
次に、可変動弁機構14の詳細な構造について説明する。
同可変動弁機構14は、シリンダヘッド2に固定されて吸気カムシャフト11と平行に延びるパイプ状のロッカシャフト15、ロッカシャフト15に挿入された棒状のコントロールシャフト16、コントロールシャフト16の軸線を中心に揺動する入力アーム17、入力アーム17の揺動に基づき上記軸線を中心に揺動する出力アーム18等を備えている。
入力アーム17には、ローラ19が回転可能に取り付けられており、このローラ19は、コイルスプリング20によって吸気カム11a側に押し付けられている。また、出力アーム18は、その揺動時にロッカアーム21に押し付けられ、同ロッカアーム21を介して吸気バルブ9をリフトさせる。
このロッカアーム21の一端部はラッシュアジャスタ22によって支持され、同ロッカアーム21の他端部は吸気バルブ9に接触している。また、ロッカアーム21は吸気バルブ9のバルブスプリング24によって出力アーム18側に付勢されており、これによりロッカアーム21の一端部と他端部との間に回転可能に支持されたローラ23が出力アーム18に押し付けられている。従って、吸気カム11aの回転に基づき入力アーム17及び出力アーム18が揺動すると、出力アーム18がロッカアーム21を介して吸気バルブ9をリフトさせ、吸気バルブ9の開閉動作が行われる。
この可変動弁機構14では、ロッカシャフト15内に配置されたコントロールシャフト16を軸方向に変位させることで、入力アーム17と出力アーム18との揺動方向についての相対位置を変更することが可能になっている。このように、入力アーム17と出力アーム18との揺動方向について、それらの相対位置を変更することにより、上記吸気バルブ9の最大リフト量VL及び作用角INCAMが可変とされる。すなわち、入力アーム17と出力アーム18とを揺動方向について互いに接近させるほど、吸気バルブ9の最大リフト量VL及び作用角INCAMはともに同期しながら小さくなる。逆に、入力アーム17と出力アーム18とを揺動方向について互いに離間させるほど、吸気バルブ9の最大リフト量VL及び作用角INCAMはともに同期しながら大きくなる。
次に、可変動弁機構14を駆動するべく上記コントロールシャフト16を軸方向に変位させるための駆動機構、及び、その駆動機構を駆動制御する制御装置について、図2を参照して説明する。
同図2に示されるように、コントロールシャフト16の末端(図中右端)には、ブラシレスモータ47が変換機構48を介して連結されている。この変換機構48は、ブラシレスモータ47の回転運動をコントロールシャフト16の軸方向への直線運動に変換するためのものである。そして、上記ブラシレスモータ47の所定の回転角範囲内での回転駆動、例えば同モータ47の10回転分の回転角範囲(0〜3600°)内での回転駆動を通じて、コントロールシャフト16が軸方向に変位させられ、可変動弁機構14が駆動されることとなる。
ちなみに、ブラシレスモータ47を正回転させると、コントロールシャフト16は先端(図中左端)側に変位し、入力アーム17と出力アーム18との揺動方向についての相対位置が互いに接近するように変更される。また、ブラシレスモータ47を逆回転させると、コントロールシャフト16は末端(図中右端)側に変位し、入力アーム17と出力アーム18との揺動方向についての相対位置が互いに離間するように変更される。こうしたブラシレスモータ47の回転駆動による入力アーム17及び出力アーム18の揺動方向についての相対位置の変更を通じて、吸気カム11aの回転により出力アーム18が揺動したときの吸気バルブ9の最大リフト量VL及び作用角INCAMが可変とされる。
ブラシレスモータ47には、三つの電気角センサS1〜S3、及び二つの位置センサS4,S5が設けられている。
三つの電気角センサS1〜S3は、ブラシレスモータ47の回転時、同モータ47のロータと一体回転する4極の多極マグネットの磁気に応じて、図3(a)〜(c)に示すようなパルス状の信号、すなわちハイ信号「H」とロー信号「L」とを交互に出力するものである。また、各電気角センサS1〜S3からのパルス信号は、互いに位相をずらした状態で出力されるようになっている。すなわち、こうしたパルス信号の波形が得られるよう、上記ロータに対する各電気角センサS1〜S3の周方向位置が定められている。なお、各電気角センサS1〜S3のうちの一つのセンサから出力されるパルス信号のエッジは、ブラシレスモータ47の45°回転毎に発生している。また、上記一つのセンサからのパルス信号は、他の2つのセンサからのパルス信号に対し、ブラシレスモータ47の30°回転分だけそれぞれ進み側及び遅れ側に位相がずれた状態となっている。
二つの位置センサS4,S5は、ブラシレスモータ47の回転時、同モータ47のロータと一体回転する48極の多極マグネットの磁気に応じて、図3(d)及び(e)に示されるようなパルス状の信号、すなわちハイ信号「H」とロー信号「L」とを交互に出力するものである。また、各位置センサS4,S5からのパルス信号は、互いに位相をずらした状態で出力されるようになっており、モータ正回転時には位置センサS4からのパルス信号の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジがそれぞれ、位置センサS4からのパルス信号の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジよりも先に生じる。すなわち、こうしたパルス信号の波形が得られるよう、上記ロータに対する各位置センサS4,S5の周方向位置が定められている。なお、各位置センサS4,S5の内の一方のセンサから出力されるパルス信号のエッジは、ブラシレスモータ47の7.5°回転毎に発生している。また、上記一方のセンサからのパルス信号は、他方のセンサからのパルス信号に対し、ブラシレスモータ47の3.75°回転分だけ位相をずらした状態となっている。
従って、電気角センサS1〜S3からのパルス信号のエッジ間隔が15°であるのに対し、位置センサS4,S5からのパルス信号のエッジ間隔は3.75°となっており、上記15°というエッジ間隔よりも短くなっている。更に、電気角センサS1〜S3からのパルス信号のエッジ発生から次回のエッジ発生までには、位置センサS4,S5からのパルス信号のエッジが4回発生するようになっている。
上記各センサS1〜S5やブラシレスモータ47の電力線は、可変動弁機構14の駆動制御、換言すればブラシレスモータ47の回転駆動制御を行うモータ用電子制御装置30に接続されている。このモータ用電子制御装置30には、上記各センサS1〜S5が接続されたセンサ用制御部31、ブラシレスモータ47の各通電相(U相、V相、W相)に対応した電力線が接続された電源部32、上記各センサS1〜S5の検出信号等に基づいて各種演算処理を実行する演算処理部33等を備えている。
センサ用制御部31では、各位置センサS4、S5の信号に基づいてブラシレスモータ47の相対回転角が検出されるとともに、その検出される相対回転角と予め学習された基準位置とに基づいてブラシレスモータ47の絶対回転角が算出される。また、ブラシレスモータ47の回転時に、各電気角センサS1〜S3から出力されるパルス信号のパターンに応じて上記通電相を切り換えるための切換信号が上記電源部32に対して出力される。
電源部32では、ブラシレスモータ47の各通電相(U相、V相、W相)に対して、上記切換信号に応じた電力供給が行われる。
そして、演算処理部33では、上記検出される相対回転角や絶対回転角に基づいて各種演算処理が実行されるとともに、上記切換信号の出力タイミングなどがセンサ用制御部31に対して出力される。また、この演算処理部33にも、上記位置センサS4、S5の信号が入力され、それら信号に基づいてブラシレスモータ47の回転速度が、より詳細にはブラシレスモータ47の相対回転角が算出される。
また、モータ用電子制御装置30の演算処理部33は、エンジン1の各種制御を行うエンジン用電子制御装置50に接続されている。
このエンジン用電子制御装置50は、上記各種演算処理を実行するCPU、その制御に必要なプログラムやデータの記憶されたROM、CPUの演算結果が一時的に記憶されるRAM、外部との間で信号を入・出力するための入・出力ポート等を備えて構成されている。
エンジン用電子制御装置50の入力ポートには、上記演算処理部33からの各種信号が入力されるほか、以下のような各種センサ及びスイッチなども接続されている。
・自動車の運転者によって踏み込み操作されるアクセルペダルの踏み込み量(アクセル操作量ACCP)を検出するアクセルセンサ51。
・エンジン1の吸気通路7に設けられたスロットルバルブの開度(スロットル開度TA)を検出するスロットルセンサ52。
・上記吸気通路7を介して燃焼室6に吸入される空気の量、すなわち吸入空気量GAを検出するエアフロメータ53。
・エンジン1の出力軸の回転に対応する信号を出力して機関回転速度NEの検出等に用いられるクランク角センサ54。
・自動車の運転者により切り換え操作され、現在の切換位置に対応した信号を出力するイグニッションスイッチ55。
同エンジン用電子制御装置50は、上記各種センサ等から入力した検出信号や、演算処理部33からの各種信号等に基づいて機関運転状態を把握する。そして、その把握した機関運転状態に基づいてブラシレスモータ47を駆動するべく、モータ用電子制御装置30の演算処理部33に対して駆動指令値を出力し、同ブラシレスモータ47の駆動を通じてコントロールシャフト16を軸方向に変位させることで、可変動弁機構14の駆動を通じた吸気バルブ9のバルブ特性制御を行う。
すなわち、可変とされる上記最大リフト量VL及び作用角INCAMは、コントロールシャフト16の軸方向の位置に対応しており、このコントロールシャフト16の軸方向の位置は、ブラシレスモータ47の上記所定回転角範囲内での回転角に対応している。従って、最大リフト量VL及び作用角INCAMの可変制御に際しては、ブラシレスモータ47の回転角が制御される。
そうしたブラシレスモータ47の回転角についてその検出手順を、図3に示すタイミングチャート及び図4に示すフローチャートを併せ参照して説明する。
図3において、(a)〜(e)は、ブラシレスモータ47の回転時における同モータ47の回転角変化に対し、各センサS1〜S5からパルス信号がどのように出力されるかを示す波形図である。また、(f)〜(h)にはそれぞれ、ブラシレスモータ47の回転時における同モータ47の回転角の変化に対し、電気角カウンタE、位置カウンタP、及びストロークカウンタSのカウンタ値がどのように推移するかを示している。
なお、上記電気角カウンタEは、ブラシレスモータ47を駆動すべく同モータ47の通電相を切り換える際に用いられるものである。また、上記位置カウンタPは、エンジン1を運転開始する際のイグニッションスイッチ55のオン操作(イグニッションオン)後、ブラシレスモータ47の回転角がどれだけ変化したか、その相対回転角を表すものである。更に、上記ストロークカウンタSは、ブラシレスモータ47の上記所定回転角範囲(10回転分)において、コントロールシャフト16を最も先端側に変位させたときのブラシレスモータ47の回転角を基準(0°)とした同モータ47の回転角を表すものであり、このストロークカウンタSは、ブラシレスモータ47の絶対回転角を表している。
図4に、上記電気角カウンタE、位置カウンタP、及びストロークカウンタSのカウンタ値を変化させるためのカウント処理についてその手順を示す。このカウント処理は、モータ用電子制御装置30により、位置センサS4,S5からのパルス信号のエッジ間隔に対応する時間間隔よりも短い間隔をもって周期的に実行される。
本処理においては、まず、先の図3(a)〜(c)に示した各電気角センサS1〜S3からのパルス信号の出力パターンに基づき、図3(f)に示すように電気角カウンタEのカウンタ値を変化させる(S101)。
より詳しくは、図5(a)に示すように、各電気角センサS1〜S3から各々ハイ信号「H」とロー信号「L」とのいずれが出力されているかに応じて、電気角カウンタEのカウンタ値は「0」〜「5」の範囲内の連続した整数値のうちのいずれかが当てはめられる。その結果、ブラシレスモータ47の正回転時(図3中右向き)には、電気角センサS1〜S3からのパルス信号の出力パターンに応じて、「0」〜「5」の範囲内の連続した各整数値が「0」→「1」→「2」→「3」→「4」→「5」→「0」といった順序で順方向に電気角カウンタEのカウンタ値として当てはめられる。また、ブラシレスモータ47の逆回転時(図3中左向き)には、電気角センサS1〜S3からのパルス信号の出力パターンに応じて、「0」〜「5」の範囲内の連続した各整数値が「5」→「4」→「3」→「2」→「1」→「0」→「5」といった順序で逆方向に電気角カウンタEのカウンタ値として当てはめられる。なお、何らかの原因により、各電気角センサS1〜S3全てがハイ信号「H」を出力する場合、或いは、各電気角センサS1〜S3全てがロー信号「L」を出力する場合もあるが、これらの場合には異常状態である旨判断され、電気角カウンタEのカウンタ値がそのまま保持される。
そして、この電気角カウンタEのカウンタ値に基づいてブラシレスモータ47の通電相を切り換えることで、同モータの正回転方向または逆回転方向への駆動が行われる。
続いて、各位置センサS4,S5からのパルス信号の出力パターンに基づき、同パルス信号のエッジ毎に位置カウンタPのカウンタ値が増減される(図4のS102)。
詳しくは、図5(b)に示すように、位置センサS4,S5のうち、一方のセンサからパルス信号の立ち上がりエッジ或いは立ち下がりエッジのいずれが生じているか、及び他方のセンサからハイ信号「H」或いはロー信号「L」のいずれが出力されているかに応じて、位置カウンタPのカウンタ値には、「+1」或いは「−1」が加算される。なお、同図5(b)において、「↑」はパルス信号の立ち上がりエッジを表し、「↓」はパルス信号の立ち下がりエッジを表している。こうした処理を実行して得られる位置カウンタPのカウンタ値は、各位置センサS4,S5からのパルス信号のエッジを計数した値となっている。
ここで、ブラシレスモータ47の正回転中であれば、位置カウンタPのカウンタ値は、図3(d)及び(e)に示される位置センサS4,S5からのパルス信号のエッジ毎に「1」ずつ加算されてゆき、図3(g)中の右方向に変化してゆく。また、ブラシレスモータ47の逆回転中であれば、位置カウンタPのカウンタ値は、上記エッジ毎に「1」ずつ減算されてゆき、図3(g)中の左方向に変化してゆく。なお、この位置カウンタPは、イグニッションスイッチ55のオフ操作(イグニッションオフ)がなされたとき、「0」にリセットされる。従って、位置カウンタPのカウンタ値は、イグニッションオン後にコントロールシャフト16が軸方向にどれだけ変位したかを表すものとなる。
そして、図3(g)に示すように変化する位置カウンタPに応じて、図3(h)に示すようにストロークカウンタSは変化する。具体的には、位置カウンタPに対して学習値Prの正負を反転させた値(−Pr)を加算して得られる値がストロークカウンタSのカウンタ値として設定される(図4のS103)。なお、上記学習値Prは、コントロールシャフト16をその移動範囲における図2の左端(先端)側の変位端まで変位させたとき、すなわちブラシレスモータ47の回転角を上記所定の回転角範囲内における上記コントロールシャフト16の変位状態に対応する端まで変化させたときの位置カウンタPのカウンタ値に対応した値である。この学習値Prは、イグニッションオン後に所定の条件下で学習が行われてエンジン用電子制御装置50の不揮発性メモリに記憶される。従って、位置カウンタPのカウンタ値に学習値Prの正負を反転させた値を加算して得られるストロークカウンタSのカウンタ値は、コントロールシャフト16が最も先端側に変位した状態を基準とする同シャフト16の軸方向位置を表すものになる。このことは、言い換えれば、ストロークカウンタSのカウンタ値は、ブラシレスモータ47の上記所定回転角範囲におけるコントロールシャフト16の上記変位状態に対応する端を基準とした同モータ47の絶対回転角を表すものになっている。
エンジン用電子制御装置50は、上記ストロークカウンタSのカウンタ値に基づき、ブラシレスモータ47の回転角、換言すれば吸気バルブ9の最大リフト量VL及び作用角INCAMを検出する。そして、エンジン用電子制御装置50は、上記のように検出された最大リフト量VL及び作用角INCAMといったバルブ特性の目標値を機関運転状態に基づいて算出し、その目標値を上記モータ用電子制御装置30に出力する。モータ用電子制御装置30では、上記検出されたバルブ特性が、エンジン用電子制御装置50によって算出された目標値となるようにブラシレスモータ47の回転駆動制御、換言すれば可変動弁機構14の駆動制御を行う。これにより、上記最大リフト量VL及び作用角INCAMといったバルブ特性は目標とする特性に変更される。
ところで、ブラシレスモータ47の通電相の切り換えに際しては、電気角カウンタEのカウンタ値が変化してから、通電相の切り換え処理や通電相のコイルへの通電が行われるため、切り換え処理の実行時間やコイルでの電流の立ち上がり時間等の分だけ、実際の通電相の切り換えは遅れてしまう。例えば、図6の(A)に示すように、電気角カウンタEが「2」から「3」に変化した場合(時刻t(3))、切り換え処理の実行時間やコイルでの電流の立ち上がり時間等が加算された遅れ時間Rが経過した時点(時刻t3+R)で、電気角カウンタE=「2」に対応した通電相から同カウンタE=「3」に対応した通電相への通電切り換えが完了する。このように、電気角カウンタEの変化に対して通電相の切り換えが遅れてしまうと、ブラシレスモータ47の出力トルクが低下してしまい、その結果、可変動弁機構14を適切に駆動することができなくなるなどといった不都合が発生してしまう。そこで、本実施形態では、モータ用電子制御装置30にて、通電相の切り換えタイミングを進角処理することにより、そうした通電相の切り換え遅れを抑えるようにしている。すなわち、電気角カウンタEが変化したときには、変化後の電気角カウンタEに対応した通電相に通電するのではなく、その変化後の電気角カウンタEの次に変化するはずの電気角カウンタEに対応した通電相に対して、上記遅れ時間Rを見越して通電相への切り換え処理を開始するようにしている。
上記進角処理の実行態様についてその一例を図6の(B)に示す。この図6の(B)に示すごとく、電気角カウンタEが「1」から「2」に変化した場合(時刻t(2))には、上記遅れ時間Rを見越して電気角カウンタE=「3」に対応した通電相への切り換え処理が開始される。より詳細には、電気角カウンタEが「1」から「2」に変化した場合(時刻t(2))には、その変化時点から所定の時間Xが経過した時点(時刻t(2)+X)で、電気角カウンタE=「3」に対応した通電相への切り換え処理が開始される。その結果、電気角カウンタEが「2」から「3」に変化した時点(時刻t(3))では、電気角カウンタE=「3」に対応した通電相への切り換えが完了している。なお、上記時間Xは、通電相の切り換え処理を開始した後、上記遅れ時間Rが経過した時点で電気角カウンタEが「2」から「3」に変化するように、ブラシレスモータ47の回転速度等に基づいて可変設定される。ちなみに、ブラシレスモータ47の回転速度は、所定期間内の上記位置カウンタPのカウンタ値の変化量や、所定期間内の上記ストロークカウンタSのカウンタ値の変化量と相関関係にある。そこで、本実施形態では、適宜設定された期間内における位置カウンタPのカウンタ値の変化量に基づいて上記時間Xを可変設定するようにしている。また、上述した進角処理は、電気角カウンタEが「1」から「2」に変化した場合のみならず、電気角カウンタEの値が変化するたびに実行される。
ここで、先の図2に示したセンサ用制御部31にて算出された相対回転角、すなわち上記位置カウンタPのカウンタ値を、同センサ用制御部31から演算処理部33に向けて所定の通信周期毎に送信し、同演算処理部33にて、その通信周期毎に送られてくる同カウンタ値の変化量に基づき、上記時間Xを算出する。そしてその算出された時間Xをセンサ用制御部31に送信するようにした場合には、次のような不都合が生じてしまう。すなわち、位置カウンタPのカウンタ値を演算処理部33へ送信しても、演算処理部33で算出された時間Xがセンサ用制御部31に送信されるのは、次の通信周期時となるため、この通信周期の時間分だけ進角処理の実行が遅れてしまい、正確に通電相の進角処理を行うことができないおそれがある。
そこで、本実施形態では、上述したように、演算処理部33でもブラシレスモータ47の相対回転角、すなわち位置カウンタPのカウンタ値を算出するようにしており、この演算処理部33で算出された同カウンタ値について、適宜設定された期間内における変化量を算出し、その算出された変化量に基づいて上記時間Xを可変設定するようにしている。そのため、演算処理部33では、最新のブラシレスモータ47の回転速度に基づいた時間Xが常に算出されており、センサ用制御部31から電気角カウンタEが変化したことを示す信号が入力されたときには、進角処理に必要な上記時間Xをセンサ用制御部31に向けて速やかに送信することができる。従って、上記通信周期に起因する進角処理の実行遅れは適切に抑制される。
他方、上記センサ用制御部31などで算出される位置カウンタPのカウンタ値は、常にブラシレスモータ47の実際の回転角に対応しているとは限らず、その実際の回転角に対応した値からずれることがある。例えば、位置センサS4,S5から出力される信号にノイズが重畳すると、そのノイズのエッジと位置センサS4,S5からのパルス信号のエッジとを見分けることができず、ノイズのエッジをパルス信号のエッジと誤認し、パルス信号のエッジを計数する位置カウンタPのカウンタ値がブラシレスモータ47の実際の回転角と対応しなくなる。
以下、上記不具合の発生の詳細について、ブラシレスモータ47の正回転中に上記ノイズが発生した場合、ブラシレスモータ47の逆回転中に上記ノイズが発生した場合、及び、ブラシレスモータ47の正逆回転反転中に上記ノイズが発生した場合に分けて説明する。
なお、モータ正回転中及び逆回転中での上記不具合発生の説明については図7のタイミングチャートを参照して行い、モータ正逆回転反転中での上記不具合発生の説明については図8のタイムチャートを参照して行う。図7において、(a)〜(e)は、ブラシレスモータ47の回転角の変化に対する位置センサS4,S5からのパルス信号の波形、電気角カウンタEのカウンタ値の推移、及び位置カウンタPのカウンタ値の推移を表している。また、図8において、(a)〜(d)は、時間経過に対する位置センサS4,S5からのパルス信号の波形、電気角カウンタEのカウンタ値の推移、及び位置カウンタPのカウンタ値の推移を表している。
[モータ正回転中]
ブラシレスモータ47の正回転中、例えば図7(a)に示されるように、位置センサS4からの信号にノイズが重畳し、そのノイズが位置センサS5からのパルス信号の立ち下がりエッジと重なると、上記ノイズの発生しているタイミングa,b,cでの位置センサS4,S5からの信号の出力パターンは、図9(a)に示されるようなパターンとなる。
すなわち、タイミングaにおいては、位置センサS4の信号は立ち上がりエッジとなっており、位置センサS5の信号はハイ信号になっている。また、タイミングbにおいては、位置センサS4の信号はハイ信号となっており、位置センサS5の信号は立ち下がりエッジになっている。そして、タイミングcにおいては、位置センサS4の信号は立ち下がりエッジとなっており、位置センサS5の信号はロー信号になっている。
その結果、タイミングa,b,cにおいて、それぞれ位置カウンタPのカウンタ値に「−1」が加算され、図7(d)のタイミングa,b,cでは、当該カウンタ値が破線で示されるように「1」ずつ減少してゆく。一方、上記ノイズが発生していなければ、タイミングa,b,cのうち、タイミングbで位置カウンタPのカウンタ値に「1」が加算されるだけとなるはずである。このため、上記ノイズが発生したときの位置カウンタPのカウンタ値は、タイミングc以降、ブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値(実線)に対し、二点鎖線で示されるように「4」だけ小さくなる。
[モータ逆回転中]
ブラシレスモータ47の逆回転中、例えば図7(a)に示されるように、位置センサS4からの信号にノイズが重畳し、そのノイズが位置センサS5からのパルス信号の立ち上がりエッジと重なると、上記ノイズの発生しているタイミングc,b,aでの位置センサS4,S5からの信号の出力パターンは、図9(b)に示されるようなパターンとなる。
すなわち、タイミングcにおいては、位置センサS4の信号は立ち上がりエッジとなっており、位置センサS5の信号はハイ信号になっている。また、タイミングbにおいては、位置センサS4の信号はハイ信号となっており、位置センサS5の信号は立ち上がりエッジになっている。そして、タイミングaにおいては、位置センサS4の信号は立ち下がりエッジとなっており、位置センサS5の信号はハイ信号になっている。
その結果、タイミングc,b,aで、それぞれ位置カウンタPのカウンタ値に「1」が加算され、図7(e)のタイミングc,b,aでは当該カウンタ値が破線で示されるように「1」ずつ増加してゆく。一方、上記ノイズが発生していなければ、タイミングc,b,aのうち、タイミングbで位置カウンタPのカウンタ値に「−1」が加算されるだけとなるはずである。このため、上記ノイズが発生したときの位置カウンタPのカウンタ値は、タイミングa以降、ブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値(実線)に対し、二点鎖線で示されるように「4」だけ大きくなる。
[モータ正逆回転反転中]
ブラシレスモータ47の正逆回転の反転、例えば正回転から逆回転への反転が行われる際、位置センサS4,S5の波形及び電気角カウンタEのカウンタ値は、時間経過に対してそれぞれ図8(a)〜(c)に示されるように推移する。
すなわち、ブラシレスモータ47の正逆回転反転中、例えば図8(b)に破線L1で示されるように、位置センサS5からの信号にノイズが重畳し、そのノイズが位置センサS4からのパルス信号の立ち上がりエッジと重なると、上記ノイズのエッジ及び上記パルス信号のエッジ毎に位置カウンタPのカウンタ値が「1」ずつ減少してゆく。これは、上記ノイズの重畳によって位置センサS4,S5からの信号の出力パターンが、位置カウンタPのカウンタ値を「−1」ずつ加算してゆくパターンとなるためである。一方、上記ノイズが発生していなければ、上記のように位置カウンタPのカウンタ値が「1」ずつ減少する期間に対応する期間中には、位置カウンタPのカウンタ値に「1」が加算されるはずである。このため、上記ノイズが発生したときの位置カウンタPのカウンタ値は、ブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値(実線)に対し、破線L2で示されるように「4」だけ小さくなる。
また、ブラシレスモータ47の正逆回転反転中、例えば図8(b)に破線L3で示されるように、位置センサS5からの信号にノイズが重畳し、そのノイズが位置センサS4からのパルス信号の立ち下がりエッジと重なると、上記ノイズのエッジ及び上記パルス信号のエッジ毎に位置カウンタPのカウンタ値が「1」ずつ増加してゆく。これは、上記ノイズの発生によって位置センサS4,S5からの信号の出力パターンが、位置カウンタPのカウンタ値を「1」ずつ加算してゆくパターンとなるためである。一方、上記ノイズが発生していなければ、上記のように位置カウンタPのカウンタ値が「1」ずつ増加する期間に対応する期間中には、位置カウンタPのカウンタ値に「−1」が加算されるはずである。このため、上記ノイズが発生したときの位置カウンタPのカウンタ値は、ブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値(実線)に対し、破線L4で示されるように「4」だけ大きくなる。
以上のように、位置センサS4,S5から出力される信号にノイズが重畳し、そのノイズが位置センサS4,S5からのパルス信号のエッジと重なると、位置カウンタPのカウンタ値がブラシレスモータ47の実際の回転角と対応しなくなる。その結果、位置カウンタP(正確にはストロークカウンタS)のカウンタ値に基づき検出されるブラシレスモータ47の実際の回転角、言い換えれば最大リフト量VL及び作用角INCAMといったバルブ特性が不正確になる。従って、上記検出されたバルブ特性が目標とする特性となるようブラシレスモータ47(可変動弁機構14)を駆動したとき、実際のバルブ特性が目標とする特性からずれてしまい、機関運転に対して悪影響を与えるおそれがある。より詳しくは、吸気バルブ9の実際のバルブ特性を目標の特性に制御できないことから、当該バルブ特性に基づくエンジン1の吸入空気量の推定を正しく行えなくなり、ひいてはその推定される吸入空気量に基づきエンジン1を運転制御する際に、エンジン1のエミッション不良や加速不良を招くおそれがある。
そこで本実施形態では、ブラシレスモータ47の駆動に用いられる電気角センサS1〜S3からのパルス信号を利用して、位置カウンタPにおけるカウンタ値の異常発生を検出するようにしている。さらに、位置カウンタPのカウンタ値におけるブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値からのずれ量を求め、そのずれ量に対応する分の補正を当該カウンタ値に加えて、そのカウンタ値をブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値に戻すようにもしている。
より詳しくは、以下の[1]〜[4]の処理を実行することで、上述した位置カウンタPの異常判定を行うとともに、カウンタ値の補正を行うようにしている。
[1]各電気角センサS1〜S3から出力されるパルス信号のエッジ発生毎に、今回のエッジ発生時における位置カウンタPのカウンタ値Pi と前回のエッジ発生時における位置カウンタPのカウンタ値Pi-1 との差(Pi −Pi-1 )を算出する。
[2]電気角カウンタEのカウンタ値の変化に基づきブラシレスモータ47の回転状態が正回転中、逆回転中、及び正逆回転反転中のうちのいずれであるかを判断する。より詳しくは、各電気角センサS1〜S3からのパルス信号の前回のエッジ発生時と今回のエッジ発生時とにおける各々の電気角カウンタEの変化方向に基づき、ブラシレスモータ47が正回転中、逆回転中、及び正逆回転反転中のいずれであるかを判断する。すなわち、図10に示すように、前回のエッジ発生時と今回のエッジ発生時との電気角カウンタEの変化方向について、それらが共に順方向であればモータ正回転中である旨の判断を行い、それらが共に逆方向であればモータ逆回転中である旨の判断を行う。また、前回のエッジ発生時と今回のエッジ発生時との電気角カウンタEの変化方向が順方向と逆方向とで異なっていれば、モータ正逆回転反転中である旨の判断を行う。
そして、ブラシレスモータ47の回転状態に応じて差(Pi −Pi-1 )の正常時の値である正常値Jを可変設定する。この正常値Jの可変設定では、電気角センサS1〜S3からのパルス信号のエッジ間において位置センサS4,S5から出力されるパルス信号のエッジ数の適正値「n」(本実施形態では「4」)に関係して、正常値Jがモータ正回転中であれば「n(=4)」とされ、モータ逆回転中であれば「−n(=−4)」とされる。そして、モータ正逆回転反転中であれば正常値Jは「0」とされる。
[3]ブラシレスモータの回転状態に応じて設定される上記正常値Jに対して上記差(Pi −Pi-1 )が異なっている場合、位置カウンタPのカウンタ値に異常が生じている、すなわち位置カウンタPのカウンタ値が、ブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値からずれていると判定する。
[4]カウンタ値に異常が生じていると判定された場合には、上記正常値Jに対する差(Pi −Pi-1 )のずれ量「J−(Pi −Pi-1 )」を、ブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値に対するカウンタ値のずれ量ΔPとして算出し、このずれ量ΔPを補正値として、当該ずれ量ΔP分の補正を位置カウンタPのカウンタ値に加える。
この場合、上記ノイズの重畳に起因して位置カウンタPのカウンタ値がブラシレスモータ47の実際の回転角に対応しなくなり、その実際の回転角に対応する値からずれた状態になると、上記差(Pi −Pi-1 )に位置カウンタPのカウンタ値における上記実際の回転角に対応する値からのずれが反映される。すなわち、そのずれの分だけ上記差(Pi −Pi-1 )が正常値Jからずれることになる。従って、上記[4]の処理で算出されるずれ量ΔPを位置カウンタPのカウンタ値に加えることで、そのカウンタ値においてブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値からのずれを無くすことができる。このため、位置カウンタPのカウンタ値等に基づき検出されるバルブ特性が目標の特性となるようブラシレスモータ47(可変動弁機構14)を駆動したとき、実際のバルブ特性が目標とする特性からずれてしまい、機関運転に悪影響を与えてしまうといった不具合の発生を抑制することができる。
次に、上述した位置カウンタPのカウンタ値の異常検出、及びその異常検出時に行われる位置カウンタPのカウンタ値を正常値に戻すための補正について、ブラシレスモータ47の正回転中、逆回転中、及び正逆回転反転中に分けて詳しく説明する。
[モータ正回転中]
ブラシレスモータ47の正回転中、図7(a)に示されるようにノイズが発生すると、図7(d)に示されるように、位置カウンタPのカウンタ値がブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値(実線)に対し、二点鎖線で示されるように「4」だけ小さくなることは上述したとおりである。この場合、電気角カウンタEのカウンタ値が「2」から「3」に変化する電気角センサS1〜S3からのパルス信号のエッジ発生時、上記差(Pi −Pi-1 )が正常値J(この場合は「4」)に対し「−4」だけずれた「0」になる。
上記差(Pi −Pi-1 )の正常値Jについては、モータ正回転中、位置カウンタPのカウンタ値が位置センサS4,S5からのパルス信号のエッジ毎に「1」ずつ増加することから、電気角センサS1〜S3からのパルス信号のエッジ間において位置センサS4,S5から出力されるパルス信号のエッジ数nに関係して、「n」に設定される。なお、この実施形態では、電気角センサS1〜S3からのパルス信号のエッジ間において位置センサS4,S5から出力されるパルス信号のエッジ数nが「4」であることから、モータ正回転中の上記正常値Jは「4」に設定される。
そして、電気角カウンタEのカウンタ値が「2」から「3」に変化する電気角センサS1〜S3からのパルス信号のエッジ発生時、上記差(Pi −Pi-1 )が正常値J(=4)でないことに基づき、位置カウンタPのカウンタ値の異常発生が検出される。このように、位置カウンタPのカウンタ値の異常発生が検出されると、正常値Jと上記差(Pi −Pi-1 )との差「J−(Pi −Pi-1 )」が上記ずれ量ΔPとして算出され(この場合、ΔP=「4」)、このずれ量ΔP分の補正が位置カウンタPのカウンタ値(二点鎖線)に加えられる。その結果、図7(d)に黒矢印で示されるように、位置カウンタPのカウンタ値がブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値(実線)へと変化する。これにより、位置カウンタPのカウンタ値における上記実際の回転角に対応する値(実線)からのずれが修正される。
[モータ逆回転中]
ブラシレスモータ47の逆回転中、図7(a)に示されるようにノイズが発生すると、図7(e)に示されるように、位置カウンタPのカウンタ値がブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値(実線)に対し、二点鎖線で示されるように「4」だけ大きくなることは上述したとおりである。この場合、電気角カウンタEのカウンタ値が「2」から「1」に変化する電気角センサS1〜S3からのパルス信号のエッジ発生時、上記差(Pi −Pi-1 )が正常値J(この場合は「−4」)に対し「+4」だけずれた「0」になる。
上記差(Pi −Pi-1 )の正常値Jについては、モータ逆回転中、位置カウンタPのカウンタ値が位置センサS4,S5からのパルス信号のエッジ毎に「1」ずつ減少することから、電気角センサS1〜S3からのパルス信号のエッジ間において位置センサS4,S5から出力されるパルス信号のエッジ数nに関係して、「−n」に設定される。なお、この実施形態では、エッジ数nが「4」であることから、モータ逆回転中の上記正常値Jは「−4」に設定される。
そして、電気角カウンタEのカウンタ値が「2」から「1」に変化する電気角センサS1〜S3からのパルス信号のエッジ発生時、上記差(Pi −Pi-1 )が正常値J(=−4)でないことに基づき、位置カウンタPのカウンタ値の異常発生が検出される。このように、位置カウンタPのカウンタ値の異常発生が検出されると、正常値Jと上記差(Pi −Pi-1 )との差「J−(Pi −Pi-1 )」が上記ずれ量ΔPとして算出され(この場合、ΔP=「−4」)、このずれ量ΔP分の補正が位置カウンタPのカウンタ値(二点鎖線)に加えられる。その結果、図7(e)に黒矢印で示されるように、位置カウンタPのカウンタ値がブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値(実線)へと変化する。これにより、位置カウンタPのカウンタ値における上記実際の回転角に対応する値(実線)からのずれが修正される。
[モータ正逆回転反転中]
ブラシレスモータ47の正逆回転反転中、例えば図8(b)に破線L1で示されるようにノイズが発生すると、図8(d)に破線L2で示されるように、位置カウンタPのカウンタ値がブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値(実線)に対し、二点鎖線で示されるように「4」だけ小さくなることは上述したとおりである。この場合、電気角カウンタEのカウンタ値が「3」から「2」に変化する電気角センサS1〜S3からのパルス信号のエッジ発生時、上記差(Pi −Pi-1 )が正常値J(この場合は「0」)に対し「−4」だけずれる。
上記差(Pi −Pi-1 )の正常値Jについては、位置カウンタPのカウンタ値がモータ正回転中には位置センサS4,S5からのパルス信号のエッジ毎に「1」ずつ増加し、モータ逆回転中には上記エッジ毎に「1」ずつ減少するため、モータ正逆回転反転中には「0」に設定される。
そして、電気角カウンタEのカウンタ値が「3」から「2」に変化する電気角センサS1〜S3からのパルス信号のエッジ発生時、上記差(Pi −Pi-1 )が正常値J(=0)でないことに基づき、位置カウンタPのカウンタ値の異常発生が検出される。このように、位置カウンタPのカウンタ値の異常発生が検出されると、正常値Jと上記差(Pi −Pi-1 )との差「J−(Pi −Pi-1 )」が上記ずれ量ΔPとして算出され(この場合、ΔP=「4」)、このずれ量ΔP分の補正が位置カウンタPのカウンタ値(破線L2)に加えられる。その結果、図8(d)に上向き黒矢印で示されるように、位置カウンタPのカウンタ値がブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値(実線)へと変化する。これにより、位置カウンタPのカウンタ値における上記実際の回転角に対応する値(実線)からのずれが修正される。
また、上記ブラシレスモータの正逆回転反転中、例えば図8(b)に破線L3で示されるようにノイズが発生すると、図8(d)に破線L4で示されるように、位置カウンタPのカウンタ値がブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値(実線)に対し、二点鎖線で示されるように「4」だけ大きくなることは上述したとおりである。この場合、電気角カウンタEのカウンタ値が「3」から「2」に変化する電気角センサS1〜S3からのパルス信号のエッジ発生時、上記差(Pi −Pi-1 )が正常値J(この場合は「0」)に対し「+4」だけずれる。
この場合も、電気角カウンタEのカウンタ値が「3」から「2」に変化する電気角センサS1〜S3からのパルス信号のエッジ発生時、上記差(Pi −Pi-1 )が正常値J(=0)でないことに基づき、位置カウンタPのカウンタ値の異常発生が検出される。更に、正常値Jと上記差(Pi −Pi-1 )との差「J−(Pi −Pi-1 )」が上記ずれ量ΔPとして算出され(この場合、ΔP=「−4」)、このずれ量ΔP分の補正が位置カウンタPのカウンタ値(破線L4)に加えられる。その結果、図8(d)に下向き黒矢印で示されるように、位置カウンタPのカウンタ値がブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値(実線)へと変化する。これにより、位置カウンタPのカウンタ値における上記実際の回転角に対応する値(実線)からのずれが修正される。
次に、位置カウンタPのカウンタ値の異常検出手順、及び、その異常を検出したときに当該カウンタ値を正しい値に戻すための補正手順について、位置カウンタ異常検出処理を示す図11及び図12のフローチャートを参照して説明する。この位置カウンタ異常検出処理は、モータ用電子制御装置30を通じて、位置センサS4,S5からのパルス信号のエッジ間隔に対応する時間間隔よりも短い間隔をもって周期的に実行される。
本処理では、電気角センサS1〜S3からのパルス信号のエッジが発生したときに(図11のS201:YES)、位置カウンタPのカウンタ値がモータ用電子制御装置30内のメモリに記憶される(S202)。そして、今回のエッジ発生時のカウンタ値Pi と前回のエッジ発生時のカウンタ値Pi-1 との差(Pi −Pi-1 )が算出される(S203)。
続いて、ブラシレスモータ47の回転状態に応じて、上記差(Pi −Pi-1 )の正常値Jが可変設定される。具体的には、正常値Jは、モータ正回転中(図12のS204:YES)であれば「4」に設定され(S206)、モータ逆回転中(S205:YES)であれば「−4」に設定され(S207)、モータ正逆回転反転中(S205:NO)であれば「0」に設定される(S208)。
そして、上記差(Pi −Pi-1 )が正常値Jと等しいか否かに基づき、位置カウンタPのカウンタ値に異常が発生しているか否かが判断される(S209)。ここで差(Pi −Pi-1 )が正常値Jでなく肯定判定がなされると、位置カウンタPのカウンタ値における異常発生が検出される(S210)。
このようにカウンタ値に異常ありとの判定がなされると、正常値Jと上記差(Pi −Pi-1 )との差「J−(Pi −Pi-1 )」がカウンタ値のずれ量ΔPとして算出される(S211)。
また、ステップS209で差(Pi −Pi-1 )が正常値Jであり否定判定がなされると、位置カウンタPのカウンタ値が正常であることが検出される(S212)。このときには、ずれ量ΔPが「0」に設定される(S213)。
上記のようにずれ量ΔPが算出されると、そのずれ量ΔPが補正量として位置カウンタPのカウンタ値に加えられる(S214)。これにより、位置カウンタPのカウンタ値がブラシレスモータ47の実際の回転角に対応した値からずれていたとしても、そのずれは修正される。
ちなみに、位置カウンタPのカウンタ値等に基づき検出されるブラシレスモータ47の回転角、換言すれば現在の吸気バルブ9のバルブ特性が、目標とする特性にされているときに、上記ずれ量ΔPをそのままカウンタ値に加算し、同カウンタ値を実際のモータ回転角に対応する値に向けて補正する場合には、次のような問題が生じるおそれがある。すなわち、その補正直後には位置カウンタPのカウンタ値に基づき検出されるバルブ特性が目標の特性から大きくずれてしまうため、その検出されるバルブ特性を目標の特性にすべくブラシレスモータ47(可変動弁機構14)が駆動制御され、バルブ特性が目標の特性に向けて急変させられる。その結果、エンジン1の吸入空気量が急変し、トルクショックが発生するおそれがある。そこで、カウンタ値の補正に際しては、位置カウンタPのカウンタ値にずれ量ΔPを徐々に加えていく、より詳しくは、予め定められた間隔毎にずれ量ΔPの絶対値よりも小さい所定値hずつ位置カウンタPのカウンタ値を補正し、それを間隔毎の所定値hの合計値がずれ量ΔPの絶対値と等しくなるまで続けるようにすることが望ましい。このようにすれば、補正後の位置カウンタPのカウンタ値に基づき検出されるバルブ特性が目標の特性から急速にずれることを抑制することができる。
ところで、位置カウンタPのカウンタ値のずれは、上述したようなノイズの重畳のみならず、各位置センサS4、S5の断線やショートなどでも発生する。そのため、上記ステップS210にてカウンタ値に異常ありと判定された場合に、その異常発生の原因が、換言すればカウンタ値のずれの発生原因が、ノイズの重畳によるものなのか断線やショートといったセンサの故障によるものなのかを区別することができない。
そこで、本実施形態では、位置センサS4,S5から出力されるパルス信号を計数したカウンタ値が、ブラシレスモータ47の実際の回転角に対応した値からずれている場合に、そのずれの原因が位置センサの故障によるものなのか否かを判定することができるようにしている。
以下、この位置センサの故障判定について説明する。
図13に、位置センサS4が断線した場合の位置カウンタPのカウンタ値についてその推移を示す。
この図13において、(a)及び(b)には、ブラシレスモータ47の回転角の変化に対する位置センサS4,S5からのパルス信号の波形を示す。また、(c)には、ブラシレスモータ47の回転角の変化に対する電気角カウンタEのカウンタ値の推移を示す。そして(d)には、ブラシレスモータ47の正回転中にあってその回転角の変化に対する位置カウンタPのカウンタ値の推移を示し、(e)には、ブラシレスモータ47の逆回転中にあってその回転角の変化に対する位置カウンタPのカウンタ値の推移を示す。
[モータ正回転中]
ブラシレスモータ47の正回転中にあって、位置センサS4が正常に動作していれば、図13(a)に実線にて示すように、その出力信号はパルス信号になっている。従って、図13(d)に実線にて示すように、位置カウンタPのカウンタ値は、位置センサS4,S5からのパルス信号のエッジ毎に「1」ずつ加算されていく。
一方、図13(a)に二点鎖線にて示すように、位置センサS4に断線が発生し、位置センサS4の信号がロー信号に張り付いた場合には、図13(d)に二点鎖線にて示すように、位置センサS5のパルス信号が立ち上がりエッジになったとき、位置カウンタPのカウンタ値には「−1」が加算される。すなわち、位置カウンタPのカウンタ値は「1」だけ減少される。その後、位置センサS5のパルス信号が立ち下がりエッジになると、図13(d)に二点鎖線にて示すように、位置カウンタPのカウンタ値には「1」が加算される。従って、同カウンタ値は、位置センサS5から出力されるパルス信号のエッジ毎に、「−1」の減少と「+1」の増大とを繰り返すことになり、ブラシレスモータ47が正回転していても、その値はほとんど変化しなくなる。このため、上記ずれ量ΔPが発生するとともに、その量は徐々に大きくなっていく。
[モータ逆回転中]
ブラシレスモータ47の逆回転中にあって、位置センサS4が正常に動作していれば、図13(a)に実線にて示すように、その出力信号はパルス信号になっている。従って、図13(e)に実線にて示すように、位置カウンタPのカウンタ値は、位置センサS4,S5からのパルス信号のエッジ毎に「−1」ずつ加算されていく。すなわち、位置カウンタPのカウンタ値は「1」ずつ減少されていく。
一方、図13(a)に二点鎖線にて示すように、位置センサS4に断線が発生し、位置センサS4の信号がロー信号に張り付いた場合には、図13(e)に二点鎖線にて示すように、位置センサS5のパルス信号が立ち上がりエッジになったとき、位置カウンタPのカウンタ値には「−1」が加算される。すなわち、位置カウンタPのカウンタ値は「1」だけ減少される。その後、位置センサS5のパルス信号が立ち下がりエッジになると、図13(e)に二点鎖線にて示すように、位置カウンタPのカウンタ値には「1」が加算される。従って、同カウンタ値は、位置センサS5から出力されるパルス信号のエッジ毎に、「−1」の減少と「+1」の増大とを繰り返すことになり、ブラシレスモータ47が逆回転していても、その値はほとんど変化しなくなる。このため、上記ずれ量ΔPが発生するとともに、その量は徐々に大きくなっていく。
このように、位置センサS4が断線した場合にも、ずれ量ΔPは発生する。
ここで、位置センサS4や位置センサS5から出力される信号にノイズが重畳する毎に、上記カウンタ値はモータの実際の回転角に対応した値からずれていくが、そうしたノイズの重畳は継続して起きるわけではなく、偶発的に起きることが多い。そのため、ノイズの重畳によるカウンタ値のずれ量について、その変化速度は比較的遅い傾向にある。一方、位置センサS4の断線といった同位置センサS4の故障時には、その出力信号がロー信号に張り付いてしまい、パルス信号は出力されなくなる。そのため、上述したようにブラシレスモータ47が回転してもカウンタ値はほとんど変化しなくなり、上記ずれ量ΔPは、ノイズの重畳時と比較して、急速に大きくなっていく。このように、位置センサS4に断線が生じている場合には、同位置センサS4から出力される信号にノイズが重畳した場合と比較して、カウンタ値のずれ量の変化速度は速くなるため、こうしたずれ量の変化速度に基づいて位置センサS4の故障判定を行うことができる。
そこで本実施形態では、そうしたずれ量ΔPの変化速度に基づき、カウンタ値のずれの原因が位置センサの故障によるものなのか否かを判定するようにしている。
なお、先の図13には、位置センサS4が断線した場合のカウンタ値の変化態様を示したが、同位置センサS4がショートしてその信号がハイ信号に張り付いた場合や、位置センサS5が断線した場合、あるいは位置センサS5がショートした場合にも、当該カウンタ値は同様な態様にて変化する。従って、位置センサS4の断線のみならず、同位置センサS4のショートや、位置センサS5の断線及びショートといった故障も、後述する故障判定処理によって判定可能である。ちなみに、本実施形態では、位置センサが2つ設けられているため、一方のセンサが故障した場合、他方のセンサからのパルス信号によってカウンタ値は「−1」の減少と「+1」の増大とを繰り返す。他方、位置センサが1つだけ設けられている場合には、そのセンサが故障することでパルス信号が消えてしまい、その結果、カウンタ値は全く変化しなくなる。従って、この場合にも、後述する故障判定処理によって位置センサの故障判定を行うことが可能である。
ちなみに、上述したようなカウンタ値に対するずれ量補正を行う場合には、そのずれ補正の実行タイミング毎(上記ステップS214)にずれ量ΔPは「0」になる。そのため、位置センサの故障によって上述したようなずれ量ΔPの増大が生じたとしても、ずれ補正の実行タイミング毎にずれ量ΔPはリセットされる。従って、上記ずれ量補正を行う場合には、ノイズの重畳によるずれ量ΔPの変化速度と、位置センサの故障によるずれ量ΔPの変化速度との違いが小さくなり、故障判定の精度が低下するおそれがある。この点、上記ステップS211(先の図12)にて算出されるずれ量ΔPを積算した積算ずれ量ΔPa(図13を参照)を算出し、この積算ずれ量ΔPaの変化速度に基づいて故障判定を行うようにすれば、そうした不都合の発生を抑えることができる。
すなわち、ノイズの重畳は偶発的に起きることが多く、そうした重畳が発生していなければ、ステップS211にて算出されるずれ量ΔPは「0」になる。従って、ノイズの重畳によって生じたずれ量ΔPを積算した積算ずれ量ΔPaについてその増大速度は、ずれ量補正を行わない場合のずれ量ΔPと同様に、比較的遅くなる。一方、位置センサの故障時には、ステップS211にて算出されるずれ量ΔPが「0」以外の値になるため、位置センサの故障時には、ずれ量ΔPが算出されるたびに積算ずれ量ΔPaは増大する。従って、位置センサの故障時における積算ずれ量ΔPaの増大速度は、ずれ量補正を行わない場合のずれ量ΔPと同様、ノイズが重畳した場合の変化速度よりも速くなる。そこで、本実施形態では、そうした積算ずれ量ΔPaの増加速度に基づいて位置センサの故障判定を行うようにしている。
図14に、上述した位置センサの故障判定についてその処理手順を示す。なお、この故障判定処理は、モータ用電子制御装置30によって所定期間毎に、例えば電気角カウンタEの値が所定の回数変化するごとに繰り返し実行される。
本処理が開始されるとまず、現在の積算ずれ量ΔPaが読み込まれる(S300)。この積算ずれ量ΔPaは、上述したように、ステップS211で算出されたずれ量ΔPを積算した値であり、別の処理にて算出される。
次に、ずれ量の変化速度ΔPsが算出される(S310)。この変化速度ΔPsは、今回の実行周期で読み込まれた積算ずれ量ΔPa(t)と前回の実行周期で読み込まれた積算ずれ量ΔPa(t−1)との差を本処理の実行周期tで除算することにより算出される。
次に、算出された変化速度ΔPsが故障判定値A以上であるか否かが判定される(S320)。この故障判定値Aには、算出された変化速度ΔPsが、位置センサS4や位置センサS5のパルス信号にノイズが重畳したときのずれ量の変化速度ΔPsよりも速いか否かを判定することのできる適切な値が設定されている。
そして、変化速度ΔPsが故障判定値A以上である場合には(S320:YES)、その変化速度ΔPsがノイズ重畳時の変化速度よりも速くなっており、これは位置センサS4または位置センサS5のいずれかに、断線あるいはショートといった故障が生じているためであると判断される。すなわち、カウンタ値のずれの原因は、ノイズの重畳によるものではなく、位置センサの故障によるものであると判断される。従って、位置センサに故障ありと判定され(S330)、本処理は一旦終了される。
一方、変化速度ΔPsが故障判定値A未満である場合には(S320:NO)、位置センサS4及び位置センサS5に、断線あるいはショートといった故障は生じていないと判断される。従って、この場合には、位置センサに故障なしと判定され(S340)、本処理は一旦終了される。
以上説明した本実施形態によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
(1)各位置センサS4,S5から出力されるパルス信号のエッジを計数した位置カウンタPのカウンタ値は、位置センサS4や位置センサS5から出力される信号にノイズが重畳する毎に、ブラシレスモータ47の実際の回転角に対応した値からずれていくが、そうしたノイズの重畳は継続して起きるわけではなく、偶発的に起きることが多い。そのため、ノイズの重畳によるカウンタ値のずれ量について、その変化速度は比較的遅い傾向にある。一方、位置センサS4や位置センサS5の断線やショートなどといった同位置センサの故障時には、その出力信号であるパルス信号が正常に出力されなくなるため、ブラシレスモータ47が回転してもカウンタ値はほとんど変化しなくなり、上記ずれ量は急速に大きくなっていく。このように、位置センサS4や位置センサS5に故障が生じている場合には、それら位置センサから出力される信号にノイズが重畳した場合と比較して、カウンタ値のずれ量の変化速度は速くなる。そこで本実施形態では、そうしたずれ量の変化速度を算出し、その算出された変化速度に基づいて位置センサS4や位置センサS5の故障判定を行うようにしている。より詳細には、その算出される変化速度が、パルス信号にノイズが重畳したときの変化速度よりも大きい場合に、位置センサS4または位置センサS5に故障ありと判定するようにしている。従って、カウンタ値のずれの原因が位置センサの故障によるものなのか否かを適切に判定することができるようになる。
(2)電気角センサS1〜S3からのパルス信号のエッジ発生毎に、前回のエッジ発生時の位置カウンタPのカウンタ値Pi-1 と今回のエッジ発生時の位置カウンタPのカウンタ値Pi との差(Pi −Pi-1 )が算出される。この差(Pi −Pi-1 )には、位置カウンタPのカウンタ値がブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値からずれた状態になったとき、当該ずれが反映されることとなる。すなわち、そのずれの分だけ上記差(Pi −Pi-1 )が正常値Jからずれることになる。従って、正常値Jに対する差(Pi −Pi-1 )のずれ量「J−(Pi −Pi-1 )」を、位置カウンタPのカウンタ値におけるブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値からのずれ量として用いるようにした上記実施形態によれば、カウンタ値のずれ量を適切に算出することができるようになる。
(3)位置カウンタPのカウンタ値は、ブラシレスモータ47の正回転中には位置センサS4,S5からのパルス信号のエッジ毎に「1」ずつ増加してゆき、ブラシレスモータ47の逆回転中には位置センサS4,S5からのパルス信号のエッジ毎に「1」ずつ減少してゆく。このため、位置カウンタPのカウンタ値が正常であるとき、上記差(Pi −Pi-1 )は、モータ正回転中であれば上記エッジ数n(=4)に対応して「4」となり、モータ逆回転中であれば「−4」となり、モータ正逆回転反転中であれば「0」となる。そこで本実施形態では、差(Pi −Pi-1 )の正常値Jを、ブラシレスモータ47の回転状態に応じて「4」、「−4」、及び「0」の間で切り換えるようにしている。従って、その正常値Jに対する上記差(Pi −Pi-1 )のずれ量「J−(Pi −Pi-1 )」を、ブラシレスモータ47の回転状態に関わらず適切に算出することができるようになる。
(4)ずれ量ΔPを補正値として設定し、その補正値分の補正を上記カウンタ値に加えるようにしている(図12のステップS214の処理)ため、カウンタ値のずれを修正することができるようになる。ここで、カウンタ値に対して、そうしたずれ量補正を行う場合には、そのずれ補正の実行タイミング毎にずれ量ΔPは「0」になる。そのため、位置センサS4、S5の故障によって上述したようなずれ量ΔPの増大が生じたとしても、ずれ補正の実行タイミング毎にずれ量ΔPはリセットされる。従って、上記ずれ量補正を行う場合には、ノイズの重畳によるずれ量ΔPの変化速度と、位置センサS4,S5の故障によるずれ量ΔPの変化速度との違いが小さくなり、位置センサS4,S5の故障判定に関する精度が低下してしまうおそれがある。この点、図12に示したステップS211で算出されるずれ量ΔPを積算し、その積算値の変化速度に基づいて位置センサS4,S5の故障判定を行うようにすれば、そうした不都合の発生を抑えることができる。
すなわち、ノイズの重畳は偶発的に起きることが多く、そうした重畳が発生していなければ、算出されるずれ量ΔPは「0」になる。そのため、ノイズの重畳によって生じたずれ量ΔPの積算値についてその増大速度は、ずれ量補正を行わない場合のずれ量ΔPと同様に、比較的遅くなる。一方、位置センサS4,S5の故障時には、算出されるずれ量ΔPが常に「0」以外の値になるため、その故障時には、ずれ量ΔPが算出されるたびにずれ量ΔPの積算値は増大する。そのため、位置センサS4,S5の故障時におけるずれ量ΔPの積算値についてその増大速度は、ずれ量補正を行わない場合のずれ量ΔPと同様に、ノイズが重畳した場合の変化速度よりも速くなる。そこで、本実施形態では、そうしたずれ量ΔPの積算である積算ずれ量ΔPaを算出し、その積算ずれ量ΔPaの変化速度ΔPsに基づいて位置センサS4、S5の故障判定を行うようにしている。従って、カウンタ値のずれ量ΔPを補正する場合であっても、カウンタ値のずれの原因が位置センサS4または位置センサS5の故障によるものなのか否かを適切に判定することができるようになる。
(5)エンジン1の吸気バルブ9についてそのバルブ特性を可変とする可変動弁機構14を上記ブラシレスモータ47で駆動するようにしている。このようにエンジン1の可変動弁機構14をブラシレスモータ47で駆動する場合、上記カウンタ値に基づいてブラシレスモータ47の回転角を検出し、その回転角が目標とするバルブ特性に対応した回転角となるように同ブラシレスモータ47は駆動される。ここで、位置センサS4,S5に故障が生じていると、上記カウンタ値は、ブラシレスモータ47の実際の回転角に対応した値からずれていくため、そのカウンタ値に基づき検出されるブラシレスモータ47の回転角は不正確になる。従って、当該回転角に基づいてブラシレスモータ47を制御しても、バルブ特性を目標とする特性に変更することができず、機関運転に対して悪影響を与えてしまうおそれがある。この点、本実施形態では、その故障が機関運転に悪影響を与えるセンサであって、可変動弁機構14を駆動するブラシレスモータ47の回転角を検出するべく設けられた位置センサS4,S5について、その故障判定を適切に行うことができるようになる。そのため、例えば故障が生じた位置センサS4や位置センサS5を早期に修理することも可能になる。また、ノイズの重畳によるカウンタ値のずれを、位置センサの故障によるものと誤認してしまい、交換不要であるはずの位置センサを誤って交換してしまうといったことも抑えることができる。
なお、上記各実施形態は以下のように変更して実施することもできる。
・位置カウンタPのカウンタ値の異常発生を検出した後、その異常への対策として当該カウンタ値の補正を行うことは必須ではない。例えば、上記異常への対策として、カウンタ値の補正に代えて、警告ランプ等により運転者に警告したり、エンジン用電子制御装置50に設けられた不揮発性メモリに上記異常発生の旨のフラグを記憶したりしてもよい。また、このようにカウンタ値の補正を行わない場合、すなわち図12に示したステップS214の処理を省略する場合には、上記積算ずれ量ΔPaの算出を省略し、同図12に示したステップS211で算出されるずれ量ΔPの変化速度を上記変化速度ΔPsと同様な態様で算出する。そしてその算出された変化速度に基づいて位置センサS4,S5の故障判定を行うようにしてもよい。
・上記実施形態では、位置カウンタPのカウンタ値についてそのずれ量の変化速度を求め、その変化速度に基づいて位置センサS4,S5の故障判定を行うようにした。この他、例えば予め設定された期間内でのずれ量の変化量を求め、その変化量が所定の判定値を超えている場合に、位置センサS4または位置センサS5のいずれかに故障が発生している旨判定するようにしてもよい。すなわち、ずれ量の変化速度と相関関係にあり、実質的にはそうした変化速度を求めていることになる値に基づき、位置センサの故障判定を行うことも可能である。
・電気角センサ数の変更や同センサの検出対象である多極マグネットの極数の変更を通じて、各電気角センサからのパルス信号のエッジ間隔を変更することも可能である。
・位置センサ数の変更や同センサの検出対象である多極マグネットの極数の変更を通じて各位置センサからのパルス信号のエッジ間隔を変更することも可能である。
・電気角センサS1〜S3からのパルス信号のエッジ間において位置センサS4,S5から出力されるパルス信号のエッジ数nを「4」に設定したが、その値についてはブラシレスモータ47の回転角検出精度を確保し得る位置センサS4,S5からのパルス信号のエッジ間隔に対応する値であればよく、「2」以上の整数値に適宜変更可能である。このようにエッジ数nを変更する際には、位置カウンタの数や位置、及び、それら位置センサの検出対象である多極マグネットの極数が適宜変更されることとなる。
・ブラシレスモータ47と一体回転する多極マグネットの磁気に応じてパルス信号を出力する位置センサS4,S5を設ける代わりに、ブラシレスモータ47の回転に伴いパルス信号を出力する他のセンサ、例えば光学式のセンサを設けるようにしてもよい。この場合、ブラシレスモータ47と一体回転するスリット付円板の厚さ方向側方にそれぞれ発光素子と受光素子を備える光学式のセンサを周方向に複数設け、ブラシレスモータ47の回転時に当該各センサからパルス信号を出力させるようにする。そして、この場合の各センサからのパルス信号の出力パターンについては、スリット付円板におけるスリットのパターン、及び、光学式のセンサの数や位置によって調整することが可能である。
・上記実施形態では、可変動弁機構14にて吸気バルブ9のバルブ特性を変更するようにしたが、排気バルブ10のバルブ特性を変更する場合、あるいは吸気バルブ9及び排気バルブのバルブ特性を変更する場合にも同様に適用することができる。
・上各実施形態で説明した可変動弁機構14は一例であり、他の構成で吸気バルブ9や排気バルブ10といった機関バルブのバルブ特性(例えば、開時期、閉時期、開弁期間、あるいは最大リフト量等)を可変とする可変動弁機構であっても、本発明は同様に適用することができる。
・可変動弁機構14を駆動するブラシレスモータ47に本発明を適用したが、それ以外の各種機構を駆動するブラシレスモータに本発明を適用することもできる。
・差(Pi −Pi-1 )の正常値Jに対するずれ量を、位置カウンタPのカウンタ値におけるブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値からのずれ量として求めたが、本発明はこれに限定されない。例えば、ブラシレスモータ47の実際の回転角を検出するリニアセンサ等を別途設け、そのセンサによって検出される回転角に対する位置カウンタPのカウンタ値等に基づき検出される回転角のずれ量を求める。そして、当該ずれ量に基づき位置カウンタPのカウンタ値におけるブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値からのずれ量を算出するようにしてもよい。こうした場合には、可変動弁機構14や各種機構を駆動するモータとして、ブラシレスモータ47以外のモータを用いることも可能である。
本発明にかかるモータの制御装置を具体化した一実施形態にあって、これが適用されるエンジンのシリンダヘッド周りの構造を示す拡大断面図。 同実施形態において、可変動弁機構を駆動する駆動機構、及びその駆動機構を制御する制御装置を示す模式図。 (a)〜(h)は、ブラシレスモータの回転角の変化に対する電気角センサS1〜S3のパルス信号の波形、位置センサS4,S5のパルス信号の波形、電気角カウンタEのカウンタ値の推移、位置カウンタPのカウンタ値の推移、及びストロークカウンタSのカウンタ値の推移を示すタイミングチャート。 同実施形態において、電気角カウンタE、位置カウンタP、及びストロークカウンタSのカウンタ値を変化させるカウント処理の手順を示すフローチャート。 (a)は電気角センサS1〜S3からの信号に応じて変化する電気角カウンタEのカウンタ値の変化態様を示す表、(b)は位置センサS4,S5からの信号に応じた位置カウンタPのカウンタ値の加減算態様を示す表。 (A)は、通電相の切り換え遅れについてその一例を示すタイミングチャート。(B)は、通電相の切り換え遅れに対処するべく実行される進角処理についてその一態様を示すタイミングチャート。 (a)〜(e)は、ブラシレスモータの回転角の変化に対する位置センサS4,S5からのパルス信号の波形、電気角カウンタEのカウンタ値の推移、及び位置カウンタPのカウンタ値の推移について、同モータの正回転中及び逆回転中にノイズが重畳した場合の態様を示すタイミングチャート。 (a)〜(d)は、時間経過に対する位置センサS4,S5からのパルス信号の波形、電気角カウンタEのカウンタ値の推移、及び位置カウンタPのカウンタ値の推移について、ブラシレスモータの正逆回転反転中にノイズが重畳した場合の態様を示すタイムチャート。 (a)は図7(d)のタイミングa,b,cでの位置センサS4,S5からの信号に応じた位置カウンタPのカウンタ値の加減算態様を示す表、(b)は図7(e)のタイミングc,b,aでの位置センサS4,S5からの信号に応じた位置カウンタPのカウンタ値の加減算態様を示す表。 電気角センサS1〜S3からのパルス信号における前回のエッジ発生時と今回のエッジ発生時との電気角カウンタEの変化方向と、ブラシレスモータの回転状態との関係を示す表。 位置カウンタPのカウンタ値の異常検出手順、及び、その異常を検出したときに当該カウンタ値を正しい値に戻すための補正手順を示すフローチャート。 位置カウンタPのカウンタ値の異常検出手順、及び、その異常を検出したときに当該カウンタ値を正しい値に戻すための補正手順を示すフローチャート。 (a)〜(e)は、ブラシレスモータの回転角の変化に対する位置センサS4,S5からのパルス信号の波形、電気角カウンタEのカウンタ値の推移、及び位置カウンタPのカウンタ値の推移について、同モータの正回転中及び逆回転中に位置センサS4が断線した場合の態様を示すタイムチャート。 位置センサの故障判定処理についてその手順を示すフローチャート。
符号の説明
1…エンジン、2…シリンダヘッド、3…シリンダブロック、5…ピストン、6…燃焼室、7…吸気通路、8…排気通路、9…吸気バルブ、10…排気バルブ、11…吸気カムシャフト、11a…吸気カム、12…排気カムシャフト、12a…排気カム、14…可変動弁機構、15…ロッカシャフト、16…コントロールシャフト、17…入力アーム、18…出力アーム、19…ローラ、20…コイルスプリング、21…ロッカアーム、22…ラッシュアジャスタ、23…ローラ、24…バルブスプリング、30…モータ用電子制御装置、31…センサ用制御部、32…電源部、33…演算処理部、47…ブラシレスモータ、48…変換機構、50…エンジン用電子制御装置、51…アクセルセンサ、52…スロットルセンサ、53…エアフロメータ、54…クランク角センサ、55…イグニッションスイッチ、S1〜S3…電気角センサ、S4,S5…位置センサ。

Claims (6)

  1. 所定の回転角範囲内での回転駆動が行われるモータと、同モータの回転に伴いパルス信号を出力する位置センサとを備え、その位置センサからのパルス信号のエッジを計数したカウンタ値に基づき、前記モータの回転角を検出するモータの制御装置において、
    前記カウンタ値が前記モータの実際の回転角に対応する値からずれているとき、その対応する値に対する前記カウンタ値のずれ量を算出する算出手段と、
    前記ずれ量の変化速度を算出し、その変化速度に基づいて前記位置センサの故障判定を行う判定手段とを備える
    ことを特徴とするモータの制御装置。
  2. 前記判定手段は、前記算出される変化速度が、前記パルス信号にノイズが重畳したときの変化速度よりも大きい場合に前記位置センサに故障ありと判定する
    請求項1に記載のモータの制御装置。
  3. 前記モータは、その回転時に同モータに設けられた複数の電気角センサから位相をずらして出力されるパルス信号の出力パターンに基づき通電相を切り換えることで駆動されるブラシレスモータであり、
    前記位置センサは、各電気角センサから出力されるパルス信号のエッジ間隔よりも短いエッジ間隔のパルス信号を出力するものであり、
    前記算出手段は、各電気角センサから出力されるパルス信号のエッジ発生毎に、今回のエッジ発生時における位置カウンタのカウンタ値Pi と前回のエッジ発生時における位置カウンタのカウンタ値Pi-1 との差(Pi −Pi-1 )を算出し、この差(Pi −Pi-1 )の正常時の値である正常値に対する当該差(Pi −Pi-1 )のずれ量を、前記モータの実際の回転角に対応する値に対する前記カウンタ値のずれ量とする
    請求項1または2に記載のモータの制御装置。
  4. 前記算出手段は、前記モータの回転状態が正回転中、逆回転中、及び正逆回転反転中のうちのいずれであるかを判断し、前記各電気角センサから出力されるパルス信号のエッジ間において前記位置センサから出力されるパルス信号のエッジ数の適正値が「n」であるとすると、前記正常値をモータ正回転中であれば「n」に設定し、モータ逆回転中であれば「−n」に設定し、モータ正逆回転反転中であれば「0」に設定する
    請求項3記載のモータの制御装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のモータの制御装置において、
    前記ずれ量を補正値として設定し、その補正値分の補正を前記カウンタ値に加える補正手段を備え、
    前記判定手段は、前記ずれ量の積算値を算出するとともにその積算値の変化速度に基づいて前記位置センサの故障判定を行う
    ことを特徴とするモータの制御装置。
  6. 前記モータは、内燃機関の機関バルブのバルブ特性を可変とする可変動弁機構の駆動に用いられるものである
    請求項1〜5のいずれか1項に記載のモータの制御装置。
JP2006001772A 2006-01-06 2006-01-06 モータの制御装置 Pending JP2007185046A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013009487A (ja) * 2011-06-23 2013-01-10 Toyota Motor Corp 車両の異常検出装置

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