JP6507656B2 - ポリアリーレンスルフィド系組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、低誘電率を示し、メガヘルツ帯からギガヘルツ帯の電波の透過性に優れ、かつ外装部品として必要な色調に優れ、さらには耐紫外線劣化性、耐衝撃性にも優れるポリアリーレンスルフィド系組成物に関するものであり、さらに詳しくは、特に通信時にメガヘルツ帯からギガヘルツ帯の電波を利用するモバイルパソコン、タブレット、携帯電話などの携帯端末機器の筐体等の電子・電気部品用途、又は自動車電装部品等の電気部品用途に有用なポリアリーレンスルフィド系組成物に関するものである。
ポリ(p−フェニレンスルフィド)に代表されるポリアリーレンスルフィドは、優れた機械的特性、熱的特性、電気的特性、耐薬品性を有することから、多くの電子・電気機器部材や自動車機器部材、その他OA機器部材等に幅広く使用されている。このようなポリアリーレンスルフィドは、ガラス繊維等の繊維状充填材、炭酸カルシウム、タルク等の粉状又は粒状の無機充填材、カーボンブラック、酸化チタン、赤顔料、青顔料等の着色材を配合することにより、機械的強度、耐熱性、剛性を大きく向上させ、また着色を行うことができる。
しかし、これら配合材、例えばガラス繊維、カーボンブラック、酸化チタン等は高い誘電率を有することから、これらを配合するポリアリーレンスルフィド系組成物は誘電率の高いものとなる。このような高誘電率を有するポリアリーレンスルフィド系組成物は、例えば、通信時にメガヘルツ帯からギガヘルツ帯の電波を利用するモバイルパソコン、タブレット、携帯電話などの筐体のような、低誘電率が要求される用途には適しておらず、誘電率を低くするために、ガラス繊維、カーボンブラック、酸化チタン等の配合量を下げることが求められた。しかし、ガラス繊維、カーボンブラック、酸化チタン等の配合量を下げることにより、外装部品として必要な色調や機械的強度を十分に得られないという課題が発生するものであった。
そこで、低誘電率で黒色の成形品を提供しうる組成物として、ポリアリーレンスルフィド100重量部に対して、鉄又は鉄化合物0.0005〜3重量部を含むポリアリーレンスルフィド樹脂組成物(例えば特許文献1参照。)が提案されている。
一方、ポリアリーレンスルフィドは、他のエンジニアリングプラスチックに比較し耐紫外線劣化性、耐衝撃性に劣ることから、モバイルパソコン、タブレット、携帯電話などの携帯端末機器の筐体等の電子・電気部品用途、又は自動車電装部品等の電気部品用途への搭載が制限されていた。
ポリアリーレンスルフィドの耐紫外線劣化性を改良するための技術として、ポリフェニレンサルファイドに特定のアルキリデンビス(ベンゾトリアゾリルフェノール)を配合するポリフェニレンサルファイド組成物(例えば特許文献2参照。)、ポリフェニレンサルファイドに特定構造の紫外線吸収剤を配合するポリフェニレンサルファイド繊維(例えば特許文献3参照。)等が提案されている。
また、ポリアリーレンスルフィドの耐衝撃性を改良するための技術として、ポリアリーレンスルフィドにα、β−不飽和カルボン酸アルキルエステルと無水マレイン酸からなるエチレン系共重合体を配合する樹脂組成物(例えば特許文献4参照。)、ポリアリーレンスルフィドにα−オレフィンとα、β−不飽和酸のグリシジルエステルとエチレンからなるエチレン系共重合体を配合する樹脂組成物(例えば特許文献5参照。)、特定のポリアリーレンスルフィドにエチレンおよびグリシジルエステルを含有するオレフィン系共重合体、特定の弾性体、カーボンブラックを配合する樹脂組成物(例えば特許文献6参照。)等が提案されている。
特開平09−194726号公報(例えば特許請求の範囲参照。) 特公平06−002878号公報(例えば特許請求の範囲参照。) 特開平04−050310号公報(例えば特許請求の範囲参照。) 特開昭62−151460号公報(例えば特許請求の範囲参照。) 特開昭58−154757号公報(例えば特許請求の範囲参照。) 特表2007−502894号公報(例えば特許請求の範囲参照。)
しかし、特許文献1に提案された樹脂組成物は、低誘電率ではあるものの、黒色色調としては充分ではない上に、機械的特性、耐衝撃性等に課題を有し、さらには耐紫外線劣化性の面でも不充分なものであった。また、特許文献2〜3に提案されたものは、外装部品として必要な耐紫外線劣化性を得られるものではなかった。さらに、特許文献4〜6に提案された樹脂組成物は、耐衝撃性には優れるものの、外装部品として必要な色調、低い誘電率、耐紫外線劣化性については何ら述べられていないものであった。即ち、これらの提案はおしなべて、優れた色調、低い誘電率、耐紫外線劣化性、耐衝撃性を同時に満足することは難しいものであった。
そこで、本発明は、低誘電率であることから、メガヘルツ帯からギガヘルツ帯の電波の透過性に優れ、かつ外装部品としての色調、耐紫外線劣化性、耐衝撃性にも優れるポリアリーレンスルフィド系組成物を提供することを目的とし、さらに詳しくは、特に通信時にメガヘルツ帯からギガヘルツ帯の電波を利用するモバイルパソコン、タブレット、携帯電話などの携帯端末機器の筐体等の電子・電気部品用途、又は自動車電装部品等の電気部品用途に有用なポリアリーレンスルフィド系組成物を提供することにある。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、ポリアリーレンスルフィド、エチレン系重合体、ガラス繊維、特定の紫外線遮蔽剤、及び着色剤から構成され、その配合割合を特定の範囲とし、更には、必要に応じてリン系酸化防止剤、ヒンダードアミン系光安定剤、紫外線吸収剤、離型剤を配合するポリアリーレンスルフィド系組成物が、低誘電率であることから、メガヘルツ帯からギガヘルツ帯の電波の透過性に優れ、かつ色調に優れ、さらには耐紫外線劣化性、耐衝撃性にも優れるものとなり得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、ポリアリーレンスルフィド(A)100重量部に対し、少なくとも、エチレン系重合体(B)15〜30重量部、ガラス繊維(C)15〜65重量部、超微粒子酸化チタン(D−1),超微粒子酸化亜鉛(D−2)及び超微粒子酸化セリウム(D−3)からなる群より選択される少なくとも1種以上のものであり平均一次粒子径が10〜100nmである紫外線遮蔽剤(D)5〜30重量部、並びに着色剤(E)1〜30重量部を含んでなることを特徴とするポリアリーレンスルフィド系組成物に関するものである。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリアリーレンスルフィド系組成物を構成するポリアリーレンスルフィド(A)としては、一般にポリアリーレンスルフィドと称される範疇に属するものであればよく、該ポリアリーレンスルフィドとしては、例えばp−フェニレンスルフィド単位、m−フェニレンスルフィド単位、o−フェニレンスルフィド単位、フェニレンスルフィドスルフォン単位、フェニレンスルフィドケトン単位、フェニレンスルフィドエーテル単位、ビフェニレンスルフィド単位からなる単独重合体又は共重合体を挙げることができ、該ポリアリーレンスルフィドの具体的例示としては、ポリ(p−フェニレンスルフィド)、ポリフェニレンスルフィドスルフォン、ポリフェニレンスルフィドケトン、ポリフェニレンスルフィドエーテル等が挙げられ、その中でも、特に耐熱性、強度特性に優れるポリアリーレンスルフィド系組成物となることから、ポリ(p−フェニレンスルフィド)であることが好ましい。
該ポリアリーレンスルフィド(A)は、黒、白、赤、青等の幅広い色に自在に着色したポリアリーレンスルフィド系組成物とすることが可能となることから、溶融温度310℃、加圧力100kgf/cmで圧縮成形した成形体の明度(L値)が70以上であるポリアリーレンスルフィドであることが好ましい。
該ポリアリーレンスルフィド(A)は、特に機械的強度と成形流動性に優れるポリアリーレンスルフィド系組成物が得られることから、直径1mm、長さ2mmのダイスを装着した高化式フローテスターにて、測定温度315℃、荷重10kgの条件下で測定した溶融粘度が50〜1000ポイズのポリアリーレンスルフィドであることが好ましい。
該ポリアリーレンスルフィド(A)の製造方法としては、ポリアリーレンスルフィドの製造方法として知られている方法により製造することが可能であり、例えば極性溶媒中で硫化アルカリ金属塩、ポリハロ芳香族化合物を重合することにより得ることが可能である。その際の極性有機溶媒としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等を挙げることができ、硫化アルカリ金属塩としては、例えば硫化ナトリウム、硫化ルビジウム、硫化リチウムの無水物又は水和物を挙げることができる。また、硫化アルカリ金属塩としては、水硫化アルカリ金属塩とアルカリ金属水酸化物を反応させたものであってもよい。ポリハロ芳香族化合物としては、例えばp−ジクロロベンゼン、p−ジブロモベンゼン、p−ジヨードベンゼン、m−ジクロロベンゼン、m−ジブロモベンゼン、m−ジヨードベンゼン、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ジクロロジフェニルエーテル、4,4’−ジクロロビフェニル等を挙げることができる。
また、該ポリアリーレンスルフィド(A)としては、直鎖状のものであっても、重合時にトリハロゲン以上のポリハロゲン化合物を少量添加して若干の架橋又は分岐構造を導入したものであっても、ポリアリーレンスルフィドの分子鎖の一部及び/又は末端を例えばカルボキシル基、カルボキシ金属塩、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、ニトロ基等の官能基により変性されたものであっても、窒素などの非酸化性の不活性ガス中で加熱処理を施したものであってもかまわないし、さらにこれらの構造の混合物であってもかまわない。また、該ポリアリーレンスルフィド(A)は、加熱硬化前又は後に脱イオン処理(酸洗浄や熱水洗浄など)、あるいはアセトン、メチルアルコールなどの有機溶媒による洗浄処理を行うことによってイオン、オリゴマーなどの不純物を低減させたものであってもよい。さらに、重合反応終了後に不活性ガス又は酸化性ガス中で加熱処理を行い、硬化を行ったものであってもよい。
本発明のポリアリーレンスルフィド系組成物を構成するエチレン系重合体(B)は、ポリアリーレンスルフィド系組成物の耐衝撃性を改良するものであり、エチレン単量体を重合してなるエチレン系重合体の範疇に属するものであればよく、中でも、エチレン−α、β−不飽和カルボン酸アルキルエステル−無水マレイン酸共重合体(B−1)、エチレン−α、β−不飽和カルボン酸グリシジルエステル共重合体(B−2)、エチレン−α、β−不飽和カルボン酸グリシジルエステル−酢酸ビニル共重合体(B−3)、エチレン−α、β−不飽和カルボン酸グリシジルエステル−α、β−不飽和カルボン酸アルキルエステル共重合体(B−4)及び無水マレイン酸グラフト変性エチレン系重合体(B−5)からなる群より選択される少なくとも1種以上の変性エチレン系重合体であることが好ましい。
該エチレン−α、β−不飽和カルボン酸アルキルエステル−無水マレイン酸共重合体(B−1)としては、この範疇に属するものであれば如何なるものを用いても良く、中でも得られるポリアリーレンスルフィド系組成物が耐衝撃性等に優れることから、エチレン残基単位:α、β−不飽和カルボン酸アルキルエステル残基単位:無水マレイン酸残基単位(重量比)=50〜98:40〜1:10〜1の範囲であることが好ましい。該エチレン−α、β−不飽和カルボン酸アルキルエステル−無水マレイン酸共重合体(B−1)の具体的例示としては、(商品名)ボンダインLX4110(アルケマ(株)製)、(商品名)ボンダインTX8030(アルケマ(株)製)、(商品名)ボンダインAX8390(アルケマ(株)製)等が挙げられる。
該エチレン−α、β−不飽和カルボン酸グリシジルエステル共重合体(B−2)としては、この範疇に属するものであれば如何なるものを用いても良く、中でも得られるポリアリーレンスルフィド系組成物が耐衝撃性等に優れることから、エチレン残基単位:α、β−不飽和カルボン酸グリシジルエステル残基単位(重量比)=85〜99:15〜1の範囲であることが好ましい。該エチレン−α、β−不飽和カルボン酸グリシジルエステル共重合体(B−2)の具体的例示としては、(商品名)ボンドファースト2C(住友化学(株)製)、(商品名)ボンドファーストE(住友化学(株)製)等が挙げられる。
該エチレン−α、β−不飽和カルボン酸グリシジルエステル−酢酸ビニル共重合体(B−3)としては、この範疇に属するものであれば如何なるものを用いても良く、中でも得られるポリアリーレンスルフィド系組成物が耐衝撃性等に優れることから、エチレン残基単位:α、β−不飽和カルボン酸グリシジルエステル残基単位:酢酸ビニル残基単位(重量比)=50〜98:15〜1:35〜1の範囲であることが好ましい。該エチレン−α、β−不飽和カルボン酸グリシジルエステル−酢酸ビニル共重合体(B−3)の具体的例示としては、(商品名)ボンドファースト2B(住友化学(株)製)、(商品名)ボンドファースト7B(住友化学(株)製)等が挙げられる。
該エチレン−α、β−不飽和カルボン酸グリシジルエステル−α、β−不飽和カルボン酸アルキルエステル共重合体(B−4)としては、この範疇に属するものであれば如何なるものを用いても良く、中でも得られるポリアリーレンスルフィド系組成物が耐衝撃性等に優れることから、エチレン残基単位:α、β−不飽和カルボン酸グリシジルエステル残基単位:α、β−不飽和カルボン酸アルキルエステル残基単位(重量比)=50〜98:10〜1:40〜1の範囲であることが好ましい。該エチレン−α、β−不飽和カルボン酸グリシジルエステル−α、β−不飽和カルボン酸アルキルエステル共重合体(B−4)の具体的例示としては、(商品名)ボンドファースト7L(住友化学(株)製)、(商品名)ボンドファースト7M(住友化学(株)製)等が挙げられる。
該無水マレイン酸グラフト変性エチレン系重合体(B−5)としては、この範疇に属するものであれば如何なるものを用いても良く、中でも得られるポリアリーレンスルフィド系組成物が耐衝撃性等に優れることから、エチレン残基単位:α−オレフィン残基単位:無水マレイン酸残基単位(重量比)=50〜98:45〜1:5〜1の範囲からなるものであることが好ましく、具体的には無水マレイン酸グラフト変性直鎖状低密度ポリエチレン、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−プロピレンゴム等が挙げられる。該無水マレイン酸グラフト変性エチレン−α−オレフィン共重合体は、例えばエチレン−α−オレフィン共重合体、過酸化物、無水マレイン酸を共存し、グラフト化反応を進行することにより入手することが可能である。
そして、該エチレン系重合体(B)を構成するα−オレフィンとは、炭素数が3以上のα−オレフィンを言い、例えばプロピレン、ブテン−1、4−メチル−ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1等を例示できる。また、α、β−不飽和カルボン酸アルキルエステルとしては、例えばアクリル酸、メタクリル酸等のアルキルエステルが挙げられ、具体的には、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル等が挙げられる。α、β−不飽和カルボン酸グリシジルエステルとしては、例えばアクリル酸グリシジルエステル、メタクリル酸グリシジルエステルが挙げられる。
本発明のポリアリーレンスルフィド系組成物を構成する該エチレン系重合体(B)の配合量は、ポリアリーレンスルフィド(A)100重量部に対し、15〜30重量部である。該エチレン系重合体(B)の配合量が15重量部未満である場合、得られる組成物は耐衝撃性に劣るものとなる。一方、該エチレン系重合体(B)の配合量が30重量部を越える場合、得られる組成物は機械的強度に劣るものとなる。
本発明のポリアリーレンスルフィド系組成物を構成するガラス繊維(C)は、ポリアリーレンスルフィド系組成物の耐衝撃性、機械的強度を改良するものであり、該ガラス繊維(C)としては、一般にガラス繊維と称すものであれば如何なるものを用いてもよい。該ガラス繊維の具体的例示としては、平均繊維径が6〜14μmのチョップドストランド、繊維断面のアスペクト比が2〜4の扁平ガラス繊維からなるチョップドストランド、ミルドファイバー、ロービング等のガラス繊維;シラン繊維;アルミノ珪酸塩ガラス繊維;中空ガラス繊維;ノンホーローガラス繊維等が挙げられ、その中でもとりわけ耐衝撃性と成形流動性に優れるポリアリーレンスルフィド系組成物となることから、繊維断面のアスペクト比が2〜4である扁平ガラス繊維からなるチョップドストランドであることが好ましい。繊維断面のアスペクト比が4であるチョップドストランドとしては、例えば(商品名)CSG−3PA 830(日東紡(株)製)、繊維断面のアスペクト比が2であるチョップドストランドとしては、(商品名)CSG−3PL 830(日東紡(株)製)等が挙げられる。これらのガラス繊維(C)は2種以上を併用することも可能であり、必要によりエポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、シラン系化合物、チタネート系化合物等の官能性化合物又はポリマーで、予め表面処理したものを用いてもよい。
本発明のポリアリーレンスルフィド系組成物を構成する該ガラス繊維(C)の配合量は、ポリアリーレンスルフィド(A)100重量部に対し、15〜65重量部である。該ガラス繊維(C)の配合量が15重量部未満である場合、得られる組成物は耐衝撃性、機械的強度に劣るものとなる。一方、該ガラス繊維(C)の配合量が65重量部を越える場合、得られる組成物は誘電率が高いものとなる。
本発明のポリアリーレンスルフィド系組成物を構成する紫外線遮蔽剤(D)は、ポリアリーレンスルフィド系組成物の耐紫外線劣化性を改良するものであり、超微粒子酸化チタン(D−1)、超微粒子酸化亜鉛(D−2)及び超微粒子酸化セリウム(D−3)からなる群より選択される1種以上の紫外線遮蔽剤である。そして、該紫外線遮蔽剤(D)は、平均一次粒子径10〜100nmを有するものである。ここで、平均一次粒子径が10nm未満のものである場合、組成物中で均一な分散を行うことができず、紫外線劣化性の改良効果が不充分なものとなる。一方、平均一次粒子径が100nmを超えるものである場合、紫外線遮蔽力が弱くなるばかりか、紫外線遮蔽剤そのものが着色剤となり色調に劣るものとなる。そのことは、特に黒、赤、青等の白以外の色で着色される場合、顕著なものとなる。そして、本願発明における平均一次粒子径は、例えば粒子が凝集することなく分散した一次粒子を電子顕微鏡により観察する方法等により測定することが可能である。
該超微粒子酸化チタン(D−1)としては、平均一次粒子径が10〜100nmであれば如何なるものでもよく、例えば結晶形によりルチル結晶とアナタース結晶とが知られており、どちらの結晶系でもよく、中でも、特に紫外線遮蔽性効果に優れることからルチル結晶が好ましい。
また、該超微粒子酸化チタン(D−1)の製造方法としては、例えば四塩化チタンを加水分解する方法、四塩化チタンを気相酸化する方法、チタン酸ナトリウムを中和処理する方法、チタンアルコキシドを加水分解する方法等が挙げられ、中でも、四塩化チタンを加水分解する方法が工業的に最も一般的で好ましい。さらには、四塩化チタンを加水分解することでできる粗酸化チタンを、焼成、粉砕、表面処理、洗浄、乾燥にすることより超微粒子酸化チタンを得る焼成法と、酸・アルカリ処理、表面処理、濾過、洗浄、乾燥にすることより超微粒子酸化チタンを得る湿式法が挙げられ、この何れの方法でも構わない。
該超微粒子酸化チタン(D−1)には、水酸化アルミニウムで表面処理されたもの、水酸化アルミニウムとステアリン酸で表面処理されたもの等が知られており、何れのものでも用いることが可能である。
該超微粒子酸化チタン(D−1)の具体的な例示としては、例えば(商品名)TTO−55(B)(石原産業(株)製、平均一次粒子径:40nm、ルチル結晶、焼成法、表面処理:水酸化アルミニウム)、(商品名)MPT−136(石原産業(株)製、ルチル結晶、湿式法、表面処理:水酸化アルミニウムとステアリン酸)等が挙げられる。
該超微粒子酸化亜鉛(D−2)としては、平均一次粒子径が10〜100nmであれば如何なるものも使用できる。そして、該超微粒子酸化亜鉛(D−2)には、その表面が無処理であるもの、表面にSi、Zr、Sn、Mg等の金属酸化物を被着させたもの、表面にハイドロゲンジメチコン処理を施したもの等があり、何れのものも使用できる。
該超微粒子酸化亜鉛(D−2)の製造方法としては、例えば金属亜鉛地金を溶解させ、蒸気化させたものを酸化し、冷却することにより亜鉛華・亜鉛粉を製造する乾式法や、亜鉛華・亜鉛粉を酸に溶解させたあとで沈殿物を得、これを乾燥することで微粉末酸化亜鉛を製造する湿式法などが挙げられ、この何れの方法であっても構わない。
該超微粒子酸化亜鉛(D−2)の具体的な例示としては、例えば(商品名)FINEX−30S−LP2(堺化学工業(株)製、平均一次粒子径:35nm、ハイドロゲンジメチコン処理)、(商品名)FINEX−25−LPT(堺化学工業(株)製、平均一次粒子径:60nm、ハイドロゲンジメチコン処理)等が挙げられる。
該超微粒子酸化セリウム(D−3)としては、平均一次粒子径が10〜100nmであれば如何なるものも使用できる。そして、酸化セリウム単体からなる超微粒子体、又は金属酸化物と酸化セリウムとの超微粒子複合体の何れでもよく、該超微粒子複合体中の金属酸化物としては、例えば酸化ケイ素、酸化カルシウム、酸化ジルコニウム、アルミナ、酸化チタン等の1種以上が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、該超微粒子複合体である場合の酸化セリウムの含有量は、優れた紫外線遮蔽効果が得られることから40〜98重量%が好ましい。また、金属酸化物を複合させることにより、ポリアリーレンスルフィド系組成物中の該超微粒子酸化セリウム(D−3)の分散性が向上する。
該超微粒子酸化セリウム(D−3)の製造方法としては、例えば酸化セリウムの水酸化物、炭酸塩、シュウ酸塩、硝酸塩、硝酸セリウムアンモニウム等を高温に熱した後、希硝酸で洗浄し他の希塩酸化物を除去する方法、または、金属セリウムを空気中で加熱して得る方法など挙げられ、何れの方法であっても良い。
該超微粒子酸化セリウム(D−3)の具体的な例示としては、例えば(商品名)CERIGUARD SC−6832(大東化成工業(株)製、酸化セリウム含有量:60%、酸化ケイ素及びアルミナとの複合体)、(商品名)CERIGUARD W−500(大東化成工業(株)製、平均一次粒子径:30nm、酸化セリウム含有量:98%、酸化カルシウムとの複合体)等が挙げられる。
本発明のポリアリーレンスルフィド系組成物を構成する紫外線遮蔽剤(D)の配合量は、ポリアリーレンスルフィド(A)100重量部に対し、5〜30重量部である。該紫外線遮蔽剤(D)の配合量が5重量部未満である場合、得られる組成物は耐紫外線劣化性に劣るものとなる。一方、該紫外線遮蔽剤(D)の配合量が30重量部を越える場合、得られる組成物は誘電率が高く、耐衝撃性に劣るものとなる。
本発明のポリアリーレンスルフィド系組成物を構成する着色剤(E)としては、有機系、無機系を問わず如何なるものをも用いることが可能であり、中でも、特に色調に優れるポリアリーレンスルフィド系組成物となることから、溶融混練、成形加工の際の温度である280〜320℃において、着色剤自身の揮発や、分解がないものであることが好ましい。
そして、該着色剤(E)が黒着色剤(E−1)である場合、例えばカーボンブラック、四酸化三鉄等が挙げられる。
カーボンブラックとしては、特に黒色色調、耐紫外線劣化性、耐衝撃性に優れるポリアリーレンスルフィド系組成物となることから、平均粒子径が10〜20nmでありDBP吸油量が60〜125cm/100gのカーボンブラックが好ましい。この様なカーボンブラックの具体的な例示としては、例えば(商品名)#950(三菱化学(株)製、平均粒子径:16nm、DBP吸油量:79cm/100g)等が挙げられる。
また、四酸化三鉄である場合、ポリアリーレンスルフィド系組成物の誘電率を低く維持しつつ黒色度を向上させ、耐紫外線劣化性も向上させることができる。該四酸化三鉄としては、その化学式がFeO・Fe及び/又はFeと表わせるものであり、この範疇に属するものであれば如何なるものを用いても良い。とりわけ黒色色調、耐紫外線劣化性に優れるポリアリーレンスルフィド系組成物が得られることから、平均粒子径で2μm以下であるものが好ましい。この様な四酸化三鉄の具体的な例示としては、例えば(商品名)Bayferrox303T(ランクセス社製、平均粒子径:0.6μm)等が挙げられる。
該着色剤(E)が白着色剤(E−2)である場合、例えば酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛等が挙げられる。
酸化チタンとしては、白着色剤として使用されている範疇のものであれば、特に制限はなく、中でも、白色色調、耐衝撃性に優れるポリアリーレンスルフィド系組成物となることから、平均一次粒子径200〜400nm、比表面積5〜15m/gである、ルチル結晶又はアナタース結晶の酸化チタンが好ましい。この様な酸化チタンの具体的な例示としては、例えば(商品名)タイペークCR−60(石原産業(株)製、平均一次粒子径:210nm、比表面積:10m/g、ルチル結晶)等が挙げられる。
酸化亜鉛としては、白着色剤として使用されている範疇のものであれば、特に制限はなく、中でも、白色色調、耐衝撃性に優れるポリアリーレンスルフィド系組成物となることから、平均粒子径300〜1500nm、比表面積2〜6m/gである酸化亜鉛が好ましい。この様な酸化亜鉛の具体的な例示としては、例えば(商品名)銀嶺A(東邦亜鉛(株)製、平均粒子径:600nm、比表面積:5m/g)等が挙げられる。
硫化亜鉛としては、白着色剤として使用されている範疇のものであれば、形状等に制限はなく、例えば球状等の等方性を示すものであってもよく、繊維状、紡錘状、棒状、針状、筒状、柱状、板状などの異方性を示すものであってもよい。さらに、硫化亜鉛は、その表面が被覆処理されているもの、又はされていないもののいずれも用いることができ、表面が被覆処理される場合の表面被覆処理剤に制限はない。このような硫化亜鉛の具体的な例示としては、例えば(商品名)サクトリスHD(Sachtleben製)等が挙げられる。
該着色剤(E)が赤着色剤(E−3)である場合、赤着色剤として使用されている範疇のものであれば、特に制限はなく、中でも、赤色色調、耐衝撃性に優れるポリアリーレンスルフィド系組成物となることから、例えばウルトラマリンバイオレット(Pigment Violet15)等の無機系の赤着色剤;14H−ベンゾ−(4,5)−イソキノ−(2,1a)−ベリミジン−14−オン(Solvent Red179)や、14H−アントラ−(2,1,9ma)−チオキサンテン−14−オン(Solvent Orange63)等の有機系の赤着色剤等が、好ましい例として挙げられる。
該着色剤(E)が青着色剤(E−4)である場合、青着色剤として使用されている範疇のものであれば、特に制限はなく、中でも、青色色調、耐衝撃性に優れるポリアリーレンスルフィド系組成物となることから、例えばウルトラマリンブルー(Pigment Blue29)等の青着色剤が、好ましい例として挙げられる。
本発明のポリアリーレンスルフィド系組成物を構成する着色剤(E)の配合量は、ポリアリーレンスルフィド(A)100重量部に対し、1〜30重量部である。該着色剤(E)の配合量が1重量部未満である場合、得られる組成物は色調に劣るものとなる。一方、該着色剤(E)の配合量が30重量部を越える場合、得られる組成物は誘電率が高く、耐衝撃性が劣るものとなる。
本発明のポリアリーレンスルフィド系組成物は、特に耐紫外線劣化性が優れたものとなることから、さらに、リン系酸化防止剤(F)、ヒンダードアミン系光安定剤(G)、紫外線吸収剤(H)の1種以上を配合してなることが好ましい。
リン系酸化防止剤(F)としては、如何なるものを用いることも可能であり、中でもポリアリーレンスルフィド系組成物の溶融混練、成形加工の温度である280〜320℃において、リン系酸化防止剤自身の揮発、分解がないものであることが好ましく、例えば(商品名)アデカスタブPEP−36((株)アデカ製)、(商品名)ドーバーフォスS9228T(ドーバーケミカル社製))等のリン系酸化防止剤が挙げられる。該リン系酸化防止剤(F)の配合量としては、耐紫外線劣化性に優れるポリアリーレンスルフィド系組成物となることから、ポリアリーレンスルフィド(A)100重量部に対し、0.1〜5重量部であることが好ましい。
ヒンダードアミン系光安定剤(G)としては、この範疇に属するものであれば、特に制限はなく、中でも、耐紫外線劣化性に優れるポリアリーレンスルフィド系組成物となることから、例えば(商品名)アデカスタブLA−63P((株)アデカ製))等のヒンダードアミン系光安定剤が好ましい例として挙げられる。該ヒンダードアミン系光安定剤(G)の配合量としては、耐紫外線劣化性に優れるポリアリーレンスルフィド系組成物となることから、ポリアリーレンスルフィド(A)100重量部に対し、0.1〜5重量部であることが好ましい。
紫外線吸収剤(H)として、例えばベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤等を挙げることができ、いずれのものでも使用でき、中でも、ポリアリーレンスルフィドが350〜380nmの波長領域の紫外線を特に吸収し劣化に至ることから、特にこの波長領域の紫外線を吸収する紫外線吸収剤が好ましい。このような紫外線吸収剤として、例えば(商品名)アデカスタブLA−31((株)アデカ製)等が挙げられる。該紫外線吸収剤(H)の配合量としては、耐紫外線劣化性に優れるポリアリーレンスルフィド系組成物となることから、ポリアリーレンスルフィド(A)100重量部に対し、0.1〜5重量部であることが好ましい。
本発明のポリアリーレンスルフィド系組成物は、特に成形加工性に優れるものとなることから、さらに、離型剤(I)を配合してなるものが好ましい。該離型剤(I)は、脂肪酸アミド系滑剤(I−1)、カルナバワックス(I−2)から選択される1種以上のものであることが好ましく、該脂肪酸アミド系滑剤(I−1)、カルナバワックス(I−2)は市販のものが使用できる。該脂肪酸アミド系滑剤(I−1)は、高級脂肪酸アミド、エチレンビスステアロアミド、高級脂肪酸及びジアミンからなる重縮合物などが挙げられ、この範疇に属するものであれば如何なるものを用いることも可能であり、例えばステアリン酸、セバシン酸、エチレンジアミンからなる重縮合物である、(商品名)ライトアマイドWH−255(共栄社化学(株)製)等を挙げることができる。また、該カルナバワックス(I−2)としては、一般にカルナバワックスと称するものであれば如何なるものを用いる事が可能であり、例えば(商品名)精製カルナバ粉末1号(日興リカ(株)製)等を挙げることができる。該離型剤(I)の配合量としては、成形流動性に優れるポリアリーレンスルフィド系組成物となることから、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)100重量部に対して、0.1〜3重量部であることが好ましい。
本発明のポリアリーレンスルフィド系組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、炭素繊維、窒化珪素ウイスカー、塩基性硫酸マグネシウムウイスカー、チタン酸バリウムウイスカー、チタン酸カリウムウイスカー、炭化珪素ウイスカー、ボロンウイスカー等のウイスカー;ロックウール、ジルコニア、チタン酸バリウム、炭化珪素、シリカ、高炉スラグ等の無機系繊維、全芳香族ポリアミド繊維、フェノール樹脂繊維、全芳香族ポリエステル繊維等の有機系繊維;ワラステナイト、マグネシウムオキシサルフェート等の鉱物系繊維が添加されたものであってもよいし、本発明の効果を損なわない範囲で、炭酸カルシウム、炭酸リチウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、マイカ、シリカ、タルク、クレイ、硫酸カルシウム、カオリン、ワラステナイト、ゼオライト、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化スズ、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、ハイドロタルサイト、ガラスパウダー、ガラスバルーン、ガラスフレークが添加されたものであっても構わない。
また、本発明のポリアリーレンスルフィド系組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、従来公知のタルク、カオリン、シリカなどの結晶核剤;ポリアルキレンオキサイドオリゴマー系化合物、チオエーテル系化合物、エステル系化合物、有機リン化合物などの可塑剤;滑剤;発泡剤などの通常の添加剤を1種以上添加するものであってもよい。
さらに、本発明のポリアリーレンスルフィド系組成物は、本発明の目的を逸脱しない範囲で、各種熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、例えばエポキシ樹脂、シアン酸エステル樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド、シリコーン樹脂、ポリエステル、ポリアミド、ポリフェニレンオキサイド、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアルキレンオキサイド等の1種以上を混合して使用してなるものであってもよい。
本発明のポリアリーレンスルフィド系組成物を製造する際の製造方法としては特に制限はなく、一般的な混合・混練方法として知られている方法を用いる事が可能であり、例えば全ての原材料を配合し溶融混練する方法;原材料の一部を配合した後で溶融混練し、さらに残りの原材料を配合し溶融混練する方法;あるいは原材料の一部を配合後単軸又は二軸の押出機により溶融混練中にサイドフィーダーを用いて残りの原材料を混合する方法、など、いずれの方法を用いてもよい。また、小量の添加成分については、他の成分を上記の方法などで混練しペレット化した後、成形前に添加することで使用してもよい。そして、溶融混練を行う方法としては、従来から使用されている加熱溶融混練方法を用いることができ、例えば単軸又は二軸押出機、ニーダー、ミル、ブラベンダーなどによる加熱溶融混練方法が挙げられ、特に混練能力に優れた二軸押出機による溶融混練方法が好ましい。また、この際の混練温度は特に限定されるものではなく、通常280〜320℃の中から任意に選ぶことができる。
本発明のポリアリーレンスルフィド系組成物の成形方法としては、射出成形機、押出成形機、圧縮成形機などが挙げられ、これらの方法を用いて任意の形状に成形することができ、特に射出成形には好適な樹脂組成物である。
本発明のポリアリーレンスルフィド系組成物は、低誘電率であることから、メガヘルツ帯からギガヘルツ帯の電波の透過性に優れ、かつ外装部品として必要な色調に優れ、さらには耐紫外線劣化性、耐衝撃性にも優れることから、特に通信時にメガヘルツ帯からギガヘルツ帯の電波を利用するモバイルパソコン、タブレット、携帯電話など携帯端末機器の筐体等の電子・電気部品用途、又は自動車電装部品等の電気部品用途に有用なものである。
本発明は、低誘電率であることから、メガヘルツ帯からギガヘルツ帯の電波の透過性に優れ、かつ外装部品として必要な色調に優れ、さらには耐紫外線劣化性、耐衝撃性にも優れるポリアリーレンスルフィド系組成物を提供するものであり、該ポリアリーレンスルフィド系組成物は、通信時にメガヘルツ帯からギガヘルツ帯の電波を利用するモバイルパソコン、タブレット、携帯電話など携帯端末機器の筐体等の電子・電気部品用途、又は自動車電装部品等の電気部品用途に有用なものである。
実施例において耐紫外線劣化性の評価する際に用いた100Wの紫外線ランプの分光分布を示すものである。
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらによりなんら制限されるものではない。
実施例及び比較例において用いた、ポリアリーレンスルフィド(A)、エチレン系重合体(B)、ガラス繊維(C)、紫外線遮蔽剤(D)、着色剤(E)、リン系酸化防止剤(F)、ヒンダードアミン系光安定剤(G)、紫外線吸収剤(H)および離型剤(I)を以下に示す。
<ポリアリーレンスルフィド(A)>
ポリ(p−フェニレンスルフィド)(以下、PPS(A−1)と記す。):溶融粘度350ポイズ、明度(L値)82。
ポリ(p−フェニレンスルフィド)(以下、PPS(A−2)と記す。):溶融粘度470ポイズ、明度(L値)78。
ポリ(p−フェニレンスルフィド)(以下、PPS(A−3)と記す。):溶融粘度365ポイズ、明度(L値)60。
<エチレン系重合体(B)>
エチレン−α、β−不飽和カルボン酸アルキルエステル−無水マレイン酸共重合体(B−1−1)(以下、エチレン系重合体(B−1−1)と記す。):アルケマ(株)製、(商品名)ボンダインAX8390。
エチレン−α、β−不飽和カルボン酸グリシジルエステル−α、β−不飽和カルボン酸アルキルエステル共重合体(B−2−1)(以下、エチレン系重合体(B−2−1)と記す。):住友化学(株)製、(商品名)ボンドファースト7M。
<ガラス繊維(C)>
ガラス繊維(C−1);日東紡(株)製チョップドストランド、(商品名)CSG−3PA 830、繊維断面のアスペクト比4。
ガラス繊維(C−2);日東紡(株)製チョップドストランド、(商品名)CSG−3PL 830、繊維断面のアスペクト比2。
<紫外線遮蔽剤(D)>
超微粒子酸化チタン(D−1−1)(以下、遮蔽剤(D−1−1)と記す。);(商品名)TTO−55(B)(石原産業(株)製、平均一次粒子径:40nm、ルチル結晶、焼成法、表面処理:水酸化アルミニウム)。
超微粒子酸化亜鉛(D−2−1)(以下、遮蔽剤(D−2−1)と記す。);(商品名)FINEX−30S−LP2(堺化学工業(株)製、平均一次粒子径:35nm、ハイドロゲンジメチコン処理)。
超微粒子酸化亜鉛(D−2−2)(以下、遮蔽剤(D−2−2)と記す。);(商品名)FINEX−25−LPT(堺化学工業(株)製、平均一次粒子径:60nm、ハイドロゲンジメチコン処理)。
超微粒子酸化セリウム(D−3−1)(以下、遮蔽剤(D−3−1)と記す。);(商品名)CERIGUARD W−500(大東化成工業(株)製、平均一次粒子径:30nm、酸化セリウム含有量:98%、酸化カルシウムとの複合体)。
<着色剤(E)>
黒着色剤(E−1−1);カーボンブラック;(商品名)#950(三菱化学(株)製、平均粒子径:16nm、DBP吸油量:79cm/100g)。
黒着色剤(E−1−2);四酸化三鉄;(商品名)Bayferrox303T(ランクセス社製、平均粒子径:0.6μm)。
白着色剤(E−2−1);酸化チタン;(商品名)タイペークCR−60(石原産業(株)製、平均一次粒子径:210nm、比表面積:10m/g、ルチル結晶)。
白着色剤(E−2−2);酸化亜鉛;(商品名)銀嶺A(東邦亜鉛(株)製、平均粒子径:600nm、比表面積:5m/g)。
白着色剤(E−2−3);硫化亜鉛;(商品名)サクトリスHD(Sachtleben製)。
赤着色剤(E−3−1);(商品名)H08H152((株)ヘキサケミカル製、Solvent Red179が97%以上)。
赤着色剤(E−3−2);(商品名)H08H151((株)ヘキサケミカル製、Solvent Orange63が80%以上)。
青着色剤(E−4−1);(商品名)H04F583((株)ヘキサケミカル製、Pigment Blue29が95%以上)
<リン系酸化防止剤(F)>
リン系酸化防止剤(F−1)(以下、酸化防止剤(F−1)と記す。);(商品名)アデカスタブPEP−36((株)アデカ製)。
<ヒンダードアミン系光安定剤(G)>
ヒンダードアミン系光安定剤(G−1)(以下、HALS(G−1)と記す。); (商品名)アデカスタブLA−63P((株)アデカ製))。
<紫外線吸収剤(H)>
紫外線吸収剤(H−1);(商品名)アデカスタブLA−31((株)アデカ製)。
<離型剤(I)>
脂肪酸アミド系滑剤(I−1−1)(以下、離型剤(I−1−1)と記す。);共栄社化学(株)製、(商品名)ライトアマイドWH−255。
カルナバワックス(I−2−1)(以下、離型剤(I−2−1)と記す。);日興リカ(株)製、(商品名)精製カルナバ粉末1号。
<合成例1(PPS(A−1)の合成)>
攪拌機を装備する15リットルオートクレーブに、フレーク状硫化ソーダ(NaS・2.9HO)1814g、粒状の苛性ソーダ(100%NaOH:和光純薬特級)8.7g及びN−メチル−2−ピロリドン3232gを仕込み、窒素気流下攪拌しながら徐々に200℃まで昇温して、339gの水を留去した。190℃まで冷却した後、p−ジクロロベンゼン2129g、N−メチル−2−ピロリドン1783gを添加し、窒素気流下に系を封入した。この系を2時間かけて225℃に昇温し、225℃にて1時間重合させた後、25分かけて250℃に昇温し、250℃にて2時間重合を行った。次いで、この系に250℃で蒸留水509gを圧入し、255℃まで昇温してさらに2時間重合反応を行った。重合終了後、室温まで冷却し、重合スラリーを遠心濾過器で固液分離した。ケーキを窒素気流下でN−メチル−2−ピロリドン、アセトンで順次3回繰り返し洗浄し、さらに、窒素気流下で0.2%塩酸、及び温水で順次洗浄した。得られたポリ(p−フェニレンスルフィド)を105℃で一昼夜乾燥することによって、溶融粘度が350ポイズのPPS(A−1)を得た。
<合成例2(PPS(A−2)の合成)>
攪拌機を装備する15リットルオートクレーブに、フレーク状硫化ソーダ(NaS・2.9HO)1814g、粒状の苛性ソーダ(100%NaOH:和光純薬特級)8.7g及びN−メチル−2−ピロリドン3232gを仕込み、窒素気流下攪拌しながら徐々に200℃まで昇温して、340gの水を留去した。190℃まで冷却した後、p−ジクロロベンゼン2100g、N−メチル−2−ピロリドン1783gを添加し、窒素気流下に系を封入した。この系を2時間かけて225℃に昇温し、225℃にて1時間重合させた後、25分かけて250℃に昇温し、250℃にて2時間重合を行った。次いで、この系に250℃で蒸留水509gを圧入し、255℃まで昇温してさらに2時間重合反応を行った。重合終了後、室温まで冷却し、重合スラリーを遠心濾過器で固液分離した。ケーキを窒素気流下でN−メチル−2−ピロリドン、アセトンで順次2回繰り返し洗浄し、さらに、窒素気流下で0.2%塩酸、及び温水で順次洗浄した。得られたポリ(p−フェニレンスルフィド)を105℃で一昼夜乾燥することによって、溶融粘度が470ポイズのPPS(A−2)を得た。
<合成例3(PPS(A−3)の合成)>
攪拌機を装備する15リットルオートクレーブに、フレーク状硫化ソーダ(NaS・2.9HO)1854g、30%苛性ソーダ溶液(30%NaOHaq)48g及びN−メチル−2−ピロリドン3679gを仕込み、窒素気流下攪拌しながら徐々に200℃まで昇温して、379gの水を留去した。190℃まで冷却した後、p−ジクロロベンゼン2140g、N−メチル−2−ピロリドン985gを添加し、窒素気流下に系を封入した。この系を2時間かけて225℃に昇温し、225℃にて1時間重合させた後、25分かけて250℃に昇温し、さらに250℃にて3時間重合を行った。重合後、減圧下で重合スラリーからN−メチル−2−ピロリドンを蒸留操作で回収した。最終到達温度は172℃で圧力は4.6kPaであった。得られたケーキに80℃の温水を加えスラリー濃度20%として洗浄し、再度、同様に温水を加え175℃まで昇温してポリ(p−フェニレンスルフィド)の洗浄を合計2回行った。得られたポリフェニレンスルフィドを105℃で一昼夜乾燥した。次いで、乾燥したポリフェニレンスルフィドをバッチ式ロータリーキルン型焼成装置に充填し、窒素雰囲気下で240℃まで昇温し、1時間の保持による硬化処理を行うことによって、溶融粘度が365ポイズのPPS(A−3)を得た。
得られたポリアリーレンスルフィド、ポリアリーレンスルフィド系組成物の評価・測定方法を以下に示す。
ポリアリーレンスルフィドの評価・測定方法
〜ポリアリーレンスルフィドの明度(L値)の測定〜
ポリアリーレンスルフィドを溶融温度310℃、加圧力100kgf/cmの圧力で圧縮成形した後、冷却温度150℃で冷却し、50mm×50mm×1mm厚の成形体を作製し、この成形体を用い、色彩色差計(スガ試験機(株)製、(商品名)SMカラーコンピューター)にて、室温下で明度(L値)の測定を行った。
〜ポリアリーレンスルフィドの溶融粘度測定〜
直径1mm、長さ2mmのダイスを装着した高化式フローテスター((株)島津製作所製、(商品名)CFT−500)にて、測定温度315℃、荷重10kgの条件下で溶融粘度の測定を行った。
ポリアリーレンスルフィド系組成物の評価・測定方法
〜ポリアリーレンスルフィド系組成物のL値(明度)、a値、b値の測定〜
ポリアリーレンスルフィド系組成物をシリンダー温度310℃、金型温度135℃とした射出成形機(住友重機械工業(株)製、(商品名)SE−75S)によって射出成形し、70mm×70mm×2mm厚の成形板を作製し、この成形板を用い、色彩色差計(スガ試験機(株)製、(商品名)SMカラーコンピューター)にて、室温下でL値(明度)、a値、及びb値の測定を行った。
黒着色剤を用いるものについては、L値が40以下であるものを、黒色調に優れると判断した。白着色剤を用いるものについては、L値が80以上であるものを、白色調に優れると判断した。赤着色剤を用いるものについては,a値が40以上であるものを、赤色調に優れると判断した。また、青着色剤を用いるものについては,b値が−40以下であるものを、青色調に優れると判断した。(L値、a値、b値は色空間を表わす数値で、L値は色の明度(L=0は黒体、L=100は完全な白色を表わす。)、a値は赤と緑との補色の相対位置(負の値が大きいほど緑寄りで、正の値が大きいほど赤寄りを表わす。)、b値は黄と青との補色の相対位置(負の値が大きいほど青寄りで、正の値が大きいほど黄寄りを表わす。)をそれぞれ表わす。)
〜誘電率の測定〜
ポリアリーレンスルフィド系組成物をシリンダー温度310℃、金型温度135℃とした射出成形機(住友重機械工業(株)製、(商品名)SE−75S)によって射出成形し、70mm×70mm×1mm厚の成形板を作製し、この成形板から70mm×3mm×1mm厚の誘電率測定用試験片を切削加工にて作製した。この試験片にて、誘電率測定装置((株)エーイーティー製、(商品名)空洞共振器)を用い、JIS C−2565に準拠して、測定周波数2GHzにて誘電率を測定した。誘電率が3.70以下であるものを実用上十分に低い誘電率と判断した。
〜耐紫外線劣化性の評価〜
図1に示す分光分布を有する100Wの紫外線ランプを2個配した紫外線照射箱に、上記成形板を、ランプ下端と成形板表面との距離が10cmとなるように挿入し、紫外線を照射した。紫外線照射時間は6時間および30時間で行った。耐紫外線劣化性は、紫外線照射前の成形板のL値、a値、b値と、紫外線照射後の成形板のL値、a値、b値から下式(1)により紫外線照射6時間後のΔE及び紫外線照射30時間後のΔE30を算出し、その値の大小で劣化性を評価した。
紫外線照射6時間後のΔEが5以下で、かつ紫外線照射30時間後のΔE30が10以下であるものを耐紫外線劣化性に優れると判断した。尚紫外線照射前および照射後の成形板のL値、a値、b値は、色彩色差計(スガ試験機(株)製、商品名SMカラーコンピューター)にて、室温下で測定を行った。
ΔE=((L1−L2)+(a1−a2)+(b1−b2)0.5 (1)
(ここで、L1は、紫外線照射前のL値、a1は、紫外線照射前のa値、b1は紫外線照射前のb値、L2は、規定時間紫外線照射後のL値、a2は、規定時間紫外線照射後のa値、b2は、規定時間紫外線照射後のb値のそれぞれを示す。)
〜耐衝撃性の測定〜
ポリアリーレンスルフィド系組成物を、シリンダー温度310℃、金型温度135℃とした射出成形機(住友重機械工業(株)製、(商品名)SE−75S)によってシャルピー衝撃強度測定用試験片を作製し、ノッチングマシーン((株)東洋精機製作所製、(商品名)A−3型)によりノッチを入れ、シャルピー衝撃試験機((株)東洋精機製作所製、(商品名)DG−CB型)を用いて、ISO179に準拠し測定を行った。シャルピー衝撃強度として12kJ/mを超えるものを実用上十分な値を示すと判断した。
実施例1
合成例3で得られたPPS(A−3)100重量部に対し、エチレン系重合体(B−1−1)25重量部、遮蔽剤(D−1−1)15重量部、及び黒着色剤(E−1−1)2重量部を予め均一に混合し、シリンダー温度310℃に加熱した二軸押出機(東芝機械製、(商品名)TEM−35−102B)のホッパーに投入した。一方、ガラス繊維(C−1)をPPS(A−3)100重量部に対して25重量部となるように該二軸押出機のサイドフィーダーのホッパーから投入し、溶融混練してペレット化したポリアリーレンスルフィド系組成物を作製した。
得られたポリアリーレンスルフィド系組成物から、L値、a値、b値、耐紫外線劣化性を評価するための70mm×70mm×2mm厚の成形板、誘電率を評価するための70mm×70mm×1mm厚の成形板、および耐衝撃性を評価するためのシャルピー衝撃強度測定用試験片を作製し、L値、a値、b値、誘電率、耐紫外線劣化性、シャルピー衝撃強度を評価した。評価結果を表2に示した。
得られたポリアリーレンスルフィド系組成物は、実用上十分に小さいL値を有すると共に、実用上十分に低い誘電率であった。また、耐紫外線劣化性に優れ、衝撃強度も良好であった。
実施例2〜10
PPS(A−1、A−2、A−3)、エチレン系重合体(B−1−1、B−2−1)、遮蔽剤(D−2−1、D−2−2、D−3−1)、黒着色剤(E−1−2)、白着色剤(E−2−1、E−2−2、E−2−3)、赤着色剤(E−3−1、E−3−2)、青着色剤(E−4−1)、酸化防止剤(F−1)、HALS(G−1)、紫外線吸収剤(H−1)、及び離型剤(I−1−1、I−2−1)を表1に示す構成割合で配合して、二軸押出機のホッパーに投入し、ガラス繊維(C−1、C−2)を、表1に示す構成割合になるように二軸押出機のサイドフィーダーのホッパーに投入し、実施例1と同様の方法によりポリアリーレンスルフィド系組成物を作製し、実施例1と同様の方法により評価した。評価結果を表2に示した。
得られた全てのポリアリーレンスルフィド系組成物は、黒着色剤を用いる場合、実用上十分に小さいL値を、白着色剤を用いる場合、実用上十分に大きいL値を、赤着色剤を用いる場合、実用上十分に大きいa値を、青着色剤を用いる場合、実用上十分に小さいb値をそれぞれ有すると共に、実用上十分に低い誘電率であった。また、耐紫外線劣化性に優れ、衝撃強度も良好であった。
Figure 0006507656
Figure 0006507656
比較例1〜7
PPS(A−1、A−3)、エチレン系重合体(B−1−1、B−2−1)、遮蔽剤(D−1−1、D−2−1、D−2−2)、黒着色剤(E−1−1)、白着色剤(E−2−1)、酸化防止剤(F−1)、HALS(G−1)、紫外線吸収剤(H−1)、及び離型剤(I−1−1)を表3に示す構成割合で配合して、二軸押出機のホッパーに投入し、ガラス繊維(C−1、C−2)を、表3に示す構成割合になるように、二軸押出機のサイドフィーダーのホッパーに投入し、実施例1と同様の方法によりポリアリーレンスルフィド系組成物を作製し、実施例1と同様の方法により評価した。評価結果を表4に示した。
比較例1、2により得られた組成物は、耐紫外線劣化性において実用上十分な性能が得られなかった。比較例3、6、7により得られた組成物は、誘電率において実用上十分な性能が得られなかった。比較例4により得られた組成物は、L値が大きく黒色調が劣っていた。比較例5により得られた組成物は、L値が小さく白色調が劣っていた。また、比較例3、6、7により得られた組成物は、衝撃強度において劣っていた。
Figure 0006507656
Figure 0006507656
本発明のポリアリーレンスルフィド系組成物は、低誘電率であることから、メガヘルツ帯からギガヘルツ帯の電波の透過性に優れ、かつ外装部品として必要な色調に優れ、さらには耐紫外線劣化性、耐衝撃性にも優れることから、特に通信時にメガヘルツ帯からギガヘルツ帯の電波を利用するモバイルパソコン、タブレット、携帯電話など携帯端末機器の筐体等の電子・電気部品用途、又は自動車電装部品等の電気部品用途に有用なポリアリーレンスルフィド系組成物として期待されるものである。

Claims (6)

  1. ポリアリーレンスルフィド(A)100重量部に対し、少なくともエチレン系重合体(B)15〜30重量部、ガラス繊維(C)15〜65重量部、超微粒子酸化チタン(D−1),超微粒子酸化亜鉛(D−2)及び超微粒子酸化セリウム(D−3)からなる群より選択される少なくとも1種以上のものであり平均一次粒子径が10〜100nmである紫外線遮蔽剤(D)5〜30重量部、並びに着色剤(E)1〜30重量部を含んでなり、JIS C−2565に準拠して、周波数2GHzにて測定した誘電率が3.70以下であることを特徴とする低誘電性彩色ポリアリーレンスルフィド系組成物。
  2. さらに、リン系酸化防止剤(F)、ヒンダードアミン系光安定剤(G)を含んでなることを特徴とする請求項1に記載の低誘電性彩色ポリアリーレンスルフィド系組成物。
  3. さらに、紫外線吸収剤(H)を含んでなることを特徴とする請求項1又は2に記載の低誘電性彩色ポリアリーレンスルフィド系組成物。
  4. さらに、脂肪酸アミド系滑剤(I−1)、カルナバワックス(I−2)からなる群より選択される少なくとも1種以上の離型剤(I)を含んでなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の低誘電性彩色ポリアリーレンスルフィド系組成物。
  5. ポリアリーレンスルフィド(A)が、溶融温度310℃、加圧力100kgf/cmで圧縮成形した成形体の明度(L値)が70以上を示すものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の低誘電性彩色ポリアリーレンスルフィド系組成物。
  6. ガラス繊維(C)が、繊維断面アスペクト比2〜4を有する扁平ガラス繊維であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の低誘電性彩色ポリアリーレンスルフィド系組成物。
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