以下、図面を参照して本発明の実施形態につき説明する。なお、以下で説明する数値や回路等は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜選択可能である。
図1は、本発明にかかる記憶回路10の各実施形態に共通の構成を概略的に示した図である。記憶回路10は、制御部1と、ヒューズ回路2と、保持回路3と、を備えている。
制御部1は、ヒューズ回路2と保持回路3とに接続されており、ヒューズ回路2及び保持回路3に対して制御信号S1を出力する。ヒューズ回路2は、ヒューズ素子を備えており、制御部1から出力される制御信号S1によって駆動、すなわち回路動作が制御されて、自己が備えるヒューズ素子の状態に基づいて信号レベルが決定されるヒューズ信号HS1を出力する。保持回路3は、ヒューズ信号HS1に基づく信号を制御部1から出力される制御信号S1に基づいて保持し出力信号SS1として出力する。
[第1の実施形態]
図2は、本発明の第1の実施形態にかかる記憶回路10aを示した図である。記憶回路10aは、制御部1と、ヒューズ回路2と、保持回路3と、書込制御部4と、書込確認部5と、を備えている。なお、図2に示した記憶回路10aにおいては、図1に示した記憶回路10と同様の構成については同一符号を付してその説明を適宜省略する。
ヒューズ回路2は、第1のヒューズ素子としてのヒューズ素子H1と第1のスイッチ素子としてのトランジスタN1とを備えている。ヒューズ素子H1は、一端が、例えば5Vの第1の電源としての電源VDDと接続されており、例えばヒューズ素子H1が未切断、すなわちヒューズ素子H1に対する切断行為がなされていない場合の両端間の抵抗値が100Ωであり、ヒューズ素子H1が切断、すなわち、ヒューズ素子H1に切断行為がなされた場合の両端間の抵抗値がおよそ1MΩである。ヒューズ素子H1は、例えばポリシリコンやアルミニウム(AL)など一般的にヒューズ素子として用いられる材料にて形成されている。
トランジスタN1は、NMOSトランジスタで構成され、ドレイン端子Dがヒューズ素子H1の他端に接続され、ソース端子Sが、例えば電源VDDの電位よりも低い0Vの第2の電源としての電圧VSSと接続され、制御端子としてのゲート端子Gが制御部1と接続されている。トランジスタN1は、制御部1からゲート端子Gに供給される制御信号S1によってオンオフを制御され、これによりヒューズ回路2の駆動、すなわち回路動作を制御する。なお、トランジスタN1のオン時の抵抗値は例えば10kΩである。ここで、ヒューズ素子H1の他端とトランジスタN1との接続点のノードを第1のノードとしてのノードNd1と称する。
ヒューズ回路2は、制御部1から出力される制御信号S1がトランジスタN1のゲート端子Gに印加されることによって駆動されて、自己が備えるヒューズ素子H1の状態に基づいて信号レベルが決定されるヒューズ信号HS1を出力する。ここで、ヒューズ信号HS1の信号レベルは、ヒューズ素子H1とトランジスタN1との両端間の抵抗の大小関係に基づいて決定されるノードNd1の電位となる。
ヒューズ回路2においては、ヒューズ素子H1が切断されている場合には、ヒューズ素子H1の両端間の抵抗値がおよそ1MΩでありトランジスタN1のオン時の両端間の抵抗値である10kΩよりも高くなることから、ノードNd1は例えばおよそ0Vでローレベルのヒューズ信号HS1を出力し、ヒューズ素子H1が未切断の場合には、ヒューズ素子H1の両端間の抵抗値が100ΩでありトランジスタN1のオン時の両端間の抵抗値である10kΩよりも低くなることから、ノードNd1は例えばおよそ5Vでハイレベルのヒューズ信号HS1を出力する。
なお、本実施形態にかかるヒューズ回路2によれば、電源VDDと接続されたヒューズ素子H1と、電源VSSに接続されてヒューズ回路2の駆動を制御するNMOSトランジスタで構成されたトランジスタN1とによりヒューズ信号HS1の信号レベルを決定しているので、ヒューズ信号HS1を決定するに際してPMOSトランジスタや抵抗素子を別途設ける必要がなく、回路面積の増大を抑制することができる。
保持回路3は、ヒューズ信号HS1を制御部1から出力される制御信号S1に基づいて保持して出力信号SS1として出力する。保持回路3は、保持制御部3aと保持部3bとを備えている。保持制御部3aは、ヒューズ回路2から出力されたヒューズ信号HS1を、制御信号S1に基づいて保持部3bに伝送する伝送制御を行う。保持部3bは、保持制御部3aから伝送されたヒューズ信号HS1に基づく信号を保持して出力信号SS1として出力する。
保持制御部3aは、インバータINV1と第1の制御スイッチとしてのトランジスタN2と第1の制御スイッチとしてのトランジスタP2とを備えている。インバータINV1は、入力端子が制御部1と接続されており、制御部1から制御信号S1が入力されると、制御信号S1の信号レベルを反転させた制御反転信号SH1を出力端子から出力する。トランジスタN2は、NMOSトランジスタで構成され、ソース端子Sがヒューズ回路2のノードNd1と接続されており、制御端子としてのゲート端子Gが制御部1と接続されている。トランジスタN2は、制御部1から供給される制御信号S1によってオンオフが制御される。トランジスタP2は、PMOSトランジスタで構成され、ソース端子SがトランジスタN2のソース端子SとノードNd1とに接続され、ドレイン端子DがトランジスタN2のドレイン端子Dと接続されており、制御端子としてのゲート端子GがインバータINV1の出力端子に接続されている。トランジスタP2は、インバータINV1から供給される制御反転信号SH1によってオンオフが制御、言い換えれば制御信号S1に基づいてオンオフが制御される。
なお、本実施形態では保持制御部3aをトランジスタN2とトランジスタP2とインバータINV1とで構成しているが、本構成に限られず、例えばドレイン端子がノードNd1に接続されてゲート端子が制御部1に接続されたNMOSトランジスタのみで構成されていても良いし、これに限られず、その他構成にて制御信号S1に基づいて保持部3bにヒューズ信号HS1に基づく信号を伝送する伝送制御を行っても良い。
ここで、トランジスタN2のゲート端子Gに制御信号S1が入力されると共にトランジスタP2のゲート端子GにインバータINV1から制御信号S1の信号レベルを反転した制御反転信号SH1が入力されることから、トランジスタP2とトランジスタN2とは制御信号S1によって同時にオンオフ制御されることとなる。
保持部3bは、インバータINV2とインバータINV3とを備えている。インバータINV2は、保持制御部3aから出力されたヒューズ信号HS1を入力端子にて受信し、該入力端子に入力されたヒューズ信号HS1の信号レベルを反転して生成した出力信号SS1を出力端子T1に向けて出力する。また、インバータINV3は、入力端子がインバータINV2の出力端子と接続されており、入力端子に入力された出力信号SS1の信号レベルを反転して生成した出力反転信号SIS1を出力端子から出力する。
なお、インバータINV2の入力端子はインバータINV3の出力端子とも接続されており、入力端子に入力された出力反転信号SIS1を反転して出力信号SS1を出力する。ここで、保持部3bは、トランジスタN2とトランジスタP2とがオフされた場合であっても、インバータINV2とインバータINV3とで構成されるラッチ回路により、ヒューズ信号HS1に基づく信号レベルを備えた出力信号SS1を保持した状態となる。
書込制御部4は、第1のNMOSトランジスタとしてのトランジスタN4で構成されている。トランジスタN4は、ドレイン端子DがノードNd1に接続され、ゲート端子Gが制御部1に接続され、ソース端子Sが電源VSSに接続されている。トランジスタN4は、制御部1からゲート端子Gに入力される書込制御信号KS1によってオンオフが制御される。トランジスタN4がオンされると、電源VDDからヒューズ素子H1に書込電流KI1が流れ、トランジスタN4によって制御された電流値に応じてヒューズ素子H1が切断される。言い換えれば、トランジスタN4は、ヒューズ素子H1に書込電流KI1を流してヒューズ素子H1を切断する制御を行う。
ここで、書込制御部4においては、トランジスタN4をヒューズ素子H1の低電位側の他端に接続していることから、NMOSトランジスタを用いることができる。一般に、同じ電流容量の場合にはNMOSトランジスタのサイズはPMOSトランジスタのサイズの1/2〜1/3の大きさで構成できることが知られている。このため、上記回路構成によれば、記憶回路の面積の増大を抑制することができる。
書込確認部5は、第2のNMOSトランジスタとしてのトランジスタN5と電流測定手段A1とを備えている。トランジスタN5は、ドレイン端子DがノードNd1と接続されており、ゲート端子Gが制御部1と接続されている。電流測定手段A1は、一端がトランジスタN5のソース端子Sと接続されており、他端が電源VSSと接続されている。トランジスタN5は、制御部1からゲート端子Gに入力される書込確認制御信号KS2によってオンオフが制御される。トランジスタN5がオンされると、電流測定手段A1に、電源VDDからヒューズ素子H1とトランジスタN5を介して確認電流KI2が流れる。確認電流KI2の電流値を電流測定手段A1にて測定することで、ヒューズ素子H1の切断状態を確認することができる。なお、電流測定手段A1としては、一般的に知られている電流計や抵抗素子などを用いることができる。
図3は、図2に示した記憶回路10aの出力信号SS1の信号レベルを確定させる出力確定モードにおいて、ヒューズ素子H1が切断されている場合の時間変化における記憶回路10aの各信号波形を示した図である。図3(a)は、電源VDDの電圧レベルの遷移を示している。図3(b)は、制御信号S1の信号波形を示している。図3(c)は、ヒューズ信号HS1の信号波形を示している。図3(d)は、出力信号SS1の信号波形を示している。なお、図3(a)〜図3(d)は、それぞれ縦軸が信号レベルV、横軸が時刻tであり、時刻t0〜t5は図3(a)〜図3(d)の共通の時刻として示している。また、斜線部は、電位がローレベル又はハイレベルのいずれとなるかが不定となる期間を示している。
時刻t0で、電源VDDが駆動される。このとき、電源VDDの電圧は0Vであるため、電源VDDの電圧によって駆動するヒューズ回路2から出力されるヒューズ信号HS1、及びヒューズ信号HS1の信号レベルに基づいて決定される出力信号SS1は、いずれも電位が不定となっている。
時刻t1で、電源VDDの電圧レベルが上昇して5Vとなって安定すると、制御部1から、例えばおよそ0Vでローレベルの制御信号S1が出力される。ローレベルの制御信号S1は、ヒューズ回路2のトランジスタN1のゲート端子GとトランジスタN2のゲート端子Gとの各々に供給され、これによりトランジスタN1とトランジスタN2とは共にオフされた状態となる。また、ローレベルの制御信号S1はインバータINV1の入力端子に供給されてこれによりインバータINV1から例えばおよそ5Vでハイレベル制御反転信号SH1が出力されてトランジスタP2のゲート端子Gに供給されて、これによりトランジスタP2がオフされた状態となる。
時刻t2で、すなわち電源VDDが所定の電位に安定した後で、制御部1から、例えばおよそ5Vでハイレベルの制御信号S1が出力される。トランジスタN1は、ゲート端子Gにてハイレベルの制御信号S1の供給を受けてオンする。これによりヒューズ回路2が駆動される。また、トランジスタN2は、ゲート端子Gにてハイレベルの制御信号S1の供給を受けてオンし、トランジスタP2は、ハイレベルの制御信号S1の供給を受けたインバータINV1からローレベルの制御反転信号SH1の供給をゲート端子Gにて受けてオンする。
ここで、ヒューズ回路2は、ヒューズ素子H1が切断されており抵抗値がおよそ1MΩとなっていることから、オン時の抵抗値が10kΩのトランジスタN1がオンされると、ノードNd1の電位は電源VSSの電位に徐々に近づく。
時刻t3で、ノードNd1がおよそ0Vとなってヒューズ回路2からローレベルのヒューズ信号HS1が出力される。ここで、保持制御部3aのトランジスタN2とトランジスタP2とは共にオンとなっているため、保持部3bにヒューズ信号HS1を伝送する。これにより、インバータINV2にローレベルのヒューズ信号HS1が入力される。
時刻t4で、インバータINV2に入力されたローレベルのヒューズ信号HS1が反転されてインバータINV2からハイレベルの出力信号SS1が出力され、これにより、出力端子T1の電位がハイレベルとなる。ここで、出力信号SS1はインバータINV3にも入力されるため、インバータINV3からはローレベルの出力反転信号SIS1が出力される。出力反転信号SIS1は、インバータINV2の入力端子に入力される。
時刻t5で、制御信号S1がハイレベルからローレベルに切り替わる。これにより、トランジスタN1がオフしてヒューズ回路2の駆動が停止されてヒューズ信号HS1の出力が停止される。また、ヒューズ信号HS1の出力が停止されると同時に、保持制御部3aのトランジスタN2とトランジスタP2とがオフとなってヒューズ回路2から保持部3bへのヒューズ信号HS1の供給が停止されて保持回路3におけるヒューズ信号HS1の保持の更新が停止される。このとき、保持部3bは、インバータINV2とインバータINV3とによってヒューズ回路2の駆動時のヒューズ信号HS1に基づく信号レベルを維持しているため、ハイレベルの出力信号SS1を維持し続ける。これにより、出力信号SS1が確定して出力確定モードが終了する。なお、上述した保持回路3における保持の更新とは、ヒューズ回路2から出力される最新のヒューズ信号HS1に基づく信号レベルを保持回路3にて保持することであり、保持の更新の停止とは、制御信号S1の供給が停止された時刻にて保持回路2にて保持したヒューズ信号HS1に基づく信号レベルを最後に、その後に保持回路3に入力される最新のヒューズ信号HS1に基づく信号レベルを保持回路3にて新たに保持しないことを指す。
図4は、図2に示した記憶回路10aの出力信号SS1の信号レベルを確定させる出力確定モードにおいて、ヒューズ素子H1が未切断の場合の時間変化における記憶回路10aの各信号波形を示した図である。図4(a)は、電源VDDの電圧レベルの遷移を示している。図4(b)は、制御信号S1の信号波形を示している。図4(c)は、ヒューズ信号HS1の信号波形を示している。図4(d)は、出力信号SS1の信号波形を示している。なお、図4(a)〜図4(d)は、それぞれ縦軸が信号レベルV、横軸が時刻tであり、時刻t0〜t6は図4(a)〜図4(d)の共通の時刻として示している。また、斜線部は、電位がローレベル又はハイレベルのいずれとなるかが不定となる期間を示している。
時刻t0で、電源VDDが駆動される。このとき、電源VDDの電圧は0Vであるため、電源VDDの電圧によって駆動するヒューズ回路2から出力されるヒューズ信号HS1、及びヒューズ伝送信号HS1の信号レベルに基づいて決定される出力信号SS1は、いずれも電位が不定となっている。
時刻t1で、電源VDDの電圧レベルが上昇して5Vとなって安定すると、制御部1から、例えばおよそ0Vでローレベルの制御信号S1が出力される。ローレベルの制御信号S1は、ヒューズ回路2のトランジスタN1のゲート端子GとトランジスタN2のゲート端子Gとの各々に供給され、これによりトランジスタN1とトランジスタN2とは共にオフされた状態となる。また、ローレベルの制御信号S1はインバータINV1の入力端子に供給されてこれによりインバータINV1から例えばおよそ5Vでハイレベル制御反転信号SH1が出力されてトランジスタP2のゲート端子Gに供給されて、これによりトランジスタP2がオフされた状態となる。
時刻t2で、すなわち電源VDDが所定の電位に安定した後で、制御部1から、例えばおよそ5Vでハイレベルの制御信号S1が出力される。トランジスタN1は、ゲート端子Gにてハイレベルの制御信号S1の供給を受けてオンする。これによりヒューズ回路2が駆動される。また、トランジスタN2は、ゲート端子Gにてハイレベルの制御信号S1の供給を受けてオンし、トランジスタP2は、ハイレベルの制御信号S1の供給を受けたインバータINV1からローレベルの制御反転信号SH1の供給をゲート端子Gにて受けてオンする。
ここで、ヒューズ回路2は、ヒューズ素子H1が未切断であり抵抗値は100Ωとなっていることから、オン時の抵抗値が10kΩのトランジスタN1がオンされると、ノードNd1の電位は時刻t2の時点から電源VDDの電圧の供給を受けて上昇を開始する。
時刻t3で、ノードNd1がおよそ5Vとなってヒューズ回路2からハイレベルのヒューズ信号HS1が出力される。ここで、保持制御部3aのトランジスタN2とトランジスタP2とは共にオンとなっているため、保持部3bにヒューズ信号HS1を伝送する。これにより、インバータINV2にハイレベルのヒューズ信号HS1が入力される。
時刻t4で、インバータINV2に入力されたハイレベルのヒューズ信号HS1が反転されてインバータINV2からローレベルの出力信号SS1が出力され、これにより、出力端子T1の電位がローレベルとなる。ここで、出力信号SS1はインバータINV3にも入力されるため、インバータINV3からはハイレベルの出力反転信号SIS1が出力される。出力反転信号SIS1は、インバータINV2の入力端子に入力される。
時刻t5で、制御信号S1がハイレベルからローレベルに切り替わる。これにより、トランジスタN1がオフしてヒューズ回路2の駆動が停止されてヒューズ信号HS1の出力が停止される。また、ヒューズ信号HS1の出力が停止されると同時に、保持制御部3aのトランジスタN2とトランジスタP2とがオフとなってヒューズ回路2から保持部3bへのヒューズ信号HS1の供給が停止されて保持回路3におけるヒューズ信号HS1の保持の更新が停止される。このとき、保持部3bは、インバータINV2とインバータINV3とによってヒューズ回路2の駆動時のヒューズ信号HS1に基づく信号レベルを維持しているため、ローレベルの出力信号SS1を維持し続ける。これにより、出力信号SS1が確定して出力確定モードが終了する。
以上、本発明の第1の実施形態にかかる記憶回路10aによれば、ヒューズ回路2の駆動を制御するトランジスタN1と、保持制御部3aのトランジスタN2と、トランジスタP2と、の各々のオンオフが制御部1から出力される制御信号S1により同時に制御される。このため、ヒューズ回路2の駆動又は停止と保持制御部3aの伝送制御を同時に行うことができるようになる。したがって、保持部3bの出力信号SS1を確定させた後に時間を置くことなくヒューズ信号HS1をローレベルとして出力確定モードを終了でき、出力確定モードにかかる時間の増大を抑制することができ、ひいては記憶回路10aが搭載される製品を電源投入後により迅速に使用できるようになる。
[第2の実施形態]
図5は、本発明の第2の実施形態にかかる記憶回路10bを示した図である。記憶回路10bは、制御部1と、ヒューズ回路2と、保持回路13と、を備えている。本実施形態における記憶回路10bは、第1の実施形態における記憶回路10aと比べて保持回路3に代えて保持回路13を備えている点で異なっており、特に保持回路13は保持回路3からさらにバッファ部3cを備えている点で異なる。なお、図5に示した記憶回路10bにおいては、図1及び図2に示した記憶回路10aと同様の構成については同一符号を付してその説明を適宜省略する。また、書込制御部4と書込確認部5については、作図の都合上省略している。
保持回路13は、ヒューズ信号HS1に基づく信号レベルを制御部1から出力される制御信号S1に基づいて保持して出力信号SS1として出力する。保持回路13は、保持制御部3aと保持部3bとバッファ部3cとを備えている。バッファ部3cは、ヒューズ回路2と保持制御部3aとに接続されており、ヒューズ回路2から出力されたヒューズ信号HS1が入力されると、ヒューズ信号HS1の信号レベルを反転させたヒューズ伝送信号HDS1を生成して出力する。保持制御部3aは、ヒューズ回路2から出力されたヒューズ信号HS1に基づくヒューズ伝送信号HDS1を、制御信号S1に基づいて保持部3bに伝送する伝送制御を行う。保持部3bは、保持制御部3aから伝送されたヒューズ信号HS1に基づくヒューズ伝送信号HDS1を保持して出力信号SS1として出力する。
バッファ部3cは、トランジスタP13とトランジスタN13とを備えている。トランジスタP13は、PMOSトランジスタで構成され、ソース端子Sが電源VDDに接続され、ゲート端子Gがヒューズ回路2のノードNd1に接続されている。トランジスタN13は、NMOSトランジスタで構成され、ソース端子SがトランジスタP13のドレイン端子Dに接続され、ゲート端子Gがヒューズ回路2のノードNd1に接続され、ドレイン端子Dが電源VSSに接続されている。ここで、トランジスタP13のドレイン端子DとトランジスタN13のソース端子Sとの接続点をノードNd2と称する。また、ヒューズ伝送信号HDS1の信号レベルは、ノードNd2の電位である。
バッファ部3cは、ヒューズ信号HS1が入力されると、ヒューズ信号HS1の信号レベルを反転させたヒューズ伝送信号HDS1を生成して出力する。例えば、ハイレベルのヒューズ信号HS1が入力された場合には、トランジスタP13がオフとなりトランジスタN13がオンとなってノードNd2が例えばおよそ0Vでローレベルとなるため、バッファ部3cの出力であるヒューズ伝送信号HDS1はローレベルとなる。また、例えば、ローレベルのヒューズ信号HS1が入力された場合には、トランジスタP13がオンとなりトランジスタN13がオフとなってノードNd2が例えばおよそ5Vでハイレベルとなるため、バッファ部3cの出力であるヒューズ伝送信号HDS1はハイレベルとなる。
ここで、保持回路13は、バッファ部3cを有しているので、ヒューズ信号HS1の信号レベルが決まるノードNd1と、保持部3bのインバータINV3との直接的な接続を回避することができる。このため、ヒューズ回路2においては、ヒューズ信号HS1を保持部3bのインバータINV3の出力による影響を受けずに決定することができるので、ヒューズ信号HS1をより早く所望の信号レベルとすることができる。
保持部3bのインバータINV2は、バッファ部3cから出力されたヒューズ信号HDS1を、保持制御部3aを介して入力端子にて受信し、該入力端子に入力されたヒューズ信号HDS1の信号レベルを反転して生成した出力信号SS1を出力端子T1に向けて出力する。
図6は、図5に示した記憶回路10bの出力信号SS1の信号レベルを確定させる出力確定モードにおいて、ヒューズ素子H1が切断されている場合の時間変化における記憶回路10bの各信号波形を示した図である。図6(a)は、電源VDDの電圧レベルの遷移を示している。図6(b)は、制御信号S1の信号波形を示している。図6(c)は、ヒューズ信号HS1の信号波形を示している。図6(d)は、ヒューズ伝送信号HDS1の信号波形を示している。図6(e)は、出力信号SS1の信号波形を示している。なお、図6(a)〜図6(e)は、それぞれ縦軸が信号レベルV、横軸が時刻tであり、時刻t10〜t16は図6(a)〜図6(e)の共通の時刻として示している。また、斜線部は、電位がローレベル又はハイレベルのいずれとなるかが不定となる期間を示している。また、図6においては、第1の実施形態にかかる図3にて説明した信号波形については同一符号を付してその説明を適宜省略する。
時刻t10で、電源VDDが駆動される。このとき、電源VDDの電圧は0Vであるため、ヒューズ信号HS1、バッファ部3cから出力されるヒューズ伝送信号HDS1、及びヒューズ伝送信号HDS1の信号レベルに基づいて決定される出力信号SS1は、いずれも電位が不定となっている。
時刻t11で、制御部1からローレベルの制御信号S1が出力される。これによりトランジスタN1とトランジスタN2とトランジスタP2とはオフされた状態となる。
時刻t12で、制御部1からハイレベルの制御信号S1が出力されると、トランジスタN1がオンし、これによりヒューズ回路2が駆動される。また、トランジスタN2とトランジスタP2もオンする。
ここで、ヒューズ回路2は、ヒューズ素子H1が切断されており抵抗値がおよそ1MΩとなっていることから、オン時の抵抗値が10kΩのトランジスタN1がオンされると、ノードNd1の電位は電源VSSの電位に徐々に近づく。
時刻t13で、ノードNd1がおよそ0Vとなってヒューズ回路2からローレベルのヒューズ信号HS1が出力されてバッファ部3cに入力される。バッファ部3cにおいては、ローレベルのヒューズ信号HS1が入力されると、トランジスタP13がオンすると共にトランジスタN13がオフされる。このため、ノードNd2の電位は、電源VDDの電圧がトランジスタP13を介して供給されて上昇する。
時刻t14で、ノードNd2がおよそ5Vとなってバッファ部3cからハイレベルのヒューズ伝送信号HDS1が出力される。ここで、保持制御部3aのトランジスタN2とトランジスタP2とは共にオンとなっているため、バッファ部3cから出力されたヒューズ伝送信号HDS1はインバータINV2に伝送される。
時刻t15で、インバータINV2に入力されたハイレベルのヒューズ伝送信号HDS1が反転されてインバータINV2からローレベルの出力信号SS1が出力され、これにより、出力端子T1の電位がローレベルとなる。ここで、出力信号SS1はインバータINV3にも入力されるため、インバータINV3からはハイレベルの出力反転信号SIS1が出力される。出力反転信号SIS1は、インバータINV2の入力端子に入力される。
時刻t16で、制御信号S1がハイレベルからローレベルに切り替わる。これにより、トランジスタN1がオフしてヒューズ回路2の駆動が停止されてヒューズ信号HS1の出力が停止される。また、ヒューズ信号HS1の出力が停止されると同時に、保持制御部3aのトランジスタN2とトランジスタP2とがオフとなってバッファ部3cから保持部3bへのヒューズ伝送信号HDS1の供給が停止されて、保持回路13におけるヒューズ信号HDS1、言い換えればヒューズ信号HS1に基づく信号の保持の更新が停止される。このとき、保持部3bは、インバータINV2とインバータINV3とによってヒューズ回路2の駆動時のヒューズ信号HS1に基づく信号レベルを維持しているため、ローレベルの出力信号SS1を維持し続ける。これにより、出力信号SS1が確定して出力確定モードが終了する。
図7は、図5に示した記憶回路10bの出力信号SS1の信号レベルを確定させる出力確定モードにおいて、ヒューズ素子H1が切断されている場合の時間変化における記憶回路10bの各信号波形を示した図である。図7(a)は、電源VDDの電圧レベルの遷移を示している。図7(b)は、制御信号S1の信号波形を示している。図7(c)は、ヒューズ信号HS1の信号波形を示している。図7(d)は、ヒューズ伝送信号HDS1の信号波形を示している。図7(e)は、出力信号SS1の信号波形を示している。なお、図7(a)〜図7(e)は、それぞれ縦軸が信号レベルV、横軸が時刻tであり、時刻t10〜t16は図7(a)〜図7(e)の共通の時刻として示している。また、斜線部は、電位がローレベル又はハイレベルのいずれとなるかが不定となる期間を示している。なお、図7においては、第1の実施形態にかかる図4にて説明した信号波形については同一符号を付してその説明を適宜省略する。
時刻t10で、電源VDDが駆動される。このとき、電源VDDの電圧は0Vであるため、ヒューズ信号HS1、バッファ部3cから出力されるヒューズ伝送信号HDS1、及びヒューズ伝送信号HDS1の信号レベルに基づいて決定される出力信号SS1は、いずれも電位が不定となっている。
時刻t11で、制御部1からローレベルの制御信号S1が出力される。これによりトランジスタN1とトランジスタN2とトランジスタP2とはオフされた状態となる。
時刻t12で、制御部1からハイレベルの制御信号S1が出力されると、トランジスタN1がオンし、これによりヒューズ回路2が駆動される。また、トランジスタN2とトランジスタP2もオンする。
ここで、ヒューズ回路2は、ヒューズ素子H1は未切断であり抵抗値は100Ωとなっていることから、オン時の抵抗値が10kΩのトランジスタN1がオンされると、ノードNd1の電位は時刻t2の時点から上昇を開始する。
時刻t13で、ノードNd1がおよそ5Vとなってヒューズ回路2からハイレベルのヒューズ信号HS1が出力されてバッファ部3cに入力される。バッファ部3cにおいては、ハイレベルのヒューズ信号HS1が入力されると、トランジスタP13がオフされると共にトランジスタN13がオンされる。このため、ノードNd2の電位は、電源VSSの電圧がトランジスタN13を介して供給されて電源VSSの電位に徐々に近づく。
時刻t14で、ノードNd2がおよそ0Vとなってバッファ部3cからローレベルのヒューズ伝送信号HDS1が出力される。ここで、保持制御部3aのトランジスタN2とトランジスタP2とは共にオンとなっているため、バッファ部3cから出力されたヒューズ伝送信号HDS1は、インバータINV2に伝送される。
時刻t15で、インバータINV2に入力されたローレベルのヒューズ伝送信号HDS1が反転されてインバータINV2からハイレベルの出力信号SS1が出力され、これにより、出力端子T1の電位がハイレベルとなる。ここで、出力信号SS1はインバータINV3にも入力されるため、インバータINV3からはハイレベルの出力反転信号SIS1が出力される。出力反転信号SIS1は、インバータINV2の入力端子に入力される。
時刻t16で、制御信号S1がハイレベルからローレベルに切り替わる。これにより、トランジスタN1がオフしてヒューズ回路2の駆動が停止されてヒューズ信号HS1の出力が停止される。また、ヒューズ信号HS1の出力が停止されると同時に、保持制御部3aのトランジスタN2とトランジスタP2とがオフとなってバッファ部3cから保持部3bへのヒューズ伝送信号HDS1の供給が停止されて、保持回路13におけるヒューズ信号HDS1、言い換えればヒューズ信号HS1に基づく信号の保持の更新が停止される。このとき、保持部3bは、インバータINV2とインバータINV3とによってヒューズ回路2の駆動時のヒューズ信号HS1に基づく信号レベルを維持しているため、ハイレベルの出力信号SS1を維持し続ける。これにより、出力信号SS1が確定して出力確定モードが終了する。
以上、本発明の第2の実施形態にかかる記憶回路10bによれば、バッファ部3cを有しており、ヒューズ信号HS1を保持部3のインバータINV3の出力の影響を受けずに決定することができるので、第1の実施形態にかかる記憶回路10aで得られる効果に加えて、ヒューズ信号HS1をより早く所望の信号レベルとすることができる。したがって、出力確定モードにかかる時間の増大を抑制することができ、ひいては記憶回路10bが搭載される製品を電源投入後により迅速に使用できるようになる。
[第3の実施形態]
図8は、本発明の第3の実施形態にかかる記憶回路10cを示した図である。記憶回路10cは、制御部1と、ヒューズ回路2と、保持回路23と、を備えている。本実施形態における記憶回路10cは、第1の実施形態における記憶回路10aと比べて保持回路3に代えて保持回路23を備えている点で異なっており、特に保持回路23は保持回路3と比べて保持制御部3aに代えて保持制御部23aを備え、且つさらにバッファ部3cを備えている点で異なる。また、本実施形態における記憶回路10cは、第2の実施形態における記憶回路10bと比べて保持回路13に代えて保持回路23を備えている点で異なっており、特に保持回路23は保持回路13から保持制御部3aに代えて保持制御部23aを備えている点で異なる。なお、図8に示した記憶回路10cにおいては、図1、図2、及び図5に示した記憶回路10a又は記憶回路10bと同様の構成については同一符号を付してその説明を適宜省略する。また、書込制御部4と書込確認部5については、作図の都合上省略している。
保持回路23は、ヒューズ信号HS1に基づく信号レベルを制御部1から出力される制御信号S1に基づいて保持して出力信号SS1として出力する。保持回路23は、保持制御部23aと保持部3bとバッファ部23cとを備えている。保持制御部23aは、ヒューズ回路2から出力されたヒューズ信号HS1を、制御信号S1に基づいて保持部3bに伝送する伝送制御を行う。保持部3bは、保持制御部23aによって伝送されたヒューズ信号HS1に基づく信号を保持して出力信号SS1として出力する。
保持制御部23aは、インバータINV23と第1の制御スイッチとしてのトランジスタP23と第1の制御スイッチとしてのトランジスタN23とを備えている。インバータINV1は、入力端子が制御部1と接続されており、制御部1から制御信号S1が入力されると、制御信号S1の信号レベルを反転させた制御反転信号SH23を出力端子から出力する。トランジスタP23は、PMOSトランジスタで構成され、ドレイン端子ソース端子Sが電源VDDに接続され、制御端子としてのゲート端子GがインバータINV23の出力端子に接続され、ドレイン端子Dがバッファ部3cのトランジスタP13のソース端子Sに接続されている。トランジスタP23は、インバータINV23から供給される制御反転信号SH23によってオンオフが制御、言い換えれば制御信号S1に基づいてオンオフが制御される。トランジスタN23は、NMOSトランジスタで構成され、ドレイン端子Dがバッファ部3cのトランジスタN13のソース端子Sに接続され、制御端子としてのゲート端子Gが制御部1に接続され、ソース端子Sが電源VSSに接続されている。トランジスタN23は、制御部1から供給される制御信号S1によってオンオフが制御される。
バッファ部3cは、保持制御部23aのトランジスタP23とトランジスタN23とのオンオフによって駆動が制御され、トランジスタP23とトランジスタN23とがオンしている場合に電源VDDから電流の供給を受けて駆動し、ヒューズ信号HS1の信号レベルを反転させた信号レベルを備えたヒューズ伝送信号HDS1を出力する。本実施形態では、このように、保持回路23を設けて、ヒューズ信号HS1に基づくヒューズ伝送信号HDS1を保持部3bに伝送する伝送制御として、保持制御部23aによってバッファ部3c自体の駆動を制御することとしたので、第2の実施形態の保持回路13のようにヒューズ伝送信号HDS1と保持部3bとの間に保持制御部3aとしてトランジスタN2やトランジスタP2を配置する必要がなく、バッファ部3cから保持部3bへのヒューズ伝送信号HDS1の伝送をより早く行うことができるようになる。
図9は、図8に示した記憶回路10cの出力信号SS1の信号レベルを確定させる出力確定モードにおいて、ヒューズ素子H1が切断されている場合の時間変化における記憶回路10cの各信号波形を示した図である。図9(a)は、電源VDDの電圧レベルの遷移を示している。図9(b)は、制御信号S1の信号波形を示している。図9(c)は、ヒューズ信号HS1の信号波形を示している。図9(d)は、ヒューズ伝送信号HDS1の信号波形を示している。図9(e)は、出力信号SS1の信号波形を示している。なお、図9(a)〜図9(e)は、それぞれ縦軸が信号レベルV、横軸が時刻tであり、時刻t20〜t26は図9(a)〜図9(e)の共通の時刻として示している。また、斜線部は、電位がローレベル又はハイレベルのいずれとなるかが不定となる期間を示している。また、図9においては、第1の実施形態にかかる図3にて説明した信号波形、又は第2の実施形態にかかる図6にて説明した信号波形については同一符号を付してその説明を適宜省略する。
時刻t20で、電源VDDが駆動される。このとき、電源VDDの電圧は0Vであるため、ヒューズ信号HS1、バッファ部3cから出力されるヒューズ伝送信号HDS1、及びヒューズ伝送信号HDS1の信号レベルに基づいて決定される出力信号SS1は、いずれも電位が不定となっている。
時刻t21で、電源VDDの電圧レベルが上昇して5Vとなって安定すると、制御部1から、例えばおよそ0Vでローレベルの制御信号S1が出力される。ローレベルの制御信号S1は、ヒューズ回路2のトランジスタN1のゲート端子GとトランジスタN23のゲート端子Gとの各々に供給され、これによりトランジスタN1とトランジスタN23とは共にオフされた状態となる。また、ローレベルの制御信号S1はインバータINV23の入力端子に供給されてこれによりインバータINV23から例えばおよそ5Vでハイレベル制御反転信号SH23が出力されてトランジスタP23のゲート端子Gに供給されて、これによりトランジスタP23がオフされた状態となる。
時刻t22で、すなわち電源VDDが所定の電位に安定した後で、制御部1から、例えばおよそ5Vでハイレベルの制御信号S1が出力される。トランジスタN1は、ゲート端子Gにてハイレベルの制御信号S1の供給を受けてオンする。これによりヒューズ回路2が駆動される。また、トランジスタN23は、ゲート端子Gにてハイレベルの制御信号S1の供給を受けてオンし、トランジスタP23は、ハイレベルの制御信号S1の供給を受けたインバータINV23からローレベルの制御反転信号SH23の供給をゲート端子Gにて受けてオンする。これにより、バッファ部3cに電源VDDから電圧が供給されてバッファ部3cが駆動する。
ここで、ヒューズ回路2は、ヒューズ素子H1が切断されており抵抗値がおよそ1MΩとなっていることから、オン時の抵抗値が10kΩのトランジスタN1がオンされると、ノードNd1の電位は電源VSSの電位に徐々に近づく。
時刻t23で、ノードNd1がおよそ0Vとなってヒューズ回路2からローレベルのヒューズ信号HS1が出力される。バッファ部3cにおいては、ローレベルのヒューズ信号HS1が入力されると、トランジスタP13がオンすると共にトランジスタN13がオフされる。このため、ノードNd2の電位は、電源VDDの電圧がトランジスタP23を介して供給されて上昇する。
時刻t24で、ノードNd2が5VとなってインバータINV2からハイレベルのヒューズ伝送信号HDS1が出力されてインバータINV2に入力される。
時刻t25で、インバータINV2に入力されたヒューズ伝送信号HDS1が反転されてインバータINV2からローレベルの出力信号SS1が出力され、これにより、出力端子T1の電位がローレベルとなる。ここで、出力信号SS1はインバータINV3にも入力されるため、インバータINV3からはハイレベルの出力反転信号SIS1が出力される。出力反転信号SIS1は、インバータINV2の入力端子に入力される。
時刻t26で、制御信号S1がハイレベルからローレベルに切り替わる。これにより、トランジスタN1がオフしてヒューズ回路2の駆動が停止されてヒューズ信号HS1の出力が停止される。また、ヒューズ信号HS1の出力が停止されると同時に、保持制御部23aのトランジスタP23とトランジスタN23とがオフしてバッファ部3cの駆動が停止されてヒューズ伝送信号HDS1の出力が停止されて保持回路23におけるヒューズ信号HDS1、言い換えればヒューズ信号HS1に基づく信号の保持の更新が停止される。このとき、保持部3bは、インバータINV2とインバータINV3とによってヒューズ回路2の駆動時のヒューズ信号HS1に基づく信号レベルを維持しているため、ローレベルの出力信号SS1を維持し続ける。これにより、出力信号SS1が確定して出力確定モードが終了する。
図10は、図8に示した記憶回路10cの出力信号SS1の信号レベルを確定させる出力確定モードにおいて、ヒューズ素子H1が未切断の場合の時間変化における記憶回路10cの各信号波形を示した図である。図10(a)は、電源VDDの電圧レベルの遷移を示している。図10(b)は、制御信号S1の信号波形を示している。図10(c)は、ヒューズ信号HS1の信号波形を示している。図10(d)は、ヒューズ伝送信号HDS1の信号波形を示している。図10(e)は、出力信号SS1の信号波形を示している。なお、図10(a)〜図10(e)は、それぞれ縦軸が信号レベルV、横軸が時刻tであり、時刻t20〜t26は図10(a)〜図10(e)の共通の時刻として示している。また、斜線部は、電位がローレベル又はハイレベルのいずれとなるかが不定となる期間を示している。また、図10においては、第1の実施形態にかかる図4にて説明した信号波形、又は第2の実施形態にかかる図7にて説明した信号波形については同一符号を付してその説明を適宜省略する。
時刻t20で、電源VDDが駆動される。このとき、電源VDDの電圧は0Vであるため、ヒューズ信号HS1、バッファ部3cから出力されるヒューズ伝送信号HDS1、及びヒューズ伝送信号HDS1の信号レベルに基づいて決定される出力信号SS1は、いずれも電位が不定となっている。
時刻t21で、電源VDDの電圧レベルが上昇して5Vとなって安定すると、制御部1から、例えばおよそ0Vでローレベルの制御信号S1が出力される。ローレベルの制御信号S1は、ヒューズ回路2のトランジスタN1のゲート端子GとトランジスタN23のゲート端子Gとの各々に供給され、これによりトランジスタN1とトランジスタN23とは共にオフされた状態となる。また、ローレベルの制御信号S1はインバータINV23の入力端子に供給されてこれによりインバータINV23から例えばおよそ5Vでハイレベル制御反転信号SH23が出力されてトランジスタP23のゲート端子Gに供給されて、これによりトランジスタP23がオフされた状態となる。
時刻t22で、すなわち電源VDDが所定の電位に安定した後で、制御部1から、例えばおよそ5Vでハイレベルの制御信号S1が出力される。トランジスタN1は、ゲート端子Gにてハイレベルの制御信号S1の供給を受けてオンする。これによりヒューズ回路2が駆動される。また、トランジスタN23は、ゲート端子Gにてハイレベルの制御信号S1の供給を受けてオンし、トランジスタP23は、ハイレベルの制御信号S1の供給を受けたインバータINV23からローレベルの制御反転信号SH23の供給をゲート端子Gにて受けてオンする。これにより、バッファ部3cに電源VDDから電圧が供給されてバッファ部3cが駆動する。
ここで、ヒューズ回路2は、ヒューズ素子H1は未切断であり抵抗値が100Ωとなっていることから、オン時の抵抗値が10kΩのトランジスタN1がオンされると、ノードNd1の電位は時刻t22の時点から上昇を開始する。
時刻t23で、ノードNd1がおよそ5Vとなってヒューズ回路2からハイレベルのヒューズ信号HS1が出力される。バッファ部3cにおいては、ハイレベルのヒューズ信号HS1が入力されると、トランジスタP13がオンすると共にトランジスタN13がオフされる。このため、ノードNd2の電位は、電源VDDの電圧がトランジスタP23を介して供給されて上昇する。
時刻t24で、ノードNd2が5VとなってインバータINV2からハイレベルのヒューズ伝送信号HDS1が出力されてインバータINV2に入力される。
時刻t25で、インバータINV2に入力されたヒューズ伝送信号HDS1が反転されてインバータINV2からローレベルの出力信号SS1が出力され、これにより、出力端子T1の電位がローレベルとなる。ここで、出力信号SS1はインバータINV3にも入力されるため、インバータINV3からはハイレベルの出力反転信号SIS1が出力される。出力反転信号SIS1は、インバータINV2の入力端子に入力される。
時刻t26で、制御信号S1がハイレベルからローレベルに切り替わる。これにより、トランジスタN1がオフしてヒューズ回路2の駆動が停止されてヒューズ信号HS1の出力が停止される。また、ヒューズ信号HS1の出力が停止されると同時に、保持制御部23aのトランジスタP23とトランジスタN23とがオフしてバッファ部3cの駆動が停止されてヒューズ伝送信号HDS1の出力が停止されて保持回路23におけるヒューズ信号HDS1、言い換えればヒューズ信号HS1に基づく信号の保持の更新が停止される。このとき、保持部3bは、インバータINV2とインバータINV3とによってヒューズ回路2の駆動時のヒューズ信号HS1に基づく信号レベルを維持しているため、ハイレベルの出力信号SS1を維持し続ける。これにより、出力信号SS1が確定して出力確定モードが終了する。
以上、本発明の第3の実施形態にかかる記憶回路10cによれば、保持回路23を設けて、ヒューズ信号HS1に基づくヒューズ伝送信号HDS1を保持部3bに伝送する伝送制御を、保持制御部23aによってバッファ部3c自体の駆動を制御することで行うこととしたので、第2の実施形態に記載の記憶回路10bに比べて、バッファ部3cから保持部3bへのヒューズ伝送信号HDS1の伝送をより早く行うことができるようになる。したがって、出力確定モードにかかる時間の増大を抑制することができ、ひいては記憶回路10cが搭載される製品を電源投入後により迅速に使用できるようになる。
[第4の実施形態]
図11は、本発明の第4の実施形態にかかる記憶回路10dを示した図である。記憶回路10dは、制御部1と、ヒューズ回路12と、保持回路3と、書込制御部4と、書込確認部5と、書込確認部5aと、を備えている。本実施形態における記憶回路10dは、第1〜3の実施形態における記憶回路10a〜10cと比べてヒューズ回路2に代えてヒューズ回路12を備えている点で異なる。また、記憶回路10a〜10cと比べてさらに書込確認部5aを備えている点で異なる。なお、図11に示した記憶回路10dにおいては、図1、図2、図5、及び図8に示した記憶回路10a〜10cと同様の構成については同一符号を付してその説明を適宜省略する。また、図11においては、記憶回路10dに保持回路3を適用した例を示しているが、これに限られず、保持回路3に代えて保持回路13、又は保持回路23を適用することもできる。
ヒューズ回路12は、第1のヒューズ素子としてのヒューズ素子H12と、第1の抵抗体としての抵抗体R12と、第3のNMOSトランジスタとしてのトランジスタN12aと、第4のNMOSトランジスタとしてのトランジスタN12bと、第2のスイッチ素子としてのトランジスタN12と、を備えている。
ヒューズ素子H12は、一端が電源VDDと接続されており、例えばヒューズ素子H12が未切断の場合の両端間の抵抗値が100Ωであり、ヒューズ素子H12が切断されている場合の両端間の抵抗値がおよそ1MΩである。ヒューズ素子H12は、例えばポリシリコンやアルミニウム(AL)など一般的にヒューズ素子に用いられる材料にて形成されている。
抵抗体R12は、一端が電源VDDとヒューズ素子H12の一端に接続されて、電源VDDに対してヒューズ素子H12と並列に接続されており、両端間の抵抗値は例えば10kΩである。抵抗体R12は、例えばポリシリコンやアルミニウムなどの一般的にヒューズ素子として用いられる材料、抵抗素子、不純物抵抗、又はゲート端子が常時接地されて常時オンするように設定されたPMOSトランジスタにて構成されている。
トランジスタN12aは、ドレイン端子Dがヒューズ素子H12の他端と接続され、ゲート端子Gが抵抗体R12の他端と接続されている。トランジスタN12bは、ドレイン端子Dが抵抗体R12の他端と接続され、ゲート端子Gがヒューズ素子H12の他端と接続され、ソース端子SがトランジスタN12aのソース端子Sと接続されている。ここで、抵抗体R12の他端とトランジスタN12bのドレイン端子Dとの接続点のノードを第3のノードとしてのノードNd12bと称し、ヒューズ素子H12の他端とトランジスタN12aのドレイン端子Dとの接続点のノードを第4のノードとしてのノードNd12aと称する。
トランジスタN12は、NMOSトランジスタにて構成され、一端としてのドレイン端子DがトランジスタN12aのソース端子SとトランジスタN12bのソース端子Sとに共通接続され、制御端子としてのゲート端子Gが制御部1と接続され、他端としてのソース端子Sが電源VSSと接続されている。トランジスタN12は、制御部1からゲート端子Gに供給される制御信号S1によってオンオフを制御され、これによりヒューズ回路12の駆動、すなわち回路動作を制御する。
ヒューズ回路12は、制御部1から出力される制御信号S1がトランジスタN12のゲート端子Gに印加されることによって駆動されて、自己が備えるヒューズ素子H12の状態に基づいて信号レベルが決定されるヒューズ信号HS1を出力する。ここで、ヒューズ信号HS12の信号レベルは、抵抗体R12の他端とトランジスタN12bのドレイン端子Dとの接続点のノードNd12bの電位であり、ヒューズ素子HS12と抵抗体R12との両端間の抵抗の大小関係に基づいて決定される。
ヒューズ回路12は、ヒューズ素子H12が切断されている場合には、ヒューズ素子H12の両端間の抵抗値はおよそ1MΩで抵抗体R12の両端間の抵抗値である10kΩよりも高くなることから、ノードNd12bが例えばおよそ5Vとなってハイレベルのヒューズ信号HS1を出力する。ヒューズ素子H12が未切断の場合には、ヒューズ素子H12の両端間の抵抗値は100Ωであり抵抗体R12の両端間の抵抗値である10kΩよりも低くなることから、ノードNd12bが例えばおよそ0Vとなってローレベルのヒューズ信号HS1を出力する。
ここで、抵抗体R12は、両端間の抵抗値がノードNd12aの電位に依存せず独立して定められた構成となっている。このような構成としている理由としては、仮に、抵抗体R12の抵抗値をノードNd12aに依存して定められる構成としてしまうと、トランジスタN12aがオフのときであって特にヒューズ素子H12が切断されている場合や完全に切断されていない半切れ状態の場合に抵抗体R12の抵抗値がノードNd12bの影響を受け、ヒューズ信号HS12が誤った信号レベルとなってしまうおそれがあるためである。この点、本発明のヒューズ回路12は、抵抗体R12が例えばポリシリコンやアルミニウムなどの一般的に電流ヒューズとして用いられる材料、抵抗素子、不純物抵抗、又はゲート端子が常時接地されて常時オンするように設定されたPMOSトランジスタにて構成されてノードNd12aの電位に依存せずに抵抗体R12の抵抗値を定めた構成となっているので、ヒューズ信号HS12が誤った信号レベルとなることを防止でき、ひいては出力信号SS1が誤った信号レベルとなることを防止することができる。
書込制御部4のトランジスタN4は、ドレイン端子DがノードNd12aと接続されており、トランジスタN4がオンされると、電源VDDからヒューズ素子H12に書込電流KI1が流れ、トランジスタN4によって制御された電流値に応じてヒューズ素子H12が切断される。言い換えれば、トランジスタN4は、ヒューズ素子H12に書込電流KI1を流してヒューズ素子H12を切断する制御を行う。
書込確認部5のトランジスタN5は、ドレイン端子DがノードNd12aと接続されており、トランジスタN5がオンされると、電流測定手段A1に、電源VDDからヒューズ素子H12とトランジスタN5を介して確認電流KI2が流れる。確認電流KI2の電流値を電流測定手段A1にて測定することで、ヒューズ素子H12の切断状態を確認することができる。
書込確認部5aは、トランジスタN5aと電流測定手段A1aとを備えている。トランジスタN5aは、ドレイン端子DがノードNd12bと接続されており、ゲート端子Gが制御部1と接続されている。電流測定手段A1aは、一端がトランジスタN5aのソース端子Sと接続されており、他端が電源VSSと接続されている。トランジスタN5aは、制御部1からゲート端子Gに入力される書込確認信号KS2aによってオンオフが制御される。トランジスタN5aがオンされると、電流測定手段A1aに、電源VDDから抵抗体R12とトランジスタN5aを介して確認電流KI2aが流れる。確認電流KI2aの電流値を電流測定手段A1aにて測定することで、抵抗体R12の実際の抵抗値を確認することができる。なお、電流測定手段A1としては、電流計等の一般的に知られている手段を用いることができる。
次に、図11に示した記憶回路10dの出力信号SS1を確定させる出力確定モードにおいて、ヒューズ素子H12が切断されている場合にヒューズ回路12から出力されるヒューズ信号HS12の信号レベルが確定するまでの動作について説明する。
ヒューズ回路12は、電源VDDの電圧が定格の例えば5Vとなってハイレベルの制御信号S1が制御部1からトランジスタN12のゲート端子Gに供給されると、トランジスタN12がオンして駆動を開始する。ヒューズ素子H12は切断されており抵抗値がおよそ1MΩとなっているので、ノードNd12bの電位は抵抗体R12を介して電源VDDの電圧の供給を受けて例えばおよそ5Vでハイレベルとなる。
ノードNd12bがハイレベルになると、トランジスタN12aのゲート端子Gにハイレベルの電圧が印加されるため、トランジスタN12aがオンする。これにより、ノードNd12aの電位は、トランジスタN12aとトランジスタN12とを介して電源VSSに応じた電圧の供給を受けて例えばおよそ0Vでローレベルとなる。
ノードNd12aの電位がローレベルになると、トランジスタN12bのゲート端子Gにローレベルの電圧が印加されるため、トランジスタN12bがオフする。これにより、ノードNd12bは電源VSSから電気的に遮断されるため、ノードNd12bの電位はハイレベルを維持する。したがって、ヒューズ回路12からはハイレベルのヒューズ信号HS1が安定的に出力される。
次に、図11に示した記憶回路10dの出力信号SS1を確定させる出力確定モードにおいて、ヒューズ素子H12が未切断の場合にヒューズ回路12から出力されるヒューズ信号HS12の信号レベルが確定するまでの動作について説明する。
ヒューズ回路12は、電源VDDの電圧が定格の例えば5Vとなってハイレベルの制御信号S1が制御部1からトランジスタN12のゲート端子Gに供給されると、トランジスタN12がオンして駆動を開始する。ヒューズ素子H12は未切断であり抵抗値が10kΩとなっているので、ノードNd12aの電位はヒューズ素子H12を介して電源VDDの電圧の供給を受けて例えばおよそ5Vでハイレベルとなる。
ノードNd12aがハイレベルになると、トランジスタN12bのゲート端子Gにハイレベルの電圧が印加されるため、トランジスタN12bがオンする。これにより、ノードNd12bの電位は、トランジスタN12bとトランジスタN12とを介して電源VSSに応じた電圧の供給を受けて例えばおよそ0Vでローレベルとなる。
ノードNd12bの電位がローレベルになると、トランジスタN12aのゲート端子Gにローレベルの電圧が印加されるため、トランジスタN12aがオフする。これにより、ノードNd12aは電源VSSから電気的に遮断されるため、ノードNd12aの電位はハイレベルを維持し、トランジスタN12bが安定的にオンされる。したがって、ノードNd12bの電位がローレベルで安定し、これによりヒューズ回路12からはローレベルのヒューズ信号HS1が安定的に出力される。
以上、本発明の第4の実施形態にかかる記憶回路10dによれば、ヒューズ素子H12と抵抗体R12とトランジスタN12aとトランジスタN12bとを備えてヒューズ素子HS12と抵抗体R12との両端間の抵抗の大小関係に基づいてヒューズ信号HS12の信号レベルが決定されるヒューズ回路12において、抵抗体R12を、両端間の抵抗値がノードNd12aの電位に依存せずに独立して定められる構成としているので、ヒューズ信号HS12の確定の遅延を防止することができ、ひいては出力信号SS1の信号レベルの確定の遅延を防止することができる。したがって、出力確定モードにかかる時間の増大を抑制することができ、ひいては記憶回路10dが搭載される製品を電源投入後により迅速に使用できるようになる。
[第5の実施形態]
図12は、本発明の第5の実施形態にかかる記憶回路10eを示した図である。記憶回路10eは、制御部1と、ヒューズ回路22と、保持回路3と、書込制御部4と、書込確認部5と、書込制御部4aと、書込確認部5aと、を備えている。本実施形態における記憶回路10eは、第4の実施形態における記憶回路10dと比べてヒューズ回路2に代えてヒューズ回路22を備えている点で異なり、特にヒューズ回路12の抵抗体R12に代えてヒューズ素子H22を備えている点で異なる。また、記憶回路10dと比べてさらに書込制御部4aを備えている点で異なる。なお、図11に示した記憶回路10eにおいては、図1、図2、図5、図8、又は図11に示した記憶回路10a〜10dと同様の構成については同一符号を付してその説明を適宜省略する。また、図11においては、記憶回路10dに保持回路3を適用した例を示しているが、これに限られず、保持回路3に代えて保持回路13、又は保持回路23を適用することもできる。
ヒューズ回路22は、ヒューズ素子H12と、第1の抵抗体であり第2のヒューズ素子としてのヒューズ素子H22と、トランジスタN12aと、トランジスタN12bと、トランジスタN12と、を備えている。
ヒューズ素子H22は、ヒューズ素子H12と同一サイズであり、一端が電源VDD及びヒューズ素子H12の一端と接続されている。ヒューズ素子H22は、未切断の場合の両端間の抵抗値がヒューズ素子H12と同じで例えば100Ωであり、切断されている場合の両端間の抵抗値が例えばおよそ1MΩである。ヒューズ素子H22は、例えばポリシリコンやアルミニウム(AL)など一般的にヒューズ素子に用いられる材料にて形成されている。
トランジスタN12aは、ドレイン端子Dがヒューズ素子H12の他端と接続され、ゲート端子Gがヒューズ素子H22の他端と接続されている。トランジスタN12bは、ドレイン端子Dがヒューズ素子H22の他端と接続され、ゲート端子Gがヒューズ素子H12の他端と接続されている。ここで、ヒューズ素子H22の他端とトランジスタN12bのドレイン端子Dとの接続点のノードをノードNd22と称する。
ヒューズ回路22は、制御部1から出力される制御信号S1がトランジスタN12のゲート端子Gに印加されることによって駆動されて、自己が備えるヒューズ素子H12及びヒューズ素子H22の状態に基づいて信号レベルが決定されるヒューズ信号HS22を出力する。ここで、ヒューズ信号HS22の信号レベルは、ヒューズ素子H22の他端とトランジスタN12bのドレイン端子Dとの接続点のノードNd22の電位であり、ヒューズ素子HS12とヒューズ素子H22との両端間の抵抗の大小関係に基づいて決定される。
ヒューズ回路22においては、ヒューズ素子H12が切断されておりヒューズ素子H22が未切断の場合には、ヒューズ素子H12の抵抗値はおよそ1MΩとなってヒューズ素子H22の抵抗値である100Ωよりも高くなる。このため、ノードNd22の電位は電源VDDに応じたレベルとなって、ヒューズ回路22は例えばおよそ5Vでハイレベルのヒューズ信号HS12を出力する。また、ヒューズ回路22においては、ヒューズ素子H12が未切断でありヒューズ素子が切断されている場合には、ヒューズ素子H22の抵抗値はおよそ1MΩとなってヒューズ素子H12の抵抗値である100Ωよりも高くなる。このため、ノードNd22の電位は電源VSSに応じたレベルとなって、ヒューズ回路22は例えばおよそ0Vでローレベルのヒューズ信号HS12を出力する。
書込制御部4aは、第5のNMOSトランジスタとしてのトランジスタN4aで構成されている。トランジスタN4aは、ドレイン端子DがノードNd22に接続され、ゲート端子Gが制御部1に接続され、ソース端子Sが電源VSSに接続されている。トランジスタN4aは、制御部1からゲート端子Gに入力される書込制御信号KS1aによってオンオフが制御される。トランジスタN4aがオンされると、電源VDDからヒューズ素子H22に書込電流KI1aが流れ、トランジスタN4aによって制御された電流値に応じてヒューズ素子H22が切断される。言い換えれば、トランジスタN4aは、ヒューズ素子H22に書込電流KI1aを流してヒューズ素子H22を切断する制御を行う。
次に、図12に示した記憶回路10eの出力信号SS1を確定させる出力確定モードにおいて、ヒューズ素子H12が切断されておりヒューズ素子H22が未切断の場合にヒューズ回路12から出力されるヒューズ信号HS12の信号レベルが確定するまでの動作について説明する。
ヒューズ回路12は、電源VDDの電圧が定格の例えば5Vとなってハイレベルの制御信号S1が制御部1からトランジスタN12のゲート端子Gに供給されると、トランジスタN12がオンして駆動を開始する。ヒューズ素子H12は切断されており抵抗値がおよそ1MΩとなっているので、ノードNd22の電位はヒューズ素子H22を介して電源VDDの電圧の供給を受けて例えばおよそ5Vでハイレベルとなる。
ノードNd22がハイレベルになると、トランジスタN12aのゲート端子Gにハイレベルの電圧が印加されるため、トランジスタN12aがオンする。これにより、ノードNd12aの電位は、トランジスタN12aとトランジスタN12とを介して電源VSSに応じた電圧の供給を受けて例えばおよそ0Vでローレベルとなる。
ノードNd12aの電位がローレベルになると、トランジスタN12bのゲート端子Gにローレベルの電圧が印加されるため、トランジスタN12bがオフする。これにより、ノードNd22は電源VSSから電気的に遮断されるため、ノードNd22の電位はハイレベルを維持する。したがって、ヒューズ回路12からはハイレベルのヒューズ信号HS12が安定的に出力される。
次に、図12に示した記憶回路10eの出力信号SS1を確定させる出力確定モードにおいて、ヒューズ素子H12が未切断でありヒューズ素子H22が切断されている場合にヒューズ回路12から出力されるヒューズ信号HS12の信号レベルが確定するまでの動作について説明する。
ヒューズ回路12は、電源VDDの電圧が定格の5Vとなってハイレベルの制御信号S1が制御部1からトランジスタN12のゲート端子Gに供給されると、トランジスタN12がオンして駆動を開始する。ヒューズ素子H12は未切断であり抵抗値が100Ωとなっているので、ノードNd12aの電位はヒューズ素子H12を介して電源VDDの電圧の供給を受けて例えばおよそ5Vでハイレベルとなる。
ノードNd12aがハイレベルになると、トランジスタN12bのゲート端子Gにハイレベルの電圧が印加されるため、トランジスタN12bがオンする。これにより、ノードNd22の電位は、トランジスタN12bとトランジスタN12とを介して電源VSSに応じた電圧の供給を受けて例えばおよそ0Vでローレベルとなる。
ノードNd22の電位がローレベルになると、トランジスタN12aのゲート端子Gにローレベルの電圧が印加されるため、トランジスタN12aがオフする。これにより、ノードNd12aは電源VSSから電気的に遮断されるため、ノードNd12aの電位はハイレベルを維持し、トランジスタN12bが安定的にオンされる。したがって、ノードNd22の電位がローレベルで安定し、これによりヒューズ回路12からはローレベルのヒューズ信号HS12が安定的に出力される。
以上、本発明の第5の実施形態にかかる記憶回路10dによれば、ヒューズ回路12が互いに同一の抵抗値を備えたヒューズ素子H12とヒューズ素子H22とを有して、ヒューズ信号HS12の信号レベルがこれらの切断状態によって決定されるようにしたので、第4の実施形態によって得られる効果に加えて、ヒューズ素子H12又はヒューズ素子H22を切断する場合に多少切断し損じた場合であっても、ヒューズ素子H12とヒューズ素子H22との抵抗値に差異が発生するため、容易に所望の信号レベルを備えたヒューズ信号HS22を得ることができる。したがって、出力確定モードにかかる時間の増大を抑制することができ、ひいては記憶回路10eが搭載される製品を電源投入後により迅速に使用できるようになる。
なお、本発明にかかる各実施形態の保持部3bの構成は、図2、図5、及び図8に示した構成に限られず、ヒューズ伝送信号HDS1を保持できる回路であれば種々適用可能である。
また、本発明の各実施形態における記憶回路10a〜10eにおいては、書込制御部4又は書込制御部4aを用いて電流によりヒューズ素子H1、ヒューズ素子H12、又はヒューズ素子H22を切断する場合について説明したが、これらヒューズ素子の切断方法としてはこれに限られず、レーザー等によって行っても良い。この場合、書込制御部4及び書込制御部4aが不要となり、その分記憶回路10a〜10eの回路面積の増大を抑制することができる。