JP6506470B2 - ポリアミド系フィルム及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、新規なポリアミド系フィルム及びその製造方法に関する。さらに、本発明は、前記ポリアミド系フィルムを含む積層体及び容器に関する。
各種の樹脂フィルムは、さまざまな加工を施すことによって包装体等の各種の製品とされている。例えば、薬剤(錠剤)等の包装体(プレススルーパック)には塩化ビニルフィルムが使用されている。また例えば、防湿性が要求される内容物を包装する場合にはポリプロピレンフィルムが使用されている。近年では、内容物の品質保持の観点からより優れたガスバリア性又は防湿性を付与することを目的として、樹脂フィルムに金属箔を積層してなる積層体が使用されている。例えば、基材層(樹脂フィルム)/金属箔層(アルミニウム箔)/シーラント層から構成される積層体が知られている。
工業分野においては、リチウムイオン電池の外装材は、従来より金属缶タイプが主流であるが、形状の自由度の低さ、軽量化の困難さ等の欠点が指摘されている。このため、基材層/金属箔層/シーラント層からなる積層体、あるいは基材層/基材層/金属箔層/シーラント層からなる積層体を外装体として用いることが提案されている。このような積層体は、金属缶と比較して柔軟で形状の自由度が高く、さらに薄膜化による軽量化が可能であり、かつ、小型化が容易であることから、広く用いられるようになっている。
上記用途で使用される積層体にはさまざまな性能が要求されており、特に防湿性は非常に重要な要素となる。ところが、防湿性を付与するアルミニウム箔等の金属箔は単体では延展性に乏しく、成型性に劣る。このため、基材層を構成する樹脂フィルムとしてポリアミド系フィルムを用いることにより延展性を付与し、成型性を高めている。
この場合の成型性とは、特にフィルムを冷間成型(冷間加工)する際の成型性である。すなわち、フィルムを成型することにより製品を製造する際、その成型条件として、a)樹脂を加熱下で溶融させて成型する熱間成型及びb)樹脂を溶融させることなく、固体のまま成型する冷間成型があるが、上記用途では冷間成型(特に絞り加工、張り出し加工)における成型性が求められる。冷間成型は、加熱工程がないので生産速度・コスト面で優れることに加え、樹脂本来の特徴を引き出せるという点で熱間成型よりも有利な成型方法である。このため、ポリアミド系フィルムとしても、冷間成型に適したフィルムの開発が進められている。
このようなポリアミド系フィルムとしては、延伸加工されたポリアミド系フィルムが知られている(例えば特許文献1〜4)。しかし、これらのポリアミド系フィルムは、チューブラー法で延伸することにより製造されたものである。すなわち、生産性が低いだけでなく、得られる延伸フィルムは厚みの均一性、寸法安定性等の点でいずれも十分に満足できるものではない。特に、フィルムの厚みにムラがある場合、そのフィルムと金属箔との積層体を冷間成型により加工しようとすると、金属箔の破断、ピンホール等の致命的な欠陥が生じるおそれがある。
これに対し、テンター法で延伸されたポリアミド系フィルムも提案されている(例えば特許文献5〜12)。テンター法は、チューブラー法に比べて生産性、寸法安定性等という点で有利である。
特許第5487485号 特許第5226942号 特開2015−051525号 特開2015−051527号 特許第5467387号 特開2011−162702号 特開2011−255931号 特開2013−189614号 特許第5226941号 特開2013−22773号 国際公開WO2014/084248 特許第3671978号
しかしながら、テンター法により延伸されたポリアミド系フィルムにおいても、フィルムの各方向において物性のバラツキ(異方性)がなお存在する。このため、冷間成型(特に深絞り成型)を行う際の成型性においては十分に満足できる性能を有しているとはいえない。
ポリアミド系フィルム14は、図1に示すような工程で製造される。まず、原料11が溶融混練工程11aで溶融されることにより溶融混練物12が調製される。溶融混練物12を成形工程12aによりシート状に成形して未延伸シート13が得られる。次いで、未延伸シート13を延伸工程13aで二軸延伸されることによってポリアミド系フィルム14が得られる。さらに、この延伸されたポリアミド系フィルム14は、例えば金属箔層15とシーラントフィルム16とを順に貼り合わせる積層工程14aを経て積層体17を作製した後、二次加工として冷間成型工程15aにおいて積層体17が所定の形状に加工されることにより各種の製品18(例えば容器等)となる。
このような延伸されたポリアミド系フィルム14において、その平面における各方向における物性のバラツキを軽減することが望ましいが、少なくとも90度ごとの4方向(任意の方向を基準(0度)として、その方向に対して時計回りで45度、90度及び135度の合計4方向)における物性のバラツキを減らすことが好ましい。例えば、二軸延伸されたポリアミド系フィルムでは、図4に示すように、任意の点Aを中心とし、二軸延伸時におけるMD(フィルムの流れ方向)を基準方向(0度方向)とすれば、(a)基準方向(0度方向)、(b)MDに対して時計回りに45度の方向(以下「45度方向」という。)、(c)MDに対して時計回りに90度の方向(TD:フィルムの流れ方向に対して直角方向)(以下「90度方向」という。)及び(d)MDに対して時計回りに135度の方向(以下「135度方向」という。)の4方向の物性のバラツキをなくすことが望ましい。
延伸されたポリアミド系フィルム14を含む積層体17を冷間成型工程15aに供する場合、ポリアミド系フィルム14が全方向へ引き伸ばされるため、ポリアミド系フィルム14における前記4方向の物性にバラツキがある場合、冷間成型時に全方向へ均一に伸ばすことが困難となる。すなわち、伸びやすい方向と伸びにくい方向とが存在することで、金属箔が破断したり、デラミネーション又はピンホールが発生する。このような問題が起こると、包装体等としての機能が果たせなくなり、被包装体(内容物)の損傷等につながるおそれがある。このため、各方向における物性のバラツキをできるだけ低減することが必要である。
この場合、冷間成型時の成型性に影響を与える物性の1つとしてフィルムの厚みがある。フィルムの厚みにバラツキがあるポリアミド系フィルムを含む積層体を冷間成型する場合は、相対的に薄い部分が破れてピンホールが生じたり、デラミネーションを引き起こすおそれが高くなる。このため、冷間成型に用いられるポリアミド系フィルムは、フィルム全体にわたって厚みを均一に制御することも必要不可欠である。
ここに、ポリアミド系フィルムの厚みの均一性については、チューブラー法よりもテンター法で延伸された場合の方がほうが優れるものの、上記の特許文献3〜10により得られたポリアミド系フィルムの厚み精度は十分に満足できるものではない。つまり、冷間成型時には上記したように縦横斜めの4方向に均一に伸ばすことが必要であるため、冷間成型に耐えられるだけの十分な厚みの均一性が必要である。とりわけ、フィルム厚みが薄くなればなるほど(特に厚み15μm以下、)、厚みの均一性が成型性へ与える影響はより顕著になる。
一般に、フィルムの厚みの均一性はその厚みが厚いほど確保しやすいので、厚みの均一性を確保するために比較的厚めに設計するということも考えられる。ところが、近年において、冷間成型用に使用されるポリアミド系フィルム及びその積層体は、リチウムイオン電池の外装材を中心に広く使用されるようになっており、電池のさらなる高出力化、小型化、コスト削減の要請等に伴い、ポリアミド系フィルムの厚みをより薄くすることが求められている。しかし、厚みを薄くすれば、それだけ厚みの均一性を確保することが困難となる。
このように、より薄くても、厚みの均一性に優れるとともに前記4方向における物性のバラツキが比較的小さなポリアミド系フィルムの開発が切望されているものの、このようなフィルムは未だ開発されるに至っていないのが現状である。
さらに、冷間成型時の成型性に影響を与える物性として、フィルムの滑り性がある。例えば、ポリアミド系フィルムを最外層とする積層体を冷間成型する場合、ポリアミド系フィルムと成型金型が接触するため、ポリアミド系フィルムが滑りにくい(すなわち、摩擦係数が大きい)場合は、成型金型が押し込まれる際に積層体表面にシワが生じたり、積層体がデラミネーションを引き起こすおそれが高くなる。しかも、積層体全体を均一に成型することが難しくなるため、ピンホールの発生が懸念される。特に、高湿度下で冷間成型を行う際には、これらの問題がよりいっそう顕著となる。
従って、本発明の主な目的は、厚みの均一性に優れるとともに前記4方向における物性のバラツキが効果的に抑えられており、なおかつ、滑り性にも優れたポリアミド系フィルム及びその製造方法を提供することにある。
本発明者は、従来技術の問題点に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、特定の原料を用いて特殊な方法により延伸されたフィルムが上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記のポリアミド系フィルム及びその製造方法に係るものである。
1. ポリアミド6樹脂又はポリアミド66樹脂を含むポリアミド系フィルムであって、
下記(1)〜(4)の特性:
(1)前記フィルムにおけるMD方向を0度とし、その方向に対して時計回りに45度、90度及び135度の4方向において、一軸引張試験による5%伸長時の各応力の最大値と最小値の差が35MPa以下であること、
(2)前記4方向において、一軸引張試験による15%伸長時の各応力の最大値と最小値の差が40MPa以下であること
(3)動摩擦係数が0.60以下であること及び
(4)前記フィルムにおける任意の点から特定の方向を0度とし、その方向に対して時計回りに45度、90度、135度、180度、225度、270度及び315度の8方向の平均厚みに対する標準偏差が0.200μm以下であること
をすべて満たすことを特徴とするポリアミド系フィルム。
2. 算術平均高さSaが0.01〜0.15μmである、前記項1に記載のポリアミド系フィルム。
3. ヘーズが60%以下である、前記項1に記載のポリアミド系フィルム。
4. 平均厚みが16μm以下である、前記項1に記載のポリアミド系フィルム。
5. ポリアミド系フィルム中に、有機滑剤及び無機滑剤の少なくとも1種を含有する、前記項1に記載のポリアミド系フィルム。
6. 前記項1に記載のポリアミド系フィルム及びそのフィルム上に形成された易接着コート層及び/又は易滑性コート層を含むコートフィルム。
7. 前記項1又は6に記載のフィルム及びそのフィルム上に積層された金属箔を含む積層体。
8. 前記項7に記載の積層体を含む容器。
9. ポリアミド6樹脂又はポリアミド66樹脂を含むポリアミド系フィルムを製造する方法であって、
(1)ポリアミド6樹脂又はポリアミド66樹脂を含むポリアミド樹脂と、有機滑剤及び無機滑剤の少なくとも1種とを含む溶融混練物をシート状に成形することにより未延伸シートを得るシート成形工程、
(2)前記未延伸シートを、MDをロールによって延伸し、TDをテンターによって延伸する逐次二軸延伸することによって延伸フィルムを得る延伸工程
を含み、かつ、
(3)下記式a)及びb);
a)0.85≦X/Y≦0.95
b)8.5≦X×Y≦9.5
(但し、Xは前記MDの延伸倍率を示し、Yは前記TDの延伸倍率を示す。)の両方を満たし、
(4)前記のMDの延伸を2段階とし、1段目の延伸倍率を1.05〜1.2倍とし、
(5)MDの延伸を50〜70℃で行い、TDの延伸を70〜130℃で行う、
ことを特徴とするポリアミド系フィルムの製造方法。
10. 延伸工程が逐次二軸延伸であり、
(2−1)50〜70℃の温度下で前記未延伸シートをMDに延伸することによって第1延伸フィルムを得る第1延伸工程及び
(2−2)70〜130℃の温度下で前記第1延伸フィルムをTDに延伸することによって第2延伸フィルムを得る第2延伸工程
を含む、請求項9に記載の製造方法。
11. 第2延伸フィルムをさらに180〜230℃の温度下で弛緩熱処理を行う、前記項10に記載の製造方法。
12. MDの延伸において、2段目の延伸倍率を2.3〜2.81倍とする、前記項9に記載の製造方法。
本発明のポリアミド系フィルムは、厚みの均一性に優れるとともに任意の方向を基準として0度方向、45度方向、90度方向及び135度方向からなる4方向における伸長時の応力バランスに優れ、なおかつ、優れた滑り性も発揮できる。
このため、例えば本発明のフィルムと金属箔とを積層した積層体は、金属箔が良好な延展性を有するものとなり、冷間成型にて絞り成型(特に深絞り成型又は張り出し成型)を行う際に、金属箔の破断、シワ、デラミネーション、ピンホール等を効果的に抑制ないしは防止でき、信頼性の高い高品質の製品(成形体)を得ることが可能となる。
特に、本発明のポリアミド系フィルムは、例えば厚みが約15μm以下という極めて薄いものであっても、厚みの均一性に優れるとともに、前記4方向における伸長時の応力のバランスに優れている。これにより、このフィルムと金属箔と積層した積層体は、冷間成型にてより高出力で小型化した製品を得ることが可能となり、コスト的にも有利になる。
また、本発明の製造方法によれば、上記のような優れた特性を有するポリアミド系フィルムを効率的にかつ確実に製造することができる。特に、厚みが約15μm以下という極めて薄いフィルムであっても、厚みの均一性に優れたフィルムを提供することができる。しかも、比較的低い温度で延伸する場合には、樹脂本来の特性をより効果的に維持できる結果、冷間成型によりいっそう適したフィルム及び積層体を提供することができる。
本発明のポリアミド系フィルムの製造工程及び冷間加工工程の概要を示す模式図である。 本発明の製造方法に係る逐次二軸延伸により未延伸シートが延伸される工程を示す模式図である。 テンターによる延伸工程を図2のa方向からみた状態を示す図である。 フィルムにおける応力を測定する方向を示す図である。 フィルムにおける応力を測定するための試料を示す図である。 フィルムにおける平均厚みを測定する方法を示す図である。 本発明の積層体の実施形態に係る層構成を示す図である。 本発明の積層体の別の実施形態に係る層構成を示す図である。
1.ポリアミド系フィルム
本発明のポリアミド系フィルム(本発明フィルム)は、下記(1)〜(3)の特性:
(1)前記フィルムにおける任意の点から特定の方向を0度とし、その方向に対して時計回りに45度、90度及び135度の4方向において、一軸引張試験による5%伸長時の各応力の最大値と最小値の差(A値)が35MPa以下であること、
(2)前記4方向において、一軸引張試験による15%伸長時の各応力の最大値と最小値の差(B値)が40MPa以下であること及び
(3)動摩擦係数が0.60以下であること
をすべて満たすことを特徴とする。
(A)本発明フィルムの材質・組成
(A−1)ポリアミド樹脂
本発明フィルムは、ポリアミド樹脂を主成分とするフィルムである。ポリアミド樹脂は、複数のモノマーがアミド結合して形成されたポリマーであり、その代表的なものとしては6−ナイロン、6,6−ナイロン、6,10−ナイロン、11−ナイロン、12−ナイロン、ポリ(メタキシレンアジパミド)等が例示できる。また、例えば6−ナイロン/6,6−ナイロン、6−ナイロン/6,10−ナイロン、6−ナイロン/11−ナイロン、6−ナイロン/12−ナイロン等の2元以上の共重合体も使用することができる。また、これらの混合物も使用することが可能である。上記の中でも、特に冷間成型性、強度、コスト等の観点から、a)6−ナイロンのホモポリマー、b)6−ナイロンを含むコポリマー又はc)これらの混合物が好ましい。
ポリアミド樹脂の数平均分子量は、特に限定されず、用いるポリアミド樹脂の種類等に応じて変更できるが、通常10000〜40000程度、特に15000〜25000とすることが望ましい。このような範囲内のポリアミド樹脂を用いることにより、比較的低温下でも延伸しやすくなる結果、比較的高い温度下で延伸する場合に生じ得る結晶化及びそれによる冷間成型性の低下等をより確実に回避することができる。
本発明フィルム中におけるポリアミド樹脂の含有量は、通常90質量%以上であることが好ましく、中でも95質量%以上であることがより好ましく、さらには98〜99質量%であることが最も好ましい。
(A−2)有機滑剤及び無機滑剤(両者を総称して「滑剤」ともいう。)
本発明フィルム中には有機滑剤及び無機滑剤の少なくとも1種(特に有機滑剤及び無機滑剤の両者)を含有することが好ましい。これらの滑剤をフィルム中に含有させることによって、より効果的に滑り性を高めることが可能となる。特に、動摩擦係数及び算術平均高さを最適範囲に制御することが可能となる。また、本発明において、フィルムの滑り性をより向上させるには、ポリアミド系フィルム中に有機滑剤及び無機滑剤の両者を含有させることが好ましい。両者を併用する場合もそれぞれの含有量は、下記に示す各含有量の範囲とすることが好ましい。
滑剤を本発明フィルム中に含有させる方法としては、特に限定的ではなく、例えば原料とするポリアミド樹脂中に予め含有させる方法、混練時等において押出機に直接添加する方法等を挙げることができ、このうちいずれかの一方の方法を採用しても良く、あるいは2つ以上の方法を併用しても良い。
有機滑剤
有機滑剤としては、特に限定されず、例えば炭化水素系、脂肪酸系、脂肪族ビスアミド系、金属石鹸系等の各種の有機滑剤のほか、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂等の樹脂系の有機滑剤が挙げられる。本発明では、特にポリアミド樹脂成分との溶融混練時に自らも溶融し得る有機滑剤(例えば融点150℃以下)が好ましく、このような有機滑剤として脂肪族ビスアミド系滑剤等を好適に用いることができる。
脂肪族ビスアミド系滑剤における当該脂肪酸からなるビスアミドの炭素数は、通常8〜20の範囲内であることが好ましく、特に12〜18であることがより好ましく、さらには16〜18であることが最も好ましい。炭素数が20を超える場合は、高湿度領域に至るまで滑り性改良効果は十分であるものの、易接着層との接着性が低下したり、ラミネート時における接着剤との接着性が低下するおそれがある。また、炭素数が8未満の場合は、十分な滑り性が得られないことがある。
このような炭素数を有する脂肪族ビスアミドを構成し得るカルボン酸としては、例えばステアリン酸、ベヘン酸等の飽和脂肪酸のほか、オレイン酸、エルカ酸等の不飽和脂肪酸が挙げられる。
これらのカルボン酸による脂肪族アミドとしては、公知のもの又は市販品を用いることができる。例えば、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、エルカ酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスベヘン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド等のエチレンビスアミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミドヘキサメチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンビスエルカ酸アミド等のヘキサメチレンビスアミド等を挙げることができる。この中でも、特にポリアミド系樹脂との相溶性に優れるという点で、エチレンビスステアリン酸アミド及びエチレンビスベヘン酸アミドの少なくとも1種を含む滑剤が好ましい。
有機滑剤は、常温常圧下では粉末状のものを使用することができるが、本発明では溶融混練時に有機滑剤は溶解させるので、その粒径は特に限定されない。
ポリアミド系フィルム中の有機滑剤の含有量は、通常は0.02〜0.25質量%であることが好ましく、中でも0.03〜0.15質量%であることがより好ましい。有機滑剤の含有量が0.02質量%未満の場合は、滑り性を向上させる効果が十分に得られないおそれがある。一方、有機滑剤の含有量が0.25質量%を超える場合は、過剰な有機滑剤がフィルム表面にブリードアウトすることにより、接着剤及び印刷インキの密着性が低下し、ラミネート時における接着剤との接着力低下又は印刷不良を引き起こし、特に接着力が低下した場合は冷間成型性の低下を招くことがある。本発明では、特に上記の有機滑剤の含有量は、脂肪族ビスアミド系滑剤の少なくとも1種の合計含有量とすることが望ましい。
無機滑剤
本発明における無機滑剤としては、例えば二酸化ケイ素、クレー、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、アルミナ、酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カルシウム、アルミノ珪酸マグネシウム、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、ゼオライト、カオリナイト、ハイドロタルサイト、酸化物系ガラス等が挙げられる。この中でも、特に二酸化ケイ素が好ましい。
無機滑剤は、通常は粉末の形態であるが、その平均粒子径は一般的に0.5〜4.0μmのものが好ましい。平均粒子径が0.5μm未満の場合はフィルム表面を粗くする効果が小さく、滑り性改良の効果が十分に得られない。一方、平均粒子径が4.0μmを超える場合は、透明性が悪化するおそれがある。
無機滑剤の粒子形状は特に限定されず、例えば球状、フレーク状、不定形状、バルーン状(中空状)等のいずれであっても良い。従って、本発明では、例えばガラスビーズ、ガラスバルーン等も使用することができる。
なお、無機滑剤は、互い平均粒子径が同じ無機滑剤を用いても良いし、平均粒子径の互いに異なる2種以上の無機滑剤を用いても良い。
本発明のポリアミド系フィルム中の無機滑剤の含有量は、通常0.05〜5質量%であることが好ましく、0.1〜4質量%であることがより好ましく、特に0.1〜2質量%であることがより好ましい。従って、例えば0.05〜0.25質量%とすることができる。また例えば0.09〜0.20質量%とすることもできる。無機滑剤の含有量が0.05質量%未満の場合は、無機滑剤を添加することによる滑り性の向上効果が十分に得られなくなるおそれがある。一方、無機滑剤の含有量が5質量%を超える場合は、フィルム表面が粗れすぎる傾向になるため、後述する算術平均高さが大きくなりすぎ、インキ密着性が低下したり、フィルムの透明性が失われるため、印刷加工による意匠性付与が困難となることがある。また、フィルム製造時に巻ズレが生じやすいものとなるおそれもある。本発明では、上記の無機滑剤の含有量は、二酸化ケイ素、クレー、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイロ、アルミナ、酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カルシウム、アルミノ珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、ゼオライト、カオリナイト及びハイドロタルサイトの少なくとも1種の合計含有量とすることが望ましい。
有機滑剤と無機滑剤との比率
有機滑剤と無機滑剤との比率は、特に制限されず、用いる滑剤の種類等に応じて適宜設定することができるが、通常は重量比で有機滑剤:無機滑剤=1:0.1〜1:70程度、好ましくは1:0.2〜1:35とすれば良く、より好ましく1:0.2〜1:5とすれば良い。従って、例えば有機滑剤:無機滑剤=1:0.1〜1:10程度の範囲にすることもできる。このような範囲内に設定することによって、滑り性をより効果的に付与することができる。
(A−3)その他の成分
本発明フィルムでは、本発明の効果を妨げない範囲内で、ポリアミド樹脂及び滑剤以外の成分が含まれていても良い。例えば、ポリオレフィン類、ポリアミドエラストマー類、ポリエステルエラストマー類等の耐屈曲ピンホール性改良剤のほか、顔料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防腐剤、帯電防止剤、無機微粒子等の各種の添加剤を1種あるいは2種以上を添加しても良い。
また、各種添加剤を添加する方法としては、原料とするポリアミド樹脂中に含有させて添加する方法、押出機に直接添加する方法等を挙げることができ、このうちいずれかの一方の方法を採用しても良く、2つ以上の方法を併用しても良い。
(B)本発明フィルムの物性
本発明フィルムは、好ましくは分子配向が二軸配向したものである。このようなフィルムは、基本的には二軸延伸によって得ることができる。特に、ロール及びテンターを用いて二軸延伸されたフィルムが好適である。そして、このような本発明フィルムは、次に示すような物性となるように制御されている。
(B−1)応力特性
本発明フィルムは、二次加工時における伸長時の応力バランスが非常に優れていることを示す指標として、前記A値及びB値を同時に満足することを必須とする。前記A値及びB値が上記範囲を超えるものとなると、ポリアミド系フィルムの全方向での応力バランスが悪く、均一な成型性を得ることが困難となる。均一な成型性が得られない場合、例えば本発明フィルムと金属箔とを積層した積層体を冷間成型する場合において、金属箔に十分な延展性が付与されない(すなわち、ポリアミド系フィルムが金属箔に追従しにくくなる)ため、金属箔の破断が発生したり、あるいはデラミネーション、ピンホール等の不具合が発生しやすくなる。
前記A値は、通常は35MPa以下であるが、特に30MPa以下、さらには25MPa以下であることが好ましく、20MPa以下であることが最も好ましい。なお、前記A値の下限値は限定的ではないが、通常は15MPa程度である。
前記B値は、通常は40MPa以下であるが、特に38MPa以下、さらには34MPa以下であることが好ましく、30MPa以下であることが最も好ましい。なお、前記B値の下限値は限定的ではないが、通常は20MPa程度である。
また、5%伸長時における前記4方向の応力は、特に限定されないが、積層体の冷間成型性という点において、いずれも35〜130MPaの範囲内であることが好ましく、40〜90MPaの範囲内であることがより好ましく、中でも45〜75MPaの範囲内であることが最も好ましい。
15%伸長時における前記4方向の応力は、特に限定されないが、積層体の冷間成型性という点において、いずれも55〜145MPaの範囲内であることが好ましく、60〜130MPaの範囲内であることがより好ましく、中でも65〜115MPaの範囲内であることが最も好ましい。
本発明フィルムにおいて、5%及び15%伸長時における前記4方向の応力が上記範囲を満たさない場合には、十分な冷間成型性が得られないことがある。
本発明フィルムにおける前記4方向の応力は、次のように測定する。まず、ポリアミド系フィルムを23℃×50%RHで2時間調湿した後、図5に示すように、フィルム上の任意の点Aを中心点とし、フィルムの基準方向(0度方向)を任意で特定し、その基準方向(a)から時計回りに45度方向(b)、90度方向(c)及び135度方向(d)の各方向を測定方向とし、中心点Aから各測定方向に100mm、かつ、測定方向に対して垂直方向に15mmの短冊状に裁断したものを試料とする。例えば、図5に示すように、0度方向では中心点Aから30mm〜130mmの範囲で試料41(縦100mm×横15mm)のように切り取る。他の方向についても同様に試料を切り取る。これらの試料について、50N測定用のロードセルとサンプルチャックとを取り付けた引張試験機(島津製作所社製AG−1S)を用い、引張速度100mm/minにて、5%及び15%伸長時の応力をそれぞれ測定する。なお、上記の基準方向は、フィルム製造時の延伸工程におけるMDが判明しているときには、MDを基準方向とすることができる。
上記のような特性値を満足する本発明のポリアミド系フィルムは、縦方向及び横方向の少なくとも一方向がテンターにより延伸する工程を含む二軸延伸方法より得られるものであることが好ましい。
一般に、二軸延伸方法としては、縦方向と横方向の延伸工程を同時に実施する同時二軸延伸方法と、縦方向の延伸工程を実施した後、横方向の延伸工程を実施する逐次二軸延伸方法がある。なお、前記の説明では、縦方向が先の工程として例示されているが、本発明では縦方向及び横方向のいずれが先であっても良い。
本発明フィルムは、延伸条件設定の自由度等の見地より、逐次二軸延伸方法により得られるものであることが好ましい。従って、本発明フィルムは、縦方向及び横方向の少なくとも一方向がテンターにより延伸される工程を含む逐次二軸延伸によって得られるものであることが好ましい。特に、本発明フィルムは、後記に示す本発明の製造方法によって製造されることが望ましい。
(B−2)動摩擦係数(滑り性)
本発明フィルムは、冷間成型時の成形性(滑り性)に優れていることを示す指標として、動摩擦係数を0.60以下とし、特に0.50以下とすることが好ましい。従って、例えば0.48以下に設定することもできる。動摩擦係数を0.60以下に制御することにより、冷間成型を高湿度(例えば90%以上の湿度)の環境下で行う際においても、滑り性が良好となり、例えばシワ、デラミネーション、ピンホール等を効果的に抑制又は防止することができる。動摩擦係数が0.60を超える場合は、冷間成型時の滑り性が不十分となり、特に高湿度の環境下で冷間成型を行うと、シワが生じたり、デラミネーションを引き起こす。しかも、積層体全体を均一に成型がすることが難しくなり、ピンホール等も発生しやすくなる。動摩擦係数の下限値は特に制限されないが、通常は0.05程度とすれば良い。なお、本発明フィルムにおける動摩擦係数は、本発明フィルムの少なくとも一方の表面において、下記方法で測定した値が上記範囲を満足すれば良い。
本発明における動摩擦係数の測定は、JIS K7125に従って行った。より具体的には、ポリアミド系フィルムのサンプルを23℃×50%RHで2時間調湿した後、同温湿度条件下で測定を実施した。動摩擦係数の算出においては、前記(B−1)応力特性の測定の際に特定した4方向のそれぞれについて各2点ずつサンプルを採取し、計8点測定し、その平均値とする。
(B−3)算術平均高さ(表面粗さ)
本発明フィルムは、冷間成型時の成形性(滑り性)に優れていることを示す一つの指標として、算術平均高さSa(以下において単に「Sa」と表記する。)が0.01〜0.30程度であれば良く、0.01〜0.25であることが好ましく、特に0.02〜0.25であることがより好ましく、さらには0.03〜0.25であることが最も好ましい。従って、例えば0.01〜0.15の範囲に設定することもできる。Saが0.01未満である場合は、冷間成型時に十分な滑り性が得られないため、冷間成型時に金型が押し込まれる際に、シワ、デラミネーション等が生じるおそれがある。一方、Saが0.30を超える場合は、滑り性が良好となるものの、フィルムの強度が低下することがある。
本発明におけるSa測定は、TayLorHobson社製 超精密非接触三次元表面性情測定機「タリサーフCCI6000」を用いて行った。より具体的には、ポリアミド系フィルムのサンプルを20℃×65%RHで2時間調湿した後、同温湿度条件下で測定を実施した。本発明フィルムを最外層として含む積層体の場合は、その最外層となる面を測定面とした。サンプルは、100mm×100mmサイズに切り出したものとし、ランダムに10点測定を行い(n=10)、その平均値とする。
(B−4)平均厚み及び厚み精度
本発明フィルムは、厚み精度(厚みの均一性)が非常に高いものであることを示す指標として、後記に示す8方向の平均厚みに対する標準偏差が通常0.200μm以下であり、特に0.180μm以下であることが好ましく、さらには0.160μm以下であることがより好ましい。上記の厚み精度を示す標準偏差が0.200μm以下である場合、フィルム表面の厚みのバラツキが非常に小さいものとなり、例えばフィルムの厚みが約15μm以下の場合であっても、金属箔と貼り合わせた積層体とし、深絞り冷間成型を行った際にデラミネーション、ピンホール等の不具合が発生せず、良好な成型性を得ることができる。標準偏差が0.200μmを超える場合、厚み精度が低いため、特にフィルムの厚みが小さい場合、金属箔と貼り合わせた際に、金属箔に十分な延展性を付与することができず、デラミネーション又はピンホールの発生が顕著となり、良好な成型性が得られないことがある。
上記厚み精度の評価方法は、次のようにして行う。ポリアミド系フィルムを23℃×50%RHで2時間調湿した後、図6に示すように、フィルム上の任意の点Aを中心点とし、基準方向(0度方向)を特定した後、中心点Aから基準方向(a)、基準方向に対して時計回りに45度方向(b)、90度方向(c)、135度方向(d)、180度方向(e)、225度方向(f)、270度方向(g)及び315度方向(h)の8方向へそれぞれ100mmの直線L1〜L8の合計8本引く。それぞれの直線上において、中心点から10mm間隔で厚みを、長さゲージ 「HEIDENHAIN−METRO MT1287」(ハイデンハイン社製)により測定する(10点測定する)。図6では、一例として、45度方向のL2を測定する場合の測定点(10点)をとった状態を示す。そして、全部の直線において測定して得られたデータ合計80点の測定値の平均値を算出し、これを平均厚みとし、平均厚みに対する標準偏差を算出するものである。なお、上記の基準方向は、フィルム製造時の延伸工程におけるMDが判明しているときには、MDを基準方向とする。
本発明において、平均厚み及び標準偏差の測定では、ポリアミド系フィルムのいずれかの一箇所の点(点A)を基準とすれば良いが、特に得られたフィルムロールに巻き取られたポリアミド系フィルムにおいて、下記の3点のいずれにおいても上記範囲内の平均厚み及び標準偏差であることがより望ましい。この3点としては、a)巻幅の中心付近であって、かつ、巻量の半分にあたる位置、b)巻幅の右端付近であって、かつ、巻量の半分にあたる位置、及びc)巻幅の左端付近であって、かつ、巻終わり付近の位置である。
また、本発明フィルムの平均厚みは、一般的には30μm以下の範囲内で設定すれば良いが、特に25μm以下の範囲内で設定することが好ましい。より具体的には、16μm以下とすることが好ましく、特に15.2μm以下とすることがより好ましく、さらには12.2μm以下とすることが最も好ましい。
本発明フィルムは、金属箔と貼り合せる積層体とすることが好適であり、冷間成型用途に用いることが好適なものであるが、後述するようなテンターを用いる二軸延伸を特定の条件を満足する延伸条件で行うことにより、厚みの小さいフィルムであっても、厚み精度(厚みの均一性)に優れ、かつ、前記4方向における伸長時の応力バランスに優れた二軸延伸フィルムを得ることができる。
フィルムの平均厚みが30μmを超える場合は、ポリアミド系フィルム自身の成型性が低下し、小型の電池外装材に用いることが困難な場合があり、またコスト面でも不利となるおそれがある。一方、フィルムの厚みの下限は特に限定するものではないが、平均厚みが2μm未満では、金属箔と貼り合わせた際における金属箔への延展性付与が不十分となりやすく、成型性に劣るものとなるおそれがあるため、通常は2μm程度とすれば良い。
本発明のポリアミド系フィルムは、金属箔と貼り合わせた積層体とし、冷間成型用途に用いることが好適なものであるが、上記特性を満足する本発明のポリアミド系フィルムを用いると、金属箔に十分な延展性を付与することができる。この効果により、冷間成型時(この中でも絞り成型(特に深絞り成型)時)等における成型性が向上し、金属箔の破断を防止することができ、デラミネーション、ピンホール等の不具合の発生も抑制ないしは防止することができる。
ポリアミド系フィルムの厚みは、小さくなるほど金属箔に十分な延展性を付与することが困難となる。特に、20μm以下の極めて薄いフィルムでは、伸長時の応力にバラツキがあったり、厚み精度が低いので、冷間成型時の押し込み力によってポリアミド系フィルム又は金属箔の破断が顕著となる。つまり、薄いフィルムほど伸長時の応力のバラツキが大きくなり、厚みのバラツキも大きくなる傾向にあることから、より高度な制御が要求される。
この場合において、ポリアミド系フィルムを製造する一般的な方法であるチューブラー法あるいはテンター法を用いる従来の製造方法では、15μm以下の厚みであって、なおかつ、伸長時の応力のバラツキが小さく、厚み精度が高いものを製造することは困難である。このことは、例えば特許文献1〜10のいずれにおいても、具体的な実施例として記載されているポリアミド系フィルムは、最少で15μmの厚みのものしか開示されていないことからも明らかである。
これに対し、本発明では、後記に示すような特定の製造方法を採用することにより、特に厚みが約15μm以下(特に約12μm以下)のものであっても、上記4方向における伸長時の応力バランスに優れ、かつ、厚みの均一性が高いポリアミド系フィルムを提供することに成功したものである。このような特殊なポリアミド系フィルムが提供できる結果、金属箔と積層した積層体を例えば電池(例えばリチウムイオン電池)の外装体等に用いる場合には例えば電極数、電解液等の容量を増やせるほか、電池自体の小型化、低コスト化等にも寄与することができる。
(B−5)ヘーズ(透明性)
本発明フィルムは、ヘーズが60%以下であることが好ましく、透明性が要求される用途においては40%以下がより好ましく、特に25%以下がさらに好ましく、さらには10%以下であることが最も好ましい。従って、例えば8%以下に設定することもできる。また例えば6%以下に設定することも可能である。ヘーズが60%を超える場合は、フィルムの透明性が失われるため、印刷加工による意匠性付与が困難となるおそれがある。なお、ヘーズの下限値は特に制限されないが、通常は1.0%程度である。
本発明におけるヘーズの測定は、日本電色工業(株)製ヘーズメーター「NDH4000」を用いて実施した。より具体的には、ポリアミド系フィルムのサンプルを23℃×50%RHで2時間調湿した後、同温湿度条件下で測定を実施した。本発明フィルムを最外層として含む積層体の場合は、その最外層となる面を測定面とした。測定したサンプル数はn=10であり、その平均値とした。
(C)本発明フィルムを含む積層体
本発明フィルムは、公知又は市販のポリアミド系フィルムと同様にして各種の用途に用いることができる。この場合、本発明フィルムをそのままの状態又は表面処理した状態で使用できるほか、他の層を積層してなる積層体の形態で使用することもできる。
積層体の形態をとる場合、その代表例として本発明フィルム及びそのフィルム上に積層された金属箔を含む積層体(本発明の積層体)が挙げられる。この場合、本発明フィルムと金属箔とは直接に接するように積層されていても良いし、他の層を介在させた状態で積層されていても良い。特に、本発明では、本発明フィルム/金属箔/シーラントフィルムの順に積層した積層体であることが好ましい。この場合、各層間には接着剤層を介在させても良いし、介在させなくても良い。
例えば、図7に示すように、ポリアミド系フィルム51/接着剤層52/金属箔53の順に積層してなる3層構造を有する積層体60が挙げられる。また例えば、図8に示すように、ポリアミド系フィルム51/接着剤層52a/金属箔53/接着剤層52b/シーラントフィルム54の順に積層してなる5層構造を有する積層体70が挙げられる。これらのいずれの場合も、後述するように、必要に応じて各層間に各種のコート層等を適宜介在させても良い。また、接着剤層等を2層以上採用する場合、組成、厚み等は互いに同じでも良いし、互いに異なっていても良い。
本発明フィルムは、そのまま使用することができるが、金属箔を積層するに先立って、必要に応じて本発明フィルムに予めコート層(特に湿式コート層)を形成することができる。コート層としては、a)易接着コート層(プライマー層又はアンカーコート(AC層))及びb)易滑性コート層の少なくとも1種を好適に採用することができる。また、これらのコート層は、特にインラインコートにより形成されることが好ましい。本発明フィルムにコート層が形成されてなるコートフィルムの物性においても、前記「(B)本発明フィルムの物性」で示した物性の範囲内にあることが望ましい。各コート層の詳細については、後記<コート層の実施形態>で説明する。
金属箔としては、各種の金属元素(アルミニウム、鉄、銅、ニッケル等)を含む金属箔(合金箔を含む。)が挙げられるが、特に純アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔が好適に用いられる。アルミニウム合金箔については、鉄を含有していること(アルミニウム−鉄系合金等)が好ましく、他の成分については前記積層体の成型性を損なわない範囲で、JIS等に規定されている公知の含有量の範囲であればいずれの成分を含んでいても良い。
金属箔の厚みは、特に限定されないが、成型性等の観点より15〜80μmとすることが好ましく、特に20〜60μmとすることがより好ましい。
本発明の積層体を構成し得るシーラントフィルムとしては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、オレフィン系共重合体、ポリ塩化ビニル等のヒートシール性を有する熱可塑性樹脂を採用することが好ましい。シーラントフィルムの厚みは、限定的ではないが、通常20〜80μmであることが好ましく、特に30〜60μmであることがより好ましい。
また、本発明の積層体は、積層体を構成する本発明フィルムの外装側(金属箔と貼り合わせる面とは異なる面)に、使用目的等に応じて他の層が1層以上積層されていても良い。他の層としては、特に制限されないが、例えばポリエステルフィルムが好ましい。ポリエステルフィルムを積層することにより、耐熱性、耐電圧、耐薬品性等が高められるほか、剥離強力も高めることができる。
ポリエステルとしては、特に限定されず、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレン−2,6−ナフタレート等が好ましい。これらの中でも、コストと効果の観点からPETを用いることが好ましい。
本発明の積層体は、各層の層間に接着剤層を介在させることができる。例えば、ポリアミド系フィルム/金属箔の間、金属箔/シーラントフィルムの層間等にはウレタン系接着剤層、アクリル系接着剤層等の接着剤層を用いて各層が積層されることが望ましい。
この場合、本発明のポリアミド系フィルムがフィルム表面の少なくとも片面に易接着コート層を有する場合、易接着コート層面上に金属箔が積層されることが好ましい。より具体的には、易接着コート層面上にウレタン系接着剤層、アクリル系接着剤層等の接着剤層を介して金属箔が積層されていることが好ましい。
本発明の積層体は、特に本発明フィルムを含むものであることから、冷間成型である絞り成型(特に深絞り成型又は張り出し成型)に好適に用いることができる。ここに、絞り成型は、基本的には1枚の積層体から円筒、角筒、円錐等の形状を有する底付き容器を成型する方法である。このような容器は、一般に継ぎ目がないという特徴を有する。
(D)本発明の積層体を含む容器
本発明は、本発明の積層体を含む容器も包含する。例えば、本発明の積層体を用いて成型された容器も、本発明に包含される。この中でも冷間成型することにより得られる容器であることが好ましい。特に、冷間成型として絞り成型(絞り加工)又は張り出し成型(張り出し加工)により製造される容器であることが好ましく、特に絞り成型により製造される容器が好ましい。
すなわち、本発明に係る容器は、本発明の積層体から容器を製造する方法であって、前記積層体を冷間成型する工程を含むことを特徴とする容器の製造方法により好適に製造することができる。従って、例えば本発明の積層体から継ぎ目のない容器等を製造することができる。
この場合の冷間成型方法自体は、限定的でなく、公知の方法に従って実施することができる。例えば、積層体に含まれる樹脂を溶融させることなく、固体のままで成型する方法を採用すれば良い。かかる条件を満たす限り、成型温度(積層体の温度)は、用いる樹脂の物性(例えばガラス転移点等)に応じて適宜設定することができる。一般的には、成型温度は50℃以下とすることが好ましく、さらに45℃以下とすることがより好ましい。従って、例えば成型温度を常温(20〜30℃程度)としたうえで冷間成型を実施することもできる。また例えば樹脂のガラス転移点以下の温度で冷間成型を実施することができる。
より具体的な成型方法(加工方法)としては、例えば円筒絞り加工、角筒絞り加工、異形絞り加工、円錐絞り加工、角錐絞り加工、球頭絞り加工等の絞り加工を好ましく採用することができる。また、絞り加工としては、浅絞り加工と深絞り加工に分類されるが、本発明の積層体は、特に深絞り加工にも適用することができる。
これらの絞り加工は、通常の金型を用いて実施することができる。例えば、パンチ、ダイス及びブランクホルダーを含むプレス機械を用い、a)前記ダイスとブランクホルダー間に本発明の積層体を配置する工程及びb)前記パンチを前記積層体に押し込むことにより容器状に変形させる工程を含む方法により絞り加工を実施することができる。
このようにして得られる容器は、金属箔の破断、デラミネーション、ピンホール等の不具合が効果的に抑制されているので、高い信頼性を得ることができる。このため、本発明に係る容器は、各種の工業製品の包装材料をはじめとして、様々な用途に使用できる。特に、深絞り成型による成型体はリチウムイオン電池の外装体、張り出し成型による成型体はプレススルーパック等に好適に用いられる。
<コート層の実施形態>
本発明のポリアミド系フィルムに金属箔を積層するに先立って予め形成できるコート層(特に塗工液の塗布により形成される層)として、易接着性コート層及び/又は易滑性コート層を好適に用いることができる。これらのコート層としては、以下のような実施形態をとることが好ましい。
易接着性コート層
本発明フィルム表面の少なくとも片面の全面又は一部に易接着コート層(プライマー層又はアンカーコート(AC層))を有することが好ましい。このような易接着コート層を形成する場合には、易接着コート層を有するフィルム表面に接着剤を塗布して金属箔を貼り合わせると、ポリアミド系フィルムと金属箔との接着性をより高めることができる。これにより、金属箔により十分な延展性を付与することができる。このため、ポリアミド系フィルム又は金属箔が破断しにくくなることに加えて、デラミネーション又はピンホールの発生をより効果的に防止することができる。
易接着コート層の厚みは限定的ではないが、通常は0.01〜0.10μmであることが好ましく、特に0.02〜0.09μmであることがより好ましい。易接着コート層の厚みが0.01μm未満であると、フィルム上に均一な膜厚の易接着コート層を形成することが困難となる。その結果、上記したようなポリアミド系フィルムと金属箔の接着性の向上効果が乏しいものとなる。一方、易接着コート層の厚みが0.10μmを超えると、ポリアミド系フィルムと金属箔の接着性が良好となる効果は飽和し、コスト的に不利になる。
易接着コート層は、例えばポリウレタン樹脂、アクリル樹脂等の各種の合成樹脂を含む層を採用することができる。特に、ポリウレタン樹脂を含む易接着コート層が好ましい。このようなポリウレタン樹脂としては、例えばアニオン型水分散性ポリウレタン樹脂を含有することが好ましい。この樹脂を含有する易接着コート層は、例えばポリアミド系フィルムの表面に前記樹脂を含む水性塗剤を塗布することにより好適に形成することができる。
ポリウレタン樹脂は、例えば多官能イソシアネートと水酸基含有化合物との反応により得られるポリマーである。より詳細には、トリレンジイソイアネート、ジフェニルメタンイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、又はヘキサメチレンジイソシアネート、キシレンイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート等の多官能イソシアネートと、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリアクリレートポリオール、ポリカーボネートポリオール等の水酸基含有化合物との反応により得られるウレタン樹脂を例示することができる。
本発明で用いられるアニオン型水分散性ポリウレタン樹脂は、ポリウレタン樹脂中にアニオン性官能基が導入されたものである。ポリウレタン樹脂中にアニオン性官能基を導入する方法としては、例えばa)ポリオール成分としてアニオン性官能基を有するジオール等を用いる方法、b)鎖伸張剤としてアニオン性官能基を有するジオール等を用いる方法等が挙げられる。
アニオン性官能基を有するジオールとしては、例えばグリセリン酸、ジオキシマレイン酸、ジオキシフマル酸、酒石酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロール吉草酸、2,2−ジメチロールペンタン酸、4,4−ジ(ヒドロキシフェニル)吉草酸、4,4−ジ(ヒドロキシフェニル)酪酸等の脂肪族カルボン酸のほか、2,6−ジオキシ安息香酸等の芳香族カルボン酸等が挙げられる。
アニオン型のポリウレタン樹脂を水中に分散させる際には、一般的に揮発性塩基が用いることが好ましい。揮発性塩基は、特に限定的でなく、公知のものを使用することができる。より具体的には、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モルホリン、エタノールアミン等が例示される。この中でも、トリエチルアミンは、水分散性ポリウレタン樹脂の液安定性が良好であり、さらに沸点が比較的低温であることから易接着コート層への残留量が少ないという点でより好ましい。
上記のようなアニオン型水分散性ポリウレタン樹脂としては市販品を用いることもできる。例えば、DIC社製の「ハイドランADS−110」、「ハイドランADS−120」、「ハイドランKU−400SF」、「ハイドランHW−311」、「ハイドランHW−312B」、「ハイドランHW−333」、「ハイドランAP−20」、「ハイドランAP−201」、「ハイドランAPX−101H」、「ハイドランAP−60LM」、第一工業製薬社製の「スーパーフレックス107M」、「スーパーフレックス150」、「スーパーフレックス150HS」、「スーパーフレックス410」、「スーパーフレックス420NS」、「スーパーフレックス460」、「スーパーフレックス460S」、「スーパーフレックス700」、「スーパーフレックス750」、「スーパーフレックス840」、三井化学ポリウレタン社製の「タケラックW−6010」、「タケラックW−6020」、「タケラックW−511」、「タケラックWS−6021」、「タケラックWS−5000」、DSM社製の「NeoRez R9679」、「NeoRez R9637」、「NeoRez R966」、「NeoRez R972」等が挙げられる。
本発明のポリアミド系フィルムにおいて、易接着コート層の耐水性、耐熱性等の向上を目的として、易接着コート層にメラミン樹脂、カルボジイミド等の硬化剤を含有させることが好ましい。硬化剤の含有量は、アニオン型水分散性ポリウレタン樹脂100質量部に対して1〜10質量部とすることが好ましい。
メラミン樹脂の代表的なものとして、トリ(アルコキシメチル)メラミンが挙げられる。そのアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。各種のメラミン樹脂は、それぞれ単独で又は二種類以上を同時に使用することができる。
カルボジイミド化合物は、分子中に少なくとも2つ以上のカルボジイミド基を有しているものであれば特に限定されるものではない。例えば、p−フェニレン−ビス(2,6−キシリルカルボジイミド)、テトラメチレン−ビス(t−ブチルカルボジイミド)、シクロヘキサン−1,4−ビス(メチレン−t−ブチルカルボジイミド)等のカルボジイミド基を有する化合物のほか、カルボジイミド基を有する重合体であるポリカルボジイミドが挙げられる。これらは1種又は2種以上で用いることができる。これらの中でも、取り扱いやすさから、ポリカルボジイミドが好ましい。
カルボジイミド化合物は、公知又は市販のものを使用することができる。また、その製法も特に限定されない。例えば、ポリカルボジイミドの場合、イソシアネート化合物の脱二酸化炭素を伴う縮合反応により好適に製造することができる。イソシアネート化合物も限定されるものではなく、例えば脂肪族イソシアネート、脂環族イソシアネート、芳香族イソシアネート等のいずれであっても良い。また、イソシアネート化合物は、必要に応じて多官能液状ゴムやポリアルキレンジオールなどが共重合されていても良い。特に、ポリカルボジイミドの市販品としては、日清紡ケミカル株式会社製のカルボジライトシリーズを好適に用いることができる。より具体的には、水溶性タイプの製品名「SV−02」、「V−02」、「V−02−L2」、「V−04」(いずれも日清紡ケミカル株式会社製)、有機溶液タイプの製品名「V−01」、「V−03」、「V−07」、「V−09」、無溶剤タイプの「V−05」(いずれも日清紡ケミカル株式会社製)等を好ましく使用することができる。
アニオン型水分散性ポリウレタン樹脂を含む水性塗剤におけるアニオン型水分散性ポリウレタン樹脂の固形分濃度は、塗工装置、乾燥・加熱装置等の仕様によって適宜変更され得るものであるが、希薄すぎる溶液では、乾燥工程において長時間を要するという問題を生じやすい。他方、固形分濃度が高すぎると、均一な塗剤を得にくく、このため塗工性に問題を生じ易い。このような観点から、水性塗剤におけるアニオン型水分散性ポリウレタン樹脂の固形分濃度は3〜30質量%の範囲であることが好ましい。
水性塗剤には、主成分であるアニオン型水分散性ポリウレタン樹脂のほかに、上記各成分を含有させることができる。さらには、水性塗剤をフィルムに塗布する際の塗工性を向上させるために、例えば消泡剤、界面活性剤等の添加剤を添加しても良い。さらには、水性塗剤には、必要に応じて、接着性に影響を与えない範囲で帯電防止剤、スリップ剤等の各種の添加剤も加えることができる。
界面活性剤を添加することにより、特に基材フィルムへの水性塗剤の濡れを促進することができる。界面活性剤は、特に限定されないが、例えばポリエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン−脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸金属石鹸、アルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩等のアニオン型界面活性剤のほか、アセチレングリコール等のノニオン型界面活性剤を挙げることができる。界面活性剤は、水性塗剤中に0.01〜1質量%含まれていることが好ましい。また、ポリアミド系フィルムの製造工程における熱処理で揮発するものであることが好ましい。
水性塗剤で使用される溶媒としては、水のほか、各種の有機溶剤を適宜用いることができる。従って、例えば、上記樹脂を溶媒(水等)に分散させた水系分散液、上記樹脂を溶媒に溶解させた溶液(例えば水溶液)等を好適に用いることができる。
易滑性コート層
本発明フィルムにおいて金属箔が積層されない面には、必要に応じて易滑性コート層を形成することもできる。これにより、特に本発明フィルムの滑り性(動摩擦係数)をさらに向上させることができる。すなわち、金属箔が積層されない面上に易滑性コート層を形成し、なおかつ、その易滑性コート層を最外層として配置することにより、本発明のポリアミド系フィルムと同等の高い滑り性を備えたコートフィルムを提供することができる。
易滑性コート層の厚みは限定的ではないが、通常は0.01〜0.10μmであることが好ましく、特に0.02〜0.09μmであることがより好ましい。易滑性コート層の厚みが0.01μm未満であると、フィルム上に均一な膜厚の層を形成することが困難となる。その結果、本発明のポリアミド系フィルムの摩擦係数が高くなり、滑り性に劣るものとなる。一方、コート層の厚みが0.10μmを超えると、成型時のすべり性が良好となる効果は飽和し、コスト的に不利になる。
本発明フィルムが易滑性コート層を有している場合であっても、本発明フィルムと同様、易滑性コート層の表面の動摩擦係数が0.60以下であることが好ましい。
易滑性コート層は、例えばポリウレタン樹脂、アクリル樹脂等の各種の合成樹脂を含む層を採用することができる。特に、ガラス転移温度が20℃以上のポリウレタン樹脂を含むコート層が好ましい。このようなポリウレタン樹脂としては、例えばアニオン型水分散性ポリウレタン樹脂を含有することが好ましい。この樹脂を含有する易滑性コート層は、例えばポリアミド系フィルムの表面に前記樹脂を含む水性塗剤を塗布することにより好適に形成することができる。
このようなアニオン型水分散性ポリウレタン樹脂としては市販品を用いることもできる。例えば、DIC社製の「AP−40F」、第一工業製薬社製の「スーパーフレックス150HS」、三井化学ポリウレタン「タケラックWS−4022」、「タケラックWS−5030」、「タケラックWS−6010」等が挙げられる。
本発明のポリアミド系フィルムにおいて、易滑性コート層の耐水性、耐熱性等の向上を目的として、コート層にメラミン樹脂、カルボジイミド等の硬化剤を含有させることが好ましい。硬化剤の含有量は、アニオン型水分散性ポリウレタン樹脂100質量部に対して1〜10質量部とすることが好ましい。これらメラミン樹脂、カルボジイミド化合物等としては、具体的には易接着コート層で記載したものと同様のものを用いることが好ましい。
本発明では、例えば、アニオン型水分散性ポリウレタン樹脂を含む水性塗剤を塗布することにより易滑性コート層を好適に形成することができる。水性塗剤におけるアニオン型水分散性ポリウレタン樹脂の固形分濃度は、易接着コート層と同様に3〜30質量%の範囲であることが好ましい。
易滑性コート層中には、易滑性コート層の滑り性を向上させるために、必要に応じて無機滑剤及び有機滑剤の少なくとも1種を含有させても良い。無機滑剤及び/又は有機滑剤としては、前記した本発明のポリアミド系フィルム中に含有されるものと同様のものを用いることができる。無機滑剤又は有機滑剤は、易滑性コート層中に0.1〜30.0質量%程度含まれていることが好ましい。
また、易滑性コート層中に無機滑剤及び/又は有機滑剤を含有させる場合には、水性塗剤中にこれらの滑剤を添加することが好ましい。水性塗剤中には、フィルムに塗布する際の塗工性を向上させるために、例えば消泡剤、界面活性剤等の添加剤を添加しても良い。
界面活性剤を添加することにより、特に基材フィルムへの水性塗剤の濡れを促進することができる。界面活性剤は、特に限定されないが、具体的には易接着コート層で記載したものと同様のものを使用することができる。また、その添加量も、易接着コート層の場合と同程度の量で用いることが好ましい。
2.本発明フィルムの製造方法
本発明の製造方法は、二軸配向したポリアミド系フィルムを製造する方法であって、
(1)ポリアミド樹脂と、有機滑剤及び無機滑剤の少なくとも1種とを含む溶融混練物をシート状に成形することにより未延伸シートを得るシート成形工程、
(2)前記未延伸シートをMD及びTDに逐次又は同時に二軸延伸することによって延伸フィルムを得る延伸工程 を含み、かつ、
(3)下記式a)及びb);
a)0.85≦X/Y≦0.95
b)8.5≦X×Y≦9.5
(但し、Xは前記MDの延伸倍率を示し、Yは前記TDの延伸倍率を示す。)の両方を満たす、
ことを特徴とする。
シート成形工程
シート成形工程では、ポリアミド樹脂と、有機滑剤及び無機滑剤の少なくとも1種とを含む溶融混練物をシート状に成形することにより未延伸シートを得る。
ポリアミド樹脂ならびに有機滑剤及び無機滑剤としては、前記で述べたような各種の材料を用いることができる。また、各種の添加剤も溶融混練物中に含有させることができる。本発明の製造方法では、動摩擦係数等を効果的に制御できるという見地より、特に有機滑剤及び無機滑剤の両者を含むことが望ましい。
溶融混練物の調製自体は、公知の方法に従って実施すれば良い。例えば、加熱装置を備えた押出機にポリアミド樹脂、有機滑剤及び無機滑剤の少なくとも1種を含む原料を投入し、所定温度に加熱することによって溶融させた後、その溶融混練物をTダイにより押し出し、キャスティングドラム等により冷却固化させることによってシート状の成形体である未延伸シートを得ることができる。
ポリアミド樹脂、有機滑剤、無機滑剤等の添加順序は特に制限されない。そして、未延伸シートの平均厚みは特に限定されないが、一般的には15〜250μm程度とし、特に50〜235μmとすることが好ましい。このような範囲内に設定することによって、より効率的に延伸工程を実施することができる。
延伸工程
延伸工程では、前記未延伸シートをMD及びTDに逐次又は同時に二軸延伸することによって延伸フィルムを得る。
前記のとおり、MD及びTDの少なくとも一方向がテンターにより延伸される工程を含む逐次二軸延伸により得られるものであることが好ましい。これにより、より均一なフィルム厚みを得ることが可能となる。
テンター自体は、従来よりフィルムの延伸のために使用されている装置であり、未延伸シートの両端を把持しながら縦方向及び/又は横方向に拡幅させる装置である。テンターを用いる場合においても、同時二軸延伸及び逐次二軸延伸の2つの方法がある。テンターを用いる同時二軸延伸は、未延伸フィルムの両端を把持しながらMDへ延伸すると同時にTDへも延伸することにより、MD及びTDの二軸延伸をテンターにより同時に行う方法である。一方、テンターを用いる逐次二軸延伸は、1)回転速度が異なる複数のロールに未延伸シートを通過させることによりMDを延伸した後、その延伸されたフィルムをテンターによりTDへ延伸する方法、2)未延伸シートをテンターによりMDを延伸した後、その延伸されたフィルムをテンターによりTDへ延伸する方法等があるが、得られるフィルムの物性、生産性等の点で前記1)の方法が特に好ましい。前記1)の方法については、図2に示すような工程により未延伸フィルムの逐次二軸延伸が行われる。
まず、図2に示すように、未延伸シート13が複数のロール21を通過することによりMD(縦方向)に延伸される。これら複数のロールは回転速度が異なるため、その速度差により未延伸シート13がMDに延伸される。すなわち、未延伸シートを低速ロール群から高速ロール群へ通過させることで延伸するものである。
なお、図2では、ロール数は5個であるが、実際はそれ以外の個数であっても良い。また、ロールは、例えば順に予熱用ロール、延伸用ロール及び冷却用ロールというかたちで互いに機能が異なるロールを設置することもできる。これらの各機能を有するロールの個数も適宜設定することができる。また、延伸用ロールを複数設ける場合、多段階で延伸できるような設定としても良い。例えば、1段目を延伸倍率E1とし、2段目を延伸倍率E2という2段階の延伸によりMDの延伸倍率を(E1×E2)の範囲内で適宜設定することが可能となる。このようにして第1延伸フィルム13’が得られる。
次に、ロール21を通過した第1延伸フィルム13’は、テンター22に導入されることによりTDに延伸される。より具体的には、図3に示すように、テンター22に導入された第1延伸フィルム13’は、入口付近においてその両端をガイドレールに固定されたリンク装置34に接続されたクリップに把持され、流れ方向の順に予熱ゾーン31、延伸ゾーン32及び弛緩熱処理ゾーン33を通過する。予熱ゾーン31で第1延伸フィルム13’は一定の温度に加熱された後、延伸ゾーン32でTDに延伸される。その後、弛緩熱処理ゾーン33において、一定の温度で弛緩処理が行われる。このようにして第2延伸フィルム14(本発明フィルム)が得られる。その後、ガイドレールに固定されたリンク装置34は、テンター22の出口付近で第2延伸フィルム14から外され、テンター22の入口付近に戻される。
このように、テンターを用いる逐次二軸延伸は、MDをロールによって延伸することから生産性、設備面等において有利であり、TDをテンターによって延伸することからフィルム厚みの制御等において有利となる。
本発明の製造方法では、延伸工程において、下記式a)及びb);
a)0.85≦X/Y≦0.95
(好ましくは0.89≦X/Y≦0.93)
b)8.5≦X×Y≦9.5
(好ましくは8.7≦X×Y≦9.1)
(但し、Xは前記MDの延伸倍率を示し、Yは前記TDの延伸倍率を示す。)の両方を満たすことが必須である。
上記a)及びb)の条件のいずれか一方でも満足しない場合は、得られるポリアミド系フィルムは4方向の応力のバランスが悪いものとなり、本発明フィルムを得ることが困難となる。
延伸工程における温度条件は、例えば、前記の同時二軸延伸を行う際には180℃〜220℃の温度範囲で延伸することが好ましい。また例えば、前記の逐次二軸延伸を行う際には、MDの延伸を50〜120℃(特に50〜80℃、さらに50〜70℃、またさらに50〜65℃)の温度範囲で行うことが好ましく、TDの延伸を70〜150℃(特に70〜130℃、さらに70〜120℃、またさらに70〜110℃)の温度範囲で行うことが好ましい。このような温度範囲に制御することによって、より確実に本発明フィルムを製造することが可能となる。これらの温度は、例えば図2に示すロール21(予熱用ロール)、図3に示すテンターの予熱ゾーン31等にて予熱しながら設定・制御することができる。
また、テンターを用いる同時二軸延伸及び逐次二軸延伸ともに、延伸後は弛緩熱処理を行うことが好ましい。弛緩熱処理は、温度180〜230℃の範囲で弛緩率2〜5%とすることが好ましい。これらの温度は、図3に示すテンターの弛緩熱処理ゾーン33にて設定・制御することができる。
延伸時の温度範囲を上記のようなものとするための手段としては、例えば1)フィルム表面に熱風を吹き付ける方法、2)遠赤外線又は近赤外線ヒーターを用いる方法、3)それらを組み合わせる方法等があるが、本発明の加熱方法としては、熱風を吹き付ける方法を含むことが好ましい。
<延伸工程における実施の形態>
本発明における延伸工程としては、MDをロールによって延伸し、TDをテンターによって延伸する逐次二軸延伸工程を好適に採用することができる。この方法を採用し、かつ下記に示す温度条件を満足することにより、厚みの均一性に優れるとともに、前記4方向の伸長時の応力バランスをより優れたものとすることが可能となるため、特に平均厚み16μm以下の本発明フィルムをより確実かつ効率的に得ることができる。
MDの延伸
まず、MDの延伸における温度は、ロールを用いて50〜70℃の温度範囲で延伸することが好ましく、中でも50〜65℃とすることがより好ましい。
MDの延伸は、2段階以上の多段延伸を行うことが好ましい。この場合、延伸倍率を段階的に上げていくことが好ましい。すなわち、n段目の延伸橋率よりも(n+1)段目の延伸倍率の方が高くなるように制御することが好ましい。これによって全体をよりいっそう均一に延伸することができる。例えば、2段階で延伸する場合、1段目を延伸倍率1.1〜1.2とし、2段目を延伸倍率2.3〜2.6という2段階の延伸により縦方向の延伸倍率を2.53〜3.12の範囲内で適宜設定することができる。
さらには、MDの延伸において、温度勾配を設けることが好ましい。特に、フィルムの引き取り方向に沿って、順次温度を上げていくことが好ましく、MDの延伸部全体において、その温度勾配(フィルムの走行方向のはじめ(入口)の温度T1とおわり(出口)の温度T2との温度差)は、通常2℃以上であることが好ましく、3℃以上であることがより好ましい。このとき、フィルムの走行方向のはじめ(入口)とおわり(出口)までのフィルムの走行時間(加熱時間)は、通常1〜5秒間であることが好ましく、特に2〜4秒間であることがより好ましい。
TDの延伸
TDの延伸は、図3に示すような各ゾーンが形成されるテンターにより延伸を行う。このとき、予熱ゾーン31の温度は60〜70℃とすることが好ましい。そして、延伸ゾーン32の温度を70〜130℃の温度範囲とすることが好ましく、特に75〜120℃の温度範囲とすることがより好ましく、さらには80〜110℃の温度範囲とすることが最も好ましい。
また、延伸ゾーン32においてもフィルムの引き取り方向に沿って、順次温度を上げていくことが好ましく、延伸ゾーン全体において、その温度勾配(フィルムの走行方向のはじめ(入口)の温度T1とおわり(出口)の温度T2との温度差)は、通常5℃以上であることが好ましく、8℃以上であることがより好ましい。このとき、延伸ゾーン32におけるフィルムの走行方向のはじめ(入口)とおわり(出口)までのフィルムの走行時間(加熱時間)は、1〜5秒間であることが好ましく、特に2〜4秒間であることがより好ましい。
弛緩熱処理ゾーン33においては、弛緩熱処理を行うことが望ましい。その熱処理温度は180〜230℃の範囲とすることが好ましく、中でも180〜220℃の範囲とすることがより好ましく、さらには180〜210℃とすることが最も好ましい。また、弛緩率は、通常2〜5%程度とすることが好ましい。
また、本発明のポリアミド系フィルム表面の少なくとも片面にコート層(特に易接着コート層及び易滑性コート層の少なくとも1種)を有するコートフィルムを得る際にも、上記と同様の延伸方法及び延伸条件で行うことが好ましい。
特に、ポリアミド系フィルム表面にコート層を形成するためには、上記のような製造方法において、MDに延伸した後のポリアミド系フィルムに水性塗剤を塗布することが好ましい。そして、続いてそのフィルムを、水性塗剤(塗膜)とともに上記と同様の延伸条件でTDに延伸すること(インラインコーティング)が好ましい。水性塗剤の塗布量は、延伸後のフィルム表面に形成されるコート層の厚みが0.01〜0.10μmとなるように調整することが好ましい。
なお、本発明の製造方法では、延伸工程として、厚みの均一性の保持等の観点より、上記以外の延伸方法は採用されないことが望ましい。例えば、チューブラー法(インフレーション法)による延伸工程を含まないことが望ましい。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明の特徴をより具体的に説明する。ただし、本発明の範囲は、実施例に限定されない。
実施例1
(1)ポリアミド系フィルムの製造
まず原料として、表1に示す成分をそれぞれ用いた。
Figure 0006506470
上記の原料を用い、ポリアミド樹脂(ポリアミド6樹脂)/シリカ含有ポリアミド樹脂/有機滑剤含有ポリアミド樹脂=91.5質量部/2.5質量部/6.0質量部の組成比率にて押出機内で溶融混練し、Tダイへ供給してシート状に吐出し、20℃に温度調整した金属ドラムに巻き付け、冷却して巻き取ることにより未延伸シートを製造した。このとき、延伸後に得られるポリアミド系フィルムの厚みが12μmとなるように、ポリアミド樹脂の供給量等を調整した。
次いで、得られた未延伸シートを逐次二軸延伸により延伸工程を実施した。より具体的には、図2に示すような装置を用い、MDについてはロールを用いて延伸した後、TDについてはテンターを用いて延伸する方法により実施した。
まず、MDの延伸は、前記シートを複数個のロールに通過させることにより、MDへ全延伸倍率2.85倍となるように延伸した。このとき、2段階で延伸を行い、1段目の延伸倍率を1.1とし、2段目の延伸倍率を2.59とし、全延伸倍率(MD1×MD2)1.1×2.59=2.85倍とした。加熱条件は、フィルムの引き取り方向に沿って、走行方向のはじめ(T1)が54℃、おわり(T2)が57℃となるように温度勾配を設けて延伸を行った。このとき、フィルムの走行方向のはじめ(入口)とおわり(出口)までのフィルムの走行時間(加熱時間)は約3秒間であった。
次に、TDの延伸は、図3に示すようなテンターを用いて実施した。まず予熱ゾーン31(予熱部)の温度を65℃として予熱を行いながら、延伸ゾーン32においてTDへ3.2倍延伸した。このとき、延伸ゾーン32(延伸部)では、フィルムの引き取り方向に沿って、走行方向のはじめ(T1)が74℃、おわり(T2)が96℃となるように温度勾配を設けた。このとき、延伸ゾーンにおけるフィルムの走行方向のはじめ(入口)とおわり(出口)までのフィルムの走行時間(加熱時間)は約3秒間であった。
延伸ゾーンを通過したフィルムは、弛緩熱処理ゾーン33(熱処理部)において、温度202℃及び弛緩率3%の条件で弛緩熱処理された。このようにして1000m以上連続製造して二軸延伸ポリアミド系フィルム(巻量2000m)を得た。得られたフィルムはロール状に巻き取られた。
(2)積層体の作製
前記(1)で得られた二軸延伸ポリアミド系フィルムに、二液型ポリウレタン系接着剤(東洋モートン株式会社製「TM‐K55/CAT−10L」)を塗布量が5g/mとなるように塗布した後、80℃で10秒間乾燥した。その接着剤塗布面に金属箔(厚み50μmのアルミニウム箔)を貼り合せた。次に、ポリアミド系フィルムとアルミニウム箔の積層体のアルミニウム箔側に上記接着剤を同様の条件で塗布した後、その塗布面にシーラントフィルム(未延伸ポリプロピレンフィルム(三井化学東セロ株式会社製 GHC 厚み50μm))を貼り合わせ、40℃の雰囲気下で72時間エージング処理を施し、積層体(ポリアミド系フィルム/アルミニウム箔/シーラントフィルム)を作製した。
実施例2〜40、比較例1〜20
製造条件と延伸後のポリアミド系フィルムの目標厚みを表2〜4に示したものに変更し、有機滑剤又は無機滑剤の含有量が表8〜10に示したものになるように、原料の組成比率を変更した以外は、実施例1と同様の方法でポリアミド系フィルムを得た。得られたポリアミド系フィルムを用いて、実施例1と同様にして積層体を作製した。但し、実施例7、実施例17及び実施例38については、より具体的には以下のように変更した。
(1)実施例7について
実施例1で得られた積層体において、ポリアミド系フィルムのアルミニウム箔を積層していない面に、二液型ポリウレタン系接着剤(東洋モートン株式会社製TM‐K55/CAT−10L)を塗布量が5g/mとなるように塗布した後、80℃で10秒間乾燥した。その接着剤塗布面にPETフィルム(ユニチカ社製「エンブレットPET−12」厚み12μm)を貼り合せて、積層体(PETフィルム/ポリアミド系フィルム/アルミニウム箔/シーラントフィルム)を作製した。
(2)実施例17について
表1に示した原料を用い、ポリアミド樹脂(ポリアミド6樹脂)/ポリアミド樹脂(ポリアミド66樹脂)/シリカ含有ポリアミド樹脂/有機滑剤含有ポリアミド樹脂=81.8/9.7/2.5/6.0質量部の組成比率となるように変更し、製造条件を表2に示すものに変更したほかは、実施例1と同様の方法でポリアミド系フィルムを得た。得られたポリアミド系フィルムを用いて実施例1と同様にして積層体を作製した。
(3)実施例38について
表1の有機滑剤含有ポリアミド樹脂として、ナイロン6樹脂(ユニチカ(株)製、製品名「A1030BRF」)に対して有機滑剤「エチレンビスベヘン酸アミド(市販品)」を1質量%添加したものを使用したほかは、表1に示した原料を用い、ポリアミド樹脂(ポリアミド6樹脂)/ポリアミド樹脂(ポリアミド66樹脂)/シリカ含有ポリアミド樹脂/有機滑剤含有ポリアミド樹脂=81.8/9.7/2.5/6.0質量部の組成比率となるように変更し、製造条件を表3に示すものに変更したほかは、実施例1と同様の方法でポリアミド系フィルムを得た。得られたポリアミド系フィルムを用いて実施例1と同様にして積層体を作製した。
Figure 0006506470
Figure 0006506470
Figure 0006506470
試験例1
実施例1〜40及び比較例1〜20で得られたポリアミド系フィルム及び積層体の物性について評価した。その評価結果を表5〜10に示す。なお、各種の物性の測定方法及び評価方法は、以下のとおりに行った。
(1)ポリアミド系フィルムの5%伸長時及び15%伸長時の4方向の応力
ポリアミド系フィルムの5%伸長時及び15%伸長時の4方向の応力は、基準方向(0度方向)をMDとしたうえで、前記で説明した方法で測定し、算出した。
なお、測定に用いたサンプルフィルムとしては、得られたフィルムロールに巻き取られたポリアミド系フィルムにおいて、巻幅の中心付近であって、かつ、巻量の半分にあたる位置で採取したものを用いた。
(2)ポリアミド系フィルムの平均厚みと標準偏差
ポリアミド系フィルムの平均厚みと標準偏差は、前記の方法でそれぞれ測定し、算出した。なお、測定に用いたサンプルフィルムは、次の3種類であった。
得られたフィルムロールに巻き取られたポリアミド系フィルムにおいて、a)巻幅の中心付近であって、かつ、巻量の半分にあたる位置で採取したものを「A」と表記し、b)巻幅の右端付近であって、かつ、巻量の半分にあたる位置で採取したものを「B」と表記し、c)巻幅の左端付近であって、かつ、巻終わり付近の位置で採取したものを「C」と表記した。
(3)ポリアミド系フィルムの動摩擦係数、ヘーズ、算術平均高さSa
ポリアミド系フィルムの動摩擦係数、ヘーズ、算術平均高さSaは、前記で示した方法により測定した。なお、測定に用いたサンプルフィルムとしては、得られたフィルムロールに巻き取られたポリアミド系フィルムにおいて、巻幅の中心付近であって、かつ、巻量の半分にあたる位置で採取したものを用いた。
なお、コートフィルムについては、冷間成型において滑り性が要求される面を測定対象とした。すなわち、ポリアミド系フィルムに易接着コート層を形成したコートフィルムについては、当該コート層の形成されていない表面を測定対象とした。また、ポリアミド系フィルムに易滑性コート層を形成したコートフィルムについては、当該コート層の表面を測定対象とした。
(4)コート層(易接着コート層又は易滑性コート層)の厚み
ポリアミド系フィルムにコート層が形成されてなるコートフィルムをエポキシ樹脂中に包埋し、凍結ウルトラミクロトームで厚み100nmの切片を採取した。切削温度は−120℃、切削速度は0.4mm/分とした。採取した切片をRuO溶液で1時間気相染色し、JEM−1230 TEM(日本電子社製)を用いて、透過測定にて加速電圧100kVでコート層の厚みを測定した。このとき、コート層の厚みを測定する箇所を任意の5点選択し、5点の測定値の平均値を厚みとした。
なお、測定に用いたサンプルフィルムとしては、得られたフィルムロールに巻き取られたコートフィルムにおいて、巻幅の中心付近であって、かつ、巻量の半分にあたる位置で採取したものを用いた。
(5)積層体の成型性及び耐湿熱性
1)成形性(絞り深さ;エリクセン試験)
JISZ2247に基づいて、エリクセン試験機(安田精機製作所社製No.5755)を用い、得られた積層体に鋼球ポンチを所定の押し込み深さで押し付け、エリクセン値を求めた。エリクセン値は0.5mmごとに測定した。エリクセン値が5mm以上である場合が好適であり、特に8mm以上である場合を深絞り成型により好適であると判断した。なお、鋼球ポンチの押し込み速度は0.20mm/sとし、測定環境は23℃×90%RHとした。
2)耐湿熱性
高温高湿条件での成型安定性を評価するため、得られた積層体を、高温高圧調理殺菌装置RCS−60SPXTG、日阪製作所社製)を使用し、120℃、30分、1.8kg/cmで処理した後、前記1)と同様のエリクセン試験を行った。このとき、エリクセン値が7mm以上である場合を「◎」、エリクセン値が6mm以上、7mm未満である場合を「○」、エリクセン値が5mm以上、6mm未満である場合を「△」、エリクセン値が5mm未満である場合を「×」と表記した。
Figure 0006506470
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これらの結果からも明らかなように、実施例1〜40では、特にポリアミド系フィルムの延伸倍率が所定の範囲であったため、得られたポリアミド系フィルムは、一軸引張試験において0度方向(MD)、45度方向、90度方向(TD)及び135度方向へ5%伸長時の応力の最大値と最小値の差が35MPa以下であり、かつ、15%伸長時の応力の最大値と最小値の差が40MPa以下を満たしたものとなった。そして、これらのポリアミド系フィルムを用いて得られた積層体は、エリクセン値が高く、冷間成型したときに全方向へ均一な延展性を有していた。つまり、各実施例のポリアミド系フィルムは、アルミニウム箔の破断、デラミネーション、ピンホール等が発生することなく、優れた成型性を発揮できることがわかる。
しかも、上記のような製造された実施例1〜40で得られたポリアミド系フィルムは、動摩擦係数も0.60以下に制御されていることから、特に滑り性にも優れており、高湿度下での冷間成型性に優れていることがわかる。
一方、比較例1〜16では、特にポリアミド系フィルムの延伸倍率が所定の範囲を満足するものではなかったため、得られたポリアミド系フィルムは、一軸引張試験において0度方向(MD)、45度方向、90度(TD)方向及び135度方向へ5%伸長時の応力の最大値と最小値の差が35MPa以下であり、かつ、15%伸長時の応力の最大値と最小値の差が40MPa以下を満たさなかった。このため、これら比較例のポリアミド系フィルムを用いて得られた積層体は、エリクセン値が低く、冷間成型したときに全方向へ均一な延展性を有するものとすることができず、成型性に劣っていることが確認された。また、比較例17〜20では、得られたポリアミド系フィルムは動摩擦係数も高かったため、ポリアミド系フィルムと成型用金型間の摩擦が大きく、滑り性に劣り、エリクセン値が低く、成型性に劣っていることがわかる。
実施例41
(1)易接着コート層(プライマー層)を有するコートフィルムの製造
まず原料として、表1に示す成分をそれぞれ用いた。上記の原料を用い、ポリアミド樹脂(ポリアミド6樹脂)/シリカ含有ポリアミド樹脂/有機滑剤含有ポリアミド樹脂=91.5質量部/2.5質量部/6.0質量部の組成比率にて押出機内で溶融混練し、Tダイへ供給してシート状に吐出し、20℃に温度調整した金属ドラムに巻き付け、冷却して巻き取ることにより未延伸シートを製造した。このとき、延伸後に得られるポリアミド系フィルムの厚みが15μmとなるように、ポリアミド樹脂の供給量等を調整した。
次いで、得られた未延伸シートを逐次二軸延伸により延伸工程を実施した。より具体的には、図2に示すような装置を用い、前記シートのMDについてはロールを用いて延伸した後、TDについてはテンターを用いて延伸する方法により延伸を行った。
まず、MDの延伸は、前記シートを複数個の延伸用ロールに通過させることにより、MDへ全延伸倍率2.85倍となるように延伸した。このとき、2段階で延伸を行い、1段目の延伸倍率を1.1とし、2段目の延伸倍率を2.59とし、全延伸倍率(MD1×MD2)1.1×2.59=2.85倍とした。加熱条件は、フィルムの引き取り方向に沿って、走行方向のはじめ(T1)が58℃、おわり(T2)が61℃となるように温度勾配を設けて延伸を行った。このとき、フィルムの走行方向のはじめ(入口)とおわり(出口)までのフィルムの走行時間(加熱時間)は約3秒間であった。
MDの延伸後、易接着コート層の形成のため、グラビアコーターでポリウレタン水分散体を延伸後のコート厚みが0.03〜0.08μmになるように片面にコーティングした。その後、TDの延伸を行った。上記水分散体としては、アニオン型水分散性ポリウレタン樹脂(DIC社製「ハイドランKU400SF」)100質量部に対して、トリ(メトキシメチル)メラミン樹脂(DIC社製「ベッカミンAPM」)7質量部を混合して得られる水性塗剤を用いた。
次に、TDの延伸は、図3に示すようなテンターを用いて実施した。まず予熱ゾーン31(予熱部)の温度を70℃として予熱を行いながら、延伸ゾーン32においてTDへ3.2倍延伸した。このとき、延伸ゾーン32(延伸部)では、フィルムの引き取り方向に沿って、走行方向のはじめ(T1)が78℃、おわり(T2)が100℃となるように温度勾配を設けた。このとき、延伸ゾーンにおけるフィルムの走行方向のはじめ(入口)とおわり(出口)までのフィルムの走行時間(加熱時間)は約3秒間であった。
延伸ゾーンを通過したフィルムは、弛緩熱処理ゾーン33(熱処理部)において温度202℃及び弛緩率3%の条件で弛緩熱処理された。このようにして1000m以上連続製造することにより、二軸延伸ポリアミド系フィルムの片面に易接着コート層が形成されたコートフィルム(巻量2000m)を得た。得られたフィルムはロール状に巻き取られた。
(2)積層体の作製
上記(1)で得られたコートフィルムを用い、易接着コート層表面に二液型ポリウレタン系接着剤を用いてアルミニウム箔を積層したほかは、実施例1と同様にして積層体(コートフィルム/アルミニウム箔/シーラントフィルム)を作製した。
実施例42〜84、比較例21〜44
製造条件及び延伸後のポリアミド系フィルムの目標厚みを表11〜14に示したものに変更し、有機滑剤又は無機滑剤の含有量が表21〜24に示したものになるように原料の組成比率を変更した以外は、実施例41と同様の方法でコートフィルムを得た。得られたコートフィルムを用いて、実施例41と同様にして積層体を作製した。但し、実施例47、実施例55、実施例63、実施例83及び実施例84については、より具体的には以下のように変更した。
(1)実施例47について
実施例41で得られた積層体において、コートフィルムのアルミニウム箔を積層していない面に、二液型ポリウレタン系接着剤(東洋モートン株式会社製TM‐K55/CAT−10L)を塗布量が5g/mとなるように塗布した後、80℃で10秒間乾燥した。その接着剤塗布面にPETフィルム(ユニチカ社製のエンブレットPET−12 厚み12μm)を貼り合せ、積層体(PETフィルム/コートフィルム/アルミニウム箔/シーラントフィルム)を作製した。
(2)実施例55について
実施例48で得られた積層体において、コートフィルムのアルミニウム箔を積層していない面に、二液型ポリウレタン系接着剤(東洋モートン株式会社製TM‐K55/CAT−10L)を塗布量が5g/mとなるように塗布した後、80℃で10秒間乾燥した。その接着剤塗布面にPETフィルム(ユニチカ社製のエンブレットPET−12、厚み12μm)を貼り合せ、積層体(PETフィルム/コートフィルム/アルミニウム箔/シーラントフィルム)を作製した。
(3)実施例63について
表1に示した原料を用い、ポリアミド樹脂(ポリアミド6樹脂)/ポリアミド樹脂(ポリアミド66樹脂)/シリカ含有ポリアミド樹脂/有機滑剤含有ポリアミド樹脂=81.8/9.7/2.5/6.0質量部の組成比率となるように変更し、製造条件を表12に示すものに変更したほかは、実施例48と同様の方法でコートフィルムを得た。得られたコートフィルムを用いて実施例41と同様にして積層体を作製した。
(4)実施例83について
易接着コート層の形成のためのポリウレタン水分散体としてアニオン型水分散性ポリウレタン樹脂(DIC社製「ハイドランAP201」)を用いた以外は、実施例41と同様の方法でコートフィルムを得た。得られたコートフィルムを用いて実施例41と同様にして積層体を作製した。
(5)実施例84について
易接着コート層の形成のためのポリウレタン水分散体としてアニオン型水分散性ポリウレタン樹脂(DIC社製「ハイドランAP201」)を用い、硬化剤としてカルボジイミド系硬化剤(日清紡ケミカル社製「カルボジライトV−02−L2」)を用いた以外は、実施例49と同様の方法でコートフィルムを得た。得られたコートフィルムを用いて実施例41と同様にして積層体を作製した。
実施例85
(1)易滑性コート層を有するコートフィルムの製造
実施例41と同様の原料を用い、同様の方法で得られた未延伸シートについてMDの延伸を行った。MDの延伸後、易滑性コート層の形成のため、グラビアコーターでポリウレタン水分散体を延伸後のコート厚みが0.05μmになるように片面にコーティングした。その後、TDの延伸を行った。上記水分散体としては、アニオン型水分散性ポリウレタン樹脂(三井化学ポリウレタン「タケラックWS−4022」)から得られた水性塗剤を用いた。
次に、TDの延伸及びそれ以降の工程は、実施例41と同様の方法で行うことによって、コートフィルムを得た。
(2)積層体の作製
得られたコートフィルムの易滑性コート層が形成されていない面(すなわち、ポリアミド系フィルム面)に、二液型ポリウレタン系接着剤(東洋モートン株式会社製「TM−K55/CAT−10L」)を塗布量が5g/mとなるように塗布した後、80℃で10秒間乾燥した。その接着剤塗布面に金属箔(厚み50μmのアルミニウム箔)を貼り合せた。次に、前記アルミニウム箔表面に上記接着剤を同様の条件で塗布した後、その塗布面にシーラントフィルム(未延伸ポリプロピレンフィルム(三井化学東セロ株式会社製 GHC 厚み50μm))を貼り合わせ、40℃の雰囲気下で72時間エージング処理を施し、積層体(コートフィルム/アルミニウム箔/シーラントフィルム)を作製した。
実施例86〜89
製造条件及び延伸後のポリアミド系フィルムの目標厚みを表15に示したものに変更し、易滑性コート層の厚みを表20に示したものに変更したほかは、実施例85と同様の方法でコートフィルムを得た。得られたコートフィルムを用いて、実施例85と同様にして積層体を作製した。
実施例90
実施例41と同様の原料を用い、同様の方法で得られた未延伸シートについてMDの延伸を行った。MDの延伸後、易滑性コート層の形成のため、グラビアコーターでポリウレタン水分散体を延伸後のコート厚みが0.05μmになるように片面にコーティングした。その後、TDの延伸を行った。上記水分散体としては、アニオン型水分散性ポリウレタン樹脂(三井化学ポリウレタン「タケラックWS−4022」)に、無機滑剤としてシリカを混合して得られる水性塗剤を用いた。次に、TDの延伸以降は実施例41と同様の方法で行い、コートフィルムを得た。得られたコートフィルムは、易滑性コート層中にシリカが0.6質量%含有されていた。得られたコートフィルムを用いて、実施例85と同様にして積層体を作製した。
実施例91〜94
製造条件及び延伸後のポリアミド系フィルムの目標厚みを表15に示したものに変更し、易滑性コート層の厚みを表20に示したものに変更したほかは、実施例90と同様の方法でコートフィルムを得た。得られたコートフィルムを用いて、実施例90と同様にして積層体を作製した。
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試験例2
実施例41〜94及び比較例21〜44で得られたコートフィルム及び積層体の物性について評価した。その評価結果を表16〜25に示す。なお、各種の物性の測定方法及び評価方法は、試験例1と同様にして実施した。
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これらの結果からも明らかなように、実施例41〜94では、特にポリアミド系フィルムの延伸倍率が所定の範囲であったため、得られたコートフィルムは、一軸引張試験において0度方向、45度方向、90度方向及び135度方向へ5%伸長時の応力の最大値と最小値の差が35MPa以下であり、かつ、15%伸長時の応力の最大値と最小値の差が40MPa以下を満たしたものとなった。そして、これらのコートフィルムを用いて得られた積層体は、エリクセン値が高く、冷間成型したときに全方向へ均一な延展性を有するものであった。つまり、これら実施例のコートフィルムは、アルミニウム箔が破断したり、デラミネーション、ピンホール等が発生することがなく、優れた成型性を有していていることがわかる。しかも、実施例41〜94で得られたコートフィルムも、動摩擦係数が0.60以下に制御されているため、滑り性にも優れており、高湿度下での冷間成型性に優れていることがわかる。
また、実施例41〜84で得られたコートフィルムは片面にアニオン型水分散性ポリウレタン樹脂を含有する易接着コート層を有するものであることから、これらのコートフィルムを用いた積層体は、耐湿熱性にも優れていることが確認できる。
さらに、実施例85〜94で得られたコートフィルムは、片面に易滑性コート層を有するものであることから動摩擦係数が低く、コートフィルムを用いた積層体は、滑り性にも優れており、高湿度下での冷間成型性に特に優れていることがわかる。
これに対し、比較例21〜40では、特にポリアミド系フィルムの延伸倍率が所定の範囲を満足するものではなかったため、得られたコートフィルムは、一軸引張試験において0度方向、45度方向、90度方向及び135度方向へ5%伸長時の応力の最大値と最小値の差が35MPa以下であり、かつ、15%伸長時の応力の最大値と最小値の差が40MPa以下を満たさないものとなった。このため、これら比較例のコートフィルムを用いて得られた積層体は、エリクセン値が低く、冷間成型したときに全方向へ均一な延展性を有するものとすることができず、成型性に劣ることがわかる。また、比較例41〜44では、得られたコートフィルムは動摩擦係数が高かったため、コートフィルムと成型用金型間の摩擦が大きく、滑り性に劣るものとなり、エリクセン値が低く、成型性に劣るものであることがわかる。

Claims (12)

  1. ポリアミド6樹脂又はポリアミド66樹脂を含むポリアミド系フィルムであって、
    下記(1)〜(4)の特性:
    (1)前記フィルムにおけるMD方向を0度とし、その方向に対して時計回りに45度、90度及び135度の4方向において、一軸引張試験による5%伸長時の各応力の最大値と最小値の差が35MPa以下であること、
    (2)前記4方向において、一軸引張試験による15%伸長時の各応力の最大値と最小値の差が40MPa以下であること
    (3)動摩擦係数が0.60以下であること及び
    (4)前記フィルムにおける任意の点から特定の方向を0度とし、その方向に対して時計回りに45度、90度、135度、180度、225度、270度及び315度の8方向の平均厚みに対する標準偏差が0.200μm以下であること
    をすべて満たすことを特徴とするポリアミド系フィルム。
  2. 算術平均高さSaが0.01〜0.15μmである、請求項1に記載のポリアミド系フィルム。
  3. ヘーズが60%以下である、請求項1に記載のポリアミド系フィルム。
  4. 平均厚みが16μm以下である、請求項1に記載のポリアミド系フィルム。
  5. ポリアミド系フィルム中に、有機滑剤及び無機滑剤の少なくとも1種を含有する、請求項1に記載のポリアミド系フィルム。
  6. 請求項1に記載のポリアミド系フィルム及びそのフィルム上に形成された易接着コート層及び/又は易滑性コート層を含むコートフィルム。
  7. 請求項1又は6に記載のフィルム及びそのフィルム上に積層された金属箔を含む積層体。
  8. 請求項7に記載の積層体を含む容器。
  9. ポリアミド6樹脂又はポリアミド66樹脂を含むポリアミド系フィルムを製造する方法であって、
    (1)ポリアミド6樹脂又はポリアミド66樹脂を含むポリアミド樹脂と、有機滑剤及び無機滑剤の少なくとも1種とを含む溶融混練物をシート状に成形することにより未延伸シートを得るシート成形工程、
    (2)前記未延伸シートを、MDをロールによって延伸し、TDをテンターによって延伸する逐次二軸延伸することによって延伸フィルムを得る延伸工程
    を含み、かつ、
    (3)下記式a)及びb);
    a)0.85≦X/Y≦0.95
    b)8.5≦X×Y≦9.5
    (但し、Xは前記MDの延伸倍率を示し、Yは前記TDの延伸倍率を示す。)の両方を満たし、
    (4)前記のMDの延伸を2段階とし、1段目の延伸倍率を1.05〜1.2倍とし、
    (5)MDの延伸を50〜70℃で行い、TDの延伸を70〜130℃で行う、
    ことを特徴とするポリアミド系フィルムの製造方法。
  10. 延伸工程が逐次二軸延伸であり、
    (2−1)50〜70℃の温度下で前記未延伸シートをMDに延伸することによって第1延伸フィルムを得る第1延伸工程及び
    (2−2)70〜130℃の温度下で前記第1延伸フィルムをTDに延伸することによって第2延伸フィルムを得る第2延伸工程
    を含む、請求項9に記載の製造方法。
  11. 第2延伸フィルムをさらに180〜230℃の温度下で弛緩熱処理を行う、請求項10に記載の製造方法。
  12. MDの延伸において、2段目の延伸倍率を2.3〜2.81倍とする、請求項9に記載の製造方法。
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