JP6503882B2 - ステアリング装置 - Google Patents

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本発明は、ステアリング装置に関する。
車両に備えられるステアリング装置は、操作者(運転者)によるステアリングホイールの操作を車輪に伝える装置である。車両に衝突が生じたときには、車両内の各部に操作者が衝突する2次衝突が生じる可能性がある。このため、2次衝突において操作者に加わる衝撃を緩和するために、ステアリング装置を車両に対して離脱カプセルを介して取り付ける技術が知られている。
チルト調整が可能なステアリング装置においては、ステアリングコラムと一体のディスタンスブラケットが車体に固定されるチルトブラケットに挟まれるように配置されている。そして、チルトブラケットおよびディスタンスブラケットを貫通する締付けロッドによって、ディスタンスブラケットがチルトブラケットにクランプされている。2次衝突が生じたとき、ステアリングコラムに加えられる車両前方向きの衝撃荷重は、ディスタンスブラケット、締付けロッド、チルトブラケットの順に伝わり、チルトブラケットと離脱カプセルとの連結部を破断させる。これにより、ステアリングコラムが車両から離脱する。
このようなステアリング装置において、離脱カプセルと締付けロッドとは離間して配置されている。このため、2次衝突時に車両前方向きの荷重が締付けロッドからチルトブラケットに伝えられるとき、離脱カプセルを支点とする回転モーメントがチルトブラケットに作用する。この回転モーメントにより、ステアリングコラムの離脱時に、離脱カプセルに対するチルトブラケットのコジれが生じる可能性がある。これに対して、例えば特許文献1および特許文献2に記載の技術は、チルトブラケットの回転を抑制し、チルトブラケットのコジれを抑制することができる。
実公平4−41018号公報 特開2009−184394号公報
ところで、2次衝突時にステアリングホイールに加わる荷重は、必ずしも車両の前後方向の荷重だけではない。このため、従来技術においては、ステアリングホイールに衝撃荷重が加わると、ステアリングコラムがチルト方向に動かされる可能性がある。ステアリングコラムがチルト方向に動きながら離脱する場合、ステアリングコラムにコジれが生じ、衝撃吸収性能にバラつきが生じる可能性があった。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、2次衝突時におけるステアリングコラムのチルト方向の動きを抑制し、衝撃吸収性能を安定させることができるステアリング装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明に係るステアリング装置は、ステアリングホイールに連結される入力軸を回転中心軸を中心に回転可能に支持するステアリングコラムと、前記ステアリングコラムに取り付けられるディスタンスブラケットと、車体に対して離脱可能に取り付けられ、前記ディスタンスブラケットを挟む側板部を備えるチルトブラケットと、前記ディスタンスブラケットと前記側板部に設けられる上下方向に長い貫通孔であるチルト調整孔とを貫通する締付けロッドと、前記チルトブラケットよりも車両後方側の位置で前記ステアリングコラムに取り付けられる回り止め部材と、を備え、前記チルトブラケットは、車両後方側の端部に設けられ、かつ上側が下側よりも車両後方に位置するように傾斜している傾斜面を備え、前記回り止め部材は、2次衝突時に前記傾斜面に接することを特徴とする。
これにより、回り止め部材が傾斜面に接すると、回り止め部材には傾斜面からの反作用として下向きの力が作用することで、ステアリングコラムの跳ね上げが抑制される。このため、ステアリングコラムのチルト方向の動きが抑制されやすくなる。よって、本発明に係るステアリング装置は、2次衝突時におけるステアリングコラムのチルト方向の動きを抑制し、衝撃吸収性能を安定させることができる。
本発明の望ましい態様として、ディスタンスブラケットは、前記締付けロッドが貫通する貫通孔であって前記回転中心軸方向に長い長孔を備え、前記回り止め部材から前記傾斜面までの前記回転中心軸方向の最短距離は、前記締付けロッドから前記長孔の車両後方側の端部までの前記回転中心軸方向の最短距離よりも小さいことが好ましい。
これにより、2次衝突時において、アウターコラムおよびディスタンスブラケットが一体に前方へ向かって移動すると、締付けロッドがディスタンスブラケットの長孔の後方側の端部に接する前に、回り止め部材が傾斜面に接する。これにより、ステアリング装置は、衝撃荷重が締付けロッドを介してチルトブラケットに伝わることを防止することができる。よって、ステアリング装置は、チルトブラケットに作用する回転モーメントを抑制し、ステアリングコラムの離脱荷重を安定させることができる。
本発明の望ましい態様として、2次衝突時における前記チルトブラケットと前記回り止め部材との接触部分は、前記締付けロッドの軸方向から見て、前記締付けロッドよりも上下方向で前記回転中心軸寄りに位置することが好ましい。
これにより、回り止め部材が傾斜面に接するとき、反作用としてステアリングコラムに作用する回転モーメントが小さくなりやすくなる。このため、ステアリングコラムのコジれが抑制されるので、ステアリングコラムの前方への移動が滑らかになる。よって、ステアリング装置は、衝撃吸収性能をより安定させることができる。
本発明の望ましい態様として、2次衝突時において、前記回り止め部材のうち車両前方側のエッジが前記傾斜面に接することが好ましい。
これにより、回り止め部材と傾斜面とが面同士で接触する場合に比較して、回り止め部材と傾斜面との接触面積が小さくなる。このため、回り止め部材と傾斜面との間に生ずる摩擦力が大きくなり、ステアリングコラムのチルト方向の動きがより抑制される。また、衝撃荷重の大きさに応じて、エッジは傾斜面に食い込むことができる。これにより、回り止め部材と傾斜面との間に生ずる摩擦力がさらに大きくなり、ステアリングコラムのチルト方向の動きがより抑制される。
本発明の望ましい態様として、前記ステアリングコラムを、前記締付けロッドに平行な揺動中心軸まわりに揺動可能に支持するピボットブラケットを備え、前記締付けロッドの軸方向から見て、前記チルト調整孔の長辺の形状は、前記揺動中心軸を中心とした円周に沿っており、前記締付けロッドの軸方向から見て、前記傾斜面に平行な直線と前記回転中心軸とがなす角度は、前記チルト調整孔の長辺に対する接線と前記回転中心軸とがなす角度よりも小さいことが好ましい。
これにより、回り止め部材が傾斜面に接しているときにステアリングコラムに上向きの力が作用しても、回り止め部材が傾斜面に引っかかるため、締付けロッドのチルト調整孔に対する摺動が規制される。このため、ステアリング装置は、ステアリングホイールに上向きの衝撃荷重が加えられても、ステアリングコラムの跳ね上げが抑制される。
本発明の望ましい態様として、前記締付けロッドが前記チルト調整孔の最上部に位置しているときの前記回り止め部材から前記傾斜面までの前記回転中心軸方向の最短距離は、前記締付けロッドが前記チルト調整孔の最下部に位置しているときの前記回り止め部材から前記傾斜面までの前記回転中心軸方向の最短距離よりも小さいことが好ましい。
これにより、締付けロッドがチルト調整孔の最上部付近に位置するときの、回り止め部材から傾斜面までの距離が小さくなる。このため、締付けロッドがチルト調整孔の最上部付近に位置している場合の、2次衝突が生じた時点から回り止め部材が傾斜面に接するまでの時間が短くなる。したがって、ステアリング装置は、2次衝突が生じてからステアリングコラムのチルト方向の動きが抑制されるまでの時間を短縮することができる。
本発明の望ましい態様として、前記締付けロッドが前記チルト調整孔の最上部に位置しているとき、前記回り止め部材から前記傾斜面までの前記回転中心軸方向の最短距離は、実質的に0であることが好ましい。
これにより、締付けロッドがチルト調整孔の最上部付近に位置している場合の、2次衝突が生じた時点から回り止め部材が傾斜面に接するまでの時間がより短くなる。したがって、ステアリング装置は、2次衝突が生じてからステアリングコラムのチルト方向の動きが抑制されるまでの時間をより短縮することができる。
本発明の望ましい態様として、前記締付けロッドが前記チルト調整孔の最上部に位置しているとき、前記回り止め部材は、前記傾斜面に接していることが好ましい。
これにより、締付けロッドがチルト調整孔の最上部付近に位置している場合の、2次衝突が生じた時点から回り止め部材が傾斜面に接するまでの時間がより短くなる。したがって、ステアリング装置は、2次衝突が生じてからステアリングコラムのチルト方向の動きが抑制されるまでの時間をより短縮することができる。
本発明によれば、2次衝突時におけるステアリングコラムのチルト方向の動きを抑制し、衝撃吸収性能を安定させることができるステアリング装置を提供することができる。
図1は、本実施形態に係るステアリング装置の構成図である。 図2は、本実施形態に係るステアリングコラムの周囲を模式的に示す側面図である。 図3は、本実施形態に係るステアリングコラムを車両に取り付ける部分を模式的に示す平面図である。 図4は、図2におけるA−A断面を示す図である。 図5は、本実施形態に係るステアリング装置をチルトブラケットの一部を省いて示す側面図である。 図6は、本実施形態に係る回り止め部材の斜視図である。 図7は、本実施形態に係るチルトブラケットの周囲を拡大して示す側面図である。 図8は、2次衝突時における本実施形態に係るステアリング装置をチルトブラケットの一部を省いて示す側面図である。 図9は、変形例に係るステアリングコラムにおいて、締付けロッドがチルト調整孔の中間に位置する状態を示す側面図である。 図10は、変形例に係るステアリングコラムにおいて、締付けロッドがチルト調整孔の最下部に位置する状態を示す側面図である。 図11は、変形例に係るステアリングコラムにおいて、締付けロッドがチルト調整孔の最上部に位置する状態を示す側面図である。
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
(実施形態)
図1は、本実施形態に係るステアリング装置の構成図である。図2は、本実施形態に係るステアリングコラムの周囲を模式的に示す側面図である。図3は、本実施形態に係るステアリングコラムを車両に取り付ける部分を模式的に示す平面図である。図4は、図2におけるA−A断面を示す図である。図5は、本実施形態に係るステアリング装置をチルトブラケットの一部を省いて示す側面図である。以下の説明において、図2に示す回転中心軸100に沿う方向のうち、ステアリング装置80を車両に取り付けた場合の車両の前方は、単に前方と記載される。回転中心軸100に沿う方向のうち、ステアリング装置80を車両に取り付けた場合の車両の後方は、単に後方と記載される。図2において、前方は、図中の左側であり、後方は、図中の右側である。また、回転中心軸100に対する直交方向のうち、ステアリング装置80を車両に取り付けた場合の車両の上方は、単に上側と記載される。回転中心軸100に対する直交方向のうち、ステアリング装置80を車両に取り付けた場合の車両の下方は、単に下側と記載される。図2において、図中の上方が上側であり、図中の下方が下側である。
ステアリング装置80は、操作者から与えられる力が伝達する順に、ステアリングホイール81と、ステアリングシャフト82と、操舵力アシスト機構83と、ユニバーサルジョイント84と、ロアシャフト85と、ユニバーサルジョイント86と、を備え、ピニオンシャフト87、ステアリングギヤ88、およびタイロッド89に接合される。また、ステアリング装置80は、ECU(Electronic Control Unit)90と、トルクセンサ91aとを備える。車速センサ91bは、車両に備えられ、CAN(Controller Area Network)通信により車速信号VをECU90に入力する。
ステアリングシャフト82は、入力軸82aと、出力軸82bとを含む。入力軸82aは、一方の端部がステアリングホイール81に連結され、他方の端部がトルクセンサ91aを介して操舵力アシスト機構83に連結される。出力軸82bは、一方の端部が操舵力アシスト機構83に連結され、他方の端部がユニバーサルジョイント84に連結される。本実施形態では、入力軸82a及び出力軸82bは、SC材(Carbon Steel for Machine Structural Use)等の一般的な鋼材等から形成される。
ロアシャフト85は、一方の端部がユニバーサルジョイント84に連結され、他方の端部がユニバーサルジョイント86に連結される。ピニオンシャフト87は、一方の端部がユニバーサルジョイント86に連結され、他方の端部がステアリングギヤ88に連結される。
ステアリングギヤ88は、ピニオン88aと、ラック88bとを含む。ピニオン88aは、ピニオンシャフト87に連結される。ラック88bは、ピニオン88aに噛み合う。ステアリングギヤ88は、ラックアンドピニオン形式として構成される。ステアリングギヤ88は、ピニオン88aに伝達された回転運動をラック88bで直進運動に変換する。タイロッド89は、ラック88bに連結される。
操舵力アシスト機構83は、減速装置92と、電動モータ(モータ)70とを含む。なお、電動モータ70は、いわゆる、ブラシレスモータを例示して説明するが、ブラシ(摺動子)及びコンミテータ(整流子)を備える電動モータであってもよい。減速装置92は、出力軸82bに連結される。電動モータ70は、減速装置92に連結され、かつ、補助操舵トルクを発生させる電動機である。電動モータ70は、ステアリングコラムの出力軸82bに補助操舵トルクを与える。すなわち、本実施形態のステアリング装置80は、コラムアシスト方式である。
図1に示すトルクセンサ91aは、ステアリングホイール81を介して入力軸82aに伝達された運転者の操舵力を操舵トルクとして検出する。車速センサ91bは、ステアリング装置80が搭載される車両の走行速度(車速)を検出する。ECU90は、電動モータ70と、トルクセンサ91aと、車速センサ91bと電気的に接続される。
ECU90は、電動モータ70の動作を制御する。また、ECU90は、トルクセンサ91a及び車速センサ91bのそれぞれから信号を取得する。すなわち、ECU90は、トルクセンサ91aから操舵トルクTを取得し、かつ、車速センサ91bから車両の車速信号Vを取得する。ECU90は、イグニッションスイッチ98がオンの状態で、電源装置(例えば車載のバッテリ)99から電力が供給される。ECU90は、操舵トルクTと車速信号Vとに基づいてアシスト指令の補助操舵指令値を算出する。そして、ECU90は、その算出された補助操舵指令値に基づいて電動モータ70へ供給する電力値Xを調節する。ECU90は、電動モータ70から誘起電圧の情報または後述するレゾルバ等のロータの回転の情報を動作情報Yとして取得する。
ステアリングホイール81に入力された操作者(運転者)の操舵力は、入力軸82aを介して操舵力アシスト機構83の減速装置92に伝わる。この時に、ECU90は、入力軸82aに入力された操舵トルクTをトルクセンサ91aから取得し、かつ、車速信号Vを車速センサ91bから取得する。そして、ECU90は、電動モータ70の動作を制御する。電動モータ70が作り出した補助操舵トルクは、減速装置92に伝えられる。
出力軸82bを介して出力された操舵トルク(補助操舵トルクを含む)は、ユニバーサルジョイント84を介してロアシャフト85に伝達され、さらにユニバーサルジョイント86を介してピニオンシャフト87に伝達される。ピニオンシャフト87に伝達された操舵力は、ステアリングギヤ88を介してタイロッド89に伝達され、操舵輪を転舵させる。
図2に示すように、ステアリング装置80は、入力軸82aを回転中心軸100まわりに回転可能に支持するステアリングコラム5を有する。ステアリング装置80は、回転中心軸100と水平面とが所定の角度をなすように車両に取り付けられる。より具体的には、ステアリング装置80は、ステアリングコラム5の後方側が前方側よりも上に位置するように傾斜している。ステアリングコラム5は、筒状のアウターコラム51と、一部がアウターコラム51に挿入される筒状のインナーコラム54とを有する。アウターコラム51およびインナーコラム54は、例えば、STKM(Carbon Steel Tubes for Machine Structural Purposes)等の一般的な鋼材等から形成される。例えば、アウターコラム51は、インナーコラム54の後方側に配置されている。インナーコラム54は、例えば加締め等によって生ずる摩擦力でアウターコラム51と結合されている。インナーコラム54とアウターコラム51との間に生じる摩擦力は、通常の使用状態ではインナーコラム54とアウターコラム51とが相対的に移動しない大きさに設定されている。一方、インナーコラム54とアウターコラム51との間に生じる摩擦力は、2次衝突時にはインナーコラム54とアウターコラム51とが相対的に移動できる(ストロークできる)大きさに設定されている。
アウターコラム51の表面には、ディスタンスブラケット6が取り付けられている。図4に示すように、ディスタンスブラケット6は、一対の側板部61と、一対の側板部61を連結する底板部63と、を備えており、回転中心軸100に対して垂直な平面で切った断面形状が略U字形である。例えば、ディスタンスブラケット6は、アウターコラム51の下側に配置されており、側板部61の端部での溶接等によりアウターコラム51の表面に固定されている。図5に示すように、側板部61は、回転中心軸100方向に長い貫通孔である長孔62を備える。
ステアリング装置80は、ステアリングコラム5を車体に対してチルト方向(上下方向)に揺動可能に支持するため、ピボットブラケット56と、チルトブラケット4と、締付けロッド3と、を備える。チルトブラケット4、締付けロッド3およびピボットブラケット56は、例えば、SPCC(Steel Plate Cold Commercial)等の一般的な鋼材等から形成される。
図2に示すように、ピボットブラケット56は、車体側部材に固定されており、ステアリングコラム5を揺動中心軸200まわりに揺動可能に支持している。揺動中心軸200は、例えば水平方向に平行である。これにより、ステアリングコラム5は、チルト方向に揺動可能に支持されている。
図4に示すように、チルトブラケット4は、車体側部材に固定される取付板部41と、取付板部41に一体に形成された側板部43と、後方側の端部に設けられる傾斜板部45と、を備えている。側板部43は、ディスタンスブラケット6の側板部61を両側から挟むように配置されている。側板部43は、上下方向に長い貫通孔であるチルト調整孔44を備える。図4に示すように、締付けロッド3は、チルト調整孔44およびディスタンスブラケット6の長孔62を貫通している。傾斜板部45は、例えば、側板部43の後方側端部から回転中心軸100に対して直交する平面方向に張り出す部材である。傾斜板部45は、側板部43と一体に形成されていてもよいし、側板部43とは別部材として側板部43に固定されていてもよい。傾斜板部45は、図2に示すように回転中心軸100に対して垂直でない表面である傾斜面46を有している。傾斜面46は、回転中心軸100方向で後方側を向いている。例えば、本実施形態における傾斜面46は、上端部46aが下端部46bよりも後方に位置するように傾斜している。
図4に示すように、締付けロッド3の一端には頭部35が設けられ、他端にはねじ部36が設けられている。締付けロッド3は、頭部35と側板部43との間に配置される固定カム33と、回転カム34と、を貫通している。固定カム33は、側板部43の表面のチルト調整孔44と重なる位置に取り付けられている。固定カム33は、操作レバー53の回転と連動しない。回転カム34は、操作レバー53に取り付けられ、操作レバー53の回転と連動して回転する。固定カム33と回転カム34とは周方向に凹凸を形成しており、これを相対回転させた場合において、回転カム34の回転位置に応じて、回転カム34と固定カム33との距離が変化するようになっている。
締付けロッド3は、ねじ部36側の端部で、スペーサー37と、スラストベアリング32と、ナット31と、を貫通している。ナット31は、ねじ部36に締結されており、スラストベアリング32を介してスペーサー37を側板部43に接触させている。これにより、締付けロッド3は、軸方向の移動を規制された状態で、操作レバー53の回転に連動して回転することができる。
回転カム34と固定カム33との距離が大きくなるように操作レバー53の回転がさせられると、側板部43がディスタンスブラケット6を挟みつける圧力は大きくなる。これにより、締付けロッド3のチルト調整孔44内での移動が抑制され、チルト位置が固定される。一方、回転カム34と固定カム33との距離が大きくなるように操作レバー53の回転がさせられると、側板部43がディスタンスブラケット6を挟みつける圧力は大きくなる。これにより、締付けロッド3のチルト調整孔44内での移動が容易になり、チルト位置の調整が可能となる。
図4に示すように、ステアリング装置80は、チルトバネ38を備える。チルトバネ38は、例えば捩りコイルバネである。チルトバネ38の一端部38aは、チルトブラケット4に設けられたチルトバネ固定部39に固定されている。チルトバネ38の他端部38bは、例えば、スペーサー37の下側に接触している。チルトバネ38は、締付けロッド3を介してディスタンスブラケット6およびアウターコラム51に対して上向きの力を加えている。これにより、操作レバー53の回転の操作によってチルト位置の固定が解除された場合であっても、ステアリングコラム5が下向きに落下しにくくなる。チルトバネ38は、チルト位置の調整を容易にすることができる。
図3に示すように、チルトブラケット4の取付板部41は、左右一対の支持部42で離脱カプセル11を介して車体側部材に取付けられる。支持部42および離脱カプセル11は、樹脂インジェクションで形成された樹脂部材12pによって連結されている。離脱カプセル11はアルミニウムをダイキャスト成形して形成されている。離脱カプセル11は、カプセル取付孔11hを有し、カプセル取付孔11hに挿入されるボルト等によって車体側部材に固定されている。2次衝突時にステアリングコラム5を前方に移動させる力が作用することにより、離脱カプセル11に対して支持部42が車体前方に摺動して樹脂部材12pが剪断される。これにより、離脱カプセル11による支持が解除され、ステアリングコラム5およびチルトブラケット4が車体から離脱することが可能になっている。なお、離脱カプセル11は、必ずしも上述した構成でなくてもよく、上述した構成以外の公知の離脱カプセルであってもよい。
図2に示すように、ステアリング装置80は、2次衝突時の衝撃荷重のエネルギーを吸収するため、エネルギー吸収プレート57を備える。エネルギー吸収プレート57は、表面が円弧状に形成された湾曲部57cを有する板状部材である。エネルギー吸収プレート57の一端部57aは、離脱カプセル11に固定されており、他端部57bは、チルトブラケット4に設けられたプレート固定部58に固定されている。2次衝突時にチルトブラケット4が車体から離脱すると、一端部57aが離脱カプセル11に固定されたまま、他端部57bがチルトブラケット4と共に前方へ移動する。このため、エネルギー吸収プレート57は、湾曲部57cが塑性変形することで、衝撃荷重のエネルギーを吸収することができる。
図6は、本実施形態に係る回り止め部材の斜視図である。ステアリング装置80は、2次衝突時にチルトブラケットに作用する可能性のある回転モーメントを抑制するために、回り止め部材2を備えている。図2等で示すように、本実施形態に係る回り止め部材2は、チルトブラケット4よりも後方側の位置でアウターコラム51の表面に取り付けられている。回り止め部材2は、例えば、SPCC(Steel Plate Cold Commercial)等の一般的な鋼材等から形成される。図6に示すように、回り止め部材2は、アウターコラム51の表面に沿った板状部材である取付部21と、取付部21の両端部からアウターコラム51の径方向に向かって突出する板状部材である突出部22と、を備える。ここで、径方向とは、軸方向に対して直交する方向を意味している。
回り止め部材2は、例えば取付部21をアウターコラム51の表面に接触させた状態で溶接を施すことにより、アウターコラム51に取り付けられる。取付部21は、アウターコラム51の下側に配置されており、取付部21の両端部に位置する突出部22は、締付けロッド3よりも上側に位置している。回り止め部材2は、例えば、板材をプレス加工により型抜きしたあと、曲げ加工を施すことにより成形する。突出部22の回転中心軸100方向の端部であるエッジ23は、面取り加工を施されておらず、尖った状態とされている。すなわち、エッジ23は、いわゆるピン角になっている。
図5に示すように、回り止め部材2の前方側端部のエッジ23から傾斜面46までの回転中心軸100方向の最短距離δ1は、締付けロッド3の表面から長孔62の後方側の端部までの回転中心軸100方向の最短距離δ2よりも小さい。図8は、2次衝突時における本実施形態に係るステアリング装置をチルトブラケットの一部を省いて示す側面図である。最短距離δ1が最短距離δ2よりも小さいことにより、図8に示すように、2次衝突時においてアウターコラム51およびディスタンスブラケット6が一体に前方へ向かって移動すると、締付けロッド3が長孔62の後方側の端部に接する前に、回り止め部材2が傾斜面46に接する。このため、2次衝突時には、離脱カプセル11を支点としエッジ23と傾斜面46との接触部分を力点とした回転モーメントがチルトブラケット4に作用する。また、エッジ23は、締付けロッド3よりも上側に位置している。このため、ステアリング装置80は、衝撃荷重を締付けロッド3を介してチルトブラケット4に伝える場合に比較して、チルトブラケット4に作用する回転モーメントを抑制することができる。
また、図5に示すように、締付けロッド3の軸方向から見て、回り止め部材2のエッジ23から回転中心軸100までの上下方向の最短距離δ3は、締付けロッド3の中心から回転中心軸100までの上下方向の最短距離δ4よりも小さい。すなわち、締付けロッド3の軸方向から見て、2次衝突時における傾斜面46と回り止め部材2との接触部分は、締付けロッド3よりも上下方向で回転中心軸100寄りに位置している。これにより、エッジ23が傾斜面46に接するとき、反作用としてアウターコラム51に作用する回転モーメントが小さくなりやすくなる。このため、インナーコラム54に対するアウターコラム51のコジれが抑制されるので、アウターコラム51の前方への移動が滑らかになる。
ところで、仮に、例えば上述した特許文献1または特許文献2の技術を用いた場合であっても、チルトブラケット4に作用する回転モーメントを抑制することは可能である。しかし、例えば特許文献1においては、チルトクランプとストッパーブラケットとの接触面は、ステアリングシャフトの回転中心軸に対して垂直な面となっている。特許文献2においては、車体取付けブラケットの凸部とディスタンスブラケットとの接触面は、ステアリングシャフトの回転中心軸に対して垂直な面となっている。このため、従来技術を用いた場合、2次衝突時におけるステアリングコラムのチルト方向の動きが規制されにくい。ステアリングコラムがチルト方向に動きながら離脱する場合、ステアリングコラムにコジれが生じ、衝撃吸収性能にバラつきが生じる可能性がある。
これに対して、本実施形態に係るステアリング装置80は、2次衝突時にチルトブラケット4の傾斜面46に接する回り止め部材2を備えている。これにより、回り止め部材2が傾斜面46に接すると、回り止め部材2には傾斜面46からの反作用として下向きの力が作用する。このため、ステアリングコラム5の跳ね上げが抑制されやすくなる。よって、本実施形態に係るステアリング装置80は、2次衝突時におけるステアリングコラム5のチルト方向の動きを抑制し、衝撃吸収性能を安定させることができる。
また、2次衝突時には回り止め部材2のエッジ23が傾斜面46と接触する。これにより、回り止め部材2と傾斜面46とが面同士で接触する場合に比較して、回り止め部材2と傾斜面46との接触面積が小さくなる。このため、回り止め部材2と傾斜面46との間に生ずる摩擦力が大きくなり、ステアリングコラム5のチルト方向の動きがより抑制される。また、上述したように、エッジ23は尖っているため、衝撃荷重の大きさに応じて傾斜面46に食い込むことができる。これにより、回り止め部材2と傾斜面46との間に生ずる摩擦力がさらに大きくなり、ステアリングコラム5のチルト方向の動きがより抑制される。
図7は、本実施形態に係るチルトブラケットの周囲を拡大して示す側面図である。上述したように、チルト調整孔44は、チルトブラケット4の側板部43に設けられた、上下方向に長い貫通孔である。より具体的には、チルト調整孔44は、締付けロッド3の軸方向から見て、ピボットブラケット56の揺動中心軸200を中心とした円周に沿った形状の長孔である。図7に示すように、チルト調整孔44は、長辺441および長辺442を含む。長辺441は、締付けロッド3よりも前方に位置し、長辺442は、締付けロッド3よりも後方に位置している。長辺441および長辺442は、ともに揺動中心軸200を中心とした円周に沿っている。すなわち、長辺441および長辺442は、同心円の円周に沿っている。また、チルト調整孔44の短辺方向の幅、すなわち揺動中心軸200を中心とした径方向の幅は、締付けロッド3の直径に略等しい。ステアリングコラム5のチルト位置調整が行われるとき、チルト調整孔44を貫通する締付けロッド3は、チルト調整孔44の長辺441、442に対して摺動して移動する。また上述したように、インナーコラム54とアウターコラム51とが、通常の使用状態では相対的に移動しないように固定されている。このため、ディスタンスブラケット6が長孔62を有していても、アウターコラム51はテレスコ方向(回転中心軸100方向)に移動しない。
本実施形態において、締付けロッド3の軸方向から見て、傾斜面46に平行な直線と回転中心軸100とがなす角度αは、チルト調整孔44の長辺442に対する接線と回転中心軸100とがなす角度βよりも小さい。本実施形態において、角度βは、チルト調整孔44の長辺441に対する接線と回転中心軸100とがなす角度に等しくなっている。このため、角度βは、チルト調整孔44の長辺441に対する接線と回転中心軸100とがなす角度も意味する。角度αが角度βよりも小さいため、回り止め部材2が傾斜面46に接しているときにステアリングコラム5に上向きの力が作用しても、回り止め部材2が傾斜面46に引っかかるため、締付けロッド3のチルト調整孔44に対する摺動が規制される。このため、ステアリングホイール81に上向きの衝撃荷重が加えられても、ステアリングコラム5の跳ね上げが抑制される。
また、上述したようにステアリング装置80は、ステアリングコラム5の後方側が前方側よりも上に位置するように傾斜している。このため、2次衝突時には、ステアリングホイール81に下向きの力が作用する可能性よりも、上向きの力が作用しステアリングコラム5の跳ね上げが生じる可能性の方が高い。本実施形態に係る傾斜面46は、ステアリングコラム5の後方側が前方側よりも上に位置するように傾斜している状態で、上端部46aが下端部46bよりも後方に位置するように傾斜している。これにより、ステアリングコラム5の後方側が前方側よりも上に位置するように傾斜している状態であっても、回り止め部材2が傾斜面46に接すると、回り止め部材2には傾斜面46からの反作用として下向きの力が作用する。このため、ステアリング装置80は、ステアリングコラム5の跳ね上げを抑制することができる。
なお、本実施形態において、アウターコラム51がインナーコラム54の後方側に配置されていたが、必ずしもこのような配置でなくてもよい。例えば、アウターコラム51がインナーコラム54の前方側に配置されていてもよい。アウターコラム51がインナーコラム54の前方側に配置される場合、インナーコラム54に取り付けられたディスタンスブラケット6がチルトブラケット4に挟まれる。また、アウターコラム51およびインナーコラム54は、必ずしも筒状でなくてもよく、2次衝突後にアウターコラム51およびインナーコラム54のうち一方が他方を回転中心軸100方向に案内できればよい。例えば、アウターコラム51およびインナーコラム54は、回転中心軸100方向に対して直交する平面で切った断面が略U字状等であってもよい。
以上で説明したように、本実施形態に係るステアリング装置80は、ステアリングコラム5と、ディスタンスブラケット6と、チルトブラケット4と、締付けロッド3と、回り止め部材2と、を備える。ステアリングコラム5は、ステアリングホイール81に連結される入力軸82aを回転可能に支持し、アウターコラム51およびインナーコラム54を含む。ディスタンスブラケット6は、ステアリングコラム5のアウターコラム51に取り付けられる。チルトブラケット4は、車体に対して離脱可能に取り付けられ、ディスタンスブラケット6を挟む側板部43と、後方側の端部に設けられ、かつ上端部46aが下端部46bよりも後方に位置するように傾斜している傾斜面46と、を備える。締付けロッド3は、ディスタンスブラケット6と側板部43に設けられる上下方向に長い貫通孔であるチルト調整孔44とを貫通する。回り止め部材2は、チルトブラケット4よりも後方側の位置でステアリングコラム5のアウターコラム51に取り付けられ、2次衝突時に傾斜面46に接する。
これにより、回り止め部材2が傾斜面46に接すると、回り止め部材2には傾斜面46からの反作用として下向きの力が作用することで、ステアリングコラム5の跳ね上げが抑制される。このため、ステアリングコラム5の上下方向の動きが抑制されやすくなる。よって、本実施形態に係るステアリング装置80は、2次衝突時におけるステアリングコラム5のチルト方向の動きを抑制し、衝撃吸収性能を安定させることができる。
また、本実施形態に係るステアリング装置80において、ディスタンスブラケット6は、締付けロッド3が貫通する貫通孔であって回転中心軸100方向に長い長孔62を備える。また、回り止め部材2から傾斜面46までの回転中心軸100方向の最短距離δ1は、締付けロッド3から長孔62の後方側の端部までの回転中心軸100方向の最短距離δ2よりも小さい。
これにより、2次衝突時において、アウターコラム51およびディスタンスブラケット6が一体に前方へ向かって移動すると、締付けロッド3が長孔62の後方側の端部に接する前に、回り止め部材2が傾斜面46に接する。これにより、ステアリング装置80は、衝撃荷重が締付けロッド3を介してチルトブラケット4に伝わることを防止することができる。よって、ステアリング装置80は、チルトブラケット4に作用する回転モーメントを抑制し、ステアリングコラム5の離脱荷重を安定させることができる。
また、本実施形態に係るステアリング装置80において、2次衝突時におけるチルトブラケット4と回り止め部材2との接触部分は、締付けロッド3の軸方向から見て、締付けロッド3よりも上下方向で回転中心軸100寄りに位置する。
これにより、回り止め部材2が傾斜面46に接するとき、反作用としてアウターコラム51に作用する回転モーメントが小さくなりやすくなる。このため、インナーコラム54に対するアウターコラム51のコジれが抑制されるので、アウターコラム51の前方への移動が滑らかになる。よって、本実施形態に係るステアリング装置80は、衝撃吸収性能をより安定させることができる。
また、本実施形態に係るステアリング装置80において、2次衝突時において、回り止め部材2のうち前方側のエッジ23が傾斜面46に接する。
これにより、回り止め部材2と傾斜面46とが面同士で接触する場合に比較して、回り止め部材2と傾斜面46との接触面積が小さくなる。このため、回り止め部材2と傾斜面46との間に生ずる摩擦力が大きくなり、ステアリングコラム5のチルト方向の動きがより抑制される。また、衝撃荷重の大きさに応じて、エッジ23は傾斜面46に食い込むことができる。これにより、回り止め部材2と傾斜面46との間に生ずる摩擦力がさらに大きくなり、ステアリングコラム5のチルト方向の動きがより抑制される。
また、本実施形態に係るステアリング装置80は、ステアリングコラム5を、締付けロッド3に平行な揺動中心軸200まわりに揺動可能に支持するピボットブラケット56を備える。締付けロッド3の軸方向から見て、チルト調整孔44の長辺の形状は、揺動中心軸200を中心とした円周に沿っており、傾斜面46に平行な直線と回転中心軸100とがなす角度αは、チルト調整孔44の長辺441、442に対する接線と回転中心軸100とがなす角度βよりも小さい。
これにより、回り止め部材2が傾斜面46に接しているときにステアリングコラム5に上向きの力が作用しても、回り止め部材2が傾斜面46に引っかかるため、締付けロッド3のチルト調整孔44に対する摺動が規制される。このため、ステアリングホイール81に上向きの衝撃荷重が加えられても、ステアリングコラム5の跳ね上げが抑制される。
(変形例)
図9は、変形例に係るステアリングコラムにおいて、締付けロッドがチルト調整孔の中間に位置する状態を示す側面図である。図10は、変形例に係るステアリングコラムにおいて、締付けロッドがチルト調整孔の最下部に位置する状態を示す側面図である。図11は、変形例に係るステアリングコラムにおいて、締付けロッドがチルト調整孔の最上部に位置する状態を示す側面図である。なお、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図9に示すように、ステアリングコラム5は、ピボットブラケット56によりチルト方向に揺動可能に支持されている。これにより、操作レバー53(図2参照)によってチルト位置の固定が解除された状態において、締付ロッド3はチルト調整孔44の中を移動することができる。図10に示すように、締付ロッド3がチルト調整孔44の最下部に位置するとき、ステアリングコラム5のチルト位置は最も下側の位置となる。図11に示すように、締付ロッド3がチルト調整孔44の最上部に位置するとき、ステアリングコラム5のチルト位置は最も上側の位置となる。
図10に示すように、締付ロッド3がチルト調整孔44の最下部に位置するとき、回り止め部材2の前方側端部のエッジ23から傾斜面46までの回転中心軸100方向の最短距離δ5は、締付けロッド3の表面から長孔62の後方側の端部までの回転中心軸100方向の最短距離δ2よりも小さく且つ略等しい。設計値としての最短距離δ5および最短距離δ2は、例えば、3mm以上5mm以下である。
ステアリングコラム5の組み立てにおいては誤差が生じる。このため、チルトブラケット4に対する回り止め部材2の相対的な位置が、設計時における位置からずれる可能性がある。したがって、最短距離δ5は許容差の範囲内で変動する。許容差は、設計値(基準値)と許容される最大寸法および最小寸法との差である。例えば、最短距離δ5の許容差は1mmである。このため、仮に最短距離δ5に許容差に等しい誤差が生じた場合であっても、実際の最短距離δ5は、2mm以上に保たれる。このため、締付ロッド3がチルト調整孔44の最下部に位置するとき、回り止め部材2は傾斜面46に接しない。したがって、ステアリング装置80においては、チルト位置の調整が阻害されにくい。なお、実際の距離とは、ステアリングコラム5の組み立て後における距離を意味し、設計値としての距離とは、設計時における距離すなわち許容差を加味していない距離を意味し、以下においても同様の意味で用いられる。
図11に示すように、締付ロッド3がチルト調整孔44の最上部に位置するとき、回り止め部材2の前方側端部のエッジ23から傾斜面46までの回転中心軸100方向の実際の最短距離δ6は、最短距離δ5よりも小さい。具体的には、実際の最短距離δ6は、実質的に0mmであることが好ましい。実質的に0mmとは、限りなく0mmに近いことを意味する。すなわち、締付ロッド3がチルト調整孔44の最上部に位置するとき、傾斜面46に平行な方向から見て、回り止め部材2の前方側端部のエッジ23と傾斜面46との間の隙間は実質的に0mmである微小隙間であることが好ましい。より具体的には、最短距離δ6の許容差が1mmである場合、設計値としての最短距離δ6は、例えば1mmより大きく且つ2mm以下である。このため、仮に最短距離δ6に許容差に等しい誤差(1mmの誤差)が生じた場合であっても、実際の最短距離δ6が0mmより大きくなる。このため、締付ロッド3がチルト調整孔44の最上部に位置するとき、回り止め部材2は傾斜面46に接しない。したがって、ステアリング装置80においては、チルト位置の調整が阻害されにくい。さらに、実際の最短距離δ6が1mm以下となる。これに応じて、締付けロッド3がチルト調整孔44の最上部付近に位置しているときの回り止め部材2から傾斜面46までの距離が小さくなるので、2次衝突が生じた時点から回り止め部材2が傾斜面46に接するまでの時間が短くなる。
なお、図11に示すように、締付ロッド3がチルト調整孔44の最上部に位置するとき、チルト調整孔44の内壁によって締付ロッド3の上側への移動が規制されている。このため、締付ロッド3がチルト調整孔44の最上部に位置するときに2次衝突が生じた場合のステアリングコラム5の跳ね上げは、締付ロッド3およびチルト調整孔44によって抑制される。すなわち、締付ロッド3がチルト調整孔44の最上部に位置するときに2次衝突が生じた場合のステアリングコラム5の跳ね上げは、回り止め部材2が傾斜面46に接触しなくても抑制される。
なお、最短距離δ5および最短距離δ6の許容差は、必ずしも1mmではなく、他の値となることもある。設計値としての最短距離δ5は、必ずしも3mm以上5mm以下でなくてもよく、許容差の大きさまたはチルト調整孔44の長辺441および長辺442(図9参照)の曲率に応じて3mm以下または5mm以上であってもよい。また、設計値としての最短距離δ6は、必ずしも1mmより大きく且つ2mm以下でなくてもよく、許容差の大きさに応じて1mm以下または2mm以上であってもよい。
なお、実際の最短距離δ6は、0mmであってもよい。すなわち、締付ロッド3がチルト調整孔44の最上部に位置するとき、傾斜面46に平行な方向から見て、回り止め部材2の前方側端部のエッジ23と傾斜面46との間の隙間はなくてもよい。言い換えると、締付ロッド3がチルト調整孔44の最上部に位置するとき、回り止め部材2が傾斜面46に接していてもよい。
以上で説明したように、変形例に係るステアリング装置80において、締付けロッド3がチルト調整孔44の最上部に位置しているときの回り止め部材2から傾斜面46までの回転中心軸100方向の最短距離δ6は、締付けロッド3がチルト調整孔44の最下部に位置しているときの回り止め部材2から傾斜面46までの回転中心軸100方向の最短距離δ5よりも小さい。
これにより、締付けロッド3がチルト調整孔44の最上部付近に位置するときの、回り止め部材2から傾斜面46までの距離が小さくなる。このため、締付けロッド3がチルト調整孔44の最上部付近に位置している場合の、2次衝突が生じた時点から回り止め部材2が傾斜面46に接するまでの時間が短くなる。したがって、ステアリング装置80は、2次衝突が生じてからステアリングコラム5のチルト方向の動きが抑制されるまでの時間を短縮することができる。
また、締付けロッド3がチルト調整孔44の最上部に位置しているとき、回り止め部材2から傾斜面46までの回転中心軸100方向の最短距離δ6は、実質的に0である。
これにより、締付けロッド3がチルト調整孔44の最上部付近に位置している場合の、2次衝突が生じた時点から回り止め部材2が傾斜面46に接するまでの時間がより短くなる。したがって、ステアリング装置80は、2次衝突が生じてからステアリングコラム5のチルト方向の動きが抑制されるまでの時間をより短縮することができる。
また、締付けロッド3がチルト調整孔44の最上部に位置しているとき、回り止め部材2は、傾斜面46に接している。
これにより、締付けロッド3がチルト調整孔44の最上部付近に位置している場合の、2次衝突が生じた時点から回り止め部材2が傾斜面46に接するまでの時間がより短くなる。したがって、ステアリング装置80は、2次衝突が生じてからステアリングコラム5のチルト方向の動きが抑制されるまでの時間をより短縮することができる。
11 離脱カプセル
11h カプセル取付孔
12p 樹脂部材
2 回り止め部材
21 取付部
22 突出部
23 エッジ
3 締付けロッド
31 ナット
32 スラストベアリング
33 固定カム
34 回転カム
35 頭部
36 ねじ部
37 スペーサー
38 チルトバネ
4 チルトブラケット
41 取付板部
43 側板部
44 チルト調整孔
441、442 長辺
45 傾斜板部
46 傾斜面
46a 上端部
46b 下端部
5 ステアリングコラム
51 アウターコラム
53 操作レバー
54 インナーコラム
57 エネルギー吸収プレート
6 ディスタンスブラケット
61 側板部
62 長孔
63 底板部
70 電動モータ
80 ステアリング装置
81 ステアリングホイール
82 ステアリングシャフト
82a 入力軸
82b 出力軸
83 操舵力アシスト機構
84 ユニバーサルジョイント
85 ロアシャフト
86 ユニバーサルジョイント
87 ピニオンシャフト
88 ステアリングギヤ
88a ピニオン
88b ラック
89 タイロッド
90 ECU
91a トルクセンサ
91b 車速センサ
92 減速装置
98 イグニッションスイッチ
99 電源装置
100 回転中心軸
200 揺動中心軸

Claims (8)

  1. ステアリングホイールに連結される入力軸を回転中心軸を中心に回転可能に支持するステアリングコラムと、
    前記ステアリングコラムに取り付けられるディスタンスブラケットと、
    車体に対して離脱可能に取り付けられ、前記ディスタンスブラケットを挟む側板部を備えるチルトブラケットと、
    前記ディスタンスブラケットと前記側板部に設けられる上下方向に長い貫通孔であるチルト調整孔とを貫通する締付けロッドと、
    前記チルトブラケットよりも車両後方側の位置で前記ステアリングコラムに取り付けられる回り止め部材と、を備え、
    前記チルトブラケットは、車両後方側の端部に設けられ、かつ上側が下側よりも車両後方に位置するように傾斜している傾斜面を備え、
    前記回り止め部材は、2次衝突時に前記傾斜面に接する
    ことを特徴とするステアリング装置。
  2. 前記ディスタンスブラケットは、前記締付けロッドが貫通する貫通孔であって前記回転中心軸方向に長い長孔を備え、
    前記回り止め部材から前記傾斜面までの前記回転中心軸方向の最短距離は、前記締付けロッドから前記長孔の車両後方側の端部までの前記回転中心軸方向の最短距離よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載のステアリング装置。
  3. 2次衝突時における前記チルトブラケットと前記回り止め部材との接触部分は、前記締付けロッドの軸方向から見て、前記締付けロッドよりも上下方向で前記回転中心軸寄りに位置すること特徴とする請求項1または2に記載のステアリング装置。
  4. 2次衝突時において、前記回り止め部材のうち車両前方側のエッジが前記傾斜面に接することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のステアリング装置。
  5. 前記ステアリングコラムを、前記締付けロッドに平行な揺動中心軸まわりに揺動可能に支持するピボットブラケットを備え、
    前記締付けロッドの軸方向から見て、前記チルト調整孔の長辺の形状は、前記揺動中心軸を中心とした円周に沿っており、
    前記締付けロッドの軸方向から見て、前記傾斜面に平行な直線と前記回転中心軸とがなす角度は、前記チルト調整孔の長辺に対する接線と前記回転中心軸とがなす角度よりも小さいことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のステアリング装置。
  6. 前記締付けロッドが前記チルト調整孔の最上部に位置しているときの前記回り止め部材から前記傾斜面までの前記回転中心軸方向の最短距離は、前記締付けロッドが前記チルト調整孔の最下部に位置しているときの前記回り止め部材から前記傾斜面までの前記回転中心軸方向の最短距離よりも小さいこと特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のステアリング装置。
  7. 前記締付けロッドが前記チルト調整孔の最上部に位置しているとき、前記回り止め部材から前記傾斜面までの前記回転中心軸方向の最短距離は、実質的に0であることを特徴とする請求項6に記載のステアリング装置。
  8. 前記締付けロッドが前記チルト調整孔の最上部に位置しているとき、前記回り止め部材は、前記傾斜面に接していることを特徴とする請求項6に記載のステアリング装置。
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