JPH07149245A - ステアリング装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 車両の衝突時に運転者がステアリングホィー
ルに衝突したとき、チルトブラケットに作用する曲げモ
ーメントの大きさを低減して、車体側に対するチルトブ
ラケットのこじれを抑制する。 【構成】 車両用ステアリング装置１０のアッパコラム
１を支持するチルトブラケット２４が、車体側に固定さ
れたワンウェイカプセル８と係合し、チルトブラケット
２４の後端縁２８に近接したアッパコラム１外面にスト
ッパ２９が突設されると共に、チルト機構２５のチルト
ボルト５が係合するチルトブラケット２４のＵ字形溝２
７の上部に切欠き３０が形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、車両のステアリング装
置、とくに、車両の衝突時に運転者を保護するため、運
転者からの衝撃に対してエネルギ吸収をしながらステア
リングコラムが前方へ変位するものに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の車両におけるステアリング装置
は、実開平２ー１２３４７２号公報や図２に示されてい
るように、アッパーコラム１とロアコラム２との間にか
しめ部が設けられたり、コラムブッシュ、ボール等が圧
入されていて、車両の衝突時に運転者が慣性によりステ
アリングホイール３へ衝突したとき、ロアコラム２に対
してアッパーコラム１が軸方向に沿って前方へ変位する
ことにより上記各部が塑性変形して、運転者の運動エネ
ルギが適宜吸収されるように構成されている一方、アッ
パーコラム１とチルトブラケット４との間にはチルト機
構が設けられ、そのチルトボルト５を図示しないチルト
ハンドルにより適宜回動させ、チルトブラケット４に対
してアッパーコラム１を緊締し、または、緩めることに
より、チルトブラケット４内におけるアッパーコラム１
の位置を上下に調整して、ステアリングホイール３を上
下にチルトさせることができるようになっている。

【０００３】また、チルトブラケット４の左右のフラン
ジ部６における後向き凹所７にアルミ製ワンウェイカプ
セル８が嵌め込まれて、凹所７の両側縁９とワンウェイ
カプセル８の両側溝１０とが係合し、かつ、ワンウェイ
カプセル８の上面から凹所７両側のピン孔１１に図示し
ない樹脂製ピンが差し込まれ、さらに、ワンウェイカプ
セル８に形成された前後方向の長孔１２を上方へ挿通す
るボルトによりワンウェイカプセル８が車体側に固定さ
れて、チルトブラケット４がワンウェイカプセル８を介
して車体側に取り付けられている。

【０００４】従って、前記のように運転者がステアリン
グホイール３へ衝突したときには、アッパーコラム１、
チルトブラケット４及びチルト機構が一体的に前方に付
勢され、上記樹脂製ピンを剪断してワンウェイカプセル
８に対しアッパーコラム１、チルトブラケット４及びチ
ルト機構が前方へ変位し、上記のようにアッパーコラム
１とロアコラム２との間で適当なエネルギ吸収が行われ
る。

【０００５】しかしながら、チルト機構のチルトボルト
５とワンウェイカプセル８との間には略上下方向のオフ
セットがあるため、車両の衝突時に運転者がステアリン
グホイール３へ衝突したとき、その衝撃力がアッパーコ
ラムを経てチルトボルト５の周辺に作用すると、上記の
略上下方向オフセットによりチルトブラケット４には、
フランジ部６及びワンウェイカプセル８の嵌合部分を中
心とする前方への大きな曲げモーメントが作用するの
で、図３に示されているように、車体側に固定されたワ
ンウェイカプセル８の側溝１０に対してチルトブラケッ
トフランジ部６の凹所側縁９が斜めにこじれることにな
り、このため、側縁９が側溝１０内を設定荷重ではすべ
りにくくなって、チルトブラケット４がワンウェイカプ
セル８から前方へ外れにくくなるおそれがあった。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、車両の衝突
時に運転者がステアリングホイールへ衝突したとき、チ
ルトブラケットに作用する曲げモーメントの大きさを低
減して、車体側に対するチルトブラケットのこじれを抑
制しようとするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】このため、本発明にかか
るステアリング装置は、車体側に取り付けられてステア
リングコラムを支持するチルトブラケット、同チルトブ
ラケットに係合して同チルトブラケットに対する上記ス
テアリングコラムの支持位置を調節するチルトボルト及
び上記チルトブラケットと上記チルトボルトとの係合部
分よりも上記車体側への取り付け部分に近い上記チルト
ブラケットの後端縁に近接し上記ステアリングコラムの
外面に突設されたストッパをそなえ、上記チルトブラケ
ットに前方への弱点部が設けられている。

【０００８】

【作用】従って、車両の衝突時に運転者がステアリング
装置へ衝突したとき、ステアリングコラムを経てチルト
ボルトの周辺に前方への衝撃力が作用すると、チルトボ
ルトが係合しているチルトブラケットがその弱点部にお
いて比較的容易に変形し、チルトボルトと共にステアリ
ングコラムが相対的に前方へ変位することができるの
で、チルトブラケットの後端縁に近接してステアリング
コラムの外面に突設されたストッパがチルトブラケット
に当接し、それ以後はステアリングコラムへの衝撃力が
ストッパからチルトブラケットの後端縁に作用する。こ
の場合、チルトブラケットとストッパとは、チルトブラ
ケットとチルトボルトとの係合部分よりも、車体側に対
するチルトブラケットの取り付け部分に近い点において
当接するため、上記衝撃力により車体側への取り付け部
分を中心としてチルトブラケットに作用する曲げモーメ
ントは、上記衝撃力がチルトボルトの周辺に作用する従
来装置と比較して確実に低減され、従って、車体側に対
するチルトブラケットの取り付け部分にこじれが生じる
ことは容易に抑制することができる。

【０００９】

【実施例】以下、本発明の実施例について、前記従来装
置と同等部分には同一符号を付けて説明する。図１にお
いて、車両用ステアリング装置２０のアッパーコラム１
とロアコラム２との間には、円筒状のコラムブッシュ２
１と、そのコラムブッシュ２１の小孔に嵌め込まれたボ
ール２２とが圧入されていて、車両の衝突時に運転者が
慣性によりステアリングホイールへ衝突したとき、ロア
コラム２に対してアッパーコラム１が軸方向に沿って前
方へ変位することにより、ボール２２がコラム１、２を
塑性変形させて、運転者の運動エネルギを適宜吸収する
エネルギ吸収部２３が構成されている。

【００１０】一方、アッパーコラム１とチルトブラケッ
ト２４との間には周知のチルト機構２５が設けられ、そ
のチルトハンドル２６を適宜操作してチルトボルト５を
回動させることにより、アッパーコラム１とチルトブラ
ケット２４との間の連結をゆるめ、チルトブラケット２
４のＵ字形溝２７に沿いチルトボルト５を上下させて、
それに伴うアッパーコラム１の上下動によりステアリン
グホイールを適当な高さにチルトさせ、また、チルトハ
ンドル２６の逆操作によりチルトボルト５を逆方向に回
動させて、チルトブラケット２４に対しアッパーコラム
１を緊締し、アッパーコラム２１をその位置に保持する
ことができる。

【００１１】また、前記従来装置と同様に、チルトブラ
ケット２４の左右フランジ部６がアルミ製ワンウェイカ
プセル８の側溝１０に係合されると共に、ワンウェイカ
プセル８に形成された図示しない長孔を上方へ挿通する
ボルトによりワンウェイカプセル８が車体側に固定され
て、チルトブラケット２４がワンウェイカプセル８を介
して車体側に取り付けられている。

【００１２】さらに、チルトボルト５が係合しているチ
ルトブラケット２４のＵ字形溝２７よりも上方でフラン
ジ部６の近くにおいて、チルトブラケット２４の後端縁
２８に近接するようにアッパーコラム１の外面にストッ
パ２９が突設され、また、チルトブラケット２４のＵ字
形溝２７の上部には前方に向かった切欠き３０が形成さ
れている。

【００１３】従って、車両の衝突時に運転者がステアリ
ング装置へ衝突したとき、アッパーコラム２１を経てチ
ルト機構２５のチルトボルト５周辺に前方への衝撃力が
作用すると、チルトボルト５が係合するチルトブラケッ
ト２４の下部が切欠き３０の存在により比較的容易に前
方へ変形することができるので、チルトボルト５と共に
アッパーコラム１が相対的に前方へ変位して、アッパー
コラム１外面のストッパ２９がチルトブラケット２４の
後端縁２８に当接するに至る。

【００１４】すなわち、それまでは、チルトブラケット
２４に対する上記衝撃力の作用点がチルトブラケット２
４に係合するチルトボルト５の周辺であったが、切欠き
３０によるチルトブラケット２４の変形後は、上記衝撃
力の作用点がチルトブラケット後端縁２８とストッパ２
９との当接部分に移動して、上記衝撃力の作用点とワン
ウェイカプセル８に係合するチルトブラケットフランジ
部６との距離が大幅に減少するので、チルトブラケット
フランジ部６を中心としてチルトブラケット２４に作用
する曲げモーメントも大幅に低減され、このため、チル
トブラケットフランジ部６とこれに係合するワンウェイ
カプセル８との間にこじれが生じることは容易に抑制さ
れる。

【００１５】その結果、チルトブラケットフランジ部６
とワンウェイカプセル８との係合部分における摺動抵抗
が極端に増加することはなくなり、所定の前方衝撃力に
よりチルトブラケットフランジ部６がワンウェイカプセ
ル８の側溝１０内を摺動して、チルトブラケット２４が
ワンウェイカプセル８から確実に離脱し、これに伴って
アッパーコラム１の前方変位が容易に許容されるので、
車両の衝突時に運転者がステアリング装置へ衝突したと
きの運動エネルギがエネルギ吸収部２３により適宜吸収
され、運転者に大きな衝撃力が作用することは確実に防
止されて、運転者を所期のとおり保護することができ
る。

【００１６】

【発明の効果】本発明にかかるステアリング装置におい
ては、車両の衝突時に運転者がステアリング装置へ衝突
し、ステアリングコラムを経てチルトボルトの周辺に前
方への衝撃力が作用したとき、その衝撃力の作用点がチ
ルトボルト周辺からステアリングコラム外面のストッパ
位置にまで移動して、上記衝撃力によりチルトブラケッ
トに作用する曲げモーメントが従来装置と比較して確実
に低減され、車体側に対するチルトブラケットの取り付
け部分にこじれが生じることを容易に抑制することがで
きるので、車体側からステアリングコラムを確実に離脱
させて、他のエネルギ吸収装置等の作動により運転者の
運動エネルギを所定どおり吸収するようにして、運転者
に大きな衝撃力が作用することを確実に防止し、運転者
を十分に保護することが容易となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例における一部破断側面図。

【図２】従来装置の要部分解斜視図。

【図３】上記従来装置の作用説明図。

【符号の説明】

１ アッパーコラム ２ ロアコラム ５ チルトボルト ６ フランジ部 ８ ワンウェイカプセル ２０ ステアリング装置 ２３ エネルギ吸収部 ２４ チルトブラケット ２７ Ｕ字形溝 ２８ チルトブラケット後端縁 ２９ ストッパ ３０ 切欠き

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 車体側に取り付けられてステアリングコ
   ラムを支持するチルトブラケット、同チルトブラケット
   に係合して同チルトブラケットに対する上記ステアリン
   グコラムの支持位置を調節するチルトボルト及び上記チ
   ルトブラケットと上記チルトボルトとの係合部分よりも
   上記車体側への取り付け部分に近い上記チルトブラケッ
   トの後端縁に近接し上記ステアリングコラムの外面に突
   設されたストッパをそなえ、上記チルトブラケットに前
   方への弱点部が設けられたステアリング装置。