JP6503853B2 - 加工装置および加工方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ワークに対し切削等の加工を行う加工装置および加工方法に関する。
従来、切削加工等を行う加工装置は、ベッド、テーブル、ワークを固定するワーク固定部、及び、工具を取り付ける工具取付部などの構成部材を備えている。これらの構成部材のうちいくつかのものは、例えばリニアモータアクチュエータまたはボールねじなどの移動手段により、互いに相対移動可能に取り付けられている。
従来の加工装置は、ワークの加工位置と工具との位置を定める際、構成部材同士が相対移動する移動量を、リニアモータアクチュエータまたはボールねじなどに設けられたエンコーダによって検出ている。このエンコーダは、ワークまたは工具から構成部材を介して離れた位置に設けられている。そのため、構成部材の温度変化による熱変位、及び、構成部材への振動などにより、構成部材と共に工具を移動した際、ワークの加工位置と工具との位置が、目標とする位置からずれるおそれがある。例えば、構成部材の材質が鉄である場合、100mmあたり温度1℃上昇で約1170nmの熱変位が生じる。
これを防ぐため、環境温度を一定に保つ恒温室に加工装置を設置し、さらに外部から加工装置へ伝わる振動を吸収する除振台を加工装置に設置すると、設備コストが増加する。
特開2008−105134号公報
ところで、特許文献1に記載の加工装置は、工具とワークとの間に放電を生じさせ、加工の原点となる位置を検出し、その原点を起点としてワークの加工を開始している。しかし、特許文献1には、加工の原点を検出した後、継続して加工を行う際に構成部材の移動量を検出する手段について記載されていない。そのため、特許文献1に記載の加工装置も、従来の加工装置と同様のエンコーダを使用した場合、加工開始後に構成部材を移動した際、ワークの加工位置と工具との位置が、目標とする位置からずれるおそれがある
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、ワークに設定された加工位置に正確に加工することの可能な加工装置および加工方法を提供することを目的とする。
第1発明の加工装置は、ワーク固定部、工具設置部、移動手段、位置表示部、位置センサおよび制御部を備える。ワーク固定部は、ワークを固定可能である。工具設置部は、ワークに向き合う位置に工具を設置する。移動手段は、ワーク固定部と工具設置部とを相対移動する。位置表示部は、時刻情報を含む電波を発信する発信機であり、ワークから加工位置を示し、又は、ワークに隣接して設けられた基準部材からワークの加工位置に対応する対応位置を示す。位置センサは、発信機が発信した電波を受信可能な受信機であり、加工位置または対応位置を検出することにより、加工位置と工具との位置関係を連続または断続して検出する。制御部は、位置センサが検出する情報に基づき、工具設置部と共に移動する工具の位置とワークの加工位置とが一致するように移動手段の駆動を制御する。
これにより、位置センサは、ワークから示された加工位置、又は、基準部材から示された対応位置に基づき、加工位置と工具との位置関係を連続又は断続して近距離で検出することが可能である。そのため、制御部が移動手段の駆動を制御する際、加工装置の構成部材の熱による変位、又は振動による位置ずれなどの影響が低減される。したがって、加工装置は、ワークの所定範囲に設定された加工位置に対し、工具を高精度に位置決めすることで、その位置に正確に加工を行うことができる。
第2発明は加工方法の発明である。加工方法は、ワーク固定工程、位置検出工程、移動制御工程、および加工工程を含む。ワーク固定工程は、ワーク固定部にワークを固定する。位置検出工程は、発信機によりワークの加工位置または基準部材の対応位置を検出することにより、加工位置と工具との位置関係を連続又は断続して検出する。移動制御工程は、位置センサである受信機が検出する情報に基づき、工具の位置とワークの加工位置とが一致するように、移動手段の駆動を制御する。加工工程は、工具設置部に設けられた工具駆動手段により工具を動かし、ワークを加工する。
これにより、第2発明は、第1発明と同様の作用効果を奏することが可能である。
本発明の第1実施形態による加工装置の構成図である。 図1のII方向におけるワークの平面図である。 第1実施形態の加工装置を用いた加工方法のフローチャートである。 本発明の第2実施形態による加工装置の構成図である。 図4のV方向におけるワーク及び基準部材の平面図である。 本発明の第3実施形態による加工装置の構成図である。 図6のVII方向におけるワーク及び原子時計の平面図である。 本発明の第4実施形態による加工装置の構成図である。 図8のIX部分の拡大図である。 本発明の第5実施形態による加工装置の構成図である。 図10のXI方向の矢視図である。 本発明の第6実施形態による加工装置の構成図である。
以下、本発明の複数の実施形態による加工装置を図面に基づいて説明する。複数の実施形態において、実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態を図1から図3に示す。本実施形態では、例えば精密光学部品などの樹脂成形品の表面形状を形成するための金型を切削加工する加工装置1について説明する。即ち、本実施形態の加工装置1が加工対象とするワーク2は、金型である。
加工装置1は、ベッド10、第1−第3テーブル11,12,13、ワーク固定部14、工具設置部15、圧電素子16、位置表示部17、位置センサ18、制御部19および第1−第3リニアモータアクチュエータ21,22,23、を備えている。
ベッド10は、工場などの設備設置面3に設置される。ベッド10に対し、第1−第3テーブル11,12,13が相対移動可能に設けられている。
第1テーブル11と第2テーブル12は、ベッド10の上で向き合うように設けられる。第1テーブル11に対し、第3テーブル13が相対移動可能に設けられる。
第3テーブル13に、ワーク固定部14が固定されている。ワーク固定部14は、ワーク2を固定することが可能である。
一方、第2テーブル12に、工具設置部15が固定されている。工具設置部15は、ワーク2に向き合う位置に工具4を設置することが可能である。なお、本実施形態の工具4は、例えばワーク2を切削可能な刃物である。
第1−第3テーブル11,12,13は、設備設置面3をXZ平面とした三次元直交座標系に基づいて移動可能である。第1テーブル11はベッド10に対しZ軸方向に往復移動可能であり、第2テーブル12はベッド10に対しX軸方向に往復移動可能であり、第3テーブル13は第1テーブル11に対しY軸方向に往復移動可能である。そのため、ワーク固定部14と工具4とは、X,Y,Z軸方向に相対移動可能である。
ベッド10と第1テーブル11との相対移動、ベッド10と第2テーブル12との相対移動、第1テーブル11と第3テーブル13との相対移動は、それぞれ第1−第3リニアモータアクチュエータ21,22,23によって行われる。第1−第3リニアモータアクチュエータ21,22,23は、特許請求の範囲に記載の「移動手段」の一例に相当する。
第1−第3リニアモータアクチュエータ21,22,23は、いずれも、固定子211,221,231と可動子212,222,232から構成されている。第1リニアモータアクチュエータを構成する固定子211または可動子212の一方はベッド10に固定され、他方は第1テーブル11に固定される。第2リニアモータアクチュエータを構成する固定子221または可動子222の一方はベッド10に固定され、他方は第2テーブル12に固定される。第3リニアモータアクチュエータを構成する固定子231または可動子232の一方は第1テーブル11に固定され、他方は第3テーブル13に固定される。
第1−第3リニアモータアクチュエータ21,22,23を駆動することにより、ワーク固定部14と工具設置部15とを、X,Y,Z軸方向に相対移動させることができる。
なお、第1−第3リニアモータアクチュエータ21,22,23は、ベッド10及び第1−第3テーブル11,12,13を介すことなく、ワーク固定部14と工具設置部15とを直接相対移動する構成としてもよい。
工具設置部15には、例えばピエゾアクチュエータなどの圧電素子16が設けられている。本実施形態の圧電素子16は、特許請求の範囲に記載の「工具駆動手段」の一例に相当する。圧電素子16は、電圧を印加されることでその体格が伸長し、工具設置部15に対しZ軸方向に工具4を動かす。この圧電素子16による工具4の動作により、ワーク2をZ軸方向に所定の深さに切削加工することが可能である。
図2に示すように、ワーク2に切削加工がされるワーク2の加工表面には、加工位置が直接示された位置表示部17が設けられている。なお、ワーク2の加工表面は、平面であってもよく、または、曲面であってもよい。
本実施形態の位置表示部17は、ワーク2の複数の加工位置を、例えば格子状のスケールにより、ワーク2の加工表面に連続または断続して示すものである。なお、本実施形態では、位置表示部17を構成するスケールは、格子の1マスの長さが、例えば数nmから数十nmである。ワーク2に刻まれたスケールの1マス又は複数のマス目が、ワーク2に切削加工が行われる1つの加工位置に対応するものである。
図1及び図2に示すように、位置表示部17に向き合う位置において、工具設置部15または工具4には、位置センサ18が設けられている。なお、図2では、工具4の投影位置と位置センサ18の投影位置の一例を破線で示している。この投影位置は、ワーク固定部14と工具設置部15との相対移動により変化するものである。
位置センサ18は、第2テーブル12と共に移動する工具設置部15または工具4の移動に伴い、スケールのマス目により示された加工位置と工具4との位置関係を連続または断続して検出することが可能である。位置センサ18の検出した情報は、シーケンサ等の制御部19に伝送される。
制御部19は、CPU,RAM及びROM等を有するコンピュータにより構成される。制御部19は、位置センサ18が検出する情報を参照し、工具4の位置とワーク2の加工位置とが一致するように、第1−第3リニアモータアクチュエータ21,22,23の駆動をフィードバック制御する。また、制御部19は、ワーク2の所定の加工位置の切削加工が終了し、次の所定の加工位置に工具4を移動する際にも、位置センサ18が検出する情報を参照し、工具4の位置とワーク2の次の所定の加工位置とが一致するように、第1−第3リニアモータアクチュエータ21,22,23の駆動をフィードバック制御する。
続いて、本実施形態の加工装置1を用いた加工方法について、図3を参照して説明する。
なお、図3では、ステップをSと表示している。
まず、ステップ1は、ワーク固定工程(S1)であり、ワーク固定部14にワーク2を固定する。
次に、ステップ2は、位置検出工程(S2)であり、位置センサ18が、ワーク2に示されたスケールのn番目の加工位置と工具4との位置関係を検出する。なお、n番目の加工位置とは、格子状のスケールの所定の加工位置を意味するものである。加工開始において、n=1に設定されている。
続いて、ステップ3は、移動制御工程(S3)であり、制御部19が、位置センサ18が検出する情報を参照し、ワーク2のn番目の加工位置と工具4の位置とが一致するように、第1−第3リニアモータアクチュエータ21,22,23の駆動をフィードバック制御する。
次に、ステップ4は、加工工程(S4)であり、工具設置部15に設けられた圧電素子16に電圧を印加する。これにより、圧電素子16がZ軸方向ワーク2側へ伸長し、工具4によりワーク2の所定の加工位置が切削加工される。
続いて、ステップ5では、n=n+1として、再び、処理をステップ2に戻す。
その後、ステップ2からステップ5の処理が繰り返し実行される。そのため、位置センサ18は、位置表示部17において次の所定の加工位置を検出する。また、制御部19は、次の所定の加工位置と工具4の位置とが一致するように、第1−第3リニアモータアクチュエータ21,22,23の駆動をフィードバック制御する。
このようにして、この加工方法は、ワーク2の所定範囲に連続または断続して設定された加工位置に対し、工具4を高精度に位置決めすることで、その位置に正確に加工を行うことが可能である。
第1実施形態の加工装置1および加工方法は、次の作用効果を奏する。
(1)第1実施形態の加工装置1は、位置表示部17が、ワーク2から加工位置を示す。位置センサ18は、加工位置を検出することにより、加工位置と工具4との位置関係を連続または断続して検出する。制御部19は、位置センサ18が検出する情報を参照し、工具4の位置とワーク2の加工位置とが一致するように第1−第3リニアモータアクチュエータ21,22,23の駆動を制御する。
これにより、位置センサ18は、ワーク2から示された加工位置に基づき、加工位置と工具4との位置関係を連続又は断続して近距離で検出することが可能である。そのため、制御部19が第1−第3リニアモータアクチュエータ21,22,23の駆動を制御する際、第1−第3テーブル11,12,13および工具設置部15などの振動による位置ずれ、又は、第1−第3テーブル11,12,13および工具設置部15などの熱による変位などの影響が低減される。したがって、加工装置1は、ワーク2の所定範囲に示された加工位置に対し、工具4を高精度に位置決めすることで、その位置に正確に加工を行うことができる。
(2)第1実施形態の加工装置1は、位置表示部17が、ワーク2から加工位置を連続または断続して示している。
これにより、加工装置1は、ワーク2の所定範囲に連続または断続して示された加工位置に対し、工具4を高精度に位置決めすることができる。
(3)第1実施形態の加工装置1は、工具駆動手段としての圧電素子16が、工具設置部15に設けられている。
これにより、圧電素子16から工具4へ駆動力が直接伝わるので、ワーク2の加工の際、第1−第3テーブル11,12,13の熱変位などの影響を低減することが可能である。
(4)第1実施形態の加工装置1は、位置表示部17が、ワーク2の加工表面に加工位置を直接示している。
これにより、位置センサ18は、加工位置と工具4との位置関係を連続又は断続して近距離で検出することが可能である。
(5)第1実施形態の加工装置1は、圧電素子16への電圧の印加により工具4を動かす。
これにより、圧電素子16に印加する電圧の制御により、ワーク2を正確に加工することが可能である。
(6)第1実施形態の加工方法は、移動制御工程(S3)においてワーク2の加工位置と工具4の位置とを一致させた後、加工工程(S4)において圧電素子16により工具4を動かし、ワーク2を加工する。
これにより、第1−第3リニアモータアクチュエータ21,22,23により工具4の位置を定めた後、工具4を動かす際に、圧電素子16から工具4に動力が直接伝わるので、ワーク2の加工位置と工具4の位置との位置ずれを防ぐことが可能である。
(7)第1実施形態の加工方法は、ワーク2の所定位置を加工した後、次に加工するワーク2の次の所定位置と工具4の位置とが一致するように第1−第3リニアモータアクチュエータ21,22,23の駆動を制御し、位置検出工程(S2)、移動制御工程(S3)および加工工程(S4)を繰り返し行う。
これにより、本実施形態の加工方法は、ワーク2の所定範囲に設定された複数箇所の加工位置に対し、正確な加工を行うことができる。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態を図4および図5に示す。第2実施形態では、ワーク2に並んで基準部材20がワーク固定部14に固定されている。ワーク2と基準部材20とは、ワーク2の加工表面と基準部材20の位置センサ18側の表面とが平行であり、且つ、同一形状または相似形状である。基準部材20の位置センサ18側の表面には、加工位置が示された位置表示部17が設けられている。本実施形態の位置表示部17は、ワーク2の複数の加工位置に対応する複数の対応位置を、例えば格子状のスケールにより、基準部材20に連続または断続して示すものである。
基準部材20に向き合う位置において、工具設置部15または工具4には、位置センサ18が設けられている。なお、図5では、工具4の投影位置と位置センサ18の投影位置の一例を破線で示している。この投影位置は、ワーク固定部14と工具設置部15との相対移動により変化するものである。
位置センサ18は、工具設置部15または工具4の移動に伴い、基準部材20に示された対応位置を連続または断続して検出する。これにより、位置センサ18は、ワーク2の加工位置と工具4との位置関係を連続または断続して検出することが可能である。
第2実施形態では、位置表示部17が、ワーク2に隣接して設けられた基準部材20から加工位置を連続または断続して示す。位置センサ18は、基準部材20に示された対応位置を検出することにより、加工位置と工具4との位置関係を連続または断続して検出する。
これにより、位置センサ18は、基準部材20に示された対応位置に基づき、加工位置と工具4との位置関係を連続又は断続して近距離で検出することが可能である。そのため、第2実施形態においても、第1実施形態と同様の作用効果を奏することが可能である。
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態を図6および図7に示す。第3実施形態では、ワーク2の3か所に発信機30が固定されている。なお、発信機30は、ワーク固定部14に固定してもよい。これらの発信機30は、時刻情報を含む電波を発信する原子時計である。
一方、工具設置部15または工具4には、発信機30が発信した電波を受信可能な受信機31が設けられている。なお、図7では、工具4の投影位置と受信機31の投影位置の一例を破線で示している。この投影位置は、ワーク固定部14と工具設置部15との相対移動により変化するものである。
第3実施形態では、発信機30が特許請求の範囲に記載の「位置表示部」の一例に相当し、受信機31が特許請求の範囲に記載の「位置センサ」の一例に相当する。
受信機31が受信した時刻情報は、制御部19に伝送される。制御部19は、発信機30から発信された時刻情報と受信機31の受信時刻に基づき、発信機30の電波が発信された方位と距離を算出し、ワーク2の加工位置と工具4との位置関係を検出することが可能である。
第3実施形態では、ワーク2に原子時計である発信機30が固定され、工具設置部15または工具4に受信機31が設けられる。
これにより、制御部19は、GPS(Global Positioning System)と実質的に同一の方法により、ワーク2の加工位置と工具4との位置関係を例えば数nmから数十nmの単位で正確に検出することが可能である。
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態を図8および図9に示す。第4実施形態では、ワーク2に並んで基準部材20がワーク固定部14に固定されている。ワーク2と基準部材20とは、ワーク2の加工表面と基準部材20の表面とが平行であり、且つ、同一形状または相似形状である。
一方、基準部材20に向き合う位置において、工具設置部15には、基準部材20の表面171に当接可能な当接部181が固定されている。
第4実施形態では、基準部材20の表面171が特許請求の範囲に記載の「位置表示部」の一例に相当し、当接部181が特許請求の範囲に記載の「位置センサ」の一例に相当する。
当接部181は、エアシリンダ、カム又はスプリング等の付勢部材182により、基準部材20の表面171に向けて付勢され、基準部材20の表面171に当接する。当接部181と工具4とは、工具設置部15を介して固定されている。なお、当接部181と工具4とを直接固定してもよい。当接部181は、工具設置部15または工具4が移動する際にも、付勢部材182の付勢力により、基準部材20の表面171に連続して当接する。
基準部材20の表面171と当接部181とが当接した状態で、工具4の先端の位置とワーク2の加工表面の位置とが一致する。これにより、制御部19は、当接部181により、ワーク2の加工位置と工具4とのZ軸方向における位置関係を連続して検出することが可能である。
基準部材20の表面171と当接部181とが当接した状態で、制御部19は、圧電素子16に電圧を印加することにより、ワーク2に加工を行うことができる。
第4実施形態では、工具設置部15に固定される当接部181が、ワーク2の加工表面と平行に延びる基準部材20の表面171に当接可能である。
これにより、ワーク2の加工位置である加工表面と工具4の先端の位置とを一致させることが可能である。したがって、加工装置1は、ワーク2の加工表面から深さ方向(Z軸方向)に正確に加工を行うことが可能である。
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態を図10および図11に示す。第5実施形態の加工装置1は、ワーク固定部14、工具設置部15、第1リニアモータアクチュエータ21、圧電素子16、位置表示部17、位置センサ18並びに制御部19を備えている。
ワーク固定部14は、設備設置面3に設置され、設備設置面3とは反対側にワーク2を固定する。そのワーク固定部14に対し、工具設置部15が相対移動可能に設けられている。工具設置部15は、ワーク2に向き合う位置に工具4を設置する。
ワーク固定部14と工具設置部15との相対移動は、第1リニアモータアクチュエータ21によって行われる。第1リニアモータアクチュエータ21は、ワーク固定部14と工具設置部15とを、X軸方向に相対移動可能である。
工具設置部15に設けられた圧電素子16により、工具4は工具設置部15に対しZ軸方向に動作する。これにより、ワーク2はZ軸方向において所定の深さに切削加工される。
ワーク2の加工表面には、ワーク2の複数の加工位置が例えば格子状のスケールにより示された位置表示部17が設けられている。この位置表示部17に向き合う位置において、工具設置部15または工具4には、位置センサ18が設けられている。
なお、位置センサ18と制御部19の機能については、上述した第1実施形態のものと実質的に同一であるので省略する。
第5実施形態では、加工装置1の構成を簡素にすることで、その体格を小型化することが可能である。
なお、第5実施形態の構成において、ワーク固定部14と工具設置部15との間に第1−第3テーブルおよび第2、第3リニアモータアクチュエータを追加することも可能である。
(第6実施形態)
本発明の第6実施形態を図12に示す。第6実施形態の加工装置1は、ベッド10、ワーク固定部14、工具設置部15、第1及び第2リニアモータアクチュエータ21,22、圧電素子16、位置表示部17、位置センサ18並びに制御部19を備えている。
ベッド10は、設備設置面3に設置される。ベッド10に対し、ワーク固定部14がX軸方向に相対移動可能に設けられている。また、ベッド10に対し、工具設置部15がY軸方向に相対移動可能に設けられている。工具設置部15は、ワーク固定部14に固定されたワーク2に向き合う位置に工具4を設置する。ワーク固定部14と工具4とは、X,Y軸方向に相対移動可能である。
ベッド10とワーク固定部14との相対移動、ベッド10と工具設置部15との相対移動は、それぞれ第1及び第2リニアモータアクチュエータ21,22によって行われる。第1及び第2リニアモータアクチュエータ21,22は、ワーク固定部14と工具設置部15とを、X,Y軸方向に相対移動可能である。
なお、工具設置部15、位置表示部17、位置センサ18及び制御部19については、上述した第4実施形態のものと実質的に同一であるので省略する。
第6実施形態においても、加工装置1の構成を簡素にすることで、体格を小型化することが可能である。
(他の実施形態)
(1)上述した実施形態では、樹脂成形品を形成する金型の切削加工を行う加工装置について説明した。これに対し、他の実施形態では、加工装置は、金型に限らず、種々のワークの加工することが可能である。また、加工方法に関しても、切削加工に限らず、例えば放電加工または研削加工など、種々の加工を行うことが可能である。
(2)上述した実施形態では、位置表示部17はワーク2または基準部材20に例えば数nmから数十nmでスケールを刻むものとした。これに対し、他の実施形態では、位置表示部はワークまたは基準部材に例えば数μmまたは数mmでスケールを刻むものとしてもよい。
(3)上述した実施形態では、リニアモータアクチュエータによりテーブルを移動した。これに対し、他の実施形態では、例えばボールねじ等の移動手段によりテーブルを移動してもよい。
(4)上述した実施形態では、位置表示部は、格子状のスケールとした。これに対し、他の実施形態による位置表示部は、例えば、線、点線、或いは、円形又は多角形を複数並べたもの等、加工位置または対応位置を連続または断続して示すものであれば、種々の形状のスケールとすることが可能である。
このように、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、上述した複数の実施形態を組み合わせることに加え、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の形態で実施することができる。
1 ・・・加工装置
11,12,13、40・・・テーブル
14・・・ワーク固定部
21,22,23・・・リニアモータアクチュエータ(移動手段)
15・・・工具設置部
16・・・圧電素子(工具駆動手段)
17・・・位置表示部
18・・・位置センサ
19・・・制御部
30・・・発信機(位置表示部)
31・・・受信機(位置センサ)

Claims (6)

  1. ワーク(2)に加工を行う加工装置において、
    前記ワークを固定可能なワーク固定部(14)と、
    前記ワークに向き合う位置に工具を設置する工具設置部(15)と、
    前記ワーク固定部と前記工具設置部とを相対移動する移動手段(21,22,23)と、
    時刻情報を含む電波を発信する発信機であり、前記ワークから加工位置を示し、又は、前記ワークに隣接して設けられた基準部材(20)から前記ワークの前記加工位置に対応する対応位置を示す位置表示部(30)と、
    前記工具設置部または前記工具に設けられ、前記発信機が発信した電波を受信可能な受信機であり、前記加工位置または前記対応位置を検出することにより、前記加工位置と前記工具との位置関係を連続または断続して検出する位置センサ(31)と、
    前記位置センサが検出する情報に基づき、前記工具設置部と共に移動する前記工具の位置と前記ワークの前記加工位置とが一致するように移動手段の駆動を制御する制御部(19)と、を備えることを特徴とする加工装置。
  2. 前記発信機は、前記ワークの3箇所に固定された原子時計であることを特徴とする請求項に記載の加工装置。
  3. 前記工具設置部に設けられ、前記工具を駆動する工具駆動手段(16)を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の加工装置。
  4. 前記工具駆動手段は、電圧の印加により前記工具を動かすことの可能な圧電素子であることを特徴とする請求項に記載の加工装置。
  5. 請求項1からのいずれか一項に記載の前記加工装置を用いた加工方法において、
    前記ワーク固定部に前記ワークを固定するワーク固定工程(S1)と、
    前記発信機により前記ワークの前記加工位置または前記基準部材の前記対応位置を検出することにより、前記加工位置と前記工具との位置関係を連続または断続して検出する位置検出工程(S2)と、
    前記位置センサである前記受信機が検出する情報に基づき、前記工具の位置と前記ワークの前記加工位置とが一致するように、前記移動手段の駆動を制御する移動制御工程(S3)と、
    前記工具設置部に設けられた工具駆動手段により前記工具を動かし、前記ワークを加工する加工工程(S4)と、を含むことを特徴とする加工方法。
  6. 前記ワークの所定の前記加工位置を加工した後、次に加工が行われる前記ワークの次の所定の前記加工位置と前記工具の位置とが一致するように前記移動手段の駆動を制御し、前記位置検出工程、前記移動制御工程および前記加工工程を繰り返し行うことを特徴とする請求項に記載の加工方法。
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