JP6503135B1 - 弦楽器励振装置および弦楽器励振システム - Google Patents

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Abstract

【課題】弦楽器を高音質で鳴らすことができる弦楽器励振装置および弦楽器励振システムを提供する。
【解決手段】弦楽器励振装置100は、バイオリン1の表板2に設置される駒20の側端部20dに対面する取付面110aを有する本体基板110と、取付面110aの反対側となる背面にスピーカ200の振動板201を接続する背面110bと、本体基板110に弾性部材140,150を介して取り付けられた一対の係合板120,130と、一対の係合板120,130が互いに近接する方向に付勢する弾性部材140,150と、一対の係合板120,130の間の取付面110aに設置され駒20の側端部20dの側端面20eに当接する当接部160と、を備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、弦楽器励振装置および弦楽器励振システムに関する。
一般に、弦楽器は、表板(胴板)と裏板および側板とによって構成された響鳴胴を有し、表板には響穴(サウンドホール)が形成されている。また、弦楽器は、表板に板状のブリッジベース部材が接着剤によって固定されており、ブリッジベース部材上には弦を支持するために弦の長手方向と直交する方向に延在する駒(ブリッジ)が取り付けられている。
そして、各弦は、ブリッジの上部を超えて一端部をブリッジベース部材に取り付けられたブリッジピンに係止されている。この弦のそれぞれは、他端部をヘッド側に設けられている張力調整機構によって張力を与えられることにより、ブリッジの上面に押し付けられ、ブリッジによって有効な位置を規定される。
このような弦楽器を用いて、弦楽器のブリッジを外部から、例えば圧電振動子やスピーカのような振動手段により響鳴させるシステムが提案されている。
特許文献1には、自動バイオリン用増幅器の出力によって振動する圧電振動子と圧電振動子の固定治具と振動伝達体とを備えた圧電振動・伝達ユニットと、駒の振動により発音する自動バイオリンと、スピーカ・ラインに接続したスピーカ用増幅器と、スピーカ用増幅器に接続したダイナミックスピーカとを備えるバイオリンとスピーカによる重畳再生装置が記載されている。
特許文献2には、ブリッジを備えた弦楽器を加振するための装置であって、前記ブリッジに当接するべき作用点部を備えたベース部材と、前記ベース部材に取り付けられた、電気信号を機械振動に変換する振動発生器とを含み、前記ベース部材が、前記弦楽器の少なくとも1本の弦の上面に係合する支点部と、前記作用点部と前記支点部との中間位置で前記少なくとも1本の弦の下面に係合する力点部と、前記支点部および前記力点部の少なくとも一方を、前記作用点部を前記ブリッジに向けて付勢する向きに変位させるための手段とを有することを特徴とする装置が記載されている。
非特許文献1には、球形スピーカを使用し、ストラディバリウスの音響的特徴の解明を行った研究結果が報告されている。例えば、周波数の関数として表した放射指向性の強さのパターンは、ストラディバリウス間で類似していることが明らかになったとされる。ここで、放射指向性の強さとは、音がある特定の一方位に集中するほど高い値を示す空間放射特性の一指標である。また、放射指向性の強さのパターンに関して、中域(1kHz前後)と高域(3kHz前後)に現れるピークの周波数は、ストラディバリウスと他のバイオリン(オールド、モダン、およびコンテンポラリ)とで異なっていたとされる。
非特許文献2には、各種バイオリンの音階演奏時の放射指向性の強さを算出した放射指向性のパターンが報告されている。放射指向性のパターンのピークとディップ周波数、およびその周波数比に音響的特徴が現れることが考察されたとする。
特開2011−35851号公報 WO2014199613A1号公報
「オールドバイオリンの音響的特徴の解明」2016 Fiscal Year Research-status Report,牧勝弘等,[online],[平成30年11月1日検索],インターネット 〈 URL : https://kaken.nii.ac.jp/en/report/KAKENHI-PROJECT-16K00255/16K002552016hokoku/〉 「バイオリン「ストラディバリウス」の放射指向性」日本音響学会秋季研究発表会講演論文集(2017.9.25-27),牧勝弘等,[online],[平成30年11月1日検索],インターネット 〈 URL : http://www.asj.gr.jp/annualmeeting/pdf/2017autumn_timeschedule.pdf〉
しかしながら、特許文献1に記載の装置では、バイオリンの胴体の内部に加振機を組み込むもので、バイオリンの製造時に行う必要があり、通常のバイオリンとして扱うことはできない。また、既存のバイオリンを改造して、加振機を組み込むことも考えられるが、高価なバイオリンにこのような改造を行うことは多くの場合、受け入れられない。
また、特許文献2に記載の加振装置では、支点部および力点部が弦に係合し、作用点部においてブリッジに係合するので、作用点部をブリッジに対して十分に強い力で押し付けることが可能になる。しかしながら、弦楽器から再生される楽音については、一般的なHiFiスピーカの音質には達していない。
非特許文献1,2の記載のように、ストラディバリウスを含むオールドバイオリンの音響的特徴が研究されているものの、弦楽器を高音質で鳴らすことができる装置は実現されていない。
このような観点から、本発明は、弦楽器を高音質で鳴らすことができる弦楽器励振装置および弦楽器励振システムを提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の弦楽器励振装置は、スピーカからの振動を弦楽器に伝えて当該弦楽器を響鳴させる弦楽器励振装置であって、前記弦楽器の表板に設置される駒の側端部の側端面に対面する取付面を有する本体基板と、前記本体基板に対向して取り付けられるとともに、前記駒の前記側端部を挟み込む間隔を空けて設けられ、互いに近接する方向に付勢する一対の係合板と、前記取付面の反対側となる背面に前記スピーカの振動板を接続する接続部と、を備える構成とする。
その他の手段については、発明を実施するための形態のなかで説明する。
本発明によれば、弦楽器を高音質で鳴らすことができる弦楽器励振装置および弦楽器励振システムを提供することができる。
本発明の第1の実施形態に係る弦楽器励振装置を取り付けた弦楽器の全体構成を示す斜視図である。 上記第1の実施形態に係る弦楽器励振装置の構成を示す斜視図であり、(a)は駒への取付け方向から見た斜視図、(b)は基板本体の底面とそれに続く側面方向から見た斜視図である。 上記第1の実施形態に係る弦楽器励振装置の構成を示す図であり、(a)は側面図、(b)は(a)のA−A断面図である。 上記第1の実施形態に係る弦楽器励振装置の駒の上面部に係合する係合部の斜視図であり、(a)は上面右側から見た係合部の斜視図、(b)は背面右側から見た係合部の斜視図である。 上記第1の実施形態に係る弦楽器励振装置の変形例1の構成を示す斜視図である。 上記第1の実施形態に係る弦楽器励振装置の変形例2の構成を示す斜視図である。 上記第1の実施形態に係る弦楽器励振装置の変形例3の構成を示す図であり、(a)は駒への取付け方向から見た斜視図、(b)は弦楽器励振装置の側面図、(c)は(b)のB−B断面図である。 上記第1の実施形態に係る弦楽器励振装置の変形例の構成を示す図であり、(a)は変形例4の構成を示す斜視図、(b)は変形例5の構成を示す斜視図である。 上記第1の実施形態に係る弦楽器励振装置の変形例6の構成を示す図であり、(a)はその弦楽器励振装置の斜視図、(b)はその弦楽器励振装置の側面図、(c)はその弦楽器励振装置を駒の側端面から見た図、(d)はその弦楽器励振装置を駒に取り付けた場合の側面図である。 本発明の第2の実施形態に係る弦楽器励振装置を取り付けた弦楽器の全体構成を示す斜視図である。 上記第2の実施形態に係る弦楽器励振装置の構成を示す側面図である。 上記第2の実施形態に係る弦楽器励振システムと比較例の弦楽器の演奏時のデータの放射指向性の強さを比較して示す図である。 本発明の第3の実施形態に係る弦楽器励振装置の構成を示す斜視図である。 本発明の第4の実施形態に係る弦楽器励振装置の構成を示す斜視図である。 本発明の第5の実施形態に係る弦楽器励振装置の構成を示す斜視図である。 本発明の第6の実施形態に係る弦楽器励振装置の構成を示す斜視図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
(第1の実施形態)
本実施形態は、弦楽器として例えばチェロやヴィオラなどに適用することができるが、ここではバイオリンに適用した例として説明する。
[全体構成]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る弦楽器励振装置を取り付けた弦楽器の全体構成を示す斜視図である。
図1に示すように、弦楽器励振システムS1は、スピーカ200からの振動をバイオリン1(弦楽器)に伝えてバイオリン1(弦楽器)を高音質で鳴らす弦楽器励振装置100と、弦楽器励振装置100を励振するスピーカ200と、を備える。スピーカ200は、音源装置50から出力される音信号により振動する。音源装置50は、音信号を再生する音源であり、出力された音信号は、スピーカ200に入力される。
弦楽器励振装置100は、スピーカ200の音響振動を、バイオリン1に伝えて当該バイオリン1を響鳴させる。
バイオリン1は、一般的なものである。また、バイオリン以外の弦楽器(例えばチェロやヴィオラ)にも適用可能である。
バイオリン1は、表板2、裏板3および側板4からなる胴体5と、表板2上からヘッド側に延びる指板6と、胴体5のヘッド側頂部および指板6の背面に固定されたネック7と、を備える。ネック7のヘッド8は、渦巻き9を形成し、糸巻き(ペグ)10を備える。表板2のテール側には、テールピース11が固定されテールピース11にはアジャスタ12が取り付けられる。表板2には、胴体5内部に開口する一対のf字孔13が形成される。そして、胴体5は、ヘルムホルツ共鳴器を構成している。
表板2の裏面にあるバスバー(図示省略)は、表板2を補強するとともに低音の響きを強め安定させる役割を有する。胴体5内には、魂柱(図示省略)と呼ばれる円柱が立てられており、駒(ブリッジ)20を通って表板2に達した振動を裏板3に伝える。
弦15は、正面から見て左が低音、右が高音の弦であり、高音の弦から順にE線,A線,D線,G線である。4本の弦15e,15a,15d,15g(図1参照)は、胴体5に固定されたテールピース11から駒20の上を通り、指板6の先にある上駒(ナット)16に引っ掛けてその先の糸巻き10に巻き取られる。
<駒20>
駒20は、4本の弦15e,15a,15d,15gを弦溝20a(図2(a)および図3(a)参照)によって所定の位置に支え、弦15e,15a,15d,15gの振動を表板2に伝える。駒20は、指板6とテールピース11の間の表板2上に、表板2に対してほぼ垂直となるように設置され、取外し可能である。
駒20は、弦15を支持する上面部20b(図2(a)および図3(a)参照)が上に凸となる緩やかな曲面で形成されている。また、後記図6に示すように、駒20は、左右対称ではなく、G線(音の低い弦15g)側とE線(音の高い弦15e)側で高さを変えている。高さを左右非対称にすることで、ボウイング(弓遣い)と構えで4本の弦15e,15a,15d,15gが扱いやすい位置になるようにしている。
図2(a)および図3(a)のハッチング部に示すように、駒20の側端部20dは、後記する係合板120と係合板130が当接する領域となるため音感上重要である。以下、側端部20dについて定義する。
本明細書において、駒20の側端部20dは、駒20の上面部20bの角部20cから下方に所定幅(例えば1〜5mm)延出した帯状の駒20の表裏面をいうものとする。上記側端部20dの幅は、限定されず、5mm以上であってもよく、0.1mm以下であってもよい。また、側端部20dの長さは、例えば開口部20g(後記)近傍までの領域となる。
駒20は、その中央部で厚み方向に渦巻き形状の開口部20fが開口し、さらに開口部20f下方には側端面に渦巻き形状の一端が連通する開口部20g(駒左右の円形の切れ込み)が左右2箇所に形成される。駒20は、2つの足部20h(図3(a)参照)と、足部20hと開口部20gの側端面との間に形成された円形窪み部20i(図3(a)参照)と、足部20hと足部20hとの間の平坦底部20jと、を有する。
バイオリン1に取り付ける駒20の場合、この駒20の高さ(足部20hの底面から上端面の最も高い面までの高さ)は約30mm、この駒20の左右幅は約45mmが一般的である。このような駒20では、駒20の上面部20bの角部20c(図2(a)および図3(a)参照)から渦巻き形状の開口部20gの上部までの側端部20dの長さは約6mmとなる。したがって、この駒20の側端部20dの高さ方向の幅の上限は、上記角部20cからとし、その下限は渦巻き形状の開口部20gの上部までとする。
また、駒20は、側端部20dの厚みよりも足部20hの厚みが大きくなるように、駒20の厚さが徐々に変化している。例えば、一般的なバイオリンの駒20の場合、駒20の高さ約30mmに対して側端部20dの厚みが約2mm、足部20h(底部)の厚み4.5mmである(後記図6参照)。
さらに、図3(b)に示すように、駒20は、一方の面が平面20kであり、対向する他方の面20l(エル)が凸状に形成されている。
駒20は、一例として楓材が用いられる。楓材は、有効に音を伝達できるよう密度が高く、木の繊維も規則正しく詰まっている。
[弦楽器励振装置構成]
図2は、弦楽器励振装置100の構成を示す斜視図であり、(a)は駒20への取付け方向から見た斜視図、(b)は基板本体の底面とそれに続く側面方向から見た斜視図である。図3は、弦楽器励振装置100の構成を示す図であり、(a)は側面図、(b)は(a)のA−A断面図である。
なお、駒20は、説明を分かりやすくするため、バイオリン本体から外して図示している。
説明における弦楽器励振装置100の幅、高さ、厚さは、図2および図3の矢印の幅W、高さH、厚さDに沿って形成されることとして説明する。
図2および図3に示すように、弦楽器励振装置100は、バイオリン1の表板2(図1参照)に設置される駒20の前面の側端部20dと後面の側端部20dとの間の側端面20e(以下、駒20の側端部20dの側端面20eという)に対面する取付面110aを有する本体基板110と、本体基板110に弾性部材140,150を介して取り付けられた一対の係合板120,130と、一対の係合板120,130が互いに近接する方向に付勢する弾性部材140,150と、一対の係合板120,130の間の取付面110aに設置され駒20の側端部20dの側端面20eに当接する当接部160と、を備える。
一対の係合板120,130の係合面には、滑り止め部材121,131が貼り付けられている。なお、滑り止め部材121,131の貼付に代えて、係合板120,130の係合面を粗面に形成してもよく(後記図8(a)参照)、同様の効果を得ることができる。さらに、この粗面は係合板120,130の外方への脱落を防止するよう突起部に角度を持たせてもよい。
本体基板110は、駒20の上面部20bに係合する係合部170と、取付面110aの反対側となる背面110b(接続部)にスピーカ200の振動板(スピーカ振動板;ボイスコイル)201(図3(a)(b)参照)を接続する。背面110bは、スピーカ200の振動板201を接続する接続部を構成する。本実施形態では、背面110b(接続部)に、更に振動板接続部210を取り付けている。
振動板接続部210は、弦楽器励振装置100の必須の構成要素ではなく、省略は可能である。
なお、振動板接続部210は、本体基板110ではなく、スピーカ200側に取り付けられるものでもよい。また、振動板接続部210は、円柱形状としたが角柱形状であっても構わない。
<本体基板110>
本体基板110は、長方体状部材であり、一対の係合板120,130を取り付ける取付面110aと、取付面110aと平行に形成されスピーカ200の振動板201を接続する背面110b(接続部)と、を有する。
本体基板110の高さ(H方向)は、駒20の側端部20dの高さ(H方向)より少し大きく形成することで、一対の係合板120,130が駒20の側端部20d全体を覆うことができる。
背面110bは、スピーカ200を取り付ける平らな面に形成されている。本実施形態では、背面110bには、振動板接続部210を介してスピーカ200の振動板201が取り付けされているが、スピーカ200の振動板201を直付けする構成でもよい。
<係合板120,130>
係合板120,130は、弾性部材140,150を介して本体基板110の取付面110aに取り付けられる。
係合板120と係合板130とは、駒20の側端部20dを挟み込むことが可能な間隔を空けて対向して配置されている。係合板120,130は、一対で駒20の側端部20dを挟み込んで係合する。係合板120と係合板130は、駒20の側端部20dの少なくとも一部に面接触で当接する。
係合板120,130は、その少なくとも一方が弾性部材140,150を介して本体基板110に対向して取り付けられるとともに、駒20の側端部20dを挟み込む間隔を空けて設けられる。挟み込む間隔は、駒20板厚より狭くても拡げて係合するようなものも含まれる。
上述したように、駒20は、側端部20dの厚みよりも足部20hの厚みが大きくなるように、駒20の厚さが徐々に変化している(後記図6参照)。このため、係合板120,130は、図2(a)(b)に示す取付面110a側から正面視して、ハ字形状に形成される。係合板120,130が、ハ字形状を採ることで駒20の側端部20dに良好に係合される。また、駒20は、一方の面が平面20kであり、対向する他方の面20lが凸状に形成されている。このため、一対の係合板120,130のうち、一方の係合板120が、駒20の一方の面が平面20kに合わせてほぼ垂直方向(H方向)に配置される。
また、係合板120,130の係合面には、滑り止め部材121,131が貼り付けられている。係合板120,130は、滑り止め部材121,131を介して駒20の側端部20dの少なくとも一部に面接触で当接する。
このように、係合板120,130は、一端が弾性部材140,150を介して本体基板110の取付面110aに接合され、上記滑り止め部材121,131の全部または少なくとも一部が駒20の側端部20dに係合する。
係合板120,130の厚さは、特に限定されないが、適度な剛性を持つ範囲で駒20と同等かあるいは駒20より薄くすることが好ましい。
また、係合板120と係合板130との厚さを変えてもよく、例えば、係合板120の厚さを係合板130の厚さより厚くしてもよい。
係合板120,130は、振動を伝えやすい材料、例えば駒20の材料と同じ材料(例えば楓材)が好適である。なお、係合板120,130は、振動を伝えやすい材料(軽量かつ適度な密度と剛性がある材料)であれば、他の木材や樹脂等でもよい。係合板120,130および本体基板110を樹脂等により一体形成した例については図7および図8で後記する。
<弾性部材140,150>
弾性部材140,150は、本体基板110の取付面110aと係合板120,130との少なくとも一方(図面では両方)との間に設けられている。この弾性部材140,150は、係合板120,130が駒20の側端部20dを挟み込むように互いに近接する方向に付勢する。
弾性部材140,150は、例えばシリコンゴム等からなり、可撓性を有する。
弾性部材140,150は、係合板120,130の一端の大きさと同等の大きさで同じ厚みになるように形成されている。同じ厚みに形成することで、駒20の側端部20dが係合板120,130を越えて弾性部材140,150に達しても弾性部材140,150への引っ掛かりを防ぐことができる。
弾性部材140,150と本体基板110の取付面110aとの接合、および弾性部材140,150と係合板120,130との接合は、接着剤等を用いて強固に接合する。
また、弾性部材140と弾性部材150と間隔は、係合板120と係合板130の間の間隔(距離)を規定する。弾性部材140と弾性部材150と間隔は、駒20の側端部20dの厚みにほぼ等しい。
<当接部160>
当接部160は、駒20の側端部20dの側端面20eに当接し、スピーカ200の振動(音振動)を駒20に伝える凸部である。
当接部160は、スピーカ200の振動を、駒20の側端部20dの側端面20eに直接伝達する。
当接部160は、係合板120と係合版130との間の取付面110aから所定高さ(例えば2mm)で突出する。当接部160は、駒20の側端面20eの形状に合わせた細長い板状部材である。当接部160は、スピーカ200の振動を駒20に伝えつつ、剛性部材同士が接するときに生じる異音(いわゆるビビリ音)を低減する。本実施形態では、当接部160は、ゴム材料を用いる。ただし、ゴム材料は、伝達すべき振動をも減衰させるので、適度な膜厚(例えば1mm以下)とする。
なお、当接部160は、省略が可能である。当接部160を省略する場合、係合板120と係合版130との間の取付面110aを駒20の側端面20eに当接させることが好ましい。
また、スピーカ200の振動は、係合板120,130によっても駒20の側端部20dに伝えられる。すなわち、当接部160を設置しない構成であっても、スピーカ200の振動を係合板120,130を介して駒20に伝達することができる。
<係合部170>
係合部170は、駒20の上面部20bに係合して、本体基板110の脱落やズレを防止する。図4(a)(b)に示すように、係合部170は、本体基板110の取付面110aに弾性部材171を介して取り付けられる。係合部170は、駒20の上面部20bの形状に沿って湾曲する湾曲部170aと、駒20の上面部20bを挟み込む溝170bと、を有する。
図3(a)(b)に示すように、弦楽器励振装置100の装着時、係合部170の湾曲部170aを、駒20の上面部20bに合わせ、溝170bを駒20の上面部20bに嵌め込んで係合する。
図3(a)に示すように、弦楽器励振装置100は、駒20の上面部20bの角部20cを基点として、駒20の側端部20dが係合板120,130で挟んで係合されるとともに、駒20の上面部20bが係合部170の溝170bに嵌め込んで係合される。これにより、弦楽器励振装置100は、駒20の側端部20dに安定して取り付けられる。
弦楽器励振装置100が取り付けられたバイオリン1(弦楽器)は、図1に示すような水平面に置かれる場合のほか、壁等に立て懸ける、手に持つ、車両等の移動手段に搭載する使用方法がある。このような使用方法の場合であっても、弦楽器励振装置100が係合部170を備えることで、本体基板110の脱落やズレを確実に防止することができる。また、弦楽器励振装置100を長時間使用、あるいは長期間取り付けている場合にも、係合部170は、本体基板110のズレを有効に防止することができる。
<スピーカ200>
スピーカ200は、電気信号を前後方向に振動するボイスコイルと、ボイスコイルに直結された振動板(いずれも図示省略)と、を備え、この振動板が振動することで音信号と等しい波形の音が空気中に放射される。振動板は、円形のコーン紙からなる。
本実施形態では、スピーカ200の振動板である円形のコーン紙に、振動板接続部210を接着剤により直付する。これにより、スピーカ200の振動板(コーン紙)の振動は、振動板接続部210を介して本体基板110の背面110b(接続部)に直接伝わる。
ここで、スピーカ200から音響振動を取得する目的に鑑みると、振動板として強度を高めたスピーカ200を用いることが好ましい。また一般に、振動の伝達特性は振動伝達の距離による影響を受けるので、スピーカ200は、本体基板110の背面110b(図3(a)(b)参照)に密着させることが好ましい。このため、スピーカ振動板が小径である場合には、振動板接続部210は省略してもよい。
なお、本実施形態では、スピーカ200は、振動板接続部210を介して背面110bに取り付けられているが、スピーカ200の振動板201を背面110bに直接取り付けてもよい。
また、スピーカ200本体は、軽量であるためスピーカ200本体を支持する支持部材(図示省略)は特に設置しなくてもよい。
<音源装置50>
音源装置50は、スピーカ200に音信号を出力するものであればどのような電子機器でもよい。音源装置50は、バイオリンなどの弦楽器の音を音源として出力している。弦楽器の音を音源として出力した場合、実演奏に近く、リアリティ度の高い楽音を再生することができる。
以下、上述のように構成された弦楽器励振装置100の作用効果について説明する。
<取付け時>
図2(a)に示すように、弦楽器励振装置100は、弾性部材140,150を介在させた片持ち構造により、係合板120,130を、弾性部材140,150の弾性力に抗して拡げることができる。
図2(a)の矢印に示すように、駒20の側端部20dに係合板120,130を挟むように押し込む。
係合板120,130を駒20の側端部20dに係合させる位置は、下記の点で重要である。すなわち、駒20は、弦15に交叉(ほぼ直交)するようにして弦楽器の表板2に取り付けられる。弦15の振動と駒20および表板2の振動の音振動とそれらに起因する弦楽器本体の響鳴作用には、無数のパラメータの組み合わせが考えられる。本発明者は、弦楽器励振装置100が駒20を左右方向(弦楽器の幅方向)に揺する作用効果に着目した。駒20は、足部20h(後記図6参照)が弦楽器の表板2上に設置される。このため、駒20の上面部20bは、足部20hよりも駒20を左右方向に揺する作用効果が大きい。そこで、本実施形態では、係合板120,130を駒20の側端部20dに係合する場合、図3(a)に示すように、駒20の上面部20bの角部20cになるべく近い、駒20の側端部20dの上限位置に係合板120,130を取り付ける。
また、駒20の厚さは、駒20の側端部20dから足部20hに向かって徐々に厚くなっており、これに合わせて係合板120,130は、ハ字形状に形成されているので、係合板120,130は、側端部20dに隙間なく係合する。これにより、駒20の側端部20dを係合板120b,130bに少なくとも一部を面接触として当接させることができる。
また、図3(b)に示すように、駒20は、一方の面20kが平面であり、対向する他方の面20l(エル)が凸状に形成されている。一方の係合板120は、駒20の面20kに合わせて、バイオリン1の表板2(図1参照)との直交方向に配置され、他方の係合板130は、駒20の面20l(エル)の凸状面形状に合わせて接触するように配置される。
さらに、図3(a)に示すように、係合部170の湾曲部170aを、駒20の上面部20bに合わせ、かつ、係合部170の溝170bを駒20の上面部20bに嵌め込んで係合する。
<取付け後>
図3(a)に示すように、弦楽器励振装置100は、駒20の上面部20bの角部20cを基点として、駒20の側端部20dに係合板120,130を挟んで係合されているとともに、駒20の上面部20bに係合部170の溝170bを嵌め込んで係合されている。
駒20の側端部20dには、弾性部材140,150によって、押し広げられた係合板120,130の下端部が戻る方向の付勢力がかかるので、係合板120,130が側端部20dに押し付けられるようになり、係合板120,130により駒20の側端部20dが挟み込まれる。
駒20の側端部20dの側端面20eが、当接部160に当接したところが、駒20に対する弦楽器励振装置100の駒20への最適な取付位置となる。
これにより、弦楽器励振装置100は、駒20の側端部20dに安定して取り付けられ、かつ、当接部160が駒20の側端部20dの側端面20eに当接する。
<効果>
(1)基本的な作用効果
本発明者の試作実験によれば、本体基板110の背面110b(図3(a)参照)にスピーカ200の振動板201からの音振動を伝えると、弦楽器を高音質で鳴らすことができることが確かめられた。その理由について下記を考察した。すなわち、スピーカ200の振動板201の音振動は、まず本体基板110の背面110bに伝えられ、本体基板110の当接部160を通して駒20の側端部20dの側端面20eに直接伝達されると同時に、係合板120,130を通して駒20の側端部20dに伝達される。バイオリン演奏時に弦15が駒20を加振する挙動と類似した作用を駒20に与えることで、バイオリン1(弦楽器)を響鳴させることができる。
本発明者は、駒20の側面方向(横方向/左右方向)から伝えられた音振動は、弦楽器の表板2に沿って振動させる周波数成分が、弦楽器の実演奏の周波数成分等の挙動に近いのではないかと推察している。例えば、非特許文献2に記載されたような放射指向性のパターンのように、ある周波数の指向性を高めることができると推察している。
(2)駒20の側端部20dの側端面20eへの音振動の直接伝達
振動の伝達の観点からみると、弦楽器励振装置100の当接部160が、駒20の側端部20dの側端面20eに当接している。このため、スピーカ200からの音振動は、当接部160を通して駒20の側端部20dの側端面20eに直接伝達され、音の振動伝達の追従性(振動の各成分の周波数特性)を高めることができる。また上述したように、弦楽器の表板2の側面方向から伝えられた音振動は、弦楽器の表板2に沿って振動させる周波数成分が、弦楽器の実演奏の周波数成分等の挙動に近いと考えられ、自然な音響を得ることができる。
さらに、当接部160は、音振動を駒20に伝達する際の異音(ビビリ音)を低減するので、澄みきった音色を奏することができる。
(3)係合板120,130を介した駒20の側端部20dへの音振動の伝達
弦楽器励振装置100の係合板120,130が、駒20の側端部20dに係合している。この場合、係合板120,130は、駒20の側端部20dの所定領域(例えば3mm幅の帯状領域)の少なくとも一部を面接触で挟持する。このため、スピーカ200からの音振動は、係合板120,130を介しても駒20に伝達される。係合板120,130は、弦楽器励振装置100を駒20に取り付けて保持するための保持機能と、駒20の側面方向(横方向/左右方向)からの音振動伝達機能を併せ持つ。
上記(2)の当接部160による音振動伝達が、駒20の側端部20dの側端面20eへの直接伝達であるのに対し、係合板120,130を介した駒20の側端部20dへの音振動伝達は、駒20の側端部20dを挟んで駒20の側面方向(横方向/左右方向)からの伝達である。両者の音振動伝達における周波数成分や周波数特性は、異なるものと推定される。
このように、上記当接部160に加えて、係合板120,130によっても、弦楽器の表板2の側面方向から音振動を伝達することができる。
本実施形態では、側端部20dの幅を、例えば約5mm以下とすることで、スピーカの振動を駒20に良好に伝えながら、のびやかな音を実現することができた。
(4)弱音効果のない音振動の伝達
弦楽器励振装置100は、係合板120,130に弾性部材140,150を介している。しかし、この弾性部材140,150は、係合板120,130が互いに近接する方向に付勢するためのものであり、振動の減衰を目的とするものではない。本実施形態の弾性部材140,150は、音振動伝達の際の高域特性が落ちず、かつ、適度な可撓性を有する材質や形状で形成される。例えば、弾性部材140,150には、振動を減衰させるような材質のゴム材を使用せず、例えば樹脂等により構成する。
本実施形態では、弾性部材140,150によって振動が減衰(ミュート効果)するおそれはない。これにより、弱音効果は生じず、十分な音で鳴らすことができた。
(5)駒20の材料との一体化
係合板120,130に、駒20の材料と同じ振動を伝えやすい材料(例えば楓材)を用いている。このため、係合板120,130が駒20の側端部20dに当接した状態では、係合板120,130と駒20の側端部20dとが、いわば一つの部材として一体となって機能する。上述したように、弦楽器励振装置100は、振動の伝達に関して、駒20の側端部20dが、係合板120,130まで延びたような特性となる。このため、振動伝達の特性が一様となり自然な音響を得ることができる。
以上説明したように、本実施形態の弦楽器励振装置100は、バイオリン1の表板2に設置される駒20の側端部20dに対面する取付面110aを有する本体基板110と、取付面110aの反対側となる背面にスピーカ200の振動板201を接続する背面110bと、本体基板110に弾性部材140,150を介して取り付けられた一対の係合板120,130と、一対の係合板120,130が互いに近接する方向に付勢する弾性部材140,150と、一対の係合板120,130の間の取付面110aに設置され駒20の側端部20dの側端面20eに当接する当接部160と、を備える。
この構成により、スピーカ200からの音響振動を、本体基板110の取付面110aから当接部160および係合板120,130を介してバイオリン1の駒20に良好に伝達することができ、バイオリン1を高音質で鳴らすことができる。
特に、弦楽器励振装置100は、スピーカ200からの音響振動を、駒20の側面方向(横方向/左右方向)から伝達するので、演奏時に弦15が駒20を加振する挙動と類似した作用を駒20に与えることで、バイオリン1(弦楽器)を響鳴させることができる。
弦楽器励振装置100は、バイオリン1そのものを響鳴させている。そのため、弦楽器励振装置100は、バイオリン1の生演奏と同じように臨場感あふれる高音質の楽音を再生することができる。
また、弱音器効果も大幅に減らすことができ、音の振動伝達の追従性(振動の各成分の周波数特性)を高め、音の振動を安定、かつ、十分に伝えることができる。
バイオリン再生音の試聴実験結果によると、低音域から中音域、中音域から高音域までバランスの取れた音響が得られ、バイオリン固有の豊かで美しい響きを再生することができ、バイオリン生演奏と遜色ない、優れた臨場感を実現することができた。
[変形例]
次に、本発明の実施形態の変形例に係る弦楽器励振装置の構成を説明する。
<変形例1>
図5は、本実施形態に係る弦楽器励振装置100Aの変形例1の構成を示す斜視図である。図5は、弦楽器励振装置100Aを駒20に取り付けて斜め上方向から見た斜視図である。図2と同一構成部分には同一番号を付して重複箇所の説明を省略する。
図5に示すように、変形例1の弦楽器励振装置100Aは、駒20の上面部20bに張られた弦15(ここでは弦15d)の位置までの長さを備え、弦15に係合する係合部170Aを有する。
係合部170Aは、駒20の弦15(弦15d)に係合して、本体基板110の脱落を防止する。係合部170Aは、一端が本体基板110の上面110cに固定され、他端が面ファスナー172で構成される。面ファスナー172は、フック面172aとループ面172bとを有し、両者を押し付けることで簡単に貼り付けることができ、何度もつけ外しが可能である。面ファスナー172は、駒20の上面部20bの弦15(弦15d)を避ける切欠き172cを有する。
図5に示すように、弦楽器励振装置100Aの装着時、係合部170Aのループ面172bを、弦15(弦15d)を周回させ、ループ面172bをフック面172aに貼り付けて係合する。
これにより、弦楽器励振装置100Aは、駒20の側端部20dに安定して取り付けられ、弦楽器励振装置100Aの脱落や、使用による位置ズレが防止される。
変形例1は、図2の弦楽器励振装置100に比べて、より確実に弦楽器励振装置100Aの脱落や、経時使用による位置ズレを防止することができる。
なお、係合部170Aは、弦15dではなく、他の弦(複数の弦でもよい)に取り付けられるものでもよい。また、係合部170Aは、面ファスナー172に代えて、弦15に引っかけるフックであっても構わない。
<変形例2>
図6は、本実施形態に係る弦楽器励振装置100Bの変形例2の構成を示す斜視図である。図2と同一構成部分には同一番号を付して重複箇所の説明を省略する。
図6に示すように、変形例2の弦楽器励振装置100Bは、本体基板110から駒20の他方の側端部20dまでの長さを備え、他方の側端部20dに係合する係合部170Bを有する。
係合部170Bは、一端が本体基板110の上面110cに弾性部材173を介して固定され、他端が滑り止め174を有する鉤爪を備える。
係合部170Bは、上記鉤爪が駒20の他方の側端部20dに係合して、本体基板110の脱落を防止する。
図6に示すように、弦楽器励振装置100Bの装着時、弾性部材173の変形応力に抗して係合部170Bの鉤爪側を持ち上げ、駒20の上面20bを橋架させ、駒20の他方の側端部20dに係合させる。
これにより、弦楽器励振装置100Bは、駒20の側端部20dに安定して取り付けられ、弦楽器励振装置100Bの脱落や、使用による位置ズレが防止される。
変形例2は、図2の構成に比べて、より確実に弦楽器励振装置100Aの脱落や、経時使用による位置ズレを防止することができる。また、変形例2は、図5のように、面ファスナー172を弦15に引っかける構成ではないので、弦15への負担がない利点がある。
<変形例3>
図7は、本実施形態に係る弦楽器励振装置300の変形例3の構成を示す斜視図であり、(a)は駒20への取付け方向から見た斜視図、(b)は弦楽器励振装置300の側面図、(c)は(b)のB−B断面図である。
図7(a)(b)に示すように、弦楽器励振装置300は、駒20の側端部20dの側端面20e(前記図2参照)に対面する取付面310aを有する本体基板310と、本体基板310と一体形成された一対の係合板320,330と、係合板320,330の外側面に貼り付けられ、一対の係合板320,330が互いに近接する方向に付勢する弾性部材340,350と、一対の係合板320,330の間の取付面310aに設置され駒20の側端部20dの側端面20eに当接する当接部360と、駒20の上面部20b(前記図2参照)に係合する係合部370と、を備える。一対の係合板320,330の係合面には、滑り止め部材321,331が貼り付けられている。
本体基板310は、取付面310aの反対側となる背面310b(接続部)にスピーカ200の振動板201を接続する振動板接続部210(図7(b)参照)と、を有する。
本体基板310と係合板320,330と係合部370とは、例えば樹脂部材により一体されている。
係合板320と係合板330とは、駒20の側端部20d(前記図2参照)を挟み込むことが可能な間隔を空けて対向して配置されている。係合板320,330は、一対で駒20の側端部20dを挟み込んで係合する。
当接部360は、駒20の側端部20dの側端面20eに当接し、スピーカ200の振動を駒20に伝える凸部である。当接部360は、スピーカ200の振動を、駒20の側端面20eに直接伝達する。当接部360は、例えばゴム材料を用いて、スピーカ200の振動を駒20に伝えつつ、剛性部材同士が接するときに生じる異音(ビビリ音)を低減する。
係合部370は、駒20の上面部20bに係合して、本体基板310の脱落を防止する。係合部370は、本体基板310の取付面310aから前方に延出し、駒20の上面部20bの形状に沿って湾曲する湾曲部370aと、駒20の上面部20bを挟み込む溝370bと、を有する。
上述したように、本体基板310と係合板320,330とは、例えば樹脂部材により一体化されている。樹脂部材を用いることで、係合板320,330は、弾力性を有し、駒20の側端部20dを挟み込むことができる。しかし、係合板320,330が有する弾性力だけでは、駒20の側端部20dを挟み込む力が不十分であるか、または挟み込みの調整にばらつきが生じるおそれがある。そこで、変形例3では、係合板320,330の外側面に弾性部材340,350を貼り付けることで、係合板120,130が駒20の側端部20dを挟み込むように互いに近接する方向により強く付勢させる。
同様の理由から、係合部370の外側面に弾性部材371を貼り付けることで、駒20の上面部20bに係合部370の溝370bをより強く嵌まり込むように付勢させる。
なお、弾性部材340,350および弾性部材371は、弦楽器励振装置300の必須の構成要素ではなく、省略は可能である。
また、変形例3の弦楽器励振装置300は、本体基板310および係合板320,330を、一体形成しているが、弾性部材340,350を、係合板320,330の側面に貼り付ける構成であれば、一体形成でなくても構わない。
このように、変形例3の弦楽器励振装置300は、本体基板310、係合板320,330および係合部370を、例えば樹脂部材を用いて射出成形により一体形成できるので、複雑な形状の製品を大量に生産することができる。また、当接部360を本体基板310と一体形成してもよい。一体形成により、弦楽器励振装置300の低コスト化を図ることができ、汎用的な普及が期待できる。
<変形例4>
図8(a)は、本実施形態に係る弦楽器励振装置300Aの変形例4の構成を示す斜視図である。図7と同一構成部分には同一番号を付して重複箇所の説明を省略する。
図8(a)に示すように、弦楽器励振装置300Aは、図7に示す弦楽器励振装置300から弾性部材340,350と係合部370と、滑り止め部材321,331と、を取り去った構造を採る。一対の係合板320,330の係合面は、粗面320a,330aに形成されている。
上述したように、本体基板310と係合板320,330とは、例えば樹脂部材により一体化されている。樹脂部材を用いることで、係合板320,330は、弾力性を有し、駒20の側端部20dを挟み込むことができる。ここで、係合板320,330は、駒20の側端部20dを所定以上の弾性力で付勢可能な樹脂材料や厚さ(肉厚)で形成されている。また、係合部370は、駒20の上面部20bに所定以上の弾性力で付勢可能な樹脂材料や厚さで形成されている。
弦楽器励振装置300Aの変形例4によれば、変形例3の弾性部材340,350および弾性部材371と、滑り止め部材321,331(図7参照)とを用いないので、部品点数と取付け工数を削減することができ、より低コスト化を図ることができる。
なお、弾性部材340,350または弾性部材371のうちいずれか一方を削減するものでもよい。
また、係合板320,330のうち、一方の係合板(例えば係合板320)を厚さを厚くする構成も可能である。この場合、厚さの薄い係合板330の外側面のみに弾性部材350(図7参照)を設けるようにしてもよい。
また、一対の係合板320,330の係合面を粗面320a,330a形成とせず、滑り止め部材321,331(図7参照)を貼り付ける構成でもよい。
<変形例5>
図8(b)は、本実施形態に係る弦楽器励振装置300Bの変形例5の構成を示す斜視図である。図8(a)と同一構成部分には同一番号を付して重複箇所の説明を省略する。
図8(b)に示すように、弦楽器励振装置300Bは、一体形成された本体基板310と係合板320,330の外側面に帯状のリブ311を設ける。また、一体形成された本体基板310と係合部370の外側面に帯状のリブ372を設ける。帯状のリブ311,372は、本体基板310の外側面から凸状に盛り上がる形状となっている。
変形例5によれば、弦楽器励振装置300Bは、本体基板310と係合板320,330の外側面に、帯状のリブ311を設けることで、係合板320,330が駒20の側端部20dを挟み込む際の撓み応力を向上させることができる。同様に、係合部370の溝370bが駒20の上面部20bに嵌まり込む際の撓み応力を向上させることができる。
なお、弦楽器励振装置300Bは、本体基板310と係合板320,330と係合部370とを、例えば射出成形により一体形成している。射出成形を用いる場合、帯状のリブ311,372を本体基板310と合わせて一体形成することができる。
<変形例6>
図9は、本実施形態に係る弦楽器励振装置300Cの変形例6の構成を示す図であり、(a)は弦楽器励振装置300Cの斜視図、(b)は弦楽器励振装置300Cの側面図、(c)は弦楽器励振装置300Cを駒の側端面から見た図、(d)は弦楽器励振装置300Cを駒に取り付けた場合の側面図である。
図9に示すように、変形例6の弦楽器励振装置300Cは、駒20の側端部20d(図9(d)参照)の側端面20eに対面する取付面311を有する本体基板310Cと、駒20の側端部20dに係合する一対の係合板320C,330Cと、取付面311の反対側でスピーカ200の振動板201に接続するための背面312(接続部)と、本体基板310Cの上部側を駒20の弦15(ここでは弦15g)に係合させる上部係合部371と、本体基板310Cの下部側を駒20の開口部20g(図9(d)参照)にフック373を介して係合させる下部係合部372と、を備える。
上記本体基板310C、係合板320C,330C、上部係合部371、および下部係合部372は、例えば樹脂部材により一体形成されている。弦楽器励振装置300Cは、一体形成され、かつ、例えば可撓可能な樹脂部材により構成されているので、装置全体を撓らせることができ、一部にかかる応力を装置全体に分散することができる。
取付面311は、一対の係合板320C,330Cの間の面が、駒20の側端部20dの側端面20eに当接する当接部を構成する。
なお、変形例6では、一対の係合板320C,330Cの間の取付面311を、前記当接部としているが、前記図2〜図3の当接部160または前記図6の当接部360のように、取付面に取り付けた突起を当接部としてもよい。ただし、変形例6の弦楽器励振装置300Cを試作したところ、突起を有する当接部を取付面に取り付けなくても、当接効果が十分にあることが確かめられた。弦楽器励振装置300Cの材質(例えば樹脂材料)と、一体形成された構造に依るものと考えられる。
上部係合部371は、駒20の上端部20b(図9(d)参照)を覆うように、駒20の弦15(弦15g)の位置まで延出する。上部係合部371は、駒20の上面部20bに張られた弦15(弦15g)に引掛ける引掛け部371aを有する。なお、上部係合部371は、弦15g以外の弦15(例えば弦15d)に引掛ける態様でもよい。
下部係合部372は、一対の板状部材からなり、対向する方向に可撓性を有する。下部係合部372は、一対の係合板320C,330Cの下側から駒20の開口部20g(図9(d)参照)の位置まで延出する。下部係合部372の端部には、それぞれフック373が取り付けられている。フック373は、円柱形状(ラウンドシリンダ形)のネオジウム磁石であり、フック373の背面は下部係合部372の内面側に固定されている。フック373の表面は、開放されているが、磁力により対向するフック373に引き付けられ、図9(a)(c)に示すように、密着する。この閉状態では、対向する2つのフック373は、結合されて一つの円柱棒状となる。
また、下部係合部372の端部側を外方に拡げることで、フック373同士を引き離し、駒20の開口部20g(駒左右の円形の切れ込み)にフック373を挿入することができる。駒20の開口部20gへのフック373挿入後には、フック373同士が再び密着する。フック373の外周部が駒20の開口部20gの円形内周面に係止することで、本体基板310Cの下側部分を駒20の側面の定位置に取り付けることができる。
以上の構成において、上部係合部371は、引掛け部371aを弦15g(図9(d)参照)に引掛けて本体基板310Cの上部を保持し、下部係合部372は、フック373を駒20の開口部20gに引掛けて本体基板310Cの下部を保持する。これにより、弦楽器励振装置300Cは、駒20の側面方向からみて、駒20の上部と駒20の下部の二箇所で、確実に保持することができる。弦楽器励振装置300Cは、駒20の側端部20dに安定して取り付けられ、弦楽器励振装置300Cの脱落や、使用による位置ズレが防止される。
本発明者の実験では、駒20の開口部20gに下部係合部372を結合したことによる音質の変化がないことも確認できた。
また、変形例6の弦楽器励振装置300Cは、本体基板310C、係合板320C,330C、上部係合部371、および下部係合部372を、例えば樹脂部材を用いて一体形成しているので、材料費を大幅に低減することができる。同様の理由で、組立工数を大幅に削減(事実上、組立不要に)でき、また各部の調整の手間をなくすことができる。また、大量生産が可能であり、この点からも低コスト化を図ることができる。
以上、第1の実施形態および変形例1〜6では、本弦楽器励振装置を駒20の右側(駒20の弦15g側)取り付ける例について説明したが、駒20の左側(駒20の弦15e側)にも同様に取り付け可能である。本弦楽器励振装置を駒20の両端に取り付ける例については、後記する。
また、各変形例の弦楽器励振装置を組み合わせてもよい。例えば図5の変形例1の弦楽器励振装置100Aや図9の変形例6の弦楽器励振装置300Cを駒20の右側に取り付け、図2の弦楽器励振装置100を駒20の左側に取り付ける等である。
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係る弦楽器励振装置400を図10乃至図12を参照して説明する。
第1弦楽器励振装置400Aおよび第2弦楽器励振装置400Bは、図1乃至図4の弦楽器励振装置のほか、図5乃至図9に示す変形例1〜6の弦楽器励振装置にも同様に適用できる。
図10は、本発明の第2の実施形態に係る弦楽器励振装置を取り付けた弦楽器の全体構成を示す斜視図である。図1と同一構成部分には同一番号を付して重複箇所の説明を省略する。
図10に示すように、弦楽器励振システムS2は、第1スピーカ200Aからの振動を弦楽器に伝えて当該弦楽器を響鳴させる第1弦楽器励振装置400Aと、第2スピーカ200Bからの振動を弦楽器に伝えて当該弦楽器を響鳴させる第2弦楽器励振装置400Bと、駒20の上部において第1弦楽器励振装置400Aと第2弦楽器励振装置400Bとを連結する連結部500と、を備える。なお、第1弦楽器励振装置400Aおよび第2弦楽器励振装置400Bを総称する場合は、弦楽器励振装置400という。
第1スピーカ200Aおよび第2スピーカ200Bは、音源装置50から出力される音信号により振動する。音源装置50は、音信号を再生する音源であり、出力された音信号は、位相反転回路60を介して第1スピーカ200Aおよび第2スピーカ200Bに入力される。位相反転回路60は、上記音信号のうち一方の極性の信号を反転させて、第1スピーカ200Aまたは第2スピーカ200Bの一方に出力する。第1スピーカ200Aおよび第2スピーカ200Bは、音源装置50から位相反転回路60を介して入力された音信号を再生する。第1スピーカ200Aおよび第2スピーカ200Bは、弦楽器励振装置400の側面をプッシュプル(push-pull)で駆動するので、駆動能力が高く、応答性およびダイナミックレンジが広い効果がある。
弦楽器励振装置400は、第1スピーカ200Aおよび第2スピーカ200Bの音響振動を、バイオリン1に伝えて当該バイオリン1を響鳴させる。
図11は、弦楽器励振装置400Aの側面図である。なお、駒20は、説明を分かりやすくするため、バイオリン本体から外して図示している。
図11に示すように、第1弦楽器励振装置400Aは、駒20の一方の側端部20dの側端面20eに対面する第1取付面411Aを有する第1本体基板410Aと、第1本体基板410Aに取り付けられた一対の第1係合板420A,430Aと、一対の係合板420A,430Aが互いに近接する方向に付勢する第1弾性部材440A,450Aと、第1取付面411Aの反対側となる背面に第1スピーカ200Aの振動板201Aを接続する第1背面412A(第1接続部)と、一対の係合板420A,430Aの間の第1取付面411Aに設置され駒20の一方の側端部20dの側端面20eに当接する第1当接部460Aと、を備える。
第1背面412A(第1接続部)には、第1振動板接続部210Aを介して第1スピーカ200Aの振動板201Aが取り付けられている。また、一対の第1係合板420A,430Aの係合面には、滑り止め部材(図示省略)が貼り付けられている。
第1本体基板410Aは、上面に連結部500の一方の端面500aに接合する第1弾性部材470Aを有する。
また、第2弦楽器励振装置400Bは、駒20の他方の側端部20dの側端面20eに対面する第2取付面411Bを有する第2本体基板410Bと、第2本体基板410Bに取り付けられた一対の第2係合板420B,430Bと、一対の第2係合板420B,430Bが互いに近接する方向に付勢する第2弾性部材440B,450Bと、第2取付面411Bの反対側となる背面に第2スピーカ200Bの振動板201Bを接続する第2背面412B(第2接続部)と、一対の第2係合板420B,430Bの間の第2取付面411Bに設置され駒20の一方の側端部20dの側端面20eに当接する第2当接部460Bと、を備える。
第2背面412B(第2接続部)には、第2振動板接続部210Bを介して第2スピーカ200Bの振動板201Bが取り付けられている。また、一対の第2係合板420B,430Bの係合面には、滑り止め部材(図示省略)が貼り付けられている。
第2本体基板410Bは、上面に連結部500の他方の端面500bに接合する第2弾性部材470Bを有する。
なお、本実施形態では、第1背面412Aには、振動板接続部210を介して第1スピーカ200Aの振動板201Aが、また第2背面412Bには、第2振動板接続部210Bを介して第2スピーカ200Bの振動板201Bが取り付けられているが、直付けする構成でもよい。
連結部500は、第1弦楽器励振装置400Aの第1本体基板410Aと第2弦楽器励振装置400Bの第2本体基板410Bとを、駒20の上部で第1弾性部材470A,第2弾性部材470Bを介して連結する。連結部500は、駒20の上面部20bの形状に合わせて、第1本体基板410Aの上面と第2本体基板410Bの上面と繋ぐ弓なり形状に形成されている。連結部500は、駒20の弦溝20aの4本の弦15e,15a,15d,15gを跨ぐように配置される。
連結部500は、一方の端面500aが第1弾性部材470Aを介して第1本体基板410Aの上面に連結し、他方の端面500bが第2弾性部材470Bを介して第2本体基板410Bの上面に連結している。この構成により、第1本体基板410Aと第2本体基板410Bとは、駒20の側面方向の動きが互いに規制される。その結果、第1弦楽器励振装置400Aおよび第2弦楽器励振装置400Bは、駒20の側端部20dにそれぞれ安定して取り付けられ、第1弦楽器励振装置400Aおよび第2弦楽器励振装置400Bの脱落や、使用による位置ズレが防止される。
本実施形態の弦楽器励振システムS2によれば、第1の実施形態の弦楽器励振装置100およびその変形例1〜5の弦楽器励振装置100A,100B,300,300A,300Bと同様の効果、すなわち、上述した(1)〜(5)の効果を得ることができる。
特に、本実施形態の弦楽器励振システムS2は、駒20の一方の側端部20d(弦15g側)に第1弦楽器励振装置400Aを設置し、駒20の他方の側端部20d(弦15e側)に第2弦楽器励振装置400Bを設置する。さらに、第1弦楽器励振装置400Aを、第1スピーカ200Aで駆動させ、第2弦楽器励振装置400Bを、第2スピーカ200Bで反転信号によりプッシュプルで駆動させる。これにより、駒20は、第1弦楽器励振装置400Aと第2弦楽器励振装置400Bの両側から加振されるので、駆動能力が高く、応答性およびダイナミックレンジが広い効果がある。その結果、弦楽器励振システムS2は、バイオリン1の生演奏と同じように臨場感あふれる高音質の楽音を再生することができる。
バイオリン再生音の試聴実験結果によると、低音域から中音域、中音域から高音域までバランスの取れた音響が得られた。バイオリン固有の豊かで美しい響きを再生することができ、バイオリン生演奏と遜色ない、優れた臨場感を実現することができた。非特許文献2に記載されたような放射指向性のパターンのように、ある周波数の指向性をより一層高めることができると推察される。
[実験結果]
図12は、本実施形態の弦楽器励振システムS2と比較例のバイオリン(弦楽器)の演奏時のデータの放射指向性の強さを比較して示す図である。図12の縦軸は放射指向性の強さを、横軸は周波数を示す。
図12の破線は、比較例の生演奏データの放射指向性の強さを示し、図12の実線は、この生演奏データに対応する弦楽器励振システムS2の再生音の放射指向性の強さを示している。
測定の条件(演奏方法と録音方法とデータ分析)の詳細は、非特許文献2に準拠している。
具体的には、(1)非特許文献2に記載のように、放射特性パターン無響室に置かれた直径2mの球形のメッシュに42個の小型マイクが均等に取り付けられた収録装置の中央でバイオリン演奏を行う。そして、360度の方角で収録したデータを、放射特性パターンとしてプロットする。
(2)本弦楽器励振システムS2による再生の放射特性パターン(図12の実線)は、下記により得ている。すなわち、弦楽器励振装置400を装着したバイオリンを無響室の上記球形収録装置の中央で人に演奏姿勢に構えてもらう。そして、上記(1)で測定したバイオリン演奏データをステレオに変換した再生信号を弦楽器励振装置400に印加して、再生音を測定した。なお、弦楽器励振装置400は、上述したように、係合板120,130と当接部160とを備え、両サイド加振を行う装置である。
図12の破線に示すバイオリン生演奏の放射特性パターンと、図12の実線に示す弦楽器励振装置400による再生音の放射特性パターンは、良く一致していることが判る。特に、低域の400Hz前後、中域の1kHz超、高域の3kHz前後の放射特性パターンは良く相関している。
この実験結果から、弦楽器励振装置400による励振によって、バイオリンが生演奏とほぼ同様の響鳴反応を示したと理解できる。演奏者や第三者からも、弦楽器励振システムS2の再生音は、聴きなれた生演奏に非常に近いと評価された。
本発明は、弦楽器を高音質で鳴らすことができる弦楽器励振装置および弦楽器励振システムを提供することにある。
図12の実験結果は、「弦楽器を高音質で鳴らす」という、定量化しづらい感覚的な課題を、原音に忠実にエミュレート(emulate)するエミュレータ装置に置き換えるものである。すなわち、本弦楽器励振システムS2は、弦楽器励振装置400による機械的構造を用いて、弦楽器の生演奏とほぼ同様の響鳴反応を得る装置を実現することができる。
(第3の実施形態)
図13は、本発明の第3の実施形態に係る弦楽器励振装置600を取り付けた弦楽器の全体構成を示す斜視図である。図1と同一構成部分には同一番号を付して重複箇所の説明を省略する。
図13に示すように、弦楽器励振システムS3は、第1スピーカ200Aからの振動を弦楽器に伝えて当該弦楽器を響鳴させる第1弦楽器励振装置600Aと、第2スピーカ200Bからの振動を弦楽器に伝えて当該弦楽器を響鳴させる第2弦楽器励振装置600Bと、駒20の上部において第1弦楽器励振装置460Aと第2弦楽器励振装置600Bとを連結する一対の連結部650と、を備える。
第1弦楽器励振装置600Aおよび第2弦楽器励振装置600Bは、図1乃至図3の弦楽器励振装置100と同様な構成に加え、さらに本体基板110の側面に連結部650を支持する支持部材680,680を備える。
第1弦楽器励振装置600Aは、第1スピーカ200Aで駆動され、第2弦楽器励振装置600Bは、第2スピーカ200Bで駆動される。
連結部650は、第1弦楽器励振装置600Aの本体基板110と第2弦楽器励振装置600Bの本体基板110とを、弦15gと、弦15dおよび弦15aと、弦15eとで上下交互に連結する。これにより、連結部650は、第1弦楽器励振装置600Aと第2弦楽器励振装置600Bとを安定的に連結する。その結果、第1弦楽器励振装置600Aおよび第2弦楽器励振装置600Bは、駒20の側端部20dにそれぞれ安定して取り付けられ、第1弦楽器励振装置600Aおよび第2弦楽器励振装置600Bの脱落や、使用による位置ズレをより確実に防止できる。
上述したように、弦楽器励振装置100が取り付けられたバイオリン1(弦楽器)は、水平面に置かれる場合のほか、壁等に立て懸ける、手に持つ、車両等の移動手段に搭載する使用方法がある。連結部650は、第1弦楽器励振装置600Aおよび第2弦楽器励振装置600Bの長時間使用、あるいは長期間取り付けている場合の本体基板110の脱落やズレを確実に防止することができる。
なお、係合部170を省略する構成としてもよい。
また、本実施形態の弦楽器励振システムS3は、図12の弦楽器励振システムS2と同様に、駒20の一方の側端部20d(弦15g側)に第1弦楽器励振装置600Aを設置し、駒20の他方の側端部20d(弦15e側)に第2弦楽器励振装置600Bを設置する。さらに、第1弦楽器励振装置600Aを、第1スピーカ200Aで駆動させ、第2弦楽器励振装置600Bを、第2スピーカ200Bで反転信号によりプッシュプルで駆動させる。これにより、駒20は、第1弦楽器励振装置400Aと第2弦楽器励振装置400Bの両側から加振されるので、駆動能力が高く、応答性およびダイナミックレンジが広い効果がある。
上記第1〜第3の実施形態では、弦楽器励振装置の本体基板が係合板を備える構成について説明した。第4〜6の実施形態では、弦楽器励振装置の本体基板が当接部のみを備える例について説明する。
(第4の実施形態)
図14は、本発明の第4の実施形態に係る弦楽器励振装置700の構成を示す斜視図である。図5と同一構成部分には同一番号を付して重複箇所の説明を省略する。
図14に示すように、弦楽器励振システムS4は、スピーカ200からの振動を弦楽器に伝えて当該弦楽器を響鳴させる楽器励振装置700を備える。
弦楽器励振装置700は、駒20の側端部20dの側端面20eに対面する取付面710aを有する本体基板710と、取付面710aに取り付けられ駒20の側端部20dの側端面20eに当接する当接部760と、当接部760を駒20の側端部20dの側端面20eに当接させるように付勢する当接部保持部770と、を備える。
当接部保持部770は、伸縮性を有する帯状部材771を備え、帯状部材771は、一端が本体基板710の上面710cに固定され、他端が面ファスナー772で構成される。帯状部材771は、駒20の上面部20bに張られた弦15(ここでは弦15d)を巻回して、面ファスナー772が本体基板710の底面710dに固定されたフック面(図示省略)に貼り付けられる。帯状部材771は、駒20の上面部20bの弦15(弦15d)を避ける切欠き771aを有する。
当接部保持部770は、帯状部材771の面ファスナー172を、本体基板710の底面710dのフック面(図示省略)に押し付けることで簡単に貼り付けることができ、何度もつけ外しが可能である。
図14に示すように、弦楽器励振装置700の装着時、伸縮性を有する帯状部材771の面ファスナー172を伸張させつつ、弦15(弦15d)を巻回させ、本体基板710の底面710dのフック面(図示省略)に押し付けて保持する。これにより、本体基板710の当接部760は、駒20の側端部20dの側端面20eに引っ張られるようにして当接する。帯状部材771の一端は、本体基板710の上面710cに、他端は本体基板710の底面710dに係止されているので、本体基板710の取付面710aに形成された当接部760は、駒20の側端部20dの側端面20eの適正位置に当接し、かつ、常時適度な力で引っ張られるように当接することになる。
本実施形態の弦楽器励振装置700によれば、本体基板710が当接部760のみを備える構成例において、上記第1〜第3の実施形態と同様の効果、すなわちスピーカ200からの音振動を、本体基板710の取付面710aから当接部760を介して弦楽器の駒20に良好に伝達することができ、弦楽器を高音質で鳴らすことができる。
(第5の実施形態)
図15は、本発明の第5の実施形態に係る弦楽器励振装置800の構成を示す斜視図である。図12と同一構成部分には同一番号を付して重複箇所の説明を省略する。
図15に示すように、弦楽器励振システムS5は、第1スピーカ200Aからの振動を弦楽器に伝えて当該弦楽器を響鳴させる第1弦楽器励振装置800Aと、第2スピーカ200Bからの振動を弦楽器に伝えて当該弦楽器を響鳴させる第2弦楽器励振装置800Bと、駒20の上部において第1弦楽器励振装置800Aと第2弦楽器励振装置800Bとを連結する連結部850(第1当接部保持部、第2当接部保持部)と、を備える。なお、第1弦楽器励振装置800Aおよび第2弦楽器励振装置800Bを総称する場合は、弦楽器励振装置800という。
図15に示すように、第1弦楽器励振装置800Aは、駒20の一方の側端部20dに対面する第1取付面811Aを有する第1本体基板810Aと、第1取付面811Aの反対側となる背面に第1スピーカ200Aの振動板201Aを接続する第1背面812A(第1接続部)と、第1取付面811Aに設置され駒20の一方の側端部20dの側端面20eに当接する第1当接部860Aと、を備える。
第1本体基板810Aは、上面に連結部850の一方の端面850aに接合する第1弾性部材870Aと、駒20の上面部20bに係合して、第1本体基板810Aの脱落やズレを防止する係合部170Aと、を有する。
また、第2弦楽器励振装置800Bは、駒20の他方の側端部20dに対面する第2取付面811Bを有する第2本体基板810Bと、第2取付面811Bの反対側となる背面に第2スピーカ200Bの振動板201Bを接続する第2背面812B(第2接続部)と、第2取付面411Bに設置され駒20の他方の側端部20dの側端面20eに当接する第2当接部860Bと、を備える。
第2本体基板810Bは、上面に連結部850の他方の端面850bに接合する第2弾性部材870Bと、駒20の上面部20bに係合して、第2本体基板810Bの脱落やズレを防止する係合部170Bと、を有する。
連結部850は、可撓性を有する部材により構成され、第1弦楽器励振装置800Aの第1本体基板810Aと第2弦楽器励振装置800Bの第2本体基板810Bとを、駒20の上部で第1弾性部材870A,第2弾性部材870Bを介して連結する。
連結部850は、駒20の上面部20bの形状に合わせて、第1本体基板810Aの上面と第2本体基板810Bの上面と繋ぐ弓なり形状に形成されている。連結部850は、駒20の弦溝20aの4本の弦15e,15a,15d,15gを跨ぐように配置される。
連結部850は、第1弦楽器励振装置800Aの第1本体基板810Aと第2弦楽器励振装置800Bの第2本体基板810Bとが互いに近づく方向に付勢する当接部保持部を構成する。すなわち、連結部850は、いわゆるヘッドホンのヘッドバンドのように、第1弦楽器励振装置800Aおよび第2弦楽器励振装置800Bを駒20に取り付ける前は、駒20の横幅(左右の幅)よりも狭くなるように構成されている。そして、第1弦楽器励振装置800Aおよび第2弦楽器励振装置800Bを駒20に取り付ける場合、連結部850は、外方に撓んで拡げられる。これにより、連結部850は、第1弦楽器励振装置800Aの第1本体基板810Aと第2弦楽器励振装置800Bの第2本体基板810Bとを内方に引っ張る。その結果、駒20の両側の側端面20eに、第1弦楽器励振装置800Aの第1当接部860Aと第2弦楽器励振装置800Bの第2当接部860Bとが引っ張られるようにして当接する。
本実施形態の弦楽器励振装置800によれば、駒20の両側の側端面20eに、第1弦楽器励振装置800Aの第1当接部860Aと第2弦楽器励振装置800Bの第2当接部860Bとが良好に当接する。したがって、本体基板810A,810Bが当接部860A,860Bのみを備える構成例において、上記第1〜第3の実施形態と同様の効果を得ることができ、弦楽器を高音質で鳴らすことができる。
また、第1本体基板810Aと第2本体基板810Bとは、駒20の側面方向の動きが互いに規制される。その結果、第1弦楽器励振装置800Aおよび第2弦楽器励振装置800Bは、駒20の両側の側端面20eにそれぞれ安定して取り付けられ、第1弦楽器励振装置800Aおよび第2弦楽器励振装置800Bの脱落や、使用による位置ズレが防止される。
また、本実施形態の弦楽器励振システムS5は、前記図11の弦楽器励振システムS2の場合と同様に、駒20の一方の側端部20d(弦15g側)に第1弦楽器励振装置800Aを設置し、駒20の他方の側端部20d(弦15e側)に第2弦楽器励振装置800Bを設置する。さらに、第1弦楽器励振装置800Aを、第1スピーカ200Aで駆動させ、第2弦楽器励振装置800Bを、第2スピーカ200Bで反転信号によりプッシュプルで駆動させる。これにより、駒20は、第1弦楽器励振装置800Aと第2弦楽器励振装置800Bの両側から加振されるので、駆動能力が高く、応答性およびダイナミックレンジが広い効果がある。その結果、弦楽器励振システムS5は、バイオリン1の生演奏と同じように臨場感あふれる高音質の楽音を再生することができる。
なお、本実施形態では、係合部170A,170Bは、第1本体基板810Aおよび第2本体基板810Bを駒20の両側の側端面20eに取り付ける際の位置決め部材としての機能を有する。この位置決め部材としての機能が発揮できればよく、形状はどのようなものでもよい。例えば、第1本体基板810Aおよび第2本体基板810Bから駒20の上面部20bに延びて、第1本体基板810Aおよび第2本体基板810Bの位置を規制する突起でもよい。
(第6の実施形態)
図16は、本発明の第6の実施形態に係る弦楽器励振装置900の構成を示す斜視図である。図13と同一構成部分には同一番号を付して重複箇所の説明を省略する。
図16に示すように、弦楽器励振システムS6は、第1スピーカ200Aからの振動を弦楽器に伝えて当該弦楽器を響鳴させる第1弦楽器励振装置900Aと、第2スピーカ200Bからの振動を弦楽器に伝えて当該弦楽器を響鳴させる第2弦楽器励振装置900Bと、駒20の上部において第1弦楽器励振装置900Aと第2弦楽器励振装置900Bとを連結する連結部950(第1当接部保持部、第2当接部保持部)と、を備える。なお、第1弦楽器励振装置900Aおよび第2弦楽器励振装置900Bを総称する場合は、弦楽器励振装置900という。
図16に示すように、第1弦楽器励振装置900Aは、駒20の一方の側端部20dに対面する第1取付面911Aを有する第1本体基板910Aと、第1取付面911Aの反対側となる背面に第1スピーカ200Aの振動板201Aを接続する第1背面912A(第1接続部)と、第1取付面911Aに設置され駒20の一方の側端部20dの側端面20eに当接する第1当接部960Aと、を備える。
第1本体基板910Aは、側面に連結部950を支持する支持部材980Aと、駒20の上面部20bに係合して、第1本体基板910Aの脱落やズレを防止する係合部170Aと、を有する。
また、第2弦楽器励振装置900Bは、駒20の他方の側端部20dに対面する第2取付面911Bを有する第2本体基板910Bと、第2取付面911Bの反対側となる背面に第2スピーカ200Bの振動板201Bを接続する第2背面912B(第2接続部)と、第2取付面911Bに設置され駒20の他方の側端部20dの側端面20eに当接する第2当接部960Bと、を備える。
第2本体基板910Bは、側面に連結部950を支持する支持部材980Bと、駒20の上面部20bに係合して、第2本体基板910Bの脱落やズレを防止する係合部170Bと、を有する。
連結部950は、可撓性を有する部材により構成され、第1弦楽器励振装置900Aの第1本体基板910Aと第2弦楽器励振装置900Bの第2本体基板910Bとを、弦15gと、弦15dおよび弦15aと、弦15eとで上下交互に連結する。これにより、連結部950は、第1弦楽器励振装置900Aと第2弦楽器励振装置900Bとを安定的に連結する。その結果、第1弦楽器励振装置900Aおよび第2弦楽器励振装置900Bは、駒20の側端部20dの側端面20eにそれぞれ安定して取り付けられ、第1弦楽器励振装置900Aおよび第2弦楽器励振装置900Bの脱落や、使用による位置ズレをより確実に防止できる。
連結部950は、第1弦楽器励振装置900Aの第1本体基板910Aと第2弦楽器励振装置900Bの第2本体基板910Bとが互いに近づく方向に付勢する当接部保持部を構成する。連結部950は、第1弦楽器励振装置900Aおよび第2弦楽器励振装置900Bを駒20に取り付ける前は、連結部950両端の差渡しが駒20の横幅(左右の幅)よりも狭くなるように構成されている。そして、第1弦楽器励振装置900Aおよび第2弦楽器励振装置900Bを駒20に取り付ける場合、連結部950は、外方に撓んで拡げられる。これにより、連結部950は、第1弦楽器励振装置900Aの第1本体基板910Aと第2弦楽器励振装置900Bの第2本体基板910Bとを内方に引っ張る。その結果、駒20の両側の側端面20eに、第1弦楽器励振装置900Aの第1当接部960Aと第2弦楽器励振装置900Bの第2当接部960Bとが引っ張られるようにして当接する。
本実施形態の弦楽器励振装置900によれば、駒20の両側の側端面20eに、第1弦楽器励振装置900Aの第1当接部960Aと第2弦楽器励振装置900Bの第2当接部960Bとが良好に当接する。したがって、本体基板910A,910Bが当接部960A,960Bのみを備える構成例において、上記第1〜第3の実施形態と同様の効果を得ることができ、弦楽器を高音質で鳴らすことができる。
また、第1本体基板910Aと第2本体基板910Bとは、駒20の側面方向の動きが互いに規制される。その結果、第1弦楽器励振装置900Aおよび第2弦楽器励振装置900Bは、駒20の両側の側端面20eにそれぞれ安定して取り付けられ、第1弦楽器励振装置900Aおよび第2弦楽器励振装置900Bの脱落や、使用による位置ズレが防止される。
また、本実施形態の弦楽器励振システムS6は、前記図13の弦楽器励振システムS3の場合と同様に、駒20の一方の側端部20d(弦15g側)に第1弦楽器励振装置900Aを設置し、駒20の他方の側端部20d(弦15e側)に第2弦楽器励振装置900Bを設置する。さらに、第1弦楽器励振装置900Aを、第1スピーカ200Aで駆動させ、第2弦楽器励振装置900Bを、第2スピーカ200Bで反転信号によりプッシュプルで駆動させる。これにより、駒20は、第1弦楽器励振装置900Aと第2弦楽器励振装置900Bの両側から加振されるので、駆動能力が高く、応答性およびダイナミックレンジが広い効果がある。その結果、弦楽器励振システムS6は、バイオリン1の生演奏と同じように臨場感あふれる高音質の楽音を再生することができる。
また、演奏時に開放されている弦(開放弦)が共振してしまうことを防ぐために、弦を指板に押し付けることがある。本実施形態の弦楽器励振システムS6は、連結部950が、弦15gと、弦15dおよび弦15aと、弦15eとで上下交互に連結しているので、副次的な効果として、開放弦の共振を抑制することができる。
なお、係合部170A,170Bは、第1本体基板910Aおよび第2本体基板910Bを駒20の両側の側端面20eに取り付ける際の位置決め部材としての機能を有する。この位置決め部材としての機能が発揮できればよく、形状はどのようなものでもよい。本実施形態では、連結部950が、弦15gと、弦15dおよび弦15aと、弦15eとで上下交互に連結しているので、第1本体基板910Aおよび第2本体基板910Bの位置決めのズレや経時変化は小さい。このため、係合部170A,170Bを省略する構成としてもよい。
本発明は、上記各実施形態や変形例に記載した構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、適宜その構成を変更することができる。
例えば、図13の弦楽器励振装置200では、係合板120,130の間の取付面110aに突起を有する当接部160(図2,図3,図5参照)を設けているが、前記図9の変形例6の弦楽器励振装置300Cのように、係合板120,130の間の取付面を当接部としてもよい。同様に、図14の弦楽器励振装置700、図15の弦楽器励振装置800、図16の弦楽器励振装置900では、本体基板の取付面に、突起を有する当接部を設けているが、この取付面を当接部としてもよい。各弦楽器励振装置200,300,700,800,900を試作したところ、突起を有する当接部を取付面に取り付けなくても、当接の効果が十分にあることが確かめられた。
また、係合板は、駒20の側端部20dに対して、面接触部が5%以上、好ましくは10%以上、より好ましくは30%以上、更に好ましくは50%以上の合計となるように構成することが好ましい。少なくとも一部が面接触として、点接触や線接触と併用されることとなっても構わない。
上記した各実施形態および変形例は本発明をわかりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態例の構成の一部を他の実施形態例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態例の構成に他の実施形態例の構成を加えることも可能である。また、各実施形態例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
さらに、例えば第1の実施形態の変形例1,2で説明した構成では、一対の係合板は、その対向する両方が弾性部材を介して本体基板の下端部に取り付けられる例として説明したが、一対の係合板の少なくとも一方が弾性部材を介して本体基板に取り付けられていればよい。なお、弾性部材がない状態で本体基板に取り付けられた係合板は、弾性部材がない分、短い状態で下端部に取り付けられることや、あるいは、一対の係合板の高さが揃わなくても構わない。
また、本実施の形態では弦楽器励振装置および弦楽器励振システムという名称を用いたが、これは説明の便宜上であり、弦楽器振動装置、弦楽器再生システム等であってもよい。
1 バイオリン(弦楽器)
2 表板
15 弦
20 駒
20a 弦溝
20b 上面部
20c 角部
20d 側端部
20e 側端面
50 音源装置
60 位相反転回路
100,100A,100B,300A,300B,300C,400,400A,600,700,800,900 弦楽器励振装置
110,310,410 本体基板
110a,310a,311 取付面(当接部)
110b,310b,312 背面(接続部)
120,130,330,340 係合板
140,150,173,340,350 弾性部材
160,360,760 当接部
170A,170B,370 係合部
200 スピーカ
200A 第1スピーカ
200B 第2スピーカ
201,201A,201B 振動板
210,360 振動板接続部
210A 第1振動板接続部
210B 第2振動板接続部
371 上部係合部
372 下部係合部
373 フック
400A,600A,800A,900A 第1弦楽器励振装置
410A,810A,910A 第1本体基板
411A,811A,911A 第1取付面
412A,812A,912A 第1背面(第1接続部)
400B,600B,800B,900B 第2弦楽器励振装置
410B,810B,910B 第2本体基板
411B,811B,911B 第2取付面
412B,812B,912B 第2背面(第2接続部)
500,650,850,950 連結部(第1当接部保持部、第2当接部保持部)
770 当接部保持部
S1〜S6 弦楽器励振システム

Claims (17)

  1. スピーカからの振動を弦楽器に伝えて当該弦楽器を響鳴させる弦楽器励振装置であって、
    前記弦楽器の表板に設置される駒の側端部の側端面に対面する取付面を有する本体基板と、
    前記本体基板に対向して取り付けられるとともに、前記駒の前記側端部を挟み込む間隔を空けて設けられ、互いに近接する方向に付勢する一対の係合板と、
    前記取付面の反対側となる背面に前記スピーカの振動板を接続する接続部と、を備える
    弦楽器励振装置。
  2. スピーカからの振動を弦楽器に伝えて当該弦楽器を響鳴させる弦楽器励振装置であって、
    前記弦楽器の表板に設置される駒の側端部の側端面に対面する取付面を有する本体基板と、
    前記取付面の反対側となる背面に前記スピーカの振動板を接続する接続部と、
    前記駒の前記側端部の前記側端面に当接する当接部と、
    前記当接部を前記駒の前記側端部の前記側端面に当接させるように付勢する当接部保持部と、を備える
    弦楽器励振装置。
  3. 前記本体基板は、
    一対の前記係合板の間の前記取付面に、前記駒の前記側端部の前記側端面に当接する当接部を有する
    請求項1に記載の弦楽器励振装置。
  4. 前記本体基板は、
    前記駒の上面部に係合する係合部を有する
    請求項1または請求項2に記載の弦楽器励振装置。
  5. 前記本体基板は、
    前記駒の上面部に張られた弦の位置までの長さを備え、前記弦に係合する係合部を有する
    請求項1または請求項2に記載の弦楽器励振装置。
  6. 前記本体基板は、
    当該本体基板から前記駒の他方の側端部までの長さを備え、前記他方の側端部に係合する係合部を有する
    請求項1または請求項2に記載の弦楽器励振装置。
  7. 前記本体基板は、
    当該本体基板の上部側を前記駒の弦に係合させる上部係合部と、当該本体基板の下部側を前記駒の開口部に係合させる下部係合部と、を有する
    請求項1または請求項2に記載の弦楽器励振装置。
  8. 一対の前記係合板は、一対の少なくとも一方が弾性部材を介して前記本体基板に対向して取り付けられ、
    前記弾性部材は、一対の少なくとも一方の前記係合板が互いに近接する方向に付勢する
    請求項1に記載の弦楽器励振装置。
  9. 前記本体基板および前記一対の係合板は、一体形成されている
    請求項1に記載の弦楽器励振装置。
  10. 第1スピーカからの振動を弦楽器に伝えて当該弦楽器を響鳴させる第1弦楽器励振装置と、第2スピーカからの振動を弦楽器に伝えて当該弦楽器を響鳴させる第2弦楽器励振装置とを備える弦楽器励振装置であって、
    前記第1弦楽器励振装置は、
    前記弦楽器の表板に設置される駒の一方の側端部の側端面に対面する第1取付面を有する第1本体基板と、
    前記第1本体基板に対向して取り付けられるとともに、前記駒の第1側端部を挟み込む間隔を空けて設けられ、互いに近接する方向に付勢する一対の第1係合板と、
    前記第1取付面の反対側となる背面に前記第1スピーカの振動板を接続する第1接続部と、を備え、
    前記第2弦楽器励振装置は、
    前記弦楽器の表板に設置される駒の一方の側端部の側端面に対面する第2取付面を有する第2本体基板と、
    前記第2本体基板に対向して取り付けられるとともに、前記駒の第2側端部を挟み込む間隔を空けて設けられ、互いに近接する方向に付勢する一対の第2係合板と、
    前記第2取付面の反対側となる背面に前記第2スピーカの振動板を接続する第2接続部と、を備える
    請求項1に記載の弦楽器励振装置。
  11. 前記第1本体基板は、
    一対の前記第1係合板の間の前記取付面に、前記駒の一方の第1側端部の前記側端面に当接する第1当接部を有し、
    前記第2本体基板は、
    一対の前記第2係合板の間の前記取付面に、前記駒の他方の第2側端部の前記側端面に当接する第2当接部を有する
    請求項10に記載の弦楽器励振装置。
  12. 前記第1本体基板および前記第2本体基板は、
    前記駒の上部において互いに連結する連結部を有する
    請求項10に記載の弦楽器励振装置。
  13. 第1スピーカからの振動を弦楽器に伝えて当該弦楽器を響鳴させる第1弦楽器励振装置と、第2スピーカからの振動を弦楽器に伝えて当該弦楽器を響鳴させる第2弦楽器励振装置とを備える弦楽器励振装置であって、
    前記第1弦楽器励振装置は、
    前記弦楽器の表板に設置される駒の一方の第1側端部の側端面に対面する第1取付面を有する第1本体基板と、
    前記第1取付面の反対側となる背面に前記第1スピーカの振動板を接続する第1接続部と、
    前記第1取付面に取り付けられ駒の一方の前記第1側端部の前記側端面に当接する第1当接部と、
    前記第1当接部を駒の一方の前記第1側端部の前記側端面に当接させるように付勢する第1当接部保持部と、を備え、
    前記第2弦楽器励振装置は、
    前記弦楽器の表板に設置される駒の他方の第2側端部の側端面に対面する第2取付面を有する第2本体基板と、
    前記第2取付面の反対側となる背面に前記第2スピーカの振動板を接続する第2接続部と、
    前記第2取付面に取り付けられ駒の他方の前記第2側端部の前記側端面に当接する第2当接部と、
    前記第2当接部を駒の他方の前記第2側端部の前記側端面に当接させるように付勢する第2当接部保持部と、を備える
    請求項2に記載の弦楽器励振装置。
  14. 前記第1当接部保持部および前記第2当接部保持部は、
    前記駒を間に挟んで前記第1当接部と前記第2当接部とを互いに引っ張る連結部を有する
    請求項13に記載の弦楽器励振装置。
  15. 前記連結部は、
    前記駒の上面部に張られた弦により位置が規制される
    請求項12または請求項14に記載の弦楽器励振装置。
  16. 請求項1ないし請求項8のいずれか一項に記載の弦楽器励振装置と、
    前記弦楽器励振装置の前記接続部に前記振動板を取り付けられるスピーカと、
    備える弦楽器励振システム。
  17. 請求項10ないし請求項15のいずれか一項に記載の前記第1弦楽器励振装置と、前記第2弦楽器励振装置とを備え、
    スピーカは、
    前記第1弦楽器励振装置の前記第1接続部に接続され、前記振動板を正信号で駆動する第1スピーカと、
    前記第2弦楽器励振装置の前記第2接続部に接続され、前記振動板を反転信号で駆動する第2スピーカと、
    を備える弦楽器励振システム。
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