JP2003295865A - 弦楽器 - Google Patents

弦楽器

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 持ち運びが容易、かつ、普通の楽器に近い演
奏音を得ることができる弦楽器を提供する。 【解決手段】 演奏部10はヘッド11、ネック12、
弦13、振動ピックアップが内蔵されたブリッジ14お
よびフレーム15からなる。胴である発音部20には、
前記ピックアップからの信号を増幅する増幅器28、信
号処理回路30および前記増幅器28の出力により駆動
されるアクチュエータ29が設けられている。演奏部1
0と発音部20が着脱自在であるため容易に持ち運びで
きる。また、演奏部10を発音部20に装着することに
より、前記ピックアップの出力が前記増幅器28の入力
に供給され、アクチュエータ29により表板29を加振
することによりアコースティック楽器と同様の演奏音を
得ることができる。さらに、ピックアップの信号を外部
オーディオ機器などで増幅することにより、電気楽器と
同様に動作する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ネックの部分と胴
の部分とを着脱自在とした弦楽器に関する。
【0002】
【従来の技術】ギターやベースなどの弦楽器を持ち歩く
とき、車以外ではやや大きいと感じることが多い。従来
より、このような弦楽器の大きさを小さくするために種
々の試みがなされていたが、三味線のように組み立て式
のもの以外は、楽器の全体寸法を小さくすることが主流
であった。しかしながら、この場合には、音程の変化や
音質の変化など音そのものへの影響が発生する。また、
共鳴部分(胴)を取り外したり、小さくするような場合
もあるが、音を拡声させるために電気音響機器、スピー
カーなどの付属物を伴うこととなる。一方、アコーステ
ィック楽器としての音響放射形態と電気楽器としての拡
声音放射を両立させるものとして、「エレアコ」(エレ
クトリック・アコースティック・ギター)と称する振動
ピックアップを持つギターが知られているが、これも携
帯性という点では、一般のギターと同様の不都合が生じ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】アウトドア活動や自宅
から離れたところでのパーティなどでギターやベースな
どの弦楽器を使用する場合には、できるだけコンパクト
に持ち運ぶことのできることが望ましい。しかし、この
場合であっても、演奏音はできるだけ普通の楽器に近い
ものが望まれる。そこで本発明は、弦楽器の携帯性の向
上と、自然楽器の発音機構による自然な音質と拡声装置
による音量や表現性の確保を図ることのできる弦楽器を
提供することを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の弦楽器は、ネック、弦、ブリッジおよび前
記ブリッジを前記ネックに保持するフレームを有する演
奏部と、胴からなる発音部とを有し、前記演奏部と前記
発音部が着脱自在とされた弦楽器であって、前記ブリッ
ジには、弦の振動を電気信号に変換するピックアップが
設けられており、前記発音部には、前記ピックアップか
らの電気信号を増幅する増幅器と該増幅器の出力により
駆動されて前記胴を加振する加振器が設けられており、
前記演奏部が前記発音部に装着されたときに、前記ピッ
クアップからの電気信号を前記発音部内の増幅器の入力
に接続する手段を有するものである。また、前記発音部
には、前記ピックアップからの電気信号に対して信号処
理を行う信号処理回路が設けられているものである。さ
らに、前記発音部には、前記ピックアップからの電気信
号または前記増幅器もしくは前記信号処理回路の出力信
号を外部装置に出力するための手段が設けられているも
のである。さらにまた、前記ブリッジには、前記ピック
アップからの電気信号を外部装置に直接出力するための
手段が設けられているものである。
【0005】さらにまた、本発明の他の弦楽器は、別体
として構成された胴部と接続して使用することができる
弦楽器であって、ネック、弦、ブリッジおよび前記ブリ
ッジを前記ネックに保持するフレームを有し、前記ブリ
ッジには、弦の振動を電気信号に変換するピックアップ
と該ピックアップからの信号を外部に導出するための手
段が設けられており、前記ネックには、胴部に設けられ
た切欠き部と係合する結合部が設けられているものであ
る。
【0006】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の弦楽器の一実施
の形態であるギターの全体構成を示す斜視図である。こ
の図に示すように、本発明の弦楽器は、演奏(テクニッ
ク)に必要な部分(以下、「演奏部」という)10と、
音響放射に必要な部分(以下、「発音部」という)20
の2つの部分から構成される。この演奏部10と発音部
20は着脱自在に構成されており、図1の(a)は演奏
部10と発音部20とを分離した状態、(b)は発音部
20に演奏部10を取り付けて一体とした状態を示して
いる。演奏部10は、フィンガリングの訓練等を主目的
にした部分であり、ヘッド11、ネック12、弦13、
ブリッジ14およびブリッジ14をネック12に保持す
るフレーム15を主要な部品として構成されている。こ
のフレーム15には金属等の剛性の高い材料が用いられ
ている。そして、ブリッジ14には、弦の振動を電気信
号に変換するピックアップが取り付けられている。この
ピックアップとしては、圧電センサーを利用した圧電形
ピックアップ、電磁変換方式の電磁ピックアップ、コン
デンサマイクを利用したピックアップ、光センサーを利
用したオプティカルピックアップなどを使用できる。
【0007】また、発音部20は音響共鳴にて音を放射
する胴であり、胴内に小型の加振器(アクチュエータ)
29が1または複数個設けられている。前記ピックアッ
プにて受信された信号が発音部20内に設けられた増幅
器28で増幅されてアクチュエータ29に入力され、胴
の表板21に振動を伝えることで、通常のアコースティ
ックギターと同様の発音をすることができる。さらに、
前記演奏部10のブリッジ14の側部に前記ピックアッ
プからの電気信号を出力する端子(ジャックなど)が設
けられており、両端にプラグ31が取り付けられた線3
2を介してピックアップからの電気信号をギターアンプ
などに入力することで、電気ギターと同様に使用するこ
とが可能である。このように、本発明の弦楽器によれ
ば、演奏部10と発音部20とが分離可能に構成されて
いるために、持ち運びが容易となる。また、前記演奏部
10のみを単独で持ち運び、前記ピックアップからの電
気信号を外部のオーディオ装置などを用いて拡声するこ
ともできる。すなわち、演奏部10単独でも弦楽器とし
て機能させることができる。
【0008】以下、このような本発明の弦楽器につい
て、図2および図3も参照しつつ説明する。ここで、図
2は前記演奏部10が前記発音部20に装着され一体化
されたときの前記ブリッジ14近傍における弦13に沿
った方向の断面図であり、図3は前記ネック12に設け
られた結合部17と前記発音部20に設けられた切欠き
部の構成を説明するための図である。図1および図2に
示すように、前記ブリッジ14には、弦13を保持する
サドル16が設けられており、該サドル16とブリッジ
14との間には、弦の振動を電気信号に変換するピック
アップ18が取り付けられている。また、ブリッジ14
の裏面には前記ピックアップ18からの電気信号を出力
するためのプラグ19が設けられており、演奏部10を
発音部20に取り付けたときに、発音部20の該プラグ
19と対応する位置に設けられた孔26を介して、発音
部20内に設けられたジャック33と嵌合し、前記ピッ
クアップ18からの電気信号が発音部20内に設けられ
た増幅部28に入力されるようになされている。さら
に、前記ブリッジ14の裏面には、前記プラグ19に加
えて発音部20に設けられた孔27に挿入される位置決
め用のピンが1又は複数個設けられている。また、前記
ネック12の裏側(弦13と反対側)には、発音部20
に設けられた切欠き部25と嵌合する結合部17が設け
られている。
【0009】発音部20は、図示するように、表板(ト
ップ)21、側板(サイド)22、裏板(バック)23
およびサウンドホール24からなる共鳴箱となってお
り、その上部には、前記ネック12に設けられた結合部
17と嵌合する切欠き部25が設けられている。また、
表板21には、前記演奏部10のブリッジ14の裏面に
設けられたプラグ19に対応する孔26および前記ブリ
ッジ14の裏面に設けられた位置決め用ピンが嵌入する
孔27が設けられている。この孔26の内部には、ジャ
ック33が設けられている。なお、図1(a)中の破線
は、前記演奏部10を装着したときの前記ブリッジ14
が当接する位置を示している。このように、前記結合部
17と切欠き部25、および、前記位置決め用ピンと孔
27の結合により、前記演奏部10と発音部20とを確
実に結合することができる。
【0010】さらに、前記発音部20の内部には、前記
ブリッジ14に設けられたピックアップ18からの電気
信号を増幅する増幅器28が設けられており、また、該
増幅器28の出力により駆動される加振器(アクチュエ
ータ)29が前記表板21の裏面に設けられている。こ
のアクチュエータ29の設置位置および設置個数および
増幅器28の数は適宜決定することができる。例えば、
前記ピックアップ18からの信号を周波数帯域に応じて
分割して各帯域に対応した複数の増幅器28で増幅し、
それぞれの周波数帯域に最も適した位置に配置されてい
るアクチュエータ29を用いて表板21を加振するよう
にすることもできる。このように、アクチュエータ29
を用いて表板21に弦13の振動を伝えることができ、
通常のアコースティックギターと同様の演奏音を得るこ
とができる。なお、電源がないところなどで使用する場
合には、前記増幅器28および前記アクチュエータ29
を作動させることはできないが、この場合であっても、
音量は多少小さくなるものの、前記弦13の振動に発音
部20が共鳴し、前記サウンドホール24を通じて共鳴
音が外部に放出され、アコースティックギターとして動
作する。
【0011】また、前述した増幅器28だけではなく、
前記ピックアップ18からの電気信号に対して音程を変
化させるなどの信号処理を行う信号処理回路30を設
け、該信号処理回路30で信号処理した出力を増幅して
前記アクチュエータ29に供給するようにしてもよい。
この場合には、信号処理により音程の可変などを行うこ
とで、ネック長の短い楽器(例えば、ギタレレ)の音程
を補正することが可能となり、フルサイズの楽器と同じ
調性での演奏が可能となる。
【0012】さらに、図2に示すように、出力用のジャ
ック34を前記側板22などに設け、前記ジャック33
を介して入力された前記ピックアップ18からの電気信
号あるいは前記増幅器28や信号処理回路30の出力信
号をこのジャック34に供給するようにしてもよい。こ
れにより、該ジャック34に係合するプラグ35を介し
てこれらの信号を外部のギターアンプなどで増幅して、
スピーカーから放音することにより、電気ギターと同様
に使用することが可能である。
【0013】図3は、前記演奏部10を前記発音部20
に装着して一体化したときの、前記結合部17と前記切
欠き部25との結合の様子を説明するための図であり、
(a)は前記ネック12の結合部17近傍の弦13に沿
った方向の断面図、(b)は前記ネック12の結合部1
7の近傍を裏側(弦13と反対側)からみた図、(c)
は前記発音部20の前記切欠き部25近傍の弦13に沿
った方向の断面図、(d)は前記演奏部10が前記発音
部20に結合されたときの様子を示す前記結合部17お
よび前記切欠き部25近傍の弦13に沿った方向の断面
図である。図3の(a)、(b)に示すように、結合部
17には、前記切欠き部25と嵌合させるための突出部
17aが設けられており、(c)に示すように、前記発
音部20側には、前記突出部17aと対応する切欠き部
25を有する係合部材25aが設けられている。そし
て、(d)に示すように、演奏部10と発音部20とが
係合される。
【0014】なお、以上の説明においては、ギターに適
用した実施の形態について説明したが、本発明の弦楽器
はギターに限らず、その他の弦楽器に同様に適用するこ
とができる。また、上述の実施の形態においては、ブリ
ッジ14の裏面にプラグ19を設けるとともに側面など
にも出力用の端子(ジャックなど)を設けていたが、い
ずれか一方のみを設けるようにしてもよい。プラグ19
を設けない場合には、ブリッジ14の側面などに設けた
出力用の端子から発音部20の適当な場所に設けられた
入力用の端子に線を通じてピックアップ18からの信号
を入力すればよい。さらに、上記においては、ブリッジ
14に発音部20に設けられたジャック33と係合する
プラグ19を設けていたが、これを逆にしてもよい。
【0015】
【発明の効果】以上のように、本発明の弦楽器によれ
ば、前記演奏部と前記発音部が着脱自在とされているた
めに、両者を分割することにより、持ち運びが容易とな
る。また、演奏部のピックアップから供給される信号に
より、発音部に設置されたアクチュエータ駆動し、発音
させる本発明によれば、普通の弦楽器と同様に、演奏、
発音することが可能である。さらに、前記演奏部を前記
発音部に装着することにより、電源がないところであっ
ても、アコースティック楽器として使用することができ
る。さらにまた、前記演奏部を前記発音部に装着するこ
とにより、同時にピックアップからの信号を前記発音部
内の増幅器等に入力するための電気的接続が行われ、該
増幅器で増幅された信号によりアクチュエータを駆動す
るようになされているため、容易に設定することができ
る。さらにまた、信号処理部を有する本発明の弦楽器に
よれば、例えば、ギタレレのようなネック長の短い楽器
などの音程を補正し、フルサイズの楽器と同じ調性での
演奏が可能となる。さらにまた、演奏部にピックアップ
が設けられており、該ピックアップの信号を出力する出
力端子を有しているために、演奏部のみを持ち運び、移
動先にあるカーステレオなどのオーディオ装置を用いて
発音させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の弦楽器の一実施の形態であるギター
の全体構成を示す斜視図であり、(a)は演奏部10と
発音部20とを分離した状態、(b)は発音部20に演
奏部10を取り付けて一体とした状態を示す図である。
【図2】 演奏部10が発音部20に装着され一体化さ
れたときのブリッジ14近傍の断面図である。
【図3】 ネック12に設けられた結合部17と発音部
20に設けられた切欠き部25の構成を説明するための
図であり、(a)は結合部17の近傍における断面図、
(b)は結合部17の近傍を裏側(弦13と反対側)か
らみた図、(c)は切欠き部25近傍の断面図、(d)
は演奏部10が発音部20に結合されたときの様子を示
す結合部17および切欠き部25近傍の断面図である。
【符号の説明】
10 演奏部、11 ヘッド、12 ネック、13
弦、14 ブリッジ、15 フレーム、16 サドル、
17 結合部、20 発音部、21 表板、22側板、
23 裏板、24 サウンドホール、25 切欠き部、
26、27 孔、28 増幅器、29 アクチュエー
タ、30 信号処理回路

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ネック、弦、ブリッジおよび前記ブリッ
    ジを前記ネックに保持するフレームを有する演奏部と、
    胴からなる発音部とを有し、前記演奏部と前記発音部が
    着脱自在とされた弦楽器であって、 前記ブリッジには、弦の振動を電気信号に変換するピッ
    クアップが設けられており、 前記発音部には、前記ピックアップからの電気信号を増
    幅する増幅器と該増幅器の出力により駆動されて前記胴
    を加振する加振器が設けられており、 前記演奏部が前記発音部に装着されたときに、前記ピッ
    クアップからの電気信号を前記発音部内の増幅器の入力
    に接続する手段を有することを特徴とする弦楽器。
  2. 【請求項2】 前記発音部には、前記ピックアップから
    の電気信号に対して信号処理を行う信号処理回路が設け
    られていることを特徴とする請求項1記載の弦楽器。
  3. 【請求項3】 前記発音部には、前記ピックアップから
    の電気信号または前記増幅器もしくは前記信号処理回路
    の出力信号を外部装置に出力するための手段が設けられ
    ていることを特徴とする請求項1あるいは2に記載の弦
    楽器。
  4. 【請求項4】 前記ブリッジには、前記ピックアップか
    らの電気信号を外部装置に直接出力するための手段が設
    けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか
    に記載の弦楽器。
  5. 【請求項5】 別体として構成された胴部と接続して使
    用することができる弦楽器であって、 ネック、弦、ブリッジおよび前記ブリッジを前記ネック
    に保持するフレームを有し、 前記ブリッジには、弦の振動を電気信号に変換するピッ
    クアップと該ピックアップからの信号を外部に導出する
    ための手段が設けられており、 前記ネックには、胴部に設けられた切欠き部と嵌合する
    結合部が設けられていることを特徴とする弦楽器。
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