JP6502953B2 - 治療計画ごとの咬合調整構造物 - Google Patents

Description

本開示は、全般的には、歯科治療の分野に関する。より具体的には、本開示は、治療計画ごとの咬合調整構造物の為のシステム、方法、コンピューティング装置可読媒体、及び装置に関する。

歯科治療は、例えば、修復及び／又は歯列矯正の処置を含んでよい。修復処置は、歯科補綴材料（例えば、クラウン、ブリッジインレー、オンレー、ベニヤ等）を患者の口腔内に植え付けるように設計されてよい。歯列矯正処置は、美容的外観及び／又は歯科機能を向上させる為に、歯並びの悪い歯を再配置し、咬合構成を変更することを含んでよい。歯列矯正再配置は、例えば、一定期間にわたって１つ以上の歯に制御された力をかけることによって達成可能である。

一例として、歯列矯正再配置は、配置器具を使用して歯を再変性する歯科的プロセスによって行われてよい。そのような器具は、ユーザの歯に略順応するものの、現在の歯構成とは若干ずれている、「アライナ」と呼ばれる、弾性特性を有する材料の薄いシェルを利用してよい。

そのような器具を歯の上に配置することにより、制御された力を特定の場所にかけて、新しい構成まで歯を徐々に動かすことが可能である。漸進的な構成をなす連続する器具を使用してこのプロセスを繰り返すことにより、一連の中間的な配列を経て最終的な所望の配列まで歯を動かすことが可能である。

そのようなシステムでは、典型的には、軽量且つ／又は透明な材料を利用して、次々に使用することが可能な一連の器具を用意し、歯が動いたら、それらの歯を更に動かす為に次の器具を投入することが可能である。

様々な場合において、患者が不正咬合を有していることがあり、その場合、患者の歯は正しく並んでいない。不正咬合の一例として、深い咬合があり、これは、患者の下の歯に上の歯が重なり、下の切歯が上顎歯列弓の歯肉組織と接触する過蓋咬合の急性症例である。深い咬合は、美的問題及び／又は健康への影響の問題となる可能性があり、特に、上の歯の歯根へのダメージ、上顎歯列弓の歯肉組織へのダメージ、及び／又は上の歯との摩擦接触による下の歯の摩耗などが問題となる可能性がある。

患者における深い咬合の症状を矯正する既存の方法として、前歯（例えば、切歯及び／又は犬歯）の圧下、及び／又は臼歯（例えば、小臼歯及び／又は臼歯）の挺出などが考えられる。臼歯の廷出は、特に、バイトターボ（例えば、上の前歯の後面（舌側面）に接着されて、上下顎の臼歯同士の接触を減らして萌出を促進する金属ブロック）、（例えば、未成年患者の）臼歯の萌出を可能にしながら前の歯列と接触する前歯咬合プレート、（例えば、咬合面が傾斜したブロックが、１つは上の歯列の上に配置され、１つは下の歯列の上に配置されることにより、臼歯同士の接触を減らす）ツインブロックを使用することによって促進されることが可能である。しかしながら、成人患者の場合、臼歯の挺出は不安定な結果につながる可能性がある。前歯の圧下は、特に、アンカーベンド（例えば、切歯に上向きの力をかける為に使用される、臼歯上の金属アンカー）、Ｊフックヘッドギア、拡張ねじ、小臼歯及び／又は犬歯をバイパスして、臼歯と切歯の間の距離を長くすることによって、低減された力を維持するバイパス歯列弓ワイヤにより、促進可能である。患者における深い咬合の症状を矯正する別の既存の方法として、歯列矯正手術が考えられる。

本発明は、背景技術の課題を解決するためのものである。

本開示の１つ以上の実施形態による歯位置調整器具の斜視図を示しており、ここでは、一連の歯に幾つかの咬合調整構造物が貼り付けられている。 本開示の幾つかの実施形態による、顎のデジタルモデルの斜視図を示しており、ここでは、幾つかの咬合調整構造物が切歯上に配置されている。 本開示の幾つかの実施形態による、治療の第１の段階に対応する、顎のデジタルモデル一部分の斜視図を示しており、ここでは、デジタルモデル上に幾つかのデジタル咬合調整構造物が配置されている。 本開示の幾つかの実施形態による、治療の第２の段階に対応する、顎のデジタルモデルの一部分の斜視図を示しており、ここでは、デジタルモデル上に幾つかのデジタル咬合調整構造物が配置されている。 本開示の幾つかの実施形態による、治療の第３の段階に対応する、顎のデジタルモデルの一部分の斜視図を示しており、ここでは、デジタルモデル上に幾つかのデジタル咬合調整構造物が配置されている。 本開示の幾つかの実施形態による、治療の第４の段階に対応する、顎のデジタルモデルの一部分の斜視図を示しており、ここでは、デジタルモデル上に幾つかのデジタル咬合調整構造物が配置されている。 本開示の幾つかの実施形態による、顎のデジタルモデルの斜視図を示しており、ここでは、デジタル犬歯の上に幾つかのデジタル咬合調整構造物が配置されている。 本開示の幾つかの実施形態による、顎のデジタルモデルの斜視図を示しており、ここでは、デジタル臼歯の上に幾つかのデジタル咬合調整構造物が配置されている。 本開示の幾つかの実施形態による、歯位置調整器具の一部分の斜視図を示しており、ここでは、幾つかの咬合調整構造物がその一部分の上に配置されている。 本開示の幾つかの実施形態による、図６に示された器具の一部分の、切断線７Ａ−７Ａに沿う断面図を示す。 本開示の幾つかの実施形態による、図６に示された器具の一部分の、切断線７Ｂ−７Ｂに沿う断面図を示す。 本開示の幾つかの実施形態による、第１の器具及び第２の器具の一部分の、図７Ｂに示された断面図とよく似た断面図を示す。 本開示の幾つかの実施形態による、第１の器具及び第２の器具の一部分の、図７Ｂに示された断面図とよく似た断面図を示す。 本開示の幾つかの実施形態による、歯位置調整器具上の幾つかの咬合調整構造物と、対向する顎の幾つかの歯との間の当接状態を示す。 本開示の幾つかの実施形態による、第１の垂直方向関係にある顎を示す。 本開示の幾つかの実施形態による、第２の垂直方向関係にある顎を示す。 本開示の幾つかの実施形態による、オーバーバイト及びオーバージェットの矯正を示す。 本開示の１つ以上の実施形態による、治療計画ごとの咬合調整構造物の為のシステムを示す。

幾つかの既存の方法と異なり、本開示の幾つかの実施形態は、治療ごとに異なる様式で歯配置器具の上に幾つかの咬合調整構造物が配置された、歯配置器具（例えば、アライナ）を特徴とする。例えば、咬合調整構造物は、器具に関連付けられた、治療の一段階に従って配置されてよい。一連の器具のうちの１つ、幾つか、又は全ての器具に、各器具に関連付けられた、治療計画の各段階に固有の（例えば、形状及び位置が固有の）咬合調整構造物が配置されてよい。実施形態によっては、咬合調整構造物は、器具と同じ材料で形成されてよく、且つ／又は、器具と同時に形成されてよい。

本開示の以下の詳細説明では、本開示の一部を成す添付図面を参照する。添付図面には、本開示の幾つかの実施形態がどのように実施されうるかが例示されている。これらの実施形態は、当業者であれば本開示の実施形態を実施できるように十分詳細に記載されており、又、当然のことながら、他の実施形態も利用されてよく、本開示の範囲を逸脱しない限り、プロセス及び／又は構造の変更が行われてよい。本明細書で使用されている「幾つかの」特定の物は、１つ以上のそのような物を意味してよい（例えば、幾つかの咬合調整構造物は、１つ以上の咬合調整構造物を意味してよい）。

本明細書の各図面は、最初の１つ以上の桁が図面番号に対応し、残りの桁が図面中の要素又は構成要素を識別するという番号付け規則に従う。異なる図面間で同様の要素又は構成要素は、同様の桁を使用することにより識別可能である。例えば、１０６は、図１の要素「０６」を参照することが可能であり、図６の同様の要素は「６０６」として参照することが可能である。当然のことながら、本明細書に記載の様々な実施形態において示されている要素を追加、交換、及び／又は除去することにより、本開示の新たな実施形態を追加することが可能である。更に、当然のことながら、図面に示されている各要素の比率や相対尺度は、本発明の特定の実施形態を例示することを意図したものであって、限定の意味に解釈されるべきではない。

図１は、本開示の１つ以上の実施形態による歯位置調整器具１０２の斜視図を示しており、ここでは、一連の歯１０４に幾つかの咬合調整構造物１０６が貼り付けられている。本開示による器具は、実施形態によっては、複数の漸進的歯位置調整器具を含んでよい。図１に示された器具１０２のような器具は、幾つか適切な用途がある中でも特に、顎内の個々の歯の漸進的再配置に作用するなどして、治療計画を漸進的に実施する為に利用されてよい。器具１０２のような器具は、本開示の１つ以上の実施形態に従って調整された、幾つかの歯の位置を取得した仮の歯型に従って製作されてよい。

器具は、歯科治療に関連して歯の配置を仕上げて保持する為の、任意の配置器、保持器、及び／又は他の取り外し可能器具を含んでよい。これらの器具は、治療計画の実施時に治療の専門家によって利用されてよい。例えば、治療計画は、本明細書に記載の型に従って作成された一連の器具の使用を含んでよい。

器具（例えば、図１の器具１０２）は、例えば、ポリマーシェルで製作されてよく、且つ／又は、他の材料で形成されてよく、中に複数のキャビティを有する（例えば、キャビティ１０７−１、キャビティ１０７−２、ここではまとめてキャビティ１０７と称する）。キャビティ１０７は、１つ以上の歯１０４を受け、且つ／又は、顎の１つ以上の歯１０４に力をかけて、１つの歯配列から次の歯配列へと再配置するように、設計（例えば、整形）されてよい。シェルは、上顎及び／又は下顎にある歯１０４のうちの幾つか、又は多くの場合には全てに、ぴったりかぶせられるように設計されてよい。

器具１０２は、シェルと同じ材料で形成された幾つかの咬合調整構造物１０６を含んでよい。実施形態によっては、咬合調整構造物１０６は、シェルとの連続体として、シェルと同じ材料で形成されてよい。咬合調整構造物１０６は、シェルと同時に（例えば、同じバルク材料で）形成されてよく、例えば、ユーザの歯を表すデータに基づいて形成された歯型の上に材料が真空形成される真空形成プロセス中に形成されてよい。

シェルは、（例えば、各キャビティ１０７が歯に対応する）キャビティ１０７を含んでよい。咬合調整構造物１０６は、キャビティ１０７の一部であってよい。キャビティ１０７−３のような、咬合調整構造物１０６を含まないキャビティは、特定の歯と嵌合するように整形されてよい。例えば、キャビティ１０７−３は、キャビティ１０７−３内で受けられる、対応する歯の３つの面と嵌合するように整形されてよい。この３つの面は、前面（顔側面）１２８、後面（舌側面）１２６、及び咬合面（切縁面）１２４であってよい。キャビティ１０７−３は、（例えば、その特定の歯を所望の構成に並べることを促進する為に）その特定の歯の現在の構成から若干ずれていてよいが、器具１０２の装着時にキャビティ１０７−３とその特定の歯との間の空間があまりないように、キャビティ１０７−３は、その特定の歯の形状と略一致していてよい。

これに対し、キャビティ１０７−１のような、咬合調整構造物１０６を含むキャビティは、特定の歯の２つの面と嵌合するように整形されてよい。切歯又は犬歯の場合、この２つの面は、前面（顔側面）１２８及び咬合面（切縁面）１２４であってよい。キャビティ１０７−１の後面（舌側面）１２６は、そこから延びる咬合調整構造物１０６を含んでよい。咬合調整構造物１０６は、特定の歯に装着されたときに、その歯と咬合調整構造物１０６との間に空間が存在するように、キャビティ１０７−１の一部を成してよい。図７Ｂ及び図７Ｃは、この空間をより詳細に示している。

咬合調整構造物１０６は、器具１０２から口の奥に向かって（顔側−舌側方向に）延びてよく、器具１０２が装着されることを意図された顎と対向する顎の歯と当接するように設計されてよい。例えば、器具１０２は、ユーザの上顎の歯にぴったりかぶせられるように設計されてよく、咬合調整構造物１０６は、ユーザの下顎の歯と当接するように設計されてよい。各咬合調整構造物１０６の形状（例えば、サイズ及び／又は輪郭、角度等）及び位置（例えば、キャビティ上の場所）は、器具１０２の設計の目的となった治療計画の一段階に固有のものであってよい。例えば、治療計画に従って作成された連続する器具群は、それぞれ、形状及び／又は位置が異なる咬合調整構造物１０６を有してよい。特定の咬合調整構造物１０６は、対向する顎の特定の歯との当接状態、意図された用途、及び咬合調整構造物１０６がかぶせられる歯の向きのうちの少なくとも１つに基づく、治療計画の特定の段階に固有の形状及び位置を有してよい。治療の特定段階に固有の形状及び位置を有する咬合調整構造物１０６は、治療の各段階に固有ではなく、従って、使用されている間の治療段階における所望の矯正を正確に行うことができない、汎用的且つ／又は均一のアタッチメントを使用する幾つかの既存の方法より有利となりうる。そのような不正確な治療は、幾つかある弱点の中でも特に、治療計画の長期化、治療計画の見直しの必要、及び／又はユーザの余計な不快感につながる可能性がある。これに対し、本開示の幾つかの実施形態は、治療の、より適時の、より正確な、且つ／又は、より快適な実施を可能にする。

実施形態によっては、キャビティ１０７の咬合面（切縁面）１２４に対向する、キャビティ１０７のエッジ１０１は、ユーザの歯肉線１０８を越えて延びるように整形されてよい。シェルの、顎の歯肉線１０８を越えて延びる部分は、（例えば、咬合調整構造物１０６にかかる幾つかの力に反する）逆の力を顎の他の部分に分散させることに役立ちうる。

具体的には示されていないが、実施形態によっては、治療計画の特定の段階において、上側器具（ユーザの上顎の歯にぴったりかぶせられるように設計された器具）と下側器具（ユーザの下顎の歯にぴったりかぶせられるように設計された器具）の両方が幾つかの咬合調整構造物を含むことが可能である。治療計画の特定の段階が、上側器具及び下側器具のうちの一方のみに咬合調整構造物を含むことも可能である。治療計画の特定の段階が、上側器具にも下側器具にも咬合調整構造物を全く含まないことも可能である。治療計画の特定の段階が、切歯、犬歯、小臼歯、及び／又は臼歯、及び／又はこれらの任意の組み合わせに対応するキャビティ上に咬合調整構造物を含むことも可能である。

上側器具上の咬合調整構造物は、下顎の歯と当接するように設計されてよく、下側器具上の咬合調整構造物は、上顎の歯と当接するように設計されてよい。本明細書では、「対向する顎の歯と当接するように設計され」ている咬合調整構造物は、その咬合調整構造物が当接するように設計されている、対向する顎の歯に別の器具がかぶせられていてもいなくてもよいことを意味している。実施形態によっては、（例えば、図７Ｄに関して例示及び説明されるように）第１の器具のキャビティ上の咬合調整構造物が、対向する顎にかぶせられた第２の器具のキャビティ上の対応する突出構造物と当接するように設計されてよい。

上側器具は、上の前歯を受けるように設計されたキャビティ１０７の後ろ側（例えば、舌側）に幾つかの咬合調整構造物１０６を含んでよい。この幾つかの咬合調整構造物１０６は、ユーザの咬合時に（例えば、ユーザの臼歯間の離開咬合を実現するように）下の前歯と当接し、下の前歯からの本来の力を受けることが可能である。実施形態によっては、器具１０２は、（ユーザの咬合によって発生する本来の力に反する）逆の力を上の臼歯列に選択的に分散させるように設計されてよい。

咬合調整構造物１０６は、上下顎間の離開咬合を実現するように設計されてよい。上下顎間の離開咬合を実現することにより、上顎と下顎の垂直方向関係の調整（例えば、矯正）が可能であってよい。即ち、咬合調整構造物１０６は、上顎と下顎の垂直方向関係、及び／又は、上顎と下顎のそれぞれの歯同士の垂直方向関係の調整を行うように設計されてよく、且つ、その調整を行うことを意図されてよい。実施形態によっては、器具１０２は、咬合調整構造物１０６が上下顎間の離開咬合を実現する一方で、器具１０２が装着される幾つかの歯１０４を再配置するように設計されてよい。上下顎間の離開咬合を実現することは、上下顎上の器具同士の（例えば、咬合調整構造物１０６の場所以外での）相互干渉（例えば、接触、力のかけ合いを可能にすること等）を防ぐことに役立ちうる。上下顎間の離開咬合を実現することにより、ユーザの咬合平面（例えば、グローバル咬合平面）を調整することが可能になる。そのような調整は、（例えば、器具１０２が装着されている間の）一時的なものであってよく、且つ／又は、（例えば、臼歯などの歯の挺出を可能にすることにより）より永続的なものであってよい。例えば、咬合調整構造物１０６は、ユーザの咬合時に、対向する臼歯間の離開咬合を実現するように設計されてよい（例えば、実施形態によっては、ユーザの幾つかの前歯が、対向する顎に装着された器具上の咬合調整構造物１０６と接触してよく、これによって、ユーザの臼歯同士の咬合を防ぐことが可能である）。本明細書では、「離開咬合」は、上下顎の対応する歯同士の間に空間を設けることによって、それらの歯同士が結合及び／又は接触しないようにすることを含む。

図２は、本開示の幾つかの実施形態による、顎のデジタルモデル２１４の斜視図を示しており、ここでは、幾つかの咬合調整構造物２１０が切歯上に配置されている。本開示の幾つかの実施形態は、非過渡的コンピューティング装置可読媒体内に固定されてよい、プロセッサによって実行可能な命令（例えば、ソフトウェア）を含み、これらの命令は、（例えば、歯、歯根、歯肉、及び／又は支持構造物等を含む）ユーザの顎をモデリングする。これらの命令は、幾つかある調整の中でも特に、本明細書に記載の一連の器具を適用することによって、ユーザの歯及び／又は咬合を漸進的に調整する治療計画を作成及び／又は修正する為に実行されてよい。これらの命令は、デジタルモデル２１４に対応する物理型の（例えば、ステレオリソグラフィなどのラピッドプロトタイピングによる）製作の為の、治療計画の様々な段階のそれぞれにおけるユーザの顎の修正されたモデルを与える為に実行されてよい。物理型は、物理型にかぶせる器具の（例えば、熱成形による）製作の為に使用されてよい。

本開示の幾つかの実施形態によれば、これらの命令は、幾つかのデジタル咬合調整構造物２１０を、顎のデジタルモデル２１４の対応する数のデジタル歯２１２の上に配置する為に実行されてよい。これらの命令は、治療の特定の段階において顎のデジタルモデル２１４のデジタル歯の上にデジタル咬合調整構造物２１０を配置すること、及び／又は、治療の後続の諸段階の為にデジタル咬合調整構造物２１０の位置を調整することの為に実行されてよい。顎のデジタルモデル２１４は、治療計画に従って治療の段階ごとに異なってよい（例えば、デジタル歯の配置を変更してよい）。これらの命令は、治療段階間での顎のデジタルモデル２１４の変化に応じて、且つ／又は、（例えば、顎のデジタルモデル２１４に所望の変化を引き起こすことを支援する為の）治療の後続の諸段階において予想される変化に応じて、デジタル咬合調整構造物２１０の位置を調整する為に実行されてよい。

治療の各段階において、これらの命令は、（実際の器具によってユーザの実際の顎にかかる実際に力をシミュレートする為に）各段階に対応する器具によって顎のデジタルモデル２１４にかかる力をモデル化する為に実行されてよい。それらの力は、デジタル歯の現在の構成から若干ずれている器具によって顎のデジタルモデル２１４にかかる力を含んでよく、且つ／又は、（例えば、ユーザが咬合調整構造物を咬んだときに）ユーザによってアライナにかかる本来の力を含んでよい。これらの命令は、顎のデジタルモデル２１４の上に形成される対応する器具が（ユーザによって咬合調整構造物にかかる本来の力に反する）逆の力を、ユーザの実際の顎の幾つかの臼歯に分散させるように、顎のデジタルモデル２１４の形状を調整する為に実行されてよい。

本明細書（例えば、図２、図３Ａ−３Ｄ、図４、図５等）で図示及び／又は記載されている幾つかのデジタルモデルはいずれも、幾つかある用途の中でも特に、治療計画の一段階を表すものであってよく、デジタルモデルにかかる力をモデリングする為に使用されてよく、デジタルモデルにかぶせられる実際の器具を形成する為の物理型を作成する為に使用されてよく、（物理型を作成することなく）実際の器具を直接製作することに使用されてよい。

顎のデジタルモデル２１４上のデジタル咬合調整構造物２１０の配置及び／又は配置の調整は、（例えば、治療の特定段階における力モデリングに基づくソフトウェアの動作によって）自動で行われてよく、或いは、（例えば、コンピューティング装置を有するインタフェースを介してデジタルモデルと対話するオペレータの操作によって）手動で行われてよく、或いは、これらの組み合わせによって行われてよい。同様に、デジタル咬合調整構造物２１０の形状（例えば、大きさ、向き（基準に対する様々な角度））及び／又は（デジタル歯上の）取付位置は、ソフトウェアによって自動的に設定されてよく、或いは、手動操作によって設定されてよく（例えば、オペレータが、デジタル咬合調整構造物２１０の必要条件を指定したり、且つ／又は、ソフトウェアによって与えられるデフォルト条件を修正したりしてよい）、或いは、これらの組み合わせによって行われてよい。

本明細書において記載されるとおり、咬合調整構造物は、幾つかある用途の中でも特に、離開咬合の実現、及び／又は犬歯誘導の調整の為に使用されてよい。デジタル咬合調整構造物２１０を配置する命令は、命令の結果を、デジタル歯２１２の再配置に使用される力をモデリングすることに取り入れてよい。例えば、これらの命令は、治療計画の第１の段階（「第１の」は任意の段階を示しており、必ずしも最初の段階を示していない）に従って、第１の数のデジタル歯２１２を第１の距離だけ再配置することに使用される、対応する第１の数の力をモデリングする為に実行されてよく、又、これらの命令は、デジタル咬合調整構造物２１２を配置する為の第１の数の力にモデリング結果を取り入れる為に実行されてよい。デジタル咬合調整構造物２１２の位置を調整する為に実行される命令は、治療計画の第２の段階（例えば、第１の段階の後の段階であるが、必ずしも第１の段階の直後の段階ではない）に従って、第２の数のデジタル歯２１２を第２の距離だけ再配置することに使用される第２の数の力を計算する為に実行される命令の結果を取り入れてよい。

本開示の幾つかの実施形態によれば、咬合調整構造物を内蔵する器具を製作するには、実際の咬合調整構造物をユーザの実際の歯に取り付けなくてもよい。デジタルモデリングを用いれば、（物理的なアタッチメントを持たない）ユーザの歯の印象を作成することが可能であり、ソフトウェアにより、デジタル咬合調整構造物２１０を追加することが可能である。そのような実施形態は、ユーザが歯科医院の椅子に座る時間を短縮できる利点があり、且つ／又は、物理的なアタッチメントに関連する材料の使用を減らしてコストを下げることが可能である。そのような実施形態は、物理的なアタッチメントが一時的なものであったとしても、その物理的なアタッチメントに関連しうるユーザの不快さを減らすことができる利点がある。

図３Ａは、本開示の幾つかの実施形態による、治療の第１の段階に対応する、顎のデジタルモデル３１４の一部分の斜視図を示しており、ここでは、デジタルモデル３１４上に幾つかのデジタル咬合調整構造物３１０が配置されている。デジタルモデル３１４は、幾つかのデジタル歯３１２−１、３１２−２、３１２−３、３１２−４（例えば、切歯）を含み、これらのそれぞれが、対応するデジタル咬合調整構造物３１０−１、３１０−２、３１０−３、３１０−４を含む。

図３Ｂは、本開示の幾つかの実施形態による、治療の第２の段階に対応する、顎のデジタルモデル３１４の一部分の斜視図を示しており、ここでは、デジタルモデル３１４上に幾つかのデジタル咬合調整構造物３１０が配置されている。図３Ｃは、本開示の幾つかの実施形態による、治療の第３の段階に対応する、顎のデジタルモデル３１４の一部分の斜視図を示しており、ここでは、デジタルモデル３１４上に幾つかのデジタル咬合調整構造物３１０が配置されている。図３Ｄは、本開示の幾つかの実施形態による、治療の第４の段階に対応する、顎のデジタルモデル３１４の一部分の斜視図を示しており、ここでは、デジタルモデル３１４上に幾つかのデジタル咬合調整構造物３１０が配置されている。

「第１の段階」は、必ずしも治療計画の最初の段階を意味するものではなく、他の諸段階に対する相対的な呼称である。例えば、「第１の段階」は、５０段階の治療計画の第２段階であってよく、図３Ｂに示された「第２の段階」は、その５０段階の治療計画の第１０段階であってよく、図３Ｃに示された「第３の段階」は、その５０段階の治療計画の第３０段階であってよく、図３Ｃに示された「第４の段階」は、その５０段階の治療計画の第４０段階であってよい。

実施形態に含まれる咬合調整構造物３１０の数は、図３Ａ−３Ｄに示されたものより多くても少なくてもよい。例えば、治療計画によっては、第１の段階では４個、第２の段階では２個の咬合調整構造物３１０を含んでよい。各咬合調整構造物３１０は、形状及び位置が治療計画の段階ごとに異なってよい。

図３Ａでは、第１のデジタル歯３１２−１が第１のデジタル咬合調整構造物３１０−１を有しており、これは、第２のデジタル歯３１２−２上の第２のデジタル咬合調整構造物３１０−２より小さい。第１のデジタル咬合調整構造物３１０−１は、同一顎内の隣接歯間方向（近心−遠心方向）３１１においても、口の前から奥にかけての間の方向（顔側−舌側方向）３１３においても、第２のデジタル咬合調整構造物３１０−２より小さい。実施形態によっては、咬合調整構造物が異なれば、歯の根元から先端にかけての方向（歯肉−切歯／歯冠方向）３１５の大きさが異なってよい。第１のデジタル咬合調整構造物３１０−１は、第３のデジタル歯３１２−３上の第３のデジタル咬合調整構造物３１０−３より小さく、且つ、第４のデジタル歯３１２−４上の第４のデジタル咬合調整構造物３１０−４より小さい。第３のデジタル咬合調整構造物３１０−３は、第２のデジタル咬合調整構造物３１０−２とほぼ同じ大きさである。第４のデジタル咬合調整構造物は、第２のデジタル咬合調整構造物３１０−２及び第３のデジタル咬合調整構造物３１０−３より小さいが、第１のデジタル咬合調整構造物３１０−１より大きい。咬合調整構造物は、図７Ａ−７Ｂにおいて図示及び詳述されるように、様々な角度を有してよい。

咬合調整構造物は、例えば、治療中に、上下顎の対応する歯同士が互いに近づくにつれて、大きさが変わるように（例えば、小さくなるように）設計されてよい。咬合調整構造物は、例えば、治療中に、上下顎の対応する歯同士が互いに遠ざかるにつれて、大きさが変わるように（例えば、大きくなるように）設計されてよい。咬合調整構造物は、１つ以上の隣接歯との近接度に応じて、同一顎内の隣接歯間方向（近心−遠心方向）３１１に小さくなったり大きくなったりしてよい（例えば、咬合調整構造物は、咬合調整構造物が隣接歯と干渉しないように、込み具合／空き具合に応じて小さくなったり大きくなったりするように設計されてよい）。

咬合調整構造物は、治療の段階が異なれば歯上の位置が異なるように設計されてよい。図３Ｂから図３Ｃにかけて示されるように、デジタル咬合調整構造物３１０−１の、咬合面（切縁面）３２４−１に最も近いエッジ３２３−１が、デジタル歯３１２−１の咬合面（切縁面）３２４−１に近づいている。更に、第２の段階から第３の段階にかけて、デジタル咬合調整構造物３１０−１が、同一顎内の隣接歯間方向（近心−遠心方向）３１１、及び歯の根元から先端にかけての方向（歯肉−切歯／歯冠方向）３１５の両方において大きくなっている。咬合調整構造物は、例えば、歯（又は対向する顎の対応する歯）の圧下又は挺出の変化、及び／又は、歯（又は対向する顎の対応する歯）の移動（例えば、同一顎内の隣接歯間方向（近心−遠心方向）３１１の移動）に基づいて、治療段階間で歯上の位置が変わるように設計されてよい。例えば、ある歯が治療中に圧下した場合、その歯の咬合調整構造物は、治療の後続の段階において歯の咬合面（切縁面）に向かって動かされてよく、これにより、対向する顎の対応する歯が、咬合調整構造物と接触し続けることが可能になる。本明細書では、「圧下」は、歯を顎に向かって後退させること、及び／又は、顎からの歯の萌出を防ぐことを含む。

図３Ａ−３Ｄを通して、デジタル咬合調整構造物３１０−１、３１０−２、３１０−３、３１０−４の、歯の咬合面（切縁面）３２４−１、３２４−２、３２４−３、３２４−４に最も近いエッジ３２３−１、３２３−２、３２３−３、３２３−４は、デジタル歯３１２−１、３１２−２、３１２−３、３１２−４の咬合面（切縁面）３２４−１、３２４−２、３２４−３、３２４−４に向かって位置が大まかに変化する。そのような、デジタル咬合調整構造物３１０−１、３１０−２、３１０−３、３１０−４の位置変化は、例えば、デジタル歯３１２−１、３１２−２、３１２−３、３１２−４を顎内に圧下させる治療計画の一環として設計されてよい（歯が顎内に上がっていくにつれて、対向する顎の対応する歯との接触によって画定される咬合平面が、デジタル歯３１２−１、３１２−２、３１２−３、３１２−４の咬合面（切縁面）３２４−１、３２４−２、３２４−３、３２４−４に向かって、略、歯の根元から先端にかけての方向（歯肉−切歯／歯冠方向）３１５に動いていくことになる）。

図４は、本開示の幾つかの実施形態による、顎のデジタルモデル４１４の斜視図を示しており、ここでは、デジタル犬歯４１２−１、４１２−２の上に幾つかのデジタル咬合調整構造物４１０−１、４１０−２が配置されている。犬歯上に咬合調整構造物を含む（例えば、デジタルモデル４１４に基づいて形成された）器具を使用することにより、器具装着時に（例えば、歯の萌出又は他の治療目標を可能にする）ユーザの両顎の様々な対向する歯同士の離開咬合を実現することが可能である。

デジタル咬合調整構造物４１０は、デジタル犬歯４１２から、口の外側から口の内部に向かう方向（顔側−舌側方向）４１３に延びてよい。デジタル咬合調整構造物４１０はデジタル犬歯４１２から延びている為、デジタル咬合調整構造物４１０は、（個々の患者の歯の形状及び配列によっては）咬合平面に対して斜めの方向に延びる可能性が高い。各デジタル咬合調整構造物の角度は、それらがそこから延びる個々のデジタル歯に固有であってよく、患者の歯の形状及び配列は様々であろうが、デジタル切歯から延びるデジタル咬合調整構造物（例えば、図２）は、咬合平面に平行な方向により近い可能性があり、デジタル臼歯及び／又はデジタル小臼歯から延びるデジタル咬合調整構造物（例えば、図５）は、咬合平面に垂直な方向により近い可能性があり、デジタル犬歯から延びるデジタル咬合調整構造物（例えば、図４）は、咬合平面に対して斜めの方向により近い可能性がある。

本開示の幾つかの実施形態によれば、デジタル咬合調整構造物４１０は、治療の特定の段階で顎のデジタルモデル４１４の、対応する数のデジタル歯４１２の上に配置されてよい。デジタル咬合調整構造物４１０の位置は、（例えば、顎のデジタルモデル４１４に所望の変化を引き起こすことを支援する為の）治療の後続の諸段階に向けて調整されてよい。例えば、器具の、犬歯にかぶせたキャビティの咬合調整構造物を使用して、犬歯誘導を調整することが可能である。犬歯誘導は、下顎が横方向にスライドしたときに上下顎の臼歯同士の接触を防ぐことを支援する、犬歯の一特徴である（例えば、上顎に対して下顎が横方向にスライドしたときに、臼歯を保護する為に、上側犬歯と下側犬歯との相互作用（「誘導」）によって、上下顎の臼歯同士の離開咬合が実現される）。犬歯キャビティ上に咬合調整構造物を有して形成された器具は、犬歯誘導を調整することが可能であり、それは、顎同士が互いに対して横方向に動いたときに、咬合調整構造物と対向する歯との当接によって離開咬合が実現されて臼歯が保護されるように、犬歯キャビティと、対向する顎の対応する歯との当接具合を変えることにより、可能である（この場合、例えば、咬合調整構造物がないとすると、顎同士が互いに対して横方向に動くと、臼歯同士が互いに接触し、且つ／又は互いにすりあわせる可能性がある）。

図５は、本開示の幾つかの実施形態による、顎のデジタルモデル５１４の斜視図を示しており、ここでは、デジタル臼歯５１２−１、５１２−２の上に幾つかのデジタル咬合調整構造物５１０−１、５１０−２が配置されている。デジタル咬合調整構造物５１０は、デジタル臼歯５１２の上に配置されているように示されている。具体的には示されていないが、デジタル咬合調整構造物は、図５に示された、臼歯５１２の上に配置されたデジタル咬合調整構造物５１０と類似した様式でデジタル小臼歯の上に配置されてよい。

デジタル咬合調整構造物５１０は、治療の特定の段階において、顎のデジタルモデル５１４の、対応する数のデジタル歯５１２（例えば、臼歯）の上に配置されてよい。デジタル咬合調整構造物５１０の位置は、（例えば、顎のデジタルモデル５１４に所望の変化を引き起こすことを支援する為の）治療の後続の諸段階に向けて調整されてよい。例えば、器具の、臼歯及び／又は小臼歯にかぶせたキャビティの咬合調整構造物を使用して、ユーザの咬合時に上下顎の臼歯同士及び／又は前歯同士の離開咬合を実現することが可能である。デジタル咬合調整構造物５１０は、各キャビティから、歯の根元から先端にかけての方向（歯肉−切歯／歯冠方向）５１５に延びてよい。実施形態によっては、デジタル咬合調整構造物５１０は、離開咬合を実現する為にデジタルモデル５１４に基づいて器具内に形成された、対応する実際の咬合調整構造物を支援する為に、歯の根元から先端にかけての方向（歯肉−切歯／歯冠方向）５１５に、咬合平面を貫通するのに十分な距離だけ延びてよい。離開咬合は、咬合調整構造物と対向する顎の歯との相互作用によって実現されてよい（例えば、咬合調整構造物は、対向する顎の幾つかの歯と接触して、上下顎の他の歯同士が互いに接触することを防ぐことが可能である）。具体的には示されていないが、対向するデジタル顎の対応する面が、デジタル咬合調整構造物５１０を受けるように輪郭決定されてよい。その面の上に形成される器具が、その輪郭を継承して、咬合調整構造物５１０が、対向する器具にぴったりフィットして、不要なずれ力を抑えるようにしてよい。

具体的には示されていないが、幾つかの実施形態は、治療の特定の段階の為に、顎の一方の側（例えば、左側又は右側のいずれか）のみの幾つかの臼歯の上にデジタル咬合調整構造物を含んでよい。顎の一方の側の臼歯から延びる咬合調整構造物を含むことにより、幾つかの歯が、顎の反対側から挺出又は萌出されることが可能であってよい。実施形態によっては、治療の第１の段階が、幾つかの咬合調整構造物が顎の左側の臼歯から延びることを含んでよく、第１の段階に続く第２の段階が、幾つかの咬合調整構造物が顎の右側の臼歯から延びることを含んでよい（これらの逆もあってよい）。顎の、デジタル咬合調整構造物が（臼歯から）延びる側を変化させることにより、幾つかの歯が、顎の両側から交互に挺出又は萌出されることが可能であってよい。

実施形態によっては、治療の第１の段階が、顎の一方の側（例えば、左側又は右側）の第１の臼歯から延びる咬合調整構造物を含んでよく、第１の段階に続く第２の段階が、顎の同じ側の第２の（別の）臼歯から延びる咬合調整構造物を含んでよい。顎の、咬合調整構造物が（臼歯から）延びる同じ側の歯を変化させることにより、幾つかの歯が、顎の同じ側から交互に挺出又は萌出されることが可能であってよい。

図６は、本開示の幾つかの実施形態による、歯位置調整器具の一部分の斜視図を示しており、ここでは、幾つかの咬合調整構造物６０６がその一部分の上に配置されている。例えば、キャビティ６０７が咬合調整構造物６０６を含む。咬合調整構造物６０６は、第１の面６２０及び第２の面６２２を含む。咬合調整構造物６０６を含むキャビティ６０７は、切断線７Ａ−７Ａ及び切断線７Ｂ−７Ｂとともに図示されている。

図７Ａは、切断線７Ａ−７Ａに対応する。図７Ｂ、図７Ｃ、及び図７Ｄは、切断線７Ｂ−７Ｂに対応する別々の実施形態である。図７Ａは、本開示の幾つかの実施形態による、図６に示された器具の一部分（例えば、キャビティ７０１−１）の、切断線７Ａ−７Ａに沿う断面図を示す。この器具は、キャビティ７０７−１を含み、その中に咬合調整構造物７０６−１がある。キャビティ７０７−１は、ユーザによる装着時に中に入る歯の２つの面と嵌合するように整形されてよい。なお、キャビティ７０７−１の左右のエッジは、例示を目的として示されており、実際には器具の一部でなくてよい（例えば、器具は、ユーザの隣接歯間領域と干渉しないように、器具内の隣接キャビティ間に開口溝を有してよい）。本明細書に記載されるように、咬合調整構造物は、治療計画の個々の段階に固有の形状及び位置を有してよい。咬合調整構造物７０６−１は、キャビティ７０７−１の後面（舌側面）７２６−１上にあるように示されている。キャビティ７０７−１（例えば、キャビティ７０７−１上の咬合調整構造物７０６−１）は、キャビティ７０７−１の咬合面（切縁面）７２４−１に近い第１の面７２０−１が、キャビティ７０７−１内の歯から、口の前から奥にかけての（顔側−舌側）方向（ページから外に出る方向）に延びてよい。キャビティ７０７−１（例えば、咬合調整構造物７０６−１）は、第２の面７２２−１が、キャビティ７０７−１内の歯から、ある距離にわたって、第１の面７２０−１とつながってよい。第１の面７２０−１及び第２の面７２２−１は、両方とも、キャビティ７０７−１の同じ側にあってよい（例えば、第１の面７２０−１及び第２の面７２２−１は、両方とも、キャビティ７０７−１の、歯を受ける内側とは反対の、キャビティ７０７−１の外側にあってよい）。キャビティ７０７−１の第１の面７２０−１とユーザの咬合平面７１８−１との間の角度７１６が図示されている。

本開示の幾つかの実施形態によれば、（図７Ａには具体的に示されていないが）キャビティが異なれば、第１の面７２０−１と咬合平面７１８−１との間の角度７１６は異なってよい。様々な咬合調整構造物７０６−１と咬合平面７１８−１との間の角度７１６を様々にすることにより、ユーザの対向する歯によって咬合調整構造物７０６−１にかかる力をより正確にモデリングすることが可能であってよい。様々な咬合調整構造物７０６−１と咬合平面７１８−１との間の角度７１６を様々にすることにより、ユーザの対向する歯によって各咬合調整構造物７０６−１にかかる力をより大きくすることが可能であってよく、これは、例えば、ユーザの歯が、上顎又は下顎のいずれかにおいて様々に正しく配列されていない場合（例えば、別々の歯の咬合面（切縁面）７２４−１が別々の角度で咬合平面７１８−１に近づく場合）において可能である。個々の咬合調整構造物７０６−１の角度７１６を修正することにより、個々の咬合調整構造物７０６−１（例えば、各咬合調整構造物７０６−１）の第１の面７２０−１（例えば、咬合面（切縁面））を、対向する歯の咬合面（切縁面）とほぼ平行にすることが可能であってよい。

図７Ｂは、本開示の幾つかの実施形態による、図６に示された器具の一部分（例えば、キャビティ７０７−２）の、切断線７Ｂ−７Ｂに沿う断面図を示す。図７Ｂは、図７Ａのキャビティ７０７−１が、図７Ａを基準にして、垂直軸７２１を中心に９０度回転した後の様子を示していると言える。本開示の幾つかの実施形態によれば、器具はキャビティ７０７−２を含み、その中に咬合調整構造物７０６−２がある。キャビティ７０７−２は、ユーザによる装着時に中に入る歯の２つの面と嵌合するように整形されてよい。例えば、キャビティ７０７−２の前面（顔側面）７２８は、中に入る歯の前面（顔側面）と嵌合するように整形されてよく、キャビティ７０７−２の咬合面（切縁面）７２４−２は、中に入る歯の咬合面（切縁面）と嵌合するように整形されてよい。

キャビティ７０７−２の後面（舌側面）７２６−２は、中に入る歯の後面（舌側面）と嵌合するように一部分が整形されてよい。キャビティ７０７−２の後面（舌側面）７２６−２は、中に入る歯の後面（舌側面）と「一部分が嵌合」するように整形されるが、これは、歯と、咬合調整構造物７０６−２の第１の面７２０−２及び第２の面７２２−２との間に空間がある為である（これは、例えば、その空間がない場合のキャビティ７０７−２の後面（舌側面）の一部分を表す点線７２５−２によって示されるとおりである）。実施形態によっては、歯と第１の面７２０−２及び第２の面７２２−２との間の空間は、空（例えば、空洞）であってよい。そのような実施形態では、咬合調整構造物７０６−２とキャビティ７０７−２の他の部分との間に開口溝がある。実施形態によっては、歯と第１の面７２０−２及び第２の面７２２−２との間の空間は、身が詰まっていてよい（例えば、器具と同じ材料、又は器具と異なる材料で埋められていてよい）。そのような実施形態では、点線７２５−２は、歯と第１の面７２０−２及び第２の面７２２−２との間の空間を埋める材料の実際のエッジを表すことになるため、実線で示されることになる。

咬合調整構造物７０６−２は、キャビティ７０７−２の後面（舌側面）７２６−２上に示されている。キャビティ７０７−２（例えば、キャビティ７０７−２上の咬合調整構造物７０６−２）は、キャビティ７０７−２の咬合面（切縁面）７２４−２に近い第１の面７２０−２が、キャビティ７０７−２内の歯から、口の前から奥にかけての（顔側−舌側）方向に延びてよい。キャビティ７０７−２（例えば、咬合調整構造物７０６−２）は、第２の面７２２−２を有してよい。第２の面７２２−２は、キャビティ７０７−２内で受けられる歯の後部が来るであろう場所（例えば、点線７５２−２で示される場所）から延びてよい。第２の面７２２−２は、（少なくとも、第１の面７２０−２が延びる、口の前から奥にかけての（顔側−舌側）方向に対して）略咬合（切縁）方向に延びてよい。そうならないとしたらキャビティ７０７−２が中で受ける歯と嵌合するように整形されるポイント７２７から、第２の面７２２−２がそれる可能性がある。ポイント７２７は、キャビティ７０７−２の咬合（切縁）面７２４−２の反対側にあるキャビティ７０７−２のエッジ７２９の近くにあってよい。第１の面７２０−２は、キャビティ７０７−２内の歯から、ある距離にわたって、第２の面７２２−２とつながる。

キャビティ７０７−２の第１の面７２０−２とユーザの咬合平面７１８−２との間の角度７１７が示されている。図７Ａに示された、第１の面７２０−１と咬合平面７１８−１との間の角度７１６は「ロール角度」と見なされてよいが、これに対して、図７Ｂに示された、第１の面７２０−２と咬合平面７１８−２との間の角度７１７は「ピッチ角度」と見なされてよい。本開示の幾つかの実施形態によれば、（図７Ｂには具体的に示されていないが）キャビティが異なれば、第１の面７２０−２と咬合平面７１８−２との間の角度７１７は異なってよい。様々な咬合調整構造物７０６−２と咬合平面７１８−２との間の角度７１７を様々にすることにより、ユーザの対向する歯によって咬合調整構造物７０６−２にかかる力をより正確にモデリングすることが可能であってよい。様々な咬合調整構造物７０６−２と咬合平面７１８−２との間の角度７１７を様々にすることにより、ユーザの対向する歯によって各咬合調整構造物７０６−２にかかる力の方向をより正確に制御することが可能であってよく、これは、例えば、（例えば、傾いたり、もたれかかったりといった、歯の不適正な傾斜を矯正する為に）ユーザの治療計画が、キャビティ７０７−３内で歯を、根元及び／又は顎にまっすぐに向かう以外の方向に再配置することを必要とする場合において可能である。

図７Ｃは、本開示の幾つかの実施形態による、第１の器具及び第２の器具の一部分の、図７Ｂに示された断面図とよく似た断面図を示す。第１の器具の一部分（例えば、キャビティ７０７−３１）は、咬合調整構造物７０６−３を含む。キャビティ７０７−３１の後面（舌側面）７２６−３は、中に入る歯の後面（舌側面）と一部分が嵌合するように整形されてよいが、これは、歯と、咬合調整構造物７０６−３の第１の面７２０−３及び第２の面７２２−３との間に空間がある為である（これは、例えば、その空間がない場合のキャビティ７０７−３１の後面（舌側面）の一部分を表す点線７２５−３によって示されるとおりである）。

実施形態によっては、咬合調整構造物７０６−３の第１の面７２０−３は、器具を装着しているユーザの顎が閉じられたときに、対向する顎において咬合調整構造物７０６−３と対向するキャビティ７０７−３２の咬合面（切縁面）を受ける為のノッチ７３０−３が中に配置されていてよい。そのようなノッチ７３０−３は、治療計画において、咬合調整構造物にかかる力がより正確にモデリングされるように、対向するキャビティ７０７−３２が咬合調整構造物７０６−３に接触し、且つ／又は、咬合調整構造物７０６−３に力をかける位置の制御を支援することに役立ちうる。そのようなノッチがない場合、対向するキャビティ７０７−３２は、咬合調整構造物７０６−３の第１の面７２０−３に沿って滑り、咬合調整構造物７０６−３の第１の面７２０−３の別の場所に力をかける可能性があり、これは、異なる力ベクトル（例えば、異なる大きさ及び／又は方向）につながる可能性がある。咬合調整構造物７０６−３にかかる力をより正確にモデリングできれば、治療計画の結果がユーザにとってより好ましいものになる可能性がある（例えば、実際の結果が、治療計画におけるモデリング結果をより正確に反映することが可能である）。

図７Ｄは、本開示の幾つかの実施形態による、第１の器具及び第２の器具の一部分の、図７Ｂに示された断面図とよく似た断面図を示す。第１の器具の一部分（例えば、キャビティ７０７−４１）は、咬合調整構造物７０６−４を含む。キャビティ７０７−４１の後面（舌側面）７２６−４は、中に入る歯の後面（舌側面）と一部分が嵌合するように整形されてよいが、これは、歯と、咬合調整構造物７０６−４の第１の面７２０−４及び第２の面７２２−４との間に空間がある為である（これは、例えば、その空間がない場合のキャビティ７０７−４の後面（舌側面）の一部分を表す点線７２５−４によって示されるとおりである）。

実施形態によっては、咬合調整構造物７０６−４の第１の面７２０−４は、器具を装着しているユーザの顎が閉じられたときに、対向する顎において咬合調整構造物７０６−４と対向するキャビティ７０７−４２の突出構造物７３１−４を受ける為の受け側構造物７３２−４が中に配置されていてよい。そのような受け側構造物７３２−４は、治療計画において、咬合調整構造物にかかる力がより正確にモデリングされるように、対向するキャビティ７０７−４２が咬合調整構造物７０６−４に接触し、且つ／又は、咬合調整構造物７０６−４に力をかける位置の制御を支援することに役立ちうる。そのような受け側構造物がない場合、対向するキャビティ７０７−４２は、咬合調整構造物７０６−４の第１の面７２０−４に沿って滑り、咬合調整構造物７０６−４の第１の面７２０−４の別の場所に力をかける可能性があり、これは、異なる力ベクトル（例えば、異なる大きさ及び／又は方向）につながる可能性がある。咬合調整構造物７０６−４にかかる力をより正確にモデリングできれば、治療計画の結果がユーザにとってより好ましいものになる可能性がある（例えば、実際の結果が、治療計画におけるモデリング結果をより正確に反映することが可能である）。

図８は、本開示の幾つかの実施形態による、歯位置調整器具８０２上の幾つかの咬合調整構造物８０６−１、８０６−２と、対向する顎の幾つかの歯８０４−１、８０４−２との間の当接状態を示している。この対向する顎の幾つかの歯８０４−１、８０４−２は、器具をかぶせられていてもいなくてもよい。幾つかの咬合調整構造物８０６−１、８０６−２は、器具８０２が実施するように設計された治療計画の特定の段階に固有の形状及び位置を有してよい。器具８０２は２つのキャビティだけが図示されているが、器具８０２には他のキャビティも含まれていてよく、他のキャビティ（幾つか又は全て）は、その上に咬合調整構造物を有してよい。特定の咬合調整構造物（例えば、咬合調整構造物８０６−１、又は２つ以上の咬合調整構造物）が、対向する顎の特定の歯（例えば、歯８０４−１）との当接状態、意図される使われ方、及び咬合調整構造物（例えば、咬合調整構造物８０６−１）を含むキャビティがその上に配置される歯の向きのうちの少なくとも１つに基づく、治療計画の特定の段階に固有の形状及び位置を有してよい。

咬合調整構造物８０６−１と歯８０４−１との間の当接状態は、咬合調整構造物８０６−１の第１の面８２０と、歯８０４−１の咬合面（切縁面）８２４及び／又は歯８０４−１にかぶせられた器具のキャビティの咬合面（切縁面）との相対的形状によって画定されてよい。第１のキャビティの第１の面８２０−１は、第１のキャビティの第１の面８２０−１と対向する歯８０４−１のローカル咬合平面８３２−１と平行であってよく、第２のキャビティの第１の面８２０−２は、第２のキャビティの第１の面８２０−２と対向する歯８０４−２のローカル咬合平面８３２−２と平行であってよい。ローカル咬合平面は、特定の上の歯と特定の下の歯との咬合にのみ基づく、特定の上の歯と特定の下の歯との間の咬合平面であってよい（これは、例えば、上下顎の歯の全体としての咬合に基づくグローバル咬合平面と対照的である）。咬合調整構造物８０６−１の第１の面８２０−１及び／又は咬合調整構造物８０６−２の第１の面８２０−２は、ユーザの咬合時に、対向する臼歯同士の離開咬合を実現するように設計されてよい。

具体的には示されていないが、歯８０４−１、８０４−２は、器具をかぶせられてよく、この器具は、器具８０２のキャビティの咬合面（切縁面）と当接する咬合調整構造物を含んでよい。治療計画の各段階では、対向する顎の歯８０４−１、８０４−２に器具がかぶせられてもかぶせられなくてもよく、治療計画の各段階では、対向する顎の器具上に幾つかの咬合調整構造物があってもなくてもよい。例えば、治療計画の特定の段階では、ユーザの上顎及び下顎のそれぞれに器具がかぶせられてよく、各器具は幾つかの咬合調整構造物を含み、これらの咬合調整構造物は、上下顎の歯の高さを揃えるために、対向する臼歯同士の離開咬合を実現するように設計されている。

デジタルモデル上でのデジタル咬合調整構造物の配置は、デジタルモデルに従って製作される器具の物理的咬合調整構造物の実際の位置に対応してよい。例えば、図８に示されるように、咬合調整構造物８０６−１、８０６−２は、（例えば、ユーザが顎を閉じる動作により）本来の力８３４−１，８３４−２を、対向する顎の歯８０４−１、８０４−２にかけてよい。これも図示されているように、治療計画の特定の段階に従って、別々の咬合調整構造物８０６−１、８０６−２の向きに対する、別々の歯８０４−１、８０４−２の向きは、咬合調整構造物８０６−１、８０６−２と、対向する歯８０４−１、８０４−２との間の当接状態の形状に基づいて、異なってよい。従って、咬合調整構造物８０６−１、８０６−２は、個々の歯８０４−１、８０４−２に対して固有であるとともに、治療計画の特定の段階に固有であってよい。咬合調整構造物８０６−１、８０６−２は、咬合調整構造物８０６−１、８０６−２が、対向する歯８０４−１、８０４−２、対向する器具、及び／又は、対向する器具上の咬合調整構造物と当接するローカル咬合平面８３２−１、８３２−２に対して垂直に、本来の力（例えば、ユーザの咬合による本来の力）を方向付けてよい。一般に、対向する器具上の咬合調整構造物が咬合調整構造物８０６−１、８０６−２に横方向の力をかけるように構成されていない限り、咬合調整構造物８０６−１、８０６−２に横方向の力がかかることはないと考えられる。

図９Ａは、本開示の幾つかの実施形態による、第１の垂直方向関係９３８−１にある顎９３６−１、９３６−２を示す。図９Ｂは、本開示の幾つかの実施形態による、第２の垂直方向関係９３８−２にある顎９３６−１、９３６−２を示す。実施形態によっては、上顎９３６−１の上に装着される（例えば、幾つかの咬合調整構造物を含む）器具が、上顎９３６−１と下顎９３６−２との間の垂直方向関係９３８−１、９３８−２を調整するように設計されてよい。図９Ａ及び図９Ｂに示されるように、この、垂直方向関係９３８−１、９３８−２の調整は、深い咬合を矯正することによって、ユーザの歯の外観を改善し、本明細書に記載の、深い咬合状態に関連する問題を軽減することに役立ちうる。上顎９３６−１及び下顎９３６−２のいずれか又は両方の位置が調整可能である為、実施形態は、上顎９３６−１に対する下顎９３６−２の位置を調整することには限定されない。更に、調整は、上顎９３６−１の上に装着された器具、及び／又は上顎９３６−２の上に装着された器具によって（例えば、幾つかの器具の幾つかの咬合タブと、対向する顎の幾つかの歯との相互作用によって）実施されてよい。

図１０は、本開示の幾つかの実施形態による、オーバーバイト１０４０及びオーバージェット１０４２の矯正を示す。オーバーバイト１０４０は、下顎の位置が上顎に対して後ろ過ぎること、即ち、歯並びが悪いことを意味してよい。具体的には、オーバーバイト１０４０は、切縁隆起部を基準に測定された、上顎中切歯１００４−１が下顎中切歯１００４−２の上に来る垂直方向（上下）の重なりの量を意味してよい。オーバージェット１０４２は、前後軸上での上顎前歯１００４−１と下顎前歯１００４−２との間の距離であってよい。図１０に示されるように、上顎歯１００４−１は、第１の位置１００４−１Ａから第２の位置１００４−１Ｂへと調整されてよく、且つ／又は、下顎歯１００４−２は、第１の位置１００４−２Ａから第２の位置１００４−２Ｂへと調整されてよい。

治療計画の一環として作成された一連の器具の中の幾つかの器具が、別々の機能を実施することが可能である。一連の器具の中の別々の器具によって実施される機能の幾つかが、部分的に重なっていてよく、幾つかの機能は、特定の器具に固有であってよい。例として、オーバージェット１０４２及びオーバーバイト１０４０のうちの少なくとも一方の矯正を支援する為に、第１の器具が、第１の顎及び／又は第２の顎の幾つかの歯について離開咬合を実現するように設計された第１の数の咬合調整構造物を含んでよい。オーバージェット１０４２及びオーバーバイト１０４０のうちの少なくとも一方の矯正を支援する為に、第２の器具が、第１の顎及び／又は第２の顎のその幾つかの歯について離開咬合を実現するように設計された第２の数の咬合調整構造物を含んでよい。この例では、第１の器具は、オーバージェット１０４２及びオーバーバイト１０４０のいずれか又は両方を矯正することが可能であり、第２の器具は、オーバージェット１０４２及びオーバーバイト１０４０のいずれか又は両方を矯正することが可能である。オーバーバイト及び／又はオーバージェットの矯正は、様々な歯の位置、及び／又は顎の相対的な位置付けを器具により調整することを含んでよい（これは、例えば、本明細書に記載の、幾つかの咬合調整構造物の作用を受ける調整を含んでよい）。そのような調整は、特に、圧下、回転、傾斜、及び／又は離開咬合を含んでよい。

図１１は、本開示の１つ以上の実施形態による、治療計画ごとの咬合調整構造物の為のシステムを示す。図１１に示されたシステムは、幾つかの構成要素が結合されたコンピューティング装置１１４４を含む。コンピューティング装置１１４４は、プロセッサ１１４６及びメモリ１１４８を含む。メモリは、本明細書に記載のデータ１１５０及び実行可能命令１１５２をはじめとする様々なタイプの情報を含んでよい。

メモリ及び／又はプロセッサは、実施形態によっては、コンピューティング装置１１４４の内部にあっても外部にあってもよい。従って、図１１の実施形態において示されるように、システムはネットワークインタフェース１１５４を含んでよい。そのようなインタフェースは、ネットワーク接続された別のコンピューティング装置での処理を可能にしてよく、或いは、そのような装置は、本明細書において提供される様々な実施形態とともに使用される、患者に関する情報または実行可能命令を取得する為に使用されてよい。

図１１の実施形態において示されるように、システムは、１つ以上の入力及び／又は出力インタフェース１１５６を含んでよい。そのようなインタフェースは、コンピューティング装置に１つ以上の入力装置又は出力装置を接続する為に使用されてよい。

例えば、図１１に示される実施形態では、システムは、スキャン装置１１５８、カメラドック１１６０、入力装置１１６２（例えば、キーボード、マウス等）、ディスプレイ装置１１６４（例えば、モニタ）、及びプリンタ１１６６との接続性を有する。プロセッサ１１４６は、ディスプレイ装置１１６４にデジタルモデル１１７４の視覚的な表示を提供するように構成されることができる（例えば、プロセッサ１１４６上で動作してディスプレイ装置１１６４で見えるＧＵＩ）。入出力インタフェース１１５６は、（例えば、患者の上顎及び患者の下顎に対応する）デジタルモデル１１７４を表す、データ記憶装置（例えば、メモリ１１４８）に記憶可能なデータを受けてよい。

実施形態によっては、スキャン装置１１５８は、患者の上顎の物理モールド及び患者の下顎の物理モールドをスキャンするように構成されてよい。１つ以上の実施形態では、スキャン装置１１５８は、患者の上顎及び／又は下顎を直接（口腔内で）スキャンするように構成されてよい。

カメラドック１１６０は、デジタルカメラや印刷写真スキャナなどの撮像装置（例えば、２Ｄ撮像装置）からの入力を受けることが可能である。撮像装置からの入力は、データ記憶装置１１４８に記憶されてよい。

そのような接続性は、様々なタイプの情報の中でも特に、デジタルモデル１１７４の情報または命令の入力及び／又は出力（例えば、キーボードからの入力）を可能にしてよい。幾つかの実施形態は、１つ以上のネットワークにある様々なコンピューティング装置に分散してよいが、図１１に示されているようなシステムは、本明細書で説明された情報の取り込み、計算、及び／又は分析を可能にすることに有用であってよい。

プロセッサ１１４６は、データ記憶装置１１４８と関連して、データ及び／又はアプリケーションモジュール１１６８に関連付けられてよい。プロセッサ１１４６は、データ記憶装置１１４８と関連して、幾つかのアプリケーションモジュールを、治療計画ごとの咬合調整構造物に提供する為に、データを記憶及び／又は利用したり、且つ／又は、命令を実行したりしてよい。

そのようなデータとして、（例えば、第１の顎、第２の顎、幾つかの器具等を含む）本明細書に記載のデジタルモデル１１７４があってよい。そのようなアプリケーションモジュールとして、調整モジュール１１７０、力計算モジュール１１７２、咬合調整構造物配置モジュール１１７６、及び／又は治療計画モジュール１１７８があってよい。

咬合調整構造物配置モジュール１１７６は、治療計画の第１の段階において、幾つかの咬合調整構造物を、顎のデジタルモデル１１７４の対応する数のデジタル歯（例えば、前歯）の上に配置するように構成されてよい。配置モジュール１１７６は、力計算モジュール１１７２によってモデリングされた力の結果（例えば、治療計画の第１の段階に従って、対応する数のデジタル歯を第１の距離だけ再配置する為に使用される力）を取り入れるように構成されてよい。

調整モジュール１１７０は、治療計画の第１の段階から第２の段階にかけての顎のデジタルモデル１１７４の変更に従って、治療計画の第２の段階において、幾つかの咬合調整構造物の、顎のデジタルモデル１１７４の対応する数のデジタル歯の上での位置を調整するように構成されてよい。調整モジュール１１７０は、幾つかのデジタル咬合調整構造物の位置を、幾つかのデジタル咬合調整構造物の、顎のデジタルモデルの対応する数のデジタル歯の上での形状（例えば、大きさ、幾つかの角度等）及び／又は取付場所を変更することによって、調整するように構成されてよい。調整モジュール１１７０は、治療計画の第１の段階において、顎のデジタルモデル１１７４の上に形成される器具のうちの対応する器具が、力計算モジュール１１７２によってモデリングされた力に対応する逆の力を、ユーザの顎の幾つかの臼歯に分散させるように、顎のデジタルモデル１１７４の形状を調整するように構成されてよい。調整モジュール１１７０は、力計算モジュール１１７２によってモデリングされた力の結果（例えば、治療計画の第２の段階に従って、対応する数のデジタル歯を第２の距離だけ再配置する為に使用される力）を取り入れるように構成されてよい。

力計算モジュール１１７２は、治療計画の第１の段階の間に器具のうちの対応する器具をユーザが装着することによって幾つかの咬合調整構造物にかかる本来の力をモデリングするように構成されてよい。治療計画モジュール１１７８は、（例えば、他のアプリケーションモジュール１１６８の動作に少なくとも部分的に基づいて）治療計画を作成したり、編集したり、削除したり、改訂したり、他の方法で修正したりするように構成されてよい。

デジタルモデル１１７４は、幾つかのデジタル咬合調整構造物の形状を継承し、顎にかぶせられる器具を形成する為の、顎に対応する、治療計画の第１及び第２の段階における物理型を製作する為に、（例えば、ネットワークインタフェース１１５４を介して）与えられてよい。

本明細書において特定の実施形態を例示及び説明してきたが、当業者であれば理解されるように、同じ手法を達成すべく計算された任意の構成が、示された特定の実施形態に取って代わってよい。本開示は、本開示の各種実施形態のあらゆる翻案及び変形を包含するものとする。

当然のことながら、「ａ」、「ａｎ」、「ｏｎｅ ｏｒ ｍｏｒｅ（１つ以上の）」、「ａ ｎｕｍｂｅｒ ｏｆ（幾つかの）」、又は「ａｔ ｌｅａｓｔ ｏｎｅ（少なくとも１つの）」という語句の使用は全て、あるアイテムが１つ以上存在することを意味するものと解釈されたい。更に、当然のことながら、上述の説明は、限定ではなく例示として行われている。上述の実施形態と、本明細書では具体的に説明されていない他の実施形態との組み合わせについては、当業者であれば、上述の説明を精査することにより明らかになるであろう。

当然のことながら、ある要素が別の要素に対して「上にある（ｏｎ）」、「接続されている（ｃｏｎｎｅｃｔｅｄ ｔｏ）」、又は「結合されている（ｃｏｕｐｌｅｄ ｗｉｔｈ）」ものとして参照された場合、その要素は、その別の要素に対して直接上にあるか、接続されているか、結合されていてよく、或いは、介在する要素が存在してもよい。これに対し、ある要素が別の要素に対して「直接上にある（ｄｉｒｅｃｔｌｙ ｏｎ）」、「直接接続されている（ｄｉｒｅｃｔｌｙ ｃｏｎｎｅｃｔｅｄ ｔｏ）」、又は「直接結合されている（ｄｉｒｅｃｔｌｙ ｃｏｕｐｌｅｄ ｗｉｔｈ）」ものとして参照された場合、介在する要素又は層は存在しない。本明細書では、「及び／又は（ａｎｄ／ｏｒ）」という語句は、関連付けられて列挙されたアイテムのうちの２つ以上のアイテムのあらゆる組み合わせを包含する。

当然のことながら、本明細書では、様々な要素を示す為に「第１の（ｆｉｒｓｔ）」、「第２の（ｓｅｃｏｎｄ）」等の語句が使用されてよいが、これらの要素は、これらの語句によって限定されるべきではない。これらの語句は、ある要素を別の要素と区別する為に使用されるのみである。従って、本開示の教示から逸脱しない限り、第１の要素が第２の要素と呼ばれることがあってよい。

本開示の各種実施形態の範囲は、上述の構造物及び方法が用いられる他の任意の応用を包含する。従って、本開示の各種実施形態の範囲は、添付の特許請求の範囲が包含しうるあらゆる等価物とともに、添付の特許請求の範囲に準拠して決定されるべきである。

上述の「発明を実施するための形態」では、本開示を簡潔にする為に、様々な特徴を単一の実施形態の形にまとめた。本開示の方法は、本開示の実施形態が、特許請求の範囲の各項において明示的に記載されているものより多くの特徴を必要とするという意図を反映するものとして解釈されるべきではない。

むしろ、後述の特許請求の範囲によって反映されるように、発明の対象は、開示された１つの実施形態の全ての特徴より少ない特徴にある。従って、後述の特許請求の範囲は、これによって「発明を実施するための形態」に組み込まれており、特許請求の範囲の各項は、独立した実施形態として自立している。

Claims (9)

1. 治療計画を漸進的に実施するように設計された一連の器具のうちの第１の器具であって、第１の顎の歯を受けるように設計された複数のキャビティを中に有する第１のシェルを備える前記第１の器具と、
   前記第１のシェルと同じ材料で形成され、前記第１のシェルから延び、前記第１の器具が前記第１の顎の上に配置された状態で、第２の顎の歯と当接するように設計された、第１の数の咬合調整構造物であって、前記治療計画の第１の段階に固有である第１の形状及び位置を有しており、前記第１の数の咬合調整構造物と関連する歯を圧下するように構成されている、前記第１の数の咬合調整構造物と、
   前記第１の顎の歯を受けるように設計された複数のキャビティを中に有する第２のシェルを備える、前記一連の器具のうちの第２の器具と、
   前記第２のシェルと同じ材料で形成され、前記第２のシェルから延び、前記第２の器具が前記第１の顎の上に配置された状態で、前記第２の顎の歯と当接するように設計された、第２の数の咬合調整構造物であって、前記治療計画の第２の段階であって前記第１の段階の後の前記第２の段階に固有である、前記第１の形状及び位置と異なる第２の形状及び位置を有しており、前記第２の数の咬合調整構造物と関連する歯を圧下するように構成されている、前記第２の数の咬合調整構造物と、を備え、
   前記第２の数の咬合調整構造物の位置は、前記第１の数の咬合調整構造物の位置に比べて、咬合面に近い、
   システム。
2. 前記第１の形状及び位置は、前記第２の顎の特定の歯との当接状態、意図された用途、及び前記咬合調整構造物がかぶせられる歯の向きのうちの少なくとも１つに基づく、請求項１に記載のシステム。
3. 前記一連の器具のうちの第３の器具を更に含み、前記第３の器具は、前記治療計画の前記第１の段階の間に前記第２の顎の歯を受けるように設計された複数のキャビティを中に有する第３のシェルを備える、請求項１に記載のシステム。
4. 前記第３の器具は、前記第３のシェルと同じ材料で形成され、前記第３のシェルから延び、前記第２の顎の上に配置されたときに、前記第１の顎の歯と当接するように設計された、第３の数の咬合調整構造物を含み、前記第３の数の咬合調整構造物のそれぞれは、前記治療計画の前記第１の段階に固有である形状及び位置を有する、請求項３に記載のシステム。
5. 前記第１の数の咬合調整構造物は、前記シェルの、前歯を受ける幾つかのキャビティから延び、前記第１の数の咬合調整構造物は、犬歯誘導を調整するように設計されている、請求項１に記載のシステム。
6. 前記第１の数の咬合調整構造物は、前記シェルの、臼歯を受ける幾つかのキャビティから延び、前記第１の数の咬合調整構造物は、前記第１の顎と前記第２の顎との間の離開咬合を実現するように設計されている、請求項１に記載のシステム。
7. 前記第１の数の咬合調整構造物は、前記シェルの、前歯を受ける幾つかのキャビティから延び、前記第１の数の咬合調整構造物は、前記第１の顎と前記第２の顎との間の離開咬合を実現するように設計されている、請求項１に記載のシステム。
8. 前記一連の器具のうちの第５の器具を更に備え、前記第５の器具は、前記第１の顎の歯を受け、前記第１の顎の前記歯の幾つかを再配置するように設計された複数のキャビティを中に有する第５のシェルを備え、前記第５の器具は咬合調整構造物を含まない、請求項１に記載のシステム。
9. 前記一連の器具は、
   前記第１の顎の歯を受けるように設計された複数のキャビティを中に有する第６のシェルを備える第６の器具と、
   前記第６のシェルと同じ材料で形成され、前記第６のシェルから延びる、第６の数の咬合調整構造物であって、前記治療計画の第６の段階に固有である第６の形状及び位置を有する、前記第６の数の咬合調整構造物と、
   前記第２の顎の歯を受けるように設計された複数のキャビティを中に有する第７のシェルを備える、第７の器具と、
   前記第７のシェルと同じ材料で形成され、前記第７のシェルから延び、前記第６の数の咬合調整構造物と相互に作用するように設計された、第７の数の咬合調整構造物であって、前記治療計画の前記第６の段階に固有である、第７の形状及び位置を有する、前記第７の数の咬合調整構造物と、を含む、
   請求項１に記載のシステム。

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