JP6502951B2 - アセトアルデヒドの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、酢酸の水素化によりアセトアルデヒドを製造する方法に関する。本願は、2014年10月3日に日本に出願した、特願2014−204377号の優先権を主張し、その内容をここに援用する。
アセトアルデヒドは工業的に重要な中間体であり、酢酸エチル、過酢酸、ピリジン誘導体、ペンタエリスリトール、クロトンアルデヒド、パラアルデヒドなどの原料として大量に使用されている。
従来、アセトアルデヒドは、主にエチレンのWacker酸化により製造されている。しかし、近年、酢酸がメタノールと一酸化炭素より安価に製造できるようになったことや、エチレン価格の上昇により、酢酸の水素化によるアセトアルデヒドの製造も、1つの選択肢になりつつあり、本プロセスが実現できるかは、いかにその経済性を高めることができるかにかかっている。
酢酸の水素化によりアセトアルデヒドを製造する方法は、特開平11−322658号公報(特許文献1)に開示されている。これによると、2.5ないし90重量%のパラジウムを含む酸化鉄触媒上で、酢酸を過剰の水素の存在下で水素化すると、主生成物のアセトアルデヒド以外に、メタン、エタン、エチレン、二酸化炭素、アセトン、エタノール、酢酸エチル、水、未反応の酢酸等を含むガス状生成物が得られる。このガス状生成物は吸収器で吸収液と接触し、アセトアルデヒド、アセトン、エタノール、酢酸エチル、水、酢酸等の凝縮成分を凝縮分離した後、メタン、エタン、エチレン、二酸化炭素等の非凝縮性ガスを含む水素ガスは反応に循環・再利用される。
吸収器で得られた凝縮液は、アセトアルデヒド回収のための蒸留塔に仕込まれ、コンデンサーで凝縮しないオフガス、留出液から製品アセトアルデヒド、缶出液からアセトン、エタノール、酢酸エチル、水、酢酸等が得られる。
特開平11−322658号公報
本発明者らは、上記特許文献1の方法で得られるアセトアルデヒド(沸点20℃)の品質を詳細に検討したところ、意外にも、アセトアルデヒドよりも沸点の低いプロピレン(沸点−48℃)、1−ブテン(沸点−6℃)や、アセトアルデヒドよりも沸点の高い1−ペンテン(沸点30℃)、1−ヘキセン(沸点63℃)などの炭化水素が含まれていることがわかった。
しかも、こうして得られた炭化水素を含むアセトアルデヒドは、再度蒸留しても純度を向上させることが困難である。
これは、アセトアルデヒドが、炭素数が3個から6個の炭化水素と共沸混合物を形成するためと考えられる。
すなわち、上記特許文献1の方法で得られる製品アセトアルデヒドは、炭素数が3個から6個の炭化水素を不純物として含んでおり、満足できる品質のものではない。
したがって、本発明の目的は、酢酸を水素化してアセトアルデヒドを製造する際に、炭素数が3個から6個の炭化水素含有量の少ない高純度の製品アセトアルデヒドを得る方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため、アセトアルデヒド中に含まれる炭素数が3個から6個の炭化水素を分離する方法を検討した結果、意外にも、炭素数が3個から6個の炭化水素を含むアセトアルデヒドに水を加えるだけで、アセトアルデヒド水溶液と炭素数が3個から6個の炭化水素が分液し、炭素数が3個から6個の炭化水素含有量の少ない高純度の製品アセトアルデヒドが得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、酢酸の水素化によりアセトアルデヒドを製造する方法であって、酢酸を水素化して得た反応粗液から蒸留により分離した、炭素数が3個から6個の炭化水素を少なくとも1種類以上含む粗アセトアルデヒドに、水を加え、炭素数が3個から6個の炭化水素の少なくとも一部を分液して分離することを特徴とするアセトアルデヒドの製造方法を提供する。
また、本発明は、酢酸の水素化によりアセトアルデヒドを製造する方法であって、酢酸を水素化して得た反応粗液から蒸留により分離した、炭素数が3個から6個の炭化水素を少なくとも1種類以上含む粗アセトアルデヒドに、水とベンゼンまたは炭素数が7個以上の炭化水素を加え、炭素数が3個から6個の炭化水素の少なくとも一部を炭化水素の相に抽出分離することを特徴とするアセトアルデヒドの製造方法を提供する。
すなわち、本発明は、以下に関する。
[1]酢酸の水素化によりアセトアルデヒドを製造する方法であって、酢酸を水素化して得た反応粗液から蒸留により分離した、炭素数が3個から6個の炭化水素を少なくとも1種類以上含む粗アセトアルデヒドに、水を加え、炭素数が3個から6個の炭化水素の少なくとも一部を分液して分離することを特徴とするアセトアルデヒドの製造方法。
[2]酢酸の水素化によりアセトアルデヒドを製造する方法であって、酢酸を水素化して得た反応粗液から蒸留により分離した、炭素数が3個から6個の炭化水素を少なくとも1種類以上含む粗アセトアルデヒドに、水とベンゼンまたは炭素数が7個以上の炭化水素を加え、炭素数が3個から6個の炭化水素の少なくとも一部を炭化水素の相に抽出分離することを特徴とするアセトアルデヒドの製造方法。
[3]前記粗アセトアルデヒドに加える水の量が、前記粗アセトアルデヒド1重量部に対し、0.1〜10重量部である上記[1]又は[2]に記載のアセトアルデヒドの製造方法。
[4]水とともに前記粗アセトアルデヒドに加える前記のベンゼンまたは炭素数が7個以上の炭化水素の量が、前記粗アセトアルデヒド1重量部に対し、0.01〜10重量部である上記[2]又は[3]に記載のアセトアルデヒドの製造方法。
[5]前記粗アセトアルデヒドを分離した後の液から、共沸蒸留により未反応の酢酸と水とを分離し、酢酸を回収する酢酸回収工程、酢酸を分離した後の液から、低沸点成分を分離、除去する脱低沸工程、低沸点成分を分離、除去した後の液から、エタノール及び/又は酢酸エチルを分離、回収するエタノール・酢酸エチル回収工程の1又は2以上の工程を含む上記[1]〜[4]の何れか1項に記載のアセトアルデヒドの製造方法。
[6]得られたアセトアルデヒドの純度が、98.0重量%以上である上記[1]〜[5]の何れか1項に記載のアセトアルデヒドの製造方法。
本発明によれば、酢酸を水素化して得られた反応粗液から蒸留により分離した粗アセトアルデヒドに、水を加え、アセトアルデヒド水溶液と炭素数が3個から6個の炭化水素を分液して分離した後、アセトアルデヒド水溶液を再蒸留し、水を除くことにより、炭素数が3個から6個の炭化水素の含有量が少ない高純度の製品アセトアルデヒドが得られる。
アセトアルデヒドの製造方法の一例を示す概略フロー図(反応系)である。 本発明のアセトアルデヒドの製造方法の一例を示す概略フロー図(精製系;図1の続き)である。 本発明のアセトアルデヒドの製造方法の他の例を示す概略フロー図(精製系;図1の続き)である。 本発明のアセトアルデヒドの製造方法のさらに他の例を示す概略フロー図(精製系;図1の続き)である。 実施例におけるアセトアルデヒドの製造方法の概略フロー図(反応系)である。
本発明のアセトアルデヒドの製造方法は、酢酸の水素化によりアセトアルデヒドを製造する方法であって、酢酸を水素化して得た反応粗液から蒸留により分離した、炭素数が3個から6個の炭化水素を少なくとも1種類以上含む粗アセトアルデヒドに、水を加え、炭素数が3個から6個の炭化水素の少なくとも一部を分液して分離することを特徴とする。
以下、本発明を、必要に応じて図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は、アセトアルデヒドの製造方法の一例を示す反応系の概略フロー図であり、図2は、本発明のアセトアルデヒドの製造方法の一例を示す精製系の概略フロー図であり、図3は、本発明のアセトアルデヒドの製造方法の他の例を示す精製系の概略フロー図であり、図4は、本発明のアセトアルデヒドの製造方法のさらに他の例を示す精製系の概略フロー図であり、図5は、実施例におけるアセトアルデヒドの製造方法の反応系の概略フロー図である。
[反応系]
図1に示す例では、水素ガスは水素設備Pからライン1により供給され、コンプレッサーI−1で加圧され、バッファータンクJ−1を経て、ライン2の循環ガスと合流して、ライン3により蒸発器A(酢酸蒸発器)に仕込まれる。蒸発器Aには、酢酸タンクK−1からポンプN−1を用いてライン4より酢酸が供給され、気化した酢酸が水素ガスと共に熱交換器(加熱器)L−1、L−2で加熱され、ライン5より触媒を充填した反応器Bに仕込まれる。蒸発器Aには循環ポンプN−2が備えられている。反応器Bで酢酸は水素化され、主生成物のアセトアルデヒドのほか、非凝縮性のメタン、エタン、エチレン、二酸化炭素、凝縮性のアセトン、エタノール、酢酸エチル、水が生成する。また、他にプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン等の炭素数3個から6個の炭化水素(特に、炭素数3個から6個の飽和又は不飽和脂肪族炭化水素)が生成する。
酢酸の水素化は公知の方法で行うことができる。例えば、酢酸を触媒の存在下で水素と反応させる。前記触媒としては、酢酸の水素化によりアセトアルデヒドを生成させるものであれば特に限定されず、例えば、酸化鉄、酸化ゲルマニウム、酸化スズ、酸化バナジウム、酸化亜鉛等の金属酸化物などを用いることができる。また、これらの金属酸化物に、パラジウム、白金等の貴金属を添加したものを触媒として用いてもよい。この場合の貴金属の添加量は触媒全体に対して、例えば0.5〜90重量%程度である。中でも、好ましい触媒は、パラジウム、白金等の貴金属を添加した酸化鉄である。触媒は、酢酸の水素化に用いる前に、予め、例えば水素と接触させることにより還元処理を施してもよい。還元処理は、例えば、50〜500℃、0.1〜5MPaの条件で行われる。
反応温度は、例えば250〜400℃、好ましくは270〜350℃である。反応温度が低すぎるとエタノール等の副生が増大し、反応温度が高すぎるとアセトン等の副生が増大し、いずれの場合もアセトアルデヒドの選択率が低下しやすくなる。反応圧力は、常圧、減圧、加圧下のいずれであってもよいが、一般に、0.1〜10MPa、好ましくは0.1〜3MPaの範囲である。
反応器への水素と酢酸の供給比(モル比)は、一般に、水素/酢酸=0.5〜50、好ましくは、水素/酢酸=2〜25である。
反応器における酢酸の転化率は80%以下(例えば10〜80%)であることが望ましい。酢酸の転化率が80%を超えると、副生物(エタノール、酢酸エチル等)が生成しやすくなり、アセトアルデヒドの選択率が低下する。したがって、反応器における滞留時間、水素の空間速度を、上記酢酸の転化率が80%以下となるように調整することが望ましい。
酢酸と水素との反応により、前述したように、主に、未転化の酢酸、未転化の水素、反応で生成したアセトアルデヒド、水、及びその他の生成物(エタノール、酢酸エチル、アセトン等)からなるガス状反応生成物が得られる。
前記ガス状反応生成物から非凝縮性ガスと凝縮性成分とを分離し、該凝縮性成分を反応粗液とすることができる。前記ガス状反応生成物から非凝縮性ガスと凝縮性成分とを分離する方法としては、特に限定されないが、例えば、酢酸を水素化した反応流体を吸収塔に仕込み、該反応流体中の凝縮成分を吸収液で吸収することにより、凝縮性成分と非凝縮性のガスとを分離できる(吸収工程)。前記の副生する炭素数3個から6個の炭化水素の少なくとも一部は、吸収液で吸収される。本発明においては、このような吸収液に吸収された凝縮性成分(凝縮性成分と吸収液の混合物)も「反応粗液」に含める。なお、上記吸収工程では、非凝縮性ガスの一部が吸収液に溶解するが、吸収塔の缶出液の圧力を減じることにより、吸収液に溶解した非凝縮性ガスを放散させ、該非凝縮性ガス放散後の液を吸収塔にリサイクルする工程(放散工程)を設けることにより、水素と他の非凝縮性ガス成分とを効率よく分離できる。
前記吸収工程では、例えば、酢酸を水素化した反応流体を吸収塔に仕込み、該反応流体中の凝縮成分を吸収液で吸収するとともに、非凝縮性ガスを吸収液に溶解する。この吸収工程は、通常、反応工程で得られた反応流体と吸収液とを吸収塔に供給し、吸収塔内で両者を接触させることにより行われる。吸収塔としては、特に限定されず、公知乃至周知のガス吸収装置、例えば、充填塔、棚段塔、スプレー塔、濡れ壁塔などを使用できる。
また、前記放散工程では、吸収塔の缶出液の圧力を減じて吸収液に溶解した非凝縮性ガスを放散し、該非凝縮性ガス放散後の液を吸収塔にリサイクルする。この放散工程は、通常、吸収工程で得られた吸収塔の缶出液(凝縮成分および非凝縮性ガスを吸収、溶解した後の吸収液)を圧力を減じた放散塔に供給し、非凝縮性ガスを放散することにより行われる。放散塔としては、特に限定されず、公知乃至周知のガス放散装置、例えば、充填塔、棚段塔、スプレー塔、濡れ壁塔、気液分離器などを使用できる。
図1に示す例では、反応器Bから流出した反応流体はライン6により前記熱交換器L−1を経た後、熱交換器(冷却器)M−1、M−2で冷却され、ライン7より吸収塔Cの下方部に仕込まれる。吸収塔Cには、吸収液として、ライン9より後述する放散塔Dの缶出液(以後、「循環液」と称する場合がある)が仕込まれる。循環液は主に非凝縮性ガスである水素、メタン、エタン、エチレン、二酸化炭素を吸収、溶解する。また、循環液以外の吸収液(以後、「吸収塔補給液」と称する場合がある)として、ライン11より共沸溶剤(水と共沸する溶剤)を多く含む後述する酢酸回収塔Wの留出上相液を吸収液として仕込んでもよい。吸収塔補給液は非凝縮性ガスとともに低沸点の凝縮性成分であるアセトアルデヒドを吸収する。なお、前記酢酸回収塔Wの留出上相液はライン15を通り冷却器M−3を経て前記ライン11に供給される。放散塔Dの缶出液(ライン9)(循環液)及び酢酸回収塔Wの留出上相液(ライン11)(吸収塔補給液)の吸収塔Cへの仕込位置は、アセトアルデヒドおよび非凝縮性ガスの吸収効率等を考慮して適宜選択できるが、前記循環液は吸収塔Cの中段部へ、前記吸収塔補給液は吸収塔Cの上方部へ仕込むのが好ましい。
吸収塔Cの缶出液は、精製工程に供給されるライン14と放散塔Dに仕込まれるライン8に分かれる。ライン14の缶出液は反応粗液として反応粗液タンクK−2に貯留され、精製工程に供される。ライン8は放散塔Dで減圧され、ライン10より吸収液に溶解した非凝縮性ガスである水素、メタン、エタン、エチレン、二酸化炭素が放散され、該非凝縮性ガス放散後の液はライン9より吸収塔Cにリサイクルされる。Q−2はベントである。なお、吸収塔Cの缶出液の例えば全量を放散塔Dに仕込み、非凝縮性ガス放散後の液の一部を吸収塔にリサイクルし、残りを精製工程に供される反応粗液としてもよい。
上記方法では、非凝縮性ガスを吸収液に溶解させた後、吸収塔の缶出液の圧力を減じて、吸収液に溶解した非凝縮性ガスを放散させるので、水素と他の非凝縮性ガスとを効率よく分離できる。これは、水素と他の非凝縮性ガスの溶解度の違いによる。例えば、30℃において、分圧が1atmである時の水素およびメタンの酢酸エチルに対する溶解度は、それぞれ、0.01NL/Lおよび0.48NL/Lであり、これは、酢酸エチルに対して、メタンが水素よりも48倍溶解しやすいことを示す。そして、本発明では、さらに、非凝縮性ガス放散後の液を吸収塔にリサイクルするので、水素ガス以外の非凝縮性ガスが効率よく吸収、溶解され、その結果、水素ガスのパージロスを大きく低減できる。
上記の例では、吸収塔Cで用いる吸収液として、吸収塔Cの缶出液からアセトアルデヒドを分離した後の酢酸と水を含む混合液(酢酸水溶液)から酢酸を回収する工程(未反応の酢酸と副生した水とを共沸蒸留により分離する工程)における前記酢酸回収塔Wの留出上相液を用いてもよい。
上記の酢酸回収塔Wにおいて、塔頂には共沸溶剤含有液が仕込まれ、缶出液から未反応の酢酸が回収されて、反応系にリサイクルしてもよい。酢酸回収塔Wの塔頂にはアセトン、エタノール、酢酸エチル、水、および、共沸溶剤が留出し、デカンターで分液後、留出上相液の一部(必要に応じて)と留出下相水を脱低沸塔に仕込んでもよい。デカンターには、前記共沸溶剤(酢酸エチル等)が供給される。デカンターの上相液の一部は、吸収液タンクに貯留され、前述したようにライン15およびライン11から吸収塔Cにも仕込まれ、アセトアルデヒドを吸収する。この留出上相液は、共沸溶剤(水と共沸する溶剤)を多く含む共沸溶剤含有液である。なお、酢酸回収塔Wの留出下相液は水を多く含み、水相を形成している。
吸収塔Cに仕込まれる吸収液としては、吸収塔Cの缶出液(循環液)のみでもよいが、吸収塔Cの缶出液には沸点が20℃と低いアセトアルデヒドが多く含まれているので、アセトアルデヒドの回収率を向上させるため、アセトアルデヒドを含まない吸収液が好ましい。例えば、吸収液としては、上記の例のような、未反応の酢酸と副生した水とを共沸蒸留により分離する際に使用する共沸溶剤含有液(酢酸回収塔Wの留出液をデカンターで分離した、共沸溶剤を多く含む上相液)のほか、吸収塔Cの缶出液からアセトアルデヒドを分離した後の液等の酢酸水溶液(酢酸と水を含む混合液;例えば、後述するアセトアルデヒド分離塔Eの缶出液)が好ましい。
吸収液として前記共沸溶剤含有液を用いる場合、共沸溶剤含有液中の共沸溶剤含有量は、例えば、10重量%以上、好ましくは30重量%以上、さらに好ましくは50重量%以上、特に好ましくは75重量%以上である。また、吸収液として前記酢酸水溶液を用いる場合、酢酸水溶液中の酢酸の含有量は、例えば、10〜95重量%、好ましくは50〜90重量%、さらに好ましくは60〜80重量%である。
前記共沸溶剤は、水と共沸混合物を形成して沸点を下げ、かつ、水と分液することで酢酸と水の分離を容易にする。共沸溶剤の例としては、エステルとしては、ギ酸イソプロピル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、ギ酸イソアミル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸イソプロピル、などが、ケトンとしては、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、エチルプロピルケトンなどが、脂肪族炭化水素としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどが、脂環式炭化水素としては、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサンなどが、芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエンなどが挙げられる。
これらの中でも、酢酸エチルは、酢酸の水素化の副生成物として存在するため、共沸溶剤の回収工程を省略することができるので、共沸溶剤として好ましい。
また、酢酸プロピル(沸点102℃)、酢酸イソブチル(沸点117℃)、酢酸sec-ブチル(沸点112℃)、プロピオン酸イソプロピル(沸点110℃)、酪酸メチル(沸点102℃)、イソ酪酸エチル(沸点110℃)など、常圧における沸点が100℃から118℃のエステルは、水との共沸混合物の水の比率が高く、かつ、酢酸より沸点が低いため、酢酸回収塔Wにおいて酢酸と水の分離をより容易にする。また、これらのエステルは、エタノールとも共沸しないか、または、エタノールとの共沸混合物のエタノールの比率が低く、共沸溶剤の分離・回収が比較的容易である。したがって、常圧における沸点が100℃から118℃のエステルも共沸溶剤として好ましい。
また、非凝縮性ガスの主成分であるメタンは、極性の高い酢酸水溶液よりも極性の低い共沸溶剤によく溶解するため、共沸溶剤は非凝縮性ガスの吸収液に適している。
吸収塔Cに供給される前記吸収塔補給液(ライン11)の供給量と反応流体(ライン7)の供給量との比(重量比)は、例えば、前者/後者=0.1〜10であり、好ましくは前者/後者=0.3〜2である。また、吸収塔Cに供給される前記循環液(ライン9)の量と反応流体(ライン7)の供給量との比(重量比)は、例えば、前者/後者=0.05〜20であり、好ましくは前者/後者=0.1〜10である。
吸収塔Cの段数(理論段数)は、例えば1〜20、好ましくは3〜10である。また、吸収塔Cにおける温度は、例えば、0〜70℃であり、吸収塔Cにおける圧力は、例えば、0.1〜5MPa(絶対圧)である。
放散塔Dにおける温度は、例えば、0〜70℃である。放散塔Dにおける圧力は、吸収塔Cの圧力より低ければよく、例えば、0.05〜4.9MPa(絶対圧)である。吸収塔Cの圧力と放散塔Dの圧力との差(前者−後者)は、非凝縮性ガスの放散効率やアセトアルデヒドのロス抑制の観点から適宜選択できるが、例えば、0.05〜4.9MPa、好ましくは0.5〜2MPaである。こうして得られる反応組液には、炭素数が3個から6個の炭化水素が少なくとも1種類以上含まれている。
[精製系]
反応系で得られた反応粗液は、精製工程(精製系)に供され、炭素数が3個から6個の炭化水素を少なくとも1種類以上含む反応粗液から、炭素数が3個から6個の炭化水素含有量の少ない高純度の製品アセトアルデヒドが得られる。また、未反応の酢酸や、副生した各成分を回収し、必要に応じて反応系にリサイクルすることもできる。
図2に示す例では、炭素数が3個から6個の炭化水素を少なくとも1種類以上含む反応粗液は、反応粗液タンクK−2からポンプN−4を用いてライン16より第1蒸留塔(アセトアルデヒド分離塔)Eに仕込まれる。第1蒸留塔(アセトアルデヒド分離塔)Eでは、塔頂からライン17より非凝縮性ガスをパージし、冷却器M−5で凝縮した粗アルデヒド液は、一部がライン18より第1蒸留塔(アセトアルデヒド分離塔)Eに還流され、残りがライン19より混合攪拌器Gに供される。第1蒸留塔(アセトアルデヒド分離塔)Eの缶出液は、ライン20により酢酸回収塔Wに供される。R−1は受器、N−5、N−6はポンプ、Q−3はベント、O−1はリボイラーである。
混合攪拌器Gでは、第1蒸留塔(アセトアルデヒド分離塔)Eの塔頂からの粗アルデヒド液のほか、ライン21より水が加えられる。混合攪拌器Gにて撹拌された溶液は、デカンターSに移され、炭化水素(炭素数が3個から6個の炭化水素を含む)である上相液とアセトアルデヒド及び水を含む下相液に分離される。炭化水素である上相液は、ライン23より回収され、アセトアルデヒド及び水を含む下相液は、ライン24より第2蒸留塔(アセトアルデヒド精製塔)Fに仕込まれる。Hは水供給装置、Iは炭化水素回収設備、N−7はポンプである。
第2蒸留塔(アセトアルデヒド精製塔)Fでは、塔頂からアセトアルデヒドが留出し、冷却器M−6で凝縮した製品アセトアルデヒドは、ライン26よりアセトアルデヒド製品タンクK−3に供され、一部はライン25により蒸留塔内に還流される。第2蒸留塔(アセトアルデヒド精製塔)Fの缶出液として、ライン27より水が回収される。N−8、N−9はポンプ、O−2はリボイラー、Tは排水装置である。
図3に示す例では、炭素数が3個から6個の炭化水素を少なくとも1種類以上含む反応粗液は、反応粗液タンクK−2からポンプN−4を用いてライン16より第1蒸留塔(アセトアルデヒド分離塔)Eに仕込まれる。第1蒸留塔(アセトアルデヒド分離塔)Eでは、塔頂からライン17より非凝縮性ガスをパージし、冷却器M−5で凝縮した粗アルデヒド液は、一部がライン18より第1蒸留塔(アセトアルデヒド分離塔)Eに還流され、残りがライン19より混合攪拌器Gに供される。第1蒸留塔(アセトアルデヒド分離塔)Eの缶出液は、ライン20により酢酸回収塔Wに供される。R−1は受器、N−5、N−6はポンプ、Q−3はベント、O−1はリボイラーである。
混合攪拌器Gでは、第1蒸留塔(アセトアルデヒド分離塔)Eの塔頂からの粗アルデヒド液のほか、ライン21より水、ライン22より溶剤(ベンゼンまたは炭素数が7個以上の炭化水素)が加えられる。混合攪拌器Gにて撹拌された溶液は、デカンターSに移され、炭化水素(炭素数が3個から6個の炭化水素とベンゼンまたは炭素数が7個以上の炭化水素を含む)である上相液とアセトアルデヒド及び水を含む下相液に分離される。炭化水素である上相液は、ライン23より回収され、アセトアルデヒド及び水を含む下相液は、ライン24より第2蒸留塔(アセトアルデヒド精製塔)Fに仕込まれる。Hは水供給装置、Jは溶剤供給設備、Iは炭化水素回収設備、N−7はポンプである。
第2蒸留塔(アセトアルデヒド精製塔)Fでは、塔頂からアセトアルデヒドが留出し、冷却器M−6で凝縮した製品アセトアルデヒドは、ライン26よりアセトアルデヒド製品タンクK−3に供され、一部はライン25により蒸留塔内に還流される。第2蒸留塔(アセトアルデヒド精製塔)Fの缶出液として、ライン27より水が回収される。N−8、N−9はポンプ、O−2はリボイラー、Tは排水装置である。
図4に示す例では、炭素数が3個から6個の炭化水素を少なくとも1種類以上含む反応粗液は、反応粗液タンクK−2からポンプN−4を用いてライン16より第1蒸留塔(アセトアルデヒド分離塔)Eに仕込まれる。第1蒸留塔(アセトアルデヒド分離塔)Eでは、塔頂からライン17より非凝縮性ガスをパージし、冷却器M−5で凝縮した粗アルデヒド液は、一部がライン18より第1蒸留塔(アセトアルデヒド分離塔)Eに還流され、残りがライン19より抽出塔Vに仕込まれる。第1蒸留塔(アセトアルデヒド分離塔)Eの缶出液は、ライン20により酢酸回収塔Wに供される。R−1は受器、N−5、N−6はポンプ、Q−3はベント、O−1はリボイラーである。
抽出塔Vにおいて、第1蒸留塔(アセトアルデヒド分離塔)Eの塔頂からの粗アルデヒド液のほか、塔頂からライン21より水、塔底からライン22より溶剤(ベンゼンまたは炭素数が7個以上の炭化水素)が加えられる。抽出塔Vの塔頂にて抽出した抽出液は、ライン23より回収され、抽出塔Vの塔底の缶出液は、ライン24より第2蒸留塔(アセトアルデヒド精製塔)Fに仕込まれる。Hは水供給装置、Jは溶剤供給設備、Iは炭化水素回収設備、N−7はポンプである。
第2蒸留塔(アセトアルデヒド精製塔)Fでは、塔頂からアセトアルデヒドが留出し、冷却器M−6で凝縮した製品アセトアルデヒドは、ライン26よりアセトアルデヒド製品タンクK−3に供され、一部はライン25により蒸留塔内に還流される。第2蒸留塔(アセトアルデヒド精製塔)Fの缶出液として、ライン27より水が回収される。N−8、N−9はポンプ、O−2はリボイラー、Tは排水装置である。
上記の精製工程は、例えば、反応粗液から粗アセトアルデヒドを分離するアセトアルデヒド分離工程、分離した粗アセトアルデヒドに含まれる炭素数が3個から6個の炭化水素を分離、除去してアセトアルデヒドを精製するアセトアルデヒド精製工程のほか、アセトアルデヒドを分離した後の液から、共沸蒸留により未反応の酢酸と水とを分離し、酢酸を回収する酢酸回収工程、酢酸を分離した後の液から、低沸点成分を分離、除去する脱低沸工程、低沸点成分を分離、除去した後の液から、エタノール及び/又は酢酸エチルを分離、回収するエタノール・酢酸エチル回収工程の1又は2以上の工程を含むことができる。
上記のアセトアルデヒド分離工程では、例えば、反応粗液を第1蒸留塔(アセトアルデヒド分離塔)に仕込み、塔頂から粗アセトアルデヒドを分離、回収する。塔底からは、未反応の酢酸と副生した水(通常、さらにエタノール、酢酸エチル等のその他の生成物を含む)を含む酢酸水溶液が排出される。
アセトアルデヒド分離塔における塔頂圧力は、例えば0.05〜1MPa、好ましくは0.1〜0.5MPaであり、ゲージ圧としては、0.0〜0.4MPaGである。アセトアルデヒド分離塔の段数(理論段数)は、例えば10〜50、好ましくは20〜40である。
アセトアルデヒド分離塔の形式は、棚段塔でも充填塔でもよい。棚段塔の場合のトレイの構造は、泡鐘トレイ、多孔板トレイ、バルブトレイなど、特に限定されることはない。充填塔の場合の充填物についても、規則充填物、不規則充填物のいずれでもよい。段数についても、必要とする収率で必要とする品質の製品アセトアルデヒドが得られればよく、特に限定されるものではないが、一般的に、理論段数として10段から50段程度から選定される。段数が少ないとアセトアルデヒドの収率や品質が低下し、また、所定の収率や品質を得るために還流を多く取る必要があり、分離に必要な熱量が多くなる。
上記のアセトアルデヒド精製工程において、前記粗アセトアルデヒドと水を混合、静置し、上相液(炭素数が3個から6個の炭化水素)と下相液(アセトアルデヒド水溶液)を分液する。下相液はさらにアセトアルデヒド精製塔に仕込み、塔頂から製品アセトアルデヒドを取り出す。アセトアルデヒド精製塔の前に脱低沸塔を設置し、アセトアルデヒドをさらに高純度にすることもできる。
粗アセトアルデヒドに加える水の量は、前記粗アセトアルデヒド1重量部に対し、例えば0.1〜10重量部、好ましくは0.2〜5重量部である。粗アセトアルデヒドに加える水の量が少ないと炭素数が3個から6個の炭化水素は分液せず、粗アセトアルデヒドに加える水の量が多いと、アセトアルデヒド精製塔のエネルギーが増大する。
上記のアセトアルデヒド精製工程において、前記粗アセトアルデヒドと水以外に、図3及び図4に示す例のように、溶剤としてベンゼンまたは炭素数が7個以上の炭化水素を加えることもできる。下相液(アセトアルデヒド水溶液)はさらにアセトアルデヒド精製塔に仕込み、塔頂から製品アセトアルデヒドを取り出す。上相液(炭化水素)から蒸留等により炭素数が3個から6個の炭化水素を分離し、ベンゼンまたは炭素数が7個以上の炭化水素はリサイクルできる。ベンゼンまたは炭素数が7個以上の炭化水素を加えることにより、上相液中の炭素数が3個から6個の炭化水素が希釈され、下相液中に溶解する炭素数が3個から6個の炭化水素が減少するため、下相液から回収されるアセトアルデヒドの純度が高くなる。
上記のアセトアルデヒド精製工程において、図4に示す例のように、前記粗アセトアルデヒドと水とベンゼンまたは炭素数が7個以上の炭化水素を抽出塔で接触させることもできる。下相液(アセトアルデヒド水溶液)はさらにアセトアルデヒド精製塔に仕込み、塔頂から製品アセトアルデヒドを取り出す。上相液(炭化水素)から蒸留等により炭素数が3個から6個の炭化水素を分離し、ベンゼンまたは炭素数が7個以上の炭化水素はリサイクルできる。
水とともに粗アセトアルデヒドに加えるベンゼンまたは炭素数が7個以上の炭化水素の量は、前記粗アセトアルデヒド1重量部に対し、例えば0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部である。また、炭素数が7個以上の炭化水素としては、ヘプタン、オクタン、ノナン、ウンデカン、ドデカンなどの飽和脂肪族炭化水素、ヘプテン、オクテン、ノネン、ウンデケン、ドデケンなどの不飽和脂肪族炭化水素、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、プロピルシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素、トルエン、キシレン、トリメチルエチルベンゼン、エチルベンゼン、プロピルベンゼンなどの芳香族炭化水素などが挙げられる。
アセトアルデヒド分離塔Eにおける塔頂圧力は、常圧、減圧、加圧のいずれでもよいが、通常、0.1MPa以上、好ましくは0.5〜2MPaであり、ゲージ圧としては、通常、0.0MPaG以上、好ましくは0.4〜1.9MPaGである。アセトアルデヒド分離塔Eの段数(理論段数)は、例えば10〜50、好ましくは20〜40である。
アセトアルデヒド精製塔Fにおける塔頂圧力は、常圧、減圧、加圧のいずれでもよいが、通常、0.1MPa以上、好ましくは0.5〜2MPaであり、ゲージ圧としては、通常、0.0MPaG以上、好ましくは0.4〜1.9MPaGである。アセトアルデヒド精製塔Fの段数(理論段数)は、例えば10〜50、好ましくは20〜40である。
本願のアセトアルデヒドの製造方法により得られる、アセトアルデヒドの純度は、例えば98.0重量%以上であり、好ましくは99.0重量%以上であり、さらに好ましくは99.9重量%以上である。また、本願のアセトアルデヒドの製造方法により得られる、製品アセトアルデヒドに含まれる炭素数が3個から6個の炭化水素は、例えば2.0重量%以下であり、好ましくは1.0重量%以下であり、さらに好ましくは0.1重量%以下である。なお、得られた製品アセトアルデヒドは、必要に応じてさらに蒸留などにより精製し、さらに純度を高めることもできる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例1
まず、図5に示される装置により酢酸の水素化を行った。
後述する吸収塔(スクラバー)C−1の塔頂からのガス(ライン12からライン32を流れるガス)1,926NL/hrをコンプレッサーI−2で昇圧してライン2より循環させ、蒸発器A入口圧力が1.7MPa(ゲージ圧)で一定になるように、水素ボンベPより74NL/hrの水素(ライン1)をコンプレッサーI−1で昇圧し、前記循環ガスと合流させてライン3により蒸発器Aに仕込んだ。J−1、J−2、J−3はバッファータンクである。
酢酸タンクK−1からライン4により酢酸を680g/hrで供給し、ライン3からの水素と共に蒸発器(電気ヒーター付蒸発器)Aで300℃まで昇温し、得られた水素と酢酸の混合ガスを、触媒としてFe23100重量部に対してPd金属を40重量部担持した触媒157mlを充填した外径43.0mmφの反応器(電気ヒーター付反応器)Bに仕込んだ。蒸発器A内、反応器B内の圧力は1.7MPa(ゲージ圧)である。また、反応温度は300℃である。N−1はポンプである。
反応器Bから流出した反応ガス(ライン6)は冷却器(クーラー)M−11で30℃まで冷却し、ライン7より6mmφ磁製ラシヒリングを高さ1m充填した外径48.6φの吸収塔(スクラバー)C−1の下部に仕込んだ。吸収塔(スクラバー)C−1内の圧力は、1.7MPa(ゲージ圧)である。N−3はポンプ、M−4は冷却器(クーラー)である。
吸収塔(スクラバー)C−1の上段には、アセトン3.1重量%、エタノール12.4重量%、酢酸エチル73.0重量%、水11.5重量%からなる30℃の吸収液1000g/hrをライン33より仕込んだ。K−9は吸収液タンク、N−16はポンプ、M−12は冷却器(クーラー)である。
吸収塔(スクラバー)C−1の缶出液(ライン8)は、吸収塔(スクラバー)C−1のボトムの液面が一定になるように、常圧の気液分離器Uに抜き取り、溶存ガスを放散させた。放散したガスはライン10より分離除去した。ガス放散後の液の一部はライン9より30℃、10L/hrで吸収塔(スクラバー)C−1の中間部より仕込んだ(循環させた)。
前記ガス放散後の液の残りはライン14から反応粗液として取り出し、反応粗液タンクK−2に貯留した。反応粗液の組成は、アセトアルデヒド7.2重量%、アセトン2.0重量%、エタノール8.0重量%、酢酸エチル44.0重量%、水10.2重量%、酢酸28.6重量%であり、その製造量は、1,667g/hrであった。
吸収塔(スクラバー)C−1の塔頂ガスライン12に接続されたベントQ−1行きのライン13からパージガスは流さなかったが、蒸発器Aに循環されるライン32のガス組成は、二酸化炭素0.6mol%、メタン1.1mol%、エタンおよびエチレン1.2mol%、プロパンおよびプロピレン0.7mol%、アセトアルデヒド0.2mol%、水素96.2mol%で安定していた。
次に、図2に概略を示す装置により、前記反応粗液からアセトアルデヒドの分離及び精製を行った。
前記反応粗液を理論段数30段の40mmφ真空ジャケット付ガラス製蒸留塔からなる第1蒸留塔(アセトアルデヒド分離塔)Eの塔頂から20段目(理論段数)に仕込み、常圧、還流比3で蒸留して粗アセトアルデヒドを分離した。そして、第1蒸留塔(アセトアルデヒド分離塔)Eの塔頂から留出した粗アセトアルデヒド液を、塔頂ベーパー温度21℃、10℃に冷却して72g/hrで抜き取った。この粗アセトアルデヒド液は、プロピレン0.3重量%、1−ブテン0.2重量%、1−ペンテン1.7重量%、3−メチル−1−ペンテン0.5重量%、1−ヘキセン1.3重量%等の炭化水素を含む純度96.0重量%のアセトアルデヒド(粗アセトアルデヒド液)であった。
そして、この粗アセトアルデヒド液250gに水250gを加え、混合攪拌器Gにて10℃で撹拌後、デカンターSにて上相液と下相液を分液した。そして、この下相液を第2蒸留塔(アセトアルデヒド精製塔)Fにて蒸留し、水を除くと塔頂より、プロピレン0.1重量%、1−ブテン0.1重量%、1−ペンテン0.3重量%、3−メチル−1−ペンテン0.1重量%、1−ヘキセン0.3重量%等の炭化水素を含む純度99.1重量%の製品アセトアルデヒドが得られた。
なお、第1蒸留塔(アセトアルデヒド分離塔)Eのボトム液温度は79℃で、液面が一定になるように、缶出液を連続的に928g/hrで抜き取った。缶出液は、アセトン2.1重量%、エタノール8.7重量%、酢酸エチル47.5重量%、水11.0重量%、酢酸30.8重量%を含んでいた。
実施例2
実施例1で得られた粗アセトアルデヒド液から、図3に概略を示す装置により、アセトアルデヒドの分離及び精製を行った。
実施例1で得られた粗アセトアルデヒド液250gに水250gと炭素数が7個以上の炭化水素としてオクタン20gを加え、混合攪拌器Gにて10℃で撹拌後、デカンターSにて上相液と下相液を分液した。そして、この下相液を第2蒸留塔(アセトアルデヒド精製塔)Fにて蒸留し、水を除くと塔頂より、プロピレン0.02重量%、1−ブテン0.02重量%、1−ペンテン0.04重量%、3−メチル−1−ペンテン0.01重量%、1−ヘキセン0.03重量%、オクタン0.4重量%等の炭化水素を含む純度99.5重量%のアセトアルデヒドが得られた。
さらに、この下相水490gを理論段数30段の40mmφ真空ジャケット付ガラス製蒸留塔のボトムに仕込み、常圧、還流比3でバッチ蒸留し、初留液12g、主留液192gを得た。この主留液は炭化水素を含まない純度100.0重量%のアセトアルデヒドであった。
A 蒸発器
B 反応器
C 吸収塔
C−1 スクラバー
D 放散塔
E 第1蒸留塔(アセトアルデヒド分離塔)
F 第2蒸留塔(アセトアルデヒド精製塔)
G 混合攪拌器
H 水供給設備
I 炭化水素回収設備
I−1〜I−2 コンプレッサー
J 溶剤供給設備
J−1〜J−3 バッファータンク
K−1 酢酸タンク
K−2 反応粗液タンク
K−3 アセトアルデヒド製品タンク
K−9 吸収液タンク
L−1〜L−2 加熱器
M−1〜M−12 冷却器(クーラー)
N−1〜N−16 ポンプ(送液ポンプ)
O−1〜O−2 リボイラー
P 水素設備(水素ボンベ)
Q−1〜Q−3 ベント
R−1〜R−2 受器(タンク)
S デカンター
T 排水設備
U 気液分離器
V 抽出塔
W 酢酸回収塔
1〜34 ライン
本発明のアセトアルデヒドの製造方法は、炭素数が3個から6個の炭化水素の含有量が少ない高純度の製品アセトアルデヒドが得られるため、アセトアルデヒドの製造方法として非常に有用である。

Claims (2)

  1. 酢酸の水素化によりアセトアルデヒドを製造する方法であって、酢酸を水素化して得た反応粗液から蒸留により分離した、炭素数が3個から6個の炭化水素を少なくとも1種類以上含む粗アセトアルデヒドに、水を加え、炭素数が3個から6個の炭化水素の少なくとも一部を分液して分離することを特徴とするアセトアルデヒドの製造方法。
  2. 酢酸の水素化によりアセトアルデヒドを製造する方法であって、酢酸を水素化して得た反応粗液から蒸留により分離した、炭素数が3個から6個の炭化水素を少なくとも1種類以上含む粗アセトアルデヒドに、水とベンゼンまたは炭素数が7個以上の炭化水素を加え、炭素数が3個から6個の炭化水素の少なくとも一部を炭化水素の相に抽出分離することを特徴とするアセトアルデヒドの製造方法。
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