JP6499935B2 - 吐出器 - Google Patents

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Description

本発明は、吐出器に関するものである。
この種の吐出器としては、上方付勢状態で下方移動自在に配設されたステムと、ステムの上端に装着され、内容物の吐出孔が形成された吐出ヘッドと、ステムに連動する筒状のピストンと、ピストンが上下摺動自在に収容されたシリンダと、ステムから下方に向けて延設され、ピストンの内側を上下方向に貫く有底筒状のピストンガイドと、を備え、ステム及びピストンガイドをシリンダに対して下方移動させたときに、シリンダ内の内容物がステム内を通して吐出孔から吐出されるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このような吐出器では、吐出器を初めて使用する際にはシリンダ内やステム内に内容物が充填されていないため、ステムを数回押し下げてシリンダ内やステム内に内容物を充填させた後に、内容物を吐出孔から吐出している。
特開2008−030798号公報
しかしながら、このような吐出器のピストンガイドは、上下方向に延在しかつ上方に向けて開口する空洞が形成された有頂筒状をなしている。そのため、吐出器を使用するためにステムを数回押し下げても、ピストンガイド内に空気溜りが発生することにより、内容物の吐出にばらつきが生じることがある。
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、内容物の吐出を安定させた吐出器を提供することを目的とする。
本発明は、上記のような課題を解決するために以下のような手段を採用した。すなわち、本発明の吐出器は、上方付勢状態で下方移動自在に配設されたステムと、前記ステムの上端に装着され、内容物の吐出孔が形成された吐出ヘッドと、前記ステムに連動する筒状のピストンと、前記ピストンが上下摺動自在に収容されたシリンダと、前記ステムから下方に向けて延設され、前記ピストンの内側を上下方向に貫く有底筒状のピストンガイドと、を備え、前記ステム及び前記ピストンガイドを前記シリンダに対して下方移動させたときに、前記シリンダ内の前記内容物が前記ピストンガイド内及び前記ステム内を通して前記吐出孔から吐出される吐出器であって、前記ピストンガイドの下端部には、その内側と前記シリンダ内とを連通させる連通孔が形成されており、前記ピストンガイドのうち前記連通孔よりも上方には、貫通孔が形成されていることを特徴とする。
この発明では、吐出器を初めて使用する際にステムを押し下げると、シリンダ内の内容物は、ピストンガイドの下部に形成された連通孔を通してピストンガイド内に流入し、その後、ステム内に流入する。そのため、ピストンガイド内に存在する空気を吐出孔から外部へ効率的に排出できる。これにより、ピストンガイド内及びステム内に内容物を早期に充填することができると共に、ピストンガイド内に空気溜りが生じることを抑制でき、内容物の吐出を安定させることができる。
また、本発明の吐出器では、前記連通孔が、前記ピストンガイドの中心軸線を前記中心軸線に直交する径方向で挟む両側に各別に形成され、前記ピストンガイドの上部には、前記中心軸線を前記径方向で挟む両側に前記貫通孔が各別に形成されてもよい。
この場合では、ピストンガイドを射出成形によって形成する際に、ピストンガイドの内周面を形成する金型の中子の下側を一対の連通孔を形成する一対の第1ピンによって径方向で挟み込み、かつ、上記中子の上側を一対の貫通孔を形成する一対の第2ピンにより径方向で挟み込んだ状態で、上記中子をピストンガイドから引き抜くことが可能となる。そのため、金型の脱型時に、上記中子がピストンガイドに対してぐらついてピストンガイドを変形させることを防止でき、ピストンガイドを精度よく形成できる。
また、ピストンガイドの外周面とピストンの内周面との間に間隙が形成され、上記間隙の上端と貫通孔とが連通し、上記間隙の下端とシリンダ内とが連通する場合には、吐出器を初めて使用する際にステムを押し下げたときに、シリンダ内の内容物を上記間隙内にその下端から上方に向けて流入させ、貫通孔を通してピストンガイド内に流入させることができる。そのため、上記間隙内の空気が効率的に吐出孔から外部に排出され、上記間隙内に内容物を早期に充填することができると共に、上記間隙に空気溜りが生じることを抑制でき、吐出を確実に安定させる。
また、本発明の吐出器では、前記ピストンガイドのうち前記連通孔よりも上方には、前記中心軸線に沿う異なる位置で、前記ピストンガイドの中心軸線を前記中心軸線に直交する径方向で挟む両側に前記貫通孔が各別に形成されており、前記貫通孔のうち上方に位置する一方と前記連通孔とが、前記中心軸線回りを周回する周方向で同じ位置に形成されてもよい。
この場合でも、ピストンガイドを射出成形によって形成する際に、ピストンガイドの内周面を形成する金型の中子の下側を連通孔を形成する第1ピンによって径方向で支え、上記中子の上下方向の中間部分を貫通孔のうち下方に位置する他方を形成する第2ピンにより径方向で支え、かつ上記中子の上側を貫通孔のうち上方に位置する一方を形成する第3ピンにより径方向で支え、さらに、第1ピンと第3ピンとが周方向で同じ位置にあり、第2ピンが上面視で第1及び第3ピンとは径方向で中心軸を挟んで反対側にある状態で、上記中子をピストンガイドから引き抜くことが可能となる。そのため、金型の脱型時に、上記中子がピストンガイドに対してぐらついてピストンガイドを変形させることを防止でき、ピストンガイドを精度よく形成できる。
また、上述と同様に、上記間隙内の空気が効率的に吐出孔から外部に排出され、上記間隙内に内容物を早期に充填することができると共に、上記間隙に空気溜りが生じることを抑制でき、吐出を確実に安定させる。
この発明にかかる吐出器によれば、ピストンガイド内及びステム内に内容物を早期に充填して空気溜りの発生を抑制できる。そのため、内容物の吐出量のばらつきを抑制でき、さらに、ステム内に空気が残存しにくいので、ステム内に残存する空気が内容物の吐出時に圧縮されかつ吐出後に膨張されることによって、ステム内の内容物を吐出孔から排出させる(液垂れさせる)ことを抑制できる。したがって、内容物の吐出を安定させることができる。
本発明の一実施形態にかかる吐出器を示す軸方向断面図である。 図1の吐出器を示す部分拡大図である。 図1のステムの下端部を示す部分拡大斜視図である。 図1の吐出器の吐出状態を示す軸方向断面図である。 図4の吐出器を示す部分拡大図である。 本発明を適用可能な他の吐出器を示す軸方向断面図の部分拡大図である。
以下、本発明による吐出器の一実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするために縮尺を適宜変更している。
本実施形態にかかる吐出器1は、図1に示すように、容器本体2の口部3に取り付けられる有頂円筒状の取付キャップ11と、上方付勢状態で下方移動自在に配設された円筒状のステム12と、ステム12の上端部に装着され、内容物の吐出孔13Aが形成された吐出ヘッド13と、ステム12が押し下げられることによって作動されるポンプ14と、ステム12を外側から囲む円筒状のガイド筒15と、吐出ヘッド13を押し下げるためのトリガー16と、を備える。
ここで、取付キャップ11、ステム12及びガイド筒15は、それぞれの中心軸線が共通軸上に位置する状態で配設されている。以下、この共通軸を中心軸Oと称し、図1において中心軸Oに沿ってポンプ14からステム12に向かう方向を上方、その逆方向を下方とする。また、中心軸Oから見た平面視で中心軸Oに直交する方向を径方向、中心軸O回りで周回する方向を周方向とする。さらに、径方向のうち吐出ヘッド13の吐出孔13Aが向けられる方向を前方、その逆方向を後方とし、上下方向及び前後方向に直交する方向を左右方向とする。
取付キャップ11は、中央に開口部が形成された平面視で円状の天壁部21と、天壁部21の外周縁から下方に向けて延設された円筒状の周壁部22と、を有する。天壁部21及び周壁部22は、中心軸Oと同軸に配設されている。
周壁部22の内周面には、容器本体2の口部3の外周面に形成された雄ネジに螺着する雌ネジが形成されている。
ステム12は、ガイド筒15の内側に上下移動自在に挿通されており、ステム12の上部は、ガイド筒15よりも上方に向けて突出していると共に、ステム12の下部は、ガイド筒15よりも下方に向けて突出している。ステム12の下端部の内径及び外径は、ステム12の上端部及び上下方向中間部の内径及び外径よりも大きく、ステム12の上下方向中間部から下端部への移行部分12Aにおいて、ステム12の内径及び外径は、下方に向かうにしたがって漸次拡径している。また、ステム12の上下方向中央部の内周面には、径方向内側に向けて突出する係合突部12Bが全周にわたって形成されている。
さらに、ステム12の下端には、図1から図3に示すように、径方向外側に向けて突出するガイド突出部12Cが全周にわたって形成されている。ガイド突出部12Cの外周縁からは、円筒状の弾性部材25が下方に向けて延設されている。
弾性部材25には、図3に示すように、上下方向に延在する弾性部材切欠部25Aが周方向に間隔をあけて複数形成されている。また、弾性部材25の下端開口縁は、図1及び図2に示すように、径方向外側から内側に向かうにしたがって下方を向くように傾斜している。
吐出ヘッド13は、図1に示すように、ステム12の上端部に装着された有頂円筒状の装着筒部31と、装着筒部31の前面から前方に向けて突設された筒状のノズル筒部32と、を有する。
装着筒部31の上端部には、円柱状の被押下突部33が左右方向の両方向に各別に突設されている。
ノズル筒部32内には、前後方向に延在する芯棒体35と、芯棒体35の前端部に被着された有頂円筒状のチップ36と、が配設されている。
芯棒体35の外周面には、ノズル筒部32の内周面との間で内容物の流動を可能とする複数の流路溝部35Aが前後方向にわたって形成されている。
チップ36は、芯棒体35と同軸上に配設されており、芯棒体35の外周面に設けられた円筒状のチップ筒部37と、チップ筒部37の先端部に設けられた端壁部38と、を有する。
チップ筒部37は、ノズル筒部32内に嵌合されており、端壁部38は、芯棒体35の先端面に当接している。端壁部38のうち芯棒体35の先端面に当接する後面には、芯棒体35の流路溝部35Aに連通するスピン流路38Aが形成されている。また、端壁部38の中央部分には、スピン流路38Aに連通する吐出孔13Aが形成されている。
ポンプ14は、容器本体2内に収容されている内容物を吐出ヘッド13に供給するためのものであり、取付キャップ11の内側に装着されている。ポンプ14の概略構成としては、図1及び図2に示すように、ステム12に連動された二重円筒状のピストン41と、ピストン41が上下摺動自在に収容された円筒状のシリンダ42と、ステム12から下方に向けて延設され、ピストン41の内側を上下方向に貫く有底円筒状のピストンガイド43と、シリンダ42内に配設された球状の弁体44と、を有する。
ピストン41は、円筒状の摺動部51と、摺動部51よりも径方向内側に配設された円筒状の閉塞部52と、摺動部51の上端及び閉塞部52の上下方向中間部を連結する平面視で円環状の環状連結部53と、を有する。これら摺動部51、閉塞部52及び環状連結部53は、中心軸Oと同軸に配設されている。
摺動部51の下端部は、上方から下方に向かうにしたがって漸次径方向外側に向けて反るように湾曲しており、摺動部51の下端は、シリンダ42の内周面に摺接している。
閉塞部52の下端部は、上方から下方に向かうにしたがって漸次径方向内側に向けて反るように湾曲しており、ピストンガイド43の後述する底部43A近傍に形成された当接部43Eに当接している。また、閉塞部52の上端部は、下方から上方に向かうにしたがって漸次径方向外側に向けて反るように湾曲しており、ステム12の下端部の内周面に摺接している。
環状連結部53の上面は、径方向外側から内側に向かうにしたがって漸次下方に向かうように傾斜し、弾性部材25の下端開口縁を受ける受け面53Aとなっている。
シリンダ42は、平面視で円環状の頂壁部61と、頂壁部61から上方に向けて延設された円筒状の立上筒部62と、頂壁部61の開口縁部から下方に向けて延設された円筒状の上筒部63と、上筒部63の下端から下方に向けて延設された円筒状の中筒部64と、中筒部64の下端から下方に向けて延設された円筒状の下筒部65と、を有する。これら頂壁部61、立上筒部62、中筒部64及び下筒部65は、中心軸Oと同軸に配設されている。
頂壁部61の外周縁部は、取付キャップ11の天壁部21と容器本体2の口部3の上端開口縁とにより上下方向で挟まれている。また、頂壁部61の外周縁部と口部3の上端開口縁との間には、第1パッキン66が介在されている。
立上筒部62は、天壁部21の開口部を通って上方に向けて立設されている。
上筒部63の上端部には、上筒部63の内外を連通させる空気孔63Aが形成されている。空気孔63Aは、環状連結部53の外周面によって閉塞されている。また、上筒部63の内周面には、ステム12のガイド突出部12Cが当接または近接している。
中筒部64は、上筒部63の開口縁から下方に向けて延在し、内径及び外径が上下方向で一定とされている直筒部67と、直筒部67の下端から下方に向けて延在し、内径及び外径が上方から下方に向かうにしたがって縮径するテーパ筒部68と、を有する。
直筒部67の内周面には、上下方向に延在し、径方向内側に向けて突出する複数の縦リブ部67Aが周方向に間隔をあけて配設されている。また、直筒部67内には、ピストンガイド43の後述する底部43Aが進入可能となっている。
テーパ筒部68の内側には、弁体44がテーパ筒部68のテーパ面に離着自在に配設されている。また、テーパ筒部68の内周面には、径方向外側から内側に向かうにしたがって上方に向けて傾斜する規制突部68Aが突設されている。規制突部68Aの上端の内径は、弁体44よりも小さくなっている。また、規制突部68Aには、周方向の延在を中断する間隙が形成されている。
下筒部65の内側には、容器本体2内の内容物が流動するチューブ69が嵌め込まれている。
ピストンガイド43のうちの底部43Aは、この底部43Aより上方に位置する周筒部に対して下方及び径方向外側の双方に向けて膨出する半球状に形成されており、直筒部67の内周面に進入可能となっている。また、ピストンガイド43のうち上記周筒部の下端部には、外径が底部43Aの上面から上方に向かうにしたがって漸次縮径する当接部43Eが形成されている。
ピストンガイド43の下端部には、ピストンガイド43内とシリンダ42内とを連通させる一対の連通孔43Bが形成されている。連通孔43Bは、中心軸Oを径方向で挟む両側に形成されている。連通孔43Bは、閉塞部52の下端よりも上方に位置しており、シリンダ42の上筒部63の内側との連通が遮断されている。
同様に、ピストンガイド43の上端部には、ピストンガイド43内とシリンダ42内とを連通させる一対の貫通孔43Cが形成されている。貫通孔43Cは、連通孔43Bと同様に、中心軸Oを径方向で挟む両側に形成されている。貫通孔43Cは、上下方向でステム12の移行部分12Aに位置する。
また、ピストンガイド43のうち貫通孔43Cよりも上側に位置する部分は、ステム12の係合突部12Bが係合する係合溝部43Dが全周にわたって形成されている。これにより、ピストンガイド43は、ステム12と共に一体として上下移動する。
ガイド筒15は、円筒状の外筒部71と、外筒部71よりも径方向内側に配設された円筒状の中間筒部72と、中間筒部72よりも径方向内側に配設された円筒状の内筒部73と、トリガー16を支持するトリガー支持部74と、を有する。これら外筒部71、中間筒部72及び内筒部73は、中心軸Oと同軸に配設されている。
外筒部71は、立上筒部62に外嵌されている。
中間筒部72の上下方向中間部は、外筒部71の上端に連設されており、中間筒部72の上側部分は、外筒部71よりも上方に突出している。また、中間筒部72の上端部の前側部分には、トリガー16の揺動を阻害しないように、ガイド切欠部72Aが形成されている。
内筒部73の下端は、中間筒部72の下端に連設されている。内筒部73の上端と吐出ヘッド13のノズル筒部32との間には、ステム12及び吐出ヘッド13を上方に向けて付勢するコイルバネ75が配設されている。また、内筒部73の外周面には、上下方向に延在し、中間筒部72の内周面に接続される複数の接続リブ部73Aが周方向に間隔をあけて形成されている。さらに、内筒部73の下端と頂壁部61との間には、第2パッキン76が介在されている。
トリガー支持部74は、中間筒部72の上側部分及び外筒部71から後方に向けて突設されており、左右方向で間隔をあけて配設された一対の側壁部77と、側壁部77の後端に形成された後壁部78と、を有する。
側壁部77は、後側部分が前側部分に対して上方に立ち上がっており、この後側部分の外側面には、左右方向外側に向けて延在する円柱状の揺動軸77Aが突設されている。
トリガー16は、揺動軸77Aを介してトリガー支持部74に取り付けられており、この揺動軸77A回りに揺動可能に設けられている。
トリガー16は、天板部81と、天板部81の後端縁から後方に向けて斜め下方に延在する後板部82と、天板部81の前端縁から前方に向けて斜め下方に延在する前板部83と、天板部81の左右両側の側端縁から各別に垂下された一対の側板部84と、を有する。
前板部83の上側部分には、上下方向に延在する長孔部83Aが形成されており、この長孔部83Aには、吐出ヘッド13のノズル筒部32が挿通されている。また、前板部83の下側部分は、指などをかけるための指掛部分となっている。
側板部84の内側面には、吐出ヘッド13を押し下げるための押下部85が設けられている。押下部85は、装着筒部31を左右両側から挟む一対の板状部材であり、押下部85の下端には、被押下突部33がその軸線回りに摺動可能に嵌め込まれた円弧状の押下切欠部85Aが形成されている。また、側板部84の後部には、揺動軸77Aが周方向に摺動可能に挿通された軸孔部84Aが形成されている。
なお、側板部84とトリガー支持部74の側壁部77の前側部分の上端縁との間には、トリガー16の不要な作動を防止するストッパ86が配設されている。
次に、以上のような構成の吐出器1の使用方法について説明する。
まず、吐出器1を初めて使用する際の使用方法について説明する。上述のように、吐出器1を初めて使用する際には、シリンダ42の上筒部63内やステム12内、ピストンガイド43内には、内容物が充填されていない。そこで、これらシリンダ42の上筒部63内、ステム12内及びピストンガイド43内に内容物を充填させる必要がある。
そのために、ストッパ86を取り外したのち、トリガー16の前板部83の上記指掛部分に指などを掛け、トリガー16を後方に牽引し揺動させる。トリガー16の揺動に伴って、押下部85は、ノズル筒部32の被押下突部33を下方に押圧し、ステム12を押し下げる。ここで、ステム12には、ピストンガイド43が取り付けられており、ステム12に設けられた弾性部材25は、ピストン41に当接している。これにより、ステム12、ピストンガイド43及びピストン41は、一体となってシリンダ42に対して下降する。そのため、ピストン41の閉塞部52がピストンガイド43の連通孔43Bを閉塞させたままの状態で、シリンダ42の上筒部63内が加圧される。
シリンダ42の上筒部63の内圧が所定の圧力まで上昇した状態でステム12及びピストンガイド43をさらに押し下げると、上筒部63の上昇した内圧に起因して、ピストン41の下方移動が抑止される。これにより、弾性部材25は、その自由端部がピストン41の受け面53Aに沿って径方向内側に向けて反るように摺動しつつ、弾性部材25の上下方向での長さが短くなるように収縮変形され、ステム12及びピストンガイド43は、ピストン41に対して下方移動し始める。また、ピストンガイド43の底部43Aは、中筒部64の直筒部67内に進入し、縦リブ部67Aに近接または摺動しながら下降する。
ステム12及びピストンガイド43をピストン41に対して下方に移動させると、ピストン41の閉塞部52の下端は、ピストンガイド43の当接部43Eから離間する。これにより、閉塞部52の下端部とピストンガイド43の外周面との間には、間隙が形成され、この間隙を通して、連通孔43Bは、シリンダ42の上筒部63内に対して開放される。なお、連通孔43Bがシリンダ42の上筒部63内に対して開放されるまで、上筒部63の内圧は、さらに上昇する。
これにより、上筒部63内の空気は、閉塞部52の内周面とピストンガイド43の外周面との間の間隙及び連通孔43Bを通ってピストンガイド43内に流入する。また、上筒部63内の空気は、閉塞部52の内周面とピストンガイド43の外周面との間の間隙、ステム12の下側部分及び移行部分12Aの内周面とピストンガイド43の外周面との間の間隙、並びに貫通孔43Cを通ってピストンガイド43内に流入する。
そして、ピストンガイド43内に流入した空気は、ステム12の上側部分内を流動してノズル筒部32に至り、ノズル筒部32の吐出孔13Aから外部に排出される。
続いて、トリガー16を引いた指などを外すと、コイルバネ75による付勢により、吐出ヘッド13、ステム12及びピストンガイド43が上昇する。これにより、シリンダ42の上筒部63内が減圧され、弁体44が浮上して中筒部64の下部が開放され、容器本体2内の内容物は、チューブ69を通って中筒部64内に流入し、縦リブ部67A間と弁体44及び規制突部68Aの間とを通って上筒部63内に流入する。また、吐出ヘッド13が上昇することにより、被押下突部33が押下部85を上方に押圧し、トリガー16は、前方側へ移動し、図1に示す元の位置に戻る。
これを繰り返すことにより、シリンダ42の上筒部63内、ステム12内及びピストンガイド43内に内容物を充填させる。
実際に吐出孔13Aから内容物を吐出させる場合には、上述と同様に、ストッパ86を取り外してトリガー16を後方に牽引し、ステム12を押し下げる。連通孔43Bがシリンダ42の上筒部63内に対して開放されると、上述と同様に、上筒部63内の内容物は、連通孔43Bを通る経路と貫通孔43Cを通る経路とを介して、ピストンガイド43内に流入する。そして、ピストンガイド43内に流入した内容物は、ステム12の上側部分内を流動してノズル筒部32に至り、ノズル筒部32の吐出孔13Aから吐出される。
以上のような構成の吐出器1によれば、吐出器1を初めて使用する際に、ピストンガイド43の下端部に形成されている一対の連通孔43Bを通して、ピストンガイド43内の空気を吐出孔13Aから外部へ効率的に排出できる。同様に、ピストンガイド43の上端部に形成されている一対の貫通孔43Cを通して、ピストンガイド43の外周面とピストン41の閉塞部52の内周面との間の間隙内の空気を効率的に吐出孔13Aから外部へ効率的に排出できる。これにより、ピストンガイド43内及び上記間隙内に空気溜りが生じることを抑制でき、また、内容物の吐出量のばらつきを抑制できると共に、吐出後に発生する吐出孔13Aからの内容物の液垂れなどを抑制できる。したがって、内容物の吐出を安定させることができる。
さらに、ピストンガイド43を射出成形によって形成する場合には、ピストンガイド43の内周面を形成する金型の中子の下側を一対の連通孔43Bを形成する一対の第1ピンによって径方向で挟み込み、上記中子の上側を一対の貫通孔43Cを形成する一対の第2ピンによって径方向で挟み込んだ状態で、上記中子をピストンガイド43から引き抜くことができる。したがって、上記中子をピストンガイド43に対してぐらつかせずに引き抜くことができ、ピストンガイド43の変形を抑制してピストンガイド43を精度よく形成できる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。
例えば、一対の連通孔及び一対の貫通孔は、周方向で同じ位置に形成されているが、これに限られない。例えば図6に示すように、ピストンガイド101に形成されている連通孔101A及び貫通孔101B、101Cは、側面視で上下方向に沿って図6に示す前後交互に、千鳥状に配置されてもよい。すなわち、上下方向でずらして形成された一対の貫通孔101B、101Cのうち、上方に位置する一方の貫通孔101Bは、周方向で連通孔101Aと同じ位置に形成されており、他方の貫通孔101Cは、連通孔101A及び貫通孔101Bに対して中心軸Oを挟む径方向の反対側に形成されている。
このように連通孔101A及び貫通孔101B、101Cを配置しても、上述と同様に、ピストンガイド101を射出成形によって形成する場合には、ピストンガイド101の内周面を形成する金型の中子の下側を連通孔101Aを形成する第1ピンによって径方向で支え、上記中子の上側を貫通孔101Cを形成する第2ピンによって径方向で支え、上記中子の上下方向中間部分を貫通孔101Bを形成する第3ピンによって径方向で支え、さらに第1ピンと第3ピンとが成形されるピストンガイド101を上下方向で挟み込んだ状態で、上記中子をピストンガイド101から引き抜くことができる。したがって、上記中子をピストンガイド101に対してぐらつかせずに引き抜くことができ、ピストンガイド101の変形を抑制してピストンガイド101を精度よく形成できる。
また、ピストンガイドには、一対の連通孔が形成されているが、少なくとも1つ形成されていればよい。さらに、ピストンガイドには、一対の貫通孔が形成されているが、貫通孔が形成されていなくてもよい。
連通孔及び貫通孔の形状は、側面視で円形に限らず、上下方向に長い長円形など、他の形状であってもよい。
ピストンガイドは、ステムに取り付けられているが、ステムと一体として上下移動すれば、取り付けられていなくてもよい。また、吐出ヘッドは、ステムと一体的に形成されてもよい。
弾性部材は、ステムと一体的に形成されていなくてもよく、ピストンと一体的に形成されてもよく、ステム及びピストンとは別体として形成されてもよい。また、弾性部材は、上下方向の長さが短くなるように変形できれば、例えば上下方向で蛇腹状に収縮変形する形状など、他の形状であってもよい。さらに、弾性部材が設けられていなくてもよい。
吐出器は、吐出孔から内容物を噴霧させているが、噴霧以外の別の態様で内容物を吐出させてもよい。
トリガーによって吐出ヘッドを押し下げることによってステムを下降させているが、トリガーによって直接ステムを下降させてもよい。また、トリガーを作動させることによってステムを下方移動させているが、ステムを下方移動させることができれば、トリガーが設けられていなくてもよい。
この発明によれば、内容物の吐出を安定させた吐出器に関して、産業上の利用可能性が認められる。
1 吐出器、2 容器本体、12 ステム、13 吐出ヘッド、13A 吐出孔、41 ピストン、42 シリンダ、43,101 ピストンガイド、43B,101A 連通孔、43C,101B,101C 貫通孔

Claims (3)

  1. 上方付勢状態で下方移動自在に配設されたステムと、
    前記ステムの上端に装着され、内容物の吐出孔が形成された吐出ヘッドと、
    前記ステムに連動する筒状のピストンと、
    前記ピストンが上下摺動自在に収容されたシリンダと、
    前記ステムから下方に向けて延設され、前記ピストンの内側を上下方向に貫く有底筒状のピストンガイドと、
    を備え、
    前記ステム及び前記ピストンガイドを前記シリンダに対して下方移動させたときに、前記シリンダ内の前記内容物が前記ピストンガイド内及び前記ステム内を通して前記吐出孔から吐出される吐出器であって、
    前記ピストンガイドの下端部には、その内側と前記シリンダ内とを連通させる連通孔が形成されており、
    前記ピストンガイドのうち前記連通孔よりも上方には、貫通孔が形成されていることを特徴とする吐出器。
  2. 前記連通孔が、前記ピストンガイドの中心軸線を前記中心軸線に直交する径方向で挟む両側に各別に形成され、
    前記ピストンガイドの上部には、前記中心軸線を前記径方向で挟む両側に前記貫通孔が各別に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の吐出器。
  3. 前記ピストンガイドのうち前記連通孔よりも上方には、前記中心軸線に沿う異なる位置で、前記ピストンガイドの中心軸線を前記中心軸線に直交する径方向で挟む両側に前記貫通孔が各別に形成されており、
    前記貫通孔のうち上方に位置する一方と前記連通孔とが、前記中心軸線回りを周回する周方向で同じ位置に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の吐出器。
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