JP6496629B2 - 調光装置 - Google Patents

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本発明は、偏光子とパターン位相差膜を用いて入射光を調光して透過光を得る調光装置に関し、特に、パターン位相差膜が所定の面内レタデーションの関係を満たす調光装置に関する。
現在、偏光子を利用した調光方法が種々提案されている(特許文献1、2)。偏光子を利用した調光方法については、建物用窓から入射する太陽光の調光に利用することも期待されている。
特許文献1には、少なくとも1種類のフィルム、偏光子、および光透過性基板を含む積層体からなり、波長λnmにおける単板透過率T(λ)%および直交透過率T(λ)%が、55%≧T(430)≧38%、60%≧T(590)≧42.5%、1.0≧T(430)/T(590)≧0.9、T(430)>0.02%を満足する調光用偏光板が記載されている。
また、特許文献1には、偏光板を2枚利用することで、シャッター機能を有する偏光板を構成することができる旨が開示されている(図7参照)。
また、特許文献2には、第1の透過軸を有する第1の偏光子と、第2の透過軸を有する第2の偏光子と、第1の偏光子および第2の偏光子の間に位置し、かつ、光軸、厚さおよび複屈折率の少なくとも1つを変化させるように構成された第1の複数の領域を含む、第1の模様付けされた波長リターダ、および、第1および第2の偏光子の間に位置し、かつ、光軸、厚さおよび複屈折率の少なくとも1つを変化させるように構成された第2の複数の領域を含む、第2の模様付けされた波長リターダを含み、第1または第2の波長リターダの一方が、同第1または第2の波長リターダの他方に対して直線的に移動するように構成された可変的な透過装置が記載されている。第1および第2の複数の領域は、位相差を変化させるように構成されている。
特開2013−92707号公報 米国特許第8508681号明細書
特許文献1および2における発明の代表例としては、2枚の直線偏光子を平行に配置し、その間に互いに平行移動可能な2枚のパターン位相差膜を配置することで透過光の量を調節している。例えば、2枚の直線偏光子を互いの透過軸が平行になるように配置した場合、その間の位相差が実質的にゼロの時に最も明るくなる「明の状態」となり、位相差がλ/2の整数倍で、かつ、パターン位相差膜の遅相軸が直線偏光子の透過軸に対して±45°となった時に最も暗くなる「暗の状態」となる。一方、2枚の直線偏光子を互いの透過軸が直交するように配置した場合、その間の位相差が実質的にゼロの時、「暗の状態」となり、位相差がλ/2の整数倍で、かつ、パターン位相差膜の遅相軸が直線偏光子の透過軸に対して±45°となった時に最も暗くなる「明の状態」となる。
一般的にパターン位相差膜の材料としては、測定波長における複屈折率Δnが波長に対して徐々に小さくなる順波長分散液晶性化合物が用いられる。
本発明者は、このような順波長分散液晶性化合物から構成されたパターン位相差膜を特許文献1および2に記載の調光装置に用いた場合、位相差が大きくなるように配置した場合、すなわち2枚の直線偏光子の透過軸が平行になるように配置した場合の「暗の状態」、または、2枚の直線偏光子の透過軸が直交になるように配置した場合の「明の状態」において、波長分散性に起因する光漏れによって、色味が大きく悪化することを見出した。特に、2枚の直線偏光子の透過軸が平行になるように配置した場合の「暗の状態」の光漏れは、著しい色味の変化を引き起こすことを知見している。
本発明は、上記実情に鑑みて、上記のような色味に関する問題の発生が抑制された調光装置を提供することを目的とする。
本発明者は、従来技術の問題点について鋭意検討した結果、所定の特性を満たすパターン位相差膜を用いることにより、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、以下の構成により上記目的を達成することができることを見出した。
(1) 第1の偏光子と、第1の偏光子と離間して配置された第2の偏光子と、第1の偏光子と第2の偏光子との間に配置された、同一面内に複数の遅相軸方向を有する、第1のパターン位相差膜および第2のパターン位相差膜とを備え、
第1の偏光子、第1のパターン位相差膜、第2のパターン位相差膜、および、第2の偏光子はこの順に、互いに平行に配置されており、
第1のパターン位相差膜、および、第2のパターン位相差膜の少なくとも一方が他方に対して平行に相対移動可能であり、
第1のパターン位相差膜、および、第2のパターン位相差膜の少なくとも一方を相対的に平行に移動させることで、第1の偏光子または第2の偏光子から入射される入射光の透過率を変えることが可能な調光装置であって、
第1のパターン位相差膜における、波長450nmで測定した面内レタデーション値であるRe1(450)と、波長550nmで測定した面内レタデーション値であるRe1(550)と、波長650nmで測定した面内レタデーション値であるRe1(650)とが以下の式(X)の関係を満たし、
第2のパターン位相差膜における、波長450nmで測定した面内レタデーション値であるRe2(450)と、波長550nmで測定した面内レタデーション値であるRe2(550)と、波長650nmで測定した面内レタデーション値であるRe2(650)とが以下の式(Y)の関係を満たす調光装置。
式(X) Re1(450)<Re1(550)<Re1(650)
式(Y) Re2(450)<Re2(550)<Re2(650)
(2) 第1のパターン位相差膜および第2のパターン位相差膜が、後述する一般式(I)で表される液晶性化合物を含む組成物に重合処理を施して形成される、(1)に記載の調光装置。
(3) 第1の偏光子と第2の偏光子との間に、
支持体と、支持体上に配置された光配向膜と、光配向膜上で配向制御された一般式(I)で表される液晶性化合物を重合して形成される第1のパターン位相差膜とを含む第1の積層体と、
支持体と、支持体上に配置された光配向膜と、光配向膜上で配向制御された一般式(I)で表される液晶性化合物を重合して形成される第2のパターン位相差膜とを含む第2の積層体とが配置されている、(2)に記載の調光装置。
(4) 第1のパターン位相差膜および第2のパターン位相差膜が、面内に少なくとも3方向以上の遅相軸方向を有する、(1)〜(3)のいずれかに記載の調光装置。
(5) 第1のパターン位相差膜のRe1(550)が200nm以上350nm以下であり、
第2のパターン位相差膜のRe2(550)が200nm以上350nm以下である、(4)に記載の調光装置。
(6) 第1のパターン位相差膜と第2のパターン位相差膜との向かい合った領域において、第1のパターン位相差膜中の遅相軸と第2のパターン位相差膜との遅相軸とのなす角が45〜90°の範囲となるように、第1のパターン位相差膜および第2のパターン位相差膜の少なくとも一方を他方に対して平行に相対移動させる、(4)または(5)に記載の調光装置。
(7) 第1のパターン位相差膜および第2のパターン位相差膜の少なくとも一方が、以下の工程Xおよび工程Yを含む方法によって製造された膜である、(2)〜(6)のいずれかに記載の調光装置。
工程X:基板上に配置された光配向膜形成用膜に対して、面内に少なくとも3方向以上の透過軸を有する偏光板を介して露光処理を実施して、光配向膜を形成する工程
工程Y:一般式(I)で表される液晶性化合物を含む液晶組成物を光配向膜上に塗布して、液晶性化合物を重合させてパターン位相差膜を製造する工程
(8) 第1の偏光子の透過軸と、第2の偏光子の透過軸とが、平行である、(1)〜(7)のいずれかに記載の調光装置。
本発明によれば、上記のような色味に関する問題の発生が抑制された調光装置を提供することができる。
(a)は本発明の第1実施形態の調光装置を示す模式的斜視図であり、(b)は本発明の第1実施形態の調光装置を示す模式的平面図である。 (a)は本発明の実施形態の調光装置のパターン位相差膜の第1の例を示す模式図であり、(b)は本発明の実施形態の調光装置のパターン位相差膜の第2の例を示す模式図である。 (a)は本発明の第1実施形態の調光装置の移動部の第1の例を示す模式図であり、(b)は本発明の実施形態の調光装置の移動部の第2の例を示す模式図である。 (a)〜(b)は本発明の第1実施形態の調光装置の調光の一例を示す模式的断面図である。 (a)は本発明の第2実施形態の調光装置を示す模式的斜視図であり、(b)は本発明の第2実施形態の調光装置を示す模式的平面図である。 本発明の第3実施形態の調光装置を示す模式的平面図である。 本発明の第3実施形態の調光装置の変形例を示す模式的平面図である。 (a)は3方向以上の遅相軸方向を有する第1のパターン位相差膜および第2のパターン位相差膜の模式的平面図である。(b)は(a)の第2のパターン位相差膜をスライドさせた場合の模式的平面図である。(c)は3方向以上の遅相軸方向を有する第1のパターン位相差膜および第2のパターン位相差膜の他の形態の模式的平面図である。 (a)は実施例で使用したワイヤーグリッド偏光子1の透過軸方向を示す図である。(b)は実施例で使用したワイヤーグリッド偏光子2の透過軸方向を示す図である。 調光装置2の構成を示す模式的平面図である。
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明の調光装置を詳細に説明する。
なお、以下において数値範囲を示す「〜」とは両側に記載された数値を含む。例えば、εが数値α〜数値βとは、εの範囲は数値αと数値βを含む範囲であり、数学記号で示せばα≦ε≦βである。
「45°」、「平行」、「垂直」および「直交」等の角度は、特に記載がなければ、厳密な角度との差異が5°未満の範囲内であることを意味する。厳密な角度との差異は、4°未満であることが好ましく、3°未満であることがより好ましい。
また、「同一」とは、技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含むものとする。また、「全部」、「いずれも」または「全面」等は、100%である場合のほか、技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含み、例えば、99%以上、95%以上、または90%以上である場合を含むものとする。
なお、面内レタデーションの値Reおよび屈折率について特に測定波長が付記されていない場合は、測定波長は550nmである。
本明細書において「遅相軸」とは、面内において屈折率が最大となる方向を意味する。
本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)はそれぞれ、波長λにおける面内のレタデーションおよび厚み方向のレタデーションを表す。Re(λ)はAxometrics社製AxoScanにおいて波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。
測定されるフィルムが1軸または2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は、Re(λ)を、面内の遅相軸および進相軸を傾斜軸(回転軸)として−45°〜+45°を5°ステップでそれぞれその傾斜した方向から測定波長(nm)の光を入射させて全部で19点測定し、その測定されたレタデーション値と平均屈折率の仮定値および入力された膜厚値を基にAxoScanにおいて算出される。遅相軸および進相軸に対して算出された値の平均値をそのフィルムのRthと定義する。
なお、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレタデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値および入力された膜厚値を基に、以下の数式(1)および数式(2)によりRthを算出することもできる。
式中、Re(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレタデーション値を表す。nxは面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzはnxおよびnyに直交する方向の屈折率を表す。dはフィルムの膜厚を表す。
上記の測定において、平均屈折率の仮定値は、ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、AxoScanにおいてnx、ny、nzが算出される。この算出されたnx、ny、nzによりNz=(nx−nz)/(nx−ny)がさらに算出される。
本発明の特徴点としては、所定の特性を示すパターン位相差膜を用いる点が挙げられる。より具体的には、いわゆる逆波長分散性を示すパターン位相差膜が用いる。なお、本明細書において、逆波長分散性とは、長波長になるほど面内レタデーションの絶対値が大きくなる性質を意味する。
本発明者は、特許文献1や2などに記載の調光装置の問題点について検討を行ったところ、例えば、遮光状態である「暗の状態」において色味が見える要因として、波長分散性が寄与していることを知見している。つまり、いわゆる順分散性を示すパターン位相差膜を用いた場合、例えば、短波長側の青色の光を遮光しやすい面内レタデーションに調整してパターン位相差膜を作製すると、長波長側の赤色の光がパターン位相差膜を通過後に楕円偏光となりやすく、偏光子では十分に遮光できないため、色味が生じてしまうことを知見している。
そこで、本発明者は、逆波長分散性のパターン位相差膜を用いることにより、上記問題を解決するに至っている。
<第1実施形態>
図1(a)は本発明の第1実施形態の調光装置を示す模式的斜視図であり、(b)は本発明の実施形態の調光装置を示す模式的平面図である。
図1(a)に示す調光装置10は、入射光Liの透過率を調節し、透過光Ltの光量を調節するものである。調光装置10では、後述するように、入射光について透過状態(「明の状態」)および遮光状態(「暗の状態」)を実現することができる。
調光装置10は、調光部12と、移動部14と、制御部16とを有する。移動部14は、制御部16に制御される。
調光部12は、第1の偏光子20と、第1の偏光子20と離間して配置された第2の偏光子22と、第1の偏光子20と第2の偏光子22の間に配置された位相差部24とを備える。位相差部24は、第1のパターン位相差膜30a、および、第2のパターン位相差膜30bの2枚のパターン位相差膜を備える。
なお、第1の偏光子20、第1のパターン位相差膜30a、第2のパターン位相差膜30b、および、第2の偏光子22は互いに平行に配置されている。
以下、まず、調光装置10を構成する各部材について詳述し、その後、調光装置10を用いた透過および遮光のメカニズムについて詳述する。まず、本発明の特徴点である、パターン位相差膜について詳述する。
(第1のパターン位相差膜30aおよび第2のパターン位相差膜30b)
第1のパターン位相差膜30aは、遅相軸(面内遅相軸)方向が互いに異なる、第1位相差領域31および第2位相差領域33を含み、第1位相差領域31および第2位相差領域33が面内において交互に配置されている。また、第2のパターン位相差膜30bも、遅相軸方向が互いに異なる、第3位相差領域35および第4位相差領域37を含み、第3位相差領域35および第4位相差領域37が面内において交互に配置されている。より具体的には、各パターン位相差膜は、それぞれ2つの互いに遅相軸が直交する領域を有する。
なお、第1のパターン位相差膜30aおよび第2のパターン位相差膜30bは、両方とも単層構造の膜(単層膜)である。
図1においては、第1位相差領域31、第2位相差領域33、第3位相差領域35、および、第4位相差領域37がいずれも同じ幅(ピッチ)のストライプ状に配置された形態を示すが、第1のパターン位相差膜30aおよび第2のパターン位相差膜30bの相対移動方向に沿った所定のピッチでそれぞれの領域が配置されていれば、この形態には限定されない。
第1位相差領域31、第2位相差領域33、第3位相差領域35、および、第4位相差領域37は、それぞれ偏光子(第1の偏光子20)を透過した光に対して予め定められた位相差の位相差領域である。図1においては、第1位相差領域31および第2位相差領域33は、遅相軸の向きが異なるが、λ/4位相差領域である。また、第3位相差領域35および第4位相差領域37も、遅相軸の向きが異なるが、λ/4位相差領域である。
偏光子を透過した光に対するλ/4位相差領域とは、制御波長域内の波長、好ましくは制御波長域の中心波長の1/4の長さ、または、「中心波長×n±中心波長の1/4(nは0または1以上の整数)」の面内レタデーションを有する領域を意図する。例えば、制御波長域の中心波長が1000nmであれば、250nm、750nm、1250nm、1750nm等の位相差の位相差板をλ/4位相差板として用いることができる。
より具体的には、例えば、偏光子を透過した光が可視光領域の光である場合、測定波長550nmで測定した第1位相差領域31、第2位相差領域33、第3位相差領域35、および、第4位相差領域37の面内レタデーションの値であるRe(550)は、120nm≦Re(550)≦165nmであることが好ましく、130nm≦Re(550)≦155nmであることがより好ましく、135≦Re(550)≦150nmがさらに好ましい。
なお、面内レタデーションの測定方法については、上述の通りである。
調光装置10では、第1の偏光子20の透過軸21、第2の偏光子22の透過軸23、並びに、第1のパターン位相差膜30aおよび第2のパターン位相差膜30bに含まれる遅相軸は図1(b)中の矢印で示すように配置される。
第1のパターン位相差膜30aは、上述したように、第1位相差領域31と第2位相差領域33とを有し、第1位相差領域31と第2位相差領域33とは同じ面内に交互にストライプ状に配置されている。
第1位相差領域31には遅相軸32があり、第2位相差領域33には遅相軸34がある。第1のパターン位相差膜30aは同一面内に複数の遅相軸方向を有する。
第1のパターン位相差膜30aにおいて、第1位相差領域31の遅相軸32と、第2位相差領域33の遅相軸34とは、直交する。直交の定義は、上述の通りである。
なお、図1においては、第1位相差領域31の遅相軸32と、第2位相差領域33の遅相軸34とが直交する形態を示したが、この形態には限られず、第1位相差領域31の遅相軸32と第2位相差領域33の遅相軸34とのなす角は、70〜110°であることが好ましく、80〜100°であることがより好ましく、90°、すなわち、直交することがさらに好ましい。
第2のパターン位相差膜30bは、上述したように、第3位相差領域35と第4位相差領域37とを有し、第3位相差領域35と第4位相差領域37とは同じ面内に交互にストライプ状に配置されている。
第3位相差領域35には遅相軸36があり、第4位相差領域37には遅相軸38がある。第2のパターン位相差膜30bは同一面内に複数の遅相軸方向を有する。
第2のパターン位相差膜30bにおいて、第3位相差領域35の遅相軸36と、第4位相差領域37の遅相軸38とは、直交する。直交の定義は、上述の通りである。
なお、図1においては、第3位相差領域35の遅相軸36と、第4位相差領域37の遅相軸38とが直交する形態を示したが、この形態には限られず、第3位相差領域35の遅相軸36と第4位相差領域37の遅相軸38とのなす角は、70〜110°であることが好ましく、80〜100°であることがより好ましく、90°、すなわち、直交することがさらに好ましい。
なお、第1位相差領域31の遅相軸32と第3位相差領域35の遅相軸36とは平行であり、第2位相差領域33の遅相軸34と第4位相差領域37の遅相軸38とも平行である。
また、第1位相差領域31の遅相軸32および第2位相差領域33の遅相軸34と、第1の偏光子20の透過軸21とのなす角は45°であり、第3位相差領域35の遅相軸36および第4位相差領域37の遅相軸38と、第2の偏光子22の透過軸23とのなす角も45°である。
なお、後述するように、第1の偏光子20の透過軸21と第2の偏光子22の透過軸23は直交している。
第1のパターン位相差膜30aは、波長450nmで測定した面内レタデーション値であるRe1(450)と、波長550nmで測定した面内レタデーション値であるRe1(550)と、波長650nmで測定した面内レタデーション値であるRe1(650)とが以下の式(X)の関係を満たす。
式(X) Re1(450)<Re1(550)<Re1(650)
上記関係は、いわゆる逆波長分散性を示すことを意図する。なお、第1のパターン位相差膜30aにおいては、第1位相差領域31および第2位相差領域33の両方が上記式(X)の関係を満たす。
なかでも、余分な色味の発生がより抑制される点(以後、単に「本発明の効果がより優れる点」とも称する)で、Re1(450)/Re1(550)が0.70超1.0未満が好ましく、0.75以上0.90以下がより好ましい。
また、本発明の効果がより優れる点で、Re1(650)/Re1(550)が1.0超1.30以下が好ましく、1超1.20以下がより好ましい。
なお、本発明の効果がより優れる点で、Re1(450)は100〜130nmが好ましく、110〜120nmがより好ましい。
また、本発明の効果がより優れる点で、Re1(650)は145〜175nmが好ましく、150〜165nmがより好ましい。
第2のパターン位相差膜30bは、波長450nmで測定した面内レタデーション値であるRe2(450)と、波長550nmで測定した面内レタデーション値であるRe2(550)と、波長650nmで測定した面内レタデーション値であるRe2(650)とが以下の式(Y)の関係を満たす。
式(Y) Re2(450)<Re2(550)<Re2(650)
上記関係は、いわゆる逆波長分散性を示すことを意図する。なお、第2のパターン位相差膜30bにおいては、第3位相差領域35および第4位相差領域37の両方が上記式(Y)の関係を満たす。
Re2(450)/Re2(550)の好適範囲は、上記Re1(450)/Re1(550)の好適範囲と同じである。
また、Re2(650)/Re2(550)の好適範囲は、上記Re1(650)/Re1(550)の好適範囲と同じである。
さらに、Re2(450)およびRe2(650)の好適範囲は、Re1(450)およびRe1(650)の好適範囲とそれぞれ同じである。
第1のパターン位相差膜30aおよび第2のパターン位相差膜30bを構成する材料は上述した特性を示す材料であれば特に制限されず、例えば、液晶性化合物が挙げられる。より具体的には、低分子液晶性化合物を液晶状態においてネマチック配向に形成後、光架橋や熱架橋によって固定化して得られる位相差膜(光学異方性層)、高分子液晶性化合物を液晶状態においてネマチック配向に形成後、冷却することによって配向を固定化して得られる位相差膜(光学異方性層)を用いることもできる。
一般的に、液晶性化合物はその形状から、棒状タイプ(棒状液晶性化合物)と円盤状タイプ(ディスコティック液晶性化合物)に分類できる。さらにそれぞれ低分子タイプと高分子タイプがある。高分子とは一般に重合度が100以上のものを指す(高分子物理・相転移ダイナミクス,土井 正男 著,2頁,岩波書店,1992)。本発明では、いずれの液晶性化合物を用いることもできる。2種以上の棒状液晶性化合物、2種以上のディスコティック液晶性化合物、または、棒状液晶性化合物とディスコティック液晶性化合物との混合物を用いてもよい。
なお、棒状液晶性化合物としては、例えば、特表平11−513019号公報の請求項1や特開2005−289980号公報の段落[0026]〜[0098]に記載のものを好ましく用いることができ、ディスコティック液晶性化合物としては、例えば、特開2007−108732号公報の段落[0020]〜[0067]や特開2010−244038号公報の段落[0013]〜[0108]に記載のものを好ましく用いることができるが、これらに限定されない。
パターン位相差膜は、温度変化や湿度変化を小さくできることから、重合性基を有する液晶性化合物(棒状液晶性化合物またはディスコティック液晶性化合物)を用いて形成することがより好ましい。液晶性化合物は2種類以上の混合物でもよく、その場合少なくとも1つが2以上の重合性基を有していることが好ましい。
つまり、パターン位相差膜は、重合性基を有する棒状液晶性化合物またはディスコティック液晶性化合物が重合等によって固定されて形成された層であることが好ましく、この場合、層となった後はもはや液晶性を示す必要はない。
ディスコティック液晶性化合物および棒状液晶性化合物に含まれる重合性基の種類は特に制限されず、付加重合反応が可能な官能基が好ましく、重合性エチレン性不飽和基または環重合性基が好ましい。より具体的には、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等が好ましく挙げられ、(メタ)アクリロイル基がより好ましい。
第1のパターン位相差膜30aおよび第2のパターン位相差膜30bの好適形態としては、一般式(I)で表される液晶性化合物を含む組成物に重合処理を施して得られる膜(組成物を重合させて得られる膜)が好ましい。
−G−D−Ar−D−G−L一般式(I)
式中、
1およびD2は、それぞれ独立に、単結合、−CO−O−、−C(=S)O−、−CR12−、−CR12−CR34−、−O−CR12−、−CR12−O−CR34−、−COO−CR12−、−O−CO−CR12−、−CR12−O−CO−CR34−、−CR12−CO−O−CR34−、−NR1−CR23−、または−CO−NR1−を表し、
1、R2、R3、およびR4は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、または炭素数1〜4のアルキル基を表し、
1およびG2は、それぞれ独立に炭素数5〜8の2価の脂環式炭化水素基を表し、上記脂環式炭化水素基に含まれる−CH2−は、−O−、−S−または−NH−で置き換っていてもよく、脂環式炭化水素基に含まれる−CH(−)−は、−N(−)−で置き換っていてもよい。
1およびL2は、それぞれ独立に、1価の有機基を表し、L1およびL2からなる群から選ばれる少なくとも一種が、重合性基を有する1価の基を表し、
Arは下記一般式(II−1)、(II−2)、(II−3)、または(II−4)で表される2価の芳香環基を表し:
式(II−1)〜(II−4)中、Qは、−S−、−O−、または−NR11−を表し、R11は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表し、
1は、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、または、炭素数3〜12の芳香族複素環基を表し(なお、上記芳香族炭化水素基および上記芳香族複素環基は置換基を有していてもよい)、
1、Z2、および、Z3は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の脂環式炭化水素基、1価の炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、−NR1213または−SR12を表し、Z1およびZ2は、互いに結合して芳香環または芳香族複素環を形成してもよく、R12およびR13は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表し、
1およびA2はそれぞれ独立に、−O−、−NR21−(R21は水素原子または置換基を表す。)、−S−および−CO−からなる群から選ばれる基を表し、Xは水素原子または置換基が結合していてもよい第14〜16族の非金属原子(好ましくは、=O、=S、=NR’、=C(R’)R’が挙げられる(ここでR’は置換基を表す))を表し、Axは芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、炭素数2〜30の有機基を表し(好ましくは、芳香族炭化水素環基;芳香族複素環基;芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、炭素数3〜20のアルキル基;芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、炭素数3〜20のアルケニル基;芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、炭素数3〜20のアルケニル基が挙げられる)、Ayは水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、または、芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、炭素数2〜30の有機基(有機基の好適態様は、上記Axの有機基の好適態様と同じである)を表し、AxおよびAyが有する芳香環は置換基を有していてもよく、AxとAyは結合して、環を形成していてもよく、
2は、水素原子、または、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を表す。
なお、置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルケニル基、アリール基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、ニトロソ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアルキルスルフィニル基、炭素数1〜6のアルキルスルホニル基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキルスルファニル基、炭素数1〜6のN−アルキルアミノ基、炭素数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基、炭素数1〜6のN−アルキルスルファモイル基、炭素数2〜12のN,N−ジアルキルスルファモイル基、またはこれらを組み合わせた基等が挙げられる。
一般式(I)で表される化合物の各置換基の定義および好ましい範囲については、特開2012−21068号公報に記載の化合物(A)に関するD1、D2、G1、G2、L1、L2、R1、R2、R3、R4、X1、Y1、Q1、Q2に関する記載をそれぞれD1、D2、G1、G2、L1、L2、R1、R2、R3、R4、Q1、Y1、Z1、Z2について参照できる。また、特開2008−107767号公報に記載の一般式(I)で表される化合物についてのA1、A2、およびXに関する記載を、それぞれA1、A2、およびXについて参照できる。また、WO2013/018526に記載の一般式(I)で表される化合物についてのAx、Ay、Q1に関する記載を、それぞれAx、Ay、Q2について参照できる。また、Z3については2012−21068号公報に記載の化合物(A)に関するQ1に関する記載を参照できる。
特に、下記一般式(III)で表される液晶性化合物であることが好ましい。
式中、L3およびL4はそれぞれ独立にカルボニル基を有する接続基を表し、F1およびF2はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、または、ハロゲン原子を表し、nおよびmはそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、aおよびbはそれぞれ独立に1〜4の整数を表し、Arは、上記記載のとおりであり、T1はP1−Sp1−を表し、T2はP2−Sp2−を表し、Sp1およびSp2はそれぞれ独立に、炭素数2〜20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基を表し、アルキレン基中において隣接しない1つまたは2つ以上の−CH2−が−O−、−S−、−C(=O)−、−OC(=O)−、−C(=O)O−、−OC(=O)O−、−NR31C(=O)−、−C(=O)NR32−、−OC(=O)NR33−、−NR34C(=O)O−、−SC(=O)−または−C(=O)S−で置換されていてもよく、R31、R32、R33、R34は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、または炭素数1〜4のアルキル基を表し、P1およびPは、それぞれ独立に重合性基または水素原子を表し、少なくとも一つは重合性基を表す。
重合性基は特に限定されないが、ラジカル重合またはカチオン重合可能な重合性基が好ましい。ラジカル重合性基としては、一般に知られているラジカル重合性基を用いることができ、好適なものとして、アクリロイル基またはメタアクリロイル基を挙げることができる。この場合、重合速度はアクリロイル基が一般的に速いことが知られており、生産性向上の観点からアクリロイル基が好ましいが、メタアクリロイル基も高複屈折性液晶の重合性基として同様に使用することができる。カチオン重合性基としては、一般に知られているカチオン重合性を用いることができ、具体的には、脂環式エーテル基、環状アセタール基、環状ラクトン基、環状チオエーテル基、スピロオルソエステル基、ビニルオキシ基などを挙げることができる。中でも、脂環式エーテル基、ビニルオキシ基が好適であり、エポキシ基、オキセタニル基、ビニルオキシ基が特に好ましい。
特に好ましい重合性基の例としては下記が挙げられる。
なお、本明細書において、「アルキル基」は、直鎖状、分枝鎖状、または環状のいずれでもよい。例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,1−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
一般式(I)で表される化合物として好ましい例を以下に示すが、これらに特に限定されない。
なお、上記式中、「*」は結合位置を表す。
一般式(I)で表される液晶性化合物の含有量は、組成物中の全固形分に対しての50〜98質量%が好ましく、50〜95質量%がより好ましい。
上述の第1のパターン位相差膜30aおよび第2のパターン位相差膜30bの形成方法は特に制限されないが、例えば、液晶性化合物を用いて上記パターン位相差膜を形成する際には、液晶性化合物の分子を所望の配向状態にするための配向膜を利用する技術が一般的である。
配向膜としては、ポリマー等の有機化合物からなるラビング処理膜や無機化合物の斜方蒸着膜、マイクログルーブを有する膜、あるいはω−トリコサン酸やジオクタデシルメチルアンモニウムクロライド、ステアリル酸メチルの如き有機化合物のラングミュア・ブロジェット法によるLB(ラングミュア・ブロジェット)膜を累積させた膜などが挙げられる。配向膜としては、ポリマー層の表面をラビング処理して形成されたものが好ましい。ラビング処理は、ポリマー層の表面を紙や布で一定方向に数回こすることにより実施される。配向膜に使用するポリマーの種類は、ポリイミド、ポリビニルアルコール、特開平9−152509号公報に記載された重合性基を有するポリマー等を好ましく使用することができる。配向膜の厚さは配向機能を提供できれば厚い必要はなく、0.01〜5μmであることが好ましく、0.05〜2μmであることがさらに好ましい。
また、光配向性の素材(光配向材料)を含む膜(光配向膜形成用膜)に光(例えば、偏光または非偏光)を照射して配向膜とした、いわゆる光配向膜も用いることもできる。即ち、支持体上に、光配向材料を塗布して、所定の照射処理を施して、光配向膜を作製してもよい。偏光の照射は、光配向膜形成用膜に対して、垂直方向または斜め方向から行うことができ、非偏光の照射は、光配向膜形成用膜に対して、斜め方向から行うことができる。
本発明に利用可能な光配向材料としては、多数の文献等に記載がある。例えば、特開2006−285197号公報、特開2007−76839号公報、特開2007−138138号公報、特開2007−94071号公報、特開2007−121721号公報、特開2007−140465号公報、特開2007−156439号公報、特開2007−133184号公報、特開2009−109831号公報、特許第3883848号、特許第4151746号に記載のアゾ化合物、特開2002−229039号公報に記載の芳香族エステル化合物、特開2002−265541号公報、特開2002−317013号公報に記載の光配向性単位を有するマレイミドおよび/またはアルケニル置換ナジイミド化合物、特許第4205195号、特許第4205198号に記載の光架橋性シラン誘導体、特表2003−520878号公報、特表2004−529220号公報、特許第4162850号に記載の光架橋性ポリイミド、ポリアミド、またはエステル、特開平9−118717号公報、特表平10−506420号公報、特表2003−505561号公報、WO2010/150748号公報、特開2013−177561号公報、特開2014−12823号公報に記載の光二量化可能な化合物、特にシンナメート化合物、カルコン化合物、クマリン化合物が好ましい例として挙げられる。特に好ましくは、アゾ化合物、光架橋性ポリイミド、ポリアミド、エステル、シンナメート化合物、カルコン化合物である。
特に好ましい光配向材料の具体例としては、特開2006−285197号公報に記載されている下記式(X)で示される化合物を挙げることができる。
式中、R1およびR2は、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基、ビニル基、ビニルオキシ基、およびマレイミド基からなる群から選ばれる重合性基を表す。
1は、R1がヒドロキシ基の場合、単結合を表し、R1が重合性基の場合、−(A1−B1−で表される連結基を表し、X2は、R2がヒドロキシ基の場合、単結合を表し、Rが重合性基の場合、−(A2−B2n−で表される連結基を表す。ここで、A1はR1と結合し、A2はR2と結合し、B1およびB2はそれぞれ隣接するフェニレン基と結合する。
1およびA2はそれぞれ独立して単結合、または、二価の炭化水素基を表し、B1およびB2はそれぞれ独立して単結合、−O−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−NH−、−NH−CO−、−NH−CO−O−、または−O−CO−NH−を表す。mおよびnはそれぞれ独立して0〜4の整数を表す。但し、mまたはnが2以上のとき、複数あるA1、B1,A2およびB2は同じであっても異なっていてもよい。但し、二つのB1またはB2の間に挟まれたA1またはA2は、単結合ではないものとする。R3およびR4はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基、ハロゲン化メチル基、ハロゲン化メトキシ基、シアノ基、ニトロ基、−OR7(ただし、R7は、炭素原子数1〜6の低級アルキル基、炭素原子数3〜6シクロアルキル基または炭素原子数1〜6の低級アルコキシ基で置換された炭素原子数1〜6の低級アルキル基を表す)、炭素原子数1〜4のヒドロキシアルキル基、または−CONR89(R8およびR9は、それぞれ独立して水素原子または炭素原子数1〜6の低級アルキル基を表す)、またはメトキシカルボニル基を表す。但し、カルボキシル基はアルカリ金属と塩を形成していてもよい。R5およびR6はそれぞれ独立して、カルボキシル基、スルホ基、ニトロ基、アミノ基、またはヒドロキシ基を表す。但し、カルボキシル基、スルホ基はアルカリ金属と塩を形成していてもよい。
また、配向膜の素材を選択することで、仮支持体から剥離したり、パターン位相差膜のみ剥離させることができる。
なお、上述した光配向膜を用いる場合、第1のパターン位相差膜および第2のパターン位相差膜は、支持体上に配置された光配向膜上に形成される。なかでも、上述した一般式(I)で表される液晶性化合物を用いる場合は、第1のパターン位相差膜および第2のパターン位相差膜は、光配向膜上で配向制御された上記一般式(I)で表される液晶性化合物を重合して形成されることが好ましい。
上記のように光配向膜を用いる際には、例えば、第1のパターン位相差膜は、支持体と、支持体上に配置された光配向膜と、光配向膜上で配向制御された一般式(I)で表される液晶性化合物を重合して形成される第1のパターン位相差膜とを含む積層体(第1の積層体)の形で第1の偏光子と第2の偏光子との間に配置されていてもよい。また、第2のパターン位相差膜も、同様に、支持体と、支持体上に配置された光配向膜と、光配向膜上で配向制御された一般式(I)で表される液晶性化合物を重合して形成される第1のパターン位相差膜とを含む積層体(第2の積層体)の形で第1の偏光子と第2の偏光子との間に配置されていてもよい。つまり、第1の偏光子と第2の偏光子との間に、第1の積層体および/または第2の積層体が配置されていてもよい。
なお、支持体としては、公知の支持体を用いることができ、例えば、ガラス基板、樹脂基板など透明支持体を用いる。
なお、上記積層体の製造方法は、公知の方法を採用すればよい。例えば、上述したように、支持体上に光配向膜形成用膜を形成して、所定の光処理を実施して光配向膜を製造し、その後、光配向膜上に所定の液晶性化合物(好ましくは、一般式(I)で表される液晶性化合物)を塗布して、液晶性化合物が配向している状態で硬化処理を施して、パターン位相差膜を製造する方法が挙げられる。
なお、光配向膜を製造する際の光処理は、形成されるパターン位相差膜の各領域の遅相軸の方向、および、各領域のパターンに合わせて実施される。
図1(a)、(b)に示す第1のパターン位相差膜30aは、第1位相差領域31と第2位相差領域33とがストライブ状に配置された構成であるが、これに限定されるものではない。
ここで、図2(a)は本発明の実施形態の調光装置のパターン位相差膜の第1の例を示す模式図であり、(b)は本発明の実施形態の調光装置のパターン位相差膜の第2の例を示す模式図である。
図2(a)、(b)において、図1(a)、(b)に示す第1のパターン位相差膜30aと同一構成物には、同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
例えば、図2(a)に示すように、第1のパターン位相差膜30aは、第1位相差領域31と第2位相差領域33とが格子状に配置されていてもよい。また、図2(b)に示すように第1位相差領域31と第2位相差領域33とが互い違いに配置されていてもよい。この場合でも、第1位相差領域31の遅相軸32と第2位相差領域33の遅相軸34とは直交することが好ましい。
図2(a)、(b)に示す第1のパターン位相差膜30aとした場合、第2のパターン位相差膜30bも同様の構成とする。
(第1の偏光子および第2の偏光子)
第1の偏光子20および第2の偏光子22としては、自然光を特定の直線偏光に変換する機能を有するいわゆる直線偏光子が用いられる。特に、図1においては、第1の偏光子20および第2の偏光子22としては、吸収型の直線偏光子が用いられる。
吸収型の直線偏光子の種類は特に制限はなく、公知の吸収型偏光子を用いることができ、例えば、ヨウ素系偏光膜、二色性染料(二色性有機染料)を利用した染料系偏光膜、および、ポリエン系偏光膜のいずれも用いることができる。ヨウ素系偏光膜、および、染料系偏光膜は、一般に、ポリビニルアルコールにヨウ素または二色性染料を吸着させ、延伸することで作製される。
なお、第1の偏光子20および第2の偏光子22としては、吸収型の直線偏光子以外にも、反射型の直線偏光子を用いてもよい。
反射型の直線偏光子としては、公知のものを使用することができ、例えば、複屈折の異なる薄膜を積層した偏光子(特表平9−506837号公報等に記載されたもの。市販品としては、3M社製の商品名:DBEF)、ワイヤーグリッド型偏光子(市販品としては、例えば、エドモンドオプティクス社製のワイヤーグリッド偏光フィルター50×50、NT46−636等)等が使用される。
なお、反射型の直線偏光子とは、入射光のうち、第1の方向の偏光成分を透過し、第1の方向と直交する方向の偏光成分を反射する性質を持つ。つまり、第1の偏光子20および第2の偏光子22の片側から非偏光が入射された時、他方側から直線偏光が得られる。このような反射型偏光子を使用することにより、所定の偏光成分を反射させて、光吸収を抑制し、遮熱性、耐久性、および遮光性を高めている。
第1の偏光子20および第2の偏光子22により透過または反射される光の波長域(以後、「制御波長域」ともいう)は特に制限されず、赤外光の波長域内であっても、可視光の波長域内であっても、紫外光の波長域内であってもよく、赤外光および可視光の波長域、可視光および紫外光の波長域、または、赤外光、可視光および紫外光の波長域にまたがる波長域であってもよい。特に、調光装置の遮熱性および耐久性がより優れる点からは、可視光、または近赤外光の波長域にあることが好ましい。
なお、赤外線(赤外光)は可視光線より長く電波より短い波長域電磁波である。近赤外光とは一般的に750nm超2500nm以下の波長域の電磁波である。可視光線は電磁波のうち、ヒトの目で見える波長の光であり、380nm〜750nmの波長域の光を示す。紫外線は、可視光線より短くX線より長い波長域電磁波である。紫外線は可視光線およびX線と区別される波長領域の光であればよく、例えば、波長10nm以上380nm未満の範囲の光である。
(移動部および制御部)
移動部14は、位相差部24の2枚の各パターン位相差膜(第1のパターン位相差膜30a、第2のパターン位相差膜30b)のうち、少なくとも1枚のパターン位相差膜を、他のパターン位相差膜に対して相対的に平行に移動させるものである。
移動部14は、例えば、第2のパターン位相差膜30bを相対的に平行に移動させる。また、移動部14では、2枚のパターン位相差膜(第1のパターン位相差膜30a、第2のパターン位相差膜30b)のうち、いずれか1枚を、選択的に移動させるものであってもよく、2枚を移動させる構成でもよい。
移動部14により、2枚のパターン位相差膜(第1のパターン位相差膜30a、第2のパターン位相差膜30b)のうち、少なくとも1枚のパターン位相差膜を相対的に平行に移動させることで、第1の偏光子20または第2の偏光子22から入射される入射光の透過率を変えることができる。
2枚のパターン位相差膜(第1のパターン位相差膜30a、第2のパターン位相差膜30b)のいずれかを相対的に平行に移動させる手順およびタイミングは、制御部16に記憶されており、制御部16により、移動部14が制御されて、パターン位相差膜の移動がなされる。
ここで、図3(a)は本発明の実施形態の調光装置の移動部の第1の例を示す模式図であり、(b)は本発明の実施形態の調光装置の移動部の第2の例を示す模式図である。
移動部14では、例えば、図3(a)に示す移動機構40が用いられる。移動機構40では、1対のガイドレール42にフレーム44が、ガイドレール42の長手方向に移動可能に設けられている。フレーム44には第2のパターン位相差膜30bが設けられる。フレーム44を移動させることにより、第2のパターン位相差膜30bを第1のパターン位相差膜30aに対して相対的に平行に移動させることができる。
また、図3(b)に示す移動機構40aを用いることもできる。移動機構40aでは、第2のパターン位相差膜30bにフィルム46を貼り付け、一対のローラ48に渡して、ローラ48を回転させることで、第2のパターン位相差膜30bを第2のパターン位相差膜30bに対して相対的に平行に移動させることができる。
上述の移動機構40、40aは、第2のパターン位相差膜30bを例にして説明したが、これに限定されるものではなく、第1のパターン位相差膜30aについても同様の構成とすることができる。
(調光機構)
次に、調光装置10による調光について説明する。
図4(a)〜(b)は本発明の実施形態の調光装置の調光の一例を示す模式的断面図である。
図4(a)〜(b)において、図1(a)、(b)に示す調光装置10と同一構成物には、同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
図4(a)〜(b)は、第2のパターン位相差膜30bをスライドさせる前後の概略図を示す。図4(a)に示すように、第1の偏光子20の法線方向(第1の偏光子20の表面に対して直交する方向)から見た際(図4(a)中の第1の偏光子20上部にある白抜き矢印から見た際)に、第1位相差領域31と第3位相差領域35と重なる場合(言い換えれば、第2位相差領域33と第4位相差領域37とが重なる場合)、図4(a)中の白抜き矢印方向から第1の偏光子20に入射される光は、白矢印で示すように調光装置10を透過する。つまり、図4(a)の状態は、透過状態(「明の状態」)である。
一方、図4(b)は、図4(a)から第2のパターン位相差膜30bをパターン1領域分だけスライド(移動)させた図である。この場合、第1の偏光子20の法線方向から見た際に、第1位相差領域31と第4位相差領域37と重なり(言い換えれば、第2位相差領域33と第3位相差領域35とが重なる)、図4(b)中の白抜き矢印方向から第1の偏光子20に入射される光は、調光装置10を透過しない。つまり、図4(b)の状態は、遮光状態(「暗の状態」)となる。
以下、調光装置10により光が透過する、または、遮光されるメカニズムについてより詳細に詳述する。より具体的には、第1の偏光子20に入射された光が各層を通過する際のメカニズムについて詳述する。
図4(a)中のX1領域において、第1の偏光子20へと入射された光のうち、第1の偏光子20の透過軸と平行な直線偏光のみが第1の偏光子20を透過する。次に、第1の偏光子20を透過した光は、第1位相差領域31によって円偏光に変換される。次に、第1位相差領域31を透過した円偏光は、第3位相差領域35によって再び直線偏光に変換される。第3位相差領域35を透過した直線偏光は、第2の偏光子22の透過軸と平行であるため、第2の偏光子22を透過する。つまり、第1の偏光子20に入射した光は、第2の偏光子22より出射され、調光装置10を透過する。
なお、図4(a)中のY1領域においても、上記と同様に、第1の偏光子20に入射した光は、第2の偏光子22より出射され、調光装置10を透過する。
つまり、図4(a)の形態の場合は、調光装置10に入射した光は、調光装置10を透過する。そのため、例えば、室内にいる観察者が調光装置10を介して外部を観察した場合、外部を観察することができる。なお、上記では図4(a)中の白抜き矢印方向から第1の偏光子20に光が入射した場合について説明したが、第2の偏光子22側から光が入射した場合も同様の機構により光が調光装置10を透過する。
次に、図4(b)に示すように、図4(a)から第2のパターン位相差膜30bをパターン1領域分だけスライド(移動)させた場合について、以下に述べる。
図4(b)中のX2領域において、第1の偏光子20へと入射された光のうち、第1の偏光子20の透過軸と平行な直線偏光のみが第1の偏光子20を透過する。次に、第1の偏光子20を透過した光は、第1位相差領域31によって円偏光に変換される。次に、第1位相差領域31を透過した円偏光は、第4位相差領域37によって再び直線偏光に変換される。第4位相差領域37を透過した直線偏光は、第2の偏光子22の透過軸と直交するため、第2の偏光子22によって吸収される。つまり、第1の偏光子20に入射した光は、第2の偏光子22より出射されず、調光装置10を透過できない。
なお、Y2領域においても、上記と同様に、第1の偏光子20に入射した光は、第2の偏光子22により吸収され、調光装置10を透過できない。
つまり、図4(b)の形態の場合は、調光装置10に入射した光は、調光装置10を透過できない。そのため、例えば、室内にいる観察者が調光装置10を介して外部を観察した場合、外部を観察することができない。
なお、上記では図4(b)中の白抜き矢印方向から第1の偏光子20に光が入射した場合について説明したが、第2の偏光子22側から光が入射した場合も同様の機構により光が調光装置10を透過できない。
なお、上記においては、第1位相差領域31、第2位相差領域33、第3位相差領域35、および、第4位相差領域37がいずれもλ/4位相差領域の形態について詳述したが、本実施形態は上記形態に限定されず、第1位相差領域31、第2位相差領域33、第3位相差領域35、および第4位相差領域37がλ/4位相差領域とは異なる面内レタデーションを示す領域であってもよい。なお、その場合、各領域中の遅相軸と、第1の偏光子20および第2の偏光子22の透過軸とは、所定の角度となるように調整される。
<第2実施形態>
図5(a)は、本発明の第2実施形態の調光装置を示す模式的斜視図であり、図5(b)は第2実施形態の調光装置を示す模式的平面図である。
図5(a)に示す調光装置100は、第1の偏光子20の透過軸21と第2の偏光子22の透過軸23とが平行になっている点以外は、第1実施形態の調光装置10と同じ構成であり、第1実施形態と同一の構成要素には同一の参照符号を付し、その説明を省略する。以下では、主として第1の偏光子20の透過軸21と第2の偏光子22の透過軸23との関係について説明する。
調光装置100においては、第1の偏光子20の透過軸21と第2の偏光子22の透過軸23とが平行であるため、図5(a)および(b)に示す状態はいわゆる遮光状態(「暗の状態」)となる。つまり、第1の偏光子20に入射された光は、第2の偏光子22を透過することができない。
また、第2のパターン位相差膜30bを1パターン分スライドさせた場合は、透過状態(「明の状態」)となる。つまり、第1の偏光子20に入射された光は、第2の偏光子22を透過する。
このように調光装置100においても、遮光状態と透過状態を制御することが可能となる。通常の順波長分散液晶性化合物を用いた場合は、遮光時の色味変化が大きく、調光装置としての使用に耐えうるものではなかったが、本発明の逆波長分散液晶性化合物を用いることで、色味変化を抑え、黒に近い遮光状態を実現することができる。
また、調光装置100は、製造適性にも優れる。
調光装置100の製造適性が優れる理由としては、まず、調光装置100においては、第1の偏光子20の透過軸21に平行な方向に第1のパターン位相差膜30aの第1位相差領域31および第2位相差領域33が交互に配置されていると共に、第2の偏光子22の透過軸23に平行な方向に第2のパターン位相差膜30bの第3位相差領域35および第4位相差領域37が交互に配置されており、偏光子の透過軸と位相差領域の配置方向とが同じである。そのため、第1の偏光子20と第1のパターン位相差膜30aとを備える積層体を1種のみを用いて、この積層体を対向させて配置すれば、調光装置100を製造することができる。より具体的には、長尺状の偏光子上に、所定のピッチで配置された領域を有するパターン位相差膜を貼り合わせて、得られた長尺状の積層体を所定の形状に切断して、2枚の切断された積層体をパターン位相差膜同士が対向するに配置することにより調光装置100を製造することが可能となる。つまり、この形態は、部材の共通化という点で好ましい。
それに対して、上述した調光装置10においては、第1の偏光子20の透過軸21に直交する方向に第1のパターン位相差膜30aの第1位相差領域31および第2位相差領域33が交互に配置されているのに対して、第2の偏光子22の透過軸23に平行な方向に第2のパターン位相差膜30bの第3位相差領域35および第4位相差領域37が交互に配置されており、偏光子の透過軸と位相差領域の配置方向とは異なる。そのため、調光装置10を製造するためには、偏光子とパターン位相差膜とを有する積層体を少なくも2種用意する必要がある。
また、一般的に偏光子として、延伸フィルムを用いる場合が多く、延伸フィルムにおいては延伸方向と延伸方向に直交する方向とでは線膨張係数が異なる。
一方、上記調光装置100においては、上述したように、偏光子とパターン位相差膜とを備える積層体を1種製造して、それらを対向することにより製造できるため、偏光子が延伸フィルムである場合、2枚の対向する偏光子の延伸方向が一致する。
調光装置は外光などにより加熱されて高温になることがあり、偏光子が熱膨張・収縮する場合が想定される。一方、調光装置100においては、対向する2枚の偏光子の延伸方向を合わせることができるため、仮に、一方の偏光子が所定の方向に熱膨張しても、他方も同じ方向に熱膨張するため、対向するパターン位相差膜中の所定の領域のピッチがずれにくく、遮光状態および透過状態を良好に担保することができる。
<第3実施形態>
図6は、本発明の第3実施形態の調光装置を示す模式的平面図である。
図6に示す調光装置200は、直線偏光子(第1の偏光子20および第2の偏光子22)の代わりに右円偏光子である第1の偏光子120および第2の偏光子122を用いている点以外は、第1実施形態の調光装置10と同じ構成であり、第1実施形態と同一の構成要素には同一の参照符号を付し、その説明を省略する。以下では、主として右円偏光子である第1の偏光子120および第2の偏光子122について説明する。
右円偏光子とは、特定の波長域において右円偏光を選択的に透過させる機能を有する偏光子である。つまり、第1の偏光子120および第2の偏光子122は、片側面から入射した特定の波長域の光(自然光、非偏光)のうち右円偏光を選択的に他側面側に透過させることができる。
第1の偏光子120および第2の偏光子122が右円偏光を選択的に透過させる特定の波長域は、上記第1の偏光子20および第2の偏光子22において制御波長域として説明したものと同様であればよい。
第1の偏光子120および第2の偏光子122のような右円偏光子としては公知のものを使用することができ、例えば、コレステリック液晶や強誘電性液晶による選択反射特性を利用した反射型円偏光子などが使用される。
なお、コレステリック液晶を用いた円偏光子は、重合性の液晶性化合物に対し、右捩れまたは左捩れを誘起するカイラル剤を所定量添加することで、コレステリック性を発現させ、左右の円偏光成分を選択的に反射し、残りの円偏光成分を透過させる円偏光子とすることができる。
なお、調光装置200は上述した調光装置10と同様に光を透過または遮光することできる。以下に、一例として、光が透過するメカニズムについて述べる。
まず、第1の偏光子120へと入射された光のうち、右円偏光のみが第1の偏光子120を透過する。次に、第1の偏光子120を透過した右円偏光は、第1のパターン位相差膜30aによって直線偏光に変換される。次に、第1のパターン位相差膜30aを透過した直線偏光は、第2のパターン位相差膜30bによって再び右円偏光に変換される。次に、第2のパターン位相差膜30bを透過した右円偏光は、第2の偏光子122を透過する。
なお、図6においては、第1の偏光子120および第2の偏光子122として右円偏光子を用いたが、この態様には限定されず、第1の偏光子120および第2の偏光子122として左円偏光子を用いてもよい。つまり、本発明においては、第1の偏光子および第2の偏光子として、いわゆる円偏光子(右円偏光子および左円偏光子)を用いてもよい。
また、図7に示すように、右円偏光子である第1の偏光子120と左円偏光子である第2の偏光子222とを組み合わせて使用してもよい。
また、図示しないが、第1の偏光子および第2の偏光子の一方に直線偏光子を用いて、他方に円偏光子を用いてもよい。
<その他の実施形態>
また、上述した第1実施形態〜第3実施形態においては、第1のパターン位相差膜および第2のパターン位相差膜が2つの遅相軸の方向が異なる位相差領域を有する形態であったが、その形態には限定されず、第1のパターン位相差膜および第2のパターン位相差膜が面内に少なくとも3方向以上の遅相軸方向を有していてもよい。つまり、第1のパターン位相差膜および第2のパターン位相差膜が、面内に少なくとも3つ以上の遅相軸の方向の異なる位相差領域を有していてもよい。このような3つ以上の遅相軸の異なる位相差領域を有する場合、第1のパターン位相差膜30aおよび第2のパターン位相差膜30bのいずれか一方の相対移動量において、入射光の透過率を多段階に調節することが可能となる。つまり、階調性を付与するという観点から好ましい。
なお、パターン位相差膜中の遅相軸の方向の数の上限は特に制限されないが、製造適性の観点から、180以下が好ましい。
第1のパターン位相差膜および第2のパターン位相差膜が3つ以上の遅相軸を有する場合、遅相軸方向が異なる領域が同じ幅(ピッチ)のストライプ状に配置された形態であることが好ましい。その際、パターン位相差膜(第1および第2のパターン位相差膜)には遅相軸方向が異なる3つ以上の領域が含まれるが、隣接する領域間において一方の領域の遅相軸と他方の領域の遅相軸とのなす角度が一定であることが好ましい。例えば、後述する図8(a)においては隣接する領域間において、一方の領域の遅相軸と他方の領域の遅相軸とのなす角度は15°にそれぞれ設定されている。
なお、3方向以上の遅相軸方向を有する第1のパターン位相差膜および第2のパターン位相差膜を上下に重ね合わせた場合、第1のパターン位相差膜と第2のパターン位相差膜とが向かい合った領域において、いずれの領域においても、第1のパターン位相差膜中の遅相軸と第2のパターン位相差膜中の遅相軸とのなす角が一定であるように設計されることが好ましい。
そのようなパターン位相差膜(第1のパターン位相差膜および第2のパターン位相差膜)の好適態様としては、遅相軸方向が180°/nの等間隔で変化する位相差膜が挙げられる。つまり、遅相軸方向が互いに異なる各領域において、その遅相軸方向が180°/nずつ変化する位相差膜が挙げられる。nは3以上の整数であり、nが大きくなるほど多段階階調が可能となる。また、最大の透過率と最小の透過率を実現するためには、第1のパターン位相差膜の遅相軸と、第2のパターン位相差膜の遅相軸とのなす角度が、m×90°および45°+m×90°(mは整数)となる2つの状態を取りうるようにすることが好ましい。すなわち先述のnは、4の倍数であることが好ましく、そのときの階調数はn/4+1で表される。階調数がより多くなる点からは、nはなるべく大きいことが好ましいが、透過率がより滑らかに変化するという点で、nは12以上が好ましく、24以上がより好ましく、36以上がさらに好ましい。製造適性の観点から、nは180以下が好ましい。
具体的には、図8を用いて説明する。図8(a)中、3方向以上の遅相軸方向を有する第1のパターン位相差膜130aおよび第2のパターン位相差膜130bには、それぞれ12方向の遅相軸が含まれている。より具体的には、第1のパターン位相差膜130aおよび第2のパターン位相差膜130bにおいては、遅相軸が0〜165°まで15°ずつ傾くように等間隔に配置されている。図8(a)のように、第1のパターン位相差膜130aと第2のパターン位相差膜130bとを対向させた場合、第1のパターン位相差膜130a中の一領域の遅相軸と、その領域に対向する第2のパターン位相差膜130b中の一領域の遅相軸とのなす角は、いずれの領域においても90°と設定されており、上記好適要件を満たしている。
また、第1のパターン位相差膜および第2のパターン位相差膜の少なくとも一方を他方に対して平行に相対移動させた場合にも、第1のパターン位相差膜および第2のパターン位相差膜が対向するいずれの領域においても、第1のパターン位相差膜中の遅相軸と第2のパターン位相差膜中の遅相軸とのなす角が一定であることが好ましい。より具体的には、図8(b)に示すように、図8(a)中の第2のパターン位相差膜を3領域分スライドさせた場合において、第1のパターン位相差膜130a中の一領域の遅相軸と、その領域に対向する第2のパターン位相差膜130b中の一領域の遅相軸とのなす角は、いずれの領域においても同じ角度をなすことが好ましい。
このように、第1のパターン位相差膜と第2のパターン位相差膜の面内の遅相軸角度分布は、平行移動軸に対して、一定の変化量と一定の周期を有することが好ましく、それらの変化量と周期は第1のパターン位相差膜と第2のパターン位相差膜において、等しいことが好ましい。
また、本発明の効果がより優れる点で、第1のパターン位相差膜と第2のパターン位相差膜との向かい合った領域において、第1のパターン位相差膜中の遅相軸と第2のパターン位相差膜との遅相軸とのなす角が45〜90°の範囲となるように、第1のパターン位相差膜および第2のパターン位相差膜の少なくとも一方を他方に対して平行に相対移動させることが好ましい。つまり、本発明の調光装置においては、上記なす角度の関係が満たされるように、第1のパターン位相差膜および第2のパターン位相差膜の少なくとも一方を他方に対して移動させて、用いることが好ましい。
例えば、図8(b)においては、上述したように、第2のパターン位相差膜130bを3領域分スライドさせているが、この状態においては第1のパターン位相差膜130a中の遅相軸と第2のパターン位相差膜130bとの遅相軸とのなす角が45°であり、45〜90°の範囲に含まれており、上記好適態様の範囲に含まれる。
一方、仮に、図8(b)の配置にある第2のパターン位相差膜130bをさらに1領域分、図8(b)の右側にスライドさせると、第1のパターン位相差膜130a中の遅相軸と第2のパターン位相差膜130bとの遅相軸とのなす角が45°未満になるため、上記好適態様には該当しなくなる。
つまり、図8(a)の形態においては、第2のパターン位相差膜130bを3領域分の範囲で平行移動させる態様が好ましい。
なお、図8(c)に示すような、第1のパターン位相差膜230aおよび第2のパターン位相差膜230bを用いた場合、第1のパターン位相差膜230a中の遅相軸と第2のパターン位相差膜230bとの遅相軸とのなす角が0であり、そもそも上記好適範囲に含まれない。
上記のように、第1のパターン位相差膜および第2のパターン位相差膜が3方向以上の遅相軸を有する場合、パターン位相差膜の好ましい面内レタデーション値は、第1の偏光子と第2の偏光子に用いられる偏光子の種類によって異なる。
第1の偏光子と第2の偏光子がいずれも直線偏光子の場合、第1のパターン位相差膜と第2のパターン位相差膜はいずれもλ/2位相差膜として機能することが好ましい。つまり、第1のパターン位相差膜および第2のパターン位相差膜に含まれる遅相軸方向が異なる各領域は、いずれもλ/2位相差領域として機能することが好ましい。
なお、第1のパターン位相差膜と第2のパターン位相差膜はいずれもλ/2位相差膜である場合、第1のパターン位相差膜のRe1(550)が200nm以上350nm以下であり、第2のパターン位相差膜のRe2(550)が200nm以上350nm以下であることが好ましい。
なお、上記Re1(550)およびRe2(550)の好適範囲としては、240〜330nmが好ましく、260〜310nmがより好ましく、270〜300nmがさらに好ましい。
また、第1の偏光子と第2の偏光子がいずれも円偏光子の場合、第1のパターン位相差膜と第2のパターン位相差膜はいずれもλ/4位相差膜として機能することが好ましい。
なお、この態様の場合、λ/4位相差膜のRe(550)は120〜165nmが好ましく、130〜155nmがより好ましく、135〜150nmがさらに好ましい。
本発明は、基本的に以上のように構成されるものである。以上、本発明の調光装置について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良または変更をしてもよいのはもちろんである。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
(逆波長分散液晶性化合物を用いたパターン位相差フィルムの作製)
<面内に3方向以上の透過軸を有する偏光板>
本発明には、面内に12方向の透過軸を有するワイヤーグリッド偏光子1および面内に24方向の透過軸を有するワイヤーグリッド偏光子2を用いた。図9(a)に示すように、ワイヤーグリッド偏光子1は、12つの透過軸が搬送方向に対し、0〜165°まで15°ずつ傾くように等間隔に設計されている。図9(b)に示すように、ワイヤーグリッド偏光子2は、24個の透過軸が搬送方向に対し、0〜172.5°まで7.5°ずつ傾くように等間隔に設計されている。
<光配向膜P−1の形成>
支持体として、市販されているトリアセチルセルロースフィルム「Z−TAC」(富士フイルム社製)を用いた。
次に、特開2012−155308号公報、実施例3の記載を参考に、光配向膜用塗布液1を調製した。
ロールトゥロールで搬送した支持体上に、調製した光配向膜用塗布液1を、バーコート法によって塗布し、光配向膜形成用膜1を形成した。
得られた光配向膜形成用膜1を搬送しながら、ワイヤーグリッド偏光子1を介して、偏光紫外線照射(300mJ/cm、750W超高圧水銀ランプ使用)することで、光配向膜P−1を形成した。なお、光配向膜形成用膜1を搬送する方向は、図9(a)の白抜き矢印の方向に搬送しつつ、偏光紫外線照射を行った。
<光配向膜P−2の形成>
支持体は、上記光配向膜P−1で用いたものと同じものを用いた。
特開2006−285197号公報、段落0068の記載を参考に、光配向膜用塗布液2を調製した。
ロールトゥロールで搬送した支持体上に、調製した光配向膜用塗布液2を、バーコート法によって塗布し、光配向膜形成用膜2を形成した。
得られた光配向膜形成用膜2を搬送しながら、ワイヤーグリッド偏光子2を介して、偏光紫外線照射(50mJ/cm、750W超高圧水銀ランプ使用)することで、光配向膜P−2を形成した。なお、光配向膜形成用膜2を搬送する方向は、図9(b)の白抜き矢印の方向に搬送しつつ、偏光紫外線照射を行った。
<パターン位相差膜1の形成>
光配向膜P−1上に、下記組成の位相差膜用塗布液1をバーコート法によって塗布し、液晶組成物層1を形成した。
形成した液晶組成物層1を90℃に加熱して配向させた後、紫外線照射によって配向を固定化し、パターン位相差膜1を形成した。得られたパターン位相差膜1のRe(550)は、145nmであった。パターン位相差膜1には、12方向の異なる遅相軸が含まれており、それらの遅相軸の方向はワイヤーグリッド偏光子1の透過軸の方向と同じであった。
なお、以後、支持体、光配向膜P−1、および、パターン位相差膜1を含む積層体を、積層体1と称する。なお、以下の液晶性化合物L−1およびL−2中のアクリロイルオキシ基に隣接する基はプロピレン基(メチル基がエチレン基に置換した基)を表し、液晶性化合物L−1およびL−2はメチル基の位置が異なる位置異性体の混合物を表す。
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位相差膜用塗布液1
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・下記化合物A−1 20.00質量部
・下記液晶性化合物L−1 40.00質量部
・下記液晶性化合物L−2 40.00質量部
・重合開始剤(IRGACURE 184、BASF社製)
3.00質量部
・重合開始剤(IRGACURE OXE−01、BASF社製)
3.00質量部
・レベリング剤(下記化合物T−1) 0.20質量部
・メチルエチルケトン 197.23質量部
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<パターン位相差膜2の形成>
光配向膜P−2上に、位相差膜用塗布液1をバーコート法によって塗布し、液晶組成物層2を形成した。
形成した液晶組成物層2を90℃に加熱して配向させた後、紫外線照射によって配向を固定化し、パターン位相差膜2を形成した。得られたパターン位相差膜2のRe(550)は、145nmであった。パターン位相差膜2には、24方向の異なる遅相軸が含まれており、それらの遅相軸の方向はワイヤーグリッド偏光子2の透過軸の方向と同じであった。
なお、以後、支持体、光配向膜P−2、および、パターン位相差膜2を含む積層体を、積層体2と称する。
<パターン位相差膜3の形成>
パターン位相差膜1の膜厚を約2倍に調整し、パターン位相差膜3を形成した。得られたパターン位相差膜3のRe(550)は、290nmであった。
なお、以後、支持体、光配向膜P−1、および、パターン位相差膜3を含む積層体を、積層体3と称する。
<パターン位相差膜4の形成>
パターン位相差膜2の膜厚を約2倍に調整し、パターン位相差膜4を形成した。得られたパターン位相差膜4のRe(550)は、290nmであった。
なお、以後、支持体、光配向膜P−2、および、パターン位相差膜4を含む積層体を、積層体4と称する。
<パターン位相差膜5の形成>
光配向膜P−1上に、下記組成の位相差膜用塗布液2をバーコート法によって塗布し、液晶組成物層5を形成した。
形成した液晶組成物層5を70℃に加熱して配向させた後、紫外線照射によって配向を固定化し、パターン位相差膜5を形成した。得られたパターン位相差膜5のRe(550)は、250nmであった。
なお、以後、支持体、光配向膜P−1、および、パターン位相差膜5を含む積層体を、積層体5と称する。
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位相差膜用塗布液2の組成
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棒状化合物 RL−1 80質量部
棒状化合物 RL−2 20質量部
光重合開始剤 3.0質量部
(イルガキュア907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)
レベリング剤 T−1 0.8質量部
メチルエチルケトン 588質量部
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棒状化合物 RL−1
棒状化合物 RL−2
<調光用フィルムの作製>
上記で得られたパターン位相差膜と偏光子とを粘着剤を介して貼り合せ、調光用フィルムを作製した。
なお、以下では、直線偏光子としては、ポラテクノ社製染料偏光板VHC−128を用いた。また、反射型円偏光子としては、WO2015−33932段落〔0099〕に記載のやり方で、反射帯域が380〜1250nmの右円偏光子ChRを作製し、用いた。
(調光用フィルム1の作製)
反射型円偏光子に対して、粘着剤を介して上記積層体1中のパターン位相差膜1を貼り合せ、調光用フィルム1を作製した。
(調光用フィルム2の作製)
直線偏光子に対して、粘着剤を介して上記積層体3中のパターン位相差膜3を貼り合せ、調光用フィルム2を作製した。このとき、偏光板の透過軸に対して、パターン位相差膜3のパターン形成方向(ロール搬送方向。図9(a)中の白抜き矢印に該当。)が、直交するように貼り合せた。
(調光用フィルム3の作製)
調光用フィルム2の作製において、偏光板の透過軸に対して、パターン位相差膜3のパターン形成方向(ロール搬送方向。図9(a)中の白抜き矢印に該当。)が平行になるように、直線偏光子と積層体3とを貼り合せ、調光用フィルム3を作製した。
(調光用フィルム4の作製)
反射型円偏光子に対して、粘着剤を介して上記積層体2中のパターン位相差膜2を貼り合せ、調光用フィルム1を作製した。
(調光用フィルム5の作製)
調光用フィルム2の作製において、積層体3の代わりに積層体4を用いて、直線偏光子に対して粘着剤を介して上記積層体4中のパターン位相差膜4を貼り合せ、調光用フィルム5を作製した。
(調光用フィルム6の作製)
調光用フィルム3の作製において、積層体3の代わりに積層体4を用いて、直線偏光子に対して粘着剤を介して上記積層体4中のパターン位相差膜4を貼り合せ、調光用フィルム6を作製した。
(調光用フィルム7の作製)
調光用フィルム2の作製において、積層体3の代わりに積層体5を用いて、直線偏光子に対して粘着剤を介して上記積層体4中のパターン位相差膜5を貼り合せ、調光用フィルム7を作製した。
(調光用フィルム8の作製)
調光用フィルム3の作製において、積層体3の代わりに積層体5を用いて、直線偏光子に対して粘着剤を介して上記積層体5中のパターン位相差膜5を貼り合せ、調光用フィルム8を作製した。
<調光装置の作製>
上記で得られた調光用フィルムを用いて、調光装置を作製した。2枚の調光フィルムを用意し、パターン位相差膜のストライプパターンが平行に揃うように向かい合わせて設置した。このとき2枚のパターン位相差膜の遅相軸同士が90°に直交するように設置した。例として、下記調光装置2の構成を図10に示す。図10においては、調光装置を正面(第1の偏光子側)から見たときの、偏光板の透過軸およびパターン位相差膜の遅相軸の向きを矢印で示す。上下のパターン位相差膜中の各領域において、遅相軸が90°に直交していることがわかる。
(調光装置1の作製)
調光用フィルム1を2枚用意し、上記のやり方に従って調光装置1を作製した。
(調光装置2の作製)
調光装置1の作製において、調光用フィルム1の代わりに調光用フィルム2を用いて、調光装置2を作製した。
(調光装置3の作製)
調光装置2の作製において、一方の調光用フィルム2の代わりに調光用フィルム3を用いて、調光装置3を作製した。
(調光装置4の作製)
調光装置1の作製において、調光用フィルム1の代わりに調光用フィルム4を用いて、調光装置4を作製した。
(調光装置5の作製)
調光装置1の作製において、調光用フィルム1の代わりに調光用フィルム5を用いて、調光装置5を作製した。
(調光装置6の作製)
調光装置5の作製において、一方の調光用フィルム5の代わりに調光用フィルム6を用いて、調光装置6を作製した。
(調光装置7の作製)
調光装置1の作製において、調光用フィルム1の代わりに調光用フィルム7を用いて、調光装置7を作製した。
(調光装置8の作製)
調光装置1の作製において、調光用フィルム1の代わりに調光用フィルム7および調光用フィルム8を用いて、調光装置8を作製した。
<面内レタデーションの波長依存性の評価>
作製したパターン位相差膜1〜5をAxometrics社製AxoScanにて面内レタデーションの波長依存性を測定した。結果を表1にまとめて示す。
以下の表1に示すように、パターン位相差膜1〜4は、上述した面内レタデーションの要件(式(X)、式(Y))を満たすが、パターン位相差膜5は、所定の要件を満たしていない。
<調光装置の評価>
作製した調光装置1〜8中の2枚の調光用フィルムを相互に平行移動するように動かしながら明状態および暗状態の色味、および、階調性を評価した。平行移動は、対向する2枚のパターン位相差膜の遅相軸同士が45°の角度になるまで段階的に行われる。
例として、調光装置2の構成について、平行移動後の状態を図で表す。移動前後において、2枚のパターン位相差膜の遅相軸同士は90〜45°の間を変位する。
〔色味評価〕
平行移動前後において、最も透過率が高くなる状態を「明状態」、最も透過率が低くなる状態を「暗状態」として、それぞれの状態における色味を目視にて評価した。
A:ニュートラルグレーに近い
B:若干色づきがある
C:かなり色づきがある
〔階調数〕
「明状態」から「暗状態」に至るまでの階調数を評価した。
〔耐熱性〕
調光装置1〜8をそれぞれ、100℃にて500時間の耐熱性試験条件にかけた後のピッチのずれの有無を評価した。なお、ピッチのずれとは、対向する2枚のパターン位相差膜中のパターン幅のずれを意図する。
A:ピッチずれなし
B:ピッチずれあり
上記評価結果を以下の表2にまとめて示す。
なお、表2中、「透過軸」とは、第1の偏光子(または、第2の偏光子)の透過軸と、パターン位相差膜のパターン形成方向(ロール搬送方向)とのなす角度を表す。
また、表2中、「透過軸同士の関係」欄において、「平行」とは第1の偏光子の透過軸と第2の偏光子の透過軸とが平行であることを意図し、「直交」とは第2の偏光子の透過軸と第2の偏光子の透過軸とが直交であることを意図する。
表2に示すように、所定の面内レタデーションの関係を満たすパターン位相差膜を使用している本発明の調光装置においては、色味の問題が解消されていた。
一方、所定の面内レタデーションの関係を満たさないパターン位相差膜を使用した比較例1および2においては、所望の効果が得られなかった。
なお、実施例4〜6で示すように、パターン位相差膜中における遅相軸方向の数が多いほうが、階調性に優れていた。
また、偏光子同士の透過軸の関係が平行である場合、対向するパターン位相差膜同士のピッチのずれが少ないことが確認された。
10,100 調光装置
12 調光部
14 移動部
16 制御部
20,120 第1の偏光子
22,122,222 第2の偏光子
24 位相差部
30a,130a,230a 第1のパターン位相差膜
30b,130b,230b 第2のパターン位相差膜
31 第1位相差領域
32,34,36,38 遅相軸
33 第2位相差領域
35 第3位相差領域
37 第4位相差領域
40、40a 移動機構

Claims (7)

  1. 第1の偏光子と、前記第1の偏光子と離間して配置された第2の偏光子と、前記第1の偏光子と前記第2の偏光子との間に配置された、同一面内に複数の遅相軸方向を有する、第1のパターン位相差膜および第2のパターン位相差膜とを備え、
    前記第1の偏光子、前記第1のパターン位相差膜、前記第2のパターン位相差膜、および、前記第2の偏光子はこの順に、互いに平行に配置されており、
    前記第1のパターン位相差膜、および、第2のパターン位相差膜の少なくとも一方が他方に対して平行に相対移動可能であり、
    前記第1のパターン位相差膜、および、第2のパターン位相差膜の少なくとも一方を相対的に平行に移動させることで、前記第1の偏光子または前記第2の偏光子から入射される入射光の透過率を変えることが可能な調光装置であって、
    前記第1のパターン位相差膜における、波長450nmで測定した面内レタデーション値であるRe1(450)と、波長550nmで測定した面内レタデーション値であるRe1(550)と、波長650nmで測定した面内レタデーション値であるRe1(650)とが以下の式(X)の関係を満たし、
    前記第2のパターン位相差膜における、波長450nmで測定した面内レタデーション値であるRe2(450)と、波長550nmで測定した面内レタデーション値であるRe2(550)と、波長650nmで測定した面内レタデーション値であるRe2(650)とが以下の式(Y)の関係を満たし、
    前記第1の偏光子の透過軸と、前記第2の偏光子の透過軸とが、平行である、調光装置。
    式(X) Re1(450)<Re1(550)<Re1(650)
    式(Y) Re2(450)<Re2(550)<Re2(650)
  2. 前記第1のパターン位相差膜および前記第2のパターン位相差膜が、下記一般式(I)で表される液晶性化合物を含む組成物に重合処理を施して形成される、請求項1に記載の調光装置。
    一般式(I):L1−G1−D1−Ar−D2−G2−L2
    式中、
    1およびD2は、それぞれ独立に、単結合、−CO−O−、−C(=S)O−、−CR12−、−CR12−CR34−、−O−CR12−、−CR12−O−CR34−、−COO−CR12−、−O−CO−CR12−、−CR12−O−CO−CR34−、−CR12−CO−O−CR34−、−NR1−CR23−、または−CO−NR1−を表し、R1、R2、R3、およびR4は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、または炭素数1〜4のアルキル基を表し、G1およびG2は、それぞれ独立に炭素数5〜8の2価の脂環式炭化水素基を表し、前記脂環式炭化水素基に含まれる−CH2−は、−O−、−S−または−NH−で置き換っていてもよく、脂環式炭化水素基に含まれる−CH(−)−は、−N(−)−で置き換っていてもよい。L1およびL2は、それぞれ独立に、1価の有機基を表し、L1およびL2からなる群から選ばれる少なくとも一種が、重合性基を有する1価の基を表し、Arは下記一般式(II−1)、(II−2)、(II−3)、または(II−4)で表される2価の芳香環基を表し:
    式(II−1)〜(II−4)中、Q1は、−S−、−O−、または−NR11−を表し、R11は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表し、Y1は、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、または、炭素数3〜12の芳香族複素環基を表し、Z1、Z2、および、Z3は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の脂環式炭化水素基、1価の炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、−NR1213または−SR12を表し、Z1およびZ2は、互いに結合して芳香環または芳香族複素環を形成してもよく、R12およびR13は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表し、A1およびA2はそれぞれ独立に、−O−、−NR21−(R21は水素原子または置換基を表す。)、−S−および−CO−からなる群から選ばれる基を表し、Xは、水素原子または置換基が結合していてもよい、第14〜16族の非金属原子を表し、Axは芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、炭素数2〜30の有機基を表し、Ayは水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、または、芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、炭素数2〜30の有機基を表し、AxおよびAyが有する芳香環は置換基を有していてもよく、AxとAyは結合して、環を形成していてもよく、Q2は、水素原子、または、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を表す。
  3. 前記第1の偏光子と前記第2の偏光子との間に、
    支持体と、前記支持体上に配置された光配向膜と、前記光配向膜上で配向制御された前記一般式(I)で表される液晶性化合物を重合して形成される前記第1のパターン位相差膜とを含む第1の積層体と、
    支持体と、前記支持体上に配置された光配向膜と、前記光配向膜上で配向制御された前記一般式(I)で表される液晶性化合物を重合して形成される前記第2のパターン位相差膜とを含む第2の積層体とが配置されている、請求項2に記載の調光装置。
  4. 前記第1のパターン位相差膜および前記第2のパターン位相差膜が、面内に少なくとも3方向以上の遅相軸方向を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の調光装置。
  5. 前記第1のパターン位相差膜のRe1(550)が200nm以上350nm以下であり、
    前記第2のパターン位相差膜のRe2(550)が200nm以上350nm以下である、請求項4に記載の調光装置。
  6. 前記第1のパターン位相差膜と前記第2のパターン位相差膜との向かい合った領域において、前記第1のパターン位相差膜中の遅相軸と前記第2のパターン位相差膜との遅相軸とのなす角が45〜90°の範囲となるように、前記第1のパターン位相差膜および前記第2のパターン位相差膜の少なくとも一方を他方に対して平行に相対移動させる、請求項4または5に記載の調光装置。
  7. 請求項2〜6のいずれか1項に記載の調光装置の製造方法であって、
    前記第1のパターン位相差膜および前記第2のパターン位相差膜の少なくとも一方を、以下の工程Xおよび工程Yを含む方法によって製造する、調光装置の製造方法。
    工程X:基板上に配置された光配向膜形成用膜に対して、面内に少なくとも3方向以上の透過軸を有する偏光板を介して露光処理を実施して、光配向膜を形成する工程
    工程Y:一般式(I)で表される液晶性化合物を含む液晶組成物を前記光配向膜上に塗布して、前記液晶性化合物を重合させてパターン位相差膜を製造する工程
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