(第1実施形態)
以下、図面を参照して、この発明の第1実施形態について詳しく説明する。
図1及び図2に示す軌道1は、車両2が走行する通路(線路)である、軌道1は、車両2の左右の車輪4aを支持し案内してこの車両2を走行させる左右のレール1aなどを備えている。車両2は、軌道1に沿って走行する移動体である。車両2は、例えば、電車、気動車又は客車などの鉄道車両である。車両2は、車体3と台車4などを備えている。車体3は、乗客を積載し輸送する構造物である。台車4は、車体3を支持して軌道1上を走行する走行装置(走り装置)であり、レール1aと転がり接触する車輪4aなどを備えている。
図1に示す側出入口5は、乗客が乗降するときに使用する出入口である。側出入口5は、車体3の側構え(側構体)を構成する側面に形成されている。側出入口5は、例えば、特急形車両の場合には片側1個、近郊形車両の場合には片側3個、通勤形車両の場合には片側4個配置されている。側出入口5は、図1及び図2に示すように、かもい5aなどを備えている。かもい5aは、側出入口5の上部を構成する部分であり、車両2側に固定されている固定構造物(固定体)である。
図1及び図2に示す側引戸6R,6Lは、閉鎖位置P1と開放位置P2との間で往復移動可能な側戸である。側引戸6R,6Lは、互いに反対方向に開閉する2枚の両引戸であり側出入口5を開閉する。側引戸6R,6Lは、側出入口5を開放するときには車体3の戸袋内に収容される。側引戸6R,6Lは、側引戸6R,6Lの骨組に取り付けられて側引戸6R,6Lの表面を構成する戸板6aと、車内の採光及び乗客が外部を監視するためのガラス窓6bなどを備えている。
図1〜図3に示す戸先ゴム7R,7Lは、側引戸6R,6Lの先端部を構成するゴムである。戸先ゴム7R,7Lは、この戸先ゴム7R,7L間に介在物O1,O2が挟み込まれたときに発生する衝撃を緩和するとともに、側引戸6R,6Lが閉じたときにこの戸先ゴム7R,7L間に隙間が形成されないように密着させる機能を有する。戸先ゴム7R,7Lは、図3に示すように、水平面で切断したときの断面が略U字状の中空部材であり、図1及び図2に示すように側引戸6R,6Lの高さ方向に沿って連続して取り付けられている。戸先ゴム7R,7Lは、図3(B)に示すように、側引戸6R,6Lが閉じたときにこの戸先ゴム7Rの先端部と戸先ゴム7Lの先端部との間に隙間が形成されないように、僅かに弾性変形した状態で密着する。戸先ゴム7R,7Lは、例えば、母材である天然ゴムの表面を耐久性の高いクロロプレンゴムによって被覆して形成されている。
図1〜図3に示す戸挟み検知装置8R,8Lは、戸先ゴム7R,7Lへの介在物O2の挟み込みを検知する装置である。戸挟み検知装置8R,8Lは、図3(A)に示すように、側引戸6R,6Lを閉じたときに、戸先ゴム7R,7Lに作用する圧力を検知することによって、戸先ゴム7Rと戸先ゴム7Lとの間の介在物O2の挟み込みを検知する。戸挟み検知装置8R,8Lは、例えば、戸先ゴム7R,7Lに作用する圧力によって発生する戸先ゴム7R,7Lの弾性変形(機械的変位)を圧電効果によって電気信号に変換する機械電気変換部として機能する。戸挟み検知装置8R,8Lは、ゴム中に圧電材料を分散させた弾性を有する圧電材であり、圧力の大きさに応じた電力を発生する圧力センサである。戸挟み検知装置8R,8Lは、例えば、ニトリルゴムなどのゴム材とチタン酸ジルコン酸鉛(商品名PZT)などの圧電セラミック粉末とを混合する混合工程と、この混合工程後の混合物を加硫する加硫工程と、この加硫工程後の混合物の両端部に電圧を印加してこの混合物を分極させる分極工程とによって製造される。戸挟み検知装置8R,8Lは、図1及び図2に示すように、戸先ゴム7R,7Lの長さ方向に沿ってこの戸先ゴム7R,7Lの内部に連続して取り付けられており、戸挟み検知装置8Rは戸先ゴム7R側に配置されており、戸挟み検知装置8Lは戸先ゴム7L側に配置されている。戸挟み検知装置8R,8Lは、圧電材が発生する電荷を電圧に変換して出力するチャージアンプを備えている。戸挟み検知装置8R,8Lは、戸先ゴム7R,7Lに作用する圧力に応じた電気信号(戸挟み検知信号)を信号線9R,9L及び信号伝送装置14R,14Lを通じて戸挟み判定装置10に出力する。
図1〜図3に示す信号線9R,9Lは、戸挟み検知装置8R,8Lから信号伝送装置14R,14Lの戸側接点部15に戸挟み検知信号を伝える電線である。信号線9R,9Lは、図1及び図2に示すように、側引戸6R,6Lの上端部に沿って配線されており、一方の端部が戸挟み検知装置8R,8Lに接続されており、他方の端部が信号伝送装置14R,14Lの戸側接点部15に接続されている。信号線9R,9Lは、図5に示すコネクタ部9aと固定部9bなどを備えている。コネクタ部9aは、戸側接点部15の導電部15bと信号線9R,9Lとを電気的に接続する部分である。コネクタ部9aは、例えば、信号線9R,9Lの端部に取り付けられた圧着端子であり、図4及び図5に示すようにこの圧着端子の円環部に導電部15bを挿入することによってこの導電部15bに装着されている。固定部9bは、コネクタ部9aを導電部15bに固定する部分である。固定部9bは、例えば、コネクタ部9aを挟み込むように、導電部15bの雄ねじ部に装着されるナットなどの締結部材である。
図1及び図2に示す戸挟み判定装置10は、側引戸6R,6Lへの介在物O2の挟み込みの有無を判定する装置である。戸挟み判定装置10は、戸挟み検知装置8R,8Lの検出結果に基づいて戸先ゴム7R,7L間に介在物O2が挟み込まれたか否かを判定する。戸挟み判定装置10は、戸挟み検知装置8R,8Lが出力する戸挟み検知信号を受信し、この戸挟み検知信号のレベルが所定値(しきい値)を超えたか否かを判定する。戸挟み判定装置10は、戸挟み検知信号のレベルが所定値を超えたときには、図3(A)に示すように戸先ゴム7R,7L間に介在物O2が挟み込まれていると判定する。一方、戸挟み判定装置10は、戸挟み検知信号のレベルが所定値以下であるときには、図3(B)に示すように戸先ゴム7R,7L間に介在物O2が挟み込まれていないと判定する。戸挟み判定装置10は、戸先ゴム7R,7L間への介在物O2の挟み込みの有無に応じた戸挟み判定信号を制御装置12に出力する。
図1及び図2に示す信号線11R,11Lは、信号伝送装置14R,14Lの固定体側接点部19から戸挟み判定装置10に戸挟み検知信号を伝える電線である。信号線11R,11Lは、車体3の内側側面に沿って配線されており、一方の端部が信号伝送装置14R,14Lの固定体側接点部19に接続されており、他方の端部が戸挟み判定装置10に接続されている。信号線11R,11Lは、図4及び図6に示すコネクタ部11aなどを備えている。コネクタ部11aは、固定体側接点部19の導電部19bと信号線11R,11Lとを電気的に接続する部分である。コネクタ部11aは、例えば、信号線11R,11Lの端部に取り付けられたソケット端子であり、図4及び図6に示すように収容部23bを通じてこのソケット端子の嵌合部を導電部19b側の嵌合部に差し込むことによってこの導電部19bに装着されている。
図1及び図2に示す制御装置12は、車両2に関する種々の動作を制御する装置である。制御装置12は、例えば、車両2の各種機器を一括して管理する列車集中管理システムであり車両2に設置されている。制御装置12は、側引戸6R,6Lを開閉駆動する戸閉め機械を駆動制御する。制御装置12は、例えば、図3(A)に示すように戸挟み判定装置10が戸先ゴム7R,7L間に介在物O2が挟み込まれていると判定し戸挟み判定信号を出力したときには、側引戸6R,6Lを再開するように戸閉め機械を駆動制御する。
図1及び図2に示す表示装置13は、車両2に関する種々の情報を表示する装置である。表示装置13は、例えば、戸挟み判定装置10の判定結果を画面上に表示する液晶ディスプレイ装置又はタッチパネル装置などのモニタ装置であり、車両2の運転台に設置されている。表示装置13は、車両2の各側引戸6R,6Lの動作状況をモニタ画面上に表示し、列車が単数又は複数の車両2によって編成されているときには、介在物O2の挟み込みの有無を車両2毎に乗務員が視覚によって認識可能なように画面上に表示する。表示装置13は、例えば、文字、図形、記号又はこれらの組み合わせによって車両2毎に側引戸6R,6Lの動作状況を画面上に表示する。表示装置13は、例えば、戸先ゴム7R,7L間に介在物O2が挟み込まれていない側引戸6R,6Lをモニタ画面上に青色で表示し、戸先ゴム7R,7L間に介在物O2が挟み込まれている側引戸6R,6Lをモニタ画面上に赤色で表示する。
図1及び図2に示す信号伝送装置14R,14Lは、側引戸6R,6Lと車体3との間で戸側接点部15と固定体側接点部19とを接触させて戸挟み検知信号を伝送する装置である。信号伝送装置14R,14Lは、戸挟み検知装置8R,8Lが出力する戸挟み検知信号を可動体である側引戸6R,6L側から固定体である車体3側に伝送する。信号伝送装置14R,14Lは、図8(B)(C)に示すように、側引戸6R,6Lが所定区間L1を移動している間は、戸側接点部15と固定体側接点部19とを接触させた状態で戸挟み検知装置8R,8Lから制御装置12に戸挟み検知信号を伝送する接触型の伝送装置である。信号伝送装置14R,14Lは、いずれも同一構造であり、信号伝送装置14Rは側引戸6R側の戸挟み検知装置8Rが出力する戸挟み検知信号を戸挟み判定装置10に伝送し、信号伝送装置14Lは側引戸6L側の戸挟み検知装置8Lが出力する戸挟み検知信号を戸挟み判定装置10に伝送する。信号伝送装置14R,14Lは、図1、図2、図4及び図5に示す戸側接点部15と、図4及び図5に示す戸側嵌合部16と、戸側支持部17と、固定部18と、図1、図2、図4及び図6に示す固定体側接点部19と、図4及び図6に示す固定体側嵌合部20と、固定体側支持部21と、固定部22と、図7及び図8に示す接触状態維持部23と、図4〜図6に示す切替タイミング調整部24などを備えている。なお、図7及び図8では、発明の理解を容易にするために、図4〜図6に示す2つの戸側接点部15及び固定体側接点部19を1つの戸側接点部15及び固定体側接点部19に簡略化して示している。
図1、図2、図4及び図5に示す戸側接点部15は、側引戸6R,6Lとともに往復移動する可動接点である。戸側接点部15は、図1及び図2に示すように、固定体側接点部19に対して相対移動し、側引戸6R,6Lの開閉動作に連動して固定体側接点部19と接触及び離間する。戸側接点部15は、図5(C)(D)に示すように、戸側嵌合部16の先端部に2つ取り付けられている。戸側接点部15は、図4(C)及び図5(C)に示す接触部15aと、図4(C)及び図5(D)に示す導電部15bなどを備えている。
図4(C)及び図5(C)に示す接触部15aは、固定体側接点部19側の接触部19aと接触する部分である。接触部15aは、図5(C)に示すように、外観が円板状の導電性部材からなる電気接点であり、図4(C)及び図5(D)に示すように戸側嵌合部16の収容凹部16aに嵌め込まれている。接触部15aは、戸側嵌合部16の先端面よりもこの接触部15aの表面が低くなるように、接触部15aの厚さが収容凹部16aの深さよりも僅かに薄く形成されている。図4(C)及び図5(D)に示す導電部15bは、電流経路を確保するための部分である。導電部15bは、外観が軸状の導電性部材であり、図4(C)及び図5(C)に示すように接触部15aの裏面に一体に形成されている。導電部15bは、図4及び図5に示すように、戸側嵌合部16の挿入孔16bから露出する部分に雄ねじ部が形成されている。
図4(C)及び図5に示す戸側嵌合部16は、固定体側嵌合部20と着脱自在に嵌合する部分である。戸側嵌合部16は、側引戸6R,6Lが閉じるときに戸側接点部15と固定体側接点部19とが接触するように固定体側嵌合部20と嵌合する。戸側嵌合部16は、戸側接点部15を電気的に絶縁するために絶縁性プラスチックなどの合成樹脂によって形成されている。戸側嵌合部16は、固定体側嵌合部20の内周部と嵌合する嵌合凸部であり、図5に示すように外観が円柱状に形成されている。戸側嵌合部16は、図5(C)(D)に示す収容凹部16aと、図5(D)に示す挿入孔16bと、図4及び図5に示す取付部16cと、図5に示す誘導部16dなどを備えている。
図5(C)(D)に示す収容凹部16aは、戸側接点部15の接触部15aを収容する部分である。収容凹部16aは、接触部15aと同様に円形に形成されており、図5(D)に示すように接触部15aの外径よりも僅かに外径が大きくなるように、戸側嵌合部16の先端部に所定の深さで形成されている。図5(D)に示す挿入孔16bは、戸側接点部15の導電部15bを挿入する部分である。挿入孔16bは、導電部15bの外径よりも僅かに内径が大きくなるように、戸側嵌合部16の中心線に対して平行に形成されている。図4及び図5に示す取付部16cは、戸側嵌合部16を戸側支持部17に取り付ける部分である。取付部16cは、戸側嵌合部16の後端部に形成された平坦面である。図5に示す誘導部16dは、戸側嵌合部16を固定体側嵌合部20に誘導する部分である。誘導部16dは、戸側嵌合部16の先端部の外側縁部に形成されている面取りである。誘導部16dは、側引戸6R,6Lが上下方向に微小変位して戸側嵌合部16の中心線と固定体側嵌合部20の中心線とがずれる場合であっても、戸側嵌合部16と固定体側嵌合部20とを嵌合させるガイド面として機能する。
図4及び図5に示す戸側支持部17は、戸側嵌合部16を支持する部分である。戸側支持部17は、戸側嵌合部16を支持した状態で側引戸6R,6Lの上端部に着脱自在に固定されている。戸側支持部17は、図4(B)及び図5(B)に示すように、外観が略L字状のブラケットとして機能する板材部材であり、戸側接点部15を電気的に絶縁するために絶縁性プラスチックなどの合成樹脂によって形成されている。戸側支持部17は、取付部17a,17bなどを備えている。取付部17aは、戸側嵌合部16の取付部16cを着脱自在に取り付ける部分である。取付部17aは、取付部16cと接合するように平坦面に形成されている。取付部17bは、側引戸6R,6Lの上端部に着脱自在に取り付けられる部分である。取付部17bは、側引戸6R,6Lの上端部と接合するように平坦面に形成されている。
図4及び図5に示す固定部18は、戸側嵌合部16を戸側支持部17に着脱自在に固定する部分である。固定部18は、例えば、戸側支持部17を貫通する貫通孔に挿入されて戸側嵌合部16の雌ねじ部に装着されるボルトなどの締結部材である。
図1、図2、図4及び図6に示す固定体側接点部19は、車体3側に固定される固定接点である。固定体側接点部19は、図1、図2、図4及び図5に示す戸側接点部15とは異なり側引戸6R,6Lとともに往復移動せず、図1及び図2に示すように側引戸6R,6Lの開閉動作に応じて戸側接点部15が接触及び離間する。固定体側接点部19は、図6(B)(D)に示すように、固定体側嵌合部20の底部20aに8つ取り付けられている。固定体側接点部19は、図4(C)及び図6(B)(D)に示す接触部19aと、導電部19bと、図7に示す小径部19cと、大径部19dなどを備えている。
図4(C)及び図6(B)(D)に示す接触部19aは、戸側接点部15側の接触部15aと接触する部分である。接触部19aは、図4(C)及び図6(D)に示すように、外観がピン状の導電性部材からなる電気接点である。接触部19aは、図6(D)及び図7に示すように、固定体側嵌合部20の先端部よりもこの接触部19aの表面が低くなるように、固定体側嵌合部20の底部20aに配置されている。接触部19aは、図6(D)に示すように、戸側接点部15の接触部15aと接触していないときには、固定体側嵌合部20の底部20aから所定長さだけ露出した状態で底部20aから突出している。接触部19aは、図4(C)及び図7(C)に示すように、戸側接点部15の接触部15aと接触した後に固定体側嵌合部20の底部20aに押し込まれて底部20aに没入する。図4(C)及び図6(D)に示す導電部19bは、電流経路を確保するための部分である。導電部19bは、外観が軸状の導電性部材であり、接触部19aと一体に形成されている。図7に示す小径部19cは、固定体側接点部19の外径が小さい部分であり、固定体側接点部19の先端部寄りに所定の長さで形成されている。大径部19dは固定体側接点部19の外径が大きい部分であり、固定体側接点部19の後端部寄りに所定の長さで形成されている。
図4及び図6に示す固定体側嵌合部20は、戸側嵌合部16と着脱自在に嵌合する部分である。固定体側嵌合部20は、側引戸6R,6Lが閉じるときに戸側接点部15と固定体側接点部19とが接触するように戸側嵌合部16と嵌合する。固定体側嵌合部20は、固定体側接点部19と電気的に絶縁するために絶縁性プラスチックなどの合成樹脂によって形成されている。固定体側嵌合部20は、図7に示すように、戸側嵌合部16の外周部と嵌合する嵌合凹部であり、図6(B)(D)に示すように外観が円筒状に形成されている。固定体側嵌合部20は、図6(D)に示す底部20aと、図7に示す挿入孔20bと、図4及び図6に示す取付部20cと、図4及び図6(D)に示す誘導部20dなどを備えている。
図6(D)に示す底部20aは、固定体側嵌合部20の凹部である。底部20aは、図7(C)に示すように、戸側嵌合部16が固定体側嵌合部20と嵌合したときに、戸側嵌合部16の先端部との間に僅かに間隙部を形成するように所定の深さで形成されている。図7に示す挿入孔20bは、接触状態維持部23の収容部23bを挿入する部分である。挿入孔20bは、収容部23bの外径よりも僅かに内径が大きくなるように、固定体側嵌合部20の中心線に対して平行に形成されている。図4及び図6に示す取付部20cは、固定体側嵌合部20を固定体側支持部21に取り付ける部分である。取付部20cは、固定体側嵌合部20の後端部に形成された平坦面である。図4及び図6(D)に示す誘導部20dは、固定体側嵌合部20に戸側嵌合部16を誘導する部分である。誘導部20dは、固定体側嵌合部20の先端部の内側縁部に形成されている面取りである。
図4及び図6に示す固定体側支持部21は、固定体側嵌合部20を支持する部分である。固定体側支持部21は、図1、図2及び図8に示すように、固定体側嵌合部20を支持した状態で側出入口5のかもい5aに着脱自在に固定されている。固定体側支持部21は、図4(B)及び図6(C)に示すように、外観が略L字状のブラケットとして機能する板材部材であり、接触状態維持部23の収容部23bを電気的に絶縁するために絶縁性プラスチックなどの合成樹脂によって形成されている。固定体側支持部21は、取付部21a,21bなどを備えている。取付部21aは、固定体側嵌合部20の取付部20cを着脱自在に取り付ける部分である。取付部21aは、取付部20cと接合するように平坦面に形成されている。取付部21bは、車体3に着脱自在に取り付けられる部分である。取付部21bは、側出入口5のかもい5aと接合するように平坦面に形成されている。
図4及び図6に示す固定部22は、固定体側嵌合部20を固定体側支持部21に着脱自在に固定する部分である。固定部22は、例えば、固定部22は、例えば、固定体側支持部21を貫通する貫通孔に挿入されて固定体側嵌合部20の雌ねじ部に装着されるボルトなどの締結部材である。
図7及び図8に示す接触状態維持部23は、側引戸6R,6Lが所定区間L1内に位置している間は、戸側接点部15と固定体側接点部19とを接触状態に維持する部分である。ここで、図8(B)に示す所定区間L1は、閉鎖位置P1の手前の所定位置P3からこの閉鎖位置P1までの区間である。所定区間L1は、戸挟み検知装置8R,8Lが戸先ゴム7R,7L間への介在物O2の挟み込みを検知する検知区間である。所定位置P3は、戸先ゴム7R,7Lが閉じるときに戸挟み検知装置8R,8Lが検知動作を開始する戸挟み検知開始位置であり、戸先ゴム7R,7Lが開くときに戸挟み検知装置8R,8Lが検知動作を終了する戸挟み検知終了位置である。所定位置P3は、例えば、閉鎖位置(側引戸6R,6Lが閉じた状態で停止する停止位置)P1から開放位置P2に向かって所定距離だけ手前の位置に設定されている。接触状態維持部23は、戸挟み検知装置8R,8Lが出力する戸挟み検知信号が戸側接点部15から固定体側接点部19に伝送するように、戸側接点部15と固定体側接点部19とを接触状態に維持する。接触状態維持部23は、図7及び図8に示す弾性力作用部23aと、図7に示す収容部23bと、突出量規制部23cなどを備えている。
図7及び図8に示す弾性力作用部23aは、固定体側接点部19に弾性力を作用させる部分である。弾性力作用部23aは、固定体側接点部19を側引戸6R,6Lの移動方向に進退自在に弾性支持する弾性支持部としても機能する。弾性力作用部23aは、固定体側接点部19から圧縮力が作用する圧縮コイルばねである。弾性力作用部23aは、図7(B)(C)に示すように、戸側接点部15と固定体側接点部19とが接触した状態で所定区間L1を側引戸6R,6Lが位置している間は、固定体側接点部19に弾性力を作用させており、この弾性力作用部23aの弾性力に抗して圧縮される。弾性力作用部23aは、側引戸6R,6Lが所定区間L1を閉じる方向に移動しているときには固定体側接点部19から作用する押圧力によって徐々に圧縮し、側引戸6R,6Lが閉鎖位置P1で停止したときに最も圧縮される。一方、弾性力作用部23aは、側引戸6R,6Lが所定区間L1を開く方向に移動しているときには固定体側接点部19から作用する押圧力が低下して徐々に伸長する。弾性力作用部23aは、図7に示すように、固定体側接点部19の後端面と収容部23bの底面との間に挟み込まれた状態で収容部23bの内部に収容されている。
図7に示す収容部23bは、固定体側接点部19を移動自在に収容する部分である。収容部23bは、固定体側接点部19の外径よりもこの収容部23bの内径が僅かに大きくなるように形成されている円筒部材である。収容部23bは、この収容部23bの内周部に固定体側接点部19の大径部19dの外周部がスライド自在に嵌合している。収容部23bは、この収容部23bの先端部に固定体側接点部19の小径部19cを挿入する挿入孔23dと、弾性力作用部23aの端面を支持する支持部23eなどを備えている。収容部23bは、固定体側嵌合部20の底部20aに嵌め込まれている。
突出量規制部23cは、固定体側接点部19の突出量を規制する部分である。突出量規制部23cは、図7(A)に示すように、固定体側接点部19に戸側接点部15が接触していないときの固定体側接点部19の突出量が一定となるように、固定体側接点部19が収容部23bから抜け出すのを防止するストッパ部として機能する。突出量規制部23cは、固定体側接点部19の小径部19cと大径部19dとの間に形成された段部であり、挿入孔23dにこの段部が当接することによって固定体側接点部19の突出量を一定量に規制している。
図4〜図6に示す切替タイミング調整部24は、戸側接点部15と固定体側接点部19とが接触状態から非接触状態に切り替わるタイミングを調整する部分である。切替タイミング調整部24は、戸側接点部15が固定体側接点部19に接触するタイミングを調整することによって、図8(B)に示す所定区間L1を任意の長さに設定し、戸先ゴム7R,7Lへの介在物O2の挟み込みを戸挟み検知装置8R,8Lが継続して検知する検知時間を調整する。切替タイミング調整部24は、例えば、車両2毎に戸挟み検知装置8R,8Lの検知時間を調整する必要がある場合や、側引戸6R,6L毎に戸挟み検知装置8R,8Lの検知時間を調整する必要があるときなどに、戸側接点部15と固定体側接点部19とが接触を開始する位置を可変する。切替タイミング調整部24は、図4〜図6に示すように、長孔24a,24bと固定部24c,24dなどを備えている。切替タイミング調整部24は、長孔24a,24bに対する固定部24c,24dの固定位置を調整することによって、戸側接点部15と固定体側接点部19とが接触するタイミングを調整する。
図4及び図5に示す長孔24aは、戸側支持部17の取付部17bに形成された貫通孔である。長孔24aは、取付部17bを貫通し、側引戸6R,6Lの移動方向と平行に所定の長さで形成されている。図4及び図6に示す長孔24bは、固定体側支持部21の取付部21bに形成された貫通孔である。長孔24bは、取付部21bを貫通し、側引戸6R,6Lの移動方向と平行に所定の長さで形成されている。図4及び図5に示す固定部24cは、戸側支持部17を側引戸6R,6Lに着脱自在に固定する部分である。固定部24cは、例えば、長孔24aに挿入されて側引戸6R,6Lの上端部の雌ねじ部に装着されるボルトなどの締結部材である。図4及び図6に示す固定部24dは、固定体側支持部21をかもい5aに着脱自在に固定する部分である。固定部24dは、長孔24bに挿入されてかもい5aの雌ねじ部に装着されるボルトなどの締結部材である。
次に、この発明の第1実施形態に係る信号伝送装置の動作を説明する。
以下では、図1及び図2に示す信号伝送装置14R,14Lのうち信号伝送装置14L側の動作を中心として説明し、信号伝送装置14R側の動作については詳細な説明を省略する。
図4及び図5に示すように、戸側支持部17に戸側嵌合部16を取り付けた状態で、長孔24aに固定部24cを挿入して固定部24cを仮締めして、戸側支持部17を側引戸6R,6Lに装着する。同様に、図4及び図6に示すように、固定体側支持部21に固定体側嵌合部20を取り付けた状態で、長孔24aに固定部24cを挿入して固定部24cを仮締めして、戸側支持部17を側引戸6R,6Lに装着する。次に、図8(B)に示す所定区間L1を設定するために、長孔24a,24bに沿って固定部24c,24dをスライドさせて、戸側接点部15が固定体側接点部19に接触するタイミングを調整し、固定部24cを本締めして戸側支持部17を側引戸6R,6Lに固定するとともに、固定部24dを本締めして固定体側支持部21をかもい5aに固定する。
図1及び図2に示す側引戸6R,6Lを開閉するときには、車両2の乗務員が車掌スイッチを操作すると、戸閉め機械が空気シリンダ式の場合には空気圧によってピストンが駆動して側引戸6R,6Lが開閉動作し、戸閉め機械が電気式の場合には電気モータがボールねじなどを駆動して側引戸6R,6Lが開閉駆動する。側引戸6R,6Lが閉じるときに、図24(B)に示すように比較的大きな介在物O1が戸先ゴム7R,7L間に挟み込まれると、機械的なリミットスイッチである戸閉めスイッチが側引戸6R,6Lの開状態を検知して介在物O2の挟み込みが検知される。一方、側引戸6R,6Lが閉じるときに、図24(C)に示すような比較的小さな介在物O2が戸先ゴム7R,7L間に挟み込まれても戸閉めスイッチには15mm程度の不感帯があるため、介在物O2の挟み込みが検知されないことがある。しかし、図3(A)に示すように、戸先ゴム7R,7L間に介在物O2が挟み込まれると戸先ゴム7R,7Lの弾性変形に追従して戸挟み検知装置8R,8Lも弾性変形する。その結果、戸閉めスイッチでは検知不可能な戸先ゴム7R,7L間への介在物O2の挟み込みを戸挟み検知装置8R,8Lが検知して、戸挟み検知装置8R,8Lが戸挟み検知信号を出力する。
図8(A)に示す開放位置P2から図8(B)に示す閉鎖位置P1に向かって、側引戸6R,6Lが閉じると戸先ゴム7R,7Lが互いに接近する。その結果、図7(A)及び図8(A)に示すように、側引戸6R,6Lと一体となって戸側接点部15が固定体側接点部19に向かって接近する。図8(B)に示すように、戸先ゴム7R,7Lが閉鎖位置P1に到達する手前の所定位置P3に到達すると、図7(B)及び図8(B)に示すように戸側接点部15の接触部15aが固定体側接点部19の接触部19aと接触する。このとき、固定体側嵌合部20の中心線に対して戸側嵌合部16の中心線が僅かにずれていても誘導部16dと誘導部20dとが接触する。このため、戸側嵌合部16が固定体側嵌合部20に誘導されて、戸側嵌合部16が固定体側嵌合部20に嵌合し、戸側接点部15の接触部15aが固定体側接点部19の接触部19aと接合する。その結果、図8(B)に示すように、戸挟み検知装置8R,8Lが出力する戸挟み検知信号が戸挟み検知装置8R,8Lから戸挟み判定装置10に接触部15a,19aを通じて送信可能になる。
図8(B)に示す所定位置P3から図8(C)に示す閉鎖位置P1に向かって、側引戸6R,6Lがさらに閉じると戸先ゴム7R,7Lがさらに接近する。その結果、図7(C)及び図8(C)に示すように、弾性力作用部23aの弾性力に抗して戸側接点部15が固定体側接点部19を押し込み、弾性力作用部23aを圧縮させながら固定体側接点部19が収容部23bにガイドされながら移動する。戸先ゴム7R,7Lが閉鎖位置P1に到達すると側引戸6R,6Lが停止して、戸先ゴム7R,7Lが密着した状態になる。このとき、弾性力作用部23aの弾性力によって戸側接点部15の接触部15aと固定体側接点部19の接触部19aとが密着した状態を維持する。このため、図8(C)に示すように、戸挟み検知装置8R,8Lが出力する戸挟み検知信号が戸挟み検知装置8R,8Lから戸挟み判定装置10に接触部15a,19aを通じて継続して送信可能になる。
図2に示す戸挟み検知装置8R,8Lが出力する戸挟み検知信号が信号伝送装置14R,14Lを通じて戸挟み判定装置10に入力すると、この戸挟み検知信号のレベルが所定値を超えたか否かを戸挟み判定装置10が判定する。図3(B)に示すように、戸先ゴム7R,7L間に介在物O2が挟み込まれていないときには、戸挟み検知装置8R,8Lが出力する戸挟み検知信号の信号レベルが所定値よりも低い。このため、戸先ゴム7R,7L間に介在物O2が挟み込まれていないと戸挟み判定装置10が判定し、この判定結果を戸挟み判定装置10が制御装置12に出力する。その結果、戸挟み判定装置10の判定結果を表示装置13が画面上に表示するように制御装置12が表示装置13に指令し、戸先ゴム7R,7L間に介在物O2が挟み込まれていない側引戸6R,6Lをモニタ画面上に表示装置13が表示(例えば青色のように表示)する。一方、図3(A)に示すように、戸先ゴム7R,7L間に介在物O2が挟み込まれると、戸挟み検知装置8R,8Lが出力する戸挟み検知信号の信号レベルが所定値よりも高くなる。このため、戸先ゴム7R,7L間に介在物O2が挟み込まれていると戸挟み判定装置10が判定し、この判定結果を戸挟み判定装置10が制御装置12に出力する。その結果、戸挟み判定装置10の判定結果を表示装置13が画面上に表示するように制御装置12が表示装置13に指令し、戸先ゴム7R,7L間に介在物O2が挟み込まれている側引戸6R,6Lをモニタ画面上に表示装置13が表示(例えば、赤色のように表示)する。また、側引戸6R,6Lを再開するように制御装置12が戸閉め機械に指令し、戸先ゴム7R,7L間から介在物O2を引き抜けるように側引戸6R,6Lが開き戸先ゴム7R,7L間に隙間が形成される。
図8(C)に示す閉鎖位置P1から図8(A)に示す開放位置P2に向かって側引戸6R,6Lが開くと、戸先ゴム7R,7Lが互いに離間する。このとき、弾性力作用部23aの弾性力によって戸側接点部15の接触部15aと固定体側接点部19の接触部19aとが密着した状態を維持しつつ、弾性力作用部23aが徐々に伸長し固定体側接点部19が収容部23bにガイドされながら移動する。図8(B)に示すように、戸先ゴム7R,7Lが所定位置P3に到達すると、図7(B) に示すように固定体側接点部19の突出量規制部23cが収容部23bの挿入孔23dと接触し、収容部23bに沿って移動する固定体側接点部19が停止する。このため、図7(A)及び図8(A)に示すように、側引戸6R,6Lと一体となって戸側接点部15が固定体側接点部19から離間し、戸側接点部15の接触部15aと固定体側接点部19の接触部19aとが非接触状態に切り替わる。その結果、戸挟み検知装置8R,8Lから戸挟み判定装置10への戸挟み検知装置8R,8Lが出力する戸挟み検知信号の送信が不可能になる。
次に、この発明の第1実施形態に係る信号伝送装置の効果を説明する。
(1) この第1実施形態では、側引戸6R,6Lが所定区間L1内に位置している間は、固定体側接点部19と戸側接点部15とを接触状態維持部23が接触状態に維持する。このため、従来の戸挟み検知装置のような側引戸側の圧力センサと車体側の制御装置との間を配線によって接続する必要がなくなって、側引戸6R,6L側の戸先ゴム7R,7L内の戸挟み検知装置8R,8Lと車体3側の制御装置12とを切り離すことができる。その結果、側引戸6R,6Lの往復移動に応じて信号線9R,9L,11R,11Lを追従させる複雑な対策や、信号線9R,9L,11R,11Lのたわみ対策などが不要になり装置を簡略化することができる。また、従来の戸挟み検知装置のような一次コイルと二次コイルとの電磁的な結合によって側引戸側から車体側に戸挟み検知信号を送信する構造とは異なり、ノイズが介入しない接点方式によって側引戸6R,6L側から車体3側に戸挟み検知信号を確実に送信することができる。
(2) この第1実施形態では、閉鎖位置P1の手前の所定位置P3からこの閉鎖位置P1までの所定区間L1内に側引戸6R,6Lが位置している間は、固定体側接点部19と戸側接点部15とを接触状態維持部23が接触状態に維持する。このため、戸側接点部15と固定体側接点部19の接触中は相対運動せずに移動することでノイズが発生するのを防ぐことができ、側引戸6R,6L側から車体3側に伝送される信号が小さくてもこの信号がノイズに埋もれてしまうのを防ぐことができる。例えば、戸先ゴム7R,7Lの厚さ分よりも薄い介在物O2が戸先ゴム7R,7L間に挟み込まれたような場合であっても、戸先ゴム7R,7L間の介在物O2の挟み込みを側引戸6R,6L側から車体3側に確実に伝送することができる。また、側引戸6R,6Lが所定区間L1内に位置しているか否かを検知する位置検知装置などを設置する必要がなくなり、装置の構造が簡単になって装置を安価で製造することができる。
(3) この第1実施形態では、戸挟み検知装置8R,8Lが出力する戸挟み検知信号が戸側接点部15から固定体側接点部19に伝送されるように、この戸側接点部15とこの固定体側接点部19とを接触状態維持部23が接触状態に維持する。このため、従来の技術では検知が困難である比較的小さな介在物O2の挟み込みを戸挟み検知装置8R,8Lによって検知し、戸挟み検知装置8R,8Lが出力する戸挟み検知信号を戸側接点部15から固定体側接点部19に確実に伝送することができる。
(4) この第1実施形態では、戸側接点部15と固定体側接点部19とが非接触状態から接触状態に切り替わるタイミングを切替タイミング調整部24が調整する。このため、戸挟み検知装置8R,8Lが出力する戸挟み検知信号を戸側接点部15から固定体側接点部19に送信する時間を簡単に変更することができる。その結果、戸側接点部15と固定体側接点部19との相対位置を変更することによって、戸挟み検知装置8R,8Lが介在物O2の挟み込みを検知する検知時間を調整又は変更することができる。
(5) この第1実施形態では、固定体側接点部19に弾性力作用部23aが弾性力を作用させている。また、この第1実施形態では、戸側接点部15と固定体側接点部19とが接触した状態で所定区間L1内に側引戸6R,6Lが位置している間は、固定体側接点部19に弾性力作用部23aが弾性力を作用させる。このため、弾性力作用部23aの弾性力によって、戸側接点部15と固定体側接点部19とが接触を開始してからこれらが密着した状態に維持し電気接点回路を形成することができる。その結果、戸側接点部15と固定体側接点部19との間でノイズが発生するのを防止し、これらの間で戸挟み検知信号を確実に伝送することができる。
(第2実施形態)
以下では、図1〜図8に示す部分と同一の部分については同一の番号を付して詳細な説明を省略する。また、以下では、図1及び図2に示す信号伝送装置14R,14Lのうち信号伝送装置14L側を中心に説明し、信号伝送装置14R側については詳細な説明を省略する。
図9〜図11に示す信号伝送装置14Lは、図9及び図10に示す戸側接点部15と、戸側支持部17と、図9及び図11に示す固定体側接点部19と、固定体側支持部21と、図9及び図11に示す接触状態維持部23と、図9及び図10に示す切替タイミング調整部24と、図9及び図11に示すガイド部25などを備えている。
図9及び図10に示す戸側支持部17は、戸側接点部15を支持する部分である。戸側支持部17は、図9(C)及び図10(D)に示すように、戸側接点部15及び磁力作用部23fを支持した状態で、図1及び図2に示す側引戸6R,6Lの上端部に着脱自在に固定されている。戸側支持部17は、図10(B)(D)に示すように、外観が略L字状のブラケットとして機能する板材部材であり、戸側接点部15を電気的に絶縁するために絶縁性プラスチックなどの合成樹脂によって形成されている。戸側支持部17は、図10に示すように、取付部17a,17bと、収容凹部17cと、挿入孔17dなどを備えている。取付部17aは、戸側接点部15及び磁力作用部23fを着脱自在に取り付ける部分である。取付部17aは、図10(B)(D)に示すように、上端面及び下端面が磁力作用部23fと接合するように平坦面に形成されている。収容凹部17cは、図10(D)に示すように、接触部15aを収容する部分であり、取付部17aの先端面に形成されている。挿入孔17dは、戸側接点部15の導電部15bを挿入する部分であり、取付部17aの収容凹部17cを貫通して形成されている。
図9及び図11に示す固定体側接点部19は、側引戸6R,6Lの移動方向に進退可能な接点である。固定体側接点部19は、図12(B)(C)に示すように、戸側接点部15と接触した状態で往復移動し、側引戸6R,6Lの開閉動作に連動して戸側接点部15と接触及び離間する。固定体側接点部19は、図12(B)に示すように、側引戸6R,6Lが閉じるときに側引戸6R,6Lが所定位置P3に到達すると戸側接点部15と接触し、側引戸6R,6Lが開くときに側引戸6R,6Lが所定位置P3に到達すると戸側接点部15と離間する。固定体側接点部19は、図9(C)及び図11(B)(D)に示すように、戸側接点部15と対向する位置に2つ取り付けられている。
図9及び図11に示す固定体側支持部21は、固定体側接点部19を移動自在に支持する部分である。固定体側支持部21は、外観が略直方体の収容部材である。固定体側支持部21は、図9(C)及び図11(E)に示すように、固定体側接点部19、ガイド部25及び磁力作用部23gなどを支持した状態で、図12に示す側出入口5のかもい5aに着脱自在に固定されている。固定体側支持部21は、図9及び図11に示すように、収容部25bから引き出された信号線11Lを収容しており、この固定体側支持部21から信号線11Lが外部に引き出されている。固定体側支持部21は、図9(C)及び図11(B)〜(E)に示す取付部21bと、図9(C)及び図11(B)(E)に示す開口部21cと、図9(C)及び図11(E)に示す誘導部21dなどを備えている。
図9(C)及び図11(B)(E)に示す開口部21cは、戸側支持部17が進入及び進出する部分である。開口部21cは、図11(B)に示すように、戸側支持部17の外形と略同じ形状で固定体側支持部21の先端面に形成されている。図9(C)及び図11(E)に示す誘導部21dは、戸側支持部17を固定体側支持部21に誘導する部分である。誘導部21dは、側引戸6R,6Lが閉じるときに、戸側接点部15の中心線と固定体側接点部19の中心線とがずれている場合であっても、戸側接点部15と固定体側接点部19とが接触するように、戸側支持部17を固定体側支持部21に誘導する。誘導部21dは、固定体側支持部21の開口部21cから内部に向かって徐々に傾斜するように曲線状のテーパ面に形成されている。
図9〜図11に示す接触状態維持部23は、図9(C)、図10(B)〜(D)及び図11(B)(D)(E)に示す磁力作用部23f,23gと、図9(C)及び図11(E)に示す弾性力作用部23hと、ストッパ部23i,23jなどを備えている。図9(C)、図10(B)〜(D)及び図11(B)(D)(E)に示すに示す磁力作用部23f,23gは、戸側接点部15と固定体側接点部19との間に磁力を作用させる部分である。磁力作用部23f,23gは、図12(B)(C)に示すように、戸側接点部15と固定体側接点部19とが接触した状態で所定区間L1内に側引戸6R,6Lが位置している間は、戸側接点部15と固定体側接点部19との間に磁力を作用させる。磁力作用部23f,23gは、互いに吸着することによって、車両2の振動などにより戸側接点部15と固定体側接点部19とが位置ずれするのを防止してこれらの電気的な接触状態を維持する。図9(C)及び図10に示す磁力作用部23fは、磁力作用部23gと吸着する可動吸着部として機能し、戸側支持部17に取り付けられている。磁力作用部23fは、例えば鉄のような磁性を帯びることが可能な板状の磁性体である。図9(C)及び図11(B)(D)(E)に示す磁力作用部23gは、磁力作用部23fと吸着する固定吸着部として機能し、固定体側支持部21に取り付けられている。磁力作用部23gは、例えば、N極及びS極の二つの磁極を有し磁力を発生する板状の永久磁石である。
図9(C)及び図11(E)に示す弾性力作用部23hは、固定体側接点部19に弾性力を作用させる部分である。弾性力作用部23hは、収容部25bを側引戸6R,6Lの移動方向に進退自在に弾性支持する弾性支持部としても機能する。弾性力作用部23hは、固定体側接点部19から圧縮力が作用する圧縮コイルばねである。弾性力作用部23hは、収容部25bの後端面と固定体側支持部21の底面との間に挟み込まれた状態で固定体側支持部21の内部に収容されている。弾性力作用部23hは、図12(B)(C)に示すように、戸側接点部15と固定体側接点部19とが接触した状態で所定区間L1内に側引戸6R,6Lが位置している間は、固定体側接点部19に弾性力を作用させており、この弾性力作用部23hの弾性力に抗して圧縮される。弾性力作用部23hは、戸側接点部15が固定体側接点部19と接触したときに発生する衝撃を緩和するとともに、戸側接点部15が固定体側接点部19から離間したときに固定体側接点部19を所定の位置(原点)に復帰させる機能を有する。弾性力作用部23hは、例えば、固定体側接点部19の行程(ストローク)が50mm程度になるようにばね定数が設定されている。弾性力作用部23hは、図12(C)に示すように、側引戸6R,6Lが所定区間L1を閉じる方向に移動しているときには固定体側接点部19から作用する押圧力によって徐々に圧縮し、側引戸6R,6Lが閉鎖位置P1で停止したときに最も圧縮される。一方、弾性力作用部23hは、側引戸6R,6Lが所定区間L1を開く方向に移動しているときには固定体側接点部19から作用する押圧力が低下して徐々に伸長する。
図9(C)及び図11(E)に示すストッパ部23iは、側引戸6R,6Lが閉鎖位置P1で停止したときに収容部25bを停止させる部分である。ストッパ部23iは、収容部25bの後端面と固定体側支持部21の底面とにそれぞれ対向する位置に取り付けられており、収容部25bと固定体側支持部21とが衝突するのを防止する。
ストッパ部23jは、側引戸6R,6Lが開くときに収容部25bが固定体側支持部21から飛び出すのを防止する部分である。ストッパ部23jは、固定体側支持部21の誘導部21dの端部に形成されている。ストッパ部23jは、図12(C)に示す閉鎖位置P1から側引戸6R,6Lが開いたときに、収容部25bの先端面とこのストッパ部23jとを接触させることによって、磁力作用部23fと磁力作用部23gとの間の磁力に抗して戸側接点部15を固定体側接点部19から離間させる。
図9及び図11に示すガイド部25は、固定体側接点部19を側引戸6R,6Lの移動方向に沿ってガイドする部分である。ガイド部25は、図12(B)(C)に示すように、戸側接点部15と固定体側接点部19とが接触した状態で所定区間L1内に側引戸6R,6Lが位置している間は、固定体側接点部19を側引戸6R,6Lの移動方向にガイドする。ガイド部25は、図12(B)に示すように、側引戸6R,6Lが所定位置P3に到達してから閉鎖位置P1で停止するまで固定体側接点部19をガイドする。ガイド部25は、図9(C)及び図11(B)(D)(E)に示す取付部25aと、収容部25bと、図9(C)及び図11(D)(E)に示す回転体25cと、ガイドレール部25dなどを備えている。
図9(C)及び図11(B)(D)(E)に示す取付部25aは、固定体側接点部19及び磁力作用部23gを着脱自在に取り付ける部分である。取付部25aは、図9(C)及び図11(E)に示すように、上端面及び下端面が磁力作用部23gと接合するように平坦面に形成されている。取付部25aは、図11(E)に示すように、この取付部25aの先端面に固定体側接点部19の接触部19aを収容する収容凹部25eと、この収容凹部25eを貫通して固定体側接点部19の導電部19bを挿入する挿入孔25fなどを備えている。
図9(C)及び図11(B)(D)(E)に示す収容部25bは、固定体側接点部19及び磁力作用部23gを収容する部分である。収容部25bは、図11に示すように、外観が略直方体のケース状部材であり、固定体側支持部21の内部に移動自在に収容されている。収容部25bは、先端部に取付部25aを着脱自在に取り付けている。収容部25bは、図9(C)及び図11(E)に示すように、この収容部25bの往復動作によって信号線11Lに張力が作用しないように、信号線11Lを弛んだ状態で内部に収容している。
図9(C)及び図11(D)(E)に示す回転体25cは、ガイドレール部25dに沿って回転する部分である。回転体25cは、図9(C)及び図11(E)に示すように、収容部25bの下縁部の前端寄り及び後端部寄りにそれぞれ1つ配置されており、収容部25bの上縁部の中央に1つ配置されている。回転体25cは、図11(D)に示すように、ガイドレール部25dからの脱輪を防止するために、このガイドレール部25dと回転接触する部分が略V字状に形成されており、ガイドレール部25dの右側側面と左側側面戸を挟み込むように回転接触する。
図9(C)及び図11(D)(E)に示すガイドレール部25dは、回転体25cを回転自在にガイドする部分である。ガイドレール部25dは、図11(D)(E)に示すように、側引戸6R,6Lの移動方向に沿って固定体側支持部21の内側上面及び内側下面に取り付けられている。ガイドレール部25dは、図11(D)に示すように中心線に対して垂直な平面で切断したときの断面が円形に形成されている。
次に、この発明の第2実施形態に係る信号伝送装置の動作を説明する。
図12(A)に示す開放位置P2から図12(B)に示す閉鎖位置P1に向かって側引戸6R,6Lが閉じると、戸先ゴム7R,7Lが互いに接近する。その結果、図12(A)に示すように、側引戸6R,6Lと一体となって戸側接点部15が固定体側接点部19に向かって接近する。図12(B)に示すように、戸先ゴム7R,7Lが所定位置P3に到達すると、戸側接点部15の接触部15aが固定体側接点部19の接触部19aと接触する。このとき、固定体側接点部19の中心線に対して戸側接点部15の中心線が僅かにずれていても、固定体側支持部21の誘導部21dと磁力作用部23fとが接触する。このため、戸側支持部17が固定体側支持部21に誘導されて、磁力作用部23fが磁力作用部23gに磁気吸引力によって吸着し、戸側接点部15の接触部15aが固定体側接点部19の接触部19aと接合する。その結果、戸挟み検知装置8R,8Lが出力する戸挟み検知信号が戸挟み検知装置8R,8Lから戸挟み判定装置10に接触部15a,19aを通じて送信可能になる。
図12(B)に示す所定位置P3から閉鎖位置P1に向かって、側引戸6R,6Lがさらに閉じると戸先ゴム7R,7Lがさらに接近し、弾性力作用部23hの弾性力に抗して戸側接点部15が固定体側接点部19を押し込む。その結果、回転体25cがガイドレール部25dに沿って回転し、弾性力作用部23hを圧縮させながら固定体側接点部19と一体となって収容部25bがガイド部25にガイドされながら移動する。図12(C)に示すように、戸先ゴム7R,7Lが閉鎖位置P1に到達すると側引戸6R,6Lが停止して、戸先ゴム7R,7Lが密着した状態になる。このとき、弾性力作用部23hの弾性力と磁力作用部23f,23gの磁力とによって、戸側接点部15の接触部15aと固定体側接点部19の接触部19aとが密着した状態を維持する。このため、戸挟み検知装置8R,8Lが出力する戸挟み検知信号が戸挟み検知装置8R,8Lから戸挟み判定装置10に接触部15a,19aを通じて継続して送信可能になる。
図12(C)に示す閉鎖位置P1から開放位置P2に向かって側引戸6R,6Lが開くと、戸先ゴム7R,7Lが互いに離間する。このとき、弾性力作用部23hの弾性力によって戸側接点部15の接触部15aと固定体側接点部19の接触部19aとが密着した状態を維持し、弾性力作用部23hが徐々に伸長し固定体側接点部19と一体となって収容部23bがガイド部25によってガイドされながら移動する。図12(B)に示すように、戸先ゴム7R,7Lが所定位置P3に到達し、開放位置P2に向かって側引戸6R,6Lがさらに開くと、磁力作用部23fと磁力作用部23gとが互いに吸着した状態で収容部25bの先端面がストッパ部23jに衝突し、収容部25bの移動が規制される。その結果、戸側接点部15が側引戸6R,6Lと一体となって移動すると、磁力作用部23fと磁力作用部23gとの間の磁気吸引力に反して戸側接点部15が固定体側接点部19から強制的に離間し、戸側接点部15の接触部15aと固定体側接点部19の接触部19aとが非接触状態に切り替わる。磁力作用部23fと磁力作用部23gとが離間すると、弾性力作用部23hが圧縮し弾性力作用部23hの弾性力によって収容部25bが側引戸6R,6Lの移動方向と反対方向に移動し、図12(A)(B)に示すように固定体側接点部19を弾性力作用部23hが原点復帰させる。その結果、戸挟み検知装置8R,8Lから戸挟み判定装置10への戸挟み検知装置8R,8Lが出力する戸挟み検知信号の送信が不可能になる。
この発明の第2実施形態に係る信号伝送装置には、第1実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
(1) この第2実施形態では、戸側接点部15と固定体側接点部19との間に磁力作用部23f,23gが磁力を作用させる。また、この第2実施形態では、戸側接点部15と固定体側接点部19とが接触した状態で所定区間L1内に側引戸6R,6Lが位置している間は、戸側接点部15と固定体側接点部19との間に磁力作用部23f,23gが磁力を作用させる。このため、車両2の振動などによって戸側接点部15と固定体側接点部19との間に押付力、引張力又はせん断力などが作用しても、戸側接点部15と固定体側接点部19とが位置ずれするのを防ぎ、戸側接点部15から固定体側接点部19に戸挟み検知信号を確実に伝送することができる。
(2) この第2実施形態では、固定体側接点部19を側引戸6R,6Lの移動方向に沿ってガイド部25がガイドする。また、この第2実施形態では、戸側接点部15と固定体側接点部19とが接触した状態で所定区間L1内に側引戸6R,6Lが位置している間は、固定体側接点部19をガイド部25がガイドする。このため、車両2のような振動の激しい場所であっても側引戸6R,6Lの移動に追従して固定体側接点部19をガイド部25によってガイドしながら正確に移動させることができ、戸側接点部15と固定体側接点部19との間に位置ずれが発生するのを防止することができる。
(第3実施形態)
図13に示す信号伝送装置14Lは、図13及び図14に示す戸側接点部15と、戸側支持部17と、図13及び図15に示す固定体側接点部19と、固定体側支持部21と、図13に示す接触状態維持部23などを備えている。図16に示すように、戸側接点部15は噛み合い部15cを備えており、固定体側接点部19は噛み合い部19eを備えている。噛み合い部15c,19eは、戸側接点部15及び固定体側接点部19の全部が互いに噛み合うようにこれらの先端部に形成されている。噛み合い部15cは、曲面状の凸部に形成されており、噛み合い部19eはこの凸部と接触する曲面状の凹部に形成されている。戸側支持部17は、図13及び図14に示す戸側接点部15及び磁力作用部23fを着脱自在に取り付ける取付部17aと、図14(A)に示す磁力作用部23fを収容する収容凹部17fと、戸側接点部15の導電部15bを挿入する挿入孔17gなどを備えている。図13及び図15に示す固定体側支持部21は、固定体側接点部19を支持する部分である。固定体側支持部21は、図13及び図15に示す固定体側接点部19及び磁力作用部23gを着脱自在に取り付ける取付部21aと、図13及び図15(B)に示す磁力作用部23gを収容する収容凹部21fと、固定体側接点部19の導電部19bを挿入する挿入孔21gなどを備えている。
この発明の第3実施形態に係る信号伝送装置には、第1実施形態及び第2実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
この第3実施形態では、全部が互いに噛み合う噛み合い部15c,19eを戸側接点部15及び固定体側接点部19が備えている。このため、戸側接点部15の中心線と固定体側接点部19の中心線とがずれている場合であっても、噛み合い部15cと噛み合い部19eとを互いに噛み合わせて、戸側接点部15と固定体側接点部19とを電気的に接続した状態にすることができる。
(第4実施形態)
図19及び図20に示す信号伝送装置14Lは、図17及び図19に示す戸側接点部15と、戸側支持部17と、図18及び図19に示す固定体側接点部19と、固定体側嵌合部20と、固定体側支持部21と、図18及び図19に示す接触状態維持部23と、ガイド部25と、図17及び図19に示す密封部27などを備えている。なお、図20では、発明の理解を容易にするために、図17〜図19に示す2つの戸側接点部15及び固定体側接点部19を1つの戸側接点部15及び固定体側接点部19に簡略化して示している。
図17及び図19に示す戸側支持部17は、外観が円筒状の部材であり、戸側接点部15を電気的に絶縁するために絶縁性プラスチックなどの合成樹脂によって形成されている。取付部17aは、図17(C)に示すように、この取付部17aの外周部に磁力作用部23fを収容する収容凹部17cと、戸側接点部15の導電部15bを挿入する挿入孔17dと、この取付部17aの外周部に収容凹部17cと隣接して密封部27を収容する収容凹部17eなどを備えている。
図18及び図19に示す固定体側嵌合部20は、図18(C)及び図19に示す底部20aと、図18に示す取付部20cと、図18(A)(C)及び図19に示す誘導部20dなどを備えている。固定体側嵌合部20は、図19(B)(C)に示すように、密封部27と嵌合する嵌合凹部であり、図18(A)に示すように外観が円筒状に形成されている。図18に示す取付部20cは、固定体側嵌合部20の後端部から突出する円筒部である。図18(A)(C)及び図19に示す誘導部20dは、固定体側嵌合部20に密封部27を誘導する部分である。誘導部20dは、固定体側嵌合部20の先端部の内側縁部に形成されている面取りである。固定体側支持部21は、図18(C)に示すように、外観が円筒状に形成されている。固定体側支持部21は、取付部21aによって固定体側嵌合部20を支持している。
図18及び図19に示す接触状態維持部23は、図18(C)及び図19に示す弾性力作用部23aと、収容部23bと、突出量規制部23cと、図17(C)、図18(C)及び図19に示す磁力作用部23f,23gと、弾性力作用部23hと、図18(C)及び図19に示すストッパ部23i,23jと、図17及び図19に示す誘導部23kと、図18(C)及び図19に示す突出量規制部23mなどを備えている。磁力作用部23fは、図17(C)に示すように、戸側支持部17の収容凹部17cに取り付けられている。磁力作用部23fは、図17(B)に示すように、外観が円環状の磁性体であり、図17(C)に示すように断面が略四角形状に形成されている。磁力作用部23gは、図18(C)に示すように、固定体側嵌合部20の底部20aの縁部に取り付けられている。磁力作用部23gは、図18(A)に示すように、外観が円環状の永久磁石であり、図18(C)に示すように断面が略四角形に形成されている。
図18(C)及び図19に示す弾性力作用部23hは、固定体側接点部19に弾性力を作用させる部分である。弾性力作用部23hは、固定体側嵌合部20を側引戸6R,6Lの移動方向に進退自在に弾性支持する弾性支持部としても機能する。弾性力作用部23hは、図18(B)(C)及び図19に示すように、固定体側嵌合部20と固定体側支持部21との間に挟み込まれた状態で固定体側支持部21の取付部21aに装着されている。
図18(C)及び図19に示すストッパ部23iは、側引戸6R,6Lが開くときに固定体側嵌合部20が固定体側支持部21から飛び出すのを防止する部分である。ストッパ部23iは、固定体側嵌合部20の後端部寄りの取付部20cの内周部に形成された段部である。ストッパ部23iは、図18(C)及び図19(A)(B)に示すように、固定体側支持部21の突出量規制部23mが接触することによって、固定体側支持部21に対する固定体側嵌合部20の最大進出位置を規制している。
図18(C)及び図19に示すストッパ部23jは、側引戸6R,6Lが閉鎖位置P1で停止したときに固定体側嵌合部20を停止させる部分である。ストッパ部23jは、固定体側嵌合部20の先端部寄りの取付部20cの内周部に形成された段部である。ストッパ部23jは、図19(C)に示すように、固定体側支持部21の突出量規制部23cが接触することによって、固定体側支持部21に対する固定体側嵌合部20の最大後退位置を規制している。図17及び図19に示す誘導部23kは、固定体側嵌合部20に戸側支持部17を誘導する部分である。誘導部23kは、磁力作用部23fの先端角部に形成されている面取りである。
図18(C)及び図19に示す突出量規制部23mは、固定体側嵌合部20の突出量を規制する部分である。突出量規制部23mは、図19(A)に示すように、固定体側接点部19に戸側接点部15が接触していないときの固定体側接点部19の突出量が一定となるように、固定体側嵌合部20が固定体側支持部21から抜け出すのを防止するストッパ部として機能する。突出量規制部23mは、図18(C)及び図19に示すように、固定体側支持部21の先端部の外周部に形成された突出部である。突出量規制部23mは、固定体側嵌合部20の取付部20cの内周部に形成された溝部にスライド自在に嵌合しており、固定体側支持部21の外周面から所定の高さで突出して形成されている。突出量規制部23mは、固定体側嵌合部20のストッパ部23i,23jと当接することによって、固定体側支持部21に対する固定体側嵌合部20の可動範囲を規制し、固定体側嵌合部20の突出量を一定量に規制している。
図18及び図19に示すガイド部25は、固定体側接点部19を側引戸6R,6Lの移動方向に沿ってガイドする部分である。ガイド部25は、図18(C)及び図19に示すように、固定体側支持部21の取付部21aの外周面と接触状態維持部23のストッパ部23iの内周面とをスライド自在に嵌合させるとともに、固定体側嵌合部20の取付部20cの内周面と接触状態維持部23の突出量規制部23mの外周面とをスライド自在に嵌合させて、側引戸6R,6Lの移動方向に固定体側嵌合部20をガイドする。ガイド部25は、固定体側支持部21に対して固定体側嵌合部20をスライド自在に支持することによって、固定体側接点部19を移動自在にガイドしている。
図17及び図19に示す密封部27は、戸側接点部15と固定体側接点部19との間に異物が侵入するのを防止するために、これらの間を密封する部分である。密封部27は、図17(C)に示すように、戸側支持部17の収容凹部17eに着脱自在に嵌め込まれて装着されており、図20(C)に示すように側引戸6R,6Lが閉鎖位置P1で停止して側出入口5を閉鎖しているときに、戸側支持部17の外周部と固定体側嵌合部20の内周部との間の隙間から塵などの異物が内部に入り込むのを防止する。密封部27は、例えば、ニトリルゴムなどからなり断面が円形のOリングのようなシール用リングである。
次に、この発明の第4実施形態に係る信号伝送装置の動作を説明する。
図20(A)に示すように、側引戸6R,6Lが閉じると戸先ゴム7R,7Lが互いに接近し、側引戸6R,6Lと一体となって戸側接点部15が固定体側接点部19に向かって接近する。図20(B)に示すように、戸先ゴム7R,7Lが所定位置P3に到達すると、図19(B)及び図20(B)に示すように戸側接点部15の接触部15aが固定体側接点部19の接触部19aと接触する。このとき、固定体側嵌合部20の中心線に対して戸側支持部17の中心線が僅かにずれていても、磁力作用部23fの誘導部23kと固定体側嵌合部20の誘導部20dとが接触し、固定体側嵌合部20に戸側支持部17が誘導される。このため、固定体側嵌合部20の内周部に密封部27の外周部が嵌合するとともに、戸側接点部15の接触部15aが固定体側接点部19の接触部19aと接合する。その結果、図20(B)に示すように、戸挟み検知装置8R,8Lが出力する戸挟み検知信号が戸挟み検知装置8R,8Lから戸挟み判定装置10に接触部15a,19aを通じて送信可能になる。
図20(B)に示す所定位置P3から閉鎖位置P1に向かって、側引戸6R,6Lがさらに閉じると戸先ゴム7R,7Lがさらに接近する。その結果、磁力作用部23fが磁力作用部23gと接触し、磁力作用部23fが磁力作用部23gに磁力によって吸着する。また、弾性力作用部23aの弾性力に抗して戸側接点部15が固定体側接点部19を押し込み、弾性力作用部23aを圧縮させながら固定体側接点部19が収容部23bにガイドされながら移動する。その後に、弾性力作用部23hの弾性力に抗して固定体側支持部21にガイドされながら固定体側嵌合部20がスライドし、固定体側嵌合部20と固定体側支持部21との間で弾性力作用部23hが圧縮される。図20(C)に示すように、戸先ゴム7R,7Lが閉鎖位置P1に到達すると側引戸6R,6Lが停止して、戸先ゴム7R,7Lが密着した状態になる。このとき、弾性力作用部23a,23hの弾性力によって戸側接点部15の接触部15aと固定体側接点部19の接触部19aとが密着した状態を維持する。このため、戸挟み検知装置8R,8Lが出力する戸挟み検知信号が戸挟み検知装置8R,8Lから戸挟み判定装置10に接触部15a,19aを通じて継続して送信可能になる。
図20(C)に示す閉鎖位置P1から側引戸6R,6Lが開くと、戸先ゴム7R,7Lが互いに離間する。このとき、弾性力作用部23aの弾性力によって戸側接点部15の接触部15aと固定体側接点部19の接触部19aとが密着した状態を維持する。弾性力作用部23hが徐々に伸長し固定体側嵌合部20が固定体側支持部21にガイドされながら移動するとともに、弾性力作用部23aが徐々に伸長し固定体側接点部19が収容部23bにガイドされながら移動する。図20(B)に示すように、戸先ゴム7R,7Lが所定位置P3に到達すると、突出量規制部23mがストッパ部23iと接触し、固定体側支持部21に対する固定体側嵌合部20の進出が規制される。側引戸6R,6Lがさらに開くと、固定体側接点部19の大径部19dが突出量規制部23cに接触するとともに、磁力作用部23fが磁力作用部23gから離間する。このため、戸側接点部15が側引戸6R,6Lと一体となって移動すると、密封部27が固定体側嵌合部20から抜け出すとともに、戸側接点部15が固定体側接点部19から離間し、戸側接点部15の接触部15aと固定体側接点部19の接触部19aとが非接触状態に切り替わる。その結果、戸挟み検知装置8R,8Lから戸挟み判定装置10への戸挟み検知装置8R,8Lが出力する戸挟み検知信号の送信が終了する。
この発明の第4実施形態に係る信号伝送装置には、第1実施形態〜第3実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
この第4実施形態では、戸側接点部15と固定体側接点部19との間に異物が侵入するのを防止するために、これらの間を密封部27が密封する。このため、戸側接点部15と固定体側接点部19との間に異物が浸入してこれらの間に異物が挟み込まれて、戸側接点部15と固定体側接点部19との間に接点不良が発生するのを防止することができる。鉄道車両では側引戸6R,6Lが開いている時間よりも側引戸6R,6Lが閉じている時間のほうが長い。例えば、図20(C)に示す密封部27が存在しない場合には、側引戸6R,6Lが閉鎖位置P1で停止しているときに固定体側嵌合部20と戸側支持部17との間の隙間から異物が浸入するおそれがある。この第4実施形態では、側引戸6R,6Lが閉鎖位置P1で停止しているときに固定体側嵌合部20と戸側支持部17との間の隙間を密封部27が塞ぐため、戸側接点部15と固定体側接点部19との間に異物が挟み込まれるのを防止することができる。
(第5実施形態)
図21に示す信号伝送装置14Lは、戸側接点部15と、戸側支持部17と、固定体側接点部19と、固定体側支持部21と、接触状態維持部23と、リンク機構部28などを備えている。接触状態維持部23は、磁力作用部23f,23gと、弾性力作用部23hと、突出量規制部23mなどを備えている。
弾性力作用部23hは、固定体側接点部19に弾性力を作用させる部分である。弾性力作用部23hは、リンク部材28aが突出量規制部23mと接触する方向にリンク部材28aを付勢しており、リンク部材28aから引張力が作用する引張コイルばねである。弾性力作用部23hは、図21(C)に示すように、戸側接点部15と固定体側接点部19とが接触した状態で所定区間L1に側引戸6R,6Lが位置している間は、この弾性力作用部23hの付勢力に抗して伸長される。弾性力作用部23hは、側引戸6R,6Lが所定区間L1を閉じる方向に移動しているときにはリンク部材28aから作用する引張力によって徐々に伸長し、側引戸6R,6Lが閉鎖位置P1で停止したときに最も伸長される。一方、弾性力作用部23hは、側引戸6R,6Lが所定区間L1を開く方向に移動しているときにはリンク部材28aから作用する引張力が低下して徐々に圧縮する。弾性力作用部23hは、一方の端部がリンク部材28aに連結されており、他方の端部が側出入口5のかもい5aに連結されている。
突出量規制部23mは、固定体側支持部21の突出量を規制する部分である。突出量規制部23mは、図21(A)に示すように、固定体側接点部19に戸側接点部15が接触していないときの固定体側接点部19の突出量が一定となるように、リンク機構部28のリンク部材28aの回転範囲を所定範囲内に規制するストッパ部として機能する。突出量規制部23mは、図21に示すように、側出入口5のかもい5aに固定されており、リンク部材28aの側面と接触及び離間することによって、リンク部材28aの回転範囲を一定範囲に規制している。
リンク機構部28は、固定体側接点部19を側引戸6R,6Lの移動方向に沿って移動させる部分である。リンク機構部28は、戸側接点部15と固定体側接点部19とが接触状態で所定区間L1内に側引戸6R,6Lが位置している間は、この固定体側接点部19をこの側引戸6R,6Lの移動方向に移動させる。リンク機構部28は、リンク装置の一種である平行クランク機構(平行運動機構)を利用して、側引戸6R,6Lの移動方向に対して略平行な直線を描くように固定体側接点部19を平行移動させる。リンク機構部28は、例えば、図21(C)に示す固定体側支持部21の行程Sが20mm以下になるように組み立てられている。リンク機構部28は、リンク部材28a,28bとピン部材28c〜28fなどを備えている。
リンク部材28a,28bは、固定体側支持部21とかもい5aとを連結する部分である。リンク部材28a,28bは、いずれも同一長さであり、平行運動及び回転運動が可能なように互いに平行に配置された一対の板状部材又は棒状部材である。リンク部材28a,28bは、例えば、図21(C)に示すピン部材28c,28eの回転中心とピン部材28d,28fの回転中心との間の距離L2が40mm以上になるように設定されている。リンク部材28a,28bは、このリンク部材28a,28bの上端部が側出入口5のかもい5aに回転自在に連結されており、このリンク部材28a,28bの他端部が固定体側支持部21に回転自在に連結されている。
ピン部材28c〜28fは、リンク部材28a,28bを回転自在に連結する部分である。ピン部材28c〜28fは、リンク部材28a,28b、かもい5a及び固定体側支持部21を回転自在にピン結合(ヒンジ結合)する軸状の部材である。ピン部材28cは、リンク部材28aの上端部とかもい5aとを回転自在に連結し、ピン部材28dはリンク部材28aの下端部と固定体側支持部21とを回転自在に連結する。ピン部材28eは、リンク部材28bの上端部とかもい5aとを回転自在に連結し、ピン部材28fはリンク部材28bの下端部と固定体側支持部21とを回転自在に連結する。ピン部材28cは、固定体側支持部21の上面の先端部寄りに配置されており、ピン部材28eは固定体側支持部21の上面の後端部寄りに配置されている。
次に、この発明の第5実施形態に係る信号伝送装置の動作を説明する。
図21(A)に示すように、側引戸6R,6Lが閉じると戸先ゴム7R,7Lが互いに接近し、側引戸6R,6Lと一体となって戸側接点部15が固定体側接点部19に向かって接近する。図21(B)に示すように、戸先ゴム7R,7Lが所定位置P3に到達すると、戸側支持部17側の磁力作用部23fが固定体側嵌合部20側の磁力作用部23gと接触する。このため、磁力作用部23fが磁力作用部23gに磁気吸引力によって吸着するとともに、戸側接点部15の接触部15aが固定体側接点部19の接触部19aと接触する。その結果、戸挟み検知装置8R,8Lが出力する戸挟み検知信号が戸挟み検知装置8R,8Lから戸挟み判定装置10に接触部15a,19aを通じて送信可能になる。
図21(B)に示す所定位置P3から閉鎖位置P1に向かって、側引戸6R,6Lがさらに閉じると戸先ゴム7R,7Lがさらに接近する。このため、弾性力作用部23hの弾性力に抗して戸側接点部15が固定体側接点部19を押し込み、リンク部材28aが突出量規制部23mから離間する。その結果、リンク機構部28のリンク部材28a,28bがピン部材28c,28eを回転中心として反時計回りに回転し、弾性力作用部23hを伸長させながら固定体側接点部19が固定体側支持部21とともにリンク機構部28によってガイドされながら平行移動する。図21(C)に示すように、戸先ゴム7R,7Lが閉鎖位置P1に到達すると側引戸6R,6Lが停止して、戸先ゴム7R,7Lが密着した状態になる。このとき、弾性力作用部23hの付勢力に抗して戸側接点部15の接触部15aと固定体側接点部19の接触部19aとが密着した状態を維持する。このため、戸挟み検知装置8R,8Lが出力する戸挟み検知信号が戸挟み検知装置8R,8Lから戸挟み判定装置10に接触部15a,19aを通じて継続して送信可能になる。
図21(C)に示す閉鎖位置P1から側引戸6R,6Lが開くと、戸先ゴム7R,7Lが互いに離間する。このとき、弾性力作用部23hの付勢力によって戸側接点部15の接触部15aと固定体側接点部19の接触部19aとが密着した状態を維持しつつ、リンク部材28a,28bがピン部材28c,28eを回転中心として時計回りに回転する。このため、弾性力作用部23hが徐々に圧縮し固定体側接点部19が固定体側支持部21とともにリンク機構部28によってガイドされながら平行移動する。図21(B)に示すように、戸先ゴム7R,7Lが所定位置P3に到達すると、突出量規制部23mにリンク部材28aと接触し、固定体側支持部21及び固定体側接点部19の進出が規制される。側引戸6R,6Lがさらに開くと磁力作用部23fが磁力作用部23gから離間して、戸側接点部15も固定体側接点部19から離間し、戸側接点部15の接触部15aと固定体側接点部19の接触部19aとが非接触状態に切り替わる。その結果、戸挟み検知装置8R,8Lから戸挟み判定装置10への戸挟み検知装置8R,8Lが出力する戸挟み検知信号の送信が不可能になる。
この発明の第5実施形態に係る信号伝送装置には、第1実施形態〜第4実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
この第5実施形態では、固定体側接点部19を側引戸6R,6Lの移動方向に沿ってリンク機構部28が移動させ、戸側接点部15と固定体側接点部19とが接触した状態で所定区間L1内に側引戸6R,6Lが位置している間は、この固定体側接点部19をこの側引戸6R,6Lの移動方向にリンク機構部28で移動させる。このため、車両2のような振動の激しい場所であっても側引戸6R,6Lの移動に追従して固定体側接点部19をリンク機構部28によってガイドしながら正確に移動させることができ、戸側接点部15と固定体側接点部19とを接触状態に維持することができる。
(第6実施形態)
図22及び図23に示す戸挟み判定装置10は、図3(A)に示すような介在物O2の可動扉32R,32Lへの挟み込みの有無を判定する装置である。図22及び図23に示す制御装置12は、ホームドア装置30に関する種々の動作を制御する装置である。制御装置12は、例えば、ホームドア装置30の各種機器を一括して管理する駅集中管理システムであり、駅員が専用する駅機器室内に設置されている。制御装置12は、車両2側とホーム29側との間で相互に通信可能であり、車両2の側引戸6R,6Lの開閉動作に連動してホームドア装置30の可動扉32R,32Lを開閉動作するように、ホームドア装置30の可動扉32R,32Lを開閉駆動する戸閉め機械を制御する。制御装置12は、例えば、図3(A)に示すように戸挟み判定装置10が戸先ゴム7R,7L間に介在物O2が挟み込まれていると判定し戸挟み判定信号を出力したときには、可動扉32R,32Lを再開するように戸閉め機械を駆動制御する。図22及び図23に示す表示装置13は、ホームドア装置30に関する種々の情報を表示する装置である。表示装置13は、ホームドア装置30の各可動扉32R,32Lの動作状況をモニタ画面上に表示し、介在物O2の挟み込みの有無を可動扉32R,32L毎に駅員が視覚によって認識可能なように画面上に表示する。
信号伝送装置14R,14Lは、戸側接点部15と固定体側接点部19とを接触させて、可動扉32R,32Lと固定壁31との間で戸挟み検知信号を伝送する装置である。信号伝送装置14R,14Lは、図1〜図21に示す信号伝送装置14R,14Lと同一構造である。図22及び図23に示す信号伝送装置14R,14Lは、戸挟み検知装置8R,8Lが出力する戸挟み検知信号を可動体である可動扉32R,32L側から固定壁31側に伝送する。信号伝送装置14R,14Lは、図22に示すように、可動扉32R,32Lが所定区間L1を移動している間は、戸側接点部15と固定体側接点部19とを接触させた状態で戸挟み検知装置8R,8Lから制御装置12に戸挟み検知信号を伝送する接触型の伝送装置である。図22及び図23に示す信号伝送装置14R,14Lは、いずれも同一構造であり、信号伝送装置14Rは可動扉32R側の戸挟み検知装置8Rが出力する戸挟み検知信号を戸挟み判定装置10に伝送し、信号伝送装置14Lは可動扉32L側の戸挟み検知装置8Lが出力する戸挟み検知信号を戸挟み判定装置10に伝送する。
戸側接点部15は、可動扉32R,32Lとともに往復移動する可動接点である。戸側接点部15は、固定体側接点部19に対して相対移動し、可動扉32R,32Lの開閉動作に連動して固定体側接点部19と接触及び離間する。戸側接点部15は、例えば、可動扉32R,32Lの上縁部に戸側支持部17によって取り付けられている。固定体側接点部19は、固定壁31に固定される固定接点である。固定体側接点部19は、戸側接点部15とは異なり可動扉32R,32Lとともに往復移動せず、可動扉32R,32Lの開閉動作に応じて戸側接点部15が接触及び離間する。固定体側接点部19は、例えば、固定壁31の内部に固定体側支持部21によって取り付けられている。
接触状態維持部23は、可動扉32R,32Lが所定区間L1内に位置している間は、戸側接点部15と固定体側接点部19とを接触状態に維持する部分である。接触状態維持部23は、戸挟み検知装置8R,8Lが出力する戸挟み検知信号が戸側接点部15から固定体側接点部19に伝送するように、戸側接点部15と固定体側接点部19とを接触状態に維持する。接触状態維持部23は、図1〜図21に示す接触状態維持部23と同一構造である。
図22及び図23に示すホーム(プラットホーム)29は、乗客の乗降を目的として軌道1に沿って設けられた設備(乗降場)である。ホーム29は、車両2を停止させて乗客を乗降させる旅客駅などの停車場に設けられている。ホーム29は、乗客が歩行するホーム床面29aなどを備えている。
ホームドア装置30は,軌道側領域とホーム側領域とを開閉する装置である。ここで、軌道側領域とは、乗客の立ち入りを制限する立入制限領域であり、車両2への乗降時以外には乗客の通行が制限されているが、車両2への乗降時などには乗客の通行が一時的に許可される領域である。ホーム側領域とは、乗客の立ち入りを許容する立入許容領域であり、乗客の自由な通行が常時許容されている。ホームドア装置30は、軌道側領域とホーム側領域とを区画する境界線上に沿って配置されている。ホームドア装置30は、走行する車両2に乗客が接触するのを防止する目的でホーム縁端部の近くに敷設された白色タイルの列である白線の外側、又は視覚障害者の歩行を支援する目的でホーム縁端部の近くに敷設される警告ブロック(誘導ブロック)の外側に配置されている。ホームドア装置30は、例えば、図22に示すように、車両2がホーム29に停車して側引戸6R,6Lが開放状態であるときには、乗客が軌道側領域に進入可能なようにこの軌道側領域を開放する。一方、ホームドア装置30は、例えば、図23に示すように、車両2がホーム29に停車して側引戸6R,6Lが開状態になる前及びホーム29に停車している車両2の側引戸6R,6Lが閉鎖状態になるときには、乗客が軌道側領域に立入不可能なようにこの軌道側領域を閉鎖する。図22及び図23に示すホームドア装置30は、ホーム29を軌道側領域とホーム側領域とに区切るホームパーティションシステムとして機能する。ホームドア装置30は、固定壁31と可動扉32R,32Lなどを備えている。ホームドア装置30は、車両2が進入する側のホーム29の端部から、車両2が進出する側の端部に向かって連続して配置されている。
固定壁31は、軌道側領域とホーム側領域とを区画する境界線上に固定される部分である。固定壁31は、軌道側領域とホーム側領域との間に存在する固定構造物である。固定壁31は、ホーム29に停車した車両2の隣り合う側出入口5の間を閉鎖するように、これらの側出入口5間に対応して配置されている。固定壁31は、ホーム29から軌道1上に乗客が転落するのを防止する安全柵として機能する。固定壁31は、ホーム縁端部から20〜30cm程度離してホーム床面29a上に設置されている金属製の壁部である。固定壁31は、可動扉32R,32Lを開閉自在に戸袋に収容するとともに、この可動扉32R,32Lを開閉駆動するための駆動機構部などを戸袋に収容する。
可動扉32R,32Lは、閉鎖位置P1と開放位置P2との間で往復移動可能な側戸である。可動扉32R,32Lは、軌道側領域とホーム側領域との間に存在する可動構造物である。可動扉32R,32Lは、互いに反対方向に開閉する2枚の両引戸であり、車両2の側引戸6R,6Lの開閉動作に連動して開閉する。可動扉32R,32Lは、側引戸6R,6Lが側出入口5を開放するときには固定壁31内に収容される。この第6実施形態には、第1実施形態〜第5実施形態と同様の効果がある。
(他の実施形態)
この発明は、以上説明した実施形態に限定するものではなく、以下に記載するように種々の変形又は変更が可能であり、これらもこの発明の範囲内である。
(1) この実施形態では、車両2及びホームドア装置30を例に挙げて説明したが、自動車、航空機又は船舶などの他の交通輸送機関やエレベータ又は自動ドアなどの開閉装置についてもこの発明を適用することができる。また、この実施形態では、可動体が側引戸6R,6L又は可動扉32R,32Lであり、固定体がかもい5a又は固定壁31である場合を例に挙げて説明したが、可動体及び固定体をこれらの部材に限定するものではない。例えば、固定体に対して可動体が相対移動する場合に可動体側から固定体側に信号を伝送する場合についても、この発明を適用することができる。さらに、この実施形態では、側引戸6R,6L又は可動扉32R,32Lのような両引戸を例に挙げて説明したが、一方向に開閉する1枚または複数枚の引戸、回転により開閉可能な開戸、複数に折り畳み可能な折戸、車体の出入口に嵌り込むプラグドア、又は室内外の圧力差を保持可能な気密仕切戸などについてもこの発明を適用することができる。
(2) この実施形態では、戸挟み検知装置8R,8Lが戸先ゴム7R,7Lの弾性変形を電気信号に変換して戸挟みの有無を検知する圧電式検知装置である場合を例に挙げて説明したが、戸先ゴム7R,7L内の空気圧の変化を電気信号に変換して戸挟みの有無を検知する空気圧式検知装置である場合についてもこの発明を適用することができる。また、この実施形態では、戸先ゴム7R,7Lに戸挟み検知装置8R,8Lをそれぞれ配置する場合を例に挙げて説明したが、戸先ゴム7R,7Lのいずれか一方に戸挟み検知装置8R,8Lを1つ配置し、信号伝送装置14R,14Lのいずれか一方を省略することもできる。さらに、この第1実施形態では、戸側支持部17及び固定体側支持部21の双方に切替タイミング調整部24を配置する場合を例に挙げて説明したが、戸側支持部17及び固定体側支持部21の一方に切替タイミング調整部24を配置することもできる。
(3) この第1実施形態、第2実施形態及び第4実施形態〜第6実施形態では、弾性力作用部23a,23hが固定体側接点部19に弾性力を作用させているが、戸側接点部15に弾性力を作用させたり、戸側接点部15及び固定体側接点部19に弾性力を作用させたりすることもできる。また、この第1実施形態、第4実施形態及び第6実施形態では、戸側接点部15の接触部15aを円板状に形成し固定体側接点部19の接触部19aがピン状に形成する場合を例に挙げて説明したが、戸側接点部15の接触部15aをピン状に形成し、固定体側接点部19の接触部19aを円板状に形成することもできる。さらに、この第2実施形態では、ガイド部25によって固定体側接点部19をガイドしているが、固定体側接点部19に替えて戸側接点部15をガイドしたり、戸側接点部15及び固定体側接点部19をガイドしたりすることもできる。
(4) この第2実施形態、第4実施形態及び第5実施形態では、磁力作用部23f側を磁性体で構成し磁力作用部23g側を永久磁石に構成する場合を例に挙げて説明したが、このような構成に限定するものではない。例えば、磁力作用部23f側を永久磁石に構成し磁力作用部23g側を磁性体に構成したり、磁力作用部23f,23gを永久磁石に構成したり、永久磁石ではなく電磁石によって構成したりすることもできる。また、この第3実施形態では、全部が互いに噛み合う噛み合い部15c,19eを戸側接点部15及び固定体側接点部19が備える場合を例に挙げて説明したが、一部が互いに噛み合う噛み合い部15c,19eを戸側接点部15及び固定体側接点部19が備える場合についてもこの発明を適用することができる。また、この第3実施形態では、噛み合い部15cが曲線状の凸部であり、噛み合い部19eが曲線状の凹部である場合を例に挙げて説明したが、噛み合い部15cが曲線状の凹部であり、噛み合い部19eが曲線状の凸部である場合についてもこの発明を適用することができる。さらに、この第3実施形態では、噛み合い部15cが曲線状の凸部であり、噛み合い部19eが曲線状の凹部である場合を例に挙げて説明したが、噛み合い部15c,19eを互いに噛み合い可能な凹凸部や山形部及び谷形部に形成することもできる。
(5) この第5実施形態では、リンク機構部28によって固定体側接点部19を移動させているが、固定体側接点部19に替えて戸側接点部15を移動させたり、戸側接点部15及び固定体側接点部19を移動させたりすることもできる。また、この第5実施形態では、弾性力作用部23hとして引張コイルばねを使用してリンク部材28aとかもい5aとを引張コイルばねによって連結する場合を例に挙げて説明したが、弾性力作用部23hとして圧縮コイルばねを使用して固定体側支持部21の後端面とかもい5aとを圧縮コイルばねによって連結することもできる。さらに、この第6実施形態では、戸挟み検知装置8R,8Lが出力する戸挟み検知信号を戸側接点部15から固定体側接点部19に伝送する場合を例に挙げて説明したが、可動扉32R,32Lの状態を検知する状態検知装置が出力する出力信号(状態検知信号)を戸側接点部15から固定体側接点部19に伝送することもできる。