JP6490664B2 - 有機電極材料を用いた水溶液系エネルギー貯蔵装置 - Google Patents

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Description

関連出願との相互参照
この出願は、「有機電極材料を用いた水溶液系エネルギー貯蔵装置」との題名で2013年4月10日に出願した合衆国仮特許出願第61/810,599に基づく優先権を主張し、参照により、ここにこの全文を本出願に援用する。
連邦政府が出資している研究又は開発に関しての記述
本発明は、合衆国エネルギー省による「安全で堅固なエネルギー貯蔵のための高エネルギーの新規な有機負極を備えた水溶液系リチウムイオン電池」(補助金番号:DE−AR0000380)と題した政府の補助を一部受けて行われている。政府はこの発明における明白な権利を有する。
発明の分野
本発明は、二次電池、或いは再充電可能な電池に関するものである。特に、水系電解液を含み、電極に少なくとも一種類の有機材料を用いた電池に関する。
背景
一般に、商業利用や工業利用のための電池技術、とりわけ自動車の設計においては、水溶液系金属イオン電池(AMIB)が電位の改善を示している。典型的な水溶液系電池は、電極の重量に基づくエネルギー密度が既に約75Wh/kgを示している。しかしながら、このパラメーターは依然として、使用目的に特有の要求だけでなく、政府や規制によって推奨される様々な測定法を満たすのに必要な比エネルギー密度未満である。さらに、非水溶液系のリチウムイオン電池(LIB)にて用いる正極材料は、ものによっては水系電解液中でおおむね安定であることが既に示されている。層状のLiCoOやスピネル構造のLiMnなど、リチウム系の典型的な正極材料は、充電/放電速度が速く可逆性が良好で、理論値に迫る容量を示している。しかしながら、水溶液系リチウムイオン電池(ALIB)を含む水溶液系金属イオン電池において、インターカレーション化合物系の負極を用いた場合、大半を占める電解液内に物質が溶解することと、放電状態でOによって酸化することとに起因し、サイクル性能が不十分であった。これまでのところ、高エネルギー密度の電池での作動で満足のいくサイクル性能を示す負極材料を作り出すことが、水溶液系金属イオン電池全体を商用化するための技術的な障害となっている。
要約
ここに開示する発明のひとつは、少なくとも一種類の有機電極材料を含む少なくとも一つの電極を備えた水溶液系金属イオン電池であり、有機電極材料は電気活性のある有機化合物を含むものとする。さらに開示しているのは、少なくとも一種類の有機電極材料を含む第一の電極と、金属イオンを挿入して引き抜いたり、金属イオンを配位して外す能力のある第二の金属とを備えた水溶液系金属イオン電池である。第一の電極は、カルボニル化合物から選んだ少なくとも一種類の有機電極材料を含むものとする。
さらに開示しているのは、水溶液系電池を製造する方法であって、金属イオンを挿入して引き抜いたり、金属イオンを配位して外す能力のある電極を作成する工程と、金属イオンを挿入して引き抜いたり、金属イオンを配位して外す能力のある電極を水系電解液と接触させる工程と、少なくとも一種類の有機電極材料を含む電極を作成する工程と、少なくとも一種類の有機電極材料を含む電極を水系電解液と接触させる工程と、二つの電極間に電流を流す工程とを含むものである。少なくとも一種類の有機電極材料を含む電極は、電気活性のあるカルボニル基を有する一種類の有機電極材料、或いは有機電極材料の混合物を含むものとする。
ここに開示する実施例の詳細な説明のために、ここで添付の図面を参照する。
図1は、水溶液系金属イオン電池向けの電極材料として条件を満たす有機電極材料(OEM)の代表的な分子構造を示している。 図2は水における酸素/水素の発生電位をpHに対して示すとともに、これと対照させて水溶液系リチウムイオン電池向けの従来技術の負極材料(左側)と本願で開示する有機カルボニル化合物(OCC)(右側)の電位と容量を示している。 図3は、典型的な有機電極材料の分子構造を示す。 図4は、1C(クーロン)の充電と放電に対して、三電極電池内で測定したpH14の2.0M LiSO水溶液中でのPAQSの充電−放電の分析結果を示す。 図5は、1Cの充電と放電に対して、中性(pH7)とアルカリ性(pH14)におけるアルカリ金属塩系の電解液([M]=5M)中でのPAQSの容量とサイクル安定性との比較を示す。 図6は、1Cの充電と放電に対して、pH14における2.0M TEACl水溶液中でのPAQSのサイクル性能を示す。 図7は、1Cの充電と放電に対して、三電極電池内で測定したpH7の2.5M LiSO水溶液中でのPBDTDの充電−放電の分析結果を示す。 図8は、1Cの充電と放電に対して、pH7における2.5M LiSO水溶液中でのPBDTDのサイクル性能を示す。 図9は、1Cの充電と放電に対して、負極としてPBDTD、正極としてLiMnを含み、電解液として2.5M LiSO水溶液(pH7)を用いた完全な電池の充放電の分析結果を示す。 図10は、1Cの充電と放電に対して、pH7におけるナトリウム塩/アルカリ土類金属塩系の電解液(それぞれ[Na]=5Mと[M2+]=2.5M)中でのPBDTDの容量とサイクル安定性との比較を示す。 図11は、充電と放電の両方で同じ速度に対して、pH7における2.5M LiSO水溶液中でのPBDTDの充放電特性を示す。 図12は、1Cの充電と放電に対して、三電極電池内で測定したpH13での2.5M LiSO水溶液中でのPBDTDSの充電−放電の分析結果を示す。 図13は、充電と放電の両方で同じ速度に対して、pH13における2.5M LiSO水溶液中でのPBDTDSの充放電特性を示す。 図14は、10Cの充電と放電に対して、pH13における2.5M LiSO水溶液中でのPBDTDSのサイクル性能を示す。 図15は、5Cの充電と放電に対して、負極としてPBDTDS、正極としてLiCoOを含み、電解液として2.5M LiSO水溶液を持っている完全な電池の充電−放電の分析結果を示す。 図16は、中性(pH7)とアルカリ性(pH13)の状態において、リチウム塩系の電解液([Li]=5M)中でのPBDTDSの容量とサイクル安定性との比較を示す。 図17は、1Cの充電と放電に対して、三電極電池内で測定したpH7における2.5M LiSO水溶液中でのPBFFDの充電−放電の分析結果を示す。 図18は、1Cの充電と放電に対して、三電極電池内で測定したpH7における2.5M LiSO水溶液中でのPBFFDSの充電−放電の分析結果を示す。 図19は、1Cの充電と放電に対して、三電極電池内で測定したpH13における2.5M LiSO水溶液中でのPPQの充電−放電の分析結果を示す。 図20は、1Cの充電と放電に対して、pH13における2.5M LiSO水溶液中でのPPQのサイクル性能を示す。 図21は、1Cの充電と放電に対して、三電極電池内で測定したpH7における2.5M LiSO水溶液中でのPPTOの充電−放電の分析結果を示す。 図22は、1Cの充電と放電に対して、三電極電池内で測定したpH7における2.5M LiSO水溶液中でのPNDIの充電−放電の分析結果を示す。 図23は、1Cの充電と放電に対して、三電極電池内で測定したpH7における2.5M LiSO水溶液中でのPNDIEの充電−放電の分析結果を示す。 図24は、充電と放電の両方で同じ速度に対して、pH7における2.5M LiSO水溶液中でのPNDIEの充放電特性を示す。 図25は、10Cの充電と放電に対して、pH7における2.5M LiSO水溶液中でのPNDIEのサイクル性能を示す。 図26は、1Cの充電と放電に対して、pH7におけるナトリウム塩/マグネシウム塩系の電解液(それぞれ[Na]=5Mと[Mg2+]=2.5M)中でのPNDIEの容量とサイクル安定性との比較を示す。 図27は、1Cの充電と放電に対して、三電極電池内で測定したpH7における2.5M LiSO水溶液中でのPNDIBの充電−放電の分析結果を示す。 図28は、1Cの充電と放電に対して、三電極電池内で測定したpH7における2.5M LiSO水溶液中でのPPDIEの充電−放電の分析結果を示す。
概要
一般的に、電気エネルギー貯蔵装置はコンデンサや電池を含む。これらは両方とも様々に利用できるとはいえ、コンピューター産業や電気自動車産業においてはサイクル性とエネルギー密度/電力密度を考えると電池が好ましい。電池、とりわけ二次電池や再充電可能な電池は、充電中において電気エネルギーを化学エネルギーに変換する性能と、放電中において化学エネルギーを電気エネルギーに変換する性能とを持つ一つ以上の電気化学的電池(セル)で構成されている。多くの従来型電池は、作動時に、正極と負極は放電中に充電で回復可能な組成の変化を受ける。電極を電気的に結合するよう媒介するものは、電解液である。現在は、水性溶媒/非水性溶媒中の塩、塩基、酸の溶液を二次電池の電解液として用いている。
本発明は、水系電解液の電池の構造に関する。水系電解液の電池には、有機電解液系の電池構造では利用できないような設計上の選択肢が複数存在しうる。この選択肢としては例えばリチウムイオン電池が挙げられるが、これに限らない。より具体的に言うと、水溶液系金属イオン電池は、リチウムイオン電池と比較して、自動車の設計においてシステム費用を抑えながら安全性と順応性を改善してきた。なぜならば、水溶液系リチウムイオン電池(ALIB)を含む水溶液系金属イオン電池は、従来のリチウムイオン電池の高い可逆的なイオン相互作用の原理を用いるものの、水系電解液が安価で不燃性であるからである。
さらにまた本発明は、有機カルボニル化合物などこれに限定しない有機電極材料を用いた少なくとも一つの電極を備えた電池構造に関している。本発明の有機電極材料は、負極と正極の両方として機能するように用いることもできるが、リチウム混合酸化物などこれに限定しない既存の正極材料と負極材料と合わせて用いることもできる。これらの構造において、水溶液系金属イオン電池に有機電極材料を用いることにより、無機と有機とが混成した酸化還元対が得られる。ここで開示するように、このような酸化還元対によれば、単位質量当たりの電力密度と単位体積当たりの電力密度についての何らかの技術的性能の目標値を満たすことができるように思われる。さらにまた、これらの特性は少なくとも一つの有機電極を含む水溶液系金属イオン電池構造において維持できる。従って、ここで開示する有機電極を用いた水溶液系金属イオン電池構造は、サイクル性能とエネルギー密度/電力密度を減らさずに、バッテリー製造費用を更に削減することができる。
有機電極の材料
図1は、水溶液系金属イオン電池向けの電極材料として用いる典型的な有機電極材料の代表的な分子構造を示す。一般的に、有機カルボニル化合物は、水溶液系金属イオン電池向けの負極材料として用いられている。有機カルボニル化合物は、可逆的に還元可能なR−C(=O)−R’基を備えていることが特徴である。ふさわしい有機カルボニル化合物は、図1に示す少なくとも一つの構造式をもつものである。その構造式は、(I)複数の電気活性の中心がポリマー/オリゴマー部分に結合する構造と、(II)複数の電気活性の中心がリンカーを間に挟んでつながる構造と、(III)複数の電気活性の中心が互いに直接つながる構造の三つである。構造式(I)、(II)、(III)において、活性中心はカルボニル基を含む。構造式(I)に関しては、鎖は任意のポリマー或いはオリゴマーを含んでいる。同様に、構造式(II)において、Lは以下からなる群から選んだ部位とする。ジカルボニル、NH、O、S、CH、(CH)、(CH)、(CH)、(CH)、随意に置換した5〜6員環のアリール基/ヘテロアリール基、随意に置換した5〜6員環のアリール基/ヘテロアリール基の同じものか異なるもの二つを含むビアリール。これに限定はしないが、「n」は分子式での繰り返し単位の平均数を示している。繰り返しの平均数は少なくとも2とする。
図1はまた、有機カルボニル化合物の三つの構造式(I)〜(III)内に収める典型的な活性中心の構造(a)〜(m)を示す。活性中心の構造(a)〜(m)において、Arは、以下からなる群から選んだ少なくとも一つの部位とする。ナフタレン、ペリレン、随意に置換した5〜6員環のアリール基/ヘテロアリール基、随意に置換した同一あるいは異なる二つの5〜6員環のアリール基/ヘテロアリール基を含むビアリール。同様に、活性中心(a)〜(m)において、Rは、H、CH、Cから選んだ少なくとも一つの部位を含むものとする。
これらの有機カルボニル化合物は、一般的に、還元状態であっても不溶性であり、有機電解液と水系電解液の両方において安定した容量維持性能を示す。用いることのできる電気活性部位としては、これらに限定しないが、1,4−ベンゾキノン、1,2−ベンゾキノン、1,2−ビカルボニル、ジイミド、さらにこれらの誘導体が挙げられる。有機カルボニル化合物の性質を微調整するよう芳香環を組み込むことができる。特定の理論によって限定するわけではないが、有機化合物の構造の多様性と構造設計の戦略があれば、広い範囲において酸化還元電位を予測して調整して特定の装置の必須要件を満たすことが可能になる。これらの構造の還元型が金属イオンに配位したものは、(電気)化学的な還元を経由して合成することもできれば、充電−放電中にその場で形成されることもあるが、そのような還元体もまた本発明の範囲内にある。ここに開示している有機カルボニル化合物は、水溶液系リチウムイオン電池向けの電極材料として用いることのできる特性を持たせることができる。上に注記したように、これらの有機電極材料は、単に代表的なものに過ぎず、それに関連した有機電極材料の構造も本発明の範囲内にあると考える。
有機電極の電位
次に図2を参照してみると、典型的な水系電解液モデル(この場合は水である)のO/H発生の電位をpHに対して図示している。より具体的に言うと、水の熱力学的安定性を実線で示し、ガス発生のための過電位を考慮した水系電解液の速度論的に安定な範囲を破線で示している。本発明の典型的な実施例として、有機電極材料はpH7における速度論的に安定な(ガス発生のための過電位を含めた)範囲内の電位になるように選択して構成する。
図1に示した有機カルボニル化合物の電気化学特性を表1にまとめる。典型的な有機カルボニル化合物としては、アントラキノン(AQ)、ベンゾフロ[5,6−b]フラン−4,8−ジオン(BFFD)、2、5−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノン(DMBQ)、ポリ(2,5−ジヒドロキシ−1,4−ベンゾキノニルスルフィド)(PDBS)、ポリ(ピロメリット酸ジイミド)(PI)、5,7,12,14−ペンタセンテトロン(PT)、ピレン−4,5,9,10−テトラオン(PTO)が挙げられるが、これに限定しない。
(表1)有機カルボニル化合物の電気化学的な特性
Figure 0006490664
さらに図2を参照すると、既知の金属酸化物の電極と典型的な有機電極材料の電位を比容量の関数として示している。一般的に言って、金属酸化物の電極が示す比容量は200mAh/gを超えない。従来から、水溶液系リチウムイオン電池には金属酸化物の電極が用いられている。しかしながら、有機電極材料の比容量は200mAh/gよりも大きい。図1では、典型的な有機電極材料として、先述の有機カルボニル化合物を含んでいる。従って、ここで開示している有機電極材料を用いて構成した電池によれば、電池の比容量を増やす方法が得られる。
(表2)有機電極材料の電気化学的な特性
Figure 0006490664
電極と電池の製造
少なくとも一種類の有機電極材料を含む混合物で支持体をコーティングすることにより、有機電極材料の電極を製造する。一般的に、混合物を支持体にコーティングし、その混合物の加圧或いは乾燥のいずれかまたは両方を行って電極を形成する。別の方法として、混合物を箔、又は発泡体、又は網と接した状態にして圧縮することも可能である。さらに具体的に言えば、混合物は、少なくとも一つの有機電極材料と、伝導性炭素と、少なくとも一種類のフッ素重合体との分散系とする。構成によっては、混合物は極性溶媒を含むものとし、その極性溶媒は、例えばN−メチル−2−ピロリジン(NMP)、エタノール、イソプロパノールとするが、これに限らない。いくつかの典型的な有機電極材料の電気化学的な特性を、表2にまとめる。
混合物は、有機電極材料と、伝導性炭素と、フッ素重合体との分散系とする。有機電極材料の濃度は、約20重量%から約90重量%までとし、構成によっては、約30重量%から約80重量%までとする。伝導性炭素の濃度は、約5重量%から約75重量%までとし、構成によっては、約10重量%から約60重量%までとする。フッ素重合体の濃度は、約1重量%から約30重量%までとし、構成によっては、約5重量%から約25重量%までとする。フッ素重合体は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)とポリテトラフルオロエチレン(PTFE)から選んだ少なくとも一種類とすることができる。
支持体は、電気の集電体となるように構成する。電気の集電体の実施例としては、限定しないが、金属箔、又は金属発泡体、又は金属網がある。箔、又は発泡体、又は網の金属は、少なくとも一種類の遷移金属からなる。遷移金属は、VIB族、VIIB族、VIII族、IB族、IIB族、IIIA族(6族、7族、8〜10族、11族、12族、13族)の金属とする。構成によっては、箔、又は発泡体、又は網はニッケル(Ni)などこれに限定しないVIII族(8〜10族)の金属で構成し、別の方法として、箔、又は発泡体、又は網はアルミニウム(Al)などこれに限定しないIIIA族(13族)の金属で構成するものとする。さらにまた、上に挙げた族に含まれる遷移金属から選んだ第二の金属により、箔、又は発泡体、又は網をコーティングすることも可能である。同様に第二の金属も、ニッケル(Ni)などこれに限定しないVIII族(8〜10族)の金属とする。別の構成として、箔、又は発泡体、又は網は、ステンレス鋼で構成することも可能である。
一般的に、混合物で支持体をコーティングし、その混合物の加圧或いは乾燥のいずれかまたは両方を行って有機電極材料電極を形成する。別の方法として、乾燥より先に、混合物を支持体の中に押し入れることも可能である。場合によっては、圧力を利用することにより発泡体状の支持体の中や網状の支持体の中へ混合物を押し入れる。例えば、この圧力の付与としては、混合物の注入や、網又は発泡体の圧縮や、(乾燥した)混合物を充填した網又は発泡体の圧縮が挙げられる。圧力の大きさの範囲は0.3MPaから2.0MPaを含むが、これに限定されない。
有機−金属イオンのハイブリッド電池
構成によっては、ここに開示している電極材料は、水溶液系金属イオン電池において用いることができるように構成することも可能である。このような構成では、電池には金属イオンによる挿入や金属イオンへの配位が可能な電極を設けるものとする。その金属イオンは、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)と、場合によってはアルミニウム(Al)からなる群から選んだ少なくとも一種類とする。繰り返しになるが、特定の理論によって限定するわけではないが、このように構成した電池は金属イオン電池の電極の持つ化学的特徴を活用した一群の電気化学的な酸化還元対を用いており、商業的利用での水溶液系金属イオン電池に必要となる技術的性能パラメータを満たすことのできる確実で高容量の電極材料を得ることができる。
対向電極(カウンター電極)の製造
金属イオンを挿入して引き抜いたり、金属イオンを配位して外す能力のある化合物を含む対向電極を用いることができる。一般的に、対向電極は、金属イオンを挿入して引き抜いたり、金属イオンを配位して外す能力のある化合物を、約50重量%と約100重量%の範囲で含むものとし、他の方法では、対向電極は、金属含有化合物を約60重量%と約95重量%の範囲で含むものとする。水溶液系リチウムイオン電池の作製に用いる、金属イオンを挿入して引き抜いたり、金属イオンを配位して外す能力のある代表的な化合物としては以下の化合物が挙げられるが、これに限定しない。LiCoO、LiMn、LiNi1/3Co1/3Mn1/3、LiNi0.8Co0.15Al0.05、リチウム含有量の多い混合酸化物、LiNi0.5Mn1.5Ni(OH)、MnO、カルボニル化合物、有機硫黄化合物、ラジカル化合物、非共役高分子、これらの組み合わせ。対向電極は例えば、上に述べたような混合物を用いた手法で作製する。さらにまた、一種類のリチウム塩か、あるいは何種類かのリチウム塩の混合物の水溶液を電解液として用いる。そのリチウム塩は、例えばLiNO、LiSO、LiCl、LiOH([Li]=0.5〜14.0M)であるが、これに限定しない。
構成によっては、ここで開示している電池はリチウムイオン電池の正極の持つ化学的特徴を活用した一群の電気化学的な酸化還元対を用いており、商業的利用での水溶液系リチウムイオン電池に必要な何がしかの技術的性能パラメータを満たすことのできる確実で高容量の負極材料を得ることが可能である。ふさわしく、安価で、高エネルギーないくつかの典型的有機電極材料を図3に示す。LiMn/PAQSの典型的な電気化学的酸化還元対は、次の化学反応式1[式1]と化学反応式2[式2]とで示す反応が起こる。
[式1](負極):C14S(PAQS)+xLi+xe⇔C14SLix
(〜0.8Vvs.Ag/AgCl)
[式2](正極):LiMn⇔LiMn+xLi+xe
(〜1.0Vvs.Ag/AgCl)
具体的に言うと、水系電解液は、溶質として少なくとも一つの金属塩と、少なくとも90重量%の水を含む水性溶媒とからなる。水系電解液のpHは、約pH2と約pH15の間とすることができる。別の方法としては、水系電解液のpHは、約pH6と約pH14の間とすることができる。さらに別の構成として、電解液は最も安定した電極の働きを維持するために選ぶことが可能であるとし、その電極は、金属イオンを挿入して引き抜いたり、金属イオンを配位して外す能力のある正極と、有機電極材料の電極とを含むものとする。
さらにまた、化学構造、分子量、有機電極材料の結晶化度の操作により、とりわけ物理的損傷又は熱暴走の例において、安定性、構造安定性を増加させることができる。従って、ここで開示している有機電極材料は、自動車や産業など、商業利用において特別な保護を必要としないような水溶液系金属イオン電池に組み込むことも可能である。さらにまた、本発明においては電池の構造が多機能である。有機電極材料の安定性と、二次電池、すなわち再充電可能な電池である水溶液系金属イオン電池における電解質の調整のしやすさとに関連して言えば、この電池は構造部材として構成することも可能である。典型的な構造部材としては、電気的、機械的な設備の骨格、支持体、トラス、筐体などの部品が挙げられる。
本発明の様々な説明に役立つ実施例をさらに示すために、以下に例を挙げる。
例1:PAQS(図3aを参照)
PAQS(70重量%)、Super-P carbon(20重量%)、ポリテトラフルオロエチレン(10重量%)の混合物を、ステンレス鋼の網へ押し入れ、作用電極を形成した。LiSO(2.0M)とLiOH(1.0M)との水溶液で濡らしたガラス繊維紙を、作用電極と対向電極として機能する活性炭布の一片との間に配置した。三電極のコイン電池を組み立てると、Ag/AgClに対して−0.80Vの平均還元電位を示した(図4)。ナトリウム(2.0M NaCl+1.0M NaOH)/カリウム(2.0M KCl+1.0M KOH)塩系の電解液において働く際に、PAQSは可逆的なサイクル性能を示した(図5)。とりわけ、テトラエチルアンモニウム(TEA)(2.0M TEACl+1.0M TEAOH)を用いたとき、(充電と放電の両方で)1Cに対して50サイクルの後に顕著な容量の減少は観察されなかった(図6)。中性のリチウム塩系の電解液(2.5M LiSO)を用いたときは、より低い容量になった。
例2:PBDTD(図3bを参照)
PBDTD(30重量%)、Super-P carbon(60重量%)、ポリテトラフルオロエチレン(10重量%)の混合物を、ステンレス鋼の網へ押し入れ、作用電極を形成した。LiSO水溶液(2.5M)で濡らしたガラス繊維紙を、作用電極と対向電極として役立つ活性炭布の一片との間に配置した。三電極のコイン電池を組み立てると、Ag/AgClに対して−0.45Vの平均還元電位を示した(図7)。二電極コイン電池において速度性能を試すと、10Cでは1Cで得たものと比較して93%の容量保持性能を示した(図8)。(充電と放電の両方で)1C当たりにおいて、50サイクルを経ても顕著な容量の減少は観察されなかった(図9)。別の方法として、LiMn(80重量%)、Super-P carbon(10重量%)、ポリテトラフルオロエチレン(10重量%)の混合物を、ステンレス鋼の網へ押し入れ、対向電極を形成した。コイン電池を作製すると、1.02Vの平均放電電位を示した(図10)。ナトリウム(5M NaNO)/カルシウム(2.5M Ca(NO)塩系の電解液において働く際に、PBDTDもまた安定したサイクル性能を示した(図10)。マグネシウム塩系の電解液を用いたときは、より低い容量になったが、同様のサイクル安定性が得られた。
例3:PBDTDS(図3cを参照)
PBDTDSを、PAQSと同様の方法で合成した。PBDTDS(30重量%)、Super-P carbon(60重量%)、ポリテトラフルオロエチレン(10重量%)の混合物を、ステンレス鋼の網へ押し入れ、作用電極を形成した。LiSO(2.5M)とLiOH(0.1M)との水溶液で濡らしたガラス繊維紙を、作用電極と対向電極として機能する活性炭布の一片との間に配置した。三電極コイン電池を組み立てると、Ag/AgClに対して−0.42Vの平均還元電位を示した(図12)。二電極コイン電池において速度性能を試すと、10Cと100Cとのそれぞれにおいて、91%と60%の容量保持を示した(図13)。(充電と放電の両方で)10C当たりにおいて、2000サイクルの後に最初の容量の93%を維持した(図14)。別の方法として、LiCoO(80重量%)、Super-P carbon(10重量%)、ポリテトラフルオロエチレン(10重量%)の混合物を、ステンレス鋼の網へ押し入れ、対向電極を形成した。コイン電極を組み立てると、0.96Vの平均放電電位を示した(図15)。中性の電解液を用いたときは、より低い容量になった(図16)。
例4:PBFFD(図3dを参照)
PBFFDは、PBDTDと似た方法で合成した。PBFFD(30重量%)、Super-P carbon(60重量%)、ポリテトラフルオロエチレン(10重量%)の混合物を、ステンレス鋼の網へ押し入れ、作用電極を形成した。LiSO水溶液(2.5M)で濡らしたガラス繊維紙を、作用電極と対向電極として役立つ活性炭布の一片との間に配置した。三電極コイン電池を組み立てると、Ag/AgClに対して−0.38Vの平均還元電位を示した(図17)。
例5:PBFFDS(図3eを参照)
PBFFDSを、PAQSと同様の方法で合成した。PBFFDS(30重量%)、Super-P carbon(60重量%)、ポリテトラフルオロエチレン(10重量%)の混合物を、ステンレス鋼の網へ押し入れ、作用電極を形成する。LiSO水溶液(2.5M)で濡らしたガラス繊維紙を、作用電極と対向電極として役立つ活性炭布の一片との間に配置する。三電極コイン電池を組み立てると、Ag/AgClに対して−0.34Vの平均還元電位を示す(図18)。
例6:PPQ(図3fを参照)
PPQを、PBDTDと同様の方法で合成した。PPQ(30重量%)、Super-P carbon(60重量%)、ポリテトラフルオロエチレン(10重量%)の混合物を、ステンレス鋼の網へ押し入れ、作用電極を形成した。LiSO(2.5M)とLiOH(0.1M)との水溶液で濡らしたガラス繊維紙を、作用電極と対向電極として役立つ活性炭布の一片との間に配置した。三電極コイン電池を組み立てると、Ag/AgClに対して−0.45Vの平均還元電位を示した(図19)。(充電と放電の両方で)1C当たりにおいて、200サイクルを経ても容量の減少は観察されなかった(図20)。
例7:PPTO(図3gを参照)
PPTOを、PBDTDと同様の方法で合成した。PPTO(30重量%)、Super-P carbon(60重量%)、ポリテトラフルオロエチレン(10重量%)の混合物を、ステンレス鋼の網へ押し入れ、作用電極を形成した。LiSO水溶液(2.5M)で濡らしたガラス繊維紙を、作用電極と対向電極として役立つ活性炭布の一片との間に配置した。三電極コイン電池を組み立てると、Ag/AgClに対して−0.46Vの平均還元電位を示した(図21)。
例8:PNDI(図3hを参照)
PNDI(30重量%)、Super-P carbon(60重量%)、ポリテトラフルオロエチレン(10重量%)の混合物を、ステンレス鋼の網へ押し入れ、作用電極を形成した。LiSO水溶液(2.5M)で濡らしたガラス繊維紙を、作用電極と対向電極として役立つ活性炭布の一片との間に配置した。三電極コイン電池を組み立てると、Ag/AgClに対して−0.44Vの平均還元電位を示した(図22)。
例9:PNDIE(図3iを参照)
PNDIE(60重量%)、Super-P carbon(30重量%)、ポリテトラフルオロエチレン(10重量%)の混合物を、ステンレス鋼の網へ押し入れ、作用電極を形成した。LiSO水溶液(2.5M)で濡らしたガラス繊維紙を、作用電極と対向電極として役立つ活性炭布の一片との間に配置した。三電極コイン電池を組み立てると、Ag/AgClに対して−0.56Vの平均還元電位を示した(図23)。二電極コイン電池において速度性能を試すと、10Cでは1Cで得たものと比較して84%の容量保持を示した(図24)。(充電と放電の両方で)10C当たりにおいて、2000サイクルを経ても顕著な容量の減少は観察されなかった(図25)。ナトリウム(5M NaNO)/マグネシウム(2.5M Mg(NO)塩系の電解液において働く際に、PNDIEもまた安定したサイクル性能を示した(図26)。
例10:PNDIB(図3jを参照)
PNDIB(60重量%)、Super-P carbon(30重量%)、ポリテトラフルオロエチレン(10重量%)の混合物を、ステンレス鋼の網へ押し入れ、作用電極を形成した。LiSO水溶液(2.5M)で濡らしたガラス繊維紙を、作用電極と対向電極として役立つ活性炭布の一片との間に配置した。三電極コイン電池を組み立てると、Ag/AgClに対して−0.55Vの平均還元電位を示した(図27)。
例11:PPDIE(図3kを参照)
PPDIE(60重量%)、Super-P carbon(30重量%)、ポリテトラフルオロエチレン(10重量%)の混合物を、ステンレス鋼の網へ押し入れ、作用電極を形成した。LiSO水溶液(2.5M)で濡らしたガラス繊維紙を、作用電極と対向電極として役立つ活性炭布の一片との間に配置した。三電極コイン電池を組み立てると、Ag/AgClに対して−0.79Vの平均還元電位を示した(図28)。
本願で開示した実施例や実施例の特徴を当業者が変形させたり組み合わせたり改良したりしたものも本発明の範囲内にある。組み合わせ、組み入れ、削除に由来する別の実施例もまた本発明の範囲内にある。数値的な範囲又は限定を明記している箇所では、その明記された範囲又は制限内に収まる等しい大きさの複数の範囲又は限定もまたその明記された範囲または限定に含まれているものと理解すべきである。(例えば、「約1から約10」は2、3、4、等を含み、「0.10より大きい」は0.11、0.12、0.13等を含む。)例えば、下限のR、上限のRを持つ数値的な範囲を開示している場合はいつでも、その範囲内にある全ての数値を具体的に開示しているものとする。とりわけ、範囲内の次の数値Rを具体的に開示しているものとする。kを1パーセントから100パーセントまで1パーセントずつ増加する変数、つまり1パーセント、2パーセント、3パーセント、4パーセント、5パーセント、……、50パーセント、51パーセント、52パーセント、…、95パーセント、96パーセント、97パーセント、98パーセント、99パーセント、100パーセントのいずれかとしたときのR=R+k*(R−R)。さらにまた、上記で定義したように二つのRの数値によって定めた数値範囲はいずれも、同様に具体的に開示するものとする。請求項のどんな要素に対しても「随意に」という用語を用いることにより、以下を示すものとする。その要素を必要とする、或いは、その要素を必要としない、双方の代替手段を請求の範囲内とする。「〜からなる」、「〜を含む」、「〜を持つ」などの広い意味の言葉は、「〜を含むがこれに限定されない」を意味しており、また、「〜で構成される」、「基本的に〜からなる」、「実質的に〜からなる」などの狭い意味の言葉も含意していると解するべきである。結果的に、保護の範囲は、以上に示した説明により限定するのではなく、これに続く請求項により定義されるものとし、その範囲は、特許請求の対象と均等なものすべてを含む。すべての請求項はさらなる開示として明細書に組み入れ、請求項は本発明の典型的な実施例とする。本開示内容における参照文献の考察は、先行技術、とりわけこの出願の優先日後の公開日を持ついかなる参照文献であると認めているわけではない。本発明において引用しているすべての特許、特許出願、出版物は、それらが本発明への補足となる典型的な、手順上等の詳細説明となる範囲に限り、参照によりここに援用する。

Claims (8)

  1. 水溶液系金属イオン電池であって、
    金属イオンを挿入・脱離したり金属イオンに配位・脱配位したりすることが可能な少なくとも一種類の有機カルボニル化合物を含む負極と、金属イオンを挿入・脱離したり金属イオンに配位・脱配位したりすることが可能な化合物からなる正極と、イオン電荷担体としての金属イオンを含みpHが2から14の範囲である水溶液からなる電解液とを備え、この金属イオンが放電時に負極から正極に移動し充電時に逆に移動し、
    有機カルボニル化合物が、下記の(I)、(II)、(III)


    Figure 0006490664

    からなる一群から選んだ構造式をもつものであって、
    この構造式中の「中心」が下記の(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(h)、(i)、(j)、(k)、(l)、(m)


    Figure 0006490664

    からなる群から選んだ少なくとも一つの構造式をもつものであり、
    上記構造式中の「鎖」が下記の(n)、(o)、(p)、(q)、(r)


    Figure 0006490664

    からなる群から選んだ少なくとも一つの構造式であり、
    上記構造式中の「L」が、ジカルボニル、NH、O、S、CH 、(CH 、(CH 、(CH 、(CH 、5〜6員環のアリール基/ヘテロアリール基、同種または異種の2個の5〜6員環のアリール基/ヘテロアリール基からなるビアリール、からなる群から選んだ化学基であり、
    上記構造式中のnが少なくとも2であり、
    上記構造式中の「Ar 」が、ナフタレン、ペリレン、5−6員環のアリール基/ヘテロアリール基、同種または異種の2個の5〜6員環のアリール基/ヘテロアリール基を持つビアリール、からなる群から選んだ少なくとも一種類の化学基である、電池。
  2. 請求項の電池であって、有機カルボニル化合物の中心が以下の群から選んだ少なくとも一種類の化学基を含むもの。ナフタレン、ペリレン、5−6員環のアリール基/ヘテロアリール基、5〜6員環のアリール基/ヘテロアリール基を持つビアリール、H、CH、C
  3. 請求項の電池であって、少なくとも一種類の有機カルボニル化合物がp−あるいはn−ドープされておらず電気化学的に還元可能なカルボニル基を含み、有機カルボニル化合物の中心のカルボニル基が還元され、金属イオンと配位しているもの。
  4. 請求項1の電池であって、正極が少なくとも一種類の無機電極材料を含んでおり、水系電解液が、溶質として少なくとも一種類の金属塩と、少なくとも90重量%の水を含む水性溶媒とを含むもの。
  5. 請求項の電池であって、正極が、少なくともひとつのリチウム(Li)を挿入したり、少なくともひとつのリチウム(Li)に配位したりすることが可能であるもの。
  6. 水溶液系金属イオン電池を形成する方法であって、
    金属イオンを挿入・脱離したり金属イオンに配位・脱配位したりすることが可能な少なくとも一種類の有機カルボニル化合物を含む負極を作成する工程と、
    金属イオンを挿入・脱離したり金属イオンに配位・脱配位したりすることが可能な化合物からなる正極を作成する工程と、
    これら二つの電極を、金属イオンをイオン電荷担体として含みpHが2から14の水系電解液と接触させる工程とを含み、
    負極が支持体を含み、その支持体が下記の(I)、(II)、(III)


    Figure 0006490664

    からなる群から選んだ構造式を持つ少なくとも一種類の有機カルボニル化合物を含む混合物を用いてコーティングしたものであって、
    この構造式中の「中心」が下記の(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(h)、(i)、(j)、(k)、(l)、(m)


    Figure 0006490664

    からなる群から選んだ少なくとも一つの構造式をもつものであり、
    上記構造式中の「鎖」が下記の(n)、(o)、(p)、(q)、(r)


    Figure 0006490664

    からなる群から選んだ少なくとも一つの構造式であり、
    上記構造式中の「L」が、ジカルボニル、NH、O、S、CH 、(CH 、(CH 、(CH 、(CH 、5〜6員環のアリール基/ヘテロアリール基、同種または異種の2個の5〜6員環のアリール基/ヘテロアリール基からなるビアリール、からなる群から選んだ化学基であり、
    上記構造式中のnが少なくとも2であり、
    上記構造式中の「Ar 」が、ナフタレン、ペリレン、5−6員環のアリール基/ヘテロアリール基、同種または異種の2個の5〜6員環のアリール基/ヘテロアリール基を持つビアリール、からなる群から選んだ少なくとも一種類の化学基である、方法。
  7. 請求項の方法であって、正極が、少なくともひとつのリチウム(Li)による挿入や少なくともひとつのリチウム(Li)への配位が可能な無機化合物を含むもの。
  8. 請求項の方法であって、水系電解液が、溶質として少なくとも一種類の金属塩と、少なくとも90重量%の水を含む水性溶媒とを含み、少なくとも一種類の有機カルボニル化合物がp−あるいはn−ドープされておらず電気化学的に還元可能なカルボニル基を含むもの。
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