JP6490559B2 - 動力伝達装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ギヤによって動力を駆動輪等の駆動対象物へ伝達させる動力伝達装置に関し、特に、リングギヤ及びピニオンギヤを備え、差動機構に動力を伝達するための動力伝達装置に関する。
従来、内燃機関からの動力を駆動輪へ伝達させる動力伝達装置が知られている。この動力伝達装置では、互いに噛合するギヤの一方によって、ハウジング内の油溜から潤滑油を掻き上げて構成部材に潤滑油を供給するものがある。この種の動力伝達装置としては、互いに噛合するギヤの一方をかさ歯車とし、そのかさ歯車によって潤滑油を掻き上げて構成部材に潤滑油を供給するものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2011−214640号公報
ところで、特許文献1に記載のような従来の動力伝達装置では、かさ歯車同士が噛み合う噛合部側の領域では、2つのかさ歯車よって掻き上げが行われるので、構成部品に十分に潤滑油が供給される。
しかし、噛合部とは反対側の領域では、一方のかさ歯車によってのみ掻き上げが行われるので、構成部品に潤滑油が十分に供給されないおそれがあった。
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであり、構成部品に適切な量の潤滑油を供給することができる動力伝達装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の動力伝達装置(例えば、本実施形態の動力伝達装置PT)は、内部に潤滑油の油溜を有するハウジング(例えば、本実施形態のハウジング1)と、前記ハウジングの内部に回転可能に配置されたかさ歯車である第1ギヤ(例えば、本実施形態のドライブピニオンギヤ2)と、前記ハウジングの内部に回転可能に配置され、前記第1ギヤと噛合するかさ歯車である第2ギヤ(例えば、実施形態のファイナルドリブンギヤ3)と、前記第2ギヤの一方側を覆う第1バッフル(例えば、実施形態の右側方バッフル8)と、前記第2ギヤの他方側を覆う第2バッフル(例えば、実施形態の左側方バッフル9)とを備え、前記第1ギヤは、前記第2ギヤの前記他方側に配置され、前記第1バッフルは、前記第2ギヤの回転中心軸線(例えば、実施形態のファイナルドリブンギヤ3の回転中心軸線a2)よりも上方に位置する第1バッフル側爪部(例えば、本実施形態の右側方爪部8c)を有し、前記第1バッフル側爪部は、前記第2ギヤが前記油溜から掻き上げた前記潤滑油を受け、受けた該潤滑油を前記第1バッフルの前記第2ギヤとは反対側の面に案内し、前記第2バッフルは、前記第2ギヤの回転中心軸線よりも上方に位置する第2バッフル側爪部(例えば、本実施形態の左側方爪部9c)を有し、前記第2バッフル側爪部は、前記第2ギヤが前記油溜から掻き上げた前記潤滑油を受け、受けた該潤滑油を前記第2バッフルの前記第2ギヤとは反対側の面に案内し、前記第1バッフル側爪部は、前記第2バッフル側爪部よりも前記第2ギヤの回転方向手前側に位置していることを特徴とする。
本発明の動力伝達装置では、かさ歯車である第2ギヤが油溜から掻き上げた潤滑油は、第2ギヤとそれを覆う第1バッフル又は第2バッフルとの間に案内される。その後、案内された潤滑油は、第2ギヤの回転中心軸線よりも上方の位置で、第1バッフルと第2バッフルとの間から、第2ギヤの回転に沿うように噴き出す。
そのようにして噴き出した潤滑油の一部は、第2ギヤの回転中心軸線よりも上方に設けられた第1バッフル側爪部によって受け止められ、第1バッフルの第2ギヤとは反対側の面に案内される。
ここで、第1バッフルの第2ギヤとは反対側の領域は、第1ギヤによる潤滑油が供給されにくい領域である。この領域に、第1バッフル側爪部によって受け止められた潤滑油が案内される。
したがって、本発明の動力伝達装置によれば、第2ギヤの回転中心軸線方向両側の構成部品に適切な量の潤滑油を供給することができる。
ところで、第2バッフルの第2ギヤとは反対側の面側の領域(すなわち、第1ギヤによる潤滑油の掻き上げが行われる領域)でも、第1ギヤによる掻き上げだけでは、潤滑油の供給が不十分となってしまう場合がある。そこで、第2バッフルに第2バッフル側爪部を設ければ、第2ギヤによって掻き上げられた潤滑油の一部が、第1ギヤによる掻き上げが行われる領域にも案内されるようになる。
その結果、第1ギヤの掻き上げによる潤滑油の供給が不十分である場合であっても、効率的に適切な量の潤滑油を供給することができるようになる。
また、このように、第2ギヤの回転方向でずらして爪部を設けた場合には、まず、第1バッフルと第2バッフルとの間から第2ギヤの回転に沿うように噴き出した潤滑油の一部が、第1バッフル側爪部によって第1ギヤによる潤滑油の供給がされにくい側の領域に案内される。
その後に、第1バッフル側爪部によって案内されなかった潤滑油の一部が、第2バッフル側爪部によって第1ギヤによる潤滑油の掻き上げが行われる側の領域に案内される。
すなわち、第1ギヤによる潤滑油の供給がされにくい領域(すなわち、第1バッフルの第2ギヤとは反対側の面側の領域)に、かさ歯車である第2ギヤが掻き上げた潤滑油が優先的に供給されることになる。そのため、第1ギヤによる潤滑油の供給がされにくい領域に、第1ギヤによる潤滑油の掻き上げが行われる側の領域よりも、第2ギヤによって掻き上げられた潤滑油が多量に供給されるようになる。
その結果、第2ギヤの回転中心軸線方向両側の領域に案内される潤滑油の量を異ならせることができるので、効率的に適切な量の潤滑油を供給することができる。
また、本発明の動力伝達装置においては、第1バッフル側爪部が第2バッフル側爪部よりも第2ギヤの回転方向手前側に位置している場合には、前記第1バッフル側爪部は、前記第2ギヤの回転方向に間隔を存して複数配置されていることが好ましい。
このように、第2ギヤの回転方向に間隔を存して複数の爪部を備えている場合、第1バッフルと第2バッフルとの間から第2ギヤの回転に沿うように噴き出した潤滑油の一部が、回転方向手前側の爪部によって第1ギヤによる潤滑油の供給がされにくい側の領域に案内される。そして、第1バッフル側爪部によって案内されなかった潤滑油の一部は、その回転方向手前側の爪部によるコアンダ効果で扇状に拡がる。そのため、回転方向奥側の爪部では、回転方向手前側の爪部よりも多量の潤滑油が受け止められることになる。
その結果、爪部を1つだけ設けた場合よりも多量の潤滑油を第1ギヤによる潤滑油の供給がされにくい側の領域に案内できるようになるので、効率的に適切な量の潤滑油を供給することができる。
さらに、本発明の動力伝達装置においては、第2ギヤの回転方向に間隔を存して配置された複数の第1バッフル側爪部を備えている場合には、前記第2ギヤの回転方向奥側の前記第1バッフル側爪部の前記第2ギヤの縁部は、前記第2ギヤの回転中心軸線(例えば、実施形態のファイナルドリブンギヤ3の回転中心軸線a2)方向で、前記第2ギヤの回転方向手前側の前記第1バッフル側爪部の前記第2ギヤ側の縁部よりも前記第2ギヤから離れた側に位置しているように構成されていてもよい。
第2ギヤの回転方向に間隔を存して配置された複数の第1バッフル側爪部を備えている場合には、上述のように、第1ギヤによる潤滑油の供給がされにくい領域に多量の潤滑油を案内することができる。しかし、必ずしも案内する潤滑油の量は多量であればよいとは限らない。
そこで、多量の潤滑油を案内する、第2ギヤの回転方向奥側の前記第1バッフル側爪部の第2ギヤの縁部を、第2ギヤの回転方向手前側の第1バッフル側爪部の前記第2ギヤ側の縁部よりも第2ギヤから離れた側に位置しているように構成すれば、第1ギヤによる潤滑油の供給がされにくい側の領域に案内する潤滑油の量を適度に抑制することができる。
その結果、案内する潤滑油の量を調整することができるので、効率的に適切な量の潤滑油を供給することができる。
また、上記目的を達成するために、本発明の動力伝達装置(例えば、本実施形態の動力伝達装置PT)は、内部に潤滑油の油溜を有するハウジング(例えば、本実施形態のハウジング1)と、前記ハウジングの内部に回転可能に配置されたかさ歯車である第1ギヤ(例えば、本実施形態のドライブピニオンギヤ2)と、前記ハウジングの内部に回転可能に配置され、前記第1ギヤと噛合するかさ歯車である第2ギヤ(例えば、実施形態のファイナルドリブンギヤ3)と、前記第2ギヤの一方側を覆う第1バッフル(例えば、実施形態の右側方バッフル8)と、前記第2ギヤの他方側を覆う第2バッフル(例えば、実施形態の左側方バッフル9)とを備え、前記第1ギヤは、前記第2ギヤの前記他方側に配置され、前記第1バッフルは、前記第2ギヤの回転中心軸線(例えば、実施形態のファイナルドリブンギヤ3の回転中心軸線a2)よりも上方に位置する第1バッフル側爪部(例えば、本実施形態の右側方爪部8c)を有し、前記第1バッフル側爪部は、前記第2ギヤが前記油溜から掻き上げた前記潤滑油を受け、受けた該潤滑油を前記第1バッフルの前記第2ギヤとは反対側の面に案内し、前記第1バッフル側爪部は、前記第2ギヤの回転方向に間隔を存して複数配置され、前記第2ギヤの回転方向奥側の前記第1バッフル側爪部の前記第2ギヤ側の縁部は、前記第2ギヤの回転中心軸線方向で、前記第2ギヤの回転方向手前側の第1バッフル側爪部の前記第2ギヤ側の縁部よりも前記第2ギヤから離れた側に位置していることを特徴とする
本発明の動力伝達装置では、かさ歯車である第2ギヤが油溜から掻き上げた潤滑油は、第2ギヤとそれを覆う第1バッフル又は第2バッフルとの間に案内される。その後、案内された潤滑油は、第2ギヤの回転中心軸線よりも上方の位置で、第1バッフルと第2バッフルとの間から、第2ギヤの回転に沿うように噴き出す。
そのようにして噴き出した潤滑油の一部は、第2ギヤの回転中心軸線よりも上方に設けられた第1バッフル側爪部によって受け止められ、第1バッフルの第2ギヤとは反対側の面に案内される。
ここで、第1バッフルの第2ギヤとは反対側の領域は、第1ギヤによる潤滑油が供給されにくい領域である。この領域に、第1バッフル側爪部によって受け止められた潤滑油が案内される。
したがって、本発明の動力伝達装置によれば、第2ギヤの回転中心軸線方向両側の構成部品に適切な量の潤滑油を供給することができる。
また、このように、第2ギヤの回転方向に間隔を存して複数の爪部を備えている場合、第1バッフルと第2バッフルとの間から第2ギヤの回転に沿うように噴き出した潤滑油の一部が、回転方向手前側の爪部によって第1ギヤによる潤滑油の供給がされにくい側の領域に案内される。そして、第1バッフル側爪部によって案内されなかった潤滑油の一部は、その回転方向手前側の爪部によるコアンダ効果で扇状に拡がる。そのため、回転方向奥側の爪部では、回転方向手前側の爪部よりも多量の潤滑油が受け止められることになる。
その結果、爪部を1つだけ設けた場合よりも多量の潤滑油を第1ギヤによる潤滑油の供給がされにくい側の領域に案内できるようになるので、効率的に適切な量の潤滑油を供給することができる。
ところで、第2ギヤの回転方向に間隔を存して配置された複数の第1バッフル側爪部を備えている場合には、上述のように、第1ギヤによる潤滑油の供給がされにくい領域に多量の潤滑油を案内することができる。しかし、必ずしも案内する潤滑油の量は多量であればよいとは限らない。
そこで、多量の潤滑油を案内する、第2ギヤの回転方向奥側の前記第1バッフル側爪部の第2ギヤの縁部を、第2ギヤの回転方向手前側の第1バッフル側爪部の前記第2ギヤ側の縁部よりも第2ギヤから離れた側に位置しているように構成すれば、第1ギヤによる潤滑油の供給がされにくい側の領域に案内する潤滑油の量を適度に抑制することができる。
その結果、案内する潤滑油の量を調整することができるので、効率的に適切な量の潤滑油を供給することができる。
また、本発明の動力伝達装置においては、第2ギヤの回転方向に間隔を存して配置された複数の第1バッフル側爪部を備えている場合には、前記第2バッフルは、前記第2ギヤの回転中心軸線よりも上方に位置する第2バッフル側爪部(例えば、本実施形態の左側方爪部9c)を有し、前記第2バッフル側爪部は、前記第2ギヤが前記油溜から掻き上げた前記潤滑油を受け、受けた該潤滑油を前記第2バッフルの前記第2ギヤとは反対側の面に案内することが好ましい。
第2バッフルの第2ギヤとは反対側の面側の領域(すなわち、第1ギヤによる潤滑油の掻き上げが行われる領域)でも、第1ギヤによる掻き上げだけでは、潤滑油の供給が不十分となってしまう場合がある。そこで、第2バッフルに第2バッフル側爪部を設ければ、第2ギヤによって掻き上げられた潤滑油の一部が、第1ギヤによる掻き上げが行われる領域にも案内されるようになる。
その結果、第1ギヤの掻き上げによる潤滑油の供給が不十分である場合であっても、効率的に適切な量の潤滑油を供給することができるようになる。
さらに、本発明の動力伝達装置においては、第2バッフルに第2バッフル側爪部を設けた場合には、前記第1バッフル側爪部は、前記第2バッフル側爪部よりも前記第2ギヤの回転方向手前側に位置していることが好ましい。
このように、第2ギヤの回転方向でずらして爪部を設けた場合には、まず、第1バッフルと第2バッフルとの間から第2ギヤの回転に沿うように噴き出した潤滑油の一部が、第1バッフル側爪部によって第1ギヤによる潤滑油の供給がされにくい側の領域に案内される。
その後に、第1バッフル側爪部によって案内されなかった潤滑油の一部が、第2バッフル側爪部によって第1ギヤによる潤滑油の掻き上げが行われる側の領域に案内される。
すなわち、第1ギヤによる潤滑油の供給がされにくい領域(すなわち、第1バッフルの第2ギヤとは反対側の面側の領域)に、かさ歯車である第2ギヤが掻き上げた潤滑油が優先的に供給されることになる。そのため、第1ギヤによる潤滑油の供給がされにくい領域に、第1ギヤによる潤滑油の掻き上げが行われる側の領域よりも、第2ギヤによって掻き上げられた潤滑油が多量に供給されるようになる。
その結果、第2ギヤの回転中心軸線方向両側の領域に案内される潤滑油の量を異ならせることができるので、効率的に適切な量の潤滑油を供給することができる。
また、本発明の動力伝達装置においては、前記第1バッフル側爪部の先端部は、前記第2ギヤの径方向で前記第2ギヤの外縁と一致する、又は、前記第2ギヤの径方向で前記第2ギヤの外縁よりも前記第2ギヤの中心側に位置していることが好ましい。
このように、第2ギヤの径方向で、爪部の先端部を第2ギヤの外縁と一致する、又は、外縁よりも第2ギヤの中心側に位置させるようにすれば、第1バッフル側爪部を設けるためにハウジングの壁面と第1バッフルとの間隔を広げる必要がない。その結果、ハウジングの大型化が抑制することができるようになる。
また、本発明の動力伝達装置としては、前記第1バッフルには、前記第2ギヤの上縁部に切欠部(例えば、本実施形態の右側方切欠部8a1)が形成され、前記第1バッフル側爪部は、前記切欠部に形成されているようにしてもよい。
このように、第1バッフルに切欠部を設ければ、第1バッフル全体の大きさを大きくせずに、第1バッフル側爪部を大きくすることができる。その結果、ハウジングの大型化を抑えつつ、第1バッフル側爪部で受け止める潤滑油の量を増加させることができるので、さらに適切な量の潤滑油を供給しやすくなる。
また、本発明の動力伝達装置としては、前記第2ギヤは、前記第1ギヤよりも大径のリング状のかさ歯車であるようにしてもよい。
また、本発明の動力伝達装置としては、前記ハウジングの内部に配置され、デフケース(例えば、実施形態のデフケース4a)を有する差動機構(例えば、実施形態の差動機構4)と、前記第2ギヤの回転中心軸線の一方側に配置され、前記デフケースを前記ハウジングに対して回転自在に支持する第1ベアリング(例えば、本実施形態の右側方ベアリング6a)と、前記第2ギヤの回転中心軸線の他方側に配置され、前記デフケースを前記ハウジングに対して回転自在に支持する第2ベアリング(例えば、本実施形態の左側方ベアリング6b)とを備え、前記第2ギヤは、前記デフケースに固定されているようにしてもよい。
また、上記目的を達成するために、本発明の動力伝達装置(例えば、本実施形態の動力伝達装置PT)は、内部に潤滑油の油溜を有するハウジング(例えば、本実施形態のハウジング1)と、前記ハウジングの内部に回転可能に配置されたかさ歯車である第1ギヤ(例えば、本実施形態のドライブピニオンギヤ2)と、前記ハウジングの内部に回転可能に配置され、前記第1ギヤと噛合するかさ歯車である第2ギヤ(例えば、実施形態のファイナルドリブンギヤ3)と、前記第2ギヤの一方側を覆う第1バッフル(例えば、実施形態の右側方バッフル8)と、前記第2ギヤの他方側を覆う第2バッフル(例えば、実施形態の左側方バッフル9)とを備え、前記第1ギヤは、前記第2ギヤの前記他方側に配置され、前記第1バッフルは、前記第2ギヤの回転中心軸線(例えば、実施形態のファイナルドリブンギヤ3の回転中心軸線a2)よりも上方に位置する第1バッフル側爪部(例えば、本実施形態の右側方爪部8c)を有し、前記第1バッフル側爪部は、前記第2ギヤが前記油溜から掻き上げた前記潤滑油を受け、受けた該潤滑油を前記第1バッフルの前記第2ギヤとは反対側の面に案内し、前記第2バッフルは、前記第2ギヤの回転中心軸線よりも上方に位置する第2バッフル側爪部(例えば、本実施形態の左側方爪部9c)を有し、前記第2バッフル側爪部は、前記第2ギヤが前記油溜から掻き上げた前記潤滑油を受け、受けた該潤滑油を前記第2バッフルの前記第2ギヤとは反対側の面に案内し、前記第1バッフル側爪部の先端部の軸方向外端は、前記第2ギヤの回転中心軸線方向で、前記第2ギヤの外周面と重なり合う位置まで、前記第2ギヤ側に延出しており、前記第2バッフル側爪部の先端部の軸方向外端は、前記第2ギヤの回転中心軸線方向で、前記第2ギヤの歯面と重なり合う位置まで、前記第2ギヤ側に延出していることを特徴とする。
本発明の実施形態に係る動力伝達装置PT及びドライブシャフトDSを備えた車両Vの構成を示す模式図。 図1の動力伝達装置PTのドライブピニオンギヤ2の回転中心軸線a1を通る水平方向断面図。 図1の動力伝達装置PTのドライブピニオンギヤ2、ファイナルドリブンギヤ3、ピニオンバッフル7及び左側方バッフル9を示す斜視図。 図4Aは図1の動力伝達装置PTのドライブピニオンギヤ2を示す斜視図、図4Bは図1の動力伝達装置PTのドライブピニオンギヤ2を示す平面図。 図2の動力伝達装置PTのA−A線断面図。 図1の動力伝達装置PTの左側方バッフル9の斜視図。 図1の動力伝達装置PTのピニオンバッフル7、右側方バッフル8及び左側方バッフル9の上部を拡大して示す斜視図。 図1の動力伝達装置PTのドライブピニオンギヤ2の回転中心軸線a1を通る鉛直方向断面図。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る動力伝達装置PTについて説明する。
まず、図1を参照して、動力伝達装置PT及びドライブシャフトDSを備えた車両Vの概略構成について説明する。
図1に示すように、車両Vは、前輪FW、後輪RW、前輪FWと後輪RWとの間に配置されたエンジンE、車両Vの後方に配置され、エンジンEから入力された動力を変速して出力する動力伝達装置PT、動力伝達装置PTから出力された動力を後輪RWに伝達するドライブシャフトDSとを備えている。動力伝達装置PTは、変速機TMと後述する差動機構4とで構成されている。
次に、図2を参照して、動力伝達装置PTの構成を説明する。
図2に示すように、動力伝達装置PTのハウジング1の内部には、変速機TMの出力部材としてのかさ歯車であるドライブピニオンギヤ2と、ドライブピニオンギヤ2よりも大径のリング状のかさ歯車であるファイナルドリブンギヤ3が配置されている。
ドライブピニオンギヤ2とファイナルドリブンギヤ3とは噛合しており、変速機TMのドライブピニオンギヤ2から出力される動力によって、ファイナルドリブンギヤ3が駆動される。
リング状のファイナルドリブンギヤ3の内周側には、差動機構4(ディファレンシャル。以下「デフ」ともいう。)が配置されている。差動機構4はデフケース4aを有している。デフケース4aは、大径筒状部4a1と、大径筒状部4a1の両端部に連設され、左右方向に延びる一対の小径筒状部4a2とで構成されている。
大径筒状部4a1の外周には、複数本のデフケース固定ボルト5でファイナルドリブンギヤ3が固定されている。そのため、ファイナルドリブンギヤ3とデフケース4aとは、一体的に回転する。
デフケース4aは、小径筒状部4a2の外周面にそれぞれ設けられた右側方ベアリング6a及び左側方ベアリング6bを介して、ハウジング1に回転自在に支持されている。
ハウジング1の右側方ベアリング6aと接する面には、右側方連通溝1aが設けられている。この右側方連通溝1aは、右側方ベアリング6aをハウジング1に配置した際に、ハウジング1とファイナルドリブンギヤ3の歯面とは反対側の面(以下、「背面」という。)との間の空間から、右側方ベアリング6aの転動体の回転中心軸線方向でファイナルドリブンギヤ3から離れた側の端面の位置する空間までを連通する通路となる。
また、ハウジング1の左側方ベアリング6bと接する面には、左側方連通溝1bが設けられている。この左側方連通溝1bは、左側方ベアリング6bをハウジング1に配置した際に、ハウジング1とファイナルドリブンギヤ3の歯面との間の空間から、左側方ベアリング6bの転動体の回転中心軸線方向でファイナルドリブンギヤ3から離れた側の端面の位置する空間までを連通する通路となる。
一方(図2において右側)の小径筒状部4a2の内周面には、右側の後輪RWに動力を伝達する右側のドライブシャフトDSの先端の細径部DSaが回転自在に支持されている。また、他方(図2において左側)の小径筒状部4a2の内周面には、左側の後輪RWに動力を伝達する左側のドライブシャフトDSの先端の細径部DSaが回転自在に支持されている。
左右の小径筒状部4a2は同軸に設けられているので、その小径筒状部4a2に挿入される左右のドライブシャフトDS(すなわち、それらの先端に設けられている左右の細径部DSa)も同軸となっている。
左右の細径部DSaの内端面は、デフケース4aの内部において、間隔を存して対向するように位置している。その左右の細径部DSa同士の間には、ドライブシャフトDSの回転中心軸線と直交するようにして、十字形状のピニオンシャフト4bが配置されている。
なお、以下の説明においては、ドライブシャフトDSの回転中心軸線とピニオンシャフト4bの軸線との交点を「差動機構4の中心」という。
ピニオンシャフト4bは、その各端部で、差動制限機構を介して、デフケース4aに支持されている。差動制限機構は、プレッシャーリング4c及び多板クラッチ4dとで構成されている。ピニオンシャフト4bの各端部には、4つのピニオンギヤ4eが回転自在にそれぞれ支持されている。左右のドライブシャフトDSの細径部DSaの端部には、一対のサイドギヤ4fが、それぞれスプライン結合されている。
なお、プレッシャーリング4c及び多板クラッチ4d(すなわち、差動制限機構)は、省略してもよい。この場合、ピニオンシャフト4bはデフケース4aに固定すればよい。
4つのピニオンギヤ4eは、いずれも、一対のサイドギヤ4fに噛合している。また、4つのピニオンギヤ4eは、差動機構4の中心に対して周方向で等間隔となるように配置されている。一対のサイドギヤ4fは、差動機構4の中心に対して左右対称となるように配置されている。
ドライブピニオンギヤ2の歯面とハウジング1の内壁面との間には、ドライブピニオンギヤ2を覆うピニオンバッフル7が配置されている。ピニオンバッフル7は、ドライブピニオンギヤ2の歯面及びハウジング1の内壁面のいずれに対しても、間隔を存するように配置されている(図5参照)。
ファイナルドリブンギヤ3の背面とハウジング1の内壁面との間には、ファイナルドリブンギヤ3を覆う右側方バッフル8が配置されている。右側方バッフル8は、ファイナルドリブンギヤ3の背面とハウジング1の内壁面のいずれに対しても、間隔を存するように配置されている。また、右側方バッフル8は、不図示のボルトによって、ハウジング1に固定されている。
ファイナルドリブンギヤ3の歯面とハウジング1の内壁面との間には、ファイナルドリブンギヤ3を覆う左側方バッフル9が配置されている。左側方バッフル9は、ファイナルドリブンギヤ3の歯面とハウジング1の内壁面のいずれに対しても、間隔を存するように配置されている。また、左側方バッフル9は、不図示のボルトによって、ハウジング1に固定されている。
次に、図3〜図5を参照して、ドライブピニオンギヤ2を覆うピニオンバッフル7の構成について説明する。
図3に示すように、かさ歯車であるドライブピニオンギヤ2は、ドライブピニオンギヤ2よりも大径のリング状のかさ歯車であるファイナルドリブンギヤ3に噛合している。なお、図3においてドライブピニオンギヤ2の近傍に記載した矢印は、車両Vの前進時におけるドライブピニオンギヤ2の回転方向を示す。また、ファイナルドリブンギヤ3の近傍に記載した矢印は、車両Vの前進時におけるファイナルドリブンギヤ3の回転方向を示す。
ドライブピニオンギヤ2の回転中心軸線a1は、ファイナルドリブンギヤ3の回転中心軸線a2よりも上方に位置している。また、回転中心軸線a1と回転中心軸線a2とは、平面視で直交している。すなわち、回転中心軸線a1と回転中心軸線a2とは、ねじれの位置となっており、ドライブピニオンギヤ2とファイナルドリブンギヤ3とは、ハイポイドギヤとなっている。
変速機TMのドライブピニオンギヤ2から出力される動力は、ファイナルドリブンギヤ3に伝達される。ファイナルドリブンギヤ3に伝達された動力は、ファイナルドリブンギヤ3の内周側に固定された差動機構4を介して、駆動輪である後輪RWに分配される(図1,2参照)。
ドライブピニオンギヤ2の、ファイナルドリブンギヤ3と噛み合う噛合部とは回転中心軸線a1を挟んで反対側となる部分は、ピニオンバッフル7によって覆われている。
図4Aに示すように、ピニオンバッフル7は、ドライブピニオンギヤ2の歯面を覆うピニオン側カバー部7aと、ピニオン側カバー部7aに連設された受止部7bと、受止部7bに連設された側壁部7cと、側壁部7cに連設されたピニオン側案内部7dと、側壁部7cの上方に設けられたピニオン側固定部7eとを有している。
図4Bの平面図に示すようにピニオン側カバー部7aは、ドライブピニオンギヤ2に沿うように、湾曲した板状の部材として形成されている。ピニオン側カバー部7aは、ドライブピニオンギヤ2の歯面のうち、ファイナルドリブンギヤ3と噛み合う噛合部とは回転中心軸線a1を挟んで反対側となる部分を覆っている。
なお、図4A及び図4Bにおいてドライブピニオンギヤ2の近傍に記載した矢印は、車両Vの前進時におけるドライブピニオンギヤ2の回転方向を示す。
受止部7bは、平板状に形成されている。受止部7bは、ドライブピニオンギヤ2の上方で、ドライブピニオンギヤ2の歯面に対して略鉛直に立設されている。そのため、受止部7bでは、後述する油溜からドライブピニオンギヤ2によって掻き上げられた潤滑油の一部が受け止められる。
なお、本実施形態において「略鉛直」とは、鉛直に近い角度である場合だけではなく、鉛直である場合も含む。また、「略水平」とは、水平に近い角度である場合だけではなく、水平である場合も含む。
側壁部7cは、平板状に形成され、略鉛直に配置されている。側壁部7cは、ドライブピニオンギヤ2の回転中心軸線a1方向に沿ってファイナルドリブンギヤ3の回転中心軸線a2側(以下、「中心側」という。)へ延びるように配置されている(図3参照)。
ピニオン側案内部7dは、平板状に形成され、略水平に配置されている。なお、ピニオン側案内部7dは、ドライブピニオンギヤ2から離れるにしたがって、徐々に下方へ傾斜するように配置してもよい。ピニオン側案内部7dは、ドライブピニオンギヤ2の回転中心軸線a1方向に沿ってファイナルドリブンギヤ3の中心側へ延びるように配置されている(図3参照)。
ピニオン側固定部7eは、ファイナルドリブンギヤ3の回転中心軸線a2方向に貫くように形成された貫通孔を有している。ピニオンバッフル7は、ピニオン側固定部7eの貫通孔に挿通したボルトによってハウジング1に固定される。
本実施形態の動力伝達装置PTは、このように構成されたピニオンバッフル7のピニオン側カバー部7aに案内された潤滑油によって、ハウジング1の内部にドライブピニオンギヤ2及びファイナルドリブンギヤ3が油没する油溜が形成される。
形成された油溜からドライブピニオンギヤ2及びファイナルドリブンギヤ3が掻き上げ、ドライブピニオンギヤ2及びファイナルドリブンギヤ3との噛合部に供給される。供給された潤滑油の一部は、ドライブピニオンギヤ2の回転方向に沿うように流れ、受止部7bに受け止められる。受け止められた潤滑油は、側壁部7c及びピニオン側案内部7dを介して、ファイナルドリブンギヤ3のドライブピニオンギヤ2側の面を覆う左側方バッフル9のファイナルドリブンギヤ3とは反対側の面に案内される。
なお、側壁部7cは、ピニオン側案内部7dからファイナルドリブンギヤ3と離間する方向へ潤滑油が流れ出てしまうことを防止し、ピニオンバッフル7側から左側方バッフル9側により多くのオイルを供給することができるようにするために設けられた部材である。しかし、潤滑油の量が十分である場合等には、側壁部7cは省略してもよい。側壁部7cを省略した場合には、ピニオン側案内部7dはピニオン側カバー部7aに連設し、ピニオン側固定部7eは受止部7bの上方に連設するようにすればよい。
また、本実施形態においては、ピニオンバッフル7を1つの部材として構成しているが、ピニオン側カバー部7a、受止部7b、側壁部7c及びピニオン側案内部7dは、適宜独立した部材として構成してもよい。
図5に示すように、動力伝達装置PTは、ハウジング1の上方に設けられたオイルクーラー10を備えている。なお、図5に記載の矢印は、供給された潤滑油の流れを示す。
ハウジング1には、オイルクーラー10から供給された潤滑油をドライブピニオンギヤ2が配置されている領域に滴下して供給するためのオイル供給孔1cと、オイル供給孔1cから供給された潤滑油が貯留されて油溜が形成される油溜部1dとを有している。
オイルクーラー10は、オイル供給孔1cを介して、ピニオンバッフル7のピニオン側カバー部7aの外周面に、潤滑油を滴下する。ピニオン側カバー部7aの外周面で受け止められた後、滴下された潤滑油は、ピニオン側カバー部7aとハウジング1の内壁面との間を通って、油溜部1dに貯留される(図5における破線は、静止時の油溜の油面)。
次に、図6を参照して、ファイナルドリブンギヤ3の歯面側を覆う左側方バッフル9の構成について説明する。なお、図6においてファイナルドリブンギヤ3の近傍に記載した矢印は、車両Vの前進時におけるファイナルドリブンギヤ3の回転方向を示す。
図6に示すように、左側方バッフル9は、ファイナルドリブンギヤ3の歯面を覆う左側方カバー部9aと、左側方カバー部9aの中心に設けられた左側方開口部9bと、左側方カバー部9aの上方に設けられた左側方爪部9cと、左側方カバー部9aの外面に設けられた天井部9d及び左側方案内部9eと、左側方カバー部9aに設けられた左側方バッフル固定部9fとを有している。
左側方カバー部9aは、皿状に形成され、ファイナルドリブンギヤ3の歯面を覆うように配置されている。左側方カバー部9aの上縁部には、左側方切欠部9a1が形成されている。また、左側方カバー部9aの、ドライブピニオンギヤ2とファイナルドリブンギヤ3との噛合部に対応する部分には、噛合用開口部9a2が設けられている。そのため、ドライブピニオンギヤ2又はファイナルドリブンギヤ3と左側方カバー部9aとが干渉することはない。
左側方開口部9bは、左側方ベアリング6bの縁部が嵌め込まれる(図2参照)。そのため後述するように、左側方バッフル9の外面に案内された潤滑油は、左側方案内部9eによってハウジング1に設けられた左側方連通溝1bに案内され、左側方ベアリング6bに供給される。
左側方爪部9cは、平板状に形成され、左側方切欠部9a1から上方へ略鉛直となるように延設されている。左側方爪部9cの先端部の径方向外端は、ファイナルドリブンギヤ3の径方向で、ファイナルドリブンギヤ3の外縁に一致するように位置している。
なお、左側方爪部9cの先端部は、ファイナルドリブンギヤ3の径方向で、ファイナルドリブンギヤ3の外縁よりもファイナルドリブンギヤ3の中心側に位置するようにしてもよい。また、ハウジング1の内部の空間に余裕がある場合には、左側方爪部9cの先端部は、ファイナルドリブンギヤ3の径方向で、ファイナルドリブンギヤ3の外縁よりもファイナルドリブンギヤ3の中心から離れた側に位置するようにしてもよい。
天井部9dは、平板状に形成され、略水平に配置されている。天井部9dは、左側方バッフル9にピニオンバッフル7が組み付けられたときに、ピニオン側案内部7d及び後述する左側方案内部9eの樋部9e1の上方に位置する。すなわち、天井部9dとピニオン側案内部7dと左側方案内部9eの樋部9e1とは、平面視で重なった状態となる。
そのため、ドライブピニオンギヤ2に掻き上げられ、受止部7bで受け止められなかった潤滑油や受止部7bにぶつかって跳ねてしまった潤滑油は、天井部9dによって受け止められ、回収される。回収された潤滑油は、受止部7b、ピニオン側案内部7d又は左側方案内部9eに案内される。
なお、天井部9dは、潤滑油を回収することによって、ピニオンバッフル7側から左側方バッフル9側により多くのオイルを供給することができるようにするために設けられた部材である。しかし、潤滑油の量が十分である場合等には、天井部9dは省略してもよい。
左側方案内部9eは、ピニオン側案内部7dと接続する樋部9e1と、左側方爪部9cに連設された左側方第1壁部9e2と、左側方第1壁部9e2のファイナルドリブンギヤ3の車両Vの前進時における回転方向手前側に設けられた左側方第2壁部9e3と、左側方第1壁部9e2のファイナルドリブンギヤ3の車両Vの前進時における回転方向奥側に設けられた左側方第3壁部9e4とで構成されている。
なお、以下の説明において「回転方向手前側」、「回転方向奥側」というときは、車両Vの前進時の回転方向における手前側、奥側をいう。
樋部9e1は、平板状に形成され、天井部9dと略平行に配置されている。樋部9e1は、左側方バッフル9にピニオンバッフル7が組み付けられたときに、ピニオン側案内部7dの下方に位置する(図3参照)。すなわち、樋部9e1とピニオン側案内部7d及び天井部9dとは、平面視で重なった状態となる。
左側方バッフル9にピニオンバッフル7が組み付けられたときには、左側方カバー部9a、天井部9d、樋部9e1、ピニオンバッフル7の側壁部7c及びピニオン側案内部7dによって、四方を囲まれた通路が形成される。この通路は、ピニオンバッフル7から左側方バッフル9の左側方開口部9bの上方の領域までを連通している。そのため、ピニオン側案内部7dによって案内された潤滑油及び天井部9dによって回収された潤滑油は、その通路を通って、左側方開口部9bの上方の領域に案内される。
左側方第1壁部9e2は、平板状に形成され、それぞれの左側方爪部9cから略鉛直に下方へ延びるように配置されている。左側方第1壁部9e2は、ファイナルドリブンギヤ3が掻き上げて左側方爪部9cによって受け止められた潤滑油を、左側方バッフル9の外面上で、左側方連通溝1bに案内する。
なお、本実施形態の動力伝達装置PTでは、左側方爪部9c及び左側方爪部9cに連設されている左側方第1壁部9e2は、複数設けられている。複数の左側方第1壁部9e2のうち、最もファイナルドリブンギヤ3の回転方向奥側の左側方第1壁部9e2(図6で最も左側の左側方第1壁部9e2)は、他の左側方第1壁部9e2よりも大きく形成されている。これは、樋部9e1及び左側方第1壁部9e2によって案内された潤滑油が左側方開口部9bの上方の領域から他の領域に流れ出てしまうことを防止するためである。
左側方第2壁部9e3は、平板状に形成され、左側方第1壁部9e2に対して略平行となるように配置されている。左側方第2壁部9e3は、天井部9dの上方に設けられている。左側方第2壁部9e3は、樋部9e1及び左側方第1壁部9e2によって案内された潤滑油がドライブピニオンギヤ2側に流れ出てしまうことを防止する。
左側方第3壁部9e4は、平板状に形成され、左側方第1壁部9e2に対して略平行となるように配置されている。左側方第3壁部9e4は、最もファイナルドリブンギヤ3の回転方向奥側の左側方第1壁部9e2よりも回転方向奥側に設けられている。左側方第3壁部9e4は、樋部9e1及び左側方第1壁部9e2によって案内された潤滑油が左側方開口部9bの上方の領域から他の領域に流れ落ちてしまうことを防止する。
なお、本実施形態において左側方案内部9eは、樋部9e1と、左側方第1壁部9e2と、左側方第2壁部9e3と、左側方第3壁部9e4とで構成されている。しかし、左側方案内部9eは、ピニオン側案内部7dに案内された潤滑油を左側方ベアリング6b(すなわち、左側方連通溝1b)に案内できる形状であれば、どのような形状であってもよい。
左側方バッフル固定部9fは、ファイナルドリブンギヤ3の回転中心軸線a2方向に貫くように形成された貫通孔を有している。左側方バッフル9は、左側方バッフル固定部9fの貫通孔に挿通したボルトによってハウジング1に固定される。
なお、本実施形態においては、左側方バッフル9を1つの部材として構成しているが、左側方カバー部9a、左側方爪部9c、天井部9d及び左側方案内部9eは、適宜独立した部材として構成してもよい。
本実施形態の動力伝達装置PTはこのように構成された左側方バッフル9を備えているので、ピニオンバッフル7から案内された潤滑油及びファイナルドリブンギヤ3によって掻き上げられた潤滑油の一部は、左側方案内部9eによって左側方連通溝1bに案内されて、左側方開口部9bに嵌め込まれた左側方ベアリング6bに案内される。
次に、図7を参照して、ファイナルドリブンギヤ3の背面を覆う右側方バッフル8について説明する。なお、図7においてファイナルドリブンギヤ3の周面上に記載した太い矢印は、車両Vの前進時におけるファイナルドリブンギヤ3の回転方向を示す。また、細い矢印は、潤滑油の流れを示す。
図7に示すように、右側方バッフル8は、ファイナルドリブンギヤ3の背面を覆う右側方カバー部8aと、右側方カバー部8aの中心に設けられた右側方開口部8bと、右側方カバー部8aの上方に設けられた右側方爪部8cと、右側方カバー部8aの外面に設けられた右側方案内部8dと、右側方カバー部8aに設けられた右側方バッフル固定部(不図示)とを有している。
右側方カバー部8aは、皿状に形成され、ファイナルドリブンギヤ3の背面を覆うように配置されている。右側方カバー部8aの上縁部には、右側方切欠部8a1が形成されている。
右側方開口部8bは、右側方ベアリング6aの縁部が嵌め込まれる(図2参照)。そのため後述するように、右側方バッフル8の外面に案内された潤滑油は、右側方案内部8dによってハウジング1に設けられた右側方連通溝1aに案内され、右側方ベアリング6aに供給される。
右側方爪部8cは、平板状に形成され、右側方切欠部8a1から上方へ略鉛直となるように延設されている。右側方爪部8cの先端部の径方向外端は、ファイナルドリブンギヤ3の径方向で、ファイナルドリブンギヤ3の外縁に一致するように位置している。
右側方爪部8cの先端部の軸方向外端は、左側方バッフル9の左側方爪部9cの先端部の軸方向外端とは異なり、ファイナルドリブンギヤ3の回転中心軸線a2方向で、ファイナルドリブンギヤ3と重なり合う位置まで、ファイナルドリブンギヤ3側に延出している。また、右側方爪部8cの先端部の軸方向外端に形状に対応するように、ファイナルドリブンギヤ3の外周面は、右側方バッフル8に近づくほど傾斜している(図8において右側へ向かって下がるように傾斜している)。
このように、右側方爪部8cの先端部の軸方向外端の形状を、左側方爪部9cを異ならせ、ファイナルドリブンギヤ3側に延出しているので、右側方爪部8cと左側方爪部9cとを同一の形状とした場合に比べ、右側方バッフル8側に多量に潤滑油が案内されやすい。なお、潤滑油の量が十分である場合等には、右側方爪部8cと左側方爪部9cとを同一の形状としたり、ファイナルドリブンギヤ3側に延出させないようにしたりしてもよい。
また、右側方爪部8cは、左側方バッフル9の左側方爪部9cよりもファイナルドリブンギヤ3の回転方向手前側に位置している。
なお、右側方爪部8cの先端部は、ファイナルドリブンギヤ3の径方向で、ファイナルドリブンギヤ3よりもファイナルドリブンギヤ3の中心側に位置するようにしてもよい。また、ハウジング1の内部の空間に余裕がある場合には、右側方爪部8cの先端部は、ファイナルドリブンギヤ3の径方向で、ファイナルドリブンギヤ3の外縁よりもファイナルドリブンギヤ3の中心から離れた側に位置するようにしてもよい。
右側方案内部8dは、右側方爪部8cに連設された右側方第1壁部8d1と、右側方第1壁部8d1を挟み込むように設けられた一対の右側方第2壁部8d2(図7ではファイナルドリブンギヤ3の回転方向手前側の右側方第2壁部8d2は不図示)とで構成されている。
右側方第1壁部8d1は、平板状に形成され、それぞれの右側方爪部8cから略鉛直に下方へ延びるように配置されている。右側方第1壁部8d1は、ファイナルドリブンギヤ3が掻き上げて右側方爪部8cによって受け止められた潤滑油を、右側方バッフル8の外面上で、右側方連通溝1aに案内する。
右側方第2壁部8d2は、平板状に形成され、右側方第1壁部8d1に略平行となるように配置されている。右側方第2壁部8d2は、右側方第1壁部8d1によって案内された潤滑油が右側方開口部8bの上方の領域から他の領域に流れ出てしまうことを防止する。
なお、本実施形態において右側方案内部8dは、右側方第1壁部8d1と右側方第2壁部8d2とで構成されている。しかし、右側方案内部8dは、右側方爪部8cに案内された潤滑油を右側方ベアリング6a(すなわち、右側方連通溝1a)に案内するできる形状であれば、どのような形状であってもよい。
右側方バッフル固定部(不図示)は、ファイナルドリブンギヤ3の回転中心軸線a2方向に貫くように貫通孔を有している。右側方バッフル8は、右側方バッフル固定部の貫通孔に挿通したボルトによってハウジング1に固定される。
なお、本実施形態においては、右側方バッフル8を1つの部材として構成しているが、右側方カバー部8a、右側方爪部8c及び右側方案内部8dは、適宜独立した部材として構成してもよい。
本実施形態の動力伝達装置PTはこのように構成された右側方バッフル8を備えているので、ファイナルドリブンギヤ3によって掻き上げられた潤滑油の一部は、右側方案内部8dによって右側方連通溝1aに案内されて、右側方開口部8bに嵌め込まれた右側方ベアリング6aに案内される。
次に、図7及び図8を参照して、ファイナルドリブンギヤ3を覆う右側方バッフル8及び左側方バッフル9の上方に設けられた爪部について説明する。
図8に示すように、ファイナルドリブンギヤ3の背面とハウジング1の内壁面との間には、ファイナルドリブンギヤ3を覆う右側方バッフル8が配置されている。また、ファイナルドリブンギヤ3の歯面とハウジング1の内壁面との間には、ファイナルドリブンギヤ3を覆う左側方バッフル9が配置されている。
右側方バッフル8の上縁部の右側方切欠部8a1からは、右側方爪部8cが、上方へ略鉛直となるように延設されている。左側方バッフルの上縁部の左側方切欠部9a1からは、左側方爪部9cが、上方へ略鉛直となるように延設されている。
本実施形態の動力伝達装置PTでは、ファイナルドリブンギヤ3がハウジング1の下方の油溜から潤滑油を掻き上げる。掻き上げられた潤滑油は、ファイナルドリブンギヤ3とそれを覆う右側方バッフル8又は左側方バッフル9との間に案内される。案内された潤滑油は、ファイナルドリブンギヤ3の上方の位置で、右側方バッフル8と左側方バッフル9との間から、ファイナルドリブンギヤ3の回転に沿うように噴き出す。
そのようにして噴き出した潤滑油の一部は、ファイナルドリブンギヤ3よりも上方に設けられた右側方爪部8c及び左側方爪部9cによって受け止められ、右側方バッフル8の外面又は左側方バッフル9の外面に案内される(図7の矢印参照)。
右側方爪部8c及び左側方爪部9cの先端部(外縁端部)は、ファイナルドリブンギヤ3の径方向で、ファイナルドリブンギヤ3の外縁と一致するように位置している。
そのため、右側方爪部8c及び左側方爪部9cを配置するためにハウジング1の壁面と右側方バッフル8及び左側方バッフル9との間隔を広げる必要がない。その結果、ハウジング1の大型化が抑制されている。
なお、右側方爪部8c及び左側方爪部9cの先端部をファイナルドリブンギヤ3の径方向で、ファイナルドリブンギヤ3の外縁よりもファイナルドリブンギヤ3の中心軸側に位置するようにしても、同様の効果を得ることができる。
右側方バッフル8及び左側方バッフル9は、周方向に間隔を存して複数の右側方爪部8c及び左側方爪部9cを有している。
そのため、右側方バッフル8と左側方バッフル9との間からファイナルドリブンギヤ3の回転に沿うように噴き出した潤滑油の一部は、回転方向手前側の爪部によって右側方バッフル8又は左側方バッフル9の外面に案内される。一方で、回転方向手前側の爪部によって案内されなかった潤滑油の一部は、その爪部によるコアンダ効果で扇状に拡がる。そのため、回転方向奥側の爪部では、回転方向手前側の爪部よりも多量の潤滑油が受け止められることになる。
本実施形態の動力伝達装置PTでは、このようにして、爪部を1つだけ設けた場合よりも多量の潤滑油を右側方バッフル8の外面又は左側方バッフル9の外面に案内できるようになっている。
ただし、必要とする潤滑油の量が少ない場合等には、必ずしも右側方爪部8c及び左側方爪部9cを複数設ける必要はない。例えば、右側方爪部8c及び左側方爪部9cは、1枚だけ設けるようにしてもよい。
また、右側方爪部8cは、右側方バッフル8の右側方切欠部8a1に設けられ、左側方爪部9cは、左側方バッフル9の左側方切欠部9a1に設けられている。
これは、ファイナルドリブンギヤ3の右側方バッフル8又は左側方バッフル9の大型化を抑えつつ、右側方爪部8c又は左側方爪部9cを大きくするためである。
本実施形態の動力伝達装置PTでは、このようにして、ハウジング1の大型化を抑えつつ、右側方爪部8c又は左側方爪部9cで受け止める潤滑油の量を増加させている。
ただし、ハウジング1の内部空間に余裕がある場合等には、必ずしも右側方爪部8c及び左側方爪部9cを右側方切欠部8a1及び左側方切欠部9a1に設ける必要はない。例えば、右側方バッフル8又は左側方バッフル9に切欠部を形成せず、それらのバッフルの上縁部に直接爪部を設けてもよい。
ところで、上述したように、左側方バッフル9の外面側の構成部材(例えば、左側方ベアリング6b等)には、左側方爪部9cで案内される潤滑油の他、ドライブピニオンギヤ2が掻き上げた潤滑油が、ピニオンバッフル7から左側方バッフル9に受け渡され案内される。
しかし、右側方バッフル8の外面側の構成部材(例えば、右側方ベアリング6a)には、ピニオンバッフル7から左側方バッフル9に受け渡された潤滑油は案内されない。すなわち、右側方バッフル8の外面側の構成部材に対しては、ドライブピニオンギヤ2による潤滑油の供給がされにくいので、その構成部材に対して供給される潤滑油の量が、左側方バッフル9の外面側の構成部材と比較して少なくなってしまうおそれがある。
そこで、本実施形態の動力伝達装置PTでは、図7に示すように、右側方バッフル8の右側方爪部8cを左側方バッフル9の左側方爪部9cよりもファイナルドリブンギヤ3の回転方向手前側に位置させている。
本実施形態の動力伝達装置PTでは、ファイナルドリブンギヤ3が掻き上げた潤滑油は、まず、ファイナルドリブンギヤ3とそれを覆う右側方バッフル8又は左側方バッフル9との間に案内される。その後、案内された潤滑油は、ファイナルドリブンギヤ3の上方の位置で、右側方バッフル8と左側方バッフル9との間から、ファイナルドリブンギヤ3の回転に沿うように噴き出す。
その後、まず、右側方バッフル8と左側方バッフル9との間からファイナルドリブンギヤ3の回転に沿うように噴き出した潤滑油の一部は、回転方向手前側の右側方爪部8cによってドライブピニオンギヤ2の存在していない側の領域に案内される。次に、右側方爪部8cによって案内されなかった潤滑油の一部が、左側方爪部9cによってドライブピニオンギヤ2が存在している側の領域に案内される。
すなわち、ドライブピニオンギヤ2による潤滑油の供給がされにくく潤滑油の供給が不十分となりやすい領域(すなわち、右側方バッフル8の外面側の領域)に、かさ歯車であるファイナルドリブンギヤ3が掻き上げた潤滑油が優先的に供給されることになる。
その結果、ドライブピニオンギヤ2による潤滑油の供給がされにくい側の領域に、ドライブピニオンギヤ2による潤滑油の掻き上げが行われる側の領域よりも、ファイナルドリブンギヤ3によって掻き上げられた潤滑油が多量に供給される。
したがって、本実施形態の動力伝達装置PTによれば、ファイナルドリブンギヤ3の回転中心軸線a2方向両側の構成部品に適切な量の潤滑油を供給することができる。
以上、図示の実施形態について説明したが、本発明はこのような形態に限られるものではない。
例えば、上記実施形態では、本発明を車両Vに搭載した動力伝達装置PTに対して用いている。しかし、本発明は、車両に搭載した動力伝達装置以外の種々の動力伝達装置にも適用することができる。
また、上記実施形態では、エンジンEを前車軸と後車軸(ドライブシャフトDS)との間に配置し、後輪RWを駆動するMRレイアウトの2WD車両(すなわち、RWD車両)に搭載した動力伝達装置PTに対し、本発明を適用している。しかし、本発明を適用した動力伝達装置を搭載する車両は、後輪および前輪を駆動する4WD車両でもよい。また、駆動源を車両前方に配置し、前輪を駆動するFFレイアウトの2WD車両(すなわち、FWD車両)でもよい。
また、上記実施形態では、ドライブピニオンギヤ2の回転中心軸線a1は、ファイナルドリブンギヤ3の回転中心軸線a2よりも上方に位置させて、ドライブピニオンギヤ2及びファイナルドリブンギヤ3をハイポイドギヤとして形成している。
しかし、本発明は第1ギヤの回転中心軸線が第2ギヤの回転中心軸線よりも下方に位置しているハイポイドギヤにも適用することができる。また、第1ギヤの回転中心軸線と第2ギヤの回転中心軸線とが交差するベベルギヤにも適用することができる。
また、上記実施形態では、ドライブピニオンギヤ2及びファイナルドリブンギヤ3としてかさ歯車を用いている。しかし、本発明は、第1ギヤ及び第2ギヤがかさ歯車であれば、ハイポイドピニオン及びハイポイドギヤ以外の歯車を用いたものに対しても適用することができる。
また、上記実施形態では、右側方バッフル8に右側方爪部8cを設け、左側方バッフル9に左側方爪部9cを設けている。しかし、本発明は、潤滑油の供給が少ない側のバッフルのみに爪部を設けるようにしてもよい。
また、上記実施形態では、右側方爪部8cを、左側方爪部9cよりもファイナルドリブンギヤ3の回転方向手前側に位置させている。しかし、本発明では、潤滑油の供給量を多くしたいバッフル側の爪をファイナルドリブンギヤ3の回転方向手前側に配置させればよい。
そのため、例えば、左側方に潤滑油を多く供給したい場合には、右側方爪部を、左側方爪部よりも第2ギヤの回転方向奥側に位置させてもよい。また、右側方バッフル側と左側方バッフル側に同量の潤滑油を供給したい場合には、一対のバッフルの爪部を回転方向において同じ位置に設ければよい。
なお、上記本実施形態では、右側方爪部8cの各々の縁部は、ファイナルドリブンギヤ3の回転中心軸線a2方向で同じ位置となるように構成されている。また、左側方爪部9cの各々の縁部も、ファイナルドリブンギヤ3の回転中心軸線a2方向で同じ位置となるように構成されている。
しかし、本発明は、第2ギヤの回転方向奥側の爪部の縁部は、第2ギヤの回転中心軸線方向で、第2ギヤの回転方向手前側の爪部の縁部よりも第2ギヤから離れた側に位置するように構成してもよい。
そのように構成した場合には、回転方向奥側の爪部で案内される潤滑油の量を制限できるので、案内する潤滑油の量を適度に抑制することができるためである。
1…ハウジング、1a…右側方連通溝、1b…左側方連通溝、1c…オイル供給孔、1c…油溜部、2…ドライブピニオンギヤ、3…ファイナルドリブンギヤ、4…差動機構、4a…デフケース、4a1…大径筒状部、4a2…小径筒状部、4b…ピニオンシャフト、4c…プレッシャーリング、4d…クラッチ、4e…ピニオンギヤ、4f…サイドギヤ、5…固定ボルト、6a…右側方ベアリング、6b…左側方ベアリング、7…ピニオンバッフル、7a…ピニオン側カバー部、7b…受止部、7c…側壁部、7d…ピニオン側案内部、7e…ピニオン側固定部、8…右側方バッフル、8a…右側方カバー部、8a1…右側方切欠部、8b…右側方開口部、8c…右側方爪部、8d…右側方案内部、8d1…右側方第1壁部、8d2…右側方第2壁部、9…左側方バッフル、9a…左側方カバー部、9a1…左側方切欠部、9a2…噛合用開口部、9b…左側方開口部、9c…左側方爪部、9d…天井部、9e…左側方案内部、9e1…樋部、9e2…左側方第1壁部、9e3…左側方第2壁部、9e4…左側方第3壁部、9f…左側方バッフル固定部、10…オイルクーラー、a1…ドライブピニオンギヤ2の回転中心軸線、a2…ファイナルドリブンギヤ3の回転中心軸線、E…エンジン、DS…ドライブシャフト、DSa…細径部、FW…前輪、PT…動力伝達装置、RW…後輪、TM…変速機、V…車両。

Claims (11)

  1. 内部に潤滑油の油溜を有するハウジングと、
    前記ハウジングの内部に回転可能に配置されたかさ歯車である第1ギヤと、
    前記ハウジングの内部に回転可能に配置され、前記第1ギヤと噛合するかさ歯車である第2ギヤと、
    前記第2ギヤの一方側を覆う第1バッフルと、
    前記第2ギヤの他方側を覆う第2バッフルとを備え、
    前記第1ギヤは、前記第2ギヤの前記他方側に配置され、
    前記第1バッフルは、前記第2ギヤの回転中心軸線よりも上方に位置する第1バッフル側爪部を有し、
    前記第1バッフル側爪部は、前記第2ギヤが前記油溜から掻き上げた前記潤滑油を受け、受けた該潤滑油を前記第1バッフルの前記第2ギヤとは反対側の面に案内し、
    前記第2バッフルは、前記第2ギヤの回転中心軸線よりも上方に位置する第2バッフル側爪部を有し、
    前記第2バッフル側爪部は、前記第2ギヤが前記油溜から掻き上げた前記潤滑油を受け、受けた該潤滑油を前記第2バッフルの前記第2ギヤとは反対側の面に案内し、
    前記第1バッフル側爪部は、前記第2バッフル側爪部よりも前記第2ギヤの回転方向手前側に位置していることを特徴とする動力伝達装置。
  2. 請求項1に記載の動力伝達装置であって、
    前記第1バッフル側爪部は、前記第2ギヤの回転方向に間隔を存して複数配置されていることを特徴とする動力伝達装置。
  3. 請求項2に記載の動力伝達装置であって、
    前記第2ギヤの回転方向奥側の前記第1バッフル側爪部の前記第2ギヤ側の縁部は、前記第2ギヤの回転中心軸線方向で、前記第2ギヤの回転方向手前側の第1バッフル側爪部の前記第2ギヤ側の縁部よりも前記第2ギヤから離れた側に位置していることを特徴とする動力伝達装置。
  4. 内部に潤滑油の油溜を有するハウジングと、
    前記ハウジングの内部に回転可能に配置されたかさ歯車である第1ギヤと、
    前記ハウジングの内部に回転可能に配置され、前記第1ギヤと噛合するかさ歯車である第2ギヤと、
    前記第2ギヤの一方側を覆う第1バッフルと、
    前記第2ギヤの他方側を覆う第2バッフルとを備え、
    前記第1ギヤは、前記第2ギヤの前記他方側に配置され、
    前記第1バッフルは、前記第2ギヤの回転中心軸線よりも上方に位置する第1バッフル側爪部を有し、
    前記第1バッフル側爪部は、前記第2ギヤが前記油溜から掻き上げた前記潤滑油を受け、受けた該潤滑油を前記第1バッフルの前記第2ギヤとは反対側の面に案内し、
    前記第1バッフル側爪部は、前記第2ギヤの回転方向に間隔を存して複数配置され
    前記第2ギヤの回転方向奥側の前記第1バッフル側爪部の前記第2ギヤ側の縁部は、前記第2ギヤの回転中心軸線方向で、前記第2ギヤの回転方向手前側の第1バッフル側爪部の前記第2ギヤ側の縁部よりも前記第2ギヤから離れた側に位置していることを特徴とする動力伝達装置。
  5. 請求項4に記載の動力伝達装置であって、
    前記第2バッフルは、前記第2ギヤの回転中心軸線よりも上方に位置する第2バッフル側爪部を有し、
    前記第2バッフル側爪部は、前記第2ギヤが前記油溜から掻き上げた前記潤滑油を受け、受けた該潤滑油を前記第2バッフルの前記第2ギヤとは反対側の面に案内することを特徴とする動力伝達装置。
  6. 請求項5に記載の動力伝達装置であって、
    前記第1バッフル側爪部は、前記第2バッフル側爪部よりも前記第2ギヤの回転方向手前側に位置していることを特徴とする動力伝達装置。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の動力伝達装置であって、
    前記第1バッフル側爪部の先端部は、前記第2ギヤの径方向で前記第2ギヤの外縁と一致する、又は、前記第2ギヤの径方向で前記第2ギヤの外縁よりも前記第2ギヤの中心側に位置していることを特徴とする動力伝達装置。
  8. 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の動力伝達装置であって、
    前記第1バッフルには、上縁部に切欠部が形成され、
    前記第1バッフル側爪部は、前記切欠部に形成されていることを特徴とする動力伝達装置。
  9. 請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の動力伝達装置であって、
    前記第2ギヤは、前記第1ギヤよりも大径のリング状のかさ歯車であることを特徴とする動力伝達装置。
  10. 請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の動力伝達装置であって、
    前記ハウジングの内部に配置され、デフケースを有する差動機構と、
    前記第2ギヤの回転中心軸線の一方側に配置され、前記デフケースを前記ハウジングに対して回転自在に支持する第1ベアリングと、
    前記第2ギヤの回転中心軸線の他方側に配置され、前記デフケースを前記ハウジングに対して回転自在に支持する第2ベアリングとを備え、
    前記第2ギヤは、前記デフケースに固定されていることを特徴とする動力伝達装置。
  11. 内部に潤滑油の油溜を有するハウジングと、
    前記ハウジングの内部に回転可能に配置されたかさ歯車である第1ギヤと、
    前記ハウジングの内部に回転可能に配置され、前記第1ギヤと噛合するかさ歯車である第2ギヤと、
    前記第2ギヤの一方側を覆う第1バッフルと、
    前記第2ギヤの他方側を覆う第2バッフルとを備え、
    前記第1ギヤは、前記第2ギヤの前記他方側に配置され、
    前記第1バッフルは、前記第2ギヤの回転中心軸線よりも上方に位置する第1バッフル側爪部を有し、
    前記第1バッフル側爪部は、前記第2ギヤが前記油溜から掻き上げた前記潤滑油を受け、受けた該潤滑油を前記第1バッフルの前記第2ギヤとは反対側の面に案内し、
    前記第2バッフルは、前記第2ギヤの回転中心軸線よりも上方に位置する第2バッフル側爪部を有し、
    前記第2バッフル側爪部は、前記第2ギヤが前記油溜から掻き上げた前記潤滑油を受け、受けた該潤滑油を前記第2バッフルの前記第2ギヤとは反対側の面に案内し、
    前記第1バッフル側爪部の先端部の軸方向外端は、前記第2ギヤの回転中心軸線方向で、前記第2ギヤの外周面と重なり合う位置まで、前記第2ギヤ側に延出しており、
    前記第2バッフル側爪部の先端部の軸方向外端は、前記第2ギヤの回転中心軸線方向で、前記第2ギヤの歯面と重なり合う位置まで、前記第2ギヤ側に延出していることを特徴とする動力伝達装置。
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