JP6489095B2 - リチウムイオン二次電池の製造方法 - Google Patents
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Description
(A)正極および負極を備える電極群を構成する。
(B)電極群、電解液および第3電極を筐体に収納する。
(C)筐体内において、第3電極と負極との間での充電によって、負極を充電する。
(D)第3電極と負極との間での放電によって、充電された負極を放電することにより、リチウムイオン二次電池を製造する。
電極群において、正極は、負極と対向している。負極は、正極と対向していない非対向領域を備える。第3電極は、非対向領域と対向するように配置される。
非対向領域が最外周に配置されることにより、第3電極から非対向領域にリチウムイオンを効率的に供給することができる。
非対向領域が最外層に配置されることにより、第3電極から非対向領域にリチウムイオンを効率的に供給することができる。
これにより第3電極と負極との間での充放電により、不可逆容量が発生しても、第3電極は回復処理に十分なリチウムイオンを維持することができる。
充電時の電流レートが2Cを超えると、充電は短時間で済む。しかし被膜の均一性が低下する可能性もある。被膜の均一性が低下すると、回復処理時に、被膜が十分形成されていない部分で、再度、被膜の形成(リチウムイオンの損失)が起こる可能性もある。充電時の電流レートが1C未満であると、被膜の均一性は向上すると考えられる。しかし処理時間が長くなり効率が悪いと考えられる。
放電時の電流レートが2Cを超えると、第3電極に戻るリチウムイオンの量が減少する可能性がある。第3電極に戻るリチウムイオンの量が減少すると、電極群にリチウムイオンが過剰に存在することになり、たとえば電圧不良等が生じる可能性もある。放電時の電流レートが1C未満であると、処理時間が長くなり効率が悪いと考えられる。
40%以上の充電率(SOC)に相当する容量が負極に充電されることにより、被膜が十分形成される。これにより、回復処理時の不可逆容量の発生が抑制されると考えられる。60%を超えるSOCに相当する容量が負極に充電されてもよい。ただしSOCが60%を超える領域において、被膜の形成量(不可逆容量の発生量)は少ない。そのため、回復処理における時間短縮効果は然程大きくならないと考えられる。
まず、本実施形態のリチウムイオン二次電池の製造方法により製造されるリチウムイオン二次電池の概要が説明される。
図1は、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池の構成の一例を示す概略図である。電池100は、筐体90を備える。筐体90は角形(扁平直方体)である。ただし本実施形態の筐体は円筒形であってもよい。典型的には、純アルミニウム(Al)、Al合金、ステンレス等の金属が筐体90を構成する。ただし筐体90が所定の密閉性を有する限り、樹脂が筐体90を構成してもよいし、金属および樹脂の複合材料が筐体90を構成してもよい。金属および樹脂の複合材料としては、たとえば、アルミラミネートフィルム等が挙げられる。
電極群50は、巻回型電極群50Aであってもよいし、積層型電極群50Bであってもよい。図3は、図1のYZ平面に平行な概略断面図の一例である。図3には、巻回型電極群50Aが示されている。巻回型電極群50Aは、正極10および負極20を備える。第1セパレータ41は、正極10および負極20の間に配置されている。巻回型電極群50Aにおいて、正極10および負極20は、いずれも帯状のシートである。巻回型電極群50Aは、正極10および負極20が巻回されることにより構成されている。正極10および負極20は、負極20が正極10よりも外周側を回るように巻回されている。正極10は負極20と対向している。負極20は、正極10と対向していない非対向領域24を備える。非対向領域24は、巻回型電極群50Aの最外周に配置されている。第3電極30は、非対向領域24と対向するように配置されている。第2セパレータ42は、巻回型電極群50Aおよび第3電極30の間に配置されている。
電池100の回復処理が説明される。図5は、回復処理を説明するための第1概念図である。正極10は、負極20と対向している。負極20は、正極10と対向していない非対向領域24を備える。第3電極30は、非対向領域24と対向するように配置されている。通常の充放電は、正極10および負極20の間で実施される。非対向領域24(負極20の一部)は、通常の充放電では使用されない。
以下、本実施形態のリチウムイオン二次電池の製造方法が説明される。
図8は、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池の製造方法の概略を示すフローチャートである。本実施形態の製造方法は、(A)電極群の構成、(B)収納、(C)充電、および(D)放電を含む。
本実施形態の製造方法は、(A)正極10および負極20を備える電極群50を構成することを含む。
図9は、巻回型電極群の構成の一例を示す概略図である。帯状の正極10および帯状の負極20は、帯状の第1セパレータ41を間に挟んで、互いに対向するように積層される。さらに帯状の正極10および帯状の負極20が巻回されることにより、巻回型電極群50Aが構成される。帯状の負極20は、巻回軸に対して帯状の正極10よりも外周側を回るように巻回される。これにより巻回型電極群50Aの最外周に負極20が配置される。最外周に配置された負極20は、正極10と対向していない非対向領域24を備える。
図10は、積層型電極群の構成の一例を示す概略図である。積層型電極群50Bは、矩形状の正極10および矩形状の負極20が交互に積層されることにより構成される。矩形状の第1セパレータ41は、矩形状の正極10および矩形状の負極20の間のそれぞれに配置される。各部材は、たとえば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等のバインダにより接着されてもよい。積層型電極群50Bの最外層には負極20が配置される。最外層に配置された負極20は、正極10と対向していない非対向領域24を備える。
正極10は、従来公知の方法により準備され得る。たとえば、まず正極活物質を含有する正極スラリーが調製される。正極スラリーが正極集電体11の表面に塗工され、乾燥されることにより、正極活物質層12が形成される。これにより正極10が製造される。正極10は、電極群50の仕様に合わせて、所定の寸法に加工される。ここでの加工は、圧延および裁断を含む。たとえば、正極10が巻回型電極群50A用である場合、正極10は帯状に裁断される。正極10が積層型電極群50B用である場合、正極10は矩形状に裁断される。
負極20は、従来公知の方法により準備され得る。たとえば、まず負極活物質を含有する負極スラリーが調製される。負極スラリーが負極集電体21の表面に塗工され、乾燥されることにより、負極活物質層22が形成される。これにより負極20が製造される。負極20は、電極群50の仕様に合わせて、所定の寸法に加工される。ここでの加工は、圧延および裁断を含む。たとえば、負極20が巻回型電極群50A用である場合、負極20は帯状に裁断される。負極20が積層型電極群50B用である場合、負極20は矩形状に裁断される。
第1セパレータ41は、電気絶縁性の多孔質膜である。第1セパレータ41は、内部の空隙に電解液を保持する。たとえば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等の樹脂が第1セパレータ41を構成し得る。第1セパレータ41は、従来公知の方法により製造され得る。第1セパレータ41は、たとえば、延伸開孔法、相分離法等により製造され得る。
本実施形態の製造方法は、(B)電極群50、電解液、第2セパレータ42および第3電極30を筐体90に収納することを含む。
電解液は、溶媒およびリチウム塩を備える。電解液は、溶媒にリチウム塩が分散、溶解されることにより調製される。リチウム塩は支持電解質として機能する。リチウム塩は、たとえばLiPF6、LiBF4、Li[N(FSO2)2]等でよい。電解液において、リチウム塩は、たとえば、0.5〜2.0mоl/lの濃度を有してもよい。
図11は、第3電極の配置の一例を示す概略図である。図11には、便宜上、巻回型電極群50Aが示されている。積層型電極群50Bの場合も同様の配置となり得る。第2セパレータ42は、電気絶縁性の多孔質膜である。第2セパレータ42は、内部の空隙に電解液を保持する。第1セパレータ41と同様に、たとえばPE、PP等の樹脂が第2セパレータ42を構成してもよい。図11に示されるように、第2セパレータ42は、たとえば、袋状の形態を有してもよい。巻回型電極群50Aは、袋状の第2セパレータ42に収納され得る。
図11に示されるように、第3電極30は、たとえば、第2セパレータ42の上から巻回型電極群50Aに巻き付けられる。巻回型電極群50Aの最外周には、非対向領域24が配置されている。第3電極30は、少なくとも非対向領域24と対向するように配置される。第3電極30は、好ましくは、正極10および負極20の積層方向と交差する方向(図11のX軸方向)の端部とも対向するように配置される。巻回型電極群50AのX軸方向の端部では、正極10、第1セパレータおよび負極20のそれぞれの間に隙間がある。この隙間は、巻回型電極群50Aの内部に連通している。そのため第3電極30が巻回型電極群50AのX軸方向の端部とも対向していることにより、回復処理時、巻回型電極群50Aの内部にもリチウムイオンが効率的に供給され得る。
本実施形態の製造方法は、(C)筐体90内において、第3電極30と負極20との間での充電によって、負極20を充電することを含む。
本実施形態の製造方法は、(D)第3電極30と負極20との間での放電によって、充電された負極20を放電することにより電池100(リチウムイオン二次電池)を製造することを含む。
本実施形態の製造方法により製造されたリチウムイオン二次電池は、数年単位の長寿命が必要とされる用途に好適である。そのような用途としては、たとえば、ハイブリッド自動車(HV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、電気自動車(EV)等の動力電源が挙げられる。ただし、本実施形態のリチウムイオン二次電池の用途は、こうした車載用途に限定されるべきではない。本実施形態のリチウムイオン二次電池は、あらゆる用途に適用可能である。
以下のようにして、3.0〜4.1Vの電圧範囲で動作するように構成されたリチウムイオン二次電池が製造された。このリチウムイオン二次電池は5Ahの定格容量を有する。
以下の材料が準備された。
正極活物質:LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2(以下「NCM」と略記される)
導電材:アセチレンブラック(AB)
バインダ:PVdF
溶媒:NMP
正極集電体:Al箔
負極活物質:黒鉛
バインダ:CMCおよびSBR
溶媒:水
負極集電体:Cu箔
上記で調製された正極スラリーが、帯状のAl板の表面(片面)に塗工され、乾燥された。これにより第3電極が製造された。第3電極が所定の厚さに圧延された。この第3電極は第3電極活物質層および第3電極集電体(Al板)を備える。この第3電極活物質層は第3電極活物質(NCM)を備える。この第3電極活物質層は、正極の正極活物質層と同じ組成を有する。
リチウム塩:LiPF6(1.1mоl/l)
溶媒:[EC:DMC:EMC=3:4:3(体積比)]
以上より、電極群、電解液および第3電極が筐体に収納された。
充放電装置が準備された。負極端子および筐体が充放電装置に接続された。すなわち負極および第3電極が充放電装置に接続された。第3電極と負極との間での充電によって、負極が充電された。充電は1.5Cの電流レートで実施された。充電は50%のSOCに相当する容量が負極に充電されるように実施された。
充電後、第3電極と負極との間での放電によって、充電された負極が放電された。放電は1.5Cの電流レートで実施された。放電は、第3電極と負極との間の電位差が3.0Vになるまで実施された。以上より、実施例に係るリチウムイオン二次電池が製造された。
上記の(C)充電および(D)放電を備えないことを除いては、実施例と同じ製造方法により、比較例に係るリチウムイオン二次電池が製造された。
《回復率の測定》
各リチウムイオン二次電池のSOCが100%に調整された。正極端子および筐体が導線で接続された。すなわち正極および第3電極が電気的に接続された。電流計により導線を流れる電流が測定された。第3電極から電極群に供給された容量が電池の定格容量で除されることにより回復率が算出された。
実施例に係るリチウムイオン二次電池において、第3電極と負極との間での充放電が5回繰り返された。各回の充放電において、放電容量が充電容量で除されることにより、充放電効率が算出された。
Claims (6)
- 正極および負極を備える電極群を構成すること、
前記電極群、電解液および第3電極を筐体に収納すること、
前記筐体内において、前記第3電極と前記負極との間での充電によって、前記負極を充電すること、および
前記第3電極と前記負極との間での放電によって、充電された前記負極を放電することによりリチウムイオン二次電池を製造すること
を含み、
前記第3電極は、通常の充放電時に使用されないリチウムイオン補充用電極であり、
前記電極群において、
前記正極は、前記負極と対向しており、
前記負極は、前記正極と対向していない非対向領域を備え、
前記第3電極は、前記非対向領域と対向するように配置され、
前記リチウムイオン二次電池は、使用可能な容量が減少した際、容量の回復処理が実施できるように構成されており、
前記回復処理では、前記正極および前記第3電極が電気的に接続されることにより、前記正極および前記第3電極の間に生じた電位差を利用して、前記第3電極から前記非対向領域へとリチウムイオンが供給され、
さらにリチウムイオンの供給を受けた前記非対向領域から前記正極へとリチウムイオンが供給される、
リチウムイオン二次電池の製造方法。 - 前記電極群は、前記正極および前記負極が巻回されることにより構成される巻回型電極群であり、
前記非対向領域は、前記巻回型電極群の最外周に配置される、
請求項1に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。 - 前記電極群は、前記正極および前記負極が交互に積層されることにより構成される積層型電極群であり、
前記非対向領域は、前記積層型電極群の最外層に配置される、
請求項1に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。 - 前記正極は、単位面積あたり第1充放電容量を有し、
前記第3電極は、単位面積あたり第2充放電容量を有し、
前記第2充放電容量は、前記第1充放電容量の2倍以上である、
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。 - 1時間の充電により、前記リチウムイオン二次電池の充電率が0%から100%に到達する電流レートが1Cとされるとき、
1C以上2C以下の電流レートで前記負極が充電され、
1C以上2C以下の電流レートで前記負極が放電される、
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。 - 前記リチウムイオン二次電池において40%以上60%以下の充電率に相当する容量が、前記負極に充電される、
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
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