JP6488104B2 - アクリル繊維処理剤及びその用途 - Google Patents

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Description

本発明は、アクリル繊維処理剤及びその用途に関する。より詳しくは、アクリル繊維を製造する際に使用する処理剤と、該処理剤を用いた炭素繊維製造用アクリル繊維(以下、プレカーサーと称することがある)と、該処理剤を用いた炭素繊維の製造方法とに関する。
炭素繊維はその優れた機械的特性を利用して、マトリックス樹脂と称されるプラスチックとの複合材料用の補強繊維として、航空宇宙用途、スポーツ用途、一般産業用途等に幅広く利用されている。
炭素繊維を製造する方法としては、まずプレカーサーを製造する(このプレカーサーの製造工程を製糸工程と称することがある)。このプレカーサーを200〜300℃の酸化性雰囲気中で耐炎化繊維に転換し(この工程を以下、耐炎化処理工程と称することがある)、続いて300〜2000℃の不活性雰囲気中で炭素化する(この工程を以下、炭素化処理工程と称することがある)方法が一般的である(以下、耐炎化処理工程と炭素化処理工程をあわせて、焼成工程と称することがある)。このプレカーサーの製造には通常のアクリル繊維と比較しても高倍率に延伸される延伸工程を経る。その際、繊維同士の膠着が起こり易く、均一に高倍率延伸が行われない為に、不均一なプレカーサーとなる。この様なプレカーサーを焼成して得られる炭素繊維は十分な強度が得られないという問題がある。また、プレカーサーの焼成時には、単繊維同士の融着が発生し、得られた炭素繊維の品質、品位を低下させるという問題がある。
プレカーサーの膠着防止、炭素繊維の融着防止のために、プレカーサーに付与する処理剤として、湿潤時および高温環境下で繊維−繊維間摩擦が低く、優れた剥離性を有するシリコーン系処理剤が提案されている。例えば、架橋反応により耐熱性をさらに向上できるアミノ変性シリコーン系処理剤や、熱処理工程で被膜化し易くプレカーサー保護性を向上できるアミノ変性シリコーンとエポキシ変性シリコーンとを併用した処理剤が提案されている(特許文献1〜2参照)。また、アミノ変性シリコーン及びエポキシ変性シリコーンを併用すると乳化安定性が悪くなることから、これらの併用系に乳化安定性を向上できるアルキレンオキサイド変性シリコーンを併用した処理剤(特許文献3〜4参照)が提案されている。
しかし、これら従来の処理剤では、製糸工程での毛羽やローラー巻き付きが発生し安定した操業性が得られないという問題があり、更には焼成工程で繊維が融着し炭素繊維の強度が低下するという問題が起こりやすかった。
特開2002−271477号公報 特開2002−129481号公報 特開平11−323737号公報 特開2001−172880号公報
かかる従来の技術背景に鑑み、本発明の目的は、繊維間の膠着や融着を抑制することでき、さらに安定した操業性を得ることができるアクリル繊維処理剤、該処理剤を用いた炭素繊維製造用アクリル繊維及び該処理剤を用いた炭素繊維の製造方法を提供することにある。
一般的に、従来のシリコーン系処理剤は、シリコーン系成分を水系エマルジョン化して用いられる。自己乳化型のシリコーン系成分でない場合は、界面活性剤を用いて水系エマルジョン化が行われる。本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、1)この水系エマルジョンをプレカーサーに付与する際、シリコーン系処理剤の浸透性が悪く、プレカーサー繊維束内部にまで均一に付与できないこと、2)アミノ変性シリコーンとエポキシ変性シリコーンの併用系にアルキレンオキサイド変性シリコーンを使用した処理剤であっても、繊維束内部まで処理剤が浸透していないこと、3)そのため、製糸工程での毛羽やローラー巻き付きが発生し、更には焼成工程で繊維が融着し炭素繊維の強度が低下していることを見出した。4)そして、特定のポリエーテル変性シリコーンを用い、さらに所定の条件で測定した動的表面張力が特定の範囲にある処理剤であれば、繊維束内部への浸透性に優れ、繊維束内部へ均一に処理剤を付与することができること、その結果、本願課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明のアクリル繊維用処理剤は、下記一般式(1)で示されるポリオキシアルキレン基を有する置換基によって変性されたポリエーテル変性シリコーン(A)を含み、処理剤の不揮発分濃度が3.3重量%となるように水を添加して調製した処理液の動的表面張力が、最大泡圧法により100ミリ秒で1個の泡を発生させた条件で測定したときに、32〜46mN/mである。
Figure 0006488104
(但し、POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基を示す。a及びbは、各々の平均付加モル数を示し、a=1〜50、b=1〜100である。[(PO)a/(EO)b]はaモルのPOとbモルのEOとが付加してなるポリオキシアルキレン基である。POとEOの付加は、ランダム付加及びブロック付加のいずれでもよく、ブロック付加の場合、POとEOの付加順序は問わない。)
前記ポリエーテル変性シリコーン(A)が、水に可溶であることが好ましい。
一般式(1)において、前記a及びbがa<bを満たす数であることが好ましい。
前記ポリエーテル変性シリコーン(A)におけるPOとEOの合計の重量割合は、35〜95重量%であることが好ましい。
処理剤の不揮発分に占める前記ポリエーテル変性シリコーン(A)の重量割合は、20〜80重量%であることが好ましい。
本発明の処理剤は、アミノ変性シリコーン(B1)及びジメチルシリコーン(B2)から選ばれる少なくとも1種の成分(B)をさらに含むことが好ましい。
前記ポリエーテル変性シリコーン(A)と前記成分(B)の重量割合(A/B)は、80/20〜20/80であることが好ましい。
本発明の処理剤は、ポリオキシアルキレンアルキルアミノエーテル(C)をさらに含有することが好ましい。
本発明の炭素繊維製造用アクリル繊維は、炭素繊維製造用アクリル繊維の原料アクリル繊維に、上記のアクリル繊維処理剤を付着させて製糸したものである。
本発明の炭素繊維の製造方法は、炭素繊維製造用アクリル繊維の原料アクリル繊維に、上記のアクリル繊維処理剤を付着させて製糸する製糸工程と、200〜300℃の酸化性雰囲気中で耐炎化繊維に転換する耐炎化処理工程と、前記耐炎化繊維をさらに300〜2000℃の不活性雰囲気中で炭化させる炭素化処理工程とを含むものである。
本発明のアクリル繊維処理剤は、繊維束内部への浸透性に優れるため、繊維束内部へ均一に処理剤を付与することができる。また、本発明の処理剤は、炭素繊維製造用アクリル繊維製造時の繊維間の膠着や融着を抑制することができ、またローラー等で脱落しにくいため操業安定性に優れる。
本発明のアクリル繊維を用いれば、焼成工程での繊維間の融着や焼成斑を抑制することができ、より高強度の炭素繊維を製造することができる。
本発明のアクリル繊維処理剤は、炭素繊維製造に用いられるアクリル繊維(炭素繊維のプレカーサー)に付与することを目的とした処理剤であり、特定のポリエーテル変性シリコーン(A)を含有し、さらに所定の条件で測定した動的表面張力が特定の範囲にあるものである。以下、詳細に説明する。
[ポリエーテル変性シリコーン(A)]
ポリエーテル変性シリコーン(A)は、本発明の処理剤の必須成分であり、上記一般式(1)で示されるポリオキシアルキレン基を有する置換基によって変性されたジメチルポリシロキサンをいう。より詳細には、ジメチルポリシロキサンの主鎖珪素及び/又は末端珪素のメチル基の一部が、上記一般式(1)で示されるポリオキシアルキレン基を有する置換基によって置換された構造を有する変性ジメチルポリシロキサンをいう。変性ジメチルポリシロキサンの末端珪素のジメチル以外の残りの1つの置換基は、炭素数1〜3のアルキル基でもよいし、炭素数1〜3のアルコキシ基でもよいし、水酸基でもよいし、上記一般式(1)で示されるポリオキシアルキレン基を有する置換基でもよい。このような特定のポリエーテル変性シリコーン(A)を用いることにより、繊維束内部への浸透性に優れ、繊維束内部へ均一に処理剤を付与することができる。ポリオキシエチレン基のみを有する置換基によって変性されたポリエーテル変性シリコーンを用いた場合、繊維束内部への浸透性に劣り、繊維束内部へ均一に処理剤を付与することができなくなる。ポリエーテル変性シリコーン(A)は1種でもよく、2種以上を併用してもよい。
上記一般式(1)で示されるポリオキシアルキレン基において、POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基を示す。従って、[(PO)a/(EO)b]はaモルのPOとbモルのEOとが付加していることを示す。
a及びbは、各々の平均付加モル数を示し、a=1〜50、b=1〜100である。aとしては、1〜40が好ましく、1〜30がさらに好ましい。bとしては、1〜80が好ましく、1〜50がさらに好ましい。
POとEOの付加は、ランダム付加及びブロック付加のいずれでもよく、ブロック付加の場合、POとEOの付加順序は問わない。
a及びbは、繊維束内部への浸透性の点からa<bを満たす数であることが好ましい。つまりPOのモル数aとEOのモル数bの比(a/b)は、1未満が好ましく、0.75以下が好ましく、0.2〜0.7がより好ましく、0.3〜0.6がさらに好ましい。
上記一般式(1)で示されるポリオキシアルキレン基を有する置換基としては、下記一般式(2)で示すことができる。
Figure 0006488104
一般式(2)中、Rは、水素原子、炭素数1〜30のアルキル基又は炭素数1〜30のアルケニル基を示す。アルキル基及びアルケニル基は、直鎖又は分枝鎖のいずれの構造から構成されていてもよい。Rは、処理剤の水系での安定性の点から、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜20のアルケニル基が好ましく、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数1〜10のアルケニル基が好ましく、水素原子がさらに好ましい。Rは炭素数1〜6のアルキレン基を示し、炭素数は1〜3が好ましい。
ポリエーテル変性シリコーン(A)は、処理剤の水系での安定性の点から、水に可溶であることが好ましい。ここで水に可溶とは、ポリエーテル変性シリコーン10重量%水溶液の紫外可視分光光度計で660nmでの透過率(20℃)が、水をブランクとした時に90%以上のものをいう。
ポリエーテル変性シリコーン(A)におけるPOとEOの合計の重量割合は、繊維束内部への浸透性、処理剤の水系での安定性の点から、35〜95重量%が好ましく、45〜95重量%がより好ましく、55〜95重量%がさらに好ましく、60〜90重量%が特に好ましい。ここで、ポリエーテル変性シリコーン(A)におけるPOとEOの合計の重量割合とは、ポリエーテル変性シリコーン(A)に含まれる全てのPOとEOの合計の重量割合を意味し、ポリエーテル変性シリコーン(A)をH−NMRで測定した際の、ピーク面積より算出されるポリエーテル変性シリコーン(A)の重量に対するPOとEOの合計の重量の比をいう。
同様に、繊維束内部への浸透性、処理剤の水系での安定性の点から、ポリエーテル変性シリコーン(A)におけるPOの重量割合は、10〜70重量%が好ましく、10〜60重量%がより好ましく、15〜50重量%がさらに好ましく、15〜40重量%が特に好ましい。同様に、繊維束内部への浸透性、処理剤の水系での安定性の点から、ポリエーテル変性シリコーン(A)におけるEOの重量割合は、30〜95重量%が好ましく、30〜90重量%がより好ましく、35〜80重量%がさらに好ましく、40〜80重量%が特に好ましい。なお、ポリエーテル変性シリコーン(A)におけるPO又はEOの重量割合とは、ポリエーテル変性シリコーン(A)に含まれる全てのPO又はEOの重量割合を意味し、ポリエーテル変性シリコーン(A)をH−NMRで測定した際の、ピーク面積より算出されるポリエーテル変性シリコーン(A)の重量に対するPO又はEOの重量の比をいう。
ポリエーテル変性シリコーン(A)の25℃における粘度については、特に限定は無いが、繊維束内部への浸透性の点から、10〜10000mm/Sが好ましく、100〜8000mm/Sがより好ましく、500〜5000mm/Sがさらに好ましい。
ポリエーテル変性シリコーン(A)の親水親油バランスで表わされるHLB(Hydrophile-Lipophile Balance)の値は特に限定は無いが、処理剤の水系での安定性の点から3〜19が好ましく、5〜17がより好ましく、7〜15がさらに好ましい。
なお、本発明でいうHLBは、次のようにして測定された曇数Aから、下記式で求められる値である。
HLB=曇数A × 0.89 + 1.11
<曇数Aの測定法>
曇数Aは公知の方法「界面活性剤便覧、324頁〜325頁(産業図書(株) 昭和35年7月5発行)」に準じて、以下のようにして測定される。
無水のポリエーテル変性シリコーン2.5gを秤量し、98%エタノールを加え25mlに定容(25mlメスフラスコ使用)する。次に、これを5mlホールピペットで分取し、50mlビーカーに入れ25℃の低温に保ち攪拌(マグネティックスターラー使用)しながら、2%フェノール水溶液で25mlビューレットを使用して測定する。液が混濁したところを終点とし、この滴定に要した2%フェノール水溶液のml数を曇数Aとする。
ポリエーテル変性シリコーン(A)は、ジメチルポリシロキサンのメチル基の一部が水素原子であるメチルハイドロジェンポリシロキサンと、少なくとも1つの末端に不飽和脂肪族炭化水素基を有するポリエーテルとから、公知の方法、例えば白金族の金属を触媒としたヒドロシリル化反応により合成することができる。
[成分(B)]
本発明の処理剤は、繊維間の膠着や融着の防止の点から、アミノ変性シリコーン(B1)及びジメチルシリコーン(B2)から選ばれる少なくとも1種の成分(B)をさらに含むことが好ましい。成分(B)は1種でもよく、2種以上を併用してもよい。
(アミノ変性シリコーン(B1))
アミノ変性シリコーン(B1)の構造は特に限定されるものではない。即ち、変性基であるアミノ基は、主鎖であるシリコーンの側鎖と結合していてもよいし、末端と結合していてもよいし、また両方と結合していてもよい。また、そのアミノ基は、モノアミン型であってもポリアミン型であってもよく、1分子中に両者が併存していてもよい。
アミノ変性シリコーン(B1)のアミノ当量は、繊維間の膠着や融着の防止の点から、1000〜10000g/molが好ましく、1500〜9000g/molがより好ましく、3000〜8000g/molがさらに好ましく、4500〜7000g/molが特に好ましい。該アミノ当量が1000g/mol未満の場合、熱処理ローラーに脱落した処理剤が熱架橋することのよりガムアップし操業安定性が低下することがある。
アミノ変性シリコーン(B1)の25℃における粘度については、特に限定はないが、低粘度過ぎると、処理剤が飛散しやすくなり、また水系乳化した際に処理剤の安定性が悪くなり、処理剤を繊維へ均一に付与することができなくなる。その結果、繊維の融着を防止できないことがある。また逆に高粘度すぎると、粘着性に起因するガムアップが問題となることがある。これらの問題を防止する観点から、アミノ変性シリコーンの25℃での粘度は、10〜15,000mm/sが好ましく、50〜10,000mm/sがより好ましく、100〜5,000mm/sがさらに好ましい。
上記アミノ変性シリコーンとしては、例えば、下記一般式(3)で示す化合物を挙げることができる。
Figure 0006488104
式(3)中、Rは炭素数が1〜20のアルキル基又はアリール基を示す。Rは、好ましくは炭素数が1〜10のアルキル基又はアリール基であり、より好ましくは炭素数1〜5のアルキル基であり、さらに好ましくはメチル基である。なお、式(3)における複数のRは、同一であってもよく異なっていてもよい。Rは下記一般式(4)で示される基である。Rは、R、R又は−OR11で示される基であり、好ましくはRである。なお、式(3)における複数のRは、同一であってもよく異なっていてもよい。R11は、水素原子又は炭素数が1〜6のアルキル基であり、好ましくは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、さらに好ましくは水素原子又はメチル基である。pは、10〜10000の数であり、好ましくは50〜5000であり、さらに好ましくは100〜2000である。qは、0.1〜1000の数であり、好ましくは0.5〜500であり、さらに好ましくは1〜100である。
Figure 0006488104
式(4)中、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数が1〜6のアルキレン基であり、好ましくは炭素数1〜3のアルキレン基である。R、R及びR10は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数が1〜10のアルキル基又はアリール基であり、好ましくは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基であり、さらに好ましくは水素原子である。rは0〜6の数であり、好ましくは0〜3であり、さらに好ましくは0〜1である。
(ジメチルシリコーン(B2))
ジメチルシリコーン(B2)としては、特に限定はないが、ポリジメチルシロキサンを挙げることができ、1種又は2種以上を使用してもよい。シリコーン油の25℃における粘度は、10〜500000mm/sが好ましく、100〜100000mm/sがより好ましく、100〜10000mm/sがさらに好ましい。該粘度が10mm/s未満であると処理剤が飛散しやすくなり、また水系乳化した際に処理剤の安定性が悪くなり、処理剤を繊維へ均一に付与することができなくなる。1000000mm/sを超えると、繊維束内部まで処理剤が浸透しないことがある。
ジメチルシリコーン(B2)のシロキサン結合の平均結合量は、15〜50000が好ましく、100〜10000がより好ましく、100〜1000がさらに好ましい。
[ポリオキアルキレンアルキルアミノエーテル(C)]
本発明の処理剤は、繊維束内部への浸透性の点から、ポリオキアルキレンアルキルアミノエーテル(C)をさらに含有することが好ましい。ポリオキアルキレンアルキルアミノエーテル(C)とは、下記一般式(5)で示される化合物及び/又は下記一般式(6)で示される化合物を挙げることができる。
12-NR13-(AO)−H (5)
12-N-[(AO)−H] (6)
式中のR12及びR13は、それぞれ独立して、炭素数1〜30のアルキル基又は炭素数1〜30のアルケニル基を示す。アルキル基及びアルケニル基は、直鎖又は分枝鎖のいずれの構造から構成されていてもよい。R12及びR13の炭素数は、繊維族内部への浸透性の点から、1〜25が好ましく、8〜18がさらに好ましい。
Aは炭素数2〜4のアルキレン基を表し、AOとしてオキシアルキレン基を示す。c、dはオキシアルキレン基の平均付加モル数を示し、処理剤の水系での安定性の点からc、dの平均付加モル数は1〜30が好ましく、c、dの平均付加モル数は1〜20がより好ましく、c、dの平均付加モル数は1〜10がさらに好ましい。オキシアルキレン基の付加形態は、ブロック付加、ランダム付加及びブロック付加とランダム付加の組み合わせのいずれでもよく、特に制限はない。
[界面活性剤]
本発明のアクリル繊維処理剤は、本発明の効果を阻害しない範囲で、上記ポリオキアルキレンアルキルアミノエーテル(C)以外の界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤は、乳化剤、制電剤等として使用される。界面活性剤としては、特に限定されず、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤及び両性界面活性剤から、公知のものを適宜選択して使用することができる。界面活性剤は、1種でもよく、2種以上を併用してもよい。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンヘキシルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンデシルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル等のポリオキシアルキレン直鎖アルキルエーテル;ポリオキシエチレン2−エチルヘキシルエーテル、ポリオキシエチレンイソセチルエーテル、ポリオキシエチレンイソステアリルエーテル等のポリオキシアルキレン分岐第一級アルキルエーテル;ポリオキシエチレン1−ヘキシルヘキシルエーテル、ポリオキシエチレン1−オクチルヘキシルエーテル、ポリオキシエチレン1−ヘキシルオクチルエーテル、ポリオキシエチレン1−ペンチルへプチルエーテル、ポリオキシエチレン1−へプチルペンチルエーテル等のポリオキシアルキレン分岐第二級アルキルエーテル;ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシアルキレンアルケニルエーテル;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル;ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレントリベンジルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジベンジルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンベンジルフェニルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルアリールフェニルエーテル;ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノオレート、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレンモノミリスチレート、ポリオキシエチレンジラウレート、ポリオキシエチレンジオレート、ポリオキシエチレンジミリスチレート、ポリオキシエチレンジステアレート等のポリオキシアルキレン脂肪酸エステル;ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノオレート等のソルビタンエステル;ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート等のポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル;グリセリンモノステアレート、グリセリンモノラウレート、グリセリンモノパルミテート等のグリセリン脂肪酸エステル;ポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステル;ショ糖脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンひまし油エーテル等のポリオキシアルキレンひまし油エーテル;ポリオキシエチレン硬化ひまし油エーテル等のポリオキシアルキレン硬化ひまし油エーテル;オキシエチレン−オキシプロピレンブロックまたはランダム共重合体;オキシエチレン−オキシプロピレンブロックまたはランダム共重合体の末端アルキルエーテル化物;オキシエチレン−オキシプロピレンブロックまたはランダム共重合体の末端ショ糖エーテル化物;等を挙げることができる。非イオン性界面活性剤の重量平均分子量は、2000以下が好ましく、200〜1800がより好ましく、300〜1500がより好ましく、500〜1000がさらに好ましい。
これら非イオン性界面活性剤の中でも、エステル及びシリコーン化合物の水系乳化力に特に優れるという理由で、ポリオキシアルキレン分岐第一級アルキルエーテル、ポリオキシアルキレン分岐第二級アルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、オキシエチレン−オキシプロピレンブロック共重合体、オキシエチレン−オキシプロピレンブロック共重合体の末端アルキルエーテル化合物が好ましく、更に焼成工程で、繊維上でタール化して繊維に損傷を与え難いという理由で、オキシエチレン−オキシプロピレンブロックまたはランダム共重合体、オキシエチレン−オキシプロピレンブロック共重合体の末端アルキルエーテル化物がより好ましい。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、オレイン酸、パルミチン酸、オレイン酸ナトリウム塩、パルミチン酸カリウム塩、オレイン酸トリエタノールアミン塩等の脂肪酸(塩);ヒドロキシ酢酸、ヒドロキシ酢酸カリウム塩、乳酸、乳酸カリウム塩等のヒドロキシル基含有カルボン酸(塩);ポリオキシエチレントリデシルエーテル酢酸(ナトリウム塩)等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル酢酸(塩);トリメリット酸カリウム、ピロメリット酸カリウム等のカルボキシル基多置換芳香族化合物の塩;ドデシルベンゼンスルホン酸(ナトリウム塩)等のアルキルベンゼンスルホン酸(塩);ポリオキシエチレン2−エチルヘキシルエーテルスルホン酸(カリウム塩)等のポリオキシアルキレンアルキルエーテルスルホン酸(塩);ステアロイルメチルタウリン(ナトリウム)、ラウロイルメチルタウリン(ナトリウム)、ミリストイルメチルタウリン(ナトリウム)、パルミトイルメチルタウリン(ナトリウム)等の高級脂肪酸アミドスルホン酸(塩);ラウロイルサルコシン酸(ナトリウム)等のN−アシルサルコシン酸(塩);オクチルホスホネート(カリウム塩)等のアルキルホスホン酸(塩);フェニルホスホネート(カリウム塩)等の芳香族ホスホン酸(塩);2−エチルヘキシルホスホネートモノ2−エチルヘキシルエステル(カリウム塩)等のアルキルホスホン酸アルキルリン酸エステル(塩);アミノエチルホスホン酸(ジエタノールアミン塩)等の含窒素アルキルホスホン酸(塩);2−エチルヘキシルサルフェート(ナトリウム塩)等のアルキル硫酸エステル(塩);ポリオキシエチレン2−エチルヘキシルエーテルサルフェート(ナトリウム塩)等のポリオキシアルキレン硫酸エステル(塩);ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等の長鎖スルホコハク酸塩、N−ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、N−ステアロイル−L−グルタミン酸ジナトリウム等の長鎖N−アシルグルタミン酸塩;等を挙げる事ができる。
カチオン性界面活性剤としては、例えば、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ミリスチルトリメチルアンモニウムクロライド、パルミチルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、オレイルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド、ヤシ油アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、牛脂アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロマイド、ヤシ油アルキルトリメチルアンモニウムブロマイド、セチルトリメチルアンモニウムメトサルフェート、オレイルジメチルエチルアンモニウムエトサルフェート、ジオクチルジメチルアンモニウムクロライド、ジラウリルジメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルジエチルメチルアンモニウムサルフェート、等のアルキル第四級アンモニウム塩;(ポリオキシエチレン)ラウリルアミノエーテル乳酸塩、ステアリルアミノエーテル乳酸塩、ジ(ポリオキシエチレン)ラウリルメチルアミノエーテルジメチルホスフェート、ジ(ポリオキシエチレン)ラウリルエチルアンモニウムエトサルフェート、ジ(ポリオキシエチレン)硬化牛脂アルキルエチルアミンエトサルフェート、ジ(ポリオキシエチレン)ラウリルメチルアンモニウムジメチルホスフェート、ジ(ポリオキシエチレン)ステアリルアミン乳酸塩等の(ポリオキシアルキレン)アルキルアミノエーテル塩;N−(2−ヒドロキシエチル)−N,N-ジメチル−N−ステアロイルアミドプロピルアンモニウムナイトレート、ラノリン脂肪酸アミドプロピルエチルジメチルアンモニウムエトサルフェート、ラウロイルアミドエチルメチルジエチルアンモニウムメトサルフェート等のアシルアミドアルキル第四級アンモニウム塩;ジパルミチルポリエテノキシエチルアンモニウムクロライド、ジステアリルポリエテノキシメチルアンモニウムクロライド等のアルキルエテノキシ第四級アンモニウム塩;ラウリルイソキノリニウムクロライド等のアルキルイソキノリニウム塩;ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド等のベンザルコニウム塩;ベンジルジメチル{2−[2−(p−1,1,3,3−テトラメチルブチルフェノオキシ)エトオキシ]エチル}アンモニウムクロライド等のベンゼトニウム塩;セチルピリジニウムクロライド等のピリジニウム塩;オレイルヒドロキシエチルイミダゾリニウムエトサルフェート、ラウリルヒドロキシエチルイミダゾリニウムエトサルフェート等のイミダゾリニウム塩;N−ココイルアルギニンエチルエステルピロリドンカルボン酸塩、N−ラウロイルリジンエチルエチルエステルクロライド等のアシル塩基性アミノ酸アルキルエステル塩;ラウリルアミンクロライド、ステアリルアミンブロマイド、硬化牛脂アルキルアミンクロライド、ロジンアミン酢酸塩等の第一級アミン塩;セチルメチルアミンサルフェート、ラウリルメチルアミンクロライド、ジラウリルアミン酢酸塩、ステアリルエチルアミンブロマイド、ラウリルプロピルアミン酢酸塩、ジオクチルアミンクロライド、オクタデシルエチルアミンハイドロオキサイド等の第二級アミン塩;ジラウリルメチルアミンサルフェート、ラウリルジエチルアミンクロライド、ラウリルエチルメチルアミンブロマイド、ジエタノールステアリルアミドエチルアミントリヒドロキシエチルホスフェート塩、ステアリルアミドエチルエタノールアミン尿素重縮合物酢酸塩等の第三級アミン塩;脂肪酸アミドグアニジニウム塩;ラウリルトリエチレングリコールアンモニウムハイドロオキサイド等のアルキルトリアルキレングリコールアンモニウム塩等を挙げることができる。
両性界面活性剤としては、例えば、2−ウンデシル−N,N−(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)−2−イミダゾリンナトリウム、2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等のイミダゾリン系両性界面活性剤;2−ヘプタデシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等のベタイン系両性界面活性剤;N−ラウリルグリシン、N−ラウリルβ−アラニン、N−ステアリルβ−アラニン等のアミノ酸型両性界面活性剤等が挙げられる。
これらの界面活性剤のなかでも、経時安定性に優れ、乳化力にも優れるという理由から、非イオン性界面活性剤が好ましい。イオン性界面活性剤は、非イオン性界面活性剤と比較し、静電気発生による繊維束のバラケを抑制することができる制電性に優れるという利点があるため、非イオン界面活性剤と併用することが好ましい。イオン性界面活性剤としては、上記のアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤を挙げることができるが、これの中でもカチオン性界面活性剤が好ましく、カチオン界面活性剤の中でも、アルキル第四級アンモニウム塩、(ポリオキシアルキレン)アルキルアミノエーテル塩、アシルアミノアルキル第四級アンモニウム塩、アルキルエテノキシ第四級アンモニウム塩、第一級アミン塩、第二級アミン塩、第三級アミン塩等がさらに好ましい。
[その他成分]
本発明のアクリル繊維処理剤は、本発明の効果を阻害しない範囲で、上記した成分以外の他の成分を含有してもよい。他の成分としては、酸性リン酸エステル、フェノール系、アミン系、硫黄系、リン系、キノン系等の酸化防止剤;高級アルコール・高級アルコールエーテルの硫酸エステル塩、スルホン酸塩、高級アルコール・高級アルコールエーテルのリン酸エステル塩、第4級アンモニウム塩型カチオン系界面活性剤、アミン塩型カチオン系界面活性剤等の制電剤;高級アルコールのアルキルエステル、高級アルコールエーテル、ワックス類等の平滑剤;抗菌剤;防腐剤;防錆剤;および吸湿剤等が挙げられる。
酸化防止剤は、耐炎化処理工程における加熱によってアクリル繊維処理剤の熱分解を効果的に抑制し、繊維−繊維間の融着防止効果を高める成分である。
酸化防止剤としては、特に限定はないが、焼成炉汚染防止の観点から、有機酸化防止剤が好ましい。有機酸化防止剤としては、たとえば、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール、トリオクタデシルフォスファイト、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、トリエチレングリコールビス[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]、ジオレイル−チオジプロピオネート等を挙げることができる。これらの有機酸化防止剤は1種または2種以上を併用してもよい。
また、本発明のアクリル繊維処理剤は、本発明の効果を阻害しない範囲で、上記のアミノ変性シリコーン(B1)及びジメチルシリコーン(B2)以外のシリコーン成分を含んでいてもよい。具体的には、アミド変性シリコーン、アミドポリエーテル変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、エポキシポリエーテル変性シリコーン(例えば、特許4616934号参照)、カルボキシ変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、フェノール変性シリコーン、メタクリレート変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン等が挙げられる。
また、本発明のアクリル繊維処理剤は、本発明の効果を阻害しない範囲で、エステル化合物を含有してもよい。エステル化合物としては、例えば、再公表WO2007/066517号公報に記載されている、分子内に3個以上のエステル基を有するエステル化合物や、国際出願PCT/JP2013/75081に記載されている含硫黄エステル化合物等を挙げることができる。
[アクリル繊維処理剤]
本発明のアクリル繊維処理剤は、上記のポリエーテル変性シリコーン(A)を含有し、処理剤の不揮発分濃度が3.3重量%となるように水を添加して調製した処理液の動的表面張力が、最大泡圧法(バブルプレッシャー法)により100ミリ秒で1個の泡を発生させた条件で測定したときに、32〜46mN/mである。このような構成とすることにより、繊維束内部にまで処理剤を浸透することができる。
ここで最大泡圧法(バブルプレッシャー法)により100ミリ秒で1個の泡を発生させた条件で測定したとは、処理剤を不揮発分濃度3.3重量%水溶液になるように水で希釈し、バブルプレッシャー型動的表面張力計(BP−2、KURSS製)を用いて、25℃、気泡発生間隔(バブルプレート)20〜1000ミリ秒の範囲で動的表面張力測定を行い、気泡発生間隔(バブルプレート)100ミリ秒における動的表面張力測定値を読み取ったものをいう。
なお、上記の動的表面張力でなく静的表面張力を測定した値からは、本発明の効果を発揮するかどうかの関係を見出すことはできなかった。
該動的表面張力が46mN/m超の場合、繊維束内部にまで処理剤が浸透しないために、繊維間の膠着や融着を抑制できない。一方、該動的表面張力が32mN/m未満の場合、繊維への処理剤の付着量の管理が困難となる。該動的表面張力は、34〜44mN/mが好ましく、34〜42mN/mがより好ましく、34〜40mN/mがさらに好ましい。なお、本発明における不揮発分とは、処理剤を105℃で熱処理して溶媒等を除去し、恒量に達した時の絶乾成分をいう。
処理剤の不揮発分に占めるポリエーテル変性シリコーン(A)の重量割合は、20〜80重量%であることが好ましく、30〜70重量%がより好ましく、35〜75重量%がさらに好ましく、40〜60重量%が特に好ましい。該重量割合が20重量%未満の場合、繊維束内部への処理剤の浸透が不足する場合がある。一方、該重量割合が80量%超の場合、耐炎化処理工程で繊維の保護性が不足する場合がある。
本発明の処理剤が成分(B)を含有する場合、処理剤の不揮発分に占める成分(B)の重量割合は、20〜80重量%であることが好ましく、30〜70重量%がより好ましく、35〜75重量%がさらに好ましく、40〜60重量%が特に好ましい。該重量割合が20重量%未満の場合、耐炎化処理工程で繊維の保護性が不足する場合がある。一方、該重量割合が80重量%超の場合、繊維束内部への処理剤の浸透が不足する場合がある。
本発明の処理剤が成分(B)を含有する場合、繊維束内部への浸透性の点から、ポリエーテル変性シリコーン(A)と成分(B)との重量比(A/B)は、80/20〜20/80が好ましく、70/30〜30/70がより好ましく、60/40〜40/60がさらに好ましい。該重量比が80/20超の場合、耐炎化処理工程で繊維の保護性が不足する場合がある。一方、該重量比が20/80未満の場合、繊維束内部への処理剤の浸透が不足する場合がある。
本発明の処理剤がポリオキシアルキレンアルキルアミノエーテル(C)を含有する場合、処理剤の不揮発分に占めるポリオキシアルキレンアルキルアミノエーテル(C)の重量割合は、1〜10重量%であることが好ましく、2〜8重量%がより好ましく、3〜7重量%がさらに好ましく、3〜5重量%が特に好ましい。該重量割合が1重量%未満の場合、繊維束内部への処理剤の浸透が不足する場合がある。一方、該重量割合が10量%超の場合、処理剤の水系での安定性が悪くなる場合がある。
本発明のアクリル繊維処理剤が非イオン性界面活性剤(但し、ポリオキシアルキレンアルキルアミノエーテル(C)を除く)を含有する場合、処理剤の不揮発分に占める非イオン性界面活性剤の重量割合は、1〜30重量%であることが好ましく、5〜25重量%がより好ましく、5〜20重量%がさらに好ましく、10〜20重量%が特に好ましい。
本発明のアクリル繊維処理剤は、ポリエーテル変性シリコーン(A)、必要に応じて成分(B)、ポリオキシアルキレンアルキルアミノエーテル(C)、界面活性剤が水に溶解、可溶化、乳化又は分散された状態であることが好ましい。
アクリル繊維処理剤全体に占める水の重量割合、不揮発分の重量割合については、特に限定はない。例えば、本発明のアクリル繊維処理剤を輸送する際の輸送コストや、エマルジョン粘度に因るところの取扱い性等を考慮して適宜決定すればよい。アクリル繊維処理剤全体に占める水の重量割合は、0.1〜99.9重量%が好ましく、10〜99.5重量%がさらに好ましく、50〜99重量%が特に好ましい。アクリル繊維処理剤全体に占める不揮発分の重量割合(濃度)は、0.01〜99.9重量%が好ましく、0.5〜90重量%がさらに好ましく、1〜50重量%が特に好ましい。
耐炎化処理工程における耐熱性および繊維−繊維間の融着防止効果の点から、本発明のアクリル繊維処理剤における空気中250℃にて1時間加熱処理後の重量減少率については、50重量%未満が好ましく、40重量%未満がより好ましく、35重量%未満がさらに好ましい。重量減少率が50%以上の場合、耐炎化処理工程において繊維上に残存する処理剤皮膜が少なくなり、繊維−繊維間の融着防止効果が十分に得られないことがある。
本発明のアクリル繊維処理剤は、上記で説明した成分を混合することによって製造することができる。上記で説明した成分を乳化・分散させる方法については特に限定されず、公知の手法が採用できる。このような方法としては、たとえば、アクリル繊維処理剤を構成する各成分を攪拌下の温水中に投入して乳化分散する方法や、アクリル繊維処理剤を構成する各成分を混合し、ホモジナイザー、ホモミキサー、ボールミル等を用いて機械せん断力を加えつつ、水を徐々に投入して転相乳化する方法等が挙げられる。
本発明のアクリル繊維処理剤は、炭素繊維製造用アクリル繊維(プレカーサー)の処理剤(プレカーサー処理剤)として好適に使用できる。プレカーサー以外のアクリル繊維の紡糸油剤として使用してもよい。
プレカーサー製糸工程や耐炎化工程における良好な繊維束の集束性を付与できる点から、本発明のアクリル繊維処理剤の不揮発分の25℃における粘度は、100〜25000mPa・sが好ましく、100〜20000mPa・sがより好ましく、200〜15000mPa・sがさらに好ましい。該粘度が100mPa・s未満になると、プレカーサー製糸工程や耐炎化工程における繊維束の集束性が悪化する場合がある。また、該粘度が25000mPa・sを超えると、プレカーサー製糸工程や耐炎化工程における良好な繊維束の集束性を付与できても、処理剤の粘度が高くなり過ぎ、処理剤の取扱い性が悪化する場合がある。
[炭素繊維製造用アクリル繊維、その製造方法及び炭素繊維の製造方法]
本発明の炭素繊維製造用アクリル繊維(プレカーサー)は、プレカーサーの原料アクリル繊維に上記のアクリル繊維処理剤を付着させて製糸したものである。本発明のプレカーサーの製造方法は、プレカーサーの原料アクリル繊維に上記のアクリル繊維処理剤を付着させて製糸する製糸工程を含むものである。
本発明の炭素繊維の製造方法は、プレカーサーの原料アクリル繊維に上記のアクリル繊維処理剤を付着させて、プレカーサーを製糸する製糸工程と、その製糸工程で製造されたプレカーサーを200〜300℃の酸化性雰囲気中で耐炎化繊維に転換する耐炎化処理工程と、前記耐炎化繊維をさらに300〜2000℃の不活性雰囲気中で炭化させる炭素化処理工程とを含むものである。
製糸工程は、プレカーサーの原料アクリル繊維にアクリル繊維処理剤を付着させてプレカーサーを製糸する工程であり、付着処理工程と延伸工程とを含む。
付着処理工程は、プレカーサーの原料アクリル繊維を紡糸した後、アクリル繊維処理剤を付着させる工程である。つまり、付着処理工程でプレカーサーの原料アクリル繊維にアクリル繊維処理剤を付着させる。またこのプレカーサーの原料アクリル繊維は紡糸直後から延伸されるが、付着処理工程後の高倍率延伸を特に「延伸工程」と呼ぶ。延伸工程は高温水蒸気をもちいた湿熱延伸法でもよいし、熱ローラーをもちいた乾熱延伸法でもよい。
プレカーサーは、少なくとも95モル%以上のアクリロニトリルと、5モル%以下の耐炎化促進成分とを共重合させて得られるポリアクリロニトリルを主成分とするアクリル繊維から構成される。耐炎化促進成分としては、アクリロニトリルに対して共重合性を有するビニル基含有化合物が好適に使用できる。プレカーサーの単繊維繊度については、特に限定はないが、性能と製造コストのバランスから、好ましくは0.1〜2.0dTexである。また、プレカーサーの繊維束を構成する単繊維の本数についても特に限定はないが、性能と製造コストのバランスから、好ましくは1,000〜96,000本である。
アクリル繊維処理剤は、製糸工程のどの段階でプレカーサーの原料アクリル繊維に付着させてもよいが、延伸工程前に一度付着させておくことが好ましい。延伸工程前の段階であればどの段階でも、例えば紡糸直後に付着させてもよい。さらに延伸工程後のどの段階で再度付着させてもよく、例えば、延伸工程直後に再度付着させてもよいし、巻取り段階で再度付着させてもよいし、耐炎化処理工程の直前に再度付着させてもよい。その付着方法に関しては、ローラー等を使用して付着してもよいし、浸漬法、スプレー法等で付着してもよい。
付着処理工程において、アクリル繊維処理剤の付与率は、繊維−繊維間の膠着防止効果や融着防止効果を得ることと、炭素化処理工程において処理剤のタール化物によって炭素繊維の品質低下を防止することとのバランスからは、プレカーサーの重量に対して好ましくは0.1〜2重量%であり、さらに好ましくは0.3〜1.5重量%である。アクリル繊維処理剤の付与率が0.1重量%未満であると、単繊維間の膠着、融着を十分に防止できず、得られる炭素繊維の強度が低下することがある。一方、アクリル繊維処理剤の付与率が2重量%超であると、アクリル繊維処理剤が単繊維間を必要以上に覆うため、耐炎化処理工程において繊維への酸素の供給が妨げられ、得られる炭素繊維の強度が低下することがある。なお、ここでいうアクリル繊維処理剤の付与率とは、プレカーサー重量に対するアクリル繊維処理剤の付着した不揮発分重量の百分率で定義される。
耐炎化処理工程は、アクリル繊維処理剤が付着したプレカーサーを200〜300℃の酸化性雰囲気中で耐炎化繊維に転換する工程である。酸化性雰囲気とは、通常、空気雰囲気であればよい。酸化性雰囲気の温度は好ましくは230〜280℃である。耐炎化処理工程では、付着処理後のアクリル繊維に対して、延伸比0.90〜1.10(好ましくは0.95〜1.05)の張力をかけながら、20〜100分間(好ましくは30〜60分間)にわたって熱処理が行われる。この耐炎化処理では、分子内環化および環への酸素付加を経て、耐炎化構造を持つ耐炎化繊維が製造される。
炭素化処理工程は、耐炎化繊維をさらに300〜2000℃の不活性雰囲気中で炭化させる工程である。炭素化処理工程では、まず、窒素、アルゴン等の不活性雰囲気中、300℃から800℃まで温度勾配を有する焼成炉で、耐炎化繊維に対して、延伸比0.95〜1.15の張力をかけながら、数分間熱処理して、予備炭素化処理工程(第一炭素化処理工程)を行うのが好ましい。その後、より炭素化を進行させ、且つグラファイト化を進行させるために、窒素、アルゴン等の不活性雰囲気中で、第一炭素化処理工程に対して延伸比0.95〜1.05の張力をかけながら、数分間熱処理して、第二炭素化処理工程を行い、耐炎化繊維が炭素化される。第二炭素化処理工程における熱処理温度の制御については、温度勾配をかけながら、最高温度を1000℃以上(好ましくは1000〜2000℃)とすることがよい。この最高温度は、所望する炭素繊維の要求特性(引張強度、弾性率等)に応じて適宜選択して決定される。
本発明の炭素繊維の製造方法では、弾性率がさらに高い炭素繊維が所望される場合は、炭素化処理工程に引き続いて、黒鉛化処理工程を行うこともできる。黒鉛化処理工程は、通常、窒素、アルゴン等の不活性雰囲気中、炭素化処理工程で得られた繊維に対して張力をかけながら、2000〜3000℃の温度で行われる。
このようにして得られた炭素繊維には、目的に応じて、複合材料とした時のマトリックス樹脂との接着強度を高めるための表面処理を行うことができる。表面処理方法としては、気相または液相処理を採用でき、生産性の観点からは、酸、アルカリなどの電解液による液相処理が好ましい。さらに、炭素繊維の加工性、取り扱い性を向上させるために、マトリックス樹脂に対して相溶性の優れる各種サイジング剤を付与することもできる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、ここに記載した実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例に示されるパーセント(%)、部は特に限定しない限り、「重量%」、「重量部」を示す。各特性値の測定は以下に示す方法に基づいて行った。
<溶液安定性>
不揮発分濃度が3.3重量%である各処理剤エマルジョンを50℃に調節された恒温槽で保管し、溶液の外観を目視で確認し、下記の評価基準で溶液安定性を判定した。
◎ :60日間分離無し。
○ :30日間分離無し、60日以内には分離。
△ :7日間分離無し、30日以内に分離。
× :7日間以内に分離。
××:乳化当日に分離、または乳化できない。
<動的表面張力>
各処理剤を不揮発分濃度3.3重量%水溶液になるように水で希釈し、バブルプレッシャー型動的表面張力計(BP−2、KURSS製)を用いて、25℃、気泡発生間隔(バブルプレート)20〜1000msecの範囲で動的表面張力測定を行い、気泡発生間隔(バブルプレート)100msecにおける動的表面張力測定値を読み取った。
<静的表面張力>
各処理剤を不揮発分濃度3.3重量%水溶液になるように水で希釈し、ウィルヘルミー型表面張力計(KYOWA CBVP SURFACE TENSIOMETER A3、協和科学(株))を用いて、20℃で測定した。
<処理剤の付与率>
処理剤付与後のプレカーサーを水酸化カリウム/ナトリウムブチラートでアルカリ溶融した後、水に溶解して塩酸でpH1に調整した。これを亜硫酸ナトリウムとモリブデン酸アンモニウムを加えて発色させ、ケイモリブデンブルーの比色定量(波長815mμ)を行い、ケイ素の含有量を求めた。ここで求めたケイ素含有量と予め同法で求めた処理剤中のケイ素含有量の値を用いて、アクリル繊維処理剤の付与率(重量%)を算出した。
<製糸操業性(ローラー汚れ)>
プレカーサー50kgに処理剤を付与した後の乾燥ローラーの汚染度合い(ガムアップ)を下記の評価基準で判定した。
◎ :ガムアップによるローラー汚染が無く、製糸操業性問題無し
○ :ガムアップによるローラー汚染が少なく、製糸操業性問題無し
△ :ガムアップによるローラー汚染があり、やや製糸操業性に劣る
× :ガムアップによるローラー汚染が著しく、製糸時に単糸取られ、捲き付きあり
<繊維束の集束性>
プレカーサー製糸工程での巻取り時において、繊維束の集束度合いを観察し、総合して下記の評価基準で目視判定した。
◎:均一な太さの繊維束で、単繊維のバラケも全く見られない。
○:均一な太さの繊維束で、単繊維のバラケもほぼ見られない。
△:均一な太さの繊維束であるが、バラケた単繊維がやや見られる。
×:バラケた単繊維も多く、単糸切れもみられる。
<融着防止性>
炭素繊維から無作為に20カ所を選び、そこから長さ10mmの短繊維を切り出し、その融着状態を観察し、下記の評価基準で判定した。
◎:融着無し
○:ほぼ融着無し
△:融着少ない
×:融着多い
<炭素繊維強度>
JIS-R-7601に規定されているエポキシ樹脂含浸ストランド法に準じ測定し、測定回数10回の平均値を炭素繊維強度(GPa)とした。
〔実施例1〜20、比較例1〜8〕
下記の化合物のポリエーテル変性シリコーンA1〜A4、ポリエーテル変性シリコーンa1〜a2、アミノ変性シリコーンB1−1〜B1−2、ジメチルシリコーンB2−1〜B2−2、エポキシ変性シリコーンD1、ポリオキシエチレンアルキルアミノエーテルC1、界面活性剤E1〜E2を用いて、表1〜3に示す不揮発分組成になるよう混合撹拌し、処理剤に占める不揮発分の割合が20重量%であるアクリル繊維処理剤をそれぞれ調製した。なお、表の数値は、処理剤の不揮発分に占める各成分の重量割合を示す。例えば、表のポリエーテル変性シリコーンA1〜A4の数値は、処理剤の不揮発分に占める変性シリコーンA1〜A4の重量割合を示す。
次いで、調製した処理剤をさらに水で希釈し、不揮発分濃度が3.3重量%である処理液をそれぞれ得た。
各処理液を97モル%のアクリロニトリルと3モル%のイタコン酸を共重合させて得られるプレカーサーの原料アクリル繊維に、付与率1.0%となるように付着し、延伸工程(スチーム延伸、延伸倍率2.1倍)を経てプレカーサーを作製した(単繊維繊度0.8dtex,24,000フィラメント)。このプレカーサーを250℃の耐炎化炉にて60分間耐炎化処理し次いで窒素雰囲気下300〜1400℃の温度勾配を有する炭素化炉で焼成して炭素繊維に転換した。各特性値の評価結果を表1〜3に示す。
<ポリエーテル変性シリコーン(A)>
以下に示す、一般式(2)で示される置換基で変性されたポリエテーテル変性シリコーンを用いた。なお、R、R、a、bは一般式(2)のものを示す。POの割合、EOの割合、POとEOの合計の割合は、ポリエーテル変性シリコーンにおけるPOの重量割合、EOの重量割合、POとEOの合計の重量割合を示す。
・ポリエーテル変性シリコーンA1(25℃粘度:900mm/s、R:水素原子、R:炭素数3のアルキレン基、a/b(PO/EOのモル比)=13/35=0.37、POの割合:27重量%、EOの割合:54重量%、POとEOの合計の割合:81重量%、HLB:10、水に可溶)
・ポリエーテル変性シリコーンA2(25℃粘度:2900mm/s、R:水素原子、R:炭素数3のアルキレン基、a/b(PO/EOのモル比)=33/37=0.89、POの割合:41重量%、EOの割合:35重量%、POとEOの合計の割合:76重量%、HLB:7、水に可溶)
・ポリエーテル変性シリコーンA3(25℃粘度:1000mm/s、R:水素原子、R:炭素数3のアルキレン基、a/b(PO/EOのモル比)=3/8=0.38、POの割合:20重量%、EOの割合:42重量%、POとEOの合計の割合:62重量%、HLB:8、水に可溶)
・ポリエーテル変性シリコーンA4(25℃粘度:3000mm/s、R:水素原子、R:炭素数3のアルキレン基、a/b(PO/EOのモル比)=2/3=0.67、POの割合:10重量%、EOの割合:13重量%、POとEOの合計の割合:23重量%、HLB:5、水と分離)
<ポリエーテル変性シリコーンa1、a2>
・ポリエーテル変性シリコーンa1(25℃粘度:300mm/s、R:水素原子、R:炭素数3のアルキレン基、a/b(PO/EOのモル比)=0/19=0、EOの割合:50重量%、HLB:8、水に分散(白濁))
・ポリエーテル変性シリコーンa2(25℃粘度:200mm/s、R:水素原子、R:炭素数3のアルキレン基、a/b(PO/EOのモル比)=0/31=0、EOの割合:93重量%、HLB:16、水に可溶)
<アミノ変性シリコーン(B1)>
アミノ変性シリコーンB1−1(25℃粘度:100mm/s、アミノ当量:5000g/mol)
アミノ変性シリコーンB1−2(25℃粘度:1300mm/s、アミノ当量:2000g/mol)
<ジメチルシリコーン(B2)>
ジメチルシリコーンB2−1(25℃粘度:300mm/s)
ジメチルシリコーンB2−2(25℃粘度:10000mm/s)
<その他の変性シリコーン>
エポキシ変性シリコーンD1(25℃粘度:6000mm/s、エポキシ当量:3700g/mol、官能構造:脂環式)
<ポリオキシエチレンアルキルアミノエーテル(C)>
ポリオキシエチレンアルキルアミノエーテルC1(ポリオキシエチレンが3モル付加された炭素数が12のアルキルアミノエーテル)
<界面活性剤E>
界面活性剤E1(ポリオキシエチレンが9モル付加された炭素数が12〜14のアルキルエーテル)
界面活性剤E2(ポリオキシエチレンが5モル付加された炭素数が12〜14のアルキルエーテル)
Figure 0006488104
Figure 0006488104
Figure 0006488104
表3から明らかなように、ポリエーテル変性シリコーンを含有しない比較例3〜6、ポリエーテル変性シリコーンを含有していてもオキシプロピレン基(PO)を含まずオキシエチレン基(EO)のみの比較例1、2、7、8においては、繊維束内部への浸透性に劣り、繊維束内部に均一に処理剤を付与することができないため、炭素繊維製造における繊維束の集束性、繊維間の融着防止及び安定した操業性を両立できていないことがわかる。
一方、実施例においてはいずれの評価項目に於いてもこれら比較例より優れ、またより高い炭素繊維強度の炭素繊維を得ることができた。

Claims (9)

  1. アクリル繊維用処理剤であって、
    下記一般式(2)で示されるポリオキシアルキレン基を有する置換基によって変性されたポリエーテル変性シリコーン(A)を含み、
    処理剤の不揮発分濃度が3.3重量%となるように水を添加して調製した処理液の動的表面張力が、最大泡圧法により100ミリ秒で1個の泡を発生させた条件で測定したときに、32〜46mN/mである、
    アクリル繊維用処理剤。
    Figure 0006488104
    (但し、 は、水素原子、炭素数1〜30のアルキル基又は炭素数1〜30のアルケニル基を示す。R は炭素数1〜6のアルキレン基を示す。POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基を示す。a及びbは、各々の平均付加モル数を示し、a=1〜50、b=1〜100であって、a<bを満たす数である。[(PO)a/(EO)b]はaモルのPOとbモルのEOとが付加してなるポリオキシアルキレン基である。POとEOの付加は、ランダム付加及びブロック付加のいずれでもよく、ブロック付加の場合、POとEOの付加順序は問わない。)
  2. 前記ポリエーテル変性シリコーン(A)が水に可溶である、請求項1に記載の処理剤。
  3. 前記ポリエーテル変性シリコーン(A)におけるPOとEOの合計の重量割合が35〜95重量%である、請求項1又は2に記載の処理剤。
  4. 処理剤の不揮発分に占める前記ポリエーテル変性シリコーン(A)の重量割合が20〜80重量%である、請求項1〜のいずれかに記載の処理剤。
  5. アミノ変性シリコーン(B1)及びジメチルシリコーン(B2)から選ばれる少なくとも1種の成分(B)をさらに含む、請求項1〜のいずれかに記載の処理剤。
  6. 前記ポリエーテル変性シリコーン(A)と前記成分(B)の重量割合(A/B)が80/20〜20/80である、請求項に記載の処理剤。
  7. ポリオキシアルキレンアルキルアミノエーテル(C)をさらに含む、請求項1〜のいずれかに記載の処理剤。
  8. 炭素繊維製造用アクリル繊維の原料アクリル繊維に、請求項1〜のいずれかに記載のアクリル繊維処理剤を付着させて製糸した、炭素繊維製造用アクリル繊維。
  9. 炭素繊維製造用アクリル繊維の原料アクリル繊維に、請求項1〜のいずれかに記載のアクリル繊維処理剤を付着させて製糸する製糸工程と、200〜300℃の酸化性雰囲気中で耐炎化繊維に転換する耐炎化処理工程と、前記耐炎化繊維をさらに300〜2000℃の不活性雰囲気中で炭化させる炭素化処理工程とを含む、炭素繊維の製造方法。
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