JP6486696B2 - 薄膜堆積方法及び薄膜堆積装置 - Google Patents

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本発明は薄膜堆積方法及び薄膜堆積装置に関し、特に固体基材上に金属酸化物薄膜を低温でかつ均一の厚さで形成する薄膜堆積方法及び薄膜堆積装置に関する。
従来、プラスティックや樹脂、金属部品、半導体用基板にシリカ、アルミナなどの金属酸化物の薄膜(被膜)を堆積させる、いわゆるコーティングの需要がある。
たとえば、プラスティックや樹脂に金属酸化物をコーティングすることによって、表面を硬くし、傷つきの防止に活用し、また有機溶剤や油での浸みを防止する膜に活用される。また金属部品に金属酸化物を被覆することで、金属部品の酸化や、酸やアルカリによる浸食、さびを抑えることが可能である。また、半導体基板では、集積回路の主要構成要素となる電界効果トランジスタにおいて、集積回路の集積度の増加のため、個々のトランジスタの超微細化が進められている。特に電界効果トランジスタはチャネルの面積が縮小すると、駆動できる電流が低下する問題があり、それを補うためにゲート絶縁膜を薄膜でつける必要があるが、そこではシリカやハフニウムの酸化物膜がコーティング被膜として利用されている。
上記コーティング分野において、被膜の製膜温度を極力低温化することが望まれている。プラスティックや樹脂に金属酸化膜を施工するときには、多くの材料で100℃を超えると、体積変形が生じ、部品としての性能が劣化するため、体積変形を生じさせない100℃以下での製造が必要とされている。また、金属部品にコーティングを行う際にも、金属部品が精密部品や複数の部品の組み合わせで構成されている場合、温度上昇での体積変形が部品の故障につながる可能性がある。また、ゲート絶縁膜には、SiOやHfOなどの酸化物が使用されるが、また半導体層にSiを用い、その上にHfOを積層すると、固相反応を起こし、HfSiOを生成し、電界効果トランジスタの電流駆動能力が低下することが指摘されている。これら酸化物と半導体との固相反応を抑制するために、金属酸化物薄膜の積層時の温度を下げる必要がある。
このような酸化物薄膜の積層方法として原子層堆積法がある。これは反応容器内に酸化物を被覆する対象となる基板を置き、基板を250℃から400℃程度で加熱しながら、反応容器内に有機金属ガスを充満させ、その後反応容器から当該ガスを排気し、次に酸化ガス、たとえばオゾンや水蒸気を導入して、排気する工程を繰り返すことで、基板上に酸化物薄膜を積層する方法である。
この原子層堆積法にあっては、反応容器内に有機金属ガスを導入することで、基板表面が当該ガスに曝され、有機金属ガス分子が基板表面に飽和吸着する。また基板が酸化ガスにさらされると、基板表面に付着した有機金属ガス分子が酸化され、一分子層に相当する酸化物薄膜が基板表面に形成される。これらの工程をALDサイクルとよばれるが、これを繰り返すことで、繰り返した回数分の分子層の酸化物膜が形成される。
この原子層堆積法において、基板温度を250℃から400℃にするのは、次の理由からである。
前記400℃より高い温度にすると、有機金属ガスの吸着時の分解反応が活発になり、一回の充満工程で吸着する分子の厚みが一分子層を越えて飽和しなくなり、最終的に形成される膜は酸化膜ではなく、金属膜になってしまう。また250℃より低温にすると、有機金属ガス分子の吸着確率が低下し、酸化物膜自体の成膜ができなくなってしまう問題がある。
原子層堆積法の製膜温度を低温化させるために、プラズマが活用されている。
たとえば、特許文献1(特願2013―011476号公報)には、固体基板を反応容器内に格納し、その中で固体基板の温度を150℃以下、好ましくは100℃以下に保持し、まずは反応容器内にトリメチルアミノシラン、ビスジメチルアミノシランなどの有機金属ガスを充満させる工程と、活性度が高められた酸化ガス、たとえばプラズマ化された水蒸気や酸素を導入する工程を繰りかえすことを特徴とする、酸化物薄膜の形成方法が示されている。
このように活性度が高められた酸化ガスで固体基板を処理することで、表面にハイドロキシル基が付加される。次に、有機金属ガスを充満させる工程を経て、有機金属ガス分子は表面のハイドロキシル基を介して吸着する。以上の順番で工程を繰り返すが、酸化物薄膜が目標とする膜厚に達したら、一連のサイクルを終了する。
上記の工程を実施するために、活性度が高められた酸化ガスを生成する装置として、水蒸気を含有したアルゴン、あるいはヘリウムをガラス管に導入し、その周りから高周波磁界を印加して、ガラス管内部にプラズマを発生させ、そこで活性度が高められた酸化ガスを生成し、反応容器内に接続し導入する方法が、特許文献1(特願2013―011476号公報)に示されている。
この装置はプラズマ発生部を直管でもって反応容器に接続し、他方上記有機金属ガスを導入する管を反応容器に接続している。この装置おいて、酸化ガス導入と、有機金属ガス導入を繰り返すことで、所望の基板の表面に金属酸化物薄膜が室温で形成される。
特願2013―011476
ところで、上記方法では、プラズマ発生部において紫外線が発生し、これが反応容器内に入り、コーティング対象物に当たると、紫外線による焼けや変質が生じ、反応容器内での酸化ガスの活性種、たとえばイオンなどの密度に不均一が生じる虞があるという技術的課題があった。
その場合、酸化ガス発生部と反応容器との接続部分付近で、酸化被膜の膜厚が高くなり、また反応容器内に多数の部品を一度に格納してコーティング施工すると、膜厚に個体差が生じ、製膜品質の斑になるという技術的課題があった。
さらにプラズマ発生部では、高速で運動するイオンも発生しており、これが反応容器内に入ると、処理対象物の変質や焼けをもたらすという技術的課題があった。
本発明は薄膜堆積方法及び薄膜堆積装置に関し、特に固体基材上に金属酸化物薄膜を低温でかつ均一の厚さで形成する薄膜堆積方法及び薄膜堆積装置に関する。
本発明にかかる薄膜堆積方法は、固体部材上に酸化薄膜を形成する方法であって、反応容器内に前記固体部材を設置し、固体部材の温度を、0℃より高く、150℃以下に保持し、反応容器内に有機金属ガスを充満させる工程と、前記有機金属ガスを排気するかあるいは反応容器内を不活性ガスで充満させる工程と、活性度が高められた酸化ガスを導入する工程と、前記酸化ガスを排気するかあるいは反応容器内を不活性ガスで充満させる工程とからなる、一連の工程を繰り返す薄膜堆積方法において、酸化ガス発生装置と反応容器を接続する直線状の接続管内部に突出して設けられた遮蔽板によって、接続管内部の流路を屈曲させ、前記活性度が高められた酸化ガスを、前記接続管を介して、反応容器に導入することにより、前記活性度が高められた酸化ガスのみを通し、活性度を高めるプラズマからの紫外光や高速イオンを反応容器に導入しないことを特徴としている。
ここで、前記遮蔽手段が接続管内部に設けられた2枚の遮蔽板であり、前記2枚の遮蔽板によって、接続管内部の流路を屈曲させることが望ましい。
また、本発明にかかる薄膜堆積装置は、固体部材上に酸化薄膜を形成する薄膜堆積装置であって、内部に前記固体部材が設置される反応容器と、前記反応容器と接続管を介して接続された、反応容器内に有機金属ガスを導入するための有機金属ガス容器と、前記反応容器と接続管を介して接続された、反応容器内に活性度が高められた酸化ガスを導入するための酸化ガス発生装置を、少なくとも備え、酸化ガス発生装置と反応容器を接続する直線状の接続管内部に突出して設けられた遮蔽板によって、接続管内部に屈曲した流路が形成され、前記活性度が高められた酸化ガスを、前記接続管を介して、反応容器に導入することにより、前記活性度が高められた酸化ガスのみを通し、活性度を高めるプラズマからの紫外光や高速イオンを反応容器に導入しないことを特徴としている。
ここで、前記遮蔽手段が接続管内部に設けられた2枚の遮蔽板であり、前記2枚の遮蔽板によって、接続管内部に屈曲した流路が形成されることが望ましい。
具体的には、固体基板を反応容器内に格納し、その中で固体基板の温度を150℃以下、好ましくは100℃以下に保持し、反応容器内にトリメチルアミノシラン、ビスジメチルアミノシラン、テトラキスジメチルアミノチタニウム、トリメチルアルミニウムなどの有機金属ガスを充満させる工程と、活性度が高められた酸化ガス、たとえばプラズマ化された水蒸気や酸素を導入する工程を繰りかえす。
活性度を高められた酸化ガスを発生する装置として、水蒸気を含有させたアルゴン、あるいはヘリウムをガラス管に導入し、その周りから高周波磁界をかけて、ガラス管内部にプラズマを発生させ、そこで活性度が高められた酸化ガスを生成する。プラズマ発生部のガラス管と、反応容器を屈曲させた管、たとえば90度に折れたエル字状管、あるいは、エス字状管、またユー字状の管などで、プラズマ発生部から反応容器まで配管を曲げることで、プラズマで発生する、紫外線や高速イオンが反応容器に直接入射することを回避できる。また同様に効果は、プラズマ発生部と反応容器を直管で結んでも、配管内部に遮蔽板を置くことでも同様の効果を得ることができる。
反応容器内に紫外線や高速イオンが導入されると、反応容器内において、プラズマ源からの導入口付近のところ、高い密度で活性種が存在する部分ができる。そのような部分があると、その近くに被処理部品を置くと、その付近だけ過剰に成膜されてしまう。また紫外線や高速イオンが被処理部品に照射されると、表面が変質し、焼けてしまう可能性がある。上記工夫で紫外線や高速イオンが処理容器内に直接入射することを回避でき、かかる問題を抑えることが可能になる。
また、固体基板を反応容器内に格納し、その中で固体基板の温度を0℃より高く、150℃以下、好ましくは100℃以下に保持し、反応容器内にトリメチルアミノシラン、ビスジメチルアミノシラン、トリメチルアルミニウムなどの有機金属ガスを充満させる工程と、活性度が高められた酸化ガス、たとえばプラズマ化された水蒸気や酸素を導入する工程の、一連の工程を繰り返すことで、固体基板上に酸化物薄膜を形成する。反応容器内に有機金属ガスを充満させることで、基板表面のハイドロキシル基上に有機金属ガスが27℃の室温でも飽和吸着することができる。次に、活性度が高められた酸化ガスを導入することで、有機金属ガスを酸化し、分解せしめ、かつ表面にハイドロキシル基が形成される。固体基板に温度を150℃に限定するのは、この技術が用いられる集積回路の分野では、半導体基板上にアルミニウムや金などの金属膜やインジウムが形成されることが通例であり、これら金属の酸化や剥離、溶融を抑えるのに効果があるからである。さらに100℃以下に限定するのは、半導体基板としてGeを用いる場合、Geと酸化物の界面に界面層としてのGeOの発生を効果的に抑えられることが期待されるからである。0℃より高くするのは、反応生成物としてできる水分の基板表面での凍結を防ぐためである。
ここで、固体基板を反応容器内に格納し、その中で固体基板の温度を150℃以下、好ましくは100℃以下に保持し、まずは反応容器内にトリメチルアミノシラン、ビスジメチルアミノシラン、テトラキスジメチルアミノチタニウム、トリメチルアルミニウムなどの有機金属ガスを充満させる工程と、活性度が高められた酸化ガス、たとえばプラズマ化された水蒸気や酸素を導入する工程を繰り返す酸化物薄膜の形成方法において、プラズマ化された水蒸気や酸素を導入する工程を行い、次に有機金属ガスを充満させる工程を行い、以降上記の順番を繰り返すことが望ましい。
最初にオゾンで基板を処理することで、基板表面に汚れとしてつく可能性がある炭化水素、油脂を効果的に酸化除去することが可能となり、酸化物薄膜の絶縁特性の向上につながる。この時点で、基板表面は薄い酸化物でおおわれ、表面にハイドロキシル基が付加される。次に、有機金属ガスを充満させる工程を経て、有機金属ガス分子は表面のハイドロキシル基を介して吸着する。以上の順番で工程を繰り返すが、酸化物薄膜が目標とする膜厚に達して、工程を終了する場合は、プラズマ化された水蒸気や酸素を導入する工程になるように制御を行う。もし、有機金属ガスの導入直後で終了すると、表面に炭化水素が残留するために、これらが不純物となり酸化物薄膜の特性が劣化する。
本発明を用いることで、金属酸化膜を形成する際に、被膜の膜厚のばらつきを抑える効果をもちたらす。
本発明の一実施形態に係る薄膜形成装置の概略構成図。 図1に示された酸化ガス発生装置の概略構成図。 図1に示された屈曲接続管の第1の変形例を示す概略図。 図1に示された屈曲接続管の第2の変形例を示す概略図。 図1に示された屈曲接続管の第3の変形例を示す概略図。 本発明の実施例1に係る、温度調節台におかれたサンプルの位置と、膜厚測定結果を説明するための説明図。 本発明の実施例2に係る、温度調節台におかれたサンプルの位置と、膜厚測定結果を説明するための説明図。
図1は、本発明の一実施形態に係る酸化物であるSiO薄膜を形成する装置の概略構成を示している。この図1において、符号8は反応容器であり、この反応容器8の中に被処理部品11が温度調整台7の上に置かれている。前記反応容器8は、排気ポンプ9につながれ、反応容器8に充満するガスを排気管10により排気するように構成されている。
また、前記反応容器8に、有機金属ガス容器1が、接続管2、流量制御器3、接続管4を介して接続されている。更に、酸化ガス発生装置6から発生した酸化ガスは、屈曲接続管5を通して、反応容器8に導入できるようになっている。
有機金属ガスとして、トリメチルアミノシランを用いる。温度調整台7は通常23℃の室温に保持されるが、被処理基板にInなどの構造物が形成されている場合は150℃以下に保持する。これにより、Inの溶融を避けることが可能である。また被処理基板をGeとする場合は、基板温度を100℃以下に保持することが有効である。これにより、酸化物薄膜とGe基板との界面にGeOを形成することを効果的に防止することが可能である。GeOが形成されると、酸化物の絶縁性が著しく失われることにつながる。0℃より高くすることで、反応生成物としてできる水蒸気の被処理部品表面での凍結を防ぐことができる。
図2は、図1に示された酸化ガス発生装置6と反応容器8への接続具となる屈曲接続管5の概略構成図である。
この酸化ガス発生装置6は、図2の左側から不活性ガスを導入し、加湿器15において水をくぐらせることで、不活性ガスを加湿させる。この場合の不活性ガスはアルゴンを用いる。加湿された不活性ガスは、ガラス管12の中で、誘導性コイル13によって加えられた高周波磁界により領域(プラズマ領域)14にプラズマが生成され、ここを通ることで、活性化された水蒸気が生成し、反応容器8に送られる。
このときに、プラズマ領域14で発生させたプラズマで発生する紫外線や高速イオンが反応容器に入らないように、流路を90度に曲げた屈曲接続管5を通して、反応容器8に接続する。
尚、本実施形態において、誘導性コイルによって加えられる電磁エネルギー及び周波数は、特に限定されるものではないが、一例を挙げれば、誘導性コイルによって加えられる電磁エネルギーは30Wで、周波数は13.56MHzである。
また、上記実施形態では屈曲接続管5を例にとって説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、図3に示さるようなU字型の接続管5A、図4に示されるS字型の接続管5Bでも同様の効果を得ることができる。また、図5に示されるように、直線状の接続管5Cの中に遮蔽板17を置いて、流路を屈曲させても同様の効果を得ることができる。
[実施例1]
図1に示した装置を用いて、シリコンの小片にシリコン酸化膜を被膜した。
具体的には、有機金属ガスとしてトリメチルアミノシランを用いた。被処理材として、シリコンの小片を9個用意して、大きさとして5インチ径の円形をした温度調整台の上に3センチメートル間隔で配置した。成膜の手順であるが、最初に反応容器に活性化された水蒸気を導入した。このとき、活性化された水蒸気の導入時間は2分とした。活性化された水蒸気の発生方法であるが、図2に示される装置を用い、水バブラ―にアルゴンガスを10sccmの流量で流し、このとき水バブラの水の温度を60℃とすることで、加湿されたアルゴンガスを作り、続いてガラス管の中で、誘導コイルでプラズマを発生させて、水蒸気を活性化させた。誘導コイルから導入される高周波電力は30Wとした。
活性化された水蒸気を反応性容器に導入した後、トリメチルアミノシランを2.3sccmで20秒間導入した。そして、反応容器内を排気ポンプで排気した。これらの一連の工程をALDサイクルと呼ぶことにし、ALDサイクル数を30回行って、シリコンの小片にシリコン酸化膜を被膜した。
図6に、温度調節台におかれたシリコン小片の概略位置と計測されたシリコン酸化膜の厚さを表示する。前記シリコン酸化膜の厚みは分光エリプソメトリで評価をおこなった。
その結果、平均膜厚は5.06nmであり、ばらつきを示す標準偏差は0.0776nmで、平均に標準偏差の占める割合は、1.53%であった。
本方法を用いることで、1.53%のばらつきで膜を成膜できることが明らかになった。また、膜付け行った全サンプルについて、表面の色合いは鏡面であり、着色や変色、焼けを確認することはできなかった。
[比較例1]
図1に示す装置において、屈曲接続管を用いることなく、屈曲の無い直線管を用いた。即ち、前記直線管は、内径20mm、長さ50mmの管で、この接続管と反応容器を接続して、平均膜厚3.75nmの膜厚で酸化シリコンを製膜したところ、そのときのばらつきを示す標準偏差は0.74nmで、平均に標準偏差の占める割合は1.98%と膜厚が薄いのにもかかわらず、ばらつきは増加する傾向にあった。
[実施例2]
図1に示す装置を用いて、有機金属ガスとしてテトラキスジメチルアミノチタニウムを用いて、酸化チタンの形成を試みた。被処理材として、シリコンの小片を5個用意して、大きさとして5インチ径の円形の形をした温度調整台の上に6センチメートル間隔で配置した。成膜の手順であるが、最初に反応容器に活性化された水蒸気を導入した。このとき、活性化された水蒸気の導入時間は10分とした。活性化された水蒸気の発生方法であるが、図2に示される装置を用い、水バブラ―にアルゴンガスを10sccmの流量で流し、このとき水バブラ中の水の温度を60℃とすることで、加湿されたアルゴンガスを作り、続いてガラス管の中で、誘導コイルでプラズマを発生させて、水蒸気を活性化させた。誘導コイルから導入される高周波電力は30Wとした。活性化された水蒸気を反応性容器に導入した後、テトラキスジメチルアミノチタニウムを反応容器内で1.33Paになるように導入して、導入時間を120秒とした。さらに、活性化された水蒸気を2分導入した。そして、反応性容器内を排気ポンプで排気した。これ以降、テトラキスジメチルアミノチタニウムの120秒の導入と活性化された水蒸気の120秒の導入の一連の工程をALDサイクルと呼ぶことにし、ALDサイクル数を100回行って、シリコンの小片に酸化チタン膜を被膜した。
図7に、温度調節台におかれたシリコン小片の概略位置と計測された酸化チタン膜の厚さを表示する。
この試験では、酸化チタン膜の厚みは分光エリプソメトリで評価をおこなった。その結果、平均膜厚は14.1nmであり、ばらつきを示す標準偏差は0.21nmで、平均に標準偏差の占める割合は、1.47%であった。
本方法を用いることで、1.47%のばらつきで膜を成膜できることが明らかになった。また、膜付け行った全サンプルについて、表面の色合いは鏡面であり、着色や変色を確認することはできなかった。
本発明の利用分野の一例を挙げれば、金属部品や電子部品などの防食コーティング、濡れ性の制御するための表面改質に使用することが可能である。
1…有機金属ガス容器
2…接続管
3…流量制御器
4…接続管
5…屈曲接続管(遮蔽手段)
5A…U字型の接続管(遮蔽手段)
5B…S字型の接続管(遮蔽手段)
6…酸化ガス発生装置
7…温度調整台
8…反応容器
9…排気ポンプ
10…排気管
11…被処理部品
12…ガラス管
13…誘導コイル
14…プラズマの発生した領域
15…加湿器
16…接続管
17…遮蔽板(遮蔽手段)

Claims (4)

  1. 固体部材上に酸化薄膜を形成する方法であって、
    反応容器内に前記固体部材を設置し、固体部材の温度を、0℃より高く、150℃以下に保持し、反応容器内に有機金属ガスを充満させる工程と、前記有機金属ガスを排気するかあるいは反応容器内を不活性ガスで充満させる工程と、活性度が高められた酸化ガスを導入する工程と、前記酸化ガスを排気するかあるいは反応容器内を不活性ガスで充満させる工程とからなる、一連の工程を繰り返す薄膜堆積方法において、
    酸化ガス発生装置と反応容器を接続する直線状の接続管内部に突出して設けられた遮蔽板によって、接続管内部の流路を屈曲させ、
    前記活性度が高められた酸化ガスを、前記接続管を介して、反応容器に導入することにより、
    前記活性度が高められた酸化ガスのみを通し、活性度を高めるプラズマからの紫外光や高速イオンを反応容器に導入しないことを特徴とした薄膜堆積方法。
  2. 前記遮蔽手段が接続管内部に設けられた2枚の遮蔽板であり、前記2枚の遮蔽板によって、接続管内部の流路を屈曲させることを特徴する請求項1記載の薄膜堆積方法。
  3. 固体部材上に酸化薄膜を形成する薄膜堆積装置であって、
    内部に前記固体部材が設置される反応容器と、
    前記反応容器と接続管を介して接続された、反応容器内に有機金属ガスを導入するための有機金属ガス容器と、
    前記反応容器と接続管を介して接続された、反応容器内に活性度が高められた酸化ガスを導入するための酸化ガス発生装置を、少なくとも備え、
    酸化ガス発生装置と反応容器を接続する直線状の接続管内部に突出して設けられた遮蔽板によって、接続管内部に屈曲した流路が形成され、
    前記活性度が高められた酸化ガスを、前記接続管を介して、反応容器に導入することにより、
    前記活性度が高められた酸化ガスのみを通し、活性度を高めるプラズマからの紫外光や高速イオンを反応容器に導入しないことを特徴とした薄膜堆積装置。
  4. 前記遮蔽手段が接続管内部に設けられた2枚の遮蔽板であり、前記2枚の遮蔽板によって、接続管内部に屈曲した流路が形成されることを特徴する請求項3記載の薄膜堆積装置。
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