JP6485951B2 - 静電噴霧装置の流量調整方法、及び、その流量調整のできる静電噴霧装置 - Google Patents
静電噴霧装置の流量調整方法、及び、その流量調整のできる静電噴霧装置 Download PDFInfo
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Description
この特許文献1に開示される静電噴霧装置によれば、従来の霧化縁部が1つである場合に比べ、広い範囲に霧化液体を塗布することが可能である。
また、複数の霧化縁部から噴霧される液体同士を混合させ重ね合わせないで被塗物と静電噴霧装置を相対的に動かして液体を塗布する場合であっても濃度の差が出やすくなる。
そうすると、例えば、被塗物に塗料などの液体を塗布するときにきれいな塗装が行い難いと言う問題がある。
しかしながら、そのような方法では、各霧化縁部に流量を計測する手段を設ける必要があり、霧化縁部の数が多くなればなるほど、構成が複雑となるという問題があり、より簡易に流量の調整ができることが望まれる。
(1)本発明の静電噴霧装置の流量調整方法は、複数の液体噴霧部と前記液体噴霧部から噴霧される液体を混合するように前記液体噴霧部の先端の近隣に配置される近接電極との間に電圧を印加して発生する静電気力によって前記液体を帯電状態で前記液体噴霧部の先端から離脱させて前記液体を混合噴霧する静電噴霧装置の流量調整方法であって、被塗物と前記液体噴霧部との間に電圧を印加して静電気力を発生させて前記液体を前記被塗物に塗着させるときに、少なくとも前記混合噴霧の状態とならない程度にしか、前記近接電極が前記液体の噴霧に寄与しない状態とするステップと、前記被塗物の前記液体を塗着させる部分が前記液体噴霧部の前記先端からほぼ一定の距離離れる位置に位置するように前記被塗物を配置するステップと、前記被塗物と前記液体噴霧部との間に電圧を印加して前記液体を前記被塗物に塗着させるようにし、前記被塗物上での前記液体の塗着状態に応じて前記液体噴霧部の前記液体の噴霧量を調整するステップと、を含み、前記噴霧量を調整するステップが、前記各液体噴霧部の前記被塗物上での前記液体の塗着状態をほぼ等しくするように前記噴霧量を調整するステップである。
(2)上記(1)の構成において、前記被塗物を配置するステップが、それぞれの前記液体噴霧部の前記先端からほぼ一定の距離離れた位置に、それぞれの前記液体噴霧部に対応した前記被塗物の前記液体を塗着させる部分が位置するように前記被塗物を配置するステップである。
(3)上記(1)の構成において、前記被塗物を配置するステップが、1つの前記液体噴霧部から噴霧される前記液体だけが塗着する位置であって、且つ、前記液体を塗着させることができる前記液体噴霧部の前記先端からほぼ一定の距離離れた位置に、前記被塗物の前記液体を塗着させる部分が位置するように前記被塗物を配置するステップであり、それぞれの前記液体噴霧部に対して前記被塗物を配置するステップと前記噴霧量を調整するステップとを行う。
(4)上記(1)から(3)のいずれか1つの構成において、前記近接電極が前記液体噴霧部の先端の近隣から取外し可能に保持されており、前記近接電極が前記液体の噴霧に寄与しない状態とするステップが、前記近接電極を前記液体噴霧部の先端の近隣から取外すステップである。
(5)上記(1)から(3)のいずれか1つの構成において、前記近接電極が前記液体噴霧部の先端の近隣から離れるように後方に移動可能に保持されており、前記近接電極が前記液体の噴霧に寄与しない状態とするステップが、前記近接電極を前記液体噴霧部の先端の近隣から離れるように後方に移動させるステップである。
(6)上記(1)から(3)のいずれか1つの構成において、前記液体噴霧部と前記近接電極との間に電圧を印加する電圧印加手段は、前記近接電極への電圧の印加を停止する印加停止手段を備え、前記近接電極が前記液体の噴霧に寄与しない状態とするステップが、前記近接電極への電圧の印加を停止するステップである。
(7)上記(1)から(6)のいずれか1つの構成において、前記液体噴霧部が正多角形に配置されるとともに、前記混合噴霧ができるように、前記近接電極が前記液体噴霧部同士の間に配置されている。
(8)上記(7)の構成において、前記近接電極が、前記液体噴霧部で囲まれる領域の中央側で一体に繋がっている。
(10)上記(9)の構成において、前記被塗物を配置するステップが、それぞれの前記液体噴霧部の前記先端からほぼ一定の距離離れた位置に、それぞれの前記液体噴霧部に対応した前記被塗物の前記液体を塗着させる部分が位置するように前記被塗物を配置するステップである。
(11)上記(9)の構成において、前記被塗物を配置するステップが、1つの前記液体噴霧部から噴霧される前記液体だけが塗着する位置であって、且つ、前記液体を塗着させることができる前記液体噴霧部の前記先端からほぼ一定の距離離れた位置に、前記被塗物の前記液体を塗着させる部分が位置するように前記被塗物を配置するステップであり、それぞれの前記液体噴霧部に対して前記被塗物を配置するステップと前記噴霧量を調整するステップとを行う。
(12)上記(9)から(11)のいずれか1つの構成において、前記液体噴霧部の先端の近隣に配置され、前記液体噴霧部から噴霧される液体を混合しないような形状とされた近接電極を備え、前記噴霧量を調整するステップでは、複数の前記液体噴霧部と前記近接電極との間にも電圧が印加される。
(14)上記(13)の構成において、前記電圧印加手段が、前記液体を塗布する被塗物と複数の前記液体噴霧部との間に電圧を印加する電圧電源と、前記被塗物と複数の前記液体噴霧部との間に印加される電圧を分割して前記近接電極と複数の前記液体噴霧部との間に電圧を印加する抵抗と、前記抵抗と前記近接電極との間に設けられ、前記近接電極への電圧の印加を停止する電気スイッチ又は電気コネクタからなる印加停止手段と、を備えている。
(15)上記(14)の構成において、前記印加停止手段が、電気コネクタである。
(19)上記(18)の構成において、前記印加停止手段が、電気スイッチである。
(20)上記(14)、(15)、(18)及び(19)のいずれか1つの構成において、前記抵抗が前記近接電極の電位を調整する可変抵抗である。
(21)上記(13)から(20)のいずれか1つの構成において、前記液体噴霧部が正多角形に配置されるとともに、前記混合噴霧ができるように、前記近接電極が前記液体噴霧部同士の間に配置されている。
(22)上記(21)の構成において、前記近接電極は、前記液体噴霧部で囲まれる領域の中央側で前記近接電極が一体に繋がっている。
(23)上記(21)又は(22)の構成において、前記液体噴霧部同士の間に配置される前記近接電極は、前記近接電極に隣接する前記液体噴霧部の先端同士を直線で結んだときの長さの半分の長さよりも小さい幅である。
なお、特に断りがない場合、「先(端)」や「前(方)」等の表現は、各部材等において液体の噴霧方向側を表し、「後(端)」や「後(方)」等の表現は、各部材等において液体の噴霧方向と反対側を表すものとする。
以下では、先ず、本発明に係る第1実施形態の静電噴霧装置の装置構成や被塗物に液体を噴霧する液体の噴霧状態の説明を行った後に、複数の液体噴霧部の流量調整の方法について説明する。
図1は、本発明に係る第1実施形態の静電噴霧装置10の全体構成を示す断面図であり、図2は、静電噴霧装置10の液体噴霧部20周辺を拡大した拡大斜視図である。
なお、図2に示すように、液体噴霧部20及び近接電極40は直線状に並んでいるわけではないので、図1の断面図は、静電噴霧装置10を直線で切断した断面ではなく、あくまでも、全体構成がよりわかり易いように各部の断面を示しているものである。
このアース手段70は必須の要件ではないが、被塗物60のようなものの場合、作業者が触れたりすることがあり得るので安全面の観点で設けることが好ましい。
例えば、被塗物60が搬送装置などによって、塗料などの液体を塗布する位置に搬送されるような場合には、電圧印加手段50からの電気配線を搬送装置の被塗物60が載置される載置部に接続されているようにして、載置部を介して被塗物60が電圧印加手段50に電気的に接続されるようにしても良い。
図3は、1つの液体噴霧部20を示した断面図である。
図3に示すように、液体噴霧部20は、液体の供給される液体供給口21aを有する液体流路21bが形成された絶縁材料からなる胴体部21と、貫通孔が胴体部21の液体流路21bに連通するように胴体部21の先端に設けられる液体ノズル22と、胴体部21の液体流路21b内及び液体ノズル22の貫通孔内に配置される導電材料からなる心棒23と、を備えている。
なお、本実施形態では、シール部材24としてOリングを用いているが、Oリングに限らず、シールが可能なものであればよい。
そして、図3に示すように、電気配線接続部23bが心棒23に接触するようにされることで心棒23と電気配線接続部23bとが電気的に接続されている。
なお、本実施形態では、心棒23を液体噴霧部20の電極とする場合を示しているが、液体ノズル22を導電材料からなるものとして液体ノズル22に電圧印加手段50からの電気配線を接続して液体ノズル22を液体噴霧部20の電極としても良い。
また、摘み部23aの螺合量を調節することで心棒23を前後方向に移動させることができ、心棒23の先端面23dの位置を前後方向に調節できるようになっている。
これは、液体が流れ出るノズル先端の開口直径が大きいと、安定した液体の霧化状態が得られなくなるためと推察される。
例えば、一般には、ノズル先端の開口直径は0.1mm未満とされている。
この結果、目詰まりが発生する頻度を大幅に低減することができるようになっている。
さらに、液体ノズル22の貫通孔の内径も心棒23を配置できる程度に大きくできているため、心棒23を取り外して洗浄液を大量に流して洗浄することも可能になっている。
また、心棒23の先端面23dの直径は、液体ノズル22の開口部22bの開口直径よりも小さい直径とされているが、心棒23のテーパ形状部は、後端側に向かって徐々に直径が大きくなり、液体ノズル22の開口部22bの開口直径よりも直径の大きい部分を有するように形成されている。
したがって、液体を噴霧しない状態において、液体ノズル22の開口部22bを心棒23で閉塞させ、液体ノズル22内の液体が乾燥することを防止することが可能であり、液体ノズル22が目詰まりを起こすことを抑制ができる。
図2に示すように、近接電極40は、液体噴霧部20同士の間、より詳しくは、液体ノズル22同士のほぼ中間位置に位置するように、ホルダ30の近接電極取付部31に取付けられている。
より具体的には、3つの近接電極40は、中央の連結リング42の外周に周方向に120°間隔で設けられるように、連結リング42に一体形成されている。
なお、近接電極40及び連結リング42の部分は、導電材料や表面抵抗が1010Ω以下である帯電防止材料を用いて形成される。
このため、このネジ41を外すことで近接電極取付部31から近接電極40を取り外すことができる。
次に、複数の液体噴霧部20から噴霧される液体の状態を説明する前に、図5を参照しながら、1つの液体噴霧部20から液体が噴霧される状態について説明を行い、その後、これが複数の液体噴霧部20を用いて行われたときにどのような液体の噴霧状態になるのかについて説明を行う。
つまり、電圧印加手段50及び抵抗51(可変抵抗)によって近接電極40と液体噴霧部20との間に第1電位と第2電位との間の電位差を生じる電圧が印加される構成となっている。
つまり、電圧印加手段50及び抵抗51(可変抵抗)によって近接電極40と液体噴霧部20との間に電圧を印加し、液体を帯電状態で液体噴霧部20の先端(液体ノズル22の先端)から離脱させる静電気力を発生させる電圧印加手段が構成されている。
そして、テーラコーン80の先端から静電気力によって、液体が静電気力の引っ張り方向に真直ぐに引っ張られ、その後静電爆発によって広い範囲に液体が噴霧される。
このような静電爆発が繰り返されることで液体が霧化される。
仮に、従来の静電噴霧装置のように、この心棒23を設けないものとすると、液体が付着できる部分は、液体ノズル22の先端外周縁22aだけとなる。
したがって、液体ノズル22の開口部22bの開口直径が大きくても、開口部22bの中央部に液体が付着できる心棒23の先端面23dが存在するため、安定したテーラコーン80を形成することができ、液体の安定した霧化ができるようになっているものと考えられる。
このため、液体ノズル22の開口部22bの開口直径を目詰まりが抑制できるような大きな開口直径にすることができる。
また、液体ノズル22の開口部22bの開口直径を大きくできるため機械加工で液体ノズル22が製作できる。
図6は、塗料などの液体が塗布される側から近接電極40側を見たときの正面図である。
なお、図6では、近接電極40と液体噴霧部20の先端(液体ノズル22の先端)だけを模式的に示したものになっている。
但し、区別することなく、3つの液体噴霧部20をまとめて指す場合や3つの近接電極40をまとめて指す場合には、液体噴霧部20や近接電極40との表現を用いる。
より具体的には、近接電極40aは液体噴霧部22Aと液体噴霧部22Cとの間のほぼ中間位置に配置され、近接電極40bは液体噴霧部22Aと液体噴霧部22Bとの間のほぼ中間位置に配置され、近接電極40cは液体噴霧部22Bと液体噴霧部22Cとの間のほぼ中間位置に配置されている。
本実施形態では、図2に示すように、近接電極40の液体噴霧方向に沿った前後方向の位置は、液体噴霧部20の先端(液体ノズル22の先端)の少し前方に位置するようにしている。
そして、このような霧化状態が不安定な液体噴霧部20が存在すると、被塗物に対する塗料などの液体の塗布状態は、ムラや荒れのある状態となり、良好な塗布状態とすることができない。
そこで、鋭意検討した結果、上述のように液体噴霧部20を正多角形に配置し、その液体噴霧部20同士の間に近接電極40を配置する構成に至った。
このため、従来技術のように、横並びに液体噴霧部20を並べるような場合と異なり、液体噴霧部22A、22B及び22Cのいずれかが他の液体噴霧部と異なる電場の状態に置かれ、塗料などの液体の噴霧が不安定になることがなく、全ての液体噴霧部20が安定した霧化液体の噴霧を行うことができるようになる。
したがって、被塗物60に到達する過程で各液体噴霧部20から噴霧された液体は混合噴霧状態となり、被塗物60上での液体の塗布状態が、3つの液体噴霧部がサポートする広い範囲で一体になった液体の塗布状態となる。
4つの液体噴霧部20を用いる場合は、液体噴霧部20を正四角形に配置するようにし、隣接する液体噴霧部20の間に近接電極40が配置されるようにすればよい。
例えば、上述した胴体部21(図3参照)を、3つの液体ノズル22で共通の1つの胴体部として構成し、1つの胴体部に3つの液体ノズル22が液体噴霧部として正三角形に配置されたものとしても良い。
この場合、3つの液体ノズル22が液体噴霧部として正三角形に配置される胴体部の中央に、図2に示した近接電極取付部31と同様の構造を設け、胴体部自体を液体噴霧部20と近接電極40とを保持するホルダとすれば良い。
但し、図7では、各液体噴霧部22A、22B、22Cで囲われる領域の中央と各液体噴霧部22A、22B、22Cとを結ぶ直線上にほぼ直交するように近接電極43a、43b及び43cが配置されているが、このように直交しなければならないわけではない。
なお、上述した棒状の近接電極40と同様のサイズの近接電極を薄い板状のものとして形成しても問題ないことは言うまでもない。
しかしながら、近接電極40の厚みが薄い場合は、複数個所で取付けられる方が近接電極40の取付け安定性が高くなるので、薄い板状の場合、複数の近接電極取付部31を設けて近接電極40をホルダ30に取付けるのが好ましい。
一方、棒状の近接電極40(近接電極40a、40b、及び、40c)のように、近接電極40a、40b、及び、40cの幅が広くない場合には、そのような液体の付着が発生しなかった。
このことから、液体の付着の観点からすると、液体噴霧部20同士の間に配置される近接電極40(近接電極40a、40b、及び、40c)は、幅が小さいことが好適である。
このようにすることで近接電極40に液体が付着することを抑制することができる。
以上、具体的な本発明に係る第1実施形態の静電噴霧装置10の全体概要について説明したので、以下では、このような静電噴霧装置10における各液体噴霧部20から噴霧される液体の噴霧量の調整方法について詳細に説明する。
より具体的には、図10(a)では、図6に示した液体噴霧部22A、22B、22Cの配置状態を示す正三角形を一点鎖線で示しており、液体噴霧部22A、22B、22Cの中心を基準に3つの液体の塗着状態90A、90B、90Cが確認出来る。
さらに、混合噴霧されている液体の濃度ムラも発生しやすいことから良好な塗装が行えないという問題がある。
このことから、塗着状態90Cの液体を噴霧した液体噴霧部22Cの液体の噴霧量を少なくするように噴霧量を調整する。
具体的には、本実施形態においては、近接電極40を取外し、近接電極40が液体の噴霧に全く寄与しない状態としている。
本実施形態では、各液体噴霧部20の前後方向の位置が同じであるので、それぞれの液体噴霧部20の先端から噴霧される液体を十分に受けることができる表面積を有する平らな被塗物60としている。
より具体的には、各液体噴霧部20の被塗物60上での液体の塗着状態(塗着範囲の大きさなど)をほぼ等しくするように噴霧量を調整するステップを行う。
また、混合噴霧されている液体の濃度ムラも低減されるため良好な塗装が行えるようになる。
また、3つの液体噴霧部20を正三角形に配置している場合でも、各液体噴霧部22A、22B、22Cの噴霧範囲が大きくなるように噴霧量を増やすことで、より混合噴霧パターンをより円形に近づけることができる。
そして、近接電極40には、電圧が印加されるので近接電極40を取外している間も電圧が印加されると、取扱い上不便である。
具体的には、図12に示すように、抵抗51と近接電極40との間を電気的に接続する電気配線に印加停止手段として電気スイッチ91を設けるようにしても良く、また、図13に示すように、電気コネクタ92を設けるようにしても良い。
液体噴霧部22Aの噴霧量の調整が終れば、液体噴霧部22Aと同様の手順に従って、液体噴霧部22Bや液体噴霧部22Cの噴霧量の調整を行う。
つまり、それぞれの液体噴霧部20に対して、被塗物60aを配置するステップと、噴霧量を調整するステップとを、行う。
このようにしても、各液体噴霧部20による被塗物に対する液体の塗着状態をほぼ等しくすることができる。
図14は、図2に対応する図であり、本発明に係る第2実施形態の液体噴霧部周辺を拡大した拡大斜視図である。
このようにすると、六角ボルト41bを回転させて後方に移動させることで、近接電極40を液体噴霧部20の先端の近隣から離れるように後方に移動させることができる。
つまり、第1実施形態の近接電極40を取外すことで実施していた近接電極40が液体の噴霧に寄与しない状態とするステップを、近接電極40を液体噴霧部20の先端の近隣から離れるように後方に移動させるステップとして実施することができる。
但し、この方法でも、各液体噴霧部22A、22B、22Cの液体の塗着状態が離間して確認できるように、被塗物60に噴霧・塗布できるものの、幾分、近接電極40が液体の噴霧状態に作用して、きれいな円形パターンとならない場合がある。
このため、第2実施形態においても、第1実施形態で図12及び図13を用いて説明した抵抗51と近接電極40との間を電気的に接続する電気配線に近接電極40への電圧の印加を停止する印加停止手段(電気スイッチ91や電気コネクタ92)を設け、噴霧量の調整のときに、近接電極40への電圧の印加を停止するようにして、近接電極40の液体の噴霧状態に対する影響を軽減するようにするのがより好適である。
本実施形態では、近接電極40を取外す必要がないので印加停止手段としては電気コネクタ92よりも電気スイッチ91の方が使い勝手が良く好適であると考えられる。
第3実施形態は、既に図12及び図13で説明した構成において、近接電極40を取外すことなく、印加停止手段(電気スイッチ91や電気コネクタ92)で近接電極40への電圧の印加を停止して混合噴霧の状態にならないようにして上述した各液体噴霧部22A、22B、22Cの噴霧量の調整を行うものである。
このようにすれば、近接電極40の取外しの手間や移動の手間を必要とせず、噴霧量の調整を行うことができる。
つまり、第1実施形態の近接電極40を取外すことで実施していた近接電極40が液体の噴霧に寄与しない状態とするステップを、近接電極40への電圧の印加を停止するステップとして実施することができる。
このため、各液体噴霧部22A、22B、22Cの液体の塗着状態が離間して確認できるように、被塗物60に噴霧・塗布することができるものの、きれいな円形パターンとならない場合がある。
このことから、第1実施形態の場合の方がより明確に違いが把握できるので噴霧量の調整のし易さという観点からすれば、第1実施形態の方が好適と言える。
例えば、図7に示した近接電極40において、棒状の各近接電極40a、40b及び40cの機械的強度を補強するために、図15に示すように、棒状の各近接電極40a、40b及び40cの先端を繋いだ補強部47a、47b及び47cを設けるような形状としても良い。
このため、補強部47a、47b及び47cは、基本的に近接電極40としての役目をほとんど果さないように液体噴霧部22A、22B及び22Cから離して設けられる必要がある。
なお、第1実施形態のように、近接電極43aが無いような場合は、液体噴霧部22Aと近接電極40a及び40bとの間の一番近い離間距離よりも液体噴霧部22Aと補強部47aとの間の一番近い離間距離Xが長い距離になるようにする。
この場合も、この補強部が近接電極40(近接電極40a、40b、40c、43a、43b及び43c)と同様に、液体噴霧部22A、22B及び22Cに作用しないように、液体噴霧部22A、22B及び22Cから距離を取るようにする。
但し、このようにすると近接電極40の電位(第1電位)を調節するために、固定抵抗を取り替える必要が出てくるので可変抵抗で構成することが好適である。
上記第1〜3実施形態では、静電噴霧装置10が液体を混合噴霧する構成である場合の静電噴霧装置10の流量調整方法について説明してきたが、上記で説明した流量調整方法の基本的な概念は、複数の液体噴霧部20を用いて混合噴霧しないように噴霧する静電噴霧装置10の場合にも有効であり、以下では、複数の液体噴霧部20を用いて混合噴霧しないように噴霧する静電噴霧装置10の場合における流量調整方法について説明する。
また、図17は、静電噴霧装置10の液体噴霧部20周辺を拡大した拡大斜視図であり、図2に対応する図になっている。
本実施形態でも、各液体噴霧部20の前後方向の位置が同じであるので、それぞれの液体噴霧部20の先端から噴霧される液体を十分に受けることができる表面積を有する平らな被塗物60として良い。
より具体的には、各液体噴霧部20の被塗物60上での液体の塗着状態(塗着範囲の大きさなど)をほぼ等しくするように噴霧量を調整するステップを行う。
第1実施形態で説明用に付加した液体噴霧部20の番号22A、22B、22C等をそのまま用いて、再度、説明すると、本実施形態においても、図10(a)に示すように、被塗物60を小さい被塗物60aのようなサイズのものとして、上述の被塗物60を配置するステップを、1つの液体噴霧部22A(図示せず)から噴霧される液体だけが塗着する位置(被塗物60aの位置)であって、且つ、液体を塗着させることができる液体噴霧部22Aの先端からほぼ一定の距離離れた位置に、被塗物60aの液体を塗着させる部分(塗着状態90Aとなる部分)が位置するように被塗物60aを配置するステップとして、この被塗物60aを配置するステップを実施する。
その被塗物60aを配置するステップと、被塗物60aに液体を塗着させて噴霧量を調整するステップとを、それぞれの液体噴霧部20に対して行うようにして、それぞれの液体噴霧部20による塗着状態がほぼ等しくなるように、個別または複数個の組合せごとに液体噴霧部20の流量調整を行う。
図18は、本発明に係る第5実施形態の液体噴霧部20と被塗物60との配置関係等を示す斜視図である。
第5実施形態の静電噴霧装置においても、第4実施形態と同様に、図示しない電圧印加手段50が設けられ、複数の液体噴霧部20と被塗物60との間に電圧が印加され、液体を噴霧する構成である点などは、基本的に同じである。
このような場合でも、第4実施形態と全く同様の流量調整の手順で流量調整を行うことが可能である。
そのようにすれば、簡単に、被塗物60の液体を塗着させる部分が液体噴霧部20の先端からほぼ一定の距離離れる位置に位置するように被塗物60を配置するステップを実施することができる。
このため、液体噴霧部20が湾曲配列のように配置されているようなときには、第4実施形態で説明した個別または複数個の組合せごとに液体噴霧部20の噴霧量を調整する流量調整方法が好適である。
この作業を全ての液体噴霧部20に対して行えば、全ての液体噴霧部20の塗着状態をほぼ等しくすることができる。
また、それぞれの液体噴霧部20の塗着状態を個別に確認できれば良いため、被塗物60aは平面な被塗物で良く、湾曲しているような複雑な形状の被塗物を準備する必要もない。
また、別の方法として、各液体噴霧部20毎に被塗物との間で電圧を印加する電圧印加手段を設けておいて、それぞれの液体噴霧部20に対する電圧の印加状態を調節できるようにしておくのが好適である。
なお、液体噴霧部20同士を離間させるとともに、各液体噴霧部20に印加する電圧の調節ができるようにしておいても良い。
以上のように、複数の液体噴霧部20を備え、液体を混合噴霧しない静電噴霧装置10においても良好な液体の噴霧量の調整を簡単に行うことが可能である。
この場合には、液体を混合噴霧しないので、上述の噴霧量の調整は、近接電極にも電圧を印加した状態で行なえば良い。
しかしながら、本発明は、これら具体的な実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形や改良を施したものも本発明の技術的範囲に含まれるものであり、そのことは、当業者にとって特許請求の範囲の記載から明らかである。
20 液体噴霧部
21 胴体部
21a 液体供給口
21b 液体流路
21c 孔部
21d 後端開口部
21e 雌ネジ構造
22 液体ノズル
22a 先端外周縁
22b 開口部
23 心棒
23a 摘み部
23b 電気配線接続部
23c 雄ネジ構造
23d 先端面
24 シール部材
30 ホルダ
31、31a 近接電極取付部
32 近接電極取付用スペーサ
40 近接電極
41 ネジ
41a、41b 六角ボルト
50 電圧印加手段
51 抵抗(可変抵抗)
60、60a 被塗物
70 アース手段
80 テーラコーン
91 電気スイッチ
92 電気コネクタ
Claims (19)
- 複数の液体噴霧部と前記液体噴霧部から噴霧される液体を混合するように前記液体噴霧部の先端の近隣に配置される近接電極との間に電圧を印加して発生する静電気力によって前記液体を帯電状態で前記液体噴霧部の先端から離脱させて前記液体を混合噴霧する静電噴霧装置の流量調整方法であって、
被塗物と前記液体噴霧部との間に電圧を印加して静電気力を発生させて前記液体を前記被塗物に塗着させるときに、少なくとも前記混合噴霧の状態とならない程度にしか、前記近接電極が前記液体の噴霧に寄与しない状態とするステップと、
前記被塗物の前記液体を塗着させる部分が前記液体噴霧部の前記先端からほぼ一定の距離離れる位置に位置するように前記被塗物を配置するステップと、
前記近接電極を前記液体の噴霧に寄与しない状態にした後に、前記被塗物と前記液体噴霧部との間に電圧を印加して前記液体を前記被塗物に塗着させるようにし、前記被塗物上での前記液体の塗着状態に応じて前記液体噴霧部の前記液体の噴霧量を調整するステップと、を含み、
前記噴霧量を調整するステップが、前記各液体噴霧部の前記被塗物上での前記液体の塗着状態をほぼ等しくするように前記噴霧量を調整するステップであることを特徴とする流量調整方法。 - 前記被塗物を配置するステップが、それぞれの前記液体噴霧部の前記先端からほぼ一定の距離離れた位置に、それぞれの前記液体噴霧部に対応した前記被塗物の前記液体を塗着させる部分が位置するように前記被塗物を配置するステップであることを特徴とする請求項1に記載の流量調整方法。
- 前記被塗物を配置するステップが、1つの前記液体噴霧部から噴霧される前記液体だけが塗着する位置であって、且つ、前記液体を塗着させることができる前記液体噴霧部の前記先端からほぼ一定の距離離れた位置に、前記被塗物の前記液体を塗着させる部分が位置するように前記被塗物を配置するステップであり、
それぞれの前記液体噴霧部に対して前記被塗物を配置するステップと前記噴霧量を調整するステップとを行うことを特徴とする請求項1に記載の流量調整方法。 - 前記近接電極が前記液体噴霧部の先端の近隣から取外し可能に保持されており、
前記近接電極が前記液体の噴霧に寄与しない状態とするステップが、前記近接電極を前記液体噴霧部の先端の近隣から取外すステップであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の流量調整方法。 - 前記近接電極が前記液体噴霧部の先端の近隣から離れるように後方に移動可能に保持されており、
前記近接電極が前記液体の噴霧に寄与しない状態とするステップが、前記近接電極を前記液体噴霧部の先端の近隣から離れるように後方に移動させるステップであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の流量調整方法。 - 前記液体噴霧部と前記近接電極との間に電圧を印加する電圧印加手段は、前記近接電極への電圧の印加を停止する印加停止手段を備え、
前記近接電極が前記液体の噴霧に寄与しない状態とするステップが、前記近接電極への電圧の印加を停止するステップであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の流量調整方法。 - 前記液体噴霧部が正多角形に配置されるとともに、前記混合噴霧ができるように、前記近接電極が前記液体噴霧部同士の間に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の流量調整方法。
- 前記近接電極が、前記液体噴霧部で囲まれる領域の中央側で一体に繋がっていることを特徴とする請求項7に記載の流量調整方法。
- 複数の液体噴霧部と被塗物との間に電圧を印加して発生する静電気力によって液体を帯電状態で前記液体噴霧部の先端から離脱させて前記液体を噴霧する静電噴霧装置の流量調整方法であって、
前記被塗物の前記液体を塗着させる部分が前記液体噴霧部の前記先端からほぼ一定の距離離れる位置に位置するように前記被塗物を配置するステップと、
前記被塗物と前記液体噴霧部との間に電圧を印加して前記液体を前記被塗物に塗着させるようにし、前記被塗物上での前記液体の塗着状態に応じて前記液体噴霧部の前記液体の噴霧量を調整するステップと、を含み、
前記噴霧量を調整するステップが、前記各液体噴霧部の前記被塗物上での前記液体の塗着状態をほぼ等しくするように前記噴霧量を調整するステップであることを特徴とする流量調整方法。 - 前記被塗物を配置するステップが、それぞれの前記液体噴霧部の前記先端からほぼ一定の距離離れた位置に、それぞれの前記液体噴霧部に対応した前記被塗物の前記液体を塗着させる部分が位置するように前記被塗物を配置するステップであることを特徴とする請求項9に記載の流量調整方法。
- 前記被塗物を配置するステップが、1つの前記液体噴霧部から噴霧される前記液体だけが塗着する位置であって、且つ、前記液体を塗着させることができる前記液体噴霧部の前記先端からほぼ一定の距離離れた位置に、前記被塗物の前記液体を塗着させる部分が位置するように前記被塗物を配置するステップであり、
それぞれの前記液体噴霧部に対して前記被塗物を配置するステップと前記噴霧量を調整するステップとを行うことを特徴とする請求項9に記載の流量調整方法。 - 前記液体噴霧部の先端の近隣に配置され、前記液体噴霧部から噴霧される液体を混合しないような形状とされた近接電極を備え、
前記噴霧量を調整するステップでは、複数の前記液体噴霧部と前記近接電極との間にも電圧が印加されることを特徴とする請求項9から請求項11のいずれか1項に記載の流量調整方法。 - 複数の液体噴霧部と、
前記液体噴霧部から噴霧される液体を混合するように前記液体噴霧部の先端の近隣に配置される近接電極と、
前記近接電極と前記液体噴霧部との間に電圧を印加し、前記液体を帯電状態で前記液体噴霧部の先端から離脱させ、前記液体を混合噴霧するための静電気力を発生させる電圧印加手段と、を備え、
前記電圧印加手段が、前記近接電極への電圧の印加を停止する印加停止手段を備え、
前記電圧印加手段が、複数の前記液体噴霧部の噴霧量を調整するときに、前記印加停止手段により前記近接電極への電圧の印加を停止し、被塗物と前記複数の液体噴霧部との間に電圧を印加することを特徴とする静電噴霧装置。 - 前記電圧印加手段が、
前記液体を塗布する被塗物と複数の前記液体噴霧部との間に電圧を印加する電圧電源と、
前記被塗物と複数の前記液体噴霧部との間に印加される電圧を分割して前記近接電極と複数の前記液体噴霧部との間に電圧を印加する抵抗と、
前記抵抗と前記近接電極との間に設けられ、前記近接電極への電圧の印加を停止する電気スイッチ又は電気コネクタからなる印加停止手段と、を備えていることを特徴とする請求項13に記載の静電噴霧装置。 - 前記印加停止手段が、電気スイッチであることを特徴とする請求項14に記載の静電噴霧装置。
- 前記抵抗が前記近接電極の電位を調整する可変抵抗であることを特徴とする請求項14又は請求項15に記載の静電噴霧装置。
- 前記液体噴霧部が正多角形に配置されるとともに、前記混合噴霧ができるように、前記近接電極が前記液体噴霧部同士の間に配置されていることを特徴とする請求項13から請求項16のいずれか1項に記載の静電噴霧装置。
- 前記近接電極は、前記液体噴霧部で囲まれる領域の中央側で前記近接電極が一体に繋がっていることを特徴とする請求項17に記載の静電噴霧装置。
- 前記液体噴霧部同士の間に配置される前記近接電極は、前記近接電極に隣接する前記液体噴霧部の先端同士を直線で結んだときの長さの半分の長さよりも小さい幅であることを特徴とする請求項17又は請求項18に記載の静電噴霧装置。
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