JP6485951B2 - 静電噴霧装置の流量調整方法、及び、その流量調整のできる静電噴霧装置 - Google Patents

静電噴霧装置の流量調整方法、及び、その流量調整のできる静電噴霧装置 Download PDF

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Description

本発明は静電噴霧装置の流量調整方法、及び、その流量調整のできる静電噴霧装置に関する。
塗料などの液体を静電気力で噴霧・霧化する静電噴霧装置が知られているが、このような静電噴霧装置は、霧化量が少なく、塗布範囲が小さいため、一般の圧縮空気などを用いて塗料などの液体を霧化して被塗物に塗布するようなスプレーガン及び圧縮気体などを用いて液体を霧化して静電気力を用いて被塗物に効率よく塗布するような静電塗装装置のように、一度に多くの量を広範囲に霧化液体を塗布することができないという問題がある。
一方、特許文献1には、複数の霧化縁部(12、13)及びこの霧化縁部(12、13)の各側でしかも前歩位に霧化縁部(12、13)の長手方向に沿ってのびる対の組合わさった複数の電界強化電極(26、27、28、28a、28b)を備えた噴霧ヘッドと、霧化縁部(12、13)と電界強化電極(26、27、28、28a、28b)との間に電位差を印加する電源装置とを有する液体の静電噴霧装置において、対の霧化縁部(12、13)と組合わさった電界強化電極(26、27、28;または、26、27、28a、28b)が並んでのび、またa)霧化縁部(12、13)の間の間隔(a)が20〜300mmの範囲であり、b)電界強化電極(26、27、28、28a、28b)の各々とそれと組合わさった霧化縁部(12、13)との間の間隔(b)が3mm以上であり、c)霧化縁部(12、13)と電界強化電極(26、27、28、28a、28b)との間に印加される電位差を供給する導体間の測定可能な電位差が霧化縁部(12、13)から電界強化電極(26、27、28、28a、28b)の間隔の単位長さ当たり1〜3KV/mmの範囲にあることを特徴とする静電噴霧装置が開示されている。
そして、上記構成とすることで、特許文献1のFig.2に開示されるように、2つの霧化縁部(12、13)に対して3つの電界強化電極(前方の外側の電極26、27及び中央側の電極28)を設けた構成で、2つの霧化縁部(12、13)から噴霧される霧化液体を重ね合わせることが可能であることが示されている。
この特許文献1に開示される静電噴霧装置によれば、従来の霧化縁部が1つである場合に比べ、広い範囲に霧化液体を塗布することが可能である。
特開平3−30848号公報
ところで、複数の霧化縁部から噴霧される液体の噴霧状態(噴霧の広がり状態や密度分布などの噴霧パターン)がそれぞれ異なると、それら噴霧される液体同士を混合させ重ね合わせて一体の塗布パターンとする場合、重なり合ってできる噴霧形状が歪なものとなり、また、均一に液体が混合され難くなり、噴霧している範囲内での液体の濃度の差が出やすくなる。
また、複数の霧化縁部から噴霧される液体同士を混合させ重ね合わせないで被塗物と静電噴霧装置を相対的に動かして液体を塗布する場合であっても濃度の差が出やすくなる。
そうすると、例えば、被塗物に塗料などの液体を塗布するときにきれいな塗装が行い難いと言う問題がある。
そこで、各霧化縁部に供給される液体の流量を計測する手段を設け、その計測に基づいて流量が均一になるように液体の流量を調整し、それぞれの霧化縁部から噴霧される液体の噴霧状態を調整することも考えられる。
しかしながら、そのような方法では、各霧化縁部に流量を計測する手段を設ける必要があり、霧化縁部の数が多くなればなるほど、構成が複雑となるという問題があり、より簡易に流量の調整ができることが望まれる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、液体を噴霧する各液体噴霧部から噴霧される液体の噴霧状態を簡易に調整できる静電噴霧装置の流量調整方法を提供するとともに、その流量調整を行うことができる静電噴霧装置を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために、以下の構成によって把握される。
(1)本発明の静電噴霧装置の流量調整方法は、複数の液体噴霧部と前記液体噴霧部から噴霧される液体を混合するように前記液体噴霧部の先端の近隣に配置される近接電極との間に電圧を印加して発生する静電気力によって前記液体を帯電状態で前記液体噴霧部の先端から離脱させて前記液体を混合噴霧する静電噴霧装置の流量調整方法であって、被塗物と前記液体噴霧部との間に電圧を印加して静電気力を発生させて前記液体を前記被塗物に塗着させるときに、少なくとも前記混合噴霧の状態とならない程度にしか、前記近接電極が前記液体の噴霧に寄与しない状態とするステップと、前記被塗物の前記液体を塗着させる部分が前記液体噴霧部の前記先端からほぼ一定の距離離れる位置に位置するように前記被塗物を配置するステップと、前記被塗物と前記液体噴霧部との間に電圧を印加して前記液体を前記被塗物に塗着させるようにし、前記被塗物上での前記液体の塗着状態に応じて前記液体噴霧部の前記液体の噴霧量を調整するステップと、を含み、前記噴霧量を調整するステップが、前記各液体噴霧部の前記被塗物上での前記液体の塗着状態をほぼ等しくするように前記噴霧量を調整するステップである。
(2)上記(1)の構成において、前記被塗物を配置するステップが、それぞれの前記液体噴霧部の前記先端からほぼ一定の距離離れた位置に、それぞれの前記液体噴霧部に対応した前記被塗物の前記液体を塗着させる部分が位置するように前記被塗物を配置するステップである。
(3)上記(1)の構成において、前記被塗物を配置するステップが、1つの前記液体噴霧部から噴霧される前記液体だけが塗着する位置であって、且つ、前記液体を塗着させることができる前記液体噴霧部の前記先端からほぼ一定の距離離れた位置に、前記被塗物の前記液体を塗着させる部分が位置するように前記被塗物を配置するステップであり、それぞれの前記液体噴霧部に対して前記被塗物を配置するステップと前記噴霧量を調整するステップとを行う。
(4)上記(1)から(3)のいずれか1つの構成において、前記近接電極が前記液体噴霧部の先端の近隣から取外し可能に保持されており、前記近接電極が前記液体の噴霧に寄与しない状態とするステップが、前記近接電極を前記液体噴霧部の先端の近隣から取外すステップである。
(5)上記(1)から(3)のいずれか1つの構成において、前記近接電極が前記液体噴霧部の先端の近隣から離れるように後方に移動可能に保持されており、前記近接電極が前記液体の噴霧に寄与しない状態とするステップが、前記近接電極を前記液体噴霧部の先端の近隣から離れるように後方に移動させるステップである。
(6)上記(1)から(3)のいずれか1つの構成において、前記液体噴霧部と前記近接電極との間に電圧を印加する電圧印加手段は、前記近接電極への電圧の印加を停止する印加停止手段を備え、前記近接電極が前記液体の噴霧に寄与しない状態とするステップが、前記近接電極への電圧の印加を停止するステップである。
(7)上記(1)から(6)のいずれか1つの構成において、前記液体噴霧部が正多角形に配置されるとともに、前記混合噴霧ができるように、前記近接電極が前記液体噴霧部同士の間に配置されている。
(8)上記(7)の構成において、前記近接電極が、前記液体噴霧部で囲まれる領域の中央側で一体に繋がっている。
(9)本発明の静電噴霧装置の流量調整方法は、複数の液体噴霧部と被塗物との間に電圧を印加して発生する静電気力によって液体を帯電状態で前記液体噴霧部の先端から離脱させて前記液体を噴霧する静電噴霧装置の流量調整方法であって、前記被塗物の前記液体を塗着させる部分が前記液体噴霧部の前記先端からほぼ一定の距離離れる位置に位置するように前記被塗物を配置するステップと、前記被塗物と前記液体噴霧部との間に電圧を印加して前記液体を前記被塗物に塗着させるようにし、前記被塗物上での前記液体の塗着状態に応じて前記液体噴霧部の前記液体の噴霧量を調整するステップと、を含み、前記噴霧量を調整するステップが、前記各液体噴霧部の前記被塗物上での前記液体の塗着状態をほぼ等しくするように前記噴霧量を調整するステップである。
(10)上記(9)の構成において、前記被塗物を配置するステップが、それぞれの前記液体噴霧部の前記先端からほぼ一定の距離離れた位置に、それぞれの前記液体噴霧部に対応した前記被塗物の前記液体を塗着させる部分が位置するように前記被塗物を配置するステップである。
(11)上記(9)の構成において、前記被塗物を配置するステップが、1つの前記液体噴霧部から噴霧される前記液体だけが塗着する位置であって、且つ、前記液体を塗着させることができる前記液体噴霧部の前記先端からほぼ一定の距離離れた位置に、前記被塗物の前記液体を塗着させる部分が位置するように前記被塗物を配置するステップであり、それぞれの前記液体噴霧部に対して前記被塗物を配置するステップと前記噴霧量を調整するステップとを行う。
(12)上記(9)から(11)のいずれか1つの構成において、前記液体噴霧部の先端の近隣に配置され、前記液体噴霧部から噴霧される液体を混合しないような形状とされた近接電極を備え、前記噴霧量を調整するステップでは、複数の前記液体噴霧部と前記近接電極との間にも電圧が印加される。
(13)本発明の静電噴霧装置は、複数の液体噴霧部と、前記液体噴霧部から噴霧される液体を混合するように前記液体噴霧部の先端の近隣に配置される近接電極と、前記近接電極と前記液体噴霧部との間に電圧を印加し、前記液体を帯電状態で前記液体噴霧部の先端から離脱させ、前記液体を混合噴霧するための静電気力を発生させる電圧印加手段と、を備え、複数の前記液体噴霧部の噴霧量を調整するときに、前記混合噴霧の状態とならないように前記近接電極が取外し可能である。
(14)上記(13)の構成において、前記電圧印加手段が、前記液体を塗布する被塗物と複数の前記液体噴霧部との間に電圧を印加する電圧電源と、前記被塗物と複数の前記液体噴霧部との間に印加される電圧を分割して前記近接電極と複数の前記液体噴霧部との間に電圧を印加する抵抗と、前記抵抗と前記近接電極との間に設けられ、前記近接電極への電圧の印加を停止する電気スイッチ又は電気コネクタからなる印加停止手段と、を備えている。
(15)上記(14)の構成において、前記印加停止手段が、電気コネクタである。
(16)本発明の静電噴霧装置は、複数の液体噴霧部と、前記液体噴霧部から噴霧される液体を混合するように前記液体噴霧部の先端の近隣に配置される近接電極と、前記近接電極と前記液体噴霧部との間に電圧を印加し、前記液体を帯電状態で前記液体噴霧部の先端から離脱させ、前記液体を混合噴霧するための静電気力を発生させる電圧印加手段と、を備え、複数の前記液体噴霧部の噴霧量を調整するときに、前記混合噴霧の状態とならないように前記近接電極が前記液体噴霧部の先端の近隣から離れるように後方に移動可能である。
(17)本発明の静電噴霧装置は、複数の液体噴霧部と、前記液体噴霧部から噴霧される液体を混合するように前記液体噴霧部の先端の近隣に配置される近接電極と、前記近接電極と前記液体噴霧部との間に電圧を印加し、前記液体を帯電状態で前記液体噴霧部の先端から離脱させ、前記液体を混合噴霧するための静電気力を発生させる電圧印加手段と、を備え、前記電圧印加手段が、複数の前記液体噴霧部の噴霧量を調整するときに、前記近接電極への電圧の印加を停止して前記混合噴霧の状態にならないようにするための前記近接電極への電圧の印加を停止する印加停止手段を備えている。
(18)上記(16)又は(17)の構成において、前記電圧印加手段が、前記液体を塗布する被塗物と複数の前記液体噴霧部との間に電圧を印加する電圧電源と、前記被塗物と複数の前記液体噴霧部との間に印加される電圧を分割して前記近接電極と複数の前記液体噴霧部との間に電圧を印加する抵抗と、前記抵抗と前記近接電極との間に設けられ、前記近接電極への電圧の印加を停止する電気スイッチ又は電気コネクタからなる印加停止手段と、を備えている。
(19)上記(18)の構成において、前記印加停止手段が、電気スイッチである。
(20)上記(14)、(15)、(18)及び(19)のいずれか1つの構成において、前記抵抗が前記近接電極の電位を調整する可変抵抗である。
(21)上記(13)から(20)のいずれか1つの構成において、前記液体噴霧部が正多角形に配置されるとともに、前記混合噴霧ができるように、前記近接電極が前記液体噴霧部同士の間に配置されている。
(22)上記(21)の構成において、前記近接電極は、前記液体噴霧部で囲まれる領域の中央側で前記近接電極が一体に繋がっている。
(23)上記(21)又は(22)の構成において、前記液体噴霧部同士の間に配置される前記近接電極は、前記近接電極に隣接する前記液体噴霧部の先端同士を直線で結んだときの長さの半分の長さよりも小さい幅である。
本発明によれば、液体を噴霧する各液体噴霧部から噴霧される液体の噴霧状態を簡易に調整できる静電噴霧装置の流量調整方法を提供するとともに、その流量調整を行うことができる静電噴霧装置を提供することができる。
本発明に係る第1実施形態の静電噴霧装置の全体構成を示す断面図である。 第1実施形態の液体噴霧部周辺を拡大した拡大斜視図である。 第1実施形態の液体噴霧部の断面図である。 第1実施形態の液体噴霧部の先端側を拡大した断面図であり、(a)は心棒が後方側に位置する場合を示す図であり、(b)は心棒が前方側に位置する場合を示す図である。 第1実施形態の液体噴霧部から液体が噴霧される状態を説明するための図である。 第1実施形態の液体噴霧部及び近接電極の配置関係を示す正面図である。 第1実施形態の近接電極の変形例を示す図であり、液体噴霧部及び近接電極の配置関係を示す正面図である。 第1実施形態の近接電極の変形例の液体噴霧部周辺を拡大した拡大斜視図である。 第1実施形態の近接電極の他の変形例を示す正面図である。 第1実施形態の噴霧量の調整前の噴霧状態を説明する図であり、(a)は近接電極を取外した場合を示す図であり、(b)は近接電極を取付けた場合を示す図である。 第1実施形態の噴霧量の調整後の噴霧状態を説明する図であり、(a)は近接電極を取外した場合を示す図であり、(b)は近接電極を取付けた場合を示す図である。 第1実施形態に印加停止手段である電気スイッチを付加した場合を説明する断面図である。 第1実施形態に印加停止手段である電気コネクタを付加した場合を説明する断面図である。 本発明に係る第2実施形態の液体噴霧部周辺を拡大した拡大斜視図である。 第1実施形態の近接電極の変形例を示す正面図である。 本発明に係る第4実施形態の静電噴霧装置の全体構成を示す断面図である。 第4実施形態の液体噴霧部周辺を拡大した拡大斜視図である。 本発明に係る第5実施形態の液体噴霧部と被塗物との配置関係等を示す斜視図である。 第5実施形態の噴霧量の調整の他の例を説明する図である。
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
なお、特に断りがない場合、「先(端)」や「前(方)」等の表現は、各部材等において液体の噴霧方向側を表し、「後(端)」や「後(方)」等の表現は、各部材等において液体の噴霧方向と反対側を表すものとする。
(第1実施形態)
以下では、先ず、本発明に係る第1実施形態の静電噴霧装置の装置構成や被塗物に液体を噴霧する液体の噴霧状態の説明を行った後に、複数の液体噴霧部の流量調整の方法について説明する。
[静電噴霧装置の構成]
図1は、本発明に係る第1実施形態の静電噴霧装置10の全体構成を示す断面図であり、図2は、静電噴霧装置10の液体噴霧部20周辺を拡大した拡大斜視図である。
なお、図2に示すように、液体噴霧部20及び近接電極40は直線状に並んでいるわけではないので、図1の断面図は、静電噴霧装置10を直線で切断した断面ではなく、あくまでも、全体構成がよりわかり易いように各部の断面を示しているものである。
図1及び図2に示すように、第1実施形態の静電噴霧装置10は、3つの液体噴霧部20と、液体噴霧部20の近隣に配置される近接電極40とを備え、液体噴霧部20が正三角形に配置されるとともに、正面視で近接電極40が液体噴霧部20同士の間に配置されるように、絶縁材料からなるホルダ30によって液体噴霧部20及び近接電極40が保持されている。
また、図1に示すように、静電噴霧装置10は、それぞれの液体噴霧部20と被塗物60との間に電圧を印加する電圧印加手段50(電圧電源)を備えており、電圧印加手段50によって、液体噴霧部20と被塗物60との間に印加される電圧を抵抗51で分割することで、近接電極40と被塗物60との間にも電圧を印加するようになっている。
なお、本実施形態では、電圧印加手段50によって、液体噴霧部20と被塗物60との間に印加される電圧を可変抵抗である抵抗51を用いて、近接電極40と被塗物60との間に電圧を印加する電圧印加手段を構成としているが、別の電圧印加手段(電圧電源)を用いて近接電極40と被塗物60との間に電圧を印加する構成としても良い。
さらに、被塗物60は、アース手段70でアースされるようになっている。
このアース手段70は必須の要件ではないが、被塗物60のようなものの場合、作業者が触れたりすることがあり得るので安全面の観点で設けることが好ましい。
なお、本実施形態では、被塗物60に電圧印加手段50からの電気配線を接続している場合を示しているが、被塗物60に、直接、電気配線を接続する必要はない。
例えば、被塗物60が搬送装置などによって、塗料などの液体を塗布する位置に搬送されるような場合には、電圧印加手段50からの電気配線を搬送装置の被塗物60が載置される載置部に接続されているようにして、載置部を介して被塗物60が電圧印加手段50に電気的に接続されるようにしても良い。
(液体噴霧部)
図3は、1つの液体噴霧部20を示した断面図である。
図3に示すように、液体噴霧部20は、液体の供給される液体供給口21aを有する液体流路21bが形成された絶縁材料からなる胴体部21と、貫通孔が胴体部21の液体流路21bに連通するように胴体部21の先端に設けられる液体ノズル22と、胴体部21の液体流路21b内及び液体ノズル22の貫通孔内に配置される導電材料からなる心棒23と、を備えている。
胴体部21には、心棒23を後端側に取り出すために、液体流路21bと連通した孔部21cが設けられ、その孔部21c内には、心棒23との間の隙間をシールして液体が漏れないようにするシール部材24が設けられている。
なお、本実施形態では、シール部材24としてOリングを用いているが、Oリングに限らず、シールが可能なものであればよい。
そして、孔部21cを通じて胴体部21の後端側に位置する心棒23の後端には、絶縁材料からなる摘み部23aが設けられているとともに、摘み部23aのほぼ中央を貫通するように設けられた導電材料からなる電気配線接続部23bが設けられている。
図1に示すように、電気配線接続部23bには、電圧印加手段50からの電気配線が接続される。
そして、図3に示すように、電気配線接続部23bが心棒23に接触するようにされることで心棒23と電気配線接続部23bとが電気的に接続されている。
なお、本実施形態では、心棒23を液体噴霧部20の電極とする場合を示しているが、液体ノズル22を導電材料からなるものとして液体ノズル22に電圧印加手段50からの電気配線を接続して液体ノズル22を液体噴霧部20の電極としても良い。
また、胴体部21の後端開口部21dの内周面には、摘み部23aを螺合接続するための雌ネジ構造21eが設けられ、一方、摘み部23aの先端外周面には、雄ネジ構造23cが設けられている。
したがって、胴体部21の後端開口部21dの雌ネジ構造21eに摘み部23aの先端外周面の雄ネジ構造23cを螺合させることで心棒23が取外し可能に胴体部21に取付けられている。
また、摘み部23aの螺合量を調節することで心棒23を前後方向に移動させることができ、心棒23の先端面23dの位置を前後方向に調節できるようになっている。
ここで、一般に、静電噴霧装置の先端を液体ノズルで形成する静電噴霧装置の場合、液体を噴霧するノズルは、液体が流れる貫通孔の直径が小さい微細な液体流路とされる。
これは、液体が流れ出るノズル先端の開口直径が大きいと、安定した液体の霧化状態が得られなくなるためと推察される。
例えば、一般には、ノズル先端の開口直径は0.1mm未満とされている。
このため、液体が乾燥したりすると直ぐに、ノズル先端の開口部が目詰まりするが、開口直径が小さいため、この目詰まりを解消することが難しいという問題がある。
しかしながら、理由については、後ほど説明するが、心棒23を用いるようにすることで、従来に比較して、ノズル先端の開口径を大きな開口直径としても良好な霧化ができることを見出し、このため、本実施形態の液体ノズル22の先端の開口部22bの開口直径は0.2mmの大きな開口直径にできている。
この結果、目詰まりが発生する頻度を大幅に低減することができるようになっている。
なお、液体ノズル22の開口部22bの開口直径は0.2mmに限定されるものではなく、心棒23を用いる形態においては、開口直径は1mm程度であっても問題はない。
液体ノズル22の開口部22bの開口直径は、目詰まりが起きにくく、また、目詰まりが起きても清掃ができることを考慮すると、0.1mm以上が好ましく、0.2mm以上がより好ましく、さらに0.2mmより大きくすることが好ましい。
一方、液体ノズル22の開口部22bの開口直径は、霧化の安定性を考慮すると、1.0mm以下が好適であり、より好ましく0.8mm以下であり、さらに好ましくは0.5mm以下とするのが良い。
また、本実施形態では、上述のように、心棒23を前後方向に移動させることができるため、目詰まりが起きても心棒23を移動させることで目詰まりの解消を行うことができる。
さらに、液体ノズル22の貫通孔の内径も心棒23を配置できる程度に大きくできているため、心棒23を取り外して洗浄液を大量に流して洗浄することも可能になっている。
図4は、図3に示した液体噴霧部20の先端、つまり、液体ノズル22の先端近傍を拡大した拡大図であり、図4(a)は、心棒23の先端面23dが後方に位置する場合であり、図4(b)は、図4(a)の状態よりも心棒23の先端面23dが前方に位置する場合である。
図4(a)に示すように液体ノズル22は、開口部22b側に向かってテーパ状に内径が小さくなるテーパ角度がαであるテーパ状内径部(範囲A参照)を有しており、心棒23は、先端面23dに向かって外径が小さくなるテーパ角度がβであるテーパ形状部(範囲B参照)を有している。
そして、液体ノズル22のテーパ状内径部のテーパ角度αが、心棒23のテーパ形状部のテーパ角度βよりも大きくされている。
また、心棒23の先端面23dの直径は、液体ノズル22の開口部22bの開口直径よりも小さい直径とされているが、心棒23のテーパ形状部は、後端側に向かって徐々に直径が大きくなり、液体ノズル22の開口部22bの開口直径よりも直径の大きい部分を有するように形成されている。
上記のように、液体ノズル22及び心棒23の先端側を形成することによって、図4(a)及び(b)を見比べるとわかるように、心棒23を前後方向に移動させることで液体ノズル22と心棒23とで形成される隙間の幅を調節できるようになり、液体ノズル22の開口部22bから出る液体の量を調節することができる。
また、図4(b)で示す状態よりも、さらに、心棒23を前方側に動かすことで、心棒23が液体ノズル22の内周面に当接し、液体ノズル22の開口部22bを閉塞することが可能である。
したがって、液体を噴霧しない状態において、液体ノズル22の開口部22bを心棒23で閉塞させ、液体ノズル22内の液体が乾燥することを防止することが可能であり、液体ノズル22が目詰まりを起こすことを抑制ができる。
(近接電極)
図2に示すように、近接電極40は、液体噴霧部20同士の間、より詳しくは、液体ノズル22同士のほぼ中間位置に位置するように、ホルダ30の近接電極取付部31に取付けられている。
より具体的には、3つの近接電極40は、中央の連結リング42の外周に周方向に120°間隔で設けられるように、連結リング42に一体形成されている。
なお、近接電極40及び連結リング42の部分は、導電材料や表面抵抗が1010Ω以下である帯電防止材料を用いて形成される。
そして、近接電極取付部31の先端に連結リング42を装着した状態で、連結リング42を近接電極取付部31側に押圧するように、連結リング42をネジ41で締め付けることで、近接電極取付部31に連結リング42が固定される。
このため、このネジ41を外すことで近接電極取付部31から近接電極40を取り外すことができる。
なお、図1では、近接電極40の先端に、抵抗51(可変抵抗)からの電気配線が接続されているように図示しているが、電気配線の接続は、例えば、図2のホルダ30の後方側(液体ノズル22と反対側)から近接電極取付部31内を通して連結リング42に接続されるようになっていても良い。
[液体の噴霧状態]
次に、複数の液体噴霧部20から噴霧される液体の状態を説明する前に、図5を参照しながら、1つの液体噴霧部20から液体が噴霧される状態について説明を行い、その後、これが複数の液体噴霧部20を用いて行われたときにどのような液体の噴霧状態になるのかについて説明を行う。
なお、図5では、1つの液体噴霧部20だけを図示した断面図になっており、この液体噴霧部20(液体ノズル22)の両サイドに配置されている近接電極40についての図示を省略しているが、実際には、図2に示すように、近接電極40が配置されている。
上述した近接電極40は、電圧が印加されることで被塗物60を基準電位としたときに第1電位となるようにされており、また、液体噴霧部20(心棒23)は、電圧が印加されることで被塗物60を基準電位としたときに第2電位となるようにされており、この第1電位と第2電位とが異なる電位になるようにされている。
つまり、電圧印加手段50及び抵抗51(可変抵抗)によって近接電極40と液体噴霧部20との間に第1電位と第2電位との間の電位差を生じる電圧が印加される構成となっている。
そして、胴体部21の液体供給口21aに供給された液体は、液体ノズル22の先端側に供給されていき、第1電位と第2電位との間の電位差に伴う静電気力によって、前方側に引っ張られて前方に離脱・霧化する。
つまり、電圧印加手段50及び抵抗51(可変抵抗)によって近接電極40と液体噴霧部20との間に電圧を印加し、液体を帯電状態で液体噴霧部20の先端(液体ノズル22の先端)から離脱させる静電気力を発生させる電圧印加手段が構成されている。
本実施形態では、抵抗51(可変抵抗)は、その抵抗を可変調節することで近接電極40の第1電位を調節することができるので、この調節によって近接電極40の第1電位と液体噴霧部20の第2電位との間の電位差を調節することができ、噴霧する塗料などの液体の種類などに応じて、適切な静電気力を発生させることができるようになっている。
なお、液体の供給は、噴霧により消費されることで液体噴霧部20から失われる分の液体が順次供給されていれば良く、液体ノズル22の開口部22b(より正確には、開口部22bと心棒23との間の隙間)から液体が噴射するような圧力で圧送供給される必要はなく、液体が勢いよく噴射される状態の場合、かえって霧化ができなくなるようなことが起こる。
より具体的には、心棒23の先端面23d及び液体ノズル22の先端外周縁22aへの表面張力や粘度による付着力に対して、液体を前方に引っ張る静電気力が釣り合うことで、図5に示すように、液体ノズル22の先端側に供給された液体が、その先端で円錐形の形状となるテーラコーン80が形成される。
このテーラコーン80は、電場の作用によって、液体中で正/負電荷の分離が起こり、過剰電荷で帯電した液体ノズル22先端のメニスカスが変形して円錐状となって形成されているものである。
そして、テーラコーン80の先端から静電気力によって、液体が静電気力の引っ張り方向に真直ぐに引っ張られ、その後静電爆発によって広い範囲に液体が噴霧される。
この噴霧される液体、つまり、液体ノズル22から離脱して液体粒子となった液体は、離脱前の状態に比べ、空気に触れる面積が飛躍的に大きくなるため溶媒の気化が促進され、その溶媒の気化に伴って帯電している電子間の距離が近づき、静電反発(静電爆発)が発生して、さらに、小さい粒径の液体粒子に分裂する。
この分裂が起こると、さらに、分裂前に比べ空気に触れる表面積が増えることになるため、溶媒の気化が促進され、上述したのと同様に静電爆発が発生し、さらに、小さい粒径の液体粒子に分裂する。
このような静電爆発が繰り返されることで液体が霧化される。
ここで、本実施形態では、液体ノズル22内に心棒23を設けるようにしている。
仮に、従来の静電噴霧装置のように、この心棒23を設けないものとすると、液体が付着できる部分は、液体ノズル22の先端外周縁22aだけとなる。
そして、このような状態で液体ノズル22の開口部22bの開口直径を大きくすると、液体の付着できる部分が、液体ノズル22の先端外周縁22aだけのため、例えば、液体ノズル22の上下左右に液体がふらついたりし易く、きれいなテーラコーン80が形成できなくなったり、また、テーラコーン80自体が維持できなくなるため、液体ノズル22から離脱する液体粒子の安定性(粒子の大きさ、数、及び、帯電状態などの安定性)が得られなくなり、結果、液体の安定した霧化ができなくなるものと推察される。
一方、本実施形態では、液体ノズル22内に心棒23を配置して、液体ノズル22の先端外周縁22aだけでなく、心棒23の先端面23dとの間でも液体は付着する。
したがって、液体ノズル22の開口部22bの開口直径が大きくても、開口部22bの中央部に液体が付着できる心棒23の先端面23dが存在するため、安定したテーラコーン80を形成することができ、液体の安定した霧化ができるようになっているものと考えられる。
なお、心棒23の先端面23dが液体ノズル22の先端外周縁22a(つまり、液体ノズル22の開口部22bの先端面)から前方に出過ぎると液体ノズル22から出る液体に電場が作用し難くなり、一方、心棒23の先端面23dが液体ノズル22の開口部22bの先端面から後方に引っ込み過ぎると、開口部22bの中央部に液体が付着できる部分が存在しないのと同じ状態となる。
このことから、心棒23の先端面23dの位置は、液体を噴霧する状態において、液体ノズル22の開口部22bの先端面を基準にして、心棒23の中心軸に沿った前後方向で、液体ノズル22の先端の開口部22bの開口直径の10倍以内に位置することが好適であり、より好ましくは5倍以内に位置することが好適であり、さらに、好ましくは3倍以内に位置することが好適である。
例えば、本実施形態では、液体ノズル22の開口部22bの開口直径が0.2mmであり、静電気力を考慮しない場合、液体ノズル22の開口部22bから出た液体は、液体ノズル22の先端で直径が約0.2mmの半球状となるように出てくる。
そして、この液体ノズル22の先端に出てきた液体に電場(静電気力)が作用して円錐状のテーラコーン80が形成できるように、心棒23の先端は、この液体の近くに存在することが良く、このため液体ノズル22の開口部22bの先端面から前方(出る方向)に2mm以内に位置するようにするのが好適であり、一方、液体の付着に作用するように、心棒23の先端が液体ノズル22の開口部22bの先端面から後方(引っ込む方向)に2mm以内に位置するようにするのが好適である。
上記のように、心棒23を設けることによって、液体ノズル22の開口部22bの開口直径を大きくしても安定した液体の霧化が行える。
このため、液体ノズル22の開口部22bの開口直径を目詰まりが抑制できるような大きな開口直径にすることができる。
また、液体ノズル22の開口部22bの開口直径を大きくできるため機械加工で液体ノズル22が製作できる。
なお、本実施形態では、心棒23の先端が先端面23dとして平坦な平面としている場合を示しているが、必ずしも、心棒23の先端が平坦な平面である必要はなく、安定したテーラコーン80の形成に寄与すれば良いので、例えば、心棒23の先端はR形状のように、前方側に向かって突出する曲面になっていても良い。
次に、複数の液体噴霧部20から液体が噴霧されるときの状態について説明を行う。
図6は、塗料などの液体が塗布される側から近接電極40側を見たときの正面図である。
なお、図6では、近接電極40と液体噴霧部20の先端(液体ノズル22の先端)だけを模式的に示したものになっている。
説明の簡略化のために、3つの液体噴霧部20の先端を、単に、液体噴霧部22A、22B、22Cと記載して区別し、また、3つの近接電極40も近接電極40a、40b、40cとして区別して記載する場合がある。
但し、区別することなく、3つの液体噴霧部20をまとめて指す場合や3つの近接電極40をまとめて指す場合には、液体噴霧部20や近接電極40との表現を用いる。
図6に示すように、液体噴霧部22A、22B、22Cは、一点鎖線で示す正三角形の頂点に位置するように配置、つまり、複数の液体噴霧部20は、正多角形に配置されている。
また、各々の近接電極40a、40b、40cは、2つの液体噴霧部20の間に配置されている。
より具体的には、近接電極40aは液体噴霧部22Aと液体噴霧部22Cとの間のほぼ中間位置に配置され、近接電極40bは液体噴霧部22Aと液体噴霧部22Bとの間のほぼ中間位置に配置され、近接電極40cは液体噴霧部22Bと液体噴霧部22Cとの間のほぼ中間位置に配置されている。
本実施形態では、図2に示すように、近接電極40の液体噴霧方向に沿った前後方向の位置は、液体噴霧部20の先端(液体ノズル22の先端)の少し前方に位置するようにしている。
図6に戻って説明を続けると、このような液体噴霧部20と近接電極40の配置とすると、液体噴霧部22Aの先端からの液体の脱離・霧化に主に寄与する近接電極40は近接電極40aと近接電極40bであり、液体噴霧部22Bの先端からの液体の脱離・霧化に主に寄与する近接電極40は近接電極40bと近接電極40cであり、液体噴霧部22Cの先端からの液体の脱離・霧化に主に寄与する近接電極40は近接電極40cと近接電極40aになっている。
ここで、従来技術のように、横並びに液体噴霧部20を3つ以上並べるように配置したところ、外側に配置される2つの液体噴霧部20は良好な霧化液体の噴霧ができても、中央側に配置される液体噴霧部20が良好な霧化液体の噴霧が行えない(微粒子径や噴霧量が安定しない、若しくは、噴霧自体ができない)場合があった。
また、逆に中央側の液体噴霧部20は良好な霧化液体の噴霧ができても、外側(両サイド)の液体噴霧部20が良好な霧化液体の噴霧が行えない(微粒子径や噴霧量が安定しない、若しくは、噴霧自体ができない)場合があった。
そして、このような霧化状態が不安定な液体噴霧部20が存在すると、被塗物に対する塗料などの液体の塗布状態は、ムラや荒れのある状態となり、良好な塗布状態とすることができない。
そこで、鋭意検討した結果、上述のように液体噴霧部20を正多角形に配置し、その液体噴霧部20同士の間に近接電極40を配置する構成に至った。
このような構成とすると、図6を見るとわかるように、各液体噴霧部22A、22B及び22Cに対する近接電極40a、40b及び40cの位置関係も同じ状態となり、各液体噴霧部22A、22B及び22Cは、略同じ電場の状態に置かれるようにできる。
このため、従来技術のように、横並びに液体噴霧部20を並べるような場合と異なり、液体噴霧部22A、22B及び22Cのいずれかが他の液体噴霧部と異なる電場の状態に置かれ、塗料などの液体の噴霧が不安定になることがなく、全ての液体噴霧部20が安定した霧化液体の噴霧を行うことができるようになる。
そして、液体噴霧部22A、22B及び22Cの外側に近接電極40が配置されていないことで、液体噴霧部22A、22B及び22Cから噴霧される液体は、直進方向に向かうのではなく、近接電極40a、40b及び40c側に引かれるように、隣接する液体噴霧部側に寄るように前方に噴霧されるので隣接する液体噴霧部から噴霧される液体同士が混ざるように噴霧される。
例えば、液体噴霧部22Aから噴霧される液体は、液体噴霧部22B、22Cの噴霧する液体と混ざるように噴霧される。
したがって、被塗物60に到達する過程で各液体噴霧部20から噴霧された液体は混合噴霧状態となり、被塗物60上での液体の塗布状態が、3つの液体噴霧部がサポートする広い範囲で一体になった液体の塗布状態となる。
なお、本実施形態では、3つの液体噴霧部20の場合を示しているが、液体噴霧部20の数は、3つに限定される必要はない。
4つの液体噴霧部20を用いる場合は、液体噴霧部20を正四角形に配置するようにし、隣接する液体噴霧部20の間に近接電極40が配置されるようにすればよい。
このように、液体噴霧部20を正多角形(例えば、正五角形、正六角形、正七角形・・・)に配置し、隣接する液体噴霧部20の間に近接電極40が配置されるようにすれば、全ての液体噴霧部20を略同じ電場の状態に置くことができ、液体噴霧部20の数を飛躍的に多く設けるようにしても、全ての液体噴霧部20の安定した噴霧状態が保てるとともに、それら液体噴霧部20のそれぞれのサポートする噴霧範囲が繋がって一体となった広い範囲の液体の噴霧状態が実現できる。
本実施形態では、個別の液体噴霧部20をホルダ30に取付けることで3つの液体噴霧部20を一体にまとめるようにした場合を示したが、このように構成されるものに限定されるものではない。
例えば、上述した胴体部21(図3参照)を、3つの液体ノズル22で共通の1つの胴体部として構成し、1つの胴体部に3つの液体ノズル22が液体噴霧部として正三角形に配置されたものとしても良い。
この場合、3つの液体ノズル22が液体噴霧部として正三角形に配置される胴体部の中央に、図2に示した近接電極取付部31と同様の構造を設け、胴体部自体を液体噴霧部20と近接電極40とを保持するホルダとすれば良い。
ところで、例えば、3つの液体噴霧部20の配置される正三角形が大きい、つまり、3つの液体噴霧部20が離れて配置される場合に、3つの液体噴霧部20の中央となる部分で噴霧される液体が混ざらずに、被塗物60上での液体の塗布状態として塗布範囲の中央に液体の塗りムラができる場合がある。
このような場合には、図7に示すように、近接電極40a、40b及び40cに加え、複数の液体噴霧部22A、22B、22Cで囲われる領域の中央側にも近接電極43a、43b及び43cが設けられたものとして、中央側にも噴霧される液体が広がり易くすれば、上述のような塗りムラを抑制することができる。
より具体的には、各液体噴霧部22A、22B、22Cで囲われる領域の中央と各液体噴霧部22A、22B、22Cとを結ぶ直線上に交わるように配置された近接電極43a、43b及び43cが設けられたものになっている。
但し、図7では、各液体噴霧部22A、22B、22Cで囲われる領域の中央と各液体噴霧部22A、22B、22Cとを結ぶ直線上にほぼ直交するように近接電極43a、43b及び43cが配置されているが、このように直交しなければならないわけではない。
なお、図7に示すような近接電極40の場合には、図8に示すようにホルダ30の近接電極取付部31に近接電極取付用スペーサ32を設け、近接電極取付用スペーサ32を介して近接電極40が近接電極取付部31に保持されるようにすれば良い。
また、上記では、近接電極40となる部分(近接電極40a、40b、40c、43a、43b及び43c)を棒状の電極として構成した場合を示してきたが近接電極40は棒状の構造体として形成することに限定されるものではない。
例えば、上述したように、3つの液体噴霧部20の配置される正三角形が大きい場合には、隣接する液体噴霧部22A、22B、22C同士の間に配置される近接電極40a、40b、40cも液体噴霧部22A、22B、22Cから離れることになるので、このような場合には、例えば、図9に示すように、一枚の板状のプレートを加工して、近接電極40a、40b、40c、43a、43b及び43cを少し幅広の薄い板状のものとして形成すれば良い。
なお、上述した棒状の近接電極40と同様のサイズの近接電極を薄い板状のものとして形成しても問題ないことは言うまでもない。
図9に示す近接電極40には、ホルダ30に固定するときにネジを通すためのネジ孔として3つの孔44を設けており、ホルダ30に、この孔44に対応するように、上述した近接電極取付部31と同様の構造の近接電極取付部を3つ設ければ、ホルダ30に取付けられるようにしているが、図9に示す板状の近接電極40をホルダ30に取付けるのに、3つの近接電極取付部31を設けるようにすることに限定されるものではない。
例えば、中央に大きな円形開口を設ける必要はなく、したがって、この中央の部分の円形開口を近接電極取付部31に取付けるためのネジを通すための大きさの孔にして3つの孔44を省略するようにしても良い。
しかしながら、近接電極40の厚みが薄い場合は、複数個所で取付けられる方が近接電極40の取付け安定性が高くなるので、薄い板状の場合、複数の近接電極取付部31を設けて近接電極40をホルダ30に取付けるのが好ましい。
ところで、図9に示す近接電極40のようにした場合、理由は定かではないが、斜線で示す部分45のところに噴霧される液体が付着する現象が見られた。
一方、棒状の近接電極40(近接電極40a、40b、及び、40c)のように、近接電極40a、40b、及び、40cの幅が広くない場合には、そのような液体の付着が発生しなかった。
このことから、液体の付着の観点からすると、液体噴霧部20同士の間に配置される近接電極40(近接電極40a、40b、及び、40c)は、幅が小さいことが好適である。
より具体的には、近接電極40(近接電極40a、40b、及び、40c)に隣接する液体噴霧部20の先端同士を直線で結んだときの長さ(図9に一点鎖線で示す正三角形の一辺の長さ)の半分の長さよりも小さい幅であるようにすることが好適である。
このようにすることで近接電極40に液体が付着することを抑制することができる。
上述のように、近接電極40(近接電極40a、40b、及び、40c)の幅を小さくすることで液体の付着が抑制できる理由については、明らかではないが、液体噴霧部20と近接電極40(近接電極40a、40b、及び、40c)との間に隙間ができることで、液体が噴霧される流れに沿って空気が引っ張られることで液体の噴霧方向に向かう緩やかな空気の流れが生じ、この空気の流れが近接電極40(近接電極40a、40b、及び、40c)に液体が付着することを抑制しているのではないかと推定している。
言いかえれば、液体噴霧部20と近接電極40(近接電極40a、40b、及び、40c)との間に隙間が少ない図9に示すような場合、この液体の噴霧方向に向かう空気の流れの一部が近接電極40側に戻る対流になるなどしてスムーズに液体の噴霧方向に流れていないのではないかと推察している。
[複数の液体噴霧部の流量調整]
以上、具体的な本発明に係る第1実施形態の静電噴霧装置10の全体概要について説明したので、以下では、このような静電噴霧装置10における各液体噴霧部20から噴霧される液体の噴霧量の調整方法について詳細に説明する。
図10は、図1、図2及び図6に示した静電噴霧装置10において、3つの液体噴霧部20、つまり、図6の各液体噴霧部22A、22B、22Cからの液体の噴霧量の調整を行う前の状態で平らな被塗物60に液体を噴霧・塗着させた場合を示す図である。
図10(a)は、図1及び図2に示すネジ41を外して近接電極40を取外して近接電極40が液体の噴霧に寄与しない状態にした後に、平らな被塗物60と液体噴霧部20との間に電圧を印加して被塗物60に液体を噴霧・塗着させた場合を示す図である。
この場合、噴霧される液体が混合噴霧の状態となるように誘導する近接電極40の働きがないため、各液体噴霧部22A、22B、22Cから噴霧される液体は、被塗物60側に真直ぐ噴霧されることとなり、被塗物60上で各液体噴霧部22A、22B、22Cから噴霧された液体の塗着状態を見ることができる。
より具体的には、図10(a)では、図6に示した液体噴霧部22A、22B、22Cの配置状態を示す正三角形を一点鎖線で示しており、液体噴霧部22A、22B、22Cの中心を基準に3つの液体の塗着状態90A、90B、90Cが確認出来る。
図10(a)の90Aは、図6の液体噴霧部22Aが噴霧した液体が塗着した部分であり、図10(a)の90Bは、図6の液体噴霧部22Bが噴霧した液体が塗着した部分であり、図10(a)の90Cは、図6の液体噴霧部22Cが噴霧した液体が塗着した部分である。
図10(b)は、このような塗着状態90A、90B、90Cの状態で近接電極40を取付けて、別の平らな被塗物60に、再度、液体の噴霧・塗着を行った状態を示す図である。
図10(b)に示すように、近接電極40が取付けられることで、各液体噴霧部22A、22B、22Cから噴霧される液体は、被塗物60に到達するまでの間に混合され、混合噴霧状態として被塗物60に塗着するが、各液体噴霧部22A、22B、22Cからの液体噴霧量の差に伴って、全体として歪な塗着状態となる。
このような状態であると、例えば、塗料などの液体を被塗物60に塗着させ塗装をするような場合に、所定の範囲に塗装する作業が行い難く、また、塗装ムラも発生しやすい。
さらに、混合噴霧されている液体の濃度ムラも発生しやすいことから良好な塗装が行えないという問題がある。
そこで、図10(a)に示したような試し吹きを行い、各液体噴霧部22A、22B、22Cの状態を確認した後に、これら液体噴霧部22A、22B、22Cから噴霧される液体によって、被塗物60上での液体の塗着状態90A、90B、90Cがほぼ等しくなるように各液体噴霧部22A、22B、22Cの液体の噴霧量を調整する。
より具体的に図10(a)を参照しながら説明すると、例えば、基準とする液体噴霧部20を液体噴霧部22Aとすると、液体噴霧部22Aが噴霧した液体の塗着状態90Aよりも液体の塗着状態90Cの方が大きい。
このことから、塗着状態90Cの液体を噴霧した液体噴霧部22Cの液体の噴霧量を少なくするように噴霧量を調整する。
図3及び図4を参照して説明したように、本実施形態の液体噴霧部20は、摘み部23aの螺合量を調節することで心棒23を前後方向に移動させ、液体の噴霧量の調整ができるので、液体噴霧部22Cの摘み部23aを回転させて、液体噴霧部22Cの噴霧量が少なくなるように調整する。
同様に、図10(a)を見ると、塗着状態90Aよりも塗着状態90Bの方が小さいので、塗着状態90Bの液体を噴霧した液体噴霧部22Bの液体の噴霧量を多くするように、液体噴霧部22Bの摘み部23aを回転させて、液体噴霧部22Bの噴霧量が多くなるように調整する。
図11は、このようにして液体の噴霧量を調整した後の状態を示す図であり、図11(a)は近接電極40を取外した状態で被塗物60に液体を噴霧・塗着した場合を示す図であり、図11(b)は近接電極40を取付けた状態で被塗物60に液体を噴霧・塗着させた場合を示す図である。
図11(a)に示すように、各液体噴霧部22A、22B、22Cの液体の被塗物60上での液体の塗着状態90A、90B、90Cがほぼ等しくなるように、各液体噴霧部22A、22B、22Cの噴霧量を調整することで、図11(b)に示すように、塗着状態の歪さが解消されるようになる。
したがって、複数の液体噴霧部20と液体噴霧部20から噴霧される液体を混合するように液体噴霧部20の先端の近隣に配置される近接電極40との間に電圧を印加して発生する静電気力によって液体を帯電状態で液体噴霧部20の先端から離脱させて液体を混合噴霧する静電噴霧装置10の場合、その静電噴霧装置10の流量調整方法は、以下のステップを行うことで実施できる。
先ず、被塗物60と液体噴霧部20との間に電圧を印加して静電気力を発生させて液体を被塗物60に塗着させるときに、少なくとも混合噴霧の状態とならない程度にしか、近接電極40が液体の噴霧に寄与しない状態とするステップを実施する。
具体的には、本実施形態においては、近接電極40を取外し、近接電極40が液体の噴霧に全く寄与しない状態としている。
次に、被塗物60の液体を塗着させる部分が液体噴霧部20の先端からほぼ一定の距離離れる位置に位置するように被塗物60を配置するステップを実施する。
本実施形態では、各液体噴霧部20の前後方向の位置が同じであるので、それぞれの液体噴霧部20の先端から噴霧される液体を十分に受けることができる表面積を有する平らな被塗物60としている。
そして、静電噴霧装置10から所定の距離離れた位置に被塗物60が位置するように配置するようにして、それぞれの液体噴霧部20の先端からほぼ一定の距離離れた位置に、それぞれの液体噴霧部20に対応した被塗物60の液体を塗着させる部分が位置するように被塗物60が配置されているようにしている。
なお、ここでは、被塗物60を配置するステップを近接電極40が液体の噴霧に寄与しない状態とするステップの後に行う場合で説明しているが、先に、被塗物60を配置するステップを行っても良いことは言うまでもない。
その後、被塗物60と液体噴霧部20との間に電圧を印加して液体を被塗物60に塗着させるようにすれば、図10(a)に示したように、被塗物60上での液体の塗着状態が確認出来るので、その塗着状態に応じて液体噴霧部20の液体の噴霧量を調整するステップを実施する。
より具体的には、各液体噴霧部20の被塗物60上での液体の塗着状態(塗着範囲の大きさなど)をほぼ等しくするように噴霧量を調整するステップを行う。
なお、噴霧量を調整するステップを何度も繰り返して噴霧量の調整を行って良いことは言うまでもなく、繰り返し噴霧量の調整を行うときに、前に噴霧した液体の塗着によって、次に塗着を行っても塗着状態がわからないと思われるときには、当然、再び、被塗物60を配置するステップを行って、新しい被塗物60に交換して噴霧量を調整するステップを実施するようにしても良い。
上記のようにして、各液体噴霧部20による液体の塗着状態がほぼ等しくされると、図11(b)に示したように、塗着状態の歪さが解消されるので、塗料などの液体を被塗物60に塗着させ塗装をするような場合に、所定の範囲に塗装する作業が行い易く、また、塗装ムラを起き難くすることができる。
また、混合噴霧されている液体の濃度ムラも低減されるため良好な塗装が行えるようになる。
本実施形態では、上述のように、塗着状態90A、90B、90Cを見ながら各液体噴霧部22A、22B、22Cの液体の噴霧量を調整するだけのため、極めて簡易に実施することができる。
そして、このような簡易な方法であっても、各液体噴霧部22A、22B、22Cの液体の塗着状態90A、90B、90Cがほぼ等しくなる程度まで、各液体噴霧部22A、22B、22Cの液体の噴霧量を調整してやれば、噴霧される液体が混合される過程で平均化されるため、十分に良好な塗装を行うことができる。
なお、本実施形態では、3つの液体噴霧部20を正三角形に配置しているが、液体噴霧部20の数をされに増やして正四角形や正五角形に配置するようにしていくことで、混合噴霧の状態(混合噴霧パターン)をより円形に近づけることができる。
また、3つの液体噴霧部20を正三角形に配置している場合でも、各液体噴霧部22A、22B、22Cの噴霧範囲が大きくなるように噴霧量を増やすことで、より混合噴霧パターンをより円形に近づけることができる。
ところで、上述のように、本実施形態では、各液体噴霧部22A、22B、22Cの噴霧量の調整を行うときに、近接電極40を取外す必要がある。
そして、近接電極40には、電圧が印加されるので近接電極40を取外している間も電圧が印加されると、取扱い上不便である。
そこで、図1に示した構成において、抵抗51と近接電極40との間を電気的に接続する電気配線に近接電極40への電圧の印加を停止する印加停止手段を設けるようにするのが好適である。
具体的には、図12に示すように、抵抗51と近接電極40との間を電気的に接続する電気配線に印加停止手段として電気スイッチ91を設けるようにしても良く、また、図13に示すように、電気コネクタ92を設けるようにしても良い。
しかしながら、本実施形態では、近接電極40を取外すので、再び、近接電極40を取付けるまでの間、近接電極40が邪魔にならないように、完全に静電噴霧装置10から外してしまうのが良いと思われるため、図13に示す電気コネクタ92を設けるようにする方が好適と考えられる。
上記では、十分な表面積を持った被塗物60を用いて、一度に全ての液体噴霧部20が噴霧する液体の塗着状態が見れるようにした場合について説明してきたが、上述の被塗物60を配置するステップで用いる被塗物60のサイズを1つの液体噴霧部20の噴霧する液体に対応するだけのような小さな被塗物として個別または、複数個の組合わせごとに液体噴霧部20を調整するようにしても良い。
例えば個別に調整する場合として、図10(a)を参照してより具体的に説明すれば、被塗物60を図10(a)中に二点鎖線で示すような小さいサイズの被塗物60aとして、上述の被塗物60を配置するステップを、1つの液体噴霧部22A(図示せず)から噴霧される液体だけが塗着する位置(被塗物60aの位置)であって、且つ、液体を塗着させることができる液体噴霧部22Aの先端からほぼ一定の距離離れた位置に、被塗物60aの液体を塗着させる部分(塗着状態90Aとなる部分)が位置するように被塗物60aを配置するステップとして、実施するようにする。
そして、この被塗物60aを配置するステップと、その被塗物60aに液体を塗着させてその塗着状態90Aが所定の状態となるように噴霧量を調整するステップとを、実施することで、液体噴霧部22Aの噴霧量の調整を行う。
液体噴霧部22Aの噴霧量の調整が終れば、液体噴霧部22Aと同様の手順に従って、液体噴霧部22Bや液体噴霧部22Cの噴霧量の調整を行う。
つまり、それぞれの液体噴霧部20に対して、被塗物60aを配置するステップと、噴霧量を調整するステップとを、行う。
このようにしても、各液体噴霧部20による被塗物に対する液体の塗着状態をほぼ等しくすることができる。
(第2実施形態)
図14は、図2に対応する図であり、本発明に係る第2実施形態の液体噴霧部周辺を拡大した拡大斜視図である。
第1実施形態と異なる点は、図2で示した近接電極取付部31の部分が、外周に雄ネジ構造の螺合溝を設けた近接電極取付部31aとされ、近接電極40の固定を2つの六角ボルト41a、41bで挟んで共締めすることで行っている点であり、その他は、第1実施形態と同様である。
このようにすると、六角ボルト41bを回転させて後方に移動させることで、近接電極40を液体噴霧部20の先端の近隣から離れるように後方に移動させることができる。
このため、第1実施形態で説明した各液体噴霧部20の液体の噴霧量の調整を行うときには、近接電極40を取外すのではなく、近接電極40を液体噴霧部20の先端の近隣から離れるように後方に移動させることで混合噴霧の状態にならないようにして行うことができる。
つまり、第1実施形態の近接電極40を取外すことで実施していた近接電極40が液体の噴霧に寄与しない状態とするステップを、近接電極40を液体噴霧部20の先端の近隣から離れるように後方に移動させるステップとして実施することができる。
このようにすれば、近接電極40を取外す必要がないので、取外した近接電極40をどこかに置き忘れることや近接電極40を引っ張って電気配線が切断されるようなことを回避することができる。
但し、この方法でも、各液体噴霧部22A、22B、22Cの液体の塗着状態が離間して確認できるように、被塗物60に噴霧・塗布できるものの、幾分、近接電極40が液体の噴霧状態に作用して、きれいな円形パターンとならない場合がある。
この状態でも、塗布される液体の塗着状態がほぼ同じ程度の範囲となっているようにすれば問題はないが、第1実施形態の場合の方がより明確に違いが把握できるので噴霧量の調整のし易さという観点からすれば、第1実施形態の方が好適と言える。
ところで、近接電極40に電圧を印加しないようにすることで、近接電極40の噴霧への影響を軽減することが可能である。
このため、第2実施形態においても、第1実施形態で図12及び図13を用いて説明した抵抗51と近接電極40との間を電気的に接続する電気配線に近接電極40への電圧の印加を停止する印加停止手段(電気スイッチ91や電気コネクタ92)を設け、噴霧量の調整のときに、近接電極40への電圧の印加を停止するようにして、近接電極40の液体の噴霧状態に対する影響を軽減するようにするのがより好適である。
本実施形態では、近接電極40を取外す必要がないので印加停止手段としては電気コネクタ92よりも電気スイッチ91の方が使い勝手が良く好適であると考えられる。
(第3実施形態)
第3実施形態は、既に図12及び図13で説明した構成において、近接電極40を取外すことなく、印加停止手段(電気スイッチ91や電気コネクタ92)で近接電極40への電圧の印加を停止して混合噴霧の状態にならないようにして上述した各液体噴霧部22A、22B、22Cの噴霧量の調整を行うものである。
このようにすれば、近接電極40の取外しの手間や移動の手間を必要とせず、噴霧量の調整を行うことができる。
つまり、第1実施形態の近接電極40を取外すことで実施していた近接電極40が液体の噴霧に寄与しない状態とするステップを、近接電極40への電圧の印加を停止するステップとして実施することができる。
但し、近接電極40自体が導電材料などで形成されており、そのような物質が各液体噴霧部22A、22B、22Cの先端の近隣に配置されていると、噴霧量の調整のために、被塗物60と各液体噴霧部22A、22B、22Cとの間に電圧を印加して発生させる電場に対して作用する。
このため、各液体噴霧部22A、22B、22Cの液体の塗着状態が離間して確認できるように、被塗物60に噴霧・塗布することができるものの、きれいな円形パターンとならない場合がある。
このことから、第1実施形態の場合の方がより明確に違いが把握できるので噴霧量の調整のし易さという観点からすれば、第1実施形態の方が好適と言える。
以上、静電噴霧装置10が複数の液体噴霧部20から噴霧される液体を混合噴霧するものである場合について、具体的な実施形態に基づいて、詳細な説明を行ってきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形や改良を実施しても良い。
例えば、図7に示した近接電極40において、棒状の各近接電極40a、40b及び40cの機械的強度を補強するために、図15に示すように、棒状の各近接電極40a、40b及び40cの先端を繋いだ補強部47a、47b及び47cを設けるような形状としても良い。
この場合、この補強部47a、47b及び47cが近接電極40(近接電極40a、40b、40c、43a、43b及び43c)と同様に、液体噴霧部22A、22B及び22Cに作用しないようにするために、液体噴霧部22A、22B及び22Cと補強部47a、47b及び47cとの距離を取るようにする必要がある。
つまり、補強部47a、47b及び47cが近接電極40と同様の働きをするようにしてしまうと、液体噴霧部22A、22B及び22Cから噴霧される液体が、主に真直ぐ前方に噴霧されるようになり、左右の他の液体噴霧部が噴霧する液体と混ざる方向に向かわないようになる。
このため、補強部47a、47b及び47cは、基本的に近接電極40としての役目をほとんど果さないように液体噴霧部22A、22B及び22Cから離して設けられる必要がある。
具体的に、液体噴霧部22Aを代表して説明すると液体噴霧部22Aと補強部47aとの間の一番近い離間距離Xが、液体噴霧部22Aと近接電極43aとの間の一番近い離間距離Yよりも長い距離となるようにする。
なお、第1実施形態のように、近接電極43aが無いような場合は、液体噴霧部22Aと近接電極40a及び40bとの間の一番近い離間距離よりも液体噴霧部22Aと補強部47aとの間の一番近い離間距離Xが長い距離になるようにする。
また、このような補強部は、棒状の近接電極の場合に限らず、図9に示すプレート状の近接電極の場合にも適用して良い。
この場合も、この補強部が近接電極40(近接電極40a、40b、40c、43a、43b及び43c)と同様に、液体噴霧部22A、22B及び22Cに作用しないように、液体噴霧部22A、22B及び22Cから距離を取るようにする。
さらに、上記本実施形態では、抵抗51として可変抵抗を用いているが、この可変抵抗の部分を2つの固定抵抗を直列接続し、その固定抵抗の間から近接電極40への電気配線を取るようにしても良い。
但し、このようにすると近接電極40の電位(第1電位)を調節するために、固定抵抗を取り替える必要が出てくるので可変抵抗で構成することが好適である。
このように、本発明に係る複数の液体噴霧部20から噴霧される液体を混合噴霧する静電噴霧装置10は、具体的な実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形や改良を施しても良い。
(第4実施形態)
上記第1〜3実施形態では、静電噴霧装置10が液体を混合噴霧する構成である場合の静電噴霧装置10の流量調整方法について説明してきたが、上記で説明した流量調整方法の基本的な概念は、複数の液体噴霧部20を用いて混合噴霧しないように噴霧する静電噴霧装置10の場合にも有効であり、以下では、複数の液体噴霧部20を用いて混合噴霧しないように噴霧する静電噴霧装置10の場合における流量調整方法について説明する。
図16は、本発明に係る第4実施形態の静電噴霧装置10の全体構成を示す断面図であり、図1に対応する図になっている。
また、図17は、静電噴霧装置10の液体噴霧部20周辺を拡大した拡大斜視図であり、図2に対応する図になっている。
第4実施形態の静電噴霧装置10は、上述の通り、液体を混合噴霧することを目的とする静電噴霧装置ではないため、第4実施形態は、第1実施形態と比較して、第1実施形態の図1及び図2と第4実施形態の図16及び図17とを見比べればわかるように、第1実施形態の近接電極40に関連する構成部分を有していない点が異なり、それ以外については第1実施形態と同様である。
したがって、第4実施形態の静電噴霧装置10は、第1実施形態の複数の液体噴霧部20から噴霧される液体を混合するように液体噴霧部20の先端の近隣に配置される近接電極40を取り外した状態と同じ状態にあるので、この静電噴霧装置10による液体の噴霧による被塗物60への液体の塗着状態は、初めから、図10(a)に示したのと同様の状態になる。
したがって、第4実施形態の静電噴霧装置10における流量調整方法は、第1実施形態の流量調整方法から近接電極40が液体の噴霧に寄与しない状態とするステップを省略したものとして実施することができる。
このため、第1実施形態の被塗物60を配置するステップと同様の被塗物60の液体を塗着させる部分が液体噴霧部20の先端からほぼ一定の距離離れる位置に位置するように被塗物60を配置するステップを初めに実施する。
本実施形態でも、各液体噴霧部20の前後方向の位置が同じであるので、それぞれの液体噴霧部20の先端から噴霧される液体を十分に受けることができる表面積を有する平らな被塗物60として良い。
そして、静電噴霧装置10から所定の距離離れた位置に被塗物60が位置するように配置するようにして、それぞれの液体噴霧部20の先端からほぼ一定の距離離れた位置に、それぞれの液体噴霧部20に対応した被塗物60の液体を塗着させる部分が位置するように被塗物60が配置されるようにする。
その後、第1実施形態と同様に、被塗物60と液体噴霧部20との間に電圧を印加して液体を被塗物60に塗着させるようにすれば、図10(a)に示したのと同様に、被塗物60上での液体の塗着状態が確認出来るので、その塗着状態に応じて液体噴霧部20の液体の噴霧量を調整するステップを実施する。
より具体的には、各液体噴霧部20の被塗物60上での液体の塗着状態(塗着範囲の大きさなど)をほぼ等しくするように噴霧量を調整するステップを行う。
なお、本実施形態でも、噴霧量を調整するステップを何度も繰り返して噴霧量の調整を行って良いことは言うまでもなく、繰り返し噴霧量の調整を行うときに、前に噴霧した液体の塗着によって、次に塗着を行っても塗着状態がわからないと思われるときには、当然、再び、被塗物60を配置するステップを行って、新しい被塗物60に交換して噴霧量を調整するステップを実施するようにしても良い。
さらに、上記のように、十分な表面積を持った被塗物60を用いて、一度に全ての液体噴霧部20が噴霧する液体の塗着状態が見れるようにすることに限定されるものでない点についても、第1実施形態と同様である。
つまり、上述の被塗物60を配置するステップで用いる被塗物60のサイズを1つの液体噴霧部20の噴霧する液体に対応するだけのような小さな被塗物として個別または複数個の組合せごとに液体噴霧部20の流量を調整するようにしても良い。
具体的には、第1実施形態で図10(a)を参照して説明した通りである。
第1実施形態で説明用に付加した液体噴霧部20の番号22A、22B、22C等をそのまま用いて、再度、説明すると、本実施形態においても、図10(a)に示すように、被塗物60を小さい被塗物60aのようなサイズのものとして、上述の被塗物60を配置するステップを、1つの液体噴霧部22A(図示せず)から噴霧される液体だけが塗着する位置(被塗物60aの位置)であって、且つ、液体を塗着させることができる液体噴霧部22Aの先端からほぼ一定の距離離れた位置に、被塗物60aの液体を塗着させる部分(塗着状態90Aとなる部分)が位置するように被塗物60aを配置するステップとして、この被塗物60aを配置するステップを実施する。
その被塗物60aを配置するステップと、被塗物60aに液体を塗着させて噴霧量を調整するステップとを、それぞれの液体噴霧部20に対して行うようにして、それぞれの液体噴霧部20による塗着状態がほぼ等しくなるように、個別または複数個の組合せごとに液体噴霧部20の流量調整を行う。
このようにして流量調整を行なえば、図11(a)に示したのと同様に、各液体噴霧部20の被塗物60への液体の塗着状態がほぼ等しくなり、各液体噴霧部20間で噴霧する液体の濃度の差が発生するのを抑制することができるので、被塗物60に塗料などの液体を塗布するときにきれいな塗装が行えるようになる。
(第5実施形態)
図18は、本発明に係る第5実施形態の液体噴霧部20と被塗物60との配置関係等を示す斜視図である。
第5実施形態の静電噴霧装置においても、第4実施形態と同様に、図示しない電圧印加手段50が設けられ、複数の液体噴霧部20と被塗物60との間に電圧が印加され、液体を噴霧する構成である点などは、基本的に同じである。
一方、第5実施形態では、例えば、被塗物が湾曲しているような場合に適した液体の噴霧が行えるように、その被塗物の湾曲に応じた湾曲をもって複数の液体噴霧部20が配置されるようにホルダ30が形成されており、各液体噴霧部20の先端が被塗物の湾曲に合わせて異なる方向を向くように、液体噴霧部20が湾曲して一列配置されている点が第4実施形態と異なる点である。
このような場合でも、第4実施形態と全く同様の流量調整の手順で流量調整を行うことが可能である。
但し、噴霧量を調整するステップを行うために、液体が噴霧される被塗物60は、実際に塗装などを行う被塗物を模擬して、図18に示すように湾曲した平面を持つものとして、その塗装を行う被塗物の湾曲状態に合わせて配置されている液体噴霧部20に対して、それぞれの液体噴霧部20に対応した被塗物60の液体を塗着させる部分とそれぞれの液体噴霧部20の先端との間の距離をほぼ一定の距離離れる位置に位置させることができるものを採用している。
そのようにすれば、簡単に、被塗物60の液体を塗着させる部分が液体噴霧部20の先端からほぼ一定の距離離れる位置に位置するように被塗物60を配置するステップを実施することができる。
しかしながら、図18に示すような湾曲を持った被塗物60を準備する手間がかかるという問題がある。
このため、液体噴霧部20が湾曲配列のように配置されているようなときには、第4実施形態で説明した個別または複数個の組合せごとに液体噴霧部20の噴霧量を調整する流量調整方法が好適である。
具体的には、図19に示すように、被塗物60を配置するステップで用いる被塗物60のサイズを1つの液体噴霧部20の噴霧する液体に対応するだけのような小さな被塗物60aとして、上述の被塗物60を配置するステップを、1つの液体噴霧部20から噴霧される液体だけが塗着する位置であって、且つ、液体を塗着させることができる液体噴霧部20の先端からほぼ一定の距離離れた位置に、被塗物60aの液体を塗着させる部分(図中の90’参照)が位置するように被塗物60aを配置するステップとして、この被塗物60aを配置するステップと、その被塗物60aに液体を塗着させて噴霧量を調整するステップとを、それぞれの液体噴霧部20に対して行うようにする。
例えば、初めに、図19の一番左端の液体噴霧部20に対して液体噴霧部20の先端からほぼ一定の距離離れた位置に、被塗物60aの液体を塗着させる部分(図中の90’参照)が位置するように被塗物60aを配置するステップを行い、その被塗物60aに液体を塗着させて、被塗物60aの塗着状態90’を見て噴霧量を調整するステップを行う。
なお、所定の広がり状態を持った塗着状態90’となるまで、噴霧量を調整するステップを何度も繰り返して噴霧量の調整を行って良いことは言うまでもなく、繰り返し噴霧量の調整を行うときに、前に噴霧した液体の塗着によって、次に塗着を行っても塗着状態がわからないと思われるときには、当然、再び、被塗物60aを配置するステップを行って、新しい被塗物60aに交換して噴霧量を調整するステップを実施するようにしても良い。
そして、一番左の液体噴霧部20の噴霧量の調整が終ったら、被塗物60aを図中の矢印X方向に移動し、次の液体を塗着させることができる液体噴霧部20(左から二番目の液体噴霧部20)の先端からほぼ一定の距離離れた位置に、被塗物60aの液体を塗着させる部分(図中の90’参照)が位置するように被塗物60aを配置するステップを実施し、先ほどと同様に、噴霧量を調整するステップを実施する。
この作業を全ての液体噴霧部20に対して行えば、全ての液体噴霧部20の塗着状態をほぼ等しくすることができる。
この方法であれば、この噴霧量の調整の時に使用する被塗物60aは小さいサイズのもので良い。
また、それぞれの液体噴霧部20の塗着状態を個別に確認できれば良いため、被塗物60aは平面な被塗物で良く、湾曲しているような複雑な形状の被塗物を準備する必要もない。
なお、第5実施形態のように、液体噴霧部20を一列配置のような状態とする場合、第1実施形態でも少し触れたが、両サイドに位置する液体噴霧部20とそれよりも内側に位置する液体噴霧部20とでは、異なる電場状態に置かれることになり、液体の霧化が安定しない液体噴霧部20が出現する可能性がある。
したがって、このように一列配置する時には、液体噴霧部20間の距離を離すようにして隣接する液体噴霧部20からの影響を受け難くすることが好適である。
また、別の方法として、各液体噴霧部20毎に被塗物との間で電圧を印加する電圧印加手段を設けておいて、それぞれの液体噴霧部20に対する電圧の印加状態を調節できるようにしておくのが好適である。
なお、液体噴霧部20同士を離間させるとともに、各液体噴霧部20に印加する電圧の調節ができるようにしておいても良い。
以上のように、複数の液体噴霧部20を備え、液体を混合噴霧しない静電噴霧装置10においても良好な液体の噴霧量の調整を簡単に行うことが可能である。
なお、第4、5実施形態では、近接電極40を備えていない静電噴霧装置10の場合について説明してきたが、これら第4、5実施形態の静電噴霧装置10に液体を混合噴霧しない形状とした近接電極を設けるようにしても良い。
例えば、液体を混合噴霧しないような形状の近接電極を備える静電噴霧装置10としては、それぞれの液体噴霧部20の先端に対して個別に円形ループ状の近接電極を設けたようなものが考えられる。
この場合には、液体を混合噴霧しないので、上述の噴霧量の調整は、近接電極にも電圧を印加した状態で行なえば良い。
以上、液体を混合噴霧するような静電噴霧装置の場合(第1、2、3実施形態)及び液体を混合噴霧しない静電噴霧装置の場合(第4、5実施形態)について、具体的な実施形態に基づいて、本発明について説明してきた。
しかしながら、本発明は、これら具体的な実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形や改良を施したものも本発明の技術的範囲に含まれるものであり、そのことは、当業者にとって特許請求の範囲の記載から明らかである。
10 静電噴霧装置
20 液体噴霧部
21 胴体部
21a 液体供給口
21b 液体流路
21c 孔部
21d 後端開口部
21e 雌ネジ構造
22 液体ノズル
22a 先端外周縁
22b 開口部
23 心棒
23a 摘み部
23b 電気配線接続部
23c 雄ネジ構造
23d 先端面
24 シール部材
30 ホルダ
31、31a 近接電極取付部
32 近接電極取付用スペーサ
40 近接電極
41 ネジ
41a、41b 六角ボルト
50 電圧印加手段
51 抵抗(可変抵抗)
60、60a 被塗物
70 アース手段
80 テーラコーン
91 電気スイッチ
92 電気コネクタ

Claims (19)

  1. 複数の液体噴霧部と前記液体噴霧部から噴霧される液体を混合するように前記液体噴霧部の先端の近隣に配置される近接電極との間に電圧を印加して発生する静電気力によって前記液体を帯電状態で前記液体噴霧部の先端から離脱させて前記液体を混合噴霧する静電噴霧装置の流量調整方法であって、
    被塗物と前記液体噴霧部との間に電圧を印加して静電気力を発生させて前記液体を前記被塗物に塗着させるときに、少なくとも前記混合噴霧の状態とならない程度にしか、前記近接電極が前記液体の噴霧に寄与しない状態とするステップと、
    前記被塗物の前記液体を塗着させる部分が前記液体噴霧部の前記先端からほぼ一定の距離離れる位置に位置するように前記被塗物を配置するステップと、
    前記近接電極を前記液体の噴霧に寄与しない状態にした後に、前記被塗物と前記液体噴霧部との間に電圧を印加して前記液体を前記被塗物に塗着させるようにし、前記被塗物上での前記液体の塗着状態に応じて前記液体噴霧部の前記液体の噴霧量を調整するステップと、を含み、
    前記噴霧量を調整するステップが、前記各液体噴霧部の前記被塗物上での前記液体の塗着状態をほぼ等しくするように前記噴霧量を調整するステップであることを特徴とする流量調整方法。
  2. 前記被塗物を配置するステップが、それぞれの前記液体噴霧部の前記先端からほぼ一定の距離離れた位置に、それぞれの前記液体噴霧部に対応した前記被塗物の前記液体を塗着させる部分が位置するように前記被塗物を配置するステップであることを特徴とする請求項1に記載の流量調整方法。
  3. 前記被塗物を配置するステップが、1つの前記液体噴霧部から噴霧される前記液体だけが塗着する位置であって、且つ、前記液体を塗着させることができる前記液体噴霧部の前記先端からほぼ一定の距離離れた位置に、前記被塗物の前記液体を塗着させる部分が位置するように前記被塗物を配置するステップであり、
    それぞれの前記液体噴霧部に対して前記被塗物を配置するステップと前記噴霧量を調整するステップとを行うことを特徴とする請求項1に記載の流量調整方法。
  4. 前記近接電極が前記液体噴霧部の先端の近隣から取外し可能に保持されており、
    前記近接電極が前記液体の噴霧に寄与しない状態とするステップが、前記近接電極を前記液体噴霧部の先端の近隣から取外すステップであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の流量調整方法。
  5. 前記近接電極が前記液体噴霧部の先端の近隣から離れるように後方に移動可能に保持されており、
    前記近接電極が前記液体の噴霧に寄与しない状態とするステップが、前記近接電極を前記液体噴霧部の先端の近隣から離れるように後方に移動させるステップであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の流量調整方法。
  6. 前記液体噴霧部と前記近接電極との間に電圧を印加する電圧印加手段は、前記近接電極への電圧の印加を停止する印加停止手段を備え、
    前記近接電極が前記液体の噴霧に寄与しない状態とするステップが、前記近接電極への電圧の印加を停止するステップであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の流量調整方法。
  7. 前記液体噴霧部が正多角形に配置されるとともに、前記混合噴霧ができるように、前記近接電極が前記液体噴霧部同士の間に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の流量調整方法。
  8. 前記近接電極が、前記液体噴霧部で囲まれる領域の中央側で一体に繋がっていることを特徴とする請求項7に記載の流量調整方法。
  9. 複数の液体噴霧部と被塗物との間に電圧を印加して発生する静電気力によって液体を帯電状態で前記液体噴霧部の先端から離脱させて前記液体を噴霧する静電噴霧装置の流量調整方法であって、
    前記被塗物の前記液体を塗着させる部分が前記液体噴霧部の前記先端からほぼ一定の距離離れる位置に位置するように前記被塗物を配置するステップと、
    前記被塗物と前記液体噴霧部との間に電圧を印加して前記液体を前記被塗物に塗着させるようにし、前記被塗物上での前記液体の塗着状態に応じて前記液体噴霧部の前記液体の噴霧量を調整するステップと、を含み、
    前記噴霧量を調整するステップが、前記各液体噴霧部の前記被塗物上での前記液体の塗着状態をほぼ等しくするように前記噴霧量を調整するステップであることを特徴とする流量調整方法。
  10. 前記被塗物を配置するステップが、それぞれの前記液体噴霧部の前記先端からほぼ一定の距離離れた位置に、それぞれの前記液体噴霧部に対応した前記被塗物の前記液体を塗着させる部分が位置するように前記被塗物を配置するステップであることを特徴とする請求項9に記載の流量調整方法。
  11. 前記被塗物を配置するステップが、1つの前記液体噴霧部から噴霧される前記液体だけが塗着する位置であって、且つ、前記液体を塗着させることができる前記液体噴霧部の前記先端からほぼ一定の距離離れた位置に、前記被塗物の前記液体を塗着させる部分が位置するように前記被塗物を配置するステップであり、
    それぞれの前記液体噴霧部に対して前記被塗物を配置するステップと前記噴霧量を調整するステップとを行うことを特徴とする請求項9に記載の流量調整方法。
  12. 前記液体噴霧部の先端の近隣に配置され、前記液体噴霧部から噴霧される液体を混合しないような形状とされた近接電極を備え、
    前記噴霧量を調整するステップでは、複数の前記液体噴霧部と前記近接電極との間にも電圧が印加されることを特徴とする請求項9から請求項11のいずれか1項に記載の流量調整方法。
  13. 複数の液体噴霧部と、
    前記液体噴霧部から噴霧される液体を混合するように前記液体噴霧部の先端の近隣に配置される近接電極と、
    前記近接電極と前記液体噴霧部との間に電圧を印加し、前記液体を帯電状態で前記液体噴霧部の先端から離脱させ、前記液体を混合噴霧するための静電気力を発生させる電圧印加手段と、を備え、
    前記電圧印加手段が前記近接電極への電圧の印加を停止する印加停止手段を備え
    前記電圧印加手段が、複数の前記液体噴霧部の噴霧量を調整するときに、前記印加停止手段により前記近接電極への電圧の印加を停止し、被塗物と前記複数の液体噴霧部との間に電圧を印加することを特徴とする静電噴霧装置。
  14. 前記電圧印加手段が、
    前記液体を塗布する被塗物と複数の前記液体噴霧部との間に電圧を印加する電圧電源と、
    前記被塗物と複数の前記液体噴霧部との間に印加される電圧を分割して前記近接電極と複数の前記液体噴霧部との間に電圧を印加する抵抗と、
    前記抵抗と前記近接電極との間に設けられ、前記近接電極への電圧の印加を停止する電気スイッチ又は電気コネクタからなる印加停止手段と、を備えていることを特徴とする請求項13に記載の静電噴霧装置。
  15. 前記印加停止手段が、電気スイッチであることを特徴とする請求項1に記載の静電噴霧装置。
  16. 前記抵抗が前記近接電極の電位を調整する可変抵抗であることを特徴とする請求項14又は請求項15に記載の静電噴霧装置。
  17. 前記液体噴霧部が正多角形に配置されるとともに、前記混合噴霧ができるように、前記近接電極が前記液体噴霧部同士の間に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項16のいずれか1項に記載の静電噴霧装置。
  18. 前記近接電極は、前記液体噴霧部で囲まれる領域の中央側で前記近接電極が一体に繋がっていることを特徴とする請求項17に記載の静電噴霧装置。
  19. 前記液体噴霧部同士の間に配置される前記近接電極は、前記近接電極に隣接する前記液体噴霧部の先端同士を直線で結んだときの長さの半分の長さよりも小さい幅であることを特徴とする請求項17又は請求項18に記載の静電噴霧装置。
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