JP6485097B2 - 立体物造形装置、立体物造形装置の制御方法、及び、立体物造形装置の制御プログラム - Google Patents
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Description
このため、液体の硬化の程度によるブロックのサイズの調整を行うことができずに、例えば、液体の吐出量のみによりブロックのサイズを制御する場合と比較して、ブロックのサイズの細やかな調整が可能になる。これにより、立体物の表面の凹凸を目立たなくすることが可能となり、ざらつき感を抑えた滑らかな表面を有する立体物を造形することが可能となる。
なお、所定波長の光とは、液体を硬化させることができる光であればよい。例えば、液体が紫外線硬化樹脂である場合には、所定波長の光は紫外線である
本実施形態では、立体物造形装置として、紫外線硬化型インク(「液体」の一例)を吐出して立体物Objを造形する、インクジェット式の立体物造形装置を例示して説明する。
以下、図1乃至図9を参照しつつ、本実施形態に係る立体物造形装置1を具備する立体物造形システム100の構成について説明する。
図1に示すように、立体物造形システム100は、インクを吐出し、吐出したインクにより形成されるドットにより層状の造形体LY(「造形層」の一例)を形成し、造形体LYを積層することで立体物Objを造形する造形処理を実行する立体物造形装置1と、立体物造形装置1が造形する立体物Objを構成する複数の造形体LYの各々の形状及び色彩を指定する指定データSDを生成するデータ生成処理を実行するホストコンピューター9と、を備える。
図1に示すように、ホストコンピューター9は、ホストコンピューター9の各部の動作を制御するCPU(図示省略)と、ディスプレイ等の表示部(図示省略)と、キーボードやマウス等の操作部91と、ホストコンピューター9の制御プログラム、立体物造形装置1のドライバープログラム、及び、CAD(computer aided design)ソフト等のアプリケーションプログラムを記憶する情報記憶部(図示省略)と、モデルデータDatを生成するモデルデータ生成部92と、モデルデータDatに基づいて指定データSDを生成するデータ生成処理を実行する指定データ生成部93と、を備える。
モデルデータ生成部92は、ホストコンピューター9のCPUが情報記憶部に記憶されているアプリケーションプログラムを実行することにより実現される機能ブロックである。このモデルデータ生成部92は、例えばCADアプリケーションであり、立体物造形システム100の利用者が操作部91を操作して入力した情報等に基づいて、立体物Objの形状及び色彩を表すためのモデルを示すモデルデータDatを生成する。
但し、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、モデルデータDatは、少なくとも立体物Objのモデルの外面SFの形状を特定可能な情報を含むものであればよい。例えば、モデルデータDatは、立体物Objのモデルの外面SFの形状及び立体物Objの色彩に加えて、立体物Objのモデルの外面SFより内側の形状や、立体物Objの材料等を指定するものであってもよい。
モデルデータDatとしては、例えば、AMF(Additive Manufacturing File Format)、または、STL(Standard Triangulated Language)等のデータ形式を例示することができる。
なお、以下では、立体物Objが、Q個の造形体LYを積層させることで造形される場合を想定する(Qは、Q≧2を満たす自然数)。また、立体物造形装置1が造形体LYを形成する処理を積層処理と称する。すなわち、立体物造形装置1が立体物Objを造形する造形処理は、Q回の積層処理を含む。以下では、造形処理に含まれるQ回の積層処理のうちq回目の積層処理で形成される造形体LYを造形体LY[q]と称し、造形体LY[q]の形状及び色彩を指定する指定データSDを指定データSD[q]と称する(qは、1≦q≦Qを満たす自然数)。
図2(A)及び(B)に示すように、指定データ生成部93は、層状の造形体LY[1]〜LY[Q]の形状及び色彩を指定する指定データSD[1]〜SD[Q]を生成するために、まず、モデルデータDatの示す三次元形状の外面SFを有するモデルを所定の厚さΔZ毎にスライスすることで、造形体LY[1]〜LY[Q]と1対1に対応する断面モデルデータLdat[1]〜Ldat[Q]を生成する。ここで、断面モデルデータLdatとは、モデルデータDatの示す三次元の形状のモデルをスライスして得られる断面体の形状及び色彩を示すデータである。但し、断面モデルデータLdatは、モデルデータDatの示す三次元の形状のモデルをスライスしたときの二次元の断面の形状及び色彩を含むデータであればよい。なお、図2(A)は、1回目の積層処理で形成される造形体LY[1]に対応する断面モデルデータLdat[1]を例示し、図2(B)は、2回目の積層処理で形成される造形体LY[2]に対応する断面モデルデータLdat[2]を例示している。
また、指定データSD[q]とは、立体物Objを構成する造形体LY[q]を形成するためのドットの色及びサイズを指定するデータである。すなわち、指定データSDは、立体物Objを造形するために形成すべきドットの色及びサイズを指定するデータである。例えば、指定データSDは、ドットの色を、当該ドットを形成するインクの種類により指定すればよい。なお、インクの種類については後述する。
また、以下では、立体物Objの構成要素であって、1個のボクセルVxに着弾するインクにより形成された構成要素をブロックBLと称する。詳細は後述するが、ブロックBLは、1または複数のドットにより構成される。換言すれば、ブロックBLとは、1個のボクセルVxに着弾したインクからなる1または複数のドットである。
ここで、通常ブロックBLMとは、ボクセルVxと略同じサイズ(「第1サイズ」の一例)のブロックBLであり、小型ブロックBLSとは、ボクセルVxよりも小さいサイズのブロックBLであり、大型ブロックBLLとは、ボクセルVxよりも大きいサイズ(「第2サイズ」の一例)のブロックBLである。つまり、通常ブロックBLMは、所定の厚さΔZを有し、小型ブロックBLSは、所定の厚さΔZよりも薄く、大型ブロックBLLは、所定の厚さΔZよりも厚い。
なお、本明細書において「略同じ」や「略一様」等の表現は、完全に同一または一様である場合の他に、各種誤差を無視すれば同一または一様と看做すことができる場合も含む。
具体的には、通常ブロックBLMを一のボクセルVxに形成する場合、当該通常ブロックBLMは、一のボクセルVxに吐出されたインクにより、当該一のボクセルVxを満たすように形成される。また、小型ブロックBLSを一のボクセルVxに形成する場合、当該小型ブロックBLSは、一のボクセルVxに吐出されたインクにより、当該一のボクセルVxの一部に形成される。また、大型ブロックBLLを一のボクセルVxに形成する場合、当該大型ブロックBLLは、一のボクセルVxに吐出されたインクにより、当該一のボクセルVxと、一のボクセルVxの下側に隣り合う他のボクセルVxの一部と、に形成される。
なお、以下では、ボクセルデータVDの示す複数のボクセルVxの集合体、換言すれば、モデルデータDatの示す立体物Objのモデルを格子状に細分化して当該モデルを近似的に表すための複数のボクセルVxの集合体を、「ボクセル集合体」と称する場合がある。
そして、立体物造形装置1は、指定データSD[1]〜SD[Q]に対応してされる造形体LY[1]〜LY[Q]を順番に積層させることで、図2(E)に示す立体物Objを造形する。
このため、本実施形態に係る指定データ生成部93は、図2に示すように、モデルデータDatの指定する形状が中空形状であるか否かに関わらず、外面SFよりも内側の領域の一部または全部が中実構造となるような断面モデルデータLdatを生成する。
以下では、データ生成処理のうち、モデルデータDatの示すモデルの形状の中空部分を補完して、当該中空部分の一部または全部が中実構造となる形状を示す断面モデルデータLdatを生成する処理を、形状補完処理と称する。なお、形状補完処理と、形状補完処理により生成される断面モデルデータLdatが指定する外面SFよりも内側の構造と、についての詳細は、後述する。
すなわち、図2に示す例において、立体物Objは、傾斜が垂直よりも大きい角度に張り出した所謂オーバーハング形状の部分(以下、「オーバーハング部」と称する)を有していない。よって、図2に示す場合には、造形体LY[1]〜LY[Q]を順番に積層することで、モデルの指定する形状に対応する形状の立体物Objを造形することができる。
しかし、立体物Objがオーバーハング部を有する場合、造形体LY[1]〜LY[Q]を順番に積層して立体物Objを造形しようとしても、造形処理の実行中にオーバーハング部が自重により下側に撓むため、立体物Objを所望の形状に造形できない可能性が高い。
そこで、本実施形態では、立体物Objがオーバーハング部を有する場合、オーバーハング部の少なくとも一部の下側に、オーバーハング部を支持するための支持部を設ける。
具体的には、本実施形態では、断面モデルデータLdatが、支持部の形状を定めるデータを含むこととする。つまり、本実施形態において、造形体LY[q]には、立体物Objのうちq回目の積層処理で形成すべき部分と、支持部のうちq回目の積層処理で形成すべき部分と、の双方が含まれる。換言すれば、指定データSD[q]は、立体物Objのうち造形体LY[q]として形成される部分の形状及び色彩をブロックBLの集合として表したデータと、支持部のうち造形体LY[q]として形成される部分の形状をブロックBLの集合として表したデータと、を含む。
本実施形態に係る指定データ生成部93は、モデルデータDatに基づいて、造形体LY[q]の形成のために支持部を設ける必要があるか否かを判定する。そして、指定データ生成部93は、当該判定の結果が肯定である場合には、立体物Objの他に支持部が設けられるような断面モデルデータLdatを生成する。
なお、支持部は、立体物Objの造形後に容易に除去することのできる材料、例えば、水溶性のインク、または、立体物Objを造形するインクよりも低い融点のインク等で構成されることが好ましい。
次に、図1に加え図3を参照しつつ、立体物造形装置1について説明する。図3は、立体物造形装置1の構造の概略を示す斜視図である。
なお、制御部6及び指定データ生成部93は、立体物造形システム100の各部の動作を制御するシステム制御部101として機能する。
ここで、通常硬化モードとは、吐出部DからボクセルVxに吐出された第1基準量のインクを、ボクセルVxと略同じサイズのドットになるように硬化させる硬化モードである。また、低速硬化モードとは、吐出部DからボクセルVxに吐出された第1基準量のインクを、ボクセルVxよりも大きなサイズのドットになるように、通常硬化モードよりも緩やかに硬化させる硬化モードである。具体的には、硬化ユニット61は、低速硬化モードにおいてインクに照射する紫外線の強度(照度)を、通常硬化モードと比較して弱くすることにより、インクの硬化を緩やかにする。
但し、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、硬化ユニット61は、低速硬化モードにおける紫外線の照射時間(硬化時間)を、通常硬化モードと比較して短くすることにより、インクの硬化を緩やかにしてもよい。
立体物Objを造形するための5種類の造形用インクには、有彩色の色材成分を有する有彩色インクと、無彩色の色材成分を有する無彩色インクと、有彩色インク及び無彩色インクと比較して単位重量または単位体積あたりの色材成分の含有量が少ないクリアー(CL)インクと、が含まれる。
また、本実施形態では、無彩色インクとして、ホワイト(WT)のインクを採用する。本実施形態に係るホワイトインクとは、可視光の波長領域(概ね、400nm〜700nm)に属する波長を有する光がホワイトインクに照射された場合において、当該照射された光のうち、所定の割合以上の光を反射するインクである。本実施形態において、「所定の割合」とは、例えば、30%以上で且つ100%以下の任意の割合であればよく、好ましくは、50%以上の任意の割合、より好ましくは、80%以上の任意の割合である。
また、本実施形態において、クリアーインクは、有彩色インク及び無彩色インクと比較して、色材成分の含有量が少なく透明度の高いインクである。
以下では、5種類の造形用インクのうち、3種類の有彩色インク及び1種類の無彩色インクを、彩色インクと総称する場合がある。
また、位置変化機構7は、キャリッジ41をガイド79bに沿って+Y方向及び−Y方向(以下、+Y方向及び−Y方向を「Y軸方向」と総称する場合がある)に移動させるためのキャリッジ駆動モーター72と、キャリッジ41をガイド79cに沿って+X方向及び−X方向(以下、+X方向及び−X方向を「X軸方向」と総称する場合がある)に移動させるためのキャリッジ駆動モーター73と、硬化ユニット61をガイド79dに沿ってX軸方向に移動させるための硬化ユニット駆動モーター74と、を備える。
また、位置変化機構7は、昇降機構駆動モーター71を駆動するためのモータードライバー75と、キャリッジ駆動モーター72を駆動するためのモータードライバー76と、キャリッジ駆動モーター73を駆動するためのモータードライバー77と、硬化ユニット駆動モーター74を駆動するためのモータードライバー78と、を備える。
具体的には、制御部6は、まず、ホストコンピューター9から供給される指定データSDを記憶部60に格納する。次に、制御部6は、指定データSD等の記憶部60に格納されている各種データに基づいて、ヘッドユニット3の動作を制御して吐出部Dを駆動させるための駆動波形信号Com及び波形指定信号SIを含む各種信号を生成し、これら生成した信号を出力する。また、制御部6は、指定データSD等の記憶部60に格納されている各種データに基づいて、硬化ユニット61の動作を制御するための制御信号Kを生成し、当該信号を出力する。また、制御部6は、指定データSD等の記憶部60に格納されている各種データに基づいて、モータードライバー75〜78の動作を制御するための各種信号を生成し、これら生成した信号を出力する。
なお、駆動波形信号Comはアナログの信号である。このため、制御部6は、図示省略したDA変換回路を含み、制御部6が備えるCPU等において生成されるデジタルの駆動波形信号を、アナログの駆動波形信号Comに変換したうえで、出力する。
なお、以下では、ヘッドユニット3、位置変化機構7、及び、硬化ユニット61を、ヘッドユニット3等と称する場合がある。
次に、図4乃至図6を参照しつつ、記録ヘッド30と、記録ヘッド30に設けられる吐出部Dと、について説明する。
圧電素子300は、下部電極301と、上部電極302と、下部電極301及び上部電極302の間に設けられた圧電体303と、を有する。そして、下部電極301の電位が所定の基準電位VSSに設定され、上部電極302に駆動信号Vinが供給されることで、下部電極301及び上部電極302の間に電圧が印加されると、当該印加された電圧に応じて圧電素子300が図において上下方向に撓み(変位し)、その結果、圧電素子300が振動する。
ここで、ノズル列Ln-CYに属するノズルNは、シアン(CY)のインクを吐出する吐出部Dに設けられたノズルNであり、ノズル列Ln-MGに属するノズルNは、マゼンタ(MG)のインクを吐出する吐出部Dに設けられたノズルNであり、ノズル列Ln-YLに属するノズルNは、イエロー(YL)のインクを吐出する吐出部Dに設けられたノズルNであり、ノズル列Ln-WTに属するノズルNは、ホワイト(WT)のインクを吐出する吐出部Dに設けられたノズルNであり、ノズル列Ln-CLに属するノズルNは、クリアー(CL)のインクを吐出する吐出部Dに設けられたノズルNであり、ノズル列Ln-SPに属するノズルNは、支持用インクを吐出する吐出部Dに設けられたノズルNである。
次に、図7乃至図9を参照しつつ、駆動信号生成部31の構成及び動作について説明する。
図7に示すように、駆動信号生成部31は、シフトレジスタSR、ラッチ回路LT、デコーダーDC、及び、トランスミッションゲートTGからなる組を、記録ヘッド30に設けられたM個の吐出部Dと1対1に対応するように、M個有する。以下では、駆動信号生成部31及び記録ヘッド30が備えるこれらM個の組を構成する各要素を、図において上から順番に、1段、2段、…、M段と称することがある。
ここで、第1基準量のインクとは、上述の通り、通常硬化モードにおいてインクを硬化させた場合に、ボクセルVxと略同じサイズのドットを形成することができる量のインクである。また、第2基準量のインクとは、本実施形態では、第1基準量の略半分の量のインクである。
なお、以下では、ボクセルVxと略同じサイズのドットを大ドットと称し、ボクセルVxの略半分のサイズのドットを小ドットと称する場合がある。
制御部6は、駆動信号生成部31に対して、単位期間Tuが開始されるよりも前のタイミングで波形指定信号SIを供給する。そして、制御部6は、駆動信号生成部31の各ラッチ回路LTに対して、単位期間Tu毎に波形指定信号SI[m]がラッチされるように、ラッチ信号LATを供給する。
なお、詳細は後述するが、本実施形態では、トランスミッションゲートTGがオンからオフに切り替わるタイミング(つまり、制御期間Tsの開始及び終了のタイミング)における駆動波形信号Comの電位を基準電位V0としている。このため、トランスミッションゲートTGがオフする場合、吐出部D[m]の圧電素子300が有する容量等により、出力端OTNの電位は基準電位V0に維持されることになる。以下では、説明の便宜上、トランスミッションゲートTGがオフする場合には、駆動信号Vin[m]の電位が基準電位V0に維持されることとして説明する。
図9に例示するように、ラッチ信号LATは、パルス波形Pls-Lを含み、当該パルス波形Pls-Lにより単位期間Tuが規定される。また、チェンジ信号CHは、パルス波形Pls-Cを含み、当該パルス波形Pls-Cにより単位期間Tuが制御期間Ts1及びTs2に区分される。また、図示は省略するが、制御部6は、単位期間Tu毎に、波形指定信号SIを、クロック信号CLKに同期させて、駆動信号生成部31に対してシリアルで供給する。
よって、駆動信号生成部31が、単位期間Tuにおいて、吐出部D[m]に供給する駆動信号Vin[m]は、波形指定信号SI[m]の示す値が(b1、b2)=(1、1)であれば、波形PL1及びPL2を有する信号となり、波形指定信号SI[m]の示す値が(b1、b2)=(1、0)であれば、波形PL1を有する信号となり、波形指定信号SI[m]の示す値が(b1、b2)=(0、0)であれば、基準電位V0に設定された信号となる。
このため、単位期間Tuにおいて、波形指定信号SI[m]の示す値が(b1、b2)=(1,0)であり、吐出部D[m]に供給される駆動信号Vin[m]が1つの波形PL(PL1)を有する場合、吐出部D[m]からは、当該1つの波形PLに基づいて第2基準量のインクが吐出される。よって、当該吐出されたインクが通常硬化モードにより硬化された場合、小ドットが形成される。
また、単位期間Tuにおいて、波形指定信号SI[m]の示す値が(b1、b2)=(1,1)であり、吐出部D[m]に供給される駆動信号Vin[m]が2つの波形PL(PL1、PL2)を有する場合、吐出部D[m]からは、当該2つの波形PLに基づいて第2基準量のインクが2度吐出され、当該2度にわたり吐出された第2基準量のインクが合体して第1基準量のインクとなる。よって、当該合体したインクが通常硬化モードにより硬化された場合、大ドットが形成される。
一方、単位期間Tuにおいて、波形指定信号SI[m]の示す値が(b1、b2)=(0,0)であり、吐出部D[m]に供給される駆動信号Vin[m]が波形PLを有さず基準電位V0に保たれる場合、吐出部D[m]からインクは吐出されず、当該ドットは形成されない(非記録となる)。
次に、図10乃至図16を参照しつつ、立体物造形システム100が実行するデータ生成処理及び造形処理について説明する。
図10は、データ生成処理及び造形処理を実行する場合における立体物造形システム100の動作の一例を示すフローチャートである。
なお、本実施形態に係る指定データ生成部93は、ステップS110において、モデルデータDatの示すモデルをボクセル集合体として近似する際に、ボクセルVxのうちモデルデータDatの示すモデルの外面SFよりも内側部分の、当該ボクセルVxに占める体積の割合である充填率RFが、「RF≧α1」となるように、各ボクセルVxを定める。ここで、閾値α1は、「0%<α1<100%」を満たす実数であり、好ましくは、「0%<α1≦50%」を満たし、より好ましくは、「20%≦α1≦40%」を満たす。
なお、充填率RFが、「RF<100%」であるボクセルVxとは、モデルの外面SFの内側及び外側の双方を含むボクセルVxである。また、例えば、充填率RFが、「RF≦20%」であるボクセルVxとは、ボクセルVxの有する空間の80%が、モデルの外面SFの外側に突出したボクセルVxである。本実施形態では、各ボクセルVxの充填率RFが閾値α1以上(例えば、20%以上)となるように、ボクセル集合体を示すボクセルデータVDを生成する。このため、モデルの外面SFの外側に大きく突出したボクセルVxの形成を防止し、ボクセルデータVDの示すボクセル集合体を、モデルデータDatの示すモデルに近い形状となるように設けることができる。
造形処理は、制御部6による制御の下で、立体物造形装置1が実行する処理であり、ホストコンピューター9が出力した指定データSDを、立体物造形装置1が取得して記憶部60に格納したときに開始される。図10に示すステップS130〜S180の処理が、造形処理に該当する。
なお、造形体LY[q]を形成するための造形台45の位置とは、ヘッドユニット3から吐出されたインクが、指定データSD[q]の指定するドット形成位置(ボクセルVxq)に対して着弾可能な位置であれば、どのような位置であってもよい。例えば、制御部6は、ステップS150において、造形体LY[q]とヘッドユニット3とのZ軸方向の間隔が一定となるように、造形台45の位置を制御してもよい。この場合、制御部6は、例えばq回目の積層処理において造形体LY[q]を形成した後、(q+1)回目の積層処理による造形体LY[q+1]の形成が開始されるまでの間に、造形台45を所定の厚さΔZだけ−Z方向に移動させればよい。
その後、制御部6は、変数qが「q≧Q」を充足するか否かを判定し(S170)、判定結果が肯定である場合には、立体物Objの造形が完了したと判定して造形処理を終了させ、一方、判定結果が否定である場合には、変数qに1を加算した上で、処理をステップS140に進める(S180)。
上述のとおり、ステップS100において、指定データ生成部93は、モデルデータDatの指定する立体物Objのモデルの中空部分の一部または全部を補完して、立体物Objのモデルの外面SFよりも内側の領域の一部または全部が中実構造となるような断面モデルデータLdatを生成する形状補完処理を実行する。
以下では、図11及び図12を参照しつつ、断面モデルデータLdatの示す立体物Objのモデルの外面SFよりも内側の構造と、外面SFよりも内側の構造を定める形状補完処理と、について説明する。
ここで、彩色層L1とは、造形用インクを含むインクにより形成される層であり、立体物Objの色彩を表現するための立体物Objの表面を含む層である。また、遮蔽層L2とは、例えば、ホワイトインクを用いて形成される層であり、立体物Objのうち彩色層L1よりも内側部分の色が、彩色層L1を透過して立体物Objの外部から視認されることを防止するための層である。すなわち、彩色層L1及び遮蔽層L2は、立体物Objが表示すべき色彩を正確に表現するために設けられる。以下では、立体物Objのうち、立体物Objが表示すべき色彩を正確に表現するために設けられる彩色層L1及び遮蔽層L2を、立体物Objの外部領域LOUTと称する場合がある。また、内部層L3とは、立体物Objの強度を確保するために設けられる層であり、例えばクリアーインクを用いて形成される。以下では、立体物Objのうち、外部領域LOUTよりも内側に設けられる内部層L3及び中空部HLを、立体物Objの内部領域LIN(または、「立体物Objの内部」)と称する場合がある。
図12に示すように、指定データ生成部93は、まず、モデルデータDatの表す立体物Objのモデルにおいて、立体物Objのモデルの外面SFから立体物Objのモデルの内側に向かう厚さΔL1の領域を彩色層L1として定める(S200)。また、指定データ生成部93は、彩色層L1の内側の面から立体物Objのモデルの内側に向かう厚さΔL2の領域を遮蔽層L2として定める(S210)。また、指定データ生成部93は、遮蔽層L2の内側の面から立体物Objのモデルの内側に向かう厚さΔL3の領域を内部層L3として定める(S220)。また、指定データ生成部93は、内部層L3よりも立体物Objのモデルの内側の部分を中空部HLとして定める(S230)。
指定データ生成部93は、上述した形状補完処理を実行することにより、図11(B)に例示するような、彩色層L1、遮蔽層L2、及び、内部層L3を有する立体物Objを造形するための断面モデルデータLdatを生成する。
指定データ生成部93は、ステップS120において、ボクセルデータVD及びモデルデータDatに基づいて各ボクセルVxに形成すべきブロックBLの種類を決定し、当該決定結果とボクセルデータVDとに基づいて指定データSDを生成する指定データ生成処理を実行する。以下、図13乃至図16を参照しつつ、指定データ生成処理について説明する。
境界ボクセルVx-BDとは、充填率RFが、「α1≦RF≦α2」となるボクセルVxであって、ボクセルVxの表面を構成する6面のうち、上面(法線が+Z方向を向く面)、または、下面(法線が−Z方向を向く面)が、ボクセルデータVDの示すボクセル集合体の表面に該当するボクセルVxである。ここで、閾値α2は、「α1<α2<100%」を満たす実数であり、好ましくは、「α1<α2≦80%」を満たす実数である。例えば、α1を33%、α2を66%に設定してもよい。
ここで、下面境界ボクセルVx-BDdとは、境界ボクセルVx-BDとして選択されたボクセルVxであって、ボクセルVxの下面が、ボクセル集合体の表面に該当するボクセルVxである(図14(A)参照)。上面境界ボクセルVx-BDuとは、境界ボクセルVx-BDとして選択されたボクセルVxであって、ボクセルVxの上面が、ボクセル集合体の表面に該当するボクセルVxである(図14(B)参照)。
例えば、対比例では、図15(A)に示すように、立体物Objの表面に−Z方向から+X方向に向かう傾斜を設ける場合、立体物Objの表面に所定の厚さΔZに相当する段差が形成される。同様に、対比例では、図15(B)に示すように、立体物Objの表面に+Z方向から+X方向に向かう傾斜を設ける場合にも、立体物Objの表面に所定の厚さΔZに相当する段差が形成される。
なお、図16は、図11(A)に対応する球体の形状の立体物Objを、直線γ−Γを通りZ軸に平行な平面で切断したときの切断面を示している。また、図16では、彩色層L1を構成するブロックBLに濃いハッチングを付す一方で、遮蔽層L2及び内部層L3を構成するブロックBLに薄いハッチングを付している。
一方、本実施形態に係る立体物造形装置1のように、対象ボクセルVx-TGに対して小型ブロックBLSまたは大型ブロックBLLの形成を指定する指定データSDに基づいて立体物Objを造形する場合、立体物Objの表面は、図16(B)に示すように、複数の通常ブロックBLMの他に、複数の小型ブロックBLS、及び、複数の大型ブロックBLLによって構成される。つまり、本実施形態では、モデルデータDatの示すモデルの形状に適した種類のブロックBLにより、立体物Objの表面を造形することが可能となる。
また、上面境界ボクセルVx-BDuに対して小型ブロックBLSを形成する場合、制御部6は、上面境界ボクセルVx-BDuに対してインクを吐出する吐出部D[m]に供給する波形指定信号SI[m]の示す値を、(b1、b2)=(1、0)として、吐出部D[m]から第2基準量のインクが吐出されるように、吐出部D[m]を制御する。また、この場合、制御部6は、上面境界ボクセルVx-BDuに吐出されたインクを通常硬化モードにより硬化することを指定する制御信号Kを、硬化ユニット61に供給する。これにより、立体物造形装置1は、上面境界ボクセルVx-BDuに対して、ボクセルVxの略半分のサイズの小型ブロックBLSを形成することができる。
また、隣接ボクセルVx-NBと、当該隣接ボクセルVx-NBの下側に隣り合う下面境界ボクセルVx-BDdの一部と、に対して大型ブロックBLLを形成する場合、制御部6は、隣接ボクセルVx-NBに対してインクを吐出する吐出部D[m]に供給する波形指定信号SI[m]の示す値を、(b1、b2)=(1、1)として、吐出部D[m]から第1基準量のインクが吐出されるように、吐出部D[m]を制御する。また、この場合、制御部6は、隣接ボクセルVx-NBに吐出されたインクを低速硬化モードにより硬化することを指定する制御信号Kを、硬化ユニット61に供給する。これにより、立体物造形装置1は、隣接ボクセルVx-NBに対して吐出された第1基準量のインクを、当該隣接ボクセルVx-NBから下面境界ボクセルVx-BDdの上部まで垂れ下がるようにゆっくりと硬化させ、ボクセルVxよりも大きいのサイズの大型ブロックBLLを形成することができる。
このような不都合を防ぐためには、例えば、下面境界ボクセルVx-BDdのうち、大型ブロックBLLが形成されない部分(例えば、下半分)に、支持部を形成すればよい。または、隣接ボクセルVx-NBに対してインクを吐出する際に、隣接ボクセルVx-NBと同一の造形体LYにおいて隣り合うボクセルVxに形成されたブロックBLに接触するようにインクを吐出させることで、表面張力によりインクが所望の位置よりも下側まで垂れ下がらないようにしてもよい。
以上において説明したように、本実施形態では、立体物Objの表面を、ボクセルVxと略同じサイズの通常ブロックBLM、ボクセルVxよりも小さい小型ブロックBLS、及び、ボクセルVxよりも大きい大型ブロックBLLの、互いにサイズの異なる3種類のブロックBLを用いて形成する。このため、モデルデータDatの示すモデルの形状に適した種類のブロックBLを用いて、立体物Objの表面を形成することができる。また、互いにサイズの異なる3種類のブロックBLを用いるため、立体物Objの表面において、凹凸が視認される可能性を低減し、ざらつき感の少ない滑らかな表面形状の立体物Objを造形することが可能となる。
以上の実施形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲内で適宜に併合され得る。
なお、以下に例示する変形例において作用や機能が実施形態と同等である要素については、以上の説明で参照した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
上述した実施形態において、小型ブロックBLSまたは大型ブロックBLLが形成される対象ボクセルVx-TGは、境界ボクセルVx-BDに基づいて特定されるが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、境界ボクセルVx-BDのうち、上面または下面のうち少なくとも一方の面と、4つの側面のうち少なくとも1つの側面と、を含む2以上の面がボクセル集合体の表面に該当する境界ボクセルVx-BDである、エッジボクセルVx-EGに基づいて、対象ボクセルVx-TGを定めてもよい。
エッジボクセルVx-EGは、下面エッジボクセルVx-EGd(「第1エッジボクセル」の一例)と、上面エッジボクセルVx-EGu(「第2エッジボクセル」の一例)と、に分類される。ここで、下面エッジボクセルVx-EGdとは、下面境界ボクセルVx-BDdのうち、下面と、4つの側面のうち少なくとも1つの側面とが、ボクセル集合体の表面に該当する下面境界ボクセルVx-BDdである。また、上面エッジボクセルVx-EGuとは、上面境界ボクセルVx-BDuのうち、上面と、4つの側面のうち少なくとも1つの側面とが、ボクセル集合体の表面に該当する上面境界ボクセルVx-BDuである。
さらに、指定データ生成部93は、上述した実施形態と同様に、対象ボクセルVx-TGが隣接ボクセルVx-NBである場合には、当該隣接ボクセルVx-NBと下面エッジボクセルVx-EGdの一部とに対して大型ブロックBLLを形成することを決定する。また、指定データ生成部93は、対象ボクセルVx-TGが上面エッジボクセルVx-EGuである場合には、当該上面エッジボクセルVx-EGuに対して小型ブロックBLSを形成することを決定する。
以上において説明したように、本変形例では、対比例のように各ボクセルVxに対して通常ブロックBLMを形成する場合と比較して、立体物Objの表面の凹凸のうち凸部分に該当するエッジボクセルVx-EGにおける、ブロックBLの占める体積(立体物Objの占める体積)を小さくすることができる。このため、立体物Objの表面の凹凸を目立たなくすることが可能となる。
上述した実施形態及び変形例において、立体物造形装置1が造形する立体物Objは、図11(B)に例示するように、彩色層L1及び遮蔽層L2を具備する外部領域LOUTと、内部層L3及び中空部HLを具備する内部領域LINと、を備えるが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、立体物造形装置1は、少なくとも彩色層L1を具備する立体物Objを造形できればよい。
また、立体物Objは、彩色層L1の外側に、彩色層L1を覆うように、クリアーインクからなり所定の厚みを有するクリアー層が設けられていてもよい。
上述した実施形態及び変形例において、立体物造形装置1が吐出可能なインクは、5種類の造形用インクと、1種類の支持用インクとからなる、合計6種類のインクであるが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、立体物造形装置1は、少なくとも、1種類の造形用インクを吐出可能なものであればよい。
上述した実施形態及び変形例では、ステップS300に示す境界ボクセルVx-BDを選択する処理、及び、ステップS310に示す対象ボクセルVx-TGに形成すべきブロックBLの種類を決定する処理、ホストコンピューター9に設けられた指定データ生成部93で実行するが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、これらの処理を制御部6で実行してもよい。そして、ステップS300及びS310に示す処理を制御部6が実行する場合、指定データ生成部93が生成する指定データSDは、ボクセルデータVDが示す内容と同様の内容のドットの形成を指定するものであればよい。
すなわち、本変形例に係る制御部6は、指定データSDが、各ボクセルVxに対して通常ブロックBLMの形成を指定する場合であっても、ボクセルVxが対象ボクセルVx-TGに該当しする場合には、当該ボクセルVxに小型ブロックBLSまたは大型ブロックBLLが形成されるように、ヘッドユニット3等の動作を制御すればよい。また、この場合、ホストコンピューター9は、制御部6に対して、指定データSDとモデルデータDatとを供給するものであればよい。
上述した実施形態及び変形例において、立体物造形装置1は、造形用インクを硬化させて形成された造形体LYを積層することで立体物Objを造形するが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、層状に敷き詰められた粉体を硬化性の造形用インクにより固めることで造形体LYを形成し、形成された造形体LYを積層することで立体物Objを造形するものであってもよい。
この場合、立体物造形装置1は、造形台45上に粉体を所定の厚さΔZで敷き詰めて粉体層PWを形成するための粉体層形成部(図示省略)と、立体物Objの形成後に、立体物Objを構成しない粉体(造形用インクにより固められた粉体以外の粉体)を廃棄するための粉体廃棄部(図示省略)と、を備えればよい。なお、以下では、造形体LY[q]を形成するための粉体層PWを、粉体層PW[q]と称する。
図17に示すように、本変形例に係る制御部6は、粉体層形成部が粉体層PW[q]を形成するように、立体物造形装置1の各部の動作を制御する(S161)。
また、本変形例に係る制御部6は、指定データSD[q]に基づいて、粉体層PW[q]にドットを形成して造形体LY[q]を形成するように、立体物造形装置1の各部の動作を制御する(S162)。具体的には、制御部6は、ステップS162において、まず、指定データSD[q]を用いて波形指定信号SIを生成し、生成した波形指定信号SIにより、粉体層PW[q]に対して造形用インクまたは支持用インクを吐出させるようにヘッドユニット3の動作を制御する。次に、制御部6は、粉体層PW[q]に対して吐出されたインクにより形成されたドットを硬化させることで、粉体層PW[q]のうちドットが形成された部分の粉体を固めるように、硬化ユニット61の動作を制御する。これにより、粉体層PW[q]の粉体がインクにより固められ、造形体LY[q]を形成することができる。
また、本変形例に係る制御部6は、立体物Objが造形された後、立体物Objを構成しない粉体を廃棄するように粉体廃棄部の動作を制御する(S190)。
このうち、図18(A)及び(B)は、図2(A)及び(B)と同様、断面モデルデータLdat[1]及びLdat[2]を例示している。本変形例においても、モデルデータDatの示す立体物Objのモデルをスライスすることで断面モデルデータLdat[q]を生成し、断面モデルデータLdat[q]から指定データSD[q]を生成し、そして、指定データSD[q]を用いて生成した波形指定信号SIに基づいて形成されたドットにより造形体LY[q]を形成する。以下、図18(C)乃至(F)を参照しつつ、本変形例に係る造形体LY[q]の形成について、造形体LY[1]及びLY[2]を例示して説明する。
次に、制御部6は、図18(D)に示すように、粉体層PW[1]内に造形体LY[1]が形成されるように、立体物造形装置1の各部の動作を制御する(上述したステップS162参照)。具体的には、制御部6は、まず、指定データSD[1]を用いて生成した波形指定信号SIに基づいてヘッドユニット3の動作を制御することで、粉体層PW[1]にインクを吐出させてドットを形成する。次に、制御部6は、粉体層PW[1]に形成したドットを硬化させるように、硬化ユニット61の動作を制御することで、ドットが形成されている部分の粉体を固め、造形体LY[1]を形成する。
その後、制御部6は、図18(E)に示すように、粉体層PW[1]及び造形体LY[1]の上に、所定の厚さΔZの粉体層PW[2]を形成するように粉体層形成部を制御する。さらに、制御部6は、図18(F)に示すように、造形体LY[2]が形成されるように、立体物造形装置1の各部の動作を制御する。
このように、制御部6は、指定データSD[q]を用いて生成した波形指定信号SIに基づいて、粉体層PW[q]内に造形体LY[q]を形成する積層処理の実行を制御し、当該造形体LY[q]を積層させていくことで、立体物Objを造形する。
この図に示すように、本変形例に係る立体物造形装置は、上述した実施形態及び変形例と同様に、対象ボクセルVx-TGが、下面境界ボクセルVx-BDd(または下面エッジボクセルVx-EGd)の上側の隣接ボクセルVx-NBである場合には、当該対象ボクセルVx-TGに対して、第1基準量のインクを吐出し、当該吐出されたインクを低速硬化モードにより硬化させる。低速硬化モードによりインクを硬化させる場合、通常硬化モードの場合と比較して、粉体層PW上に吐出されたインクが硬化するまでに要する時間が長くなるため、粉体層PW上に吐出されたインクは粉体層PWの深くまで浸透する。このため、本変形例に係る立体物造形装置は、第1基準量のインクを、低速硬化モードにより硬化させることで、対象ボクセルVx-TGである隣接ボクセルVx-NBから、下面境界ボクセルVx-BDd(または下面エッジボクセルVx-EGd)の一部まで浸透させ、これにより、大型ブロックBLLを形成することができる。
なお、対象ボクセルVx-TGが、上面境界ボクセルVx-BDu(または上面エッジボクセルVx-EGu)である場合、対象ボクセルVx-TGの例えば下半分にドットを形成させる必要がある。このため、本変形例に係る立体物造形装置は、例えば、上面境界ボクセルVx-BDuまたは上面エッジボクセルVx-EGuに対して、第2基準量のインクを吐出させる場合に、例えば、他のボクセルVxに対する場合と比較して、インクを高速で吐出するようにすればよい。
上述した実施形態及び変形例では、液体として、紫外線硬化型のインクを例示して説明したが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、液体は、硬化型インク等の、所定の作用により硬化する硬化性の液体であればよい。例えば、加熱することにより硬化する熱硬化性のインクであってもよいし、冷却することにより硬化する熱溶融性のインクであってもよい。
例えば、液体が熱硬化性のインクである場合、硬化ユニット61として、吐出部Dから吐出されたインクを加熱するための過熱器を採用することができる。この場合、例えば、硬化ユニット61は、低速硬化モードにおいてインクに加える熱量を、通常硬化モードと比較して小さくすることで、硬化の程度を弱めるものでもよい。また、例えば、硬化ユニット61は、低速硬化モードにおいてインクを過熱する過熱時間(硬化時間)を、通常硬化モードと比較して短くすることにより、硬化の程度を弱めるものでもよい。
硬化ユニット61による硬化の程度を細やかに切替可能である場合、吐出部Dが吐出するインク等の液体量を変更することなく、ボクセルVxに形成されるドットのサイズを細やかに制御することができる。このため、ざらつき感の少ない滑らかな表面の立体物Objを形成することができる。
上述した実施形態及び変形例において、各吐出部Dから吐出可能な液体量は、第1基準量、または、第2基準量であるが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、各吐出部Dから吐出可能な液体量を3段階以上に制御可能であってもよい。例えば、立体物造形装置1は、一の硬化モードにより液体を硬化させる場合において、ボクセルVxの3分の1のサイズを満たす小ドット、ボクセルVxの3分の2のサイズを満たす中ドット、及び、ボクセルVxの全体を満たす大ドットの、3種類のサイズのドットを形成可能であってもよい。この場合、ボクセルVxに形成されるドットのサイズを細やかに制御することができるため、ざらつき感の少ない滑らかな表面の立体物Objを形成することができる。
上述した実施形態及び変形例において、指定データ生成部93はホストコンピューター9に設けられるが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、指定データ生成部93は立体物造形装置1に設けられるものであってもよい。例えば、指定データ生成部93は、制御部6が制御プログラムに従って動作すること実現される機能ブロックとして実装されてもよい。つまり、指定データ生成部93は、制御部6に設けられるものであってもよい。
立体物造形装置1が指定データ生成部93を備える場合、立体物造形装置1は、立体物造形装置1の外部から供給されるモデルデータDatに基づいて指定データSDを生成し、さらに、生成した指定データSDを用いて生成した波形指定信号SIに基づいて立体物Objを造形することができる。
上述した実施形態及び変形例において、立体物造形システム100はモデルデータ生成部92を備えるが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、立体物造形システム100がモデルデータ生成部92を含まずに構成されてもよい。つまり、立体物造形システム100は、立体物造形システム100の外部から供給されるモデルデータDatに基づいて、立体物Objを造形するものであればよい。
上述した実施形態及び変形例において、駆動波形信号Comは、波形PL1及びPL2を有する信号であるが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、駆動波形信号Comは、少なくとも1種類のサイズのドットに対応する量のインクを吐出部Dから吐出させることが可能な波形を有する信号であれば、どのような信号であってもよい。また、例えば、駆動波形信号Comは、インクの種類に応じて異なる波形としてもよい。
また、上述した実施形態及び変形例において、波形指定信号SI[m]のビット数は2ビットであるが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、波形指定信号SI[m]のビット数は、吐出部Dから吐出されたインクにより形成されるドットのサイズの種類数に応じて、適宜定めればよい。
Claims (8)
- 液体を吐出可能なヘッドユニットと、
前記ヘッドユニットから吐出された液体を硬化させる硬化ユニットと、
を備え、
硬化した前記液体を用いてブロックを形成し、
複数の前記ブロックにより立体物を造形可能な立体物造形装置であって、
前記硬化ユニットは、
前記ヘッドユニットから吐出された第1基準量の液体により第1サイズの前記ブロックが形成されるように、前記液体を硬化させる第1硬化モードと、
前記ヘッドユニットから吐出された前記第1基準量の液体により前記第1サイズよりも大きい第2サイズの前記ブロックが形成されるように、前記液体を硬化させる第2硬化モードと、
を含む複数の硬化モードにより、前記液体の硬化が可能であり、
前記第2硬化モードにより硬化された液体を用いて形成されるブロックは、
前記立体物の形状を指定するためのモデルを、前記第1サイズの仮想的な直方体であるボクセルを複数用いたボクセル集合体により近似した場合に、
前記ボクセル集合体を構成する複数のボクセルのうち、
ボクセルの有する6面の中で下面を含む2以上の面が前記ボクセル集合体の表面を構成する第1エッジボクセルの上面と隣り合うボクセルと、
前記第1エッジボクセルの一部と、に形成される、
ことを特徴とする、立体物造形装置。 - 前記ヘッドユニットは、
前記ブロックを形成する場合に、前記第1基準量の液体、または、前記第1基準量よりも少ない第2基準量の液体を吐出可能であり、
前記第2基準量の液体を用いて形成されるブロックは、
前記立体物の形状を指定するためのモデルを、前記第1サイズの仮想的な直方体であるボクセルを複数用いたボクセル集合体により近似した場合に、
前記ボクセル集合体を構成する複数のボクセルのうち、
ボクセルの有する6面の中で上面を含む2以上の面が前記ボクセル集合体の表面を構成する第2エッジボクセルの一部に設けられる、
ことを特徴とする、請求項1に記載の立体物造形装置。 - 前記液体は、
所定波長の光が照射されることで硬化し、
前記硬化ユニットは、
前記ヘッドユニットから吐出された液体に対して前記所定波長の光を照射可能であり、
前記第1硬化モードにおいて、前記硬化ユニットが照射する光の強度は、
前記第2硬化モードにおいて、前記硬化ユニットが照射する光の強度よりも強い、
ことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の立体物造形装置。 - 液体を吐出可能なヘッドユニットと、
前記ヘッドユニットから吐出された液体を硬化させる硬化ユニットと、
を備え、
硬化した前記液体を用いてブロックを形成し、
複数の前記ブロックにより立体物を造形可能な立体物造形装置であって、
前記硬化ユニットは、
前記ヘッドユニットから吐出された第1基準量の液体により第1サイズの前記ブロックが形成されるように、前記液体を硬化させる第1硬化モードと、
前記ヘッドユニットから吐出された前記第1基準量の液体により前記第1サイズよりも大きい第2サイズの前記ブロックが形成されるように、前記液体を硬化させる第2硬化モードと、
を含む複数の硬化モードにより、前記液体の硬化が可能であり、
前記液体は、
加熱されることで硬化し、
前記硬化ユニットは、
前記ヘッドユニットから吐出された液体を加熱することが可能であり、
前記第1硬化モードにおいて、
前記硬化ユニットが前記ヘッドユニットから吐出された液体に加える熱量は、
前記第2硬化モードにおいて、
前記硬化ユニットが前記ヘッドユニットから吐出された液体に加える熱量よりも大きい、
ことを特徴とする、立体物造形装置。 - 前記ヘッドユニットは、
前記ブロックを形成する場合に、前記第1基準量の液体、または、前記第1基準量よりも少ない第2基準量の液体を吐出可能であり、
前記第2基準量の液体を用いて形成されるブロックは、
前記立体物の形状を指定するためのモデルを、前記第1サイズの仮想的な直方体であるボクセルを複数用いたボクセル集合体により近似した場合に、
前記ボクセル集合体を構成する複数のボクセルのうち、
ボクセルの有する6面の中で上面を含む2以上の面が前記ボクセル集合体の表面を構成する第2エッジボクセルの一部に設けられる、
ことを特徴とする、請求項4に記載の立体物造形装置。 - 前記第1硬化モードにおいて、
前記硬化ユニットが前記ヘッドユニットから吐出された液体を硬化する時間は、
前記第2硬化モードにおいて、
前記硬化ユニットが前記ヘッドユニットから吐出された液体を硬化する時間よりも長い、
ことを特徴とする、請求項1乃至5のうち何れか1項に記載の立体物造形装置。 - 液体を吐出可能なヘッドユニットと、
前記ヘッドユニットから吐出された液体を硬化させる硬化ユニットと、
を備え、
硬化した前記液体を用いてブロックを形成し、
複数の前記ブロックにより立体物を造形可能な立体物造形装置の制御方法であって、
前記ヘッドユニットから吐出された第1基準量の液体により第1サイズの前記ブロックが形成されるように、前記液体を硬化させる第1硬化モードと、
前記ヘッドユニットから吐出された前記第1基準量の液体により前記第1サイズよりも大きい第2サイズの前記ブロックが形成されるように、前記液体を硬化させる第2硬化モードと、
を含む複数の硬化モードのうち、何れかの硬化モードにより前記ヘッドユニットから吐出された液体を硬化させ、
前記液体は、
加熱されることで硬化し、
前記硬化ユニットは、
前記ヘッドユニットから吐出された液体を加熱することが可能であり、
前記第1硬化モードにおいて、
前記硬化ユニットが前記ヘッドユニットから吐出された液体に加える熱量は、
前記第2硬化モードにおいて、
前記硬化ユニットが前記ヘッドユニットから吐出された液体に加える熱量よりも大きい、
ことを特徴とする、立体物造形装置の制御方法。 - 液体を吐出可能なヘッドユニットと、
前記ヘッドユニットから吐出された液体を硬化させる硬化ユニットと、
コンピューターと、
を備え、
硬化した前記液体を用いてブロックを形成し、
複数の前記ブロックにより立体物を造形可能な立体物造形装置の制御プログラムであって、
前記コンピューターを、
前記ヘッドユニットから吐出された第1基準量の液体により第1サイズの前記ブロックが形成されるように、前記液体を硬化させる第1硬化モードと、
前記ヘッドユニットから吐出された前記第1基準量の液体により前記第1サイズよりも大きい第2サイズの前記ブロックが形成されるように、前記液体を硬化させる第2硬化モードと、
を含む複数の硬化モードのうち、何れかの硬化モードにより前記ヘッドユニットから吐出された液体を硬化させるように前記硬化ユニットを制御する制御部として機能させ、
前記液体は、
加熱されることで硬化し、
前記硬化ユニットは、
前記ヘッドユニットから吐出された液体を加熱することが可能であり、
前記第1硬化モードにおいて、
前記硬化ユニットが前記ヘッドユニットから吐出された液体に加える熱量は、
前記第2硬化モードにおいて、
前記硬化ユニットが前記ヘッドユニットから吐出された液体に加える熱量よりも大きい、
ことを特徴とする、立体物造形装置の制御プログラム。
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