JP2016150457A - 立体物造形装置、立体物造形装置の制御装置、立体物造形装置の制御方法および立体物造形装置の制御プログラム - Google Patents

立体物造形装置、立体物造形装置の制御装置、立体物造形装置の制御方法および立体物造形装置の制御プログラム Download PDF

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英伸 吉川
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Abstract

【課題】滑らかな表面の立体物を造形する場合にドットによる凹凸を低減し、立体造形物に色むらが生じさせない立体物造形装置を提供する。【解決手段】立体物造形システム100は、造形すべき立体物の形状及び色彩を示すモデルを、所定の直方体形状を有し、1または複数の前記ドットからなる単位造形体の集合で近似する近似手段と、単位造形体を、モデルの示す色彩を表すために必要な量の色材成分を有する第1単位造形体と、モデルの示す色彩を表すために必要な量を所定の変数に応じて減じた色材成分を有する第2単位造形体と、に分離し、単位造形体の表面を構成する6面のうち2面以上が、立体物表面から内側に向けてモデルの示す色彩を表す所定の厚さの彩色層の内外表面を構成する面である場合に第2単位造形体であると判断し、彩色層に第2単位造形体が占める割合に応じて所定の変数を決定する。【選択図】図1

Description

本発明は、立体物造形装置、立体物造形装置の制御装置、立体物造形装置の制御方法および立体物造形装置の制御プログラムに関する。
近年、3Dプリンター等の立体物造形装置が各種提案されている。例えば、特許文献1では立体物造形装置は、インク等の液体を吐出して形成したドットにより、所定の厚さの造形層を形成し、造形層を積層させることで立体物を造形する。
更に、それぞれの造形層の中で、着色される立体造形物の外側面を構成する端部から造形層の内側に、着色する色を発色させる量のカラー造形液を吐出させる彩色層と、彩色層よりも内側に、無色造形液のみを吐出する無色層と、彩色層と無色層の間に、カラー造形液と無色造形液を共に吐出する混合領域と、を形成する。これにより、彩色の施された立体造形物を造形している。
特開2013−075390号公報
しかしながら、ドットの集合として立体物を造形する立体物造形装置では、立体造形物の形状の細やかさはドットのサイズに依存する。従って、特許文献1のように立体造形物の表面に彩色層を形成した場合、立体造形物の彩色層の内外表面にドットによる凹凸が生じ、彩色層の厚さが一定とならず、色むらとして視認される可能性がある。特に、滑らかな表面の立体物を造形する場合はドットによる凹凸が目立ち、立体造形物には色むらが発生して低品質のカラー立体造形物となるという問題があった。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
本適用例にかかる立体物造形装置は、色材成分を含む液体を吐出しドットを形成するヘッドユニットを備えた立体物造形装置であって、造形すべき立体物の形状及び色彩を示すモデルを、所定の直方体形状を有し、1または複数の前記ドットからなる単位造形体の集合で近似する近似手段と、前記単位造形体を、前記モデルの示す色彩を表すために必要な量の前記色材成分を有する第1単位造形体と、前記モデルの示す色彩を表すために必要な量を所定の変数に応じて減じた前記色材成分を有する第2単位造形体と、に分離する分離手段と、前記単位造形体を用いて前記モデルの立体造形物を作成する作成手段と、を備え、前記分離手段は、前記単位造形体の表面を構成する6面のうち2面以上が、立体物表面から内側に向けて前記モデルの示す色彩を表す所定の厚さの彩色層の内外表面を構成する面である場合に前記第2単位造形体であると判断し、前記彩色層に前記第2単位造形体が占める割合に応じて前記所定の変数を決定することを特徴とする。
この発明によれば、モデルの彩色層が第2単位造形体に占める割合によって、モデルが示す色彩の濃度を薄くした第2単位造形体を含む複数の単位造形体により立体物を造形する。そして、彩色層の凹凸のうち凸部分を、第2単位造形体を用いて形成することができる。
即ち、モデルの示す色彩を有する第1単位造形体により形成すると凹凸によって色むらが視認される可能性の高い凹凸部分のうち凸部分を、モデルの示す色彩よりも薄い色の第2単位造形体で形成することができる。このため、凹凸のうち凸部分の色を薄くして、凹凸による彩色層の厚みの差を低減することが可能となる。従って、色むらを抑えた滑らかな表面を有する立体物を造形することが可能となる。
他方、第2単位造形体は、当該第2単位造形体の表面を構成する6面のうち2以上の面が彩色層の内外表面を構成する面であるため、平面を構成する単位造形体を第2単位造形体とすることを防止し、当該単位造形体を第1単位造形体とすることができる。従って、造形される立体物が、モデルの示す色彩と異なる立体造形物であると視認されることを防止することができる。
[適用例2]
本適用例にかかる立体物造形装置は、色材成分を含む液体を吐出しドットを形成するヘッドユニットを備えた立体物造形装置であって、造形すべき立体物の形状及び色彩を示すモデルを所定の直方体形状を有する単位造形体の集合として表すデータであって、前記立体造形物に形成すべき1または複数の前記ドットを指定するデータである指定データが供給されると、前記立体造形物を1または複数の前記ドットで形成し、複数の前記単位造形体を用いて前記立体物が造形されるように、前記ヘッドユニットを制御する制御手段と、前記単位造形体を、前記モデルの示す色彩を表すために必要な量の前記色材成分を有する第1単位造形体と、前記モデルの示す色彩を表すために必要な量を所定の変数に応じて減じた前記色材成分を有する第2単位造形体と、に分離する分離手段と、を備え、前記分離手段は、前記単位造形体の表面を構成する6面のうち2面以上が、立体物表面から内側に向けて前記モデルの示す色彩を表す所定の厚さの彩色層の内外表面を構成する面である場合に前記第2単位造形体であると判断し、前記彩色層に前記第2単位造形体が占める割合に応じて前記所定の変数を決定することを特徴とする。
この発明によれば、モデルの示す色彩を有する第1単位造形体により形成すると凹凸によって色むらが視認される可能性の高い凹凸部分のうち凸部分を、モデルの示す色彩よりも薄い色の第2単位造形体で形成することができる。このため、凹凸のうち凸部分の色を薄くして、凹凸によるカラーの厚みの差を低減することが可能となる。従って、色むらを抑えた滑らかな表面を有する立体物を造形することが可能となる。
[適用例3]
上記適用例にかかる立体物造形装置において、前記第2単位造形体は、前記立体物の前記彩色層の前記内外表面を構成する2面を有し、前記2面は一つの辺を共有することが好ましい。
この発明によれば、立体物の彩色層の内外表面の凹凸のうち凸部分である稜線を、第2単位造形体を用いて形成することができる。このため、立体物の彩色層の内外表面の凹凸のうち凸部分の色を薄くすることが可能となり、色むらを抑えた滑らかな表面を有する立体物を造形することができる。
[適用例4]
上記適用例にかかる立体物造形装置において、前記第2単位造形体の表面を構成する6面のうち、前記彩色層の前記内外表面を構成する面の反対側の面は、前記第1単位造形体と隣り合うことが好ましい。
この発明によれば、モデルの示す色彩よりも薄い色の第2単位造形体が、直線状に連続して形成されることを防止することができる。このため、造形される立体物が、モデルの示す色彩よりも薄い色の物体であると視認されることを防止することができる。
[適用例5]
上記適用例にかかる立体物造形装置において、前記第1単位造形体は、前記色材成分を含む第1の液体からなるドットにより形成され、前記第2単位造形体は、前記色材成分を含む第2の液体からなるドットにより形成され、前記第1の液体に含まれる単位体積あたりの前記色材成分の量は、前記第2の液体に含まれる単位体積あたりの前記色材成分の量よりも多いことが好ましい。
この発明によれば、第1の液体によりモデルの示す色彩と同じ色の第1単位造形体を形成し、第2の液体によりモデルの示す色彩よりも薄い色の第2単位造形体を形成することができる。このため、立体物の表面の凹凸のうち凸部分を、第2の液体からなる第2単位造形体を用いて形成することで、色むらを抑えた滑らかな表面を有する立体物を造形することができる。
[適用例6]
上記適用例にかかる立体物造形装置において、前記第1単位造形体は、前記色材成分を含む第1の液体からなるドットにより形成され、前記第2単位造形体は、前記色材成分を含む第2の液体からなるドット、または、前記色材成分を含む第3の液体からなるドットにより形成され、前記第1の液体に含まれる単位体積あたりの前記色材成分の量は、前記第2の液体に含まれる単位体積あたりの前記色材成分の量よりも多く、前記第2の液体に含まれる単位体積あたりの前記色材成分の量は、前記第3の液体に含まれる単位体積あたりの前記色材成分の量よりも多いことが好ましい。
この発明によれば、立体物の表面の凹凸のうち凸部分を、モデルの示す色彩よりも薄い色の第2の液体または第3の液体からなる第2単位造形体を用いて形成することで、色むらを抑えた滑らかな表面を有する立体物を造形することができる。
[適用例7]
本適用例にかかる立体物造形装置の制御装置は、色材成分を含む液体を吐出しドットを形成するヘッドユニットを備えた立体物造形装置の制御装置であって、造形すべき立体物の形状及び色彩を示すモデルを所定の直方体形状を有する単位造形体の集合として表すデータであって、前記立体造形物に形成すべき1または複数の前記ドットを指定するデータである指定データが供給された場合、前記立体造形物を1または複数の前記ドットで形成し、複数の前記単位造形体を用いて前記立体物が造形されるように、前記ヘッドユニットを制御する制御手段と、各単位造形体を、前記モデルの示す色彩を表すために必要な量の前記色材成分を有する第1単位造形体と、前記モデルの示す色彩を表すために必要な量を所定の変数に応じて減じた前記色材成分を有する第2単位造形体と、に分離する分離手段と、を備え、前記分離手段は、前記単位造形体の表面を構成する6面のうち2以上の面が、立体物表面から内側に向けて前記モデルの示す色彩を表す所定の厚さの彩色層の内外表面を構成する面である場合、第2単位造形体であると判断し、前記彩色層に前記第2単位造形体が占める割合によって前記所定の変数を決定することを特徴とする。
この発明によれば、モデルの示す色彩を有する第1単位造形体により形成すると凹凸によって色むらが視認される可能性の高い凹凸部分のうち凸部分を、モデルの示す色彩よりも薄い色の第2単位造形体で形成することができる。このため、凹凸のうち凸部分の色を薄くして、凹凸によるカラーの厚みの差を低減することが可能となる。従って、色むらを抑えた滑らかな表面を有する立体物を造形することが可能となる。
[適用例8]
本適用例にかかる立体物造形装置の制御方法は、色材成分を含む液体を吐出しドットを形成するヘッドユニットを備えた立体物造形装置の制御方法であって、造形すべき立体物の形状及び色彩を示すモデルを所定の直方体形状を有する単位造形体の集合として表すデータであって、前記立体造形物に形成すべき1または複数の前記ドットを指定するデータである指定データが供給された場合、前記立体造形物を1または複数の前記ドットで形成し、複数の前記単位造形体を用いて前記立体物が造形されるように、前記ヘッドユニットを制御する制御工程と、各単位造形体を、前記モデルの示す色彩を表すために必要な量の前記色材成分を有する第1単位造形体と、前記モデルの示す色彩を表すために必要な量を所定の変数によって少なくした前記色材成分を有する第2単位造形体と、に分離する分離工程と、を備え、前記分離工程は、前記単位造形体の表面を構成する6面のうち2以上の面が、立体物表面から内側に向けて前記モデルの示す色彩を表す所定の厚さの彩色層の内外表面を構成する面である場合、第2単位造形体であると判断し、前記彩色層に前記第2単位造形体が占める割合によって前記所定の変数を決定することを特徴とする。
この発明によれば、モデルの示す色彩を有する第1単位造形体により形成すると凹凸によって色むらが視認される可能性の高い凹凸部分のうち凸部分を、モデルの示す色彩よりも薄い色の第2単位造形体で形成することができる。このため、凹凸のうち凸部分の色を薄くして、凹凸によるカラーの厚みの差を低減することが可能となる。従って、色むらを抑えた滑らかな表面を有する立体物を造形することが可能となる。
[適用例9]
本適用例にかかる立体物造形装置の制御プログラムは、色材成分を含む液体を吐出しドットを形成するヘッドユニットを備えた立体物造形装置の制御プログラムであって、造形すべき立体物の形状及び色彩を示すモデルを所定の直方体形状を有する単位造形体の集合として表すデータであって、前記立体造形物に形成すべき1または複数の前記ドットを指定するデータである指定データが供給された場合、前記立体造形物を1または複数の前記ドットで形成し、複数の前記単位造形体を用いて前記立体物が造形されるように、前記ヘッドユニットを制御する制御機能と、各単位造形体を、前記モデルの示す色彩を表すために必要な量の前記色材成分を有する第1単位造形体と、前記モデルの示す色彩を表すために必要な量を所定の変数によって少なくした前記色材成分を有する第2単位造形体と、に分離する分離機能と、をコンピューターに実行させ、前記分離機能は、単位造形体の表面を構成する6面のうち2以上の面が、立体物表面から内側に向けて前記モデルの示す色彩を表す所定の厚さの彩色層の内外表面を構成する面である場合、第2単位造形体であると判断し、前記彩色層に前記第2単位造形体が占める割合によって前記所定の変数を決定することを特徴とする。
この発明によれば、モデルの示す色彩を有する第1単位造形体により形成すると凹凸によって色むらが視認される可能性の高い凹凸部分のうち凸部分を、モデルの示す色彩よりも薄い色の第2単位造形体で形成することができる。このため、凹凸のうち凸部分の色を薄くして、凹凸によるカラーの厚みの差を低減することが可能となる。従って、色むらを抑えた滑らかな表面を有する立体物を造形することが可能となる。
本発明の実施形態に係る立体物造形システムの構成を示すブロック図。 立体物造形システムによる立体物の造形を説明するための図。 立体物造形装置の概略的な断面図。 記録ヘッドの概略的な断面図。 駆動信号供給時における吐出部の動作を説明するための説明図。 記録ヘッドにおけるノズルの配置例を示す平面図。 駆動信号生成部の構成を示すブロック図。 選択信号の内容を示す説明図。 駆動波形信号の波形を表すタイミングチャート。 データ生成処理及び造形処理を示すフローチャート。 立体物を説明するための説明図。 形状補完処理を示すフローチャート。 指定データ生成処理を示すフローチャート。 エッジブロックを説明するための説明図。 エッジブロックを説明するための説明図。 充填率を説明するための説明図。 充填率から色の薄さの決定を説明するための説明図。 造形体データと指定データとの関係を説明するための説明図。 造形処理を示すフローチャート。 立体物造形システムによる立体物の造形を説明するための説明図。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
(実施形態)
本実施形態では、立体物造形装置として、樹脂エマルジョンを含むレジンインクや、紫外線硬化型インク等の、硬化性インク(「液体」の一例)を吐出して立体物Objを造形する、インクジェット式の立体物造形装置を例示して説明する。
<1.立体物造形システムの構成>
以下、図1乃至図9を参照しつつ、本実施形態に係る立体物造形装置1を具備する立体物造形システム100の構成について説明する。
図1は、立体物造形システム100の構成を示す機能ブロック図である。
図1に示すように、立体物造形システム100は、インクを吐出し、吐出したインクにより形成されるドットにより所定の厚さΔZの層状の造形体LYを形成し、造形体LYを積層することで立体物(立体造形物)Objを造形する造形処理を実行する立体物造形装置1と、立体物造形装置1が造形する立体物Objを構成する複数の造形体LYの各々の形状及び色彩を指定する指定データSDを生成するデータ生成処理を実行するホストコンピューター9と、を備える。
<1.1.ホストコンピューターについて>
図1に示すように、ホストコンピューター9は、ホストコンピューター9の各部の動作を制御するCPU(図示省略)と、ディスプレイ等の表示部(図示省略)と、キーボードやマウス等の操作部91と、ホストコンピューター9の制御プログラム、立体物造形装置1のドライバープログラム、及び、CAD(computer aided design)ソフト等のアプリケーションプログラムを記憶する情報記憶部(図示省略)と、モデルデータDatを生成するモデルデータ生成部92と、モデルデータDatに基づいて指定データSDを生成するデータ生成処理を実行する指定データ生成部93と、を備える。
ここで、モデルデータDatとは、立体物造形装置1が造形すべき立体物Objを表すモデルの形状及び色彩を示すデータであり、立体物Objの形状及び色彩を指定するためのデータである。なお、以下において、立体物Objの色彩には、立体物Objに複数色が付される場合における当該複数色の付され方、すなわち、立体物Objに付される複数色により表される模様、文字、その他の画像も含むこととする。
モデルデータ生成部92は、ホストコンピューター9のCPUが情報記憶部に記憶されているアプリケーションプログラムを実行することにより実現される機能ブロックである。このモデルデータ生成部92は、例えばCADアプリケーションであり、立体物造形システム100の利用者が操作部91を操作して入力した情報等に基づいて、立体物Objの形状及び色彩を表すためのモデルを示すモデルデータDatを生成する。
本実施形態では、モデルデータDatが、立体物Objの外部形状を指定する場合を想定する。換言すれば、モデルデータDatが、立体物Objを中空の物体であると仮定した場合の当該中空の物体の形状、すなわち、立体物Objのモデルの輪郭である外面SFの形状を指定するデータである場合を想定する。例えば、立体物Objが球体である場合には、モデルデータDatは当該球体の輪郭である球面の形状を指定する。
但し、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、モデルデータDatは、少なくとも立体物Objのモデルの外面SFの形状を特定可能な情報を含むものであればよい。例えば、モデルデータDatは、立体物Objのモデルの外面SFの形状及び立体物Objの色彩に加えて、立体物Objのモデルの外面SFより内側の形状や、立体物Objの材料等を指定するものであってもよい。
モデルデータDatとしては、例えば、AMF(Additive Manufacturing File Format)、または、STL(Standard Triangulated Language)等のデータ形式を例示することができる。
指定データ生成部93は、ホストコンピューター9のCPUが情報記憶部に記憶されている立体物造形装置1のドライバープログラムを実行することにより実現される機能ブロックである。指定データ生成部93は、モデルデータ生成部92が生成するモデルデータDatに基づいて、立体物造形装置1が形成する造形体LYの形状及び色彩を指定する指定データSDを生成するデータ生成処理を実行する。
尚、図示は略すが、本実施形態では、指定データ生成部93は、近似手段、分離手段および作成手段を含む。
なお、以下では、立体物Objが、Q個の層状の造形体LYを積層させることで造形される場合を想定する(Qは、Q≧2を満たす自然数)。また、立体物造形装置1が造形体LYを形成する処理を積層処理と称する。すなわち、立体物造形装置1が立体物Objを造形する造形処理は、Q回の積層処理を含む。以下では、造形処理に含まれるQ回の積層処理のうちq回目の積層処理で形成される造形体LYを造形体LY[q]と称し、造形体LY[q]の形状及び色彩を指定する指定データSDを指定データSD[q]と称する(qは、1≦q≦Qを満たす自然数)。
図2は、モデルデータDatの指定する立体物Objのモデルの外面SFの形状と、指定データSDを用いて形成される造形体LYと、の関係を説明するための説明図である。
図2(A)及び(B)に示すように、指定データ生成部93は、所定の厚さΔZを有する造形体LY[1]〜LY[Q]の形状及び色彩を指定する指定データSD[1]〜SD[Q]を生成するために、まず、モデルデータDatの示す三次元の形状のモデルの外面SFを所定の厚さΔZ毎にスライスすることで、造形体LY[1]〜LY[Q]と1対1に対応する断面モデルデータLdat[1]〜Ldat[Q]を生成する。ここで、断面モデルデータLdatとは、モデルデータDatの示す三次元の形状のモデルをスライスして得られる断面体の形状及び色彩を示すデータである。但し、断面モデルデータLdatは、モデルデータDatの示す三次元の形状のモデルをスライスしたときの断面の形状及び色彩を含むデータであればよい。なお、図2(A)は、1回目の積層処理で形成される造形体LY[1]に対応する断面モデルデータLdat[1]を例示し、図2(B)は、2回目の積層処理で形成される造形体LY[2]に対応する断面モデルデータLdat[2]を例示している。
次に、指定データ生成部93は、断面モデルデータLdat[q]の示す形状及び色彩に対応する造形体LY[q]を形成するために、立体物造形装置1が形成すべきドットの配置を決定し、決定結果を、指定データSDとして出力する。より具体的には、指定データ生成部93は、断面モデルデータLdat[q]に基づいて造形体データFD[q]を生成し、造形体データFD[q]に基づいて指定データSD[q]を生成する。
ここで、造形体データFD[q]とは、断面モデルデータLdat[q]の示す立体物Objのモデルの断面体の形状及び色彩を格子状に細分化することで、断面モデルデータLdat[q]の示す立体物Objのモデルの断面体の形状及び色彩をボクセルVxの集合として表すデータである。
また、指定データSD[q]とは、複数のボクセルVxの各々に形成すべきドットを指定するデータである。すなわち、指定データSDは、立体物Objを造形するために形成すべきドットの色及びサイズを指定するデータである。例えば、指定データSDは、ドットの色を、当該ドットを形成するインクの種類により指定すればよい。なお、インクの種類については後述する。
ボクセルVxとは、所定サイズの直方体であり、所定の厚さΔZを有し、所定体積を有する直方体である。なお、本明細書では、直方体が、立方体を含む概念として説明する。
本実施形態において、ボクセルVxの体積及びサイズは、立体物造形装置1が形成可能なドットのサイズに応じて定められる。以下では、造形体LY[q]に対応するボクセルVxを、ボクセルVxqと称する場合がある。
また、以下では、立体物Objを構成する造形体LYの構成要素であって、1個のボクセルVxに対応して形成された、所定体積を有する所定の厚さΔZの構成要素をブロックBL(「単位造形体」の一例)と称する。詳細は後述するが、ブロックBLは、1または複数のドットにより構成される。換言すれば、ブロックBLとは、1個のボクセルVxを満たすように形成された、1または複数のドットである。すなわち、本実施形態において、指定データSDは、各ボクセルVxに、1または複数のドットを形成すべきことを指定する。
なお、上述の通り、立体物造形システム100は、モデルデータ生成部92の生成するモデルデータDatの示す立体物Objのモデルを格子状に細分化することで、直方体形状のブロックBLの集合として立体物Objを造形する。このため、厳密には(微視的な観点で言えば)、立体物Objの形状と、モデルデータDatの示す立体物Objのモデルの形状とは、相違する。換言すれば、モデルデータDatの示す立体物Objのモデルの外面SFと、立体物造形装置1により実際に造形される立体物Objの表面の形状とは、相違する(後述する図18参照)。例えば、モデルデータDatの示すモデルの外面SFの形状が滑らかな曲面であっても、微視的には、立体物造形装置1が造形する立体物Objの表面は凹凸な形状となる場合がある。
図2(C)及び(D)に示すように、立体物造形装置1は、指定データ生成部93から指定データSD[q]が供給されると、造形体LY[q]を形成する積層処理を実行する。図2(C)は、断面モデルデータLdat[1]から生成された指定データSD[1]に基づいて、造形台45(図3参照)上に第1番目の造形体LY[1]が形成された場合を例示し、図2(D)は、断面モデルデータLdat[2]から生成された指定データSD[2]に基づいて、造形体LY[1]上に第2番目の造形体LY[2]が形成された場合を例示している。
そして、立体物造形装置1は、指定データSD[1]〜SD[Q]に対応してされる造形体LY[1]〜LY[Q]を順番に積層させることで、図2(E)に示す立体物Objを造形する。
上述のとおり、本実施形態に係るモデルデータDatは、立体物Objのモデルの外面SFの形状(輪郭の形状)を指定する。このため、モデルデータDatの示す形状を有する立体物Objを忠実に造形した場合、立体物Objの形状は、厚みを有さない輪郭だけの中空形状となる。しかし、立体物Objを造形する場合には、立体物Objの強度等を考慮して、外面SFよりも内側の形状を決定することが好ましい。具体的には、立体物Objを造形する場合には、立体物Objの外面SFよりも内側の領域の一部または全部が中実構造であることが好ましい。
このため、本実施形態に係る指定データ生成部93は、図2に示すように、モデルデータDatの指定する形状が中空形状であるか否かに関わらず、外面SFよりも内側の領域の一部または全部が中実構造となるような断面モデルデータLdatを生成する。
以下では、データ生成処理のうち、モデルデータDatの示すモデルの形状の中空部分を補完して、当該中空部分の一部または全部が中実構造となる形状を示す断面モデルデータLdatを生成する処理を、形状補完処理と称する。なお、形状補完処理と、形状補完処理により生成される断面モデルデータLdatが指定する外面SFよりも内側の構造と、についての詳細は、後述する。
ところで、図2に示す例では、2回目の積層処理で形成される造形体LY[2]を構成するボクセルVx2の下側(−Z方向)に、1回目の積層処理で形成される造形体LY[1]を構成するボクセルVx1が存在する。しかし、立体物Objの形状によっては、ボクセルVx2の下側にボクセルVx1が存在しない場合がある。このような場合、ボクセルVx2にドットを形成しようとしても、当該ドットが下側に落下してしまう可能性がある。よって、「q≧2」である場合、造形体LY[q]を構成するためのドットを本来形成されるべきボクセルVxqに形成するためには、当該ボクセルVxqの下側の少なくとも一部に、当該ボクセルVxqに形成されるドットを支持するための支持部を設ける必要がある。
そこで、本実施形態では、断面モデルデータLdatが、立体物Objの他に、立体物Objを造形する際に必要となる支持部の形状を定めるデータを含むこととする。つまり、本実施形態において、造形体LY[q]には、立体物Objのうちq回目の積層処理で形成すべき部分と、支持部のうちq回目の積層処理で形成すべき部分と、の双方が含まれる。換言すれば、指定データSD[q]は、立体物Objのうち造形体LY[q]として形成される部分の形状及び色彩をボクセルVxqの集合として表したデータと、支持部のうち造形体LY[q]として形成される部分の形状をボクセルVxqの集合として表したデータと、を含む。
本実施形態に係る指定データ生成部93は、モデルデータDatに基づいて、ボクセルVxqの形成のために支持部を設ける必要があるか否かを判定する。そして、指定データ生成部93は、当該判定の結果が肯定である場合には、立体物Objの他に支持部が設けられるような断面モデルデータLdatを生成する。
なお、支持部は、立体物Objの造形後に容易に除去することのできる材料、例えば、水溶性のインク、または、立体物Objを造形するインクよりも低い融点のインク等で構成されることが好ましい。
<1.2.立体物造形装置について>
次に、図1に加え図3を参照しつつ、立体物造形装置1について説明する。図3は、立体物造形装置1の構造の概略を示す斜視図である。
図1及び図3に示すように、立体物造形装置1は、筐体40と、造形台45と、立体物造形装置1の各部の動作を制御する制御部6(「造形制御部」と称する場合がある)と、造形台45に向かってインクを吐出する吐出部Dを具備する記録ヘッド30が設けられたヘッドユニット3と、造形台45の上に吐出されたインクを硬化させる硬化ユニット61と、インクを貯蔵する6個のインクカートリッジ48と、ヘッドユニット3及びインクカートリッジ48を搭載するキャリッジ41と、筐体40に対するヘッドユニット3、造形台45、及び、硬化ユニット61の位置を変化させるための位置変化機構7と、立体物造形装置1の制御プログラムやその他の各種情報を記憶する記憶部60と、を備える。
なお、制御部6及び指定データ生成部93は、立体物造形システム100の各部の動作を制御するシステム制御部101として機能する。
硬化ユニット61は、造形台45の上に吐出されたインクを硬化させるための構成要素であり、例えば、紫外線硬化型インクに対して紫外線を照射するための光源や、レジンインクを加熱するための加熱器等を例示することができる。硬化ユニット61が紫外線の光源である場合、硬化ユニット61は、例えば造形台45の上側(+Z方向)に設けられ、一方、硬化ユニット61が加熱器である場合、硬化ユニット61は、例えば造形台45に内蔵され、または、造形台45の下側に設けられればよい。以下では、硬化ユニット61が紫外線の光源である場合を想定し、硬化ユニット61が造形台45の+Z方向に位置する場合を想定して説明する。
6個のインクカートリッジ48は、立体物Objを造形するための5色の造形用インクと、支持部を形成するための支持用インクと、の合計6種類のインクと1対1に対応して設けられたものである。各インクカートリッジ48には、当該インクカートリッジ48に対応する種類のインクが貯蔵されている。
立体物Objを造形するための5色の造形用インクには、有彩色の色材成分を有する有彩色インクと、無彩色の色材成分を有する無彩色インクと、有彩色インク及び無彩色インクと比較して単位重量または単位体積あたりの色材成分の含有量が少ないクリアー(CL)インクと、が含まれる。
本実施形態では、有彩色インクとして、シアン(CY)、マゼンタ(MG)、及び、イエロー(YL)の3色のインクを採用する。
また、本実施形態では、無彩色インクとして、ホワイト(WT)のインクを採用する。本実施形態に係るホワイトインクとは、可視光の波長領域(概ね、400nm〜700nm)に属する波長を有する光がホワイトインクに照射された場合において、当該照射された光のうち、所定の割合以上の光を反射するインクである。なお、「所定の割合以上の光を反射する」とは、「所定の割合未満の光を吸収または透過する」ことと同義であり、例えば、ホワイトインクに照射される光の光量に対する、ホワイトインクで反射される光の光量の比率が、所定の割合以上である場合が該当する。本実施形態において、「所定の割合」とは、例えば、30%以上で且つ100%以下の任意の割合であればよく、好ましくは、50%以上の任意の割合、より好ましくは、80%以上の任意の割合である。
また、本実施形態において、クリアーインクは、有彩色インク及び無彩色インクと比較して、色材成分の含有量が少なく透明度の高いインクである。
なお、各インクカートリッジ48は、キャリッジ41に搭載される代わりに、立体物造形装置1の別の場所に設けられるものであってもよい。
図1及び図3に示すように、位置変化機構7は、造形台45を+Z方向及び−Z方向(以下、+Z方向及び−Z方向を「Z軸方向」と総称する場合がある)に昇降させる造形台昇降機構79aを駆動するための昇降機構駆動モーター71と、キャリッジ41をガイド79bに沿って+Y方向及び−Y方向(以下、+Y方向及び−Y方向を「Y軸方向」と総称する場合がある)に移動させるためのキャリッジ駆動モーター72と、キャリッジ41をガイド79cに沿って+X方向及び−X方向(以下、+X方向及び−X方向を「X軸方向」と総称する場合がある)に移動させるためのキャリッジ駆動モーター73と、硬化ユニット61をガイド79dに沿って+X方向及び−X方向に移動させるための硬化ユニット駆動モーター74と、を備える。
また、位置変化機構7は、昇降機構駆動モーター71を駆動するためのモータードライバー75と、キャリッジ駆動モーター72を駆動するためのモータードライバー76と、キャリッジ駆動モーター73を駆動するためのモータードライバー77と、硬化ユニット駆動モーター74を駆動するためのモータードライバー78と、を備える。
記憶部60は、ホストコンピューター9から供給される指定データSDを格納する不揮発性半導体メモリーの一種であるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)と、立体物Objを造形する造形処理等の各種処理を実行する際に必要なデータを一時的に格納し、あるいは造形処理等の各種処理が実行されるように立体物造形装置1の各部を制御するための制御プログラムを一時的に展開するRAM(Random Access Memory)と、制御プログラムを格納する不揮発性半導体メモリーの一種であるPROMと、を備える。
制御部6は、CPU(Central Processing Unit)やFPGA(field-programmable gate array)等を含んで構成され、当該CPU等が記憶部60に記憶されている制御プログラムに従って動作することで、立体物造形装置1の各部の動作を制御する。本実施形態では、制御部6は制御手段に相当する。
制御部6は、ホストコンピューター9から指定データSDが供給された場合、ヘッドユニット3及び位置変化機構7の動作を制御することにより、造形台45上にモデルデータDatに応じた立体物Objを造形する造形処理の実行を制御する。
具体的には、制御部6は、まず、ホストコンピューター9から供給される指定データSDを記憶部60に格納する。次に、制御部6は、指定データSD等の記憶部60に格納されている各種データに基づいて、ヘッドユニット3の動作を制御して吐出部Dを駆動させるための駆動波形信号Com及び波形指定信号SIを含む各種信号を生成し、これら生成した信号を出力する。また、制御部6は、指定データSD等の記憶部60に格納されている各種データに基づいて、モータードライバー75〜78の動作を制御するための各種信号を生成し、これら生成した信号を出力する。
なお、駆動波形信号Comはアナログの信号である。このため、制御部6は、図示省略したDA変換回路を含み、制御部6が備えるCPU等において生成されるデジタルの駆動波形信号を、アナログの駆動波形信号Comに変換したうえで、出力する。
このように、制御部6は、モータードライバー75、76、及び、77の制御を介して、造形台45に対するヘッドユニット3の相対位置を制御し、モータードライバー75、及び、78の制御を介して、造形台45に対する硬化ユニット61の相対位置を制御する。また、制御部6は、ヘッドユニット3の制御を介して、吐出部Dからのインクの吐出の有無、インクの吐出量、及び、インクの吐出タイミング等を制御する。
これにより、制御部6は、造形台45上に吐出されたインクにより形成されるドットサイズ及びドット配置を調整しつつ造形台45上にドットを形成し、造形台45上に形成されたドットを硬化させて造形体LYを形成する積層処理の実行を制御する。更に、制御部6は、積層処理を繰り返し実行することで、既に形成された造形体LYの上に新たな造形体LYを積層し、これにより、モデルデータDatに対応する立体物Objを形成する造形処理の実行を制御する。
図1に示すように、ヘッドユニット3は、M個の吐出部Dを具備する記録ヘッド30と、吐出部Dを駆動するための駆動信号Vinを生成する駆動信号生成部31と、を備える(Mは、1以上の自然数)。
以下では、記録ヘッド30に設けられるM個の吐出部Dの各々を区別するために、順番に、1段、2段、…、M段と称することがある。また、以下では、記録ヘッド30に設けられるM個の吐出部Dのうちm段の吐出部Dを、吐出部D[m]と表現する場合がある(mは、1≦m≦Mを満たす自然数)。また、以下では、駆動信号生成部31が生成する駆動信号Vinのうち、吐出部D[m]を駆動するための駆動信号Vinを駆動信号Vin[m]と表現する場合がある。なお、駆動信号生成部31の詳細については、後述する。
<1.3.記録ヘッドについて>
次に、図4乃至図6を参照しつつ、記録ヘッド30と、記録ヘッド30に設けられる吐出部Dと、について説明する。
図4は、記録ヘッド30の、概略的な一部断面図の一例である。なお、この図では、図示の都合上、記録ヘッド30のうち、当該記録ヘッド30が有するM個の吐出部Dの中の1個の吐出部Dと、当該1個の吐出部Dにインク供給口360を介して連通するリザーバ350と、インクカートリッジ48からリザーバ350にインクを供給するためのインク取り入れ口370と、を示している。
図4に示すように、吐出部Dは、圧電素子300と、インクが充填されたキャビティ320と、キャビティ320に連通するノズルNと、振動板310と、を備える。吐出部Dは、圧電素子300が駆動信号Vinにより駆動されることにより、キャビティ320内のインクをノズルNから吐出させる。キャビティ320は、凹部を有するような所定の形状に成形されたキャビティプレート340と、ノズルNが形成されたノズルプレート330と、振動板310と、により区画される空間である。キャビティ320は、インク供給口360を介してリザーバ350と連通している。リザーバ350は、インク取り入れ口370を介して1個のインクカートリッジ48と連通している。
本実施形態では、圧電素子300として、例えば、図4に示すようなユニモルフ(モノモルフ)型を採用する。なお、圧電素子300は、ユニモルフ型に限らず、バイモルフ型や積層型など、圧電素子300を変形させてインク等の液体を吐出させることができるものであれば良い。
圧電素子300は、下部電極301と、上部電極302と、下部電極301及び上部電極302の間に設けられた圧電体303と、を有する。そして、下部電極301の電位が所定の基準電位VSSに設定され、上部電極302に駆動信号Vinが供給されることで、下部電極301及び上部電極302の間に電圧が印加されると、当該印加された電圧に応じて圧電素子300が図において上下方向に撓み(変位し)、その結果、圧電素子300が振動する。
キャビティプレート340の上面開口部には、振動板310が設置され、振動板310には、下部電極301が接合されている。このため、圧電素子300が駆動信号Vinにより振動すると、振動板310も振動する。そして、振動板310の振動によりキャビティ320の容積(キャビティ320内の圧力)が変化し、キャビティ320内に充填されたインクがノズルNより吐出される。インクの吐出によりキャビティ320内のインクが減少した場合、リザーバ350からインクが供給される。また、リザーバ350へは、インクカートリッジ48からインク取り入れ口370を介してインクが供給される。
図5は、吐出部Dからのインクの吐出動作を説明するための説明図である。図5(a)に示す状態において、吐出部Dが備える圧電素子300に対して駆動信号生成部31から駆動信号Vinが供給されると、当該圧電素子300において、電極間に印加された電界に応じた歪が発生し、当該吐出部Dの振動板310は図において上方向へ撓む。これにより、図5(a)に示す初期状態と比較して、図5(b)に示すように、当該吐出部Dのキャビティ320の容積が拡大する。図5(b)に示す状態において、駆動信号Vinの示す電位を変化させると、振動板310は、その弾性復元力によって復元し、初期状態における振動板310の位置を越えて図において下方向に移動し、図5(c)に示すようにキャビティ320の容積が急激に収縮する。このときキャビティ320内に発生する圧縮圧力により、キャビティ320を満たすインクの一部が、このキャビティ320に連通しているノズルNからインク滴として吐出される。
図6は、+Z方向または−Z方向から立体物造形装置1を平面視した場合の、記録ヘッド30に設けられたM個のノズルNの配置の一例を説明するための説明図である。
図6に示すように、記録ヘッド30には、複数のノズルNからなるノズル列Ln-CYと、複数のノズルNからなるノズル列Ln-MGと、複数のノズルNからなるノズル列Ln-YLと、複数のノズルNからなるノズル列Ln-WTと、複数のノズルNからなるノズル列Ln-CLと、複数のノズルNからなるノズル列Ln-SPと、からなる6列のノズル列Lnが設けられている。
ここで、ノズル列Ln-CYに属するノズルNは、シアン(CY)のインクを吐出する吐出部Dに設けられたノズルNであり、ノズル列Ln-MGに属するノズルNは、マゼンタ(MG)のインクを吐出する吐出部Dに設けられたノズルNであり、ノズル列Ln-YLに属するノズルNは、イエロー(YL)のインクを吐出する吐出部Dに設けられたノズルNであり、ノズル列Ln-WTに属するノズルNは、ホワイト(WT)のインクを吐出する吐出部Dに設けられたノズルNであり、ノズル列Ln-CLに属するノズルNは、クリアー(CL)のインクを吐出する吐出部Dに設けられたノズルNであり、ノズル列Ln-SPに属するノズルNは、支持用インクを吐出する吐出部Dに設けられたノズルNである。
なお、本実施形態では、図6に示すように、各ノズル列Lnを構成する複数のノズルNがX軸方向に一列に整列するように配置される場合を例示しているが、例えば、各ノズル列Lnを構成する複数のノズルNのうち一部のノズルN(例えば、偶数番目のノズルN)と、その他のノズルN(例えば、奇数番目のノズルN)とのY軸方向の位置が異なる、所謂千鳥状に配列されるものであってもよい。
また、各ノズル列Lnにおいて、ノズルN間の間隔(ピッチ)は、印刷解像度(dpi:dot per inch)に応じて適宜設定され得る。
<1.4.駆動信号生成部について>
次に、図7乃至図9を参照しつつ、駆動信号生成部31の構成及び動作について説明する。
図7は、駆動信号生成部31の構成を示すブロック図である。
図7に示すように、駆動信号生成部31は、シフトレジスタSR、ラッチ回路LT、デコーダーDC、及び、トランスミッションゲートTGからなる組を、記録ヘッド30に設けられたM個の吐出部Dと1対1に対応するように、M個有する。以下では、駆動信号生成部31及び記録ヘッド30が備えるこれらM個の組を構成する各要素を、図において上から順番に、1段、2段、…、M段と称することがある。
駆動信号生成部31には、制御部6から、クロック信号CLK、波形指定信号SI、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及び、駆動波形信号Comが供給される。
波形指定信号SIは、指定データSDに基づいて定められる、吐出部Dからのインクの吐出の有無及び吐出部Dが吐出すべきインク量を指定するデジタルの信号であり、波形指定信号SI[1]〜SI[M]を含む。
このうち、波形指定信号SI[m]は、吐出部D[m]からのインクの吐出の有無、及び、吐出されるインク量を、上位ビットb1及び下位ビットb2の2ビットで規定する。具体的には、波形指定信号SI[m]は、吐出部D[m]に対して、大ドットに相当する量のインクの吐出、中ドットに相当する量のインクの吐出、小ドットに相当する量のインクの吐出、または、インクの非吐出、のうち、いずれか1つを指定する。
シフトレジスタSRのそれぞれは、波形指定信号SI(SI[1]〜SI[M])のうち、各段に対応する2ビットの波形指定信号SI[m]を、一旦保持する。詳細には、M個の吐出部D[1]〜D[M]に1対1に対応する、1段、2段、…、M段のM個のシフトレジスタSRが互いに縦続接続されるとともに、シリアルで供給された波形指定信号SIが、クロック信号CLKに従って順次後段に転送される。そして、M個のシフトレジスタSRの全てに波形指定信号SIが転送された場合に、M個のシフトレジスタSRのそれぞれが波形指定信号SIのうち自身に対応する2ビット分の波形指定信号SI[m]を保持する。
M個のラッチ回路LTのそれぞれは、ラッチ信号LATが立ち上がるタイミングで、M個のシフトレジスタSRのそれぞれに保持された各段に対応する2ビット分の波形指定信号SI[m]を一斉にラッチする。
ところで、立体物造形装置1が造形処理を実行する期間である動作期間は、複数の単位期間Tuから構成される。また、本実施形態では、各単位期間Tuは、3個の制御期間Ts(Ts1〜Ts3)からなる。なお、本実施形態では、3個の制御期間Ts1〜Ts3は、互いに等しい時間長を有することとする。詳細は後述するが、単位期間Tuは、ラッチ信号LATにより規定され、制御期間Tsは、ラッチ信号LAT及びチェンジ信号CHにより規定される。
制御部6は、駆動信号生成部31に対して、単位期間Tuが開始されるよりも前のタイミングで波形指定信号SIを供給する。そして、制御部6は、駆動信号生成部31の各ラッチ回路LTに対して、単位期間Tu毎に波形指定信号SI[m]がラッチされるように、ラッチ信号LATを供給する。
m段のデコーダーDCは、m段のラッチ回路LTによってラッチされた2ビット分の波形指定信号SI[m]をデコードし、制御期間Ts1〜Ts3のそれぞれにおいて、ハイレベル(Hレベル)またはローレベル(Lレベル)のいずれかのレベルに設定された選択信号Sel[m]を出力する。
図8は、デコーダーDCが行うデコードの内容を説明するための説明図である。
この図に示すように、m段のデコーダーDCは、波形指定信号SI[m]の示す内容が(b1、b2)=(1、1)であれば、制御期間Ts1〜Ts3において選択信号Sel[m]をHレベルに設定し、波形指定信号SI[m]の示す内容が(b1、b2)=(1、0)であれば、制御期間Ts1、Ts2において選択信号Sel[m]をHレベルに設定し、制御期間Ts3において選択信号Sel[m]をLレベルに設定し、波形指定信号SI[m]の示す内容が(b1、b2)=(0、1)であれば、制御期間Ts1において選択信号Sel[m]をHレベルに設定し、制御期間Ts2、Ts3において選択信号Sel[m]をLレベルに設定し、波形指定信号SI[m]の示す内容が(b1、b2)=(0、0)であれば、制御期間Ts1〜Ts3において選択信号Sel[m]をLレベルに設定する。
図7に示すように、駆動信号生成部31が備える、M個のトランスミッションゲートTGは、記録ヘッド30が備えるM個の吐出部Dと1対1に対応するように設けられる。
m段のトランスミッションゲートTGは、m段のデコーダーDCから出力される選択信号Sel[m]がHレベルのときにオンし、Lレベルのときにオフする。各トランスミッションゲートTGの一端には、駆動波形信号Comが供給される。m段のトランスミッションゲートTGの他端は、m段の出力端OTNに電気的に接続されている。
選択信号Sel[m]がHレベルとなり、m段のトランスミッションゲートTGがオンする場合、m段の出力端OTNから吐出部D[m]に対して、駆動波形信号Comが駆動信号Vin[m]として供給される。
なお、詳細は後述するが、本実施形態では、トランスミッションゲートTGがオンからオフに切り替わるタイミング(つまり、制御期間Ts1〜Ts3の開始及び終了のタイミング)における駆動波形信号Comの電位を基準電位V0としている。このため、トランスミッションゲートTGがオフする場合、吐出部D[m]の圧電素子300が有する容量等により、出力端OTNの電位は基準電位V0に維持されることになる。以下では、説明の便宜上、トランスミッションゲートTGがオフする場合には、駆動信号Vin[m]の電位が基準電位V0に維持されることとして説明する。
以上において説明したように、制御部6は、各吐出部Dに対して単位期間Tu毎に駆動信号Vinが供給されるように、駆動信号生成部31を制御する。これにより、各吐出部Dは、単位期間Tu毎に、波形指定信号SIに基づいて定められる波形指定信号SIの示す値に応じた量のインクを吐出し、造形台45上にドットを形成することができる。
図9は、各単位期間Tuにおいて制御部6が駆動信号生成部31に供給する各種信号を説明するためのタイミングチャートである。
図9に例示するように、ラッチ信号LATは、パルス波形Pls-Lを含み、当該パルス波形Pls-Lにより単位期間Tuが規定される。また、チェンジ信号CHは、パルス波形Pls-Cを含み、当該パルス波形Pls-Cにより単位期間Tuが制御期間Ts1〜Ts3に区分される。また、図示は省略するが、制御部6は、単位期間Tu毎に、波形指定信号SIを、クロック信号CLKに同期させて、駆動信号生成部31に対してシリアルで供給する。
また、図9に例示するように、駆動波形信号Comは、制御期間Ts1に配置された波形PL1と、制御期間Ts2に配置された波形PL2と、制御期間Ts3に配置された波形PL3と、を含む。以下では、波形PL1〜PL3を波形PLと総称する場合がある。また、本実施形態において、駆動波形信号Comの電位は、各制御期間Tsの開始または終了のタイミングにおいて、基準電位V0に設定される。
駆動信号生成部31は、一の制御期間Tsにおいて、選択信号Sel[m]がHレベルである場合には、駆動波形信号Comのうち当該一の制御期間Tsに配置される波形PLを、駆動信号Vin[m]として吐出部D[m]に供給する。逆に、駆動信号生成部31は、一の制御期間Tsにおいて、選択信号Sel[m]がLレベルである場合には、基準電位V0に設定された駆動波形信号Comを、駆動信号Vin[m]として吐出部D[m]に供給する。
よって、駆動信号生成部31が、単位期間Tuにおいて、吐出部D[m]に供給する駆動信号Vin[m]は、波形指定信号SI[m]の示す値が(b1、b2)=(1、1)であれば、波形PL1〜PL3を有する信号となり、波形指定信号SI[m]の示す値が(b1、b2)=(1、0)であれば、波形PL1及びPL2を有する信号となり、波形指定信号SI[m]の示す値が(b1、b2)=(0、1)であれば、波形PL1を有する信号となり、波形指定信号SI[m]の示す値が(b1、b2)=(0、0)であれば、基準電位V0に設定された信号となる。
1つの波形PLを有する駆動信号Vin[m]が供給されると、吐出部D[m]は、小程度の量のインクを吐出して小ドットを形成する。
このため、単位期間Tuにおいて、波形指定信号SI[m]の示す値が(b1、b2)=(0,1)であり、吐出部D[m]に供給される駆動信号Vin[m]が1つの波形PL(PL1)を有する場合、吐出部D[m]からは、当該1つの波形PLに基づいて小程度の量のインクが吐出され、吐出されたインクにより小ドットが形成される。
また、単位期間Tuにおいて、波形指定信号SI[m]の示す値が(b1、b2)=(1,0)であり、吐出部D[m]に供給される駆動信号Vin[m]が2つの波形PL(PL1、PL2)を有する場合、吐出部D[m]からは、当該2つの波形PLに基づいて小程度の量のインクが2度吐出され、当該2度にわたり吐出された小程度の量のインクが合体することで、中ドットが形成される。
また、単位期間Tuにおいて、波形指定信号SI[m]の示す値が(b1、b2)=(1,1)であり、吐出部D[m]に供給される駆動信号Vin[m]が3つの波形PL(PL1〜PL3)を有する場合、吐出部D[m]からは、当該3つの波形PLに基づいて小程度の量のインクが3度吐出され、当該3度にわたり吐出された小程度の量のインクが合体することで、大ドットが形成される。
一方、単位期間Tuにおいて、波形指定信号SI[m]の示す値が(b1、b2)=(0,0)であり、吐出部D[m]に供給される駆動信号Vin[m]が波形PLを有さず基準電位V0に保たれる場合、吐出部D[m]からインクは吐出されず、当該ドットは形成されない(非記録となる)。
なお、本実施形態では、以上の説明からも明らかなように、中ドットは小ドットの2倍のサイズであり、大ドットは小ドットの3倍のサイズである。
本実施形態において、駆動波形信号Comの波形PLは、小ドットを形成するために吐出される小程度の量のインクが、ブロックBLを形成するために必要なインク量の略3分の1の量となるように定められる。つまり、ブロックBLは、1個の大ドット、1個の中ドット及び1個の小ドットの組み合わせ、または、3個の小ドットの組み合わせ、の3パターンのうちいずれかで構成される。
また、本実施形態では、1個のボクセルVxに対して、1個のブロックBLが設けられる。すなわち、本実施形態において、1個のボクセルVxには、1個の大ドット、1個の中ドット及び1個の小ドットの組み合わせ、または、3個の小ドットの組み合わせ、の3パターンのうちいずれかのパターンでドットが形成される。
<2.データ生成処理及び造形処理>
次に、図10乃至図18を参照しつつ、立体物造形システム100が実行するデータ生成処理及び造形処理について説明する。
<2.1.データ生成処理及び造形処理の概要>
図10は、データ生成処理及び造形処理を実行する場合における立体物造形システム100の動作の一例を示すフローチャートである。
データ生成処理は、ホストコンピューター9の指定データ生成部93が実行する処理であり、モデルデータ生成部92が出力したモデルデータDatを、指定データ生成部93が取得したときに開始される。図10に示すステップS100、S110、及び、S120の処理が、データ生成処理に該当する。
図10に示すように、指定データ生成部93は、データ生成処理が開始されると、モデルデータ生成部92が出力したモデルデータDatに基づいて、断面モデルデータLdat[q](Ldat[1]〜Ldat[Q])を生成する(S100)。なお、上述のとおり、指定データ生成部93は、ステップS100において、モデルデータDatの示す形状の中空部分を補完して、モデルデータDatの示す立体物Objのモデルの外面SFよりも内側の領域の一部または全部が中実の形状となるような断面モデルデータLdatを生成する形状補完処理を実行する。形状補完処理の詳細については、後述する。
次に、指定データ生成部93は、断面モデルデータLdat[q]の示す形状及び色彩をボクセルVxの単位で区分けして離散化した造形体データFD[q]を生成する(S110)。なお、本実施形態では、造形体データFDの示すボクセルVxの集合が、モデルデータDatの示すモデルを包含するように設けられる場合を想定する(図18参照)。
次に、指定データ生成部93は、造形体データFDとモデルデータDatとに基づいて、造形体LY[q]を形成するために立体物造形装置1が形成すべきブロックBL(つまり、立体物造形装置1が形成すべきドットの配置)を決定し、決定結果に基づいて指定データSD[q]を生成する指定データ生成処理を実行する(S120)。具体的には、指定データ生成部93は、ステップS120の指定データ生成処理において、各ボクセルVxに形成すべきブロックBLの表す色の濃淡を決定することで、指定データSDを生成する。当該指定データ生成処理の詳細については、後述する。
このように、指定データ生成部93は、図10のステップS100〜S120に示すデータ生成処理を実行する。
立体物造形システム100は、データ生成処理を実行した後に、造形処理を実行する。
造形処理は、制御部6による制御の下で、立体物造形装置1が実行する処理であり、ホストコンピューター9が出力した指定データSDを、立体物造形装置1が取得して記憶部60に格納したときに開始される。図10に示すステップS130〜S180の処理が、造形処理に該当する。
図10に示すように、制御部6は、積層処理の実行回数を示す変数qに「1」を設定する(S130)。次に、制御部6は、指定データ生成部93が生成した指定データSD[q]を記憶部60から取得する(S140)。また、制御部6は、造形台45が、造形体LY[q]を形成するための位置に移動するように、昇降機構駆動モーター71を制御する(S150)。
なお、造形体LY[q]を形成するための造形台45の位置とは、ヘッドユニット3から吐出されたインクが、指定データSD[q]の指定するドット形成位置(ボクセルVxq)に対して、着弾可能な位置であれば、どのような位置であってもよい。例えば、制御部6は、ステップS150において、造形体LY[q]とヘッドユニット3とのZ軸方向の間隔が一定となるように、造形台45の位置を制御してもよい。この場合、制御部6は、例えば、q回目の積層処理において造形体LY[q]を形成した後、(q+1)回目の積層処理による造形体LY[q+1]の形成が開始されるまでの間に、造形台45を所定の厚さΔZだけ−Z方向に移動させればよい。
次に、制御部6は、指定データSD[q]に応じた造形体LY[q]が形成されるように、ヘッドユニット3、位置変化機構7、及び、硬化ユニット61(以下、「ヘッドユニット3等」と称する)の動作を制御する(S160)。図2からも明らかなように、造形体LY[1]は造形台45上に形成され、造形体LY[q+1]は造形体LY[q]の上に形成される。
その後、制御部6は、変数qが「q≧Q」を充足するか否かを判定し(S170)、判定結果が肯定である場合には、立体物Objの造形が完了したと判定して造形処理を終了させ、一方、判定結果が否定である場合には、変数qに1を加算した上で、処理をステップS140に進める(S180)。
このように、立体物造形システム100のうち指定データ生成部93が、図10のステップS100〜S120に示すデータ生成処理を実行することで、モデルデータDatに基づいて指定データSD[1]〜SD[Q]を生成する。また、立体物造形システム100のうち立体物造形装置1が、制御部6の制御の下で、図10のステップS130〜S180に示す造形処理を実行することで、モデルデータDatの示すモデルの形状及び色彩を再現するような立体物Objを造形する。
なお、図10は、データ生成処理及び造形処理の流れの一例を示すものに過ぎない。例えば、図10では、データ生成処理が終了した後に、造形処理を開始するが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、データ生成処理が終了する前に造形処理を開始してもよい。例えば、データ生成処理において指定データSD[q]が生成された場合には、次の指定データSD[q+1]の生成を待つことなく、指定データSD[q]を取得した後に造形体LY[q]を形成する造形処理(つまり、q回目の積層処理)を実行してもよい。
<2.2.形状補完処理>
上述のとおり、ステップS100において、指定データ生成部93は、モデルデータDatの指定する立体物Objのモデルの外面SFの形状の中空部分の一部または全部を補完して、外面SFよりも内側の領域の一部または全部が中実構造となるような断面モデルデータLdatを生成する形状補完処理を実行する。
以下では、図11及び図12を参照しつつ、断面モデルデータLdatの示す立体物Objのモデルの外面SFよりも内側の構造と、外面SFよりも内側の構造を定める形状補完処理と、について説明する。
まず、図11を参照しつつ、断面モデルデータLdatの示す、立体物Objのモデルの外面SFよりも内側の構造について説明する。
ここで、図11(A)は、断面モデルデータLdatの示す立体物Objのモデルの斜視図であり、図11(B)は、図11(A)に示す立体物Objのモデルを直線γ−Γを通りX軸及びY軸に平行な平面で切断したときの断面図である。なお、図11では、図示の都合上、図2及び図3とは異なる形状の、球体の立体物Objを造形する場合を想定する。
図11(B)に示すように、断面モデルデータLdatに基づいて造形される立体物Objは、立体物Objの表面(立体物表面)から、立体物Objの内側にむけて順番に、彩色層L1、遮蔽層L2、及び、内部層L3の3層を備え、また、当該3層よりも内側に中空部HLを備える。
ここで、彩色層L1とは、造形用インクを含むインクにより形成される層であり、立体物Objの色彩を表現するための立体物Objの表面を含む層である。また、遮蔽層L2とは、例えば、ホワイトインクを用いて形成される層であり、立体物Objのうち彩色層L1よりも内側部分の色が、彩色層L1を透過して立体物Objの外部から視認されることを防止するための層である。すなわち、彩色層L1及び遮蔽層L2は、立体物Objが表示すべき色彩を正確に表現するために設けられる。以下では、立体物Objのうち、立体物Objが表示すべき色彩を正確に表現するために設けられる彩色層L1及び遮蔽層L2を、立体物Objの外部領域LOUTと称する場合がある。
また、内部層L3とは、立体物Objの強度を確保するために設けられる層であり、原則としてクリアーインクを用いて形成される。以下では、立体物Objのうち、外部領域LOUTよりも内側に設けられる内部層L3及び中空部HLを、立体物Objの内部領域LIN(または、「立体物Objの内部」)と称する場合がある。
本実施形態では、簡単のために、図11(B)に示すように、彩色層L1が略一様な厚さΔL1を有し、遮蔽層L2が略一様な厚さΔL2を有し、内部層L3が略一様な厚さΔL3を有するように、各層が設けられる場合を想定するが、各層の厚さは略一様でなくてもよい。
なお、本明細書において「略一様」や「略同じ」等の表現は、完全に一様または同一である場合の他に、各種誤差を無視すれば一様または同一と看做すことができる場合も含む。また、無視することができる各種誤差には、モデルデータDatの示す形状をボクセルVxの集合として表す場合に生じる離散化誤差を含むこととする。
図12は、形状補完処理を実行する場合における指定データ生成部93の動作の一例を示すフローチャートである。
図12に示すように、指定データ生成部93は、まず、モデルデータDatの表す立体物Objのモデルにおいて、立体物Objのモデルの外面SFから立体物Objのモデルの内側に向かう厚さΔL1の領域を、彩色層L1として定める(S200)。また、指定データ生成部93は、彩色層L1の内側の面から立体物Objのモデルの内側に向かう厚さΔL2の領域を、遮蔽層L2として定める(S210)。また、指定データ生成部93は、遮蔽層L2の内側の面から立体物Objのモデルの内側に向かう厚さΔL3の領域を、内部層L3として定める(S220)。また、指定データ生成部93は、内部層L3よりも立体物Objのモデルの内側の部分を、中空部HLとして定める(S230)。
指定データ生成部93は、上述した形状補完処理を実行することにより、図11(B)に例示するような、彩色層L1、遮蔽層L2、及び、内部層L3を有する立体物Objを造形するための断面モデルデータLdatを生成する。
<2.3.指定データ生成処理>
指定データ生成部93は、ステップS120において、造形体データFD及びモデルデータDatに基づいて各ボクセルVxに形成すべきブロックBLの色の濃淡を決定し、当該決定結果と造形体データFDとに基づいて指定データSDを生成する指定データ生成処理を実行する。以下、指定データ生成処理について説明する。
図13は、指定データ生成処理を実行する場合における指定データ生成部93の動作の一例を示すフローチャートである。以下、図13を参照しつつ、指定データ生成処理の概要を説明する。
この図に示すように、指定データ生成部93は、まず、造形体データFDに基づいて、立体物Objを構成する複数のブロックBLの中から、立体物Objの彩色層L1の内外表面に凸部分を構成するエッジブロックBL-EGが形成されるボクセルVxであるエッジボクセルVx-EGを特定する(S300)。
なお、指定データ生成部93は、立体物Objが、複数のエッジブロックBL-EGを含む場合には、当該複数のエッジブロックBL-EGと1対1に対応する複数のエッジボクセルVx-EGを特定する。
次に、指定データ生成部93は、各エッジボクセルVx-EGについて、エッジボクセルVx-EGのうち、モデルデータDatの示す立体物Objのモデルの彩色層L1の、当該エッジボクセルVx-EG全体に占める体積の割合である充填率RFを算出する(S310)。
次に、指定データ生成部93は、各エッジボクセルVx-EGの充填率RFに基づいて、当該エッジボクセルVx-EGに形成すべきモデルの色彩から薄くした色を決定する(S320)。なお、モデルの色彩から色を薄くする度合い(濃度)の決定については、後述する。
そして、指定データ生成部93は、ステップS320における決定結果と、造形体データFDとに基づいて、指定データSDを生成する(S330)。
以下、指定データ生成処理において実行されるステップS300〜S330の各処理について説明する。
上述の通り、指定データ生成部93は、ステップS300において、エッジブロックBL-EGが形成されるエッジボクセルVx-EGを特定する。
ここで、エッジブロックBL-EGとは、ブロックBLを構成する直方体の6面のうち、2以上の面が立体物Objの彩色層L1の内外表面となるブロックBLである。
また、エッジボクセルVx-EGとは、エッジブロックBL-EGが形成されるボクセルVxである。
また、以下では、エッジブロックBL-EG以外のブロックBLを非エッジブロックBL-PLと称し、非エッジブロックBL-PLが形成されるボクセルVxを非エッジボクセルVx-PLと称する場合がある。
図14は、エッジボクセルVx-EGを説明するために、立体物Objの彩色層L1の外表面の一部の一例を示す図である。内表面についても同様の処理を実施する。
図14では、エッジブロックBL-EGを、薄い色でハッチングされたブロックBLとして表し、非エッジブロックBL-PLを、濃い色でハッチングされたブロックBLとして表している。
例えば、図14に示すブロックBL-Aは、図15(A)に示すように、+Z方向を向く面が、立体物Objの彩色層L1の外表面として立体物Objの外部に露出した面であり、それ以外の5面が、他のブロックBLと隣り合う。このため、ブロックBL-Aは、非エッジボクセルVx-PLに形成される非エッジブロックBL-PLである。
これに対して、図14に示すブロックBL-Bは、図15(B)に示すように、+Z方向を向く面と+Y方向を向く面との2面が、立体物Objの彩色層L1の外表面として立体物Objの外部に露出した面である。このため、ブロックBL-Bは、エッジボクセルVx-EGに形成されるエッジブロックBL-EGである。
また、図14に示すブロックBL-Cは、図15(C)に示すように、+Z方向を向く面、+Y方向を向く面、及び、+X方向を向く面の3面が、立体物Objの彩色層L1の外表面として立体物Objの外部に露出した面である。
このため、ブロックBL-Cは、エッジボクセルVx-EGに形成されるエッジブロックBL-EGである。
なお、図14及び図15(B)に示すように、ブロックBL-Bは、立体物Objの彩色層L1の外表面となる2面、すなわち、+Z方向を向く面と+Y方向を向く面とが、
1つの辺CEを共有している。
そして、辺CEは、立体物Objの彩色層L1の外表面に露出した稜線をなす。
このため、ブロックBL-Bの有する6面のうち、立体物Objの彩色層L1の外表面であり、辺CEを共有する2面は、立体物Objの表面の凹凸の凸部として視認される可能性が高い。
また、図14及び図15(C)に示すように、ブロックBL-Cは、立体物Objの彩色層L1の外部に露出する3面、すなわち、+Z方向を向く面、+Y方向を向く面、及び、+X方向を向く面の3面が、1つの頂点CVを共有している。
そして、頂点CVは、立体物Objの彩色層L1の外表面に露出した頂点である。このため、ブロックBL-Cの有する6面のうち、立体物Objの外部に露出し、頂点CVを共有する3面は、立体物Objの表面の凹凸の凸部として視認される可能性が高い。
説明を図13に戻す。上述の通り、指定データ生成部93は、ステップS310において、各エッジボクセルVx-EGの充填率RFを算出する。
具体的には、指定データ生成部93は、まず、モデルデータDatの示す立体物Objの彩色層L1と、造形体データFDの示すボクセルVxの集合とを、同一の位置に重ねて配置することを想定した場合に、図16に示すように、エッジボクセルVx-EGが、モデルデータDatの示すモデルの彩色層L1により、彩色層L1の内側部分Vx-inと彩色層L1の外側部分Vx-outとに区分されるか否かを判定する。
換言すれば、エッジブロックBL-EGが、彩色層L1の内側部分BL-inと、彩色層L1の外側部分BL-outと、に区分されるか否かを判定する。
そして、指定データ生成部93は、判定結果が肯定である場合、すなわち、エッジボクセルVx-EGが、彩色層L1の内側部分Vx-inと、外側部分Vx-outと、に区分される場合、充填率RFを、内側部分Vx-inのエッジボクセルVx-EGに占める体積の割合、または、内側部分BL-inのエッジブロックBL-EGに占める体積の割合として算出する。
説明を図13に戻す。上述の通り、指定データ生成部93は、ステップS320において、エッジボクセルVx-EGの充填率RFに基づいて、エッジボクセルVx-EGに形成すべきモデルの色彩から薄くした色を決定する。
図17は、指定データ生成部93による、モデルの色彩からどれくらい薄くするかを決定する値(色の濃度)をテーブル化した例の図である。
色の薄さは充填率RFに基づいて、計算によって決められてもよい。また、色の濃度が0%である場合、ブロックBLを形成しない。ここで決定されたエッジボクセルVx-EGの色は、必ずしもエッジブロックBL-EGの色とは一致せず、実際には吐出されるドットサイズ、インクに含まれた色材成分、インクの種類で表現可能な色に近似されてもよい。
但し、指定データ生成部93は、エッジボクセルVx-EGの充填率RFの値によらず、造形体データFDが当該エッジボクセルVx-EGに指定する色がクリアー(CL)である場合には、当該エッジボクセルVx-EGに形成すべきブロックBLの色を変更しない。
説明を図13に戻す。上述の通り、指定データ生成部93は、ステップS330において、ステップS320で決定したブロックBLの色の薄さと、造形体データFDと、に基づいて、指定データSDを生成する。
図18は、造形体データFDの示す立体物Obj(図18(A)参照)と、指定データSDの示す立体物Obj(図18(B)参照)と、を説明するための説明図である。なお、図18は、図11(A)に示す立体物Objを直線γ−Γを通りX軸及びY軸に平行な平面で切断したときの断面図である。
また、図18では、彩色層L1を構成するブロックBLに対してハッチングを付す一方で、遮蔽層L2及び内部層L3を構成するブロックBLを白色で示している。
また、図18では、彩色層L1を構成するブロックBLのうち、モデルデータDatの示す色と同じ色を有する同色ブロックBL1(第1単位造形体と同義)に対して濃い色のハッチングを付し、モデルデータDatの示す色よりも薄い色を有する淡色ブロックBL2(第2単位造形体と同義)に対して薄い色のハッチングを付している。
図18(A)に示すように、造形体データFDに基づいて立体物Objを形成する場合、立体物Objの表面を含む彩色層L1は、複数の同色ブロックBL1によって構成される。この場合、立体物Objの彩色層L1の表面には、淡色ブロックBL2が含まれない。
一方、図18(B)に示すように、指定データSDに基づいて立体物Objを形成する場合、立体物Objの表面は、複数の同色ブロックBL1と複数の淡色ブロックBL2とによって構成される。つまり、本実施形態に係る立体物造形装置1は、指定データSDに基づいて、複数の同色ブロックBL1と複数の淡色ブロックBL2とからなる表面を有する立体物Objを造形する。
より具体的には、本実施形態に係る立体物造形装置1は、立体物Objの表面の凹凸の凸部分を、モデルの示す色と同色の同色ブロックBL1に変えて、モデルの示す色よりも薄い色の淡色ブロックBL2により形成する。このため、立体物Objの表面の凹凸の凸部分を目立たない色のブロックBLで構成することができ、当該凸部分が色むらとして視認される可能性を低く抑えることが可能となる。
なお、あるボクセルVxに対して、同色ブロックBL1に変えて淡色ブロックBL2を形成するためには、当該ボクセルVxに形成されるブロックBLを構成するインクの色材成分量を少なくするように調整すればよい。
ブロックBLを構成するインクの色材成分量を少なくように調整する具体的な方法は、どのような方法でもよい。
本実施形態では、造形体データFDによる指定と比較して、ブロックBLに含まれるクリアーインクの割合を増加させることにより、ブロックBLを構成するインクの色材成分量を少なくする。換言すれば、本実施形態では、造形体データFDによる指定と比較して、ブロックBLに含まれる有彩色インクまたは無彩色インクの割合を減少させることにより、ブロックBLに含まれる有彩色インクまたは無彩色インクの色材成分量を少なくする。
例えば、造形体データFDが、淡色ブロックBL2が形成されるべきボクセルVxの色としてシアンを指定する場合、指定データ生成部93は、当該ボクセルVxに、シアンインクとクリアーインクからなる淡色ブロックBL2を形成することを指定する指定データSDを生成する。
具体的には、造形体データFDが、淡色ブロックBL2が形成されるべきボクセルVxに、シアンインクからなる大ドットの形成を指定する場合、指定データ生成部93は、当該ボクセルVxに、例えば、シアンインクからなる中ドットと、クリアーインクからなる小ドットと、から構成される淡色ブロックBL2の形成を指定する指定データSDを生成すればよい。
<3.実施形態の結論>
以上において説明したように、本実施形態では、立体物Objの表面の凸部分を構成するエッジブロックBL-EGにおいて、当該エッジブロックBL-EGが形成されるエッジボクセルVx-EGの充填率RFに応じて色の薄さを決定し、当該エッジブロックBL-EGを、モデルデータDatの示す色よりも薄い色を有する淡色ブロックBL2とする。
このため、立体物Objの表面の凹凸の凸部分を目立たない色のブロックBLで構成することが可能となり、当該凸部分が色むらとして視認される可能性を低く抑えることが可能となる。
また、本実施形態では、立体物Objの表面の凸部分を構成するエッジブロックBL-EGにおいて、当該エッジブロックBL-EGが形成されるエッジボクセルVx-EGの充填率RFに応じて色の薄さを変更することができるため、立体物造形装置1の造形する立体物Objが、モデルデータDatの示す立体物Objのモデルよりも薄い色を有する物体として視認される可能性を低くすることが可能となる。
このように、本実施形態に係る立体物造形システム100は、立体物Objの色がモデルデータDatの示す立体物Objのモデルと比較して薄い色となることを防止しつつ、立体物Objの表面の凸部分が色むらとして視認されることを防止することができる。
<変形例>
以上の実施形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲内で適宜に併合され得る。
なお、以下に例示する変形例において作用や機能が実施形態と同等である要素については、以上の説明で参照した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
<変形例1>
上述した実施形態において、立体物造形装置1が吐出可能なインクは、3色の有彩色インク、ホワイトインク、クリアーインク、及び、支持用インクの、合計6種類のインクであるが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、立体物造形装置1は、例えば、1種類の有彩色インク(「第1の液体」の一例。以下、「第1インク」と称する)と、第1インクよりも単位体積あたりの有彩色の色材成分量の少ないインク(「第2の液体」の一例。以下、「第2インク」と称する)と、を含む少なくとも2種類のインクを吐出可能なものであればよい。
ここで、第2インクは、有彩色インクであってもよいし、無彩色インクであってもよいし、または、クリアーインクであってもよい。具体的には、第2インクは、第1インクと同じ色の有彩色の色材成分を有する有彩色インクであってもよいし、ホワイトインクであってもよいし、クリアーインクであってもよい。
そして、同色ブロックBL1が第1インクで構成される場合、淡色ブロックBL2は、少なくとも第2インクを含んで構成されればよい。具体的には、淡色ブロックBL2は、第2インクから構成されてもよいし、第1インク及び第2インクにより構成されてもよい。
なお、上述した実施形態は、第2インクがクリアーインクであり、且つ、淡色ブロックBL2が第1インク及び第2インクにより構成される場合を例示したものである。すなわち、上述した実施形態では、同色ブロックBL1に変えて淡色ブロックBL2を形成する場合において、ブロックBLを構成するインクの色材成分量を少なくするために、ブロックBLに含まれるクリアーインクの割合を増加させる。
しかし、上述した実施形態は一例に過ぎず、ブロックBLを構成するインクの色材成分量を少なくするために、ブロックBLを構成するインクを、第1インクから第2インクに切り替えてもよい。すなわち、指定データ生成部93は、造形体データFDが、ボクセルVxに、第1インクからなる同色ブロックBL1を形成することを指定する場合、当該ボクセルVxに、第2インクからなる淡色ブロックBL2を形成することを指定する指定データSDを生成してもよい。
この場合、第2インクは、第1インクの色を薄くした有彩色インクであることが好ましい。例えば、第1インクがシアンインクである場合、第2インクはライトシアンインクであることが好ましく、第1インクがマゼンタインクである場合、第2インクはライトマゼンタインクであればよい。ここで、ライトシアンインクとは、シアンと同色の色材成分を有するインクであって、シアンのインクと比べて、単位体積あたりの当該色材成分の含有量の少ないインクである。また、ライトマゼンタインクとは、マゼンタと同色の色材成分を有するインクであって、マゼンタのインクと比べて、単位体積あたりの当該色材成分の含有量の少ないインクである。
<変形例2>
上述した実施形態及び変形例において、造形体データFDがエッジボクセルVx-EGに指定する色がクリアー(CL)である場合には、当該エッジボクセルVx-EGの充填率RFに係わらず、当該エッジボクセルVx-EGには淡色ブロックBL2を形成せずに同色ブロックBL1を形成するが(図17参照)、これは一例に過ぎず、淡色ブロックBL2を形成しないエッジボクセルVx-EGは、クリアー(CL)が指定されたエッジボクセルVx-EGに限定されるものではない。例えば、造形体データFDが、イエロー(YL)やホワイト(WT)等の、明度が高く淡い色を指定するエッジボクセルVx-EGに対しても、淡色ブロックBL2を形成しないこととしてもよい。
<変形例3>
上述した実施形態及び変形例において、指定データ生成部93は、モデルデータDatの示す立体物Objのモデルの全部を包含するようなボクセルVxの集合を定める造形体データFDを生成するが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、指定データ生成部93は、モデルデータDatの示す立体物Objのモデルの一部を含まないようなボクセルVxの集合を示す造形体データFDを生成してもよい。
<変形例4>
上述した実施形態及び変形例において、淡色ブロックBL2は、エッジボクセルVx-EGに形成されるエッジブロックBL-EGであるという第1条件と、当該エッジボクセルVx-EGの充填率RFから取得した色の濃度が0%でないという第2条件と、を充足するブロックBLであるが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。
淡色ブロックBL2は、第1条件及び第2条件に加えて、エッジブロックBL-EGの有する6面のうち立体物Objの彩色層L1の内外表面である面の反対側の面が同色ブロックBL1と隣り合う、という第3条件を充足するブロックBLであってもよい。
淡色ブロックBL2の条件として、第1条件及び第2条件に加えて、第3条件を導入することにより、複数の淡色ブロックBL2が連続的に形成され、立体物Objの色が、モデルデータDatの示す立体物Objのモデルの色よりも薄い色として視認される可能性を低く抑えることができる。
<変形例5>
上述した実施形態及び変形例において、立体物造形装置1が造形する立体物Objは、彩色層L1及び遮蔽層L2を具備する外部領域LOUTと、内部層L3及び中空部HLを具備する内部領域LINと、を備えるが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、立体物造形装置1は、少なくとも、彩色層L1を具備する立体物Objを造形できればよい。
<変形例6>
上述した実施形態及び変形例において、立体物造形装置1は、造形用インクを硬化させて形成された造形体LYを積層することで立体物Objを造形するが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、層状に敷き詰められた粉体を硬化性の造形用インクにより固めることで造形体LYを形成し、形成された造形体LYを積層することで立体物Objを造形するものであってもよい。
この場合、立体物造形装置1は、造形台45上に粉体を所定の厚さΔZで敷き詰めて粉体層PWを形成するための粉体層形成部(図示省略)と、立体物Objの形成後に、立体物Objを構成しない粉体(造形用インクにより固められた粉体以外の粉体)を廃棄するための粉体廃棄部(図示省略)と、を備えればよい。なお、以下では、造形体LY[q]を形成するための粉体層PWを、粉体層PW[q]と称する。
図19は、本変形例に係る造形処理を実行する場合の立体物造形システム100の動作の一例を示すフローチャートである。図19に示す本変形例に係る造形処理は、ステップS160の代わりにステップS161及びS162に示す処理を実行する点と、ステップS170における判定結果が肯定である場合にステップS190に示す処理を実行する点と、を除き、図10に示す実施形態に係る造形処理と同様である。
図19に示すように、本変形例に係る制御部6は、粉体層形成部が粉体層PW[q]を形成するように、立体物造形装置1の各部の動作を制御する(S161)。
また、本変形例に係る制御部6は、指定データSD[q]に基づいて、粉体層PW[q]にドットを形成して造形体LY[q]を形成するように、立体物造形装置1の各部の動作を制御する(S162)。具体的には、制御部6は、ステップS162において、まず、指定データSD[q]を用いて波形指定信号SIを生成し、生成した波形指定信号SIにより、粉体層PW[q]に対して造形用インクまたは支持用インクを吐出させるようにヘッドユニット3の動作を制御する。
次に、制御部6は、粉体層PW[q]に対して吐出されたインクにより形成されたドットを硬化させることで、粉体層PW[q]のうちドットが形成された部分の粉体を固めるように、硬化ユニット61の動作を制御する。これにより、粉体層PW[q]の粉体がインクにより固められ、造形体LY[q]を形成することができる。
また、本変形例に係る制御部6は、立体物Objが造形された後、立体物Objを構成しない粉体を廃棄するように粉体廃棄部の動作を制御する(S190)。
図20は、本変形例に係るモデルデータDat及び断面モデルデータLdat[q]と、指定データSD[q]と、粉体層PW[q]と、造形体LY[q]と、の関係を説明するための説明図である。
このうち、図20(A)及び(B)は、図2(A)及び(B)と同様、断面モデルデータLdat[1]及びLdat[2]を例示している。本変形例においても、モデルデータDatの示す立体物Objのモデルをスライスすることで断面モデルデータLdat[q]を生成し、断面モデルデータLdat[q]から指定データSD[q]を生成し、そして、指定データSD[q]を用いて生成した波形指定信号SIに基づいて形成されたドットにより造形体LY[q]を形成する。以下、図20(C)乃至(F)を参照しつつ、本変形例に係る造形体LY[q]の形成について、造形体LY[1]及びLY[2]を例示して説明する。
図20(C)に示すように、制御部6は、造形体LY[1]の形成に先立ち、所定の厚さΔZの粉体層PW[1]を形成するように粉体層形成部の動作を制御する(上述したステップS161参照)。
次に、制御部6は、図20(D)に示すように、粉体層PW[1]内に造形体LY[1]が形成されるように、立体物造形装置1の各部の動作を制御する(上述したステップS162参照)。具体的には、制御部6は、まず、指定データSD[1]を用いて生成した波形指定信号SIに基づいてヘッドユニット3の動作を制御することで、粉体層PW[1]にインクを吐出させてドットを形成する。次に、制御部6は、粉体層PW[1]に形成したドットを硬化させるように、硬化ユニット61の動作を制御することで、ドットが形成されている部分の粉体を固め、造形体LY[1]を形成する。
その後、制御部6は、図20(E)に示すように、粉体層PW[1]及び造形体LY[1]の上に、所定の厚さΔZの粉体層PW[2]を形成するように粉体層形成部を制御する。さらに、制御部6は、図20(F)に示すように、造形体LY[2]が形成されるように、立体物造形装置1の各部の動作を制御する。
このように、制御部6は、指定データSD[q]を用いて生成した波形指定信号SIに基づいて、粉体層PW[q]内に造形体LY[q]を形成する積層処理の実行を制御し、当該造形体LY[q]を積層させていくことで、立体物Objを造形する。
<変形例7>
上述した実施形態及び変形例において、吐出部Dから吐出されるインクは、紫外線硬化型インク等の硬化性インクであるが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、熱可塑性樹脂等からなるインクであってもよい。
この場合、インクは、吐出部Dにおいて加熱された状態で吐出されることが好ましい。例えば、本変形例に係る吐出部Dは、キャビティ320に設けられた発熱体(図示省略)を発熱させることでキャビティ320内に気泡を生じさせてキャビティ320の内側の圧力を高め、これによりインクを吐出させる、所謂サーマル方式のインクの吐出を実行するものであってもよい。
また、この場合、吐出部Dから吐出されたインクは外気により冷却されて硬化するため、立体物造形装置1は、硬化ユニット61を具備しなくてもよい。
<変形例8>
上述した実施形態及び変形例において、立体物造形装置1が吐出可能なドットのサイズは、小ドット、中ドット、及び、大ドットの3種類であるが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、立体物造形装置1が吐出可能なドットのサイズは1種類以上あればよい。
<変形例9>
上述した実施形態及び変形例において、指定データ生成部93はホストコンピューター9に設けられるが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、指定データ生成部93は立体物造形装置1に設けられるものであってもよい。例えば、指定データ生成部93は、制御部6が制御プログラムに従って動作すること実現される機能ブロックとして実装されてもよい。つまり、指定データ生成部93は、制御部6に設けられるものであってもよい。
立体物造形装置1が指定データ生成部93を備える場合、立体物造形装置1は、立体物造形装置1の外部から供給されるモデルデータDatに基づいて指定データSDを生成し、さらに、生成した指定データSDを用いて生成した波形指定信号SIに基づいて立体物Objを造形することができる。
<変形例10>
上述した実施形態及び変形例において、立体物造形システム100はモデルデータ生成部92を備えるが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、立体物造形システム100がモデルデータ生成部92を含まずに構成されてもよい。つまり、立体物造形システム100は、立体物造形システム100の外部から供給されるモデルデータDatに基づいて、立体物Objを造形するものであればよい。
<変形例11>
上述した実施形態及び変形例において、駆動波形信号Comは、波形PL1〜PL3を有する信号であるが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、駆動波形信号Comは、少なくとも1種類のサイズのドットに対応する量のインクを吐出部Dから吐出させることが可能な波形を有する信号であれば、どのような信号であってもよい。例えば、駆動波形信号Comは、インクの種類に応じて異なる波形としてもよい。
また、上述した実施形態及び変形例において、波形指定信号SI[m]のビット数は2ビットであるが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、波形指定信号SI[m]のビット数は、吐出部Dから吐出されたインクにより形成されるドットのサイズの種類数に応じて、適宜定めればよい。
7…位置変化機構、9…ホストコンピューター、30…記録ヘッド、31…駆動信号生成部、40…筐体、41…キャリッジ、45…造形台、48…インクカートリッジ、60…記憶部、61…硬化ユニット、71…昇降機構駆動モーター、72…キャリッジ駆動モーター、73…キャリッジ駆動モーター、74…硬化ユニット駆動モーター、75…モータードライバー、76…モータードライバー、77…モータードライバー、78…モータードライバー、79a…造形台昇降機構、79b…ガイド、79c…ガイド、79d…ガイド、91…操作部、92…モデルデータ生成部、93…指定データ生成部、100…立体物造形システム、101…システム制御部、300…圧電素子、301…下部電極、302…上部電極、303…圧電体、310…振動板、320…キャビティ、330…ノズルプレート、340…キャビティプレート、350…リザーバ、360…インク供給口、370…インク取り入れ口。

Claims (9)

  1. 色材成分を含む液体を吐出しドットを形成するヘッドユニットを備えた立体物造形装置であって、
    造形すべき立体物の形状及び色彩を示すモデルを、所定の直方体形状を有し、1または複数の前記ドットからなる単位造形体の集合で近似する近似手段と、
    前記単位造形体を、前記モデルの示す色彩を表すために必要な量の前記色材成分を有する第1単位造形体と、前記モデルの示す色彩を表すために必要な量を所定の変数に応じて減じた前記色材成分を有する第2単位造形体と、に分離する分離手段と、
    前記単位造形体を用いて前記モデルの立体造形物を作成する作成手段と、を備え、
    前記分離手段は、前記単位造形体の表面を構成する6面のうち2面以上が、立体物表面から内側に向けて前記モデルの示す色彩を表す所定の厚さの彩色層の内外表面を構成する面である場合に前記第2単位造形体であると判断し、前記彩色層に前記第2単位造形体が占める割合に応じて前記所定の変数を決定することを特徴とする立体物造形装置。
  2. 色材成分を含む液体を吐出しドットを形成するヘッドユニットを備えた立体物造形装置であって、
    造形すべき立体物の形状及び色彩を示すモデルを所定の直方体形状を有する単位造形体の集合として表すデータであって、前記立体造形物に形成すべき1または複数の前記ドットを指定するデータである指定データが供給されると、前記立体造形物を1または複数の前記ドットで形成し、複数の前記単位造形体を用いて前記立体物が造形されるように、前記ヘッドユニットを制御する制御手段と、
    前記単位造形体を、前記モデルの示す色彩を表すために必要な量の前記色材成分を有する第1単位造形体と、前記モデルの示す色彩を表すために必要な量を所定の変数に応じて減じた前記色材成分を有する第2単位造形体と、に分離する分離手段と、を備え、
    前記分離手段は、前記単位造形体の表面を構成する6面のうち2面以上が、立体物表面から内側に向けて前記モデルの示す色彩を表す所定の厚さの彩色層の内外表面を構成する面である場合に前記第2単位造形体であると判断し、前記彩色層に前記第2単位造形体が占める割合に応じて前記所定の変数を決定することを特徴とする立体物造形装置。
  3. 請求項1乃至2のいずれかに記載の立体物造形装置において、
    前記第2単位造形体は、前記立体物の前記彩色層の前記内外表面を構成する2面を有し、前記2面は一つの辺を共有することを特徴とする立体物造形装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の立体物造形装置において、
    前記第2単位造形体の表面を構成する6面のうち、前記彩色層の前記内外表面を構成する面の反対側の面は、前記第1単位造形体と隣り合うことを特徴とする立体物造形装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の立体物造形装置において、
    前記第1単位造形体は、前記色材成分を含む第1の液体からなるドットにより形成され、前記第2単位造形体は、前記色材成分を含む第2の液体からなるドットにより形成され、前記第1の液体に含まれる単位体積あたりの前記色材成分の量は、前記第2の液体に含まれる単位体積あたりの前記色材成分の量よりも多いことを特徴とする立体物造形装置。
  6. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の立体物造形装置において、
    前記第1単位造形体は、前記色材成分を含む第1の液体からなるドットにより形成され、前記第2単位造形体は、前記色材成分を含む第2の液体からなるドット、または、
    前記色材成分を含む第3の液体からなるドットにより形成され、前記第1の液体に含まれる単位体積あたりの前記色材成分の量は、前記第2の液体に含まれる単位体積あたりの前記色材成分の量よりも多く、前記第2の液体に含まれる単位体積あたりの前記色材成分の量は、前記第3の液体に含まれる単位体積あたりの前記色材成分の量よりも多いことを特徴とする立体物造形装置。
  7. 色材成分を含む液体を吐出しドットを形成するヘッドユニットを備えた立体物造形装置の制御装置であって、
    造形すべき立体物の形状及び色彩を示すモデルを所定の直方体形状を有する単位造形体の集合として表すデータであって、前記立体造形物に形成すべき1または複数の前記ドットを指定するデータである指定データが供給された場合、前記立体造形物を1または複数の前記ドットで形成し、複数の前記単位造形体を用いて前記立体物が造形されるように、前記ヘッドユニットを制御する制御手段と、
    各単位造形体を、前記モデルの示す色彩を表すために必要な量の前記色材成分を有する第1単位造形体と、前記モデルの示す色彩を表すために必要な量を所定の変数に応じて減じた前記色材成分を有する第2単位造形体と、に分離する分離手段と、を備え、
    前記分離手段は、前記単位造形体の表面を構成する6面のうち2以上の面が、立体物表面から内側に向けて前記モデルの示す色彩を表す所定の厚さの彩色層の内外表面を構成する面である場合、第2単位造形体であると判断し、前記彩色層に前記第2単位造形体が占める割合によって前記所定の変数を決定することを特徴とする立体物造形装置の制御装置。
  8. 色材成分を含む液体を吐出しドットを形成するヘッドユニットを備えた立体物造形装置の制御方法であって、
    造形すべき立体物の形状及び色彩を示すモデルを所定の直方体形状を有する単位造形体の集合として表すデータであって、前記立体造形物に形成すべき1または複数の前記ドットを指定するデータである指定データが供給された場合、前記立体造形物を1または複数の前記ドットで形成し、複数の前記単位造形体を用いて前記立体物が造形されるように、前記ヘッドユニットを制御する制御工程と、
    各単位造形体を、前記モデルの示す色彩を表すために必要な量の前記色材成分を有する第1単位造形体と、前記モデルの示す色彩を表すために必要な量を所定の変数によって少なくした前記色材成分を有する第2単位造形体と、に分離する分離工程と、を備え、
    前記分離工程は、前記単位造形体の表面を構成する6面のうち2以上の面が、立体物表面から内側に向けて前記モデルの示す色彩を表す所定の厚さの彩色層の内外表面を構成する面である場合、第2単位造形体であると判断し、前記彩色層に前記第2単位造形体が占める割合によって前記所定の変数を決定することを特徴とする立体物造形装置の制御方法。
  9. 色材成分を含む液体を吐出しドットを形成するヘッドユニットを備えた立体物造形装置の制御プログラムであって、
    造形すべき立体物の形状及び色彩を示すモデルを所定の直方体形状を有する単位造形体の集合として表すデータであって、前記立体造形物に形成すべき1または複数の前記ドットを指定するデータである指定データが供給された場合、前記立体造形物を1または複数の前記ドットで形成し、複数の前記単位造形体を用いて前記立体物が造形されるように、前記ヘッドユニットを制御する制御機能と、
    各単位造形体を、前記モデルの示す色彩を表すために必要な量の前記色材成分を有する第1単位造形体と、前記モデルの示す色彩を表すために必要な量を所定の変数によって少なくした前記色材成分を有する第2単位造形体と、に分離する分離機能と、をコンピューターに実行させ、
    前記分離機能は、単位造形体の表面を構成する6面のうち2以上の面が、立体物表面から内側に向けて前記モデルの示す色彩を表す所定の厚さの彩色層の内外表面を構成する面である場合、第2単位造形体であると判断し、前記彩色層に前記第2単位造形体が占める割合によって前記所定の変数を決定することを特徴とする立体物造形装置の制御プログラム。
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