JP6480367B2 - アルミニウム合金ブレージングシート - Google Patents

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Description

本発明は、アルミニウム合金ブレージングシートに関するものである。
近年、電気自動車や燃料電池車に代表される環境対応車の登場により、自動車用熱交換器には従来よりも高性能化や形状の複雑化の要求が高まっている。
従来、熱交換器の耐食性を向上させるために、ろう材にZnを添加してろう材の電位を卑にして、ろう材の表面から芯材の内部にかけて電位勾配を発生させ、犠牲陽極効果を発揮させたアルミニウム合金ブレージングシートを用いたものが知られている(例えば特許文献1)。また、特許文献2では、外面側に低Si含有量のろう材をクラッドし、内面側に通常のSi含有量のろう材をクラッドすることで、内面側における接合性を確保し、外面での耐食性に優れたアルミニウム合金クラッドが提案されている(例えば特許文献2)。
特開平07−303985号公報 特開2010−255012号公報
ところで、特許文献2で示されるように、耐食性確保のために犠牲材が適用されていた熱交換器冷水側についてもろう付けを実施する例が増えており、ろう付けの接合性と、熱交換器の冷水側での使用にも耐えられるような優れた耐食性を両立するろう材が求められている。
しかし、特許文献1に示されるように、耐食性を向上させるためにろう材にZnを含有させる方法では、ろう付熱処理時にろう材が流動することで、材料表面に均一にZnが分布しないことや、優先腐食しやすいろう材共晶部で局所的に腐食が進行することにより、犠牲材に匹敵するような耐食性を得ることが難しい。また、特許文献2では、内面側における耐食性が十分ではない。
本発明は上記事情を背景としてなされたものであり、ろう付け性と耐食性を向上させたアルミニウム合金ブレージングシートを提供することを目的とする。
本発明では、Zn含有ろう材へ添加されるSi量を低減することで、ろう付熱処理時に流動するろう材量を適正化し、ろう付後に材料表面で防食層として作用するろう材厚さを厚く存在させるものとしている。さらに、発明者らはSbまたはBiをろう材へ添加することにより、ろう付熱処理後のろう材組織において、ろう共晶が材料表層部近傍に広く分布する形態となることを見出した。これにより、ろう材では共晶と初晶が2層状になる組織が得られ、例えば熱交換器の冷却水側などの腐食環境に曝されたとき、表層部の共晶が優先腐食した後、その下にある初晶が均一に腐食し、全面腐食の形態が得られ、耐食性が向上する。これより、水側耐食性に優れたろう材を有するブレージングシートを得ることができる。
すなわち、本発明のアルミニウム合金ブレージングシートのうち、第1の本発明は、Al−Mn系合金からなる芯材の一方または両方の面にろう材がクラッドされているアルミニウム合金ブレージングシートであって、前記ろう材が質量%でSi:2.5〜6.5%、Zn:0.5〜6.0%含有し、かつ、Sb:0.01〜0.1%、Bi:0.05〜0.3%のうちの少なくとも1種を含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなる組成を有し、ろう付熱処理前のろう材の厚さをA,ろう付熱処理後に残存する残存ろう材の厚さをBとして、B≧0.8Aであり、前記ろう付熱処理が、室温から400℃の到達時間が4分〜9分、400℃〜550℃の到達時間が1分〜2分、550℃〜目標温度までの到達時間が3分〜5分となるような昇温速度で加熱し、600℃の目標温度で3分間保持し、その後、300℃まで100℃/minで冷却した後、室温まで空冷を行うものであり、前記残存ろう材は、前記残存ろう材の厚さ方向の中心から前記残存ろう材と前記芯材との界面にかけての領域内に、前記残存ろう材の厚さ方向断面で面積1cmあたりに、ろう共晶が、平均で5〜20%の範囲の面積占有率で存在していることを特徴とする。
第2の本発明のアルミニウム合金ブレージングシートは、前記第1の本発明において、前記残存ろう材を、前記残存ろう材の厚さ方向の中心で厚さ方向に表面側領域と界面側領域とに2つに区分した場合に、表面側領域の孔食電位をE1、前記界面側領域の孔食電位をE2、前記芯材の孔食電位をE3としたときに、E1<E2<E3であり、かつ、前記表面側領域の孔食電位E1と前記界面側領域の孔食電位E2との差が20mV〜80mVであることを特徴とする。
第3の本発明のアルミニウム合金ブレージングシートは、前記第1または第2の本発明において、前記残存ろう材を、前記残存ろう材の厚さ方向の中心で厚さ方向に表面側領域と界面側領域とに2つに区分した場合に、表面側領域の孔食電位をE1、前記界面側領域の孔食電位をE2、前記芯材の孔食電位をE3としたときに、E1<E2<E3であり、かつ、前記界面側領域の孔食電位E2と前記芯材の孔食電位E3との差が100〜200mVであることを特徴とする。
第4の本発明のアルミニウム合金ブレージングシートは、前記第1〜第3の本発明のいずれかにおいて、前記ろう材が、さらに、質量%で、Mn:0.05〜1.0%、Cr:0.05〜0.5%、Ti:0.05〜0.3%、Zr:0.05〜0.3%、Sr:0.005〜0.1%、Na:0.01〜0.1%のうちの1種または2種以上を含有することを特徴とする。
第5の本発明のアルミニウム合金ブレージングシートは、前記第1〜第4の本発明のいずれかにおいて、前記残存ろう材の厚さが、10〜60μmの範囲内であることを特徴とする。
以下、本願発明で規定するろう材成分および製造条件の限定理由について説明する。
Si:2.5〜6.5質量%
ろう材層成分のSiは、ろう付性を向上させる効果があり、2.5質量%未満の含有では、その効果が十分に発揮されず、6.5質量%を超えて含有すると、ろう付時の溶融ろうの流動性が高くなり過ぎて、ろう付後に残存するろう材層の厚さが低下する。このため、Siの含有量を上記範囲に定める。なお、同様の理由で、Si含有量の下限を4.0%、上限を5.5%とするのが望ましい。
Zn:0.5〜6.0質量%
Znは、ろう材層の電位を卑にして芯材を防食する効果がある。0.5質量%未満の含有では、その効果が十分発揮されず、6.0質量%を超えて含有すると、腐食速度が速くなり過ぎて、ろう材層が早期に腐食、消耗することで耐食性が低下する。このため、Znの含有量を上記範囲に定める。なお、同様の理由で、Zn含有量の下限を1.0%、上限を3.0%とするのが望ましい。
Sb:0.01〜0.1質量%
Sbはろう材中の共晶Si粒子を微細にすることで、ろう付熱処理後の共晶Siの存在形態を変化させ、耐食性を向上させるので、必須の選択成分の一つとする。0.01質量%未満の含有では、その効果が十分発揮されず、0.1質量%を超えて含有すると、ろう付時の溶融ろうの流動性が高くなり過ぎて、ろう付後に残存するろう材層の厚さが低下する。このため、Sbの含有量を上記範囲に定める。なお、同様の理由で、Sb含有量の下限を0.03%、上限を0.06%とするのが望ましい。
Bi:0.05〜0.3%
Biは溶融したAlの表面張力を低下させる効果があり、ろう付熱処理後の共晶、初晶の存在形態を変化させ、耐食性を向上させるので、必須の選択成分の一つとする。0.05質量%未満の含有では、その効果が十分発揮されず、0.3質量%を超えて含有すると、ろう付時の溶融ろうの流動性が高くなり過ぎて、ろう付後に残存するろう材層の厚さが低下する。このため、Biの含有量を上記範囲に定める。なお、同様の理由で、Bi含有量の下限を0.08%、上限を0.18%とするのが望ましい。
B≧0.8A
ろう付熱処理前のろう材の厚さをA、ろう付け熱処理後の残存ろう材の厚さをBとしたとき、ろう材層の厚さの比率B/Aは、耐食性に影響する。B/Aが0.8以上となることで耐食性が良好になり、B/Aが0.8未満であると耐食性が低下する。このため、残存ろう材の厚さAが、Bに対し上記関係を満たすよう定める。
ろう共晶の面積占有率:平均5〜20%
残存ろう材において、厚さ方向の中心から残存ろう材と前記芯材との界面にかけて、厚さ方向断面で、面積1cmあたりにろう共晶が平均で面積占有率5〜20%の範囲で存在している。ろう共晶の面積占有率は、小さいほど耐食性が向上するが、面積占有率が5%未満ではろう付性が低下し、面積占有率が20%を超えると耐食性が低下する。このため、上記領域におけるろう共晶の面積占有率の平均を上記範囲に定める。なお、面積占有率は、下限を8%とするのが望ましく、また、上限を15%とするのが望ましい。さらに、面積占有率は、平均でなく、各箇所で上記範囲を満たすのがより望ましい。
孔食電位差
残存ろう材の厚さ方向の中心で厚さ方向に表面側領域と界面側領域とに2つに区分した場合に、表面側領域の孔食電位をE1、前記界面側領域の孔食電位をE2、前記芯材の孔食電位をE3としたときに、E1<E2<E3であることが望ましい。 なお、表面側領域は、残存ろう材の厚さ方向の中心から表面側に位置する領域であり、界面側領域は、残存ろう材の厚さ方向の中心から界面側に位置する領域を示している。
表面側領域と界面側領域の孔食電位の差:20〜80mV
残存ろう材の表面側領域の孔食電位(E1)と界面側領域の孔食電位(E2)とに電位差があることにより、腐食のごく初期段階では表面側領域が優先的に腐食し、その後は界面側領域が腐食するような腐食形態となり、早期に深さ方向に腐食が進展する状態を抑制することができる。孔食電位の差が20mV未満ではその効果が十分発揮されず、80mVを超えると腐食速度の増加を招く。このため、表面側領域と界面側領域の孔食電位の差を上記範囲に定めるのが望ましい。なお、これらの孔食電位の差の下限を35mV、上限を60mVとするのが一層望ましい。
界面側領域と芯材との孔食電位の差:100mV〜200mV
残存ろう材の界面側領域の孔食電位(E2)と芯材の孔食電位(E3)との間に電位差があることにより、犠牲陽極効果が発揮されるため、ろう材側からの腐食による貫通孔の発生を防ぐことができる。孔食電位の差が100mV未満ではその効果が十分発揮されず、200mVを超えると腐食速度の増加を招く。このため、残存ろう材の界面側領域と芯材の孔食電位の差を上記範囲に定めるのが望ましい。なお、これらの孔食電位の差の下限を120mV、上限を180mVとするのが一層望ましい。
微量元素(Mn:0.05〜1.0%、Cr:0.05〜0.5%、Ti:0.05〜0.3%、Zr:0.05〜0.3%、Sr:0.005〜0.1%、Na:0.01〜0.1%のうちの1種または2種以上)
Mn、Cr、Ti、Zrは、アルミニウムと化合物を生成して、孔食を分散させることにより、耐食性を向上させる効果がある。Sr、Naはろう材中の共晶Si粒子を微細に分散させる効果があり、共晶ろうの分散状態を均一化させ、耐食性を向上させる。いずれも、その含有量が下限値未満では、効果が十分に発揮されず、上限値を超えて含有しても効果は飽和する。このため、上記微量元素の1種または2種以上を所望により含有させることができる。
残存ろう材の厚さ:10〜60μm
残存するろう材によって芯材に対する犠牲陽極効果を確保するため、残存ろう材の厚さを望ましくは限定する。
ろうが全て接合部へ流動すると、残存ろう材の厚さは10μm未満となり、防食層が不十分になる。残存ろう材の厚さが60μmを超えると、芯材や被接合部材へのろう浸食が著しくろう付性に劣る。
ろう付加熱:室温から400℃までの到達時間を4分〜9分、400℃から550℃までの到達時間を1分〜2分、550℃から、590℃〜610℃の範囲内にある目標温度までの到達時間を3分〜5分、前記目標温度での保持時間を3分間とする加熱
上記に示すように、ろう付条件を最適化することで所望のろう共晶占有率ならびに各層の電位順列および電位差を得ることができる。
入熱量√ΣDtが18〜28
熱処理条件を変更することで、ろう付け後の共晶組織の存在状態を変化させることができる。そのため、耐食性を向上させるために、上記した加熱によってろう付け熱処理を行うことが望ましい。入熱量が下限未満であると、ろう材共晶の面積占有率が増加して所望の範囲を得られない。入熱量が上限を超えると、ろうの流動性が高まり所望の残存ろう厚さを得られない。
ただし、
t:室温〜600℃〜冷却300℃までの時間(s)
D:Znの拡散係数(cm/s)
以上説明したように、本発明によれば、ろう付後に材料表面で防食層として作用するろう材厚さを厚く存在させることができ、界面側領域側で共晶量を小さくして耐食性を向上させるとともに、ろう付け性を確保することができる。
本発明の一実施例における、ろう付熱処理前とろう付熱処理後の厚さ方向断面の状態を示す図面代用写真である。 本発明の一実施例における、ろう付け熱処理後の厚さ方向断面の図面代用写真である。
Al−Mn系の芯材用アルミニウム合金および本発明の組成を有するろう材用アルミニウム合金を用意する。該合金は常法により溶製することができ、本発明としては特に溶製方法が限定されるものではなく、半連続鋳造法、連続鋳造法のいずれであってもよい。
芯材用アルミニウム合金は、Al−Mn系であればよく、その組成が特に限定されるものではないが、例えば、Mnを1.0〜2.0%含有するものが挙げられる。その他に、1%以下のSiや1%以下のCuを含有するものが挙げられる。
芯材用アルミニウム合金およびろう材用アルミニウム合金は、例えば530〜600℃で8〜16時間加熱する均質化処理を行なうことができ、ろう材は400〜550℃×1〜5時間の均質化処理を行なうことができる。
鋳塊は熱間圧延を経て合金板とされる。また連続鋳造圧延を経て合金板とするものであってもよい。
これらの合金板は、クラッドに組み付けられて適宜のクラッド率でクラッドされる。クラッドは、一般に圧延により行われる。その後、さらに冷間圧延を行なうことで所望の厚さのアルミニウム合金ブレージングシートが得られる。クラッド材の構成は、例えば、皮材:芯材:ろう材=10%:80%:10%とすることができる。ただし、上記クラッド材の構成はこれに限定されるものではなく、例えば、ろう材のクラッド率を5%や15%にしてもよい。
上記製造工程では、冷間圧延に際し中間焼鈍を介在させることができる。該中間焼鈍は、例えば200〜400℃で1〜6時間の加熱によって行なうことができる。中間焼鈍後の最終圧延では、10〜50%の冷間圧延率で圧延を行なう。また、作製される材料は中間焼鈍を介さず、所望の板厚まで圧延を行なった後に最終焼鈍を行ない、O調質とすることもできる。
作製されたクラッド材は、適宜の雰囲気でろう付けを行なう。
ろう付けは、例えば、室温から目標温度までの到達時間が1〜20分となるような昇温速度で加熱し、590℃〜610℃の目標温度で1〜8分保持することにより行うことができる。なお、ろう付けは、室温から400℃までの到達時間を4分〜9分、400℃から550℃までの到達時間を1分〜2分、550℃から590℃〜610℃の範囲内にある目標温度までの到達時間を3分〜5分、前記目標温度での保持時間を3分間とする加熱によって行うことがより望ましい。
また、このろう付けにおいて、ろう付時間:t、Znの拡散係数:Dとした場合に、ろう付け熱処理によって与えられる入熱量√ΣDtを18〜28として加熱が行われるのが望ましい。
ろう付けが行われたアルミニウム合金ブレージングシートでは、ろう付け前のろう材の厚さをA、ろう付け後に残存する残存ろう材の厚さをBとしたとき、B≧0.8Aとなり、残存ろう材の厚さは10〜60μmとなる。したがって、ろう付け後のろう材厚さを厚く存在させることができる。
また、ろう付けが行われたアルミニウム合金ブレージングシートでは、残存ろう材の厚さ方向の中心から芯材にかけての領域における共晶の面積占有率が平均で5〜20%となる。
さらに、前記残存ろう材を、前記残存ろう材の厚さ方向の中心で厚さ方向に表面側領域と界面側領域とに2つに区分した場合に、表面側領域の孔食電位をE1、前記界面側領域の孔食電位をE2、芯材の孔食電位をE3としたときに、E1<E2<E3であり、かつ、表面側領域の孔食電位E1と界面側領域の孔食電位E2との差が20mV〜80mV、界面側領域の孔食電位E2と芯材の孔食電位E3との差が100〜200mVとなる。
したがって、製造されたアルミニウム合金ブレージングシートは、ろう付け加熱後においてろう共晶が材料表層部近傍に広く分布する形態となり、ろう材では共晶と初晶が2層状になる組織が得られ、熱交換器の冷却水側などの腐食環境に曝された時、表層部の共晶が優先腐食した後、その下にある初晶が均一に腐食し、全面腐食の形態が得られ、耐食性が向上する。
半連続鋳造により芯材用アルミニウム合金およびろう材用アルミニウム合金を鋳造した。芯材用アルミニウム合金にはJIS A3003合金(1.2%のMn、0.5%のSiを含有し、残部Alおよび不可避不純物)を用い、ろう材用アルミニウム合金には表1(残部Alおよび不可避不純物)に示す合金を用いた。芯材用の材料には580℃で8時間の均質化処理を行なった。また、ろう材用の材料には430℃で3時間の均質化処理を行なった。
次に、芯材の一方の面にろう材を組み合わせて熱間圧延してクラッド材とし、さらに冷間圧延を行った。その後、所定の圧延率とした冷間圧延により厚さ0.20mmとした後、最終焼鈍を360℃で3時間行い、O調質のクラッド材(供試材)を作製した。
クラッド材の厚さ構成は、芯材:ろう材=90%:10%とした。このクラッド材においてろう付け相当熱処理前の芯材の材料板厚は180μm、ろう材の厚さは20μmであった。
このクラッド材に対し、ろう付け相当熱処理として、室温から400℃の到達時間が4分〜9分、400℃〜550℃の到達時間が1分〜2分、550℃〜目標温度までの到達時間が3分〜5分となるような昇温速度で加熱し、600℃の目標温度で3分間保持し、その後、300℃まで約100℃/minで冷却した後、室温まで空冷を行なった。
この時、ろう付時間:t、Znの拡散係数:Dとした場合に√ΣDtにより与えられる入熱量はいずれも23となった。熱処理条件を変更することでろう付熱処理後の共晶組織の存在状態を変化させることができた。
作成したアルミニウム合金ブレージングシートに、上記段落で示した条件にてろう付け相当熱処理を実施して、ろう付け相当熱処理前とろう付け相当熱処理後の圧延方向断面を、倍率200倍で観察して図1に示した。
作成した供試材に対して、以下の測定および試験を行い、性能を評価した。その結果を表2に示した。
・ろう付け熱処理の前後におけるろう材の厚さの比率
ろう付け熱処理の前と後においてろう材の厚さを測定し、ろう付け熱処理前のろう材の厚さをA、ろう付け熱処理後後の残存ろう材の厚さをBとして、B/Aの値を求めた。
なお、ろう付熱処理前のろう材厚さは20μmである。
・共晶の面積占有率
ろう付け熱処理後の残存ろう材の断面において、残存ろう材の厚さ方向の中心から残存ろう材と芯材との界面にかけての領域内の共晶の面積占有率を算出した。
面積占有率は、EPMAによる断面組織の2値化処理よりろう材1cm当たりの共晶割合を測定し、算出した。
・孔食電位
ろう付熱処理後のサンプルをろう材再表面から5%NaOH(苛性ソーダ)でエッチング除去して所定の板厚とした後に電位測定を実施した。
ろう付け熱処理後の残存ろう材を厚さ方向の中心で厚さ方向に2つに区分した場合の、表面側領域の孔食電位(E1)、界面側領域の孔食電位(E2)、および心芯材の孔食電位(E3)を測定した。なお、表面側領域、界面側領域は、図1においてはそれぞれ上領域、下領域と表記されている。
測定された孔食電位にもとづき、表面側領域の孔食電位(E1)と界面側領域の孔食電位(E2)との差、および、界面側領域の孔食電位(E2)と芯材の孔食電位(E3)との差を算出した。
・内部耐食性
ろう付相当熱処理後の供試材から30×50mmのサンプルを切り出し、ろう材層側について、Cl−:195ppm、SO −:60ppm、Cu+:1ppm、Fe+:30ppmを含む水溶液中で80℃×8時間と室温×16時間との間のサイクルで浸漬試験を4週間実施した。腐食試験後のサンプルを沸騰させたリン酸クロム酸混合溶液に浸漬して腐食生成物を除去した後、最大腐食部の断面観察を実施して腐食深さを測定し、この結果を用いて内部耐食性を評価した。腐食深さが30μm以下であったものを◎と評価し、30μm超、50μm以下のものを○と評価し、50μm超、75μm以下のものを△と評価し、75μm超のものを×と評価した。
・ろう付性
ろう付相当熱処理前の供試材から20×35mmのサンプルを2枚切り出した後、別途用意したコルゲート加工したフィン材(JIS A3003合金)を供試材で挟むように組み合わせ、ミニコアを作製した。このとき、フィン材に接する面は供試材のろう材側とし、フィン材との接点が50箇所存在するようにした。
このミニコアをフッ化物フラックス水溶液に浸漬し、フッ化物フラックスを5g/mで塗布した後、所定のろう付熱処理条件にてろう付を行なった。ろう付後のミニコアからフィンを剥がし、供試材とフィンの接点の中でフィレットが形成されていたものの数をNとし、ろう付の接合率をN/50として求めた。この接合率が95%以上であったものを◎、95%未満、90%以上のものを○、90%未満、85%以上のものを△、85%未満のものを×と評価した。
表2に示すように、本発明の組成等を有するアルミニウム合金ブレージングシートを用いた実施例では、耐食性とろう付け性の両方において良い評価が得られ、高い耐食性とろう付け性を実現することができていた。これに対し、本発明の規定のいずれか一つ以上を有していないないアルミニウム合金ブレージングシートを用いた比較例では、耐食性とろう付け性の一方または両方において、良い結果が得られなかった。
以上、本発明について実施形態および実施例に基づいて説明を行ったが、本発明は上記した説明に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りは、上記実施形態および実施例を適宜変更することが可能である。

Claims (5)

  1. Al−Mn系合金からなる芯材の一方または両方の面にろう材がクラッドされているアルミニウム合金ブレージングシートであって、
    前記ろう材が質量%でSi:2.5〜6.5%、Zn:0.5〜6.0%含有し、かつ、Sb:0.01〜0.1%、Bi:0.05〜0.3%のうちの少なくとも1種を含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなる組成を有し、
    ろう付熱処理前のろう材の厚さをA,ろう付熱処理後に残存する残存ろう材の厚さをBとして、B≧0.8Aであり、
    前記ろう付熱処理が、室温から400℃の到達時間が4分〜9分、400℃〜550℃の到達時間が1分〜2分、550℃〜目標温度までの到達時間が3分〜5分となるような昇温速度で加熱し、600℃の目標温度で3分間保持し、その後、300℃まで100℃/minで冷却した後、室温まで空冷を行うものであり、
    前記残存ろう材は、前記残存ろう材の厚さ方向の中心から前記残存ろう材と前記芯材との界面にかけての領域内に、前記残存ろう材の厚さ方向断面で面積1cmあたりに、ろう共晶が、平均で5〜20%の範囲の面積占有率で存在していることを特徴とするアルミニウム合金ブレージングシート。
  2. 前記残存ろう材を、前記残存ろう材の厚さ方向の中心で厚さ方向に表面側領域と界面側領域とに2つに区分した場合に、表面側領域の孔食電位をE1、前記界面側領域の孔食電位をE2、前記芯材の孔食電位をE3としたときに、E1<E2<E3であり、かつ
    前記表面側領域の孔食電位E1と前記界面側領域の孔食電位E2との差が20mV〜80mVであることを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム合金ブレージングシート。
  3. 前記残存ろう材を、前記残存ろう材の厚さ方向の中心で厚さ方向に表面側領域と界面側領域とに2つに区分した場合に、表面側領域の孔食電位をE1、前記界面側領域の孔食電位をE2、前記芯材の孔食電位をE3としたときに、E1<E2<E3であり、かつ
    前記界面側領域の孔食電位E2と前記芯材の孔食電位E3との差が100〜200mVであることを特徴とする請求項1または2に記載のアルミニウム合金ブレージングシート。
  4. 前記ろう材が、さらに、質量%で、Mn:0.05〜1.0%、Cr:0.05〜0.5%、Ti:0.05〜0.3%、Zr:0.05〜0.3%、Sr:0.005〜0.1%、Na:0.01〜0.1%のうちの1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のアルミニウム合金ブレージングシート。
  5. 前記残存ろう材の厚さが、10〜60μmの範囲内であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のアルミニウム合金ブレージングシート。
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