JP6479499B2 - 可逆変色性布帛の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は可逆変色性布帛の製造方法に関する。更に詳細には、柔軟な風合いを有すると共に、光沢性に富む可逆変色性布帛の製造方法に関する。
従来、可逆変色性布帛に関し、幾つかの提案が開示されている(例えば、特許文献1、2参照)。
前記可逆変色性布帛は、人形用衣裳等の玩具分野に適用されており、温度変化により色変化を楽しむことができるとしても、最上層に光沢性や耐擦過性を付与するために設けられるフィルム等の透明性材料が柔軟な風合いを損ねることがあった。
特開昭61−179371号公報 特開平6−272178号公報
本発明は、従来の可逆変色性布帛の不具合を解消するものであって、色変化を楽しむことができると共に、光沢性に富み、柔軟な風合いを有する可逆変色性布帛の製造方法を提供しようとするものである。
本発明は、離型性を有する基材上に厚みが0.5〜3μmの透明性樹脂層、可逆変色層を設けた可逆変色性転写シートを、厚みが0.02〜0.4mmの熱溶融性樹脂により形成されてなる接着性樹脂層を介して布帛と接着する可逆変色性布帛の製造方法を要件とする。
本発明は、柔軟な風合いを有すると共に、光沢性に富み、人形用衣裳等の玩具分野、装飾分野等に好適な可逆変色性布帛の製造方法を提供することができる。
加熱消色型の可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料の変色挙動を示す説明図である。 色彩記憶性を有する加熱消色型の可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料の変色挙動を示す説明図である。 加熱発色型の可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料の変色挙動を示す説明図である。 本発明の可逆熱変色性布帛の縦断面説明図である。 本発明の可逆光変色性布帛の他の縦断面説明図である。
可逆変色性布帛に用いられる布帛の材質は特に限定されるものではないが、ポリエステル、ナイロン、アクリル、ビニロン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニリデン、レーヨン、キュプラ、アセテート、綿、羊毛、絹、麻等を例示できる。
前記布帛の形態としては、織物、編物、組物、不織布、パイル生地、レース生地等の形態が挙げられる。
前記可逆変色性布帛は、布帛上に接着性樹脂層、可逆変色層、厚みが0.5〜3μmの透明性樹脂層を順次設けて得ることもできるが、離型性を有する基材上に厚みが0.5〜3μmの透明性樹脂層と可逆変色層を積層した可逆変色性転写シートを、接着性樹脂層を介して布帛と接着し、基材を除去して可逆変色性布帛を得ることもできる。
この場合、離型性を有する基材上に厚みが0.5〜3μmの透明性樹脂層と可逆変色層、接着性樹脂層を積層した可逆変色性転写シートを布帛と接着し、基材を除去して可逆変色性布帛を得たり、離型性を有する基材上に厚みが0.5〜3μmの透明性樹脂層と可逆変色層を積層した可逆変色性転写シートを、布帛に設けた接着性樹脂層と接着し、基材を除去して可逆変色性布帛が得られる。
布帛に直接可逆変色層を設け、その上層に透明性樹脂層を設ける場合、可逆変色層を形成する際に可逆変色性材料とバインダー樹脂が布帛に含浸して布帛が硬化して柔軟な風合いを損ない易いのに対し、接着性樹脂層を介して可逆変色層と布帛が接着された可逆変色性布帛、及び離型性を有する基材上に透明性樹脂層と可逆変色層を積層した可逆変色性転写シートを、接着性樹脂層を介して布帛と接着する可逆変色性布帛の製造方法により、布帛内に可逆変色性材料とバインダー樹脂が含浸し難くなり、より柔軟性な風合いを有する可逆変色性布帛を得ることができる。
なお、可逆変色性転写シートの可逆変色層上もしくは布帛上に設けられる接着性樹脂層が液状の場合、可逆変色層と布帛を接着し、布帛の風合いを損ねない程度の塗布量とすることが好ましい。
前記可逆変色性転写シートは、フィルム又は紙からなる離型性を有する基材上に、透明性樹脂層、可逆変色層を順に設けた転写シートであり、接着性樹脂層を介して布帛と接着することで柔軟な風合いと光沢性を有する可逆変色性布帛を得ることができる。
前記接着性樹脂層は、あらかじめ転写シートの可逆変色層上に形成してもよいが、布帛と可逆変色性転写シートを貼り合わせる際に接着剤を布帛に塗布して接着性樹脂層を設け、可逆変色性転写シートと貼着して可逆変色性布帛を得たり、布帛と可逆変色性転写シートを貼り合わせる際に熱溶融性樹脂等の接着性樹脂層を介在させ、可逆変色性転写シートと貼着して可逆変色性布帛を得ることができる。
前記離型性を有する基材としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、セルロースアセテートフィルム、セロハン紙、グラシン紙、洋紙、和紙等に、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、セルロース樹脂、アクリル樹脂、アミノアルキッド樹脂、酢酸ビニル樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、尿素−メラミン系樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、パラフィンワックス等を主成分とした離型剤を表面に塗布もしくは含浸、内在させたものが挙げられる。
前記転写シートを用いて製造された可逆変色性布帛には、透明性樹脂層上に基材の離型層が残ることがあるが、前記離型層は布帛の柔軟な風合いを阻害することがないため、そのまま放置してもよい。
前記厚みが0.5〜3μmの透明性樹脂層は、可逆変色性布帛の最上層に位置する層であって、薄いため布帛の柔軟性を損なうことなく、しかも、光沢性を付与することができる。
前記透明性樹脂層は、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、エポキシ−アクリレート系樹脂、ウレタン系樹脂、エチレン樹脂、ウレタン−アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、ウレア系樹脂、尿素系樹脂、尿素−メラミン系樹脂、ジアリルフタレート系樹、エステル系樹脂、アルキッド系樹脂、マレイン化ロジン、ビニルブチラール系樹脂、セルロース系樹脂、アミド系樹脂等の熱硬化性樹脂、二液硬化型樹脂、紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂等により形成される。
なお、前記透明性樹脂層は光輝性を有していてもよく、離型性を有する基材、光輝性を有する透明性樹脂層、可逆変色層が順次積層された転写シートを用いることもできる。
前記光輝性を有する透明性樹脂層としては、透明性金属光沢顔料(例えば、天然雲母、合成雲母、ガラス片、アルミナ等の透明性芯物質の表面を酸化チタン等の金属酸化物で被覆したパール顔料)をバインダー樹脂と共に塗布した透明性金属光沢を有する樹脂層、虹彩層や透明性ホログラム層が挙げられる。
前記虹彩層としては、基材表面に該基材と屈折率が0.05以上の差がある透明な金属化合物(例えば、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化亜鉛、硫化カドミウム、弗化マグネシウム、弗化セリウム等)の薄膜層を形成し、該薄膜と屈折率が0.05以上の差がある凹凸の透明樹脂層の順に積層したもの、屈折率が異なる透明なプラスチック薄膜を多層に積層したものを例示できる。
前記透明性ホログラム層としては、微細な凹凸模様の少なくとも片面にAl、Cr、Ni、Sn、Fe、Co、Cu、Pb、Sb、Mg、Cd、Bi等の金属を蒸着して光反射層を設けたものを例示できる。
前記可逆変色層は、可逆熱変色性材料や可逆光変色性材料等の可逆変色性材料をバインダー樹脂中に分散して形成される。
前記バインダー樹脂を含むビヒクル中に可逆変色性材料が分散状態に調製されたインキ又は塗布液となし、汎用の印刷乃至塗布手段により、可逆変色層を形成する。
前記可逆変色層は、文字、記号、数字、図柄等の像であってもよく、単層に限らず、変色温度、色、濃度等や、変色特性を異にする可逆熱変色性材料を用いて重ね刷りした多層構成のもの、色、濃度等や、変色特性を異にする可逆光変色性材料を用いて重ね刷りした多層構成のもの、更には、非熱変色性着色剤の併用により有色(1)から有色(2)色変化する構成であってもよい。
前記バインダー樹脂は、水溶性或いは油溶性の樹脂のいずれであってもよく、目的に応じて適宜、選択して使用できる。
具体的には、アイオノマー樹脂、イソブチレン−無水マレイン酸共重合樹脂、アクリロニトリル−アクリリックスチレン共重合樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル塩素化ポリエチレン−スチレン共重合樹脂、エチレン−塩化ビニル共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル−塩化ビニルグラフト共重合樹脂、塩化ビニリデン樹脂、塩化ビニル樹脂、塩素化塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ハイインパクトポリスチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリメチルスチレン樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂、アルキルフェノール樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、ロジン変性アルキド樹脂、フェノール変性アルキド樹脂、エポキシ変性アルキド樹脂、スチレン変性アルキド樹脂、アクリル変性アルキド樹脂、アミノアルキド樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキッド樹脂、天然ゴム、ポリイソブチレン、ブチルゴム、ポリビニルアルキルエーテル、ロジン、ロジンエステル、ロジン誘導体、ポリテルペン樹脂、油溶性フェノール樹脂、石油系炭化水素樹脂、シェラック、環化ゴム、酢酸ビニル系エマルジョン樹脂、スチレン−ブタジエン系エマルジョン樹脂、アクリル酸エステル系エマルジョン樹脂、水溶性アルキド樹脂、水溶性メラミン樹脂、水溶性尿素樹脂、水溶性フェノール樹脂、水溶性エポキシ樹脂、水溶性ポリブタジエン樹脂、酢酸セルローズ、硝酸セルローズ、エチルセルローズ等を挙げることができ、一種又は二種以上を併用することができる。
前記バインダー樹脂は、水や有機溶剤等の適宜の溶剤に溶解または分散させて、可逆変色性材料を分散させるためのビヒクルが得られる。
なお、前記バインダー樹脂は、後述する接着性樹脂層が熱溶融性樹脂の場合、熱溶融性樹脂の融点以上の融点を有する樹脂、或いは熱硬化性の樹脂から適宜選択することが好ましい。
前記可逆熱変色性材料としては、AgHgIやCuHgI等の無機材料、液晶、電子供与性呈色性有機化合物と、電子受容性化合物と、前記両者の呈色反応を可逆的に生起させる有機化合物媒体との三成分を含む加熱消色型の可逆熱変色性材料、或いは、電子供与性呈色性有機化合物と、電子受容性化合物と、前記両者の呈色反応を可逆的に生起させる有機化合物媒体との三成分を含む加熱発色型の可逆熱変色性材料が用いられる。
そのうち、電子供与性呈色性有機化合物と、電子受容性化合物と、前記両者の呈色反応を可逆的に生起させる有機化合物媒体を含む可逆熱変色性材料について説明する。
前記可逆熱変色性材料は、(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体からなる可逆熱変色性組成物を内包させた有色から無色に変色する可逆熱変色性マイクロカプセル顔料(可逆熱変色性顔料)が挙げられる。
前記可逆熱変色性組成物としては、特公昭51−44706号公報、特公昭51−44707号公報、特公平1−29398号公報等に記載された、所定の温度(変色点)を境としてその前後で変色し、高温側変色点以上の温度域で消色状態、低温側変色点以下の温度域で発色状態を呈し、前記両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在せず、もう一方の状態は、その状態が発現するのに要した熱又は冷熱が適用されている間は維持されるが、前記熱又は冷熱の適用がなくなれば常温域で呈する状態に戻る、ヒステリシス幅が比較的小さい特性(ΔH=1〜7℃)を有する加熱消色型(加熱により消色し、冷却により発色する)の可逆熱変色性組成物を適用できる(図1参照)。
また、特公平4−17154号公報、特開平7−179777号公報、特開平7−33997号公報、特開平8−39936号公報等に記載されている大きなヒステリシス特性(ΔH=8〜50℃)を示す、即ち、温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から上昇させていく場合と逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿って変色し、完全発色温度(t)以下の低温域での発色状態、又は完全消色温度(t)以上の高温域での消色状態が、特定温度域〔t〜tの間の温度域(実質的二相保持温度域)〕で色彩記憶性を有する加熱消色型(加熱により消色し、冷却により発色する)の可逆熱変色性組成物も適用できる(図2参照)。
前記可逆熱変色性組成物の色濃度−温度曲線におけるヒステリシス特性について説明する。
図2において、縦軸に色濃度、横軸に温度が表されている。温度変化による色濃度の変化は矢印に沿って進行する。ここで、Aは完全消色状態に達する温度t(以下、完全消色温度と称す)における濃度を示す点であり、Bは消色を開始する温度t(以下、消色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Cは発色を開始する温度t(以下、発色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Dは完全発色状態に達する温度t(以下、完全発色温度と称す)における濃度を示す点である。
変色温度域は前記tとt間の温度域であり、着色状態と消色状態のいずれかの状態を呈することができ、色濃度の差の大きい領域であるtとtの間の温度域が実質変色温度域である。
また、線分EFの長さが変色のコントラストを示す尺度であり、線分EFの中点を通る線分HGの長さがヒステリシスの程度を示す温度幅(以下、ヒステリシス幅ΔHと記す)であり、このΔH値が小さいと変色前後の両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在しえない。また、前記ΔH値が大きいと変色前後の各状態の保持が容易となる。
以下に可逆熱色性組成物の(イ)、(ロ)、(ハ)成分について説明する。
本発明の(イ)成分である電子供与性呈色性有機化合物としては、ジフェニルメタンフタリド類、フェニルインドリルフタリド類、インドリルフタリド類、ジフェニルメタンアザフタリド類、フェニルインドリルアザフタリド類、フルオラン類、スチリノキノリン類、ジアザローダミンラクトン類、ピリジン類、キナゾリン類、ビスキナゾリン類等が挙げられる。
以下にこれらの化合物を例示する。
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、
3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、
3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、
3,3−ビス(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、
3−〔2−エトキシ−4−(N−エチルアニリノ)フェニル〕−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、
3,6−ジフェニルアミノフルオラン、
3,6−ジメトキシフルオラン、
3,6−ジ−n−ブトキシフルオラン、
2−メチル−6−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオラン、
3−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、
2−メチル−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、
2−(2−クロロアミノ)−6−ジブチルアミノフルオラン、
2−(2−クロロアニリノ)−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、
2−(3−トリフルオロメチルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−(N−メチルアニリノ)−6−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオラン、
1,3−ジメチル−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−クロロ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−アニリノ−3−メトキシ−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−アニリノ−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、
2−アニリノ−3−メトキシ−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、
2−キシリジノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、
1,2−ベンツ−6−ジエチルアミノフルオラン、
1,2−ベンツ−6−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)フルオラン、
1,2−ベンツ−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン、
2−(3−メトキシ−4−ドデコキシスチリル)キノリン、
スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン、
2−(ジエチルアミノ)−8−(ジエチルアミノ)−4−メチル−スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−g)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3−オン、
2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジ−n−ブチルアミノ)−4−メチル−スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−g)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3−オン、
2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジエチルアミノ)−4−メチル−スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−g)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3−オン、
2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(N−エチル−N−i−アミルアミノ)−4−メチル−スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−g)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3−オン、
2−(ジブチルアミノ)−8−(ジペンチルアミノ)−4−メチル−スピロ[5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−g)ピリミジン−5,1′(3′H)−イソベンゾフラン]−3−オン、
3−(2−メトキシ−4−ジメチルアミノフェニル)−3−(1−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、
3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、
3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−ペンチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、
4,5,6,7−テトラクロロ−3−[4−(ジメチルアミノ)−2−メチルフェニル]−3−(1−エチル−2−メチル−1H−インドール−3−イル)−1(3H)−イソベンゾフラノン、
3′,6′−ビス〔フェニル(2−メチルフェニル)アミノ〕−スピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9′−〔9H〕キサンテン]−3−オン、
3′,6′−ビス〔フェニル(3−メチルフェニル)アミノ〕−スピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9′−〔9H〕キサンテン]−3−オン、
3′,6′−ビス〔フェニル(3−エチルフェニル)アミノ〕−スピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9′−〔9H〕キサンテン]−3−オン、
4−[2,6−ビス(2−エトキシフェニル)−4−ピリジニル]−N,N−ジメチルベンゼンアミン、
2−(4′−ジメチルアミノフェニル)−4−メトキシ−キナゾリン、
4,4′−(エチレンジオキシ)−ビス〔2−(4−ジエチルアミノフェニル)キナゾリン〕等を挙げることができる。
なお、フルオラン類としては、キサンテン環を形成するフェニル基に置換基を有する前記化合物の他、キサンテン環を形成するフェニル基に置換基を有すると共にラクトン環を形成するフェニル基にも置換基(例えば、メチル基等のアルキル基、クロロ基等のハロゲン原子)を有する青色や黒色を呈する化合物であってもよい。
前記(ロ)成分の電子受容性化合物としては、活性プロトンを有する化合物群、偽酸性化合物群(酸ではないが、組成物中で酸として作用して成分(イ)を発色させる化合物群)、電子空孔を有する化合物群等がある。
活性プロトンを有する化合物を例示すると、フェノール性水酸基を有する化合物としては、モノフェノール類からポリフェノール類があり、さらにその置換基としてアルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基及びそのエステル又はアミド基、ハロゲン基等を有するもの、及びビス型、トリス型フェノール等、フェノール−アルデヒド縮合樹脂等を挙げることができる。又、前記フェノール性水酸基を有する化合物の金属塩であってもよい。
以下に具体例を挙げる。
フェノール、o−クレゾール、ターシャリーブチルカテコール、ノニルフェノール、n−オクチルフェノール、n−ドデシルフェノール、n−ステアリルフェノール、p−クロロフェノール、p−ブロモフェノール、o−フェニルフェノール、p−ヒドロキシ安息香酸n−ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸n−オクチル、レゾルシン、没食子酸ドデシル、4,4−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−オクタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ノナン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−デカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ドデカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2,3−ジメチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,7−ジメチルオクタン、1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ペプタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−オクタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ノナン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−デカン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ドデカン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチルプロピオネート、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン等がある。
前記フェノール性水酸基を有する化合物が最も有効な熱変色特性を発現させることができるが、芳香族カルボン酸及び炭素数2〜5の脂肪族カルボン酸、カルボン酸金属塩、酸性リン酸エステル及びそれらの金属塩、1、2、3−トリアゾール及びその誘導体から選ばれる化合物等であってもよい。
前記(イ)、(ロ)成分による電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体の(ハ)成分について説明する。
前記(ハ)成分としては、アルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類を挙げることができる。
前記化合物を以下に例示する。
アルコール類としては、炭素数10以上の脂肪族一価の飽和アルコールが有効であり、具体的にはデシルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ペンタデシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、ヘプタデシルアルコール、オクタデシルアルコール、エイコシルアルコール、ドコシルアルコール等が挙げられる。
エステル類としては、炭素数10以上のエステル類が有効であり、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価カルボン酸と、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価アルコールの任意の組み合わせから得られるエステル類、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する多価カルボン酸と、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価アルコールの任意の組み合わせから得られるエステル類、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価カルボン酸と、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する多価アルコールの任意の組み合わせから得られるエステル類が挙げられ、具体的にはカプリル酸エチル、カプリル酸オクチル、カプリル酸ステアリル、カプリン酸ミリスチル、カプリン酸ドコシル、ラウリン酸2−エチルヘキシル、ラウリン酸n−デシル、ミリスチン酸3−メチルブチル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸ネオペンチル、パルミチン酸ノニル、パルミチン酸シクロヘキシル、ステアリン酸n−ブチル、ステアリン酸2−メチルブチル、ステアリン酸3,5,5−トリメチルヘキシル、ステアリン酸n−ウンデシル、ステアリン酸ペンタデシル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸シクロヘキシルメチル、ベヘン酸イソプロピル、ベヘン酸ヘキシル、ベヘン酸ラウリル、ベヘン酸ベヘニル、安息香酸セチル、p−tert−ブチル安息香酸ステアリル、フタル酸ジミリスチル、フタル酸ジステアリル、シュウ酸ジミリスチル、シュウ酸ジセチル、マロン酸ジセチル、コハク酸ジラウリル、グルタル酸ジラウリル、アジピン酸ジウンデシル、アゼライン酸ジラウリル、セバシン酸ジ−(n−ノニル)、1,18−オクタデシルメチレンジカルボン酸ジネオペンチル、エチレングリコールジミリステート、プロピレングリコールジラウレート、プロピレングリコールジステアレート、ヘキシレングリコールジパルミテート、1,5−ペンタンジオールジステアレート、1,2,6−ヘキサントリオールトリミリステート、1,4−シクロヘキサンジオールジデシル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジミリステート、キシレングリコールジカプリネート、キシレングリコールジステアレート等が挙げられる。
また、飽和脂肪酸と分枝脂肪族アルコールのエステル、不飽和脂肪酸又は分枝もしくは置換基を有する飽和脂肪酸と分岐状であるか又は炭素数16以上の脂肪族アルコールのエステル、酪酸セチル、酪酸ステアリル及び酪酸ベヘニルから選ばれるエステル化合物も有効である。
具体的には、酪酸2−エチルヘキシル、ベヘン酸2−エチルヘキシル、ミリスチン酸2−エチルヘキシル、カプリン酸2−エチルヘキシル、ラウリン酸3,5,5−トリメチルヘキシル、パルミチン酸3,5,5−トリメチルヘキシル、ステアリン酸3,5,5−トリメチルヘキシル、カプロン酸2−メチルブチル、カプリル酸2−メチルブチル、カプリン酸2−メチルブチル、パルミチン酸1−エチルプロピル、ステアリン酸1−エチルプロピル、ベヘン酸1−エチルプロピル、ラウリン酸1−エチルヘキシル、ミリスチン酸1−エチルヘキシル、パルミチン酸1−エチルヘキシル、カプロン酸2−メチルペンチル、カプリル酸2−メチルペンチル、カプリン酸2−メチルペンチル、ラウリン酸2−メチルペンチル、ステアリン酸2−メチルブチル、ステアリン酸2−メチルブチル、ステアリン酸3−メチルブチル、ステアリン酸1−メチルヘプチル、ベヘン酸2−メチルブチル、ベヘン酸3−メチルブチル、ステアリン酸1−メチルヘプチル、ベヘン酸1−メチルヘプチル、カプロン酸1−エチルペンチル、パルミチン酸1−エチルペンチル、ステアリン酸1−メチルプロピル、ステアリン酸1−メチルオクチル、ステアリン酸1−メチルヘキシル、ラウリン酸1,1−ジメチルプロピル、カプリン酸1−メチルペンチル、パルミチン酸2−メチルヘキシル、ステアリン酸2−メチルヘキシル、ベヘン酸2−メチルヘキシル、ラウリン酸3,7−ジメチルオクチル、ミリスチン酸3,7−ジメチルオクチル、パルミチン酸3,7−ジメチルオクチル、ステアリン酸3,7−ジメチルオクチル、ベヘン酸3,7−ジメチルオクチル、オレイン酸ステアリル、オレイン酸ベヘニル、リノール酸ステアリル、リノール酸ベヘニル、エルカ酸3,7−ジメチルオクチル、エルカ酸ステアリル、エルカ酸イソステアリル、イソステアリン酸セチル、イソステアリン酸ステアリル、12−ヒドロキシステアリン酸2−メチルペンチル、18−ブロモステアリン酸2−エチルヘキシル、2−ケトミリスチン酸イソステアリル、2−フルオロミリスチン酸2−エチルヘキシル、酪酸セチル、酪酸ステアリル、酪酸ベヘニル等が挙げられる。
また、色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を得るための(ハ)成分としては、5℃以上50℃未満のΔT値(融点−曇点)を示すカルボン酸エステル化合物、例えば、分子中に置換芳香族環を含むカルボン酸エステル、無置換芳香族環を含むカルボン酸と炭素数10以上の脂肪族アルコールのエステル、分子中にシクロヘキシル基を含むカルボン酸エステル、炭素数6以上の脂肪酸と無置換芳香族アルコール又はフェノールのエステル、炭素数8以上の脂肪酸と分岐脂肪族アルコール又はエステル、ジカルボン酸と芳香族アルコール又は分岐脂肪族アルコールのエステル、ケイ皮酸ジベンジル、ステアリン酸ヘプチル、アジピン酸ジデシル、アジピン酸ジラウリル、アジピン酸ジミリスチル、アジピン酸ジセチル、アジピン酸ジステアリル、トリラウリン、トリミリスチン、トリステアリン、ジミリスチン、ジステアリン等が用いられる。
また、炭素数9以上の奇数の脂肪族一価アルコールと炭素数が偶数の脂肪族カルボン酸から得られる脂肪酸エステル化合物、n−ペンチルアルコール又はn−ヘプチルアルコールと炭素数10乃至16の偶数の脂肪族カルボン酸より得られる総炭素数17乃至23の脂肪酸エステル化合物も有効である。
具体的には、酢酸n−ペンタデシル、酪酸n−トリデシル、酪酸n−ペンタデシル、カプロン酸n−ウンデシル、カプロン酸n−トリデシル、カプロン酸n−ペンタデシル、カプリル酸n−ノニル、カプリル酸n−ウンデシル、カプリル酸n−トリデシル、カプリル酸n−ペンタデシル、カプリン酸n−ヘプチル、カプリン酸n−ノニル、カプリン酸n−ウンデシル、カプリン酸n−トリデシル、カプリン酸n−ペンタデシル、ラウリン酸n−ペンチル、ラウリン酸n−ヘプチル、ラウリン酸n−ノニル、ラウリン酸n−ウンデシル、ラウリン酸n−トリデシル、ラウリン酸n−ペンタデシル、ミリスチン酸n−ペンチル、ミリスチン酸n−ヘプチル、ミリスチン酸n−ノニル、ミリスチン酸n−ウンデシル、ミリスチン酸n−トリデシル、ミリスチン酸n−ペンタデシル、パルミチン酸n−ペンチル、パルミチン酸n−ヘプチル、パルミチン酸n−ノニル、パルミチン酸n−ウンデシル、パルミチン酸n−トリデシル、パルミチン酸n−ペンタデシル、ステアリン酸n−ノニル、ステアリン酸n−ウンデシル、ステアリン酸n−トリデシル、ステアリン酸n−ペンタデシル、エイコサン酸n−ノニル、エイコサン酸n−ウンデシル、エイコサン酸n−トリデシル、エイコサン酸n−ペンタデシル、ベヘニン酸n−ノニル、ベヘニン酸n−ウンデシル、ベヘニン酸n−トリデシル、ベヘニン酸n−ペンタデシル等を挙げることができる。
ケトン類としては、総炭素数が10以上の脂肪族ケトン類が有効であり、2−デカノン、3−デカノン、4−デカノン、2−ウンデカノン、3−ウンデカノン、4−ウンデカノン、5−ウンデカノン、2−ドデカノン、3−ドデカノン、4−ドデカノン、5−ドデカノン、2−トリデカノン、3−トリデカノン、2−テトラデカノン、2−ペンタデカノン、8−ペンタデカノン、2−ヘキサデカノン、3−ヘキサデカノン、9−ヘプタデカノン、2−ペンタデカノン、2−オクタデカノン、2−ノナデカノン、10−ノナデカノン、2−エイコサノン、11−エイコサノン、2−ヘンエイコサノン、2−ドコサノン、ラウロン、ステアロン等を挙げることができる。
また、総炭素数が12乃至24のアリールアルキルケトン類、例えば、n−オクタデカノフェノン、n−ヘプタデカノフェノン、n−ヘキサデカノフェノン、n−ペンタデカノフェノン、n−テトラデカノフェノン、4−n−ドデカアセトフェノン、n−トリデカノフェノン、4−n−ウンデカノアセトフェノン、n−ラウロフェノン、4−n−デカノアセトフェノン、n−ウンデカノフェノン、4−n−ノニルアセトフェノン、n−デカノフェノン、4−n−オクチルアセトフェノン、n−ノナノフェノン、4−n−ヘプチルアセトフェノン、n−オクタノフェノン、4−n−ヘキシルアセトフェノン、4−n−シクロヘキシルアセトフェノン、4−tert−ブチルプロピオフェノン、n−ヘプタフェノン、4−n−ペンチルアセトフェノン、シクロヘキシルフェニルケトン、ベンジル−n−ブチルケトン、4−n−ブチルアセトフェノン、n−ヘキサノフェノン、4−イソブチルアセトフェノン、1−アセトナフトン、2−アセトナフトン、シクロペンチルフェニルケトン等を挙げることができる。
エーテル類としては、総炭素数10以上の脂肪族エーテル類が有効であり、ジペンチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジヘプチルエーテル、ジオクチルエーテル、ジノニルエーテル、ジデシルエーテル、ジウンデシルエーテル、ジドデシルエーテル、ジトリデシルエーテル、ジテトラデシルエーテル、ジペンタデシルエーテル、ジヘキサデシルエーテル、ジオクタデシルエーテル、デカンジオールジメチルエーテル、ウンデカンジオールジメチルエーテル、ドデカンジオールジメチルエーテル、トリデカンジオールジメチルエーテル、デカンジオールジエチルエーテル、ウンデカンジオールジエチルエーテル等を挙げることができる。
更に、電子受容性化合物として炭素数3乃至18の直鎖又は側鎖アルキル基を有する特定のアルコキシフェノール化合物を用いたり(特開平11−129623号公報、特開平11−5973号公報)、特定のヒドロキシ安息香酸エステルを用いたり(特開2001−105732号公報)、没食子酸エステル等を用いた(特公昭51−44706号公報、特開2003−253149号公報)加熱発色型(加熱により発色し、冷却により消色する)の可逆熱変色性組成物を内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料(可逆熱変色性顔料)を適用することもできる(図3参照)。
前記(イ)、(ロ)、(ハ)成分の配合割合は、濃度、変色温度、変色形態や各成分の種類に左右されるが、一般的に所望の変色特性が得られる成分比は、(イ)成分1に対して、(ロ)成分0.1〜50、好ましくは0.5〜20、(ハ)成分1〜800、好ましくは5〜200の範囲である(前記割合はいずれも質量部である)。
前記可逆熱変色性組成物をマイクロカプセル化する方法としては、界面重合法、界面重縮合法、in Situ重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライング法等があり、用途に応じて適宜選択される。
更にマイクロカプセルの表面には、目的に応じて更に二次的な樹脂皮膜を設けて耐久性を付与したり、表面特性を改質させて実用に供することもできる。
ここで、前記マイクロカプセル内に非熱変色性の染料や顔料を配合して、有色(1)から有色(2)への互変的色変化を呈する構成となすこともできる。
前記マイクロカプセルに内包させることにより、化学的、物理的に安定な顔料を構成でき、平均粒子径0.1〜50μm、好ましくは0.5〜30μm、より好ましくは1〜20μmの範囲が実用性を満たす。
なお、粒子径の測定はレーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置〔(株)堀場製作所製;LA−300〕を用いて測定し、その数値を基に平均粒子径(メジアン径)を体積基準で算出する。
可逆熱変色性材料は、バインダー樹脂100質量部に対して、20〜400質量部の割合でブレンドされる。20質量部未満では、鮮明な熱変色性を示さない。一方、400質量部を越えると消色時における色残りが発生しがちであり、好適には50〜350質量部の範囲内で適用される。
前記可逆光変色性材料としては、フォトクロミック化合物を含む材料であって、フォトクロミック化合物をマイクロカプセルに内包させた可逆光変色性マイクロカプセル顔料、熱可塑性又は熱硬化性樹脂中にフォトクロミック化合物を分散した可逆光変色性樹脂粒子等の可逆光変色性顔料が挙げられる。
前記フォトクロミック化合物をマイクロカプセル化する方法は、前述の方法が挙げられ、化学的、物理的に安定な顔料を構成でき、平均粒子径0.1〜50μm、好ましくは0.5〜30μm、より好ましくは1〜20μmの範囲が実用性を満たす。
前記マイクロカプセル内に非熱変色性の染料や顔料を配合して、有色(1)から有色(2)への互変的色変化を呈する構成となすこともできる。
前記フォトクロミック化合物のうち、スピロオキサジン誘導体を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
インドリノスピロベンゾオキサジン系化合物としては、
1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
6′−クロロ−5−フルオロ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
3,3−ジメチル−1−エチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5,7−ジフルオロ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5−シアノ−3,3−ジメチル−1−(メトキシカルボニル)メチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1′−メチルジスピロ〔シクロヘキサン−1,3′−〔3H〕インドール−2′(1′H),3″−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1′−メチル−5′−ニトロジスピロ〔シクロペンタン−1,3′−〔3H〕−インドール−2′(1′H),3″−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1,3,3,5′−テトラメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
6′−フルオロ−1′−メチルジスピロ〔シクロヘキサン−1,3′−〔3H〕インドール−2′(1′H),3″−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1−ベンジル−6′−クロロ−3,3−ジメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
6′−メトキシ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5−クロロ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5−ブロモ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5−ヨード−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5−トリフルオロメチル−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
3,3−ジエチル−1−メチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1,3,3,6′−テトラメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
6−クロロ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5′−フルオロ−1′−メチルジスピロ〔シクロヘキサン−1,3′−〔3H〕インドール−2′(1′H),3″−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5−シアノ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5−エトキシカルボニル−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
4′,6′−ジフルオロ−1′−メチルジスピロ〔シクロヘキサン−1,3′−〔3H〕インドール−2′(1′H),3″−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
3,3−ジメチル−1−(メトキシカルボニル)メチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
3,3−ジメチル−1−フェニルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5−メトキシ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1,3,3,5−テトラメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
7′−クロロ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1,3,3,7′−テトラメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
7′−メトキシ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
6′−クロロ−5−フルオロ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5−クロロ−1,3−ジメチル−3−エチル−5′−メトキシスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
3,3−ジエチル−1−メチル−5−ニトロスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1′,6′−ジメチルスピロ〔シクロヘキサン−1,3′−〔3H〕インドール−2′(1′H),3″−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
9″−ブロモ−1′−メトキシカルボニルメチル−5′−トリフルオロメチルジスピロ〔シクロペンタン−1,3′−〔3H〕−インドール−2′〔1′H〕,3″−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1−ベンジル−3,3−ジ−nブチル−7′−エチル−5−メトキシスピロ〔2H−インドール−1,3′−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1′−n−ブチル−6′−ヨードジスピロ〔シクロヘプタン−1,3′−〔3H〕−インドール−2′(1′H),3″−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
3,3−ジメチル−9′−ヨード−1−ナフチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
4′−シアノ−1′−(2−(メトキシカルボニル)エチル)ジスピロ〔シクロヘキサン−1,3′−〔3H〕インドール−2′(1′H),3″−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
7−メトキシカルボニル−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
4−ブロモ−3,3−ジエチル−9′−エトキシ−1−(2−フェニル)エチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1′−メチルジスピロ〔シクロヘキサン−1,3′−〔3H〕−インドール−2′(1′H),3″−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
6−フルオロ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5−エチル−9−フルオロ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1′−ベンジル−6″−ヨードジスピロ〔シクロペンタン−1,3′−〔3H〕−インドール−2′(1′H),3″−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5−エトキシ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1′−メチル−5′−トリクロロメチルジスピロ〔シクロヘキサン−1,3′−〔3H〕−インドール−2′(1′H),3″−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1,3−ジエチル−3−メチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1′−メトキシカルボニルメチルジスピロ〔シクロヘキサン−1,3′−〔3H〕−インドール−2′(1′H)−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕等、インドリノスピロベンゾオキサジンのインドール環及びベンゼン環のハロゲン、メチル、エチル、メチレン、エチレン、水酸基等の各置換体を例示することができる。
インドリノスピロナフトオキサジン系化合物としては、
1,3,3−トリメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−5−クロロ−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−5−ブロモ−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3,5−テトラメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−5−n−プロピル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−5−iso−ブチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−5−メトキシ−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−5−n−プロポキシ−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−5−シアノ−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−n−プロピル−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−iso−ブチル−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−n−オクチル−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−n−オクタデシル−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−8′−スルホン酸ナトリウム−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−9′−メトキシスピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−8′−シアノ−スピロベンゾインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−5−トリフルオロ−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−(4′−メチルフェニル)−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−6′−(2,3−ジヒドロ−1−インドリノ)−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−6′−(1−ピペリジニル)−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−6′−(1−モルフォリノ)−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−エチル−3,3−ジメチル−6−トリフルオロメチル−6′−(1−モルフォリノ)−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−6−トリフルオロメチル−6′−(1−ピペリジニル)−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−ベンジル−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−(4−メトキシベンジル)−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−(4−クロロベンジル)−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−エチル−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−イソプロピル−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−(2−フェノキシエチル)−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3−ジメチル−3−エチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−9′−ヒドロキシ−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3−ジメチル−3−エチル−8′−ヒドロキシ−スピロインドリンナフトオキサジン、1,3,3,5−テトラメチル−9′−メトキシ−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3,5,6−ペンタメチル−9′−メトキシ−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−4−トリフルオロメチル−5′−メトキシ−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−5′−メトキシ−6′−トリフルオロメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−4−トリフルオロメチル−9′−メトキシ−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,5,6−テトラメチル−3−エチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3,5,6−ペンタメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−メチル−3,3−ジフェニル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−(4−メトキシベンジル)−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−(3,5−ジメチルベンジル)−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−(2−フルオロベンジル)−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン等、インドリノスピロナフトオキサジンのインドール環及びベンゼン環のハロゲン、メチル、エチル、メチレン、エチレン、水酸基等の各置換体を例示することができる。
ナフトピラン系化合物としては、
3,3,9,9−テトラフェニル−3H,9H−ナフト[2,1−b:6,5−b′]−ジピラン、
3,3,10,10−テトラフェニル−3H,10H−ナフト[2,1−b:7,8−b′]ジピラン、
3,3,9,9−テトラフェニル−3H,10H−ナフト[4,3−b:8,7−b]−ジピラン、
3,3−ジフェニル−9−メトキシ−3H−ナフト[4,3−b]ピラン、
3,3−ジフェニル−10−メチル−3H−ナフト[2,1−b:5,6−b]ジピラン−8−オン、
3,3,9,9−テトラ(4′−メトキシ−フェニル)−3H,9H−ナフト[2,1−b:6,5−b′]−ジピラン、
3,3−ジフェニル−8−(2−(4−ジメチルアミノ)フェニル)エテン−3H−ナフト[4,3−b]ピラン、
3,3−ジフェニル−5−アセトキシ−3H−ナフト[4,3−b]ピラン、
3,3−ジフェニル−8−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)カルボニル−3H−ナフト[4,3−b]ピランを例示できる。
インドリノスピロフェナントロオキサジン系化合物の例としては、1,3,3−トリメチル−スピロインドリンフェナントロオキサジン、1,3,3−トリメチル−5−クロロ−スピロインドリンフェナントロオキサジン等、インドリノスピロフェナントロオキサジンのインドール環及びベンゼン環のハロゲン、メチル、エチル、メチレン、エチレン、水酸基等の各置換体を例示することができる。
インドリノスピロキノリノオキサジン系化合物としては、1,3,3−トリメチル−スピロインドリンキノリノオキサジン等、インドリノスピロキノリノオキサジンのインドール環及びベンゼン環のハロゲン、メチル、エチル、メチレン、エチレン、水酸基等の各置換体を例示することができる。
前記フォトクロミック化合物のうち、スピロピラン誘導体を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
1,3,3−トリメチルインドリノベンゾピリロスピラン、1,3,3−トリメチルインドリノ−6′−ブロモベンゾピリロスピラン、1,3,3−トリメチルインドリノ−8′−メトキシベンゾピリロスピラン、1,3,3−トリメチルインドリノ−β−ナフトピリロスピラン、1,3,3−トリメチルインドリノ−6′−ニトロベンゾピリロスピラン等を例示することができる。
更に、光メモリー性(色彩記憶性光変色性)を有するフルギド系化合物、ジアリールエテン系化合物等のフォトクロミック化合物を用いることもできる。
前記接着性樹脂層は、イソシアネート樹脂、ポリウレア樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ジアクリルフタレート樹脂、オレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂等の樹脂が用いられる。
なお、布帛上に前記接着性樹脂層を設ける場合、熱溶融性樹脂により形成することが好ましく、加熱により樹脂が溶融して布帛と転写シートを接着させるため、布帛内に接着性樹脂が含浸することにより布帛が硬化することもなく、柔軟性に優れた可逆変色性布帛を得ることができる。
前記熱溶融性樹脂により形成される接着性樹脂層には、熱溶融性フィルムを用いることもできる。
前記熱溶融性フィルムは、融点が60℃〜180℃の範囲にある、ポリアミド系、ポリオレフィン系、エチレン−酢酸ビニル系、ポリウレタン系、又はポリエステル系樹脂から選ばれる熱溶融性樹脂からなり、厚みが0.02〜0.4mmのフィルム状のものが有効である。
融点が60℃未満では、環境温度等によって溶融剥離の虞があり、一方、180℃を超える融点では、熱圧着時の対象物の耐熱性に制約があり、70℃〜150℃程度の融点を有するものが好ましく、更に厚みが0.02〜0.4mm(好ましくは、0.05〜0.2mm)程度のものが、均一な熱溶融層を形成して、接合強度を満たし、実用的である。
なお、布帛が伸縮性である場合、前記熱溶融性樹脂として伸度400%〜600%程度のものを選択して使用することが好ましい。
更に、前記透明性樹脂層と可逆変色層の間に非変色像を設けたり、可逆変色層と接着性樹脂層の間に非変色層や非変色像を設けることもできる。
前記非変色像としては、文字、記号、英数字、点、線、図柄から選ばれる像が挙げられる。
前記可逆変色性布帛は、ぬいぐるみ、人形用衣装、靴や鞄等の人形用付属品、ドレス、水着、レインコート等の被服、履物、ハンカチ、ふろしき等の布製身の回り品、カーテン等の屋内装飾品、敷物、靴、帽子、かばん、クッション、座布団、まくら、マットレス、リボン、造花、のぼり、旗等に用いられる。
以下に実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
なお、実施例中の部は質量部を示す。
参考例1(図4参照)
基材として、シリコン樹脂を表面に塗布した厚さ25μmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムからなる離型シート上に、アクリル樹脂とポリエステル樹脂を相互に積層した厚さ1.0μmの光輝性を有する透明性樹脂層5を設けた。
次いで、前記透明性樹脂層上に、青色から無色に変色する色彩記憶性を有する加熱消色型の可逆熱変色性組成物を内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料〔平均粒子径8μm、完全発色温度15℃、完全消色温度30℃〕30部、ピンク色蛍光顔料0.5部、ウレタン系エマルジョン樹脂61.5部、増粘剤2部、レベリング剤0.5部、消泡剤0.5部、架橋剤5部からなる可逆熱変色性インキを用いて120メッシュのスクリーン版にてベタ印刷を行ない、可逆熱変色層4を形成して可逆熱変色性転写シートを得た。
次いで、前記可逆熱変色層上にウレタン系樹脂と酢酸エチルからなる接着剤を120メッシュのグラビア版にて塗布し、酢酸エチルを蒸発させて厚さ3μmの接着性樹脂層3を設け、布帛2として白色の30dナイロントリコット生地にロールで圧接して貼り合わせた。
次いで、可逆熱変色性転写シートの離型シートを剥がして可逆変色性布帛1(可逆熱変色性布帛)を得た。
前記可逆熱変色性布帛は、柔軟な風合いを有すると共に、30℃以上に加温すると蛍光ピンク色になり、この状態は15℃を越える温度域で記憶保持される。
次に、前記透明性樹脂層表面に冷水を付着させて15℃以下に冷却すると紫色になり、この状態は30℃未満の温度域で記憶保持された。
再び30℃以上に加温するとピンク色になり、この様相変化は繰り返し行うことができた。
実施例
基材として、シリコン樹脂を表面に塗布した厚さ25μmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムからなる離型シート上に、ウレタン樹脂からなる厚さ0.5μmの透明性樹脂層を設けた。
次いで、前記透明性樹脂層上に、青色から無色に変色する色彩記憶性を有する加熱消色型の可逆熱変色性組成物を内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料〔平均粒子径8μm、完全発色温度15℃、完全消色温度30℃〕30部、ピンク色蛍光顔料0.5部、ウレタン系エマルジョン樹脂61.5部、増粘剤2部、レベリング剤0.5部、消泡剤0.5部、架橋剤5部からなる可逆熱変色性インキを用いて120メッシュのスクリーン版にてベタ印刷を行ない、可逆熱変色層を形成して可逆熱変色性転写シートを得た。
次いで、布帛として白色の40dポリエステルトリコット生地上に、ポリオレフィン樹脂からなる厚さ0.02mmの熱溶融性フィルムを貼り合わせて接着性樹脂層を設け、前記接着性樹脂層と可逆熱変色層とを加熱したロールで圧接して貼り合わせた。
次いで、可逆熱変色性転写シートの離型シートを剥がして可逆変色性布帛(可逆熱変色性布帛)を得た。
前記可逆熱変色性布帛は、柔軟な風合いを有すると共に、30℃以上に加温すると蛍光ピンク色になり、この状態は15℃を越える温度域で記憶保持される。
次に、前記透明性樹脂層表面に冷水を付着させて15℃以下に冷却すると紫色になり、この状態は30℃未満の温度域で記憶保持された。
再び30℃以上に加温するとピンク色になり、この様相変化は繰り返し行うことができた。
参考
基材として、シリコン樹脂を表面に塗布した厚さ25μmのサンドマット加工したポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムからなる離型シート上に、アクリル樹脂とパール顔料からなる厚さ1.0μmの透明性樹脂層を設けた。
次いで、前記透明性樹脂層上に、ピンク色から無色に変色する色彩記憶性を有する加熱消色型の可逆熱変色性組成物を内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料〔平均粒子径8μm、完全発色温度15℃、完全消色温度30℃〕30部、ウレタン系エマルジョン樹脂62部、増粘剤2部、レベリング剤0.5部、消泡剤0.5部、架橋剤5部からなる可逆熱変色性インキを用いて120メッシュのスクリーン版にてベタ印刷を行ない、可逆熱変色層を形成して可逆熱変色性転写シートを得た。
次いで、前記可逆熱変色層上にイソシアネート系樹脂と酢酸エチルからなる接着剤を180メッシュのグラビア版にて塗布し、酢酸エチルを蒸発させて厚さ2μmの接着性樹脂層を設け、布帛として白色の30dナイロントリコット生地にロールで圧接して貼り合わせた。
次いで、可逆熱変色性転写シートの離型シートを剥がして可逆変色性布帛(可逆熱変色性布帛)を得た。
前記可逆熱変色性布帛は、柔軟な風合いを有すると共に、30℃以上に加温すると白色になり、この状態は15℃を越える温度域で記憶保持される。
次に、前記透明性樹脂層表面に冷水を付着させて15℃以下に冷却すると光輝性を有するピンク色になり、この状態は30℃未満の温度域で記憶保持された。
再び30℃以上に加温すると白色になり、この様相変化は繰り返し行うことができた。
また、前記可逆熱変色性布帛はサンドマット加工によるつや消し状態の透明性樹脂層が表面に位置することより、布帛の同様の外観を有していた。
参考
基材として、シリコン樹脂を表面に塗布した厚さ25μmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムからなる離型シート上に、アクリル樹脂とポリエステル樹脂を相互に積層した厚さ1.0μmの光輝性を有する透明性樹脂層を設けた。
次いで、前記透明性樹脂層上に、黒色から無色に変色する色彩記憶性を有する加熱消色型の可逆熱変色性組成物を内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料〔平均粒子径8μm、完全発色温度15℃、完全消色温度30℃〕30部、ウレタン系エマルジョン樹脂62部、増粘剤2部、レベリング剤0.5部、消泡剤0.5部、架橋剤5部からなる可逆熱変色性インキを用いて120メッシュのスクリーン版にてベタ印刷を行ない、可逆熱変色層を形成して可逆熱変色性転写シートを得た。
次いで、前記可逆熱変色層上にウレタン系樹脂と酢酸エチルからなる接着剤を120メッシュのグラビア版にて塗布し、酢酸エチルを蒸発させて厚さ3μmの接着性樹脂層を設け、布帛として豹柄が印刷された40dポリエステルトリコット生地にロールで圧接して貼り合わせた。
次いで、可逆熱変色性転写シートの離型シートを剥がして可逆変色性布帛(可逆熱変色性布帛)を得た。
前記可逆熱変色性布帛は、柔軟な風合いを有すると共に、30℃以上に加温すると全面が豹柄になり、この状態は15℃を越える温度域で記憶保持される。
次に、前記透明性樹脂層表面に冷水を付着させて15℃以下に冷却すると光輝性を有する黒色になり、この状態は30℃未満の温度域で記憶保持された。
再び30℃以上に加温すると豹柄になり、この様相変化は繰り返し行うことができた。
参考
基材として、シリコン樹脂を表面に塗布した厚さ25μmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムからなる離型シート上に、アクリル樹脂中に透明性金属光沢顔料(Iriodin221)を均一に分散した厚さ3.0μmの透明性樹脂層を設けた。
次いで、前記透明性樹脂層上に、黒色から無色に変色する色彩記憶性を有する加熱消色型の可逆熱変色性組成物を内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料〔平均粒子径8μm、完全発色温度15℃、完全消色温度30℃〕30部、ウレタン系エマルジョン樹脂62部、増粘剤2部、レベリング剤0.5部、消泡剤0.5部、架橋剤5部からなる可逆熱変色性インキを用いて120メッシュのスクリーン版にてベタ印刷を行ない、可逆熱変色層を形成して可逆熱変色性転写シートを得た。
次いで、前記可逆熱変色層上にウレタン系樹脂と酢酸エチルからなる接着剤を120メッシュのグラビア版にて塗布し、酢酸エチルを蒸発させて厚さ3μmの接着性樹脂層を設け、布帛としてピンク色の花柄が印刷されたポリエステルタフタ生地と貼り合わせた。
次いで、可逆熱変色性転写シートの離型シートを剥がして可逆変色性布帛(可逆熱変色性布帛)を得た。
前記可逆熱変色性布帛は、柔軟な風合いを有すると共に、30℃以上に加温すると全面がメタリック調のピンク色の花柄になり、この状態は15℃を越える温度域で記憶保持される。
次に、前記透明性樹脂層表面に冷水を付着させて15℃以下に冷却するとメタリックブルー色になり、この状態は30℃未満の温度域で記憶保持された。
再び30℃以上に加温すると花柄になり、この様相変化は繰り返し行うことができた。
参考(図5参照)
基材として、シリコン樹脂を表面に塗布した厚さ25μmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムからなる離型シート上に、アクリル樹脂とポリエステル樹脂を相互に積層した厚さ1.0μmの光輝性を有する透明性樹脂層5を設けた。
次いで、前記透明性樹脂層上に、1,3,3−トリメチルインドリノ−6′−(1−ピペリジニル)−スピロナフトオキサジン1部を、アクリルオリゴマー(東亞合成株式会社製、商品名:ARUFON UP−1070、重量平均分子量8000)100部中に均一に加温溶解したフォトクロミック材料を内包した可逆光変色性マイクロカプセル顔料〔平均粒子径5μm〕30部、ウレタン系エマルジョン樹脂62部、増粘剤2部、レベリング剤0.5部、消泡剤0.5部、架橋剤5部からなる可逆光変色性インキを用いて120メッシュのスクリーン版にてベタ印刷を行ない、可逆光変色層6を形成して可逆光変色性転写シートを得た。
次いで、前記可逆光変色層上にウレタン系樹脂と酢酸エチルからなる接着剤を120メッシュのグラビア版にて塗布し、酢酸エチルを蒸発させて厚さ3μmの接着性樹脂層3を設け、布帛2として白色の30dナイロントリコット生地にロールで圧接して貼り合わせた。
次いで、可逆光変色性転写シートの離型シートを剥がして可逆変色性布帛1(可逆光変色性布帛)を得た。
前記可逆光変色性布帛は、柔軟な風合いを有すると共に、太陽光を照射すると青色になり、暗所に戻すと元の白色に戻り、この様相変化は繰り返し行うことができた。
実施例
基材として、シリコン樹脂を表面に塗布した厚さ25μmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムからなる離型シート上に、ウレタン樹脂からなる厚さ0.5μmの透明性樹脂層を設けた。
次いで、前記透明性樹脂層上に、1,3,3−トリメチルインドリノ−6′−(1−ピペリジニル)−スピロナフトオキサジン1部を、アクリルオリゴマー(東亞合成株式会社製、商品名:ARUFON UP−1070、重量平均分子量8000)100部中に均一に加温溶解したフォトクロミック材料を内包した可逆光変色性マイクロカプセル顔料〔平均粒子径5μm〕30部、ピンク色蛍光顔料0.5部、ウレタン系エマルジョン樹脂61.5部、増粘剤2部、レベリング剤0.5部、消泡剤0.5部、架橋剤5部からなる可逆光変色性インキを用いて120メッシュのスクリーン版にてベタ印刷を行ない、可逆光変色層を形成して可逆光変色性転写シートを得た。
次いで、布帛として白色の40dポリエステルトリコット生地上に、ポリオレフィン樹脂からなる厚さ0.02mmの熱溶融性フィルムを貼り合わせて接着性樹脂層を設け、前記接着性樹脂層と可逆光変色層とを加熱したロールで圧接して貼り合わせた。
次いで、可逆光変色性転写シートの離型シートを剥がして可逆変色性布帛(可逆光変色性布帛)を得た。
前記可逆光変色性布帛は、柔軟な風合いを有すると共に、太陽光を照射すると紫色になり、暗所に戻すと元のピンク色に戻り、この様相変化は繰り返し行うことができた。
比較例1
厚さ25μmの透明ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムからなる透明性樹脂層上に、青色から無色に変色する色彩記憶性を有する加熱消色型の可逆熱変色性組成物を内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料〔平均粒子径8μm、完全発色温度15℃、完全消色温度30℃〕30部、ピンク色蛍光顔料0.5部、ウレタン系エマルジョン樹脂61.5部、増粘剤2部、レベリング剤0.5部、消泡剤0.5部、架橋剤5部からなる可逆熱変色性インキを用いて120メッシュのスクリーン版にてベタ印刷を行ない、可逆熱変色層を形成した。
次いで、前記可逆熱変色層上にウレタン系樹脂と酢酸エチルからなる接着剤を120メッシュのグラビア版にて塗布し、酢酸エチルを蒸発させて厚さ3μmの接着性樹脂層を設け、布帛として白色の30dナイロントリコット生地にロールで圧接して貼り合わせて可逆変色性布帛(可逆熱変色性布帛)を得た。
前記可逆熱変色性布帛は、30℃以上に加温すると蛍光ピンク色になり、この状態は15℃を越える温度域で記憶保持される。
次に、前記透明性樹脂層表面に冷水を付着させて15℃以下に冷却すると紫色になり、この状態は30℃未満の温度域で記憶保持された。
再び30℃以上に加温するとピンク色になり、この様相変化は繰り返し行うことができた。
前記可逆熱変色性布帛は、透明性樹脂層により光沢を有するものの、透明性樹脂層が厚いため風合いが硬く、布帛の柔軟な風合いを損なうものであった。
比較例2
布帛として白色の40dポリエステルトリコット生地上に、青色から無色に変色する色彩記憶性を有する加熱消色型の可逆熱変色性組成物を内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料〔平均粒子径8μm、完全発色温度15℃、完全消色温度30℃〕30部、ピンク色蛍光顔料0.5部、ウレタン系エマルジョン樹脂61.5部、増粘剤2部、レベリング剤0.5部、消泡剤0.5部、架橋剤5部からなる可逆熱変色性インキを用いて120メッシュのスクリーン版にてベタ印刷を行ない、可逆熱変色層を形成した。
次いで、前記可逆熱変色層上に透明なウレタン樹脂と溶剤からなるコーティング液を塗布して透明性樹脂層を設け、可逆変色性布帛(可逆熱変色性布帛)を得た。
前記可逆熱変色性布帛は、30℃以上に加温すると蛍光ピンク色になり、この状態は15℃を越える温度域で記憶保持される。
次に、前記透明性樹脂層表面に冷水を付着させて15℃以下に冷却すると紫色になり、この状態は30℃未満の温度域で記憶保持された。
再び30℃以上に加温するとピンク色になり、この様相変化は繰り返し行うことができた。
前記可逆熱変色性布帛は、可逆熱変色層を形成する際に可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料とウレタン系エマルジョン樹脂が布帛内部に含浸して硬化したことより、硬い風合いを有するものであった。
比較例3
厚さ25μmの透明ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムからなる透明性樹脂層上に、1,3,3−トリメチルインドリノ−6′−(1−ピペリジニル)−スピロナフトオキサジン1部を、アクリルオリゴマー(東亞合成株式会社製、商品名:ARUFON UP−1070、重量平均分子量8000)100部中に均一に加温溶解したフォトクロミック材料を内包した可逆光変色性マイクロカプセル顔料〔平均粒子径5μm〕30部、ウレタン系エマルジョン樹脂62部、増粘剤2部、レベリング剤0.5部、消泡剤0.5部、架橋剤5部からなる可逆光変色性インキを用いて120メッシュのスクリーン版にてベタ印刷を行ない、可逆光変色層を形成した。
次いで、前記可逆光変色層上にウレタン系樹脂と酢酸エチルからなる接着剤を120メッシュのグラビア版にて塗布し、酢酸エチルを蒸発させて厚さ3μmの接着性樹脂層を設け、布帛として白色の30dナイロントリコット生地にロールで圧接して貼り合わせて可逆変色性布帛(可逆光変色性布帛)を得た。
前記可逆光変色性布帛は、太陽光を照射すると青色になり、暗所に戻すと元の白色に戻り、この様相変化は繰り返し行うことができた。
前記可逆光変色性布帛は、透明性樹脂層により光沢を有するものの、透明性樹脂層が厚いため風合いが硬く、布帛の柔軟な風合いを損なうものであった。
比較例4
布帛として白色の40dポリエステルトリコット生地上に、1,3,3−トリメチルインドリノ−6′−(1−ピペリジニル)−スピロナフトオキサジン1部を、アクリルオリゴマー(東亞合成株式会社製、商品名:ARUFON UP−1070、重量平均分子量8000)100部中に均一に加温溶解したフォトクロミック材料を内包した可逆光変色性マイクロカプセル顔料〔平均粒子径5μm〕30部、ピンク色蛍光顔料0.5部、ウレタン系エマルジョン樹脂61.5部、増粘剤2部、レベリング剤0.5部、消泡剤0.5部、架橋剤5部からなる可逆光変色性インキを用いて120メッシュのスクリーン版にてベタ印刷を行ない、可逆光変色層を形成した。
次いで、前記可逆光変色層上に透明なウレタン樹脂と溶剤からなるコーティング液を塗布して透明性樹脂層を設け、可逆変色性布帛(可逆光変色性布帛)を得た。
前記可逆光変色性布帛は、太陽光を照射すると紫色になり、暗所に戻すと元のピンク色に戻り、この様相変化は繰り返し行うことができた。
前記可逆光変色性布帛は、可逆光変色層を形成する際にマイクロカプセル顔料とウレタン系エマルジョン樹脂が布帛内部に含浸して硬化したことより、硬い風合いを有するものであった。
加熱消色型の可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料の完全発色温度
加熱消色型の可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料の発色開始温度
加熱消色型の可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料の消色開始温度
加熱消色型の可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料の完全消色温度
加熱発色型の可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料の完全消色温度
加熱発色型の可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料の消色開始温度
加熱発色型の可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料の発色開始温度
加熱発色型の可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料の完全発色温度
ΔH ヒステリシス幅
1 可逆変色性布帛
2 布帛
3 接着性樹脂層
4 可逆熱変色層
5 透明性樹脂層
6 可逆光変色層

Claims (3)

  1. 離型性を有する基材上に厚みが0.5〜3μmの透明性樹脂層、可逆変色層を設けた可逆変色性転写シートを、厚みが0.02〜0.4mmの熱溶融性樹脂により形成されてなる接着性樹脂層を介して布帛と接着する可逆変色性布帛の製造方法。
  2. 前記可逆変色層中に可逆熱変色性顔料、可逆光変色性顔料から選ばれる可逆変色性材料を含んでなる請求項1記載の可逆変色性布帛の製造方法。
  3. 前記透明性樹脂層が虹彩性、ホログラム性、真珠光沢性のいずれかの光学的性状を示す層である請求項1又は2記載の可逆変色性布帛の製造方法。
JP2015032672A 2014-02-26 2015-02-23 可逆変色性布帛の製造方法 Active JP6479499B2 (ja)

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