JP6478695B2 - 被験物質の評価方法および低浸透圧刺激抑制剤 - Google Patents

被験物質の評価方法および低浸透圧刺激抑制剤 Download PDF

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本発明は、被験物質の評価方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、化粧料などの外用剤の開発などに有用な被験物質の評価方法および低浸透圧刺激抑制剤に関する。
化粧料などの外用剤を使用する際に、当該外用剤が誤って眼、口などに混入した場合、不快な感覚刺激が引き起こされることがある。前記不快な感覚刺激は、細胞内液の浸透圧に比べて外用剤の浸透圧が低い場合、細胞外の水などの溶媒が細胞内へ移動して細胞が膨張することによって引き起こされると考えられている。
近年、使用者の安全意識の高まりに伴い、不快な感覚刺激を与えない外用剤が好まれる傾向にあることから、前記外用剤は、細胞内液の浸透圧よりも低い浸透圧を有する低浸透圧によって引き起こされる感覚刺激を与えないか、または当該感覚刺激が少ないことが望ましい。したがって、前記低浸透圧によって引き起こされる感覚刺激を抑制する低浸透圧刺激抑制作用を有する物質が求められている。
被験物質が有する低浸透圧刺激抑制作用を評価する場合、例えば、ヒトに眼、口などにおける感覚刺激を抑制するかどうかを評価させる方法などを行なうことが考えられる。しかし、前記方法は、ヒトに多大な負荷がかかり、しかも評価結果がヒトによって左右されることから、被験物質が有する低浸透圧刺激抑制作用を再現性よく的確に評価することが困難であるという欠点を有する。
ところで、一過性受容体電位チャネルの1つであるTRPA1は、パラベン類、アルカリ剤などによって活性化し、活性化されたTRPA1を介して不快な刺激を引き起こすことが、本発明者らによって見出されている(例えば、特許文献1〜4参照)。
特開2008−79528号公報 特開2009−82053号公報 特開2009−225733号公報 特開2012−062304号公報
しかしながら、本発明者らは、現時点では、低浸透圧液によって生じる不快な感覚刺激とTRPA1との関連性や、前記関連性を利用して、被験物質が有する低浸透圧刺激抑制作用を評価する方法を具体的に記載した文献を発見していない。
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、被験物質が有する低浸透圧刺激抑制作用を再現性よく的確に評価することができる、被験物質の評価方法および低浸透圧液によって生じる不快な感覚刺激を効果的に抑制することができる低浸透圧刺激抑制剤を提供することを目的とする。
本発明は、
(1)被験物質が有する低浸透圧刺激抑制作用を評価する被験物質の評価方法であって、TRPA1発現細胞の細胞内液の浸透圧よりも低い浸透圧を有する低浸透圧液と前記被験物質と前記TRPA1発現細胞とを接触させ、前記低浸透圧液によってTRPA1を介して引き起こされる生理学的事象を測定し、前記生理学的事象に基づき、前記被験物質が有する低浸透圧刺激抑制作用を評価することを特徴とする被験物質の評価方法、
(2)前記低浸透圧液が、前記細胞内液の浸透圧よりも40〜200mOsm低い浸透圧を有する前記(1)に記載の方法、
(3)前記低浸透圧液によってTRPA1を介して引き起こされる生理学的事象が、前記低浸透圧液によってTRPA1を介して引き起こされる前記TRPA1発現細胞内のカルシウムイオン濃度の増加である前記(1)または(2)に記載の方法、ならびに
(4)細胞内液の浸透圧よりも低い浸透圧を有する低浸透圧液とTRPA1発現細胞との接触によって引き起こされる感覚刺激を抑制するための低浸透圧刺激抑制剤であって、前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の被験物質の評価方法により、低浸透圧刺激抑制作用を有すると評価された物質としてカンファーまたはユーカリプトールを有効成分として含有することを特徴とする低浸透圧刺激抑制剤
に関する。
本発明の被験物質の評価方法は、被験物質が有する低浸透圧刺激抑制作用を再現性よく的確に評価することができるという優れた効果を奏する。また、本発明の低浸透圧刺激抑制剤は、低浸透圧液によって生じる不快な感覚刺激を効果的に抑制することができるという優れた効果を奏する。
試験例1において、細胞内液の浸透圧との差と細胞面積上昇率との関係を調べた結果を示すグラフである。 試験例1において、細胞内液の浸透圧との差とTRPA1活性化度との関係を調べた結果を示すグラフである。 (A)は試験例1において、低浸透圧液に接触させたときの細胞面積上昇率と低浸透圧液に接触させたときのTRPA1活性化度との関係を調べた結果を示すグラフ、(B)はTRPA1アゴニストの存在下での細胞面積上昇率とTRPA1アゴニストの存在下でのTRPA1活性化度との関係を調べた結果を示すグラフである。 実施例1において、各被験試料と抑制率との関係を調べた結果を示すグラフである。
1.被験物質の評価方法
本発明の被験物質の評価方法は、被験物質が有する低浸透圧刺激抑制作用を評価する被験物質の評価方法であって、TRPA1発現細胞の細胞内液の浸透圧よりも低い浸透圧を有する低浸透圧液と前記被験物質と前記TRPA1発現細胞とを接触させ(すなわち、低浸透圧液中で前記被験物質と前記TRPA1発現細胞とを接触させ)、前記低浸透圧液によってTRPA1を介して引き起こされる生理学的事象を測定し、前記生理学的事象に基づき、前記被験物質が有する低浸透圧刺激抑制作用を評価することを特徴とする。
なお、本明細書において、「低浸透圧刺激抑制作用」とは、細胞内液の浸透圧よりも低い浸透圧を有する低浸透圧液によって引き起こされる感覚刺激を抑制する作用をいう。以下、「細胞内液の浸透圧よりも低い浸透圧を有する低浸透圧液によって引き起こされる感覚刺激」を「低浸透圧刺激」ともいう。
本発明の被験物質の評価方法は、前記低浸透圧液と前記被験物質とTRPA1発現細胞とを、前記低浸透圧液と前記被験物質と前記TRPA1発現細胞とを含む混合物の浸透圧が細胞内液の浸透圧よりも低くなるように調整して接触させ、前記低浸透圧液によってTRPA1を介して引き起こされる生理学的事象を測定し、前記生理学的事象に基づき、前記被験物質が有する低浸透圧刺激抑制作用を評価するという操作が行なわれている点に1つの大きな特徴を有する。前記低浸透圧液によってTRPA1が活性化されることおよび前記TRPA1発現細胞において、前記低浸透圧液によってTRPA1を介して引き起こされる生理学的事象は、低浸透圧刺激と関連していることが本発明者らによって見出されている。したがって、前記被験物質が有する低浸透圧刺激抑制作用は、前記低浸透圧液と前記被験物質とTRPA1発現細胞とを接触させたときにTRPA1を介して引き起こされる生理学的事象と関連している。したがって、本発明の被験物質の評価方法によれば、前記操作が行なわれているので、被験者を用いなくてもよいことから、被験物質が有する低浸透圧刺激抑制作用を的確に評価することができる。また、本発明の被験物質の評価方法によれば、前記被験物質が有する低浸透圧刺激抑制作用を評価する際に、前記TRPA1発現細胞を用い、前記低浸透圧液によってTRPA1を介して引き起こされる生理学的事象を測定しているので、同一条件下に同時に何回も並行して評価を行なうことができる。したがって、本発明の被験物質の評価方法によれば、評価結果にバラつきが生じやすい被験者に評価させる方法と比べ、被験物質が有する低浸透圧刺激抑制作用を再現性よく評価することができる。
前記被験物質としては、例えば、無機化合物、有機化合物、植物抽出物、微生物培養物、微生物抽出物などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。前記被験物質は、そのまま用いてもよく、必要に応じて、溶媒に溶解させて用いてもよい。前記溶媒は、TRPA1発現細胞の生育、TRPA1の生理学的機能の発現に影響を与えない溶媒であるのが望ましい。被験物質を溶解させる溶媒としては、例えば、エタノール、生理的食塩水、水などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
本明細書において、特に断りのない限り、浸透圧〔mOsm(イオン量換算)〕は、式(I):
〔浸透圧(mOsm)〕
=〔電解質イオン量〕+〔浸透圧調整剤量〕 (I)
(式中、「電解質イオン量」は浸透圧に影響を与える電解質を構成する電解質アニオンおよび電解質カチオンそれぞれのモル数の和、「浸透圧調整剤量」は浸透圧調整剤のモル数を示す)
に基づいて算出される。
前記電解質としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウムなどのハロゲン化アルカリ金属、塩化カルシウム、塩化マグネシウムなどのハロゲン化アルカリ土類金属などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
前記浸透圧調整剤としては、例えば、マンニトール、グルコース、スクロースなどの糖などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
細胞内液の浸透圧(以下、「浸透圧A」ともいう)と、低浸透圧液の浸透圧(以下、「浸透圧B」ともいう)との差(浸透圧A−浸透圧B)は、低浸透圧液によってTRPA1を介して引き起こされる生理学的事象をより確実に発生させ、低浸透圧刺激抑制作用の評価を容易に、かつ的確に行なう観点から、好ましくは40mOsm(908hPa)以上、より好ましくは80mOsm(1816hPa)以上であり、TRPA1に依存しない細胞の応答を抑制する観点から、好ましくは200mOsm(4540hPa)以下、より好ましくは160mOsm(3632hPa)以下である。前記浸透圧Bは、TRPA1発現細胞の細胞内液の浸透圧などによって異なるので、一概には決定することができないことから、TRPA1発現細胞の細胞内液の浸透圧などに応じて適宜設定することが好ましい。例えば、ヒトの細胞の細胞内液の浸透圧は、通常、280〜320mOsm(25℃での浸透圧:6356〜7264hPa)、好ましくは312mOsm(25℃での浸透圧:7082hPa)である。したがって、TRPA1発現細胞がヒトの細胞に由来する場合、前記低浸透圧液の浸透圧は、TRPA1に依存しない細胞の応答を抑制する観点から、好ましくは100mOsm(25℃での浸透圧:2270hPa)以上、より好ましくは140mOsm(25℃での浸透圧:3178hPa)以上であり、低浸透圧液によってTRPA1を介して引き起こされる生理学的事象をより確実に発生させ、低浸透圧刺激抑制作用の評価を容易に、かつ的確に行なう観点から、好ましくは260mOsm(25℃での浸透圧:5902hPa)以下、より好ましくは240mOsm(25℃での浸透圧:5448hPa)以下である。
前記TRPA1発現細胞は、一過性受容体電位チャネル(TRPチャネル)の1つであるTRPA1の生理学的機能を発現する細胞である。前記TRPA1の生理学的機能としては、例えば、TRPA1アゴニストによる化学刺激、冷覚刺激、機械刺激などの刺激による細胞外から細胞内へのカルシウムイオン、ナトリウムイオンなどの陽イオンの輸送能;前記刺激による細胞における膜電位の調節能などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。前記TRPA1のアゴニストとしては、例えば、メントール、エタノール、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、アルカリ剤(例えば、アンモニア、モノエタノールアミン、水酸化カリウムなど)、アリルイソチオシアネート、メチルパラベン、アリシン、イシリン、過酸化水素、ブラジキニン、アクロレイン、香油成分(例えば、シトラール、オイゲノール、シンナムアルデヒドなど)などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
前記TRPA1発現細胞は、内因性TRPA1を発現している内因性TRPA1発現細胞であってもよく、TRPA1をコードする核酸が発現可能に宿主細胞に導入されている外因性TRPA1発現細胞であってもよい。前記TRPA1発現細胞のなかでは、低浸透圧液によってTRPA1を介して引き起こされる生理学的事象を簡便な操作で的確に測定することができる観点から、外因性TRPA1発現細胞が好ましい。
前記内因性TRPA1発現細胞としては、例えば、感覚神経細胞、内耳細胞などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。前記内因性TRPA1発現細胞は、ヒトにおける被験物質の低浸透圧刺激抑制作用を的確に評価する観点から、好ましくはヒト由来の細胞である。
前記外因性TRPA1発現細胞は、宿主細胞に導入された前記核酸が、染色体外要素として存在している細胞であってもよく、宿主細胞に導入された前記核酸が組み込みにより染色体に組み込まれている細胞であってもよい。
前記外因性TRPA1発現細胞は、例えば、エレクトロポレーション法、リポフェクション法、トランスフェクション法、パーティクルガン法などの形質転換方法によって、TRPA1をコードする核酸を保持する組換えベクターなどにより宿主細胞を形質転換することにより得られる。
TRPA1をコードする核酸は、ヒトTRPA1をコードする核酸であってもよく、他の動物のTRPA1をコードする核酸であってもよい。ヒトにおける被験物質の低浸透圧刺激抑制作用を的確に評価する観点から、前記TRPA1をコードする核酸は、好ましくはヒトTRPA1をコードする核酸である。TRPA1をコードする核酸としては、例えば、配列番号:1に示される塩基配列からなる核酸などが挙げられる。この配列番号:1に示される塩基配列は、アクセッション番号NM_007332としてGenBankに登録されているヒトTRPA1をコードする核酸の塩基配列である。なお、TRPA1をコードする核酸は、前記核酸によりコードされるポリペプチドが前記生理学的機能を発現するのであれば、TRPA1の構造遺伝子の塩基配列の内部または末端に、1または数個のヌクレオチド残基の置換、欠失または挿入を有する変異型核酸であってもよい。前記TRPA1をコードする核酸は、例えば、配列番号:1に示される塩基配列に基づき作成されたプローブを用いるハイブリダイゼーション法、配列番号:1に示される塩基配列に基づき設計され、合成された2種のオリゴヌクレオチドプライマーからなるプライマー対を用いる核酸増幅法などにより得られる。
変異型核酸としては、例えば、(A)配列番号:1に示される塩基配列に対して、BLASTアルゴリズムにより、Cost to open gap 11、Cost to extend gap 1、expect value 10、wordsize 11の条件(デフォルト値)下、評価対象の配列をアライメントして算出される配列相同性の値が、TRPA1が有する生理学的機能を十分に発揮させる観点から、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上である塩基配列からなり、かつコードされるポリペプチドが、陽イオンを透過させる機能を少なくとも発現するポリペプチドである核酸、
(B)配列番号:2において、1個または数個のアミノ酸残基の置換、欠失または付加を有するアミノ酸配列をコードし、コードされるポリペプチドが、陽イオンを透過させる機能を少なくとも発現するポリペプチドである核酸、
(C)配列番号:1に示される塩基配列からなる核酸に対する相補鎖核酸とストリンジェントな条件下にハイブリダイズし、コードされるポリペプチドが、陽イオンを透過させる機能を少なくとも発現するポリペプチドである核酸
などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されない。
なお、本明細書において、「ストリンジェントな条件」は、配列番号:1に示される塩基配列からなる核酸によりコードされるポリペプチドの生理学的機能と同等またはそれ以上の生理学的機能を有するポリペプチドをコードする核酸を得る観点から、好ましくは配列番号:1に示される塩基配列からなる核酸と、配列番号:1に対する配列相同性が少なくとも80%である塩基配列からなる核酸とが特異的にハイブリダイゼーションする条件である。前記ストリンジェントな条件としては、例えば、配列番号:1に示される塩基配列からなる核酸とハイブリダイゼーション対象の核酸とを、ハイブリダイゼーション用溶液〔組成:6×SSC(組成:0.9M塩化ナトリウム、0.09Mクエン酸ナトリウム、pH7.0)、0.5重量%ドデシル硫酸ナトリウム、5×デンハルト溶液、100μg/ml変性サケ精子DNA、50体積%ホルムアミド〕中、室温以上、よりストリンジェントな条件として42℃以上、さらにストリンジェントな条件として60℃以上の温度で10時間インキュベーションし、つぎに、例えば、2×SSC、よりストリンジェントな条件として0.1×SSCのイオン強度条件下で、かつ室温以上、よりストリンジェントな条件として42℃以上、さらにストリンジェントな条件として60℃以上の温度で洗浄を行なう条件などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
組換えベクターは、前記TRPA1をコードする核酸を、慣用のベクターと連結させることにより得られる。前記ベクターは、調製が容易であり、効率よく宿主細胞に導入することができ、かつ宿主細胞内でTRPA1を効率よく発現させることができるベクターであればよい。ベクターは、形質転換後の細胞のなかからの外因性TRPA1発現細胞の選択が容易であることから、好ましくは選択マーカー遺伝子を有するベクターである。また、ベクターは、必要により、TRPA1を連結させるための部位の上流に、宿主細胞内でTRPA1を発現させるに適した発現プロモーターを有していてもよい。ベクターとしては、例えば、大腸菌のプラスミドベクター、酵母のプラスミドベクターなどのプラスミドベクター;レトロウイルスベクターなどのウイルスベクターなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
前記宿主細胞としては、前記TRPA1をコードする核酸が効率よく発現され、かつ培養が容易なものであればよく、例えば、動物細胞、細菌細胞、植物細胞、昆虫細胞などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの宿主細胞のなかでは、ヒトにおける被験物質の低浸透圧刺激抑制作用を的確に評価する観点から、好ましくは動物細胞である。前記動物細胞としては、例えば、HEK293細胞、Hela細胞などのヒト細胞;COS−7細胞などのサル細胞;CHO細胞、NIH3T3細胞などのマウス細胞などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの動物細胞のなかでは、ヒトにおける被験物質の低浸透圧刺激抑制作用を的確に評価する観点から、HEK293細胞、CHO細胞、COS−7細胞およびNIH3T3細胞が好ましく、HEK293細胞がより好ましい。
形質転換後の細胞からの外因性TRPA1発現細胞の選択は、例えば、用いられた組換えベクターが選択マーカー遺伝子を有する場合、選択マーカー遺伝子に応じた選択培地で培養することなどにより行なうことができる。また、得られた細胞が外因性TRPA1発現細胞であることの確認は、例えば、細胞を、1〜10mMパラオキシ安息香酸メチルエステルと接触させ、後述の細胞内カルシウムイオン濃度の測定方法により、接触後の細胞の細胞内カルシウムイオン濃度を測定することにより行なうことができる。細胞が外因性TRPA1発現細胞である場合、接触後の細胞の細胞内カルシウムイオン濃度は、パラオキシ安息香酸メチルエステルと接触させていない細胞の細胞内カルシウムイオン濃度よりも大きくなる。
前記低浸透圧液は、例えば、精製水と電解質とイオン強度に関係しない浸透圧調整剤とを混合することなどによって得ることができる。
前記被験物質とTRPA1発現細胞との接触に際して、被験物質の量は、被験物質の種類、TRPA1発現細胞の数などによって異なるので、一概には決定することができないことから、被験物質の種類、TRPA1発現細胞の数などに応じて適宜決定することが望ましい。
前記被験物質とTRPA1発現細胞との接触に際して、1cmあたりのTRPA1発現細胞の数は、試験データの信頼性の観点から、好ましくは1×103細胞以上、より好ましくは1×10細胞以上であり、TRPA1発現細胞におけるTRPA1の生理学的機能を十分に発揮させる観点から、好ましくは1×105細胞以下、より好ましくは5×104細胞以下である。
前記低浸透圧液によってTRPA1を介して引き起こされる生理学的事象としては、例えば、前記低浸透圧液によってTRPA1を介して引き起こされるTRPA1発現細胞内のカルシウムイオン濃度の増加、前記低浸透圧液によってTRPA1を介して引き起こされるTRPA1発現細胞内の電流の増加などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
本発明においては、簡便な操作で、かつ高感度で測定することができる観点から、前記低浸透圧液によってTRPA1を介して引き起こされる生理学的事象は、前記低浸透圧液によってTRPA1を介して引き起こされるTRPA1発現細胞内のカルシウムイオン濃度の増加であることが好ましい。
前記低浸透圧液によってTRPA1を介して引き起こされる生理学的事象として、前記低浸透圧液によってTRPA1を介して引き起こされるTRPA1発現細胞内のカルシウムイオン濃度の増加を用いる場合、前記低浸透圧刺激抑制作用は、例えば、被験物質の接触前後のTRPA1発現細胞における前記低浸透圧液によってTRPA1を介して引き起こされる細胞内カルシウムイオン濃度の変化を調べることなどによって評価することができる。具体的には、前記低浸透圧刺激抑制作用は、
(A1) 前記低浸透圧液と被験物質とTRPA1発現細胞とを接触させ、前記TRPA1発現細胞内におけるカルシウムイオン濃度〔「カルシウムイオン濃度(A)」という〕を測定するステップ、
(A2) 前記低浸透圧液とTRPA1発現細胞とを接触させ、前記TRPA1発現細胞内におけるカルシウムイオン濃度〔「カルシウムイオン濃度(B)」という〕を測定するステップ、および
(A3) 前記ステップ(A1)で得られたカルシウムイオン濃度(A)と前記ステップ(A2)で得られたカルシウムイオン濃度(B)とを比較するステップ
を行なうことによって評価することができる。前記ステップ(A3)において、カルシウムイオン濃度(B)と比べてカルシウムイオン濃度(A)が減少している場合、当該被験物質は、低浸透圧刺激抑制作用を有すると評価することができる。なお、かかる評価を行なう際には、前記低浸透圧刺激抑制作用の評価をより的確に行なう観点から、低浸透圧液に起因する感覚刺激を引き起こさない対照(陰性対照)とTRPA1発現細胞とを接触させたときの前記TRPA1発現細胞内におけるカルシウムイオン濃度をさらに用いてもよい。また、前記カルシウムイオン濃度(A)とカルシウムイオン濃度(B)との間の差の絶対値が大きいほど、当該被験物質は、高い低浸透圧刺激抑制作用を有すると評価することができる。
前記カルシウムイオン濃度は、例えば、カルシウムイオンと特異的に結合するカルシウム指示薬をTRPA1発現細胞に導入し、当該TRPA1発現細胞内のカルシウムイオンに前記カルシウム指示薬を結合させ、カルシウムイオンと結合したカルシウム指示薬を定量する方法などによって測定することができる。
前記カルシウム指示薬は、カルシウムイオンと結合したカルシウム指示薬を簡便な操作で定量することができることから、カルシウムイオンとの結合前後の変化を光学的特性の変化などによって検出することができる試薬であることが好ましい。前記光学的特性の変化としては、例えば、蛍光強度の変化、吸光度の変化などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものでない。前記カルシウム指示薬としては、例えば、カルシウムイオンとの結合前後に蛍光強度が変化する蛍光カルシウム指示薬などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。前記カルシウム指示薬のなかでは、測定が容易であり、かつTRPA1発現細胞内に存在する夾雑物質の動態との区別化が容易である観点から、カルシウムイオンとの結合前後に蛍光強度が変化する蛍光カルシウム指示薬が好ましい。前記蛍光カルシウム指示薬としては、例えば、FURA 2、FURA 2−AM、Fluo−3などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。前記蛍光カルシウム指示薬は、1種類の励起波長を有していてもよく、2種類以上の励起波長を有していてもよい。前記カルシウム指示薬が前記蛍光カルシウム指示薬である場合、当該蛍光マグネシウム指示薬は、蛍光強度の測定が容易であり、しかも被験物質が有する低浸透圧刺激抑制作用の評価の精度をより高めることができることから、2種類の励起波長を有する蛍光マグネシウム指示薬が好ましい。
カルシウムイオン濃度の測定に際し、1種類の励起波長を有する蛍光マグネシウム指示薬を用いる場合、当該励起波長における蛍光強度に基づき、低浸透圧刺激抑制作用を評価することができる。また、カルシウムイオン濃度の測定に際し、2種類以上の励起波長を有する蛍光マグネシウム指示薬を用いる場合、被験物質が有する低浸透圧刺激抑制作用の評価の精度をより高める観点から、当該2種類以上の励起波長から選ばれた2種類の励起波長(第1励起波長および第2励起波長)を選択し、第1励起波長および第2励起波長それぞれにおける蛍光強度から算出された蛍光強度比に基づき、低浸透圧刺激抑制作用を評価することができる。
カルシウムイオン濃度の測定に際し、例えば、2種類の励起波長を有する蛍光カルシウム指示薬であるFURA 2−AMを用いる場合、第1励起波長における蛍光強度(以下、「第1蛍光強度」ともいう)として340nmにおける蛍光強度および第2励起波長における蛍光強度(以下、「第2蛍光強度」ともいう)として380nmにおける蛍光強度を用いることができる。この場合、被験物質が有する低浸透圧刺激抑制作用は、例えば、式(II):
〔式中、「蛍光強度比A」は式(III):
に基づいて算出された蛍光強度比、「蛍光強度比B」は式(IV):
に基づいて算出された蛍光強度比、「蛍光強度比C」は式(V):
に基づいて算出された蛍光強度比を示す。〕
に基づいて算出された抑制率などを用いて評価することができる。前記抑制率が5%以上、好ましくは10%以上、より好ましくは20%以上である場合、被験物質は、低浸透圧刺激抑制作用を有すると評価することができる。また、前記抑制率が高いほど、前記被験物質は、高い低浸透圧刺激抑制作用を有すると評価することができる。
前記低浸透圧液によってTRPA1を介して引き起こされる生理学的事象として、前記低浸透圧液によってTRPA1を介して引き起こされるTRPA1発現細胞内の電流の増加を用いる場合、前記低浸透圧刺激抑制作用は、例えば、
(B1) 前記低浸透圧液と被験物質とTRPA1発現細胞とを接触させ、前記TRPA1発現細胞内における一定電位下での電流〔「電流(A)」という〕を測定するステップ、
(B2) TRPA1発現細胞とTRPA1アゴニストとを接触させ、前記TRPA1発現細胞内における前記(1)における電位と同じ電位下での電流〔「電流(B)」という〕を測定するステップ、および
(B3) 前記ステップ(B1)で得られた電流(A)と前記ステップ(B2)で得られた電流(B)とを比較するステップ
を行なうことによって評価することができる。前記ステップ(B3)において、電流(B)と比べて電流(A)が小さい場合、当該被験物質は、前記低浸透圧刺激抑制作用を有すると評価することができる。また、前記電流(A)と電流(B)との間の差が大きいほど、当該被験物質は、高い低浸透圧刺激抑制作用を有すると評価することができる。前記電流は、例えば、パッチクランプ法などによって測定することができる。
以上説明したように、本発明の被験物質の評価方法によれば、被験物質が有する低浸透圧刺激抑制作用を再現性よく的確に評価することができる。したがって、本発明の被験物質の評価方法は、眼、口などに誤って混入する可能性のある外用剤の開発などに用いられることが期待されるものである。
2.低浸透圧刺激抑制剤
本発明の低浸透圧刺激抑制剤は、細胞内液の浸透圧よりも低い浸透圧を有する低浸透圧液によって引き起こされる感覚刺激を抑制するための低浸透圧刺激抑制剤であって、前記被験物質の評価方法により、低浸透圧刺激抑制作用を有すると評価された物質(以下、「低浸透圧刺激抑制物質」ともいう)を有効成分として含有することを特徴とする。
本発明の低浸透圧刺激抑制剤は、前記低浸透圧刺激抑制物質を含有しているので、細胞内液の浸透圧よりも低い浸透圧を有する低浸透圧刺激を抑制することができる。
前記低浸透圧刺激抑制物質としては、例えば、ルテニウムレッド、カンファーおよびユーカリプトールなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
本発明の低浸透圧刺激抑制剤における前記低浸透圧刺激抑制物質の含有量は、低浸透圧刺激抑制物質の種類、低浸透圧刺激抑制剤の用途などによって異なるので、一概には決定することができないことから、低浸透圧刺激抑制物質の種類、低浸透圧刺激抑制剤の用途などに応じて適宜決定することが好ましい。
本発明の低浸透圧刺激抑制剤は、本発明の目的が妨げられない範囲内で、例えば、水、pH調整剤、キレート化剤、安定化剤などの他の成分を含有していてもよい。なお、本発明の低浸透圧刺激抑制剤が前記成分を含有する場合、本発明の目的が妨げられない範囲で、本発明の低浸透圧刺激抑制剤中において、前記低浸透圧刺激抑制物質と前記成分とが複合体を形成していてもよい。
本発明の低浸透圧刺激抑制剤は、低浸透圧刺激抑制作用を有することから、眼、口などに誤って混入する可能性のある外用剤、低浸透圧を有する外用剤などに配合することができる。
本発明の低浸透圧刺激抑制剤を外用剤に配合する場合、外用剤の剤形は、外用剤の用途などに応じて適宜選択することができる。外用剤の剤形としては、例えば、ローション、クリーム、フォーム、乳液、ジェル、パック、粉剤、エアゾール剤、貼付剤などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。前記外用剤としては、例えば、ボディーローション、デオドラント化粧料(例えば、デオドラントローション、デオドラントジェル、デオドラントスプレー、デオドラントロールオン、デオドラントペーパーなど)、化粧水、乳液、スキンケアクリーム、トニック、スティック化粧料、リップ、皮膚脱色剤(ボディーブリーチング剤)、洗浄料(例えば、ボディーシャンプー、クレンジング剤、洗顔剤、固形石鹸など)、シート化粧料(例えば、拭き取り用シート、シートパック剤など)、貼付剤(例えば、パップ剤など)、髭剃り用化粧料(例えば、シェービングジェルなど)、洗髪用化粧料(例えば、シャンプー、リンスなど)、育毛剤、ヘアカラー、ヘアブリーチ、パーマ液、ヘアスタイリング剤(例えば、ヘアトニックなど)などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
前記外用剤における前記低浸透圧刺激抑制剤の含有量は、前記低浸透圧刺激抑制物質の種類、外用剤の用途などによって異なることから、一概には決定することができないので、前記低浸透圧刺激抑制物質の種類、外用剤の用途などに応じて適宜設定することが好ましい。
また、前記外用剤には、前記低浸透圧刺激抑制剤の他に、本発明の目的が妨げられない範囲で、例えば、高級アルコール、ロウ、炭化水素油、脂肪酸、油脂、エステル油、シリコーン油などの油剤;陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤などの界面活性剤;多価アルコール、糖、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸誘導体などの保湿剤;増粘剤、酸化防止剤、キレート剤、pH調整剤、香料、色素、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、ビタミン、アミノ酸、防腐剤、水などの成分が配合されていてもよい。
以下に実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。なお、以下において、バスソリューションの浸透圧(イオン量換算)は、式(I)にしたがって算出された値である。
(製造例1)
ヒトTRPA1をコードするcDNA〔配列番号:1(GenBankアクセッション番号:NM_007332)に示される塩基配列の63位〜3888位のポリヌクレオチド〕を、哺乳動物細胞用ベクター〔インビトロジェン社製、商品名:pcDNA3.1(+)〕のクローニングサイトに挿入し、ヒトTRPA1発現ベクターを得た。得られたヒトTRPA1発現ベクター1μgと、遺伝子導入用試薬〔インビトロジェン社製、商品名:PLUS Reagent(プラスリージェント)、カタログ番号:11514−015〕6μLとを混合し、混合物Iを得た。また、遺伝子導入用カチオン性脂質〔インビトロジェン社製、商品名:リポフェクタミン(登録商標)、カタログ番号:18324−012〕4μLと、血清使用量低減培地〔インビトロジェン社製、商品名:OPTI−MEM(登録商標)I Reduced−Serum Medium(カタログ番号:11058021)〕200μLとを混合し、混合物IIを得た。
また、5体積%二酸化炭素雰囲気中、37℃に維持された直径35mmのシャーレ上の10質量%FBS含有DMEM培地中において、5×10細胞のHEK293細胞を70%のコンフルエンシーになるまで培養した。
得られた細胞培養物に、前記混合物Iと混合物IIとを添加することにより、HEK293細胞に前記ヒトTRPA1発現ベクターを導入し、TRPA1発現細胞を得た。
(製造例2)
塩化ナトリウム、マンニトール、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、グルコースおよび2−[4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−イル]エタンスルホン酸緩衝液(以下、「HEPES緩衝液」ともいう)(pH7.4)を、下記組成:60mM塩化ナトリウム、160mMマンニトール、5mM塩化カリウム、2mM塩化マグネシウム、2mM塩化カルシウム、10mMグルコースおよび10mM HEPES緩衝液となるように混合し、細胞内液の浸透圧と同じ浸透圧を有するバスソリューション〔浸透圧(イオン量換算):312mOsm(25℃での浸透圧:7082hPa)〕を得た。
(製造例3)
製造例2において、マンニトールの濃度を160mMに設定する代わりに、マンニトールの濃度を80mMに設定したことを除き、製造例2と同様の操作を行ない、細胞内液の浸透圧との差が80mOsm(1816hPa)であるバスソリューション〔浸透圧(イオン量換算):232mOsm(25℃での浸透圧:5266hPa)〕を得た。
(製造例4)
製造例2において、マンニトールの濃度を160mMに設定する代わりに、マンニトールの濃度を40mMに設定したことを除き、製造例2と同様の操作を行ない、細胞内液の浸透圧との差が120mOsm(2724hPa)であるバスソリューション〔浸透圧(イオン量換算):192mOsm(25℃での浸透圧:4358hPa)〕を得た。
(製造例5)
製造例2において、マンニトールの濃度を160mMに設定する代わりに、マンニトールの濃度を0mMに設定したことを除き、製造例2と同様の操作を行ない、細胞内液の浸透圧との差が160mOsm(3632hPa)であるバスソリューション〔浸透圧(イオン量換算):152mOsm(25℃での浸透圧:3450hPa)〕を得た。
(試験例1)
(1)低浸透圧刺激と細胞面積上昇率との関係の評価
製造例1で得られたTRPA1発現細胞(5×10細胞)を循環チャンバー〔ワーナーインストゥルメンツ製、商品名:RC−26〕に入れた。その後、チャンバー中のTRPA1発現細胞を、浸透圧(イオン量換算):312mOsm(25℃での浸透圧:7082hPa)を有する標準バスソリューション〔組成:140mM塩化ナトリウム、5mM塩化カリウム、2mM塩化マグネシウム、2mM塩化カルシウム、10mMグルコースおよび10mM HEPES緩衝液(pH7.4)〕で洗浄した。洗浄後のTRPA1発現細胞をデジタルカメラで撮影した。得られた画像と、画像処理ソフトウェアImage J〔アメリカ国立衛生研究所のウェブページhttp://imagej.nih.gov/ij/にて提供〕とを用い、細胞内液と同じ浸透圧を有する浸透圧液を接触させたときの細胞の面積(以下、「細胞面積A0」ともいう)を求めた。
つぎに、洗浄後のTRPA1発現細胞が入ったチャンバーに、製造例2、製造例3、または製造例5で得られたバスソリューションを添加した。前記バスソリューションの添加後の細胞をデジタルカメラで撮影した。得られた画像と、画像処理ソフトウェアImage Jとを用い、細胞内液よりも低い浸透圧を有する低浸透圧液を接触させたときの細胞の面積(以下、「細胞面積A1」ともいう)を求めた。
つぎに、細胞面積A0および細胞面積A1を用い、式(VI):
細胞面積上昇率
=(細胞面積A1−細胞面積A0)/細胞面積A0 (VI)
に基づいて細胞面積上昇率を求めた。
試験例1において、細胞内液の浸透圧との差と細胞面積上昇率との関係を調べた結果を図1に示す。
図1に示された結果から、細胞内液の浸透圧との差が大きいほど、細胞面積上昇率が高いことがわかる。
(2)低浸透圧刺激とTRPA1発現細胞におけるTRPA1活性化度との関係の評価
製造例1で得られたTRPA1発現細胞を標準バスソリューション〔組成:140mM塩化ナトリウム、5mM塩化カリウム、2mM塩化マグネシウム、2mM塩化カルシウム、10mMグルコースおよび10mM HEPES緩衝液(pH7.4)〕にて洗浄した。つぎに、TRPA1発現細胞を製造例2、製造例3、製造例4または製造例5で得られたバスソリューションに曝露した。曝露後1分間経過後に、溶液B〔組成:140mM塩化カリウム、5mMグリコールエーテルジアミン四酢酸および10mM HEPES緩衝液(pH7.4)〕を含む電極の先端を前記TRPA1発現細胞に接触させ、電流記録ソフトウェア〔モルキュラーデバイス社製、商品名:pCLAMP10〕と電流記録装置〔モルキュラーデバイス社製、商品名:Axopatch 200B Amplifier〕とを用い、電圧を60mVに固定したときの電流変化を測定した。
算出された開口確率(Po)と、TRPA1発現細胞におけるTRPA1の数とを用い、式(VII):
TRPA1活性化度(NPo)
=TRPA1発現細胞におけるTRPA1の数(N)×開口確率(Po)
(VII)
にしたがって、TRPA1活性化度を求めた。
試験例1において、細胞内液の浸透圧との差とTRPA1活性化度との関係を調べた結果を図2に示す。
図2に示された結果から、細胞内液の浸透圧との差が大きいほど、TRPA1活性化度(NPo)が大きいことがわかる。これらの結果から、細胞内液の浸透圧よりも低い浸透圧により、TRPA1発現細胞のTRPA1がより活性化されることがわかる。したがって、これらの結果から、ヒトにおいて、細胞内液の浸透圧よりも低い浸透圧を有する低浸透圧液によってTRPA1の活性が増強されることにより、痛覚が引き起こされることが示唆される。また、これらの結果から、例えば、ヒトの眼に低浸透圧液が接触したときにヒトが知覚する眼刺激感は、細胞内液の浸透圧よりも低い浸透圧を有する低浸透圧液によってTRPA1の活性が増強されることにより、引き起こされることが示唆される。
(3)細胞面積上昇率とTRPA1活性化度の変化との関係の評価
試験例1(1)において、製造例2、製造例3または製造例5で得られたバスソリューションを用いる代わりに、種々の浸透圧を有するバスソリューションを用いたことを除き、試験例1(1)と同様の操作を行ない、細胞面積上昇率を求めた。また、試験例1(2)において、製造例2、製造例3、製造例4または製造例5で得られたバスソリューションを用いる代わりに、前記種々の浸透圧を有するバスソリューションを用いたことを除き、試験例1(2)と同様の操作を行ない、TRPA1活性化度(NPo)を求めた。つぎに、各バスソリューションを用いたときの細胞面積上昇率と、TRPA1活性化度(NPo)とを、x軸が細胞面積上昇率であり、y軸がTRPA1活性化度(NPo)である2次元座標上にプロットした。
また、前記において、種々の浸透圧を有するバスソリューションを用いる代わりに、1μMTRPA1アゴニスト(アリルイソチオシアネート)を含有し、かつ種々の浸透圧を有するバスソリューションを用いたことを除き、前記と同様の操作を行ない、細胞面積上昇率およびTRPA1活性化度(NPo)を求めた。つぎに、各バスソリューションを用いたときの細胞面積上昇率と、TRPA1活性化度(NPo)とを、x軸が細胞面積上昇率であり、y軸がTRPA1活性化度(NPo)である2次元座標上にプロットした。
試験例1において、低浸透圧液に接触させたときの細胞面積上昇率と低浸透圧液に接触させたときのTRPA1活性化度(NPo)との関係を調べた結果を図3(A)、TRPA1アゴニストの存在下での細胞面積上昇率とTRPA1アゴニストの存在下でのTRPA1活性化度(NPo)との関係を調べた結果を図3(B)に示す。図中、Rは相関係数を示す。
図3(A)および(B)に示された結果から、低浸透圧液に接触させたときの細胞面積上昇率と低浸透圧液に接触させたときのTRPA1活性化度(NPo)との間およびTRPA1アゴニストの存在下での細胞面積上昇率とTRPA1アゴニストの存在下でのTRPA1活性化度(NPo)との間の両方において、相関係数Rが0.51であることがわかる。したがって、これらの結果から、低浸透圧液に接触させたときの細胞面積上昇率と低浸透圧液に接触させたときのTRPA1活性化度(NPo)との間には、TRPA1アゴニストの存在下での細胞面積上昇率とTRPA1アゴニストの存在下でのTRPA1活性化度(NPo)との間の場合と同様に正の相関がみられることがわかる。これらの結果から、低浸透圧液による細胞の膨張と、細胞内カルシウム濃度の増加とが関連していることがわかる。したがって、これらの結果から、低浸透圧液によって細胞が膨張することにより、TRPA1の活性が増大することが示唆される。
(製造例6)
製造例4で得られたバスソリューションに、被験物質として、TRPA1のアンタゴニストであるルテニウムレッドをその濃度が10μMとなるように添加し、被験試料を得た。
(製造例7)
製造例4で得られたバスソリューションに、被験物質として、TRPA1のアンタゴニストであるカンファーをその濃度が5mMとなるように添加し、被験試料を得た。
(製造例8)
製造例4で得られたバスソリューションに、被験物質として、TRPA1のアンタゴニストであるユーカリプトールをその濃度が5mMとなるように添加し、被験試料を得た。
(製造例9)
製造例4で得られたバスソリューションに、被験物質として、TRPA1の活性との関連性がないグリセロールをその濃度が5mMとなるように添加し、被験試料を得た。
(製造例10)
製造例4で得られたバスソリューションに、被験物質として、TRPA1の活性との関連性がないマルチトールをその濃度が5mMとなるように添加し、被験試料を得た。
(実施例1)
製造例1で得られたTRPA1発現細胞を、細胞内カルシウムイオン測定用試薬であるFURA 2−AM(インビトロジェン社製)を最終濃度5μMで含む10質量%ウシ胎仔血清含有DMEM培地中、室温で60分間インキュベーションすることにより、前記TRPA1発現細胞にFURA 2−AMを導入し、FURA 2−AM導入TRPA1発現細胞を得た。
得られたFURA 2−AM導入TRPA1発現細胞を循環定温チャンバー付蛍光測定装置〔浜松ホトニクス(株)製、商品名:ARGUS−50〕の各チャンバーに入れた。その後、チャンバー中のFURA 2−AM導入TRPA1発現細胞を、標準バスソリューション〔組成:140mM塩化ナトリウム、5mM塩化カリウム、2mM塩化マグネシウム、2mM塩化カルシウム、10mMグルコースおよび10mM HEPES緩衝液(pH7.4)〕で洗浄した。
つぎに、洗浄後のFURA 2−AM導入TRPA1発現細胞が入ったチャンバーに、製造例6、製造例7、製造例8、製造例9または製造例10で得られた被験試料を添加した。なお、製造例6、製造例7、製造例8、製造例9または製造例10で得られた被験試料とTRPA1発現細胞とを含む混合物の浸透圧(イオン量換算)は192mOsm(25℃での浸透圧:4358hPa)であった。
その後、チャンバーにおいて、励起波長340nmにおけるTRPA1発現細胞に導入され、かつ細胞内のカルシウムイオンに結合したFURA 2−AMに基づく蛍光の強度(以下、「蛍光強度340nm」という)および励起波長380nmにおけるTRPM1発現細胞に導入されたFURA 2−AMに基づく蛍光の強度(以下、「蛍光強度380nm」という)を測定した。つぎに、測定された蛍光強度340nmおよび蛍光強度380nmを用い、式(V)に基づいて蛍光強度比Cを求めた。また、前記において、前記被験試料の代わりに、低浸透圧液としての製造例4で得られたバスソリューションを用いたこと、および式(V)を用いる代わりに、式(III)を用いたことを除き、前記と同様の操作を行ない、蛍光強度比Aを求めた。さらに、前記において、前記被験試料を用いる代わりに、対照としての標準バスソリューションを用いたこと、および式(V)を用いる代わりに、式(IV)を用いたことを除き、前記と同様の操作を行ない、蛍光強度比Bを求めた。前記蛍光強度比A〜Cを用い、式(II)に基づいて、抑制率を求めた。
実施例1において、各被験試料と抑制率との関係を調べた結果を図4に示す。図中、レーン1は製造例6で得られた被験試料を用いたときの抑制率、レーン2は製造例7で得られた被験試料を用いたときの抑制率、レーン3は製造例8で得られた被験試料を用いたときの抑制率、レーン4は製造例9で得られた被験試料を用いたときの抑制率、レーン5は製造例10で得られた被験試料を用いたときの抑制率を示す。
図4に示された結果から、TRPA1の活性を抑制するアンタゴニストであるルテニウムレッドを含有する被験試料(レーン1)、カンファーを含有する被験試料(レーン2)、ユーカリプトールを含有する被験試料(レーン3)を用いたときの抑制率は、30%以上であることがわかる。これらの結果から、ルテニウムレッド、カンファーおよびユーカリプトールは、細胞内液の浸透圧よりも低い浸透圧を有する低浸透圧液によって引き起こされるTRPA1を介する細胞内カルシウム濃度の増加を抑制することがわかる。したがって、ルテニウムレッド、カンファーおよびユーカリプトールは、低浸透圧刺激抑制作用を有することがわかる。
これに対し、TRPA1の活性とは関係がない物質であるグリセロールを含有する被験試料(レーン4)およびマルチトールを含有する被験試料(レーン5)を用いたときの抑制率は、10%未満であることがわかる。これらの結果から、グリセロールおよびマルチトールは、細胞内液の浸透圧よりも低い低浸透圧液によってTRPA1を介して引き起こされる細胞内カルシウム濃度の増加を抑制しないことがわかる。したがって、グリセロールおよびマルチトールは、低浸透圧刺激抑制作用を有しないことがわかる。
したがって、以上の結果から、細胞内液の浸透圧よりも低い浸透圧を有する低浸透圧液と、被験物質と、TRPA1発現細胞とを接触させ、TRPA1を介して引き起こされる生理学的事象を測定する方法は、被験者を用いなくてもよいことから、評価結果にバラつきが生じやすい被験者に評価させる方法と比べ、被験物質が有する低浸透圧刺激抑制作用を再現性よく的確に評価することができることがわかる。
また、前記において、低浸透圧刺激抑制作用を有すると判定された被験物質は、細胞内液の浸透圧よりも低い浸透圧を有する低浸透圧液による刺激を抑制するので、細胞内液の浸透圧よりも低い浸透圧を有する低浸透圧液によって引き起こされる痛みを抑制する低浸透圧刺激抑制剤の有効成分として有用であることが示唆される。

Claims (4)

  1. 被験物質が有する低浸透圧刺激抑制作用を評価する被験物質の評価方法であって、TRPA1発現細胞の細胞内液の浸透圧よりも低い浸透圧を有する低浸透圧液と前記被験物質と前記TRPA1発現細胞とを接触させ、前記低浸透圧液によってTRPA1を介して引き起こされる生理学的事象を測定し、前記生理学的事象に基づき、前記被験物質が有する低浸透圧刺激抑制作用を評価することを特徴とする被験物質の評価方法。
  2. 前記低浸透圧液が、前記細胞内液の浸透圧よりも40〜200mOsm低い浸透圧を有する請求項1に記載の方法。
  3. 前記低浸透圧液によってTRPA1を介して引き起こされる生理学的事象が、前記低浸透圧液によってTRPA1を介して引き起こされる前記TRPA1発現細胞内のカルシウムイオン濃度の増加である請求項1または2に記載の方法。
  4. 細胞内液の浸透圧よりも低い浸透圧を有する低浸透圧液とTRPA1発現細胞との接触によって引き起こされる感覚刺激を抑制するための低浸透圧刺激抑制剤であって、請求項1〜3のいずれか1項に記載の被験物質の評価方法により、低浸透圧刺激抑制作用を有すると評価された物質としてカンファーまたはユーカリプトールを有効成分として含有することを特徴とする低浸透圧刺激抑制剤。
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