JP6478583B2 - 被覆体およびウェザーストリップ - Google Patents

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Description

本発明は、被覆体材料およびウェザーストリップに関するものであって、例えば自動車用ウェザーストリップ等のように摺動性を要する成形体に係るものである。
例えば自動車用ウェザーストリップ等のように摺動性を要する成形体においては、当該成形体を構成する基体の表面(例えば摺動性を要する部位)に摺動性の被覆体を形成した多層構造のものが知られている。
具体例としては、車体(グラスランの場合はドアパネル等)に取り付けるための支持部と、その支持部に設けられガラス部材等(窓ガラス等)の被摺動対象に対し弾性を有して圧接する弾接部(リップ部等)と、を基体とする成形体においては、当該基体の弾接部表面(被摺動対象側)に被覆体を形成した構成が挙げられる。
また、被覆体の摺動性を良好にする手法としては、例えば、被覆体表面を粗面化したり、滑剤を含んだ熱可塑性エラストマーから成る被覆体材料を適用することにより、当該被覆体の表面の摩擦係数を低い状態(以下、低摩擦状態と適宜称する)にし、所望の摺動性が得られるようにすることが挙げられる。具体例としては、成形体の基体と被覆体との間にガス溜りを形成し当該被覆体表面を粗面化して低摩擦状態にしたり、パウダー状のシリコーン樹脂粒子等の固体滑剤による固体潤滑や、シリコーンオイル等の液体滑剤により液体潤滑させて、被覆体表面を低摩擦状態にすることが挙げられる(例えば特許文献1〜3)。
被覆体は、大きく分けてドライ環境,ウェット環境,セミウェット環境(ドライ環境とウェット環境が混在した環境)の3つの摺動環境において被摺動対象と摺動することから、各摺動環境において低摩擦状態を保つことが望ましい。
特許第4408559号公報 特開2004−306937号公報 特開2003−213141号公報
しかしながら、前記のように単にガス溜りを形成して当該被覆体表面を粗面化したり、パウダー状の固体滑剤や液体滑剤を配合した被覆体材料を適用した被覆体では、各摺動環境において低摩擦状態にすることが困難であった。例えば、被覆体表面を低摩擦状態にできたとしても、被覆体と被摺動対象との摺動が繰り返されるに連れて、各摺動環境の摩擦係数が大きくなったり、それら各摩擦係数の差が大きくなり易いため、当該低摩擦状態を保持することが困難であった。
このため、各摺動環境において所望の摺動性を保持することが難しく、被覆体と被摺動対象との摺動時にはジャダー音(いわゆるビビリ音),スキール音(いわゆる鳴き)等の異音を発生(例えばセミウェット環境でスティック‐スリップ現象により発生)する虞もあった。
本発明においては、前記課題に基づいてなされたものであって、被覆体において所望の摺動性を保持し易くし摺動時の異音発生を抑制できる被覆体材料および当該被覆体材料を用いたウェザーストリップを提供することにある。
この発明に係る被覆体材料およびウェザーストリップは、前記の課題を解決すべく創作された技術的思想であって、具体的に、この発明の被覆体材料の一態様は、押出し成形により基体の表面に形成される被覆体あって、少なくともゴム成分,オレフィン系樹脂材料,架橋剤,滑剤を配合した被覆体用熱可塑性エラストマーから成り、前記滑剤は、グラファイトから成る固体滑剤5〜50wt%と、親油性潤滑剤および親水性潤滑剤から成る液体滑剤3〜15wt%と、を含み、前記液体滑剤の親油性潤滑剤と親水性潤滑剤との比率である親油性潤滑剤/親水性潤滑剤比が、50/50〜90/10の範囲内であり、親水性潤滑剤の粘度が親油性潤滑剤の粘度よりも小さく、前記被覆体の表面粗さが50μm以下である、ことを特徴とする。
前記基体は、少なくともゴム成分,オレフィン系樹脂材料,架橋剤,熱膨張性マイクロカプセルを配合した基体用熱可塑性エラストマーから成るものであっても良い。また、前記被覆体用熱可塑性エラストマーは、当該被覆体用熱可塑性エラストマーに配合される各成分のうち滑剤を除く他の成分配合され混練されて架橋した混練物と、当該滑剤と、が配合されたものであっても良い。
この発明のウェザーストリップの一態様は、押出し成形により基体の表面に前記被覆体が形成され、被覆体が被摺動対象に対して圧接するウェザーストリップであって、摺動対象がガラス部材であることを特徴とする。
以上示したように本発明によれば、所望の摺動性が得られ易く摺動時の異音発生を抑制することが可能となる。
本実施の形態による多層構造エラストマー成形体を用いたウェザーストリップの一例を示す概略説明図。 本実施例の動摩擦係数,異音,耐久性を観測するために用いた装置の概略説明図。 本実施例の動摩擦係数の観測方法を示す概略説明図。
本実施形態の被覆体材料および当該被覆体材料を用いたウェザーストリップは、単に滑剤等を配合した熱可塑性エラストマーから成る被覆体材料を適用したり被覆体表面を粗面化するのではなく、熱可塑性エラストマーに配合する滑剤として、グラファイトから成る固体滑剤5〜50wt%と、親油性潤滑剤および親水性潤滑剤から成る液体滑剤3〜15wt%と、を含む滑剤を適用し、また、親油性潤滑剤/親水性潤滑剤比(以下、親油親水比と適宜称する)を50/50〜90/10の範囲内にしたものである。
例えば従来のように、単に被覆体表面を粗面化した被覆体は、耐久性が低く磨耗し易いため、低摩擦状態を保持することが困難となる。また、単にパウダー状の固体滑剤を適用した被覆体も、摺動時に被覆体中(バインダーである熱可塑性エラストマー)から脱落し易く、低摩擦状態を保持することが困難となる。
さらに、液体滑剤として単に親油性潤滑剤および親水性潤滑剤の両者のうち何れか一方を適用した場合は、ドライ環境,ウェット環境,セミウェット環境の何れかの摺動環境において低摩擦状態を保つことが困難(例えばウェット環境において親油性潤滑剤による液体潤滑が妨げられること)となり、単に当該両者を併用した場合には、熱可塑性エラストマーの分散性が低下し、所望の被覆体を形成することが困難になってしまう。
一方、本実施形態のように、微細な層状の物質(異形)で各層が互いにファンデルワールス力で結合しているグラファイトと、親油性潤滑剤および親水性潤滑剤と、がそれぞれ所定の範囲で配合された熱可塑性エラストマーから成る被覆体材料によれば、当該グラファイトは、アンカー効果により被覆体中(熱可塑性エラストマー)に留まり易く、摺動時においては、被覆体からの脱落が抑制され、当該グラファイトの表面側の層から徐々に剥離し、固体潤滑が実現されることになる。また、グラファイトは親油性潤滑剤と馴染み易く表面濡れ性が向上し、例えばドライ環境において固体潤滑と共に液体潤滑を実現することができる。さらに、グラファイトにより被覆体表面が微小に粗面化(例えば特許文献1のようにガス溜りを形成する場合よりも微小に粗面化)するため、固体潤滑や液体潤滑と相互作用して、各摺動環境における摩擦係数の低減に貢献でき、十分(特許文献1の場合よりも十分)な耐久性も得られる。
また、親水性潤滑剤においては、グラファイトを介して親油性潤滑剤と馴染み易く(グラファイトがカップリング剤のように機能し)、被覆体エラストマーとの相溶性も有するため、当該被覆体エラストマーの分散性も良好になり、例えばウェット環境においては被覆体表面の表面水と水和する。さらに、当該親水性潤滑剤の粘度が親油性潤滑剤の粘度よりも小さいため、液体潤滑を実現し易い。
このように本実施形態によれば、被覆体の各摺動環境において摩擦係数を低減し低摩擦状態にすることができ、被覆体と被摺動対象との摺動が繰り返されても、各摺動環境の摩擦係数が大きくなったり当該各摩擦係数の差が大きくならないように抑制できるため、各摺動環境において所望の摺動性を保持し易くなり、摺動時の異音発生を抑制することも可能となる。
本実施形態の被覆体材料およびウェザーストリップは、前述のように、グラファイトと、親油性潤滑剤および親水性潤滑剤と、がそれぞれ所定の範囲で配合された熱可塑性エラストマーを適用した構成であって、目的とする作用効果を奏するものであれば、例えば自動車用部品分野,押出し加工分野等の種々の分野で一般的に知られている技術を適用して適宜変更することが可能であり、以下の各項目に示す具体例が挙げられる。
[ゴム成分]
被覆体材料,基体材料の各熱可塑性エラストマーに配合されるゴム成分としては、エチレン‐プロピレン‐ジエン共重合体(以下、EPDMと称する)を適用することが可能である。EPDMのα‐オレフィンとしては、例えばプロピレン、1‐ブテン、1‐ペンテン、1‐ヘキセン、4‐メチル‐1‐ペンテン、1‐オクテン、1‐デセン等が挙げられ、好ましい一例としてプロピレンが挙げられる。これらα‐オレフィン群のなかから複数のものを選択し、例えばプロピレンと1‐ブテンの如く組み合わせて使用しても良い。また、ポリエン共重合体が5‐エチリデン‐2‐ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、5‐ビニル‐2‐ノルボルネン、ノルボルナジエン、メチルテトラヒドロインデン等の環状の非共役ポリエンであるものや、1,4ヘキサジエン、7‐メチル‐1,6‐オクタジエン、4‐エチリデン‐8‐メチル‐1,7‐ノナジエン、4‐エチリデン‐1,7ウンデカジエン、4,8‐ジメチル‐1,4,8‐デカトリエン等の鎖状の非共役ポリエンであるものが挙げられる。これら各非共役ポリエンは、単独、または2種類以上組み合わせたものでも良く、その構成単位(エチレン‐α‐オレフィン・非共役ポリエン共重合体における非共役ポリエンの含有比率)は例えば約1wt%〜約20wt%とし、好ましくは約1wt%〜約15wt%、より好ましくは約5wt%〜約11wt%である。
[オレフィン系樹脂材料]
被覆体材料,基体材料の各熱可塑性エラストマーに配合されるオレフィン系樹脂材料に含まれる結晶性オレフィン樹脂としては、例えばエチレンの単独重合体,プロピレンの単独共重合体や、エチレン,プロピレン等を主体とする結晶性の共重合体等の一般的に知られているもの(市販品等)を適宜適用することができる。具体例として、高密度ポリエチレン,低密度ポリエチレン,エチレン・ブテン‐1共重合体の結晶性エチレン系共重合体,アイソタクチックポリプロピレン,プロピレン‐エチレン共重合体,プロピレン・ブテン‐1共重合体,プロピレン・エチレン・ブテン‐1三元共重合体等が挙げられ、好ましくはポリプロピレン系重合体が挙げられる。また、前記の各結晶性オレフィン樹脂の何れかを単独で用いても良く、2種類以上を適宜組み合わせて用いても良い。
前記の結晶性オレフィン樹脂の他に、非結晶性オレフィン樹脂が含まれても良い。この場合、単に結晶性オレフィン樹脂のみが含まれている場合と比較して、成形体の加工性や弾性を調整し易くなる。ただし、配合量が多過ぎると、耐摩耗性に影響を与える恐れがあるため、該配合量については留意することが好ましい。この非結晶性オレフィン樹脂としては、例えばα‐オレフィンの単独重合体や2種類以上の共重合体等を挙げることができる。ただし、共重合体の場合には、その主成分(実施例の非結晶性オレフィンの共重合体では、プロピレン・1‐ブテン)となるα‐オレフィン単位が、アタクチック構造で結合しているものを使用する。
具体例としては、アタクチックポリ‐1‐ブテン等の単独重合体や、ポリプロピレン(50モル%以上含有)と他のα‐オレフィン(エチレン,1‐ブテン,1‐ペンテン,1‐ヘキセン,4‐メチル‐1‐ペンテン,1‐オクテン,1‐デセン等)との共重合体や、1‐ブテン(50モル%以上含有)と他のα‐オレフィン(エチレン,プロピレン,1‐ペンテン,1‐ヘキセン,4‐メチル‐1‐ペンテン,1‐オクテン,1‐デセン等)との共重合体等を挙げることができる。また、前記の各共重合体は、それぞれ単独で用いても良く、2種類以上を適宜組み合わせて用いても良い。特に好ましくは、アタクチックポリプロピレン(非晶性ポリプロピレン)、ポリプロピレンとエチレンとの共重合体や、ポチプロピレンと1‐ブテンとの共重合体が挙げられる。
[架橋剤]
被覆体材料,基体材料の各熱可塑性エラストマーに配合される架橋剤としては、一般的に知られているものを適用することができるが、フェノール樹脂系架橋剤は、例えばパーオキサイドと比較してゴム成分を架橋させ易い。このフェノール樹脂系架橋剤の場合は、例えばアルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、メチロール化アルキルフェノール樹脂等が挙げられる。また、末端の水酸基を臭素化した臭化フェノール樹脂、例えば臭素化アルキルフェノール樹脂等のハロゲン化フェノール樹脂を用いることもでき、好ましくはアルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂が挙げられる。フェノール樹脂系架橋剤の好ましい配合量として約3phr〜約20phrの範囲、より好ましい配合量として約4phr〜約15phrの範囲が挙げられるが、目的とする被覆体や基体の特性を大きく損わない程度であれば適宜用いることができる。
なお、配合量が少な過ぎる場合には架橋反応が起こり難くなり、成形体の機械的物性は低下する可能性がある。特に高温下の耐久性は、大きく悪化する可能性がある。また、配合量が多過ぎる場合には、架橋反応が過剰に起こり、局所的に架橋が偏ることで、加工性(押出し加工性等)が低下する可能性がある。
また、架橋触媒を用いることができ、例えばハロゲン系化合物を適用できる。このハロゲン系化合物とは、金属ハロゲン化物,有機ハロゲン化物を示すものであり、該金属ハロゲン化物としては第一塩化錫,第二塩化鉄,第二塩化銅等が挙げられ、有機ハロゲン化物としては塩素化ポリプロピレン,塩素化ポリエチレン,臭化ブチルゴム,クロロプレンゴム等のハロゲン化樹脂が挙げられる。
さらに、ハロゲン化物の好ましい配合量として約0.1phr〜約20phrの範囲、より好ましい配合量として約1phr〜約15phrの範囲が挙げられるが、目的とする被覆体や基体の特性を大きく損なわない程度であれば適宜用いることができる。なお、配合量が少な過ぎる場合には、架橋反応が起こり難くなり、エラストマー成形体の機械的物性が低下する可能性はある。また、配合量が多過ぎる場合には、加工性(押出し加工性等)が低下したり、架橋反応が過剰に成る可能性がある。
なお、架橋促進剤,架橋助剤等の各種成分が配合されていても良い。例えば、前記の架橋促進剤としては、熱可塑性エラストマー材料の分野で知られているものを適用でき、例えば酸化亜鉛,脂肪酸,脂肪酸金属塩等が挙げられ、ステアリン酸,ステアリン酸カルシウム,ステアリン酸亜鉛等の市販品も好適に適用できる。また、架橋促進剤の好ましい配合量としては約0.5phr〜約7phrの範囲が挙げられるが、目的とする被覆体や基体の特性を大きく損なわない程度であれば適宜用いることができる。
[滑剤(固体滑剤)]
被覆体材料の熱可塑性エラストマーに含まれる滑剤のうち固体滑剤としては、一般的に知られているものを適用することができるが、少なくともグラファイトを適用し、そのグラファイトの他に例えば二酸化モリブデン,二酸化タングステン,PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等を適宜併用しても良い。グラファイトにおいては、例えば後述の親油性潤滑剤と馴染み易く表面濡れ性が向上する。また、被覆体に含まれたグラファイトは、摺動時に当該グラファイトの表面側の層から剥離し、その剥離物によって例えばドライ環境における被覆体表面を固体潤滑することになるが、親油性潤滑剤を併用した場合(グラファイトと親油性潤滑剤が馴染んだ状態)であれば、グラファイトの各層の剥離現象が徐々に進行することになるため、耐久性が持たせながら低摩擦状態を保持することが可能となる。また、前記の剥離物により被摺動対象が汚染することも考えられるが、前述のように親油性潤滑剤と馴染んだ剥離物であれば、当該汚染が抑制されることになる。
固体滑剤の粒子径としては、例えばレーザー解析散乱式粒度分布測定によるメジアン径が0.1〜100μm程度のものを適用、好ましくは5〜30μm程度の範囲のものを適用することが挙げられる。粒子径が小さ過ぎたり大き過ぎたりすると(例えば前記の数値範囲を超える粒子径の場合)、所望の固体潤滑や耐久性が得られ難くなる虞がある。
固体滑剤の配合量は、熱可塑性エラストマーでの分散性を考慮し、例えば5〜50wt%の範囲内に設定することが挙げられる。当該配合量が5wt%未満であると、被覆体を低摩擦状態にすることが不十分になり易く、当該配合量が50wt%を超えると、所望の耐久性が得られ難くなる虞がある。
グラファイトの具体例としては、天然グラファイトや人口グラファイトがあり、粒子形状が鱗片状,土状,塊状等のものがあるが、好ましくは鱗片状のグラファイト(例えば、日本黒鉛製のJ−CAB、ACP−1000等)を適用することが挙げられる。
[滑剤(液体滑剤)]
被覆体材料の熱可塑性エラストマーに含まれる滑剤のうち液体滑剤としては、親油性潤滑剤と親水性潤滑剤を併用し、それぞれ一般的に知られているものを適用することが可能である。
親油性潤滑剤においては、例えばジメチルシリコーンオイル,メチルフェニルシリコーンオイル,シリコーンゲル(いわゆる、ガム状シリコーン)等のシリコーンオイル(具体例としては、信越化学社製のKF96,KF50,KE72BSや、GE東芝シリコーン社製のTSF451,TSF456,TSF3051等)があり、好ましくはジメチルシリコーンオイルを適用することが挙げられる。
親水性潤滑剤においては、例えばポリエーテル変成ポリジメチルシロキサン(具体例としては、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズのTSF4440、TSF4441、TSF4452等)を適用することが挙げられる。ポリエーテル鎖は、エチレンオキサイドとポリプロピレンオキサイドから構成され、ポリエチレンオキサイドは親水性が強いことから(高極性)、水溶性の特徴を示す。したがって、親水性潤滑剤においては、ポリエチレンオキサイドが多く低分子(低粘度)であるほど、水溶性が強いものと言える。
本実施形態に適用する親油性潤滑剤においては、バインダーである熱可塑性エラストマーに相溶化させてドライ環境等における低摩擦状態を長く保持する目的があり、高粘度系のもの(高分子量でブリード速度を抑制できる親油性潤滑剤)を適用することが好ましい。一方、本実施形態に適用する親水性潤滑剤においては、ウェット環境における被覆体表面の表面水に水溶させて被摺動対象(ガラス部材等)との間に介在させることにより、当該ウェット環境における低摩擦状態を長く保持する目的があり、比較的低粘度(低分子)のものを適用することが好ましい。
したがって、親水性潤滑剤の粘度が親油性潤滑剤の粘度よりも小さくなるように設定し、親油性潤滑剤の粘度と親水性潤滑剤の粘度とにおいて差を持たせることにより、親油性潤滑剤を同じく親油性のグラファイトの周辺に介在させ易くなり、ドライ環境等における低摩擦状態を発現させることができ、一方、親水性潤滑剤を被覆体表面の表面水に水溶させて被摺動対象(ガラス部材等)との間に介在させ易くなり、当該ウェット環境における低摩擦状態を発現することが可能となる。
[熱膨張性マイクロカプセル]
基体材料の熱可塑性エラストマーにおいては、熱膨張性マイクロカプセル(以下、熱膨張カプセル)を配合したものであっても良い。この熱膨張カプセルにおいては、押出し加工工程にて膨張し得るもの、例えば、加熱(押出し加工工程の熱)により気体を発生し得る液体(揮発性膨張剤;例えば、低沸点の炭化水素,塩素化炭化水素)を熱可塑性樹脂の殻壁(例えば、球状の殻壁)内に充填したもの(熱膨張性の熱可塑性樹脂粒子)であって、真比重0.1以下,粒径(メディアン径)1μm〜70μmとし、その液体が膨張開始温度以上の温度(例えば、150℃〜250℃)の加熱(例えば、押出し温度での加熱)により膨張し、目的とする基体内にて熱膨張セルを形成する液体封入熱可塑性樹脂粒子が挙げられる。
なお、前記の熱膨張セルは、目的とする基体に応じた大きさのものが形成されるようにするが、例えば自動車用のウェザーストリップ製品の基体の場合は平均セル径が30μm〜200μmの熱膨張セルが挙げられる。また、熱膨張カプセルの最高膨張温度において、好ましい範囲として150℃〜250℃が挙げられるが、より好ましくは180℃〜230℃が挙げられる。
熱膨張カプセルの殻壁を構成する熱可塑性樹脂の成分としては、好ましくは(メタ)アクリルニトリル重合体や、(メタ)アクリルニトリルを多く含有する重合体が挙げられ、それら重合体に対するモノマー(いわゆる相手側のモノマー;コモノマー)として、ハロゲン化ビニル,ハロゲン化ビニリデン,スチレン系モノマー,(メタ)アクリレート系モノマー,酢酸ビニル,ブタジエン,ビニルピリジン,クロロプレン等のモノマーが挙げられる。
なお、熱膨張カプセルの殻壁は、未架橋であることが好ましいが、例えば一般的なジビニルベンゼン,エチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の架橋剤により架橋されたものであっても良い。また、殻壁の軟化温度は例えば250℃以下であることが好ましい。
また、熱膨張カプセル内に充填される液体(揮発性膨張剤)としては、例えばn‐ペンタン,イソペンタン,ネオペンタン,ブタン,イソブタン,ヘキサン,石油エーテル等の炭化水素類や、塩化メチル,ジクロロエチレン,トリクロロエタン,トリクロルエチレン等の塩素化炭化水素類が挙げられる。
熱膨張カプセルの更なる具体例としては、大日精化工業社製のファインセルラーMSシリーズ(MS420,MS430,MS440,MS450等)を適用することが挙げられ、松本油脂社製のマツモトマイクロスフェアーF100等や、スウェーデン国・エクスパンセル社製のEXPANCEL930‐120等も挙げられる。
熱膨張カプセルの配合量は、例えば目的とする基体の比重を考慮して適宜設定することができる。このような熱膨張カプセルをEPDM等の高分子成分に添加する場合、その熱膨張カプセルの飛散の防止や分散性の向上を図るために、あらかじめ他の使用材料(例えば、高分子弾性体,熱可塑性樹脂,軟化剤,無機充填剤等の何れか、または複数のもの)と混合してから用いても良い。この具体例としては、予めオイルコンテント品,EVA,PE等に含有されたペレット品等が市販されている。
熱膨張カプセルを予め他の使用材料と混合してから用いる場合には、例えば該熱膨張カプセルの混合比率を10wt%〜99wt%程度(好ましくは10wt%〜50wt%)に調整することが挙げられる。また、前記のような熱膨張カプセルは何れか1種類を用いても良く、複数の種類のものを組み合わせて用いても良い。さらに、後述の無膨張性カプセル(例えば揮発性膨張剤を内包しないタイプ)等と組み合わせて用いても良い。
[その他]
被覆体材料,基体材料においては、以上示した各種成分の他に、カーボンブラック,加工助剤,液状ポリマー(液状ゴム),酸化防止剤,老化防止剤,脱水剤,熱安定剤,光安定剤,紫外線吸収剤,摺動性パウダー(例えば、PMMA,フッ素樹脂(テフロン(登録商標)等)系パウダー,アクリル系パウダー,シリコーンゴムパウダー,シリコーン樹脂パウダー,ポリカーボネート系パウダー,超高分子系ポリエチレンパウダー等),防雲剤,アンチブロッキング剤,スリップ剤,分散剤,難燃剤,帯電防止剤,導電性付与剤,粘着付与剤,架橋助剤,着色剤(酸化チタン等),金属粉末(フェライト等),ガラス繊維,炭素繊維,有機繊維(アラミド繊維等),複合繊維,ガラスバルーン,ガラスフレーク,グラファイト,カーボンナノチューブ,フラーレン,黒粉体,各種ゴム,有機発泡剤,熱膨張カプセル,ワックス,再生ゴム等が挙げられ、何れか1種類または複数の種類のものを組み合わせ、目的とする被覆体や基体の特性を大きく損なわない程度であれば適宜用いることができる。
[ウェザーストリップ]
本実施形態の被覆体材料や基体材料においては、例えば自動車用グラスラン等のウェザーストリップに適用でき、具体例としては図1に示すようなグラスランが挙げられる。図1のグラスランは、横断面略コ字状で長尺の支持部1と、その支持部1の内壁から突出した複数個(図中では4個)のリップ状の弾接部2と、を基体10とする構成となっている。符号3は、支持部1の外壁から突出した係止爪部を示すものであり、車体パネル4に組みつけられた基体10が該車体パネル4から抜けないようにするためのものである。前記の弾接部2における少なくともガラス5との接触面側、および支持部1の底面側内壁(摺動性を要する部位)は、被覆体6により形成されている。このように基体10に被覆体6が形成された多層構造によれば、弾接部2(被覆体6)がガラス5に対し弾性を有して摺動自在に弾接し、ガラスシール性が保持される。
次に、本実施形態に基づいて作成したサンプルであって表1に示すように各滑剤等が配合された種々の被覆体材料S1〜S10(実施例),P1〜P9(比較例)を用い、基体材料Kと共に同時押出し成形して多層構造の成形体GS1〜GS10(実施例),GP1〜GP9(比較例)を作成し、後述の各項目に示す方法により、表面粗さ,動摩擦係数,異音,耐久性,総合評価を調べ、その結果を後述の表2に示した。
<被覆体材料S1〜S10,P1〜P9>
まず、EPDMの一つであるエチレン・プロピレン・ジエン共重合体(ダウケミカル社製のノーデルIP 4760P)100phrに対し、オレフィン系樹脂材料としてポリプロピレン樹脂(プライムポリマー社製のE‐200GP)200phr、軟化剤としてパラフィン系オイル(JOMO社製のP300)50phr、架橋剤としてアルキルフェノール樹脂化合物(田岡化学社製のタッキロール201)7phr、架橋助剤としてハロゲン系架橋触媒(日本化学産業社製の塩化第一錫)1phr、酸化防止剤(チバスペシャリティケミカル社製のIrganox1010)1phr、酸化亜鉛(三井金属鉱業社製の酸化亜鉛)1phr、を東洋精機社製のラボプラストミルB600(密閉式バンバリータイプ混練機)に一括投入した。そして、当該一括投入された各材料(以下、架橋前投入材料)を、チャンバー温度200℃,ロータ回転数100rpmの条件で混練し動的架橋を行い、その混練物の温度が220℃に到達した時点で当該混練物を取り出した。
次に、前記の取り出した混練物に、滑剤として、固体滑剤のグラファイト(日本黒鉛製のJ−CPS)任意量、液体滑剤で親油性潤滑剤のジメチルシリコーン(信越化学社製のKF96−粘度1000cps、またはKF96−粘度100cps)任意量、液体滑剤で親水性潤滑剤のポリエーテル変成シリコーン(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズのTSF4452の粘度1000cps、またはTSF4441の粘度160cps)任意量、をそれぞれ表1に示すように配合(それぞれ計量して配合)してから、前記ラボプラストミルB600に一括投入して、チャンバー温度200℃,ロータ回転数100rpmの条件で混練し、その混練物の温度が200℃に到達した時点で当該混練物を取り出し、種々の被覆体材料S1〜S9,P1〜P9を得た。
なお、前記の架橋前投入材料,固体滑剤,液体滑剤を、前記ラボプラストミルB600に一括投入し、チャンバー温度200℃,ロータ回転数100rpmの条件で混練し動的架橋を行い、その混練物の温度が220℃に到達した時点で当該混練物を取り出し、これを被覆体材料S10として適用した。
Figure 0006478583
<基体材料K>
まず、EPDMの一つであるエチレン・プロピレン・ジエン共重合体(ダウケミカル社製のノーデルIP 4760P)100phrに対し、オレフィン系樹脂材料としてポリプロピレン樹脂(プライムポリマー社製のE‐200GP)83phr、軟化剤としてパラフィン系オイル(JOMO社製のP300)117phr、架橋剤としてアルキルフェノール樹脂化合物(田岡化学社製のタッキロール201)7phr、架橋助剤としてハロゲン系架橋触媒(日本化学産業社製の塩化第一錫)1phr、酸化防止剤(チバスペシャリティケミカル社製のIrganox1010)1phr、酸化亜鉛(三井金属鉱業社製の酸化亜鉛)1phr、カーボンブラック(旭カーボン社製の旭♯60H)23phr、を前記ラボプラストミルB600に一括投入して、チャンバー温度200℃,ロータ回転数100rpmの条件で混練し動的架橋を行い、その混練物の温度が220℃に到達した時点で当該混練物を取り出し、基体材料Kを得た。
<成形体GS1〜GS10,GP1〜GP9>
成形機には、基体材料Kを押出し成形する成形機(以下、基体押出機)の口金と、表1に示す被覆体材料S1〜S10,P1〜P9から選択された一つを押出し成形する成形機(以下、被覆体押出機)のヘッド出口と、を耐熱チューブで連結した同時押出し成形機を適用した。そして、各被覆体材料S1〜S10,P1〜P9から適宜選択された一つを、基体材料Kと共に同時押出し成形することにより、断面が2mm×30mmの延板状の基体の一端側表面に断面が0.04mm×30mmの被覆体が形成された多層構造の成形体G(GS1〜GS10,GP1〜GP9)を作成した。
なお、被覆体材料S8,S9,P8,P9と同時押出し成形する基体材料Kにおいては、当該同時押出し成形する前に、熱膨張カプセル(大日精化社製のファインセルラーMS405)またはシリコーン樹脂系ビーズ(日信化学工業社製のシャリーヌR170)を、前記の表1に示すように任意量配合しドライブレンドした。また、同時押出し成形においては、基体押出機のシリンダー前段の温度180℃,シリンダー中段の温度190℃,シリンダー後段の温度200℃,ヘッドの温度200℃に設定し、被覆体押出機のシリンダー前段の温度180℃,シリンダー中段の温度200℃,シリンダー後段の温度210℃,ヘッドの温度220℃に設定し、スクリュー回転数を適宜調整しながら行った。
<表面粗さ,動摩擦係数,異音,耐久性>
まず図2に示すように、成形体GS1〜GS10,GP1〜GP9において、それぞれ短冊状((7.0mm±0.5mm)×(120mm±0.5mm)×(0.7mm±0.5mm)矩形の短冊状)に打ち抜いて各試験片20を作成し、その試験片20の被覆体表面の汚れをアルコールで拭き取った後、表面粗さ計(小坂研究所社製のサーフコーダSE30D)を用いた十点平均法(JIS−B0601に準拠した方法)により当該被覆体表面の表面粗さ(十点平均粗度;Rz(μm))をそれぞれ測定した。なお、前記表面粗さ計の触針には、触針先端半径2μmのものを使用した。
次に、支持台(試験台)21上に試験片20を固定(基体が図示下方で被覆体が図示上方に位置するように固定)し、ガラス部材22の端部(JIS R 3211に準拠した自動車窓ガラスに相当するR10球面を有する端部)22aを29.4Nの荷重で圧接(被覆体に圧接)させた。この状態で、試験片20の被覆体表面(ガラス部材22が摺動する面)に泥水(ダスト:水=1:3の混合液)を滴下してウェット環境を模擬し、そのガラス部材22を水平方向(試験片20の長手方向;図示矢印23方向)に対して繰り返し摺動(ストローク;100±0.5mm、サイクル;60回/分、温度雰囲気;常温)を行い、当該摺動が所定回数(摺動初期,摺動10000回目,20000回目)に到達する毎に、試験片20の被覆体のウェット環境における動摩擦係数Fw(μd)を、後述する図3に示す方法により観測した。
また、前記の摺動が所定回数に到達する毎に、異音発生の有無も観測した。さらに、前記の摺動による試験片20の被覆体の磨耗が400μmに達した際における当該ガラス部材22の摺動回数を測定することにより、耐久性を調べた。
なお、図2に示す方法において泥水を滴下しない状態にして、すなわちドライ環境を模擬して、試験片20の被覆体のドライ環境における動摩擦係数Fd(μd)を、後述する図3に示す方法により観測した。そして、動摩擦係数Fw,Fdの差分(すなわち、Fw−Fd;以下、差分w/dと称する)を算出した。
図3は、前記の動摩擦係数の観測方法を説明するためのものである。図3に示す方法においては、まず、試験片20の表面の汚れをアルコールで拭き取った後、摩擦係数測定機(新東科学製のHEIDON−14D)の支持台(試験台)31上に載置(基体が図示下方で被覆体が図示上方に位置するように載置)する。その後、R50球面ガラスを構成し0.98Nの荷重が加えられた錘部材32を、前記の試験片20の被覆体上に載置(R50球面側を載置)し、その錘部材32を水平方向(試験片20の長手方向;図示矢印方向)に対して速度1000mm/分で摺動(試験片20の被覆体に接触しながら摺動)させることにより、動摩擦係数(Fw,Fd)を測定し、差分w/dを算出する。
<総合評価>
以上示した表面粗さ,動摩擦係数,異音,耐久性の検証結果をそれぞれ比較し総合的に判定した。なお、後述の表2中の「総合評価」の欄において、記号「◎」は自動車のグラスラン,ウェザーストリップ等の多層構造の摺動製品に適用する場合を想定して好適な結果が得られた場合、記号「×」は不適格な結果が得られた場合、記号「○」は良好な結果が得られた場合(「◎」よりは劣るが、「×」よりも良好な場合)、記号「△」は十分な結果が得られた場合(「○」よりは劣るが、少なくとも「×」よりは良好で摺動製品として十分適用できる可能性がある場合)であったものとする。
Figure 0006478583
<成形体GP1〜GP9>
表2の結果に示すように、成形体GP1〜GP9においては、総合評価として全て×という結果となった。まず、固体滑剤または液体滑剤の配合量が少な過ぎる被覆体材料P1,P3を用いた成形体GP1,GP3は、摺動初期から既に、動摩擦係数Fw,Fdおよび差分w/dがそれぞれ比較的大きく異音が発生し、耐久性も低かった。
固体滑剤が多過ぎる被覆体材料P2を用いた成形体GP2は、摺動初期の動摩擦係数Fw,Fdおよび差分w/dは成形体GP1,GP3よりも小さかったものの、耐久性が極めて悪かった。
液体滑剤が多過ぎる被覆体材料P4を用いた成形体GP4は、加工性が悪く所望の成形体を形成することができず、各種観測を行うことができなかった。
液体滑剤の親油親水比が50/50〜90/10の範囲外である被覆体材料P5,P6を用いた成形体GP5,GP6は、耐久性を有するものの、摺動回数が増加するに連れて差分w/dが大きくなって異音が発生した。
液体滑剤の親水性潤滑剤の粘度が親油性潤滑剤の粘度よりも大きい被覆体材料P7を用いた成形体GP7は、摺動初期から既に、差分w/dが比較的大きく異音が発生し、耐久性も低かった。
基体材料Kにおいて熱膨張カプセルを配合し被覆体表面の表面粗さが大き過ぎる成形体GP8は、摺動回数が増加するに連れて動摩擦係数Fw,Fdおよび差分w/dがそれぞれ大きくなって異音が発生し、耐久性も低かった。
基体材料Kにおいてシリコーン樹脂ビーズを配合した成形体GP9は、摺動初期から既に、動摩擦係数Fwおよび差分w/dがそれぞれ比較的大きく異音が発生し、耐久性が極めて悪かった。
<成形体GS1〜GS10>
一方、固体滑剤および液体滑剤の各配合量や親油親水比がそれぞれ本実施形態の範囲内で、親水性潤滑剤の粘度が親油性潤滑剤の粘度よりも小さい被覆体材料を用いた成形体GS1〜GS10は、成形体GP1〜GP9と比較すると、動摩擦係数Fw,Fdおよび差分w/dが、それぞれ摺動初期から小さく、摺動回数が増加しても殆ど変化せず、異音の発生も無かった。
また、成形体GS1〜GS6,GS8においては、耐久性が極めて良好であり、総合評価においては◎または○という優れた結果が得られた。成形体GS7,GS9,GS10においては、それぞれ液体滑剤の配合量が多目の被覆体材料S7,表面粗さが大き目の被覆体材料S9,架橋前に滑剤が配合された被覆体材料S10を用いたものであり、耐久性が成形体GS1〜GS6,GS8よりは低くなるものの、成形体GP5,GP6と比較すると略同等程度であり、総合評価としては△という十分良好な結果であった。
以上、本発明において、記載された具体例に対してのみ詳細に説明したが、本発明の技術思想の範囲で多彩な変形および修正が可能であることは、当業者にとって明白なことであり、このような変形および修正が特許請求の範囲に属することは当然のことである。
例えば、実施例では、被覆体材料S1〜S10,成形体GS1〜GS10等の具体例を用い比較検証して説明したが、自動車用部品分野(ウェザーストリップ,グラスラン等の摺動製品分野),押出し加工分野等の種々の分野の技術常識に基づき、基体材料や被覆体材料におけるゴム成分,オレフィン系樹脂材料,滑剤,熱膨張カプセル,架橋剤、その他の各種材料について、配合量や種類等を適宜変更しても、実施例同様の作用効果を得ることが可能と考えられる。
1…支持部
2…圧接部
3…係止爪部
4…車体パネル
5…ガラス部材
6…摺動性組成物
10…基体

Claims (4)

  1. 押出し成形により基体の表面に形成される被覆であって、
    少なくともゴム成分,オレフィン系樹脂材料,架橋剤,滑剤を配合した被覆体用熱可塑性エラストマーから成り、
    前記滑剤は、グラファイトから成る固体滑剤5〜50wt%と、親油性潤滑剤および親水性潤滑剤から成る液体滑剤3〜15wt%と、を含み、
    前記液体滑剤の親油性潤滑剤と親水性潤滑剤との比率である親油性潤滑剤/親水性潤滑剤比が、50/50〜90/10の範囲内であり、親水性潤滑剤の粘度が、親油性潤滑剤の粘度よりも小さく、
    前記被覆体の表面粗さが50μm以下である、ことを特徴とする被覆
  2. 前記基体は、少なくともゴム成分,オレフィン系樹脂材料,架橋剤,熱膨張性マイクロカプセルを配合した基体用熱可塑性エラストマーから成ことを特徴とする請求項1記載の被覆
  3. 前記被覆体用熱可塑性エラストマーは、当該被覆体用熱可塑性エラストマーに配合される各成分のうち滑剤を除く他の成分配合され混練されて架橋した混練物と、当該滑剤と、が配合されたことを特徴とする請求項1または2記載の被覆
  4. 押出し成形により基体の表面に請求項1〜3の何れかに記載の被覆体が形成され、被覆体が被摺動対象に対して圧接するウェザーストリップであって、
    摺動対象がガラス部材であることを特徴とするウェザーストリップ。
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