JP6477225B2 - ガスセンサデバイス部品、ガスセンサデバイス及びその製造方法、情報処理システム - Google Patents
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Description
このスクリーニングに用いて例えば癌を早期に発見する技術としては、呼気中に含まれる癌特有のマーカーガスを検知する方法がある。例えば、胃癌の危険因子であるピロリ菌感染のマーカーガスとしてアンモニアが知られており、肺癌のマーカーガスとしてアセトアルデヒドやノナナールが知られている。
そこで、ガスセンサに備えられるガスセンサデバイスの感応膜が劣化しないようにしたい。
本ガスセンサデバイスは、上述のガスセンサデバイス部品と、少なくとも2つの電極パッドを備える基板とを備え、ガスを検知する際に剥離できるように支持基板又は支持フィルムが上になり、ガスセンサデバイス部品の2つの電極が、それぞれ、基板の2つの電極パッドに電気的に接続されるように、基板上にガスセンサデバイス部品が設けられている。
本ガスセンサデバイスの製造方法は、感応膜と、感応膜の一方の側の面の少なくとも一部を覆い、ガスを検知する際に剥離可能な保護部材と、感応膜の保護部材が設けられている側の反対側の面に設けられ、感応膜を介して電気的に接続される2つの電極とを備え、保護部材が支持基板又は支持フィルムであるガスセンサデバイス部品を作製する工程と、少なくとも2つの電極パッドを備える基板上に、ガスを検知する際に剥離できるように支持基板又は支持フィルムが上になり、ガスセンサデバイス部品の2つの電極が、それぞれ、基板の2つの電極パッドに電気的に接続されるように、ガスセンサデバイス部品を設ける工程とを含む。
本実施形態にかかるガスセンサデバイスは、呼気・体臭中に含まれるガス、特に各種疾病特有のマーカーガスを感知するガスセンサデバイスである。
ここで、ガスセンサデバイス部品1は、図1に示すように、感応膜3と、感応膜3の一方の側の面(表面;図1中、下側の面)の少なくとも一部を覆い、ガスを検知する際に剥離可能な保護部材4と、感応膜3の保護部材4が設けられている側の反対側の面(裏面;図1中、上側の面)に設けられ、感応膜3を介して電気的に接続される2つの電極5、6とを備える。なお、感応膜3をセンサ膜又はセンサ部ともいう。
また、本実施形態では、保護部材4は、ガスを検知する際に露出させる感応膜3の一方の側の面、即ち、感応膜3の検知対象ガスに接触させる面を保護するものであり、ガスを検知する際に剥離されるものである。なお、感応膜3の検知対象ガスに接触させる面を、センサとして機能するセンサ面ともいう。
特に、保護部材4を感応膜3から剥離しやすくするために、保護部材4は、その表面に例えばテフロン(登録商標)などの剥離性の高い材料がコーティングされているものとするのが好ましい。
ここで、ガスを検知する際に露出させる感応膜3の一方の側の面、即ち、感応膜3の検知対象ガスに接触させる面は、感応膜3の一方の側の面全体であっても良いし、感応膜3の一方の側の面の一部であっても良い。
このように、保護部材4は、ガスを検知する際に露出させる感応膜3の一方の側の面、即ち、感応膜3の検知対象ガスに接触させる面を覆うように設けられ、ガスを検知する際に剥離されるものである。
このように、本実施形態では、ガスセンサデバイス部品1を、感応膜3と、感応膜3の一方の側の面の少なくとも一部を覆い、ガスを検知する際に剥離可能な保護部材4と、感応膜3の保護部材4が設けられている側の反対側の面に設けられ、感応膜3を介して電気的に接続される2つの電極5、6とを備えるものとし、これを、少なくとも2つの電極パッド7、8を備える基板2上に設け、ガスを検知する際に、保護部材4を剥離して、感応膜3の一方の側の面を露出させて、ガスセンサデバイス10として用いる。
このCuBrを用いたガスセンサでは、CuBr膜にアンモニア分子が吸着すると、吸着した部分のCuBr中のCu+イオンの濃度が変化し、半導体であるCuBrの抵抗値(又は電位)が変化するため、この抵抗値(又は電位)の変化によって微量のアンモニアを検知することができる。
ここでは、ガスセンサデバイスの製造方法は、図1〜図3に示すように、ガスセンサデバイス部品1を作製する工程と、基板2上にガスセンサデバイス部品1を設ける工程とを含む。つまり、ガスセンサデバイス部品1を作製し、基板2上にガスセンサデバイス部品1を設けることで、ガスセンサデバイス部品1と、少なくとも2つの電極パッド7、8を備える基板2とを備えるガスセンサデバイス10を製造する。
この場合、支持基板4が接している感応膜3の一方の側の面が、ガスを検知する際に露出させる感応膜3の表面、即ち、感応膜3の検知対象ガスに接触させる面となる。
また、基板2上にガスセンサデバイス部品を設ける工程は、図2に示すように、少なくとも2つの電極パッド7、8を備える基板2上に、ガスセンサデバイス部品1の2つの電極5、6が、それぞれ、基板2の2つの電極パッド7、8に電気的に接続されるように、ガスセンサデバイス部品1を設ける工程である。
例えば、ガスセンサデバイス部品1の電極5、6と基板2の電極パッド7、8とが互いに押し付けられて電気的に導通した状態で、基板2上にガスセンサデバイス部品1が固定されるようにすれば良い。また、例えば、熱及び圧力を加えたり、はんだ付けしたりするなどして、ガスセンサデバイス部品1の電極5、6と基板2の電極パッド7、8とを接合して、基板2上にガスセンサデバイス部品1が固定されるようにしても良い。
例えば、流通前に行なう場合は、ガスセンサデバイス部品1の電極5、6と基板2の電極パッド7、8とが互いに押し付けられて電気的に導通した状態で、基板2上にガスセンサデバイス部品1が固定されるようにしても良いし、熱及び圧力を加えたり、はんだ付けしたりするなどして、ガスセンサデバイス部品1の電極5、6と基板2の電極パッド7、8とを接合して、基板2上にガスセンサデバイス部品1が固定されるようにしても良い。
なお、ガスセンサデバイス部品1を設ける基板2は、ガスセンサデバイス用の基板でも良いし、ガスセンサに備えられる基板でも良い。また、基板2上にガスセンサデバイス部品1を設ける工程を流通後に行なう場合は、感応膜3を備えるガスセンサデバイス部品1は、これを搭載する基板2とは別ユニットとして製造し、流通することになる。この場合、ガスセンサデバイス部品1を搭載する基板2を専用基板とするときは、これらをセットにして流通させれば良い。なお、ガスセンサデバイス部品1をセンサユニットともいう。
これにより、CuBr膜3が、ガスセンサを使用する前に長時間大気にさらされたり、製造工程中に溶液などにさらされたりして、CuBr膜2が劣化してしまうのを防止することができる。
この結果、ガスを検知する際に、ガスセンサの感度が低下してしまい、場合によっては検知不能(測定不能)になってしまうのを防止することができる。
つまり、本実施形態のガスセンサデバイス10は、ガスを検知する際に、感応膜3の一方の側の面を覆っている保護部材4を剥離することで、感応膜3の一方の側の面、即ち、感応膜3の検知対象ガスに接触させる面を露出させて用いられる。
これにより、測定時に表面に清浄なCuBr膜(感応膜)3が露出することになるため、高い感度で安定した測定が可能となる。
例えば、数ppm以下の微量のアンモニアなどのガスを高感度で安定して検知(感知)することが可能となる。
また、本実施形態では、図1に示すように、上述のガスセンサデバイス部品1は、2つの電極5、6の間に設けられ、感応膜3の保護部材4が設けられている側の反対側の面(裏面;図1中、上側の面)を覆う絶縁膜(保護膜;絶縁保護膜)9を備える。つまり、感応膜3の保護部材4が設けられている側の反対側の面の2つの電極5、6が設けられていない領域が絶縁膜9で覆われるようにしている。
ここでは、感応膜3の保護部材4が設けられている側の反対側の面(裏面;図1中、上側の面)の全体が、2つの電極5、6及び絶縁膜9によって覆われるようにしている。
この場合、ガスを検知する際に剥離可能な保護部材4となる支持基板上に感応膜(ここではCuBr層)3を形成し、この感応膜3上に2つの電極5、6を形成し、これらの2つの電極5、6の間に感応膜3を覆う絶縁膜9を形成することによって、ガスセンサデバイス部品1を作製すれば良い。
また、基板2の2つの電極パッド7、8に接続され、感応膜3の電気特性の変化を検知する検知部を備えるものとしても良い。例えば、ガスセンサデバイス部品1の2つの電極5、6を、それぞれ、基板2の2つのパッド7、8に接続された配線を介して、検知部としての回路(例えばトランジスタを含む回路)に接続し、この回路で、感応膜3の電気特性の変化(例えば抵抗値、電流値、あるいは、電位差の変化)を検知するようにすれば良い。
なお、CuBr膜を覆うように保護膜を設けておき、ガスを検知する際に、この保護膜をウェットエッチングによって除去することも考えられるが、ウェットエッチングに用いられる溶液によってCuBr膜が劣化してしまうことになるため、上述のようにしている。また、CuBr膜を覆うように保護膜を設けておき、ガスを検知する際に、この保護膜をドライエッチングによって除去することも考えられるが、ドライエッチングを行なうために大がかりな装置が必要になるため、上述のようにしている。
まず、例えばテフロン(登録商標)がコーティングされたSi基板(支持基板;保護部材)4上に、感応膜3として例えば厚さ約300nmのCuBr膜を例えばRFスパッタリング法で成膜する(図1参照)。ここでは、CuBr膜3のサイズは、約2×約5mmである。
次に、これらの2つの電極5、6の間に、例えばスパッタリングによって、絶縁膜(絶縁保護膜)9として例えばSiO2膜をパターニングして形成する(図1参照)。
このガスセンサデバイス部品1は、感応膜3としてのCuBr膜の一方の側の面、即ち、ガスを検知する際に露出する面が、保護部材4としての支持基板で覆われ、反対側の面が2つの電極5、6としてのAu電極及び絶縁膜9としてのSiO2膜で覆われたものとなる。
このようにして、ガスセンサデバイス10を作製する。
このようにして作製したガスセンサデバイス10を、N2ガス、アンモニアガス(ここでは1ppmアンモニアガス)、N2ガスの順に暴露し、抵抗値を測定したところ、図4に示すように、アンモニアガス中ではN2中の3倍以上抵抗値が増加した。
このため、ガスセンサデバイス10の抵抗値の測定を行ない、測定対象ガスに暴露する前後での抵抗値の変化の有無をみることで、測定対象ガス中にアンモニアが含まれているか測定(判断)することができる。
ところで、上述の実施形態のガスセンサデバイス10を備えるガスセンサを用いて測定したデータ(情報)を、ネットワークを介して収集し、蓄積して、データベースを構築したり、これらのデータを解析し、その結果をフィードバックしたりすることも可能である。
なお、ガスセンサ12は、上述の実施形態のガスセンサデバイス10のほかに、例えば、検知部としての回路、プロセッサ、メモリ、コントローラ、通信回路等を備えるものとすれば良い。また、情報処理システム11をセンサネットワークシステムともいう。
以下、上述の実施形態及び変形例に関し、更に、付記を開示する。
(付記1)
感応膜と、
前記感応膜の一方の側の面の少なくとも一部を覆い、ガスを検知する際に剥離可能な保護部材と、
前記感応膜の前記保護部材が設けられている側の反対側の面に設けられ、前記感応膜を介して電気的に接続される2つの電極とを備えることを特徴とするガスセンサデバイス部品。
前記感応膜は、CuBrからなることを特徴とする、付記1に記載のガスセンサデバイス部品。
(付記3)
前記2つの電極の間に設けられ、前記感応膜の前記保護部材が設けられている側の反対側の面を覆う絶縁膜を備えることを特徴とする、付記1又は2に記載のガスセンサデバイス部品。
付記1〜3のいずれか1項に記載のガスセンサデバイス部品と、
少なくとも2つの電極パッドを備える基板とを備え、
前記ガスセンサデバイス部品の前記2つの電極が、それぞれ、前記基板の前記2つの電極パッドに電気的に接続されるように、前記基板上に前記ガスセンサデバイス部品が設けられていることを特徴とするガスセンサデバイス。
前記2つの電極パッドに接続され、前記感応膜の電気特性の変化を検知する検知部を備えることを特徴とする、付記4に記載のガスセンサデバイス。
(付記6)
付記4又は5に記載のガスセンサデバイスを備えるガスセンサと、
前記ガスセンサにネットワークを介して接続され、前記ガスセンサによって得られたデータを処理するコンピュータとを備えることを特徴とする情報処理システム。
感応膜と、前記感応膜の一方の側の面の少なくとも一部を覆い、ガスを検知する際に剥離可能な保護部材と、前記感応膜の前記保護部材が設けられている側の反対側の面に設けられ、前記感応膜を介して電気的に接続される2つの電極とを備えるガスセンサデバイス部品を作製する工程と、
少なくとも2つの電極パッドを備える基板上に、前記ガスセンサデバイス部品の前記2つの電極が、それぞれ、前記基板の前記2つの電極パッドに電気的に接続されるように、前記ガスセンサデバイス部品を設ける工程とを含むことを特徴とするガスセンサデバイスの製造方法。
2 基板
3 感応膜(CuBr膜)
4 保護部材(支持基板)
5、6 電極
7、8 電極パッド
9 絶縁膜(SiO2膜)
10 ガスセンサデバイス
11 情報処理システム
12 ガスセンサ
13 ネットワーク
14 サーバ(コンピュータ)
Claims (5)
- 感応膜と、
前記感応膜の一方の側の面の少なくとも一部を覆い、ガスを検知する際に剥離可能な保護部材と、
前記感応膜の前記保護部材が設けられている側の反対側の面に設けられ、前記感応膜を介して電気的に接続される2つの電極とを備え、
前記保護部材は、支持基板又は支持フィルムであることを特徴とするガスセンサデバイス部品。 - 前記感応膜の前記保護部材が設けられている側の反対側の面の前記2つの電極が設けられていない領域を覆う絶縁膜を備えることを特徴とする、請求項1に記載のガスセンサデバイス部品。
- 請求項1又は2に記載のガスセンサデバイス部品と、
少なくとも2つの電極パッドを備える基板とを備え、
ガスを検知する際に剥離できるように前記支持基板又は前記支持フィルムが上になり、前記ガスセンサデバイス部品の前記2つの電極が、それぞれ、前記基板の前記2つの電極パッドに電気的に接続されるように、前記基板上に前記ガスセンサデバイス部品が設けられていることを特徴とするガスセンサデバイス。 - 請求項3に記載のガスセンサデバイスを備えるガスセンサと、
前記ガスセンサにネットワークを介して接続され、前記ガスセンサによって得られたデータを処理するコンピュータとを備えることを特徴とする情報処理システム。 - 感応膜と、前記感応膜の一方の側の面の少なくとも一部を覆い、ガスを検知する際に剥離可能な保護部材と、前記感応膜の前記保護部材が設けられている側の反対側の面に設けられ、前記感応膜を介して電気的に接続される2つの電極とを備え、前記保護部材が支持基板又は支持フィルムであるガスセンサデバイス部品を作製する工程と、
少なくとも2つの電極パッドを備える基板上に、ガスを検知する際に剥離できるように前記支持基板又は前記支持フィルムが上になり、前記ガスセンサデバイス部品の前記2つの電極が、それぞれ、前記基板の前記2つの電極パッドに電気的に接続されるように、前記ガスセンサデバイス部品を設ける工程とを含むことを特徴とするガスセンサデバイスの製造方法。
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