JP6477153B2 - 正極材料、非水電解質二次電池用正極及び非水電解質二次電池 - Google Patents

正極材料、非水電解質二次電池用正極及び非水電解質二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、正極材料、非水電解質二次電池用正極及びそれを用いてなる非水電解質二次電池に関する。
ノート型コンピュータ、携帯電話、デジタルカメラ等電子機器の普及に伴い、これら電子機器を駆動するための二次電池の需要が拡大している。近年、これら電子機器においては、高機能化の進展に伴い消費電力が増大していることや、小型化が期待されていることから、二次電池の性能の向上が求められている。二次電池の中でも非水電解質二次電池(特に、リチウムイオン二次電池)は高容量化が可能であることから、種々の電子機器への利用が進められている。
非水電解質二次電池は、一般に、正極活物質に代表される正極材料を有する正極活物質層を正極集電体の表面に形成した正極と、負極活物質を有する負極活物質層を負極集電体の表面に形成した負極とが、非水電解質(非水電解液)を介して接続され、電池ケースに収納される構成を有している。
非水電解質二次電池の代表例であるリチウムイオン二次電池では、正極材料(正極活物質)としてリチウムの複合酸化物が用いられている。この複合酸化物としては、例えば、特許文献1〜6に記載されている。
特許文献1には、LiCoMOと、LiNiMnMOと、を混合した正極活物質とすることが記載されている(M:いずれも所定の元素より選択)。この正極活物質は、放電時の平均電圧の高い活物質と、高い熱的安定性を持つ活物質と、を有する。
特許文献2には、LiNiMnTiOの層状岩塩型構造の結晶層を含む正極活物質が記載されている。この正極活物質は、Tiを含有することで、含有しない場合と比べて高い充放電容量を得られる。
特許文献3には、LiMnMOと、LiNiMOと、を混合した正極活物質とすることが記載されている(M:いずれも所定の元素より選択)。この正極活物質は、高温保存後の電池性能に優れたものとなる。
特許文献4には、層状が多結晶構造のLiMnMOにおけるLiの一部が欠損した正極活物質が記載されている(M:いずれも所定の元素より選択)。この正極活物質は、結晶中の歪みや化学結合の安定化が行われ、充放電時のサイクル安定性,耐久安定性等の効果が得られる。
特許文献5には、LiCoOにおいてLi及びCoの一部がそれぞれ所定の元素Mに置換された正極活物質が記載されている(M:いずれも所定の元素より選択)。この正極活物質は、LiとCoのそれぞれが元素Mに置換されたことで、リチウムの層とコバルトの層の結合力が強化され、層間の歪みや結晶格子の膨張が抑えられ、充放電時のサイクル安定性,耐久安定性等の効果が得られる。
特許文献6には、LiNiMnCoOと、LiMOと、を混合した正極活物質とすることが記載されている(M:所定の元素より選択)。この正極活物質は、電池容量と安全性にすぐれた効果を発揮する活物質と、サイクル特性と貯蔵特性とに効果を発揮する活物質と、を有する。
しかしながら、これらの正極活物質(正極材料)では、いずれも充放電時の結晶構造の崩壊が十分に抑制できず、非水電解質二次電池の容量の低下を招くという問題があった。
また、安全性に関しては、Tiを含有した正極、すなわち、LiNiMnTiOとする技術が非特許文献1に記載されている。
ただし、この非特許文献1に記載のように30%程度のTiの添加では、安全性の圧倒的な向上がない事が記載されている。
安全性と結晶の高安定化を両立するための別の試みとしては、酸素との結合力の強いSiを遷移金属と同量含有した正極、すなわちLiMnSiOとする技術が非特許文献2に記載されている。
しかしながら、この正極において遷移金属は4配位の配位構造をとることで、充電時に構造が不安定化し、やはり十分な耐久性を持つ正極ではなかった。
特許文献7には、Li[LiMeM’]O2+d(x+y+z=1、0<x<0.33、0.05≦y≦0.15、0<d≦0.1、Me:Mn,V,Cr,Fe,Co,Ni,Al,Bより選ばれる少なくとも一種、M’:Ge,Ru,Sn,Ti,Nb,Ptより選ばれる少なくとも一種)で表されるLi酸化物を有する正極活物質が記載されている。
しかしながら、この正極活物質を用いた電池では、安全性の向上が不十分であった。具体的には、遷移金属に占めるMeで示される元素の添加割合が14atm%程度となっており、Meで示される元素と結合しない酸素原子が存在していた。Meで示される元素と酸素原子との結合は、強固であり、結合の切断(酸素の脱離)がほとんど生じない。つまり、引用文献7の正極活物質に含まれるMeで示される元素と結合しない酸素原子が、電池を形成したときに酸素ガスとなり、電池の安全性を低下していた。
特開2007−188703号公報 特開2008−127233号公報 特開2001−345101号公報 特開2001−250551号公報 特許第3782058号公報 特開2006−202702号公報 米国特許第8734994号明細書
Seung−Taek Myung 他5名、「Synthesis of LiNi0.5Mn0.5−xTixO2 by an Emulsion Drying Method and Effect of Ti on Structure and Electrochemical Properties」、Chemistry of Materials、2005年、第17巻、P2427−2435 R. Dominko Li2MSiO4 (M= Fe and/or Mn) cathode materials、Journal of Power Sources、2008年、第184巻、P462−P468
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、充放電時の結晶構造の崩壊が抑制され、かつ安全性に優れた正極材料,非水電解質二次電池用正極及び非水電解質二次電池を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために本発明者らは、Ni元素に加え、酸素と強く結合するM元素を多量に含み、M、M元素が6配位の局所構造をとることで上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明の正極材料は、LiNiα β γMnη4−ε(0.50<α≦1.33、0.33≦γ≦0.80、0≦η≦1.00、0≦β<0.67、β+γ≦0.80、0≦ε≦1.00、M:Co,Gaより選ばれる少なくとも一種、M:Ge,Sn,Sbより選ばれる少なくとも一種)で表され、Li層と、Ni層とを備えた層状構造を有し、MおよびMが6配位の局所構造をとることを特徴とする。
本発明の非水電解質二次電池用正極は、請求項1又は2に記載の正極材料を用いてなることを特徴とする。
本発明の非水電解質二次電池は、請求項1又は2に記載の正極材料を用いてなる非水電解質二次電池用正極,請求項3に記載の非水電解質二次電池用正極の少なくとも一つを用いてなることを特徴とする。
本発明の正極材料は、その組成中にNiを含む。このNiは、酸素(O)が6配位した局所構造(6配位の局所構造)を形成する。この結果、安定な充放電が行われる。また、酸化還元種である、Niが0.50<α≦1.33の範囲で多量に含まれることで、高容量化が達成される。
また、M元素及びM元素を多量に含むことで、結晶構造がより安定し、充放電時の結晶構造が抑制され、その結果として電池容量の低下が抑えられる。M元素は、酸素を強く固定する。その結果、異常発熱時に懸念される酸素の脱離が抑制され、これにより電池の安全性がより向上する。さらに、M元素の量が、0.33以上となった際に、平均的には、Ni層中の全ての酸素がM元素と隣り合い、M元素との結合を持つこととなる故、酸素脱離効果が顕著に高まる。
本発明の正極材料は、Li層とNi層とを備えた層状構造を有することで、Liイオンの伝導性に優れたものとなる。なお、Li層は、Liを主成分として形成される層を示し、実質的にLiよりなる層である。Ni層は、Ni(Ni化合物)を主成分として形成される層を示し、実質的にはNiおよび、M元素、M元素を主成分として含む層である。
以上に説明したように、本発明の正極材料は、電池性能の低下が抑えられ、かつ安全性に優れた非水電解質二次電池を得ることができる。
また、本発明の非水電解質二次電池用正極及び非水電解質二次電池は、本発明の正極材料を用いてなり、本発明の正極材料により得られる効果を発揮できる。
実施形態のコイン型のリチウムイオン二次電池の構成を示す概略断面図である。 実施例1の正極材料の粉末XRDの測定結果を示すグラフである。 実施例1の正極材料からなる電池における充電特性と放電特性を示すグラフである。 実施例1の正極材料のEXAFS分析の結果を示すグラフである。
以下、本発明を、実施の形態を用いて具体的に説明する。
[実施形態]
本形態は、図1にその構成を概略断面図で示したコイン型のリチウムイオン二次電池1である。本形態のリチウムイオン二次電池1は、本発明の正極材料を正極活物質として有する正極(非水電解質二次電池用正極)を用いてなる二次電池(非水電解質二次電池)である。
本形態のリチウムイオン二次電池1は、正極ケース11、シール材12(ガスケット)、非水電解質13、正極14、正極集電体140、正極合剤層141、セパレータ15、負極ケース16、負極17、負極集電体170、負極合剤層171、保持部材18などを有する。
本形態のリチウムイオン二次電池1の正極14は、本発明の正極材料よりなる正極活物質を含む正極合剤層141を有する。正極合剤層141は、正極活物質以外に、必要に応じて、バインダ,導電材等の部材を備える。
(正極材料)
正極材料は、LiNiα β γMnη4−ε(0.50<α≦1.33、0.33≦γ≦0.80、0≦η≦1.00、0≦β<0.67、β+γ≦0.80、0≦ε≦1.00、M:Co,Gaより選ばれる少なくとも一種、M:Ge,Sn,Sbより選ばれる少なくとも一種)で表される。
正極材料は、その組成中にNiを含む。このNiは、酸素(O)が6配位した局所構造(6配位の局所構造)を形成する。この結果、安定な充放電が行われる。また、酸化還元種である、Niが0.50<α≦1.33の範囲で多量に含まれることで、高容量化が達成される。
また、M元素及びM元素を多量に含むことで、結晶構造がより安定し、充放電時の結晶構造を安定に保ちその結果として電池容量の低下が抑えられる。M元素は形式価数が3価の元素であり、M元素の添加は価数の大きく異なるLiのNi層への侵入を抑制することが期待される。M元素は、酸素を強く固定し、その結果、異常発熱時に懸念される酸素の脱離が抑制され、電池の安全性を向上させる。さらに、M元素の量が、0.33以上となった際に、平均的には、Ni層中の全ての酸素がM元素と隣り合い、M元素との結合を持つこととなる故、酸素脱離効果が顕著に高まる。
本形態の正極材料では、M元素及びM元素は6配位の局所構造を備えている。この構成により、隣接する遷移金属元素(NiやMnの配位構造体)との構造的ギャップを小さくすることを可能とし、耐久性を一層向上させることを可能とする。
本形態の正極材料は、その組成中に、さらに遷移金属であるMn(0以上、1.00以下の割合)を含んでも良い。このMnはNiと同様に、酸素(O)が6配位した局所構造(6配位の局所構造)を形成する。この割合で含まれることで、Ni層を安定化させる効果を発揮する。
非水電解質二次電池(リチウムイオン電池)では、過充電等が進行すると、発火・発煙の不具合を生じることがある。この電池における発火発煙は、そこに至る過程で、正極活物質(正極材料)から放出される酸素の影響が大きい。具体的には、充電に伴い正極活物質の酸素から電子が奪われ、酸素放出に至りやすくなる。本発明の正極材料では、M元素を添加しており、添加されたM元素がNiやMn(遷移金属)よりも酸素と強く結合している。つまり、M元素の添加により、充放電時の酸素放出を最小限に抑制することが可能となる。
本形態の正極材料は、Li層とNi層とを備えた層状構造を有する。この構成となることで、正極材料は、Liイオンの伝導性に優れたものとなる。なお、Li層は、Liを主成分として形成される層を指しており、実質的にLiよりなる層である。Ni層は、Ni(Ni化合物)を主成分として形成される層を示し、実質的にはNiおよび、M、Mの元素を主成分として形成される層である。
そして、本発明の正極材料においてMおよびMが6配位の局所構造を備えることは、従来から知られた結晶構造の解析方法(装置)を用いて知ることができる。特に、X線吸収微細構造(以下、XAFSと称する)の解析によって、正極材料の局所構造を判別することがより好ましい。以下に、一般的なXAFSについて簡単に説明する。
入射X線のエネルギーを変えながら物質の吸光度を測定すると、入射X線エネルギーが測定物質を構成する原子の内殻準位に等しいとき、吸光度の急激な上昇(吸収端)が観測される。その後、入射X線のエネルギー増加に伴い、吸光度の緩やかな減衰が観測される。このスペクトルを詳細に調べると、吸収端付近に大きな変化をもったスペクトル構造がある。また、吸収端より高エネルギー領域においても、小さいながら緩やかな振動構造をもつスペクトル構造がある。
前者をX線吸収端構造(XANES)、後者を広域X線吸収微細構造(EXAFS)と呼び、両者をまとめてX線吸収微細構造(XAFS)と総称している。
XANESのスペクトル構造は、測定物質を構成する原子の内殻準位から種々の空準位への遷移に対応するため、測定元素の空状態の密度を反映している。
一方、EXAFSのスペクトル構造は、入射X線により原子外へ放出される電子と、周囲の原子により散乱される電子との干渉効果によって引き起こされるため、測定原子周辺の原子の数(測定原子の配位数)、種類、距離(結合長)などの情報を反映している。
本発明者等は、このEXAFSのスペクトル構造を解析することにより、MおよびM元素の配位数を同定している。
EXAFSの解析により得られるEXAFS振動(χ(k))は平面波単散乱理論により次式で表される。
Figure 0006477153
ここで、添え字のiは配位圏の番号、S は減衰因子、Nはi番目の配位圏の原子数、F(ki)は後方散乱強度、kは波数、rは結合距離、σはDebye−Waller(DW)因子、φ(ki)は位相シフトである。
一般に、各配位圏の原子数(N)が減少すると、EXAFS振動(χ(k))の振幅は減少する。また、上式より、測定原子との結合距離(r)が短い原子の情報ほど、EXAFS振動(χ(k))に大きく反映されることもわかる。
EXAFS振動(χ(k))にk3の重みをかけ、高波数側の振動を増強したものがEXAFS関数(k3χ(k))である。EXAFS関数(k3χ(k))の振幅を比較することで、測定原子の配位原子数を推定することができる。
本形態においては、EXAFS関数(k3χ(k))の3<k≦12の領域(EXAFS領域に相当)におけるEXAFSスペクトルをフーリエ変換することにより導出される動径分布関数を得た。
また、上記数式(1)に対して理論計算ソフトウェアFEFFにより、M及びM元素のそれぞれについて、6配位構造を採る結晶構造モデルの動径分布関数と4配位構造を採る結晶構造モデルの動径分布関数を作成した。
そして、本形態における動径分布関数と、6配位構造モデル及び4配位構造モデルの動径分布関数とのフィッティング解析を行った。解析ソフトとしてはArtemisを用い、iを1(第一近接)、減衰因子であるS を1.0、DW因子σを0.05、Nを6又は4に固定してフィッティングを行った。
得られたフィッティング結果が6配位構造でのフィッティング時に4配位構造でのフィッティング時のRファクターを下回ることにより、当該実施形態の正極材料に含有されるMおよびM元素が6配位構造を備えていることが同定できる。
正極活物質は、上記の正極材料を正極活物質として有するものであればよく、更に、別の正極活物質(正極材料)を有していてもよい。別の正極活物質は、上記化学式に含まれる別の物質であっても、更に別の化合物であっても、いずれでもよい。
(正極活物質以外の構成)
本形態のリチウムイオン二次電池1は、正極活物質として上記の正極材料を用いること以外の構成は、従来のリチウムイオン二次電池と同様とすることができる。
正極14は、正極活物質、導電材及び結着材を混合して得られた正極合剤を正極集電体140に塗布して正極合剤層141が形成される。
導電材は、正極14の電気伝導性を確保する。導電材としては、黒鉛の微粒子、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノファイバーなどのカーボンブラック、ニードルコークスなどの無定形炭素の微粒子などを使用できるが、これらに限定されない。
結着剤は、正極活物質粒子や導電材を結着する。結着剤としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF),エチレン‐プロピレン‐ジエンゴム(EPDM),スチレン‐ブタジエンゴム(SBR),ニトリルゴム(NBR)、フッ素ゴムなどを使用できるが、これらに限定されない。
正極合剤は、溶媒に分散させて正極集電体140に塗布される。溶媒としては、通常は結着剤を溶解する有機溶媒を使用する。例えば、N‐メチル‐2‐ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチルトリアミン、N−N−ジメチルアミノプロピルアミン、エチレンオキシド、テトラヒドロフランなどを挙げることができるが、これらに限定されない。また、水に分散剤、増粘剤などを加えてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などで正極活物質をスラリー化する場合もある。
正極集電体140は、例えば、アルミニウム、ステンレスなどの金属を加工したもの、例えば板状に加工した箔、網、パンチドメタル、フォームメタルなどを用いることができるが、これらに限定されない。
(非水電解質)
非水電解質13は、支持塩が有機溶媒に溶解してなるものを用いる。
非水電解質13の支持塩は、その種類が特に限定されるものではないが、LiPF、LiBF、LiClO及びLiAsFから選ばれる無機塩、これらの無機塩の誘導体、LiSOCF、LiC(SOCF及びLiN(SOCF、LiN(SO、LiN(SOCF)(SO)から選ばれる有機塩、並びにこれらの有機塩の誘導体の少なくとも1種であることが望ましい。これらの支持塩は、電池性能を更に優れたものとすることができ、かつその電池性能を室温以外の温度域においても更に高く維持することができる。支持塩の濃度についても特に限定されるものではなく、用途に応じ、支持塩及び有機溶媒の種類を考慮して適切に選択することが好ましい。
支持塩が溶解する有機溶媒(非水溶媒)は、通常の非水電解質に用いられる有機溶媒であれば特に限定されるものではなく、例えばカーボネート類、ハロゲン化炭化水素、エーテル類、ケトン類、ニトリル類、ラクトン類、オキソラン化合物等を用いることができる。特に、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ビニレンカーボネート等及びそれらの混合溶媒が適当である。例に挙げたこれらの有機溶媒のうち、特にカーボネート類、エーテル類からなる群より選ばれた1種以上の非水溶媒を用いることにより、支持塩の溶解性、誘電率及び粘度において優れ、電池の充放電効率が高いので、好ましい。
本形態のリチウムイオン二次電池1において、最も好ましい非水電解質13は、支持塩が有機溶媒に溶解したものである。
(負極)
負極17は、負極活物質と結着剤とを混合して得られた負極合剤を負極集電体170の表面に塗布して負極合剤層171が形成される。
負極活物質は、従来の負極活物質を用いることができる。Sn、Si、Sb、Ge、Cの少なくともひとつの元素を含有する負極活物質を挙げることができる。これらの負極活物質のうち、Cは、リチウムイオン二次電池1の電解質イオンを吸蔵・脱離可能な(Li吸蔵能がある)炭素材料であることが好ましく、アモルファスコート天然黒鉛であることがより好ましい。
また、これらの負極活物質のうち、Sn、Sb、Geは、特に、体積変化の多い合金材料である。これらの負極活物質は、Ti−Si、Ag−Sn、Sn−Sb、Ag−Ge、Cu−Sn、Ni−Snなどのように、別の金属と合金をなしていてもよい。
導電材としては、炭素材料、金属粉、導電性ポリマーなどを用いることができる。導電性と安定性の観点から、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンブラックなどの炭素材料を使用することが好ましい。
結着材としては、PTFE、PVDF、フッ素樹脂共重合体(例えば四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP))、SBR、アクリル系ゴム、フッ素系ゴム、ポリビニルアルコール(PVA)、スチレン・マレイン酸樹脂、ポリアクリル酸塩、カルボキシルメチルセルロース(CMC)などを挙げることができる。
溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)などの有機溶媒、又は水などを挙げることができる。
負極集電体170としては、従来の集電体を用いることができ、銅、ステンレス、チタンあるいはニッケルなどの金属を加工したもの、例えば板状に加工した箔、網、パンチドメタル、フォームメタルなどを用いることができるが、これらに限定されない。
(その他の構成)
正極ケース11と負極ケース16は絶縁性のシール材12を介して内蔵物を密封する。内蔵物は、非水電解質13、正極14、セパレータ15、負極17、保持部材18などである。
正極ケース11には正極集電体140を介して正極合剤層141が面接触して導電する。負極ケース16には負極集電体170を介して負極合剤層171が接触して導通する。
正極合剤層141と負極合剤層171との間に介在させるセパレータ15は、正極合剤層141と負極合剤層171とを電気的に絶縁し、非水電解質13を保持する。セパレータ15は、例えば、多孔性合成樹脂膜、特にポリオレフィン系高分子(ポリエチレン、ポリプロピレン)の多孔膜を用いる。セパレータ15は、二つの合剤層141,171の電気的な絶縁を担保するために、合剤層141,171よりも大きな寸法で成形される。
保持部材18は、正極集電体140、正極合剤層141、セパレータ15、負極合剤層171、負極集電体170を定位置に保持する役割を担う。弾性片やバネ等の弾性部材を用いると、定位置に保持しやすい。
(その他の形態)
本形態のリチウムイオン二次電池1は、上記の通りコイン型の形状であるが、その形状には特に制限を受けず、円筒型、角型等、種々の形状の電池や、ラミネート外装体に封入した不定形状の電池とすることができる。
(製造方法)
本形態の正極材料は、上記の構成を有しているものであれば、その製造方法が限定されるものではない。製造方法の例としては、固相合成法、共沈合成法、水熱合成法、錯体重合合成法、イオン交換を介する方法、高温高圧処理による合成法、ゾルゲル法、スプレードライ法、超臨界合成法等が挙げられ、これら方法を単独ないしは複数組み合わせる等の方法を挙げることができる。
以下、実施例を用いて本発明を説明する。
本発明を具体的に説明するための実施例として、正極材料(正極活物質)、それを用いた正極及びリチウムイオン二次電池を製造した。実施例では、図1に示した上記のリチウムイオン二次電池を製造した。
(実施例1)
Li、Ni、Mn、Geのそれぞれの金属錯体を含有する水溶液を調整した。得られた錯体溶液を目的の正極材料の組成比となるように、すなわちLi:Ni:Mn:Geの原子比が2.1:1:0.67:0.33となるように、混合した。
得られた混合溶液を乾燥炉内で乾燥して有機成分を加熱処理により取り除いた後、加熱し、焼成した。
以上により、本例の正極材料(Li2.1NiMn0.67Ge0.33粉末)が製造された。
製造されたLi2.1NiMn0.67Ge0.33粉末に対し、粉末XRDで観察したところ、図2に示した回折結果が得られた。
図2によると、ほぼ単相の化合物であることが確認できる。
(実施例2)
まず、出発原料であるNaNiMn0.67Ge0.33を製造した。詳しくは、Na、Ni、Snの一種以上の元素を含有する化合物を、これらの元素が所定の原子比となるように秤量・混合した。そして、焼成(大気雰囲気)し、ほぼ単相の結晶構造を有している出発原料を得た。
つづいて、得られたNaNiMn0.67Ge0.33を、硝酸Li及び塩化Liからなる溶融塩中で加熱してイオン交換処理を施した。
以上により、本例の正極材料(LiNiMn0.67Ge0.33粉末)が製造された。
製造されたLiNiMn0.67Ge0.33粉末に対し、粉末XRDで観察したところ、ほぼ単相の化合物であることが確認できた。
(実施例3)
実施例1の時と同様にして、金属錯体を含有する水溶液から、本例の正極材料(Li2.1NiMn0.67Sn0.33粉末)が製造された。
製造されたLi2.1NiMn0.67Sn0.33粉末に対し、粉末XRDで観察したところ、ほぼ単相の化合物であることが確認できた。
(実施例4)
実施例2の出発原料と同様にして、ほぼ単相のNaNiMn0.67Sn0.33を製造した。
つづいて、得られたNaNiMn0.67Sn0.33に対し、実施例2の時と同様にイオン交換処理を施した。
以上により、本例の正極材料(LiNiMn0.67Sn0.33粉末)が製造された。
製造されたLiNiMn0.67Sn0.33粉末に対し、粉末XRDで観察したところ、ほぼ単相の化合物であることが確認できた。
(実施例5)
実施例1の時と同様にして、金属錯体を含有する水溶液から、本例の正極材料(Li2.1Ni0.88Co0.22Mn0.44Ge0.44粉末)が製造された。
製造されたLi2.1Ni0.88Co0.22Mn0.44Ge0.44粉末に対し、粉末XRDで観察したところ、ほぼ単相の化合物であることが確認できた。
(実施例6)
実施例2の時と同様にして、ほぼ単相のNaNi0.88Co0.22Mn0.44Ge0.44を製造した。
つづいて、得られたNaNi0.88Co0.22Mn0.44Ge0.44に対し、実施例2の時と同様にイオン交換処理を施した。
以上により、本例の正極材料(LiNi0.88Co0.22Mn0.44Ge0.44粉末)が製造された。
製造されたLiNi0.88Co0.22Mn0.44Ge0.44粉末に対し、粉末XRDで観察したところ、ほぼ単相の化合物であることが確認できた。
(実施例7)
実施例1の時と同様にして、金属錯体を含有する水溶液から、本例の正極材料(Li2.1NiMn0.33Ge0.67粉末)が製造された。
製造されたLi2.1NiMn0.33Ge0.67粉末に対し、粉末XRDで観察したところ、ほぼ単相の化合物であることが確認できた。
(実施例8)
実施例2の時と同様にして、ほぼ単相のNaNiMn0.33Ge0.67を製造した。
つづいて、得られたNaNiMn0.33Ge0.67に対し、実施例2の時と同様にイオン交換処理を施した。
以上により、本例の正極材料(LiNiMn0.33Ge0.67粉末)が製造された。
製造されたLiNiMn0.33Ge0.67粉末に対し、粉末XRDで観察したところ、ほぼ単相の化合物であることが確認できた。
(実施例9)
実施例1の時と同様にして、金属錯体を含有する水溶液から、本例の正極材料(Li2.1NiMn0.5Sn0.5粉末)が製造された。
製造されたLi2.1NiMn0.5Sn0.5粉末に対し、粉末XRDで観察したところ、ほぼ単相の化合物であることが確認できた。
(実施例10)
実施例2の時と同様にして、ほぼ単相のNaNiMn0.5Sn0.5を製造した。
つづいて、得られたNaNiMn0.5Sn0.5に対し、実施例2の時と同様にイオン交換処理を施した。
以上により、本例の正極材料(LiNiMn0.5Sn0.5粉末)が製造された。
製造されたLiNiMn0.5Sn0.5粉末に対し、粉末XRDで観察したところ、ほぼ単相の化合物であることが確認できた。
(実施例11)
実施例1の時と同様にして、金属錯体を含有する水溶液から、本例の正極材料(Li2.1Ni0.77Mn0.66Ge0.333.76粉末)が製造された。
製造されたLi2.1Ni0.77Mn0.66Ge0.333.76粉末に対し、粉末XRDで観察したところ、ほぼ単相の化合物であることが確認できた。
(実施例12)
実施例2の時と同様にして、ほぼ単相のNaNi0.77Mn0.66Ge0.333.76を製造した。
つづいて、得られたNaNi0.77Mn0.66Ge0.333.76に対し、実施例2の時と同様にイオン交換処理を施した。
以上により、本例の正極材料(LiNi0.77Mn0.66Ge0.333.76粉末)が製造された。
製造されたLiNi0.77Mn0.66Ge0.333.76粉末に対し、粉末XRDで観察したところ、ほぼ単相の化合物であることが確認できた。
(比較例1)
実施例1の時と同様にして、金属錯体を含有する水溶液から、本例の正極材料(Li2.1NiTiO粉末)が製造された。
製造されたLi2.1NiTiO粉末に対し、粉末XRDで観察したところ、ほぼ単相の化合物であることが確認できた。
(比較例2)
比較例1の時と同様にして、金属錯体を含有する水溶液から、本例の正極材料(Li2.1NiMn0.33Ti0.67粉末)が製造された。
製造されたLi2.1NiMn0.33Ti0.67粉末に対し、粉末XRDで観察したところ、ほぼ単相の化合物であることが確認できた。
(比較例3)
比較例1の時と同様にして、金属錯体を含有する水溶液から、本例の正極材料(Li1.05NiO粉末)が製造された。
製造されたLi1.05NiO粉末に対し、粉末XRDで観察したところ、ほぼ単相の化合物であることが確認できた。
(比較例4)
比較例1の時と同様にして、金属錯体を含有する水溶液から、本例の正極材料(Li1.05CoO粉末)が製造された。
製造されたLi1.05CoO粉末に対し、粉末XRDで観察したところ、ほぼ単相の化合物であることが確認できた。
[評価]
上記の各例の正極材料の評価として、リチウムイオン二次電池を組み立て、充放電特性の評価を行った。また、充放電特性の測定後、コイン型電池を分解して正極を取り出し、安全性の評価を行った。
(リチウムイオン二次電池)
上記の各例の正極活物質を用いて、リチウムイオン二次電池よりなる試験セル(2032型コイン型ハーフセル)を組み立て、評価を行った。
(コイン型ハーフセル)
試験セル(コイン型ハーフセル)は、図1にその構成を示したコイン型のリチウムイオン二次電池1と同様の構成である。
正極は、正極活物質(各例の正極活物質)91質量部、アセチレンブラック2質量部、PVDF7質量部を混合して得られた正極合剤をアルミニウム箔よりなる正極集電体140に塗布して正極合剤層141を形成したものを用いた。
負極(対極)には、金属リチウムを用いた。金属リチウムは、図1中の負極合剤層171に相当する。
非水電解質13は、エチレンカーボネート(EC)30体積%とジエチルカーボネート(DEC)70体積%との混合溶媒に、LiPFを1モル/リットルとなるように溶解させて調製されたものを用いた。
試験セルは、組み立てられた後に、1/3C×2サイクルの充放電での活性化処理が行われた。
以上により、各例の試験セル(ハーフセル)が製造された。
[充放電特性]
リチウムイオン二次電池に対し、1/50Cレートで充電及び放電を行った。充電は4.5VカットのCC充電で、放電は2.6VカットのCC放電で、それぞれ行われた。
各例(実施例1〜12,比較例1〜4)のリチウムイオン二次電池の充電容量と放電容量の測定結果を表1に示した。合わせて、実施例1のリチウムイオン二次電池における充放電特性を図3に示した。
Figure 0006477153
表1に示したように、各実施例の二次電池は、充電容量及び放電容量が比較例1及び2と比較して、いずれも優れたものとなっている。
また、図3に示したように、実施例1の二次電池は、良好な充放電特性がえられることが確認された。
[安全性試験]
リチウムイオン二次電池に対し、1/50Cレートで4.8Vまで、CC充電で充電を行った。
充電終了後、電池を解体し、正極を取り出した。
取り出した正極は、DMCで洗浄した後、ヘリウム雰囲気下で、室温〜1000℃まで20℃/minの昇温速度で加温した。その際に正極から発生した酸素の量をTPD−MS測定により測定した。
測定結果を、表1に合わせて示した。
表1に示したように、各実施例の二次電池は、酸素発生量が比較例3及び4と比較して少なく、すなわち安全性においていずれも優れたものとなっている。
[フィッティング評価]
実施例1〜12で得られた正極材料に含有されているMおよびM原子の配位数を以下のようにして同定した。まず、LiNi0.5Mn0.5型結晶構造のMnサイトを各実施例の正極材料におけるM及びMに置換したモデルを理論計算ソフトウェアFEFFにより作製した。次に、作成した各実施例における正極材料の結晶構造モデルから、M及びMの6配位構造を採る結晶構造モデルと4配位構造を採る結晶構造モデルの動径分布関数を得た。そして、得られた結晶モデルの動径分布関数を基準とし、各実施例の正極材料におけるフィッティング評価でMおよびM原子の配位数を同定した。なお、データに飛び値や欠損がある場合、さらにEXAFS解析のために不適なバックグラウンド処理がなされた際は、本目的に応じたパラメータを設定する。この場合においても、本発明の範囲内とすることができる。
具体的には以下のように行った。
(1)各実施例の正極材料と窒化ホウ素とを適量混合し、圧縮成形してペレットを製造した。
(2)10800〜12200eVの範囲においてX線吸収測定を、透過法にて行った。
(3)測定結果のデータを、エネルギー・X線吸収量を直接読み込むためのプラグインを用い、解析ソフト(Athena(Ver.0.9.013))にて開く。そして、デフォルトのアルゴリズムで、バックグラウンドの除去及びE0の決定を行う。プレエッジについては、E0より−150〜−30eVの範囲を適用し、ノーマライズ範囲は、E0より150以降980eVの範囲を用いて行った。
(4)3<k≦12の範囲において、ハニング窓を窓関数としたフーリエ変換を施し、各実施例のM及びM原子中心からの1次元距離情報である動径分布関数を取得する。なお、この時点で位相の調整は行わなかった。
(5)フーリエ変換が終了したデータを解析ソフト(Artemis(Ver.0.8.012))で読み込む。
(6)フィッティング条件としては、第一配位圏に相当するピークをフィッティング対象とし、k−weightとして3を設定する。
(7)位相シフトや後方散乱因子を考慮した理論EXAFS関数を導出するにあたっては、解析ソフト(Artemis)にアドインされたソフト(Atoms)を用い、層状岩塩型結晶構造LiNiMnO(CifNo0000000180552)のNi/Mn(3b)サイトにおいたNiをCoreとしたクラスターサイズ6Åのモデルで計算を行った。
(8)得られたパスの中で、第一配位圏に該当する元素であるNi−Oのパスを選択する。そして、選択したパスに対し、amp:0.1(guess)、配位数N=6又は4、enot:0.01(guess)、delr:0.01(guess)、ss(DW因子):0.01(guess)と初期設定し、第一近接元素のフィッティングを行った。
このフィッティング評価の結果を表2に示した。
Figure 0006477153
表2から理解できるように、実施例1〜12の全ての実施例において4配位構造を仮定したRファクターよりも、6配位構造を仮定したRファクターの方が優位に低かった。
すなわち、この結果から、実施例1〜12の化学組成をもつ正極材料におけるMおよびM元素は、6配位構造を備えていることが理解できる。なお、実施例1におけるフィッティング解析結果のグラフを図4に示した。実施例2〜12においても、図4と同様のグラフが得られた。
1:リチウムイオン二次電池
11:正極ケース
12:シール材(ガスケット)
13:非水電解質
14:正極
140:正極集電体
141:正極合剤層
15:セパレータ
16:負極ケース
17:負極
170:負極集電体
171:負極合剤層
18:保持部材

Claims (4)

  1. LiNiα β γMnη4−ε(0.50<α≦1.33、0.33≦γ≦0.80、0≦η≦1.00、0≦β<0.67、β+γ≦0.80、0≦ε≦1.00、M:Co,Ga、M:Ge,Sn,Sbより選ばれる少なくとも1種)で表され、
    Li層と、Ni層とを備えた層状構造を有し、
    前記M及び前記Mが6配位の局所構造をとることを特徴とする正極材料。
  2. LiNiα β γMnη4−ε(0.50<α≦1.33、0.33≦γ≦0.80、0≦η≦1.00、0≦β<0.67、β+γ≦0.80、0≦ε≦1.00、M:Co,Ga、M:Ge,Sn,Sbより選ばれる少なくとも1種)で表され、
    Li層と、Ni層とを備えた層状構造を有し、
    前記M及び前記MのK‐edgeのX線吸収測定結果に対し、広域X線吸収微細構造(EXAFS)領域に該当する3<k≦12の領域におけるフーリエ変換にて得られる動径分布関数結果において、FEFFにより得られた構造を用いた第一近接に対するフィッティング結果が6配位構造でのフィッティング時に4配位構造でのフィッティング時のRファクターを下回ることを特徴とする正極材料。
  3. 請求項1又は2に記載の前記正極材料を用いてなる非水電解質二次電池用正極(14)。
  4. 請求項1又は2に記載の前記正極材料を用いてなる非水電解質二次電池用正極,請求項3に記載の前記非水電解質二次電池用正極の少なくとも一つを用いてなる非水電解質二次電池(1)。
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