JP2016192313A - 正極材料、非水電解質二次電池用正極及び非水電解質二次電池 - Google Patents
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Abstract
Description
また、安全性に関しては、Tiを含有した正極、すなわち、LiNiMnTiO2とする技術が非特許文献1に記載されている。
ただし、この非特許文献1に記載のように30%程度のTiの添加では、安全性の圧倒的な向上がない事が記載されている。
しかしながら、この正極において遷移金属は4配位の配位構造をとることで、充電時に構造が不安定化し、やはり十分な耐久性を持つ正極ではなかった。
本発明の非水電解質二次電池用正極は、請求項1又は2に記載の正極材料を用いてなることを特徴とする。
また、本発明の非水電解質二次電池用正極及び非水電解質二次電池は、本発明の正極材料を用いてなり、本発明の正極材料により得られる効果を発揮できる。
[実施形態]
本形態は、図1にその構成を概略断面図で示したコイン型のリチウムイオン二次電池1である。本形態のリチウムイオン二次電池1は、本発明の正極材料を正極活物質として有する正極(非水電解質二次電池用正極)を用いてなる二次電池(非水電解質二次電池)である。
正極材料は、Li2NiαM1 βM2 γMnηO4−ε(0.50<α≦1.33、0.33≦γ≦0.80、0≦η≦1.00、0≦β<0.67、β+γ≦0.80、0≦ε≦1.00、M1:Co,Gaより選ばれる少なくとも一種、M2:Ge,Sn,Sbより選ばれる少なくとも一種)で表される。
一方、EXAFSのスペクトル構造は、入射X線により原子外へ放出される電子と、周囲の原子により散乱される電子との干渉効果によって引き起こされるため、測定原子周辺の原子の数(測定原子の配位数)、種類、距離(結合長)などの情報を反映している。
本発明者等は、このEXAFSのスペクトル構造を解析することにより、M1およびM2元素の配位数を同定している。
本形態のリチウムイオン二次電池1は、正極活物質として上記の正極材料を用いること以外の構成は、従来のリチウムイオン二次電池と同様とすることができる。
正極14は、正極活物質、導電材及び結着材を混合して得られた正極合剤を正極集電体140に塗布して正極合剤層141が形成される。
非水電解質13は、支持塩が有機溶媒に溶解してなるものを用いる。
非水電解質13の支持塩は、その種類が特に限定されるものではないが、LiPF6、LiBF4、LiClO4及びLiAsF6から選ばれる無機塩、これらの無機塩の誘導体、LiSO3CF3、LiC(SO3CF3)3及びLiN(SO2CF3)2、LiN(SO2C2F5)2、LiN(SO2CF3)(SO2C4F9)から選ばれる有機塩、並びにこれらの有機塩の誘導体の少なくとも1種であることが望ましい。これらの支持塩は、電池性能を更に優れたものとすることができ、かつその電池性能を室温以外の温度域においても更に高く維持することができる。支持塩の濃度についても特に限定されるものではなく、用途に応じ、支持塩及び有機溶媒の種類を考慮して適切に選択することが好ましい。
本形態のリチウムイオン二次電池1において、最も好ましい非水電解質13は、支持塩が有機溶媒に溶解したものである。
負極17は、負極活物質と結着剤とを混合して得られた負極合剤を負極集電体170の表面に塗布して負極合剤層171が形成される。
負極活物質は、従来の負極活物質を用いることができる。Sn、Si、Sb、Ge、Cの少なくともひとつの元素を含有する負極活物質を挙げることができる。これらの負極活物質のうち、Cは、リチウムイオン二次電池1の電解質イオンを吸蔵・脱離可能な(Li吸蔵能がある)炭素材料であることが好ましく、アモルファスコート天然黒鉛であることがより好ましい。
溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)などの有機溶媒、又は水などを挙げることができる。
正極ケース11と負極ケース16は絶縁性のシール材12を介して内蔵物を密封する。内蔵物は、非水電解質13、正極14、セパレータ15、負極17、保持部材18などである。
正極ケース11には正極集電体140を介して正極合剤層141が面接触して導電する。負極ケース16には負極集電体170を介して負極合剤層171が接触して導通する。
本形態のリチウムイオン二次電池1は、上記の通りコイン型の形状であるが、その形状には特に制限を受けず、円筒型、角型等、種々の形状の電池や、ラミネート外装体に封入した不定形状の電池とすることができる。
本形態の正極材料は、上記の構成を有しているものであれば、その製造方法が限定されるものではない。製造方法の例としては、固相合成法、共沈合成法、水熱合成法、錯体重合合成法、イオン交換を介する方法、高温高圧処理による合成法、ゾルゲル法、スプレードライ法、超臨界合成法等が挙げられ、これら方法を単独ないしは複数組み合わせる等の方法を挙げることができる。
本発明を具体的に説明するための実施例として、正極材料(正極活物質)、それを用いた正極及びリチウムイオン二次電池を製造した。実施例では、図1に示した上記のリチウムイオン二次電池を製造した。
Li、Ni、Mn、Geのそれぞれの金属錯体を含有する水溶液を調整した。得られた錯体溶液を目的の正極材料の組成比となるように、すなわちLi:Ni:Mn:Geの原子比が2.1:1:0.67:0.33となるように、混合した。
得られた混合溶液を乾燥炉内で乾燥して有機成分を加熱処理により取り除いた後、加熱し、焼成した。
以上により、本例の正極材料(Li2.1NiMn0.67Ge0.33O4粉末)が製造された。
図2によると、ほぼ単相の化合物であることが確認できる。
まず、出発原料であるNa2NiMn0.67Ge0.33O4を製造した。詳しくは、Na、Ni、Snの一種以上の元素を含有する化合物を、これらの元素が所定の原子比となるように秤量・混合した。そして、焼成(大気雰囲気)し、ほぼ単相の結晶構造を有している出発原料を得た。
つづいて、得られたNa2NiMn0.67Ge0.33O4を、硝酸Li及び塩化Liからなる溶融塩中で加熱してイオン交換処理を施した。
以上により、本例の正極材料(Li2NiMn0.67Ge0.33O4粉末)が製造された。
実施例1の時と同様にして、金属錯体を含有する水溶液から、本例の正極材料(Li2.1NiMn0.67Sn0.33O4粉末)が製造された。
実施例2の出発原料と同様にして、ほぼ単相のNa2NiMn0.67Sn0.33O4を製造した。
つづいて、得られたNa2NiMn0.67Sn0.33O4に対し、実施例2の時と同様にイオン交換処理を施した。
以上により、本例の正極材料(Li2NiMn0.67Sn0.33O4粉末)が製造された。
実施例1の時と同様にして、金属錯体を含有する水溶液から、本例の正極材料(Li2.1Ni0.88Co0.22Mn0.44Ge0.44O4粉末)が製造された。
実施例2の時と同様にして、ほぼ単相のNa2Ni0.88Co0.22Mn0.44Ge0.44O4を製造した。
つづいて、得られたNa2Ni0.88Co0.22Mn0.44Ge0.44O4に対し、実施例2の時と同様にイオン交換処理を施した。
以上により、本例の正極材料(Li2Ni0.88Co0.22Mn0.44Ge0.44O4粉末)が製造された。
実施例1の時と同様にして、金属錯体を含有する水溶液から、本例の正極材料(Li2.1NiMn0.33Ge0.67O4粉末)が製造された。
実施例2の時と同様にして、ほぼ単相のNa2NiMn0.33Ge0.67O4を製造した。
つづいて、得られたNa2NiMn0.33Ge0.67O4に対し、実施例2の時と同様にイオン交換処理を施した。
以上により、本例の正極材料(Li2NiMn0.33Ge0.67O4粉末)が製造された。
実施例1の時と同様にして、金属錯体を含有する水溶液から、本例の正極材料(Li2.1NiMn0.5Sn0.5O4粉末)が製造された。
実施例2の時と同様にして、ほぼ単相のNa2NiMn0.5Sn0.5O4を製造した。
つづいて、得られたNa2NiMn0.5Sn0.5O4に対し、実施例2の時と同様にイオン交換処理を施した。
以上により、本例の正極材料(Li2NiMn0.5Sn0.5O4粉末)が製造された。
実施例1の時と同様にして、金属錯体を含有する水溶液から、本例の正極材料(Li2.1Ni0.77Mn0.66Ge0.33O3.76粉末)が製造された。
実施例2の時と同様にして、ほぼ単相のNa2Ni0.77Mn0.66Ge0.33O3.76を製造した。
つづいて、得られたNa2Ni0.77Mn0.66Ge0.33O3.76に対し、実施例2の時と同様にイオン交換処理を施した。
以上により、本例の正極材料(Li2Ni0.77Mn0.66Ge0.33O3.76粉末)が製造された。
実施例1の時と同様にして、金属錯体を含有する水溶液から、本例の正極材料(Li2.1NiTiO4粉末)が製造された。
比較例1の時と同様にして、金属錯体を含有する水溶液から、本例の正極材料(Li2.1NiMn0.33Ti0.67O4粉末)が製造された。
比較例1の時と同様にして、金属錯体を含有する水溶液から、本例の正極材料(Li1.05NiO2粉末)が製造された。
比較例1の時と同様にして、金属錯体を含有する水溶液から、本例の正極材料(Li1.05CoO2粉末)が製造された。
上記の各例の正極材料の評価として、リチウムイオン二次電池を組み立て、充放電特性の評価を行った。また、充放電特性の測定後、コイン型電池を分解して正極を取り出し、安全性の評価を行った。
上記の各例の正極活物質を用いて、リチウムイオン二次電池よりなる試験セル(2032型コイン型ハーフセル)を組み立て、評価を行った。
試験セル(コイン型ハーフセル)は、図1にその構成を示したコイン型のリチウムイオン二次電池1と同様の構成である。
正極は、正極活物質(各例の正極活物質)91質量部、アセチレンブラック2質量部、PVDF7質量部を混合して得られた正極合剤をアルミニウム箔よりなる正極集電体140に塗布して正極合剤層141を形成したものを用いた。
非水電解質13は、エチレンカーボネート(EC)30体積%とジエチルカーボネート(DEC)70体積%との混合溶媒に、LiPF6を1モル/リットルとなるように溶解させて調製されたものを用いた。
試験セルは、組み立てられた後に、1/3C×2サイクルの充放電での活性化処理が行われた。
以上により、各例の試験セル(ハーフセル)が製造された。
リチウムイオン二次電池に対し、1/50Cレートで充電及び放電を行った。充電は4.5VカットのCC充電で、放電は2.6VカットのCC放電で、それぞれ行われた。
また、図3に示したように、実施例1の二次電池は、良好な充放電特性がえられることが確認された。
リチウムイオン二次電池に対し、1/50Cレートで4.8Vまで、CC充電で充電を行った。
充電終了後、電池を解体し、正極を取り出した。
測定結果を、表1に合わせて示した。
実施例1〜12で得られた正極材料に含有されているM1およびM2原子の配位数を以下のようにして同定した。まず、LiNi0.5Mn0.5O2型結晶構造のMnサイトを各実施例の正極材料におけるM1及びM2に置換したモデルを理論計算ソフトウェアFEFFにより作製した。次に、作成した各実施例における正極材料の結晶構造モデルから、M1及びM2の6配位構造を採る結晶構造モデルと4配位構造を採る結晶構造モデルの動径分布関数を得た。そして、得られた結晶モデルの動径分布関数を基準とし、各実施例の正極材料におけるフィッティング評価でM1およびM2原子の配位数を同定した。なお、データに飛び値や欠損がある場合、さらにEXAFS解析のために不適なバックグラウンド処理がなされた際は、本目的に応じたパラメータを設定する。この場合においても、本発明の範囲内とすることができる。
(1)各実施例の正極材料と窒化ホウ素とを適量混合し、圧縮成形してペレットを製造した。
(2)10800〜12200eVの範囲においてX線吸収測定を、透過法にて行った。
(3)測定結果のデータを、エネルギー・X線吸収量を直接読み込むためのプラグインを用い、解析ソフト(Athena(Ver.0.9.013))にて開く。そして、デフォルトのアルゴリズムで、バックグラウンドの除去及びE0の決定を行う。プレエッジについては、E0より−150〜−30eVの範囲を適用し、ノーマライズ範囲は、E0より150以降980eVの範囲を用いて行った。
(4)3<k≦12の範囲において、ハニング窓を窓関数としたフーリエ変換を施し、各実施例のM1及びM2原子中心からの1次元距離情報である動径分布関数を取得する。なお、この時点で位相の調整は行わなかった。
(5)フーリエ変換が終了したデータを解析ソフト(Artemis(Ver.0.8.012))で読み込む。
(6)フィッティング条件としては、第一配位圏に相当するピークをフィッティング対象とし、k−weightとして3を設定する。
(7)位相シフトや後方散乱因子を考慮した理論EXAFS関数を導出するにあたっては、解析ソフト(Artemis)にアドインされたソフト(Atoms)を用い、層状岩塩型結晶構造Li2NiMnO4(CifNo0000000180552)のNi/Mn(3b)サイトにおいたNiをCoreとしたクラスターサイズ6Åのモデルで計算を行った。
(8)得られたパスの中で、第一配位圏に該当する元素であるNi−Oのパスを選択する。そして、選択したパスに対し、amp:0.1(guess)、配位数N=6又は4、enot:0.01(guess)、delr:0.01(guess)、ss(DW因子):0.01(guess)と初期設定し、第一近接元素のフィッティングを行った。
このフィッティング評価の結果を表2に示した。
11:正極ケース
12:シール材(ガスケット)
13:非水電解質
14:正極
140:正極集電体
141:正極合剤層
15:セパレータ
16:負極ケース
17:負極
170:負極集電体
171:負極合剤層
18:保持部材
Claims (4)
- Li2NiαM1 βM2 γMnηO4−ε(0.50<α≦1.33、0.33≦γ≦0.80、0≦η≦1.00、0≦β<0.67、β+γ≦0.80、0≦ε≦1.00、M1:Co,Ga、M2:Ge,Sn,Sbより選ばれる少なくとも1種)で表され、
Li層と、Ni層とを備えた層状構造を有し、
前記M1及び前記M2が6配位の局所構造をとることを特徴とする正極材料。 - Li2NiαM1 βM2 γMnηO4−ε(0.50<α≦1.33、0.33≦γ≦0.80、0≦η≦1.00、0≦β<0.67、β+γ≦0.80、0≦ε≦1.00、M1:Co,Ga、M2:Ge,Sn,Sbより選ばれる少なくとも1種)で表され、
Li層と、Ni層とを備えた層状構造を有し、
前記M1及び前記M2のK‐edgeのX線吸収測定結果に対し、広域X線吸収微細構造(EXAFS)領域に該当する3<k≦12の領域におけるフーリエ変換にて得られる動径分布関数結果において、FEFFにより得られた構造を用いた第一近接に対するフィッティング結果が6配位構造でのフィッティング時に4配位構造でのフィッティング時のRファクターを下回ることを特徴とする正極材料。 - 請求項1又は2に記載の前記正極材料を用いてなる非水電解質二次電池用正極(14)。
- 請求項1又は2に記載の前記正極材料を用いてなる非水電解質二次電池用正極,請求項3に記載の前記非水電解質二次電池用正極の少なくとも一つを用いてなる非水電解質二次電池(1)。
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