本発明の粉塵除去装置について、図面を参照して説明する。
図1は粉塵除去装置の実施形態の概略正面図、図2は同概略平面図、図3は同概略側面図、図4(a)は同概略切断側面図、図4(b)は図4(a)のA部を拡大して示す図である。又、図5は本実施形態の搬送状態の概要を示す図である。
本実施形態の粉塵除去装置は、図1乃至図3、及び、図4(a)に符号1で示すもので、下端が開放されたカバー構造体2と、カバー構造体2の側部に設けた開口3と、カバー構造体2に取り付けたブロワ4と、HEPAフィルタ等の粉塵除去フィルタ5(図4(a)参照)と、カバー構造体2に設けた吊ベイル6とを備えた構成とされる。
ここで、本実施形態の粉塵除去装置1は、説明の便宜上、図2に示すように、平面視でカバー構造体2の周方向における開口3が設けられている方向を前とし、その逆方向を後とする。又、図1のように、開口3に対面する側から見た状態での左右方向を左右幅方向と云うものとする。
カバー構造体2は、遠隔作業環境にて、作業台(床面を含む)Y上に配置して、粉塵の除去された環境が必要とされる個所である作業個所Xを上方から覆うためのものである。そのため、カバー構造体2の形状は、たとえば、図5に示すような作業個所Xで行う作業の対象物(機器)101,102と、その作業に使用する支持具や治具等の器具103,104を収容可能な前後寸法、左右幅方向寸法、上下寸法を有する直方体形状とされている。
カバー構造体2は、図1乃至図4(a)に示すように、外形によりカバー構造体2の直方体形状を構成するためのフレーム7と、フレーム7の前後左右及び上面に取り付けたパネル16,17,18a,18b,19a,19b,20とにより構成されている。
フレーム7は、図1乃至図4(a)に示す如く、各柱部材8a,8b,8c,8dと、各横梁部材9a,9bと、各縦梁部材10a,10bと、各連結部材11,12,13a,13b,14a,14bとを構成部材とする骨組構造で構成されている。
各柱部材8a,8b,8c,8dは、図2に示す平面形状方形の四隅に配置されているものであって、上下方向に延びる部材である。
横梁部材9aは、図2に示すように、柱部材8a,8bの上端側同士を連結する部材であり、横梁部材9bは、柱部材8c,8dの上端側同士を連結する部材である。
縦梁部材10aは、図2に示すように、柱部材8a,8dの上端側同士を連結する部材であり、縦梁部材10bは、柱部材8b,8cの上端側同士を連結する部材である。
連結部材11は、図1に示すように、横梁部材9aより或る寸法下がった柱部材8a,8bの上端側同士を連結する部材である。
連結部材12は、図1、図2に示すように、柱部材8c,8dの下端側同士を連結する部材である。
連結部材13aは、図4に示すように、柱部材8a,8dの下端側同士を連結する部材である。連結部材13bは、柱部材8b,8cの下端側同士を連結する部材である。
連結部材13a,13bは、図3及び図4に示すように、柱部材8d,8cの下端側との連結個所から前方へ延びる部分と、その前側で上方へクランク状に屈曲する部分を備えた構成としてある。これにより、各連結部材13a,13bは、その前端部を、柱部材8a,8bの下端から或る寸法上方となる個所に連結するようにしてある。このような構成としたのは、図5に二点鎖線で示すように、本実施形態の粉塵除去装置1を作業台Y上に配置するときに、柱部材8a,8bの下端部を、作業台Y上に設けられている位置決め手段zに嵌合させるためである。このため、各柱部材8a,8bの下端側の後側には、連結部材13a,13bとの間に、位置決め手段zを受け入れるための切欠き状の構造36が形成されている(図3、図4、図5参照)。
なお、本実施形態の粉塵除去装置1を作業台Y上に配置するときに、柱部材8a,8bの下端部とは別の位置決め手段で位置決めを行う場合や、正確な位置決めが特に必要とされない場合は、各柱部材8a,8bの後側の切欠き状の構造36は不要である。この場合は、各連結部材13a,13bは、柱部材8a,8dの下端側同士、及び、柱部材8b,8cの下端側同士の間で前後方向に延びる形状とすればよい。
連結部材14a,14bは、図2に示すように、横梁部材9a,9bの長手方向の中間部同士の間で前後方向に延びる部材である。連結部材14a,14bは、パネル20を載置する間隔で配置されて、前後方向の両端部が、横梁部材9a,9bに連結されている。
なお、このフレーム7の各構成部材のうち、直線的な形状の構成部材である各柱部材8a,8b,8c,8d、各横梁部材9a,9b、各縦梁部材10a,10b、及び、各連結部材11,12,14a,14bは、板材、棒材、角パイプ等で製作してもよいが、製作容易性及び強度の面から考えると、アングルにより製作することが好適である。
フレーム7は、パネル16,17,18a,18b,19a,19b,20を取り付けるためのパネル取付面となる前後左右の外面、及び、上面を、段差のない構造にすることが好ましい。そのために、フレーム7の各構成部材同士は、以下のような連結構造で連結することが好ましい。
図6(a)は、フレーム7の各構成部材同士の連結構造の概要を示すもので、一例として、柱部材8aと横梁部材9aとの連結部分を拡大して示す図である。
柱部材8aと横梁部材9aは、アングルの平板部分同士を突き合わせて配置し、互いの突合せ端部同士のフレーム7の内側となる面に沿わせて配置した添え板aを介して連結する。
添え板aは、図6(a)に示すように、柱部材8aに溶接により固定されている。添え板aの横梁部材9aとの接合部分には、ねじ穴bが備えられている。これにより、添え板aに対する横梁部材9aの固定は、横梁部材9aの端縁に設けたボルト挿通孔cにフレーム7の外側となる側からボルトとしての六角穴付きボルトdを通し、この六角穴付きボルトdをねじ穴bに螺着させて締めることでボルト接合することができる。
なお、添え板aは、アングルの直交する2つの平板部分の内面に沿って配置されるように、アングル形状又は角柱状としてもよい。
又、図6(a)では、添え板aが柱部材8aに溶接により固定され、横梁部材9aにボルト接合された構成を例示したが、添え板aを、横梁部材9aに溶接により固定し、柱部材8aにボルト接合する構成としてもよい。更に、この連結構造は、各柱部材8a,8b,8c,8d、各横梁部材9a,9b、各縦梁部材10a,10b、及び、各連結部材11,12,14a,14bのうちの2つの構成部材同士を連結する場合に適用してよいことは勿論である。
かかる構成部材同士の連結構造は、図示しない遠隔操作型のマニプレータに保持させた六角レンチのアタッチメントを操作して、六角穴付きボルトdを緩めて取り外すことにより、連結されていた構成部材同士を分離させることができる。したがって、フレーム7は、廃棄時に減容することが必要とされる場合等、必要に応じて、遠隔操作型のマニプレータ(図示せず)を用いて、各柱部材8a,8b,8c,8d、各横梁部材9a,9b、各縦梁部材10a,10b、及び、各連結部材11,12,13a,13b,14a,14b(図1乃至図4(a))に分解することが可能となっている。
更に、図示しないが、フレーム7の各構成部材は、複数に分割されていてもよく、その分割部材同士を、図6(a)に示したと同様の添え板aを介して連結した構造としてもよい。このようにすれば、各構成部材は、廃棄時に減容することが必要とされる場合等、必要に応じて、構成部材本来の長さよりも短い分割部材に分解することができる。
パネル16は、柱部材8a,8bの上端側と、横梁部材9aと、連結部材11により形成された開口を閉塞させるようにフレーム7の前面に配置されている。該開口の周縁部には、パネル16(以下、個別の特定が必要な場合は前面パネル16と云う)の外周部が取り付けられている。
パネル17は、柱部材8d,8cと、横梁部材9bと、連結部材12により形成された開口を閉塞させるようにフレーム7の後面(背面)に配置されている。該開口の周縁部には、パネル17(以下、個別の特定が必要な場合は背面パネル17と云う)の外周部が取り付けられている。
パネル18aは、柱部材8a,8dと、縦梁部材10aと、連結部材13aにより形成された開口を閉塞させるようにフレーム7の左側面に配置されている。該開口の周縁部には、パネル18a(以下、個別の特定が必要な場合は側面パネル18aと云う)の外周部が取り付けられている。
パネル18bは、柱部材8b,8cと、縦梁部材10bと、連結部材13bにより形成された開口を閉塞させるようにフレーム7の右側面に配置されている。該開口の周縁部には、パネル18b(以下、個別の特定が必要な場合は側面パネル18bと云う)の外周部が取り付けられている。
パネル19a及びパネル19bは、横梁部材9a,9bと、縦梁部材10aと、連結部材14aにより形成された開口、及び、横梁部材9a,9bと、縦梁部材10bと、連結部材14bにより形成された開口をそれぞれ閉塞させるようにフレーム7の上面の左右位置に配置されている。該各開口の周縁部には、各パネル19a,19b(以下、個別の特定が必要な場合は上面パネル19a,19bと云う)の外周部が取り付けられている。
パネル20は、ブロワ4が設置されるパネルであり、横梁部材9a,9bと、連結部材14a,14bにより形成された開口を閉塞させるようにフレーム7の上面の中央部に配置されている。該開口の周縁部には、パネル20(以下、ブロワ設置パネル20と云う)の外周部が取り付けられている。
これにより、カバー構造体2は、後面、左右の側面及び上面が、背面パネル17、各側面パネル18a,18b、各上面パネル19a,19b及びブロワ設置パネル20により閉塞される。したがって、カバー構造体2は、下端、及び、前面における左右の柱部材8a,8bと連結部材11によって囲まれた開口3が、外部に開放された構成となる。
図6(b)は、フレーム7に対するパネル取付構造の概要の一例を示す図である。各パネル16,17,18a,18b,19a,19b,20のフレーム7に対する取り付けは、図6(b)に示すように、予め設けてある複数のボルト挿通孔eに外側から挿通させた六角穴付きボルトdを、フレーム7の対応する(対峙する)個所に設けてあるねじ穴fに螺着させて締めることで行うことが好ましい。図6(b)では、一例として、前面パネル16の左端寄りの角部付近を、六角穴付きボルトdを介して、柱部材8aにボルト接合した部分が断面図で示してある。なお、ボルト挿通孔eは各パネル16,17,18a,18b,19a,19b,20の四隅付近に設けることが好ましい。
かかるパネル取付構造によれば、フレーム7と同様に、必要に応じて、遠隔操作型のマニプレータに保持させた六角レンチのアタッチメントを操作して、六角穴付きボルトdを緩めて取り外すことによって、フレーム7より、各パネル16,17,18a,18b,19a,19b,20を取り外すことが可能となっている。
各パネル16,17,18a,18b,19a,19b,20は、透明なパネルを用いるようにすると、カバー構造体2の内側に配置させる作業個所Xと、そこにある作業の対象物101,102や器具103,104(図5参照)について、カバー構造体2の外部からの目視が容易となる。
更に、各パネル16,17,18a,18b,19a,19b,20は、遠隔作業環境で他の機器や物品に当たっても割れが生じないように、高い衝撃強度や、高い靭性を備えた樹脂材料とすることが好ましい。
図4(a)に示すように、ブロワ設置パネル20は、その中央部に開口21を備えていて、ブロワ設置パネル20の上側には、ブロワ4が開口21を覆うように取り付けられている。
ブロワ4は、ブロワ設置パネル20の開口21よりも大きな平面形状を有する箱型のケーシング15を備える。ケーシング15は、上面又は側面に吸入口23を備える。図4(a)では、ケーシング15の上面に吸入口23を備えた構成が示してある。なお、ケーシング15の側面に吸入口23を備えた構成は図示を省略する。
ケーシング15は、底面に吹出口24を備えている。
ケーシング15の内側には、吸入口23に臨む配置としたファン22を備える。ファン22は図示しない駆動モータに接続されている。
ケーシング15は、下端縁の周方向複数個所、たとえば、図2、図4(a)に示すように、前部の左右2個所と後部の左右2個所の計4個所に、外向きに突出するフランジ片25を備えている。各フランジ片25には、図4(b)に示すように、上下方向にボルト挿通孔26が穿設されている。
更に、図1乃至図3に示すように、ケーシング15の上端側の複数個所には、ブロワ4を吊るための吊ベイルとしてのワイヤベイル27が設けられている。
以上の構成としてあるブロワ4は、図4(a)に示すように、ケーシング15を、ブロワ設置パネル20における開口21の周縁部の上側に載置し、図4(b)に示すように、各フランジ片25のボルト挿通孔26に上方より通した六角穴付きボルト28を、ブロワ設置パネル20の対応する個所に設けてあるねじ穴29に螺着させて締めることで、ブロワ設置パネル20に固定されている。
ブロワ4には、図1、図2に示すように、電気ケーブル30が接続されている。電気ケーブル30は、先端部に、コネクタ31を備えている。コネクタ31には、遠隔操作型のマニプレータによる保持が可能で、且つ該マニプレータによる図示しない電源コネクタへの接続操作と取り外し操作を可能にするためのマニプレータ保持操作部が備えられている。たとえば、コネクタ31が電源コネクタへの着脱を行うときに或る角度回す形式のコネクタである場合は、マニプレータ保持操作部は、図1及び図2に示すように、コネクタ31の外周部の周方向複数個所に突設したピン32とすることが好ましい。
これにより、ブロワ4は、コネクタ31を電源コネクタに接続した状態で、駆動モータを運転してファン22を回転駆動させると、図4(a)に示すように、カバー構造体2の外部に存在しているガス33を吸入口23から吸入し、吹出口24より吹き出すようになっている。
粉塵除去フィルタ5は、たとえば、図4(a)に示す如く、ブロワ4のケーシング15における吸入口23の内側に、吸入口23を覆うように装着されている。これにより、ブロワ4の運転時には、吸入口23から吸入されるガス33が、粉塵除去フィルタ5を通過するときに粉塵が除去されて清浄ガス33aとされ、この清浄ガス33aが、吹出口24より吹き出されるようになる。
したがって、本実施形態の粉塵除去装置1では、ブロワ4の運転中は、ブロワ4の吹出口24より吹き出される清浄ガス33aが、ブロワ設置パネル20の開口21を通してカバー構造体2の内側に連続的に吹き込まれるようになっている。
ブロワ4は、前述したように、ブロワ設置パネル20に対する固定を六角穴付きボルト28で行うようにしてあると共に(図4(b)参照)、ワイヤベイル27を備えた構成としてある(図1乃至図3参照)。これにより、吸入されるガス33の粉塵除去処理に使用される粉塵除去フィルタ5に目詰まりが生じた場合は、使用中のブロワ4を、新たな粉塵除去フィルタ5が装着された別のブロワ4に交換することができる。同様に、使用中のブロワ4に何らかの故障や不具合が生じた場合も、別のブロワ4に交換することができる。
ブロワ4の交換作業は、図示しない遠隔操作型のマニプレータを用いた操作により、電気ケーブル30のコネクタ31を電源コネクタより取り外した状態で、先ず、マニプレータに保持させた六角レンチのアタッチメントを操作して、各フランジ片25を固定している六角穴付きボルト28を緩めて取り外す。これにより、ブロワ4は、ブロワ設置パネル20に対する固定が解除される。次いで、ブロワ4は、図示しないクレーンによりワイヤベイル27を介し吊って撤去する。
その後、交換用のブロワ4は、前記取り外し作業とは逆に、先ず、ワイヤベイル27を介しクレーンで吊ってブロワ設置パネル20の上方まで搬送し、ケーシング15をブロワ設置パネル20の開口21の周縁部の上側に載置する。しかる後、交換用のブロワ4は、従前のブロワ4と同様に、各フランジ片25を、六角穴付きボルト28を用いてブロワ設置パネル20に固定させるようにすればよい。
図1乃至図3に示すように、ブロワ設置パネル20の幅方向中央部には、ブロワ4の設置個所の前側と後側に一対のブラケット34が設けられている。このブラケット34には、ブロワ4を跨ぐように配置した吊ベイル6の両端部が、左右幅方向に回動可能に取り付けられている。これにより、本実施形態の粉塵除去装置1は、図5に示すように、吊ベイル6を介しクレーン105で吊って搬送することができるようになっている。
なお、吊ベイル6は、図1、図2に示すように、左右幅方向に、ブロワ4の真上から外れる位置まで傾動できるようになっている。これは、前記したブロワ4の交換の作業の際にブロワ4をクレーンで吊って移動させる操作の邪魔にならないようにするためである。又、吊ベイル6は、左右幅方向へ最も回動させた状態でも、カバー構造体2の上端から離反した位置で止まるようにしてある。これは、吊ベイル6にクレーン105のフック(図5参照)を掛け易くするためである。
なお、ブロワ設置パネル20は、その材質や、パネルとしての剛性及び強度、更には、フレーム7に対する取り付け部の強度が、本実施形態の粉塵除去装置1の重量を支持できるように設定されているものとする。
カバー構造体2の図2に示す平面形状方形の角部である各縦梁部材10a,10bの前端寄り個所と後端寄り個所には、図1、図2に示すように、鉤型のケーブルハンガー35が側方に突出させて設けられている。これにより、本実施形態の粉塵除去装置1では、ブロワ4の電気ケーブル30を、カバー構造体2の左右両端部の前後両側位置に配置されている4つのケーブルハンガー35に適宜振り分けて掛けることにより、本実施形態の粉塵除去装置1を、吊ベイル6を介してクレーン105で吊るときに(図5参照)、前後左右の重量バランスを調整することができるようになっている。
次いで、以上の構成としてある本実施形態の粉塵除去装置1の使用方法について説明する。
ここで、粉塵が除去された清浄環境が必要とされる作業の一つとしては、たとえば、レーザ加工機におけるレーザ加工ヘッドと、レーザ発振器からレーザ光を導く光ファイバとの接続作業がある。このように清浄環境が必要とされるのは、光学系の接続部分への粉塵の混入量が多くなって、レンズの焼き付き等につながる事態を回避するためである。
なお、レーザ加工機は、近年、高放射線の粉塵環境のような作業者が立ち入ることができない遠隔作業環境においても、廃棄する機器を切断する作業等に用いられている。
そこで、本実施形態の粉塵除去装置1の適用対象の一例として、図5に示すように、作業台Y上に、作業個所Xで行う作業の対象物としてのレーザ加工ヘッド101と光ファイバ102が、器具としての個別の支持具103,104により支持させた状態で配置されている個所の粉塵の除去処理を行う場合について説明する。なお、説明の便宜上、レーザ加工ヘッド101及び光ファイバ102と、その支持具103,104には、前述した作業個所Xで行う作業の対象物(機器)101,102と、その作業に使用する支持具や治具等の器具103,104と同じ符号を付して説明する。
本実施形態の粉塵除去装置1を使用する場合は、オペレータは、先ず、図5に示すように、粉塵除去装置1を吊ベイル6を介しクレーン105により吊った状態で搬送させて、作業台Y上に、作業個所Xの上方をカバー構造体2で覆うように配置する。この際、粉塵が除去された清浄環境が必要とされるのは、レーザ加工ヘッド101と光ファイバ102との接続部分である。そのため、レーザ加工ヘッド101と光ファイバ102の接続部分が、カバー構造体2の内側に収容されるようにする。なお、光ファイバ102は、カバー構造体2の開口3を通して外部へ引き出されるように配置させればよい。
又、この際、柱部材8a,8bの下端部は、作業台Yに設けられている位置決め手段zに嵌合させて位置決めを行うようにする。この位置決め手段zは、各柱部材8a,8bの下端部を挿入するための上下方向に延びる穴を備えた構成としてあればよい。更に、位置決め手段zは、穴の上部を、上方に行くにしたがって内法寸法が拡大するテーパ形状とした構成としてもよい。
次に、オペレータは、遠隔操作型のマニプレータ(図示せず)を用いて、各ケーブルハンガー35に掛け回されている電気ケーブル30(図1、図2参照)を外すと共に、先端部のコネクタ31(図1、図2参照)を、電源コネクタ(図示せず)に接続する。
次いで、オペレータは、ブロワ4の運転を開始させる。これにより、カバー構造体2の外部に存在しているガス33が、ブロワ4に吸入され、粉塵除去フィルタ5を通過することで粉塵が除去された清浄ガス33aとされる。その後、清浄ガス33aは、カバー構造体2の内側に連続的に吹き込まれる。
このとき、本実施形態の粉塵除去装置1は、カバー構造体2の下方は作業台Yにより閉塞されているため、カバー構造体2の内部と外部が連通する個所は、主に開口3となっている。したがって、カバー構造体2の内側では、ブロワ4より吹き込まれる清浄ガス33aにより、カバー構造体2の内側に当初存在していた粉塵を含んだガスが、開口3を通して追い出される。
その後、カバー構造体2の内側は、ブロワ4より連続して吹き込まれる清浄ガス33aで満たされ、余剰分の清浄ガス33aが、順次開口3を通して排出されるようになる。そのため、カバー構造体2により覆われている作業台Y上の作業個所Xについては、粉塵が除去された清浄環境となる。
なお、カバー構造体2は、作業台Y上に配置した状態で、背面と左右両側面の下端部に隙間が形成されていてもよい。この隙間では、清浄ガス33aが、カバー構造体2の内側から外向きに連続的に流れるようになるため、粉塵を含んだガス33が隙間を通してカバー構造体2の内側へ侵入することはない。
したがって、カバー構造体2の内側に収容されているレーザ加工ヘッド101と光ファイバ102との接続部分の周囲は、清浄ガス33aの雰囲気となる。よって、この状態でレーザ加工ヘッド101と光ファイバ102は、粉塵の除去された清浄環境で接続作業を行うことができるようになる。
このように、本実施形態の粉塵除去装置1によれば、遠隔作業環境にて、遠隔操作により搬送して粉塵の除去が必要とされる作業個所Xに配置することができて、作業個所Xについての粉塵の除去処理を行うことができる。
したがって、作業個所Xでは、カバー構造体2の内側に配置したレーザ加工ヘッド101と光ファイバ102の接続作業のような作業を、粉塵が除去された環境で実施させることができる。
更に、本実施形態の粉塵除去装置1では、粉塵除去の処理対象となる空間を、カバー構造体2により区切られた、カバー構造体2の内側の空間のみとすることができる。このため、本実施形態の粉塵除去装置1は、クリーンルームのような室内全体を粉塵の除去処理する場合に比して、粉塵除去の処理対象となる空間を小さくすることができる。したがって、カバー構造体2により覆われた作業個所Xについては、効率よく粉塵の除去処理を行うことができる。
しかも、本実施形態の粉塵除去装置1は、作業台Y上に配置することで、カバー構造体2により覆われる個所を清浄環境とすることができる。そのため、作業台Yのサイズや構造について、特許文献1に示されたクリーンベンチのような作業台が支承台の内側に収まるか、又は、支承台の脚部と干渉しない形状が要求されるといった制限を受けることはない。
なお、本発明は、前記実施形態にのみ限定されるものではなく、カバー構造体2の前後寸法、左右幅方向寸法、上下寸法は、作業個所Xで行う作業の対象物101,102と、その作業に使用する支持具や治具等の器具103,104を覆うために必要とされるサイズに応じて適宜変更してよいことは勿論である。
本実施形態の粉塵除去装置1は、高放射線の粉塵環境で使用し、使用済みとなったものを最終的に廃棄するときのことを考えると、フレーム7は、各柱部材8a,8b,8c,8dと、各横梁部材9a,9bと、各縦梁部材10a,10bと、各連結部材11,12,13a,13b,14a,14bを、六角穴付きボルトdを用いて組み立てた構成とし、各パネル16,17,18a,18b,19a,19b,20は、フレーム7に対して六角穴付きボルトdを介して取り付けた構成として、遠隔操作型のマニプレータにより六角レンチのアタッチメントを操作して分解できるものとすることが好ましい。しかし、遠隔作業環境で使用した後の使用済みの粉塵除去装置1を、作業者が立ち入ることのできる環境まで戻す(回収する)ことができる場合は、必ずしも分解可能な構成でなくてもよい。
カバー構造体2により覆われる作業個所Xについて、カバー構造体2の内側に設けたカメラと照明や、遠隔操作型のマニプレータに備えたカメラと照明等による観察が可能であって、カバー構造体2の外部からの作業個所Xの目視あるいは撮影の必要がない場合は、前面、背面、側面、及び、上面の各パネル16,17,18a,18b,19a,19bは、不透明であってもよい。
更に、カバー構造体2は、分解の容易性が特に要求されない場合は、下端が開放され、且つ開口3と、ブロワ4の設置個所の開口21を備えた中空の直方体形状の一体物としてもよい。この場合は、樹脂や金属等の曲げ剛性の高い板材による左右の両側壁と、後側壁と、天井板(上面板)を連結して、カバー構造体2を形成すればよい。
カバー構造体2は、前後左右の重量バランスを取り易くするという観点から考えると、前後方向及び左右幅方向に共に対称な直方体形状とすることが好ましいが、下端が開放され且つ側部に開口3を備えていれば、たとえば、円筒状、半球状等、直方体形状以外の形状としてもよい。
カバー構造体2の側部に設ける開口3は、1個所として示したが、作業個所Xに配置される作業の対象物101,102の形状やそれに接続されたコードやその他の機器等の配置に応じて、複数の開口3を備えるようにしてもよい。その場合、複数の開口3同士の間でカバー構造体2の外部のガス33の吹き抜けが生じないように、各開口3の配置や開口面積と、ブロワ4によりカバー構造体2の内側へ吹き込む清浄ガス33aの量を調整すればよい。
なお、本実施形態では、説明の便宜上、開口3が設けられている方向を前、として説明したが、使用状態や監視状態によっては、後、左、右として説明した方向を前とし、その基準とした方向に基づき、後、左、右の方向を設定してもよい。
更に、本実施形態では、カバー構造体2に開口3が設けられている構成について説明したが、作業個所Xで行う作業の対象物の一例である光ファイバ102のように、カバー構造体2の外側へ引き出す必要が生じるものではなく、作業の対象物101,102や、その作業に使用する支持具や治具等の器具103,104、又は、それらに加えて作業を行うためのマニプレータをカバー構造体2の内側に収容することができるようにしてあれば、カバー構造体2は、開口3を省略した構成としてもよい。この場合であっても、カバー構造体2は、内側に吹き込まれる清浄ガスにより、粉塵を含んだガスをカバー構造体2の下端側から追い出すことができて、内側を清浄環境とすることができる。
ブロワ4のケーシング15は、円筒状等、図示した直方体形状以外の形状であってもよい。
粉塵除去フィルタ5は、ブロワ4に対する装着位置を、ブロワ4の吸入口23から吹出口24に至るガス流通経路のいずれかの個所に変更してもよい。又、粉塵除去フィルタ5は、ブロワ4のケーシング15における吸入口23の外側に装着してもよい。
更に、粉塵除去フィルタ5は、ブロワ4と一緒にカバー構造体2に着脱できるようにするという点から考えると、ブロワ4に装着した構成とすることが好ましいが、ブロワ4とは別にカバー構造体2の開口21に取り付ける構成としてもよい。この場合は、粉塵除去フィルタ5を交換できるように、粉塵除去フィルタ5を保持するホルダーは、六角穴付きボルトでカバー構造体2に固定する構成とし、更に、該ホルダーに、吊ベイル、又は、マニプレータで保持して着脱操作するためのマニプレータ保持操作部を備えるようにすればよい。
ブロワ4の吹出口24、あるいは、ブロワ設置パネル20の開口21に、整流部材を備えた構成として、ブロワ4からカバー構造体2の内側に吹き込まれる清浄ガス33aの流れを整えるようにしてもよい。
フレーム7における各柱部材8a,8b,8c,8dと、各横梁部材9a,9bと、各縦梁部材10a,10b、及び、各連結部材11,12,13a,13b,14a,14bのうちの2つの構成部材同士の連結、及び、フレーム7に対する各パネル16,17,18a,18b,19a,19b,20の取り付けは六角穴付きボルトdを用いて行い、ブロワ4のブロワ設置パネル20への取り付けも六角穴付きボルト28を用いて行うものと説明したが、遠隔操作型マニプレータにより保持させるレンチのアタッチメントにより取り外す操作が可能な形式のボルトであれば、任意の形式のボルトを、六角穴付きボルトに代えて用いるようにしてもよい。更には、ボルトに代えて、任意の取り外し可能な固定手段を用いるようにしてもよい。
フレーム7は、パネル取付面となる前後左右の外面、及び、上面に、段差のない構造であることが好ましいが、フレーム7における構成部材同士の連結部分に段差が生じていてもよい。この場合は、段差部分で各パネル16,17,18a,18b,19a,19b,20との間に生じる隙間を、スペーサやシール部材で塞ぐようにすればよい。
本実施形態の粉塵除去装置1は、フレーム7の上面に上面パネル19a,19bと、開口21を備えたブロワ設置パネル20とを別々に取り付けた構成として示したが、開口21を備えた1枚のパネルを、フレーム7の上面全体に取り付けた構成としてもよい。
その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。