JP6476644B2 - 認知補助装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両の運転者によるディスプレイ上の報知対象の認知を補助する認知補助装置に関する。
従来、認知補助装置に関する技術文献として、例えば、特開2005−346177号公報が知られている。この公報には、運転者の見る前景中の報知対象に対してHUD[Head Up Display]により運行支援情報を重畳表示する車両用情報提示装置が示されている。
特開2005−346177号公報
しかしながら、上述した公報においては、運転者に報知すべき報知対象が複数存在する場合について十分に考慮されていない。報知対象が複数存在する場合、各報知対象に運行支援情報をそれぞれ表示すると、運転者が各報知対象の運行支援情報を認識するために、それぞれを視認する必要が生じ、運転者による各報知対象の把握に遅れが生じるおそれがある。
そこで、本発明は、運転者に対してディスプレイ上の報知対象の早期の認知を補助することができる認知補助装置を提供することを目的とする。
本発明は、車両の運転者によるディスプレイ上の報知対象の認知を補助する認知補助装置であって、ディスプレイ上における報知対象の数に基づいて、周辺視誘導の要否を判定する周辺視誘導要否判定部と、周辺視誘導要否判定部により周辺視誘導が必要と判定された場合、ディスプレイ上において少なくとも二つの報知対象を運転者の周辺視野に含む周辺視状態に運転者の視線状態を誘導する周辺視誘導を行う視線誘導部と、を備える。
本発明によれば、運転者に対してディスプレイ上の報知対象の早期の認知を補助することができる。
本実施形態に係る認知補助装置を示すブロック図である。 中心視野及び周辺視野を説明するための図である。 周辺視誘導の一例を示す図である。 認知補助装置の周辺視可否判定を示すフローチャートである。 運転者は周辺視不能と判定した場合の認知補助装置の制御を示すフローチャートである。 運転者は周辺視可能と判定した場合の認知補助装置の制御を示すフローチャートである。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1に示す認知補助装置1は、例えば、乗用車等の車両に搭載され、運転者によるディスプレイ上の報知対象の認知を補助する装置である。ディスプレイは、例えば、車両のフロントガラスに画像を投影するHUD[Head Up Display]である。その他、ディスプレイは、車両のナビゲーションシステムのディスプレイであってもよく、無線通信により車両と接続された携帯情報端末のディスプレイであってもよい。報知対象とは、ディスプレイ上において運転者に報知すべき対象である。報知対象は、例えば、歩行者、自転車、他車両、その他の障害物が含まれる。報知対象には、速度制限等の交通規則情報、ナビゲーションシステムの案内経路情報等を含めてもよい。
認知補助装置1は、ディスプレイ上において運転者に対する中心視誘導又は周辺視誘導を行うことにより、運転者による報知対象の認知を補助する。中心視誘導とは、報知対象に対する運転者の視線状態を中心視状態に誘導する表示態様である。中心視状態とは、眼の網膜の中心部を使い、中心視野において集点を合わせて報知対象を見ている状態である。中心視状態は、物の形又は色彩を正確に捉えることに適している。また、周辺視誘導とは、報知対象に対する運転者の視線状態を周辺視状態に誘導する表示態様である。周辺視状態とは、眼の網膜の周辺部を使い、周辺視野において報知対象(例えば複数の報知対象)を漠然と見ている状態である。周辺視状態は、報知対象の動き、位置、明暗を捉えることに適している。
ここで、図2は、中心視野及び周辺視野を説明するための図である。図2に示されるように、中心視野Cは、解像度の高い網膜の中心部の視野であり、視線中心E(例えば両眼の焦点)を含む楕円形状の範囲である。中心視野Cは、一例として、視野角が視線中心Eから上下左右に約2°の範囲に相当する。周辺視野Pは、網膜の周辺部の視野であり、中心視野Cを囲む楕円形状の範囲である。周辺視野Pは、一例として、視野角が視線中心Eから垂直方向で125°(例えば視線中心Eから上方向に50°、下方向に75°)、水平方向で180°〜210°(例えば、左右それぞれに90°〜105°)の範囲に相当する。垂直方向は楕円形状の短径に対応し、水平方向は楕円形状の長径に対応する。
一般的に、運転の初心者は、主に中心視野Cを多用して運転する傾向が見られ、周辺視野Pの範囲でリスク(例えば他車両の急接近)が発生した際の反応が遅れがちである。一方、運転の熟練者は、周辺視野Pを多用して運転する傾向があり、周辺視野Pの範囲でリスクが発生した際の反応が早い。本実施形態において、運転者が中心視野Cを用いてディスプレイ上の報知対象を見ている状態を中心視状態とすることができる。また、運転者が周辺視野Pを用いてディスプレイ上の報知対象を見ている状態を周辺視状態とすることができる。
認知補助装置1は、中心視誘導として、例えば、ディスプレイ上における一つの報知対象を円で囲む等の強調表示を行う。認知補助装置1は、ディスプレイ上において、運転者の現在の視線位置から一つの報知対象に向かう矢印を表示する等により当該報知対象に対する中心視誘導を行ってもよい。その他、中心視誘導には、周知の手法を採用することができる。
また、認知補助装置1は、周辺視誘導として、例えば、ディスプレイ上において複数の報知対象が運転者の周辺視野Pに含まれる位置にアイコン(指標)を表示する。認知補助装置1は、更に、ディスプレイ上における運転者の現在の視線位置から、アイコンに向かう矢印を表示する周辺視誘導を行ってもよい。これにより、運転者が視線を移動してアイコンの位置が視線位置となることで、運転者の周辺視野Pに複数の報知対象が含まれる。
ここで、図3は、周辺視誘導を説明するための図である。図3では、HUDにおける周辺視誘導を示している。HUDにおいては、車両のフロントガラスWがディスプレイに相当する。図3において、他車両A1,A2、及び歩行者B1,B2は、運転者がフロントガラスW越しに視認可能な車両前方の障害物(報知対象)である。認知補助装置1は、例えば、運転者の視線が他車両A1を向いていることを検出した場合、フロントガラスWに矢印N及びアイコンMを表示(投影表示)することにより、周辺視誘導を行う。認知補助装置1は、フロントガラスW上において他車両A1,A2及び歩行者B1、B2の全てが周辺視野Pに含まれる位置に向かって運転者の視線を誘導する矢印Nを表示すると共に、当該位置にアイコンMを表示する。その他、周辺視誘導には、周知の手法を採用することができる。
次に、認知補助装置1の構成について説明する。図1に示されるように、認知補助装置1は、運転者に対する認知補助を制御する認知補助ECU[Electronic Control Unit]2を備えている。認知補助ECU2は、CPU[Central Processing Unit]、ROM[Read Only Memory]、RAM[Random Access Memory]等を有する電子制御ユニットである。認知補助ECU2は、ドライバモニタカメラ3、レーザレーダ4、ステレオカメラ5、入力操作受付部6、及び表示部7と接続されている。
ドライバモニタカメラ3は、例えば、車両のステアリングコラムのカバー上で運転者の正面の位置に設けられ、運転者の顔を撮像する。ドライバモニタカメラ3は、運転者の顔を複数方向から撮像するため、マルチカメラとして複数設けられていてもよい。ドライバモニタカメラ3は、運転者の撮像情報を認知補助ECU2へ送信する。
レーザレーダ4は、例えば、車両の前端に設けられ、レーザーを利用して車両前方の障害物を検出する。レーザレーダ4は、例えば、レーザーを車両前方に送信し、他車両等の障害物に反射したレーザーを受信することで障害物を検出する。レーザレーダ4は、検出した障害物情報を認知補助ECU2へ送信する。なお、レーザレーダ4に代えて、ミリ波レーダ、レーザスキャナー等を用いてもよい。
ステレオカメラ5は、例えば、車両のフロントガラスWの裏面に設けられた二つの撮像部を有している。二つの撮像部は、車両の車幅方向に並んで配置されており、車両の前方を撮像する。ステレオカメラ5は、車両前方の撮像情報を認知補助ECU2へ送信する。なお、ステレオカメラ5に代えて単眼カメラを用いてもよい。また、レーザレーダ4とステレオカメラ5は、必ずしも両方備える必要はなく、何れか一方のみ備えていればよい。
入力操作受付部6は、運転者による運転者情報の入力操作を受け付けるインターフェイスである。運転者情報には、運転者が周辺視可能(周辺視を用いた車両の運転ができる)か否かの申請情報も含まれる。入力操作受付部6は、例えば、車両のインストルメントパネルに設けられたタッチパネル又は操作ボタンを有している。入力操作受付部6は、運転者(又は乗員)により入力された運転者情報を認知補助ECU2に送信する。なお、入力操作受付部6とドライバモニタカメラ3は、必ずしも両方備える必要はなく、何れか一方のみ備えていればよい。
表示部7は、表示により運転者に対する通知を行うための機器である。表示部7は、例えば、HUD、ナビゲーションシステムのディスプレイ、インストルメントパネルに固定のセンターディスプレイ、携帯情報端末のディスプレイ等のうち少なくとも一つを有している。表示部7は、認知補助ECU2からの制御信号に応じてディスプレイに表示を行う。
続いて、認知補助ECU2の機能的構成について説明する。認知補助ECU2は、申告情報認識部10、報知対象認識部11、視線状態判定部12、周辺視誘導要否判定部13、及び視線誘導部14を有している。
申告情報認識部10は、入力操作受付部6を介して入力された運転者情報を認識する。申告情報認識部10は、運転者が周辺視可能と申告したか周辺視不能と申告したかを認識する。申告情報認識部10は、運転者の入力した運転者情報を登録(記憶)する。
報知対象認識部11は、表示部7のディスプレイ上における報知対象を認識する。報知対象認識部11は、例えば、ディスプレイがHUDにおけるフロントガラスWである場合、運転者がフロントガラスW越しに視認可能な障害物を報知対象として認識する。報知対象認識部11は、更に交通規則情報又は案内経路情報等を運転者に報知すべき報知対象として認識してもよい。
報知対象認識部11は、例えば、レーザレーダ4の障害物情報又はステレオカメラ5の撮像情報に基づいて車両周囲の障害物を認識する。報知対象認識部11は、障害物のうちディスプレイ上に表示される報知対象について障害物の位置等から認識する。また、報知対象認識部11は、例えば、ナビゲーションシステムの地図情報に基づいて、交通規制情報等の報知対象を認識する。報知対象認識部11は、報知対象を認識した場合、フロントガラスW上における報知対象の数及び対象種類を認識する。対象種類とは、例えば、車両、歩行者、情報(例えば交通規制情報)の種類である。
視線状態判定部12は、ドライバモニタカメラ3の撮像情報に基づいて、運転者の視線状態が中心視状態であるか周辺視状態であるかを判定する。視線状態判定部12は、例えば、ドライバモニタカメラ3の撮像情報に基づいて、運転者の視線位置等の視線情報を記憶している。視線状態判定部12は、例えば、ドライバモニタカメラ3の撮像情報に基づいて、運転者の右眼の眼球回転角及び左眼の眼球回転角から運転者の視線状態が中心視状態であるか周辺視状態であるかを判定する。眼球回転角は、例えば、運転者が予め設定されたキャリブレーション面を見たときの眼球の状態を基準にし、当該状態から眼球(黒目)が何度回転しているかによって表される角度である。キャリブレーション面は、例えばドライバの前方の位置する、車両前後方向に垂直な面とすることができる。具体的に、視線状態判定部12は、運転者の右眼の眼球回転角及び左眼の眼球回転角の単位時間当たりの統計量の最頻値(ピーク値)の差異を算出し、この差異が予め設定された閾値以上の場合には運転者が周辺視状態であると判定し、差異が閾値未満の場合には運転者が中心視状態であると認識する。その他、視線状態判定部12は、周知の手法により運転者の視線状態を判定してもよい。また、申告情報認識部10及び視線状態判定部12は、必ずしも両方有する必要はなく、何れか一方のみ有していてもよい。
周辺視誘導要否判定部13は、運転者に対する周辺視誘導の要否を判定する。周辺視誘導要否判定部13は、例えば、入力操作受付部6に入力された運転者情報、視線状態判定部12による運転者の視線状態の判定結果、及びディスプレイ上における報知対象の数に基づいて、周辺視誘導の要否を判定する。
周辺視誘導要否判定部13は、例えば、運転者が入力操作受付部6に周辺視可能と申告(入力)した場合又は視線状態判定部12が運転者は周辺視状態と判定した場合において、報知対象の数が予め設定された対象数閾値以上であるときに、周辺視誘導が必要であると判定する。周辺視誘導要否判定部13は、例えば、運転者が入力操作受付部6に周辺視不能と申告し、且つ、視線状態判定部12が運転者は周辺視状態ではないと判定した場合、又は、報知対象の数が対象数閾値未満である場合に、周辺視誘導が不要であると判定する。対象数閾値とは、周辺視誘導の要否を適切に判定するために設定された閾値である。対象数閾値は、例えば4である。なお、周辺視誘導要否判定部13は、報知対象の数が対象数閾値未満である場合に、中心視誘導が必要であると判定してもよい。
また、周辺視誘導要否判定部13は、運転者による申告と視線状態判定部12の判定結果の両方を用いる必要はなく、何れか一方のみを採用してもよい。すなわち、周辺視誘導要否判定部13は、視線状態判定部12の判定結果を用いることなく、運転者が入力操作受付部6に周辺視不能と申告した場合に、周辺視誘導が不要であると判定してもよい。或いは、周辺視誘導要否判定部13は、運転者による申告を用いることなく、視線状態判定部12が運転者は周辺視状態ではないと判定した場合に、周辺視誘導が不要であると判定してもよい。
周辺視誘導要否判定部13は、報知対象の種類に基づいて、周辺視誘導又は中心視誘導の要否を判定してもよい。周辺視誘導要否判定部13は、例えば、報知対象の種類(歩行者、他車両、交通規制情報等の種類)に基づいて、形状等の詳細を把握することが重要であると判定した場合、中心視誘導が必要と判定する。具体的に、周辺視誘導要否判定部13は、報知対象が歩行者であって移動していない場合(モーションがない場合)は、運転者が気づきにくいことから中心視誘導が必要と判定してもよい。同様に、周辺視誘導要否判定部13は、報知対象と車両との相対速度が予め設定された速度閾値(例えば10km/h)より小さい場合、中心視誘導が必要と判定してもよい。周辺視誘導要否判定部13は、報知対象が文字等で表わされる情報(例えば交通規制情報等)であり、運転者が情報内容を認識するために注視する必要がある場合には、中心視誘導が必要と判定してもよい。周辺視誘導要否判定部13は、例えば、報知対象が他車両であり、車両(自車両)との相対速度が予め設定された閾値より大きい場合は、ディスプレイ上における報知対象の動きも速いため、広い範囲を認知でき、動きの認知に強い周辺視状態への周辺視誘導が必要と判定してもよい。周辺視誘導要否判定部13は、例えば、報知対象の数が予め設定された対象数閾値以上であったとしても、報知対象の種類に基づいて周辺視誘導の対象となる報知対象の数が一つの場合は、周辺視誘導を不要と判定してもよい。その他、周辺視誘導要否判定部13は、報知対象の種類と数との組み合わせを総合的に判断して、周辺視誘導又は中心視誘導の要否を判定してもよい。
視線誘導部14は、周辺視誘導要否判定部13により周辺視誘導が必要であると判定された場合、ディスプレイ上において周辺視誘導を実施する。視線誘導部14は、ディスプレイ上において少なくとも二つの報知対象を運転者の周辺視野Pに含む周辺視状態となるように運転者の視線状態を誘導する。具体的に、視線誘導部14は、図3に示されるように、ディスプレイ上における全ての報知対象が運転者の周辺視野Pに含まれる位置にアイコンMを表示してもよい。更に、視線誘導部14は、ディスプレイ上における運転者の現在の視線位置からアイコンMに向かうように矢印Nを表示してもよい。
また、視線誘導部14は、周辺視誘導要否判定部13により中心視誘導が必要であると判定された場合、ディスプレイ上において中心視誘導を実施する。視線誘導部14は、例えば、ディスプレイ上における運転者の現在の視線位置から、報知対象に向かう矢印等を表示することによって、報知対象の中心視誘導を実施する。また、視線誘導部14は、ディスプレイ上において運転者の現在の視線位置と報知対象とを結ぶ直線の延長上に×印等の強調表示を行うことで、運転者が現在の視線位置から強調表示の位置まで視線を移動させる間に報知対象を認知させるようにしてもよい。この場合も、運転者の中心視野Cを用いて報知対象を認知させる中心視誘導に含まれる。なお、視線誘導部14は、運転者が視線を向けていない報知対象が二つ以上存在する場合、それぞれの報知対象に順に中心視誘導を実施してもよい。この場合、視線誘導部14は、報知対象の種類又は報知対象と車両との距離等に基づいて報知対象の優先度(例えば危険度)を設定し、優先度の高い報知対象から中心視誘導を実施してもよい。報知対象の優先度の設定については、周知の手法を採用することができる。視線誘導部14は、表示部7に制御信号を送信することにより中心視誘導又は周辺視誘導を実施する。
次に、認知補助装置1の制御について図面を参照して説明する。認知補助装置1は、例えば、運転者が周辺視可能であるか否かを判定する周辺視可否判定と、周辺視可否判定の結果に応じた視線誘導の制御と、を行う。
図4は、認知補助装置1の周辺視可否判定を示すフローチャートである。認知補助装置1は、例えば、報知対象を認識する度に、図4に示す周辺視可否判定を実施する。或いは、認知補助装置1は、車両の運転中に、予め設定された周期(例えば数日)毎に周辺視可否判定を実施してもよい。図4に示されるように、認知補助装置1の認知補助ECU2は、ステップS101において、運転者が入力操作受付部6に申告(入力)した運転者情報の登録内容に基づいて、運転者は周辺視可能と登録されているか否かを判定する。認知補助ECU2は、運転者が周辺視可能と登録されていると判定した場合(S101:YES)、ステップS102に移行する。
ステップS102において、認知補助ECU2は、運転者は周辺視可能であると判定する。認知補助ECU2は、運転者が周辺視可能であるとの判定結果を登録(記憶)する。一方、認知補助ECU2は、運転者が周辺視可能と登録されていない場合(S101:NO)、ステップS103に移行する。
ステップS103において、認知補助ECU2は、ドライバモニタカメラ3の撮像情報に基づいて、運転者の視線状態を検出する。その後、ステップS104において、認知補助ECU2は、視線状態判定部12により運転者の視線状態を判定する。視線状態判定部12は、視線状態の検出結果に基づいて、運転者の視線状態が中心視状態であるか周辺視状態であるかを判定する。認知補助ECU2は、視線状態判定部12により運転者の視線状態が周辺視状態であると判定した場合(S104:NO)、上述したステップS102に移行する。
一方、認知補助ECU2は、視線状態判定部12により運転者の視線状態が周辺視状態ではないと判定した場合(S104:YES)、ステップS105に移行する。ステップS105において、認知補助ECU2は、運転者は周辺視不能であると判定する。認知補助ECU2は、運転者が周辺視不能であるとの判定結果を登録する。
次に、認知補助ECU2は、報知対象認識部11により報知対象を認識した場合、運転者の認知補助の制御を実施する。ここで、図5は、運転者が周辺視不能であると判定した場合の認知補助装置の制御を示すフローチャートである。認知補助ECU2は、報知対象認識部11により報知対象を認識した場合であって、上述した周辺視可否判定において運転者は周辺視不能と判定したとき、図5に示す制御を実施する。
図5に示されるように、認知補助ECU2は、報知対象を認識した場合、ステップS201として、報知対象認識部11により報知対象の数を認識する。次に、ステップS202として、認知補助ECU2は、周辺視誘導要否判定部13により報知対象の数が予め設定された対象数閾値以上であるか否かを判定する。認知補助ECU2は、報知対象の数が予め設定された対象数閾値以上であると判定した場合(S202:YES)、ステップS203に移行する。ステップS203において、認知補助ECU2は、運転者が周辺視不能であり、対象数閾値以上の数の報知対象について中心視誘導を行うことは適切ではないことから、視線誘導(中心視誘導及び周辺視誘導の両方)を不実施とする。
一方、認知補助ECU2は、報知対象の数が予め設定された対象数閾値未満であると判定した場合(S202:NO)、ステップS203に移行する。ステップS203において、認知補助ECU2は、中心視誘導が必要と判定して中心視誘導を実施する。認知補助ECU2は、例えば、対象数閾値未満の数の報知対象のそれぞれについて中心視誘導を実施する。
続いて、図6は、運転者は周辺視可能と判定した場合の認知補助装置の制御を示すフローチャートである。認知補助ECU2は、報知対象認識部11により報知対象を認識した場合であって、上述した周辺視可否判定において運転者は周辺視可能と判定したとき、図6に示す制御を実施する。
図6に示されるように、認知補助ECU2は、報知対象を認識した場合、ステップS301として、報知対象認識部11により報知対象の数を認識する。次に、ステップS302として、認知補助ECU2は、周辺視誘導要否判定部13により報知対象の数が予め設定された対象数閾値以上であるか否かを判定する。
認知補助ECU2は、報知対象の数が予め設定された対象数閾値未満であると判定した場合(S302:NO)、ステップS303に移行する。ステップS303において、認知補助ECU2は、中心視誘導が必要(周辺視誘導は不要)と判定して、視線誘導部14により中心視誘導を実施する。認知補助ECU2は、例えば、対象数閾値未満の数の報知対象のそれぞれについて中心視誘導を実施する。
一方、認知補助ECU2は、報知対象の数が予め設定された対象数閾値以上であると判定した場合(S302:YES)、ステップS304に移行する。ステップS304において、認知補助ECU2は、報知対象認識部11による報知対象の種類の認識を行う。その後、認知補助ECU2は、周辺視誘導要否判定部13により報知対象の種類に基づいて周辺視誘導の要否を判定する。認知補助ECU2は、例えば、報知対象の種類が全て交通規制情報であった場合、文字の情報は中心視状態で認知することが好ましいことから、周辺視誘導は不要であると判定する。認知補助ECU2は、例えば、報知対象の種類として他車両又は歩行者が対象数閾値以上含まれる場合、周辺視誘導が必要であると判定する。認知補助ECU2は、周辺視誘導が不要であると判定した場合(S305:NO)、上述したステップS303に移行する。
一方、認知補助ECU2は、周辺視誘導が必要であると判定した場合(S305:YES)、ステップS306に移行する。ステップS306において、認知補助ECU2は、視線誘導部14による周辺視誘導を実施する。視線誘導部14は、例えば、ディスプレイ上において少なくとも二つの報知対象を運転者の周辺視野Pに含む周辺視状態となるように運転者の視線状態を誘導する。視線誘導部14は、全ての報知対象を運転者の周辺視野Pに含む周辺視状態となるように運転者の視線状態を誘導してもよい。
以上説明した本実施形態に係る認知補助装置1によれば、ディスプレイ上における報知対象の数に基づいて、運転者の視線状態を周辺視状態に誘導する周辺視誘導が必要であると判定した場合に、運転者に対して周辺視誘導を行うことにより、中心視誘導を行う場合と比べて、複数の報知対象を運転者に対して早期に認識させることができる。従って、この認知補助装置1によれば、運転者に対してディスプレイ上の報知対象の早期の認知を補助することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。本発明は、適切な条件下で周辺視誘導を実施すればよく、中心視誘導については必ずしも行う必要はない。また、図4に示すフローチャートにおいて、S101とS104は、必ずしも両方実施する必要はなく、何れか一方のみ実施してもよい。また、図5及び図6に示すフローチャートにおいて、報知対象の数の認識(S201、S301)及び報知対象の種類の認識(S304)は、別々のステップではなく、一つのステップで行われていてもよい。また、報知対象の数及び種類の認識は、報知対象の存在を認識した際に行われていてもよい。
1…認知補助装置、2…認知補助ECU、3…ドライバモニタカメラ、4…レーザレーダ、5…ステレオカメラ、6…入力操作受付部、7…表示部、10…申告情報認識部、11…報知対象認識部、12…視線状態判定部、13…周辺視誘導要否判定部、14…視線誘導部、A1,A2…他車両、B1,B2…歩行者、C…中心視野、E…視線中心、M…アイコン、N…矢印、P…周辺視野、W…フロントガラス。

Claims (2)

  1. 車両の運転者によるディスプレイ上の報知対象の認知を補助する認知補助装置であって、
    前記ディスプレイ上における前記報知対象の数に基づいて、周辺視誘導の要否を判定する周辺視誘導要否判定部と、
    前記周辺視誘導要否判定部により前記周辺視誘導が必要と判定された場合、前記ディスプレイ上において少なくとも二つの前記報知対象を前記運転者の周辺視野に含む周辺視状態に前記運転者の視線状態を誘導する前記周辺視誘導を行う視線誘導部と、
    を備える認知補助装置。
  2. 前記車両に設けられたドライバモニタカメラの撮像情報に基づいて、前記運転者の視線状態が中心視状態であるか周辺視状態であるかを判定する視線状態判定部を更に備え、
    前記周辺視誘導要否判定部は、前記視線状態判定部が前記運転者の視線状態は前記周辺視状態であると判定した場合において、前記報知対象の数が予め設定された対象数閾値以上であるときに、前記周辺視誘導が必要であると判定する、請求項1に記載の認知補助装置。
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