JP6475936B2 - エンコーダスケールおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
この際、銅はガラスに付着しにくいので、銅製電極とガラス基板との間には、接合性を改善するための接合層が配置される。銅とガラスとのいずれにも親和性の良好な接合層としては、クロムが広く用いられている。
ッドにはガイド部が形成される。
ガイド部は、回転自在のローラを有するとともに、ガラス基板の表面には接合層で覆われずにガラスが露出している帯状のガイド面が形成されている。ローラがガイド面を転動することで、エンコーダヘッドはエンコーダスケールに対して一定の間隔を保持されつつ、エンコーダスケールの長手方向へ円滑にスライドすることができる。
エンコーダスケール104の製造では、まず、ガラス製の基板141上に接合層142を成膜し、接合層142上に電極層143を形成する。次に、電極層143にレジスト144を貼付し、フォトリソグラフィ法等を用いて、所定のマスクパターンを形成する。
以上の工程まで完了した状態が図5(A)に示す状態である。
また、接地のための帯電防止電極142Bを基板141上に設ける工程が別途必要であった。このように、従来のエンコーダスケール104は、多くの製造工程を必要としていた。
しかし、絶縁体である基板は帯電しやすい。基板の帯電は、放電やノイズの原因となるため好ましくない。
本発明では、導電性を有する導電層が基板の一面に形成されているので、基板の一面で電気が発生しても、静電誘導の原理により、電荷が導電層に引き寄せられて、基板と導電層とが電気的に中和される。すなわち、導電層が従来の帯電防止電極の機能を果たして基板の帯電を防止することができる。導電層の材料として、例えばクロムを用いる。
また、導電体に用いられる銅等は、腐食しやすいので、絶縁体から成る保護膜で覆う必要があるが、導電体とともに導電層も保護膜で覆ってしまうと接地のための結線ができなくなる。この点に関し、本願発明では、導電層が基板の平面視において導電体よりも広く形成されているので、導電体を保護膜で覆うときに、導電層の一部を露出させることで、導電層を容易に接地させることができる。
導電体の材料として銅を用い、導電層の材料としてクロムを用いた場合には、両者の導電性の差が大きい。このため、導電体において電磁誘導現象が発生して電流が誘導されていても、導電層においては電流がほとんど誘導されない。このように、導電体と導電層の導電性の差を大きくすることにより、従来のエンコーダスケールでは必要とされていた導電層をエッチングする工程を省略することができ、製造工程の少ない簡単な構成とすることができる。
さらに、基板の材料と導電体の材料とが接合しにくい組み合わせの場合には、導電層を従来の接合層のように用いて、基板と導電体との接合を補助することも可能である。
本発明によれば、導電層は接地されているので、導電層下の基板を導電層と同じく基準電位に維持することができる。
本発明によれば、導電層は、基板の一面における一の領域全体に形成されているので、導電層を導電体と同じ形状に形成する従来のエンコーダスケールと比較して、導電層を形成する製造工程を少なくすることができる。
また、基板の一面における他の領域は露出している。例えば基板をガラス基板とした場合には、基板の露出した面は十分な硬度を有する。したがって、ピックアップコイルをエンコーダスケールに対してスライドさせるためのガイドのローラを、基板の露出した面上で転動させることができる。
前述した従来のエンコーダスケールが製造方法と比較すると、本発明の製造方法には、接地のための帯電防止電極を基板上に形成することに関する数工程や、導電層の一部の領域を除去する工程を必要としていない。したがって、その分、製造工程を少なくすることができる。
図1は、本発明のエンコーダスケール4を備える電磁誘導式リニアエンコーダ1を示す斜視図である。電磁誘導式エンコーダとしての電磁誘導式リニアエンコーダ1は、測定方向Xに沿って延びるメインスケール2と、このメインスケール2に対して測定方向Xに相対移動するように設けられたエンコーダヘッド3とを備えている。
初めに、蒸着、スパッタリング等の真空成膜法により、基板41上に導電層42を形成する。導電層42は、例えば50nm〜100nmの厚みを有し、導電性を有するクロムから成る。
ここまでの工程が完了した状態が、図4(A)に示す状態である。
なお、本実施形態では、保護膜45が導電層42に対してX方向側に短い構成で説明したが、X方向と直交する方向側に短い構成としても良い。
また、導電層42は基板41の一面のガイド面41Aを除く部分全体に形成されているので、導電層42による基板41の電気的な中和を広い範囲で確実に行うことができる。
一方、基板41の導電層42に覆われていない部分はガイド面41Aになっており、基板41の一側面41Bもガラス面が露出しているので、第1ローラ34と第2ローラ35とを基板41に直接接した状態で転動させることができる。
ガラス製の基板41と銅製の導電体43Aとを接合する(密着させる)導電層42が、基板41を電気的に中和する導体としても機能するので、従来の帯電防止電極142Bに相当する構成を省略することができ、その分、製造工程を少なくすることができる。
また、前述した従来のエンコーダスケール104と異なり、導電体43Aをマスクとして導電層42エッチングする工程が不要であるため、その分、製造工程を少なくすることができる。
例えば、前記実施形態では、導電体43Aの形状が角環状のコイルパターンであったが、他の形状でもよく、例えば、中実の方形や円形であってもよく、左右に折れ曲がったジグザグ形状であってもよい。つまり、電気が通る島状のものであれば、形状は上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、実施形態では、基板41の材料がガラスであったが、硬い絶縁体であればよく、例えば、セラミック、サファイアまたは石英であってもよく、樹脂であってもよい。
また、前記実施形態では、導電体43Aの材料が銅であったが、電気抵抗が小さい材料であればよく、例えば、金や銀であってもよい。
前記実施形態では、導電層42の材料がクロムであったが、電気抵抗が導電体43Aよりも大きく、電磁誘導の現象が発生しにくい材料であればよく、例えば、ニッケルやチタンであってもよい。
Claims (4)
- 電磁誘導式エンコーダに設けられたエンコーダスケールにおいて、
基板と、
当該基板の一面に形成された導電性を有する導電層と、
当該導電層上に形成され、誘電用電極を構成する導電体と、
前記導電体を覆う保護膜と、を備え、
前記導電層は、前記基板の平面視において前記導電体よりも広く形成され、かつ、前記保護膜から部分的に露出している
ことを特徴とするエンコーダスケール。 - 請求項1に記載のエンコーダスケールにおいて、
前記導電層は、前記保護膜から露出している部分に接地線が接続されることにより、接地されている
ことを特徴とするエンコーダスケール。 - 請求項1または請求項2に記載のエンコーダスケールにおいて、
前記導電層は、前記基板の一面における一の領域に形成されており、前記基板の一面における他の領域は露出している。
ことを特徴とするエンコーダスケール。 - 電磁誘導式エンコーダに設けられたエンコーダスケールの製造方法において、
基板上の所定の領域に導電層を形成するステップと、
前記導電層上に電極層を形成するステップと、
前記電極層の一部をレジストで覆うステップと、
前記電極層の前記レジストで覆われていない部分を除去することにより導電体を形成するステップと、
前記レジストを除去した後、除去されることなく基板上に残される前記導電層が部分的に露出するように、前記導電体を覆う保護膜を形成するステップと、を含む
ことを特徴とするエンコーダスケールの製造方法。
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