以下、本発明の実施形態として、遊技機の一種であるパチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」という。)を詳細に説明する。図1はパチンコ機10の正面図、図2はパチンコ機10を前方から見た斜視図、図3及び図4はパチンコ機10の主要な構成を展開して示す斜視図、図5は中間ユニット13の正面図である。なお、図3及び図5では便宜上パチンコ機10の遊技領域23a内の構成を省略している。
パチンコ機10は、図3に示すように、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11に対して前方に回動可能に取り付けられた遊技機本体12と、を有する。外枠11は、木製の板材を上辺及び下辺とし、アルミ製の板材を左右の辺とした四辺を固定した枠状に形成される。パチンコ機10は、外枠11を島設備に取り付け固定することにより遊技場に設置される。なお、パチンコ機10において外枠11は必須の構成ではなく、外枠11又は外枠11と同一の内形を有し、外枠11の遊技機本体12支持構造及び施錠構造を有する部材が遊技場に備え付けられた構成としても良い。
遊技機本体12は、図3に示すように、中間ユニット13と、その中間ユニット13の前方に配置される前扉枠14と、中間ユニット13の後方に配置される裏パックユニット15とを備えている。遊技機本体12のうち中間ユニット13が外枠11に対して回動可能に支持されている。
中間ユニット13には、図3に示すように、前扉枠14が回動可能に支持されており、正面視で左側を回動基端側(開閉基端側)とし、右側を回動先端側(開閉先端側)として前方へ回動可能とされている。また、中間ユニット13には、図4に示すように、裏パックユニット15が回動可能に支持されており、正面視で左側を回動基端側(開閉基端側)とし、右側を回動先端側(開閉先端側)として後方へ回動可能とされている。
中間ユニット13には、図3に示すように、その回動先端部に施錠機構16が設けられており、遊技機本体12を外枠11に対して開放不能に施錠状態とする機能と、前扉枠14を中間ユニット13に対して開放不能に施錠状態とする機能を有している。これらの各施錠状態は、図1に示すようにパチンコ機10前面にて露出させて設けられた施錠機構16のキーシリンダに対して、解錠キーを用いて解錠操作を行うことにより、それぞれ解除される。
中間ユニット13は、図3に示すように、外形が外枠11とほぼ同一形状をなす枠状の枠ユニット21を主体に構成されている。枠ユニット21は、前面側より遊技盤23が着脱可能に取り付けられる内枠としての機能を有し、この遊技盤23に形成される遊技領域23aが中間ユニット13の前面側に露出可能に取り付けられる。遊技領域23a内の様子は、図3に示すように、前扉枠14の背面側に設けられた窓パネルユニット30を通じてパチンコ機10前方から視認可能となっている。
前扉枠14は、中間ユニット13の前面側に回動可能に取り付けられている。前扉枠14の回動基端側には、図2に示すように、前扉取付金具57,58が設けられ、この前扉取付金具57,58が中間ユニット13に係合することにより、中間ユニット13に対して前扉枠14が回動可能に支持される。
前扉枠14は、図2及び図3に示すように、中間ユニット13と外形がほぼ同一の長方形状に形成されている。前扉枠14には、窓パネルユニット30の外周縁が正面視で露出しないように窓パネルユニット30より小さく開口形成された窓部14aが設けられる(図2参照)。この窓部14aが窓パネルユニット30によって背面側から覆われることで、窓パネルユニット30を取り付けた前扉枠14によって中間ユニット13の前面側のほぼ全域が覆われる。
窓パネルユニット30は、図3に示すように、窓部14aより大きな外形で透明性を有する前後一対の透明ガラス31,32と、これら透明ガラス31,32を一体化する固定枠33とを備えている。固定枠33は、合成樹脂により透明ガラス31,32より一回り大きな環状に形成され、透明ガラス31,32の外周縁が固定枠33に接着されることで窓パネルユニット30は一体化された複層ガラスとされている。
なお、窓パネルユニット30は、透明ガラス31,32によって無色透明に形成されているが、これに限定されることはなく合成樹脂によって無色透明に形成されていてもよく、パチンコ機10前方から窓パネルユニット30を通じて遊技領域23aを視認可能であれば無色透明でなく有色透明に形成されていても良い。
前扉枠14において窓部14aの周囲には、図1に示すように、発光手段としての発光ダイオード(LED)等を内蔵した電飾部24が複数設けられている。これら電飾部24では、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて点灯や点滅が行われる。また、窓部14aの上側の電飾部24には、払出球が不足する等の所定のエラー時に点灯するLEDと、賞球払出中に点灯するLEDとが内蔵されている。また、窓部14aの右上側及び左上側には、多数の穴が形成された金属板等により構成された音出力部27が設けられ、音出力部27の奥側には、遊技状態に応じた効果音などを出力するスピーカが内蔵されている。
前扉枠14における窓部14aの下方には、図2に示すように、手前側へ膨出した上側膨出部28と下側膨出部29とが上下に並設されている。上側膨出部28には上方に開口した上皿28aが設けられており、下側膨出部29には同じく上方に開口した下皿29aが設けられている。上皿28aは、払出装置224より払い出された遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら遊技球発射機構110側へ導く機能を有している。また、下皿29aは、上皿28a内にて余剰となった遊技球を貯留する機能を有している。なお、上皿28aと下皿29aとに分けて複数箇所に遊技球を貯留する部位を設ける必要はなく、下皿29aを廃止して上皿28aのみとした1つの貯留部のみを有する構成としても良い。
上側膨出部28における上皿28a(遊技球の貯留領域)の手前側には、遊技者らにより手動操作される入力装置41が取り付けられている。入力装置41は、図柄表示装置94の表示画面94a等にて遊技者の操作に対応した演出が行われる場合に使用される操作装置であり、押下操作や回転操作といった複数種類の操作が可能な操作部を有している。
下皿29aは、前扉枠14の下側部分において正面視左側にずれて設置され、下皿29aに対して正面視右側には、略矩形の箱状に形成され、平面状の音出力部29bが前面側に向けて形成されたスピーカ収容部29cが設けられている。スピーカ収容部29cは、下側膨出部29の一部分として下皿29aに連続して形成され、スピーカ収容部29cの内部には、遊技状態に応じた効果音などを出力するスピーカが収容されている。前扉枠14においては、上部2カ所に設置された音出力部27と、下部に設置された音出力部29bとの合計3カ所から効果音などが出力される。
前扉枠14における下側膨出部29の右側には、図2に示すように、手前側へ突出するようにして発射操作装置45が設けられている。発射操作装置45は、遊技領域23aに遊技球を発射すべく操作される装置であり、図2に示すように、操作ベース46に対して、環状の操作ハンドル47が回転可能に軸支されてなり、遊技球の発射操作に際して操作ハンドル47が遊技者により回転操作されるものである。この場合、操作ハンドル47の回転操作量は、操作ベース46に内蔵された操作量検出手段としての可変抵抗器により検出される。また、発射操作装置45には、操作ハンドル47を遊技者が触れていることを検知するためのタッチセンサが操作ベース46に内蔵されるとともに、操作ハンドル47を回転操作した状態において遊技球の発射を停止させるために操作される停止操作レバー48が設けられている。
前扉枠14の背面側には、図3に示すように、通路形成ユニット50が取り付けられている。通路形成ユニット50は、合成樹脂により成形されており、上皿28aに通じる前扉側上皿通路部51と、下皿29aに通じる前扉側下皿通路部52と、ファール球通路部55を有している。通路形成ユニット50の上側隅部には後方に突出し上方に開放された払出球受口部53が形成されており、当該受口部53が仕切壁54によって左右に仕切られることで前扉側上皿通路部51の通路入口と前扉側下皿通路部52の通路入口とがそれぞれ形成されている。
ファール球通路部55は、遊技球発射機構110から発射された遊技球のうち遊技領域23aまで至らなかった遊技球をファール球として下皿29aに排出する通路を形成する部位である。ファール球通路部55には、図3に示すように、上方に開放されたファール球受口部56が設けられる。このファール球受口部56よりファール球が受け入れられ、前扉側下皿通路部52にファール球が案内されることにより、ファール球通路部55に入った遊技球は下皿29aに排出される。なお、ファール球通路部55は、下皿29aでなく、上皿28aに接続され、ファール球が上皿28aに排出される構成としても良い。
遊技球発射機構110は、図3に示すように、前扉枠14を開放した場合に前面側に露出される部品であり、中間ユニット13の前面側右下部分に設けられている。この遊技球発射機構110は、図5に示すように、発射装置として設けられた電磁式の発射用ソレノイド111と、発射レール112と、球送り装置113とを備えている。球送り装置113は、上皿28aに貯留された遊技球を発射レール112上に1個ずつ供給する。この場合、この供給される遊技球は発射用ソレノイド111において打出し部として設けられたプランジャ114の突出経路上に配置される。そして、発射用ソレノイド111への電気的な信号の入力により、プランジャ114が発射レール112上の遊技球に向けて移動し、当該遊技球は遊技領域23aに向けて打出される。なお、遊技球発射機構110の電動アクチュエータは、発射用ソレノイド111に限定されることはなく、発射モータなどを用いても良い。
中間ユニット13の左側であって発射レール112の左方には、図5に示すように、皿通路形成部材121が配設されている。枠ユニット21には、皿通路形成部材121が設けられる部位を前後方向に貫通する貫通孔が設けられ、この貫通孔を前面側から覆うようにして皿通路形成部材121は、枠ユニット21にネジ止めされている。
皿通路形成部材121は、図5に示すように、本体側上皿通路部122と本体側下皿通路部123とを有している。前扉枠14が閉鎖状態とされた場合には、皿通路形成部材121の下側部分に前扉枠14に設けられる通路形成ユニット50の払出球受口部53(図3参照)が入り込む。そして、本体側上皿通路部122の下方には前扉側上皿通路部51が配置され、本体側下皿通路部123の下方には前扉側下皿通路部52が配置される。
皿通路形成部材121の下側部分には、図5に示すように、本体側上皿通路部122及び本体側下皿通路部123からの遊技球の流出を規制するシャッタ124が設けられている。シャッタ124は、両通路の出口部分を狭め遊技球の流出を阻止する阻止位置と、遊技球の流出を許容する許容位置との両位置に切り替え可能に設けられる。また、枠ユニット21には、シャッタ124を阻止位置に向けて付勢する付勢部材が取り付けられ、前扉枠14を中間ユニット13に対して開いた状態では付勢部材の付勢力によってシャッタ124が阻止位置に留まる構成となっている。これにより、本体側上皿通路部122又は本体側下皿通路部123に遊技球が貯留されている状態で前扉枠14を開放した場合に、その貯留球がこぼれ落ちてしまうといった不都合が回避されている。これに対し、前扉枠14を閉じた状態では、前扉枠14の通路形成ユニット50に設けられた払出球受口部53の外周部分により上記付勢力に抗してシャッタ124が許容位置に押し戻される。この状態では、本体側上皿通路部122及び前扉側上皿通路部51が連通し、本体側下皿通路部123及び前扉側下皿通路部52が連通して、遊技球の流下が許容される。
次に、遊技領域23aを形成する遊技盤23の構成を、図6に基づいて説明する。図6は遊技盤23の正面図である。
遊技盤23は、透明な合成樹脂製の板材と同板材の前側又は後側の板面を覆うシート材とを有する遊技板23bを備えており、その外周部分を除くほぼ全域が枠ユニット21の前面側に露出している。この露出している部位、すなわち遊技盤23の前面には、遊技球が流下する遊技領域23aが形成されている。上記したように遊技領域23aは透明ガラス31,32によって前面側が覆われているため、後側の透明ガラス32によって遊技領域23aの前面側が区画される。また、遊技領域23aの背面側は遊技板23bの前面によって区画される。なお、遊技板23bを構成する板材は、木製の合板や一枚板で形成しても良い。
遊技領域23aは、正面視において遊技盤23のほぼ全域に渡る上下及び左右方向の寸法に設定され、右下部分のみが右下側に突出した略円形状に形成されている。遊技領域23aは、その外周が誘導レール100及び区画部材107により区画されている。誘導レール100は、遊技盤23の前面左側部分に固定される円弧状の内レール101と外レール102とからなり、これら内レール101と外レール102とにより遊技領域23aの左側に円弧状の誘導通路103を形成する。
誘導通路103の下側端部には、誘導通路103の入口部104が形成され、この入口部104と発射レール112とは離間して設けられる(図5参照)。誘導通路103の上側端部には、誘導通路103の出口部105が形成され、その出口部105には遊技領域23aに到達した遊技球の誘導通路103内への戻りを防止する戻り防止部材106が取り付けられている。
発射操作装置45(図1参照)の操作ハンドル47が遊技者により手動操作された場合、中間ユニット13の右下部分に設けられた遊技球発射機構110(図5参照)から発射された遊技球は、誘導通路103を経由し、誘導通路103の出口部105において戻り防止部材106により閉鎖された遊技領域23aの入口を押し広げて遊技領域23a内に進入する。遊技球の発射力が弱すぎる場合には、遊技球が遊技領域23aまで至らず誘導通路103内で落下し始め、誘導通路103の入口部104と発射レール112との間に落下する。前扉枠14の閉鎖状態においては、この入口部104と発射レール112との間にファール球受口部56が配置され、遊技領域23aまで至らなかった遊技球はファール球通路部55を経由して下皿29aへ排出される。
区画部材107は、遊技領域23aの右側を区画するものであり、合成樹脂を成形して縦長に形成され、遊技板23bの前面にネジ止めされている。この区画部材107は、外レール102の上側における右側端部を起点とし、内レール101の下側における右側端部まで延在する大きさとされている。
区画部材107の上端部には、機種名等が印字された証紙107aが貼り付けられ、区画部材107の下端部には、メーカー名や製造番号などが印字された証紙107bが貼り付けられている。これら証紙107a,107bは、透明ガラス31,32を介してパチンコ機10前方から視認可能な位置に配置される。
遊技板23bには、ルータ加工が施されることによって前後方向に貫通する大小複数の貫通孔が形成されている。各貫通孔には、一般入賞口81、上可変入賞口82a、下可変入賞口82b、上作動口83a、下作動口83b及びスルーゲート84等の遊技球が入球する部位を形成する各部材が取り付けられ、また、センターフレーム85及び主表示装置96等が取り付けられている。
一般入賞口81、上下の可変入賞口82a,82b及び上下の作動口83a,83bへの入球が発生すると、それが遊技盤23の背面側等に配設された検知手段としてのセンサ(図示せず)により検知され、その検知結果に基づいて所定数の賞球の払い出しが実行される。この場合、上作動口83aへの入球が発生した場合及び下作動口83bへの入球が発生した場合には3個の賞球の払い出しが実行され、一般入賞口81への入球が発生した場合には10個の賞球の払い出しが実行され、可変入賞口82a,82bへの入球が発生した場合には15個の賞球の払い出しが実行される。但し、これら賞球の個数は任意であり、例えば上作動口83aに係る賞球個数よりも下作動口83bに係る賞球個数が多いといったように、両作動口83a,83bの賞球個数が相違しても良いし、上下の可変入賞口82a,82bについても両方とも同一の賞球個数であっても、異なる賞球個数であっても良い。また、可変入賞口82a,82bに係る賞球個数が他の賞球個数に比べて多い構成に限定されることはなく、例えば一般入賞口81に係る賞球個数と同一の構成としても良く、少ない構成としても良い。
遊技領域23aの中央部には、センターフレーム85が設けられ、センターフレーム85の後方には、図柄表示装置94が配置されている。図柄表示装置94は、表示画面94aにおいて絵柄の一種である図柄を変動表示(又は、可変表示若しくは切換表示)する装置であり、遊技板23bの背面側に取り付けられている。センターフレーム85は、正面視で図柄表示装置94の表示画面94aを囲むように設けられ、遊技板23bに前面側より取り付けられている。図柄表示装置94の前面側であってセンターフレーム85の後側には、ポリカーボネート等の透明な合成樹脂材料により形成された透明保護板が設けられ、図柄表示装置94の表示画面94aは、その透明保護板を介して前面側から視認可能とされている。
センターフレーム85の上部には、前面部分に装飾が施されて左右に並んで配置された装飾体85a,85bが設けられている。左右の装飾体85a,85bの前面には、2つが横並びになって一体的な対象物(例えば、機種名に対応する複数の文字や、横長のキャラクタ等)を表示することが可能なように、対象物を左右に分割することにより得られる部分的な装飾表示部が設けられている。また、左右の装飾体85a,85bの奥側には、発光ダイオード(LED)が設けられて、前面部分の対象物が発光可能とされている。
装飾体85a,85bのうち一部(右側部分)を構成する装飾体85bは、図柄表示装置94の表示画面94aに対して前側であって上方に位置し、装飾体85bの奥側に設置される駆動機構(図示せず)によって斜め下側に移動して表示画面94aに重なる位置(図6の一点鎖線で示す装飾体85b’の位置)まで移動可能とされている。2つの装飾体85a,85bに対して設けられるLEDや駆動機構といった電気部品は、音声発光制御装置143に電気的に接続され、音声発光制御装置143の制御によって表示画面94aの内容や大当たりのタイミングに応じて、2つの装飾体85a,85bの前面部分が発光すると共に、一方の装飾体85bが移動可能とされている。
遊技領域23aは、その中央部にセンターフレーム85が設けられることで、センターフレーム85の左右両側に区画され、遊技領域23aに発射された遊技球は、センターフレーム85の左側または右側のいずれか一方を流下する。遊技領域23aには、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の遊技釘としての釘87が植設され、風車等の各種部材(役物)が配設されている。
センターフレーム85の下側においては、遊技領域23aが左右方向に連続し、センターフレーム85を囲うように遊技球の経路が形成されている。センターフレーム85の左右いずれを流下した遊技球もセンターフレーム85の下側を経由し、遊技領域23aから排出される。
遊技領域23aの下部であって遊技盤23の最下部に相当する位置には、アウト口86が設けられている。遊技領域23aを流下して最終的に各種入賞口等に入らなかった遊技球はアウト口86を通って遊技領域23aから排出される。
ここで、入球とは、所定の開口部を遊技球が通過することを意味し、開口部を通過した後に遊技領域23aから排出される態様だけでなく、開口部を通過した後に遊技領域23aから排出されない態様も含まれる。但し、以下の説明では、アウト口86への遊技球の入球と明確に区別するために、一般入賞口81、上可変入賞口82a、下可変入賞口82b、上作動口83a、下作動口83b又はスルーゲート84への遊技球の入球を、入賞とも表現する。
上作動口83a及び下作動口83bは、センターフレーム85に対して下側に設けられ、上可変入賞口82a及び下可変入賞口82bは、センターフレーム85の上側に重なって設けられている。スルーゲート84は、センターフレーム85に対して左側と右側にそれぞれ設けられている。
上作動口83a及び下作動口83bは、表示画面94aいずれも上向きに開放されている。また、上作動口83aと下作動口83bが上から順に並んで配置され、その下にアウト口86が配置されている。
下作動口83bは、通常は閉鎖状態(非サポート状態又は非ガイド状態)になっており、スルーゲート84の遊技球の通過に基づく抽選に当選した場合に開放状態(サポート状態又はガイド状態)となる。下作動口83bの閉鎖状態では遊技球が下作動口83bへ入賞できず、下作動口83bの開放状態となると下作動口83bへの入賞が可能となる。
上可変入賞口82a及び下可変入賞口82bは、上から下に向かって遊技球が流下可能な遊技領域23aに対して遊技板23bの位置する後側に連続し、常には閉鎖した状態の入口部分が必要に応じて開放可能に構成されている。具体的には、上可変入賞口82a及び下可変入賞口82bは、通常は遊技球が入賞できない閉鎖状態になっており、大当たり当選といった開閉実行モード(特別遊技状態)への移行当選となった際には、その当選によって開放される可変入賞口82a,82bの位置、開放回数及び開放時間といった開放態様についても抽選により決定され、移行当選に対応した可変入賞口が遊技球の入賞しやすい所定の開放状態に切り換えられる。
可変入賞口82a,82bの開放態様としては、所定時間(例えば30秒間)の経過又は所定個数(例えば10個)の入賞を1ラウンドとし、複数ラウンド(例えば15ラウンド)を上限として、上下の可変入賞口82a,82bの一方が繰り返し開放される場合、各可変入賞口82a,82bが交互に開放される場合、一方の可変入賞口が1回又は複数回開放された後に、別の可変入賞口が1回又は複数回開放される場合等が例示される。また、開放時間としては、遊技球が複数個入賞可能な1秒以上継続する長時間の開放の他、ほとんど遊技球が入賞し得ない短時間の開放を含む構成としても良く、1回又は複数回の短時間の開放のみに対応した大当たり当選や、短時間の開放と長時間の開放とを含む大当たり当選が設定されていても良い。なお、上下の可変入賞口82a,82bに関する構成詳細については、図10以降を参照して後述する。
図柄表示装置94では、上作動口83a又は下作動口83bへの入賞に基づいて図柄の変動表示が開始される。図柄表示装置94における変動表示は、正面視で視認可能な視認可能領域において行われ、例えば上、中及び下に並べて図柄が表示され、これらの図柄が左右方向にスクロールされるようにして変動表示されるようになっている。そして、予め設定されている有効ライン上に所定の組み合わせの図柄が停止表示された場合には、開閉実行モードが発生することとなる。この図柄表示装置94における変動表示は、主表示装置96のメイン表示部において行われる変動表示に合わせて行われる。
センターフレーム85に対して左下側には、遊技の状態を表示する主表示装置96が設けられる。主表示装置96は、複数の発光部が並んで配列されてなる表示器を有する構成とされ、遊技領域23aの外側に相当する外レール102の外側に設けられ、その前面側には、例えば、左上側からメイン表示部、役物用表示部、状態表示部、保留表示部等が順に設けられる。
メイン表示部では、上作動口83a又は下作動口83bへの入賞をトリガとして絵柄の変動表示が行われ、その変動表示の停止結果として、上作動口83a又は下作動口83bへの入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が表示によって明示される。本パチンコ機10では、上作動口83aへの入賞と下作動口83bへの入賞とが内部抽選において区別され、上作動口83a又は下作動口83bのいずれの入賞に基づいて行われた内部抽選の結果であるかがメイン表示部にて明示される。そして、上作動口83a又は下作動口83bへの入賞に基づく内部抽選の結果が開閉実行モードへの移行に対応した当選結果であった場合には、各作動口83a,83bにおける当選結果に対応した所定の停止結果が表示されて変動表示が停止し、その後に、開閉実行モードへ移行する。上作動口83aへの入賞と下作動口83bへの入賞とは、当選によって得られる特典に差異が設けられ、可変入賞口82a,82bの開放態様(ラウンド数や1ラウンドにおける開放時間)、時短遊技状態への移行確率等、当選後に遷移する遊技状態が入賞した作動口によって異なる場合がある設定とされ、遊技が複雑化されている。ここで、いずれかの作動口83a,83bへの入賞に基づいて、メイン表示部及び図柄表示装置94にて変動表示が開始され、所定の停止結果を表示し上記変動表示が停止されるまでが遊技回の1回に相当する。
なお、複数の作動口83a,83bが設けられる場合に、必ずしも作動口によって当選後に遷移する遊技状態を異ならせる必要はなく、同一の抽選条件にて抽選を実行し、同一の確率で各遊技状態へ移行する設定としても良い。また、必ずしも複数の作動口を設ける必要はなく、1の作動口のみを有する構成としても良い。
役物用表示部では、スルーゲート84への入賞をトリガとして絵柄の変動表示が行われ、その変動表示の停止結果として、スルーゲート84への入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が表示によって明示される。スルーゲート84への入賞に基づく抽選結果が電役開放状態への移行に対応した当選であった場合には、役物用表示部にて所定の停止結果が表示されて変動表示が停止された後に、電役開放状態へ移行する。電役開放状態では、下作動口83bが所定の態様で開放状態となる。
状態表示部は、遊技状態の変化に対応した表示が行われる部位である。状態表示部では、メイン表示部にて所定の停止結果が表示されることで遊技状態が開閉実行モードへ移行した場合や、その所定の停止結果の表示後における遊技回が所定回数に到達する等して遊技状態が開閉実行モード前の通常状態に移行した場合に、その遊技状態の変化が表示によって明示される。また、状態表示部では、開閉実行モードの移行当選となった場合に可変入賞口82a,82bの開放態様として複数種類に設定されたラウンド数のうち移行当選となったラウンド数が表示によって明示される。
保留表示部は、遊技球が上作動口83a又は下作動口83bに入賞した個数及び遊技球がスルーゲート84を通過した回数のうち未だ遊技が実行されていない保留状態の遊技回数を表示によってそれぞれ明示する。遊技球が上作動口83a又は下作動口83bに入賞した個数及び遊技球がスルーゲート84を通過した回数はそれぞれ最大4個まで保留され、保留表示部によって各保留数がそれぞれ表示される。保留表示部の保留数に対応した情報は、図柄表示装置94の表示画面にも表示され、保留数が数字又はキャラクタの個数などにより表示される。
なお、メイン表示部、役物用表示部、状態表示部及び保留表示部等は、複数の発光部が所定の態様で配列されてなる表示器により構成されているが、これに限定されることはなく、一部または全ての表示部を液晶表示装置、有機EL表示装置、CRT、セグメント表示器又はドットマトリックス表示器等その他のタイプの表示装置によって構成しても良い。また、メイン表示部及び役物用表示部にて変動表示される態様として、絵柄としての複数種の文字が変動表示される構成、複数種の記号が変動表示される構成、複数種のキャラクタが変動表示される構成又は複数種の色が切り換え表示される構成等、他の態様としても良い。
次に、遊技機本体12の背面側の構成について、図4に加え、図7から図9を参照しながら説明する。図7は中間ユニット13の背面図、図8は裏パックユニット15の背面図、図9はパチンコ機10の背面図である。
中間ユニット13には、図7に示すように、枠ユニット21によって開口形成される前後に貫通した遊技盤収容部21aが設けられ、この遊技盤収容部21aを通じて中間ユニット13の背面側には遊技盤23の背面側に搭載される各種部品が露出されている。
中間ユニット13の背面側には、図4に示すように、合成樹脂により形成された箱状の盤裏カバー141が設けられている。盤裏カバー141は、遊技盤23の背面のほぼ全域にわたって設けられ、遊技盤23の背面側に設けられる各種部品を、埃の進入、遊技球の衝突、或いは遊技盤23の搬送時における周辺部分との衝突から保護すると共に、遊技球の入賞を検知するセンサ等を狙った不正を防止する機能を有している。
中間ユニット13の背面側中央部には、図4に示すように、表示制御装置142と音声発光制御装置143とが左右に並んで設けられ、その下側には、遊技の主たる制御を司る主制御装置160が設けられている。表示制御装置142は、図柄表示装置94の表示制御を司るものであり、音声発光制御装置143は、主制御装置160からの指示に従って音声やLED、ランプ等の表示制御及び表示制御装置142の制御を司るものである。
主制御装置160は、図7に示すように、遊技の主たる制御を司る機能(主制御回路)と、電源を監視する機能(停電監視回路)とを有する主制御基板と、基板を収容するために設けられた透明性を有する樹脂製の基板ボックス163を備えている。また、主制御装置160には、基板ボックス163の開放に際して痕跡を残す痕跡手段としての開放封印部164が設けられている。当該開放封印部164は解除操作を一度行うと再結合を不可とするものであり、結果的に主制御装置160の基板ボックス163は一度開放操作を行うと、再度封印状態とすることが不可となっている。
主制御装置160の背面視左側端部には、図7に示すように、取付封印部165が設けられている。取付封印部165は、遊技板23b側に設けられる支持部材と主制御装置160とを固定し、主制御装置160の取り外しに際して痕跡を残す痕跡手段として機能する。取付封印部165には、最初に主制御装置160を取り付けるための固定部品以外に、予備用の固定部品が3組設けられ、主制御装置160の点検作業における一時的な取り外しや主制御装置160の交換が最大3回まで痕跡を残して実行可能とされている。
主制御装置160の背面視左部には、RAM消去スイッチ166が設けられている。本パチンコ機10は、各種データの記憶保持機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。例えば遊技場の営業終了時に通常手順で電源を遮断した場合には遮断前の状態が記憶保持され、RAM消去スイッチ166を押しながら電源を投入すると、RAMデータが初期化されるようになっている。
枠ユニット21の背面における回動基端側(図7の右側)には、上下に離間して支持金具132が設けられ、各支持金具132の上端部において貫通穴が設けられた軸受け部133によって中間ユニット13に対して裏パックユニット15が回動可能に取り付けられる。また、枠ユニット21の背面には、裏パックユニット15を中間ユニット13に固定するための固定レバー134が回動先端側(図7の左側)に複数設けられている。
次に、裏パックユニット15について説明する。裏パックユニット15は、図8に示すように、透明性を有する合成樹脂により形成された裏パック201と、払出ユニット202と、外部端子板203とを備えている。
裏パック201は、図8に示すように、裏パック201の周縁部を構成する裏ベース部211と、裏ベース部211の後側に開口する部分を覆うようにして形成された保護カバー部212とを有している。裏ベース部211と保護カバー部212とにより、裏パック201は、左右側面と上面の全部、背面の上部が閉鎖されて前方側が開放した収容空間を形成し、この収容空間内に遊技盤23の背面側に搭載される各種部品として、図柄表示装置94や制御装置142,143等を収容する。保護カバー部212の下側部分には、前後方向に貫通した開口部212aが形成されている。なお、裏パック201は、枠ユニット21と別部品で構成される必要はなく、枠ユニット21と一体的に、例えば、樹脂により枠ユニット21と一体成形されて前側が開口した部品の一部として裏パック201に相当する部分を構成しても良い。
外部端子板203は、図8に示すように、後方から見た裏パックユニット15の右上側端部に設けられている。外部端子板203は、パチンコ機10の状態を遊技場の管理コンピュータに認識させるために、所定の信号出力を行うための基板である。外部端子板203には、出力端子として、開閉実行モード中に信号出力するための出力端子、下作動口83bが高頻度で開放状態となる電役開放状態中に信号出力するための出力端子、払出ユニット202において遊技球が不足した場合に信号出力するための出力端子、所定個数の賞球を払い出す毎に信号出力するための出力端子、所定個数の遊技球を貸し出す毎に信号出力するための出力端子、外枠11に対する中間ユニット13の開放時に信号出力するための出力端子、中間ユニット13に対する前扉枠14の開放時に信号出力するための出力端子などが設けられている。
裏パックユニット15における背面視右側端部には、図8に示すように、上下一対の掛止ピン204が取り付けられている。この掛止ピン204を中間ユニット13側の軸受け部133に挿通させることで、裏パックユニット15が掛止ピン204を中心にして中間ユニット13に対して回動可能に支持される。裏ベース部211における掛止ピン204が配置されていない反対側の端部には、中間ユニット13に設けられた固定レバー134が挿通される挿通部211aが上下に形成されている。固定レバー134が挿通部211aに挿通されて90度回転させた状態にすることで、固定レバー134の一部が裏ベース部211に後方から当接し、中間ユニット13に裏パックユニット15が固定される。また、裏パックユニット15の前面下側における中央部にも、固定レバー135(図4参照)が設けられ、中間ユニット13側に設けられる挿通部21b(図5参照)に挿通されてから回転操作することで、中間ユニット13に対して裏パックユニット15の下側中央部が固定される。
裏パックユニット15は、上記したとおり、中間ユニット13の背面に対して回動可能に軸支されている。裏パックユニット15を中間ユニット13に対して背面側から重ね合わせた状態では、図9に示すように、主制御装置160の大半は開口部212aを介して背面側に露出し、主制御装置160の一部は保護カバー部212により覆われている。主制御装置160の上端部には他の制御装置と電気的に接続するためのコネクタ及び配線が設けられ、この配線に関する部位や開放封印部164及び取付封印部165の一部が保護カバー部212に覆われる。このため、主制御装置160の視認性を高めつつ、不正行為の抑制及び遊技球の衝突による破損防止等を実現している。主制御装置160の上側に配置される音声発光制御装置143等は、保護カバー部212により全体が覆われている。
裏パックユニット15は、図8に示すように、保護カバー部212を迂回するようにして裏ベース部211に取り付けられている払出ユニット202を備えている。払出ユニット202は、裏パック201の最上部に設けられて遊技球を貯留可能に上方に開口したタンク221と、タンク221内の遊技球を下流側に向けて案内可能に緩やかに傾斜するタンクレール222と、タンクレール222の下流側にて上下方向に遊技球を案内するケースレール223と、ケースレール223の最下流部に設けられる払出装置224とを有し、これらが連結することでタンク221に補給された遊技球を必要数分だけ払出装置224の下流側に払い出し可能とされている。払出装置224によって払い出された遊技球は、払出装置224の下流側に設けられた裏側通路部225に供給される(図4参照)。
裏側通路部225には、払出装置224より払い出された遊技球を上皿28a、下皿29a又はタンク球排出通路の何れかに振り分けるための3つの通路が形成されている。これら通路のうち、裏パック201の中央側に位置する通路が上記した本体側上皿通路部122及び前扉側上皿通路部51を介して上皿28aに通じ、その外側の通路が本体側下皿通路部123及び前扉側下皿通路部52を介して下皿29aに通じ、更に外側の通路がタンク球排出通路とされている。払出装置224によって払い出された遊技球は、上皿28aの通路に優先して案内され、その通路が遊技球で満たされると、その通路から分岐した下皿29aに通じる通路に遊技球が案内される。タンク球排出通路は、ケースレール223の操作部223aに対して排出操作を行うことにより、タンク221からケースレール223の途中までの間に貯留された遊技球が払出装置224を経由せずに裏パックユニット15の下端に設けられる排出口から排出される。
裏ベース部211の背面側下端部には、図8に示すように、各種制御装置等で要する所定の電力を生成して出力する電源装置241と、払出制御装置242とが前後に重ねて取り付けられている。電源装置241は、裏ベース部211の横幅全域にわたって設けられている。裏ベース部211の背面視右下側端部には、電源スイッチ245が設けられている。パチンコ機10へは電圧変換器を介して例えば交流24ボルトの主電源が供給され、電源スイッチ245の切換操作によりパチンコ機10の電源がON又はOFFとされる。
払出制御装置242は、払出ユニット202を通じた遊技球の払い出しを制御するための装置である。払出制御装置242は、基板を収容するために設けられた透明性を有する基板ボックス243に払出制御基板を収容して構成されており、その開放に際しては痕跡を残す痕跡手段として開放封印部244が設けられている。開放封印部244は解除操作を一度行うと再結合を不可とするものであり、結果的に払出制御装置242の基板ボックス243は一度開放操作を行うと、再度封印状態とすることが不可となっている。
裏ベース部211の前面側すなわち中間ユニット13側の下部には、図4に示すように、上方に開口した横長の球入口213と、側方に開口した球入口214とを上流側端部とする発射球排出通路が設けられている。遊技領域23aを流下しいずれかの開口を介して遊技盤23の背面へと導かれた遊技球は、2つの球入口213,214のいずれかを経由して発射球排出通路内へ進入する。発射球排出通路の出口部分は裏パックユニット15の下端面に遊技球1個分の幅で開口して形成され、遊技領域23a内に発射された遊技球は全て発射球排出通路を経由して遊技場の島設備に排出される。発射球排出通路の途中には、遊技球を検知する検知センサが設けられ、遊技領域23a内に発射された遊技球数に対応した信号が外部端子板203を介して出力される。
次に、上下の可変入賞口82a,82bに関する具体的構成について、図10以降を主に参照して説明する。図10(a)は、遊技盤23の入賞装置300周辺を示す正面図であり、図10(b)は、図10(a)のA−A線における断面図である。なお、図10(a)においては、入賞装置300の前側を覆う板状部分を省略し、図10(b)においては、遊技球の流下領域321に関する部材を模式的に示すと共に、上下の開閉部材302,303を一点鎖線で示し、遊技領域23aを流下する遊技球の進行方向を示す矢印を併せて示している。
入賞装置300は、遊技領域23aの上部に位置するように遊技板23bに取り付けられる装置であり、合成樹脂製のセンターフレーム85の後側に入賞装置300の前側部分が複数のネジにより固定され、センターフレーム85が遊技板23bの前面にネジ止めされることによって入賞装置300が遊技板23bに固定されている。入賞装置300は、上可変入賞口82a及び下可変入賞口82bが前後方向に貫通して形成されるベース部材301と、上可変入賞口82a及び下可変入賞口82bのそれぞれに対して取り付けられる上側開閉部材302及び下側開閉部材303と、各開閉部材302,303を動作させるための駆動機構(図示せず)とを備えている。駆動機構は、主制御装置160の制御によって動作するソレノイドやモータにより構成される駆動源(図示せず)と、駆動源の駆動力を各開閉部材302,303に伝達する合成樹脂製の回動部材(図示せず)等により構成されている。
上可変入賞口82aは、横長略矩形状に形成されており、その奥側には、遊技領域23aから後方側に連続する遊技球の通路が連続している。上側開閉部材302には、上可変入賞口82aの内形に対して僅かに小さな略同一形状の外形に形成された上開閉板部302aが設けられている。上開閉板部302aは、合成樹脂製の上側開閉部材302の一部として前後方向に厚みを有する板状に形成されている。上側開閉部材302には、上開閉板部302aの下端部分における左右両端面において左右両側方に突出した軸部分を有し、上可変入賞口82aに対して回動可能な状態にてベース部材301に支持されている。
下可変入賞口82bは、上可変入賞口82aの下側において、横長略矩形状に形成されている。下可変入賞口82bは、上可変入賞口82aに比べて左右の両側において短く形成されている。下可変入賞口82bに対して左右両外側には、上面が下可変入賞口82aの位置する側に向かって下降傾斜した傾斜面を有する誘導壁部311がセンターフレーム85の一部として設けられ、下可変入賞口82bの真上から外れて流下する遊技球についても誘導壁部311によって下可変入賞口82bの前側を流下する。
下可変入賞口82bには、その内形に対して僅かに小さな略同一形状の外形に形成された下開閉板部303aが設けられている。下開閉板部303aは、合成樹脂製の下側開閉部材303の一部により形成され、前後方向に厚みを有する板状に形成されている。下側開閉部材303には、下開閉板部303aの下端部分における左右両端面において左右両側方に突出した軸部分を有し、下可変入賞口82bに対して回動可能な状態にてベース部材301に支持されている。
遊技領域23aのうち上下の可変入賞口82a,82bの周辺において遊技球が流下する流下領域321は、正面視(パチンコ機10及び遊技盤23の正面視であり、以下同様)において上可変入賞口82aの上方から下可変入賞口82bの下側に連続し、下可変入賞口82bの下側にて右方に連続して形成されている。正面視における流下領域321の外周は、上下の可変入賞口82a,82bに対して左右両外側に位置するセンターフレーム85の一部としての壁部312,313により区画されている。
流下領域321を形成する左側の壁部312の最上部312aに対して左斜め下方向には、同方向側に連続してセンターフレーム85の外形を形成する外周壁部314が連続している。左側の壁部312の最上部312aを越えない程度の強さで遊技領域23aに発射された遊技球は、センターフレーム85に対して左側を流下し、左側の壁部312の最上部312aを越えるのに十分な強さで遊技領域23aに発射された遊技球は、右側の壁部313の上端部に配置されるゴム製のストッパ315に衝突し、上下の可変入賞口82a,82bに対して上方側から流下領域321内へ進入する。特別遊技状態となって上可変入賞口82a又は下可変入賞口82bが開放される期間中には、遊技者は、流下領域321を流下するように遊技球を発射させることにより、多数の遊技球を入賞させて大当たりの当選により得られる遊技価値としての賞球を得ることができる。
上可変入賞口82aに対して上側においては、左右の壁部312,313の上端部によって流下領域321への入口部分が形成されている。この入口部分に対して下側には、入口部分より左右方向に次第に横長となる外周縁部316aに沿ってベース部材301の一部が切除された形状とされ、流下領域321への入口側に開口した凹部316がベース部材301の上部に形成されている。
凹部316は、左右方向において上可変入賞口82aの形成される範囲が広く含まれるように、その範囲に対応して横長に形成され、凹部316を通じて遊技板23bの前面が遊技領域23a(流下領域321)に露出する構成とされている。この凹部316に相当する遊技板23bの前面には、図示しない釘が設置され、これにより、流下領域321を流下する遊技球に対して上可変入賞口82aに流入する遊技球の割合が設計仕様に応じた割合に微調整可能とされている。
流下領域321は、図10(b)に示すように、上可変入賞口82aの高さ位置に対応する部分を形成する傾斜領域322と、傾斜領域322に対して上側に連続する部分を形成する上部領域323と、傾斜領域322に対して下側に連続する部分を形成する下部領域324に区分される。
傾斜領域322は、後側(パチンコ機10及び遊技盤23の後方側)へ向かって下降傾斜し、上部領域323及び下部領域324は、傾斜領域322に比べて鉛直方向側に連続して形成されている。すなわち、上部領域323は、傾斜領域322の上端部であって、前後方向における傾斜領域322の前端部に連続し、下部領域324に対して上部領域323が前側に位置している。下部領域324は、傾斜領域322の下端部であって前後方向における傾斜領域322の後端部に連続し、上部領域323に対して下部領域324が後側に位置している。下部領域324に対して下流側においては、上部領域323に一致する前後位置まで前方斜め下側に連続する領域が設けられ、流下領域321を経由した遊技球は、遊技板23bの前側を再び流下する。
流下領域321の前面側には、窓パネルユニット30(透明ガラス32)及びセンターフレーム85の前面側カバー部331が上下方向に連続した遊技球の流路を形成する壁面を形成し、流下領域321の前面側が区画されている。流下領域321の背面側には、遊技板23b、ベース部材301及び上下の開閉部材302,303(上下の開閉板部302a,303a)の前側を向く複数の面が上下方向に連続した遊技球の流路を形成する壁面を形成し、流下領域321の背面側が区画されている。
傾斜領域322は、上開閉板部302aの上端部を除く部分及びベース部材301によって形成される前方斜め下側を向く略平面状の傾斜面322aによって背面側が区画されている。上部領域323は、遊技板23b、ベース部材301及び上開閉板部302aの上端部によって形成される略鉛直方向に沿って連続する前向き面323aによって背面側が区画されている。下部領域324は、下側開閉部材303及びベース部材301によって形成される略鉛直方向に沿って連続する前向き面324aによって背面側が区画されている。流下領域321は、上下の可変入賞口82a,82bに遊技球を誘導する上下の開閉部材302,303を設置し易くするために傾斜領域322を有する形状とされ、その構成及び作用効果については後述する。
次に、図11を参照して上下の可変入賞口82a,82bの開閉動作について説明する。図11は、上下の可変入賞口82a,82bの開閉動作を示す説明図であり、図11(a)は上下の可変入賞口82a,82bの閉鎖状態を示し、図11(b)は上可変入賞口82aの開放状態を示し、図11(c)は下可変入賞口82bの開放状態を示している。なお、図11(a)から図11(c)においては、入賞装置300の前側を覆う板状部分を省略して示している。
通常の遊技状態においては、上下の可変入賞口82a,82bは、図11(a)に示すように、いずれも閉鎖された状態となっている。具体的には、上下の可変入賞口82a,82bが上下の開閉板部302a,303aによって閉鎖され、両開閉板部302a,303aの前側を遊技球が流下可能となっている。
上可変入賞口82aを開放させるタイミングにおいては、主制御装置160の制御によって駆動機構から上側開閉部材302に駆動力が伝達される。この駆動力により、上開閉板部302aは、左右方向に沿った回動軸を中心に、下側部分が支持されつつ上側が前方に倒れるようにして動作する。上開閉板部302aが最大に開放すると、図11(b)に示すように、上可変入賞口82aの開放状態となる。上開閉板部302aの前側部分を含む大部分は、流下領域321内に突出し、流下領域321を流下する遊技球が上開閉板部302aによって上可変入賞口82a内へ誘導される。
上可変入賞口82aを閉鎖させるタイミングにおいては、主制御装置160の制御によって駆動機構から、開放時とは逆方向の駆動力が伝達される。この駆動力により、上開閉板部302aは、左右方向に沿った回動軸を中心にして、遊技領域23a内に突出していた部分が上方側に移動しつつ起立した状態に近づく。遊技領域23a内に突出していた上開閉板部302aが上可変入賞口82aの入口部分に収容されると、図11(a)に示すように、上可変入賞口82aの閉鎖状態となる。上可変入賞口82aの閉鎖状態においては、上開閉板部302aの前面部分が流下領域321の奥面(傾斜面322aの一部)を形成し、流下領域321を流下する遊技球は、上可変入賞口82aの前側を流下する。
下可変入賞口82bについても、上可変入賞口82aと同様に、主制御装置160の制御によって駆動機構からの駆動力が下側開閉部材303に伝達され、図11(a)及び図11(c)に示すように、開閉状態が切り替えられる。なお、下可変入賞口82bを開閉するための下側開閉部材303及び下開閉板部303aは、上可変入賞口82aを開閉するための上側開閉部材302及び上開閉板部302aと同様の構成であるため、開閉動作についての更なる説明は省略する。
次に、図12を参照して、上下の可変入賞口82aに関する構成について更に説明する。図12は、上下の可変入賞口82aの閉鎖状態を示す説明図である。なお、図12においては、上下の可変入賞口82a,82bの周辺部分のみを模式的に断面視して示すと共に、上可変入賞口82aの奥側に続く遊技球の通路を模式的に示している。また、図12においては、流下領域321を構成する各領域322〜324は、高さ方向における領域の区分を一点鎖線により示し、窓パネルユニット30の背面に相当する透明ガラス32の背面を太い一点鎖線により示し、遊技領域23aを流下する遊技球とその進路を示す矢印を併せて示している。
流下領域321は、ベース部材301と、センターフレーム85の一部である前面側カバー部331との間に形成されている。ベース部材301と前面側カバー部331とは、いずれも流下領域321を形成する互いに対向する面部分が略平面状にて略平行に形成されている。前面側カバー部331は、透光性を有する材料により形成されており、前面側カバー部331と透明ガラス32とを通じて、遊技球の流下する流下領域321や、上下の可変入賞口82a,82bの開閉動作を遊技者が視認可能とされている。
ベース部材301と前面側カバー部331との前後方向における間隔は、遊技球の直径より僅かに広く設定され、それらの間を遊技球が流下する。流下領域321は、上記したように、上側開閉部材302に対応する高さ位置において下流側ほど後側に位置するように、後方側に下降傾斜した傾斜領域322を有し、傾斜領域322の上端部より上流側に上部領域323が鉛直上方に連続し、傾斜領域322の下端部より下流側に下部領域324が鉛直下方に連続する形状とされている。
上側開閉部材302の上開閉板部302aは、閉鎖状態に対応する位置(第2位置)に配置された状態において上可変入賞口82aの開口部分を閉塞し、具体的には、遊技球が上可変入賞口82a内へ進入不能なように上可変入賞口82a内に位置している。ベース部材301は、前後方向においてネジ等により一体化された複数の構成体301a〜301dを組みあわせて構成され、ベース部材301の後側部分によって上可変入賞口82aの奥側に続く遊技球の通路が形成されている。その遊技球の通路の奥側には、上可変入賞口82aへの遊技球の入賞を検知する非接触式のセンサ304が設けられている。
また、上側開閉部材302の上開閉板部302aは、遊技領域23aの一部を構成する傾斜領域322の背面側の壁面を形成している。すなわち、上側開閉部材302は、上開閉板部302aの一部として、傾斜領域322の傾斜方向に沿って連続し、前方斜め下側を向く後側傾斜面341を有しており、後側傾斜面341によって傾斜領域322の背面の一部が形成されている。
前面側カバー部331は、上開閉板部302aに対向する表面が後方斜め上側を向き、前側において上側に位置し、斜め下側に連続して形成されたカバー傾斜壁部332を有し、その背面によって前側傾斜面332aが形成されている。前側傾斜面332aは、傾斜領域322の前面を形成する部位であり、傾斜領域322を流下する遊技球の前側において中心より下側を支持し、後方斜め下側に向かって遊技球を流下させる。
前面側カバー部331の前側には、前面側カバー部331の表面を含む遊技領域23aの全体を覆うようにして、2枚の透明ガラス31,32を有する窓パネルユニット30が設けられている。窓パネルユニット30と、前面側カバー部331との間には、カバー傾斜壁部332の傾斜に沿って上側ほど次第に前後の隙間幅が狭まる形状とされた装飾空間DSが設けられている。装飾空間DSにおけるカバー傾斜壁部332より下側に相当する部分は、前後幅が略一定の空間が下方に連続している。この装飾空間DSには、通常状態において下側開閉部材303を覆う高さ位置(重複位置)に配置され、図示しない駆動機構の制御により通常状態に対して下方に移動可能な装飾体85bが設置されている。
装飾体85bは、通常状態より下方に移動可能な移動量として、下側開閉部材303の前側から完全に外れた動作位置(図6の一点鎖線で示す装飾体85b’の位置)まで移動可能とされている(図6参照)。装飾体85bを動作させる駆動機構は、音声発光制御装置143の制御により演出の効果音や図柄表示装置94の表示内容に同期して動作する。装飾体85bの後側に位置する下側開閉部材303は、複数の遊技球が入賞可能なラウンドより短い短時間の開放(遊技球がほとんど入賞し得ない程度の開放であり、例えば、0.5秒以下の開放)を実行する場合があり、かかる場合において、遊技者から下可変入賞口82bの開放が必要に応じて視認できるように、装飾体85bが動作位置に移動する制御が実行される。
装飾体85bは、重複位置において、その上端が上可変入賞口82aの下端より下側に位置する高さに配置されている。このため、装飾体85bは、上可変入賞口82aの前側に重なることがなく、上側開閉部材302は、前面側カバー部331と2枚の透明ガラス31,32を通じて、遊技者から常に視認可能とされている。よって、上側開閉部材302(上開閉板部302a)の前面は、下側開閉部材303(下開閉板部303a)に比べて視認し易い設定とされている。
上下の開閉部材302,303における各開閉板部302a,303aの前面側には、塗装や印刷等の表面処理により機種に特有のキャラクタや模様が装飾として付され、上開閉板部302aの一部である後側傾斜面341にも装飾が付されている。後側傾斜面341に付された装飾は、上可変入賞口82aの閉鎖状態において常に遊技者から視認可能とされている。また、上下の開閉板部302a,303aの周辺部分を形成するベース部材301の表面(前面)には、各開閉板部302a,303aの単体より正面視で大きな対象物を表示するために、上下の開閉板部302a,303aの一方又は両方の前面部に付された装飾を一部とする対象物の残り部分に対応する装飾が付され、上下の開閉板部302a,303aの一方又は両方と、ベース部材301の表面とによって一体的な対象物が大きなサイズで表示可能とされている。
ここで、上側開閉部材302(上開閉板部302a)の後側傾斜面341は、前方斜め下側を向いているので、自重により遊技領域を流下する遊技球が上開閉板部302aの前側を通過する際に、上開閉板部302aに遊技球が衝突し難くなる。すなわち、自重に反する方向に向かって遊技球が進行しない限り、上開閉板部302aに遊技球が衝突し得ないので、上開閉板部302aに対して遊技球が接触する機会を少なくすることができ、偶然に上開閉板部302aに遊技球が衝突した場合であっても、その遊技球の衝突による衝撃を小さくすることができる。よって、上側開閉部材302の上開閉板部302aに対して施された装飾に対しての遊技球の衝突による装飾の損傷を少なくすることができるし、上側開閉部材302に必要な強度を低く設定することができるので、上側開閉部材302を軽量に薄く形成することができ、上側開閉部材302の設計自由度を高めたり、上側開閉部材302やベース部材301、或いは、上側開閉部材302の駆動機構を低コストで製造し易くしたりすることができる。例えば、下側開閉部材303によって開閉される下可変入賞口82bの横幅に比べて上側開閉部材302によって形成される上可変入賞口82aの横幅を長く形成しつつ、駆動機構の駆動源としてのソレノイドは共通の部材を使用し易くすることができる。
また、傾斜領域322が後方斜め下側に傾斜して設けられているので、傾斜領域322の前側を上端部分とする装飾空間DSを流下領域321の前側に容易に設置することができる。この装飾空間DSは、遊技球の前側に位置しているので、装飾空間DSに設置される装飾体85bは遊技者から視認し易く設置しつつ、遊技球の流下領域321は十分に確保することができる。
また、装飾空間DSには、変位動作が可能な装飾体85bが設置され、その後側における下可変入賞口82bの視認し易さを装飾体85bの配置位置に応じて変化させることができるので、遊技者が視認し難い状態としていた下可変入賞口82bの視認性を必要なタイミングにおいて一時的に高めることができる。このため、多様な遊技性に対応した下可変入賞口82bを形成し易くすることができる。例えば、短時間の下可変入賞口82bの開放が実行される場合だけでなく、下可変入賞口82bの開放動作が実行されない状況においても装飾体85bを動作させる制御を音声発光制御装置143の制御に付加することにより、短時間の下可変入賞口82bの開放を遊技者が認識し難いように構成することができる。
前面側カバー部331において前側傾斜面332aの上側には、後方側に突出する突条部333が前面側カバー部331における上部領域323に相当する高さ位置にて流下領域321側に突出形成されている。突条部333は、左右方向において上可変入賞口82aの形成される範囲全体を覆う長さにて横長に形成され、前側傾斜面332aにおいて流下領域321を形成する表面の上方に重なる位置に設けられている。このため、前面側カバー部331において流下領域321を形成する表面(流下領域形成面)のうち突条部333の下側を含む前側傾斜面332aの一部に遊技球が接触し難くなり、上開閉板部302aの前側傾斜面332aに遊技球の衝突による損傷を少なくすることができる。よって、前側傾斜面332aを介して遊技者が視認する上可変入賞口82aの開閉動作及び上開閉板部302aの装飾を長期間にわたって視認し易い状態に維持することができる。
次に、図13を参照して、上可変入賞口82aに関する構成について更に説明する。図13(a)は上可変入賞口82aの開放状態を示す説明図であり、図13(b)は上開閉板部302aの拡大図であり、図13(c)は上可変入賞口82aの閉鎖過程における上開閉板部302aの動作説明図である。なお、図13(a)においては、理解を容易にするために、上可変入賞口82aの奥側に続く遊技球の通路を模式的に示し、図13(b)においては、上可変入賞口82aの閉鎖状態における上開閉板部302aを示し、図13(c)においては、上開閉板部302aによって持ち上げられる遊技球を示すと共に、遊技球と上開閉板部302aの移動方向に対応する矢印を併せて示している。
上可変入賞口82aの開放状態においては、上開閉板部302aの上端部分に相当する先端部342は、前面側カバー部331の前側傾斜面332aに近接して配置されている。上開閉板部302aの先端部342と前面側カバー部331の前側傾斜面332aとの距離は、前側傾斜面332aによって遊技球の中心より下側に相当する前側下部を支持された遊技球が上開閉板部302aに支持され、遊技球の自重によって上可変入賞口82aの奥側へ進行可能な程度に近接している。また、上開閉板部302aにおいて装飾が施された後側傾斜面341とは逆の裏面が、先端部342から上可変入賞口82aに向かって遊技球の下側を支持する支持面343を形成し、上開閉板部302aの支持面343は、前側傾斜面332aに比べると緩い後方側への下り傾斜角度となって上可変入賞口82aの開放状態を形成している。
流下領域321へ進入した遊技球は、自重により下方に落下して傾斜領域322に進入する。流下領域321から傾斜領域322に進入する遊技球のうち、遊技板23bの前面に沿って後側を流下する遊技球は、カバー傾斜壁部332によって下側が支持されることなく、直接的に、上開閉板部302aの支持面343に接触し、支持面343の傾斜に沿って後方側へと誘導されて上可変入賞口82aへ入賞する。
流下領域321の前側を落下した遊技球は、傾斜領域322の上部においてカバー傾斜壁部332の後面(前側傾斜面332a)に接触し、カバー傾斜壁部332に下側を支持されつつ、僅かに後方に向かう斜め下側への傾斜領域322に沿って流下する。その後、上可変入賞口82aの前側に到達した遊技球は、傾斜領域322内に突出している上開閉板部302aの支持面343に接触し、上開閉板部302aの支持面343の傾斜に沿って後方へと誘導されて上可変入賞口82aへ入賞する。上可変入賞口82aの内部では、遊技球が一列に連なるようにして下流側へと進行し、上可変入賞口82aへの遊技球の入賞がセンサ304によって検知される。
このように、上開閉板部302aが開放状態に対応する位置(第1位置)に配置された状況においては、前面側カバー部331の前側傾斜面332aにより斜め下側に誘導される遊技球の下側には、上開閉板部302aの先端部342が近接し、上側開閉部材302の上開閉板部302a(支持面343)により遊技球が前側傾斜面332aと同一の誘導方向側に相当する後方に誘導されて、上可変入賞口82aに遊技球が入賞する。このため、下側部分が支持されずに重力のみが作用して落下する遊技球が上開閉板部302aに衝突する場合に比べて、上側開閉部材302に対する遊技球の衝撃力を低減することができる。
また、傾斜領域322に進入した遊技球のうち、上側開閉部材302の支持部分から遠い位置に接触する遊技球についてはカバー傾斜壁部332に接触した後に、上開閉板部302aに接触する。支持部分から離れた位置に遊技球が衝突した場合に支持部分に発生する衝撃力が高くなるため、かかる場合には、カバー傾斜壁部332に一旦遊技球が支持されることにより上開閉板部302aに対する衝撃力を低減することができ、衝撃力を効果的に抑制することができる。
また、上可変入賞口82aの開放状態においては、前側傾斜面332aと上開閉板部302aとが、いずれも後方側に下り傾斜する遊技球の流路を形成している。このため、遊技球の流下領域が鉛直上方に連続するか、僅かに前側に下り傾斜する場合に比べて、それら前側傾斜面332aと上開閉板部302aとによって形成される遊技球の進路の角度変化を少なくすることができる。よって、上可変入賞口82aの入口部分で遊技球が上下の入口縁部分に衝突を繰り返して暴れるといった状況を回避して、上可変入賞口82a内へ遊技球を迅速に進入させることができる。
また、上可変入賞口82aの閉鎖状態では、上側開閉部材302の上開閉板部302aの前に、前面側カバー部331の前側傾斜面332aと上側開閉部材302の上開閉板部302aとによって傾斜領域322が形成され、上開閉板部302aが閉鎖状態において予め斜めに配置されている(図12参照)。このため、上開閉板部302aが垂直に起立して配置される場合に比べて、上側開閉部材302が閉鎖状態に対応する第2位置から開放状態に対応する第1位置に変位する場合に必要な角度変化(変位量)を小さく設定することができる。よって、上側開閉部材302の動作に必要な駆動機構として小容量のソレノイドを採用するなど、駆動機構の構成部品を選定し易くしたり、上側開閉部材302の変位動作を高速に設定し易くすることができる。
次に、上開閉板部302aの形状について更に説明する。図13(b)に示すように、上開閉板部302aの後側傾斜面341は、装飾を付した薄板シート状の装飾板の前面によって形成され、装飾板が合成樹脂製の上開閉板部302aの本体部分に接着等により一体化されて上開閉板部302aが構成されている。
上開閉板部302aの先端部342には、図13(b)に示すように、上可変入賞口82aの閉鎖状態において前側を向く上部前面344が形成され、その上部前面344の下端より後方斜め下側に装飾が施された後側傾斜面341が連続している。上部前面344と後側傾斜面341とが交差する稜線の高さ位置は、傾斜領域322の上端(詳細には、傾斜領域322の背面側と上部領域323の背面側との境界)の高さと略一致した設定とされ、上開閉板部302aの前面のうち上部前面344については上部領域323の背面側を形成し、後側傾斜面341は傾斜領域322の背面側を形成する。遊技者側から見た場合には、上部前面344と後側傾斜面341との境界に相当する稜線L1と、ベース部材301によって形成される上部領域323の前向き面323aと傾斜領域322の傾斜面322aとの境界に相当する稜線L2とが略同一の高さ位置に設定されている(図10(a)参照)。
上開閉板部302aにおいて上部前面344の裏面側に相当する支持面343の先端部は、上部前面344及び後側傾斜面341の裏側において連続する傾斜部分を形成し、全域において略平面状に形成されている。すなわち、上開閉板部302aは、上部前面344が設けられることにより先端部分が次第に薄くなる形状とされている。上可変入賞口82aの開放状態においては、上部前面344が前面側カバー部331の前側傾斜面332aに近接して対向した状態とされ、上開閉板部302aの先端部分における前側が切り欠かれたように薄く形成されている分、支持面343の先端部分を前側傾斜面332aに近づけて配置することができる。よって、上可変入賞口82aの開放状態において、前側傾斜面332aから支持面343へと遊技球が円滑に進行し、上可変入賞口82aへの入賞を迅速に発生させることができる。
また、上可変入賞口82aの閉鎖状態においては、図13(b)に示すように、上開閉板部302aの上側には、ベース部材301の表面が位置し、その表面が上開閉板部302aの上部前面344と略同一の前方を向くように上方に連続している。よって、上部前面344が設けられることにより、上可変入賞口82aの閉鎖状態においては、上可変入賞口82aの上端縁部分に不要に大きな凹み部分を形成する必要がなく、上可変入賞口82aの閉鎖状態における見栄えを良好なものとすることができる。更に、上部前面344と、その周辺部分(上側及び左右両側)との表面の向き及び前後位置についても略一致し、上部前面344の上側だけでなく、左右両側についても上部前面344と略同一の前方を向くように連続した形状となっているので、遊技者側から見た場合における上可変入賞口82aの閉鎖状態における見栄えを一層良好なものとし、また、上開閉板部302aと、その周辺部分を形成するベース部材301の表面とに付された一体的な装飾を見栄えの良いものとすることができる。
このように、遊技球を円滑に上可変入賞口82aへ入賞可能とするために上開閉板部302aの先端部に設けられた上部前面344は、上可変入賞口82aの閉鎖状態においてはベース部材301の表面と略同一方向側を向く部位にして見栄えを良好にする部位とすることができるのである。すなわち、上可変入賞口82aの閉鎖状態において上開閉板部302aの上端部分に相当する上部前面344が傾斜領域322より上方側に位置する高さに配置され、上開閉板部302aの高さ方向における途中部分から傾斜領域322が形成されている設定とすることにより、上可変入賞口82aに対しての遊技球の円滑な入賞と、良好な見栄えという複数種類の効果を奏するものとすることができる。
次に、上可変入賞口82aの閉鎖過程における上開閉板部302aの動作について説明する。図13(c)に示すように、上開閉板部302aの先端部342に遊技球が接触した状態において上可変入賞口82aが閉鎖されると、上開閉板部302aの先端部342によって遊技球が上側へ持ち上げられることとなる。この場合には、傾斜領域322を上流側へと遊技球が逆行することとなり、遊技球は、真上でなく、傾斜領域322に沿った前方斜め上方(図13(c)の遊技球に付した矢印方向)へと進行し得る。このため、遊技球の中心に相当する重心位置が上開閉板部302aの先端部342の進行方向に交差する方向側へ大きく移動し易くなり、上開閉板部302aと、上可変入賞口82aの入口部分との間に遊技球が挟み込まれる状況を防止することができる。
また、上開閉板部302aによる遊技球の上方への移動の際に、遊技球の一部は前面側カバー部331の前側傾斜面332aに接触した状態となり得る。この遊技球が前側傾斜面332aに接触して斜め下側が前側傾斜面332aに支持された状況においては、垂直に形成された流下領域を遊技球が流下する場合に比べて、上開閉板部302aの回動動作に必要な回動力を低く抑えることができる。よって、少ない駆動力で迅速に上可変入賞口82aを閉鎖することができる。
次に、図14を参照して、下可変入賞口82bに関する構成について更に説明する。図14は、下可変入賞口82bの開放状態を示す説明図である。なお、図14においては、理解を容易にするために、下可変入賞口82bの奥側に続く遊技球の通路を模式的に示し、窓パネルユニット30の背面に相当する透明ガラス32の背面と、装飾体85bの重複位置における外形を一点鎖線により示し、遊技領域23aを流下する遊技球とその進路を示す矢印を併せて示している。
下可変入賞口82bの開放状態においては、下開閉板部303aの先端部351は、前面側カバー部331の下側部分を形成する壁部334に近接している。下開閉板部303aの先端部351と前面側カバー部331の壁部334との距離は、その壁部334に前側が接触しつつ落下した遊技球であっても下開閉板部303aの上に支持されて、遊技球の自重によって下可変入賞口82bの奥側へ進行可能な程度に近接している。
下開閉板部303aにおいて装飾が施された前面とは逆の裏面側には、先端部351から下可変入賞口82bに向かって遊技球の下側を支持する支持面352が形成されている。下可変入賞口82bの開放状態において、下開閉板部303aの支持面352は、上可変入賞口82aの開放状態における上開閉板部302aの支持面352と略同一の角度にて後方側に下り傾斜する角度に設定されている。
また、下可変入賞口82bの開放状態においては、前側傾斜面332aと下開閉板部303aの支持面352(裏面)が同一方向側に下り傾斜する遊技球の流路を形成している。このため、遊技球の流下領域が鉛直上方に連続するか、僅かに前側に下り傾斜する場合に比べて、それら前側傾斜面332aと下開閉板部303aとによって形成される遊技球の進路の角度変化を少なくすることができる。よって、下可変入賞口82bの入口部分で遊技球が上下の入口縁部分に衝突してばたつくといった状況を回避して、下可変入賞口82b内へ遊技球を迅速に進入させることができる。
ここで、下可変入賞口82bは、その上端が傾斜領域322の後側に位置する高さに設定されている。すなわち、傾斜領域322の下端は、前側が低く、後側の方が高くなるように設定され、その前側部分の傾斜領域322下端部に対して後側に下可変入賞口82bの上端部分が位置する(図10(b)参照)。また、下可変入賞口82bは、傾斜領域322に対して傾斜領域322の連続する方向側に重なって開口されている。このため、下可変入賞口82bの開放状態においては、前面側カバー部331の前側傾斜面332aにより、傾斜領域322を後方斜め下側に向かって流下した遊技球は、下可変入賞口82bに向かって進行する。その進行した遊技球の少なくとも一部分が下可変入賞口82bの開口内に進入し、その後に、下側開閉部材303の下開閉板部303aの支持面352に衝突する。支持面352に衝突した遊技球は、支持面352の傾斜に沿って前側傾斜面332aと同一の方向側に相当する後方側に誘導されて、下可変入賞口82bに遊技球が入賞する。よって、入賞部内へ遊技球が迅速に進入し易く、且つ、鉛直下方に落下する遊技球が下開閉板部303aに衝突する場合に比べて、下側開閉部材303に対する遊技球の衝撃力を低減することができる。
また、下可変入賞口82bと傾斜領域322との高さ位置については、下可変入賞口82bの開口上縁が、傾斜領域322の背面側を形成する傾斜面322aの下端と略一致する高さに設定されている(図10(a)参照)。すなわち、下可変入賞口82bの開口上縁に対して左右両側に、傾斜領域322の傾斜面322aと下部領域324の前向き面324aとの境界に相当する稜線L3が略同一の高さ位置で略直線状に連続する外観形状となる。このため、下可変入賞口82bとその周辺部分との外観に連続性を持たせて、機能を重視したシンプルな外観の入賞口を実現すると共に、下開閉板部303aと、その周辺部分を形成するベース部材301の表面とに付された一体的な装飾を見栄えの良いものとすることができる。
また、下開閉板部303aは、下可変入賞口82bの閉鎖状態においては、傾斜領域322の連続する方向に沿った後方斜め下側に重なって配置されるので、上下の可変入賞口82a,82bが閉鎖された状況においては、下開閉板部303aの表面(前面)に遊技球が繰り返し衝突することとなり、表面が損傷し易くなる可能性がある。
これに対して、下開閉板部303aの前側には装飾空間DSが形成され、装飾空間DSに設けられる装飾体85bが下開閉板部303aの前側に重なる重複位置(図14の一点鎖線)に配置可能とされている。このため、下開閉板部303aの表面に損傷が生じても、遊技者側からは、装飾体85bによって下開閉板部303aの表面が視認され難く、パチンコ機10全体としての見栄えは一定以上の質感を維持することができる。
更に、下可変入賞口82bの開放状態においては、図14に示すように、装飾体85bが下開閉板部303aの前側に重ならない動作位置に移動するように、音声発光制御装置143に制御される。この下可変入賞口82bの開放状態においては、下開閉板部303aの表面は下側を向いて遊技者から視認し難くなるので、下開閉板部303aの表面の装飾が遊技球の繰り返しの衝突によって劣化したとしても、その装飾は遊技者から視認し難くすることができ、長期間にわたって下可変入賞口82b周辺部分の見栄えを良好なものとすることができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限られることはなく、例えば、以下に記載するように変形して実施しても良い。この場合に、以下に記載する各構成を上記実施形態に対して適用しても良く、以下に記載する複数の構成を組み合わせて上記実施形態に対して適用しても良い。
上記実施形態においては、上下の可変入賞口82a,82bを有する構成について説明したが、いずれか一方の可変入賞口を省略しても良く、この場合であっても傾斜領域322の後側又は斜め下側に可変入賞口を設置したことによる上記各効果を奏するものとすることができる。
傾斜領域322に対する上下の開閉板部302a,303aの高さ位置として、上記実施形態における高さ位置に必ずしも配置する必要はなく、上開閉板部302aの全体を傾斜領域322の後側に位置する配置としても良いし、下開閉板部303aの上端部分が傾斜領域322の傾斜面322aの一部を構成するように、上記実施形態に比べて傾斜領域322に対して高い位置に下開閉板部303aを配置しても良い。
上記実施形態においては、傾斜領域322を含む流下領域321を区画する壁面形状(例えば、ベース部材301、上下の開閉板部302a,303a、前面側カバー部331において遊技球に接触する面)は、貫通穴や深い溝のない略平面状に構成したが、必ずしも連続した平面によって形成する必要はなく、遊技球が通過する領域を区画可能な形状であれば他の形状でも良い。例えば、複数のスリットが貫通形成された格子形状によって流下領域を形成しても良いし、複数の貫通孔が千鳥格子状に形成された網目形状によって流下領域を形成しても良い。
上記実施形態においては、上可変入賞口82aの開放状態においては、傾斜領域322に進入した遊技球の一部が前面側カバー部331の前側傾斜面332aに接触した後に上可変入賞口82aに入賞する構成としたが、傾斜領域322の傾斜を更に急傾斜にしたり、傾斜領域322の長さを長くするなどして、上可変入賞口82aへ入賞する遊技球の全てが一旦前側傾斜面332aによって前側下部を支持された後に、上開閉板部302aに支持されて上可変入賞口82aに入賞する構成としても良い。
上記実施形態においては、前側傾斜面332aに接触した後に上可変入賞口82aに遊技球を誘導する上開閉板部302aの支持面343は、前側傾斜面332aより後方側に緩く傾斜する構成としたが、必ずしも支持面343の全体が前側傾斜面332aより後方側に緩く傾斜する必要はなく、前側傾斜面332aと支持面343との両方に遊技球が接触する少なくとも一部分に前側傾斜面332aより後方側に緩く傾斜する支持面343が設けられていれば良い。
上記実施形態においては、遊技領域23aの全部が窓パネルユニット30の領域内に位置して窓パネルユニット30により遊技領域23aの全部が覆われる構成としたが、遊技領域23aの一部分が窓パネルユニット30に対して外側に張り出す配置としても良い。
上記実施形態においては、上側開閉部材302の上開閉板部302aの前側には傾斜領域322が配置される構成としたが、前側傾斜面332aが上開閉板部302aの前側になく、上開閉板部302aの前側の流下領域が垂直に形成されても良く、この場合であっても、上開閉板部302aの後側傾斜面341が上可変入賞口82aの閉鎖状態において前方斜め下側を向くので、遊技球の衝突による損傷を低減することができる。
上記実施形態においては、上可変入賞口82aは、遊技領域の後側にて前方に開口し、上側開閉部材302が前側に傾倒して上可変入賞口82aを開放させる上開閉板部302aを有する構成を説明したが、必ずしも入賞口が前方に開口する構成とする必要はなく、左右方向のいずれか一方に相当する側方に開口する構成としても良い。この場合であっても、遊技球が斜めに流下するように遊技球の下側を支持する支持部と、その支持部より緩い下り傾斜角度にて遊技球の下側を支持して遊技球を入賞口へ誘導する動作部材を設けることにより、入賞口内へ遊技球を迅速に進入させる入賞装置を実現することができる。
本発明を上記実施形態とは異なるタイプのパチンコ機等に実施しても良い。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機として実施しても良い。また、大当たり図柄が表示された後に、所定の領域に球が入賞することを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機として実施しても良い。また、大当たり等の抽選機能のないいわゆる普通機として採用されても良い。球が所定の入賞口に入ることで特別遊技状態となるパチンコ機として実施しても良い。また、球が循環する封入式のパチンコ機に実施しても良い。さらに、パチンコ機以外にも、アレンジボール型パチンコ、雀球等の各種遊技機として実施するようにしても良い。
<上記実施形態から抽出される発明>
以下、上記した実施形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記各実施形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。また、各特徴に記載した用語の意味や例示等は、同一の文言にて記載した他の特徴に記載した用語の意味や例示として適用しても良い。
<特徴A群>
遊技機の一種であるパチンコ機は、遊技球が流下する遊技領域が前面側に形成される遊技盤を備えている。遊技盤には、遊技領域を流下する遊技球を必要に応じて入賞口に入賞させることができる可変入賞装置(入賞装置)が設けられ、この入賞装置は、遊技球が入球可能な開口である入賞口(入賞部)と、この入賞口を閉鎖した閉鎖位置と開放した開放位置との間を変位する動作部材と、入賞口に入球した遊技球を検出するセンサとを備えている。通常の遊技状態では、遊技球が入賞できない閉鎖位置に動作部材が配置され、遊技者にとって有利な遊技状態(例えば大当たり状態)になると、遊技球が入賞しやすい開放位置と通常の閉鎖位置との間を繰り返して変位するようになっている(例えば、特開2001−239015号公報参照)。
しかしながら、入賞装置に設けられる動作部材に対しては、開放位置においてはもちろん、閉鎖位置においても遊技球が衝突することがあり、動作部材に遊技球が衝突を繰り返すと、動作部材や、その周辺部品が破損してしまう可能性がある。
ここで、動作部材等が破損してしまうと、見栄えが悪くなることはもちろん、必要なタイミングで有利な遊技状態を発生させられない可能性もあり、遊技者に本来得られるはずの利益を提供できない可能性もある。このような事態を回避するためには、遊技球の繰り返しの衝突に対して動作部材等が破損しないように、周辺部品の配置を考慮しつつ十分に安全な設計をし、且つ、その耐久性を確認する試験等も長期にわたって実施しなければならない。このため、入賞装置を含む新機種の開発が予定以上に長期化してしまったり、十分に安全な強度を確保するためにコストが嵩んで高価になってしまう可能性があるという問題点がある。
<特徴A1>
遊技球が流下する遊技領域(遊技領域23a)に、遊技球が入球した場合に賞球が払い出される入賞部(上可変入賞口82a)が設けられた遊技機(パチンコ機10)において、
前記入賞部に遊技球が流入可能な第1位置(開放状態に対応する位置)と、該第1位置より前記入賞部へ遊技球が流入し難い又は遊技球が流入し得ない第2位置(閉鎖状態に対応する位置)との間を変位する動作部材(上側開閉部材302)を備え、
前記動作部材は、前記第2位置に配置された状態において、前記遊技領域の一部を構成する所定の流下領域(傾斜領域322)の背面側を、前方斜め下側を向く表面(後側傾斜面341)により形成する前面部(上開閉板部302a)を有していることを特徴とする遊技機。
特徴A1記載の遊技機によれば、入賞部の入賞し易さを変化させる動作部材を設置し易くすることができる。すなわち、動作部材の前面部が前方斜め下側を向いているので、前面部に遊技領域を流下する遊技球が衝突しにくくなる。このため、前面部の表面に対する遊技球の接触を少なくし、且つ、遊技球の衝突による衝撃を小さくすることができる。よって、動作部材の前面部に対して装飾を施した場合には、遊技球の衝突による装飾の損傷を少なくすることができ、又は、動作部材に必要な強度を低く設定することができるので、動作部材の設計自由度を高めたり、低コストで製造し易くしたりすることができる。
<特徴A2>
前記前面部に対して遊技球が通過可能な間隔を隔てた前側に位置して前記所定の流下領域の前面側を形成する部位であって、透光性を有する材料により形成された前面側カバー部(前面側カバー部331)を備え、
該前面側カバー部は、前記前面部に対向する表面が後方斜め上側を向き、前記所定の流下領域を流下する遊技球の下側を支持して後方斜め下側に向かって遊技球を流下させる下側支持部(前側傾斜面332a)を備えていることを特徴とする特徴A1記載の遊技機。
特徴A2記載の遊技機によれば、前面側カバー部の下側支持部と動作部材の前面部により遊技機の後方斜め下側に傾斜した遊技球の流下領域を、所定の流下領域として形成することができ、動作部材が第2位置から第1位置に変位する場合に必要な変位量を小さく設定することができる。このため、動作部材の動作に必要な駆動手段を選定し易くしたり、動作部材の変位動作を高速に設定し易くする等、動作部材の設計や製造を一層好適化することができる。
<特徴B群>
遊技機の一種であるパチンコ機は、遊技球が流下する遊技領域が前面側に形成される遊技盤を備えている。遊技盤には、遊技領域を流下する遊技球を必要に応じて入賞口に入賞させることができる可変入賞装置(入賞装置)が設けられ、この入賞装置は、遊技球が入球可能な開口である入賞口(入賞部)と、この入賞部を閉鎖した閉鎖位置と開放した開放位置との間を変位する動作部材と、入賞部に入球した遊技球を検出するセンサとを備えている。通常の遊技状態では、遊技球が入賞できない閉鎖位置に動作部材が配置され、遊技者にとって有利な遊技状態(例えば大当たり状態)になると、遊技球が入賞しやすい開放位置と通常の閉鎖位置との間を繰り返して変位するようになっている(例えば、特開2001−239015号公報参照)。
しかしながら、遊技領域を下方に向かって落下する遊技球に対して、動作部材により下側を支持しつつ遊技盤の後側に遊技球の進路を変化させて入賞部内へ遊技球を進入させる構成においては、遊技領域内から入賞部内へ誘導される過程において進路の変化する角度が大きくなり易く、入賞部の入口部分で遊技球が周辺部品に衝突を繰り返すなど、遊技球を円滑に入賞部内へ誘導することが難しい場合が生じ得る。
<特徴B1>
遊技球が流下する遊技領域(遊技領域23a)に、遊技球が入球した場合に賞球が払い出される入賞部(上可変入賞口82a)が設けられた遊技機(パチンコ機10)において、
前記入賞部に遊技球が流入可能な第1位置(開放状態に対応する位置)と、該第1位置より前記入賞部へ遊技球が流入し難い又は遊技球が流入し得ない第2位置(閉鎖状態に対応する位置)との間を変位する動作部材(上側開閉部材302)を備え、
前記動作部材が第2位置に配置された状態において、該動作部材の一方側を遊技球が流下する構成とされ、
当該遊技球が流下する所定の流下領域の上面側の少なくとも一部は、前記動作部材によって形成され、
前記動作部材の一方側において前記動作部材が位置する側に遊技球が斜めに流下するように遊技球の下側を支持する第1支持部(前側傾斜面332a)が設けられ、
前記動作部材は、前記第1位置において前記下側支持部に下側を支持された遊技球を前記入賞部に進行可能な程度に前記下側支持部に近接又は接触する先端部と、該先端部から前記入賞部に向かって前記第1支持部より緩い下り傾斜角度にて遊技球の下側を支持する第2支持部(支持面343)とを有していることを特徴とする遊技機。
特徴B1記載の遊技機によれば、入賞部へ遊技球を好適に誘導可能な動作部材を備えた遊技機を提供することができる。すなわち、動作部材が第1位置に配置された状況においては、第1支持部により斜め下側に誘導される遊技球の下側に動作部材の先端部が近接又は接触し、動作部材の第2支持部により遊技球が第1支持部と同一方向側に誘導されて入賞部に遊技球が入賞する。このため、遊技球が下側部分を支持されずに直接重力が作用している状況において動作部材に遊技球が衝突する場合に比べて、動作部材に対する遊技球の衝撃力を低減することができる。また、第1支持部と第2支持部とが同一方向側に下り傾斜することとなるため、それら支持部に下側を支持される遊技球の進路の変化を少なくして、入賞部内へ遊技球を迅速に進入させることができる。
また、動作部材が第2位置から第1位置へと変位する初期段階において、入賞部を閉塞させる部位(開閉部)の自由端側に相当する先端部の上に偶然に遊技球が位置しても、第1位置へ遷移する過程において、その先端部上から傾斜領域の上流側へ遊技球を移動し易くすることができる。よって、遊技球が入口部分で挟み込まれる事態が生じ難い入賞部を実現することができる。
なお、動作部材は、流下領域を流下する遊技球が第1支持部に支持された後に第2支持部によって下側を支持する高さ位置に設置されていることが好ましい。
<特徴B2>
前記動作部材は、前記第2位置において、前記第2支持部を一面側とした場合における反対面側に相当する部位によって前記流下領域の一部であって前記第1支持部に支持された遊技球が流下する所定の流下領域の後方斜め上側部分を形成する傾斜面部(後側傾斜面341)と、該傾斜面部より上方側に連続して前記傾斜面部より前面側を向く上部前面部(上部前面344)とを有し、
前記第2位置に配置された状態における前記動作部材の上部前面部に対して上側には、該上部前面部と略同一の前方側を向き、前記上部前面部と共に前記所定の流下領域の背面側を形成する上側面部(ベース部材301の表面)が設けられていることを特徴とする特徴B1記載の遊技機。
特徴B2記載の遊技機によれば、動作部材において第2支持部が設けられる面の反対側に上側面部が設けられているので、入賞部を閉塞させる部位(開閉部)の自由端側に相当する先端部の厚みが次第に第2支持部に近づくように、次第に薄くなる形状となる。このため、動作部材が第1位置に配置された状況において第2支持部の先端部分を第1支持部に近づけて配置することができ、第1支持部から第2支持部へ遊技球が円滑に進行し、入賞部への入賞を迅速に発生させることができる。
ここで、従来のように、流下領域の後側を形成する平面形状の範囲内に、入賞部に対応する開口を形成し、開閉部の先端部が次第に薄くなる形状とした場合には、動作部材が第2位置に配置された状況において入賞部の上端部に、先端部を薄く形成した分の凹みが入賞部の上縁に沿って連続して形成されて見栄えを損ねてしまう。
これに対して、特徴B2記載の遊技機によれば、動作部材が第2位置に配置された状況において上部前面部の上側に上側面部が略同一の前方側を向く構成とされている。このため、開閉部の先端部が次第に薄くなる形状としていても、動作部材が第2位置に配置された状況において入賞部の上端部分に大きな凹み部分を形成する必要がない。よって、入賞部に対しての遊技球の円滑な入賞を実現しつつ、入賞部の見栄えを良好なものとすることができる。
<特徴C群>
遊技機の一種であるパチンコ機は、遊技球が流下する遊技領域が前面側に形成される遊技盤を備えている。遊技盤には、遊技領域を流下する遊技球を必要に応じて入賞口に入賞させることができる可変入賞装置(入賞装置)が設けられ、この入賞装置は、遊技球が入球可能な開口である入賞口(入賞部)と、この入賞部を閉鎖した閉鎖位置と開放した開放位置との間を変位する動作部材と、入賞部に入球した遊技球を検出するセンサとを備えている。通常の遊技状態では、遊技球が入賞できない閉鎖位置に動作部材が配置され、遊技者にとって有利な遊技状態(例えば大当たり状態)になると、遊技球が入賞しやすい開放位置と通常の閉鎖位置との間を繰り返して変位するようになっている(例えば、特開2001−239015号公報参照)。
しかしながら、遊技領域を下方に向かって落下する遊技球に対して、動作部材により下側を支持しつつ遊技盤の後側に遊技球の進路を変化させて入賞部内へ遊技球を進入させる構成においては、遊技領域内から入賞部内へ誘導される過程において進路の変化する角度が大きくなり易く、入賞部の入口部分で遊技球が周辺部品に衝突を繰り返すなど、遊技球を円滑に入賞部内へ誘導することが難しい場合が生じ得る。
<特徴C1>
遊技球が流下する遊技領域(遊技領域23a)に、遊技球が入球した場合に賞球が払い出される入賞部(下可変入賞口82b)が設けられた遊技機(パチンコ機10)において、
前記入賞部に遊技球が流入可能な第1位置(開放状態に対応する位置)と、該第1位置より前記入賞部へ遊技球が流入し難い又は遊技球が流入し得ない第2位置(閉鎖状態に対応する位置)との間を変位する動作部材(下側開閉部材303)を備え、
前記入賞部より高い位置には、前記遊技領域の一部を構成する領域であって、後方斜め下側に向かって遊技球を流下させる傾斜領域(傾斜領域322)が設けられ、
前記入賞部は、前記遊技領域を流下する遊技球が前記第1位置に配置された前記動作部材によって後方側に誘導されるように前記遊技領域の後側にて前方側に開口形成され、前記傾斜領域の連続する方向に沿った後方斜め下側に重なる高さ位置に設けられていることを特徴とする遊技機。
特徴C1記載の遊技機によれば、入賞部へ遊技球を好適に誘導可能な動作部材を備えた遊技機を提供することができる。すなわち、動作部材が第1位置に配置された状況においては、傾斜領域を後方斜め下側に向かって流下した遊技球は、遊技球の一部分が入賞部内に進入した後、動作部材によって後方側に誘導されて入賞部内へと進行する。このため、入賞部内へ遊技球が進入し易く、且つ、入賞部内へ進行する遊技球の進路の角度変化を少なくすることができ、入賞部の入口部分で遊技球が上下の入口縁部分に衝突してばたつくといった状況を回避して、入賞部内へ遊技球を迅速に進入させることができる。また、動作部材による入賞部への遊技球の誘導は、傾斜領域における遊技球の進路と同一方向側であるので、遊技球が動作部材に接触した場合における遊技球の進路を変更させるために必要な力を少なくして、動作部材に対する遊技球の衝撃力を低減し、動作部材を破損し難くすることができる。
なお、特徴C1記載の入賞部は、傾斜領域の下部の後側に重なって位置する配置としても良く、これにより、遊技球を入賞部へ効率良く進入させることができる。
<特徴C2>
前記傾斜領域及び前記入賞部の前側に位置する流下領域の前面側を形成する部位であって、透光性を有する材料により形成された前面側カバー部(前面側カバー部331)と、
前記前面側カバー部を含む前記遊技領域の全体又は大部分の前側を覆う、透光性を有する材料により形成された遊技領域カバー部材(透明ガラス31,32)と、
該遊技領域カバー部材と、前記前面側カバー部との間に形成される装飾空間に設けられる、所定の装飾が付された装飾部(装飾体85b)とを備え、
前記入賞部は、前記装飾空間に対して後側に重なる高さ位置に設けられ、
前記前面側カバー部は、前記傾斜領域の前側を形成する部位の表面が後方斜め上側を向き、前記所定の流下領域を流下する遊技球の下側を支持して後方斜め下側に向かって遊技球を流下させる下側支持部(前側傾斜面332a)を備え、
前記前面側カバー部の下側支持部と前記遊技領域カバー部材との間には、前記装飾空間の少なくとも上部が、上側ほど次第に前後の隙間幅が狭まる形にて形成され、
前記装飾部は、前記第2入賞部に重なる重複位置と、当該重複位置に比べて前記入賞部に重ならない動作位置との間を変位可能に構成されていることを特徴とする特徴C1記載の遊技機。
特徴C2記載の遊技機によれば、傾斜領域の下側に、遊技者によって視認し易い装飾空間を容易に設置しつつ、遊技球の流下領域を確保し易くすることができる。また、装飾空間には、変位可能な装飾部が設置され、その後側における入賞部の視認し易さを装飾部の配置位置に応じて変化させることができるので、遊技者が視認し易い状態で動作可能な入賞部を一時的に視認し難い状態にして、多様な遊技性に対応した入賞部を形成し易くすることができる。
また、動作部材が第2位置に配置された状況においては、傾斜領域の連続する方向に沿った後方斜め下側に重なって動作部材が位置するので、動作部材の表面(前面)に遊技球が繰り返し衝突することとなるものの、動作部材の前側には装飾空間が設けられ、装飾部を必要に応じて配置することができる。このため、動作部材の表面に損傷が生じても、遊技者側からは、装飾部によって動作部材の表面が視認され難く、遊技機全体としての見栄えは一定以上の質感を維持することができる。
ここで、特徴C1及びC2記載の入賞部を下側入賞部(下可変入賞口82b)とし、下側入賞部は、装飾空間に対して後側であって、特徴A群及び特徴B群として記載の動作部材に対応する入賞部としての上側入賞部(上可変入賞口82a)に対して下側に位置し、上側入賞部とは別に、遊技球の入賞し易さが変動する部位としても良く、これにより、上下の入賞部を共通の傾斜領域を利用して省スペースに効率良く設置することができる。
なお、特徴A1,A2、特徴B1,B2及び特徴C1,C2に記載の少なくとも1つの特徴を他のいずれか又は複数の特徴に組み合わせて適用しても良い。以下には、上記した各特徴を適用し得る遊技機の基本構成を示す。
パチンコ遊技機:遊技者が操作する発射操作手段と、その発射操作手段の操作に基づいて遊技球を発射する遊技球発射手段と、その発射された遊技球を所定の遊技領域に導く通路部と、遊技領域内に配置された各遊技部品とを備え、それら各遊技部品のうち所定の通過部を遊技球が通過した場合に遊技者に特典を付与する遊技機。