以下、遊技機の一種であるパチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」という)の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はパチンコ機10の正面図、図2はパチンコ機10を正面側から見た斜視図、図3及び図4はパチンコ機10の主要な構成を展開して示す斜視図である。なお、図3では便宜上パチンコ機10における遊技領域内の構成を一部省略している。
図1に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11に取り付けられた遊技機主部12とにより構成されている。
外枠11は、図2に示すように長尺状のフレーム材を四辺に連結し構成されるものであって全体として矩形枠状をなすように形成されている。この外枠11を島設備に取り付け固定することにより、パチンコ機10が遊技ホールに設置される。なお、パチンコ機10において外枠11は必須の構成ではなく、遊技ホールの島設備等に外枠11が備え付けられた構成としてもよい。
遊技機主部12は、外枠11によって開閉可能な状態で支持されている。具体的には、外枠11における上枠部と左枠部との連結部分に上側支持用金具17が固定されており、さらに外枠11における下枠部と左枠部との連結部分に下側支持用金具18が設けられている。これら上側支持用金具17及び下側支持用金具18により支持機構が構成され、当該支持機構により外枠11に対して遊技機主部12がパチンコ機10の正面視で左側を回動基端側、右側を回動先端側としてパチンコ機10の前方へ回動可能とされている(図3及び図4参照)。
図3及び図4に示すように、遊技機主部12は、ベース体としての内枠13と、その内枠13の前方に配置される前扉枠14と、内枠13の後方に配置される裏パックユニット15とを備えている。なお、遊技機主部12のうち内枠13が外枠11に対して回動可能に支持されている。詳細には、遊技機正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として内枠13が前方へ回動可能とされている。
内枠13には、前扉枠14が回動可能な状態で支持されている。具体的には、遊技機正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として前方へ回動可能とされている。また、内枠13には、裏パックユニット15が回動可能に支持されており、遊技機正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として後方へ回動可能とされている。
(前扉枠14)
次に、前扉枠14について説明する。図1に示すように、前扉枠14は、外形が外枠11とほぼ同一形状をなす合成樹脂製の枠体20を主体に構成されており、内枠13における前面のほぼ全域を遊技機前方から覆っている。枠体20の中央部分には後述する遊技領域PEのほぼ全域を前方から視認することができるようにした略楕円状の窓部21が形成されており、窓部21はガラスユニット22によって同前扉枠14の背面側から覆われている。
ここでガラスユニット22及びその取付構造について補足説明する。図3に示すように、枠体20には窓部21を囲むようにしてガラスユニット設置部が形成されている。詳しくは、ガラスユニット設置部は、枠体20の背面側に位置しているとともにパチンコ機10の前方に向けて凹んでおり、その底部に上記窓部21が形成されているとも言える。ガラスユニット22は、ガラスユニット設置部に嵌まることで上下方向及び左右方向への変位が規制されている。
ガラスユニット22は、透明性を有する複数(詳しくは2枚)のガラスパネル23と、それらガラスパネル23を保持するガラスホルダ24とを備えている。ガラスホルダ24は、窓部21の周縁に沿って形成された環状の枠部24aを有しており、同枠部24aによって囲まれた領域にガラスパネル23が収容されている。
より具体的には、枠部24aには、上記囲まれた領域を前後に仕切る仕切り部が形成されている。仕切り部は枠部24aの中央側へ起立するとともに当該枠部の周方向に延びる突条をなしており、この仕切り部によってガラスパネル23を個別に収容する収容部が区画形成されている。
各ガラスパネル23は、仕切り部を挟んで相対向した状態で、同仕切り部に対して接着されている。これにより、ガラスパネル23の間に所定の隙間が確保され、ガラスパネル23同士の干渉を回避しつつ、それらガラスパネル23によって遊技領域PEをパチンコ機10の正面側から2重に覆った状態となっている。
また、枠部24aには、ガラスパネル23を収容している側とは反対側に突出するようにして枠体20に対する取付部が複数形成されている。複数の取付部のうちの一部は枠体20の背面に対向する板状をなしており、前扉枠14の枠体20にはこれら取付部を同枠体20との間に挟んだ状態で保持する(ガラス設置部からの脱落を規制する)レバー部材が配設されている。これにより、ガラスユニット22を枠体20に固定する際に、同ガラスユニット22を手で支える必要が無くなり、固定作業の煩雑化が回避されている。
取付部には、固定用のネジが挿通される貫通孔が形成されており、同貫通孔に挿通されたネジが枠体20に螺着されることでガラスユニット22が枠体20に一体化されている。
なお、ガラスユニット22におけるガラスパネルの枚数は任意であり、1枚としてもよいし、3枚以上としてもよい。但し、安全性及び防犯性向上に鑑みれば、複数のガラスパネルを採用し、それら各ガラスパネルを所定の隙間を挟んで前後に対向させることが好ましい。因みに、ガラスパネルに代えて透明性を有する合成樹脂性のパネル部材を採用することも可能である。
ガラスユニット22(詳しくは窓部21)の周囲には、各種ランプ等の発光手段が設けられている。例えば、窓部21の周縁に沿ってLED等の発光手段を内蔵した環状電飾部26が設けられている。環状電飾部26では、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて点灯や点滅が行われる。また、環状電飾部26の中央であってパチンコ機10の最上部にはエラー等の不具合が発生した場合に点灯するエラー表示ランプ部27が設けられ、さらにその左右には賞球払出中に点灯する賞球ランプ部28が設けられている。また、左右の賞球ランプ部28に近接した位置には、遊技状態に応じた効果音やBGM等などが出力されるスピーカ部29が設けられている(図3参照)。
前扉枠14(枠体20)における窓部21の下方には、手前側へ膨出した上側膨出部31と下側膨出部32とが上下に並設されている。上側膨出部31内側には上方に開口した上皿33が設けられており、下側膨出部32内側には同じく上方に開口した下皿34が設けられている(図2参照)。上皿33は、後述する払出装置より払い出された遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら後述する遊技球発射機構へ導くための機能を有する。また、下皿34は、上皿33内にて余剰となった遊技球を貯留する機能を有する。
下側膨出部32の右方には、手前側へ突出するようにして遊技球発射ハンドル41が設けられている。遊技球発射ハンドル41が操作されることにより、後述する遊技球発射機構から遊技球が発射される。なお、遊技球の発射速度は、遊技球発射ハンドル41の操作量が大きくなるに従って速くなり、この操作量を遊技者が調整することで、後述する右ルートと左ルートへの遊技球の打ち分けが可能となる。
図3に示すように、前扉枠14の背面には、通路形成ユニット45が取り付けられている。通路形成ユニット45は、合成樹脂により成形されており、上皿33に通じる前扉側上皿通路と、下皿34に通じる前扉側下皿通路とを有してなる。通路形成ユニット45において、その上側隅部には後方に突出し上方に開放された受口部が形成されており、当該受口部を仕切壁によって左右に仕切ることで前扉側上皿通路の入口部分と前扉側下皿通路の入口部分とが区画形成されている。前扉側上皿通路及び前扉側下皿通路は上流側が後述する遊技球分配部に通じており、前扉側上皿通路に入った遊技球は上皿33に導かれ、前扉側下皿通路に入った遊技球は下皿34に導かれる。
前扉枠14の背面における回動基端側には、その上端部及び下端部に突起軸が設けられている。これら突起軸は内枠13に対する組付機構を構成する。
次に、図5に基づき内枠13について詳細に説明する。図5は内枠13の正面図である。なお、図5においては図3と同様に便宜上パチンコ機10の遊技領域PE内の構成を一部省略している。
(内枠13)
内枠13は、外形が外枠11と同様に略矩形状をなす樹脂ベース50を主体に構成されている。樹脂ベース50の高さ寸法は、外枠11の高さ寸法よりも若干小さく設定されている。また、樹脂ベース50は外枠11の上枠部に寄せて配置され、外枠11の下枠部と樹脂ベース50との間には若干の隙間が形成されている。外枠11にはこの隙間を塞ぐようにして幕板が装着されている。幕板は、樹脂ベース50(詳しくはその下端部)の下方に配置されており、内枠13が外枠11に対して閉じられた状態では樹脂ベース50が幕板の上に載ることとなる。なお、幕板と樹脂ベース50との間に相互干渉の防止等を目的として若干のクリアランスを設けてもよい。
樹脂ベース50の前面における回動基端側(図5の左側)には、その上端部及び下端部に支持金具71,72が取り付けられている。また、前扉枠14の背面における回動基端側(図5の右側)には、それら支持金具71,72に対応させて軸受け金具57,58が設けられている。支持金具71,72には軸部が形成されており、それら軸部が前扉枠14の軸受け金具57,58の軸受け孔に挿入されることで内枠13に対して前扉枠14が回動可能に支持されている。つまり、これら支持金具71,72及び軸受け金具57,58は内枠13に対する組付機構を構成している。
樹脂ベース50の回動先端側(図5の右側)には、内枠13や前扉枠14を施錠状態とするための施錠装置75が配設されている。
施錠装置75は、前扉枠14に向けて延びる複数の前扉用鉤部材76を有している。これら前扉用鉤部材76に対応させて、前扉枠14(詳しくは枠体20)の背面には内枠13側に延びる鉤受け部材59が複数設けられている(図3参照)。前扉用鉤部材76が鉤受け部材59に引っ掛かることにより前扉枠14が閉じた状態で施錠される。また、図4に示すように、施錠装置75は、内枠13の後方へ延びる内枠用鉤部材77を有している。これら内枠用鉤部材77が外枠11の鉤受け部材19に引っ掛かることにより遊技機主部12が外枠11に対して閉じた状態で施錠される。
樹脂ベース50の右下隅部には、施錠装置75の解錠操作を行うためのシリンダ錠78が設置されている。シリンダ錠78は、その先端部分(鍵穴部分)が上記前扉枠14に設けられた孔部を通じてパチンコ機10の前方に露出するように配置されている。シリンダ錠78の鍵穴に差し込んだキーを右に回すことで内枠13に対する前扉枠14の施錠が解除され、同キーを左に回すことで外枠11に対する内枠13の施錠が解除される。
樹脂ベース50の前面における略中央部分には、遊技盤ユニット80を収容する収容凹部51が形成されている。収容凹部51は遊技盤ユニット80の外形に合わせて遊技機後方に窪んでおり、遊技盤ユニット80はこの収容凹部51に遊技機前方から嵌まった状態で手動式のロック機構によって固定されている。これにより、遊技盤ユニット80が樹脂ベース50に一体化されている。
収容凹部51は、遊技盤ユニット80の背面に対向する平板状の対向板部(底部)52と、同対向板部52から遊技機前方へ起立し遊技盤ユニット80の周縁に沿って延びる周壁部53とによって構成されている。対向板部52には、略矩形状の中央開口54(図7参照)が形成されており、この中央開口54を通じて遊技盤ユニット80の背面構成が内枠13の後方に突出している。なお、この中央開口54については、樹脂ベース50に装着された遊技盤ユニット80によってそのほぼ全域が遊技機前方から覆われた状態となっている。
周壁部53は、遊技盤ユニット80(詳しくは後述する遊技盤80a)における上下左右の各端面に対して個々に対向する上側壁部55,下側壁部56,左側壁部57,右側壁部58が連なってなり、全体として遊技盤ユニット80を囲む環状をなしている。なお、周壁部53は中央開口54を囲むようにして形成されているとも言える。
(遊技盤ユニット80)
遊技盤ユニット80は、透明性を有する(詳しくは無色透明)な合成樹脂材料によって形成された略平板状の遊技盤80aと、ベース体としての遊技盤80aの背面側に設けられ同遊技盤80aに隙間を隔てて対向する装飾板と、後述する可変表示ユニットや複数の制御装置とを有し、それら各種構成等が一体化されてなる。遊技盤80aを透明とし、その背後に装飾板を配することで、同装飾板を遊技盤80aを通じて視認可能となっている。かかる構成とすることにより、木製の板材の前面に各種模様が付与されたシート材を張りつけられてなる従来タイプの遊技盤と比較して、遊技盤ユニット80の見栄えの向上が図られている。
遊技盤80aは、収容凹部51に設置された状態にてその前面が樹脂ベース50の正面側に露出している。この露出している部位には、すなわち遊技盤80aの前面には、遊技球が流下する遊技領域PEが形成されている。既に説明したように遊技領域PEはガラスパネル23によって覆われている。後側のガラスパネル23は、遊技盤80aの前面との隙間が遊技球の直径よりも大きくなるように、すなわち遊技領域PEを流下する遊技球が同遊技領域PEの同一箇所にて前後に並ばないように配置されている。これにより、遊技領域PEでの球詰まりを抑制している。
図6に基づき遊技盤80a(特に遊技領域PEに設けられた各種構成)について説明する。図6は遊技盤80aの正面図である。
遊技盤80aには、自身の厚さ方向(前後方向)に貫通する大小複数の開口が形成されている。各開口には、一般入賞口81、可変入賞装置82、作動口83a,83b、スルーゲート84及び可変表示ユニット85等がそれぞれ設けられている。一般入賞口81、可変入賞装置82及び作動口83a,83bに遊技球が入ると、それら遊技球が後述する検知センサにより検知され、その検知結果に基づいて所定数の賞球の払い出し等の特典が遊技者に付与される。その他に、遊技盤80aの最下部にはアウト口89が設けられており、各種入賞口等に入らなかった遊技球はアウト口89を通って遊技領域PEから排出される。以下の説明では、アウト口89への遊技球の入球と明確に区別するために、一般入賞口81、可変入賞装置82、作動口83a,83bへの遊技球の入球を、入賞とも表現する。
また、遊技盤80aには、遊技球の流下経路を適宜分散,調整等するために多数の釘が植設されているとともに、風車等の各種部材(役物)が配設されている。これら釘や風車等の各種構成によって遊技球の流下経路が分化され、上述した一般入賞口81等への入賞が適度な確率で発生するように調整されている。
上記可変表示ユニット85は遊技盤80aの略中央に配されており、同可変表示ユニット85の下方に作動口83a,83b等が配設されている。作動口83a,83bは、可変表示ユニット85の直下に配設された上作動口83aと、上作動口83aの直下に配設された下作動口83bとによって構成されており、特に下作動口(抽選契機入球部)83bには、開閉式の入球補助装置(入球補助手段)又は開閉部材(開閉手段)としての電動役物91が設けられている。電動役物91は、左右一対の可動片と同可動片を駆動させるソレノイド式の駆動部とを有してなり、下作動口83bへの入球が可能又は容易となる開状態(補助状態)と、同入球が不可又は困難となる閉状態(非補助状態)とに切替可能となっている。
この下作動口83bよりも上流側(詳しくは可変表示ユニット85の側方)には上記スルーゲート84が配置されており、遊技球のスルーゲート84の通過をトリガとした抽選にて当選となった場合には、電動役物91が所定時間だけ閉状態から開状態に切り替えられることとなる。
なお、上作動口83aへの入球が発生した場合には3個の遊技球の払出が実行され、下作動口83bへの入球が発生した場合には4個の遊技球の払出が実行されるが、遊技球の払出個数は上記のものに限定されることはない。但し、上作動口83aに対する下作動口83bの有利性を高める上では、上作動口83aに係る払出個数よりも下作動口83bに係る払出個数を多く設定することが好ましい。
可変入賞装置(特別入球装置又は特別入球手段)82には、遊技盤80aの背面側へと通じる大入賞口82aが形成されているとともに、当該大入賞口82aを開閉する開閉部材(開閉手段)としての開閉扉82bが設けられている。開閉扉82bは、遊技球の入球が可能又は容易となる開状態(補助状態)と、同入球が不可又は困難となる閉状態(非補助状態)とに切替可能となっている。また、同開閉扉82bは、遊技盤80aの背面側に設けられた可変入賞駆動部82c(詳しくはソレノイド)と連結されており、通常時においては開閉扉82bは閉状態のまま維持され、内部抽選において開閉実行モード(開閉実行状態)への移行に当選した場合に(大当たり:通常の遊技状態よりも遊技者に有利な特別遊技状態への移行に当選した場合に)開状態に切り替えられるようになっている。
ここで、開閉実行モードとは、大当たり当選となった場合に移行することとなるモードである。当該開閉実行モードにおける可変入賞装置82の開放態様としては、例えば所定時間(例えば30sec)の経過又は所定個数(例えば10個)の入賞を1ラウンドとして、複数ラウンド(例えば6ラウンドや16ラウンド)を上限とした開閉扉82b等の開放が繰り返されるように設定されているものがある。
次に、可変表示ユニット85について説明する。可変表示ユニット85は、作動口83a,83bへの入賞をトリガとして図柄を可変表示(変動表示)する図柄表示装置94を有している。図柄表示装置94は、液晶ディスプレイを備えた液晶表示装置として構成されており、後述する表示制御装置によりその表示内容が制御される。図柄表示装置94には、例えば上、中及び下に並べて図柄が表示され、これらの図柄が左右方向にスクロールされるようにして変動表示されるようになっている。そして、大当たりに当選した場合には、予め設定されている有効ライン上に所定の組み合わせの図柄が停止表示され、上記開閉実行モード(特別遊技状態又は大当たり)に移行することとなる。なお、図柄表示装置94については必ずしも液晶表示装置である必要はなく、ドットマトリクスや7セグタイプの表示装置であってもよい。
遊技盤80aには中央開口の周縁部分に沿うようにして、より具体的には図柄表示装置94を上方から囲むようにして囲み部95が設けられている。囲み部95は、遊技盤80aの前面から遊技機前方に隆起しており全体として門型をなしている。囲み部95の前面部分と上記ガラスユニット22との間の隙間寸法は遊技球の直径寸法よりも小さくなるように構成されており、遊技領域PEを流下する遊技球が図柄表示装置94に衝突することが回避され、且つ遊技領域PEを流下する遊技球の流下経路が可変表示ユニット85(詳しくは囲み部95)を右側から迂回するルートと、左側から迂回するルートに大別されている。
囲み部95の下方であって中央開口の下端縁には、遊技球が転動可能なステージ部96が設けられている。ステージ部96は遊技盤80aの中央開口を構成している面部及び当該端面から後方に延出する延出部によって構成されている。囲み部95には遊技球が流入可能な流入口としての開口部95aが形成されており、この開口部95aに流入した遊技球は、後述する誘導通路を通じて、ステージ部96に誘導される構成となっている。ステージ部96は横長に形成されており遊技球が転動する際のストロークが図柄表示装置94の表示画面94aの横幅とほぼ同一となっている。
ステージ部96において遊技機前方を向いている部分(前面部)には、第1保留ランプ部98a及び第2保留ランプ部98bが設けられている。第1保留ランプ部98aは、上作動口83aに対応しており遊技球が上作動口83aを通過した回数は最大4回まで保留され第1保留ランプ部98aの点灯によってその保留数が表示されるようになっている。第2保留ランプ部98bは、下作動口83bに対応しており、遊技球が下作動口83bを通過した回数は最大4回まで保留され第2保留ランプ部98bの点灯によってその保留数が表示されるようになっている。
作動口83a,83bは、可変表示ユニット85寄りとなる位置に配置されている。作動口83a,83bへの入賞をトリガとして、特別遊技状態に移行し得るため、遊技者は作動口83a,83bに入賞するか否かに注目するとともに、特別遊技状態に移行するか否かを把握するため図柄表示装置94に注目するものと考えられる。作動口83a,83bを可変表示ユニット85寄りに設けたことは、遊技者が注目したい箇所を可変表示ユニット85周辺に集中させるための工夫である。
遊技盤80aにおける右側の端部(後述する遊技盤80aの回動先端部)には後述する誘導レール部100とともに遊技領域PEを区画形成する遊技領域区画部99が設けられている。遊技領域区画部99には、主表示ユニット87や誘導レール部100に沿って飛翔した遊技球が衝突するストッパ部材88が配設されている。
ストッパ部材88については誘導レール部100の先端付近に配置された緩衝部材であり、当該ストッパ部材88に衝突した遊技球はその勢いが弱められた後、遊技領域PEを流下することとなる。つまり、ストッパ部材88には衝突した遊技球の勢いを弱める減勢機能が付与されている。
ここで、主表示ユニット87について補足説明する。主表示ユニット87は遊技領域区画部99に埋設されており、その一部がガラスユニット22と対向するように配置されている。この対向している部分には、所定の絵柄等が表示される主表示部Dが設けられている。主表示ユニット87については、後述する主制御装置に電気的に接続されており、主表示部Dの表示内容は当該主制御装置によって制御される構成となっている。
主表示部Dは、上作動口83aへの入賞に基づいた抽選結果を表示する上作動口用表示部と、下作動口83bへの入賞に基づいて行われた抽選結果を表示する下作動口用表示部とを有してなる。上作動口用表示部では、上作動口83aへの入賞をトリガとして絵柄の変動表示が行われ、その変動表示の停止結果として、上作動口83aへの入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が明示される。上作動口83aへの入賞に基づく内部抽選の結果が開閉実行モードへの移行に対応した当選結果であった場合には、上作動口用表示部にて変動表示が停止され、停止結果として所定の絵柄が表示された後に、上記開閉実行モードへ移行される。
下作動口用表示部では、下作動口83bへの入賞をトリガとして絵柄の変動表示が行われ、その変動表示の停止結果として、下作動口83bへの入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が明示される。下作動口83bへの入賞に基づく内部抽選の結果が大当たりに対応した当選結果であった場合には、下作動口用表示部にて変動表示が停止され、停止結果として所定の絵柄が表示された後に、その結果に応じて上記開閉実行モードへ移行される。
ここで、いずれかの作動口83a,83bへの入賞に基づいて、対応する作動口用表示部にて変動表示が開始され、所定の停止結果を表示し上記変動表示が停止されるまでが遊技回の1回に相当する。但し、遊技回の1回は、上記の内容に限定されることはなく、例えば、単一の表示領域が設けられ、いずれの作動口83a,83bへの入賞が発生したとしてもその単一の表示領域にて変動表示が行われる構成においては、当該単一の表示領域にて変動表示が開始され、所定の停止結果を表示した状態で上記変動表示が停止されるまでを遊技回の1回とすることも可能である。
また、主表示ユニット87の主表示部Dには上記両表示部以外に、スルーゲート84への入賞に基づいた抽選結果を表示するスルーゲート用表示部が併設されている。スルーゲート用表示部では、スルーゲート84への入賞をトリガとして絵柄の変動表示が行われ、その変動表示の停止結果として、スルーゲート84への入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が明示される。スルーゲート84への入賞に基づく内部抽選の結果が電役開放状態への移行に対応した当選結果であった場合には、スルーゲート用表示部にて所定の停止結果が表示されて変動表示が停止された後に、電役開放状態へ移行する。電役開放状態では、下作動口83bに設けられた上記電動役物91が所定の態様で開放される。
更に、本実施の形態においては遊技球がスルーゲート84を通過した回数は最大4回まで保留される構成が採用されているが、主表示ユニット87の主表示部Dにはその保留個数を表示する保留数用表示部が設けられている。
以上詳述した主表示部Dについては、前扉枠14のガラスユニット22を通じてパチンコ機10前方から視認可能となっているとともに、これら各種表示部の前方を遊技球が移動することが回避されているため、その視認性が担保されている。
再び図5を用いて内枠13の構成について説明する。樹脂ベース50における遊技盤ユニット80の下方には、上記遊技球発射ハンドル41の操作に基づいて遊技領域PEへ遊技球を発射する遊技球発射機構110が設けられている。遊技球発射機構110は、所定の発射待機位置に配置された遊技球を打ち出すソレノイド111と、同ソレノイド111によって打ち出された遊技球の発射方向を規定する発射レール112と、上記発射待機位置に遊技球を供給する球送装置113と、それら各種構成111〜113が装着されているベースプレート114とを主要な構成として備えており、同ベースプレート114が樹脂ベース50に固定されることで、同樹脂ベース50に対して一体化されている。
発射レール112は、遊技盤80a側に向けて上り傾斜となるように、斜めに傾いた状態でベースプレート114に固定されている。発射レール112の下流側の端部(すなわち下端部)寄りとなる位置には、球送装置113から供給された遊技球を上述した発射待機位置に留める球ストッパが配されている。球ストッパよりも更に下流側となる位置に、上記ソレノイド111が配置されている。
ソレノイド111は、後述する電源・発射制御装置に対して電気的に接続されている。その電源・発射制御装置からの電気的な信号の出力に基づいてソレノイド111の出力軸が伸縮方向に往復動することにより、発射待機位置に置かれた遊技球が遊技盤80a側、詳しくは遊技盤80aに装着された誘導レール部100に向けて打ち出される。
誘導レール部100は、遊技盤80aに設けられた遊技領域区画部99とともに遊技領域PEを同遊技領域PEの外形が略円形状となるように区画形成している。また、誘導レール部100は、遊技球の直径よりも若干大きな隙間を隔てて対峙するように配置された内レール101及び外レール102からなり、それら両レール101,102によって一条の誘導通路103が区画形成されている。誘導通路103は、発射レール112の先端側(斜め下方)に開放された入口部分と、遊技領域PEの上部に位置する出口部分とを有している。ソレノイド111の動作に基づいて発射された遊技球は、発射レール112→誘導レール部100(入口部分→出口部分)の順に移動することにより遊技領域PEに導かれる。なお、遊技盤80aにおいて上記出口部分付近、詳しくは内レール101の先端付近には、遊技領域PEに到達した遊技球の同誘導通路103内への逆戻りを防止する逆戻り防止部材106が取り付けられており、先んじて遊技領域PEに至った遊技球によって後続する遊技球の打ち出しが妨げられることを抑制している。
誘導レール部100を構成している各レール101,102は、遊技領域PEの略中央部分を中心とする円弧状をなしている。このため、誘導通路103を通過する遊技球は、自身に発生する遠心力により外レール102に沿って、すなわち外レール102に接触したまま移動(摺動又は転動)しやすくなっている。
図6に示すように、誘導レール部100は、遊技球発射ハンドル41が遊技球を遊技領域PEに到達させることができる程度に操作された場合に、すなわち遊技球発射ハンドル41の操作量が第1の規定量を超えた場合に、発射レール112から打ち出された遊技球が当該誘導レール部100の入口部分104、詳しくは外レール102において発射レール112の延長上に位置する特定部位SPに着地するように形成されている。
外レール102は、その特定部位SPにおける接線TLの向きが発射レール112のレール方向と略同一となるように形成されている。発射された遊技球の移動方向と、特定部位SPにおける接線TLの方向とを揃えることにより、遊技球の着地によって生じる衝撃を低減するとともに同遊技球の跳ね返りを抑え、誘導レール部100によるそれら遊技球の円滑な誘導を可能としている。
誘導レール部100及び発射レール112は、同誘導レール部100の入口部分と発射レール112の先端部分とが遊技盤80aの下端縁を挟んで斜めに対峙するように配置されている。つまり、それら両レール100,112は、同誘導レール部100の入口部分と発射レール112の先端部分とが遊技盤80aの下端縁近傍にて左右にずれるようにして配置されている。これにより両レール100,112を遊技盤80aの下端縁に近づけつつ、誘導レール部100の入口部分と発射レール112との間には所定間隔の隙間を形成している。
このようにして形成された隙間よりも下側にはファール球通路が配設されている。ファール球通路は前扉枠14の通路形成ユニット45(図3参照)に一体成形されている。仮に遊技球発射機構110から発射された遊技球が遊技領域PEまで至らずファール球として誘導通路103内を逆戻りする場合には、それらファール球が上記隙間を介してファール球通路内に入ることとなる。ファール球通路は前扉側下皿通路に通じており、ファール球通路に入った遊技球は図1に示した下皿34に排出される。これにより、ファール球と次に発射される遊技球との干渉が抑制される。
樹脂ベース50において発射レール112の左方(詳しくは前扉枠14を支持している側)には樹脂ベース50を前後方向に貫通する貫通孔が形成されており、この貫通孔に通路形成部材121が配設されている。通路形成部材121は、樹脂ベース50に対してネジ止めされており、本体側上皿通路122と本体側下皿通路123とを有している。それら本体側上皿通路122及び本体側下皿通路123の上流側は、後述する遊技球分配部に通じている。また、通路形成部材121の下方には前扉枠14に取り付けられた通路形成ユニットの受口部が入り込んでおり、本体側上皿通路122の下方には前扉側上皿通路が配置され、本体側下皿通路123の下方には前扉側上皿通路が配置されている。
樹脂ベース50において通路形成部材121の下方には、本体側上皿通路122及び本体側下皿通路123を開閉する開閉部材124が取り付けられている。開閉部材124は本体側上皿通路122及び本体側下皿通路123を閉鎖する前方位置に付勢されており、前扉枠14が開放された場合には、この付勢力によって各開閉部材124が閉状態となることで、各通路122,123からの遊技球の脱落が回避されることとなる。これに対し、前扉枠14を閉じた状態では、前扉枠14の通路形成ユニット45に設けられた受口部により付勢力に抗して開閉部材124が押し開けられる。この状態では、本体側上皿通路122と前扉側上皿通路とが連通し、さらに本体側下皿通路123と前扉側下皿通路とが連通する。
次に、図7に基づき内枠13(樹脂ベース50及び遊技盤ユニット80)の背面構成について説明する。図7は内枠13の背面図である。
樹脂ベース50の背面における回動基端側(図7の右側)には、軸受け金具132が取り付けられている。軸受け金具132には、上下に離間させて軸受け部133が形成されており、これら軸受け部133により内枠13に対して裏パックユニット15が回動可能に取り付けられている。また、樹脂ベース50の背面には、裏パックユニット15を閉じた状態で同樹脂ベース50に固定するための固定レバー134が複数設けられている。
既に説明したように樹脂ベース50における収容凹部(遊技盤収容部)51の底部分には樹脂ベース50の厚さ方向に貫通し同樹脂ベース50の背面側に開放された中央開口54が形成されており、その中央開口54が収容凹部51に収容された遊技盤ユニット80によって内枠13の正面側から覆われている。遊技盤80aの背面には上記装飾板80b、制御装置等の各種構成が搭載されており、それら各種構成のうち制御装置等の電子機器については中央開口54を通じて内枠13の背側に露出した状態となっている。ここで、遊技盤ユニット80の背面の構成について説明する。
遊技盤ユニット80の背面には、可変表示ユニット85(図6参照)を遊技盤80a及び装飾板80bに対して搭載する合成樹脂製のベース体97が固定されている。ベース体97は、遊技機前方に開放された略箱状をなしており遊技盤80a(装飾板80b)の背面のほぼ全域を覆っている。ベース体97の一部は樹脂ベース50の背面側に突出しており、その突出した部分に対して上述した図柄表示装置94(図6参照)と、その図柄表示装置94を駆動するための表示制御装置とが取り付けられている。これら図柄表示装置94及び表示制御装置は前後方向(遊技盤ユニット80の厚さ方向)に図柄表示装置94が前側且つ表示制御装置が後側となるように重ねて配置されている。さらに、遊技盤ユニット80は、表示制御装置の後方に配置された報知・演出制御装置140を有している。
報知・演出制御装置140は、後述する主制御装置からの指示に従い音声の出力やランプ表示、及び表示制御装置の制御を司る報知・演出制御基板を具備しており、報知・演出制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス141に収容されて構成されている。
報知・演出制御装置140の下方には、ベース体97を後方から覆うようにして主制御装置ユニット160が設けられている。主制御装置ユニット160は、遊技盤ユニット80(詳しくは装飾板80b)の背面に固定された合成樹脂製の取付台161と、その取付台161に搭載された主制御装置162とを有している。主制御装置162は、遊技の主たる制御を司る機能(主制御回路)と、電源を監視する機能(停電監視回路)とを有する主制御基板を具備しており、当該主制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス163に収容されて構成されている。
基板ボックス163は、略直方体形状のボックスベース(表ケース体)とこのボックスベースの開口部を覆うボックスカバー(裏ケース体)とを備えている。これらボックスベースとボックスカバーとは封印手段としてのボックス封印部164によって開封不能に連結され、これにより基板ボックス163が封印されている。ボックス封印部164は、基板ボックス163の短辺部に複数設けられ、そのうち少なくとも1つが用いられて封印処理が行われる。
ボックス封印部164はボックスベースとボックスカバーとを開封不能に結合する構成であれば任意の構成が適用できるが、ボックス封印部164を構成する係止孔部に係止ピンを挿入することでボックスベースとボックスカバーとが開封不能に結合されるようになっている。ボックス封印部164による封印処理は、その封印後の不正な開封を防止し、また万一不正開封が行われてもそのような事態を早期に且つ容易に発見可能とするものであって、一旦開封した後でも再度封印処理を行うこと自体は可能である。すなわち、複数のボックス封印部164のうち、少なくとも1つの係止孔部に係止ピンを挿入することにより封印処理が行われる。そして、収容した主制御基板の不具合発生の際や主制御基板の検査の際など基板ボックス163を開封する場合には、係止ピンが挿入されたボックス封印部と基板ボックス163本体との連結部分を切断する。これにより、基板ボックス163のボックスベースとボックスカバーとが分離され、内部の主制御基板を取り出すことができる。その後、再度封印処理する場合は他の係止孔部に係止ピンを挿入する。基板ボックス163の開封を行った旨の履歴を当該基板ボックス163に残しておけば、基板ボックス163を見ることで不正な開封が行われた旨が容易に発見できる。
基板ボックス163と取付台161とは台座封印部165によって開封不能に連結されている。詳しくは、台座封印部165は、ボックス封印部164と同様に係止孔部及び係止ピンを有しており、係止孔部に対して係止ピンが挿入されることで基板ボックス163と取付台161とが分離不能に結合されるようになっている。これにより、基板ボックス163の不正な取り外しが行われた場合に、その事実を把握しやすくなっている。
装飾板80bにおいて遊技盤80aの背面下部と対向している部分には、前記一般入賞口81,可変入賞装置82、作動口83a,83bの遊技盤開口部に対応し且つ下流側で1カ所に集合する回収通路(図示略)が形成されている。これにより、一般入賞口81等に入賞した遊技球は何れも回収通路を介して遊技盤80aの下方に集合する構成となっている。つまり、装飾板80bには各種入賞口に入賞した遊技球を回収する機能が付与されている。
遊技盤80aの下方には後述する排出通路が配されており、回収通路によって遊技盤80aの下方に集合した遊技球は排出通路内に導出される。なお、アウト口89についても同様に排出通路に通じており、何れの入賞口にも入賞しなかった遊技球はアウト口89を介して排出通路内に導出される。
また、装飾板80bには、一般入賞口81に入賞した遊技球を検知する入賞口スイッチと、可変入賞装置82に入賞した遊技球を検知する入賞検知スイッチと、作動口83a,83bに入った遊技球を検知する作動口スイッチとが装着されており、それら各種スイッチによって入賞検知機構が構成されている。これら各種スイッチは主制御装置162に対して電気的に接続されており、各スイッチによる検知情報が同主制御装置162に出力される構成となっている。
なお、装飾板80bに付与された遊技球の回収機能をベース体97に付与することも可能である。つまり、装飾板80bにベース体97側へと通じる球通路を形成し、各入球部へ流入した遊技球をこれら球通路を通じてベース体97側へ(つまり、遊技者の目の届かない位置へ)と案内した後に回収する構成とすることも可能である。
次に、図8及び図9に基づき裏パックユニット15について説明する。図8はパチンコ機10の背面図、図9は裏パックユニット15の正面図である。
図8に示すように、内枠13は裏パックユニット15によって後方から覆われている。裏パックユニット15は、裏パックユニット15の本体部としての裏パック201を備えており、当該裏パック201に対して、払出機構部202、排出通路盤及び制御装置集合ユニット204が取り付けられている。
裏パック201は透明性を有する合成樹脂により成形されており、図9に示すように払出機構部202などが取り付けられるベース部211と、パチンコ機10後方に突出し略直方体形状をなす保護カバー部212とを有する。保護カバー部212は左右側面及び上面が閉鎖され且つ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも可変表示ユニット85を囲むのに十分な大きさを有する(図8参照)。
ベース部211には、外部端子板(図示略)が設けられている。外部端子板には各種の出力端子が設けられており、これらの出力端子を通じて遊技ホール側の管理制御装置(ホールコンピュータ)に対して各種信号が出力される。また、図9に示すように、ベース部211にはパチンコ機10後方からみて右端部に上下一対の掛止ピン214が設けられており、掛止ピン214を内枠13に設けられた前記軸受け部133に挿通させることで、裏パックユニット15が内枠13に対して回動可能に支持されている。ベース部211には、内枠13に設けられた固定レバー134が挿通される複数の挿通部215が形成されており、固定レバー134が挿通部215に挿通された状態にてベース部211に後方から当接することにより内枠13に対して裏パックユニット15が固定されている。
ベース部211には、保護カバー部212を迂回するようにして払出機構部202が配設されている。払出機構部202には、裏パック201の最上部に配されているとともに上方に開口したタンク221が設けられており、遊技ホールの島設備から供給される遊技球がそのタンク221に逐次補給される。タンク221の側方には、下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール222が連結され、タンクレール222の下流側には上下方向に延びるケースレール223が連結されている。ケースレール223の最下流部には払出装置224が設けられている。払出装置224より払い出された遊技球は、当該払出装置224の下流側に設けられた図示しない払出通路を通じて、裏パック201のベース部211に設けられた遊技球分配部225に供給される。
遊技球分配部225は、払出装置224より払い出された遊技球を上皿33、下皿34又は後述する排出通路の何れかに振り分けるための機能を有し、内側の開口部が上述した本体側上皿通路122及び前扉側上皿通路を介して上皿33に通じ、外側の開口部が本体側下皿通路123及び前扉側下皿通路を介して下皿34に通じるように形成されている。
ベース部211の下端部には、当該下端部を前後に挟むようにして排出通路盤及び制御装置集合ユニット204が取り付けられている。排出通路盤には、制御装置集合ユニット204と対向する面に後方に開放された排出通路が形成されており、当該排出通路の開放部は制御装置集合ユニット204によって塞がれている。排出通路は、遊技ホールの島設備等へ遊技球を排出するように形成されており、上述した回収通路等から排出通路に導出された遊技球は当該排出通路を通ることでパチンコ機10外部に排出される。
制御装置集合ユニット204は、横長形状をなす取付台241を有し、取付台241に払出制御装置242と電源・発射制御装置243とが搭載されている。これら払出制御装置242と電源・発射制御装置243とは、払出制御装置242がパチンコ機10後方となるように前後に重ねて配置されている。
払出制御装置242においては基板ボックス244内に払出装置224を制御する払出制御基板が収容されており、当該払出制御基板に設けられた状態復帰スイッチ245が基板ボックス244外に突出している。例えば、払出装置224における球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ245が押されると、球詰まりの解消が図られるようになっている。
電源・発射制御装置243は、基板ボックス246内に電源・発射制御基板が収容されており、当該基板により、各種制御装置等で要する所定の電源が生成されて出力され、さらに遊技者による遊技球発射ハンドル41の操作に伴う遊技球の打ち出しの制御が行われる。また、電源・発射制御装置243には電源スイッチ247が設けられている。電源スイッチ247を操作することにより、パチンコ機10の電源を投入状態(オン状態)又は遮断状態(オフ状態)に切り替え可能となっている。
ここで、本パチンコ機10は各種データの記憶保持機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。例えば遊技ホールの営業終了の場合のように通常手順で電源を遮断すると遮断前の状態が記憶保持される。一方、上記RAM消去スイッチ166を押しながら電源を投入すると、RAMデータが初期化されるようになっている。
これら各種スイッチについては、遊技機主部12(内枠13)を開放して内枠13の背面部を露出させることで遊技機正面側から操作可能となる。一方で、上記施錠装置75によって遊技機主部12の開放が規制されている状態では、遊技機正面側からそれら各種スイッチを操作することができない。つまり、上記各種スイッチについては遊技機主部12を閉じた状態では操作されにくくなっており、施錠装置75用のキーを所有していないもの(例えば不正行為者)による遊技機正面側からの操作を困難なものとしている。
以上詳述したようにパチンコ機10は、大別して、内枠13,前扉枠14及び裏パックユニット15からなる遊技機主部12と、遊技機主部12を回動可能に支持する外枠11とによって構成されており、外枠11が遊技ホールの島設備に設けられた取付部へ固定されることで、当該島設備と一体化されている。遊技機主部12を外枠11に対して閉じた状態では、外枠11等によって遊技機主部12の背面側(例えば主制御装置162等)へのアクセスが規制されることとなる。これにより、解錠用の鍵を所有するホール管理者やホール作業者以外のもの(例えば不正行為者)が遊技機主部12の背面部に不正にアクセスすることが困難となっている。
(遊技盤ユニット80の取付構造)
本実施の形態においては、遊技盤ユニット80の取付構造(具体的には同遊技盤ユニット80の位置決め構造及び固定構造)に関して特徴的な構成を備えている。以下図10の概略図を参照して、当該特徴的な構成について説明する。既に説明したように、遊技盤ユニット80は、内枠13の収容凹部51に対して同内枠13の正面側から嵌まっている。収容凹部51は、樹脂ベース50に設けられ遊技盤ユニット80の背面に対向する平板状の対向板部52と、遊技盤80aの周縁に沿って延びる周壁部53とによって構成されており、これら対向板部52及び周壁部53によって囲まれた領域が遊技盤ユニット80(詳しくは遊技盤80a)の収容領域となっている。
対向板部52において前扉枠14の回動基端側となる部位には、遊技盤ユニット80を対向板部52から離れる側(内枠13の正面側)に向けて付勢する付勢部材としての板バネ(図示略)が同遊技盤ユニット80の左縁部に添って上下に並設されている。板バネは、遊技盤ユニット80(詳しくは装飾板80b)の上端寄り及び下端寄りにそれぞれ配置されており、遊技盤ユニット80に対する付勢力が同遊技盤ユニット80の上端側及び下端側にて同等となるように設定されている。これにより、上記付勢力が遊技盤ユニット80の上端及び下端のいずれか一方に偏よって作用し、遊技盤ユニット80が傾きやすくなることを抑制している。
樹脂ベース50の左側壁部57には、板バネによる付勢方向の先側から遊技盤80aの前面に対して当接することで同遊技盤ユニット80の同付勢方向への変位を抑えるストッパ部65が設けられている。ストッパ部65は、周壁部53の左側壁部57に固定されており、同左側壁部57の内壁面から収容凹部51内に張り出している。
ストッパ部65と対向板部52との間隔寸法は、遊技盤80aの厚さ寸法と装飾板80bの厚さ寸法の和よりも若干大きく設定されている。このため、板バネに押されストッパ部65によって前後位置が規定された遊技盤ユニット80(詳しくは装飾板80b)は、対向板部52に対して僅かに浮いた状態となる。すなわち、遊技盤ユニット80と対向板部52との間に隙間が形成される。これは、許容できる遊技盤ユニット80の厚さ寸法を大きくするための工夫である。
なお、ストッパ部65の配置に関して補足すれば、これらストッパ部65は上記誘導レール部100において遊技盤ユニット80の回動基端側に凸となっている部分の上方及び下方に配置されている。これにより、遊技盤80aの前面に対して当接するストッパ部65と、遊技盤80aの前面にて遊技領域PEを区画する誘導レール部100とを遊技盤80aの前面側となる領域にて好適に共存させることが可能となっている。
以上詳述した板バネ(又は対向板部52)と上下に配された一対のストッパ部65とによって、遊技盤ユニット80の一側部を挿入可能な挿入部66が構築されている。挿入部66は、前扉枠14の回動基端側に配されているとともに、内枠13の回動先端側からの遊技盤ユニット80の挿入を許容すべく同内枠13の回動先端側に開放されている。
特に、板バネは遊技盤ユニット80(詳しくは装飾板80b)に対して当接する部位がストッパ部65よりも前扉枠14が支持されている側から離れるように配されている。つまり、押圧部の頂部とストッパ部65との距離寸法は、押圧部の頂部とストッパ部65との前後方向での間隔寸法よりも大きく設定されている。これにより、遊技盤ユニット80を挿入部66に対して内枠13の斜め前方から挿入可能としている。また、既に説明したように、ストッパ部65と対向板部52との隙間寸法は、遊技盤ユニット80の厚さ寸法(詳しくは遊技盤80aの前面から装飾板80bの背面までの距離寸法)よりも大きく設定されている。これにより、上述の如く斜め前方から挿入された遊技盤ユニット80を、同挿入部66を基端として回動可能としている。なお、ストッパ部65の先端部において遊技盤80aと対向している部位には面取りが施されており、挿入部66の入口部分が拡張されている。これにより、押圧部の頂部とストッパ部65との距離寸法を大きくし、遊技盤挿入時のストッパ部65と遊技盤ユニット80とのつかえが抑制されている。
挿入部66の下方、詳しくは内枠13において左側壁部57と下側壁部56とが交わる位置には、挿入部66に挿入された遊技盤ユニット80を仮置き可能な仮置き部69が設けられている。仮置き部69は、樹脂ベース50において上記下側壁部56を構成している部分の一部が上方に凸となるように形成されている。
仮置き部69の上端面は、下側壁部56における他の部位よりも上側に位置しているとともに、遊技盤ユニット80の下端部に対して対向する平面状をなしている。一方、遊技盤ユニット80(詳しくは遊技盤80a及び装飾板80b)における回動基端側の下隅部にはこの仮置き部69に対応した下側切欠き部90が形成されている(図6参照)。遊技盤ユニット80を挿入部66に挿入し回動開始する初期段階では、この仮置き部69に対して遊技盤ユニット80の下側切欠き部90が仮置き(一時的に載置)されることで同遊技盤ユニット80の重量の少なくとも一部が樹脂ベース50によって支えられることとなる。これにより、作業負担を減らし、遊技盤ユニット80の回動操作の容易化を図っている。
図5に示したように遊技盤ユニット80が装着完了位置に配置されている状態では、遊技盤ユニット80の下端部が下側壁部56の上端面に載り、上述した仮置き部69と下側切欠き部90との間には僅かな隙間が生じる。遊技盤ユニット80は、下側壁部56上に載ることとで、同下側壁部56によって支えられ、その上下位置が規定されることとなる。このように、載置された遊技盤ユニット80を下側から支える点に着目すれば、下側壁部56を「載置部56」又は「支持部56」と称することも可能である。
下側壁部56の前端部分には、遊技盤ユニット装着時に同遊技盤ユニット80を下側壁部56の上面に案内する案内部が形成されている(図5参照)。案内部は、遊技盤ユニット回動時に当該遊技盤ユニット80の下端縁が当接し得る位置に配され、内枠13の正面側に向けて下り傾斜している。遊技盤ユニット80を仮置き部69に載せた状態から装着完了位置に向けて回動させると、その途中段階にて遊技盤ユニット80の下端部が案内部に当たり、同遊技盤ユニット80が案内部の傾斜に沿って押し上げられる。これにより下側切欠き部90が仮置き部69から離間するとともに遊技盤ユニット80の下端部が下側壁部56上に載った状態となり、遊技盤ユニット80の重量負荷が仮置き部69から下側壁部56に移ることとなる。
下側壁部56は、遊技球発射機構110と遊技盤ユニット80との間に位置しており、遊技球発射機構110に近い位置にて遊技盤ユニット80の上下位置が規定される。既に説明したように、誘導レール部100の入口部分104と遊技球発射機構110との両者は下側壁部56に添って配されている。これにより、遊技球発射機構110から発射された遊技球の誘導レール部100における着地位置のばらつきを抑えやすくなっている。
遊技盤ユニット80を着脱する際には、内枠13の正面側から作業が行われる。この際、言うまでも無く前扉枠14が開放された状態で作業が行われる。ここで、図10を参照し、開放された前扉枠14と遊技盤ユニット80及び挿入部66との位置関係について説明を補足する。図10は開放された前扉枠14と遊技盤ユニット80及び挿入部66との位置関係を示す概略図である。
既に説明したように前扉枠14は内枠13に設けられた上記支持金具71,72によって回動可能に軸支されており、この軸支された部分(回動中心軸線CL)を中心として開閉される構成となっている。図10に示すように、下側の支持金具72には前扉枠14の最大開放位置を規定する規定部72aが形成されている。前扉枠14が開放され、規定部72aに対して当たった場合には、それ以上の開放が不可となる。本実施の形態においては、前扉枠14の最大開放量が凡そ100°に設定されている。これは、パチンコ機10がホール等の島設備に設置された状態にて前扉枠14が開放された場合に、隣接して設けられた他の遊技機等に対して同前扉枠14が干渉しないように、また隣接する遊技機での遊技を妨げないようにするための工夫である。なお、前扉枠14の最大開放量は100°に限定されるものではない。少なくとも遊技盤ユニット80の着脱が許容される範囲であれば任意に設定してよい。
前扉枠14の回動中心軸線CLは同前扉枠14の前面寄りに位置しており、前扉枠14を閉じた状態にて内枠13の内側に当該前扉枠14の回動基端部分が嵌まり込む構成となっている。これにより、前扉枠14と内枠13との境界部位(特に前扉枠14の回動基端側の境界部位)を介して不正具が挿入されるといった不都合を生じにくくし、防犯機能の強化を図っている。
この回動中心軸線CLの後方に上記挿入部66が配置されている。前扉枠14は所定の厚さを有しているため、上述の如く最大開放位置まで開放された場合であってもその背面の一部が挿入部66よりも右側(前扉枠14を支持している側とは反対側)に張り出した状態となる。挿入部66は、その張出部分よりも奥まった位置に存在しているものの、遊技盤ユニット80を出し入れする際に当該遊技盤ユニット80の通過する軌道PLと前扉枠14との干渉が回避されるようにしてその挿入口の向きが定められている。これにより、遊技盤ユニット80を装着する際の前扉枠14の張り出し部分と遊技盤ユニット80との干渉が抑えられている。
(遊技盤80aの構造)
本実施の形態においては、遊技盤80aを合成樹脂性とすることにより、従来は遊技盤80aに別体で取り付けていた各種遊技部品を遊技盤80aの本体部分(板状部分)に一体成形することで、遊技機の製造コストの低減や製造工程の簡略化等に寄与している。具体的に、既に説明した誘導レール部100,遊技領域区画部99,囲み部95,ステージ部96,上作動口83a,スルーゲート84が本体部分に一体成形されることでそれら各種構成の取付作業を不要とし、製造工程の簡略化を図っている。
以下の説明では、先ず図6及び図11を参照して誘導レール部100の一体成形に関連する構成について説明し、その後一体成形の対象となった他の遊技盤構成部(例えば囲み部95等)について説明する。図11(a)は上記特定部位SPにおける水平断面図(図5のA−A線部分断面図)、図11の(b)は従来の遊技機における誘導レールの取り付け構造を示す概略図、図11の(c)は本実施の形態における誘導レールの構造を示す概略図である。
図11に示すように、誘導レール部100は遊技盤80aの前面から起立するようにして同遊技盤80aの本体部分に一体成形されている。従来の遊技機においては誘導レール部100に相当する構成は金属製のレール部材(遊技球と同等又はそれよりも高強度の金属製材料)を湾曲させて形成されており遊技球が繰り返し衝突することに起因したレール部材の塑性変形や破損等の不具合が生じにくくなっていた。つまり、単純に誘導レール部100単体での強度を比較した場合には、合成樹脂製とすることが強度面での性能低下を招く要因となり得る。
そこで、本実施の形態においては、それらの不都合の発生を抑えるべく各種対策が講じられている。図11(a)においては、特定部位SP(図6参照)における誘導レール部100の断面のみを表示しているが、誘導レール部100の基端部(根元部分)と遊技盤80aの本体部分とは誘導レール部100の配設範囲の全域で繋がっている。これにより、別体で誘導レールを固定する場合と比較して遊技盤80aの本体部分と繋がっている範囲が拡がっており、遊技球から受ける衝撃や荷重を遊技盤80a側に分散させて伝播させやすくなっている。これにより、誘導レール部100の保護が図られている。
また、誘導レール部100は弾性変形可能な合成樹脂材料によって形成されており、遊技球からの荷重や遊技球衝突時の衝撃を受けた場合には、遊技盤80aと繋がっている部分(以下、基端部又は根元部分という)を基端とする撓み変形が生じることとなる。このように、誘導レール部100自身が変形することで、荷重が局所に集中することを抑制して衝撃を弱めることができ、それら荷重や衝撃による破損等の不具合を生じにくくしている。
更に、誘導レール部100を合成樹脂により遊技盤80aと一体成形することにより、以下の効果が期待できる。上述したように別体式の金属製レール部材を遊技盤に固定しようとした場合には、図11(b)の概略図に示すように、固定箇所を遊技盤80aZの側部からある程度離して(内側に寄せて)設定する必要がある。つまり、外レール102Zを配置するにあたり固定用のスペースS1を考慮する必要がある。これにより、内レール101Zの位置も遊技盤80aの中央側へずれ込みやすくなり、結果として遊技領域PEの拡張が妨げられることとなる。このような不都合は固定箇所をできるだけ多くして、金属製レール部材の取付強度の向上を図ろうとした場合に問題となりやすい。
一方、本実施の形態においては外レール102を固定するためのスペースを遊技盤80aに別途確保する必要が無い。このため、外レール102をできる限り遊技盤80aの外縁寄りに配置しようとすること(図11(c)参照)に阻害事由が生じない。外レール102を遊技盤80aの外縁に近づけて配置することが可能となることで、内レール101についても遊技盤80aの中央からのできるだけ離して配置することができ、図5に示すように遊技領域PEの拡張に貢献することが可能となっている。
既に説明したように、遊技盤80aは合成樹脂による射出成形によって形成されている。ここで、射出成形用の成形型の合わせ方向について補足説明する。成形型については、遊技盤80aの前面にバリや段差が生じないように、また型抜きを行った際の反り等を抑制するように、その合わせ方向が遊技盤80aの厚さ方向と同じ方向となるように設定されている。かかる構成においては、量産の容易化、歩留まりの悪化回避等を考慮し、成形型にある程度の抜き勾配を加味する必要がある。このような抜き勾配の付与対象は、遊技盤80aの本体部分のみならず、当該遊技盤80aの本体分から突出して設けられた各種遊技盤構成部にも及ぶ。このような理由から、図11に示すように誘導レール部100の形状は遊技盤80aの前面から遠ざかるに従ってその厚さが徐々に薄くなるよう(先細り状となるよう)に形成されている。
確かに強度強化に鑑みれば、誘導レール部100の厚みを大きくすることで当該課題を解決することも可能である。しかしながら、このような対応では誘導レール部100の占有領域が大きくなり、上記遊技領域拡張効果が上手く発揮できなくなる。また、合成樹脂製である以上、衝撃を完全に受け止めようとすれば特に衝撃が加わりやすい部分(特定部位SP等)でのひび割れ等の発生を誘発しやすくなると想定される。
そこで、本実施の形態においては、敢えて誘導レール部100の厚みを大きくする対策を採ることなく、上述したように遊技球に押された場合に(着弾時に)誘導レール部100の撓みを許容して衝撃等を上手く緩和させることで、耐久性の担保を図っている。
また、特定部位SPでは遊技球が当たることで外レール102が撓み変形し、その後に元の状態に復帰することで外レール102が振動し得る。但し、本実施の形態に示す遊技機では、特定部位SPにおいて遊技球が比較的厚みの大きい基端部寄りとなる位置に当たるように設定されており、上記変形/復帰時のその振幅はそれほど大きくならない。これにより、遊技球が外レール102に弾かれる等して誘導通路内での遊技球の移動経路がばらつくことが好適に抑制されている。
但し、上述の如く誘導レール部100の撓み変形を許容する構成とした場合には、衝撃の緩和機能を発揮できる反面、繰り返しの撓み変形によって誘導レール部100が劣化しその強度が低下し得る。これは塑性変形が生じやすくなる要因となるため好ましくない。このような不具合が生じる可能性は、弾性域での撓み変形の振れ幅に比例して大きくなる。
そこで、本実施の形態においては、そのような塑性変形を阻止するための構成、すなわち誘導レール部100をサポートするサポート機構が採用されている。
図11に示すように、前扉枠14(詳しくはガラスユニット22のガラスホルダ24)には外レール102に対して遊技領域PEとは反対側から対向するようにしてストッパ部24bが設けられている。ストッパ部24bは、ガラスホルダ24の枠部24aから後方に突出しており、前扉枠14を閉じた状態にて遊技盤80aの板面に沿う方向にて外レール102と対向し、同外レール102との間に所定の隙間が形成されるように配設されている。
ここで、図12を参照して、外レール102とストッパ部24bとの関係について補足説明する。図12(a)は外レール102とストッパ部24bとの関係を示す概略図、図12(b)は前扉枠14を開閉する際の外レール102とストッパ部24bとの位置関係の変化を示す概略図である。
既に説明したように誘導レール部100は遊技盤80aとの繋がり部分(基端部)を基端として撓み変形可能となっており、この撓み変形によって遊技球からの荷重や衝撃を緩和することが可能となっている。ここで、誘導レール部100(詳しくは外レール102)が弾性域内である程度撓み変形すると、外レール102の先端部分がストッパ部24bに当たる。これにより、外レール102の弾性域を超えた撓み変形(塑性変形)が回避されることとなる。つまり、緩衝機能による衝撃緩和の副作用に起因した外レール102の緩衝機能の低下が回避され、更には、上記荷重や衝撃の一部が前扉枠14側へ伝播することで、外レール102に負荷が集中することを回避している。これにより、外レール102が保護されることとなる。
ストッパ部24bによって外レール102をサポートする構成においては、前扉枠14が回動可能に設けられている点に留意する必要がある。本実施の形態においては、図12(b)に示すように、前扉枠14が開閉される際に通過する軌跡(一点鎖線参照)と外レール102とが重ならないように、ストッパ部24bの突出量と外レール102との隙間寸法とが設定されている。例えば、ストッパ部24bを可動式とし、前扉枠14が閉位置に配置されている場合にのみ上記対向位置へ待機させ、前扉枠14を開放する際には外レール102との干渉を回避する退避位置へ移動させる構成とすることも可能であるが、これでは、構造が複雑化し、遊技機全体での製造の容易化を視野に入れると、遊技盤80aを合成樹脂製として各種遊技盤構成部を一体成形したことのメリットが薄れると想定される。
この点、外レール102の撓み変形を許容すべく、ストッパ部24bと外レール102との間に隙間を設定したことは、構造の複雑化を抑えつつサポート機能及び前扉枠14の開閉機能を担保することと有機的に結合しており一体不可分の関係にあるといえる。
次に、再び図6を参照して、外レール102のサポート構造について補足説明する。既に説明したように、前扉枠14には特定部位SPを含む所定の範囲にて外レール102のサポート機能が発揮されるようにしてストッパ部24bが配置されている。本実施の形態における遊技盤ユニット80については、内枠13の樹脂ベース50に対して遊技機前方から着脱する構成が採用されており、遊技盤80aの外縁よりも内側にオフセットした位置に存在する特定部位SPをサポートするには、ストッパ部24bを前扉枠14側に設けることが合理的である。
ここで、上述したように、外レール102については、左側に凸となるように湾曲しており、その最も外側となる部分は遊技盤80aの外縁に達している。この部分では、サポート機能が前扉枠14側ではなく内枠13の樹脂ベース50側に付与されている。具体的には、遊技盤80aを樹脂ベース50に搭載した状態では、樹脂ベース50の左側壁部57が外レール102に湾曲方向における外側から当接している。
遊技球発射機構110から発射された遊技球は誘導レール部100(外レール102)に到達した後は、遠心力によって誘導通路103内を外レール102に沿うように移動することとなる。このような構成においては、外レール102に加わる荷重等の負荷は遊技球が外レール102に当たった際に最も大きくなり、その後は徐々に弱くなる。
このため、樹脂ベース50の左側壁部57を外レール102に当接させることで、撓み変形が制限されるものの、その荷重は左側壁部57へと伝播するため、外レール102に塑性変形や破損等の不都合が生じることがない。このように、外レール102の部位毎に、内枠13及び前扉枠14によるサポート態様を変えることで、実用上好ましい構成が実現されている。
また、上述した抜き角の設定により外レール102の内面が傾斜している構成においては、外レール102に沿って移動する遊技球は自身に作用する遠心力によって徐々にガラスユニット22側へと移動することとなる。つまり、遊技盤80aの前面から浮き上がるようにして移動することとなる。これは、遊技球とガラスパネル23とが衝突する要因となるため好ましくない。
そこで、図11に示すようにガラスユニット22において遊技球の勢いが比較的大きい誘導通路103に対応する部分には、誘導通路103とガラスパネル23との間に介在するようにして、カバー部24cが設けられている。なお、図6においてはカバー部24cが設けられている範囲をドットハッチングによって表示している。
ここで、図11及び図13を参照してカバー部24cについて説明する。図13(a)は誘導通路103とカバー部24cとの関係を示す水平断面図、図13(b)は誘導通路103の出口部分におけるカバー部24cの構造を示す断面図である。なお、本実施の形態におけるガラスホルダ24については透明な合成樹脂材料によって形成されており、カバー部24cによって誘導通路103内を移動する遊技球の動きが見えなくなることはない。
カバー部24cは仕切り部と内側のガラスパネル23を挟んで相対向するようにしてガラスホルダ24の枠部24aから延出している(図11参照)。カバー部24cにおいて遊技盤80aを向いている部分については一部を除き略平面状をなしており、遊技球とガラスパネル23との接触を妨げているだけでなく、当該カバー部24cに遊技球が接触した際に遊技球の動きが乱れないように工夫されている。
誘導通路103内を遊技球が移動している間は、当該遊技球は遠心力によってカバー部24cに沿って移動することはあっても、ガラスパネル23に直接当たることはない。しかしながら、図6に示すように遊技球が誘導通路103から飛び出した後も外レール102に沿って移動して遊技領域区画部99(詳しくはストッパ)まで到達する場合には、カバー部24cによる保護領域を外れることで、遊技球がガラスパネル23に向けて移動する可能性が高まる。そこで、カバー部24cについては図13(b)に示す傾斜を設け、遊技球を遊技盤の前面側(後方)へと押し戻すように工夫されている。
具体的には、カバー部24cの外面(前面)についてはガラスパネル23と平行となるように形成されているが、カバー部24cの内面(後面)については遊技盤80aの前面との距離が変化するように形成されている。すなわち、誘導通路103の途中位置から同誘導通路103の出口部分に向けて上記内面が遊技盤80aの前面に近づくように厚みが変更されている。より詳しくは、上記途中位置まではカバー部24cの厚さ寸法T1が一定であるのに対して、誘導通路103の出口部分付近ではカバー部24cの厚さ寸法T2が厚さ寸法T1よりも大きくなっており、全体的に、遊技盤80aの前面に近づくように傾斜している。
このため、遊技球がカバー部24cに沿って移動しながら誘導通路103の出口部分に到達した場合には、遊技球が遊技盤80aの前面側に押し戻されるように付勢される。カバー部24cに形成された傾斜は、遊技球が外レール102の勾配に沿って遊技機前方へ移動しようとする力よりも上記付勢力のほうが僅かに大きくなるように設定されている。このため、出口部分から飛び出した遊技球が直接ガラスパネル23に衝突したり、遊技盤80aの前面から跳ね返ってガラスパネル23に衝突したりすることが抑制されている。
このように、合成樹脂材料を用いて誘導レール部100を遊技盤80aに一体成形したことによって生じ得る不都合を回避するための各種構成を併用することで、製造工程の簡略化等の各種効果を享受することが可能となっている。
なお、上述したカバー部24cによる遊技球の誘導機能は、必ずしもカバー部24cの傾斜によって実現する必要はない。例えばカバー部24cの内面を遊技盤80aの前面に近づくように湾曲させることで、同様の誘導機能を発揮させる構成とすることも可能である。
(遊技盤80aに一体成形された他の構成)
次に図6及び図14を参照して、遊技盤80aの本体部分に一体成形された他の遊技盤構成部について説明する。図14は図6のC−C線部分断面図である。
(遊技領域区画部99)
図6に示すように遊技領域区画部99についても誘導レール部100と同様に遊技盤80aの本体部分と一体成形されている。遊技領域区画部99の上部には外レール102に沿って移動した遊技球が衝突するストッパ部材88が設けられている。ストッパ部材88は、遊技領域区画部99において斜め上方を向く面に貼り付けられた緩衝部材であるが、遊技球衝突時の衝撃はこのストッパ部材88によって幾分緩和されるものの、一部の衝撃はストッパ部材88を突き抜けて遊技領域区画部99に伝播することとなる。
ここで、遊技領域区画部99については、樹脂ベース50(詳しくは収容凹部51)の右側壁部58に当接しており、遊技領域区画部99に伝播した衝撃は樹脂ベース50へ伝わることとなる。このように遊技球の衝突による衝撃の一部を樹脂ベース50側に逃がすことにより、遊技領域区画部99の保護を図ることができる。
また、図示は省略するが、遊技領域区画部99の上部は、製造容易化及び遊技盤80aの軽量化を目的として中空(詳しくは遊技機後方に開放された筒状)となっており、遊技領域区画部99自体の弾性変形を推進している。これにより、上記緩衝機能が一層好適に発揮されることとなる。なお、この中空部分については、上記主表示ユニット87を収容する収容領域として活用され、主表示ユニット87の設置領域の確保に起因した遊技領域PEの圧迫を抑えている。
遊技領域区画部99の中間部については、上下に延びるレール状をなしており、この部分についても遊技球が左方から衝突する可能性がある。しかしながら、このレール状となっている部分についても樹脂ベース50の右側壁部58と当接しており、遊技球が衝突した際の衝撃を樹脂ベース50側に分散させることが可能となっている。
(スルーゲート84)
同図6に示すように、可変表示ユニット85の左右両側にはスルーゲート84が形成されている。スルーゲート84は他の入球部と違い、通過した遊技球を遊技領域外に排出する機能が付与されていない。
遊技盤80aにおいてスルーゲート84に対応する部分については、遊技盤80aの厚さ方向に貫通する貫通孔とその貫通孔の前方に遊技球が通過する球通路部とが遊技盤80aの本体部分に一体成形されてなり、スルーゲート84はそれら貫通孔に球通路部を通過する遊技球を検知する検知センサが遊技機後方から挿し込まれることで構成されている。
(囲み部95)
次に、図14を参照して囲み部95について説明する。囲み部95には既に説明した防護壁としての機能の他、発光による報知・演出機能や、ステージ部96へ遊技球を誘導する誘導機能、更には中央開口周辺での強度低下を補完するサポート機能が付与されている。
以下、先ず発光にかかる構成について説明する。囲み部95は、遊技盤80aの中央開口に沿って形成されており、遊技盤80aの後方に開放された筒状となるように形成されている。その上部には、遊技機前方に凸となるように湾曲したレンズ部95bが形成されている。装飾板80bであってレンズ部95bの後方に位置する部位には、前面に複数の発光体301が実装された発光基板302が配置されている。発光基板302は上記報知・演出制御装置140に接続されており、この報知・演出制御装置140からの信号に基づいて発光体301が発光/消灯する構成となっている。
発光体301とレンズ部95bとの間には、レンズ部95bに対する光の入射を妨げるものが存在していない(より詳しくは光が通過するものも存在していない)。故に、発光体301からの光は、レンズ部95bの内面及び外面にて一部後方へ反射するものの、その大部分はレンズ部95bを通じて拡散された状態で遊技機正面側へと照射されることとなる。
従来の遊技機においては、囲み部95を発光させる場合には、囲み部95内に発光基板302に相当する構成を内蔵する必要があり、囲み部95の形状や大きさが発光基板の配置を考慮して制限されることがあった。この点、本実施の形態に示すように、発光基板302を囲み部95外に配置することでこのような不都合を回避することが可能となる。
また、囲み部95に相当する構成を遊技盤80aとは別体で形成し、同構成を遊技盤80aの前面に後付けする構成を想定した場合、光が通過する面の数が増大することとなる。これにより、遊技盤80aの後方へと反射する光の量が増え、発光体301からの光を効率よく報知・演出に利用することが難しくなる。
これらの事情に鑑みても、レンズ部95bを遊技盤80aと一体成形することは発光機能を利用した報知・演出を行う上で有利な構成であると言える。
囲み部95を構成する側部には、既に説明したように、遊技球をステージ部96へと誘導する誘導通路95cの入口部分としての開口部95aが形成されている。開口部95aの後方には、囲み部95の中空部分に形成されたリブによって上記誘導通路95cが区画形成されている。
リブについては、遊技盤80aの厚さ方向(型抜き方向)に延びており、その下面を構成している部分については、抜き勾配を利用して、遊技機後方に向けて下るように傾斜している。このため、開口部95aから誘導通路95cに流入した遊技球は、この傾斜によって遊技機後方へと誘導される。
ここで、囲み部95は遊技機後方に開放されているため、誘導通路95cに沿って移動した遊技球は、囲み部95を通過することで下方へ落下するが、誘導通路95cについては、上述した装飾板80bによって後方から覆われており、遊技球が遊技盤ユニット80から零れることが回避されている。つまり、誘導通路95cについては、その一部が装飾板80bによって構成されることで、上記誘導機能が担保されている。
誘導通路95cの出口部分95dは、遊技盤80aの本体部分よりも後方に位置している。この出口部分95dから流出した遊技球は、ステージ部96に到達する。
(ステージ部96)
ステージ部96は、上記出口部分に対応した奥側ステージ96aと、奥側ステージ96aの前方に位置し、同奥側ステージ96aよりも低位となるように形成された手前側ステージ96bとによって段差状に形成されている。上記誘導通路95cの出口部分95dから流出した遊技球は、奥側ステージ96a上を左右に揺動しながら奥側ステージ96a→手前側ステージ96bの順に移動する。このようなステージ96a,96b間での遊技球の移動を可能にする構成を実現する際にも、上述した成形型の抜き勾配が利用されている。具体的には、ステージ部96は、遊技盤80aの前面部分を形成する型によって形成されており、この型の抜き勾配によって遊技機前方へと傾斜している。
手前側ステージ96bには、遊技球を上作動口83aへ導く第1誘導溝部と、第1誘導溝部の左右両側に設けられ遊技球を上作動口83a以外へと導く第2誘導溝部とが設けられているが、これら各溝部の底面についても上記抜き勾配を利用して遊技機前方へ傾斜角が付与されている。
ここで、ステージ部96へと誘導された遊技球の動きを簡単に説明すると、奥側ステージ96aに到達した遊技球は当該奥側ステージ96aを通じて、手前側ステージ96bに到達する。ステージ部96に到達した遊技球は何れのステージ96a,96bにおいても左右に揺動する。そして、揺動の結果、第1誘導溝に到達した遊技球は上作動口83aへ向けて落下し、一方第2誘導溝に到達した遊技球は上作動口83a以外に向けて落下することとなる。
(上作動口83a)
上作動口83aは上方に開放された入口部分であり、遊技盤80aにはこの入口部分から流入した遊技球を遊技盤80aの背面側に誘導する誘導通路86aと誘導通路86aの出口部分に連なる回収通路86bとが形成されている。
誘導通路86aについては、遊技盤80aの背面部分を形成する成形型によって形成されており、その抜き勾配によって誘導通路86aの底面が遊技盤80aの後方へと下り傾斜している。また、同様の成形型によって遊技盤80aの本体部分の背面には上下に延びる左右一対のリブが形成されている。これらリブによって挟まれた区間が上記装飾板80bによって後方から塞がれることで、回収通路86bが構築されている。
遊技盤80aを透明な樹脂材料によって形成し、その後方に装飾板80bを配して遊技盤ユニット80の見栄えの向上を図る構成においては、この装飾板80bを用いて、球通路の後方開放部分を塞ぐ構成とすることにより、構成の複雑化を抑えつつ球通路からの遊技球の脱落を回避することができ、更には成形型の抜き勾配を利用して、遊技球の転がり方向を規定することにより、通路内で遊技球が滞留するといった不都合を好適に回避することができる。
以上詳述した実施の形態によれば、遊技盤80aを合成樹脂製とし、遊技盤80aの本体部分に付随する各種遊技盤構成部(誘導レール部100や囲み部95等)を同本体部分と一体成形することで、遊技盤80aの製造の容易化に貢献することができる。
なお、上述した実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。因みに、以下の別形態の構成を、上記実施の形態における構成に対して、個別に適用してもよく、相互に組み合わせて適用してもよい。
(1)上記実施の形態では、遊技盤80aにおいて同遊技盤80aの前面から突出して設けられた誘導レール部100等の各種構成を遊技盤80aの本体部分に一体成形したが、一体成形の対象物はこれらの構成に限定されるものではない。例えば図6に示すように遊技盤の下部に装飾機能が付与された張出部が取り付けられているような遊技盤においては、当該張出部に相当する構成を遊技盤の本体部分に一体成形することも可能である。
また、一体成形の対象物は遊技盤80aの前面側に突出しているものに限定されるものではなく回収通路用86bのリブに示すように後方へ突出する構成を一体成形することも可能である。例えば可変表示ユニット85(詳しくは図柄表示装置94)を搭載可能な台座部を遊技盤80aの背面から後方に突出するようにして形成することも可能である。
(2)遊技盤80aの前面において釘等が散在する遊技球の流下領域の一部を隆起させたり凹ませたりすることで遊技球に前後方向の動きを与える構成とすることも可能である。つまり、遊技盤80aの前面について、上記実施の形態に示すように1の平面によって構成することに代えて、曲面状又は複数の平面を段差状に配列した構成とすることも可能である。
(3)上記実施の形態では、遊技盤80aを透明な合成樹脂材料によって形成し、その背後に装飾板80bを配置することで遊技盤ユニット80の見栄えの向上を図ったが、このような見栄え向上にかかる構成については省略することも可能である。例えば、遊技盤80aを有色不透明な合成樹脂材料によって形成し、装飾板80bに相当する構成を省略してもよい。この場合、遊技盤80aの前面にキャラクタ等の画像が付されたシート材等を貼り付けることで装飾機能の低下を抑えることも可能である。
(4)上記実施の形態では、遊技盤80aを合成樹脂製とすることで遊技盤80aの本体部分に「遊技盤構成部」としての誘導レール部100や囲み部95等を一体成形可能としたが、これは、誘導レール部100や囲み部95等について追加工を否定するものではない。例えば囲み部95の開口部95aや上作動口83a等の入口部分を形成する場合には、型成形後の追加工(例えば研磨や切削といった追加工)によって同構成を完成させることも可能である。
なお、遊技盤80aの材質は合成樹脂材料に限定されず、誘導レール部100等の遊技盤構成部を一体成形可能であれば足り、例えばアルミニウム等の金属材料とすることも可能である。
(5)上記実施の形態では、「支持枠」としての内枠13の上側壁部55に外レール102の頂部のサポート機能を付与しない構成としたが、外レール102が弾性域で撓み変形した場合に上側壁部55に外レール102が当接する構成とし、同外レール102の過度の変形が上側壁部55によって規制される構成とすることも可能である。
(6)上記実施の形態では、遊技盤80a(詳しくは本体部分)の前面からの起立量が大きいことを考慮して誘導レール部100に抜き勾配を付与する構成としたが、起立量が小さい場合等の条件により、型抜きを行う際に誘導レール部100が変形/破損しないのであれば、上記抜き勾配については省略することも可能である。但し、抜き勾配をなくした場合には、型抜き作業をより慎重に行う必要が生じ、製造効率が低下する可能性が高くなり得る。故に、抜き勾配を省略するのではなく、本実施の形態に示したようにこの抜き勾配を上手く利用したり、抜き勾配によるデメリットを遊技機全体で解消する工夫を施すことが好ましい。
(7)上記実施の形態では、「区画壁部」としての誘導レール部100のサポート機能を「扉体」としての前扉枠14と「支持枠」としての内枠13との両者に付与する構成としたが、これに限定されるものではなく、サポート機能を前扉枠14及び内枠13の何れか一方にのみ付与する構成とすることも可能である。但し、遊技盤ユニット80を内枠13に対して遊技機前方から取り付ける構成においては、サポートが必要になり得る部分が遊技盤80aの端部に位置するとは限らず(図6参照)、誘導レール部100の保護を内枠13のみで実現することは事実上困難である。また、一体成形による利点を活かして遊技領域の拡張を実現しようとした場合には、前扉枠14のみで誘導レール部100全体の保護を行うことが困難になる。故に、部位毎にサポート対象を内枠13及び前扉枠14で変更する構成とすることが好ましい。
(8)上記実施の形態では、ステージ部96を遊技盤80aの前面を形成する正面型によって形成するにあたり、型抜き用の勾配を利用して同ステージ部96を遊技機前方に傾斜させる構成としたが、ステージ部96を遊技盤80aの背面を形成する背面型によって形成する場合には、型抜き用の勾配を利用してステージ部96を遊技機後方に傾斜させる構成とすることも可能である。この場合、ステージ部96には後方へ移動した遊技球を遊技機前面側(例えば上作動口83a)へと誘導するワープ通路等を設けることにより、ステージ本来の遊技球誘導機能を担保することができる。
(9)遊技盤80aに一体成形された構成のうち発光演出にかかる部位(例えば囲み部95)については、有色透明な合成樹脂材料を適用することも可能である。つまり、遊技盤80aの本体部分については無色透明な合成樹脂材料を用いて形成し、発光にかかる部位については有色透明な合成樹脂材料を用いて形成する、所謂2色成形を行うことも可能である。
(10)上記実施の形態では、「通路壁部」を構成する外レール102において遊技盤80aの左端部側に凸となっている部位に内枠13(樹脂ベース50)の右側壁部58が当接することで当該左側壁部57に外レール102の保護機能を付与したが、これに限定されるものではない。例えば、外レール102とストッパ部24bとの関係と同様に、外レール102と左側壁部57との間に所定の隙間を設け、外レール102が弾性変形した際には、同外レール102が塑性域に達する前に左側壁部57と当接してそれ以上の変形が規制される構成とすることも可能である。
(11)上記実施の形態とは異なる他のタイプのパチンコ機等、例えば特別装置の特定領域に遊技球が入ると電動役物が所定回数開放するパチンコ機や、特別装置の特定領域に遊技球が入ると権利が発生して大当たりとなるパチンコ機、他の役物を備えたパチンコ機、アレンジボール機、雀球等の遊技機にも、本発明を適用できる。
<上記実施の形態から抽出される発明群について>
以下、上述した実施の形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
以下の特徴A群は、「パチンコ機等の遊技機には、前面に遊技領域が形成された木製の遊技盤を枠体に搭載してなるものがある。遊技者の発射操作に基づいて発射された遊技球が遊技領域に設けられた入球部に入賞することにより、当否抽選や遊技球の払出し等の特典が遊技者に付与される(例えば特開2003−190511号公報参照)。この種の遊技機には、入球部への入賞を契機として図柄の変動表示を行う図柄表示装置、図柄の変動表示に合わせて発光したり動作したりすることにより当否抽選結果の示唆等を行う遊技部品が遊技領域に配置されることにより遊技機への注目度の向上が図られているものがある。更に近年では、遊技盤を木材に代えて透明な合成樹脂材料等を用いて型形成(例えば射出成形)し、遊技盤の背後に発光部や装飾部等の遊技部品を設けることで、遊技盤の前面側にそれら各種部材を配置する場合と比較して遊技領域の圧迫を抑えつつ見栄え等の向上が図られている。しかしながら、合成樹脂製の遊技盤を有する遊技機においては、上記各種効果を享受し得る一方、その構造には未だ改善の余地がある。」という背景・課題等に鑑みてなされたものである。
特徴1.前面に遊技領域(遊技領域PE)が形成された遊技盤(遊技盤80a)を備え、
前記遊技盤には、当該遊技盤の前面側及び背面側の少なくとも何れかに突出するようにして遊技盤構成部(誘導レール部100等)が設けられており、
前記遊技盤及び前記遊技盤構成部は合成樹脂材料を用いて一体成形されていることを特徴とする遊技機。
特徴1に示すように遊技盤と遊技盤構成部とを合成樹脂材料を用いて一体成形することにより、遊技盤構成部を遊技盤に固定するための別途作業が不要となる。これにより、製造工程を簡略化することが可能となり、作業負荷の軽減及び工期短縮に貢献することができる。
特徴2.前記遊技盤構成部は、前記遊技盤の前面側へ突出しており、遊技球が当たることで同遊技球の移動方向を変化させるものであることを特徴とする特徴1に記載の遊技機。
遊技領域に存在する各種構成のうち遊技球が当たってその移動方向を変化させる部分については、位置精度をある程度担保しておく必要がある。ここで、従来の遊技機のように遊技盤構成部を後付けする場合には、製造時の作業ミス等に起因して位置精度が低下しないように各種工夫を施す必要がある。この点、特徴1に示したように遊技盤構成部を一体成形すれば、そのような工夫が不要となり位置精度担保のための構成を簡略化できる。
特徴3.前記遊技盤構成部は、前記遊技盤の前面から前方へ起立しており、同遊技盤の前面において、遊技領域(遊技領域PE)及びその遊技領域へ遊技球を誘導する誘導部(誘導通路103)を区画形成する区画壁部(誘導レール部100)であることを特徴とする特徴1又は特徴2に記載の遊技機。
区画壁部については、遊技球が当たった際の負荷に耐え得るようにある程度の強度(特に取付強度)を担保する必要がある。そこで、例えば区画壁部に相当する構成を別体で設けるタイプの従来の遊技機においては、ピン等の固定具を用いて固定強度を担保することで上記負荷を遊技盤側に分散させて受け止める構造が採用されている。
しかしながら、区画壁部に相当する構成を後付けする構造では、固定具を取り付けた際の遊技盤の割れ等を防ぐ必要があり、それら固定具の存在が区画壁部に相当する構成を遊技盤の外縁に近づけて配置する際の妨げとなっていた。このような不都合は、固定強度の向上に鑑みて固定箇所を多く設定しようとすればより顕著なものとなる。故に、このような固定構造が必須となることは、遊技領域の拡張を妨げる要因となり得るため好ましくない。また、区画壁部を後付けとする構成であっても例えば固定箇所を増やすことで固定強度を担保することは可能である。しかしながらこの場合、遊技盤の製造効率が低下するという課題も生じ得る。
この点、区画壁部を遊技盤と一体成形するのであれば、上述したような固定用スペースの確保が不要となり遊技領域拡張の妨げとなることを抑制でき、更には固定箇所にかかる上記不都合の発生も回避することもできる。
特徴4.前記遊技盤を支持する支持枠(樹脂ベース50)と、
前記遊技盤を遊技機前方から覆う扉体(前扉枠14)と
を備え、
前記支持枠及び前記扉体の少なくとも何れかには、前記区画壁部に前記誘導部とは反対側から対向する対向部(ストッパ部24bや左側壁部57等)が設けられており、
当該対向部は、前記区画壁部が当接することで同区画壁部の反誘導部側への変形を規制するように構成されていることを特徴とする特徴3に記載の遊技機。
特徴3に示したように区画壁部を合成樹脂によって遊技盤に一体成形する構成においては製造効率の向上等の各種効果を享受できる反面、従来の金属製後付けタイプの区画壁部と比較して、区画壁部自体の強度が低くなることが懸念される。そこで、本特徴においては、支持枠及び扉体の少なくとも何れかに対向部を設け、区画壁部が対向部に当接することで区画壁部の変形が規制される構成とした。かかる構成によれば、区画壁部に遊技球から負荷が加わった場合に、その負荷を対向部を通じて支持枠や扉体に伝えることができ、区画壁部の過度の変形や破損等を抑制することができる。区画壁部による遊技球の誘導機能の担保に貢献することができる。
特に、支持枠や扉体は遊技盤よりも大きく、区画壁部を外側(反誘導部側)から支持するに最適である。
特徴5.前記区画壁部は、当該区画壁部の基端部を中心として撓み変形可能となるように構成されており、
前記対向部は、前記区画壁部に隙間を隔てて対向しており、前記区画壁部が反誘導部側に所定量以上に撓んだ場合に、同区画壁部のそれ以上の撓み変形を規制するように構成されていることを特徴とする特徴4に記載の遊技機。
区画壁部を合成樹脂製とした場合には、例えば壁の厚さを大きくすることにより強度向上を図ることができる。しかしながら、遊技球が衝突する部位については、繰り返しの衝撃が発生するため、例え上述したような強度向上を図ったとしても衝突部位及びその周辺にてひび割れや凹み等の劣化が生じることが懸念される。
そこで、本特徴においては、区画壁部を自身の付け根を中心に撓み変形する構成とし、上記衝撃を緩和する構成を実現している。かかる構成においては、繰り返しの撓み変形によって区画壁部が塑性変形してしまう可能性が生じるが、対向部によって所定量以上(弾性域を超えた)変形を規制することにより、衝撃吸収機能を発揮させつつ、区画壁部の耐久力の低下を抑えることができる。
特徴6.前記対向部は、前記扉体に設けられた扉体側対向部(ストッパ部24b)を有してなり、
前記扉体側対向部は、前記区画壁部が同区画壁部の基端部を中心として撓み変形した場合に、当該区画壁部の先端部に当接するように形成されていることを特徴とする特徴5に記載の遊技機。
特徴6によれば、対向部が区画壁部の先端部に当接することで撓み変形を規制する構成とすることにより緩衝機能を好適に発揮させることができる。例えば、対向部に相当する構成を区画壁部と同様に遊技盤に一体成形することも可能である。しかしながら、このような構成においては区画壁部の先端部と当接するには対向部に相当する構成を無駄に大きくする必要があり、規制機能を上手く発揮させようとすれば同じ側に基端部を持つ構造上の特性から無駄に遊技領域が侵食されると懸念される。この点、本特徴に示すように、区画壁部の先端部に近い扉体に対向部を設けることにより、そのような不都合の発生を回避し、区画壁部の変形を上手く抑えることが可能となる。
特徴7.前記遊技盤が前記支持枠に対して遊技機前方から着脱される構成となっており、
前記遊技盤は略矩形状をなしているとともに、前記遊技領域は略円形状をなしており、
前記区画壁部は、前記遊技盤の一辺側に凸となる円弧状をなしており、
前記対向部として、前記扉体に設けられた扉体側対向部(ストッパ部24b)と前記支持枠に設けられた支持枠側対向部(左側壁部57)とを有してなり、
前記支持枠側対向部は、前記区画壁部において少なくとも前記一辺側に凸となっている部分に対向するようにして配設されており、
前記扉体側対向部は、前記区画壁部において前記凸となっている以外の部分に対向するようにして配設されていることを特徴とする特徴4乃至特徴6のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴7に示すように遊技盤が略矩形状、遊技領域(区画壁部)が略円形状をなしている場合には、遊技盤を遊技機前方から着脱するという点を考慮すると、区画壁部の全域を支持枠又は扉体の何れか一方でサポートすることは、遊技盤の着脱作業の妨げとなり得るため好ましくない。
そこで、区画壁部において少なくとも前記一辺側に凸となっている部分については支持枠に設けられた支持枠側対向部によってサポートし、それ以外の部分については扉体に設けられた扉体側対向部によってサポートする構成とすれば、遊技盤の着脱機能を妨げることなく、上記各特徴による効果を享受することができる。
特徴8.前記遊技盤は、当該遊技盤の厚さ方向に並設された固定型及び可動型を用いて射出成形されており、
前記可動型の移動方向は前記厚さ方向と同じ方向となるように設定されており、
前記遊技盤の前記区画壁部は、型抜き用の勾配により同区画壁部の基端部が先端部よりも厚くなるように形成されていることを特徴とする特徴4乃至特徴7のいずれか1つに記載の遊技機。
区画壁部の撓み変形を許容することで、遊技球の衝突に起因した衝撃等を緩和させる構成とした場合、撓み変形によって発生する応力が区画壁部の基端部にて大きくなりやすい。この点、型抜き用の勾配を利用して同区画壁部の基端部が先端部よりも厚くなるように形成すれば、先端部と比較して基端部の強度を向上でき、区画壁部全体での撓み機能を担保しつつ、それに起因して基端部に亀裂等の不具合が生じることを抑制できる。
なお、基端部と遊技盤前面との境界部位にRをつけることで、成形の容易化だけでなく、撓み変形が発生した際に区画壁部の基端部に応力の集中を抑えることができるという効果が期待できる。
特徴9.前記扉体には、前記遊技盤を遊技機前方から透視可能に形成された透明パネル(ガラスパネル23)が設けられており、
前記透明パネルと前記遊技盤との間に設けられ、前記遊技盤の前面と対向する対向面を有し、前記誘導部を遊技機前方から覆うカバー部(カバー部24c)を備えていることを特徴とする特徴8に記載の遊技機。
特徴8に示したように、区画壁部が先細り状となるように形成されている場合には、同区画壁部に沿って移動する遊技球は区画壁部の傾斜に沿って徐々に遊技機前方に移動し、透明パネルと衝突する可能性がある。そこで、誘導部に沿うようにしてカバー部を設けることで、仮に遊技球が遊技機前方に移動したとしても透明パネルと遊技盤との間に介在するカバー部によってそれ以上の移動が妨げられ、上記不都合の発生を抑えることが可能となる。
特徴10.発射された遊技球は前記誘導部の出口部分を通じて前記遊技領域に到る構成となっており、
前記カバー部において前記誘導部の出口部分を覆っている部分を含む特定範囲には、
遊技盤の前面との距離が小さくなるように傾斜する傾斜面が形成されていることを特徴とする特徴9に記載の遊技機。
遊技球が誘導部から離れる際にカバー部に沿って移動している場合には、誘導部の出口部分から離れた遊技球は、遊技機前方へ向けて付勢されたままとなり、誘導部から離脱した後に透明パネルに当たる可能性が生じる。この点、本特徴に示すように、カバー部に形成された傾斜面によって遊技球に遊技盤側への付勢力を与える構成としておくことで、遊技球が透明パネルに当たるといった不都合を生じにくくすることができる。
以下に、以上の各特徴を適用し得る遊技機の基本構成を示す。
パチンコ遊技機:遊技者が操作する操作手段(遊技球発射ハンドル41)と、その操作手段の操作に基づいて遊技球を発射する遊技球発射手段(遊技球発射機構110)と、その発射された遊技球を所定の遊技領域(遊技領域PE)に導く球通路(誘導通路103)と、遊技領域内に配置された各遊技部品(釘等)とを備え、それら各遊技部品のうち所定の通過部(一般入賞口81等)を遊技球が通過した場合に遊技者に特典を付与する遊技機。