JP6470643B2 - フッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物、それを用いたポリイミド、ポリイミドフィルム、およびそれらの製造方法 - Google Patents
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Description
この銅張積層板は、銅箔部分を加工して配線パターンなどが形成されて用いられるものであるが、この配線パターンは絶縁性のカバーレイフィルムなどによって被覆保護される。そして、このカバーレイフィルムの基材も主にポリイミドフィルムが用いられている。
そこで、この電気特性の改善のために、耐熱性が高く、電気特性に優れているフッ素系の樹脂とポリイミドとを組み合わせて用いる方法などが提案されてきている。
しかしながら、これらのフッ素を含有した界面活性剤や分散剤を用いたフッ素系樹脂含有分散体などを添加したポリイミド材料は、フッ素系樹脂の効果により誘電率や誘電正接を下げることができるが、フッ素を含有した界面活性剤や分散剤は一般的に誘電率や誘電正接を上げることが多く、充分に電気特性を改善することが難しいという課題がある。
また、このような添加剤の存在は、ポリイミド材料の接着性、密着性、耐熱性などの面でも不具合を生じるという課題がある。
更に、フッ素を含有する界面活性剤や分散剤は、ポリイミド化する際の熱処理や廃液を焼却処理する際などに熱分解してフッ化水素となる可能性があり、環境面などへの悪影響が懸念されている。
したがって、充分な電気特性や物理特性の改善、環境面などへの悪影響には未だ技術的な課題や限界等があり、電気特性や物理特性を更に改善し、環境面などへの影響も少ないフッ素系樹脂を含有してなるポリイミド組成物、ポリイミドフィルムなどが求められているのが現状である。
また、本発明のポリイミド、ポリイミドフィルム等は、接着性や密着性などの低下などを抑制することができ、しかも、ポリイミド材料は湿度などの影響を受けやすいが、その影響を低減することも可能になる。
更に、フッ素を含有する界面活性剤や分散剤は、ポリイミド化する際の熱処理や廃液を焼却処理する際などにフッ化水素となる可能性があるが、フッ素を含有する界面活性剤や分散剤を用いていない本発明は、環境面等への悪影響を及ぼすことを抑制できる利点を有する。
本発明のフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物は、下記第1発明〜第4発明にてそれぞれ構成されるものである。
本第1発明は、少なくとも、フッ素系樹脂のマイクロパウダーと、下記式(I)で表される化合物と、ポリイミド前駆体溶液と、を含むことを特徴とするものであり、第2発明は、前記ポリイミド前駆体溶液が、少なくとも、テトラカルボン酸二水和物及び/又はその誘導体と、ジアミン化合物と、を含むことを特徴とするものであり、第3発明は、フッ素系樹脂のマイクロパウダーと上記式(I)で表される化合物と非水系溶媒とを少なくとも含むフッ素系樹脂マイクロパウダー分散体と、ポリイミド前駆体溶液と、を少なくとも含むことを特徴とするものであり、第4発明は、前記ポリイミド前駆体溶液が、少なくとも、テトラカルボン酸二水和物及び/又はその誘導体と、ジアミン化合物と、を含むことを特徴とするものである。
〈フッ素系樹脂のマイクロパウダー〉
本第1発明に用いるフッ素系樹脂のマイクロパウダーとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ化エチレン−プロピレン共重合体(FEP)、パーフルオロアルコキシ重合体(PFA)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、テトラフルオロエチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(TFE/CTFE)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)からなる群から選ばれる少なくとも1種のフッ素系樹脂のマイクロパウダーが挙げられる。
上記フッ素系樹脂のマイクロパウダーの中でも、特に、低比誘電率、低誘電正接の材料として、樹脂材料の中で最も優れた特性を有するポリテトラフルオロエチレン(PTFE、比誘電率2.1)の使用が望ましい。
このようなフッ素系樹脂のマイクロパウダーは、乳化重合法や粉砕法などにより得られるものであり、例えば、ふっ素樹脂ハンドブック(黒川孝臣編、日刊工業新聞社)に記載されている方法など、一般的に用いられる方法により得ることができる。前記乳化重合により得られたフッ素系樹脂のマイクロパウダーの場合には、凝集・乾燥して、一次粒子が凝集した二次粒子としての微粉末が回収されるものである。
フッ素系樹脂のマイクロパウダーの一次粒子径の測定方法としては、レーザー回折・散乱法、動的光散乱法、画像イメージング法などによって測定される体積基準の平均粒子径(50%体積径、メジアン径)が用いられるが、予想される一次粒子径に合った測定方法を選定することにより、実際の粒子径に即した測定値を得ることができるものである。
なお、一次粒子径が1μm以下となるようなフッ素系樹脂のマイクロパウダーの場合は、マイクロパウダーの製造段階においてレーザー回折・散乱法や動的光散乱法などによって得られた値を指し示すものであるが、乾燥して粉体状態にしたマイクロパウダーの場合には、一次粒子同士の凝集力が強く、容易に一次粒子径をレーザー回折・散乱法や動的光散乱法などによって測定することが難しいため、画像イメージング法によって得られた値を指し示すものであってもよい。測定装置としては、例えば、FPAR−1000(大塚電子株式会社製)による動的光散乱法や、マイクロトラック(日機装株式会社製)によるレーザー回折・散乱法や、マックビュー(株式会社マウンテック社製)による画像イメージング法などを挙げることができる。
この含有量が5質量%未満の場合には、最終的なポリイミドなどにフッ素系樹脂の有する特性を充分に付与することができず、また、含有量が70質量%を超える場合には、最終的なポリイミドなどの機械的強度が極端に弱くなるなどするため好ましくない。
本第1発明に用いる上記(I)で表される化合物は、いわゆるブチラール樹脂であり、フッ素系樹脂のマイクロパウダーをポリイミド前駆体溶液組成物中に均一に且つ安定に微粒子分散させることができるものであり、その分子構造はビニルブチラール/酢酸ビニル/ビニルアルコールから構成される三元重合体であり、ポリビニルアルコール(PVA)をブチルアルデヒド(BA)と反応させたものであり、ブチラール基、アセチル基、水酸基を有した構造であり、これらの3種の構造の比率(l,m,nの各比率)を変化させることにより、非水系溶媒への溶解性、ポリイミド前駆体溶液等との相溶性、さらには化学反応性をコントロールすることが可能となる。
具体的には、積水化学工業(株)製の商品名;エスレックBM−1(水酸基量:34モル%、ブチラール化度65±3モル%、分子量:4万)、同BH−3(水酸基量:34mol%、ブチラール化度65±3モル%、分子量:11万)、同BH−6(水酸基量:30mol%、ブチラール化度69±3モル%、分子量:9.2万)、同BX−1(水酸基量:33±3mol%、アセタール化度66モル%、分子量:10万)、同BX−5(水酸基量:33±3mol%、アセタール化度66モル%、分子量:13万)、同BM−2(水酸基量:31mol%、ブチラール化度68±3モル%、分子量:5.2万)、同BM−5(水酸基量:34mol%、ブチラール化度65±3モル%、分子量:5.3万)、同BL−1(水酸基量:36mol%、ブチラール化度63±3モル%、分子量:1.9万)、同BL−1H(水酸基量:30mol%、ブチラール化度69±3モル%、分子量:2万)、同BL−2(水酸基量:36mol%、ブチラール化度63±3モル%、分子量:2.7)、同BL−2H(水酸基量:29mol%、ブチラール化度70±3モル%、分子量:2.8万)、同BL−10(水酸基量:28mol%、ブチラール化度71±3モル%、分子量:1.5万)、同KS−10(水酸基量:25mol%、アセタール化度65±3モル%、分子量:1.7万)などや、クラレ(株)製の商品名;モビタール
B145(水酸基量:21〜26.5モル%、アセタール化度67.5〜75.2モル%)、同B16H(水酸基量:26.2〜30.2モル%、アセタール化度66.9〜73.1モル%、分子量:1〜2万)などが挙げられる。
これらは、単独又は2種以上混合して使用してもよい。
さらに、得られるポリイミドなどの特性を考慮すれば、0.01〜5質量%が更に好ましく、特に好ましくは、0.01〜2質量%が最も好ましい。
本第1発明に用いるポリイミド前駆体溶液は、一般的にポリイミドの生成に用いられるポリイミド前駆体であればいずれも用いることができ、例えば、少なくとも、テトラカルボン酸二無水物及び/又はその誘導体と、ジアミン化合物と、非水系溶媒とを含むものであり、その調製はテトラカルボン酸二無水物及び/又はその誘導体と、ジアミン化合物を非水系溶媒の存在下で反応させることなどにより得られる。なお、本第1発明において、「ポリイミド前駆体溶液」は、使用する非水系溶媒を含有する概念である。
本第1発明のフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物は、少なくとも、上記フッ素系樹脂のマイクロパウダーと、上記式(I)で表される化合物と、上記ポリイミド前駆体溶液と、を含むことを特徴とするものであり、例えば、非水系溶媒に上記テトラカルボン酸二無水物及び/又はその誘導体とジアミン化合物を溶解し、重合させたポリイミド前駆体溶液中に、上記フッ素系樹脂のマイクロパウダーと、上記(I)で表される化合物(ブチラール樹脂)とを所定量を添加、混合して調製される。
この第1発明のフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物では、フッ素系樹脂のマイクロパウダーと上記式(I)で表される化合物とを予め調製したポリイミド前駆体溶液に所定量を添加、混合することにより、組成物中にフッ素系樹脂のマイクロパウダーを凝集や沈降することなく均一に微粒子分散することができるものとなる。
本第1発明に用いるポリイミド前駆体溶液の調製は、公知の方法や所定の条件などを好適に採用することができ、例えば、非水系溶媒に所定の組成比となるテトラカルボン酸二無水物及び/又はその誘導体と、ジアミン化合物を加え、撹拌することにより調製することができる。ポリイミド前駆体溶液中におけるテトラカルボン酸二無水物及び/又はその誘導体、及びジアミン化合物の合計の濃度は、種々の条件に応じて設定されるが、通常、反応溶液全量(ポリイミド前駆体溶液全量)において5〜30質量%が好ましい。これらを撹拌する際の反応条件は、特に限定されないが、反応温度は80℃以下、特に5〜50℃に設定することが好ましい。反応温度が低すぎると反応が進行しない、あるいは反応が進行するまでに時間がかかりすぎ、高すぎるとイミド化が進行してしまうなどの問題が生じてくる。また、反応時間は1〜100時間であることが好ましい。
また、フッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物は、例えば、ディスパー、ホモミキサーなどのミキサー類や、超音波分散機、3本ロール、湿式ボールミル、ビーズミル、湿式ジェットミルなどの分散機などを用いて攪拌、混合、分散することにより、作製することができるものである。
用いることができる微粒子セラミックスとしては、特に限定されないが、少なくとも、B、Na、Mg、Al、Si、P、K、Ca、Tiのうちのいずれか1種以上の元素を含むものが好ましく、これらの元素を含む酸化物系、水酸化物系、炭化物系、炭酸塩系、窒化物系、ハロゲン化物系、リン酸塩系から選ばれる少なくとも1種の微粒子セラミックスが挙げられる。
特に、好ましい微粒子セラミックスとしては、更なる非水系分散体の分散安定性、他の成分との相性、入手性、作業性などの点から、Al2O3、SiO2、CaCO3、ZrO2、SiC、Si3N4、ZnOのうちから選ばれる少なくとも1種の無機化合物からなるものが望ましい。
この微粒子セラミックスの一次粒子径としては、動的光散乱法によって測定される体積基準の平均粒子径(50%体積径、メジアン径)を0.5μm以下のものを用いることにより、非水系中で安定に分散し、PTFEの非水系分散体の分散安定性を更に高度に維持する上で好ましく、望ましくは、0.3μm以下、さらに望ましくは、0.1μm以下とすることにより、さらに非水系分散体の分散安定性に優れたものとなる。また、上記一次粒子径の下限値は、低ければ低い程良好であるが、製造性、コスト面等から、0.02μm以上が好ましい。
なお、本発明における微粒子セラミックスの一次粒子径の測定において、セラミックス同士の凝集力が強く、容易に一次粒子径を動的光散乱法によって測定することが難しい場合は、画像イメージング法によって得られた値を指し示すものであってもよい。測定装置としては、例えば、FPAR−1000(大塚電子株式会社製)による動的光散乱法や、マックビュー(株式会社マウンテック社製)による画像イメージング法などを挙げることができる。
この含有量が0.01質量%未満では、微粒子セラミックスの含有効果を発揮することができず、フッ素系樹脂のマイクロパウダーの分散安定性を更に高度に維持することができない。一方、5質量%超過では、セラミックス粒子の持つ特性が強く出るようになり、フッ素系樹脂のマイクロパウダーの分散安定性を阻害したりして、かえって性能を落とすこともあるため好ましくない。
これらのセラミックス微粒子は、あらかじめポリイミド前駆体溶液に用いる溶剤(分散媒)中に分散してから添加することも可能であるし、フッ素系樹脂のマイクロパウダーとともに、セラミックス微粒子を調合して、一緒に分散することもできるものである。
本第2発明のフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物は、上記ポリイミド前駆体溶液が、少なくとも、テトラカルボン酸二水和物及び/又はその誘導体と、ジアミン化合物と、を含むことを特徴とするものである。
好ましくは、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s−BPDA)の使用が望ましい。
このテトラカルボン酸二無水物及び/その誘導体の含有量は、製造性、ポリイミドの用途、要求特性等に応じて変動するものである。
好ましくは、p−フェニレンジアミン(PPD)、ビス(4−アミノ−3−カルボキシフェニル)メタン(MBAA)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン(BAPP)を用いることが望ましい。
このジアミン化合物の含有量は、製造性、ポリイミドの用途、要求特性等に応じて変動するものである。
例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、2−ヘプタノン、シクロヘプタノン、シクロヘキサノン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、メチル−n−ペンチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソペンチルケトン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、シクロヘキシルアセテート、3−エトキシプロピオン酸エチル、ジオキサン、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、ベンゼン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、メチルモノグリシジルエーテル、エチルモノグリシジルエーテル、ブチルモノグリシジルエーテル、フェニルモノグリシジルエーテル、メチルジグリシジルエーテル、エチルジグリシジルエーテル、ブチルジグリシジルエーテル、フェニルジグリシジルエーテル、メチルフェノールモノグリシジルエーテル、エチルフェノールモノグリシジルエーテル、ブチルフェノールモノグリシジルエーテル、ミネラルスピリット、2−ヒドロキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、4−ビニルピリジン、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、メタクリレート、メチルメタクリレート、スチレン、パーフルオロカーボン、ハイドロフルオロエーテル、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、パーフルオロポリエーテル、ジメチルイミダゾリン、テトラヒドロフラン、ピリジン、フォルムアミド、アセトアニリド、ジオキソラン、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、フェノール、N−メチル−2−ピロリドン,N−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、γ−ブチロラクトン、スルホラン、ハロゲン化フェノール類、各種シリコーンオイル、からなる群から選ばれる1種類の溶媒、またはこれらの溶媒を2種以上含んでいるものが挙げられる。
これらの非水系溶媒の中で、好ましくは、用いる材料やポリイミドの用途等により変動するものであるが、アセトアニリド、ジオキソラン、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、N−メチル−2−ピロリドン,N−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、スルホラン、ハロゲン化フェノール類、キシレン、アセトンが挙げられる。
本第2発明に用いるポリイミド前駆体溶液に用いる非水系溶媒の含有量は、上記テトラカルボン酸二無水物及び/又はその誘導体、上記ジアミン化合物の残部となるものである。
本第3発明のフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物は、上述のフッ素系樹脂のマイクロパウダーと、上記式(I)で表される化合物と、上記非水系溶媒と、を少なくとも含むフッ素系樹脂マイクロパウダー分散体と、第1発明のポリイミド前駆体溶液とを少なくとも含むことを特徴とするものであり、上記各成分等の詳述は上記第1発明と同様であるので、その説明を省略する。
本第3発明では、上記第1発明に較べ、予め、フッ素系樹脂のマイクロパウダーと、式(I)で表される化合物と、非水系溶媒とを含むフッ素系樹脂マイクロパウダー分散体を調製したものを用いるものであり、この分散体を、上記ポリイミド前駆体溶液に所定量添加、混合することなどによりフッ素系樹脂のマイクロパウダーが組成物中に凝集や沈降することなく均一に微粒子分散したフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物が得られるものである。
本第3発明の上記フッ素系樹脂マイクロパウダー分散体は、分散状態においてフッ素系樹脂のマイクロパウダーの動的光散乱法による体積基準の平均粒子径(50%体積径、メジアン径)が、10μm以下となるものである。通常、一次粒子が凝集し、二次粒子として粒子径が大きいマイクロパウダーとなっている。このフッ素系樹脂のマイクロパウダーの二次粒子を10μm以下の粒子径となるように分散することにより、例えば、ディスパー、ホモミキサーなどのミキサー類や、超音波分散機、3本ロール、湿式ボールミル、ビーズミル、湿式ジェットミル、高圧ホモジナイザーなどの分散機を用いて分散することにより、低粘度で長期保存した場合でも安定な分散体を得ることができるものである。
この平均粒子径としては、好ましくは5μm以下、さらに好ましくは3μm以下、より好ましくは1μm以下であることが望ましい。より安定な分散体となるからである。
さらに、本第3発明のフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物においても、上述した本第1発明のフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物と同様に、フッ素系樹脂のマイクロパウダーの分散状態を向上させるために、微粒子セラミックスを添加することも可能である。
さらにまた、本第3発明のフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物においても、上述した本第1発明のフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物と同様に、カールフィッシャー法による水分量が、5000ppm以下〔0≦水分量≦5000ppm〕であることが好ましい。材料からの水分混入や製造段階における水分混入など考えられるが、最終的にフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物の水分量を5000ppm以下にすることで、より保存安定性に優れた、フッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物を得ることができる。
本第4発明のフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物は、上記本第3発明のフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物におけるポリイミド前駆体溶液が、少なくとも、テトラカルボン酸二水和物及び/又はその誘導体と、ジアミン化合物と、を含むことを特徴とするものであり、上記各成分等の詳述は上記第1〜第3発明と同様であるので、その説明を省略する。
本第4発明では、予め調製したフッ素系樹脂のマイクロパウダー分散体を用いるものであり、この分散体に、上記テトラカルボン酸二水和物及び/又はその誘導体と、上記ジアミン化合物と、上記非水系溶媒を所定量添加、混合することなどによりフッ素系樹脂のマイクロパウダーが組成物中に凝集や沈降することなく均一に微粒子分散したフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物が得られるものである。
また、上記第1発明〜第4発明においては、上記非水系溶媒を用いるものであるが、他の溶媒と組み合わせて用いることや他の溶媒を用いることもできるものであり、用いるポリイミドの用途(回路基板、カバーレイフィルム、絶縁材料など)により好適なものが選択される。
本発明のポリイミド、ポリイミドフィルム、ポリイミド絶縁材料は、上記で調製した第1発明〜第4発明のフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物中の、ポリイミド前駆体をイミド化することにより、フッ素系樹脂が均一に微粒子分散されたポリイミド、ポリイミドフィルム、ポリイミド絶縁材料を得ることができる。
本発明のフッ素系樹脂含有ポリイミドの製造方法としては、例えば、フッ素系樹脂のマイクロパウダーと、上記式(I)で表される化合物と、非水系溶媒と、を少なくとも含むフッ素系樹脂マイクロパウダー分散体を作製する工程と、テトラカルボン酸二水和物及び/又はその誘導体と、ジアミン化合物と、を少なくとも混合して、ポリイミド前駆体溶液組成物を作製する工程と、該フッ素系樹脂マイクロパウダー分散体と、該ポリイミド前駆体溶液組成物を混合してフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物を作製する工程と、該フッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物を硬化処理することにより、フッ素系樹脂含有ポリイミドを得る工程と、を含むことを特徴とするフッ素系樹脂含有ポリイミドの製造方法が挙げられ、また、フッ素系樹脂含有ポリイミドフィルムの製造方法としては、例えば、上述のポリイミドの製造方法と同様に工程を経て、フッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物を作製した上で、該フッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物を硬化処理することにより、フッ素系樹脂含有ポリイミドフィルムを得る工程と、を含むことを特徴とするフッ素系樹脂含有ポリイミドの製造方法が挙げられ、更に、フッ素系樹脂含有ポリイミド絶縁膜の製造方法としては、例えば、上述のポリイミドの製造方法と同様に工程を経て、フッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物を作製した上で、該フッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物を硬化処理することにより、フッ素系樹脂含有ポリイミド絶縁膜を得る工程と、を含むことを特徴とするフッ素系樹脂含有ポリイミド絶縁膜の製造方法が挙げられる。なお、上記各製造方法において、硬化処理(イミド化の方法)は特に限定されず、公知の方法で行うことができる。
用いることができる基材としては、例えば、液体や気体を実質的に透過させない程度の緻密構造を有していれば、形状や材質で特に限定されるものではなく、通常のフィルムを製造する際に用いられるそれ自体公知のベルト、金型、ロール、ドラムなどのフィルム形成用基材、その表面にポリイミド膜を絶縁保護膜として形成する回路基板などの電子部品や電線、表面に皮膜が形成される摺動部品や製品、ポリイミド膜を形成して多層化フィルムや銅張積層基板を形成する際の一方のフィルムや銅箔などを好適に挙げることができる。
この基材に塗布されて形成されたポリイミド前駆体溶液組成物からなる膜状物、フィルム、絶縁材料等は、例えば、減圧下又は常圧下で室温以下など比較的低温で加熱する方法で脱泡しても構わない。
ポリイミド、ポリイミドフィルム、ポリイミド絶縁材料は用途に応じて、その厚さが適宜調整され、例えば、厚みが0.1〜200μm、好ましくは3〜150μm、より好ましくは5〜130μmのポリイミド膜、フィルムが好適に用いられる。加熱温度が250℃よりも低い場合イミド化が十分に進行せず、450℃を超えると熱分解などにより機械特性の低下などの問題が生じてくる。また、膜厚が200μmを超えると溶媒を十分に揮発させることができずに機械特性の低下、あるいは熱処理中に発泡を生じるなどの問題が起こる場合がある。
本発明の回路基板は、上記第1発明〜第4発明の各フッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物から得られるポリイミドフィルムを用いたことを特徴とするものである。
本発明の回路基板は、例えば、フレキシブルプリント基板(FPC)では、上記フッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物から得られる絶縁性のフッ素系樹脂含有ポリイミドフィルムと金属箔をエポキシ樹脂、シアン酸エステル樹脂などの接着剤組成物で貼り合わせて金属箔積層板(CCL)を作製し、その金属箔に回路を施すことで製造することができる。
前記絶縁性のフッ素系樹脂含有フィルムとなる本発明のポリイミドフィルムの厚さは、十分な電気絶縁性と金属箔積層板の厚さ、および柔軟性などを勘案して、好適な範囲で選択可能であり、好ましくは、5〜50μm、より好ましくは、7〜45μmが望ましい。
前記接着剤組成物の厚さは、ポリイミドフィルムとの界面密着性、積層板の柔軟性、接着強度などの点から、好ましくは、1〜50μm、より好ましくは、3〜30μmが望ましい。
前記金属箔としては、導電性を有する金属箔を有するものが挙げられ、例えば、金、銀、銅、ステンレス、ニッケル、アルミニウム、これらの合金などが例示される。導電性、取扱いの容易性、価格等の観点から、銅箔やステンレス箔が好適に用いられる。銅箔としては、圧延法や電解法によって製造されるいずれのものでも使用することができる。
金属箔の厚さは、電気伝導性、絶縁性フィルムとの界面密着性、積層板の柔軟性、耐折り曲げ性の向上や、回路加工においてファインパターンを形成しやすいという点、配線間の導通性の点などを勘案して好適な範囲が設定でき、例えば、1〜35μmの範囲内が好ましく、より好ましくは5〜25μmの範囲内、特に好ましくは8〜20μmの範囲内である。
また、使用する金属箔は、マット面の表面粗さRz(十点平均粗さ)が0.1〜4μmの範囲内であることが好ましく、0.1〜2.5μmの範囲内がより好ましく、特に、0.2〜2.0μmの範囲内であることが好ましい。
次に、本発明のカバーレイフィルムは、上記第1発明〜第4発明の各フッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物により得られた絶縁性のフッ素系樹脂含有ポリイミドフィルムと、該ポリイミドフィルムの少なくとも一方の面に接着剤層が形成されたことを特徴とするものである。
用いる接着剤層としては、前記回路基板に用いたエポキシ樹脂、シアン酸エステル樹脂などの接着剤組成物が使用される。
本発明のカバーレイフィルムは、フレキシブルプリント配線板(FPC)用などの表面保護フィルム等として用いるものであり、得られるポリイミドフィルム上に、接着剤層が形成されたものであり、接着剤層上に保護層となる紙やPETフィルムなどのセパレーター(剥離フィルム)が接合されたものである。なお、このセパレーター(剥離フィルム)は、作業性、保存安定性などを勘案して、必要に応じて、設けられるものである。
前記ポリイミドフィルムの厚さは、十分な電気絶縁性と保護性、および柔軟性などを勘案して、好適な範囲で選択可能であり、好ましくは、5〜200μm、より好ましくは、
7〜100μmが望ましい。前記接着剤組成物の厚さは、絶縁性フィルムとの界面密着性、接着強度などの点から、好ましくは、1〜50μm、より好ましくは、3〜30μmが望ましい。
本発明の電子機器は、上記第1発明〜第4発明の各フッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物より得られるフッ素系樹脂含有ポリイミド絶縁材料を用いたことを特徴とするものであり、例えば、優れた電気特性(低比誘電率、低誘電正接)、電気絶縁性が要求される各種電子機器、例えば、薄型携帯電話、ゲーム機、ルーター装置、WDM装置、パソコン、テレビ、ホーム・サーバー、薄型ディスプレー、ハードディスク、プリンター、DVD装置をはじめ、各種電子機器の本体や部品などの絶縁材料などに用いることができる。
下記表1に示す配合処方にて、溶媒中に式(I)で表される化合物を充分に攪拌混合、溶解した後、フッ素系樹脂のマイクロパウダーとしてPTFEマイクロパウダーを添加して、さらに攪拌混合を行った。その後、得られたPTFE混合液を、横型のビーズミルを用いて、0.3mm径のジルコニアビーズにて分散し、各分散体1〜7を得た。
得られた分散体1〜7におけるPTFEの平均粒子径をFPAR−1000(大塚電子株式会社製)による動的光散乱法で測定した。また、各分散体1〜7の粘度をE型粘度計(TOKIMEC社製)を用いて測定した。
下記表1に分散体1〜7の配合処方、得られた分散体におけるPTFEの平均粒子径、粘度を示す。また、得られた分散体1〜7の水分量を測定したところ、カールフィッシャー法による各水分量は、それぞれ、700〜3000ppmの範囲内であった。
<実施例1>
(a)ポリイミド前駆体溶液の調製
攪拌機と窒素ガス配管を有するガラス製容器に、N,N−ジメチルホルムアミドを400質量部、p−フェニレンジアミンを27質量部、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二水和物を73質量部、を添加、混合し、充分に撹拌して、固形分濃度18質量%のポリイミド前駆体溶液を得た。
(b)フッ素系樹脂マイクロパウダー分散体は、上記表1の分散体1を用いた。
上記(a)で調製したポリイミド前駆体溶液に分散体1(PTFE含有量:30質量%)を18質量部添加し、10分間攪拌、混合し、樹脂成分に対してPTFEが30質量%含有されるフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物を得た。
(d)フッ素系樹脂を含有するポリイミド膜の製造
上記(c)で得られたフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物を、基材となるガラス板上にバーコーターによって塗布し、減圧下25℃で50分、脱泡及び予備乾燥した後、常圧、窒素雰囲気下で、120℃で45分、150℃で30分、200℃で15分、250℃で10分、400℃で10分加熱処理をして、厚さが50μmのポリイミド膜(1)を形成した。
フッ素系樹脂マイクロパウダー分散体として、上記表1の分散体2を用いたこと以外は実施例1と同様の方法にて、ポリイミド膜(2)を形成した。
フッ素系樹脂マイクロパウダー分散体として、上記表1の分散体3を用いたこと以外は実施例1と同様の方法にて、ポリイミド膜(3)を形成した。
フッ素系樹脂マイクロパウダー分散体として、上記表1の分散体4を用いたこと以外は実施例1と同様の方法にて、ポリイミド膜(4)を形成した。
フッ素系樹脂マイクロパウダー分散体として、上記表1の分散体5を用いたこと以外は実施例1と同様の方法にて、ポリイミド膜(5)を形成した。
フッ素系樹脂マイクロパウダー分散体として、上記表1の分散体6を用いたこと以外は実施例1と同様の方法にて、ポリイミド膜(6)を形成した。
攪拌機と窒素ガス配管を有するガラス製容器に、N,N−ジメチルホルムアミドを400質量部、p−フェニレンジアミンを27質量部、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二水和物を73質量部、を添加、混合し、充分に撹拌して、固形分濃度18質量%のポリイミド前駆体溶液を得た。
上記ポリイミド前駆体溶液にPTFEのマイクロパウダー(一次粒子径:3μm)を5.4質量部、エスレックBL−10を1.5質量%添加し、2時間攪拌、混合し、樹脂成分に対してPTFEが30質量%含有されるフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物を得た。
上記フッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物を、基材となるガラス板上にバーコーターによって塗布し、減圧下25℃で50分、脱泡及び予備乾燥した後、常圧、窒素雰囲気下で、120℃で45分、150℃で30分、200℃で15分、250℃で10分、400℃で10分加熱処理をして、厚さが50μmのポリイミド膜(7)を形成した。
フッ素系樹脂マイクロパウダー分散体として、上記表1の分散体7を用いたこと以外は実施例1と同様の方法にて、ポリイミド膜(8)を形成した。
上記実施例1〜7及び比較例1において得られたフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物の粘度変化、沈降性、再分散性の各状態と、実施例1〜7及び比較例1において得られたポリイミド膜(1)〜(8)の状態、比誘電率と誘電正接、接着性の各評価を下記各方法により行った。これらの結果を下記表2に示す。
なお、得られた実施例1〜7及び比較例1のフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物の各水分量を測定したところ、カールフィッシャー法による水分量は、それぞれ、
700〜3000ppmの範囲内であった。
フッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物をN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)を用いて希釈し、FPAR−1000(大塚電子株式会社製)による動的光散乱法でPTFEの平均粒子径を測定し、凝集状態を評価した。
フッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物を25℃下で30日間静置し、上記E型粘度計を用いて静置前と30日間静置後の粘度を測定し、粘度変化を下記評価基準で評価した。
また、上記25℃下で30日間静置後のPTFE粒子の沈降状態を目視で確認し、下記各評価基準で沈降性、再分散性の各状態を官能評価した。
粘度変化の評価基準:
○:液の粘度変化が±10%の範囲のもの
×:液の粘度変化が±10%の範囲を超えるもの
沈降性の評価基準:
○:下部に沈降層が見られないもの
△:下部に沈降層が見られるもの(再分散が容易)
×:下部に沈降層が見られるもの(再分散がしづらい)
再分散性の評価基準:
○:沈降物が攪拌した際に容易に再分散したもの
×:沈降物が攪拌した際に再分散がしづらいもの
ポリイミド膜の状態を目視にて観察し、下記各評価基準で状態を官能評価した。
ポリイミド膜の状態の評価基準
○:PTFEの凝集物などの異物がなく、平滑な表面が形成されている
×:PTFEの凝集物などの異物が確認される
実施例1〜6及び比較例1において得られたポリイミド膜をガラス板から剥がし、JIS C6481−1996の試験規格に準じて、インピーダンス分析器(Impedence Analyzer)を用いて、25℃、1kHzの周波数で、比誘電率と誘電正接を測定した。
実施例1〜7及び比較例1において得られたポリイミド膜(1)〜(8)と、分散体を用いることなく実施例1の方法と同様の方法により作製したポリイミド膜(PTFEなし)とをそれぞれ2液硬化型のエポキシ接着剤を用いて貼り合せ、JIS K6854−に規定される方法にて剥離試験を行い、接着性の評価を下記評価基準で行った。
接着性の評価基準:
○:ポリイミド膜とエポキシ接着剤の界面で剥離することなく接着剤部が破壊された場合
×:ポリイミド膜とエポキシ接着剤の界面で剥離した場合
ポリイミド膜の比誘電率と誘電正接は、実施例1〜7に比べて比較例1は高い結果となった。これは、比較例1ではフッ素系分散剤を用いているために、実施例1〜7に比べて電気特性が劣っていることが確認できた。
また、ポリイミド膜の接着性は、比較例1の場合にはポリイミド膜と接着剤との界面で剥離しており、ポリイミド膜表面に存在するフッ素系分散剤の影響によりポリイミド膜の接着性が落ちていることに起因しているものと推測される。一方で、本発明の範囲内である実施例1〜7のポリイミド膜においては、ポリイミド膜と接着剤との界面で剥離することなく、接着剤部分で破壊が起きており、ポリイミドの接着性や密着性の低下がないことが判明した。
Claims (15)
- 前記ポリイミド前駆体溶液が、少なくとも、テトラカルボン酸二水和物及び/又はその誘導体と、ジアミン化合物と、を含むことを特徴とする請求項1に記載のフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物。
- 前記ポリイミド前駆体溶液が、少なくとも、テトラカルボン酸二水和物及び/又はその誘導体と、ジアミン化合物と、を含むことを特徴とする請求項2に記載のフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物。
- 前記フッ素系樹脂のマイクロパウダーが、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化エチレン−プロピレン共重合体、パーフルオロアルコキシ重合体、クロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレンからなる群から選ばれる1種以上のフッ素系樹脂のマイクロパウダーであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載のフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物。
- 前記フッ素系樹脂マイクロパウダー分散体において、分散された状態のフッ素系樹脂マイクロパウダーの平均粒子径が10μm以下であることを特徴とする請求項3又は4に記載のフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物。
- 請求項1乃至6のいずれか一つに記載のフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物を用いて得られることを特徴とするフッ素系樹脂含有ポリイミド。
- 請求項1乃至6のいずれか一つに記載のフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物を用いて得られることを特徴とするフッ素系樹脂含有ポリイミドフィルム。
- 請求項1乃至6のいずれか一つに記載のフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物を用いて得られることを特徴とするフッ素系樹脂含有ポリイミド絶縁材料。
- フッ素系樹脂のマイクロパウダーと、下記式(I)で表される化合物と、非水系溶媒と、を少なくとも含むフッ素系樹脂マイクロパウダー分散体を作製する工程と、
テトラカルボン酸二水和物及び/又はその誘導体と、ジアミン化合物と、を少なくとも混合して、ポリイミド前駆体溶液組成物を作製する工程と、
該フッ素系樹脂マイクロパウダー分散体と、該ポリイミド前駆体溶液組成物を混合してフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物を作製する工程と、
該フッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物を硬化処理することにより、フッ素系樹脂含有ポリイミドフィルムを得る工程と、
を含むことを特徴とするフッ素系樹脂含有ポリイミドフィルムの製造方法。
- フッ素系樹脂のマイクロパウダーと、下記式(I)で表される化合物と、非水系溶媒と、を少なくとも含むフッ素系樹脂マイクロパウダー分散体を作製する工程と、
テトラカルボン酸二水和物及び/又はその誘導体と、ジアミン化合物と、を少なくとも混合して、ポリイミド前駆体溶液組成物を作製する工程と、
該フッ素系樹脂マイクロパウダー分散体と、該ポリイミド前駆体溶液組成物を混合してフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物を作製する工程と、
該フッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物を硬化処理することにより、フッ素系樹脂含有ポリイミド絶縁膜を得る工程と、
を含むことを特徴とするフッ素系樹脂含有ポリイミド絶縁膜の製造方法。
- 請求項8に記載のフッ素系樹脂含有ポリイミドフィルムを用いたことを特徴とする回路基板。
- 請求項8に記載のフッ素系樹脂含有ポリイミドフィルムを用いたことを特徴とするカバーレイフィルム。
- 請求項9に記載のフッ素系樹脂含有ポリイミド絶縁材料を用いたことを特徴とする電子機器。
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