JP6470643B2 - フッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物、それを用いたポリイミド、ポリイミドフィルム、およびそれらの製造方法 - Google Patents

フッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物、それを用いたポリイミド、ポリイミドフィルム、およびそれらの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、フッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物、それを用いたポリイミド、ポリイミドフィルム、およびそれらの製造方法に関し、更に詳しくは、電気特性(低誘電率、低誘電正接)、物理特性等を改善するフッ素系樹脂を均一に微粒子分散することができるフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物、この組成物により得られる、耐熱性、機械特性、電気特性(低誘電率、低誘電正接)、加工性に優れるポリイミド、ポリイミドフィルム、およびそれらの製造方法などに関するものである。
近年、電子機器の高速化、高機能化などが進むと共に、通信速度の高速化などが求められている。こうした中、各種電子機器材料の低誘電率化、低誘電正接化が求められており、特に絶縁材料や基板材料の低誘電率化、低誘電正接化などが求められている。
従来、ポリイミドフィルムなどを含むポリイミドは、耐熱性、電気絶縁性、耐薬品性、機械特性などに優れることから、電気・電子用途に広く使用されてきている。例えば、ポリイミドをフィルムとして用いる場合は、電子回路材料の絶縁基材として用いられ、粘着フィルムや粘着テープに加工されて用いられることもある。また、コーティング剤として用いる場合は、ポリイミド前駆体溶液組成物を塗布乾燥後に熱処理してイミド化し、電子回路の絶縁層(多層配線基板の層間絶縁材料)、半導体素子の表層保護膜、耐熱性保護膜、耐摩耗膜などとして用いられることもある。
通常、ポリイミドフィルムは、接着剤を用いて銅箔と貼り合わせたり、蒸着法、メッキ法、スパッタ法、又はキャスト法などによりフィルム層と銅箔からなる積層板(銅箔付きポリイミドフィルム)に加工されたりして、フレキシブルプリント多層回路基板の基材フィルムとして使用されている。
この銅張積層板は、銅箔部分を加工して配線パターンなどが形成されて用いられるものであるが、この配線パターンは絶縁性のカバーレイフィルムなどによって被覆保護される。そして、このカバーレイフィルムの基材も主にポリイミドフィルムが用いられている。
特に、近年の高密度実装に伴う回路基板や半導体パッケージ用基材などにおいては、信号伝送の高速化を図るために低誘電率、低誘電正接の絶縁樹脂を層間絶縁膜として使用することなどが主流となってきており、ポリイミドフィルムなどを含むポリイミドにも、低誘電率、低誘電正接などの電気特性が求められ始めている。
そこで、この電気特性の改善のために、耐熱性が高く、電気特性に優れているフッ素系の樹脂とポリイミドとを組み合わせて用いる方法などが提案されてきている。
従来において、フッ素系樹脂を含有してなるポリイミド組成物、ポリイミドフィルムとしては、例えば、1)フッ素樹脂粉末が、フッ素原子を有する界面活性剤化合物の存在下に、ビフェニルテトラカルボン酸類を主成分とする芳香族テトラカルボン酸成分と芳香族ジアミン成分とから得られた芳香族ポリイミドが前記芳香族ポリイミドを溶解可能な有機極性溶媒に均一に溶解していることを特徴とするフッ素樹脂含有ポリイミド組成物及びその製造方法(例えば、特許文献1参照)、2)特定式で表される繰り返し単位を有するポリイミド樹脂100重量部に対し、フッ素樹脂3〜60重量部および芳香族ポリアミド樹脂3〜60重量部を含むことを特徴とするポリイミド樹脂(例えば、特許文献2参照)、3)可溶性ポリイミドを揮発性有機溶媒に溶解させてポリイミド溶液を提供する工程、該ポリイミド溶液にフッ化炭素樹脂粒子を加え、均一に分散させてフッ化炭素樹脂分散ポリイミド溶液を提供する工程、該フッ化炭素樹脂分散ポリイミド溶液を基材に塗布する工程、及びこれを乾燥させる工程を包含する講習は電子部品用絶縁材料の製造方法(例えば、特許文献3参照)、4)単独でまたは多層構造の成分として電子用途または電気用途に有用である単一層基板であって、単一層基板は少なくともポリイミド成分および特定の平均粒径を有するフルオロポリマー微細粉末から誘導されるフルオロポリマー成分のポリマーブレンドを含み、単一層基板は外側表面と内部コアとを有し、外側表面は、内部コア中に存在するフルオロポリマー成分の量よりも多い量のフルオロポリマー成分を含み、内部コアは、外側表面中に存在するポリイミド成分の量よりも多い量のポリイミド成分を含み、特定範囲となる総厚を有し、前記ポリマーブレンドは、前記フルオロポリマー微細粉末をポリアミック酸中に組み込み、ポリアミック酸をイミド化プロセスで処理することにより作製することを特徴とする単一層基板(例えば、特許文献4参照)、5)ポリイミドとフッ素樹脂粒子とを含む混合物が成形され加熱硬化されたフィルムであって、前記フィルムの表層近傍に存在する少なくとも一部のフッ素樹脂粒子が、前記フィルムの片面又は両面に溶融流動して析出し、部分的に又は全面にフッ素樹脂被膜を形成していることを特徴とするポリイミド複合フィルム及びその製造方法(例えば、特許文献5参照)が知られている。
上記特許文献1〜5に記載のフッ素系樹脂粉末などを含有してなるポリイミド組成物及びその製造方法等において、従来、フッ素系樹脂を分散する場合、フッ化アルキルなどのフッ素を含有した界面活性剤や分散剤を用いるのが一般的である。
しかしながら、これらのフッ素を含有した界面活性剤や分散剤を用いたフッ素系樹脂含有分散体などを添加したポリイミド材料は、フッ素系樹脂の効果により誘電率や誘電正接を下げることができるが、フッ素を含有した界面活性剤や分散剤は一般的に誘電率や誘電正接を上げることが多く、充分に電気特性を改善することが難しいという課題がある。
また、このような添加剤の存在は、ポリイミド材料の接着性、密着性、耐熱性などの面でも不具合を生じるという課題がある。
更に、フッ素を含有する界面活性剤や分散剤は、ポリイミド化する際の熱処理や廃液を焼却処理する際などに熱分解してフッ化水素となる可能性があり、環境面などへの悪影響が懸念されている。
したがって、充分な電気特性や物理特性の改善、環境面などへの悪影響には未だ技術的な課題や限界等があり、電気特性や物理特性を更に改善し、環境面などへの影響も少ないフッ素系樹脂を含有してなるポリイミド組成物、ポリイミドフィルムなどが求められているのが現状である。
特開平2−286743号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開平3−292365号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開2002−203430号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開2005-142572号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開2007-30501号公報(特許請求の範囲、実施例等)
本発明は、上記従来の課題及び現状等について、これを解消しようとするものであり、電気特性(低誘電率、低誘電正接)、物理特性等を改善するフッ素系樹脂を均一に微粒子分散することができるフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物フッ素系樹脂の含有効果を最大限に発揮せしめてなるフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物、この組成物により得られる耐熱性、機械特性、摺動性、絶縁性、低誘電率化、低誘電正接化などの電気特性、加工性に優れ、環境面などにも悪影響を及ぼすことがないポリイミド、ポリイミドフィルム、および、それらの製造方法、並びに、そのポリイミドやポリイミドフィルムを用いた回路基板、カバーレイフィルム、絶縁膜、配線基板用層間絶縁膜などのポリイミド絶縁材料、これらを用いた電子機器などを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記従来の課題等について、鋭意検討した結果、下記の第1発明乃至第15発明により、上記目的のフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物、それを用いたポリイミド、カバーレイフィルムなどが得られることを見い出し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本第1発明は、少なくとも、フッ素系樹脂のマイクロパウダーと、下記式(I)で表される化合物と、ポリイミド前駆体溶液と、を含むことを特徴とするフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物である。
Figure 0006470643
本第2発明は、前記ポリイミド前駆体溶液が、少なくとも、テトラカルボン酸二水和物及び/又はその誘導体と、ジアミン化合物と、を含むことを特徴とする本第1発明に記載のフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物である。
本第3発明は、フッ素系樹脂のマイクロパウダーと上記式(I)で表される化合物と非水系溶媒とを少なくとも含むフッ素系樹脂マイクロパウダー分散体と、ポリイミド前駆体溶液と、を少なくとも含むことを特徴とするフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物である。
本第4発明は、前記ポリイミド前駆体溶液が、少なくとも、テトラカルボン酸二水和物及び/又はその誘導体と、ジアミン化合物と、を含むことを特徴とする本第2発明に記載のフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物である。
本第5発明は、前記フッ素系樹脂のマイクロパウダーが、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化エチレン−プロピレン共重合体、パーフルオロアルコキシ重合体、クロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレンからなる群から選ばれる1種以上のフッ素系樹脂のマイクロパウダーであることを特徴とする本第1発明乃至本第4発明のいずれか一つに記載のフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物である。
本第6発明は、前記フッ素系樹脂マイクロパウダー分散体において、分散された状態のフッ素系樹脂マイクロパウダーの平均粒子径が10μm以下であることを特徴とする本第1発明又は本第2発明に記載のフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物である。
本第7発明は、本第1発明乃至本第6発明のいずれか一つに記載のフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物を用いて得られることを特徴とするフッ素系樹脂含有ポリイミドである。
本第8発明は、本第1発明乃至本第6発明のいずれか一つに記載のフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物を用いて得られることを特徴とするフッ素系樹脂含有ポリイミドフィルムである。
本第9発明は、本第1発明乃至本第6発明のいずれか一つに記載のフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物を用いて得られることを特徴とするフッ素系樹脂含有ポリイミド絶縁材料である。
本第10発明は、フッ素系樹脂のマイクロパウダーと、上記式(I)で表される化合物と、非水系溶媒と、を少なくとも含むフッ素系樹脂マイクロパウダー分散体を作製する工程と、テトラカルボン酸二水和物及び/又はその誘導体と、ジアミン化合物と、を少なくとも混合して、ポリイミド前駆体溶液組成物を作製する工程と、該フッ素系樹脂マイクロパウダー分散体と、該ポリイミド前駆体溶液組成物を混合してフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物を作製する工程と、該フッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物を硬化処理することにより、フッ素系樹脂含有ポリイミドを得る工程と、を含むことを特徴とするフッ素系樹脂含有ポリイミドの製造方法である。
本第11発明は、フッ素系樹脂のマイクロパウダーと、上記式(I)で表される化合物と、非水系溶媒と、を少なくとも含むフッ素系樹脂マイクロパウダー分散体を作製する工程と、テトラカルボン酸二水和物及び/又はその誘導体と、ジアミン化合物と、を少なくとも混合して、ポリイミド前駆体溶液組成物を作製する工程と、該フッ素系樹脂マイクロパウダー分散体と、該ポリイミド前駆体溶液組成物を混合してフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物を作製する工程と、該フッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物を硬化処理することにより、フッ素系樹脂含有ポリイミドフィルムを得る工程と、を含むことを特徴とするフッ素系樹脂含有ポリイミドフィルムの製造方法である。
本第12発明は、フッ素系樹脂のマイクロパウダーと、上記式(I)で表される化合物と、非水系溶媒と、を少なくとも含むフッ素系樹脂マイクロパウダー分散体を作製する工程と、テトラカルボン酸二水和物及び/又はその誘導体と、ジアミン化合物と、を少なくとも混合して、ポリイミド前駆体溶液組成物を作製する工程と、該フッ素系樹脂マイクロパウダー分散体と、該ポリイミド前駆体溶液組成物を混合してフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物を作製する工程と、該フッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物を硬化処理することにより、フッ素系樹脂含有ポリイミド絶縁膜を得る工程と、を含むことを特徴とするフッ素系樹脂含有ポリイミド絶縁膜の製造方法である。
本第13発明は、本第8発明に記載のフッ素系樹脂含有ポリイミドフィルムを用いたことを特徴とする回路基板である。
本第14発明は、本第8発明に記載のフッ素系樹脂含有ポリイミドフィルムを用いたことを特徴とするカバーレイフィルムである。
本第15発明は、本第9発明に記載のフッ素系樹脂含有ポリイミド絶縁材料を用いたことを特徴とする電子機器である。
本発明によれば、電気特性(低誘電率、低誘電正接)、物理特性等を改善するフッ素系樹脂を均一に微粒子分散することができるフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物、この組成物により得られる耐熱性、機械特性、摺動性、絶縁性、低誘電率化、低誘電正接化などの電気特性、加工性に優れ、環境面にも影響が少ないポリイミド、ポリイミドフィルム、および、それらの製造方法、並びに、そのポリイミドやポリイミドフィルムを用いた回路基板、カバーレイフィルム、絶縁膜、配線基板用層間絶縁膜などのポリイミド絶縁材料、これらを用いた電子機器などが提供される。
また、本発明のポリイミド、ポリイミドフィルム等は、接着性や密着性などの低下などを抑制することができ、しかも、ポリイミド材料は湿度などの影響を受けやすいが、その影響を低減することも可能になる。
更に、フッ素を含有する界面活性剤や分散剤は、ポリイミド化する際の熱処理や廃液を焼却処理する際などにフッ化水素となる可能性があるが、フッ素を含有する界面活性剤や分散剤を用いていない本発明は、環境面等への悪影響を及ぼすことを抑制できる利点を有する。
以下に、本発明の実施形態を詳しく説明する。
本発明のフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物は、下記第1発明〜第4発明にてそれぞれ構成されるものである。
本第1発明は、少なくとも、フッ素系樹脂のマイクロパウダーと、下記式(I)で表される化合物と、ポリイミド前駆体溶液と、を含むことを特徴とするものであり、第2発明は、前記ポリイミド前駆体溶液が、少なくとも、テトラカルボン酸二水和物及び/又はその誘導体と、ジアミン化合物と、を含むことを特徴とするものであり、第3発明は、フッ素系樹脂のマイクロパウダーと上記式(I)で表される化合物と非水系溶媒とを少なくとも含むフッ素系樹脂マイクロパウダー分散体と、ポリイミド前駆体溶液と、を少なくとも含むことを特徴とするものであり、第4発明は、前記ポリイミド前駆体溶液が、少なくとも、テトラカルボン酸二水和物及び/又はその誘導体と、ジアミン化合物と、を含むことを特徴とするものである。
Figure 0006470643
以下に、本第1発明〜第4発明ごとに、各フッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物を詳述する。なお、各発明に共通する成分は、最初の第1発明等で詳述し、第2発明等以降では共通である旨を記載し、その詳述を省略する。
〔第1発明:フッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物〕
〈フッ素系樹脂のマイクロパウダー〉
本第1発明に用いるフッ素系樹脂のマイクロパウダーとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ化エチレン−プロピレン共重合体(FEP)、パーフルオロアルコキシ重合体(PFA)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、テトラフルオロエチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(TFE/CTFE)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)からなる群から選ばれる少なくとも1種のフッ素系樹脂のマイクロパウダーが挙げられる。
上記フッ素系樹脂のマイクロパウダーの中でも、特に、低比誘電率、低誘電正接の材料として、樹脂材料の中で最も優れた特性を有するポリテトラフルオロエチレン(PTFE、比誘電率2.1)の使用が望ましい。
このようなフッ素系樹脂のマイクロパウダーは、乳化重合法や粉砕法などにより得られるものであり、例えば、ふっ素樹脂ハンドブック(黒川孝臣編、日刊工業新聞社)に記載されている方法など、一般的に用いられる方法により得ることができる。前記乳化重合により得られたフッ素系樹脂のマイクロパウダーの場合には、凝集・乾燥して、一次粒子が凝集した二次粒子としての微粉末が回収されるものである。
フッ素系樹脂のマイクロパウダーの好ましい粒子径は用途により適宜選択されるものであるが、フッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物の安定性や得られるポリイミドなどの特性を充分に発揮する上では粒子径は小さい方が好ましい。望ましくはフッ素系樹脂のマイクロパウダーの一次粒子径が10μm以下、さらに好ましくは5μm以下、特に好ましくは1μm以下である。また、上記一次粒子径の下限値は、低ければ低い程良好であるが、製造性、コスト面等から、0.05μm以上0.3μm以下が好ましい。
フッ素系樹脂のマイクロパウダーの一次粒子径の測定方法としては、レーザー回折・散乱法、動的光散乱法、画像イメージング法などによって測定される体積基準の平均粒子径(50%体積径、メジアン径)が用いられるが、予想される一次粒子径に合った測定方法を選定することにより、実際の粒子径に即した測定値を得ることができるものである。
なお、一次粒子径が1μm以下となるようなフッ素系樹脂のマイクロパウダーの場合は、マイクロパウダーの製造段階においてレーザー回折・散乱法や動的光散乱法などによって得られた値を指し示すものであるが、乾燥して粉体状態にしたマイクロパウダーの場合には、一次粒子同士の凝集力が強く、容易に一次粒子径をレーザー回折・散乱法や動的光散乱法などによって測定することが難しいため、画像イメージング法によって得られた値を指し示すものであってもよい。測定装置としては、例えば、FPAR−1000(大塚電子株式会社製)による動的光散乱法や、マイクロトラック(日機装株式会社製)によるレーザー回折・散乱法や、マックビュー(株式会社マウンテック社製)による画像イメージング法などを挙げることができる。
フッ素系樹脂のマイクロパウダーは、一次粒子径同士が異なる2種類以上を混ぜて用いることも可能であるし、分散された状態のフッ素系樹脂マイクロパウダーの平均粒子径同士が異なる2種類以上を混ぜることも可能であるし、前記の一次粒子径や平均粒子径の異なる2種類以上のフッ素系樹脂のマイクロパウダーを混ぜて用いることも可能である。粒子径の異なる2種類以上のフッ素系樹脂のマイクロパウダーを用いることにより、粘度を調製したり、充填率を上げたり、ポリイミドなどの表面の状態をコントロールすることができるようになる。
また、フッ素系樹脂のマイクロパウダーは、各種表面処理を行ったものであってもよい。例えば、酸処理、アルカリ処理、紫外線照射処理、オゾン処理、電子線照射処理、熱処理、水洗、湯洗、各種ガス処理などにより、フッ素系樹脂のマイクロパウダー表面に残っている界面活性剤や不純物などの不要な成分を除去したり、あるいは活性化することが可能である。
本第1発明においては、フッ素系樹脂のマイクロパウダーは、フッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物の全固形分量に対して、5〜70質量%含有されることが好ましく、より好ましくは、10〜60質量%含有されることが望ましい。
この含有量が5質量%未満の場合には、最終的なポリイミドなどにフッ素系樹脂の有する特性を充分に付与することができず、また、含有量が70質量%を超える場合には、最終的なポリイミドなどの機械的強度が極端に弱くなるなどするため好ましくない。
〈上記(I)で表される化合物〉
本第1発明に用いる上記(I)で表される化合物は、いわゆるブチラール樹脂であり、フッ素系樹脂のマイクロパウダーをポリイミド前駆体溶液組成物中に均一に且つ安定に微粒子分散させることができるものであり、その分子構造はビニルブチラール/酢酸ビニル/ビニルアルコールから構成される三元重合体であり、ポリビニルアルコール(PVA)をブチルアルデヒド(BA)と反応させたものであり、ブチラール基、アセチル基、水酸基を有した構造であり、これらの3種の構造の比率(l,m,nの各比率)を変化させることにより、非水系溶媒への溶解性、ポリイミド前駆体溶液等との相溶性、さらには化学反応性をコントロールすることが可能となる。
上記(I)で表される化合物としては、市販品では、積水化学工業社製エスレックBシリーズ、K(KS)シリーズ、SVシリーズ、クラレ社製モビタールシリーズなどを用いることができる。
具体的には、積水化学工業(株)製の商品名;エスレックBM−1(水酸基量:34モル%、ブチラール化度65±3モル%、分子量:4万)、同BH−3(水酸基量:34mol%、ブチラール化度65±3モル%、分子量:11万)、同BH−6(水酸基量:30mol%、ブチラール化度69±3モル%、分子量:9.2万)、同BX−1(水酸基量:33±3mol%、アセタール化度66モル%、分子量:10万)、同BX−5(水酸基量:33±3mol%、アセタール化度66モル%、分子量:13万)、同BM−2(水酸基量:31mol%、ブチラール化度68±3モル%、分子量:5.2万)、同BM−5(水酸基量:34mol%、ブチラール化度65±3モル%、分子量:5.3万)、同BL−1(水酸基量:36mol%、ブチラール化度63±3モル%、分子量:1.9万)、同BL−1H(水酸基量:30mol%、ブチラール化度69±3モル%、分子量:2万)、同BL−2(水酸基量:36mol%、ブチラール化度63±3モル%、分子量:2.7)、同BL−2H(水酸基量:29mol%、ブチラール化度70±3モル%、分子量:2.8万)、同BL−10(水酸基量:28mol%、ブチラール化度71±3モル%、分子量:1.5万)、同KS−10(水酸基量:25mol%、アセタール化度65±3モル%、分子量:1.7万)などや、クラレ(株)製の商品名;モビタール
B145(水酸基量:21〜26.5モル%、アセタール化度67.5〜75.2モル%)、同B16H(水酸基量:26.2〜30.2モル%、アセタール化度66.9〜73.1モル%、分子量:1〜2万)などが挙げられる。
これらは、単独又は2種以上混合して使用してもよい。
上記(I)で表される化合物の含有量は、フッ素系樹脂のマイクロパウダーに対し、0.01〜30質量%が好ましい。この化合物の含有量が0.01質量%より少ないと、分散安定性が悪くなりフッ素系のマイクロパウダーが沈降しやすくなり、30質量%を越えると、フッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液の粘度が高くなったりして好ましくない。
さらに、得られるポリイミドなどの特性を考慮すれば、0.01〜5質量%が更に好ましく、特に好ましくは、0.01〜2質量%が最も好ましい。
〈ポリイミド前駆体溶液〉
本第1発明に用いるポリイミド前駆体溶液は、一般的にポリイミドの生成に用いられるポリイミド前駆体であればいずれも用いることができ、例えば、少なくとも、テトラカルボン酸二無水物及び/又はその誘導体と、ジアミン化合物と、非水系溶媒とを含むものであり、その調製はテトラカルボン酸二無水物及び/又はその誘導体と、ジアミン化合物を非水系溶媒の存在下で反応させることなどにより得られる。なお、本第1発明において、「ポリイミド前駆体溶液」は、使用する非水系溶媒を含有する概念である。
〈第1発明:フッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物〉
本第1発明のフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物は、少なくとも、上記フッ素系樹脂のマイクロパウダーと、上記式(I)で表される化合物と、上記ポリイミド前駆体溶液と、を含むことを特徴とするものであり、例えば、非水系溶媒に上記テトラカルボン酸二無水物及び/又はその誘導体とジアミン化合物を溶解し、重合させたポリイミド前駆体溶液中に、上記フッ素系樹脂のマイクロパウダーと、上記(I)で表される化合物(ブチラール樹脂)とを所定量を添加、混合して調製される。
この第1発明のフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物では、フッ素系樹脂のマイクロパウダーと上記式(I)で表される化合物とを予め調製したポリイミド前駆体溶液に所定量を添加、混合することにより、組成物中にフッ素系樹脂のマイクロパウダーを凝集や沈降することなく均一に微粒子分散することができるものとなる。
本第1発明に用いるポリイミド前駆体溶液の調製は、公知の方法や所定の条件などを好適に採用することができ、例えば、非水系溶媒に所定の組成比となるテトラカルボン酸二無水物及び/又はその誘導体と、ジアミン化合物を加え、撹拌することにより調製することができる。ポリイミド前駆体溶液中におけるテトラカルボン酸二無水物及び/又はその誘導体、及びジアミン化合物の合計の濃度は、種々の条件に応じて設定されるが、通常、反応溶液全量(ポリイミド前駆体溶液全量)において5〜30質量%が好ましい。これらを撹拌する際の反応条件は、特に限定されないが、反応温度は80℃以下、特に5〜50℃に設定することが好ましい。反応温度が低すぎると反応が進行しない、あるいは反応が進行するまでに時間がかかりすぎ、高すぎるとイミド化が進行してしまうなどの問題が生じてくる。また、反応時間は1〜100時間であることが好ましい。
また、フッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物は、例えば、ディスパー、ホモミキサーなどのミキサー類や、超音波分散機、3本ロール、湿式ボールミル、ビーズミル、湿式ジェットミルなどの分散機などを用いて攪拌、混合、分散することにより、作製することができるものである。
また、本第1発明のフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、界面活性剤や分散剤、消泡剤等の各種添加剤を用いることが出来るものである。すなわち、フッ素系界面活性剤や分散剤、その他界面活性剤や分散剤をフッ素系樹脂のマイクロパウダーをポリイミド前駆体溶液組成物や非水系溶媒と混合する際にマイクロパウダーの表面を充分に濡らす意味で少量添加することで、より分散性を高めることを排除するものではない。しかしながら、多量の添加においては界面活性剤や分散剤の影響が大きく出ることになるため好ましくない。好ましくは、フッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物全量に対して1%以下、さらに好ましくは0.5%以下、より好ましくは0.1%以下であることが望ましい。これは、消泡剤においても同様である。
さらに、本第1発明のフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物は、フッ素系樹脂のマイクロパウダーの分散状態を向上させるために、微粒子セラミックスを添加することも可能である。
用いることができる微粒子セラミックスとしては、特に限定されないが、少なくとも、B、Na、Mg、Al、Si、P、K、Ca、Tiのうちのいずれか1種以上の元素を含むものが好ましく、これらの元素を含む酸化物系、水酸化物系、炭化物系、炭酸塩系、窒化物系、ハロゲン化物系、リン酸塩系から選ばれる少なくとも1種の微粒子セラミックスが挙げられる。
特に、好ましい微粒子セラミックスとしては、更なる非水系分散体の分散安定性、他の成分との相性、入手性、作業性などの点から、Al、SiO、CaCO、ZrO、SiC、Si、ZnOのうちから選ばれる少なくとも1種の無機化合物からなるものが望ましい。
これらの微粒子セラミックスは、一次粒子径が0.5μm以下となるものが好ましい。
この微粒子セラミックスの一次粒子径としては、動的光散乱法によって測定される体積基準の平均粒子径(50%体積径、メジアン径)を0.5μm以下のものを用いることにより、非水系中で安定に分散し、PTFEの非水系分散体の分散安定性を更に高度に維持する上で好ましく、望ましくは、0.3μm以下、さらに望ましくは、0.1μm以下とすることにより、さらに非水系分散体の分散安定性に優れたものとなる。また、上記一次粒子径の下限値は、低ければ低い程良好であるが、製造性、コスト面等から、0.02μm以上が好ましい。
なお、本発明における微粒子セラミックスの一次粒子径の測定において、セラミックス同士の凝集力が強く、容易に一次粒子径を動的光散乱法によって測定することが難しい場合は、画像イメージング法によって得られた値を指し示すものであってもよい。測定装置としては、例えば、FPAR−1000(大塚電子株式会社製)による動的光散乱法や、マックビュー(株式会社マウンテック社製)による画像イメージング法などを挙げることができる。
これらの微粒子セラミックスの含有量は、フッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物全量に対して、0.01〜5質量%含有されるものであることが好ましく、より好ましくは、0.1〜3質量%含有されることが望ましい。
この含有量が0.01質量%未満では、微粒子セラミックスの含有効果を発揮することができず、フッ素系樹脂のマイクロパウダーの分散安定性を更に高度に維持することができない。一方、5質量%超過では、セラミックス粒子の持つ特性が強く出るようになり、フッ素系樹脂のマイクロパウダーの分散安定性を阻害したりして、かえって性能を落とすこともあるため好ましくない。
これらのセラミックス微粒子は、あらかじめポリイミド前駆体溶液に用いる溶剤(分散媒)中に分散してから添加することも可能であるし、フッ素系樹脂のマイクロパウダーとともに、セラミックス微粒子を調合して、一緒に分散することもできるものである。
本第1発明のフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物は、カールフィッシャー法による水分量が、5000ppm以下〔0≦水分量≦5000ppm〕であることが好ましい。材料からの水分混入や製造段階における水分混入など考えられるが、最終的にフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物の水分量を5000ppm以下にすることで、より保存安定性に優れた、フッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物を得ることができる。
〔第2発明:フッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物〕
本第2発明のフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物は、上記ポリイミド前駆体溶液が、少なくとも、テトラカルボン酸二水和物及び/又はその誘導体と、ジアミン化合物と、を含むことを特徴とするものである。
本第2発明に用いるテトラカルボン酸二無水物及び/又はその誘導体としては、例えば、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ベリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s−BPDA)、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(a−BPDA)、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、エチレンテトラカルボン酸二無水物、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられ、また、前記テトラカルボン酸二無水物の誘導体であるテトラカルボン酸二無水物と同一の骨格を有するテトラカルボン酸、そのテトラカルボン酸の酸塩化物、そのテトラカルボン酸と炭素数1〜4の低級アルコールとエステル等が挙げられ、これらは、単独でも2種以上混合しても用いることができる。
好ましくは、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s−BPDA)の使用が望ましい。
このテトラカルボン酸二無水物及び/その誘導体の含有量は、製造性、ポリイミドの用途、要求特性等に応じて変動するものである。
本第2発明に用いるジアミン化合物としては、例えば、へキサメチレンジアミン、へプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ジアミノプロピルテトラメチレン、3−メチルヘプタメチレンジアミン、4,4−ジメチルヘプタメチレンジアミン、2,11−ジアミノドデカン、1,2−ビス−3−アミノプロポキシエタン、2,2−ジメチルプロピレンジアミン、3−メトキシヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘプタメチレンジアミン、3−メチルへプタメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジクロロベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、1,5−ジアミノナフタレン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニルジアミン、ベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、2,4−ジアミノトルエン、ビス(4−アミノ−3−カルボキシフェニル)メタン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、2,4−ビス(β−アミノ−第三ブチル)トルエン、ビス(p−β−アミノ−第三ブチルフェニル)エーテル、ビス(p−β−メチル−6−アミノフェニル)ベンゼン、ビス−p−(1,1−ジメチル−5−アミノ−ペンチル)ベンゼン、1−イソプロピル−2,4−m−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、ジ(p−アミノシクロヘキシル)メタン、2,17−ジアミノエイコサデカン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,10−ジアミノ−1,10−ジメチルデカン、1,12−ジアミノオクタデカン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン等が挙げられ、これらは、単独でも2種以上混合しても用いることができる。
好ましくは、p−フェニレンジアミン(PPD)、ビス(4−アミノ−3−カルボキシフェニル)メタン(MBAA)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン(BAPP)を用いることが望ましい。
このジアミン化合物の含有量は、製造性、ポリイミドの用途、要求特性等に応じて変動するものである。
本第2発明において、上記テトラカルボン酸二無水物及び/又はその誘導体と、ジアミン化合物の組合せとしては、好ましくは、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s−BPDA)と4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)、s−BPDAとp−フェニレンジアミン(PPD)等の組合せが挙げられる。
また、本第2発明においては、ポリイミド前駆体溶液やフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物の粘度調整などのために、非水系溶媒を用いることができる。
例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、2−ヘプタノン、シクロヘプタノン、シクロヘキサノン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、メチル−n−ペンチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソペンチルケトン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、シクロヘキシルアセテート、3−エトキシプロピオン酸エチル、ジオキサン、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、ベンゼン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、メチルモノグリシジルエーテル、エチルモノグリシジルエーテル、ブチルモノグリシジルエーテル、フェニルモノグリシジルエーテル、メチルジグリシジルエーテル、エチルジグリシジルエーテル、ブチルジグリシジルエーテル、フェニルジグリシジルエーテル、メチルフェノールモノグリシジルエーテル、エチルフェノールモノグリシジルエーテル、ブチルフェノールモノグリシジルエーテル、ミネラルスピリット、2−ヒドロキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、4−ビニルピリジン、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、メタクリレート、メチルメタクリレート、スチレン、パーフルオロカーボン、ハイドロフルオロエーテル、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、パーフルオロポリエーテル、ジメチルイミダゾリン、テトラヒドロフラン、ピリジン、フォルムアミド、アセトアニリド、ジオキソラン、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、フェノール、N−メチル−2−ピロリドン,N−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、γ−ブチロラクトン、スルホラン、ハロゲン化フェノール類、各種シリコーンオイル、からなる群から選ばれる1種類の溶媒、またはこれらの溶媒を2種以上含んでいるものが挙げられる。
これらの非水系溶媒の中で、好ましくは、用いる材料やポリイミドの用途等により変動するものであるが、アセトアニリド、ジオキソラン、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、N−メチル−2−ピロリドン,N−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、スルホラン、ハロゲン化フェノール類、キシレン、アセトンが挙げられる。
本第2発明に用いるポリイミド前駆体溶液に用いる非水系溶媒の含有量は、上記テトラカルボン酸二無水物及び/又はその誘導体、上記ジアミン化合物の残部となるものである。
〔第3発明:フッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物〕
本第3発明のフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物は、上述のフッ素系樹脂のマイクロパウダーと、上記式(I)で表される化合物と、上記非水系溶媒と、を少なくとも含むフッ素系樹脂マイクロパウダー分散体と、第1発明のポリイミド前駆体溶液とを少なくとも含むことを特徴とするものであり、上記各成分等の詳述は上記第1発明と同様であるので、その説明を省略する。
本第3発明では、上記第1発明に較べ、予め、フッ素系樹脂のマイクロパウダーと、式(I)で表される化合物と、非水系溶媒とを含むフッ素系樹脂マイクロパウダー分散体を調製したものを用いるものであり、この分散体を、上記ポリイミド前駆体溶液に所定量添加、混合することなどによりフッ素系樹脂のマイクロパウダーが組成物中に凝集や沈降することなく均一に微粒子分散したフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物が得られるものである。
本第3発明の上記フッ素系樹脂マイクロパウダー分散体は、分散状態においてフッ素系樹脂のマイクロパウダーの動的光散乱法による体積基準の平均粒子径(50%体積径、メジアン径)が、10μm以下となるものである。通常、一次粒子が凝集し、二次粒子として粒子径が大きいマイクロパウダーとなっている。このフッ素系樹脂のマイクロパウダーの二次粒子を10μm以下の粒子径となるように分散することにより、例えば、ディスパー、ホモミキサーなどのミキサー類や、超音波分散機、3本ロール、湿式ボールミル、ビーズミル、湿式ジェットミル、高圧ホモジナイザーなどの分散機を用いて分散することにより、低粘度で長期保存した場合でも安定な分散体を得ることができるものである。
この平均粒子径としては、好ましくは5μm以下、さらに好ましくは3μm以下、より好ましくは1μm以下であることが望ましい。より安定な分散体となるからである。
また、本第3発明のフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物においても、上述した本第1発明のフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物と同様に、本発明の効果を損なわない範囲で、界面活性剤や分散剤、消泡剤等を用いることが出来るものである。
さらに、本第3発明のフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物においても、上述した本第1発明のフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物と同様に、フッ素系樹脂のマイクロパウダーの分散状態を向上させるために、微粒子セラミックスを添加することも可能である。
さらにまた、本第3発明のフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物においても、上述した本第1発明のフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物と同様に、カールフィッシャー法による水分量が、5000ppm以下〔0≦水分量≦5000ppm〕であることが好ましい。材料からの水分混入や製造段階における水分混入など考えられるが、最終的にフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物の水分量を5000ppm以下にすることで、より保存安定性に優れた、フッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物を得ることができる。
〔第4発明:フッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物〕
本第4発明のフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物は、上記本第3発明のフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物におけるポリイミド前駆体溶液が、少なくとも、テトラカルボン酸二水和物及び/又はその誘導体と、ジアミン化合物と、を含むことを特徴とするものであり、上記各成分等の詳述は上記第1〜第3発明と同様であるので、その説明を省略する。
本第4発明では、予め調製したフッ素系樹脂のマイクロパウダー分散体を用いるものであり、この分散体に、上記テトラカルボン酸二水和物及び/又はその誘導体と、上記ジアミン化合物と、上記非水系溶媒を所定量添加、混合することなどによりフッ素系樹脂のマイクロパウダーが組成物中に凝集や沈降することなく均一に微粒子分散したフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物が得られるものである。
本発明では、上記第1発明〜第4発明の各発明を実施等することにより、フッ素系樹脂のマイクロパウダーが組成物中に凝集や沈降することなく均一に微粒子分散したフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物が得られるものである。好ましくは、作業性、微粒子分散に優れ、粘度変化が少ない点などから、第3発明と第4発明のフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物の使用が望ましく、更に好ましくは、第4発明のフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物である。
また、上記第1発明〜第4発明においては、上記非水系溶媒を用いるものであるが、他の溶媒と組み合わせて用いることや他の溶媒を用いることもできるものであり、用いるポリイミドの用途(回路基板、カバーレイフィルム、絶縁材料など)により好適なものが選択される。
〔第1発明〜第4発明の各フッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物より得られるポリイミド、ポリイミドフィルム、ポリイミド絶縁材料の調製、その製造方法〕
本発明のポリイミド、ポリイミドフィルム、ポリイミド絶縁材料は、上記で調製した第1発明〜第4発明のフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物中の、ポリイミド前駆体をイミド化することにより、フッ素系樹脂が均一に微粒子分散されたポリイミド、ポリイミドフィルム、ポリイミド絶縁材料を得ることができる。
本発明のフッ素系樹脂含有ポリイミドの製造方法としては、例えば、フッ素系樹脂のマイクロパウダーと、上記式(I)で表される化合物と、非水系溶媒と、を少なくとも含むフッ素系樹脂マイクロパウダー分散体を作製する工程と、テトラカルボン酸二水和物及び/又はその誘導体と、ジアミン化合物と、を少なくとも混合して、ポリイミド前駆体溶液組成物を作製する工程と、該フッ素系樹脂マイクロパウダー分散体と、該ポリイミド前駆体溶液組成物を混合してフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物を作製する工程と、該フッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物を硬化処理することにより、フッ素系樹脂含有ポリイミドを得る工程と、を含むことを特徴とするフッ素系樹脂含有ポリイミドの製造方法が挙げられ、また、フッ素系樹脂含有ポリイミドフィルムの製造方法としては、例えば、上述のポリイミドの製造方法と同様に工程を経て、フッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物を作製した上で、該フッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物を硬化処理することにより、フッ素系樹脂含有ポリイミドフィルムを得る工程と、を含むことを特徴とするフッ素系樹脂含有ポリイミドの製造方法が挙げられ、更に、フッ素系樹脂含有ポリイミド絶縁膜の製造方法としては、例えば、上述のポリイミドの製造方法と同様に工程を経て、フッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物を作製した上で、該フッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物を硬化処理することにより、フッ素系樹脂含有ポリイミド絶縁膜を得る工程と、を含むことを特徴とするフッ素系樹脂含有ポリイミド絶縁膜の製造方法が挙げられる。なお、上記各製造方法において、硬化処理(イミド化の方法)は特に限定されず、公知の方法で行うことができる。
例えば、フッ素系樹脂が分散されたポリイミド、ポリイミドフィルム、ポリイミド絶縁材料を作製する場合、ポリイミド用基材、ポリイミドフィルム用基材の表面に上記で得られたフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物を塗布して膜状物(塗膜)を形成させ、該膜状物を加熱処理して、溶媒を除去、硬化処理(イミド化反応)を行うことにより得ることができる。
用いることができる基材としては、例えば、液体や気体を実質的に透過させない程度の緻密構造を有していれば、形状や材質で特に限定されるものではなく、通常のフィルムを製造する際に用いられるそれ自体公知のベルト、金型、ロール、ドラムなどのフィルム形成用基材、その表面にポリイミド膜を絶縁保護膜として形成する回路基板などの電子部品や電線、表面に皮膜が形成される摺動部品や製品、ポリイミド膜を形成して多層化フィルムや銅張積層基板を形成する際の一方のフィルムや銅箔などを好適に挙げることができる。
また、これらの基材に、ポリイミド前駆体溶液組成物を塗布する方法としては、例えばスプレー法、ロールコート法、回転塗布法、バー塗布法、インクジェット法、スクリーン印刷法、スリットコート法などのそれ自体公知の方法を適宜採用することができる。
この基材に塗布されて形成されたポリイミド前駆体溶液組成物からなる膜状物、フィルム、絶縁材料等は、例えば、減圧下又は常圧下で室温以下など比較的低温で加熱する方法で脱泡しても構わない。
基材上に形成されたポリイミド前駆体溶液組成物からなる膜状物などは、加熱処理することによって、溶媒を除去し、かつ硬化処理(イミド化)されてポリイミド、ポリイミドフィルム、ポリイミド絶縁材料が形成される。加熱処理は、いきなり高温で加熱処理するよりも最初に100〜140℃以下の比較的低温で溶媒を除去し、次いで最高加熱処理温度まで温度を上げてイミド化する加熱処理が好適である。最高加熱処理温度は200〜600℃の温度範囲が採用できるが、好ましくは300〜500℃、より好ましくは250〜500℃の温度範囲で加熱処理することができる。また、加熱処理の代わりに、あるいは加熱処理と併用してアミン系化合物などの触媒を用いてイミド化反応を進めることもできる。さらにまた、イミド化の過程において発生した水を速やかに除去するための脱水剤としてカルボン酸無水物などを用いることもできるものである。
ポリイミド、ポリイミドフィルム、ポリイミド絶縁材料は用途に応じて、その厚さが適宜調整され、例えば、厚みが0.1〜200μm、好ましくは3〜150μm、より好ましくは5〜130μmのポリイミド膜、フィルムが好適に用いられる。加熱温度が250℃よりも低い場合イミド化が十分に進行せず、450℃を超えると熱分解などにより機械特性の低下などの問題が生じてくる。また、膜厚が200μmを超えると溶媒を十分に揮発させることができずに機械特性の低下、あるいは熱処理中に発泡を生じるなどの問題が起こる場合がある。
上記第1発明〜第4発明の各フッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物から得られるポリイミド膜、ポリイミドフィルム、ポリイミド絶縁材料中のフッ素系樹脂のマイクロパウダー濃度は、特に限定されるものではないが、ポリイミドの質量に対して好ましくは、1〜70質量%、より好ましくは、5〜50質量%、更に好ましくは、10〜35質量%程度が好適である。フッ素系樹脂のマイクロパウダー濃度が小さすぎるとフッ素系樹脂のマイクロパウダーの添加効果がなく、また、フッ素系樹脂のマイクロパウダー濃度が大きすぎるとポリイミドの機械特性などが低下することになる。
〔回路基板〕
本発明の回路基板は、上記第1発明〜第4発明の各フッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物から得られるポリイミドフィルムを用いたことを特徴とするものである。
本発明の回路基板は、例えば、フレキシブルプリント基板(FPC)では、上記フッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物から得られる絶縁性のフッ素系樹脂含有ポリイミドフィルムと金属箔をエポキシ樹脂、シアン酸エステル樹脂などの接着剤組成物で貼り合わせて金属箔積層板(CCL)を作製し、その金属箔に回路を施すことで製造することができる。
前記絶縁性のフッ素系樹脂含有フィルムとなる本発明のポリイミドフィルムの厚さは、十分な電気絶縁性と金属箔積層板の厚さ、および柔軟性などを勘案して、好適な範囲で選択可能であり、好ましくは、5〜50μm、より好ましくは、7〜45μmが望ましい。
前記接着剤組成物の厚さは、ポリイミドフィルムとの界面密着性、積層板の柔軟性、接着強度などの点から、好ましくは、1〜50μm、より好ましくは、3〜30μmが望ましい。
前記金属箔としては、導電性を有する金属箔を有するものが挙げられ、例えば、金、銀、銅、ステンレス、ニッケル、アルミニウム、これらの合金などが例示される。導電性、取扱いの容易性、価格等の観点から、銅箔やステンレス箔が好適に用いられる。銅箔としては、圧延法や電解法によって製造されるいずれのものでも使用することができる。
金属箔の厚さは、電気伝導性、絶縁性フィルムとの界面密着性、積層板の柔軟性、耐折り曲げ性の向上や、回路加工においてファインパターンを形成しやすいという点、配線間の導通性の点などを勘案して好適な範囲が設定でき、例えば、1〜35μmの範囲内が好ましく、より好ましくは5〜25μmの範囲内、特に好ましくは8〜20μmの範囲内である。
また、使用する金属箔は、マット面の表面粗さRz(十点平均粗さ)が0.1〜4μmの範囲内であることが好ましく、0.1〜2.5μmの範囲内がより好ましく、特に、0.2〜2.0μmの範囲内であることが好ましい。
このように構成される本発明の回路基板は、絶縁性フィルムとして、上記第1発明〜第4発明の各フッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物から得られるポリイミドフィルムを用いることにより、比誘電率と誘電正接が低く、耐熱性、電気絶縁性や機械特性に優れる回路基板が得られるものとなる。
〔カバーレイフィルム〕
次に、本発明のカバーレイフィルムは、上記第1発明〜第4発明の各フッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物により得られた絶縁性のフッ素系樹脂含有ポリイミドフィルムと、該ポリイミドフィルムの少なくとも一方の面に接着剤層が形成されたことを特徴とするものである。
用いる接着剤層としては、前記回路基板に用いたエポキシ樹脂、シアン酸エステル樹脂などの接着剤組成物が使用される。
本発明のカバーレイフィルムは、フレキシブルプリント配線板(FPC)用などの表面保護フィルム等として用いるものであり、得られるポリイミドフィルム上に、接着剤層が形成されたものであり、接着剤層上に保護層となる紙やPETフィルムなどのセパレーター(剥離フィルム)が接合されたものである。なお、このセパレーター(剥離フィルム)は、作業性、保存安定性などを勘案して、必要に応じて、設けられるものである。
前記ポリイミドフィルムの厚さは、十分な電気絶縁性と保護性、および柔軟性などを勘案して、好適な範囲で選択可能であり、好ましくは、5〜200μm、より好ましくは、
7〜100μmが望ましい。前記接着剤組成物の厚さは、絶縁性フィルムとの界面密着性、接着強度などの点から、好ましくは、1〜50μm、より好ましくは、3〜30μmが望ましい。
このように構成される本発明のカバーレイフィルムは、上記第1発明〜第4発明の各フッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物より得られるポリイミドフィルム上に、コンマロールコーター、リバースロールコーターなどを用いて塗布により接着剤組成物からなる接着剤層を形成させ、乾燥して半硬化状態(組成物が乾燥した状態またはその一部で硬化反応が進行している状態)にし、次に、上述の保護層となるセパレーター(剥離フィルム)を積層することにより比誘電率と誘電正接が低く、耐熱性、寸法安定性、電気特性などにも優れた特性を有するカバーレイフィルムを製造することができる。
〔電子機器〕
本発明の電子機器は、上記第1発明〜第4発明の各フッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物より得られるフッ素系樹脂含有ポリイミド絶縁材料を用いたことを特徴とするものであり、例えば、優れた電気特性(低比誘電率、低誘電正接)、電気絶縁性が要求される各種電子機器、例えば、薄型携帯電話、ゲーム機、ルーター装置、WDM装置、パソコン、テレビ、ホーム・サーバー、薄型ディスプレー、ハードディスク、プリンター、DVD装置をはじめ、各種電子機器の本体や部品などの絶縁材料などに用いることができる。
本発明では、上述の第1発明〜第4発明のポリイミド前駆体溶液組成物により得られる耐熱性、機械特性、摺動性、絶縁性、低誘電率化、低誘電正接化などの電気特性、加工性に優れるポリイミドやポリイミドフィルム、ポリイミド絶縁材料を用いた上記回路基板、カバーレイフィルム、電子機器以外にも、これらのポリイミドやポリイミドフィルム、ポリイミド絶縁材料を用いて、絶縁膜、配線基板用層間絶縁膜、表面保護層、摺動層、剥離層、繊維、フィルター材料、電線被覆材、ベアリング、塗料、断熱軸、トレー、シームレスベルトなどの各種ベルト、テープ、チューブなどの用途に好適に用いることができる。
以下に、本発明について、更に実施例、比較例を参照して詳しく説明する。なお、本発明は下記実施例等に限定されるものではない。
〔フッ素系樹脂マイクロパウダー分散体の調製:分散体1〜7〕
下記表1に示す配合処方にて、溶媒中に式(I)で表される化合物を充分に攪拌混合、溶解した後、フッ素系樹脂のマイクロパウダーとしてPTFEマイクロパウダーを添加して、さらに攪拌混合を行った。その後、得られたPTFE混合液を、横型のビーズミルを用いて、0.3mm径のジルコニアビーズにて分散し、各分散体1〜7を得た。
得られた分散体1〜7におけるPTFEの平均粒子径をFPAR−1000(大塚電子株式会社製)による動的光散乱法で測定した。また、各分散体1〜7の粘度をE型粘度計(TOKIMEC社製)を用いて測定した。
下記表1に分散体1〜7の配合処方、得られた分散体におけるPTFEの平均粒子径、粘度を示す。また、得られた分散体1〜7の水分量を測定したところ、カールフィッシャー法による各水分量は、それぞれ、700〜3000ppmの範囲内であった。
Figure 0006470643
〔実施例1〜7及び比較例1:フッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物の調製〕
<実施例1>
(a)ポリイミド前駆体溶液の調製
攪拌機と窒素ガス配管を有するガラス製容器に、N,N−ジメチルホルムアミドを400質量部、p−フェニレンジアミンを27質量部、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二水和物を73質量部、を添加、混合し、充分に撹拌して、固形分濃度18質量%のポリイミド前駆体溶液を得た。
(b)フッ素系樹脂マイクロパウダー分散体は、上記表1の分散体1を用いた。
(c)フッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物の製造
上記(a)で調製したポリイミド前駆体溶液に分散体1(PTFE含有量:30質量%)を18質量部添加し、10分間攪拌、混合し、樹脂成分に対してPTFEが30質量%含有されるフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物を得た。
(d)フッ素系樹脂を含有するポリイミド膜の製造
上記(c)で得られたフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物を、基材となるガラス板上にバーコーターによって塗布し、減圧下25℃で50分、脱泡及び予備乾燥した後、常圧、窒素雰囲気下で、120℃で45分、150℃で30分、200℃で15分、250℃で10分、400℃で10分加熱処理をして、厚さが50μmのポリイミド膜(1)を形成した。
<実施例2>
フッ素系樹脂マイクロパウダー分散体として、上記表1の分散体2を用いたこと以外は実施例1と同様の方法にて、ポリイミド膜(2)を形成した。
<実施例3>
フッ素系樹脂マイクロパウダー分散体として、上記表1の分散体3を用いたこと以外は実施例1と同様の方法にて、ポリイミド膜(3)を形成した。
<実施例4>
フッ素系樹脂マイクロパウダー分散体として、上記表1の分散体4を用いたこと以外は実施例1と同様の方法にて、ポリイミド膜(4)を形成した。
<実施例5>
フッ素系樹脂マイクロパウダー分散体として、上記表1の分散体5を用いたこと以外は実施例1と同様の方法にて、ポリイミド膜(5)を形成した。
<実施例6>
フッ素系樹脂マイクロパウダー分散体として、上記表1の分散体6を用いたこと以外は実施例1と同様の方法にて、ポリイミド膜(6)を形成した。
<実施例7>
攪拌機と窒素ガス配管を有するガラス製容器に、N,N−ジメチルホルムアミドを400質量部、p−フェニレンジアミンを27質量部、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二水和物を73質量部、を添加、混合し、充分に撹拌して、固形分濃度18質量%のポリイミド前駆体溶液を得た。
上記ポリイミド前駆体溶液にPTFEのマイクロパウダー(一次粒子径:3μm)を5.4質量部、エスレックBL−10を1.5質量%添加し、2時間攪拌、混合し、樹脂成分に対してPTFEが30質量%含有されるフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物を得た。
上記フッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物を、基材となるガラス板上にバーコーターによって塗布し、減圧下25℃で50分、脱泡及び予備乾燥した後、常圧、窒素雰囲気下で、120℃で45分、150℃で30分、200℃で15分、250℃で10分、400℃で10分加熱処理をして、厚さが50μmのポリイミド膜(7)を形成した。
<比較例1>
フッ素系樹脂マイクロパウダー分散体として、上記表1の分散体7を用いたこと以外は実施例1と同様の方法にて、ポリイミド膜(8)を形成した。
〔評価〕
上記実施例1〜7及び比較例1において得られたフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物の粘度変化、沈降性、再分散性の各状態と、実施例1〜7及び比較例1において得られたポリイミド膜(1)〜(8)の状態、比誘電率と誘電正接、接着性の各評価を下記各方法により行った。これらの結果を下記表2に示す。
なお、得られた実施例1〜7及び比較例1のフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物の各水分量を測定したところ、カールフィッシャー法による水分量は、それぞれ、
700〜3000ppmの範囲内であった。
(フッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物中のフッ素樹脂粒子の平均粒子径の測定方法)
フッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物をN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)を用いて希釈し、FPAR−1000(大塚電子株式会社製)による動的光散乱法でPTFEの平均粒子径を測定し、凝集状態を評価した。
(フッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物の粘度変化、沈降・再分散状態の評価方法)
フッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物を25℃下で30日間静置し、上記E型粘度計を用いて静置前と30日間静置後の粘度を測定し、粘度変化を下記評価基準で評価した。
また、上記25℃下で30日間静置後のPTFE粒子の沈降状態を目視で確認し、下記各評価基準で沈降性、再分散性の各状態を官能評価した。
粘度変化の評価基準:
○:液の粘度変化が±10%の範囲のもの
×:液の粘度変化が±10%の範囲を超えるもの
沈降性の評価基準:
○:下部に沈降層が見られないもの
△:下部に沈降層が見られるもの(再分散が容易)
×:下部に沈降層が見られるもの(再分散がしづらい)
再分散性の評価基準:
○:沈降物が攪拌した際に容易に再分散したもの
×:沈降物が攪拌した際に再分散がしづらいもの
(ポリイミド膜の状態の評価方法)
ポリイミド膜の状態を目視にて観察し、下記各評価基準で状態を官能評価した。
ポリイミド膜の状態の評価基準
○:PTFEの凝集物などの異物がなく、平滑な表面が形成されている
×:PTFEの凝集物などの異物が確認される
(ポリイミド膜の比誘電率と誘電正接の測定方法)
実施例1〜6及び比較例1において得られたポリイミド膜をガラス板から剥がし、JIS C6481−1996の試験規格に準じて、インピーダンス分析器(Impedence Analyzer)を用いて、25℃、1kHzの周波数で、比誘電率と誘電正接を測定した。
(ポリイミド膜の接着性の評価方法)
実施例1〜7及び比較例1において得られたポリイミド膜(1)〜(8)と、分散体を用いることなく実施例1の方法と同様の方法により作製したポリイミド膜(PTFEなし)とをそれぞれ2液硬化型のエポキシ接着剤を用いて貼り合せ、JIS K6854−に規定される方法にて剥離試験を行い、接着性の評価を下記評価基準で行った。
接着性の評価基準:
○:ポリイミド膜とエポキシ接着剤の界面で剥離することなく接着剤部が破壊された場合
×:ポリイミド膜とエポキシ接着剤の界面で剥離した場合
Figure 0006470643
上記表2の結果から明らかなように、実施例1〜7及び比較例1のいずれも平均粒子径、粘度変化、沈降性、再分散性、ポリイミド膜の状態は特に変わらないものであった。一方で、粒子径が3μmと大きいPTFEマイクロパウダーを用いている実施例7のフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物は沈降性において△の評価であったが、容易に再分散が可能なものであり、使用上問題のないレベルであった。
ポリイミド膜の比誘電率と誘電正接は、実施例1〜7に比べて比較例1は高い結果となった。これは、比較例1ではフッ素系分散剤を用いているために、実施例1〜7に比べて電気特性が劣っていることが確認できた。
また、ポリイミド膜の接着性は、比較例1の場合にはポリイミド膜と接着剤との界面で剥離しており、ポリイミド膜表面に存在するフッ素系分散剤の影響によりポリイミド膜の接着性が落ちていることに起因しているものと推測される。一方で、本発明の範囲内である実施例1〜7のポリイミド膜においては、ポリイミド膜と接着剤との界面で剥離することなく、接着剤部分で破壊が起きており、ポリイミドの接着性や密着性の低下がないことが判明した。
耐熱性、機械特性、摺動性、絶縁性、低誘電率化、低誘電正接化などの電気特性、加工性に優れるポリイミド、ポリイミドフィルム、そのポリイミドやポリイミドフィルムを用いた回路基板、カバーレイフィルム、また、絶縁膜、配線基板用相関絶縁膜などのポリイミド絶縁材料を用いた電子機器、並びに、これらのポリイミド、ポリイミドフィルム、ポリイミド絶縁材料を用いた表面保護層、摺動層、剥離層、繊維、フィルター材料、電線被覆材、ベアリング、塗料、断熱軸、トレー、シームレスベルトなどの各種ベルト、テープ、チューブなどに好適に利用される。

Claims (15)

  1. 少なくとも、フッ素系樹脂のマイクロパウダーと、下記式(I)で表される化合物と、ポリイミド前駆体溶液と、を含むことを特徴とするフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物。
    Figure 0006470643
  2. 前記ポリイミド前駆体溶液が、少なくとも、テトラカルボン酸二水和物及び/又はその誘導体と、ジアミン化合物と、を含むことを特徴とする請求項1に記載のフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物。
  3. フッ素系樹脂のマイクロパウダーと下記式(I)で表される化合物と非水系溶媒とを少なくとも含むフッ素系樹脂マイクロパウダー分散体と、ポリイミド前駆体溶液と、を少なくとも含むことを特徴とするフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物。
    Figure 0006470643
  4. 前記ポリイミド前駆体溶液が、少なくとも、テトラカルボン酸二水和物及び/又はその誘導体と、ジアミン化合物と、を含むことを特徴とする請求項2に記載のフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物。
  5. 前記フッ素系樹脂のマイクロパウダーが、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化エチレン−プロピレン共重合体、パーフルオロアルコキシ重合体、クロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレンからなる群から選ばれる1種以上のフッ素系樹脂のマイクロパウダーであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載のフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物。
  6. 前記フッ素系樹脂マイクロパウダー分散体において、分散された状態のフッ素系樹脂マイクロパウダーの平均粒子径が10μm以下であることを特徴とする請求項3又は4に記載のフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物。
  7. 請求項1乃至6のいずれか一つに記載のフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物を用いて得られることを特徴とするフッ素系樹脂含有ポリイミド。
  8. 請求項1乃至6のいずれか一つに記載のフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物を用いて得られることを特徴とするフッ素系樹脂含有ポリイミドフィルム。
  9. 請求項1乃至6のいずれか一つに記載のフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物を用いて得られることを特徴とするフッ素系樹脂含有ポリイミド絶縁材料。
  10. フッ素系樹脂のマイクロパウダーと、下記式(I)で表される化合物と、非水系溶媒と、を少なくとも含むフッ素系樹脂マイクロパウダー分散体を作製する工程と、
    テトラカルボン酸二水和物及び/又はその誘導体と、ジアミン化合物と、を少なくとも混合して、ポリイミド前駆体溶液組成物を作製する工程と、
    該フッ素系樹脂マイクロパウダー分散体と、該ポリイミド前駆体溶液組成物を混合してフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物を作製する工程と、
    該フッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物を硬化処理することにより、フッ素系樹脂含有ポリイミドを得る工程と、
    を含むことを特徴とするフッ素系樹脂含有ポリイミドの製造方法。
    Figure 0006470643
  11. フッ素系樹脂のマイクロパウダーと、下記式(I)で表される化合物と、非水系溶媒と、を少なくとも含むフッ素系樹脂マイクロパウダー分散体を作製する工程と、
    テトラカルボン酸二水和物及び/又はその誘導体と、ジアミン化合物と、を少なくとも混合して、ポリイミド前駆体溶液組成物を作製する工程と、
    該フッ素系樹脂マイクロパウダー分散体と、該ポリイミド前駆体溶液組成物を混合してフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物を作製する工程と、
    該フッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物を硬化処理することにより、フッ素系樹脂含有ポリイミドフィルムを得る工程と、
    を含むことを特徴とするフッ素系樹脂含有ポリイミドフィルムの製造方法。
    Figure 0006470643
  12. フッ素系樹脂のマイクロパウダーと、下記式(I)で表される化合物と、非水系溶媒と、を少なくとも含むフッ素系樹脂マイクロパウダー分散体を作製する工程と、
    テトラカルボン酸二水和物及び/又はその誘導体と、ジアミン化合物と、を少なくとも混合して、ポリイミド前駆体溶液組成物を作製する工程と、
    該フッ素系樹脂マイクロパウダー分散体と、該ポリイミド前駆体溶液組成物を混合してフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物を作製する工程と、
    該フッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物を硬化処理することにより、フッ素系樹脂含有ポリイミド絶縁膜を得る工程と、
    を含むことを特徴とするフッ素系樹脂含有ポリイミド絶縁膜の製造方法。
    Figure 0006470643
  13. 請求項8に記載のフッ素系樹脂含有ポリイミドフィルムを用いたことを特徴とする回路基板。
  14. 請求項8に記載のフッ素系樹脂含有ポリイミドフィルムを用いたことを特徴とするカバーレイフィルム。
  15. 請求項9に記載のフッ素系樹脂含有ポリイミド絶縁材料を用いたことを特徴とする電子機器。
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