以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の実施の形態における現像装置の構成を示す断面図、図2は本発明の実施の形態における画像形成装置の概略構成を示す断面図である。
図2において、10は本実施の形態における画像形成装置であり、例えば、プリンタ、ファクシミリ機、複写機、MFP等であるが、いかなる種類のものであってもよい。ここでは、前記画像形成装置10が、電子写真方式によって画像を形成する電子写真式プリンタであるものとして説明する。なお、前記画像形成装置10は、カラー画像を形成する装置であってもよいが、説明の都合上、モノクロ画像を形成する装置であるものとする。
この場合、前記画像形成装置10の内部には、画像形成ユニット28及び定着器27が媒体としての記録媒体21の搬送路に沿って配設されている。そして、用紙カセット等に積層されてセットされた記録媒体21は、給紙ローラ31によって1枚ずつ分離された状態で給紙され、矢印Bで示される方向に搬送されて用紙搬送ローラ32に送り込まれる。続いて、記録媒体21は、用紙搬送ローラ32によって所定のタイミングで矢印Cで示される方向に送り出され、搬送路に沿って搬送される途中で、画像形成ユニット28によって形成された現像剤像であるトナー像が転写ローラ25により、転写される。
そして、記録媒体21が定着器27に送り込まれると、該定着器27によって定着プロセスが行われ、トナー像が記録媒体21上に定着される。続いて、トナー像が定着された記録媒体21は、矢印Dで示される方向に搬送され、用紙排出ローラ33によって矢印Eで示される方向に排出され、画像形成装置10の外部におけるスタッカに収容される。
ここで、画像形成ユニット28は、現像装置20を有する。該現像装置20は、図1に示されるように、現像剤収容器としてのトナー収容部22と、該トナー収容部22から補給された現像剤としてのトナー17を内部に収容するケーシング23とを備える。また、現像装置20は、静電潜像担持体としての感光体ドラム13、該感光体ドラム13に対向させて配設された現像剤担持体としての現像ローラ11、該現像ローラ11にトナー17を供給する現像剤供給部材としてのトナー供給ローラ12、前記感光体ドラム13を帯電させる帯電部材としての帯電ローラ14、前記現像ローラ11上に供給されたトナー17を薄層に形成するトナー層厚規制ブレードとしての現像ブレード15、ケーシング23内のトナー17の流動性を維持するための撹拌(かくはん)部材24a、24b及び24c、並びに、前記感光体ドラム13上の転写残トナーを掻き落として回収するためのクリーニングブレード16を備える。
前記現像ローラ11、トナー供給ローラ12、感光体ドラム13、帯電ローラ14は、それぞれ、矢印で示される方向に回転する。前記攪拌部材24a、24b及び24cは、クランク形状の捧体であり、図に示される破線上を矢印で示される方向に回転する。
また、26は、発光素子としてのLED(Light Emitting Diode)を備え、イメージデータに基づいて感光体ドラム13の表面を露光して静電潜像を形成するための露光装置としてのLEDヘッドである。
なお、図1に示される点Aは、現像ローラ11上において、後述されるトナー層電位及びトナー付着量の上昇量の測定が行われる位置である。
次に、前記画像形成装置10の制御装置について説明する。
図3は本発明の実施の形態における画像形成装置の制御系の構成を示す制御ブロック図である。
図において、30は、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、入出力ポート、タイマ等を備える印刷制御部であり、図示されない上位装置からインターフェイス(I/F)制御部36を介して印刷データ及び制御コマンドを受信し、画像形成装置10の全体のシーケンスを制御して印刷動作を行わせる。
また、37は、前記上位装置からインターフェイス制御部36を介して入力された印刷データを一時的に記録する受信メモリである。さらに、41は、該受信メモリ37に記録された印刷データを受け取るとともに、該印刷データを編集処理することによって形成された画像データ、すなわち、イメージデータを記録する画像データ編集メモリである。
そして、42は、画像形成装置10の状態を表示するためのLED等の表示手段、及び、画像形成装置10に操作者からの指示を与えるためのスイッチ等の入力手段を備える操作部である。さらに、43は、センサ群であり、画像形成装置10の動作状態を監視するための各種のセンサ、例えば、用紙位置検出センサ、温湿度センサ、印刷濃度センサ、トナー残量検知センサ等を含んでいる。
また、46は、帯電ローラ用電源であり、印刷制御部30の指示によって帯電ローラ14に電圧を印加し、感光体ドラム13の表面を帯電させる。そして、44は、静電潜像にトナー17を付着させるために現像ローラ11に所定の電圧を印加する現像ローラ用電源である。また、45は、前記現像ローラ11にトナー17を供給するためのトナー供給ローラ12に所定の電圧を印加するトナー供給ローラ用電源である。
さらに、47は、前記現像ローラ11の表面にトナー17の薄層を形成するための現像ブレード15に所定の電圧を印加する現像ブレード用電源である。そして、51は、前記感光体ドラム13に形成されたトナー像を記録媒体21に転写するための転写ローラ25に所定の電圧を印加する転写ローラ用電源である。
なお、前記帯電ローラ用電源46、現像ローラ用電源44、トナー供給ローラ用電源45、現像ブレード用電源47及び転写ローラ用電源51は、印刷制御部30の指示によって各部材に印加する電圧を変更することができるようになっている。
そして、52は、前記画像データ編集メモリ41に記録されたイメージデータをLEDヘッド26に送り、該LEDヘッド26を駆動するヘッド駆動制御部である。また、53は、転写されたトナー像を記録媒体21に定着させるために、定着手段としての定着器27に電圧を印加する定着制御部である。なお、前記定着器27は、記録媒体21上のトナー像を構成するトナー17を溶融させるための図示されないヒータ、温度を検出する図示されない温度センサ等を備える。前記定着制御部53は、前記温度センサのセンサ出力を読み込み、該センサ出力に基づいてヒータを通電させ、定着器27が一定の温度になるように制御を行う。
そして、54は、前記記録媒体21を搬送するための用紙搬送モータ34の制御を行う搬送モータ制御部である。該搬送モータ制御部54は、印刷制御部30の指示によって所定のタイミングで記録媒体21を搬送したり停止させたりする。なお、前記給紙ローラ31、用紙搬送ローラ32及び用紙排出ローラ33は、用紙搬送モータ34によって回転させられる。そして、記録媒体21は矢印B〜Eで示される方向に搬送される。
また、55は、前記感光体ドラム13を動作させるための駆動モータ35を駆動する駆動制御部である。そして、該駆動制御部55によって駆動モータ35が駆動されると、図1に示されるように、感光体ドラム13が矢印で示される方向に回転させられるとともに、帯電ローラ14、現像ローラ11及びトナー供給ローラ12が、それぞれ、矢印で示される方向に回転させられる。
次に、前記現像装置20の主な構成要素について詳細に説明する。まず、前記トナー17について説明する。
本実施の形態におけるトナー17は、粉砕法で製造され、バインダとしてポリエステル樹脂を用いた非磁性一成分の負帯電性トナーである。トナー17の粒子の体積平均粒径は、5.7〔μm〕、円形度は、0.92、ブローオフ帯電量は、−36〔μC/g〕である。なお、体積平均粒径の測定には、コールターマルチサイザーII(コールター社製)を使用した。また、円形度の測定には、フロー式粒子像分析装置FPIA−3000(シスメックス株式会社製)を使用した。ブローオフ帯電量の測定には、粉体帯電量測定装置TYPE TB−203(京セラ株式会社製)を使用した。0.5〔g〕のトナー17と、9.5〔g〕のフェライトキャリア(F−60)(パウダーテック株式会社製)とを混合し、30分攪拌した後、ブロー圧7.0〔kPa〕、吸引圧−4.5〔kPa〕の条件で飽和帯電量を測定した。
次に、前記トナー供給ローラ12について説明する。
図4は本発明の実施の形態におけるトナー供給ローラの断面図、図5は本発明の実施の形態におけるトナー供給ローラの表面近傍拡大断面図である。
図4に示されるように、トナー供給ローラ12は、軸としての導電性の芯(しん)金61、該芯金61上に配設された弾性層としての発泡弾性層62、及び、該発泡弾性層62の表面を被覆する表面層としてのシリコーンコート層63を備える。
前記芯金61は、良好な導電特性を有する材料であればいかなる材料から成るものであってもよく、例えば、鉄、アルミニウム、ステンレス鋼等から成る。本実施の形態においては、前記芯金61の材料として、SUM23材(硫黄及び硫黄複合快削鋼鋼材)を使用した。
また、前記発泡弾性層62は、シリコーンゴムを基材として、図4に示されるように、芯金61の外周面に、厚さが2〜20〔mm〕の単層構造となるように形成されている。そして、前記発泡弾性層62は、図5に示されるように、独立セル状態となっている複数のセル70を有している。なお、発泡弾性層62内に形成されるセル70は、他のセル70に接することのない、若しくは、連通することのない状態(独立セル状態)、他のセル70に接ている、若しくは、連通している状態(連通セル状態)、又は、独立セル状態と連通セル状態とが共存する状態、のいずれの状態であってもよい。
発泡弾性層62内に存在するセル70の平均セル径は、150〜400〔μm〕の範囲であるのが望ましい。平均セル径が前記範囲内にあれば、発泡弾性層62のアスカーF硬度を40〜70度の範囲に収めることができる。なお、セル70の平均セル径は、発泡弾性層62の任意の面を切断したときの切断面において、2〔mm〕×2〔mm〕=4〔mm2 〕の領域をデジタルマイクロスコープで観察して、前記領域内に存在する各セル70の開口部の最大長さを測定し、測定された最大長さの平均値として、求めることができる。
発泡弾性層62を形成するゴム組成物は、ゴムと、発泡剤と、導電性付与剤と、所望により各種添加剤とを含有する。ゴムは、耐熱性及び帯電特性に優れるシリコーン又はシリコーン変性ゴムであることが好ましい。
前記発泡剤は、発泡ゴムに用いられる発泡剤であればいかなる種類のものであってもよく、例えば、無機系発泡剤としては、重炭酸ソーダ、炭酸アンモニウム等であり、有機系発泡剤としては、ジアゾアミノ誘導体、アゾニトリル誘導体、アゾジカルボン酸誘導体等の有機アゾ化合物である。なお、発泡弾性層62に連通セル状態のセル70を形成する場合には無機系発泡剤が用いられ、独立セル状態のセル70を形成する場合には有機系発泡剤が用いられる。
前記ゴム組成物は、発泡剤に加えて、又は、発泡剤の代わりに、中空充填(てん)剤を含有してもよい。中空充填剤としては、例えば、ポリオルガノシロキサン系球状粉末を用いることができる。
前記導電性付与剤としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等の導電性カーボンブラック、導電性ポリマー等を用いることができる。
各種添加剤は、充填剤、着色剤、離型剤等であり、所望の配合量で配合される。
前記ゴム組成物は、独立セル状態のセル70を形成することができる発泡導電性シリコーンゴム系組成物であることが好ましい。独立セル状態のセル70を形成することができる発泡導電性シリコーンゴム系組成物は、耐熱性、耐久性、耐残留歪(ひず)み特性に優れ、トナー供給ローラ12の発泡弾性層62として好適である。
発泡弾性層62の外周面を被覆するシリコーンコート層63に用いる材料の主成分としては、メチル系シリコーンレジン、メチルフェニル系シリコーンレジン、ウレタン変性シリコーンレジン、ウレタン、アクリル樹脂等を用いることができる。
前記シリコーンコート層63に求められる性能としては、耐磨耗性、発泡弾性層62の変形に追従する柔軟性、及び、トナー17への荷電性が挙げられる。本実施の形態において、これらの性能を満たすものとして、メチルフェニル系シリコーンレジンを用いることとした。
シリコーンコート層63は、メチルフェニル系シリコーンレジン及び導電性付与剤を含有している。シリコーンコート層63が、メチルフェニル系シリコーンレジンを含有していると、トナー供給ローラ12に要求される帯電特性を効果的に発揮することができる。前記メチルフェニル系シリコーンレジンは、厚さ7〔mm〕の平板状試験片としたときのJIS−A硬度が50〜80度であることが好ましい。
なお、図5において、69は発泡弾性層62の外周面に開口するセル70の開口部としてのセル開口部であり、63aはセル70の壁の上に塗布されたシリコーンコート層63であり、63bはセル開口部69を埋める形で形成されたシリコーンコート層63である。
前記導電性付与剤は、カーボンブラックであることが好ましい。シリコーンコート層63における導電性付与剤の含有量は、メチルフェニル系シリコーンレジン100質量部に対して2〜10質量部であることが好ましい。
次に、前記トナー供給ローラ12の抵抗値の測定方法について説明する。
図6は本発明の実施の形態におけるトナー供給ローラの抵抗値測定方法を示す図である。
トナー供給ローラ12の抵抗値の測定には、ハイレジスタンスメータ(型番:4339B)(ヒューレット・パッカード社製)64を使用した。トナー供給ローラ12は、両端にW=300〔g〕の荷重をかけて、直径30〔mm〕のステンレス鋼(SUS)材の金属ローラ65に接触させた。該金属ローラ65を50〔rpm〕の速度で回転させ、トナー供給ローラ12の芯金61に−300〔V〕の電圧を印加し、トナー供給ローラ12の1周につき100ポイントで抵抗値を測定し、その平均値をトナー供給ローラ12の抵抗値とした。
トナー供給ローラ12の抵抗値は、1×104 〜1×107 〔Ω〕の範囲が好ましく、本実施の形態においては、抵抗値が1×105 〔Ω〕のトナー供給ローラ12を用いる。
次に、前記現像ローラ11について説明する。
図7は本発明の実施の形態における現像ローラの断面図である。
本実施の形態における現像ローラ11は、軸としての導電性の芯金66、該芯金66上に配設された弾性層67、及び、該弾性層67の表面を被覆する表面層68を備える。
前記芯金66は、良好な導電特性を有する材料であればいかなる材料から成るものであってもよく、例えば、鉄、アルミニウム、ステンレス鋼等から成る。本実施の形態においては、前記芯金66の材料として、SUM23材を使用した。
前記弾性層67のロール状態でのゴム硬度は、一般的に、アスカーC硬度60〜80度であることが好ましい。前記弾性層67のアスカーC硬度が60度より低いと、現像装置20を長期間に亘って動作させない場合、現像ローラ11における感光体ドラム13及び現像ブレード15との当接部に凹みが発生し、印刷画像上に横スジが発生してしまうという問題がある。また、前記弾性層67のアスカーC硬度が80度より高いと、現像ローラ11にかかる機械的負荷が大きくなり、該現像ローラ11の表面にトナーフィルミングが発生しやすくなる。
前記弾性層67の材料としては、シリコーンゴム、ウレタン等の一般的なゴム材料を使用することができる。本実施の形態においては、具体的には、ポリエーテル系ポリオール及び脂肪族系イソシアネートをベースポリマーとして前記弾性層67を形成した。また、該弾性層67には、抵抗値調整のために、導電剤として、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等のカーボンブラックが添加されている。本実施の形態においては、前記弾性層67のアスカーC硬度を76度とした。
また、トナー17を現像ローラ11の表面に適切に担持させるため、前記弾性層67の表面を覆う表面層68として、イソシアネート処理を施した。イソシアネート処理液は、イソシアネート化合物を酢酸エチル等の有機溶剤に溶解させた後に、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等のカーボンブラックを添加したものである。イソシアネート化合物としては、例えば、ジフェニルメタンイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等が用いられる。
イソシアネート処理液が乾燥した後、現像ローラ11の表面を有機溶剤のイソブロピルアルコールに漬けた布等で払拭(しょく)することにより、現像ローラ11の表面の帯電特性を均一に向上させることができる。
また、現像ローラ11の抵抗値は、図6に示される測定方法と同様の方法で測定した。前記現像ローラ11の抵抗値は、−100〔V〕の電圧を印加したときに、1×104 〜1×107 〔Ω〕の範囲が好ましく、本実施の形態においては、抵抗値が1×106 〔Ω〕の現像ローラを用いる。
次に、前記現像ブレード15について説明する。
本実施の形態における現像ブレード15は、ステンレス鋼材製で、板厚が0.08〔mm〕であり、現像ローラ11との当接部に曲げ加工が施されており、曲げ部(当接部)の曲率半径は0.18〔mm〕であり、現像ローラ11に対する圧力(線圧)は40〔gf/cm〕である。
前記現像ブレード15の設定条件に鑑み、現像ローラ11上のトナー層厚、トナー帯電量等を所望の量にするため、現像ローラ11の表面粗さ、抵抗値等を検討する必要がある。本実施の形態において使用する現像ローラ11の表面粗さは、周方向における十点平均粗さRz(JIS B0601−1994)が2〜10〔μm〕であることが適当である。
なお、十点平均粗さRzが2〔μm〕より小さいと、現像ローラ11上に形成されるトナー層が薄くなり、トナー17の粒子1個当たりに加わるストレスが大きくなる。そのため、トナー17から離脱する外添剤の量が増え、該外添剤が、現像ローラ11と現像ブレード15との当接部に詰まって、該現像ブレード15にトナーフィルミングが発生しやすいという問題がある。
また、十点平均粗さRzが10〔μm〕より大きいと、現像ローラ11上のトナー層厚が大きくなるため、トナー供給ローラ12によるトナー17の掻き取りが十分に行えず、現像ローラ11の表面にトナーフィルミングが発生しやすいという問題がある。
次に、前記構成の現像装置20の画像形成時の動作について説明する。
駆動モータ35の回転に伴い、感光体ドラム13、現像ローラ11及びトナー供給ローラ12が、図1において矢印で示される方向に回転する。
本実施の形態においては、画像形成装置10の印刷速度は、記録媒体21としてA4サイズの印刷用紙を使用したA4用紙縦方向印刷で40〔ppm〕相当とし、外径16.0〔mm〕の現像ローラ11の周速度、及び、外径15.5〔mm〕のトナー供給ローラ12(発泡弾性層62の厚さ4.25〔mm〕)の周速度は、それぞれ0.3〔m/s〕及び0.2〔m/s〕とした。
前記トナー供給ローラ12の現像ローラ11に対する食い込み量については、食い込み量が小さすぎると、トナー17の摩擦帯電性が不十分となり、現像ローラ11へのトナー供給性が低下してしまう。一方、食い込み量が大きすぎると、トナー17に対する機械的負荷が増大し、トナー17の外添剤離脱やトナー17の粒子同士の静電凝集などにより、トナー17の帯電特性が不安定になる。
したがって、現像ローラ11に対するトナー供給ローラ12の食い込み量は、0.7〜1.3〔mm〕であることが望ましく、本実施の形態においては、前記食い込み量を1.0〔mm〕とした。
前記トナー供給ローラ12の硬度についても、現像ローラ11に対する食い込み量と同様の理由で、現像ローラ11に対する接触圧が画像品質に影響する。前記トナー供給ローラ12のアスカーF硬度は、48〜63度であることが望ましく、本実施の形態においては、50〜60度となるようにした。
前記現像装置20において、スポンジ状の弾性体である発泡弾性層62を備えるトナー供給ローラ12は、外周面及びセル70内にトナー17を担持しながら回転し、現像ローラ11との接触部に到る。なお、トナー供給ローラ12には、トナー供給ローラ用電源45により、−330〔V〕の直流電圧が印加される。また、現像ローラ11には、現像ローラ用電源44により、−200〔V〕の直流電圧が印加される。そして、現像ローラ11とトナー供給ローラ12との間に生じた電位差により、負に帯電したトナー17は、現像ローラ11に供給される。
該現像ローラ11の表面に担持されたトナー17は、現像ブレード用電源47により−330〔V〕の直流電圧が印加された現像ブレード15によって、薄層化される。
また、帯電ローラ14には、帯電ローラ用電源46により−1050〔V〕の直流電圧が印加される。これにより、感光体ドラム13の表面が一様に帯電される。
そして、LEDヘッド26の露光によりって感光体ドラム13上に形成された静電潜像に、現像ローラ11が担持するトナー17が供給され、前記静電潜像が現像される。
感光体ドラム13に供給されなかった現像ローラ11上のトナー17は、トナー供給ローラ12の対向部において、トナー供給ローラ12によって掻き取られる。
次に、本実施の形態における効果を確認するために本発明の発明者が行った印刷試験について説明する。
図8は本発明の実施の形態における連続印刷パターンを示す図、図9は本発明の実施の形態におけるベタパターンの濃度測定位置を示す図、図10は本発明の実施の形態におけるハーフトーンパターンの印刷における汚れの発生を示す図、図11は本発明の実施の形態における現像ローラ表面にトナーフィルミングが発生したときのベタパターンを示す図である。
本発明の発明者は、本実施の形態における効果を確認するために、図2に示されるような画像形成装置10と同様の構成の実機を使用し、前述のように現像装置20を動作させて、A4用紙縦方向印刷で30000枚の連続印刷試験を行った。
該連続印刷試験の条件は、次の(a)〜(d)の通りである。
(a)印刷速度:A4縦方向40〔ppm〕
(b)1日の連続印刷枚数:3000枚(連続印刷試験を10日間行い、計30000枚を印刷した。)
(c)連続印刷時の印刷パターン:図8に示されるように、記録媒体21の印刷方向、すなわち、現像ローラ11の周方向に平行な罫(けい)線71a及び71bを配したパターン
(d)試験環境:温度20〔℃〕、相対湿度50〔%〕
効果を確認するための指標、及び、効果ありと判定する判定基準は、次の(1)〜(6)の通りである。
(1)指標:30000枚印刷後のトナー供給ローラ12の磨耗量
判定基準:トナー供給ローラ12の外径の減少量0.2〔mm〕以下
(2)指標:3000枚印刷開始前の現像ローラ11上のトナー層電位に対する3000枚印刷終了後のトナー層電位の上昇量
判定基準:トナー層電位上昇量の10日間の平均値が10〔V〕以下
(3)指標:3000枚印刷開始前の現像ローラ11上のトナー付着量に対する3000枚印刷終了後のトナー付着量の上昇量
判定基準:トナー付着量の上昇量の10日間の平均値が0.05〔mg/cm2 〕以下
(4)指標:3000枚印刷開始前と印刷終了後とにベタパターンを印刷したときの、用紙先端と用紙後端とのベタ濃度の差
判定基準:(用紙先端ベタ濃度−用紙後端ベタ濃度)の値の10日間の平均値が0.10以下
(5)指標:3000枚印刷開始前と印刷終了後とに、ハーフトーンパターンを印刷したときの「汚れ」の発生の有無
判定基準:ハーフトーンパターンの印刷において「汚れ」が一度も発生しない
(6)指標:30000枚印刷後の現像ローラ11上におけるトナーフィルミングの発生の有無
判定基準:ベタパターンの印刷において、現像ローラ11上にトナーフィルミングの発生が確認されない
ベタ濃度の測定には、X−Rite528(エックスライト社製)を使用した。図9に示されるようなベタパターン72において、用紙先端ベタ濃度は、記録媒体21の先端の3つの箇所73における測定値の平均値とし、用紙後端ベタ濃度は、記録媒体21の後端の3つの箇所74における測定値の平均値とした。ベタ濃度の差0.10を(4)の判定基準の閾(しきい)値としたのは、ベタ濃度の差が0.10以下であれば、トナー供給ローラ12のトナー供給性に起因する残像が目立たず、現像ローラ11に対して適切なトナー供給が行われている、と判断することができるからである。
(2)及び(3)の指標は、現像ローラ11上の図1においてAで示される点のトナー層、すなわち、現像ブレード15により層規制されたトナー層について測定される。トナー層電位の上昇量及びトナー付着量の上昇量が判定基準より大きくなると、「汚れ」が発生しやすい状態となる。
ハーフトーンの印刷で発生する汚れとは、図10に示される汚れ76に示すようなもので、現像ローラ11上のトナー層電位の上昇及びトナー付着量の上昇により、感光体ドラム13上の非露光部にトナー17が供給されて現像する現象である。図10に示されるようなハーフトーンパターン75の場合、感光体ドラム13上の静電潜像において露光部と非露光部とが規則的に配列されるため、その境界部は、帯電が高くなったトナー17によって現像されやすくなる。したがって、ハーフトーンパターン75の印刷で発生する汚れは、白地に発生する地汚れよりも高感度に検出することができる。
現像ローラ11上におけるトナーフィルミングの発生は、図11に示されるようなベタパターン77により確認することができる。
連続印刷時に、罫線71a及び71bを印刷する場合、現像ローラ11上における罫線71a及び71bに対応する部分では、未現像のトナー17がほとんど残らないため、トナーフィルミングは発生しないことになる。一方、現像ローラ11上における罫線71a及び71b以外に対応する部分では、トナー17による現像が全く行われないため、トナー供給ローラ12による未現像のトナー17の掻き取り性が低いと、トナー17が滞留し続けることとなり、トナーフィルミングが発生する。
現像ローラ11の表面にトナーフィルミングが発生しない場合には、図9に示されるように、均一なベタパターン72を印刷することができる。一方、現像ローラ11の表面にトナーフィルミングが発生した場合、図11に示されるように、罫線71a及び71b以外に対応する部分のベタパターン77の印刷濃度は、トナーフィルミングに起因する現像ローラ11の表面の抵抗値上昇に伴う現像効率の低下によって、罫線71a及び71bを印刷していた部分78a及び78bの印刷濃度より薄くなる。
前記印刷試験、すなわち、連続印刷試験においては、連続印刷後のベタパターンの印刷において、罫線71a及び71bを印刷していた部分78a及び78bと罫線71a及び71b以外に対応する部分のベタパターン77との濃度差を目視で確認できなかった場合は、トナーフィルミングは発生していないと判定し、前記濃度差を目視で確認できた場合は、トナーフィルミングが発生していると判定した。
また、前記印刷試験、すなわち、連続印刷試験を行って上記(1)〜(6)の判定基準すべてを満たす場合、現像ローラ11及びトナー供給ローラ12は、長期に亘る性能安定性に対して効果があるとみなした。
次に、前記印刷試験、すなわち、連続印刷試験において使用した現像ローラ11について説明する。
図12は本発明の実施の形態における負荷長さ率tp を説明する図、図13は本発明の実施の形態における凹凸の平均間隔Sm と負荷長さ率tp との関係を示す図、図14は本発明の実施の形態における実施例1〜実施例11の試験結果を示す表、図15は本発明の実施の形態における比較例1〜比較例9の試験結果を示す表である。
連続印刷試験において使用した現像ローラ11の表面粗さは、十点平均粗さRz(JIS B0601−1994)が4〔μm〕程度となるようにした。なお、前記現像ローラ11の表面組さは、弾性層67を研磨することにより実現した。該弾性層67の研磨は、湿式で行い、耐水研磨ペーパ、例えば、耐水性のサンドペーパを用い、これに研磨液を供給しながら、ロールを回転させた状態で当接させて行った。それにより、前記現像ローラ11の表面は、周方向に微細な縦溝が多数形成されたような形状となる。
また、前記現像ローラ11の表面粗さの形状を表す指標として、ここでは、負荷長さ率tp (JIS B0601−1994)に着目した。
図12に示されるように、負荷長さ率tp (C〔%〕)は、ある切断レベルCで粗さ曲線を切断したときの、切断部分長さの測定長さLに対する百分率であり、式(1)で表される。このとき、切断レベルCは、粗さ曲線の最高山頂が0〔%〕、最深谷底が100〔%〕となり、切断レベル0〔%〕のときの負荷長さ率tp (0〔%〕)は0〔%〕、切断レベル100〔%〕のときの負荷長さ率tp (100〔%〕)は100〔%〕となる。
このように、負荷長さ率tp は、粗さ曲線の山の幅(谷の幅)と粗さの高さ方向の情報を含んでいるので、表面粗さの範囲規定には有用である。
具体的には、粗さ曲線の山の部分が尖(とが)った形状のときは、切断レベルCが10〜30〔%〕のときの負荷長さ率tp (10〔%〕)〜tp (30〔%〕)の値は小さくなる傾向がある。また、粗さ曲線の谷の部分の幅が広いときは、切断レベルCが70〜90〔%〕のときの負荷長さ率tp (70〔%〕)〜tp (90〔%〕)の値は小さくなる傾向がある。そして、切断レベルC1〜C2〔%〕の範囲で、負荷長さ率の変化量tp (C2)−tp (C1)が大きいと、切断レベルC1〜C2〔%〕の間で、粗さ曲線の傾きが緩やかな部分があることを意味する。
トナー供給ローラ12による現像ローラ11上の未現像のトナー17の掻き取り性と、現像ローラ11の表面粗さ形状との関係については、粗さ曲線の谷の幅が狭い方が、掻き取り性が低下する傾向にあり、逆に、粗さ曲線の谷の幅が広い方が、掻き取り性が向上する傾向にある。現像ローラ11上の未現像のトナー17の掻き取り性が低下すると、現像ローラ11に当接する部材からの負荷が未現像のトナー17にかかり続けるため、現像ローラ11の表面にトナーフィルミングが発生しやすくなる。
一方、現像ローラ11の粗さ曲線の谷の幅が広い場合は、現像ローラ11が担持することができるトナー17の量が少なくなり、トナー17の1粒子当たりにかかる負荷が大きくなるため、トナーフィルミングが発生しやすくなる傾向がある。
以上のことから、負荷長さ率tp は、トナー供給ローラ12による現像ローラ11上のトナー17の掻き取り性を適正化させるために把握しておくべき指標である。
また、負荷長さ率tp とともに、JIS B0601−1994で規定される凹凸の平均間隔Sm に着目すると、表面粗さ形状をより正確に把握することができる。
図13において、プロファイル2は、プロファイル1の横方向の倍率を0.5倍にして、それを2つ連ねたものである。この場合、プロファイル1とプロファイル2の負荷長さ率tp は、全く同じとなる。それに対して、プロファイル2の凹凸の平均間隔Sm は、プロファイル1の半分となる。
凹凸の平均間隔Sm の大きさに応じて、トナー供給ローラ12によるトナー17の掻き取り性は異なる。凹凸の平均間隔Sm が小さくなると、表面粗さ形状の谷の部分が狭くなるので、掻き取り性が低下し、現像ローラ11表面にトナーフィルミングが発生しやすくなる。一方、凹凸の平均間隔Sm が大きくなると、表面粗さ形状の山/谷の勾配が緩やかになるので、現像ローラ11によるトナー17の搬送量が低下し、印刷濃度の確保が難しくなる。
以上のことから、本実施の形態においては、凹凸の平均間隔Sm が0.05〜0.20〔mm〕となるようにした。
前記連続印刷試験では、研磨時における研磨ペーパの番手、ローラ回転速度、研磨ペーパのローラに対する押し込み量等を調整して、負荷長さ率tp 、凹凸の平均間隔Sm を変量させた現像ローラ11を使用した。
前記連続印刷試験において実験例として使用した現像ローラ11の周方向の負荷長さ率tp 、凹凸の平均間隔Sm 、十点平均粗さRzは、図14及び15の表に示すとおりである。ここでは、前記実験例のうちで、ベタパターンの印刷において、現像ローラ11の表面にトナーフィルミングが発生せずに良好な結果が得られたものを実施例1〜11とし、その他のものを比較例1〜9とした。
なお、表面粗さの測定は、サーフコーダSEF3500(小坂研究所製)を用いて行い、測定方向はローラ周方向、測定器の触針半径は2〔μm〕、触針圧は0.7〔mN〕、触針の送り速さは0.1〔mm/sec〕、測定長さは4.0〔mm〕、カットオフ値は0.8〔mm〕とした。
次に、連続印刷試験において使用したトナー供給ローラ12について説明する。
図16は本発明の実施の形態におけるコート層がないトナー供給ローラの表面拡大図、図17は本発明の実施の形態における表面にコート層を設けたトナー供給ローラの表面拡大図、図18は本発明の実施の形態における切断レベルと負荷長さ率の関係を示す図である。
まず、実施例1、実施例4及び実施例7について説明する。
発泡弾性層62を形成するゴム組成物として、負荷反応型発泡導電性シリコーンゴム組成物を使用した。すなわち、ビニル基含有シリコーン生ゴムとシリカ系充填剤とを含み、導電性付与剤を含まないシリコーン発泡ゴム組成物「KE−904FU」(信越化学工業社製:商品名)70質量部と、導電性付与剤「KE−87C40PU」(信越化学工業社製:商品名)30質量部と、付加反応架橋剤「C−153A」(信越化学工業社製:商品名)2質量部と、発泡剤アゾビスーイソブチロニトリル5質量部と、付加反応触媒としての白金触媒0.45質量部と、反応制御剤「R−153A」(信越化学工業社製:商品名)0.5質量部と、有機過酸化物架橋剤「C−3」(信越化学工業社製:商品名)とを十分に混練して付加反応型発泡導電性シリコーンゴム組成物を調製した。
芯金61をトルエンで洗浄し、プライマーを塗布した。プライマー処理した芯金61を150〔℃〕の温度で焼成処理した後、常温にて冷却し、プライマー層を形成した。次に、プライマー層を形成した芯金61と調整した付加反応型発泡導電性シリコーンゴム組成物とを押出成形機にて一体分出し、次いで、260〔℃〕で10分間加熱して発泡架橋させた。その後、200〔℃〕で4時間に亘って発泡架橋後の付加反応型発泡導電性シリコーンゴム組成物を二次過熱し、常温にて放置した。次に、発泡硬化した発泡架橋後の付加反応型発泡導電性シリコーンゴム組成物を、所望の外径になるよう研磨した。
このとき、トナー供給ローラ12の表面を拡大観察すると、図16に示されるように、セル開口部69と、セルとセルとの間にあるいわゆるセル壁(発泡弾性層62の弾性体そのもの)とを確認することができる。
また、シリコーンコート層63は、メチルフェニル系シリコーンレジン及び導電性付与剤を含有している。シリコーンコート層63が、メチルフェニル系シリコーンレジンを含有していると、トナー供給ローラ12に要求される帯電特性を効果的に発揮することができる。シリコーンコート層63に含有されるメチルフェニル系シリコーンレジンは、ケイ素原子に結合する有機基としてメチル基及びフェニル基を含有するメチルフェニルシリコーンレジンであればよく、メチル基及びフェニル基が同一のケイ素原子に結合したメチルフェニル系シリコーンレジン等を用いることができる。
本実施例においては、メチルフェニル系シリコーンレジン「KR−271」(信越化学工業社製:商品名)100質量部と、導電付与剤であるカーボンブラック「ECP600JD」(ライオン社製:商品名)5質量部と、硬化剤である「CAT−AC」(信越化学工業社製:商品名)1質量部と、希釈剤である「KF96」(信越化学工業社製:商品名)55質量部とを混合して調製したレジン組成物を、発泡弾性層62の外周面にディッピングで塗布し、150〔℃〕で3時間に亘って加熱硬化して、シリコーンコート層63を形成した。
このとき、トナー供給ローラ12の表面を拡大観察すると、図17に示されるように、セル開口部69と、セル壁の上に塗布されたシリコーンコート層63aと、セル開口部69を埋める形で形成したシリコーンコート層63bとを確認することができる。なお、セル70の壁の上に塗布されたシリコーンコート層63aと、セル開口部69を埋める形で形成したシリコーンコート層63bとは、連続した一体のシリコーンコート層63を形成している。つまり、前記シリコーンコート層63の少なくとも一部は、セル開口部69に進入している。
実施例1において、試験前のトナー供給ローラ12の外周面における任意の5箇所の2〔mm〕×2〔mm〕=4〔mm2 〕の領域(図17を参照)をデジタルマイクロスコープで観察し、前記領域内に存在する各セル開口部69の面積を測定した。セル開口部69の占有面積割合は、5箇所の平均値で35〔%〕であった。また、トナー供給ローラ12のアスカーF硬度は、58度であった。
次に、実施例2、実施例5及び実施例8について説明する。
シリコーンコート層63の組成物である希釈剤の量を80質量部にした以外は、実施例1と同様の組成とした。セル開口部69の占有面積割合は、5箇所の平均値で58〔%〕であった。また、トナー供給ローラ12のアスカーF硬度は55度であった。
次に、実施例3、実施例6及び実施例9について説明する。
シリコーンコート層63の組成物である希釈剤の量を150質量部にした以外は、実施例1と同様の組成とした。セル開口部69の占有面積割合は、5箇所の平均値で85〔%〕であった。また、トナー供給ローラ12のアスカーF硬度は53度であった。
次に、実施例10、実施例11、比較例5、比較例6及び比較例7について説明する。
シリコーンコート層63の組成物である希釈剤の量を75質量部にした以外は、実施例1と同様の組成とした。セル開口部69の占有面積割合は、5箇所の平均値で56〔%〕であった。また、トナー供給ローラ12のアスカーF硬度は56度であった。
次に、比較例1及び比較例3について説明する。
シリコーンコート層63の組成物である希釈剤の量を50質量部にした以外は、実施例1と同様の組成とした。セル開口部69の占有面積割合は、5箇所の平均値で30〔%〕であった。また、トナー供給ローラ12のアスカーF硬度は59度であった。
次に、比較例2及び比較例4について説明する。
シリコーンコート層63の組成物である希釈剤の量を170質量部にした以外は、実施例1と同様の組成とした。セル開口部69の占有面積割合は、5箇所の平均値で88〔%〕であった。また、トナー供給ローラ12のアスカーF硬度は53度であった。
次に、比較例8について説明する。
シリコーンコート層63を設けない以外は、実施例1と同様の組成とした。セル開口部69の占有面積割合は、5箇所の平均値で89〔%〕であった。また、トナー供給ローラ12のアスカーF硬度は54度であった。
次に、比較例9について説明する。
発泡弾性層62の組成物である発泡剤の添加量を減量した以外は、比較例8と同様の組成とした。セル開口部69の占有面積割合は、5箇所の平均値で77〔%〕であった。また、トナー供給ローラ12のアスカーF硬度は60度であった。
以上のトナー供給ローラ12を使用して、前記連続印刷試験を行った結果が図14及び15の表に示されている。これらの表においては、前記判定基準をすべて満たし、現像ローラ11へのトナー17の供給量、及び、現像ローラ11に供給されるトナー17の帯電特性が、連続印刷の前後で大きく変化せず、かつ、現像ローラ11の表面のトナーフィルミングの発生を抑制する効果があったものを「○」、一つでも基準を満たさず効果として不十分だったものを「×」と記した。
図14及び15の表に示される結果より、現像ローラ11へのトナー17の供給量、及び、現像ローラ11に供給されるトナー17の帯電特性が、連続印刷の前後で大きく変化せず、かつ、現像ローラ11の表面にトナーフィルミングが発生しなかった実施例1〜実施例11は、以下の〈1〉〜〈4〉の条件を満たすことが分かった。
〈1〉トナー供給ローラ12にシリコーンコート層63が設けられている。
〈2〉トナー供給ローラ12の表面におけるセル開口部69の占有面積割合が35〜85〔%〕である。
〈3〉現像ローラ11の表面粗さの負荷長さ率tp (40〔%〕)が8〜20〔%〕であり、負荷長さ率tp (60〔%〕)が30〜50〔%〕である。
〈4〉現像ローラ1の表面粗さの凹凸の平均間隔Sm が0.05〜0.20〔mm〕である。
トナー供給ローラ12にシリコーンコート層63を設けなかった比較例8及び比較例9では、シリコーンコート層63を設けた他の実施例及び比較例に比べ、トナー供給ローラ12の磨耗量が大きくなった。また、トナー層電位及びトナー付着量の上昇量が大きく、ハーフトーンパターン75の印刷において、汚れが発生した。
比較例1及び比較例3では、トナー供給ローラ12のセル開口部69の占有面積割合が30〔%〕と小さかった分、現像ローラ11に接触するトナー供給ローラ12の面積が大きくなる。それにより、トナー供給ローラ12との対向部において、現像ローラ11上のトナー17にかかる機械的負荷が大きくなり、トナーフィルミングが発生した。また、トナー供給ローラ12が担持することができるトナー17の量が減り、ベタパターン72の印刷において用紙先端ベタ濃度と用紙後端ベタ濃度との濃度差が大きくなった。
比較例2及び比較例4では、シリコーンコート層63の層厚が薄かったことから、耐磨耗性に対する効果が不十分であった。
比較例5、比較例6及び比較例7では、現像ローラ11の表面にトナーフィルミングが発生した。
図18は、実施例2、実施例5、実施例8、比較例5、比較例6及び比較例7での現像ローラ11の切断レベルCに対する負荷長さ率tp をグラフ化したものである。
実施例2、実施例5、実施例8、比較例5、比較例6及び比較例7でのトナー供給ローラ12のセル開口部69の占有面積割合及びアスカーF硬度は、ほぼ同等である。
現像ローラ11の表面にトナーフィルミングが発生した比較例5、比較例6及び比較例7に対して、トナーフィルミングが発生しなかった実施例2、実施例5及び実施例8での負荷長さ率tp の値は、ある領域(数値範囲)に分布が集中している。具体的には、負荷長さ率tp (40〔%〕)が8〜20〔%〕、負荷長さ率tp (60〔%〕)が30〜50〔%〕である場合に、トナーフィルミングの抑制に対して効果が見て取れる。これは、現像ローラ11の表面粗さ形状を適正化することによって、トナー供給ローラ12によるトナー17の掻き取り性が向上したことを意味している。
また、負荷長さ率tp (40〔%〕)が8〜20〔%〕、負荷長さ率tp (60〔%〕)が30〜50〔%〕という条件を満たし、かつ、凹凸の平均間隔Sm が0.05〔mm〕である実施例10、及び、凹凸の平均間隔Sm が0.20〔mm〕である実施例11においても、効果が確認されたことから、凹凸の平均間隔Sm が0.05〜0.20〔mm〕であれば、効果が得られることも分かった。
トナー供給ローラ12にシリコーンコート層63を設けることにより、連続印刷の前後で、現像ローラ11上のトナー層電位とトナー17の付着量の変化を抑制することができたが、それにより、印刷濃度と現像ローラ11上のトナーの付着量を最適化するための制御が容易になる、という効果も得られる。
例えば、比較例1〜9のように、用紙先端ベタ濃度と用紙後端ベタ濃度との濃度差が大きい場合であっても、現像ローラ11に印加する電圧とトナー供給ローラ12に印加する電圧との差を大きくして、現像ローラ11へのトナー17の供給量を増やしつつ、現像ローラ11に印加する電圧を下げて現像効率を低下させることにより、一時的に用紙先端ベタ濃度と用紙後端ベタ濃度との濃度差を小さくすることは、制御上可能ではある。
しかしながら、現像ローラ11上のトナー17の付着量が多い状態で、現像効率を低くすると、現像ローラ11上の未現像のトナー17量が増えることになる。そして、このような状態で使用し続けると、汚れや、現像ローラ11のトナーフィルミングが発生しやすくなる。
それに対して、実施例1〜11のようなトナー供給ローラ12を用いれば、現像ローラ11上のトナー17の付着量が安定し、かつ、用紙先端ベタ濃度と用紙後端ベタ濃度との濃度差も小さいことから、現像ローラ11とトナー供給ローラ12とに印加する電圧の調整幅を広げずに済み、また、調整頻度も少なくて済む。
なお、試験前におけるシリコーンコート層63の層厚は、断面の拡大観察の結果、実施例3において、約15〔μm〕であった。それに対し、試験後のトナー供給ローラ12の外径の減少量は、0.14〔mm〕であった。つまり、トナー供給ローラ12の弾性体部の肉厚が70〔μm〕磨耗したことになる。したがって、試験前に外周面に存在していたシリコーンコート層63は、試験後には、磨耗により消失したことになる。しかしながら、磨耗していくうちに、セル70の内部に進入していたシリコーンコート層63、すなわち、セル開口部69を埋める形で形成したシリコーンコート層63bが、トナー供給ローラ12の外周面に出現することによって、磨耗の促進を抑制しつつ、トナー17の供給の安定性を維持することができていた。
このように、本実施の形態においては、静電潜像担持体としての感光体ドラム13上に、現像剤であるトナー17を供給するための現像剤担持体としての現像ローラ11と、該現像ローラ11へのトナー17の供給を行うトナー供給ローラ12とを有する現像装置20において、前記トナー供給ローラ12は、発泡弾性層62と、該発泡弾性層62の外周面を覆うシリコーンコート層63とを有し、前記発泡弾性層62の外周面における前記セル開口部69の占有面積割合が35〜85〔%〕であり、前記現像ローラ11の表面の周方向の粗さが以下の条件(A)〜(C)を満足する。
(A)凹凸の平均間隔Sm =0.050〜0.200〔mm〕
(B)負荷長さ率tp (40〔%〕):8〜20〔%〕
(C)負荷長さ率tp (60〔%〕):30〜50〔%〕
これにより、トナー供給ローラ12の耐磨耗性を向上させつつ、長期に亘る画像品質の安定性をも向上させることができる。
より好ましくは、前記発泡弾性層62はシリコーンゴムから成る。また、前記シリコーンコート層63はメチルフェニル系シリコーンレジン及び導電剤を含有する。さらに、シリコーンコート層63の少なくとも一部は、セル開口部69に進入している。さらに、トナー供給ローラ12は、アスカーF硬度が53〜58度である。
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。