以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明は本発明の一具体例であって、本発明は以下の態様に限定されるものではない。また、本発明は、各図に示す各構成要素の配置や寸法、寸法比などについても、それらに限定されるものではない。説明は以下の順序で行う。
1.一実施の形態
発泡弾性層と被覆層とを含むトナー供給ローラを有する画像形成ユニットおよび画像形成装置。
2.実施例
3.変形例
<1.一実施の形態>
[現像装置11の構成]
図1は、本発明の一実施の形態に係る現像装置11の概略構成例を表す模式図である。現像装置11は、トナーGを用いてトナー像を形成するものであり、例えば用紙などの記録媒体(印刷媒体、転写材ともいう。)に対して画像(例えばカラー画像)を形成する電子写真方式の画像形成装置に搭載される。現像装置11は、本発明の「現像装置」に対応する一具体例である。
(トナーG)
トナーGは、例えば非磁性を有する一成分からなる負帯電性のトナーであり、結着樹脂を含有するトナー母粒子に無機微粉体または有機微粉体などの外添剤が添加されたものである。結着樹脂としては、例えばポリエステル樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、またはスチレン−ブタジエン系樹脂などが好ましい。この結着樹脂には、離型剤および着色剤が添加される。このうち、着色剤の色を適宜選択することにより、現像装置11が形成するトナー像の色を変更することができるようになっている。結着樹脂には、さらに、帯電制御剤、導電性調整剤、流動性向上剤、およびクリーニング性向上剤などの添加剤が適宜添加されていてもよい。
結着樹脂は複数の種類を混合した樹脂でもよく、例えば複数の非晶性ポリエステル系樹脂に、結晶性ポリエステル樹脂を混合したものであってもよい。また、外添剤は、例えばシリカや酸化チタンなどである。なお、トナーGは、本発明の「現像剤」に対応する一具体例である。
離型剤としては、例えば低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、オレフィンの共重合物、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュ(Fischer-Tropsch)ワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックス、酸化ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、脂肪族炭化水素系ワックスおよび脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物の共重合物、カルナバワックス、モンタン酸エステルワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類、または、脱酸カルナバワックスなどの脂肪酸エステル類を一部もしくは全部脱酸化したもの、などが挙げられる。但し、離型剤は上記のものに限定されない。そのうえ、離型剤として複数種のワックスを併用してもよい。また、トナーGにおける離型剤の含有量は、例えば結着樹脂100重量部に対して0.1重量部〜20重量部程度であり、特に結着樹脂100重量部に対して0.5重量部〜12重量部であることが好ましい。
着色剤としては、例えばカーボンブラック、酸化鉄、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン−Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ピグメントブルー15:3、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、またはジスアゾイエローなどが挙げられる。トナーGでは、上述の着色剤を単独で使用し、もしくは複数種の着色剤を併用してもよい。また、トナーGにおける着色剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して2〜25重量部程度であり、特に結着樹脂100重量部に対して2〜15重量部であるとよい。
帯電制御剤としては、例えばアゾ系錯体帯電制御剤、サリチル酸系錯体帯電制御剤、カリックスアレン系帯電制御剤などが挙げられる。トナーGにおける帯電制御剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して0.05重量部〜15重量部程度であり、特に0.1重量部から10重量部であるとよい。
トナーGに用いられる外添剤は、トナーGにおける環境安定性、帯電安定性、現像性、流動性および保存性の向上を目的として添加される。トナーGにおける外添剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して0.01重量部から10重量部程度であり、特に結着樹脂100重量部に対して0.05重量部〜8重量部であるとよい。
現像装置11は、現像ローラ1と、トナー供給ローラ2と、感光ドラム3と、帯電ローラ4と、現像ブレード5と、クリーニングブレード6と、トナーGと、攪拌部材7A〜7Cと、トナー収容部8と、ケーシング9と、LED(Light Emitting Diode)ヘッド10とを有する。
トナー収容部8は、その内部にトナーGを収容する容器であり、その下部にトナー排出口8Kを有する。トナー収容部8は、ケーシング9の上部に装着される。
ケーシング9は、その内部にトナーGが通過する内部空間9Aを有する。ケーシング9は、トナー収容部8のトナー排出口8Kと対向する位置にトナー投入口9Kを有しており、トナー収容部8からトナーGが供給されるようになっている。内部空間9Aには、ケーシング9は、現像ローラ1、トナー供給ローラ2、感光ドラム3、帯電ローラ4、現像ブレード5、クリーニングブレード6および攪拌部材7A〜7Cが収容されている。
攪拌部材7A〜7Cは、それぞれ、例えばクランク状をなす回転部材であり、トナー投入口からケーシング9の内部空間9Aへ投入されたトナーGを攪拌するものである。攪拌部材7A〜7Cは、例えば図1中において矢印で示したように、いずれも同方向に回転(図1では右回転)するようになっている。
現像ローラ1は、トナーGを担持して感光ドラム3にトナーGを供給すると共に、感光ドラム3の表面に担持された静電潜像にトナーGを現像する部材である。現像ローラ1は、その表面1Sが感光ドラム3の表面と接触して対向配置されている。現像ローラ1は、感光ドラム3に対し例えば0.8mm食い込むように配置されている。現像ローラ1は、例えば、芯金と、その芯金の外周(表面)を覆う弾性層と、その弾性層を覆う表面層とを有している。現像ローラ1の芯金は、良好な導電性を有し、例えば鉄(Fe),アルミニウム(Al)またはステンレス鋼などを含む金属材料からなる。また、現像ローラ1の弾性層は、55度以上80度以下のアスカーC硬度を有することが望ましい。現像ローラ1の弾性層におけるアスカーC硬度が55度未満であると、例えば現像装置11を長期間に亘って動作させない場合に、現像ローラ1における、感光ドラム3との当接面および現像ブレード5との当接面に凹みが生じ、印刷画像に媒体幅方向に延びるすじ状の模様が発生してしまうおそれがあるからである。現像ローラ1の弾性層におけるアスカーC硬度が80度を超えると、現像ローラ1にかかる機械的負荷が大きくなるので、現像ローラ1の表面1Sにトナーフィルミング(トナーが溶融して付着する現象)が発生しやすくなるからである。
現像ローラ1の弾性層の構成材料としては、例えばシリコーンゴムやウレタンなどの一般的なゴム材料が用いられる。具体的には、ポリエーテル系ポリオールおよび脂肪族系イソシアネートをベースポリマーとしたものが挙げられ、特に、エーテル系ポリウレタンが好ましい。圧縮永久歪みを小さくするためである。エーテル系ポリウレタンは、ポリエーテル系ポリオールとポリイソシアネートとを反応させることにより得られる、いわゆる注型用ポリウレタンである。一方、エステル系ポリウレタンは加水分解特性に起因して長期信頼性に欠けるので、現像ローラ1の弾性層の構成材料としては不適である。
現像ローラ1の弾性層の構成材料としてポリウレタンを用いる場合、ポリオールと反応させるイソシアネートとしては、例えばトリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニール)チオホスフェート、ビシクロヘプタントリイソシアネートなどの3官能イソシアネート単体、ヘキサメチレンジイソシアネートのネレート変性ポリイソシアネート、およびポリメリックMDIなどを用いることができる。また、3官能以上のポリイソシアネートと、一般的な2官能イソシアネート化合物との混合物を用いてもよい。2官能イソシアネート化合物としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、3,3−ジメチルジフェニル−4,4−ジイソシアネート(TODI)、およびこれらのイソシアネートを両末端に有するプレポリマー等の変性体もしくは多量体などが挙げられる。
現像ローラ1の弾性層は、その抵抗値を調整するために、導電剤として例えばアセチレンブラックやケッチェンブラックなどのカーボンブラックを含有していてもよい。
さらに、現像ローラ1の表面層は、弾性層の表層部に表面処理液を含浸させて形成することができる。表面処理液は、有機溶媒に少なくともイソシアネート成分を溶解させたものである。有機溶媒としては、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸ペンチルなどが挙げられる。このような有機溶媒を用いる場合、例えば表面処理液に含まれるイソシアネート成分として、2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)や4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)などのイソシアネート化合物、およびそれらのイソシアネートを両末端に有するプレポリマー等の変性体もしくは多量体などを用いることができる。
現像ローラ1の弾性層の表層部に含浸させる表面処理液には、ポリエーテル系ポリマーを含有させてもよい。このポリエーテル系ポリマーとしては、有機溶剤に可溶であることが好ましく、活性水素を有すると共にイソシアネート化合物と反応して化学的に結合可能なものが好ましい。活性水素を有する公的なポリエーテル系ポリマーとしては、水酸基またはアリル基を有するポリマーが挙げられ、例えば末端イソシアネートプレポリマーに用いるポリオールやグリコールなどが挙げられる。
また、上記の表面処理液には、アクリルフッ素系ポリマーおよびアクリルシリコーン系ポリマーから選択されるポリマーを含有させてもよい。これらのアクリルフッ素系ポリマーおよびアクリルシリコーン系ポリマーは、所定の溶剤に可溶であってイソシアネート化合物と反応して化学的に結合可能なものである。アクリルフッ素系ポリマーは、例えば水酸基、アルキル基、またはカルボキシル基を有し、溶剤可溶性であり、例えばアクリル酸エステルとアクリル酸フッ化アルキルとのブロックコポリマー、あるいはその誘導体である。また、アクリルシリコーン系ポリマーは溶剤可溶性のシリコーン系ポリマーであり、例えばアクリル酸エステルとアクリル酸シロキサンエステルとのブロックコポリマー、あるいはその誘導体である。さらに、上記表面処理液には、導電性付与剤として、さらにアセチレンブラックなどのカーボンブラックを添加してもよい。
上記の表面処理液において、イソシアネート成分に対するポリエーテル系ポリマー、アクリルフッ素系ポリマーおよびアクリルシリコーン系ポリマーの総量は10質量%以上70質量%以下であることが望ましい。10質量%未満であるとカーボンブラック等を表面処理液中に保持する効果が小さい。一方、70質量%を超えると、電気抵抗値が高すぎたり、相対的にイソシアネート成分が少なくなることにより有効な表面層を形成しにくくなったりする。
現像ローラ1の表面層は、弾性層の表層部分に上記の表面処理液を含浸させることにより塗布したのち、乾燥および硬化させることにより形成される。
現像ローラ1の電気抵抗値は、例えば芯金への印加電圧を−100Vとしたときに1×104Ω以上1×107Ω以下であり、特に1×106Ω程度であることが望ましい。なお、現像ローラ1の電気抵抗値は、例えば、芯金への印加電圧を−100Vとすることを除き、後述するトナー供給ローラ2の電気抵抗値の測定方法(後出の図4Aおよび図4Bを参照)と実質的に同じ測定方法により、求めることができる。
この例では、現像ローラ1は図1に矢印で示したように左回りで回転(感光ドラム3とは逆方向に回転)するようになっている。なお、現像ローラ1は本発明における「現像剤担持体」の一具体例に対応する。
感光ドラム3は横方向に延びる円柱状の部材であり、その表面(表層部分)に静電潜像を担持する静電潜像坦持体として機能する。この例では、感光ドラム3は図1に矢印で示したように右回りで回転するようになっている。なお、感光ドラム3は本発明の「像担持体」の一具体例に対応し、静電潜像は本発明の「潜像」の一具体例に対応する。
トナー供給ローラ2は、現像ローラ1の表面1Sと当接する表面2Sを有し、現像ローラ1へトナーGを供給する「現像剤供給部材」として機能するものである。図2は、トナー供給ローラ2を表す断面図であり、図3は、その一部を拡大して表す断面図である。図2に示したように、トナー供給ローラ2は、例えば、芯金21と、その芯金21の外周面(表面)を覆う発泡弾性層22との2層構造を有している。発泡弾性層22は、例えば2mm〜20mm程度の厚さの単層構造により構成されている。なお、この例では、トナー供給ローラ2は図1に矢印で示したように左回りで回転(現像ローラ1と同方向に回転)するようになっている。また、現像ローラ1に対するトナー供給ローラ2の押し込み量は、0.6mm以上1.3mm以下であることが望ましい。押し込み量とは、現像剤担持体の半径と現像剤供給部材の半径との和(mm)をRとし、現像剤担持体の回転中心と現像剤供給部材の回転中心との距離(mm)をrとしたとき、(R−r)で表される値である。すなわち、現像ローラ1とトナー供給ローラ2とは、以下の条件式(1)を満たすように構成されているとよい。
0.6mm≦(R−r)≦1.3mm ……(1)
芯金21は、良好な導電性を有し、例えば鉄(Fe),アルミニウム(Al)、SUM材またはステンレス鋼などを含む金属材料からなる。
発泡弾性層22の構成材料としては、例えば内部にセル(空隙)22Aを複数含む発泡弾性材料、例えば発泡シリコーンゴムや発泡ウレタンなどのゴム材料が用いられる。発泡弾性層22は、複数のセル22Aが互いに接したり連通したりすることなく独立した状態(独立セル状態)にあることが望ましい。但し、発泡弾性層22は、複数のセル22Aが互いに連通した状態(連通セル状態)にあってもよいし、独立セル状態と連通セル状態とが混在した状態にあってもよい。また、発泡弾性層22のアスカーF硬度は例えば40度以上70度以下であることが望ましく、40度以上50度以下であることがより望ましい。図3に示したように、発泡弾性層22の表面2Sには、複数のセル22Aのうちの一部のセル22Aにおける開口部22Kが露出している。ここで、発泡弾性層22の表面2Sにおけるセル22Aの平均径は324μm以上402μm以下であるとよい。なお、このセル22Aの平均径は、例えば発泡弾性層22の任意の切断面において2mm四方の領域(4mm2の面積を有する領域)をディジタルマイクロスコープにより観察し、その領域内における複数の開口の各々の最大長さを測定し、平均することで求めることができる。また、発泡弾性層22の表面2Sの面積のうち開口部22Kが占める面積の占有率は、例えば75%以上90%以下であることが望ましい。さらに、表面2Sにおけるセル22Aの存在密度は、例えば6個/mm2以上15個/mm2以下であるとよい。
発泡弾性層22を構成するゴム材料は、ゴム、発泡剤および導電性付与剤のほか、必要に応じて各種添加剤を含有するものである。ここでいうゴムとは、耐熱性および帯電性に優れるシリコーンもしくはシリコーン変性ゴムが挙げられる。発泡剤は一般に発泡ゴムで使用されるものであればよいが、例えば重炭酸ソーダや炭酸アンモニウムなどの無機系発泡剤、ジアゾアミノ誘導体、アゾニトリル誘導体またはアゾジカルボン酸誘導体などの有機アゾ化合物に代表される有機系発泡剤が用いられる。なお、無機系発泡剤は、発泡弾性層22においてセル22Aを連通セル状態とする場合に適しており、有機系発泡剤は、発泡弾性層22においてセル22Aを独立セル状態とする場合に適している。また、発泡弾性層22を構成するゴム材料においては、発泡剤に加えて、あるいは発泡剤に替えて中空充填剤を用いてもよい。この中空充填剤としては、例えばポリオルガノシロキサン系球状粉末が挙げられる。導電性付与剤は、ケッチェンブラックやアセチレンブラックなどの導電性ブラックのほか、導電性ポリマーを用いてもよい。また、各種添加剤としては、充填剤、着色剤または離型剤などが挙げられ、これらは所望の配合量となるように配合される。ただし、発泡弾性層22を構成するゴム材料としては、独立セルを形成することができる発泡導電性シリコーンゴム系組成物が特に好ましい。このような独立セルを形成可能な発泡導電性シリコーンゴム系組成物は、耐熱性、耐久性および耐残留歪み特性に優れるので、トナー供給ローラ2における発泡弾性層22として好適だからである。
また、トナー供給ローラ2の電気抵抗値は、例えば芯金21への印加電圧を−100Vとしたときに1×104Ω以上1×107Ω以下であり、特に1×105Ω程度であることが望ましい。なお、トナー供給ローラ2の電気抵抗値は、例えば以下のようにして測定することができる。具体的には、図4Aおよび図4Bに示したように、トナー供給ローラ2を、その芯金21と同方向に伸びる回転軸部28Jを有する金属ローラ28の表面と当接させ、金属ローラ28を50rpmの速度で回転させつつ芯金21と回転軸部28Jとの間に−300Vの電圧を印加し、その電気抵抗値を抵抗測定器27で測定する。なお、抵抗測定器27としては、例えばヒューレット・パッカード社製ハイレジスタンスメータ(型番:4339B)を用いる。また、芯金21の両端には、例えばそれぞれ300gの負荷Wを加える。さらに、金属ローラ28として、直径30mmのステンレス鋼材を用いる。ここではトナー供給ローラ2の1周あたり100箇所の測定を行い、その平均値をトナー供給ローラ2の電気抵抗値として求める。
図5は、発泡弾性層22の圧縮応力特性、すなわち、圧縮変位量εと圧縮応力σとの関係を表すヒステリシス曲線である。図5では、横軸が圧縮変位量εを表し、縦軸が圧縮応力σを表している。図5の発泡弾性層22の圧縮変位量εと圧縮応力σとの関係を表すヒステリシス曲線は、(ε,σ)=(0,0)の原点から、発泡弾性層22に対し第1の圧縮応力σ1を印加することにより第1の圧縮変位量ε1が生じることとなる(ε,σ)=(ε1,σ1)の位置P1に至り、所定時間Δt1に亘って第1の圧縮変位量ε1を維持することにより圧縮応力σが低下して第2の圧縮応力σ2となる(ε,σ)=(ε1,σ2)の位置P2に至り、さらに圧縮応力σを0まで減少させることにより(ε,σ)=(ε2,0)の位置P3に至る、という経路を辿る。ここで、図5におけるヒステリシス曲線と、位置P3から原点に至る直線とが取り囲む面積をA、図5におけるヒステリシス曲線のうちの位置P2から位置P3に至る曲線部分と、位置P3から(ε,σ)=(ε1,0)の位置P4に至る直線と、位置P4から位置P2に至る直線とが取り囲む面積をBとしたとき、下記の条件式(1)で表される発泡弾性層22の圧縮応力減少率(ヒステリシスロス)Xは67%以上76%以下であることが望ましい。
X=A/(A+B) ……(1)
ただし、Aを、発泡弾性層22において第1の圧縮変位量ε1が生じることとなる第1の圧縮応力σ1とし、Bを、発泡弾性層22に対し第1の圧縮応力σ1を印加してから、第1の圧縮変位量ε1を維持した状態で所定時間Δt1が経過したあとの発泡弾性層22にかかる第2の圧縮応力σ2とした場合であっても、上記(1)が成立する。
なお、発泡弾性層22の圧縮応力特性は、以下のようにして求めることができる。図6は、圧縮応力の測定方法を説明するための模式図である。発泡弾性層22の圧縮応力の測定には、例えばインストロン社製の力学試験機5543Aなどの力学試験機を使用して行うことができる。その力学試験機は、例えば圧子81と、一対の支持体82とを有する。図6に示したように、一対の支持体82は、トナー供給ローラ2の芯金21の端部をそれぞれ支持する部材である。圧子81は、例えばステンレス鋼材からなる円柱部材である。圧子81は、例えば16mm外径と、50mmの長さとを有する。圧子81は、一対の支持体82に両端が支持されたトナー供給ローラ2の発泡弾性層22の表面に対し、垂直の方向へ移動可能に設けられている。したがって、圧子81は、一対の支持体82に両端が支持されたトナー供給ローラ2の発泡弾性層22の表面に押し付けられ、発泡弾性層22に応力を付与するようになっている。
図5に示した発泡弾性層22の圧縮応力特性を示すヒステリシス曲線は、加圧操作と、静止操作(応力緩和操作)と、減圧操作との3段階に操作により得られる。加圧操作は、圧子81を所定の速度(例えば10mm/分)で方向Y81+へ移動させながら発泡弾性層22の表面に当接させ、さらに発泡弾性層22において第1の圧縮変位量ε1(例えば0.73mm)が得られるまで継続して圧子81を発泡弾性層22に押し込むようにする操作である。静止操作は、圧子81を発泡弾性層22に対して静止させ、第1の圧縮変位量ε1を所定時間Δt1(例えば18時間)に亘って維持する操作である。減圧操作は、圧子81を所定の速度(例えば10mm/分)で発泡弾性層22から離間する方向Y81−へ移動させ、圧縮応力σを0とする操作である。
帯電ローラ4は、感光ドラム3の表面(表層部分)を帯電させる部材(帯電部材)であり、感光ドラム3の表面(周面)に接するように配置されている。帯電ローラ4は、例えば、金属シャフトと、その外周(表面)を覆う半導電性ゴム層(例えば、半導電性エピクロロヒドリンゴム層)とを有している。なお、この例では、帯電ローラ4は図1に矢印で示したように左回りで回転(感光ドラム3とは逆方向に回転)するようになっている。
現像ブレード5は、回転する現像ローラ1の表面1SにトナーGからなる層(トナー層)を形成すると共に、そのトナー層の厚さを規制(制御,調整)するトナー規制部材である。現像ブレード5は、例えばステンレス鋼材等からなる厚さ0.08mm程度の板状弾性部材(板ばね)であり、この板状弾性部材の先端部に曲率半径0.18mmの曲げ加工が施され、その先端部が現像ローラ1の表面1Sに僅かに当接するように配置されている。なお、現像ブレード5の、現像ローラ1に対する圧力は例えば40gf/cmである。
また、現像ローラ1の表面1S上のトナー層の厚さおよびトナーGの帯電量を所定値に設定するため、現像ローラ1の表面1Sにおける表面粗さは、回転方向に沿った十点平均粗さRz値(JIS B0601−1994)が2μm以上10μm以下であるとよい。十点平均粗さRz値が2μm未満であると、現像ローラ1の表面1S上に形成されるトナー層の厚さが不足し、トナーGの粒子1個当たりに印加されるストレスが大きくなってしまう。そのため、トナーGの粒子から離脱する外添剤の量が増加し、離脱した外添剤が現像ローラ1と現像ブレード5との間に詰まり、現像ブレード5にトナーGが融着するトナーフィルミングが発生しやすくなる。一方、十点平均粗さRz値が10μmを超えると、現像ローラ1の表面1S上に形成されるトナー層の厚さが厚くなりすぎる。このため、トナー供給ローラ2によるトナーGの掻き取りが不十分となり、現像ローラ1の表面1SにトナーGが融着するトナーフィルミングが発生しやすくなる。
クリーニングブレード6は、感光ドラム3の表面(表層部分)に残留するトナーGを掻き取って回収することで、感光ドラム3の表面をクリーニングする部材である。クリーニングブレード6は、感光ドラム3の表面に対してカウンタで当接する(感光ドラム3の回転方向に対して逆向きで突出する)ようにして配置されている。このようなクリーニングブレード6は、例えば、ポリウレタンゴム等の弾性体により構成されている。
LEDヘッド10は、感光ドラム3の表面を露光することにより、感光ドラム3の表面(表層部分)に静電潜像を形成する装置である。LEDヘッド10は、1つの感光ドラム3に対して横方向に並ぶ複数のLED発光部を有している。なお、LEDヘッド10は、本発明における「露光装置」の一具体例に対応する。
[画像形成装置の構成]
図7は、現像装置11を備えた画像形成装置の全体構成例を表す模式図である。また図8は、図4に示した画像形成装置に対応するブロック図である。この画像形成装置は、例えば用紙などの記録媒体(印刷媒体、転写材ともいう。)PSに対して画像(例えば黒画像)を形成する、電子写真方式のプリンタである。
この画像形成装置における現像装置11は、ブラック(K:blacK)トナーを用いてモノクロのトナー像を形成するものである。
この画像形成装置は、図4に示したように、筐体30の内部に、現像装置11のほか、記録媒体PSを収容する媒体収容部としての給紙トレイ31、給紙ローラ32、搬送ローラ対33、転写ローラ34、定着ユニット35および排出ローラ対36などを備える。
給紙トレイ31は、記録媒体PSを積層した状態で収納する部材であり、例えば画像形成装置の下部に着脱自在に装着されている。
給紙ローラ32は、給紙トレイ31に収納されている記録媒体PSをその最上部から1枚ずつ取り出し、搬送ローラ対33へ向けて繰り出す部材である。
搬送ローラ対33は、給紙ローラ32から繰り出された記録媒体PSの斜行を矯正するとともに、記録媒体PSを現像装置11の感光ドラム3と転写ローラ34とが対向する転写部へ向けて搬送する部材である。
転写ローラ34は、現像装置11において形成されるトナー像を、記録媒体PSの表面上に静電的に転写するための部材である。転写ローラ34は、現像装置11の感光ドラム3と対向して配置され、転写部を構成している。なお、転写ローラ34は、例えば、発泡性の半導電性弾性ゴム材により構成されている。また、転写ローラ34には、後述の転写ローラ用電源34V(図5)により、所定の電圧(印加電圧Va0)が印加される。この印加電圧Va0は、例えば、各色のトナー(例えば負極性。以下同様。)に対して逆極性(例えば正極性)のバイアスからなる電圧である。ただし、同極性(例えば負極性)のバイアスからなる電圧であってもよい。
定着ユニット35は、記録媒体PS上に転写されたトナー像に対し熱および圧力を付与することで、そのトナー像を記録媒体PS上に定着させるための部材である。この定着ユニット35は、定着制御部35S(図8)の動作制御に基づき、動作する。
排出ローラ対36は、定着ユニット35によってトナーが定着された記録媒体PSを、図7において矢印で示した方向へ搬送し画像形成装置の外部にある排出トレイへ排出する部材である。
また、この画像形成装置は、図8に示したように、制御部40、受信メモリ42、画像データ編集メモリ43、操作部44、センサ群45、および電源回路50を備えている。制御部40は、インターフェイス(I/F)制御部41、印刷制御部46、ヘッド駆動制御部10S、定着制御部35S、搬送モータ制御部37Sおよび駆動制御部38Sを有する。電源回路50は、現像ローラ用電源1V、トナー供給ローラ用電源2V、帯電ローラ用電源4V、現像ブレード用電源5V、および転写ローラ用電源34Vを有する。さらに、この画像形成装置は、給紙ローラ32を駆動する用紙搬送モータ37と、感光ドラム3を駆動する駆動モータ38とを備えている。
印刷制御部46は、マイクロプロセッサ、ROM,RAMおよび入出力ポート等により構成され、例えば予め定められたプログラムを実行することにより画像形成装置における処理動作の全体を制御するものである。具体的には、印刷制御部46は、I/F制御部41からの印刷データや制御コマンドを受信し、ヘッド駆動制御部10S、定着制御部35S、搬送モータ制御部37Sおよび駆動制御部38Sの制御を統括して印刷動作を行う。
I/F制御部41は、パーソナルコンピュータ(PC)などの外部装置からの印刷データや制御コマンドを受信し、あるいは画像形成装置の状態に関する信号を送信するものである。
受信メモリ42は、PCなどの外部装置からI/F制御部41を経由した印刷データを一時的に格納するものである。
画像データ編集メモリ43は、受信メモリ42に格納された印刷データを受け取り、その印刷データを編集した画像データを格納するものである。
操作部44は、例えば画像形成装置の状態などの情報を表示するためのLEDランプや、使用者が指示を画像形成装置へ与えるための入力部(ボタンやタッチパネル)を有するものである。
センサ群45は、この画像形成装置の動作状態を監視する各種センサ、例えば記録媒体PSの位置検出センサ、温湿度センサ、印刷濃度センサおよびトナー残量検知センサなどを含んでいる。
ヘッド駆動制御部10Sは、画像データ編集メモリ43に記録された画像データをLEDヘッド10へ送ると共に、そのLEDヘッド10の駆動制御を行う。
定着制御部35Sは、記録媒体PSに転写されたトナー像を記録媒体PSに定着させる際、定着ユニット35に印加される電圧を制御するものである。
搬送モータ制御部37Sは、給紙ローラ32が記録媒体PSを搬送する際、用紙搬送モータ37の動作制御を行うものである。
駆動制御部38Sは、駆動モータ38の動作制御を行うものである。
現像ローラ用電源1V、トナー供給ローラ用電源2V、帯電ローラ用電源4V、現像ブレード用電源5V、および転写ローラ用電源34Vは、印刷制御部46の指示に基づく電圧を、それぞれ、現像ローラ1、トナー供給ローラ2、帯電ローラ4、現像ブレード5、および転写ローラ34へ印加するものである。現像ローラ用電源1Vにより現像ローラ1へ電圧が印加されることにより、感光ドラム3の表面に形成された静電潜像に、現像ローラ1が担持するトナーGが現像される。また、トナー供給ローラ用電源2Vによりトナー供給ローラ2へ電圧が印加されることにより、トナー供給ローラ2から現像ローラ1へトナーGが供給される。また、帯電ローラ用電源4Vにより帯電ローラ4へ電圧が印加されることにより、感光ドラム3の表面が帯電する。また、現像ブレード用電源5Vにより現像ブレード5へ電圧が印加されることにより、現像ローラ1の表面1Sにトナー層が形成される。また、転写ローラ用電源34Vにより転写ローラ34へ電圧が印加されることにより、感光ドラム3の表面に現像されたトナー像を記録媒体PSに転写することができる。
[作用・効果]
(A.基本動作)
この画像形成装置では、以下のようにして、記録媒体PSに対してトナー像が転写される。
起動状態の画像形成装置に対してPCなどの外部機器からI/F制御部41を介して印刷画像データおよび印刷命令が印刷制御部46に入力されると、印刷制御部46は、印刷命令に応じて、駆動制御部38Sなどと連携して印刷画像データの印刷動作を開始させる。
駆動制御部38Sは、駆動モータ38を駆動し、感光ドラム3を図1に示した矢印の方向に一定速度で回転させる。感光ドラム3が回転すると、その動力がギヤ列などの駆動伝達部を介して攪拌部材7A〜7C、トナー供給ローラ2、現像ローラ1および帯電ローラ4へそれぞれ伝達される。その結果、攪拌部材7A〜7C、トナー供給ローラ2、現像ローラ1および帯電ローラ4は、それぞれ、図1に示した矢印の方向に回転する。
一方、印刷制御部46は、帯電ローラ用電源4Vから帯電ローラ4に対し所定の電圧を印加し、感光ドラム3の表面を一様に帯電させる。
次いで、ヘッド駆動制御部10SがLEDヘッド10を起動し、画像信号に基づく印刷画像に対応する光を感光ドラム3に照射して感光ドラム3の表面に静電潜像を形成する。さらに、現像装置11において、以下のようにして感光ドラム3の表面に形成された静電潜像に対しトナーGを現像する。
具体的には、まず、図示しないトナー供給シャッタを回転させ、トナーGをトナー排出口8Kおよびトナー投入口9Kを介して内部空間9Aに投入する。ここで、駆動制御部38Sが駆動モータ38を駆動し、感光ドラム3を回転させる。感光ドラム3の回転により、攪拌部材7A〜7C、トナー供給ローラ2、現像ローラ1および帯電ローラ4も回転動作を開始する。攪拌部材7A〜7Cにより順次攪拌されたトナーGは、トナー供給ローラ2に担持され、トナー供給ローラ2の回転と共に現像ローラ1の近傍に移動する。そこで、トナーGは現像ローラ1の電位とトナー供給ローラ2の電位との電位差により例えば負に帯電し、現像ローラ1へ供給される。現像ローラ1へ供給されたトナーGは現像ブレード5により所定の厚さに規制されたトナー層を形成する。
一方、帯電ローラ用電源4Vにより帯電ローラ4へ所定の電圧が印加されることにより、感光ドラム3の表面が一様に帯電する。そののち、感光ドラム3の表面に向けてLEDヘッド10から照射光が照射されて露光されることで、印刷パターンに応じた静電潜像が感光ドラム3の表面上に形成される。さらに、感光ドラム3上の静電潜像に応じて現像ローラ1上のトナー層が現像されて感光ドラム3上にトナー像が形成される。そのトナー像は、感光ドラム3と対向配置され、転写ローラ用電源34Vにより所定の電圧が印加された転写ローラ34との間の電界によって記録媒体PSに転写される。
その後、定着ユニット35において、記録媒体PS上に転写されたトナー像に対し熱および圧力を付与し、そのトナー像を記録媒体PS上に定着させる。そののち、トナー像が定着された記録媒体PSは排出ローラ対36により外部へ排出される。なお、感光ドラム3には、記録媒体PSへ転写されなかったトナーGが僅かに残留する場合があるが、その残留したトナーGはクリーニングブレード6により除去される。このため、感光ドラム3は連続して使用できる。
(B.画像形成装置の作用効果)
一般には、トナー供給ローラにおける発泡弾性層として、シリコーンゴムを用いることが多い。現像ローラとトナー供給ローラとのニップ幅(それらの回転方向における接触幅)をある程度確保するのに適度の高度が得られるからである。ところで、トナー供給ローラにおいては、性能安定性および耐摩耗性が長期にわたって確保されることが望ましいが、性能安定性と耐摩耗性とを両立させることは容易ではない。ここでいう性能安定性とは、例えば、現像ローラへのトナー供給量および現像ローラに供給されるトナーの帯電特性が、連続印刷前後において大きく変化しないことを意味する。
例えば性能安定性を優先させた場合、トナーに加わる機械的負荷を低減するために、トナー供給ローラにおける発泡弾性層の硬度を低くしたり、現像ローラに対するトナー供給ローラの食い込み量(ニップ量)を小さくしたりすることが望ましい。ところがそのような手法を採用すると、画像形成装置の使用当初においては良好な印刷がなされるものの、やがて発泡弾性層の硬度を低くしたことにより発泡弾性層の磨耗が進み、ひいては現像ローラに対するニップ量の低下が生じるので、現像ローラへのトナー供給量が不足する場合がある。現像ローラへのトナー供給量が不足すると、ベタ印刷時のカスレが生じたり、記録媒体の先端近傍部分の印刷濃度と記録媒体の後端近傍部分の印刷濃度との差(濃度差)が大きくなったりするなどの印刷品質の低下を招来するおそれがある。また、発泡弾性層の硬度が低い場合、画像形成装置を長期間に亘って使用せずに放置すると、現像ローラとトナー供給ローラとのニップ部において圧縮されて変形した発泡弾性層の一部が元の形状に復元しにくくなる。そのため、発泡弾性層の一部に生じた変形部分において現像ローラと発泡弾性層とのニップ量が低下し、トナー供給ローラから現像ローラへ供給するトナー供給量が周期的に低下する。その結果、記録媒体に印刷されたトナー画像において、媒体幅方向に延びる白いすじ状の濃度むら(以下、これを「横白すじ」という。)が発生しやすくなる。
一方、発泡弾性層の硬度を高くした場合、トナーに加わる機械的負荷が増大してしまう。そのため、現像ローラの表面にトナーが融着する、いわゆるフィルミングが発生したり、トナーの外添剤の離脱が促進されてトナーの帯電特性が不安定になったり(現像ローラの表面に形成されるトナー層電位やトナー付着量の上昇など)するなどの問題が懸念される。さらには、発泡弾性層の摩耗が促進され、発泡弾性層から発生する摩耗粉が現像ローラと現像ブレードとの当接部に挟まり、媒体搬送方向に延びる白いすじ状の濃度むら(以下、これを「縦すじ」という。)が発生しやすくなる。
これに対し本実施の形態では、トナー供給ローラ2が、表面2Sに露出した開口部22Kを含むセル22Aが複数設けられた発泡弾性層22を有しており、表面2Sにおける開口部22Kの平均径を324μm以上402μm以下とし、条件式(1)で求められる発泡弾性層22のヒステリシスロスXを67%以上76%以下とした。こうすることにより、トナー供給ローラ2の耐磨耗性を向上させ、かつ、長時間に亘る連続印刷に伴う現像ローラ1上のトナー電位の変動やトナー付着量の変動を抑制することができる。具体的には、現像装置11が長期間に亘って使用されずに放置された後に画像形成動作を行った場合であっても、トナー供給ローラ2の発泡弾性層22の変形に起因する横白すじの発生や、発泡弾性層22の摩耗粉に伴う縦白すじの発生、さらには、現像ローラ1の表面1S上に残った未現像のトナーGの掻き取り不足に起因する印刷汚れの発生などを効果的に抑制することができる。したがって、本実施の形態の画像形成ユニットおよび画像形成装置によれば、現像装置の長寿命化が可能となる。
<2.実施例>
(実験例1−1)
実験例1として、上記実施の形態で説明した、発泡弾性層22を有するトナー供給ローラ2を有する画像形成装置を作製した。ここでは発泡弾性層22を形成するゴム材料として、付加反応型発泡導電性シリコーンゴム組成物を用いた。具体的には、シリコーン発泡ゴム組成物である信越化学工業社製「KE−904FU」70質量部と、導電性付与剤としての信越化学工業社製「KE−87C40PU」30質量部と、付加反応架橋剤としての信越化学工業社製「C−153A」2質量部と、発泡剤としてのアゾビスイソブチロニトリル5質量部と、付加反応触媒としての白金触媒0.45質量部と、反応制御剤としての信越化学工業社製「R−153A」0.5質量部と、有機過酸化物架橋剤としての信越化学工業社製「C−3」2質量部とを十分に混練することにより、付加反応型発泡導電性シリコーンゴム組成物を調製した。なお、信越化学工業社製「KE−904FU」は、ビニル基含有シリコーン生ゴムとシリカ系充填剤とを含む一方、導電性付与剤を含まないものである。
また、トナー供給ローラ2を以下のようにして作製した。まず、芯金21をトルエン洗浄したのち、プライマーを塗布した。そののち、プライマーを塗布した芯金21を150℃の温度で焼成し、室温まで冷却することで芯金21にプライマー層を形成した。次に、プライマー層が形成された芯金21の周囲に、上述の付加反応型発泡導電性シリコーンゴム組成物を押出成形機により付着させたのち、260℃の温度下で10分間に亘って加熱(一次加熱)し、発泡架橋させた。そののち、発泡架橋した付加反応型発泡導電性シリコーンゴム組成物を200℃の温度下で20分間に亘って加熱(二次加熱)したのち、常温下にて放置した。さらに、二次加熱された付加反応型発泡導電性シリコーンゴム組成物からなる発泡弾性層22を、厚さが3.5mmとなるまで研磨した。なお、このときの発泡弾性層22の表面22Sを拡大して観察すると、図9に示したように、セル22Aの開口部22Kと、隣り合うセル22A同士を隔てる壁部分(発泡弾性層22そのもの)23とが確認できた。
上記のように作製したトナー供給ローラ2(発泡弾性層22)の表面2Sにおける任意の5箇所の領域(各領域ともに2mm角の大きさを有する)についてディジタルマイクロスコープにより観察したところ、セル22Aの開口部22Kの平均径は268μmであり、トナー供給ローラ2の表面2Sにおけるセル22Aの密度は16個/mm2であり、トナー供給ローラ2の表面2Sの面積のうち開口部22Kが占める面積の占有率(以下、単に「開口部面積占有率」という。)は、5箇所の平均値で70%であった。また、発泡弾性層22のアスカーF硬度は50度であった。さらに、発泡弾性層22に対する圧子81(図6)押し込み量、すなわち第1の圧縮変位量ε1を0.73mmとしたときの発泡弾性層22のヒステリシスロスXは61%であった。
また、本実験例では、トナー供給ローラ2の電気抵抗値を1×106とした。なお、このトナー供給ローラ2の電気抵抗値は以下のようにして測定した。具体的には、図4Aおよび図4Bに示したように、トナー供給ローラ2を、その芯金21と同方向に伸びる回転軸部28Jを有する金属ローラ28の表面と当接させ、金属ローラ28を50rpmの速度で回転させつつ芯金21と回転軸部28Jとの間に−300Vの電圧を印加し、その電気抵抗値を抵抗測定器27で測定した。なお、抵抗測定器27としては、ヒューレット・パッカード社製ハイレジスタンスメータ(型番:4339B)を用いた。また、芯金21の両端にはそれぞれ300gの負荷Wを加えた。さらに、金属ローラ28として、直径30mmのステンレス鋼材を用いた。ここではトナー供給ローラ2の1周あたり100箇所の測定を行い、その平均値をトナー供給ローラ2の電気抵抗値として求めた。
このように作製したトナー供給ローラ2を有する画像形成装置を用いて印刷動作を実行し、トナー供給ローラ2の性能安定性および耐磨耗性について調査した。なお、調査項目等の詳細については後述する。
(実験例1−2)
開口部22Kの平均径が265μm、発泡弾性層22のヒステリシスロスXが63%、開口部面積占有率が5箇所の平均値で69%であることを除き、他は実験例1−1と同様であるトナー供給ローラ2を有する画像形成装置を作製し、印刷動作を実行した。
(実験例1−3)
開口部22Kの平均径が252μm、発泡弾性層22のヒステリシスロスXが69%、開口部面積占有率が5箇所の平均値で68%、セル密度が18個/mm2であることを除き他は実験例1−1と同様であるトナー供給ローラ2を有する画像形成装置を作製し、印刷動作を実行した。
(実験例1−4)
開口部22Kの平均径が259μm、発泡弾性層22のヒステリシスロスXが72%、開口部面積占有率が5箇所の平均値で69%、セル密度が17個/mm2であることを除き他は実験例1−1と同様であるトナー供給ローラ2を有する画像形成装置を作製し、印刷動作を実行した。
(実験例1−5)
開口部22Kの平均径が267μm、発泡弾性層22のヒステリシスロスXが79%であることを除き他は実験例1−1と同様であるトナー供給ローラ2を有する画像形成装置を作製し、印刷動作を実行した。
(実験例1−6)
アスカーF硬度が46%、開口部22Kの平均径が317μm、発泡弾性層22のヒステリシスロスXが64%、開口部面積占有率が5箇所の平均値で81%、セル密度が13個/mm2であることを除き他は実験例1−1と同様であるトナー供給ローラ2を有する画像形成装置を作製し、印刷動作を実行した。
(実験例1−7)
アスカーF硬度が46%、開口部22Kの平均径が332μm、発泡弾性層22のヒステリシスロスXが67%、開口部面積占有率が5箇所の平均値で75%、セル密度が15個/mm2であることを除き他は実験例1−1と同様であるトナー供給ローラ2を有する画像形成装置を作製し、印刷動作を実行した。
(実験例1−8)
アスカーF硬度が46%、開口部22Kの平均径が324μm、発泡弾性層22のヒステリシスロスXが72%、開口部面積占有率が5箇所の平均値で78%、セル密度が14個/mm2であることを除き他は実験例1−1と同様であるトナー供給ローラ2を有する画像形成装置を作製し、印刷動作を実行した。
(実験例1−9)
アスカーF硬度が46%、開口部22Kの平均径が326μm、発泡弾性層22のヒステリシスロスXが78%、開口部面積占有率が5箇所の平均値で77%、セル密度が11個/mm2であることを除き他は実験例1−1と同様であるトナー供給ローラ2を有する画像形成装置を作製し、印刷動作を実行した。
(実験例1−10)
アスカーF硬度が46%、開口部22Kの平均径が330μm、発泡弾性層22のヒステリシスロスXが83%、開口部面積占有率が5箇所の平均値で78%、セル密度が11個/mm2であることを除き他は実験例1−1と同様であるトナー供給ローラ2を有する画像形成装置を作製し、印刷動作を実行した。
(実験例1−11)
アスカーF硬度が43%、開口部22Kの平均径が353μm、発泡弾性層22のヒステリシスロスXが64%、開口部面積占有率が5箇所の平均値で83%、セル密度が10個/mm2であることを除き他は実験例1−1と同様であるトナー供給ローラ2を有する画像形成装置を作製し、印刷動作を実行した。
(実験例1−12)
アスカーF硬度が43%、開口部22Kの平均径が345μm、発泡弾性層22のヒステリシスロスXが68%、開口部面積占有率が5箇所の平均値で82%、セル密度が10個/mm2であることを除き他は実験例1−1と同様であるトナー供給ローラ2を有する画像形成装置を作製し、印刷動作を実行した。
(実験例1−13)
アスカーF硬度が43%、開口部22Kの平均径が352μm、発泡弾性層22のヒステリシスロスXが75%、開口部面積占有率が5箇所の平均値で83%、セル密度が9個/mm2であることを除き他は実験例1−1と同様であるトナー供給ローラ2を有する画像形成装置を作製し、印刷動作を実行した。
(実験例1−14)
アスカーF硬度が43%、開口部22Kの平均径が362μm、発泡弾性層22のヒステリシスロスXが79%、開口部面積占有率が5箇所の平均値で84%、セル密度が9個/mm2であることを除き他は実験例1−1と同様であるトナー供給ローラ2を有する画像形成装置を作製し、印刷動作を実行した。
(実験例1−15)
アスカーF硬度が43%、開口部22Kの平均径が359μm、発泡弾性層22のヒステリシスロスXが87%、開口部面積占有率が5箇所の平均値で83%、セル密度が9個/mm2であることを除き他は実験例1−1と同様であるトナー供給ローラ2を有する画像形成装置を作製し、印刷動作を実行した。
(実験例1−16)
アスカーF硬度が40%、開口部22Kの平均径が399μm、発泡弾性層22のヒステリシスロスXが68%、開口部面積占有率が5箇所の平均値で88%、セル密度が7個/mm2であることを除き他は実験例1−1と同様であるトナー供給ローラ2を有する画像形成装置を作製し、印刷動作を実行した。
(実験例1−17)
アスカーF硬度が40%、開口部22Kの平均径が395μm、発泡弾性層22のヒステリシスロスXが71%、開口部面積占有率が5箇所の平均値で87%であり、発泡弾性層22の発泡倍率は7%であることを除き他は実験例1−1と同様であるトナー供給ローラ2を有する画像形成装置を作製し、印刷動作を実行した。
(実験例1−18)
アスカーF硬度が40%、開口部22Kの平均径が402μm、発泡弾性層22のヒステリシスロスXが76%、開口部面積占有率が5箇所の平均値で90%、セル密度が7個/mm2であることを除き他は実験例1−1と同様であるトナー供給ローラ2を有する画像形成装置を作製し、印刷動作を実行した。
(実験例1−19)
アスカーF硬度が40%、開口部22Kの平均径が389μm、発泡弾性層22のヒステリシスロスXが80%、開口部面積占有率が5箇所の平均値で89%、セル密度が7個/mm2であることを除き他は実験例1−1と同様であるトナー供給ローラ2を有する画像形成装置を作製し、印刷動作を実行した。
(実験例1−20)
アスカーF硬度が40%、開口部22Kの平均径が406μm、発泡弾性層22のヒステリシスロスXが88%、開口部面積占有率が5箇所の平均値で90%、セル密度が7個/mm2であることを除き他は実験例1−1と同様であるトナー供給ローラ2を有する画像形成装置を作製し、印刷動作を実行した。
((汚れおよび縦白すじの発生の有無))
上記各実験例1−1〜1−20では、印刷動作を、記録媒体PSとしてのA4用紙の長手方向に沿って40ppmの印刷速度で実施した。1日あたり2500枚を連続して印刷し、これを20日間連続して実施した。また、上記各実験例1−1〜1−20では、図10に示したように、記録媒体搬送方向に沿って平行に延びる2本の罫線71a,71bからなる印刷パターンを連続印刷するようにした。但し、各日の連続印刷開始前に図11に示したハーフトーンパターン72および図12に示したベタパターン73をそれぞれ1枚ずつ印刷すると共に、各日の連続印刷開始後にも図11に示したハーフトーンパターン72および図12に示したベタパターン73をそれぞれ1枚ずつ印刷するようにした。また、印刷動作は温度20℃で相対湿度50%の環境下で行った。
また、現像ローラ1の外径を16mm、トナー供給ローラ2の外径を15.5mm、発泡弾性層22の厚さを3.5mm、現像ローラ1に対するトナー供給ローラ2の押し込み量を0.73mmとした。押し込み量とは、現像ローラ1の半径とトナー供給ローラ2の半径との和から、現像ローラ1の回転中心とトナー供給ローラ2の回転中心との距離を差し引いた長さである。また、現像ローラ1の周速度は0.3m/sとし、トナー供給ローラ2の周速度は0.2m/sとした。現像ローラ1には−200Vの直流電圧を印加し、トナー供給ローラ2には−330Vの直流電圧を印加した。
上記各実験例1−1〜1−20では、印刷画像の評価項目として、以上の条件に基づいて印刷されたハーフトーンパターン72(図11)における汚れの発生の有無と、以上の条件に基づいて印刷されたベタパターン73(図12)における縦白すじの発生の有無とをチェックした。その結果を表1および表2に示す。
具体的には、汚れについては、各日における2500枚の連続印刷開始前後のハーフトーンパターン72(図11)に、例えば図13に示したような汚れ74の発生が見られない場合を可(表1,表2では○と表示)とし、汚れ74の発生が見られた場合を不可(表1,表2では×と表示)とした。
ハーフトーンパターン72において見られる汚れ74は、発泡弾性層22の摩耗に起因するものと考えられる。すなわち、汚れ74の発生は、発泡弾性層22の摩耗により、現像ローラ1の表面1S上に形成されるトナー層の電位およびトナー層の付着量がそれぞれ上昇してしまい、感光ドラム3上の非露光部分にトナーGが意図せず供給されて現像されてしまう現象である。ハーフトーンパターン72を印刷する場合の感光ドラム3上における静電潜像は露光部分と非露光部分とが規則的に配列されたものであるので、露光部分と非露光部分との境界部分は、帯電量の高いトナーGにより現像されやすくなる。そのため、ハーフトーンパターン72の印刷時に発生する汚れは、無地印刷時に発生する地汚れよりも高い感度で検出可能となる。
また、縦白すじについては、各日における2500枚の連続印刷開始前後のベタパターン73(図12)に、例えば図14に示したような縦白すじ75の発生が見られない場合を可(表1,表2では○と表示)とし、縦白すじ75の発生が見られた場合を不可(表1,表2では×と表示)とした。
ベタパターン73において見られる縦白すじ75は、発泡弾性層22の摩耗により発生した摩耗粉が現像ローラ1と現像ブレード5との当接部に挟まり、現像ローラ1の表面1S上に形成されるべきトナー層の一部が形成を阻害されることによって生じると考えられる。
((横白すじの発生の有無))
上記各実験例1−1〜1−20では、印刷画像の評価項目として、以下の方法により、ベタパターン73(図12)における横白すじの発生の有無をさらにチェックした。その結果を表1,表2に併せて示す。
具体的には、現像装置11を温度47℃、相対湿度66%の環境下に30日間放置したのち、その現像装置11を搭載した画像形成装置により、温度20℃、相対湿度50%の環境下において図12に示したベタパターン73の印刷を行う。このときのベタパターン73(図12)における横白すじの発生の有無をチェックした。そこで、例えば図15に示したような周期的な横縦白すじ76の発生が見られない場合を可(表1,表2では○と表示)とし、横白すじ76の発生が見られた場合を不可(表1,表2では×と表示)とした。なお、ここでは、トナー供給ローラ2の12周期分に相当する長さに亘るベタパターン73についてチェックした。
ベタパターン73において見られる縦白すじ76は、圧縮応力を長時間に亘って受けた発泡弾性層22の変形により、トナー供給ローラ2と現像ローラ1とのニップ量の低下が生じ、現像ローラ1へのトナー供給量が不足することに起因すると考えられる。このため、トナーGの消費量が多いベタパターン73を印刷することにより、ハーフトーンパターン72に発生する横白すじよりも高い感度で検出することができる。
上記各実験例1−1〜1−20のうち、汚れ74、縦白すじ75および横白すじ76の全ての観点において可となったものについて、総合判定において可とし、長期にわたる性能安定性および耐磨耗性の双方に優れるトナー供給ローラ2であると判断した。図16に、発泡弾性層22のヒステリシスロスX[%]と、開口部22Kの平均径[μm]との関係において、表1および表2に示したように総合判定において可となったものを○で表示し、総合判定において不可となったものを×で表示した。
表1および表2ならびに図16に示したように、実験例1−7,1−8,1−12,1−13,1−16〜1−18において、総合判定において可となった。したがって、表面2Sにおける開口部22Kの平均径が324μm以上402μm以下であり、条件式(1)で求められる発泡弾性層22のヒステリシスロスXが67%以上76%以下であれば、トナー供給ローラ2の耐磨耗性を向上させ、かつ、長時間に亘る連続印刷に伴う現像ローラ1上のトナー電位の変動やトナー付着量の変動を抑制することができることが確認できた。
なお、図16において破線で囲んだ領域16Aは、実験例1−1〜1−20において縦白すじが発生したものが主に含まれる領域であり、破線で囲んだ領域16Bは、実験例1−1〜1−20において横白すじが発生したものが主に含まれる領域である。さらに、図16において破線で囲んだ領域16Cは、実験例1−1〜1−20において横白すじが発生したものと汚れが発生したものとが主に含まれる領域である。また、図16において破線で囲んだ領域16Dは、汚れが発生したものが主に含まれる領域である。
なお、表1および表2ならびに図16に示したように、ヒステリシスロスXが67%以上76%以下であっても、表面2Sにおける開口部22Kの平均径の違いにより、総合判定が可となるものと不可となるものがある。この理由について、図17Aおよび図17Bに示した、発泡弾性層22の表面2S近傍の断面模式図を参照して説明する。
図17Aは、セル22Aの平均径が320μm以上の場合の断面模式図である。この場合、長期間に亘る現像ローラ1との当接状態が維持されたことにより発泡弾性層22が変形し、壁部分23が横倒しの状態となっているが、各開口部22Kは壁部分23によって完全に塞がれた状態とはなっていない。したがって、開口部22Kに担持されたトナーGは現像ローラ1へ供給されることとなる。
一方、図17Bは、セル22Aの平均径が320μm未満の場合の断面模式図である。この場合も、長期間に亘る現像ローラ1との当接状態が維持されたことにより発泡弾性層22が変形し、壁部分23が横倒しの状態となっている。ところが、各開口部22Kは壁部分23によって完全に塞がれた状態となっている。したがって、開口部22Kに担持されたトナーGは現像ローラ1へ供給されずに開口部22Kに留まることとなる。よって、横白すじが発生しやすくなると考えられる。
なお、上記実験例では、発泡弾性層22の厚さを3.5mmとしたが、発泡弾性層22の厚さを2.0mmとした場合、および発泡弾性層22の厚さを4.0mmとした場合においても同様の結果が得られた。すなわち、表面2Sにおける開口部22Kの平均径が324μm以上402μm以下であり、条件式(1)で求められる発泡弾性層22のヒステリシスロスXが67%以上76%以下であれば、トナー供給ローラ2の耐磨耗性を向上させ、かつ、長時間に亘る連続印刷に伴う現像ローラ1上のトナー電位の変動やトナー付着量の変動を抑制することができることが確認できた。
さらに、上記実験例では、発泡弾性層22に対する現像ローラ1の押し込み量を0.73mmとしたが、その押し込み量を0.6mmとした場合、およびその押し込み量を0.8mmとした場合においても同様の結果が得られた。すなわち、表面2Sにおける開口部22Kの平均径が324μm以上402μm以下であり、条件式(1)で求められる発泡弾性層22のヒステリシスロスXが67%以上76%以下であれば、トナー供給ローラ2の耐磨耗性を向上させ、かつ、長時間に亘る連続印刷に伴う現像ローラ1上のトナー電位の変動やトナー付着量の変動を抑制することができることが確認できた。
<3.変形例>
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態等に限定されず、種々の変形が可能である。例えば上記実施の形態では黒色のトナー像のみを転写してモノクロ画像を形成する画像形成装置について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばカラー画像を形成する画像形成装置であってもよい。また、上記実施の形態では、1次転写方式の画像形成装置について説明したが、本発明は2次転写方式にも適用されうる。
また、上記実施の形態等で説明した一連の処理は、ハードウェア(回路)で行われるようにしてもよいし、ソフトウェア(プログラム)で行われるようにしてもよい。ソフトウェアで行われるようにした場合、そのソフトウェアは、各機能をコンピュータにより実行させるためのプログラム群で構成される。各プログラムは、例えば、上記コンピュータに予め組み込まれて用いられてもよいし、ネットワークや記録媒体から上記コンピュータにインストールして用いられてもよい。
また、上記実施の形態等では、露光装置として発光ダイオードを光源とするLEDヘッドを用いるようにしたが、例えばレーザ素子等を光源とした露光装置を用いてもよい。
さらに、上記実施の形態等では、本発明における「画像形成装置」の一具体例として、印刷機能を有する画像形成装置について説明したが、これには限られない。すなわち、そのような印刷機能に加え、例えば、スキャン機能やファックス機能を有する複合機として機能する画像形成装置においても、本発明を適用することが可能である。