JP7395989B2 - 現像ユニットおよび画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真法による画像形成に用いられる現像ユニット、および現像ユニットを備えた画像形成装置に関する。
電子写真法による画像形成装置は、像担持体の表面に形成された潜像を現像する現像ローラ(現像体担持体)と、現像ローラに現像剤を供給する供給ローラ(現像剤供給部材)とを有する現像ユニットを備える(例えば、特許文献1参照)。
特開2019-8140号公報(例えば、図1,4参照)
供給ローラは、現像ローラに現像剤を供給するだけでなく、現像ローラの表面に残った現像剤を掻き取る機能を有する。しかしながら、時間の経過と共に、現像剤を掻き取る能力が低下し、画像に汚れが発生する場合がある。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、現像剤供給部材による現像剤の掻き取り能力の低下を抑制し、これにより画像品質を向上することを目的とする。
本発明の一態様による現像ユニットは、像担持体に現像剤を供給し、像担持体上の潜像を現像する現像剤担持体と、現像剤担持体に当接するように配置され、表面に導電性発泡層を有し、現像剤担持体に現像剤を供給する現像剤供給部材とを備える。導電性発泡層はシリコーンゴムを主成分とし、独立気泡を有する。現像剤供給部材の外径の平均値は13[mm]である。一辺が50[mm]の正方形の表面を有し厚さが10[mm]のステンレス製の圧子の表面に粒度30[μm]の研磨フィルムを固定したものを用い、研磨フィルムを導電性発泡層の表面に押し当てるようにして圧子を導電性発泡層に0.73[mm]押し込み、現像剤供給部材を136.1[mm/秒]の周速で回転させた場合に、圧子の押し込み前の現像剤供給部材の外径に対して、圧子の押し込み量が0.73[mm]に達してから250秒後に圧子を離間させたときの現像剤供給部材の外径の減少量が、0.03[mm]以下である。
本発明の別の態様による現像ユニットは、像担持体に現像剤を供給し、像担持体上の潜像を現像する現像剤担持体と、現像剤担持体に当接するように配置され、表面に弾性層を有し、現像剤担持体に現像剤を供給する現像剤供給部材とを備える。弾性層の加硫後、発泡処理前の材料で形成したダンベル1号形状の試験片を用い、JIS-K6251の引張試験を行った場合に、試験片が破断したときの伸び率([%])をそのときの応力([N/mm])で除した値が、72.6以上、81.6以下である。
本発明に係る画像形成装置は、現像ユニットと、像担持体に形成された現像剤像を媒体に転写する転写ユニットと、媒体に転写された現像剤像を媒体に定着する定着ユニットとを備える。
本発明によれば、現像剤供給部材による現像剤の掻き取り能力の低下を抑制し、画像品質を向上することができる。
本発明の実施の形態における画像形成装置を示す図である。 実施の形態におけるプロセスユニットを示す断面図である。 実施の形態における画像形成装置の制御系を示すブロック図である。 実施の形態における供給ローラを示す側面図(A)および断面図(B)である。 実施の形態における供給ローラの製造工程を説明するためのフローチャートである。 実施の形態における導電性発泡層のゴム材料で形成した試験片を示す図である。 供給ローラの負荷回転試験を説明するための模式図である。 供給ローラの摩耗試験を説明するための模式図である。 供給ローラの外径減少量および重量減少量の測定手順を示すフローチャートである。 連続印刷用パターンを示す模式図である。 評価用パターンを示す模式図である。 供給ローラの表面を拡大して示す図である。 実施例1~7および比較例1~9の評価結果を示す表である。 伸張度と供給ローラのセル形状との関係を示す図である。 反発力減衰率と供給ローラのセル形状との関係を示す図である。 シリコーンゴム製の供給ローラのFT-IR分析結果を示す図である。 ウレタンゴム製の供給ローラのFT-IR分析結果を示す図である。
<画像形成装置の構成>
図1は、本発明の実施の形態における画像形成装置1の基本構成を示す図である。画像形成装置1は、ここでは、カラー電子写真プリンタとして構成されている。
画像形成装置1は、印刷用紙等の媒体Pを供給する媒体供給部6と、各色のトナー像(現像剤像)を形成する現像ユニットとしてのプロセスユニット2K,2C,2M,2Yと、プロセスユニット2K,2C,2M,2Yの各感光体ドラム21(後述)に光を照射するLEDヘッド5K,5C,5M,5Yと、トナー像を媒体Pに転写する転写ユニット4と、トナー像を媒体Pに定着する定着ユニット7と、媒体Pを排出する媒体排出部8とを備える。
媒体供給部6は、媒体Pを収容する媒体収容部としての給紙カセット60と、給紙カセット60に収容された媒体Pを搬送路10に送り出すフィードローラ61と、搬送路10に送り出された媒体Pをプロセスユニット2K,2C,2M,2Yに搬送する搬送ローラ62とを備える。
給紙カセット60は、印刷用紙等の媒体Pを積層した状態で収納し、画像形成装置1の下部に着脱可能に装着されている。
フィードローラ61は、給紙カセット60内の媒体Pを一枚ずつ繰り出して、搬送路10に送り出す。搬送ローラ62は、一対のローラであり、フィードローラ61によって搬送路10に送り出された媒体Pを、斜行(スキュー)を矯正して、プロセスユニット2K,2C,2M,2Yに搬送する。
プロセスユニット2K,2C,2M,2Yは、ブラック、シアン、マゼンタおよびイエローのトナー像を形成するものであり、媒体Pの搬送路10に沿って(ここでは図中右から左に)一列に配列されている。また、プロセスユニット2K,2C,2M,2Yは、画像形成装置1の本体に対して着脱可能に取り付けられている。
図2は、プロセスユニット2の構成を示す断面図である。プロセスユニット2K,2C,2M,2Yは、使用するトナー(現像剤)を除き、互いに共通の構成を有している。そのため、プロセスユニット2K,2C,2M,2Yおよびその構成要素は、符号のK,C,M,Yを省略して説明する。
図2に示すように、プロセスユニット2は、像担持体としての感光体ドラム21を有する。感光体ドラム21は、図中矢印R1で示す方向に回転する。感光体ドラム21の周囲には、その回転方向に沿って、帯電部材としての帯電ローラ22、現像剤担持体としての現像ローラ23、およびクリーニング部材としてのクリーニングブレード26が配置されている。
また、現像ローラ23の周囲には、現像剤供給部材としての供給ローラ25と、層規制部材としての現像ブレード24とが配置されている。供給ローラ25と現像ブレード24の上側には、トナーを収容する空間であるトナー収容室20aが形成される。プロセスユニット2の各ローラの軸方向、および現像ブレード24の長手方向は、感光体ドラム21の軸方向と平行である。
トナー収容室20aには、トナーを撹拌する撹拌部材28a,28b,28c、およびトナーを軸方向に均一にならすための搬送スクリュー29が配置されているが、これらについては説明を省略する。
プロセスユニット2には、トナーを補給するためのトナーカートリッジ3(現像剤収容体)が取り付けられている。トナーカートリッジ3は、例えば、プロセスユニット2の本体20の上部に着脱可能に装着されている。
トナーカートリッジ3は、トナーを収容するトナー収容部31を有し、その内部にはトナーを撹拌する撹拌バー32を有する。また、トナーカートリッジ3の底部には、プロセスユニット2のトナー収容室20aにトナーを供給するトナー供給口33が形成されている。
感光体ドラム21は、円筒状の導電性支持体21bと、導電性支持体21bの表面に形成された光導電層21aとを有する。導電性支持体21bは、例えば、アルミニウム等の金属パイプで構成される。光導電層21aは、電荷発生層および電荷輸送層の積層体で構成される。導電性支持体21bと光導電層21aとの間に、ブロッキング層(中間層)を設けてもよい。
帯電ローラ22は、感光体ドラム21の表面に接するように設けられ、感光体ドラム21の回転に追従して回転する。帯電ローラ22は、例えば、金属で構成されたシャフト22bと、シャフト22bの表面に形成された弾性層22aとを有する。弾性層22aは、例えば半導電性エピクロロヒドリンゴムで構成された半導電性ゴム層である。
現像ローラ23は、感光体ドラム21の表面に当接するように配置されている。また、現像ローラ23は、感光体ドラム21の回転方向と反対の方向に(すなわち当接部での表面の移動方向が同じになるように)所定の周速比で回転する。現像ローラ23は、例えばステンレス等の金属で構成されたシャフト23bと、このシャフト23bの表面に形成された弾性層23aとを有する。弾性層23aは、例えば、半導電性ウレタンゴムで構成されている。弾性層23aの表面に、表面処理層を設けてもよい。
現像ブレード24は、現像ローラ23の弾性層23aの軸方向長さと略同一の長さを有する金属製の板状部材である。現像ブレード24の厚さは、例えば0.08[mm]である。現像ブレード24は、一端がプロセスユニット2の本体20に固定され、他端側に形成された屈曲部が現像ローラ23の表面に圧接される。現像ブレード24は、現像ローラ23の表面に形成されるトナー層の厚さを規制する。
供給ローラ25は、現像ローラ23の表面に当接するように配置されている。また、供給ローラ25は、現像ローラ23の回転方向と同方向に(すなわち当接部での表面の移動方向が反対方向となるように)所定の周速比で回転する。供給ローラ25は、例えば金属で構成された芯金25bと、芯金25bの表面に設けられた導電性発泡層25a(スポンジ層)とを有する。
クリーニングブレード26は、例えばウレタンゴムで構成され、感光体ドラム21の表面に当接するように配置されている。クリーニングブレード26は、感光体ドラム21の表面に残る残留トナーを掻き取って除去するものである。
なお、プロセスユニット2は、現像ユニットとも称する。但し、プロセスユニット2のうち、感光体ドラム21上の潜像を現像する部分(すなわち現像ローラ23および供給ローラ25を含む部分)を、現像ユニットと称してもよい。
図1に戻り、露光装置としてのLEDヘッド5K,5C,5M,5Yは、プロセスユニット2K,2C,2M,2Yの感光体ドラム21K,21C,21M,21Yの上側に対向するように配置される。LEDヘッド5K,5C,5M,5Yは、いずれもLED(発光ダイオード)とレンズアレイとを有し、LEDから出射した光を感光体ドラム21K,21C,21M,21Yの表面に結像させる。
転写ユニット4は、プロセスユニット2K,2C,2M,2Yの下側に配置されている。転写ユニット4は、媒体Pを静電吸着して搬送する転写ベルト41と、この転写ベルト41が張架されたドライブローラ42およびテンションローラ43と、プロセスユニット2K,2C,2M,2Yの感光体ドラム21K,21C,21M,21Yに対向配置された転写部材としての4つの転写ローラ40K,40C,40M,40Yとを有する。
ドライブローラ42は、搬送モータ113(図3)により回転駆動され、転写ベルト41を矢印Bで示す方向に走行させる。テンションローラ43は、転写ベルト41に所定の張力を付与する。
転写ベルト41は、その表面に媒体Pを吸着し、ドライブローラ42の回転により走行して、媒体Pをプロセスユニット2K,2C,2M,2Yに沿って搬送する。転写ベルト41は、ポリアミドイミドまたはポリアミド等により構成され、導電性および機械強度を得るためカーボン等が添加されている。
転写ローラ40K,40C,40M,40Yは、転写ベルト41を介して感光体ドラム21K,21C,21M,21Yに圧接されている。転写ローラ40K,40C,40M,40Yには、感光体ドラム21K,21C,21M,21Yの表面に形成されたトナー像を媒体Pに転写するための転写電圧が印加される。
定着ユニット7は、媒体Pの搬送方向においてプロセスユニット2K,2C,2M,2Yの下流側(図中左側)に配置されている。定着ユニット7は、定着ローラ7a、加圧ローラ7bおよびサーミスタ7cを備える。
定着ローラ7aは、例えば、アルミニウムからなる中空円筒状の芯金の周囲にシリコーンゴムの耐熱弾性層を設け、その表面をPFA(テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)チューブで被覆したものである。定着ローラ7aの芯金の内側には、例えばハロゲンランプなどのヒータが設けられている。
加圧ローラ7bは、例えば、アルミニウムの芯金の表面にシリコーンゴムの耐熱弾性層を設け、その表面をPFAチューブで被覆したものである。加圧ローラ7bと定着ローラ7aとの間には、圧接部(定着ニップ)が形成される。
サーミスタ7cは、定着ローラ7aの表面温度検出手段であり、定着ローラ7aの近傍に非接触で配置される。サーミスタ7cによって検出された温度情報は、定着制御部107(図3)に出力される。定着制御部107は、サーミスタ7cの温度情報に基づいて定着ローラ7a内のヒータをオンオフ制御し、定着ローラ7aの表面温度を所定の温度に維持する。
媒体排出部8は、定着ユニット7から送り出された媒体Pを、画像形成装置1の外部に排出する一対のローラである排出ローラ8aを有する。画像形成装置1の上部カバーには、排出ローラ8aによって排出された媒体Pを載置するためのスタッカ部8bが設けられている。
なお、プロセスユニット2K,2C,2M,2Yおよびトナーカートリッジ3Y,3M,3C,3Kは、画像形成装置1における交換可能ユニットである。そのため、構成部品が劣化した場合、あるいはトナーが消費された場合には、交換することができる。
<画像形成装置の制御系>
次に、画像形成装置1の制御系について説明する。図3は、画像形成装置1の制御系を示すブロック図である。図3に示すように、画像形成装置1は、制御部11、インタフェース制御部12、受信メモリ13、画像データ編集メモリ14、操作部15およびセンサ群16を有する。
制御部11は、例えば、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、入出力ポート、およびタイマを有する。制御部11は、パーソナルコンピュータ等の上位装置から印刷データおよび制御コマンドを受信し、画像形成装置1の全体のシーケンスを制御して印刷動作を行う。
制御部11は、ドットカウンタ17、ドラムカウンタ18および算出部19を有する。ドットカウンタ17は、画像データ編集メモリ14の画像データに基づき、印刷に必要なドット数をカウントする。ドラムカウンタ18は、印刷動作中に回転した感光体ドラム21の回転数をカウントする。算出部19は、センサ群16から入力された温度等の情報、およびドラムカウンタ18によってカウントされた回転数に基づいて演算を行う。
インタフェース制御部12は、画像形成装置1の情報(プリンタ情報)を上位装置に送信すると共に、上位装置から受信したコマンドを解析し、また、上位装置から受信したデータを処理する。
受信メモリ13は、上位装置からインタフェース制御部12を介して入力された印刷データを一時的に記録する。画像データ編集メモリ14は、受信メモリ13に記録された印刷データを受け取り、印刷データを編集処理して画像データ(すなわちイメージデータ)を生成し、この画像データを記録する。
操作部15は、画像形成装置1の状態を表示する表示部(例えばLED)と、操作者が画像形成装置1に対する指示を入力する入力部(例えばスイッチ)とを有する。センサ群16は、画像形成装置1の動作状態をモニターするための各種のセンサ、例えば、媒体Pの位置を検出する用紙位置センサ、画像形成装置1の周囲の温度および湿度を検出する温湿度センサ、画像の濃度を検出する濃度センサ等を含む。
画像形成装置1は、さらに、帯電ローラ用電源101、現像ローラ用電源102、供給ローラ用電源103、転写ローラ用電源104、ヘッド制御部105、ベルト駆動制御部106、定着制御部107、定着駆動制御部108、搬送制御部109および駆動制御部110を有する。
帯電ローラ用電源101は、帯電ローラ22に、感光体ドラム21の表面を一様に帯電させるための帯電電圧を印加する。現像ローラ用電源102は、現像ローラ23に、トナーを感光体ドラム21の静電潜像に付着させるための現像電圧を印加する。供給ローラ用電源103は、供給ローラ25に、現像ローラ23にトナーを供給するための供給電圧を印加する。転写ローラ用電源104は、転写ローラ40に、感光体ドラム21のトナーを媒体Pに転写するための転写電圧を印加する。
帯電ローラ用電源101、現像ローラ用電源102、供給ローラ用電源103および転写ローラ用電源104は、図3には1つずつ示しているが、プロセスユニット2K,2C,2M,2Yのそれぞれに対応して設けられている。
ヘッド制御部105は、画像データ編集メモリ14に記録されたイメージデータをLEDヘッド5に送り、LEDヘッド5の発光を制御する。ヘッド制御部105は、図3には1つだけ示しているが、LEDヘッド5K,5C,5M,5Yのそれぞれに対応して設けられている。
ベルト駆動制御部106は、転写ユニット4のドライブローラ42を回転させるベルトモータ111を駆動し、転写ベルト41を走行させる。
定着制御部107は、サーミスタ7cの検出温度に基づき、定着ユニット7の定着ローラ7aのヒータに電圧を印加し、定着ローラ7aの温度を所定の温度(定着温度)に保つ。
定着駆動制御部108は、定着ユニット7の定着ローラ7aを回転させる定着モータ112を駆動する。定着モータ112の回転は、媒体排出部8の排出ローラ8aにも伝達される。
搬送制御部109は、フィードローラ61および搬送ローラ62を回転させる搬送モータ113を駆動する。
駆動制御部110は、感光体ドラム21を回転させる駆動モータ(ドラムモータ)110の回転を制御する。なお、感光体ドラム21の回転は、伝達ギア等を介して、現像ローラ23および供給ローラ25に伝達される。また、帯電ローラ22は、感光体ドラム21に追従して回転する。
<画像形成装置の基本動作>
次に、画像形成装置1の基本動作について、図1および図3を参照して説明する。画像形成装置1のプロセスユニット2K,2C,2M,2Yは、トナーカートリッジ3K,3C,3M,3Yからブラック、シアン、マゼンタおよびイエローのトナーを補給され、印刷可能状態になっている。
画像形成装置1の制御部11は、インタフェース制御部12を介してパーソナルコンピュータ等の上位装置から印刷データと制御コマンドを受信すると、印刷動作(画像形成動作)を開始する。
制御部11の指示により、搬送制御部109が搬送モータ113を駆動し、媒体供給部6のフィードローラ61により、給紙カセット60内の媒体Pを搬送路10に送り出す。さらに、搬送ローラ62により、媒体Pを、プロセスユニット2K,2C,2M,2Yに向けて搬送する。
また、ベルト駆動制御部106がベルトモータ111を駆動し、転写ユニット4のドライブローラ42が回転し、転写ベルト41を矢印Bで示す方向に走行させる。転写ベルト41は、媒体Pを吸着保持して、プロセスユニット2K,2C,2M,2Yを通過するように搬送する。
また、制御部11の指示により、駆動制御部110が駆動モータ114を駆動し、感光体ドラム21K,21C,21M,21Yを回転させる。駆動モータ114の回転は、現像ローラ23K,23C,23M,23Yおよび供給ローラ25K,25C,25M,25Yにも伝達され、現像ローラ23K,23C,23M,23Yおよび供給ローラ25K,25C,25M,25Yも回転する。
プロセスユニット2K,2C,2M,2Yでは、帯電ローラ22K,22C,22M,22Yが、帯電ローラ用電源101により帯電電圧を付与され、感光体ドラム21K,21C,21M,21Yの表面をそれぞれ一様に帯電する。
LEDヘッド5K,5C,5M,5Yは、ヘッド制御部105によって駆動され、各色のイメージデータに基づいて感光体ドラム21K,21C,21M,21Yの表面を露光して、静電潜像を形成する。
現像ローラ23K,23C,23M,23Yは、現像ローラ用電源102により現像電圧を付与され、表面に付着したトナーを帯電させる。
現像ブレード24K,24C,24M,24Yは、現像ローラ23K,23C,23M,23Yに押し当てられ、現像ローラ23K,23C,23M,23Yの表面のトナー層の厚さを規制する。なお、現像ブレード24K,24C,24M,24Yに、バイアス電圧(ブレード電圧)を付与してもよい。
供給ローラ25K,25C,25M,25Yは、供給ローラ用電源103により供給電圧を付与され、トナーカートリッジ3K,3M,3Y,3Cから補給されたトナーを現像ローラ23K,23C,23M,23Yに供給する。
また、供給ローラ25K,25C,25M,25Yは、現像ローラ23K,23C,23M,23Yとの接触摩擦によりトナーを帯電する作用と、現像ローラ23K,23C,23M,23Yから現像に使われなかったトナーを掻き取る(すなわち回収する)作用も奏する。
クリーニングブレード26K,26C,26M,26Yは、感光体ドラム21K,21C,21M,21Yの表面に残ったトナーを掻き取って除去する。掻き取られたトナー(廃トナー)は、図示しない搬送スパイラルによって搬送され、回収される。
転写ユニット4の転写ローラ40K,40C,40M,40Yは、転写ローラ用電源104により転写電圧を付与され、感光体ドラム21K,21C,21M,21Yから媒体Pに各色のトナー像を転写する。
このようにして各色のトナー像が転写された媒体Pは、転写ベルト41によってさらに搬送され、定着ユニット7に到達する。
定着ユニット7では、定着制御部107が定着ローラ7aのヒータを制御し、定着ローラ7aの表面温度を所定の温度に維持している。また、定着駆動制御部108により定着モータ112が駆動され、定着ローラ7aが回転している。媒体Pが定着ローラ7aと加圧ローラ7bとの圧接部(定着ニップ)を通過することにより、トナー像が熱および圧力を付与され、媒体Pに定着される。
トナー像が定着した媒体Pは、媒体排出部8の排出ローラ8aによって画像形成装置1の外部に排出され、スタッカ部8bに載置される。
<供給ローラ25の構成および製造方法>
次に、本実施の形態の供給ローラ25の構成および製造方法について説明する。図4(A)は、供給ローラ25を示す正面図であり、図4(B)は、供給ローラ25を示す断面図である。上記の通り、供給ローラ25は、芯金(シャフト)25bと、芯金25bの表面に形成された弾性層としての導電性発泡層25aとを有する。
導電性発泡層25aの外径D1は、例えば13[mm]であり、芯金25bの外径D2は、例えば6[mm]である。導電性発泡層25aの軸方向の長さL1は、例えば222[mm]である。導電性発泡層25aと芯金25bとの間に、接着層を形成してもよい。
芯金25bは、剛性と導電性を有する金属、例えば鉄、銅、真輸、ステンレス、アルミニウム、ニッケル等で構成される。但し、芯金25bは、剛性と導電性を有する材料であれば、金属以外の材料で構成してもよい。例えば、芯金25bは、導電性粒子を分散した樹脂成型品、あるいはセラミックス等で構成してもよい。
芯金25bの形状は、ロール状であってもよく、中空のパイプ状であっても良い。芯金25bの端部には、ギアを装着するための段差25cを形成してもよく、また、ピン穴等を形成してもよい。芯金25bの端部に、中央部(すなわち導電性発泡層25aに囲まれた部分)よりも径が細い軸受部を形成してもよい。
導電性発泡層25aの外径は、軸方向に一定である。但し、供給ローラ25の軸方向端部に近づくにつれて外径が減少するクラウン形状あるいはテーパ形状であっても良く、両端部で径が異なる形状であってもよい。
導電性発泡層25aは、表面に開口する多数のセル(気泡)201を有する。セル201は、互いに連続しない独立気泡である。隣り合うセル201の間には、壁部(セル壁と称する)202が形成されている。
導電性発泡層25aを構成するゴム材料は、例えば、シリコーンゴム、ウレタンゴム、EPDM(エチレン・プロピレン・ジエンゴム)、アクリルゴム、エチレンプロピレンゴム、スチレンブタジエンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム等である。
導電性発泡層25aを構成するゴム材料は、シリコーンゴムを主成分とすることが最も望ましい。シリコーンゴムは、上述した独立気泡を有するためである。なお、主成分とは、全体の50重量[%]を占める成分を意味する。また、シリコーンゴムは、変性シリコーンゴムであってもよい。
次に、供給ローラ25の製造工程について説明する。図5は、供給ローラ25の製造工程を示すフローチャートである。まず、上述したゴム材料に、フィラー、発泡剤および架橋剤を添加する(ステップS101)。
フィラーには、補強性充填剤と導電性充填剤とがある。補強性充填剤としては、例えば、シリカ(煙霧質シリカまたは沈降性シリカ)、補強性カーボンブラック等を用いることができる。導電性充填剤としては、例えば、導電性カーボンブラック、ニッケル、アルミニウム、銅等の金属粉末、酸化亜鉛等の金属酸化物、もしくは、硫酸バリウム、酸化チタン、チタン酸カリウム等に酸化錫をコーティングしたもの等を用いることができる。ここでは、フィラーとして、チタン、補強性カーボンブラック、および導電性カーボンブラックを用いる。
発泡剤としては、アゾ化合物系発泡剤(ここでは、アゾビスイソブチルニトリル:AIBN)を用いる。但し、アゾ化合物系発泡剤の代わりに、重炭酸塩系、イソシアネート系、亜硝酸塩、ヒドラジナ誘導体、またはアジド化合物系発泡剤等を用いてもよい。
架橋剤(加硫剤)としては、パーオキサイドおよび硫黄系加硫剤を用いる。但し、これらの代わりに、白金触媒存在下のハイドロジェンシロキサン、またはイソシアネート剤等を用いてもよい。
このようにゴム材料に、フィラー、発泡剤および架橋剤を添加したものを、加圧ニーダまたはミキシングロール等を用いて、混合し、混練する(ステップS102)。
混練したゴム組成物を押出成型機に充填して、芯金25bの周囲に押し出し成形する(ステップS103)。これにより、芯金25bの表面に円筒状のゴム組成物が成形される。以下では、芯金25bの表面にゴム組成物(ゴムコンパウンド)が形成されたものを、ローラ体と称する。
次に、このようにして形成したローラ体を加熱炉内にセットし、ゴムの加硫に必要な温度に加熱する(ステップS104)。この工程(1次加硫工程)では、ゴムの加硫が進行するが、発泡は生じない。
1次加硫工程の後、発泡のためのプレ加硫工程(ステップS105)を行う。プレ加硫工程では、上述した1次加硫工程よりも高い温度でローラ体を加熱する。これにより、発泡が生じて気泡(セル)が形成され、ゴムの加硫も進行する。ステップS105と後述するステップS107を、発泡処理と称する。
プレ加硫工程の後、加熱炉からローラ体を取り出し、ローラ体の発泡層の外周を粗研磨する(ステップS106)。ここでは、発泡層の外周(表面)の厚さ数[mm]の範囲を、粗研磨で取り除く。上述した1次加硫工程およびプレ加硫工程では、発泡層の外周に、気泡の小さいスキン層が形成されるが、このスキン層は粗研磨によって取り除かれる。
その後、粗研磨したローラ体を加熱炉内にセットし、2次加硫工程(ステップS107)を行う。2次加硫工程では、1次加硫工程における加熱温度よりも高い温度までローラ体を加熱する。これにより、さらに発泡が生じ、ゴムの加硫も進行する。
2次加硫工程では、予めスキン層が取り除かれているため、ゴムの架橋状態の偏り(歪み)を抑制し、気泡を均一に(すなわち、発泡層の表面全体に亘って均一な大きさに)形成することができる。また、2次加硫工程では、シリコーンに由来する低分子シロキサンが揮発により除去されるが、上記のように発泡層の表面からスキン層が取り除かれているため、低分子シロキサンを効果的に除去することができる。
2次加硫工程の後、ローラ体の発泡層の表面を仕上げ加工して、所定の外径を得る(ステップS108)。これにより、芯金25bの表面に導電性発泡層25aが形成された供給ローラ25が形成される。
<供給ローラ25の特性>
次に、供給ローラ25の特性について、さらに説明する。供給ローラ25の導電性発泡層25a(図4(A))は、上記の通り、シリコーンゴムを主成分としている。ウレタンゴムを主成分とする一般的な導電性発泡層が連続気泡を有するのに対し、シリコーンゴムを主成分とする導電性発泡層25aは独立気泡を有する。
連続気泡を有する導電性発泡層の場合、トナーが気泡の内部に奥深くまで侵入可能であるため、気泡内でトナーが詰まる可能性がある。そのため、画像形成装置1による印刷枚数の増加と共に、気泡内に詰まるトナーが増加し、その結果、導電性発泡層の硬度および電気抵抗が上昇し、トナーの供給不足に起因する画像むら(カスレ)が発生する可能性がある。
これに対し、独立気泡を有する導電性発泡層25aの場合、トナーが気泡の内部に奥深くまで侵入することがなく、気泡内のトナーの詰まりが生じにくい。そのため、画像形成装置1による印刷枚数が増加しても、導電性発泡層25aの硬度および電気抵抗の上昇が少なく、画像むら(カスレ)の発生も抑制される。
導電性発泡層25aの硬度は、発泡剤(例えばアゾビスイソブチルニトリル)の添加量によって調整する。導電性発泡層25aのアスカーF硬度は、40度以上、46度以下であることが望ましい。
導電性発泡層25aのアスカーF硬度が46度よりも高い場合には、トナーにかかる負荷が増加して画像のグレイニネス(粒状性:ざらつき感)が高くなり、また、両ローラ23,25の接触による摩耗の増加によって耐久性が低下する。一方、導電性発泡層25aのアスカーF硬度が40度未満の場合には、硬度調整に必要な発泡剤の量が多くなり過ぎるため発泡状態にむらが生じ、供給ローラ25の品質が安定しない。
導電性発泡層25aのセル(気泡)201の大きさ、およびセル201を仕切るセル壁202の厚さも、発泡剤の添加量によって変化させることができる。ここでは、後述するように、セル201の大きさ(セル径)は380~480[μm]であり、セル壁202の厚さは25.3~32.2[μm]である。
供給ローラ25は、現像ローラ23にトナーを供給するだけでなく、感光体ドラム21に転写されずに現像ローラ23の表面に残ったトナーを掻き取る作用を奏する。供給ローラ25が摩耗すると、現像ローラ23と供給ローラ25との間の接触圧が低下し、掻き取り能力が低下する。これは、画像に汚れが発生する原因となる。なお、「汚れ」とは、媒体Pにおいて、本来は画像が形成されない部分(白地部分)にトナーが付着することをいう。
以下では、供給ローラ25の掻き取り能力を向上するための特性について説明する。供給ローラ25の特性は、
(A)JIS-K6251の引張試験による伸張度、
(B)円筒状の圧子を供給ローラ25に押し当てて行う負荷回転試験による反発力の減衰率、および
(C)研磨フィルムを固定した圧子を供給ローラ25に押し当てて行う摩耗試験による外径および重量の減少量
に基づいて評価した。これらについて、順に説明する。
<引張試験>
供給ローラ25の導電性発泡層25aを構成するゴム材料の、加硫後、発泡処理前の材料(ソリッドのゴム材料)を用いて、図6に示すように、JIS-K6251に規定するダンベル1号形状の試験片9を成形した。試験片9は、一方向に長い板状片であり、長手方向中央の平行部91と、長手方向両端のつかみ部92とを有する。なお、加硫後、発泡処理前の材料とは、図5を参照して説明した製造工程において、ステップS104の加硫工程後、ステップS105のプレ加硫工程を行う前の材料である。
図6において、符号9,91,92以外の数字は寸法を表しており、単位は[mm]である。試験片9の全長は120[mm]であり、標線間距離は80[mm]である。試験片9の平行部91の幅は10[mm]であり、各つかみ部92の最大幅は25[mm]である。
試験片9を引張試験機に取り付け、JIS-K6251に基づく引張試験を行った。試験片9の両端のつかみ部92を、引張試験機の上下一対のチャック(把持部)で把持し、長手方向に引張力を加えた。試験片9のチャック間距離は、80[mm]とした。引張試験機による引張速度は、500[mm/分]とした。
このように試験片9に引張力を加え、試験片9が破断したときの試験片9の伸び率を、伸び率E[%]とする。より具体的には、伸び率E[%]は、試験片9の引張前の長さ120[mm]に対する、試験片9の破断時の長さの比率である。
また、引張試験機のロードセルで測定した試験片9の破断時の応力を、応力S[N/mm]とする。
ここでは、試験片9の破断時の伸び率E[%]を、破断時の応力S[N/mm]で除算した値を、伸張度[%/(N/mm)]と定義する。伸張度が高いほど、導電性発泡層25aが回転方向に変形しやすく、伸張度が低いほど、導電性発泡層25aが回転方向に変形する際に破断しやすい。
<負荷回転試験>
図7は、供給ローラ25の負荷回転試験を説明するための模式図である。試験機としては、イントロン株式会社製の試験機「5543A」を用いた。試験機には、図7に示すように、供給ローラ25の芯金25bを回転可能に支持する一対の支持部82が備えられている。
供給ローラ25の導電性発泡層25aの表面の軸方向中心には、円筒状の圧子81を、軸方向と垂直に押し当てた。圧子81はステンレス製であり、圧子81の軸方向は供給ローラ25の軸方向と平行である。圧子81の軸方向の長さLは50[mm]であり、外径Dは16[mm]である。
供給ローラ25を回転速度200rpm(周速136.1[mm/秒])で回転させながら、圧子81を、押し込み速度10[mm/分]で供給ローラ25の導電性発泡層25aに押し込んだ。圧子81の導電性発泡層25aへの押し込み量が0.73[mm]に達すると、その状態を維持したまま、供給ローラ25を6時間回転させた。
上記の試験機には、圧子81が供給ローラ25から受ける反力(すなわち導電性発泡層25aの反発力)を測定する検出部(ロードセル)83が備えられている。
圧子81の導電性発泡層25aへの押し込み量が0.73[mm]に達した時点で検出部83により測定した反発力を、初期状態の反発力F1(N)とする。圧子81を0.73[mm]押し込んだ状態で供給ローラ25を6時間回転させた時点で、検出部83により測定した反発力を、連続回転後の反発力F2(N)とする。
ここでは、初期状態の反発力F1(N)に対する連続回転後の反発力F2(N)の割合を、反発力の減衰率A[%]と定義する。反発力の減衰率(減少率)A[%]は、以下の式で表される。
A={1-(F2/F1)}×100
<摩耗試験>
図8(A)は、供給ローラ25の摩耗試験を説明するための模式図である。試験機としては、イントロン株式会社製の試験機「5543A」を用いた。試験機には、図8(A)に示すように、供給ローラ25の芯金25bを回転可能に支持する一対の支持部73が備えられている。
供給ローラ25の導電性発泡層25aの表面の軸方向中心には、金属板である圧子71を、軸方向と垂直に押し当てた。
図8(B)は、圧子71を拡大して示す斜視図である。圧子71は、ステンレス製の板状部材である。圧子71は、供給ローラ25の軸方向に平行な正方形の表面71aを有する。圧子71の表面71aの供給ローラ25の軸方向の長さA1と、これに直交する方向の長さA2は、いずれも50[mm]である。圧子71の厚さTは、10[mm]である。
圧子71の表面71aには、粒度30[μm](#600)のラッピングフィルム(研磨フィルム)72が固着されている。ラッピングフィルム72は、住友スリーエム株式会社製の「ラッピングフィルムシート30ミクロン」(LF3-30、A0-SHT)を用いた。圧子71は、ラッピングフィルム72を供給ローラ25の導電性発泡層25aの表面に接触させるようにして、導電性発泡層25aに押し当てられる。
供給ローラ25を回転速度200rpm(周速136.1[mm/秒])で回転させながら、圧子71を、押し込み速度10[mm/分]で供給ローラ25の導電性発泡層25aに押し込んだ。圧子71の導電性発泡層25aへの押し込み量が0.73[mm]に達すると、その状態を維持したまま、供給ローラ25を250秒間回転させた。
図9は、供給ローラ25の外径変化率および重量変化率の測定手順を示すフローチャートである。まず、摩耗試験の開始前に、供給ローラ25の重量(重量w1とする)を測定した(ステップS201)。供給ローラ25の重量測定には、株式会社島津製作所製の電子天秤「UW2200H」を用いた。
次に、供給ローラ25の外径(外径d1とする)を測定した(ステップS202)。供給ローラ25の外径測定には、アポロ精工株式会社製のローラ径自動測定装置「RM202」を用いた。また、供給ローラ25における圧子71との接触領域C(図8(A))において、軸方向に等間隔に9か所で外径を測定し、平均値を求めた。
その後、上述したように供給ローラ25を回転速度200rpm(周速136.1[mm/秒])で回転させ、圧子71を押し込み速度10[mm/分]で導電性発泡層25aに押し込み、押し込み量が0.73[mm]に達すると、その状態を維持したまま供給ローラ25を250秒間回転させ、圧子71を導電性発泡層25aから離間させた(ステップS203)。
この状態で、供給ローラ25の重量(重量w2とする)を測定し(ステップS204)、さらに、供給ローラ25の外径(外径d2とする)を測定した(ステップS205)。供給ローラ25の重量および外径の測定方法は、ステップS201,S202で説明したとおりである。
ステップS201,S204で求めた供給ローラ25の重量w1,w2から、供給ローラ25の重量減少量(すなわちw1-w2)を求めた。供給ローラ25の重量減少量は、供給ローラ25の摩耗量を反映している。
また、ステップS202,S205で求めた供給ローラ25の外径1,2から、供給ローラ25の外径減少量(すなわち1-2)を求めた。供給ローラ25の外径減少量は、供給ローラ25の摩耗量とセル壁の倒れ具合(へたり具合)を反映している。
<印刷試験>
次に、供給ローラ25を用いた印刷試験について説明する。印刷試験は、供給ローラ25を組み込んだプロセスユニット2を、図1に示した画像形成装置1に搭載して行った。画像形成装置1としては、株式会社沖データ製カラーLEDプリンタ「c542dn」を用いた。解像度は600dpiとした。
印刷試験では、画像形成装置1のマゼンタのプロセスユニット2Mによりテストパターン(後述)を印刷した。プロセスユニット2Mには、凝集度が48~58[%]でブローオフ帯電量が75~80[μC/g]のマゼンタトナーを約30.0±0.5[g]充填した。
媒体Pとしては、富士ゼロックス株式会社製のA4サイズの印刷用紙「P紙厚口」を用いた。媒体Pは縦送り(媒体Pの長辺が搬送方向と平行)とし、印刷速度は40PPM(Page Per Minute)とした。試験環境は、温度20[℃]、相対湿度50[%]とした。
このような条件で、デューティ比が0.3[%]のテストパターン(連続印刷用パターン)を1日に2500枚連続印刷し、これを20日間繰り返した。すなわち、合計50,000の媒体Pに、連続印刷用パターンを印刷した。
デューティ比が0.3[%]の連続印刷用パターンは、図10に示すように、媒体Pの印刷可能領域P0内に、媒体Pの搬送方向(矢印Fで示す)と平行な2本の罫線P1を形成したものである。
なお、デューティ比は、印刷画像密度とも呼ばれ、以下のように定義される。
印刷画像密度(デューティ比)=〔Cm(i)/(Cd×C0)〕×100
この式において、Cm(i)は、感光体ドラム21がCd回転する間に発光したLEDヘッド5のドットの数である。C0は、感光体ドラム21が1回転する間に発光可能なLEDヘッド5のドット数である。Cd×C0は、感光体ドラム21がCd回転する間に発光可能なLEDヘッド5のドット数である。
すなわち、媒体Pの印刷可能領域P0の全面にベタ画像を印刷した場合に、印刷画像密度が100[%]となる。この印刷画像密度100[%]に対して、面積が1[%]となる画像を印刷した場合には、印刷画像密度が1[%]となる。
上記の20日間において、1日2,500の連続印刷が完了した後、1枚の媒体Pに、図11に示す評価用パターンを印刷した。印刷用紙(媒体P)としては、株式会社沖データ製のA4サイズの「エクセレントホワイト」を用いた。使用したプロセスユニット、トナー、媒体Pの送り方向、印刷速度、および試験環境は、連続印刷時と同様である。
図11に示すように、評価用パターンは、2×2(ハーフトーン)パターンである。2×2パターンは、縦方向4ドットおよび横方向4ドットで形成される16マスのうち、縦方向2ドットおよび横方向2ドットで形成される4マスのドットを形成するものである。
その後、媒体P上の評価用パターンを目視で観察し、汚れの有無を判断した。汚れとは、媒体Pの白地部分にトナーが付着している状態を指す。これは、現像ローラ23上の残トナー(感光体ドラム21に転写されずに残ったトナー)が供給ローラ25によって十分に掻き取られないことにより、感光体ドラム21上の現像予定部分でないところにトナーが付着することによって生じる。
20日間の評価用パターンの目視観察を通じて、汚れが全く観察されなかった場合には、評価結果を「良好(〇)」とした。これに対し、1日でも汚れが観察された場合には、評価結果を「不良(×)」とした。
<セル径、セル壁厚さ、セル面積率の測定>
次に、導電性発泡層25aのセル201の大きさ(セル径)、セル壁202の厚さ(セル壁厚さ)、およびセル201の面積率(セル面積率)の測定方法について説明する。
図5を参照して説明した方法で供給ローラ25を作製したのち、導電性発泡層25aの表面の任意の5か所で、2[mm]角のエリアMをデジタルマイクロスコープで観察した。このときの観察画像の例を、図12に示す。図12に示したように、セル201と、隣り合うセル201同士を隔てるセル壁202とが確認できた。
デジタルマイクロスコープによる観察画像において、各エリアMに含まれる複数のセル201の最大寸法(セル径)を測定し、各エリアMのセル径の平均値を求めた。さらに、5か所のエリアMのセル径の平均値を求めた。
同様に、デジタルマイクロスコープによる観察画像から、隣接するセル間の壁(すなわちセル壁202)の厚さを測定し、各エリアMのセル壁厚さの平均値を求めた。さらに、5か所のエリアMのセル壁厚さの平均値を求めた。
また、デジタルマイクロスコープによる観察画像から、各エリアMの面積(4mm)のうち、セル201が占める面積の占有率(セル面積率)を測定し、5か所のエリアMのセル面積率の平均値を求めた。
<実施例>
次に、本実施の形態における実施例1~7と、これに対する比較例1~9について説明する。
(実施例1)
実施例1として、導電性発泡層25aを有する供給ローラ25を作製した。導電性発泡層25aを形成するゴム材料としては、付加反応型発泡導電性シリコーンゴム組成物を用いた。
具体的には、シリコーン発泡ゴム組成物である信越化学工業社製「KE-904FU」70質量部と、導電性付与剤としての信越化学工業社製「KE-87C40PU」30質量部と、付加反応架橋剤としての信越化学工業社製「C-153A」2質量部と、発泡剤としてのアゾビスイソブチロニトリル5質量部と、付加反応触媒としての白金触媒0.45質量部と、反応制御剤としての信越化学工業社製「R-153A」0.5質量部と、有機過酸化物架橋剤としての信越化学工業社製「C-3」2質量部とを十分に混練することにより、付加反応型発泡導電性シリコーンゴム組成物を調製した。
また、供給ローラ25を以下のようにして作製した。まず、芯金25bをトルエン洗浄したのち、プライマーを塗布した。そののち、プライマーを塗布した芯金25bを150℃の温度で焼成し、室温まで冷却することで芯金25bにプライマー層を形成した。次に、プライマー層が形成された芯金25bの周囲に、上記の付加反応型発泡導電性シリコーンゴム組成物を押出成形機により成形し、ソリッドのゴム材料を形成した。次いで、260℃の温度下で10分間に亘って加熱(一次加硫)し、発泡架橋させた。そののち、発泡架橋した付加反応型発泡導電性シリコーンゴム組成物を200℃の温度下で20分間に亘って加熱(二次加硫)したのち、常温下にて放置した。さらに、このようにして形成した導電性発泡層25aを、厚さが3.5[mm]となるまで研磨した。導電性発泡層25aはストレート形状(円筒状)とし、外径は13[mm]とした。
デジタルマイクロスコープを用いた測定の結果、実施例1の供給ローラ25のセル径は405[μm]であり、セル壁厚さは30.2[μm]であり、セル面積率は58[%]であった。
また、実施例1の供給ローラ25の導電性発泡層25aの構成材料(すなわち、上述した付加反応型発泡導電性シリコーンゴム組成物)を用いて図6に示した試験片9を作製し、JIS-K6251に基づき引張試験を行ったところ、伸張度は81.6[%/(N/mm)]であった。
さらに、実施例1の供給ローラ25に、図7を参照して説明した負荷回転試験を行ったところ、反発力減衰率は28[%]であった。
また、実施例1の供給ローラ25に、図8,9を参照して説明した摩耗試験を行ったところ、外径減少量は0.03[mm]であり、重量減少量は0.07[g]であった。
また、実施例1の供給ローラ25を組み込んだプロセスユニット2Mを画像形成装置1に搭載し、上述した連続印刷(2500枚ずつ、20日間)および評価用パターンの印刷(1枚ずつ、20日間)を行ったところ、20日間を通じて、汚れは一度も観察されなかった。
(実施例2)
実施例2として、実施例1に対して発泡剤の添加量を変更し、その他は実施例1と同様の方法で、導電性発泡層25aを有する供給ローラ25を作製した。実施例2の供給ローラ25では、セル径は380[μm]であり、セル壁厚さは29.4[μm]であり、セル面積率は56[%]であった。
また、引張試験による伸張度は81.6[%/(N/mm)]であり、負荷回転試験による反発力減衰率は31[%]であった。また、摩耗試験による外径減少量は0.03[mm]であり、重量減少量は0.06[g]であった。また、印刷試験の結果、評価用パターンに汚れは観察されなかった。
(実施例3)
実施例3として、実施例1に対して発泡剤の添加量を変更し、その他は実施例1と同様の方法で、導電性発泡層25aを有する供給ローラ25を作製した。実施例3の供給ローラ25では、セル径は394[μm]であり、セル壁厚さは31.4[μm]であり、セル面積率は60[%]であった。
また、引張試験による伸張度は72.6[%/(N/mm)]であり、負荷回転試験による反発力減衰率は27[%]であった。また、摩耗試験による外径減少量は0.02[mm]であり、重量減少量は0.07[g]であった。また、印刷試験の結果、評価用パターンに汚れは観察されなかった。
(実施例4)
実施例4として、実施例1に対して発泡剤の添加量を変更し、その他は実施例1と同様の方法で、導電性発泡層25aを有する供給ローラ25を作製した。実施例4の供給ローラ25では、セル径は434[μm]であり、セル壁厚さは27.9[μm]であり、セル面積率は57[%]であった。
また、引張試験による伸張度は72.6[%/(N/mm)]であり、負荷回転試験による反発力減衰率は31[%]であった。また、摩耗試験による外径減少量は0.02[mm]であり、重量減少量は0.04[g]であった。また、印刷試験の結果、評価用パターンに汚れは観察されなかった。
(実施例5)
実施例5として、実施例1に対して発泡剤の添加量を変更し、その他は実施例1と同様の方法で、導電性発泡層25aを有する供給ローラ25を作製した。実施例5の供給ローラ25では、セル径は472[μm]であり、セル壁厚さは32.2[μm]であり、セル面積率は56[%]であった。
また、引張試験による伸張度は72.6[%/(N/mm)]であり、負荷回転試験による反発力減衰率は31[%]であった。また、摩耗試験による外径減少量は0.03[mm]であり、重量減少量は0.05[g]であった。また、印刷試験の結果、評価用パターンに汚れは観察されなかった。
(実施例6)
実施例6として、実施例1に対して発泡剤の添加量を変更し、その他は実施例1と同様の方法で、導電性発泡層25aを有する供給ローラ25を作製した。実施例6の供給ローラ25では、セル径は480[μm]であり、セル壁厚さは33.0[μm]であり、セル面積率は54[%]であった。
また、引張試験による伸張度は75.6[%/(N/mm)]であり、負荷回転試験による反発力減衰率は29[%]であった。また、摩耗試験による外径減少量は0.03[mm]であり、重量減少量は0.05[g]であった。また、印刷試験の結果、評価用パターンに汚れは観察されなかった。
(実施例7)
実施例7として、実施例1に対して発泡剤の添加量を変更し、その他は実施例1と同様の方法で、導電性発泡層25aを有する供給ローラ25を作製した。実施例7の供給ローラ25では、セル径は396[μm]であり、セル壁厚さは25.3[μm]であり、セル面積率は59[%]であった。
また、引張試験による伸張度は72.6[%/(N/mm)]であり、負荷回転試験による反発力減衰率は28[%]であった。また、摩耗試験による外径減少量は0.02[mm]であり、重量減少量は0.06[g]であった。また、印刷試験の結果、評価用パターンに汚れは観察されなかった。
(比較例1)
比較例1として、実施例1に対して発泡剤の添加量を変更し、その他は実施例1と同様の方法で、導電性発泡層25aを有する供給ローラ25を作製した。比較例1の供給ローラ25では、セル径は284[μm]であり、セル壁厚さは26.2[μm]であり、セル面積率は64[%]であった。
また、引張試験による伸張度は65.8[%/(N/mm)]であり、負荷回転試験による反発力減衰率は24[%]であった。また、摩耗試験による外径減少量は0.05[mm]であり、重量減少量は0.31[g]であった。また、印刷試験の結果、評価用パターンに汚れが観察された。
(比較例2)
比較例2として、実施例1に対して発泡剤の添加量を変更し、その他は実施例1と同様の方法で、導電性発泡層25aを有する供給ローラ25を作製した。比較例2の供給ローラ25では、セル径は263[μm]であり、セル壁厚さは24.7[μm]であり、セル面積率は60[%]であった。
また、引張試験による伸張度は61.8[%/(N/mm)]であり、負荷回転試験による反発力減衰率は26[%]であった。また、摩耗試験による外径減少量は0.05[mm]であり、重量減少量は0.30[g]であった。また、印刷試験の結果、評価用パターンに汚れが観察された。
(比較例3)
比較例3として、実施例1に対して発泡剤の添加量を変更し、その他は実施例1と同様の方法で、導電性発泡層25aを有する供給ローラ25を作製した。比較例3の供給ローラ25では、セル径は278[μm]であり、セル壁厚さは25.9[μm]であり、セル面積率は61[%]であった。
また、引張試験による伸張度は69.4[%/(N/mm)]であり、負荷回転試験による反発力減衰率は27[%]であった。また、摩耗試験による外径減少量は0.06[mm]であり、重量減少量は0.20[g]であった。また、印刷試験の結果、評価用パターンに汚れが観察された。
(比較例4)
比較例4として、実施例1に対して発泡剤の添加量を変更し、その他は実施例1と同様の方法で、導電性発泡層25aを有する供給ローラ25を作製した。比較例4の供給ローラ25では、セル径は573[μm]であり、セル壁厚さは23.3[μm]であり、セル面積率は48[%]であった。
また、引張試験による伸張度は87.0[%/(N/mm)]であり、負荷回転試験による反発力減衰率は33[%]であった。また、摩耗試験による外径減少量は0.05[mm]であり、重量減少量は0.01[g]であった。また、印刷試験の結果、評価用パターンに汚れが観察された。
(比較例5)
比較例5として、実施例1に対して発泡剤の添加量を変更し、その他は実施例1と同様の方法で、導電性発泡層25aを有する供給ローラ25を作製した。比較例5の供給ローラ25では、セル径は479[μm]であり、セル壁厚さは18.5[μm]であり、セル面積率は45[%]であった。
また、引張試験による伸張度は91.2[%/(N/mm)]であり、負荷回転試験による反発力減衰率は34[%]であった。また、摩耗試験による外径減少量は0.06[mm]であり、重量減少量は0.02[g]であった。また、印刷試験の結果、評価用パターンに汚れが観察された。
(比較例6)
比較例6として、実施例1に対して発泡剤の添加量を変更し、その他は実施例1と同様の方法で、導電性発泡層25aを有する供給ローラ25を作製した。比較例6の供給ローラ25では、セル径は504[μm]であり、セル壁厚さは22.8[μm]であり、セル面積率は47[%]であった。
また、引張試験による伸張度は85.8[%/(N/mm)]であり、負荷回転試験による反発力減衰率は36[%]であった。また、摩耗試験による外径減少量は0.05[mm]であり、重量減少量は0.04[g]であった。また、印刷試験の結果、評価用パターンに汚れが観察された。
(比較例7)
比較例7として、実施例1に対して発泡剤の添加量を変更し、その他は実施例1と同様の方法で、導電性発泡層25aを有する供給ローラ25を作製した。比較例7の供給ローラ25では、セル径は313[μm]であり、セル壁厚さは24.6[μm]であり、セル面積率は64[%]であった。
また、引張試験による伸張度は65.8[%/(N/mm)]であり、負荷回転試験による反発力減衰率は30[%]であった。また、摩耗試験による外径減少量は0.07[mm]であり、重量減少量は0.21[g]であった。また、印刷試験の結果、評価用パターンに汚れが観察された。
(比較例8)
比較例8として、実施例1に対して発泡剤の添加量を変更し、その他は実施例1と同様の方法で、導電性発泡層25aを有する供給ローラ25を作製した。比較例8の供給ローラ25では、セル径は330[μm]であり、セル壁厚さは22.9[μm]であり、セル面積率は62[%]であった。
また、引張試験による伸張度は61.8[%/(N/mm)]であり、負荷回転試験による反発力減衰率は31[%]であった。また、摩耗試験による外径減少量は0.06[mm]であり、重量減少量は0.22[g]であった。また、印刷試験の結果、評価用パターンに汚れが観察された。
(比較例9)
比較例9として、実施例1に対して発泡剤の添加量を変更し、その他は実施例1と同様の方法で、導電性発泡層25aを有する供給ローラ25を作製した。比較例9の供給ローラ25では、セル径は369[μm]であり、セル壁厚さは24.3[μm]であり、セル面積率は61[%]であった。
また、引張試験による伸張度は69.4[%/(N/mm)]であり、負荷回転試験による反発力減衰率は33[%]であった。また、摩耗試験による外径減少量は0.06[mm]であり、重量減少量は0.19[g]であった。また、印刷試験の結果、評価用パターンに汚れが観察された。
図13に、実施例1~7および比較例1~9の供給ローラ25についての評価結果をまとめて示す。
<供給ローラの特性と印刷結果との関係>
上記のとおり、実施例1~7の供給ローラ25を用いた場合には、印刷画像(評価用パターン)に汚れが観察されなかったのに対し、比較例1~9の供給ローラ25を用いた場合には、印刷画像に汚れが観察された。
実施例1~7では、伸張度が72.6~81.6[%/(N/mm)]であり、反発力減衰率が27~31[%]であり、外径減少量が0.03[mm]以下であり、重量減少量が0.07m[g]以下である。
一方、比較例1~3,7~9では、伸張度が72.6[%/(N/mm)]未満であり、外径減少量が0.03[mm]を超え、重量減少量が0.07[g]を超えている。すなわち、比較例1~3,7~9では、導電性発泡層25aを構成するゴム材料の伸張度が低すぎるため、供給ローラ25が現像ローラ23と接触しながら回転する際に、供給ローラ25が回転方向に変形しにくく、従ってセル壁202が破断しやすい。すなわち、供給ローラ25の摩耗量が多い。そのため、摩耗試験による供給ローラ25の外径減少量および重量減少量がいずれも多くなっている。
このように供給ローラ25の摩耗量が多いため、連続印刷を行うと、供給ローラ25と現像ローラ23との接触圧(ニップ圧)が低下し、供給ローラ25によるトナーの掻き取り能力が低下し、これにより印刷画像に汚れが発生する。
また、比較例4~6では、伸張度が81.6[%/(N/mm)]を超え、反発力減衰率が31[%]を超えている。また、重量減少量は0.07[g]以下であるが、外径減少量が0.03[mm]を超えている。すなわち、比較例4~6では、導電性発泡層25aを構成するゴム材料の伸張度が高すぎるため、供給ローラ25が現像ローラ23と接触しながら回転する際に、供給ローラ25が回転方向に変形しやすい。すなわち、供給ローラ25の摩耗量は少ないものの、セル壁202が回転方向に倒れ(へたり)やすい。そのため、摩耗試験による供給ローラ25の重量減少量は少ないが、外径減少量が多くなっている。
このように供給ローラ25が回転方向に変形しやすいため、連続印刷を行うと、供給ローラ25のセル壁202が回転方向に倒れた状態になり、供給ローラ25によるトナーの掻き取り能力が低下し、これにより印刷画像に汚れが発生する。
図14に、供給ローラ25の導電性発泡層25aの構成材料の伸張度と、初期状態および連続印刷後のセル201の状態との関係を模式的に示す。伸張度が72.6[%/(N/mm)]未満の場合には、導電性発泡層25aが変形しにくいことから、セル壁202が破断して摩耗量が増加し、現像ローラ23との間のニップ圧が低下する。その結果、供給ローラ25によるトナーの掻き取り能力が低下し、印刷画像における汚れ発生の原因となる。
また、伸張度が81.6[%/(N/mm)]を超える場合には、導電性発泡層25aが変形しやすく、セル壁202が回転方向に倒れやすい。そのため、供給ローラ25によるトナーの掻き取り能力が低下し、印刷画像における汚れ発生の原因となる。これらの結果から、供給ローラ25の導電性発泡層25aを構成するゴム材料の伸張度は、72.6~81.6[%/(N/mm)]が望ましい。
図15に、供給ローラ25の導電性発泡層25aの反発力減衰率と、初期状態および負荷回転試験後のセルの状態との関係を模式的に示す。反発力減衰率が27[%]未満の場合には、導電性発泡層25aが変形しにくいことから、現像ローラ23に与える負荷が増加する。そのため、現像ローラ23の表面においてフィルミング現象が生じ、印刷不良の原因となる。
また、反発力減衰率が31[%]を超える場合には、導電性発泡層25aの押し込まれた部分が元に戻りにくい(弾性力による形状の回復が鈍い)ため、セル壁202が回転方向に倒れやすい。そのため、供給ローラ25によるトナーの掻き取り能力が低下し、印刷画像における汚れ発生の原因となる。これらの結果から、供給ローラ25の導電性発泡層25aの反発力減衰率は、27~31[%]が望ましい。
但し、比較例3,7,8では、反発力減衰率が27~31[%]の範囲に含まれるが、印刷画像に汚れが観察されている。そのため、伸張度が72.6~81.6[%/(N/mm)]であり、あるいは、次に説明する外径減少率が0.03[mm]以上である場合において、さらに反発力減衰率が27~31[%]であることが望ましいことが分かる。
また、摩耗試験による供給ローラ25の外径減少量は、供給ローラ25の導電性発泡層25aの摩耗とセル壁202の倒れの両方を反映している。外径減少量が0.03mmを超える場合、導電性発泡層25aの摩耗またはセル壁の倒れにより、現像ローラ23の表面の残トナーの掻き取り能力が低下し、印刷画像における汚れ発生の原因となる。そのため、摩耗試験による供給ローラ25の外径減少量は、0.03[mm]以下が望ましい。
また、摩耗試験による供給ローラ25の重量減少量は、供給ローラ25の導電性発泡層25aの摩耗を反映している。重量減少量が0.07gを超える場合、導電性発泡層25aの摩耗により、現像ローラ23の表面の残トナーの掻き取り能力が低下し、印刷画像における汚れ発生の原因となる。そのため、摩耗試験による供給ローラ25の重量減少量は、0.07[g]以上が望ましい。
但し、比較例4~6では、重量減少量が0.07[g]以下であるが、印刷画像に汚れが観察されている。そのため、伸張度が72.6~81.6[%/(N/mm)]であり、あるいは外径減少率が0.03[mm]以上である場合において、さらに重量減少量が0.07[g]以下であることが望ましいことが分かる。
上記の通り、供給ローラ25の導電性発泡層25aは、シリコーンゴムが主成分であることが望ましい。シリコーンゴムが主成分であれば、導電性発泡層25aのセルが独立気泡となるためである。
供給ローラ25の導電性発泡層25aから1辺が1[cm]の正方形の試料を切り出し、FT-IR(フーリエ変換赤外分光法)分析を行った。分析範囲は、波数400~4000[cm-1]とした。
図16は、シリコーンゴム製の導電性発泡層25aのFT-IR(フーリエ変換赤外分光法)分析により得られるスペクトル強度分布を示す図である。図16では、波数778[cm-1]にSiOのピークが見られ、波数995[cm-1]にSi-O-Siのピークが見られ、波数1254[cm-1]にSiCのピークが見られる。
図17は、ウレタンゴム製の導電性発泡層25aのFT-IR分析により得られるスペクトル強度分布を示す図である。図17では、波数1721[cm-1]にCOのピークが見られ、波数2937[cm-1]にNHのピークが見られる。
供給ローラ25の導電性発泡層25aが、シリコーンゴムと他の物質(例えばウレタンゴム)を含むものであっても、シリコーンゴムの主成分が50%以上であればよい。
上記の説明から、良好な印刷画像を得るためには、供給ローラ25が以下を満足することが望ましい。
(A)供給ローラ25の導電性発泡層25aを構成するゴム材料(加硫後、発泡処理前)の引張試験(JIS-K6251)により得られた伸張度が72.6~81.6[%/(N/mm)]である。
(B)負荷摩耗試験で得られた供給ローラ25の反発力の減衰率(%)が27~31%である。
(C)摩耗試験による供給ローラ25の外径減少量が0.03mm以下である。
(D)摩耗試験による供給ローラ25の重量減少量が0.07g以下である。
これら(A)~(D)のうち、(A)および(C)の少なくとも一方が満足されれば、供給ローラ25によるトナーの掻き取り能力の低下を抑制し、画像品質を向上することができる。また、(A)および(C)の少なくとも一方に加えて、さらに(B)および(C)の少なくとも一方が満足されれば、トナーの掻き取り能力の低下抑制の効果を高め、画像品質をさらに向上することができる。
<実施の形態の効果>
以上説明したように、本実施の形態のプロセスユニット2(現像ユニット)は、感光体ドラム21(像担持体)に現像剤を供給して潜像を現像する現像ローラ(現像剤担持体)24と、現像ローラ23にトナー(現像剤)を供給する供給ローラ(現像剤供給部材)25とを備える。供給ローラ25は、現像ローラ23に当接するように配置され、表面に導電性発泡層(弾性層)25aを有する。厚さが10[mm]のステンレス製の圧子71の表面71a(一辺50[mm]の正方形)に粒度30[μm]のラッピングフィルム72を固定したものを用い、ラッピングフィルム72を供給ローラ25の導電性発泡層25aの表面に押し当てるようにして圧子71を導電性発泡層25aに0.73[mm]押し込み、供給ローラ25を136.1[mm/秒]の周速で回転させる摩耗試験を行った場合に、圧子71の押し込み前の供給ローラ25の外径に対して、圧子71の押し込み量が0.73[mm]に達してから250秒後に圧子71を離間させたときの供給ローラ25の外径の減少量が、0.03[mm]以下である。そのため、供給ローラ25の摩耗あるいはセル壁の倒れ(へたり)を抑制し、掻き取り能力の低下を抑制することができる。これにより、印刷画像の汚れの発生を抑制し、画像品質を向上することができる。
また、当該摩耗試験を行った場合に、圧子71の押し込み量が0.73[mm]に達してから250秒後に圧子71を離間させたときの供給ローラ25の重量の減少量が、0.07[g]以下である。そのため、供給ローラ25の摩耗を抑制し、掻き取り能力の低下を抑制することができる。これにより、印刷画像の汚れの発生を抑制し、画像品質を向上することができる。
また、供給ローラ25の導電性発泡層25a(弾性層)の加硫後、発泡処理前の材料で形成したダンベル1号形状の試験片9を用い、JIS-K6251の引張試験を行った場合に、試験片9が破断したときの伸び率E[%]をそのときの応力[N/mm]で除した値(すなわち伸張度)は、72.6~81.6[%/(N/mm)]である。そのため、供給ローラ25の摩耗を抑制すると共に、セル壁の倒れ(へたり)を抑制し、掻き取り能力の低下を抑制することができる。これにより、印刷画像の汚れの発生を抑制し、画像品質を向上することができる。
また、外径が16[mm]で軸方向長さが50[mm]の円筒状のステンレス製の圧子81を用い、圧子81を供給ローラ25の導電性発泡層25aに0.73[mm]押し込み、供給ローラ25を136.1[mm/秒]の周速で回転させた場合に、圧子81の押し込み前の導電性発泡層25aの反発力に対して、圧子81の押し込み量が0.73[mm]に達してから6時間後の導電性発泡層25aの反発力の減少率(すなわち、反発力の減衰率)は、27[%]以上、31[%]以下である。そのため、供給ローラ25の摩耗を抑制すると共に、セル壁の倒れ(へたり)を抑制し、掻き取り能力の低下を抑制することができる。これにより、印刷画像の汚れの発生を抑制し、画像品質を向上することができる。さらに、供給ローラ25と現像ローラ23との間の接触圧が過大になることを抑制し、これによりフィルミングの発生を抑制することができる。
上記の実施の形態では、電子写真方式のプリンタについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、電子写真方式のファクシミリ、複写機、MFP(Multi-Function Peripheral)にも適用することができる。
以上、本発明の望ましい実施の形態について具体的に説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良または変形を行なうことができる。
1 画像形成装置、 2,2K,2M,2C,2Y 画像形成ユニット、 3,3K,3M,3C,3Y トナーカートリッジ(現像剤収容体)、 4 転写ユニット(転写部)、 5,5K,5M,5C,5Y LEDヘッド、 6 媒体供給部、 7 定着ユニット(定着装置)、 8 媒体排出部、 9 試験片、 10 搬送路、 11 制御部、 21,21K,21M,21C,21Y 感光体ドラム(像担持体)、 22,22K,22M,22C,22Y 帯電ローラ(帯電部材)、 23,23K,23M,23C,23Y 現像ローラ(現像剤担持体)、 24,24K,24M,24C,24Y 現像ブレード(現像剤規制部材)、 25,25K,25M,25C,25Y 供給ローラ(現像剤供給部材)、 25a 導電性発泡層(弾性層)、 40,40K,40M,40C,40Y 転写ローラ(転写部材)、 41 転写ベルト、 60 給紙カセット、 61 ピックアップローラ、 62 搬送ローラ、 71 圧子、 72 研磨フィルム(ラッピングフィルム)、 73 支持部、 81 圧子、 82 支持部、 83 検出部(ロードセル)、 201 セル、 202 セル壁。

Claims (5)

  1. 像担持体に現像剤を供給し、前記像担持体上の潜像を現像する現像剤担持体と、
    前記現像剤担持体に当接するように配置され、表面に導電性発泡層を有し、前記現像剤担持体に現像剤を供給する現像剤供給部材と
    を備え、
    前記導電性発泡層はシリコーンゴムを主成分とし、独立気泡を有し、
    前記現像剤供給部材の外径の平均値は13[mm]であり、
    一辺が50[mm]の正方形の表面を有し厚さが10[mm]のステンレス製の圧子の前記表面に粒度30[μm]の研磨フィルムを固定したものを用い、前記研磨フィルムを前記導電性発泡層の表面に押し当てるようにして前記圧子を前記導電性発泡層に0.73[mm]押し込み、前記現像剤供給部材を136.1[mm/秒]の周速で回転させた場合に、
    前記圧子の押し込み前の前記現像剤供給部材の外径に対して、前記圧子の押し込み量が0.73[mm]に達してから250秒後に前記圧子を離間させたときの前記現像剤供給部材の外径の減少量が、0.03[mm]以下である
    ことを特徴とする現像ユニット。
  2. 前記圧子の前記研磨フィルムを前記導電性発泡層の表面に押し当てるようにして前記圧子を前記導電性発泡層に0.73[mm]押し込み、前記現像剤供給部材を136.1[mm/秒]の周速で回転させた場合に、前記圧子の押し込み前の前記現像剤供給部材の重量に対して、前記圧子の押し込み量が0.73[mm]に達してから250秒後に前記圧子を離間させたときの前記現像剤供給部材の重量の減少量が、0.07[g]以下である
    ことを特徴とする請求項1に記載の現像ユニット。
  3. 外径が16[mm]で軸方向長さが50[mm]の円筒状のステンレス製の圧子を用い、前記圧子を前記導電性発泡層に0.73[mm]押し込み、前記現像剤供給部材を136.1[mm/秒]の周速で回転させた場合に、前記圧子の押し込み前の前記導電性発泡層の反発力に対して、前記圧子の押し込み量が0.73[mm]に達してから6時間後の前記導電性発泡層の反発力の減少率が、27[%]以上、31[%]以下である
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の現像ユニット。
  4. 前記導電性発泡層のアスカーF硬度は、40以上、46以下である
    ことを特徴とする請求項1からまでの何れか1項に記載の現像ユニット。
  5. 請求項1からまでの何れか1項に記載の現像ユニットと、
    前記像担持体に形成された現像剤像を媒体に転写する転写ユニットと、
    前記媒体に転写された現像剤像を前記媒体に定着する定着ユニットと
    を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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