JP6468676B2 - 連結人工歯、義歯作製キット及び義歯作製方法 - Google Patents

連結人工歯、義歯作製キット及び義歯作製方法 Download PDF

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Description

本発明は、所定形状を有する既製の連結人工歯に関する。また、所定形状の基準義歯床及び連結人工歯を含んで構成される義歯作製キットに関する。さらには、該義歯作製キットを用いる義歯作製方法に関する。
従来、義歯は主として以下の手順により作製されている。
(1)印象材を用いて患者の口腔内の印象を採得する。
(2)該印象を用いて石膏模型を作製する。
(3)咬合床を患者に装着させて咬合を採得する。
(4)咬合床に人工歯を配列し、蝋義歯を作製する。
(5)蝋義歯を患者に試適させ、咬合を調整する。
(6)蝋義歯を石膏中に埋没して鋳型を作製する。
(7)鋳型に樹脂を注入、硬化させて義歯を作製する。
このように、義歯は患者の口腔形状に合わせて1つずつ手作業で作製されているため、多くの時間を必要とし、歯科医院、歯科技工所及び患者の負担が大きい。また、この義歯の作製方法は、複数回の転写工程を有しているため形状の誤差が生じ易い。さらには、歯科医師及び歯科技工士の技量により、品質が変動し易い。
特許文献1には、金型等を用いて量産された義歯床を用いる義歯の作製方法が開示されている。特許文献2には、可塑性である光重合性組成物からなる義歯床部材に、少なくとも一本の人工歯が配列する補綴義歯前駆体を用いる義歯の作製方法が開示されている。これらの方法は、一部の工程の簡略化が図れるものの、依然として石膏模型を作製する必要があるため、十分に簡略化されているとは言い難い。また、無歯顎者の口腔形状を基に作製される義歯床は、歯槽頂の吸収が患者毎に異なっているため、義歯床の形状を予め定めて量産化することが困難である。
特許文献3には、複数の人工歯が連結された連結人工歯が開示されている。しかし、特許文献3には、連結人工歯の歯列弓の形状が具体的に開示されていない。
従来の義歯作製方法は、歯槽頂間線法則に基づいて作製されるのが一般的であったが、前述のように本義歯作製方法は、煩雑であることが問題であった。さらに、患者の高齢化が進んだ現代においては、上記方法で作製した義歯は歯槽骨の退縮が著しい場合、正常な咬合を得ることが困難となり、交叉咬合等の問題が生じていた。そこで、近年は、有歯顎時に歯列弓が存在していたとされる筋圧中立帯に合わせて義歯形状を定めるデンチャースペース理論に基づく義歯作製方法が提唱されている。しかし、デンチャースペース理論に基づく義歯作製方法を習得するためには多くの時間を要する。また、デンチャースペース理論に基づく義歯作製方法であっても、義歯作製方法自体は従来と同様に煩雑である。そのため、デンチャースペース理論に基づく義歯であって、簡易な方法で作製できる義歯が求められている。
特開平6−63065号公報 特開1993−192353号公報 特許3303172号
本発明の課題は、多くの患者に適合可能な既製の連結人工歯を提供することにある。また、既製の基準義歯床と連結人工歯とから成る義歯作製キットを用いて義歯作製工程を簡略化し、義歯の作製時間を短縮することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するため、有歯顎者の口腔形状を基に連結人工歯の形状を定め、該形状に基づいて連結人工歯を作製することに想到した。そして、この方法により作製される所定形状の連結人工歯は、多くの無歯顎者に適用可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。さらには、この連結人工歯と、所定形状の基準義歯床と、から成る義歯作製キットを用いることにより、高い適合率を維持したまま、義歯作製工程を簡略化できることを見出し、本発明を完成するに至った。
上記課題を解決する本発明は以下に記載するとおりである。なお、本願明細書において、基準義歯床とは、既製の義歯床であって人工歯が配列されていない義歯床をいう。従来のように、個別の患者の口腔形状の印象を採取してオーダーメイドで作製される義歯床とは異なり、基準義歯床は、有歯顎者の口腔形状を統計的に定めてデンチャースペース理論に基づいて作製される。そのため、数種類の基準義歯床を用意しておけば、裏装材を築盛し、人工歯を配列することにより、ほぼ全ての患者に対して適合率が高い義歯を作製でき、さらに歯槽頂の吸収が激しい難症例の患者にも適合できる。また、本願明細書において、全歯列とは左側第2大臼歯から右側第2大臼歯までの14歯を含む歯列をいう。
〔1〕 複数の人工歯が連結されて一体となった上顎用の連結人工歯であって、
床後縁の左側翼突上顎切痕に相当する点Pと右側翼突上顎切痕に相当する点Qとを結ぶ線分PQの長さを1とした場合、唇側床縁の正中にあたる上唇小帯に相当する点Oと線分PQの中点Mとを結ぶ線分OMの長さが0.76〜0.98である上顎基準義歯床に配列したときに、以下の(a)乃至(i)の2つ以上を満たす歯列弓形状を有することを特徴とする上顎用の連結人工歯。
(a)点Oと点Pとを結ぶ線分OP上にあり点Oから0.74の距離にある点S6と、左側頬側床縁と、を結ぶ線分OPに対する垂直線上であって、点S6から左側頬側床縁側に0.11の距離に中心点を有する半径0.14の円内に左側上顎第一大臼歯の中心窩が位置する。
(b)点Oと点Qとを結ぶ線分OQ上にあり点Oから0.74の距離にある点T6と、右側頬側床縁と、を結ぶ線分OQに対する垂直線上であって、点T6から右側頬側床縁側に0.11の距離に中心点を有する半径0.14の円内に右側上顎第一大臼歯の中心窩が位置する。
(c)点Oと点Mとを通る直線OM上であって点Mから唇側に0.76〜1.14の距離にある点U1で互いに接する二つの円のうち、左側の直径0.17の円内に左側上顎中切歯の中央の切縁結節が、右側の直径0.17の円内に右側上顎中切歯の中央の切縁結節が位置する。
(d)点Oと点Pとを結ぶ線分OP上にあり点Oから0.30の距離にある点S3と、左側頬側床縁と、を結ぶ線分OPに対する垂直線上であって、点S3から左側頬側床縁側に0.25の距離に中心点を有する半径0.12の円内に左側上顎犬歯の尖頭が位置する。
(e)点Oと点Qとを結ぶ線分OQ上にあり点Oから0.30の距離にある点T3と、右側頬側床縁と、を結ぶ線分OQに対する垂直線上であって、点T3から右側頬側床縁側に0.25の距離に中心点を有する半径0.12の円内に右側上顎犬歯の尖頭が位置する。
(f) (a)記載の半径0.14の円と(d)記載の半径0.12の円との両方に外接する2本の共通外接線の内側に、左側上顎第一小臼歯及び/又は左側上顎第二小臼歯及び/又は左側上顎第二大臼歯の中心窩が位置する。
(g) (b)記載の半径0.14の円と(e)記載の半径0.12の円との両方に外接する2本の共通外接線の内側に、右側上顎第一小臼歯及び/又は右側上顎第二小臼歯及び/又は右側上顎第二大臼歯の中心窩が位置する。
(h) (c)記載の左側の直径0.17の円と(a)記載の半径0.14の円との両方に外接する2本の共通外接線の内側に、左側上顎側切歯が位置する。
(i) (c)記載の右側の直径0.17の円と(b)記載の半径0.14の円との両方に外接する2本の共通外接線の内側に、右側上顎側切歯が位置する。
上記〔1〕に記載の発明は、所定の歯列弓形状を有する上顎用連結人工歯である。この上顎基準義歯床はデンチャースペース理論に基づく所定形状を有している。
〔2〕 複数の人工歯が連結されて一体となった下顎用の連結人工歯であって、
床後縁の左側臼後隆起に相当する点pと右側臼後隆起に相当する点qとを結ぶ線分pqの長さを1とした場合、唇側床縁の正中にあたる下唇小帯に相当する点oと線分pqの中点mとを結ぶ線分omの長さが0.74〜0.94である下顎基準義歯床に配列したときに、以下の(j)乃至(r)の2つ以上を満たす歯列弓形状を有することを特徴とする下顎用の連結人工歯。
(j)点oと点pとを結ぶ線分op上にあり点oから0.65の距離にある点s6と、左側頬側床縁と、を結ぶ線分opに対する垂直線上であって、点s6から左側頬側床縁側に0.08の距離に中心点を有する半径0.12の円内に左側下顎第一大臼歯の中心窩が位置する。
(k)点oと点qとを結ぶ線分oq上にあり点oから0.65の距離にある点t6と、右側頬側床縁と、を結ぶ線分oqに対する垂直線上であって、点t6から右側頬側床縁側に0.08の距離に中心点を有する半径0.12の円内に右側下顎第一大臼歯の中心窩が位置する。
(l)点oと点mとを通る直線om上であって点mから唇側に0.74〜0.94の距離にある点u1で互いに接する二つの円のうち、左側の直径0.12の円内に左側下顎中切歯の中央の切縁結節が、右側の直径0.12の円内に右側下顎中切歯の中央の切縁結節が位置する。
(m)点oと点pとを結ぶ線分op上にあり点oから0.23の距離にある点s3と、左側頬側床縁と、を結ぶ線分opに対する垂直線上であって、点s3から左側頬側床縁側に0.17の距離に中心点を有する半径0.11の円内に左側下顎犬歯の尖頭が位置する。
(n)点oと点qとを結ぶ線分oq上にあり点oから0.23の距離にある点t3と、右側頬側床縁と、を結ぶ線分oqに対する垂直線上であって、点t3から右側頬側床縁側に0.17の距離に中心点を有する半径0.11の円内に右側下顎犬歯の尖頭が位置する。
(o) (j)記載の半径0.12の円と(m)記載の半径0.11の円との両方に外接する2本の共通外接線の内側に、左側下顎第一小臼歯及び/又は左側下顎第二小臼歯及び/又は左側下顎第二大臼歯の中心窩が位置する。
(p) (k)記載の半径0.12の円と(n)記載の半径0.11の円との両方に外接する2本の共通外接線の内側に、右側下顎第一小臼歯及び/又は右側下顎第二小臼歯及び/又は右側下顎第二大臼歯の中心窩が位置する。
(q) (l)記載の左側の直径0.12の円と(j)記載の半径0.12の円との両方に外接する2本の共通外接線の内側に左側下顎側切歯が位置する。
(r) (l)記載の右側の直径0.12の円と(k)記載の半径0.12の円との両方に外接する2本の共通外接線の内側に右側下顎側切歯が位置する。
上記〔2〕に記載の発明は、所定の歯列弓形状を有する下顎用連結人工歯である。この下顎基準義歯床はデンチャースペース理論に基づく所定形状を有している。
〔3〕 前記連結人工歯が、少なくとも第一小臼歯から第二大臼歯までの4歯が連結されている連結人工歯である〔1〕又は〔2〕に記載の連結人工歯。
〔4〕 前記連結人工歯が、少なくとも右側犬歯から左側犬歯までの6歯が連結されている連結人工歯である〔1〕又は〔2〕に記載の連結人工歯。
〔5〕 前記連結人工歯が、全歯列が連結されている連結人工歯である〔1〕又は〔2〕に記載の連結人工歯。
上記〔3〕〜〔5〕に記載の発明は、連結人工歯の所定の歯列が所定本数で連結されているため、歯列の配列時間が短縮される。
〔6〕 床後縁の左側翼突上顎切痕に相当する点Pと右側翼突上顎切痕に相当する点Qとを結ぶ線分PQの長さを1とした場合、唇側床縁の正中にあたる上唇小帯に相当する点Oと線分PQの中点Mとを結ぶ線分OMの長さが0.76〜0.98である上顎基準義歯床と;
少なくとも2歯以上が連結されている連結人工歯と;
から成る義歯作製キット。
〔7〕 上記〔6〕に記載の義歯作製キットにおいて、連結人工歯が〔1〕又は〔3〕乃至〔5〕の何れかに記載の連結人工歯である義歯作製キット。
〔8〕 前記上顎基準義歯床の形状が、
点Oと点Pとを結ぶ線分OPを4等分する各点を、点O側から点P1、点P2、点P3とし、線分OP上の点P1、点P2、点P3からの垂直線が左側頬側床縁と交わる点を点D1、点D2、点D3とし、
点Oと点Qとを結ぶ線分OQを4等分する各点を、点O側から点Q1、点Q2、点Q3とし、線分OQ上の点Q1、点Q2、点Q3からの垂直線が右側頬側床縁と交わる点を点E1、点E2、点E3とし、
線分PQの長さを1とした場合、
線分P1D1及び線分Q1E1の長さがそれぞれ0.11〜0.36、
線分P2D2及び線分Q2E2の長さがそれぞれ0.19〜0.45、
線分P3D3及び線分Q3E3の長さがそれぞれ0.16〜0.45
である〔6〕又は〔7〕に記載の義歯作製キット。
上記〔6〕乃至〔8〕に記載の発明は、所定の形状を有する上顎用の基準義歯床と、連結人工歯と、からなる義歯作製キットである。この上顎用の基準義歯床はデンチャースペース理論に基づく所定形状を有している。連結人工歯は、少なくとも2歯以上が連結されて一体化している。
〔9〕 前記上顎基準義歯床及び前記連結人工歯が、それぞれ複数のサイズが用意されている〔6〕乃至〔8〕の何れかに記載の義歯作製キット。
上記〔9〕に記載の発明は、複数サイズの上顎用の基準義歯床と、複数サイズの連結人工歯と、が用意されている義歯作製キットである。
〔10〕 床後縁の左側臼後隆起に相当する点pと右側臼後隆起に相当する点qとを結ぶ線分pqの長さを1とした場合、唇側床縁の正中にあたる下唇小帯に相当する点oと線分pqの中点mとを結ぶ線分omの長さが0.74〜0.94である下顎基準義歯床と;
少なくとも2歯以上が連結されている連結人工歯と;
から成る義歯作製キット。
〔11〕 上記〔10〕に記載の義歯作製キットにおいて、連結人工歯が〔2〕乃至〔5〕の何れかに記載の連結人工歯である義歯作製キット。
〔12〕 前記下顎基準義歯床の形状が、
点oと点pとを結ぶ線分opを4等分する各点を、点o側から点p1、点p2、点p3とし、線分op上の点p1、点p2、点p3からの垂直線が左側頬側床縁と交わる点を点d1、点d2、点d3とし、
点oと点qとを結ぶ線分oqを4等分する各点を、点o側から点q1、点q2、点q3とし、線分oq上の点q1、点q2、点q3からの垂直線が右側頬側床縁と交わる点を点e1、点e2、点e3とし、
線分pqの長さを1とした場合、
線分p1d1及び線分q1e1の長さがそれぞれ0.11〜0.32、
線分p2d2及び線分q2e2の長さがそれぞれ0.13〜0.34、
線分p3d3及び線分q3e3の長さがそれぞれ0.14〜0.33
である〔10〕又は〔11〕に記載の義歯作製キット。
上記〔10〕乃至〔12〕に記載の発明は、所定の形状を有する下顎用の基準義歯床と、連結人工歯とからなる義歯作製キットである。この下顎用の基準義歯床はデンチャースペース理論に基づく所定形状を有している。連結人工歯は、少なくとも2歯以上が連結されて一体化している。
〔13〕 前記下顎基準義歯床の形状が、
線分pqの長さを1とした場合、
直線d1p1、d2p2、d3p3及びe1q1、e2q2、e3q3と、舌側床縁との交点をそれぞれ点b1、点b2、点b3及び点c1、点c2、点c3とし、
線分d1b1及び線分e1c1の長さがそれぞれ0.14〜0.40、
線分d2b2及び線分e2c2の長さがそれぞれ0.19〜0.41、
線分d3b3及び線分e3c3の長さがそれぞれ0.21〜0.42
である〔10〕乃至〔12〕の何れかに記載の義歯作製キット。
〔14〕 前記下顎基準義歯床及び前記連結人工歯が、それぞれ複数のサイズが用意されている〔10〕乃至〔13〕の何れかに記載の義歯作製キット。
上記〔14〕に記載の発明は、複数サイズの下顎用の基準義歯床と、複数サイズの連結人工歯と、が用意されている義歯作製キットである。
〔15〕 〔6〕乃至〔9〕の何れかに記載の義歯作製キットと、
〔10〕乃至〔14〕の何れかに記載の義歯作製キットと、
からなる義歯作製キット。
〔16〕 前記連結人工歯が、少なくとも第一小臼歯から第二大臼歯までの4歯が連結されている連結人工歯である〔6〕乃至〔15〕の何れかに記載の義歯作製キット。
〔17〕 前記連結人工歯が、少なくとも右側犬歯から左側犬歯までの6歯が連結されている連結人工歯である〔6〕乃至〔15〕の何れかに記載の義歯作製キット。
〔18〕 前記連結人工歯が、全歯列が連結されている連結人工歯である〔6〕乃至〔15〕の何れかに記載の義歯作製キット。
上記〔16〕〜〔18〕に記載の発明は、連結人工歯の所定の歯列が所定本数で連結されているため、歯列の配列時間が短縮される。
〔19〕 裏装材をさらに含む〔6〕乃至〔18〕の何れかに記載の義歯作製キット。
〔20〕 〔9〕、〔14〕及び〔15〕の何れかに記載の義歯作製キットから、患者の口のサイズに適合する上顎基準義歯床及び/又は下顎基準義歯床を選択する工程と、
上顎基準義歯床及び/又は下顎基準義歯床に適合する連結人工歯を配列する工程と、
を有することを特徴とする義歯作製方法。
〔21〕 〔19〕に記載の義歯作製キットから、患者の口のサイズに適合する上顎基準義歯床及び/又は下顎基準義歯床を選択する工程と、
前記上顎基準義歯床及び/又は下顎基準義歯床に連結人工歯を配列する工程と、
前記上顎基準義歯床及び/又は下顎基準義歯床に裏装材を築盛する工程と、
を有することを特徴とする義歯作製方法。
上記〔20〕及び〔21〕に記載の発明は、サイズが異なる複数の基準義歯床から患者の口腔形状に適合する基準義歯床を選択し、この基準義歯床に連結人工歯を配列する義歯作製方法である。
〔22〕 〔6〕〜〔9〕、〔15〕〜〔19〕の何れかに記載の義歯作製キットを用いる義歯作製方法であって、
前記上顎基準義歯床の床後縁の左側翼突上顎切痕に相当する点Pと右側翼突上顎切痕に相当する点Qとを結ぶ線分PQの長さを1とした場合、
(1)唇側床縁の正中にあたる上唇小帯に相当する点Oと点Pとを結ぶ線分OP上にあり点Oから0.74の距離にある点S6と、左側頬側床縁と、を結ぶ線分OPに対する垂直線上であって、点S6から左側頬側床縁側に0.11の距離に中心点を有する半径0.14の円内に左側上顎第一大臼歯の中心窩が位置するように配列する;
及び/又は、
(2)唇側床縁の正中にあたる上唇小帯に相当する点Oと点Qとを結ぶ線分OQ上にあり点Oから0.74の距離にある点T6と、右側頬側床縁と、を結ぶ線分OQに対する垂直線上であって、点T6から右側頬側床縁側に0.11の距離に中心点を有する半径0.14の円内に右側上顎第一大臼歯の中心窩が位置するように配列する;
ことを特徴とする義歯作製方法。
上記〔22〕に記載の発明は、基準義歯床の所定の位置に、上顎第一大臼歯を含む連結人工歯を配列する義歯作製方法である。
〔23〕 〔6〕〜〔9〕、〔15〕〜〔19〕の何れかに記載の義歯作製キットを用いる義歯作製方法であって、
前記上顎基準義歯床の床後縁の左側翼突上顎切痕に相当する点Pと右側翼突上顎切痕に相当する点Qとを結ぶ線分PQの長さを1とした場合、唇側床縁の正中にあたる上唇小帯に相当する点Oと線分PQの中点Mとを通る直線OM上であって点Mから唇側に0.76〜1.14の距離にある点U1で接する二つの円のうち、左側の直径0.17の円内に左側上顎中切歯の中央の切縁結節が、右側の直径0.17の円内に右側上顎中切歯の中央の切縁結節が位置し、左右中切歯が点U1で隣接するように配列することを特徴とする義歯作製方法。
上記〔23〕に記載の発明は、基準義歯床の所定の位置に、左右側上顎中切歯を含む連結人工歯を配列する義歯作製方法である。
〔24〕 〔6〕〜〔9〕、〔15〕〜〔19〕の何れかに記載の義歯作製キットを用いる義歯作製方法であって、
前記上顎基準義歯床の床後縁の左側翼突上顎切痕に相当する点Pと右側翼突上顎切痕に相当する点Qとを結ぶ線分PQの長さを1とした場合、
(1)唇側床縁の正中にあたる上唇小帯に相当する点Oと点Pとを結ぶ線分OP上にあり点Oから0.30の距離にある点S3と、左側頬側床縁と、を結ぶ線分OPに対する垂直線上であって、点S3から左側頬側床縁側に0.25の距離に中心点を有する半径0.12の円内に左側上顎犬歯の尖頭が位置するように配列する;
及び/又は、
(2)唇側床縁の正中にあたる上唇小帯に相当する点Oと点Qとを結ぶ線分OQ上にあり点Oから0.30の距離にある点T3と、右側頬側床縁と、を結ぶ線分OQに対する垂直線上であって、点T3から右側頬側床縁側に0.25の距離に中心点を有する半径0.12の円内に右側上顎犬歯の尖頭が位置するように配列する;
ことを特徴とする義歯作製方法。
上記〔24〕に記載の発明は、基準義歯床の所定の位置に、上顎犬歯を含む連結人工歯を配列する義歯作製方法である。
〔25〕 〔10〕〜〔19〕の何れかに記載の義歯作製キットを用いる義歯作製方法であって、
前記下顎基準義歯床の床後縁の左側臼後隆起に相当する点pと右側臼後隆起に相当する点qとを結ぶ線分pqの長さを1とした場合、
(1)唇側床縁の正中にあたる下唇小帯に相当する点oと点pとを結ぶ線分op上にあり点oから0.65の距離にある点s6と、左側頬側床縁と、を結ぶ線分opに対する垂直線上であって、点s6から左側頬側床縁側に0.08の距離に中心点を有する半径0.12の円内に左側下顎第一大臼歯の中心窩が位置するように配列する;
及び/又は、
(2)唇側床縁の正中にあたる下唇小帯に相当する点oと点qとを結ぶ線分oq上にあり点oから0.65の距離にある点t6と、右側頬側床縁と、を結ぶ線分oqに対する垂直線上であって、点t6から右側頬側床縁側に0.08の距離に中心点を有する半径0.12の円内に右側下顎第一大臼歯の中心窩が位置するように配列する;
ことを特徴とする義歯作製方法。
上記〔25〕に記載の発明は、基準義歯床の所定の位置に、下顎第一大臼歯を含む連結人工歯を配列する義歯作製方法である。
〔26〕 〔10〕〜〔19〕の何れかに記載の義歯作製キットを用いる義歯作製方法であって、
前記下顎基準義歯床の床後縁の左側臼後隆起に相当する点pと右側臼後隆起に相当する点qとを結ぶ線分pqの長さを1とした場合、唇側床縁の正中にあたる下唇小帯に相当する点oと線分pqの中点mとを通る直線om上であって点mから唇側に0.74〜0.94の距離にある点u1で接する二つの円のうち、左側の直径0.12の円内に左側下顎中切歯の中央の切縁結節が、右側の直径0.12の円内に右側下顎中切歯の中央の切縁結節が位置し、左右中切歯が点u1で隣接するように配列することを特徴とする義歯作製方法。
上記〔26〕に記載の発明は、基準義歯床の所定の位置に、左右側下顎中切歯を含む連結人工歯を配列する義歯作製方法である。
〔27〕 〔10〕〜〔19〕の何れかに記載の義歯作製キットを用いる義歯作製方法であって、
前記下顎基準義歯床の床後縁の左側臼後隆起に相当する点pと右側臼後隆起に相当する点qとを結ぶ線分pqの長さを1とした場合、
(1)唇側床縁の正中にあたる下唇小帯に相当する点oと点pとを結ぶ線分op上にあり点oから0.23の距離にある点s3と、左側頬側床縁と、を結ぶ線分opに対する垂直線上であって、点s3から左側頬側床縁側に0.17の距離に中心点を有する半径0.11の円内に左側下顎犬歯の尖頭が位置するように配列する;
及び/又は、
(2)唇側床縁の正中にあたる下唇小帯に相当する点oと点qとを結ぶ線分oq上にあり点oから0.23の距離にある点t3と、右側頬側床縁と、を結ぶ線分oqに対する垂直線上であって、点t3から右側頬側床縁側に0.17の距離に中心点を有する半径0.11の円内に右側下顎犬歯の尖頭が位置するように配列する;
ことを特徴とする義歯作製方法。
上記〔27〕に記載の発明は、基準義歯床の所定の位置に、下顎犬歯を含む連結人工歯を配列する義歯作製方法である。
本発明の連結人工歯は、所定形状の歯列弓を有しているため、容易に配列することができる。即ち、従来の義歯作製の工程において、既製化された連結人工歯を用いることによって、義歯の作製時間を短縮することができる。
また、本発明の基準義歯作製キットは、所定形状の基準義歯床と、連結人工歯とからなる。そのため、患者の口腔形状に合わせて基準義歯床を選択し、連結人工歯を配列するだけで容易に義歯を作製することができる。即ち、従来の義歯作製の工程において、既製化された義歯床を用いるとともに、歯列を予め連結しておくことにより、義歯の作製時間を大幅に短縮することができる。これにより、歯科医師、歯科技工士及び患者の負担を大幅に低減することができる。
本発明の連結人工歯は、有歯顎者の口腔形状を統計的に定めてデンチャースペース理論に基づいて作製されているため、数種類の連結人工歯及び基準義歯床を用意しておけば、ほぼ全ての患者に対して適合率の高い義歯を作製できる。また、歯槽頂の吸収が激しい難症例の患者にも適合できる。
図1は、義歯を患者に装着した状態を示す説明図である。 図2は、上顎基準義歯床の形状を示す平面図である。 図3は、上顎基準義歯床に配列される人工歯の位置を示す平面図である。 図4は、上顎用義歯の一例を示す平面図である。 図5は、下顎基準義歯床の形状を示す平面図である。 図6は、下顎基準義歯床に配列される人工歯の位置を示す平面図である。 図7は、下顎用義歯の一例を示す平面図である。
以下、図面を参照しながら本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明の義歯作製キットにより作製された義歯を患者に装着した状態を示す説明図である。図1中、100は上顎基準義歯床で、200は下顎基準義歯床である(以下、これらを単に「基準義歯床」ともいう。)。101は連結人工歯であり、少なくとも2歯が予め連結され一体化している。基準義歯床に全ての歯列が配列されると義歯が完成される。
図1中、点Oは、唇側床縁の正中にあたる上唇小帯に相当する点であり、点Pは、床後縁の左側翼突上顎切痕に相当する点である。上顎基準義歯床100の左側頬側床縁50は、点D1〜D3を有している(後述)。点oは、唇側床縁の正中にあたる下唇小帯に相当する点である。点pは、床後縁の左側臼後隆起に相当する点である。下顎基準義歯床200の左側頬側床縁52は、点d1〜d3を有している(後述)。本発明の義歯作製キットを構成する基準義歯床は、これらの点の相対的な位置関係が所定範囲にあることを特徴としている。
(上顎基準義歯床)
図2は、本発明の義歯作製キットを構成する上顎基準義歯床100の一例を示す平面図である。図2中、点Oは、唇側床縁の正中にあたる上唇小帯に相当する点である。点Pは、床後縁の左側翼突上顎切痕に相当する点であり、点Qは、床後縁の右側翼突上顎切痕に相当する点である。点Mは、点Pと点Qとを結ぶ線分PQの中点である。この基準義歯床は、線分PQの長さを1としたとき、点Oと点Mとを結ぶ線分OMの長さが、0.76〜0.98の範囲にあり、0.81〜0.93の範囲にあることが好ましく、0.86〜0.88の範囲にあることがより好ましい。この形状を有する上顎基準義歯床は、裏装材を築盛することによって、多くの無歯顎者に適合させることができる。
図2中、点P1〜P3は、線分OPを4等分する点である。即ち、線分OP1、線分P1P2、線分P2P3、線分P3Pの長さは等しい。点D1〜D3は、点P1〜P3の各点それぞれからの線分OPに対する垂直線が左側頬側床縁50と交わる点である。点Q1〜Q3は、線分OQを4等分する点である。即ち、線分OQ1、線分Q1Q2、線分Q2Q3、線分Q3Qの長さは等しい。点E1〜E3は、点Q1〜Q3の各点それぞれからの線分OQに対する垂直線が右側頬側床縁51と交わる点である。
本発明の義歯作製キットを構成する上顎基準義歯床は、線分PQの長さを1としたとき、線分P1D1及び線分Q1E1の長さは、それぞれ0.11〜0.36の範囲であることが好ましく、0.16〜0.31の範囲であることがより好ましく、0.21〜0.26の範囲であることが特に好ましい。また、線分P2D2及び線分Q2E2の長さは、それぞれ0.19〜0.45の範囲であることが好ましく、0.24〜0.40の範囲であることがより好ましく、0.29〜0.35の範囲であることが特に好ましい。さらに、線分P3D3及び線分Q3E3の長さは、それぞれ0.16〜0.45の範囲であることが好ましく、0.21〜0.40の範囲であることがより好ましく、0.26〜0.35の範囲であることが特に好ましい。この形状を有する上顎基準義歯床は、さらに高い適合率で無歯顎者に適合させることができる。
図3は、本発明の義歯作製キットを構成する上顎基準義歯床に配列される連結人工歯の位置を示す説明図である。図4は、本発明の上顎基準義歯床に全ての人工歯が配列されてなる上顎義歯の一例を示す平面図である。図4中、11は上顎中切歯であり、11aは左側上顎中切歯と右側上顎中切歯との歯間部である。12は上顎側切歯、13は上顎犬歯、14は上顎第一小臼歯、15は上顎第二小臼歯、16は上顎第一大臼歯、17は上顎第二大臼歯である。16aは下顎第一大臼歯の中心窩である。
(上顎基準義歯床における連結人工歯の配列位置)
(a)左側上顎第一大臼歯の配列位置
点S6は、線分PQの長さを1とし、線分OP上にあり、点Oから0.74の距離にある。点T6は、線分PQの長さを1とし、線分OQ上にあり、点Oから0.74の距離にある。左側上顎第一大臼歯は、点S6から左側頬側床縁50側への線分OPに対する垂直線上であって点S6から左側頬側床縁50側に0.11の距離に中心点を有する半径0.14の円内に、その中心窩を有するように配列されていることが好ましく、半径0.08の円内であることが特に好ましい。
(b)右側上顎第一大臼歯の配列位置
同様に、右側上顎第一大臼歯は、点T6から右側頬側床縁51側への線分OQに対する垂直線上であって点T6から右側頬側床縁51側に0.11の距離に中心点を有する半径0.14の円内に、その中心窩を有するように配列されていることが好ましく、半径0.08の円内であることが特に好ましい。
(c)上顎中切歯の配列位置
左右上顎中切歯は、線分PQの長さを1とし、直線OM上において点Mから唇側に0.76〜1.14の距離にある点U1で互いに接するとともに、点U1において直線OMと直交する直線上にそれぞれ中心点を有する二つの円のうち、左側頬側床縁50側の直径0.17の円内に左側上顎中切歯の中央の切縁結節が、右側頬側床縁51側の直径0.17の円内に右側上顎中切歯の中央の切縁結節を有するように隣接して配列されていることが好ましく、点Mから点U1の距離は0.86〜1.04の距離であることがより好ましく、0.91〜0.99の距離であることが特に好ましい。
(d)左側上顎犬歯の配列位置
点S3は、線分PQの長さを1とし、線分OP上にあり、点Oから0.30の距離にある。点T3は、線分PQの長さを1とし、線分OQ上にあり、点Oから0.30の距離にある。左側上顎犬歯は、点S3から左側頬側床縁50側への線分OPに対する垂直線上であって点S3から左側頬側床縁50側に0.25の距離に中心点を有する半径0.12の円内に、その尖頭を有するように配列されていることが好ましく、半径0.07の円内であることが特に好ましい。
(e)右側上顎犬歯の配列位置
同様に、右側上顎犬歯は、点T3から右側頬側床縁51側への線分OQに対する垂直線上であって点T3から右側頬側床縁51側に0.25の距離に中心点を有する半径0.12の円内に、その尖頭を有するように配列されていることが好ましく、半径0.07の円内であることが特に好ましい。
(f)左側上顎第一小臼歯、左側上顎第二小臼歯、左側上顎第二大臼歯の配列位置
左側上顎第一小臼歯、左側上顎第二小臼歯、左側上顎第二大臼歯は、線分PQの長さを1とし、(a)記載の半径0.14の円と(d)記載の半径0.12の円との両方に外接する2本の共通外接線の内側に、その中心窩を有するように配列されていることが好ましく、(a)記載の半径0.08の円と(d)記載の半径0.07の円との両方に外接する2本の共通外接線の内側であることが特に好ましい。
(g)右側上顎第一小臼歯、右側上顎第二小臼歯、右側上顎第二大臼歯の配列位置
右側上顎第一小臼歯、右側上顎第二小臼歯、右側上顎第二大臼歯は、線分PQの長さを1とし、(b)記載の半径0.14の円と(e)記載の半径0.12の円との両方に外接する2本の共通外接線の内側に、その中心窩を有するように配列されていることが好ましく、(a)記載の半径0.08の円と(d)記載の半径0.07の円との両方に外接する2本の共通外接線の内側であることが特に好ましい。
(h)左側上顎側切歯の配列位置
左側上顎側切歯は、線分PQの長さを1とし、(c)記載の直線OM上において点Mから唇側に0.76〜1.14の距離にある点U1で接する二つの円のうち左側の直径0.17の円と(a)記載の半径0.14の円との両方に外接する2本の共通外接線の内側に配列されていることが好ましく、点Mから点U1の距離が0.86〜1.04であることがより好ましく、0.91〜0.99であることが特に好ましい。
(i)右側上顎側切歯の配列位置
右側上顎側切歯は、線分PQの長さを1とし、(c)記載の直線OM上において点Mから唇側に0.76〜1.14の距離にある点U1で接する二つの円のうち右側の直径0.17の円と(b)記載の半径0.14の円との両方に外接する2本の共通外接線の内側に配列されていることが好ましく、点Mから点U1の距離が0.86〜1.04であることがより好ましく、0.91〜0.99であることが特に好ましい。
(連結人工歯)
義歯作製キットを構成する連結人工歯は、2歯以上の人工歯が連結されて一体化していれば、その材質や形状は特に限定されない。所定の連結人工歯は上記(a)〜(i)に規定する位置に配列される。
(上顎用の連結人工歯)
特に好ましい連結人工歯としては、上記基準義歯床に配列した際に上記(a)〜(i)に規定する2つ以上の要件を満たす形状の連結人工歯である。即ち、床後縁の左側翼突上顎切痕に相当する点Pと右側翼突上顎切痕に相当する点Qとを結ぶ線分PQの長さを1とした場合、唇側床縁の正中にあたる上唇小帯に相当する点Oと線分PQの中点Mとを結ぶ線分OMの長さが0.76〜0.98である上顎基準義歯床に配列したときに、上記の(a)〜(i)の2つ以上を満たすことができる歯列弓形状を有することが好ましい。上記(a)〜(i)に規定する要件は、2つ以上満たすことが好ましく、3つ以上満たすことがより好ましく、全て満たすことが特に好ましい。
第一小臼歯から第二大臼歯までを構成する人工歯は、これらの4歯が連結されていることが好ましい。同様に右側犬歯から左側犬歯までを構成する人工歯は、これらの6歯が連結されていることが好ましい。また、全歯列が連結していることが特に好ましい。配列時間を短縮できるからである。
(下顎基準義歯床)
図5は、本発明の義歯作製キットを構成する下顎基準義歯床200の一例を示す平面図である。図5中、点oは、唇側床縁の正中にあたる下唇小帯に相当する点である。点pは、床後縁の左側臼後隆起に相当する点であり、点qは、床後縁の右側臼後隆起に相当する点である。点mは、点pと点qとを結ぶ線分pqの中点である。この下顎基準義歯床は、線分pqの長さを1としたとき、点oと点mとを結ぶ線分omの長さが、0.76〜0.94の範囲にあり、0.80〜0.90の範囲にあることが好ましく、0.84〜0.86の範囲にあることがより好ましい。この形状を有する下顎基準義歯床は、裏装材を築盛することによって、多くの無歯顎者に適合させることができる。
図5中、点p1〜p3は、線分opを4等分する点である。即ち、線分op1、線分p1p2、線分p2p3、線分p3pの長さは等しい。点d1〜d3は、点p1〜p3の各点それぞれからの線分opに対する垂直線が左側頬側床縁52と交わる点である。点q1〜q3は、線分oqを4等分する点である。即ち、線分oq1、線分q1q2、線分q2q3、線分q3qの長さは等しい。点e1〜e3は、点q1〜q3の各点それぞれからの線分oqに対する垂直線が右側頬側床縁53と交わる点である。
本発明の義歯作製キットを構成する下顎基準義歯床は、線分pqの長さを1としたとき、線分p1d1及び線分q1e1の長さは、それぞれ0.11〜0.32の範囲であることが好ましく、0.15〜0.28の範囲であることがより好ましく、0.19〜0.24の範囲であることが特に好ましい。また、線分p2d2及び線分q2e2の長さは、それぞれ0.13〜0.34の範囲であることが好ましく、0.17〜0.30の範囲であることがより好ましく、0.21〜0.26の範囲であることが特に好ましい。さらに、線分p3d3及び線分q3e3の長さは、それぞれ0.14〜0.33の範囲であることが好ましく、0.18〜0.29の範囲であることがより好ましく、0.22〜0.25の範囲であることが特に好ましい。この形状を有する下顎基準義歯床は、より高い適合率で無歯顎者に適合させることができる。
図5中、点b1〜b3は、点p1〜p3の各点それぞれからの線分opに対する垂直線が舌側床縁と交わる点である。点c1〜c3は、点q1〜q3の各点それぞれからの線分oqに対する垂直線が舌側床縁と交わる点である。
本発明の義歯作製キットを構成する下顎基準義歯床は、線分pqの長さを1としたとき、線分d1b1及び線分e1c1の長さは、それぞれ0.14〜0.40の範囲であることが好ましく、0.19〜0.35の範囲であることがより好ましく、0.24〜0.30の範囲であることが特に好ましい。また、線分d2b2及び線分e2c2の長さは、それぞれ0.19〜0.41の範囲であることが好ましく、0.24〜0.36の範囲であることがより好ましく、0.29〜0.31の範囲であることが特に好ましい。さらに、線分d3b3及び線分e3c3の長さは、それぞれ0.21〜0.42の範囲であることが好ましく、0.25〜0.38の範囲であることがより好ましく、0.30〜0.34の範囲であることが特に好ましい。この形状を有する下顎基準義歯床は、さらに高い適合率で無歯顎者に適合させることができる。
図6は、本発明の義歯作製キットを構成する下顎基準義歯床に配列される連結人工歯の位置を示す説明図である。図7は、本発明の下顎基準義歯床に全ての人工歯が配列されてなる下顎義歯の一例を示す平面図である。図7中、21は下顎中切歯であり、21aは左側下顎中切歯と右側下顎中切歯との歯間部である。22は下顎側切歯、23は下顎犬歯、24は下顎第一小臼歯、25は下顎第二小臼歯、26は下顎第一大臼歯、27は下顎第二大臼歯である。26aは下顎第一大臼歯の中心窩である。
(下顎基準義歯床における連結人工歯の配列位置)
(j)左側下顎第一大臼歯の配列位置
点s6は、線分pqの長さを1とし、線分op上にあり、点oから0.65の距離にある。点t6は、線分pqの長さを1とし、線分oq上にあり、点oから0.65の距離にある。左側下顎第一大臼歯は、点s6から左側頬側床縁52側への線分opに対する垂直線上であって点s6から左側頬側床縁52側に0.08の距離に中心点を有する半径0.12の円内に、その中心窩を有するように配列されていることが好ましく、半径0.08の円内であることが特に好ましい。
(k)右側下顎第一大臼歯の配列位置
同様に、右側下顎第一大臼歯は、点t6から右側頬側床縁53側への線分oqに対する垂直線上であって点t6から右側頬側床縁53側に0.08の距離に中心点を有する半径0.12の円内に、その中心窩を有するように配列されていることが好ましく、半径0.08の円内であることが特に好ましい。
(l)下顎中切歯の配列位置
左右下顎中切歯は、線分pqの長さを1とし、直線om上において点mから唇側に0.74〜0.94の距離にある点u1で接するとともに、点u1において直線omと直交する直線上にそれぞれ中心点を有する二つの円のうち、左側頬側床縁52側の直径0.12の円内に左側下顎中切歯の中央の切縁結節が、右側頬側床縁53側の直径0.12の円内に右側下顎中切歯の中央の切縁結節を有するように隣接して配列されていることが好ましく、点mから点u1の距離が0.79〜0.89であることがより好ましく、0.83〜0.85であることが特に好ましい。
(m)左側下顎犬歯の配列位置
点s3は、線分pqの長さを1とし、線分op上にあり、点oから0.23の距離にある。点t3は、線分pqの長さを1とし、線分oq上にあり、点oから0.23の距離にある。左側下顎犬歯は、点s3から左側頬側床縁52側への線分opに対する垂直線上であって点s3から左側頬側床縁52側に0.17の距離に中心点を有する半径0.11の円内に、その尖頭を有するように配列されていることが好ましく、半径0.08の円内であることが特に好ましい。
(n)右側下顎犬歯の配列位置
同様に、右側下顎犬歯は、点t3から右側頬側床縁53側への線分oqに対する垂直線上であって点t3から右側頬側床縁53側に0.17の距離に中心点を有する半径0.11の円内に、その尖頭を有するように配列されていることが好ましく、半径0.08の円内であることが特に好ましい。
(o)左側下顎第一小臼歯、左側下顎第二小臼歯、左側下顎第二大臼歯の配列位置
左側下顎第一小臼歯、左側下顎第二小臼歯、左側下顎第二大臼歯は、線分pqの長さを1とし、(j)記載の半径0.12の円と(m)記載の半径0.11の円との両方に外接する2本の共通外接線の内側に、その中心窩を有するように配列されていることが好ましく、(j)記載の半径0.08の円と(m)記載の半径0.08の円とのとの両方に外接する2本の共通外接線の内側であることが特に好ましい。
(p)右側下顎第一小臼歯、右側下顎第二小臼歯、右側下顎第二大臼歯の配列位置
右側下顎第一小臼歯、右側下顎第二小臼歯、右側下顎第二大臼歯は、線分pqの長さを1とし、(k)記載の半径0.12の円と(n)記載の半径0.11の円との両方に外接する2本の共通外接線の内側に、その中心窩を有するように配列されていることが好ましく、(k)記載の半径0.08の円と(n)記載の半径0.08の円との両方に外接する2本の共通外接線の内側であることが特に好ましい。
(q)左側下顎側切歯の配列位置
左側下顎側切歯は、線分pqの長さを1とし、(l)記載の直線om上において点mから唇側に0.74〜0.94の距離にある点u1で接する二つの円のうち、左側の直径0.12の円と(j)記載の半径0.12の円との両方に外接する2本の共通外接線の内側に配列されていることが好ましく、点mから点u1の距離が0.79〜0.89であることがより好ましく、0.83〜0.85であることが特に好ましい。
(r)右側下顎側切歯の配列位置
右側下顎側切歯は、線分pqの長さを1とし、(l)記載の直線om上において点mから唇側に0.74〜0.94の距離にある点u1で接する二つの円のうち、右側の直径0.12の円と(k)記載の半径0.12の円との両方に外接する2本の共通外接線の内側に配列されていることが好ましく、点mから点u1の距離が0.79〜0.89であることがより好ましく、0.83〜0.85であることが特に好ましい。
(連結人工歯)
義歯作製キットを構成する連結人工歯は、2歯以上の人工歯が連結されて一体化していれば、その材質や形状は特に限定されない。所定の連結人工歯は上記(j)〜(r)に規定する位置に配列される。
(下顎用の連結人工歯)
特に好ましい連結人工歯としては、上記基準義歯床に配列した際に上記(j)〜(r)に規定する2つ以上の要件を満たす形状の連結人工歯である。即ち、床後縁の左側臼後隆起に相当する点pと右側臼後隆起に相当する点qとを結ぶ線分pqの長さを1とした場合、唇側床縁の正中にあたる下唇小帯に相当する点oと線分pqの中点mとを結ぶ線分omの長さが0.74〜0.94である下顎基準義歯床に配列したときに、上記の(j)〜(r)の2つ以上を満たすことができる歯列弓形状を有することが好ましい。上記(j)〜(r)に規定する要件は、2つ以上満たすことが好ましく、3つ以上満たすことがより好ましく、全て満たすことが特に好ましい。
第一小臼歯から第二大臼歯までを構成する人工歯は、これらの4歯が連結されていることが好ましい。同様に右側犬歯から左側犬歯までを構成する人工歯は、これらの6歯が連結されていることが好ましい。また、全歯列が連結していることが特に好ましい。配列時間を短縮できるからである。
(義歯作製キット)
本発明の義歯作製キットは、本発明の義歯作製キットを構成する上顎基準義歯床及び/又は下顎基準義歯床と、連結人工歯と、からなり、裏装材を含んでいても良い。基準義歯床を用いる場合、患者の口腔形状に適合するように裏装材を築盛し、かつ連結人工歯を配列することにより、義歯が作製される。
本発明の義歯作製キットは、それぞれサイズが異なる複数の上顎基準義歯床及び/又は下顎基準義歯床と、それぞれサイズが異なる複数の連結人工歯と、を予め用意しておくことが好ましい。これにより、より患者への適合率を高めることができる。なお、上顎基準義歯床、下顎基準義歯床及び連結人工歯のサイズは、それぞれ2〜10種類用意しておくことが好ましく、2〜5種類用意しておくことがより好ましく、3種類用意しておくことが特に好ましい。
本発明の義歯作製キットを用いて義歯を作成する方法を以下に説明する。
先ず、患者の口腔サイズに適合する上顎基準義歯床及び/又は下顎基準義歯床、連結人工歯をそれぞれ選択する。このような基準義歯床及び連結人工歯の選択は、口腔サイズの計測を基に決定できる。口腔サイズを計測する方法は、公知の方法を用いることができるが、例えば、目視・触診による計測、印象用トレーの試適によるサイズの計測等が挙げられる。これらの選択された上顎基準義歯床及び下顎基準義歯床には、それぞれ連結人工歯が配列されて、上顎義歯及び下顎義歯が作製される。さらに、上顎義歯及び下顎義歯には、それぞれ裏装材が築盛されて患者の口腔形状に完全に適合される。連結人工歯の配列と裏装材の築盛とはどちらを先に行っても良い。次いで、患者の口腔に試適された後、咬合が調整される。これにより、患者の口腔形状に合致した義歯が作製される。
本発明における基準義歯床の材料は公知のものがなんら制限なく使用できる。具体的に例示すれば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートの単独重合体もしくはこれらの共重合体から少なくとも一つ選ばれるポリ(メタ)アクリレート系樹脂、並びにポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリプロピレン)、ポリアミド系樹脂(例えば、ナイロン66(登録商標))、ポリエステル系樹脂(例えば、ポリカーボネート)、ポリエーテル系樹脂(例えば、ポリアセタール、ポリサルフォン)、ポリニトリル系樹脂(例えば、ポリアクリロニトリル)、ポリビニル系樹脂(例えば、ポリ酢酸ビニル)、セルロース系樹脂(例えば、酢酸セルロース)、フッ素系樹脂(例えば、ポリクロルフルオロエチレン)、イミド系樹脂(例えば、芳香族ポリイミド)等が挙げられる。
本発明における基準義歯床には、義歯床の強度を向上させるためにフィラーを含有させることもできる。該フィラーは、有機フィラーであっても無機フィラーであっても良い。また、無機フィラーに重合性単量体を予め添加し、ペースト状にした後、重合させ、粉砕して得られる粒状の有機−無機複合フィラーを用いても良い。
本発明における基準義歯床は、その一部が金属で形成されていても良い。
本発明における基準義歯床は、公知の方法によって成形される。例えば、射出成形や圧縮成形等が挙げられる。
裏装材としては、公知ものが何ら制限なく使用できる。例えば、基準義歯床の材料として説明した上述のポリ(メタ)アクリレート系樹脂、並びにポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリニトリル系樹脂、ポリビニル系樹脂、セルロース系樹脂、フッ素系樹脂、イミド系樹脂、シリコン樹脂等が挙げられる。
本発明において連結人工歯としては、樹脂製やセラミック製の公知の人工歯を用いることができる。樹脂製の人工歯としては、上述のポリ(メタ)アクリレート系樹脂、並びにポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリニトリル系樹脂、ポリビニル系樹脂、セルロース系樹脂、フッ素系樹脂、イミド系樹脂、シリコン系樹脂等を材質とする人工歯が例示される。人工歯の固定方法としては、嵌合、接着等従来公知の方法が何ら制限なく使用できる。
(適合率)
本実施例において適合率は、基準義歯床を裏装後、形状の異なる20種類の無歯顎全顎模型に試適した際に適合する模型数の割合で評価した。
(配列時間)
本実施例において配列時間は、参考例におけるオーダーメイドの義歯(従来法)を作製する場合に全歯列の人工歯を配列するのに要する時間を100%とし、各実施例の基準義歯床に人工歯を配列するのに要した時間の割合で評価した。
(咬合調整時間)
本実施例において咬合調整時間は、オーダーメイドの義歯(従来法)を作製する場合に咬合を調整するのに要する時間を100%とし、各実施例の咬合を調整するのに要した時間の割合で評価した。
(実施例1−20、比較例1)
表1に記載する形状の上顎基準義歯床を作製し、適合率、配列時間、咬合調整時間を評価した。評価結果は表1に示した。なお、義歯床の形状は左右対称である。
(実施例21−40、比較例2)
表2に記載する形状の下顎基準義歯床を作製し、適合率、配列時間、咬合調整時間を評価した。評価結果は表2に示した。なお、義歯床の形状は左右対称である。
表中、6−7番とは第一大臼歯及び第二大臼歯の2歯が連結された連結人工歯であり、4−7番とは第一小臼歯から第二大臼歯までの4歯が連結された連結人工歯であり、1−1番とは左右中切歯の2歯が連結された連結人工歯であり、1−3番とは中切歯から犬歯までの3歯が連結された連結人工歯であり、3−3番とは左側犬歯から右側犬歯までの6歯が連結された連結人工歯であり、7−7番とは全14歯が連結された連結人工歯である。
また、第一大臼歯(6番)又は犬歯(3番)の場合における「0」とは、人工歯の中心窩(第一大臼歯の場合)又は尖頭(犬歯の場合)が本願で規定する所定円内の中心となるように配列されていることを意味する。また、例えば第一大臼歯(6番)における「0.14」とは、本願で規定する所定円内の中心から中心窩までの距離を意味する。その他の数値に関しても同様の意味である。また、例えば犬歯(3番)における「0.12」とは、本願で規定する所定円内の中心から尖頭までの距離を意味する。その他の数値に関しても同様の意味である。上顎中切歯の場合、「0.95」とは、直線OM上において点Mから唇側に0.95の距離で左側上顎中切歯と右側上顎中切歯が隣接するように配列されていることをいい、「1.14」及び「0.76」とは各々記載の値の距離に左側上顎中切歯と右側上顎中切歯が隣接するように配列されていることをいう。下顎中切歯の場合、「0.84」とは、直線om上において点mから唇側に0.84の距離に左側下顎中切歯と右側下顎中切歯が隣接するように配列されていることをいい、「0.94」及び「0.74」とは各々記載の値の距離に左側下顎中切歯と右側下顎中切歯が隣接するように配列されていることをいう。
Figure 0006468676
Figure 0006468676
11・・・上顎中切歯
11a・・・左側上顎中切歯と右側上顎中切歯との歯間部
12・・・上顎側切歯
13・・・上顎犬歯
14・・・上顎第一小臼歯
15・・・上顎第二小臼歯
16・・・上顎第一大臼歯
16a・・・上顎第一大臼歯の中心窩
17・・・上顎第二大臼歯
21・・・下顎中切歯
21a・・・左側下顎中切歯と右側下顎中切歯との歯間部
22・・・下顎側切歯
23・・・下顎犬歯
24・・・下顎第一小臼歯
25・・・下顎第二小臼歯
26・・・下顎第一大臼歯
26a・・・下顎第一大臼歯の中心窩
27・・・下顎第二大臼歯
50、52・・・左側頬側床縁
51、53・・・右側頬側床縁
100・・・上顎基準義歯床
101・・・人工歯
200・・・下顎基準義歯床

Claims (10)

  1. 所定の形状を有する上顎基準義歯床に配列するための上顎用連結人工歯であって、
    前記上顎基準義歯床の所定の形状は、床後縁の左側翼突上顎切痕に相当する点を点Pとし、右側翼突上顎切痕に相当する点を点Qとし、線分PQの長さを1とし、唇側床縁の正中にあたる上唇小帯に相当する点を点Oとし、線分PQの中点を中点Mとし、線分OPを4等分する各点を、点O側から点P1、点P2、点P3とし、これら点P1、点P2、点P3からの線分OPに対する垂直線が左側頬側床縁と交わる点をそれぞれ点D1、点D2、点D3とし、線分OQを4等分する各点を、点O側から点Q1、点Q2、点Q3とし、これら点Q1、点Q2、点Q3からの線分OQに対する垂直線が右側頬側床縁と交わる点をそれぞれ点E1、点E2、点E3とした場合、
    線分OMの長さが0.76〜0.98であり、
    線分P1D1及び線分Q1E1の長さがそれぞれ0.11〜0.36であり、
    線分P2D2及び線分Q2E2の長さがそれぞれ0.19〜0.45であり、
    線分P3D3及び線分Q3E3の長さがそれぞれ0.16〜0.45である形状であり、
    前記上顎用連結人工歯は、左側上顎第一大臼歯、右側上顎第一大臼歯、左側上顎中切歯、右側上顎中切歯、左側上顎犬歯、右側上顎犬歯、左側上顎第一小臼歯、左側上顎第二小臼歯、左側上顎第二大臼歯、右側上顎第一小臼歯、右側上顎第二小臼歯、右側上顎第二大臼歯、左側上顎側切歯、及び右側上顎側切歯からなる群より選ばれる2種以上の歯牙の人工歯であって、前記上顎基準義歯床に互いに隣接して配列される2種以上の人工歯が連結されて一体となったものであり、且つ
    前記上顎用連結人工歯は、当該連結人工歯を構成する人工歯の種類に応じて、前記上顎基準義歯床に配列したときに、以下の(a)乃至(i)の条件(但し、これら条件における距離は、点Pと点Qとの距離を1としている。)を満たす歯列弓形状を有することを特徴とする上顎用連結人工歯。
    (a)点Oと点Pとを結ぶ線分OP上にあり点Oから0.74の距離にある点S6と、左側頬側床縁と、を結ぶ線分OPに対する垂直線上であって、点S6から左側頬側床縁側に0.11の距離に中心点を有する半径0.14の円内に左側上顎第一大臼歯の中心窩が位置する。
    (b)点Oと点Qとを結ぶ線分OQ上にあり点Oから0.74の距離にある点T6と、右側頬側床縁と、を結ぶ線分OQに対する垂直線上であって、点T6から右側頬側床縁側に0.11の距離に中心点を有する半径0.14の円内に右側上顎第一大臼歯の中心窩が位置する。
    (c)点Oと点Mとを通る直線OM上であって点Mから唇側に0.76〜1.14の距離にある点U1で互いに接する二つの円のうち、左側の直径0.17の円内に左側上顎中切歯の中央の切縁結節が、右側の直径0.17の円内に右側上顎中切歯の中央の切縁結節が位置する。
    (d)点Oと点Pとを結ぶ線分OP上にあり点Oから0.30の距離にある点S3と、左側頬側床縁と、を結ぶ線分OPに対する垂直線上であって、点S3から左側頬側床縁側に0.25の距離に中心点を有する半径0.12の円内に左側上顎犬歯の尖頭が位置する。
    (e)点Oと点Qとを結ぶ線分OQ上にあり点Oから0.30の距離にある点T3と、右側頬側床縁と、を結ぶ線分OQに対する垂直線上であって、点T3から右側頬側床縁側に0.25の距離に中心点を有する半径0.12の円内に右側上顎犬歯の尖頭が位置する。
    (f) 前記(a)記載の半径0.14の円と前記(d)記載の半径0.12の円との両方に外接する2本の共通外接線の内側に、左側上顎第一小臼歯及び/又は左側上顎第二小臼歯及び/又は左側上顎第二大臼歯の中心窩が位置する。
    (g) 前記(b)記載の半径0.14の円と前記(e)記載の半径0.12の円との両方に外接する2本の共通外接線の内側に、右側上顎第一小臼歯及び/又は右側上顎第二小臼歯及び/又は右側上顎第二大臼歯の中心窩が位置する。
    (h) 前記(c)記載の左側の直径0.17の円と前記(a)記載の半径0.14の円との両方に外接する2本の共通外接線の内側に、左側上顎側切歯が位置する。
    (i) 前記(c)記載の右側の直径0.17の円と前記(b)記載の半径0.14の円との両方に外接する2本の共通外接線の内側に、右側上顎側切歯が位置する。
  2. 所定の形状を有する下顎基準義歯床に配列するための下顎用連結人工歯であって、
    前記下顎基準義歯床の所定の形状は、床後縁の左側臼後隆起に相当する点を点pとし、右側臼後隆起に相当する点を点qとし、線分pqの長さを1とし、唇側床縁の正中にあたる下唇小帯に相当する点を点oとし、線分pqの中点を中点mとし、線分opを4等分する各点を、点o側から点p1、点p2、点p3とし、これら点p1、点p2、点p3からの線分opに対する垂直線が左側頬側床縁と交わる点をそれぞれ点d1、点d2、点d3とし、線分oqを4等分する各点を、点o側から点q1、点q2、点q3とし、これら点q1、点q2、点q3からの線分oqに対する垂直線が右側頬側床縁と交わる点をそれぞれ点e1、点e2、点e3とした場合、
    線分omの長さが0.74〜0.94であり、
    線分p1d1及び線分q1e1の長さがそれぞれ0.11〜0.32であり、
    線分p2d2及び線分q2e2の長さがそれぞれ0.13〜0.34であり、
    線分p3d3及び線分q3e3の長さがそれぞれ0.14〜0.33である形状であり、
    前記下顎用連結人工歯は、左側下顎第一大臼歯、右側下顎第一大臼歯、左側下顎中切歯、右側下顎中切歯、左側下顎犬歯、右側下顎犬歯、左側下顎第一小臼歯、左側下顎第二小臼歯、左側下顎第二大臼歯、右側下顎第一小臼歯、右側下顎第二小臼歯、右側下顎第二大臼歯、左側下顎側切歯、及び右側下顎側切歯からなる群より選ばれる2種以上の歯牙の人工歯であって、前記下顎基準義歯床に互いに隣接して配列される2種以上の人工歯が連結されて一体となったものであり、且つ
    前記下顎用連結人工歯は、当該連結人工歯を構成する人工歯の種類に応じて、前記下顎基準義歯床に配列したときに、以下の(j)乃至(r)の条件(但し、これら条件における距離は、点pと点qとの距離を1としている。)を満たす歯列弓形状を有することを特徴とする下顎用連結人工歯。
    (j)点oと点pとを結ぶ線分op上にあり点oから0.65の距離にある点s6と、左側頬側床縁と、を結ぶ線分opに対する垂直線上であって、点s6から左側頬側床縁側に0.08の距離に中心点を有する半径0.12の円内に左側下顎第一大臼歯の中心窩が位置する。
    (k)点oと点qとを結ぶ線分oq上にあり点oから0.65の距離にある点t6と、右側頬側床縁と、を結ぶ線分oqに対する垂直線上であって、点t6から右側頬側床縁側に0.08の距離に中心点を有する半径0.12の円内に右側下顎第一大臼歯の中心窩が位置する。
    (l)点oと点mとを通る直線om上であって点mから唇側に0.74〜0.94の距離にある点u1で互いに接する二つの円のうち、左側の直径0.12の円内に左側下顎中切歯の中央の切縁結節が、右側の直径0.12の円内に右側下顎中切歯の中央の切縁結節が位置する。
    (m)点oと点pとを結ぶ線分op上にあり点oから0.23の距離にある点s3と、左側頬側床縁と、を結ぶ線分opに対する垂直線上であって、点s3から左側頬側床縁側に0.17の距離に中心点を有する半径0.11の円内に左側下顎犬歯の尖頭が位置する。
    (n)点oと点qとを結ぶ線分oq上にあり点oから0.23の距離にある点t3と、右側頬側床縁と、を結ぶ線分oqに対する垂直線上であって、点t3から右側頬側床縁側に0.17の距離に中心点を有する半径0.11の円内に右側下顎犬歯の尖頭が位置する。
    (o) 前記(j)記載の半径0.12の円と前記(m)記載の半径0.11の円との両方に外接する2本の共通外接線の内側に、左側下顎第一小臼歯及び/又は左側下顎第二小臼歯及び/又は左側下顎第二大臼歯の中心窩が位置する。
    (p) 前記(k)記載の半径0.12の円と前記(n)記載の半径0.11の円との両方に外接する2本の共通外接線の内側に、右側下顎第一小臼歯及び/又は右側下顎第二小臼歯及び/又は右側下顎第二大臼歯の中心窩が位置する。
    (q) 前記(l)記載の左側の直径0.12の円と前記(j)記載の半径0.12の円との両方に外接する2本の共通外接線の内側に左側下顎側切歯が位置する。
    (r) 前記(l)記載の右側の直径0.12の円と前記(k)記載の半径0.12の円との両方に外接する2本の共通外接線の内側に右側下顎側切歯が位置する。
  3. 上顎義歯を作製するためのキットであって、請求項1に記載の上顎基準義歯床及び請求項1に記載の上顎用連結人工歯を含んでなることを特徴とする上顎義歯作製用キット。
  4. 前記上顎基準義歯床及び前記上顎用連結人工歯が、それぞれ複数のサイズが用意されている請求項3に記載の上顎義歯作製用キット。
  5. 下顎義歯を作製するためのキットであって、請求項2に記載の下顎基準義歯床及び請求項2に記載の下顎用連結人工歯を含んでなることを特徴とする下顎義歯作製用キット。
  6. 前記下顎基準義歯床及び前記下顎用連結人工歯が、それぞれ複数のサイズが用意されている請求項5に記載の下顎義歯作製用キット。
  7. 請求項3又は請求項4に記載の上顎義歯作製用キットと、
    請求項5又は請求項6に記載の下顎義歯作製用キットと、
    からなる義歯作製用キット。
  8. 裏装材をさらに含む請求項7に記載の義歯作製用キット。
  9. 請求項4に記載の上顎義歯作製用キットから、患者の口のサイズに適合する上顎義歯作製用キットを選択すると共に、請求項6に記載の下顎義歯作製用キットから、患者の口のサイズに適合する下顎義歯作製用キットを選択するキット選択工程と、
    前記キット選択工程で選択された上顎義歯作製用キットを用いて、当該キットを構成する上顎基準義歯床に同一キットを構成する上顎用連結人工歯を配列し上顎用連結人工歯が配列された上顎義歯床を作製すると共に、前記キット選択工程で選択された下顎義歯作製用キットを用いて、当該キットを構成する下顎基準義歯床に同一キットを構成する下顎用連結人工歯を配列して下顎用連結人工歯が配列された下顎義歯床を作製する、人工歯列配列義歯床作製工程と、
    を有することを特徴とする義歯作製方法。
  10. 更に、前記人工歯列配列義歯床作製工程で作製された上顎用連結人工歯が配列された上顎義歯床及び/又は下顎用連結人工歯が配列された下顎義歯床に裏装材を築盛する工程と、
    を有することを特徴とする請求項9に記載の義歯作製方法。
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