JP6612557B2 - 無口蓋上顎基準義歯床、無口蓋上顎基準義歯、義歯作製キット及びこれを用いる義歯作製方法 - Google Patents

無口蓋上顎基準義歯床、無口蓋上顎基準義歯、義歯作製キット及びこれを用いる義歯作製方法 Download PDF

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Description

本発明は、所定形状を有するとともに、口蓋に相当する部分を有さない既製の無口蓋上顎基準義歯床に関する。また、この無口蓋上顎基準義歯床及び無口蓋上顎基準義歯を含んで構成される義歯作製キットに関する。さらには、該義歯作製キットを用いる義歯作製方法に関する。
従来、義歯は主として以下の手順により作製されている。
(1)印象材を用いて患者の口腔内の印象を採得する。
(2)該印象を用いて石膏模型を作製する。
(3)咬合床を患者に装着させて咬合を採得する。
(4)咬合床に人工歯を配列し、蝋義歯を作製する。
(5)蝋義歯を患者に試適させ、咬合を調整する。
(6)蝋義歯を石膏中に埋没して鋳型を作製する。
(7)鋳型に樹脂を注入、硬化させて義歯を作製する。
このように、義歯は患者の口腔形状に合わせて1つずつ手作業で作製されているため、多くの時間を必要とし、歯科医院、歯科技工所及び患者の負担が大きい。また、この義歯の作製方法は、複数回の転写工程を有しているため形状の誤差が生じ易い。さらには、歯科医師及び歯科技工士の技量により、品質が変動し易い。
特許文献1には、金型等を用いて量産された義歯床を用いる義歯の作製方法が開示されている。特許文献2には、可塑性である光重合性組成物からなる義歯床部材に、少なくとも一本の人工歯が配列する補綴義歯前駆体を用いる義歯の作製方法が開示されている。これらの方法は、一部の工程の簡略化が図れるものの、依然として石膏模型を作製する必要があるため、十分に簡略化されているとは言い難い。また、無歯顎者の口腔形状を基に作製される義歯床は、歯槽頂の吸収が患者毎に異なっているため、義歯床の形状を予め定めて量産化することが困難である。
従来の義歯作製方法は、歯槽頂間線法則に基づいて作製されるのが一般的であったが、前述のようにかかる義歯作製方法は、煩雑であることが問題であった。さらに、患者の高齢化が進んだ現代においては、上記方法で作製した義歯は歯槽骨の退縮が著しい場合、正常な咬合を得ることが困難となり、交叉咬合等の問題が生じていた。そこで、近年は、有歯顎時に歯列弓が存在していたとされる筋圧中立帯に合わせて義歯形状を定めるデンチャースペース理論に基づく義歯作製方法が提唱されている。しかし、デンチャースペース理論に基づく義歯作製方法を習得するためには多くの時間を要する。また、デンチャースペース理論に基づく義歯作製方法であっても、義歯作製方法自体は従来と同様に煩雑である。そのため、デンチャースペース理論に基づく義歯であって、簡易な方法で作製できる義歯が求められている。
さらに、従来の基準義歯床は口蓋に相当する床部分(以下、口蓋被覆部ともいう)と、口腔内の口蓋粘膜と、の接触が十分ではなく、一部の患者に対して不快感や吐気等を与える原因となっている。
特開平6−63065号公報 特開平5−192353号公報
本発明の課題は、多くの患者に適合可能な既製の基準義歯床又は基準義歯であって、義歯作製工程を簡略化して義歯作製時間を短縮するとともに、義歯の口蓋被覆部と粘膜との適合性を高くすることができる上顎基準義歯床又は上顎基準義歯を提供することにある。また、人工歯が所定の位置に予め配列されている無口蓋上顎基準義歯床又は無口蓋上顎基準義歯を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するため、有歯顎者及び無歯顎者の口腔形状を基に義歯床の形状を定め、該形状に基づいて義歯床を作製することに想到した。そして、この方法により所定の形状の基準義歯床を作製した。また、上顎基準義歯床の口蓋被覆部を設けずに、該口蓋被覆部を患者の口腔形状毎に作製することに想到した。このように作製される基準義歯床又は基準義歯は、多くの無歯顎者に適用可能であり、口蓋部分の粘膜への適合性を十分に高くすることができることを見出した。さらには、この基準義歯床の所定の位置に人工歯を予め配列することにより、高い適合率を維持したまま、義歯作製工程を簡略化できることを見出し、本発明を完成するに至った。
上記課題を解決する本発明は以下に記載するとおりである。なお、本願明細書において、基準義歯床とは、既製の義歯床であって人工歯の全てが配列されていない義歯床をいう。従来のように、個別に患者の口腔形状の印象を採取してオーダーメイドで作製される義歯床とは異なり、本発明の基準義歯床は、有歯顎者の口腔形状を統計的に定めてデンチャースペース理論に基づいて作製される。そのため、数種類の基準義歯床を用意しておけば、裏装材を築盛し、人工歯を配列することにより、ほぼ全ての患者に対して適合率が高い義歯を作製でき、さらには歯槽頂の吸収が激しい難症例の患者にも適合できる。なお、本願明細書において、全歯列とは左側第二大臼歯から右側第二大臼歯までの14歯を含む歯列をいう。
〔1〕 床後縁の左側翼突上顎切痕に相当する点Pと右側翼突上顎切痕に相当する点Qとを結ぶ線分PQの長さを1とした場合、
唇側床縁の正中にあたる上唇小帯に相当する点Oと線分PQの中点Mとを結ぶ線分OMの長さが0.76〜0.98である上顎基準義歯床であって、
口蓋を被覆する部分に切欠部を有することを特徴とする無口蓋上顎基準義歯床。
上記〔1〕に記載の発明は、義歯床の形状が所定の形状であり、口蓋被覆部を有さない無口蓋の上顎基準義歯床である。口蓋被覆部は、患者の口腔形状に合わせて個別に作製される。なお、切欠部は、現実に切り欠くことによって形成されることを意味するものではない。
〔2〕 中点Mからの線分PQに対する垂直線と床後縁との交点Nと、中点Mと、を結ぶ線分NMの長さが0.40〜0.85である〔1〕に記載の無口蓋上顎基準義歯床。
上記〔2〕に記載の発明は、前記切欠部の床後縁側から舌側への切欠長さを規定した無口蓋上顎基準義歯床である。
〔3〕 前記切欠部の切欠幅が、0.4〜0.7である請求項1に記載の無口蓋上顎基準義歯床。
上記〔3〕に記載の発明は、前記切欠部の左側頬側床縁部から右側頬側床縁部への切欠幅を規定した無口蓋上顎基準義歯床である。
〔4〕 前記無口蓋上顎基準義歯床が、
点Oと点Pとを結ぶ線分OPを4等分する各点を、点O側から点P1、点P2、点P3とし、
線分OP上の点P1、点P2、点P3からの垂直線が左側頬側床縁と交わる点を点D1、点D2、点D3とし、
点Oと点Qとを結ぶ線分OQを4等分する各点を、点O側から点Q1、点Q2、点Q3とし、
線分OQ上の点Q1、点Q2、点Q3からの垂直線が右側頬側床縁と交わる点を点E1、点E2、点E3とし、
線分PQの長さを1とした場合、
線分P1D1及び線分Q1E1の長さがそれぞれ0.11〜0.36、
線分P2D2及び線分Q2E2の長さがそれぞれ0.19〜0.45、
線分P3D3及び線分Q3E3の長さがそれぞれ0.16〜0.45
である〔1〕乃至〔3〕の何れかに記載の無口蓋上顎基準義歯床。
上記〔4〕に記載の発明は、義歯床の形状をさらに特定した無口蓋上顎基準義歯床である。
〔5〕 人工歯が少なくとも1歯以上予め配列されている〔1〕乃至〔4〕の何れかに記載の無口蓋上顎基準義歯床。
〔6〕 前記無口蓋上顎基準義歯床が、
線分PQの長さを1とした場合、
線分OP上にあり点Oから0.74の距離にある点S6と、左側頬側床縁と、を結ぶ線分OPに対する垂直線上であって、点S6から左側頬側床縁側に0.11の距離に中心点を有する半径0.14の円内に左側上顎第一大臼歯の中心窩を有し、
線分OQ上にあり点Oから0.74の距離にある点T6と、右側頬側床縁と、を結ぶ線分OQに対する垂直線上であって、点T6から右側頬側床縁側に0.11の距離に中心点を有する半径0.14の円内に右側上顎第一大臼歯の中心窩を有する〔5〕に記載の無口蓋上顎基準義歯床。
上記〔6〕に記載の発明は、第一大臼歯(6番)の配列位置がさらに特定された無口蓋上顎基準義歯床である。
〔7〕 前記無口蓋上顎基準義歯床が、
線分PQの長さを1とした場合、
直線OM上であって点Mから唇側に0.76〜1.14の距離に左側上顎中切歯と右側上顎中切歯との歯間部を有する〔5〕に記載の無口蓋上顎基準義歯床。
上記〔7〕に記載の発明は、中切歯(1番)の配列位置がさらに特定された無口蓋上顎基準義歯床である。
〔8〕 前記無口蓋上顎基準義歯床が、
線分PQの長さを1とした場合、
線分OP上にあり点Oから0.30の距離にある点S3と、左側頬側床縁と、を結ぶ線分OPに対する垂直線上であって、点S3から左側頬側床縁側に0.25の距離に中心点を有する半径0.12の円内に左側上顎犬歯の尖頭を有し、
線分OQ上にあり点Oから0.30の距離にある点T3と、右側頬側床縁と、を結ぶ線分OQに対する垂直線上であって、点T3から右側頬側床縁側に0.25の距離に中心点を有する半径0.12の円内に右側上顎犬歯の尖頭を有する〔5〕に記載の無口蓋上顎基準義歯床。
上記〔8〕に記載の発明は、犬歯(3番)の配列位置がさらに特定された無口蓋上顎基準義歯床である。
〔9〕 〔1〕乃至〔8〕の何れかに記載の無口蓋上顎基準義歯床に、全歯列の人工歯が予め配列されてなることを特徴とする無口蓋上顎基準義歯。
〔10〕 床後縁の左側臼後隆起に相当する点pと右側臼後隆起に相当する点qとを結ぶ線分pqの長さを1とした場合、
唇側床縁の正中にあたる下唇小帯に相当する点oと線分pqの中点mとを結ぶ線分omの長さが0.76〜0.94である下顎基準義歯床と、
〔1〕乃至〔9〕の何れかに記載の無口蓋上顎基準義歯床又は無口蓋上顎基準義歯と、
からなる義歯作製キット。
上記〔10〕に記載の発明は、所定形状の下顎基準義歯床と、上記〔1〕乃至〔9〕の何れかに記載の無口蓋上顎基準義歯床又は無口蓋上顎基準義歯と、から成る義歯作製キットである。
〔11〕 前記下顎基準義歯床が、
点oと点pとを結ぶ線分opを4等分する各点を、点o側から点p1、点p2、点p3とし、線分op上の点p1、点p2、点p3からの垂直線が左側頬側床縁と交わる点を点d1、点d2、点d3とし、
点oと点qとを結ぶ線分oqを4等分する各点を、点o側から点q1、点q2、点q3とし、線分oq上の点q1、点q2、点q3からの垂直線が右側頬側床縁と交わる点を点e1、点e2、点e3とし、
線分pqの長さを1とした場合、
線分p1d1及び線分q1e1の長さがそれぞれ0.11〜0.32、
線分p2d2及び線分q2e2の長さがそれぞれ0.13〜0.34、
線分p3d3及び線分q3e3の長さがそれぞれ0.14〜0.33
である下顎基準義歯床である〔10〕に記載の義歯作製キット。
〔12〕 前記下顎基準義歯床が、
線分pqの長さを1とした場合、
直線d1p1、d2p2、d3p3及びe1q1、e2q2、e3q3と、舌側床縁との交点をそれぞれ点b1、点b2、点b3及び点c1、点c2、点c3とし、
線分d1b1及び線分e1c1の長さがそれぞれ0.14〜0.40、
線分d2b2及び線分e2c2の長さがそれぞれ0.19〜0.41、
線分d3b3及び線分e3c3の長さがそれぞれ0.21〜0.42
である下顎基準義歯床である〔10〕又は〔11〕に記載の義歯作製キット。
上記〔11〕、〔12〕に記載の発明は、下顎基準義歯床の形状をさらに特定した義歯作製キットである。
〔13〕 前記下顎基準義歯床が、人工歯が少なくとも1歯以上予め配列されている下顎基準義歯床である〔10〕乃至〔12〕の何れかに記載の義歯作製キット。
〔14〕 前記下顎基準義歯床が、
線分pqの長さを1とした場合、
線分op上にあり点oから0.65の距離にある点s6と、左側頬側床縁と、を結ぶ線分opに対する垂直線上であって、点s6から左側頬側床縁側に0.08の距離に中心点を有する半径0.12の円内に左側下顎第一大臼歯の中心窩を有し、
線分oq上にあり点oから0.65の距離にある点t6と、右側頬側床縁と、を結ぶ線分oqに対する垂直線上であって、点t6から右側頬側床縁側に0.08の距離に中心点を有する半径0.12の円内に右側下顎第一大臼歯の中心窩を有する下顎基準義歯床である〔13〕に記載の義歯作製キット。
上記〔14〕に記載の発明は、下顎基準義歯床の所定の位置に第一大臼歯(6番)が配列されている義歯作製キットである。
〔15〕 前記下顎基準義歯床が、
線分pqの長さを1とした場合、
直線om上であって点mから唇側に0.74〜0.94の距離に左側下顎中切歯と右側下顎中切歯との歯間部を有する下顎基準義歯床である〔13〕又は〔14〕に記載の義歯作製キット。
上記〔15〕に記載の発明は、下顎基準義歯床の所定の位置に中切歯(1番)が配列されている義歯作製キットである。
〔16〕 前記下顎基準義歯床が、
線分pqの長さを1とした場合、
線分op上にあり点oから0.23の距離にある点s3と、左側頬側床縁と、を結ぶ線分opに対する垂直線上であって、点s3から左側頬側床縁側に0.17の距離に中心点を有する半径0.11の円内に左側下顎犬歯の尖頭を有し、
線分oq上にあり点oから0.23の距離にある点t3と、右側頬側床縁と、を結ぶ線分oqに対する垂直線上であって、点t3から右側頬側床縁側に0.17の距離に中心点を有する半径0.11の円内に右側下顎犬歯の尖頭を有する下顎基準義歯床である〔13〕乃至〔15〕の何れかに記載の義歯作製キット。
上記〔16〕に記載の発明は、下顎基準義歯床の所定の位置に犬歯(3番)が配列されている義歯作製キットである。
〔17〕 〔1〕乃至〔9〕の何れかに記載の無口蓋上顎基準義歯床又は無口蓋上顎基準義歯と、
〔10〕乃至〔16〕の何れかに記載の下顎基準義歯床に、全歯列の人工歯が予め配列されている下顎基準義歯と、
からなる義歯作製キット。
〔18〕 〔1〕乃至〔8〕の何れかに記載の無口蓋上顎基準義歯床であってサイズが異なる複数の無口蓋上顎基準義歯床からなる義歯作製キット。
上記〔18〕に記載の発明は、複数サイズの無口蓋上顎用基準義歯床が用意されている義歯作製キットである。
〔19〕 〔1〕乃至〔8〕の何れかに記載の無口蓋上顎基準義歯床であってサイズが異なる複数の無口蓋上顎基準義歯床と、
〔10〕乃至〔16〕の何れかに記載の下顎基準義歯床であってサイズが異なる複数の下顎基準義歯床と、
からなる義歯作製キット。
上記〔19〕に記載の発明は、複数サイズの無口蓋上顎用基準義歯床と、複数サイズの下顎用基準義歯床と、が用意されている義歯作製キットである。
〔20〕 裏装材をさらに含む〔10〕乃至〔19〕の何れかに記載の義歯作製キット。
〔21〕 〔19〕又は〔20〕に記載の義歯作製キットから、患者の口のサイズに適合する無口蓋上顎基準義歯床及び下顎基準義歯床を選択する工程と、
前記無口蓋上顎基準義歯床及び下顎基準義歯床に人工歯を配列する工程と、
前記無口蓋上顎基準義歯床の切欠部に口蓋被覆部を形成する工程と、
前記上顎基準義歯床及び下顎基準義歯床に裏装材を築盛する工程と、
を有することを特徴とする義歯作製方法。
上記〔21〕に記載の発明は、基準義歯床のサイズを選択した後、この基準義歯床に人工歯を配列し、かつ無口蓋上顎基準義歯床の切欠部に患者の口腔形状に合わせて口蓋被覆部を形成するとともに裏装材を築盛する義歯作製方法である。
〔22〕 〔9〕に記載の無口蓋上顎基準義歯であってサイズが異なる複数の無口蓋上顎基準義歯からなる義歯作製キット。
上記〔22〕に記載の発明は、複数サイズの無口蓋上顎用基準義歯が用意されている義歯作製キットである。
〔23〕 〔9〕に記載の無口蓋上顎基準義歯であってサイズが異なる複数の無口蓋上顎基準義歯と、
〔17〕に記載の下顎基準義歯であってサイズが異なる複数の下顎基準義歯と、
からなる義歯作製キット。
上記〔23〕に記載の発明は、複数サイズの無口蓋上顎用基準義歯と、複数サイズの下顎用基準義歯と、が用意されている義歯作製キットである。
〔24〕 裏装材をさらに含む〔22〕又は〔23〕に記載の義歯作製キット。
〔25〕 〔23〕又は〔24〕に記載の義歯作製キットから、患者の口のサイズに適合する無口蓋上顎基準義歯及び下顎基準義歯を選択する工程と、
前記無口蓋上顎基準義歯床の切欠部に口蓋被覆部を形成する工程と、
前記無口蓋上顎基準義歯及び下顎基準義歯に裏装材を築盛する工程と、
を有することを特徴とする義歯作製方法。
上記〔25〕に記載の発明は、基準義歯のサイズを選択した後、無口蓋上顎基準義歯の切欠部に患者の口腔形状に合わせて口蓋被覆部を形成し、かつ裏装材を築盛する義歯作製方法である。
本発明の無口蓋基準義歯床は、口蓋被覆部を有さず、かつ所定形状を有している。この無口蓋基準義歯床は、裏装材を築盛するとともに、口蓋被覆部を患者の口腔形状毎に形成して容易に患者の口腔形状に適合させることができる。即ち、既製化された義歯床を用いることによって義歯の作製時間を短縮するだけでなく、口蓋被覆部を患者の口腔形状毎に作製することによって口蓋被覆部と粘膜との適合率が高く、かつ厚みの小さい口蓋被覆部を形成することができる。
本発明の無口蓋基準義歯は、所定形状の基準義歯床に全歯列の人工歯が予め配列されているため、裏装材を築盛して容易に義歯を作製することができる。即ち、従来の義歯作製の工程において、既製化された義歯床を用いるとともに、全歯列を予め配列しておくことにより、義歯の作製時間を大幅に短縮することができる。これにより、歯科医師、歯科技工士及び患者の負担を大幅に低減することができる。
本発明の無口蓋基準義歯床又は無口蓋基準義歯は、有歯顎者の口腔形状を統計的に定めてデンチャースペース理論に基づいて作製されているため、数種類の基準義歯床又は基準義歯を用意しておけば、ほぼ全ての患者に対して適合率の高い義歯を作製できる。また、歯槽頂の吸収が激しい難症例の患者にも適合できる。
図1は、義歯を患者に装着した状態を示す説明図である。 図2は、無口蓋上顎基準義歯床の形状を示す平面図である。 図3は、無口蓋上顎基準義歯床に配列されている人工歯の位置を示す平面図である。 図4は、無口蓋上顎用義歯の一例を示す平面図である。 図5は、下顎基準義歯床の形状を示す平面図である。 図6は、下顎基準義歯床に配列されている人工歯の位置を示す平面図である。 図7は、下顎用義歯の一例を示す平面図である。
以下、図面を参照しながら本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明の義歯作製キットにより作製された義歯を患者に装着した状態を示す説明図である。図1中、100は上顎基準義歯床で、200は下顎基準義歯床である(以下、これらを単に「基準義歯床」ともいう。)。上顎基準義歯床100は、無口蓋上顎基準義歯床100aの切欠部100b部分に裏装材等を用いて口蓋被覆部が形成されて成る。なお、口蓋被覆部は患者の口腔形状に合わせて個別に作製される。101は人工歯であり、基準義歯床に全ての歯列が配列されると義歯が完成される。
図1中、点Oは、唇側床縁の正中にあたる上唇小帯に相当する点であり、点Pは、床後縁の左側翼突上顎切痕に相当する点である。上顎基準義歯床100の左側頬側床縁50は、点D1〜D3を有している(後述)。点oは、唇側床縁の正中にあたる下唇小帯に相当する点である。点pは、床後縁の左側臼後隆起に相当する点である。下顎基準義歯床200の左側頬側床縁52は、点d1〜d3を有している(後述)。本発明の基準義歯床は、これらの点の相対的な位置関係が所定範囲にある。また、基準義歯床の所定の位置に、少なくとも第一大臼歯、中切歯及び犬歯が予め配列されていることが好ましい。
(無口蓋上顎基準義歯床)
図2は、本発明の無口蓋上顎基準義歯床100aの形状の一例を示す平面図である。100aは無口蓋上顎基準義歯床であり、100bは上顎基準義歯床の口蓋部分に相当する切欠部である。図2中、点Oは、唇側床縁の正中にあたる上唇小帯に相当する点である。点Pは、床後縁の左側翼突上顎切痕に相当する点であり、点Qは、床後縁の右側翼突上顎切痕に相当する点である。点Mは、点Pと点Qとを結ぶ線分PQの中点である。この基準義歯床は、線分PQの長さを1としたとき、点Oと点Mとを結ぶ線分OMの長さが、0.76〜0.98の範囲にあり、0.81〜0.93の範囲にあることが好ましく、0.86〜0.88の範囲にあることがより好ましい。この形状を有する無口蓋上顎基準義歯床100aは、口蓋部分に相当する切欠部100bに裏装材等を用いて口蓋被覆部を形成し、且つ義歯床の粘膜接触面全体に裏装材等を築盛することによって、多くの無歯顎者に適合させることができる。なお、無口蓋上顎基準義歯床の左右は、患者に装着した際における左右であり、紙面における右左と反転している。
図2中、点Nは中点Mからの線分PQに対する垂直線と床後縁との交点である。点Nと中点Mとを結ぶ線分NMの長さは0.40〜0.85であることが好ましく、0.50〜0.75であることがより好ましい。この長さで切欠部100bを形成することにより、口蓋被覆部を薄く形成することができ、かつ粘膜への適合率を十分に向上することができる。0.40未満の場合、粘膜への適合率を十分に向上できない場合がある。一方、0.85を超える場合、粘膜への適合率を向上させることができるが、作製時間が長くなる。
図2中、点Xは切欠部100bの右側頬側の端部であり、点Yは左側頬側の端部である。点Xは、右側上顎第二大臼歯(右上7番)の中心窩と左側上顎第二大臼歯(左上7番)の中心窩とを通る線を、右側上顎第二大臼歯及び左側上顎第二大臼歯の歯軸方向に平行移動させた場合に、該線と右側頬側床縁部とが交差する点である。Yは、同様に、右側上顎第二大臼歯(右上7番)の中心窩と左側上顎第二大臼歯(左上7番)の中心窩とを通る線を、右側上顎第二大臼歯及び左側上顎第二大臼歯の歯軸方向に平行移動させた場合に、該線と左側頬側床縁部とが交差する点である。本発明において、切欠部100bの切欠幅とは、線分XYの長さを意味する。
線分PQの長さを1としたとき、線分XYは0.4〜0.7であることが好ましく、0.5〜0.6であることがより好ましい。この切欠幅で切欠部100bを形成することにより、粘膜への適合率を十分に向上させることができる。なお、点X及び点Yは線分OMに対して対称に形成されていることが好ましい。
また、切欠部100bの面積は1〜5cmであることが好ましく、2〜4cmであることがより好ましい。なお、ここで切欠部100bの面積とは、後工程で裏装材を用いて形成する口蓋被覆部に相当する最低限の面積を意味する。
切欠部100bの形成は、有口蓋の基準義歯床を切り欠いて形成しても良いし、切欠部100bが形成されている金型等を用いて形成しても良い。即ち、実際に切り欠いて製造することを必須とするものではない。
図2中、点P1〜P3は、線分OPを4等分する点である。即ち、線分OP1、線分P1P2、線分P2P3、線分P3Pの長さは等しい。点D1〜D3は、点P1〜P3の各点それぞれからの線分OPに対する垂直線が左側頬側床縁50と交わる点である。点Q1〜Q3は、線分OQを4等分する点である。即ち、線分OQ1、線分Q1Q2、線分Q2Q3、線分Q3Qの長さは等しい。点E1〜E3は、点Q1〜Q3の各点それぞれからの線分OQに対する垂直線が右側頬側床縁51と交わる点である。
本発明の無口蓋上顎基準義歯床の形状は、線分PQの長さを1としたとき、線分P1D1及び線分Q1E1の長さは、それぞれ0.11〜0.36の範囲であることが好ましく、0.16〜0.31の範囲であることがより好ましく、0.21〜0.26の範囲であることが特に好ましい。また、線分P2D2及び線分Q2E2の長さは、それぞれ0.19〜0.45の範囲であることが好ましく、0.24〜0.40の範囲であることがより好ましく、0.29〜0.35の範囲であることが特に好ましい。さらに、線分P3D3及び線分Q3E3の長さは、それぞれ0.16〜0.45の範囲であることが好ましく、0.21〜0.40の範囲であることがより好ましく、0.26〜0.35の範囲であることが特に好ましい。この形状を有する無口蓋上顎基準義歯床は、さらに高い適合率で無歯顎者に適合させることができる。
本発明の無口蓋上顎基準義歯床には、人工歯が少なくとも1歯以上予め配列されていることが好ましい。予め人工歯が配列されている場合、該人工歯を基準として、Thompsonの分類基準による方形、帯円方形、帯円形、帯円V字形の何れかの歯列弓を形成するように他の歯列を配列することにより、人工歯の配列時間を短縮できる。本発明の無口蓋上顎基準義歯床には、人工歯を配列するためのマークや凹部を有していても良い。
図3は、本発明の無口蓋上顎基準義歯床に配列されている人工歯の位置を示す説明図である。図4は、本発明の無口蓋上顎基準義歯床に全ての人工歯が配列されてなる無口蓋上顎基準義歯の一例を示す平面図である。図4中、11は上顎中切歯(1番)であり、11aは左側上顎中切歯と右側上顎中切歯との歯間部である。12は上顎側切歯(2番)であり、12aは上顎側切歯の近心隅角切縁である。13は上顎犬歯(3番)であり、13aは上顎犬歯の尖頭である。14は上顎第一小臼歯(4番)であり、14aは上顎第一小臼歯における中心溝と中心咬合面隆線との交点である。15は上顎第二小臼歯(5番)であり、15aは上顎第二小臼歯における中心溝と中心咬合面隆線との交点である。16は上顎第一大臼歯(6番)であり、16aは上顎第一大臼歯の中心窩である。17は上顎第二大臼歯(7番)であり、17aは上顎第二大臼歯の中心窩である。
(無口蓋上顎基準義歯床における人工歯の配列位置)
(a)左側上顎第一大臼歯(左上6番)の配列位置
点S6は、線分PQの長さを1とし、線分OP上にあり、点Oから0.74の距離にある。点T6は、線分PQの長さを1とし、線分OQ上にあり、点Oから0.74の距離にある。左側上顎第一大臼歯は、点S6から左側頬側床縁50側への線分OPに対する垂直線上であって点S6から左側頬側床縁50側に0.11の距離に中心点を有する半径0.14の円内に、左側上顎第一大臼歯の中心窩が位置するように配列されることが好ましく、半径0.08の円内であることが特に好ましい。
(b)右側上顎第一大臼歯(右上6番)の配列位置
同様に、右側上顎第一大臼歯は、点T6から右側頬側床縁51側への線分OQに対する垂直線上であって点T6から右側頬側床縁51側に0.11の距離に中心点を有する半径0.14の円内に、右側上顎第一大臼歯の中心窩が位置するように配列されることが好ましく、半径0.08の円内であることが特に好ましい。
(c)上顎中切歯(上1番)の配列位置
上顎中切歯は、直線OM上であって点Mから唇側に0.76〜1.14の距離に左側上顎中切歯と右側上顎中切歯との歯間部を有するように配列される。
左側上顎中切歯は、線分PQの長さを1とし、直線OM上にあって点Mから唇側に0.76〜1.14の距離にある点U1に円周が接するとともに、点U1において直線OMと直交する直線上であって左側頬側床縁50側に中心点を有する直径0.17の円内に、左側中切歯の中央の切縁結節が位置するように配列されることが好ましく、点Mから点U1が0.86〜1.04の距離であることがより好ましく、0.91〜0.99の距離であることが特に好ましい。
同様に、右側中切歯は、直線OM上にあって点Mから唇側に0.76〜1.14の距離にある点U1に円周が接するとともに、点U1において直線OMと直交する直線上であって右側頬側床縁51側に中心点を有する直径0.17の円内に、右側中切歯の中央の切縁結節が位置するように配列されることが好ましく、点Mから点U1が0.86〜1.04の距離であることがより好ましく、0.91〜0.99の距離であることが特に好ましい。また、左側上顎中切歯と右側上顎中切歯とは、直線OMに対して左右対称に配列されていることが好ましい。
(d)左側上顎犬歯(左上3番)の配列位置
点S3は、線分PQの長さを1とし、線分OP上にあり、点Oから0.30の距離にある。点T3は、線分PQの長さを1とし、線分OQ上にあり、点Oから0.30の距離にある。左側上顎犬歯は、点S3から左側頬側床縁50側への線分OPに対する垂直線上であって点S3から左側頬側床縁50側に0.25の距離に中心点を有する半径0.12の円内に、左側上顎犬歯の尖頭が位置するように配列されることが好ましく、半径0.07の円内であることが特に好ましい。
(e)右側上顎犬歯(右上3番)の配列位置
同様に、右側上顎犬歯は、点T3から右側頬側床縁51側への線分OQに対する垂直線上であって点T3から右側頬側床縁51側に0.25の距離に中心点を有する半径0.12の円内に、右側上顎犬歯の尖頭が位置するように配列されることが好ましく、半径0.07の円内であることが特に好ましい。
(f)左側上顎第一小臼歯(左上4番)の配列位置
点S4は、線分PQの長さを1とし、線分OP上にあり、点Oから0.44の距離にある。点T4は、線分PQの長さを1とし、線分OQ上にあり、点Oから0.44の距離にある。左側上顎第一小臼歯は、点S4から左側頬側床縁50側への線分OPに対する垂直線上であって点S4から左側頬側床縁50側に0.24の距離に中心点を有する半径0.13の円内に、その中心溝と中心咬合面隆線との交点が位置するように配列されることが好ましく、半径0.08の円内であることが特に好ましい。
(g)右側上顎第一小臼歯(右上4番)の配列位置
同様に、右側上顎第一小臼歯は、点T4から右側頬側床縁51側への線分OQに対する垂直線上であって点T4から右側頬側床縁51側に0.24の距離に中心点を有する半径0.13の円内に、その中心溝と中心咬合面隆線との交点が位置するように配列されることが好ましく、半径0.08の円内であることが特に好ましい。
(h)左側上顎第二小臼歯(左上5番)の配列位置
点S5は、線分PQの長さを1とし、線分OP上にあり、点Oから0.58の距離にある。点T5は、線分PQの長さを1とし、線分OQ上にあり、点Oから0.58の距離にある。左側上顎第二小臼歯は、点S5から左側頬側床縁50側への線分OPに対する垂直線上であって点S5から左側頬側床縁50側に0.19の距離に中心点を有する半径0.13の円内に、その中心溝と中心咬合面隆線との交点が位置するように配列されることが好ましく、半径0.08の円内であることが特に好ましい。
(i)右側上顎第二小臼歯(右上5番)の配列位置
同様に、右側上顎第二小臼歯は、点T5から右側頬側床縁51側への線分OQに対する垂直線上であって点T5から右側頬側床縁51側に0.19の距離に中心点を有する半径0.13の円内に、その中心溝と中心咬合面隆線との交点が位置するように配列されることが好ましく、半径0.08の円内であることが特に好ましい。
(j)左側上顎第二大臼歯(左上7番)の配列位置
点S7は、線分PQの長さを1とし、線分OP上にあり、点Oから0.90の距離にある。点T7は、線分PQの長さを1とし、線分OQ上にあり、点Oから0.90の距離にある。左側上顎第二大臼歯は、点S7から左側頬側床縁50側への線分OPに対する垂直線上であって点S7から左側頬側床縁50側に0.08の距離に中心点を有する半径0.12の円内に、その中心窩が位置するように配列されることが好ましく、半径0.08の円内であることが特に好ましい。
(k)右側上顎第二大臼歯(右上7番)の配列位置
同様に、右側上顎第二大臼歯は、点T7から右側頬側床縁51側への線分OQに対する垂直線上であって点T7から右側頬側床縁51側に0.08の距離に中心点を有する半径0.12の円内に、その中心窩が位置するように配列されることが好ましく、半径0.08の円内であることが特に好ましい。
(l)左側上顎側切歯(左上2番)の配列位置
点S2は、線分PQの長さを1とし、線分OP上にあり、点Oから0.12の距離にある。点T2は、線分PQの長さを1とし、線分OQ上にあり、点Oから0.12の距離にある。左側上顎側切歯は、点S2から左側頬側床縁50側への線分OPに対する垂直線上であって点S2から左側頬側床縁50側に0.14の距離に中心点を有する半径0.11の円内に、その近心隅角切縁が位置するように配列されることが好ましく、半径0.08の円内であることが特に好ましい。
(m)右側上顎側切歯(右上2番)の配列位置
同様に、右側上顎側切歯は、点T2から右側頬側床縁51側への線分OQに対する垂直線上であって点T2から右側頬側床縁51側に0.14の距離に中心点を有する半径0.11の円内に、その近心隅角切縁が位置するように配列されることが好ましく、半径0.08の円内であることが特に好ましい。
(義歯作製キット)
本発明の義歯作製キットは、少なくとも本発明の無口蓋上顎基準義歯床又は無口蓋上顎基準義歯を含んで構成され、裏装材や人工歯を含んでいても良い。また、本発明の義歯作製キットは、以下に記載する下顎基準義歯床又は下顎基準義歯を含むことが好ましい。
無口蓋上顎基準義歯床は、患者の口腔形状に適合するように裏装材等を築盛し、該裏装材を用いて切欠部100bに口蓋被覆部を形成し、かつ人工歯を配列することにより、義歯が作製される。無口蓋上顎基準義歯は、患者の口腔形状に適合するように裏装材を築盛し、裏装材等を用いて切欠部100bに口蓋被覆部を形成することにより、義歯が作製される。口蓋被覆部は厚みが3mm以下で形成されることが装着性の観点から好ましい。また、樹脂等の裏装材を用いて口蓋被覆部を形成する場合、その厚みは強度及び装着性の観点から1〜3mmであることが好ましい。下顎基準義歯床は、患者の口腔形状に適合するように裏装材を築盛し、かつ人工歯を配列することにより、義歯が作製される。下顎基準義歯は、患者の口腔形状に適合するように裏装材を築盛することにより、義歯が作製される。上記厚みを確保する方法として、パラフィンワックス等の材料で仮想口蓋被覆部を作製した後、裏装材を築盛・硬化後、流蝋する方法等が例示できる。
本発明の義歯作製キットは、それぞれサイズが異なる複数の無口蓋上顎基準義歯床又は無口蓋上顎基準義歯と、それぞれサイズが異なる複数の下顎基準義歯床又は下顎基準義歯と、を予め用意しておくことが好ましい。これにより、より患者への適合率を高めることができる。なお、無口蓋上顎基準義歯床又は無口蓋上顎基準義歯、下顎基準義歯床又は下顎基準義歯のサイズは、それぞれ2〜10種類用意しておくことが好ましく、2〜5種類用意しておくことがより好ましく、3種類用意しておくことが特に好ましい。
本発明の義歯作製キットを用いて義歯を作製する方法を以下に説明する。
先ず、患者の口腔サイズに適合する無口蓋上顎基準義歯床又は無口蓋上顎基準義歯、及び下顎基準義歯床又は下顎基準義歯をそれぞれ選択する。このような基準義歯床又は基準義歯の選択は、口腔サイズの計測を基に決定できる。口腔サイズを計測する方法は、公知の方法を用いることができるが、例えば、目視・触診による計測、印象用トレーの試適によるサイズの計測等が挙げられる。基準義歯床が選択された場合には、これらの選択された無口蓋上顎基準義歯床及び下顎基準義歯床にそれぞれ人工歯が配列されて無口蓋上顎義歯及び下顎義歯が作製される。さらに、無口蓋上顎義歯及び下顎義歯には、それぞれ裏装材が築盛されて患者の口腔形状に完全に適合される。また、無口蓋上顎義歯の切欠部100bは、患者の口腔形状に合わせて個別に口蓋被覆部が作製される。人工歯の配列、裏装材の築盛、口蓋被覆部の作製はその順番を問わない。次いで、患者の口腔に試適された後、必要に応じて咬合が調整される。これにより、患者の口腔形状に合致した義歯が作製される。
(下顎基準義歯床)
図5は、本発明の下顎基準義歯床200の形状の一例を示す平面図である。図5中、点oは、唇側床縁の正中にあたる下唇小帯に相当する点である。点pは、床後縁の左側臼後隆起に相当する点であり、点qは、床後縁の右側臼後隆起に相当する点である。点mは、点pと点qとを結ぶ線分pqの中点である。この下顎基準義歯床は、線分pqの長さを1としたとき、点oと点mとを結ぶ線分omの長さが、0.76〜0.94の範囲にあり、0.80〜0.90の範囲にあることが好ましく、0.84〜0.86の範囲にあることがより好ましい。この形状を有する下顎基準義歯床は、裏装材を築盛することによって、多くの無歯顎者に適合させることができる。
図5中、点p1〜p3は、線分opを4等分する点である。即ち、線分op1、線分p1p2、線分p2p3、線分p3pの長さは等しい。点d1〜d3は、点p1〜p3の各点それぞれからの線分opに対する垂直線が左側頬側床縁52と交わる点である。点q1〜q3は、線分oqを4等分する点である。即ち、線分oq1、線分q1q2、線分q2q3、線分q3qの長さは等しい。点e1〜e3は、点q1〜q3の各点それぞれからの線分oqに対する垂直線が右側頬側床縁53と交わる点である。
本発明の下顎基準義歯床は、線分pqの長さを1としたとき、線分p1d1及び線分q1e1の長さは、それぞれ0.11〜0.32の範囲であることが好ましく、0.15〜0.28の範囲であることがより好ましく、0.19〜0.24の範囲であることが特に好ましい。また、線分p2d2及び線分q2e2の長さは、それぞれ0.13〜0.34の範囲であることが好ましく、0.17〜0.30の範囲であることがより好ましく、0.21〜0.26の範囲であることが特に好ましい。さらに、線分p3d3及び線分q3e3の長さは、それぞれ0.14〜0.33の範囲であることが好ましく、0.18〜0.29の範囲であることがより好ましく、0.22〜0.25の範囲であることが特に好ましい。この形状を有する下顎基準義歯床は、より高い適合率で無歯顎者に適合させることができる。
図5中、点b1〜b3は、点p1〜p3の各点それぞれからの線分opに対する垂直線が舌側床縁と交わる点である。点c1〜c3は、点q1〜q3の各点それぞれからの線分oqに対する垂直線が舌側床縁と交わる点である。
本発明の下顎基準義歯床は、線分pqの長さを1としたとき、線分d1b1及び線分e1c1の長さは、それぞれ0.14〜0.40の範囲であることが好ましく、0.19〜0.35の範囲であることがより好ましく、0.24〜0.30の範囲であることが特に好ましい。また、線分d2b2及び線分e2c2の長さは、それぞれ0.19〜0.41の範囲であることが好ましく、0.24〜0.36の範囲であることがより好ましく、0.29〜0.31の範囲であることが特に好ましい。さらに、線分d3b3及び線分e3c3の長さは、それぞれ0.21〜0.42の範囲であることが好ましく、0.25〜0.38の範囲であることがより好ましく、0.30〜0.34の範囲であることが特に好ましい。この形状を有する下顎基準義歯床は、さらに高い適合率で無歯顎者に適合させることができる。
図6は、本発明の下顎基準義歯床に配列される人工歯の位置を示す説明図である。図7は、本発明の下顎基準義歯床に全ての人工歯が配列されてなる下顎基準義歯の一例を示す平面図である。図7中、21は下顎中切歯(1番)であり、21aは左側下顎中切歯と右側下顎中切歯との歯間部である。22は下顎側切歯(2番)であり、22aは下顎側切歯の近心隅角切縁である。23は下顎犬歯(3番)であり、23aは下顎犬歯の尖頭である。24は下顎第一小臼歯(4番)であり、24aは下顎第一小臼歯における中心溝と中心咬合面隆線との交点である。25は下顎第二小臼歯(5番)であり、25aは下顎第二小臼歯における中心溝と中心咬合面隆線との交点である。26は下顎第一大臼歯(6番)であり、26aは下顎第一大臼歯の中心窩である。27は下顎第二大臼歯(7番)であり、27aは下顎第二大臼歯の中心窩である。
(下顎基準義歯床における人工歯の配列位置)
(n)左側下顎第一大臼歯(左下6番)の配列位置
点s6は、線分pqの長さを1とし、線分op上にあり、点oから0.65の距離にある。点t6は、線分pqの長さを1とし、線分oq上にあり、点oから0.65の距離にある。左側下顎第一大臼歯(左下6番)は、点s6から左側頬側床縁52側への線分opに対する垂直線上であって点s6から左側頬側床縁52側に0.08の距離に中心点を有する半径0.12の円内に、左側第一大臼歯の中心窩が位置するように配列されることが好ましく、半径0.08の円内であることが特に好ましい。
(o)右側下顎第一大臼歯(右下6番)の配列位置
同様に、右側下顎第一大臼歯は、点t6から右側頬側床縁53側への線分oqに対する垂直線上であって点t6から右側頬側床縁53側に0.08の距離に中心点を有する半径0.12の円内に、右側下顎第一大臼歯の中心窩が位置するように配列されていることが好ましく、半径0.08の円内であることが特に好ましい。
(p)下顎中切歯(下1番)の配列位置
下顎中切歯は、直線om上であって点mから唇側に0.74〜0.94の距離に左側下顎中切歯と右側下顎中切歯との歯間部を有するように配列される。
左側下顎中切歯は、線分pqの長さを1とし、直線om上にあって点mから唇側に0.74〜0.94の距離にある点u1に円周が接するとともに、点u1において直線omと直交する直線上であって左側頬側床縁52側に中心点を有する直径0.12の円内に左側中切歯の中央の切縁結節が位置するように配列されていることが好ましく、点mから点u1が0.79〜0.89の距離であることがより好ましく、0.83〜0.85の距離であることが特に好ましい。
同様に、右側下顎中切歯は、線分pqの長さを1とし、直線om上にあって点mから唇側に0.74〜0.94の距離にある点u1に円周が接するとともに、点u1において直線omと直交する直線上であって右側頬側床縁53側に中心点を有する直径0.12の円内に右側中切歯の中央の切縁結節が位置するように配列されていることが好ましく、点mから点u1が0.79〜0.89の距離であることがより好ましく、0.83〜0.85の距離であることが特に好ましい。
また、左側下顎中切歯と右側下顎中切歯とは、直線omに対して左右対称に配列されていることが好ましい。
(q)左側下顎犬歯(左下3番)の配列位置
点s3は、線分pqの長さを1とし、線分op上にあり、点oから0.23の距離にある。点t3は、線分pqの長さを1とし、線分oq上にあり、点oから0.23の距離にある。左側下顎犬歯は、点s3から左側頬側床縁52側への線分opに対する垂直線上であって点s3から左側頬側床縁52側に0.17の距離に中心点を有する半径0.11の円内に、左側下顎犬歯の尖頭が位置するように配列されていることが好ましく、半径0.08の円内であることが特に好ましい。
(r)右側下顎犬歯(右下3番)の配列位置
同様に、右側下顎犬歯は、点t3から右側頬側床縁53側への線分oqに対する垂直線上であって点t3から右側頬側床縁53側に0.17の距離に中心点を有する半径0.11の円内に、右側下顎犬歯の尖頭が位置するように配列されていることが好ましく、半径0.08の円内であることが特に好ましい。
(s)左側下顎第一小臼歯(左下4番)の配列位置
点s4は、線分pqの長さを1とし、線分op上にあり、点oから0.38の距離にある。点t4は、線分pqの長さを1とし、線分oq上にあり、点oから0.38の距離にある。左側下顎第一小臼歯は、点s4から左側頬側床縁52側への線分opに対する垂直線上であって点s4から左側頬側床縁52側に0.15の距離に中心点を有する半径0.12の円内に、その中心溝と中心咬合面隆線との交点が位置するように配列されることが好ましく、半径0.08の円内であることが特に好ましい。
(t)右側下顎第一小臼歯(右下4番)の配列位置
同様に、右側下顎第一小臼歯は、点t4から右側頬側床縁53側への線分oqに対する垂直線上であって点t4から右側頬側床縁53側に0.15の距離に中心点を有する半径0.12の円内に、その中心溝と中心咬合面隆線との交点が位置するように配列されることが好ましく、半径0.08の円内であることが特に好ましい。
(u)左側下顎第二小臼歯(左下5番)の配列位置
点s5は、線分pqの長さを1とし、線分op上にあり、点oから0.50の距離にある。点t5は、線分pqの長さを1とし、線分oq上にあり、点oから0.50の距離にある。左側下顎第二小臼歯は、点s5から左側頬側床縁52側への線分opに対する垂直線上であって点s5から左側頬側床縁52側に0.14の距離に中心点を有する半径0.12の円内に、その中心溝と中心咬合面隆線との交点が位置するように配列されることが好ましく、半径0.08の円内であることが特に好ましい。
(v)右側下顎第二小臼歯(右下5番)の配列位置
同様に、右側下顎第二小臼歯は、点t5から右側頬側床縁53側への線分oqに対する垂直線上であって点t5から右側頬側床縁53側に0.14の距離に中心点を有する半径0.12の円内に、その中心溝と中心咬合面隆線との交点が位置するように配列されることが好ましく、半径0.08の円内であることが特に好ましい。
(w)左側下顎第二大臼歯(左下7番)の配列位置
点s7は、線分pqの長さを1とし、線分op上にあり、点oから0.82の距離にある。点t7は、線分pqの長さを1とし、線分oq上にあり、点oから0.82の距離にある。左側下顎第二大臼歯は、点s7から左側頬側床縁52側への線分opに対する垂直線上であって点s7から左側頬側床縁52側に0.08の距離に中心点を有する半径0.12の円内に、その中心窩が位置するように配列されることが好ましく、半径0.08の円内であることが特に好ましい。
(x)右側下顎第二大臼歯(右下7番)の配列位置
同様に、右側下顎第二大臼歯は、点t7から右側頬側床縁53側への線分oqに対する垂直線上であって点t7から右側頬側床縁53側に0.08の距離に中心点を有する半径0.12の円内に、その中心窩が位置するように配列されることが好ましく、半径0.08の円内であることが特に好ましい。
(y)左側下顎側切歯(左下2番)の配列位置
点s2は、線分pqの長さを1とし、線分op上にあり、点oから0.08の距離にある。点t2は、線分pqの長さを1とし、線分oq上にあり、点oから0.08の距離にある。左側下顎側切歯は、点s2から左側頬側床縁52側への線分opに対する垂直線上であって点s2から左側頬側床縁52側に0.10の距離に中心点を有する半径0.10の円内に、その近心隅角切縁が位置するように配列されることが好ましく、半径0.08の円内であることが特に好ましい。
(z)右側下顎側切歯(右下2番)の配列位置
同様に、右側下顎側切歯は、点t2から右側頬側床縁53側への線分oqに対する垂直線上であって点t2から右側頬側床縁53側に0.10の距離に中心点を有する半径0.10の円内に、その近心隅角切縁が位置するように配列されることが好ましく、半径0.08の円内であることが特に好ましい。
本発明における基準義歯床の材料は公知のものがなんら制限なく使用できる。具体的に例示すれば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートの単独重合体若しくはこれらの共重合体から少なくとも一つ選ばれるポリ(メタ)アクリレート系樹脂、並びにポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリプロピレン)、ポリアミド系樹脂(例えば、ナイロン66(登録商標))、ポリエステル系樹脂(例えば、ポリカーボネート)、ポリエーテル系樹脂(例えば、ポリアセタール、ポリサルフォン)、ポリニトリル系樹脂(例えば、ポリアクリロニトリル)、ポリビニル系樹脂(例えば、ポリ酢酸ビニル)、セルロース系樹脂(例えば、酢酸セルロース)、フッ素系樹脂(例えば、ポリクロルフルオロエチレン)、イミド系樹脂(例えば、芳香族ポリイミド)等が挙げられる。
本発明における基準義歯床には、義歯床の強度を向上させるためにフィラーを含有させることもできる。該フィラーは、有機フィラーであっても無機フィラーであっても良い。また、無機フィラーに重合性単量体を予め添加し、ペースト状にした後、重合させ、粉砕して得られる粒状の有機−無機複合フィラーを用いても良い。
本発明における基準義歯床は、その一部が金属で形成されていても良い。また、口蓋被覆部は金属で形成しても良い。
本発明における基準義歯床は、公知の成形方法によって製造できる。例えば、射出成形や圧縮成形等が挙げられる。
裏装材としては、公知ものが何ら制限なく使用できる。例えば、基準義歯床の材料として説明した上述のポリ(メタ)アクリレート系樹脂、並びにポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリニトリル系樹脂、ポリビニル系樹脂、セルロース系樹脂、フッ素系樹脂、イミド系樹脂、シリコン樹脂等が挙げられる。
裏装材は、使用目的に応じて公知の材料を適宜選択すればよい。例えば、患者自身が施術し、1日ないし数日間という比較的短期間で使用する場合には、粉状、クリーム状、又はシール状の義歯床固定用糊材(いわゆる義歯安定材)である裏装材を選択することができる。また、裏装材として、歯科医師が施術する歯科用粘膜調整材、軟質裏装材、及び硬質裏装材を選択することも可能である。口腔粘膜に潰瘍や炎症があり、疼痛を緩和させつつ口腔粘膜が健全な状態に回復させるまで使用する場合には、デュロメータA硬さが55以下の裏装材(歯科用粘膜調整材、及び軟質裏装材)を選択することができる。通常、1週間から数週間使用するものが歯科用粘膜調整材であり、6か月以上の長期間使用するものが軟質裏装材である。歯科用粘膜調整材、及び軟質裏装材とも、JIS規格でその物性が規定されている。さらに、より強固に接着し、耐久性を向上させたい場合には、ヌープ硬さ7Hk以上(JIST6521(義歯床用硬質裏装材))である硬質裏装材を選択することができる。
本発明において人工歯としては、樹脂製やセラミック製の公知の人工歯を用いることができる。樹脂製の人工歯としては、上述のポリ(メタ)アクリレート系樹脂、並びにポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリニトリル系樹脂、ポリビニル系樹脂、セルロース系樹脂、フッ素系樹脂、イミド系樹脂、シリコン系樹脂等を材質とする人工歯が例示される。人工歯としては、2以上の人工歯が連結されて一体化している連結人工歯を用いることもできる。人工歯の固定方法としては、嵌合、接着等従来公知の方法が何ら制限なく使用できる。
(適合率)
本実施例において適合率は、基準義歯床を裏装後、形状の異なる20種類の無歯顎全顎模型に試適した際の適合する模型数の割合で評価した。
(咬合調整時間)
本実施例において咬合調整時間は、オーダーメイドの義歯(参考例)を作製する場合に咬合を調整するのに要する時間を100%とし、各実施例の基準義歯床に咬合を調整するのに要した時間の割合で評価した。
(粘膜適合率)
本実施例において粘膜適合率は、基準義歯床を形状の異なる20種類の無歯顎全顎模型に適合するように口蓋被覆部を形成した場合に、該口蓋被覆部の最大厚みを1〜3mmの範囲内とすることができる模型数の割合で評価した。
(実施例1−12、比較例1−4)
表1に記載する形状の無口蓋上顎基準義歯床を作製し、適合率、咬合調整時間、粘膜適合率を評価した。評価結果は表1に示した。なお、義歯の形状は左右対称である。
(実施例13−32、比較例5−8)
表2に記載する形状の下顎基準義歯床を作製し、適合率、咬合調整時間、粘膜適合率を評価した。評価結果は表2に示した。なお、義歯の形状は左右対称である。
表中、1番とは中切歯、3番とは下顎犬歯、6番とは第一大臼歯である。表中、「0」とは、本願で規定する所定円内の中心に人工歯の中心窩又は尖頭が配列されていることを意味する。上顎中切歯の場合、「0.95」とは、直線OM上において点Mから唇側に0.95の距離にある点U1で接する2つの所定円内の中心に、中切歯の切縁中央が配列されていることをいう。下顎中切歯の場合、「0.84」とは、直線om上において点mから唇側に0.84の距離にある点u1で接する2つの所定円内の中心に、中切歯の切縁中央が配列されていることをいう。
Figure 0006612557
Figure 0006612557
11・・・上顎中切歯
11a・・・左側上顎中切歯と右側上顎中切歯との歯間部
12・・・上顎側切歯
12a・・・近心隅角切縁
13・・・上顎犬歯
13a・・・尖頭
14・・・上顎第一小臼歯
14a・・・中心溝と中心咬合面隆線との交点
15・・・上顎第二小臼歯
15a・・・中心溝と中心咬合面隆線との交点
16・・・上顎第一大臼歯
16a・・・上顎第一大臼歯の中心窩
17・・・上顎第二大臼歯
17a・・・上顎第二大臼歯の中心窩
21・・・下顎中切歯
21a・・・左側下顎中切歯と右側下顎中切歯との歯間部
22・・・下顎側切歯
22a・・・近心隅角切縁
23・・・下顎犬歯
23a・・・尖頭
24・・・下顎第一小臼歯
24a・・・中心溝と中心咬合面隆線との交点
25・・・下顎第二小臼歯
25a・・・中心溝と中心咬合面隆線との交点
26・・・下顎第一大臼歯
26a・・・下顎第一大臼歯の中心窩
27・・・下顎第二大臼歯
27a・・・下顎第二大臼歯の中心窩
50、52・・・左側頬側床縁
51、53・・・右側頬側床縁
100・・・上顎基準義歯床
100a・・・無口蓋上顎基準義歯床
100b・・・切欠部
101・・・人工歯
200・・・下顎基準義歯床

Claims (22)

  1. 床後縁の左側翼突上顎切痕に相当する点Pと右側翼突上顎切痕に相当する点Qとを結ぶ線分PQの長さを1とした場合、
    唇側床縁の正中にあたる上唇小帯に相当する点Oと線分PQの中点Mとを結ぶ線分OMの長さが0.76〜0.98であり、
    点Oと点Pとを結ぶ線分OPを4等分する各点を、点O側から点P1、点P2、点P3とし、
    線分OP上の点P1、点P2、点P3からの垂直線が左側頬側床縁と交わる点を点D1、点D2、点D3とし、
    点Oと点Qとを結ぶ線分OQを4等分する各点を、点O側から点Q1、点Q2、点Q3とし、
    線分OQ上の点Q1、点Q2、点Q3からの垂直線が右側頬側床縁と交わる点を点E1、点E2、点E3とした場合、
    線分P1D1及び線分Q1E1の長さがそれぞれ0.11〜0.36、
    線分P2D2及び線分Q2E2の長さがそれぞれ0.19〜0.45、
    線分P3D3及び線分Q3E3の長さがそれぞれ0.16〜0.45
    である上顎基準義歯床であって、
    口蓋を被覆する部分に切欠部を有することを特徴とする無口蓋上顎基準義歯床。
  2. 中点Mからの線分PQに対する垂直線と床後縁との交点Nと、中点Mと、を結ぶ線分NMの長さが0.50〜0.75である請求項1に記載の無口蓋上顎基準義歯床。
  3. 前記切欠部の切欠幅が、0.4〜0.7である請求項1に記載の無口蓋上顎基準義歯床。
  4. 人工歯が少なくとも1歯以上予め配列されている請求項1乃至3の何れか1項に記載の無口蓋上顎基準義歯床。
  5. 前記無口蓋上顎基準義歯床が、
    線分PQの長さを1とした場合、
    線分OP上にあり点Oから0.74の距離にある点S6と、左側頬側床縁と、を結ぶ線分OPに対する垂直線上であって、点S6から左側頬側床縁側に0.11の距離に中心点を有する半径0.14の円内に左側上顎第一大臼歯の中心窩を有し、
    線分OQ上にあり点Oから0.74の距離にある点T6と、右側頬側床縁と、を結ぶ線分OQに対する垂直線上であって、点T6から右側頬側床縁側に0.11の距離に中心点を有する半径0.14の円内に右側上顎第一大臼歯の中心窩を有する請求項4に記載の無口蓋上顎基準義歯床。
  6. 前記無口蓋上顎基準義歯床が、
    線分PQの長さを1とした場合、
    直線OM上であって点Mから唇側に0.76〜1.14の距離に左側上顎中切歯と右側上顎中切歯との歯間部を有する請求項4に記載の無口蓋上顎基準義歯床。
  7. 前記無口蓋上顎基準義歯床が、
    線分PQの長さを1とした場合、
    線分OP上にあり点Oから0.30の距離にある点S3と、左側頬側床縁と、を結ぶ線分OPに対する垂直線上であって、点S3から左側頬側床縁側に0.25の距離に中心点を有する半径0.12の円内に左側上顎犬歯の尖頭を有し、
    線分OQ上にあり点Oから0.30の距離にある点T3と、右側頬側床縁と、を結ぶ線分OQに対する垂直線上であって、点T3から右側頬側床縁側に0.25の距離に中心点を有する半径0.12の円内に右側上顎犬歯の尖頭を有する請求項4に記載の無口蓋上顎基準義歯床。
  8. 請求項1乃至7の何れか1項に記載の無口蓋上顎基準義歯床に、全歯列の人工歯が予め配列されてなることを特徴とする無口蓋上顎基準義歯。
  9. 床後縁の左側臼後隆起に相当する点pと右側臼後隆起に相当する点qとを結ぶ線分pqの長さを1とした場合、
    唇側床縁の正中にあたる下唇小帯に相当する点oと線分pqの中点mとを結ぶ線分omの長さが0.76〜0.94であり、
    点oと点pとを結ぶ線分opを4等分する各点を、点o側から点p1、点p2、点p3とし、線分op上の点p1、点p2、点p3からの垂直線が左側頬側床縁と交わる点を点d1、点d2、点d3とし、
    点oと点qとを結ぶ線分oqを4等分する各点を、点o側から点q1、点q2、点q3とし、線分oq上の点q1、点q2、点q3からの垂直線が右側頬側床縁と交わる点を点e1、点e2、点e3とし、
    前記点p1、点p2及び点p3からの線分opに対する垂直線が舌側床縁と交わる点をそれぞれ点b1、点b2及び点b3とし、
    前記点q1、点q2及び点q3からの線分oqに対する垂直線が舌側床縁と交わる点をそれぞれ点c1、点c2及び点c3とした場合、
    線分p1d1及び線分q1e1の長さがそれぞれ0.11〜0.32、
    線分p2d2及び線分q2e2の長さがそれぞれ0.13〜0.34、
    線分p3d3及び線分q3e3の長さがそれぞれ0.14〜0.33
    であり、
    線分d1b1の長さは、0.14〜0.40で、且つ線分p1d1の長さよりも長く、
    線分e1c1の長さは、0.14〜0.40で、且つ線分q1e1の長さよりも長く、
    線分d2b2の長さは、0.19〜0.41で、且つ線分p2d2の長さよりも長く、
    線分e2c2の長さは、0.19〜0.41で、且つ線分q2e2の長さよりも長く、
    線分d3b3の長さは、0.21〜0.42で、且つ線分p3d3の長さよりも長く、
    線分e3c3の長さは、0.21〜0.42で、且つ線分q3e3の長さよりも長いことを特徴とする下顎基準義歯床と、
    請求項1乃至8の何れか1項に記載の無口蓋上顎基準義歯床又は無口蓋上顎基準義歯と、
    からなる義歯作製キット。
  10. 前記下顎基準義歯床が、人工歯が少なくとも1歯以上予め配列されている下顎基準義歯床である請求項9に記載の義歯作製キット。
  11. 前記下顎基準義歯床が、
    線分pqの長さを1とした場合、
    線分op上にあり点oから0.65の距離にある点s6と、左側頬側床縁と、を結ぶ線分opに対する垂直線上であって、点s6から左側頬側床縁側に0.08の距離に中心点を有する半径0.12の円内に左側下顎第一大臼歯の中心窩を有し、
    線分oq上にあり点oから0.65の距離にある点t6と、右側頬側床縁と、を結ぶ線分oqに対する垂直線上であって、点t6から右側頬側床縁側に0.08の距離に中心点を有する半径0.12の円内に右側下顎第一大臼歯の中心窩を有する下顎基準義歯床である請求項10に記載の義歯作製キット。
  12. 前記下顎基準義歯床が、
    線分pqの長さを1とした場合、
    直線om上であって点mから唇側に0.74〜0.94の距離に左側下顎中切歯と右側下顎中切歯との歯間部を有する下顎基準義歯床である請求項10又は11に記載の義歯作製キット。
  13. 前記下顎基準義歯床が、
    線分pqの長さを1とした場合、
    線分op上にあり点oから0.23の距離にある点s3と、左側頬側床縁と、を結ぶ線分opに対する垂直線上であって、点s3から左側頬側床縁側に0.17の距離に中心点を有する半径0.11の円内に左側下顎犬歯の尖頭を有し、
    線分oq上にあり点oから0.23の距離にある点t3と、右側頬側床縁と、を結ぶ線分oqに対する垂直線上であって、点t3から右側頬側床縁側に0.17の距離に中心点を有する半径0.11の円内に右側下顎犬歯の尖頭を有する下顎基準義歯床である請求項10乃至12の何れか1項に記載の義歯作製キット。
  14. 請求項1乃至8の何れか1項に記載の無口蓋上顎基準義歯床又は無口蓋上顎基準義歯と、
    請求項9乃至13の何れか1項に記載の下顎基準義歯床に、全歯列の人工歯が予め配列されている下顎基準義歯と、
    からなる義歯作製キット。
  15. 請求項1乃至7の何れか1項に記載の無口蓋上顎基準義歯床であってサイズが異なる複数の無口蓋上顎基準義歯床からなる義歯作製キット。
  16. 請求項1乃至7の何れか1項に記載の無口蓋上顎基準義歯床であってサイズが異なる複数の無口蓋上顎基準義歯床と、
    請求項9乃至13の何れか1項に記載の下顎基準義歯床であってサイズが異なる複数の下顎基準義歯床と、
    からなる義歯作製キット。
  17. 裏装材をさらに含む請求項9乃至16の何れか1項に記載の義歯作製キット。
  18. 請求項16又は17に記載の義歯作製キットから、患者の口のサイズに適合する無口蓋上顎基準義歯床及び下顎基準義歯床を選択する工程と、
    前記無口蓋上顎基準義歯床及び下顎基準義歯床に人工歯を配列する工程と、
    前記無口蓋上顎基準義歯床の切欠部に口蓋被覆部を形成する工程と、
    前記上顎基準義歯床及び下顎基準義歯床に裏装材を築盛する工程と、
    を有することを特徴とする義歯作製方法。
  19. 請求項8に記載の無口蓋上顎基準義歯であってサイズが異なる複数の無口蓋上顎基準義歯からなる義歯作製キット。
  20. 請求項8に記載の無口蓋上顎基準義歯であってサイズが異なる複数の無口蓋上顎基準義歯と、
    請求項14に記載の下顎基準義歯であってサイズが異なる複数の下顎基準義歯と、
    からなる義歯作製キット。
  21. 裏装材をさらに含む請求項19又は20に記載の義歯作製キット。
  22. 請求項20又は21に記載の義歯作製キットから、患者の口のサイズに適合する無口蓋上顎基準義歯及び下顎基準義歯を選択する工程と、
    前記無口蓋上顎基準義歯床の切欠部に口蓋被覆部を形成する工程と、
    前記無口蓋上顎基準義歯及び下顎基準義歯に裏装材を築盛する工程と、
    を有することを特徴とする義歯作製方法。
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