JP6612557B2 - 無口蓋上顎基準義歯床、無口蓋上顎基準義歯、義歯作製キット及びこれを用いる義歯作製方法 - Google Patents
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Description
(1)印象材を用いて患者の口腔内の印象を採得する。
(2)該印象を用いて石膏模型を作製する。
(3)咬合床を患者に装着させて咬合を採得する。
(4)咬合床に人工歯を配列し、蝋義歯を作製する。
(5)蝋義歯を患者に試適させ、咬合を調整する。
(6)蝋義歯を石膏中に埋没して鋳型を作製する。
(7)鋳型に樹脂を注入、硬化させて義歯を作製する。
唇側床縁の正中にあたる上唇小帯に相当する点Oと線分PQの中点Mとを結ぶ線分OMの長さが0.76〜0.98である上顎基準義歯床であって、
口蓋を被覆する部分に切欠部を有することを特徴とする無口蓋上顎基準義歯床。
点Oと点Pとを結ぶ線分OPを4等分する各点を、点O側から点P1、点P2、点P3とし、
線分OP上の点P1、点P2、点P3からの垂直線が左側頬側床縁と交わる点を点D1、点D2、点D3とし、
点Oと点Qとを結ぶ線分OQを4等分する各点を、点O側から点Q1、点Q2、点Q3とし、
線分OQ上の点Q1、点Q2、点Q3からの垂直線が右側頬側床縁と交わる点を点E1、点E2、点E3とし、
線分PQの長さを1とした場合、
線分P1D1及び線分Q1E1の長さがそれぞれ0.11〜0.36、
線分P2D2及び線分Q2E2の長さがそれぞれ0.19〜0.45、
線分P3D3及び線分Q3E3の長さがそれぞれ0.16〜0.45
である〔1〕乃至〔3〕の何れかに記載の無口蓋上顎基準義歯床。
線分PQの長さを1とした場合、
線分OP上にあり点Oから0.74の距離にある点S6と、左側頬側床縁と、を結ぶ線分OPに対する垂直線上であって、点S6から左側頬側床縁側に0.11の距離に中心点を有する半径0.14の円内に左側上顎第一大臼歯の中心窩を有し、
線分OQ上にあり点Oから0.74の距離にある点T6と、右側頬側床縁と、を結ぶ線分OQに対する垂直線上であって、点T6から右側頬側床縁側に0.11の距離に中心点を有する半径0.14の円内に右側上顎第一大臼歯の中心窩を有する〔5〕に記載の無口蓋上顎基準義歯床。
線分PQの長さを1とした場合、
直線OM上であって点Mから唇側に0.76〜1.14の距離に左側上顎中切歯と右側上顎中切歯との歯間部を有する〔5〕に記載の無口蓋上顎基準義歯床。
線分PQの長さを1とした場合、
線分OP上にあり点Oから0.30の距離にある点S3と、左側頬側床縁と、を結ぶ線分OPに対する垂直線上であって、点S3から左側頬側床縁側に0.25の距離に中心点を有する半径0.12の円内に左側上顎犬歯の尖頭を有し、
線分OQ上にあり点Oから0.30の距離にある点T3と、右側頬側床縁と、を結ぶ線分OQに対する垂直線上であって、点T3から右側頬側床縁側に0.25の距離に中心点を有する半径0.12の円内に右側上顎犬歯の尖頭を有する〔5〕に記載の無口蓋上顎基準義歯床。
唇側床縁の正中にあたる下唇小帯に相当する点oと線分pqの中点mとを結ぶ線分omの長さが0.76〜0.94である下顎基準義歯床と、
〔1〕乃至〔9〕の何れかに記載の無口蓋上顎基準義歯床又は無口蓋上顎基準義歯と、
からなる義歯作製キット。
点oと点pとを結ぶ線分opを4等分する各点を、点o側から点p1、点p2、点p3とし、線分op上の点p1、点p2、点p3からの垂直線が左側頬側床縁と交わる点を点d1、点d2、点d3とし、
点oと点qとを結ぶ線分oqを4等分する各点を、点o側から点q1、点q2、点q3とし、線分oq上の点q1、点q2、点q3からの垂直線が右側頬側床縁と交わる点を点e1、点e2、点e3とし、
線分pqの長さを1とした場合、
線分p1d1及び線分q1e1の長さがそれぞれ0.11〜0.32、
線分p2d2及び線分q2e2の長さがそれぞれ0.13〜0.34、
線分p3d3及び線分q3e3の長さがそれぞれ0.14〜0.33
である下顎基準義歯床である〔10〕に記載の義歯作製キット。
線分pqの長さを1とした場合、
直線d1p1、d2p2、d3p3及びe1q1、e2q2、e3q3と、舌側床縁との交点をそれぞれ点b1、点b2、点b3及び点c1、点c2、点c3とし、
線分d1b1及び線分e1c1の長さがそれぞれ0.14〜0.40、
線分d2b2及び線分e2c2の長さがそれぞれ0.19〜0.41、
線分d3b3及び線分e3c3の長さがそれぞれ0.21〜0.42
である下顎基準義歯床である〔10〕又は〔11〕に記載の義歯作製キット。
線分pqの長さを1とした場合、
線分op上にあり点oから0.65の距離にある点s6と、左側頬側床縁と、を結ぶ線分opに対する垂直線上であって、点s6から左側頬側床縁側に0.08の距離に中心点を有する半径0.12の円内に左側下顎第一大臼歯の中心窩を有し、
線分oq上にあり点oから0.65の距離にある点t6と、右側頬側床縁と、を結ぶ線分oqに対する垂直線上であって、点t6から右側頬側床縁側に0.08の距離に中心点を有する半径0.12の円内に右側下顎第一大臼歯の中心窩を有する下顎基準義歯床である〔13〕に記載の義歯作製キット。
線分pqの長さを1とした場合、
直線om上であって点mから唇側に0.74〜0.94の距離に左側下顎中切歯と右側下顎中切歯との歯間部を有する下顎基準義歯床である〔13〕又は〔14〕に記載の義歯作製キット。
線分pqの長さを1とした場合、
線分op上にあり点oから0.23の距離にある点s3と、左側頬側床縁と、を結ぶ線分opに対する垂直線上であって、点s3から左側頬側床縁側に0.17の距離に中心点を有する半径0.11の円内に左側下顎犬歯の尖頭を有し、
線分oq上にあり点oから0.23の距離にある点t3と、右側頬側床縁と、を結ぶ線分oqに対する垂直線上であって、点t3から右側頬側床縁側に0.17の距離に中心点を有する半径0.11の円内に右側下顎犬歯の尖頭を有する下顎基準義歯床である〔13〕乃至〔15〕の何れかに記載の義歯作製キット。
〔10〕乃至〔16〕の何れかに記載の下顎基準義歯床に、全歯列の人工歯が予め配列されている下顎基準義歯と、
からなる義歯作製キット。
〔10〕乃至〔16〕の何れかに記載の下顎基準義歯床であってサイズが異なる複数の下顎基準義歯床と、
からなる義歯作製キット。
前記無口蓋上顎基準義歯床及び下顎基準義歯床に人工歯を配列する工程と、
前記無口蓋上顎基準義歯床の切欠部に口蓋被覆部を形成する工程と、
前記上顎基準義歯床及び下顎基準義歯床に裏装材を築盛する工程と、
を有することを特徴とする義歯作製方法。
〔17〕に記載の下顎基準義歯であってサイズが異なる複数の下顎基準義歯と、
からなる義歯作製キット。
前記無口蓋上顎基準義歯床の切欠部に口蓋被覆部を形成する工程と、
前記無口蓋上顎基準義歯及び下顎基準義歯に裏装材を築盛する工程と、
を有することを特徴とする義歯作製方法。
図2は、本発明の無口蓋上顎基準義歯床100aの形状の一例を示す平面図である。100aは無口蓋上顎基準義歯床であり、100bは上顎基準義歯床の口蓋部分に相当する切欠部である。図2中、点Oは、唇側床縁の正中にあたる上唇小帯に相当する点である。点Pは、床後縁の左側翼突上顎切痕に相当する点であり、点Qは、床後縁の右側翼突上顎切痕に相当する点である。点Mは、点Pと点Qとを結ぶ線分PQの中点である。この基準義歯床は、線分PQの長さを1としたとき、点Oと点Mとを結ぶ線分OMの長さが、0.76〜0.98の範囲にあり、0.81〜0.93の範囲にあることが好ましく、0.86〜0.88の範囲にあることがより好ましい。この形状を有する無口蓋上顎基準義歯床100aは、口蓋部分に相当する切欠部100bに裏装材等を用いて口蓋被覆部を形成し、且つ義歯床の粘膜接触面全体に裏装材等を築盛することによって、多くの無歯顎者に適合させることができる。なお、無口蓋上顎基準義歯床の左右は、患者に装着した際における左右であり、紙面における右左と反転している。
線分PQの長さを1としたとき、線分XYは0.4〜0.7であることが好ましく、0.5〜0.6であることがより好ましい。この切欠幅で切欠部100bを形成することにより、粘膜への適合率を十分に向上させることができる。なお、点X及び点Yは線分OMに対して対称に形成されていることが好ましい。
また、切欠部100bの面積は1〜5cm2であることが好ましく、2〜4cm2であることがより好ましい。なお、ここで切欠部100bの面積とは、後工程で裏装材を用いて形成する口蓋被覆部に相当する最低限の面積を意味する。
切欠部100bの形成は、有口蓋の基準義歯床を切り欠いて形成しても良いし、切欠部100bが形成されている金型等を用いて形成しても良い。即ち、実際に切り欠いて製造することを必須とするものではない。
(a)左側上顎第一大臼歯(左上6番)の配列位置
点S6は、線分PQの長さを1とし、線分OP上にあり、点Oから0.74の距離にある。点T6は、線分PQの長さを1とし、線分OQ上にあり、点Oから0.74の距離にある。左側上顎第一大臼歯は、点S6から左側頬側床縁50側への線分OPに対する垂直線上であって点S6から左側頬側床縁50側に0.11の距離に中心点を有する半径0.14の円内に、左側上顎第一大臼歯の中心窩が位置するように配列されることが好ましく、半径0.08の円内であることが特に好ましい。
同様に、右側上顎第一大臼歯は、点T6から右側頬側床縁51側への線分OQに対する垂直線上であって点T6から右側頬側床縁51側に0.11の距離に中心点を有する半径0.14の円内に、右側上顎第一大臼歯の中心窩が位置するように配列されることが好ましく、半径0.08の円内であることが特に好ましい。
上顎中切歯は、直線OM上であって点Mから唇側に0.76〜1.14の距離に左側上顎中切歯と右側上顎中切歯との歯間部を有するように配列される。
左側上顎中切歯は、線分PQの長さを1とし、直線OM上にあって点Mから唇側に0.76〜1.14の距離にある点U1に円周が接するとともに、点U1において直線OMと直交する直線上であって左側頬側床縁50側に中心点を有する直径0.17の円内に、左側中切歯の中央の切縁結節が位置するように配列されることが好ましく、点Mから点U1が0.86〜1.04の距離であることがより好ましく、0.91〜0.99の距離であることが特に好ましい。
同様に、右側中切歯は、直線OM上にあって点Mから唇側に0.76〜1.14の距離にある点U1に円周が接するとともに、点U1において直線OMと直交する直線上であって右側頬側床縁51側に中心点を有する直径0.17の円内に、右側中切歯の中央の切縁結節が位置するように配列されることが好ましく、点Mから点U1が0.86〜1.04の距離であることがより好ましく、0.91〜0.99の距離であることが特に好ましい。また、左側上顎中切歯と右側上顎中切歯とは、直線OMに対して左右対称に配列されていることが好ましい。
点S3は、線分PQの長さを1とし、線分OP上にあり、点Oから0.30の距離にある。点T3は、線分PQの長さを1とし、線分OQ上にあり、点Oから0.30の距離にある。左側上顎犬歯は、点S3から左側頬側床縁50側への線分OPに対する垂直線上であって点S3から左側頬側床縁50側に0.25の距離に中心点を有する半径0.12の円内に、左側上顎犬歯の尖頭が位置するように配列されることが好ましく、半径0.07の円内であることが特に好ましい。
同様に、右側上顎犬歯は、点T3から右側頬側床縁51側への線分OQに対する垂直線上であって点T3から右側頬側床縁51側に0.25の距離に中心点を有する半径0.12の円内に、右側上顎犬歯の尖頭が位置するように配列されることが好ましく、半径0.07の円内であることが特に好ましい。
点S4は、線分PQの長さを1とし、線分OP上にあり、点Oから0.44の距離にある。点T4は、線分PQの長さを1とし、線分OQ上にあり、点Oから0.44の距離にある。左側上顎第一小臼歯は、点S4から左側頬側床縁50側への線分OPに対する垂直線上であって点S4から左側頬側床縁50側に0.24の距離に中心点を有する半径0.13の円内に、その中心溝と中心咬合面隆線との交点が位置するように配列されることが好ましく、半径0.08の円内であることが特に好ましい。
同様に、右側上顎第一小臼歯は、点T4から右側頬側床縁51側への線分OQに対する垂直線上であって点T4から右側頬側床縁51側に0.24の距離に中心点を有する半径0.13の円内に、その中心溝と中心咬合面隆線との交点が位置するように配列されることが好ましく、半径0.08の円内であることが特に好ましい。
点S5は、線分PQの長さを1とし、線分OP上にあり、点Oから0.58の距離にある。点T5は、線分PQの長さを1とし、線分OQ上にあり、点Oから0.58の距離にある。左側上顎第二小臼歯は、点S5から左側頬側床縁50側への線分OPに対する垂直線上であって点S5から左側頬側床縁50側に0.19の距離に中心点を有する半径0.13の円内に、その中心溝と中心咬合面隆線との交点が位置するように配列されることが好ましく、半径0.08の円内であることが特に好ましい。
同様に、右側上顎第二小臼歯は、点T5から右側頬側床縁51側への線分OQに対する垂直線上であって点T5から右側頬側床縁51側に0.19の距離に中心点を有する半径0.13の円内に、その中心溝と中心咬合面隆線との交点が位置するように配列されることが好ましく、半径0.08の円内であることが特に好ましい。
点S7は、線分PQの長さを1とし、線分OP上にあり、点Oから0.90の距離にある。点T7は、線分PQの長さを1とし、線分OQ上にあり、点Oから0.90の距離にある。左側上顎第二大臼歯は、点S7から左側頬側床縁50側への線分OPに対する垂直線上であって点S7から左側頬側床縁50側に0.08の距離に中心点を有する半径0.12の円内に、その中心窩が位置するように配列されることが好ましく、半径0.08の円内であることが特に好ましい。
同様に、右側上顎第二大臼歯は、点T7から右側頬側床縁51側への線分OQに対する垂直線上であって点T7から右側頬側床縁51側に0.08の距離に中心点を有する半径0.12の円内に、その中心窩が位置するように配列されることが好ましく、半径0.08の円内であることが特に好ましい。
点S2は、線分PQの長さを1とし、線分OP上にあり、点Oから0.12の距離にある。点T2は、線分PQの長さを1とし、線分OQ上にあり、点Oから0.12の距離にある。左側上顎側切歯は、点S2から左側頬側床縁50側への線分OPに対する垂直線上であって点S2から左側頬側床縁50側に0.14の距離に中心点を有する半径0.11の円内に、その近心隅角切縁が位置するように配列されることが好ましく、半径0.08の円内であることが特に好ましい。
同様に、右側上顎側切歯は、点T2から右側頬側床縁51側への線分OQに対する垂直線上であって点T2から右側頬側床縁51側に0.14の距離に中心点を有する半径0.11の円内に、その近心隅角切縁が位置するように配列されることが好ましく、半径0.08の円内であることが特に好ましい。
本発明の義歯作製キットは、少なくとも本発明の無口蓋上顎基準義歯床又は無口蓋上顎基準義歯を含んで構成され、裏装材や人工歯を含んでいても良い。また、本発明の義歯作製キットは、以下に記載する下顎基準義歯床又は下顎基準義歯を含むことが好ましい。
先ず、患者の口腔サイズに適合する無口蓋上顎基準義歯床又は無口蓋上顎基準義歯、及び下顎基準義歯床又は下顎基準義歯をそれぞれ選択する。このような基準義歯床又は基準義歯の選択は、口腔サイズの計測を基に決定できる。口腔サイズを計測する方法は、公知の方法を用いることができるが、例えば、目視・触診による計測、印象用トレーの試適によるサイズの計測等が挙げられる。基準義歯床が選択された場合には、これらの選択された無口蓋上顎基準義歯床及び下顎基準義歯床にそれぞれ人工歯が配列されて無口蓋上顎義歯及び下顎義歯が作製される。さらに、無口蓋上顎義歯及び下顎義歯には、それぞれ裏装材が築盛されて患者の口腔形状に完全に適合される。また、無口蓋上顎義歯の切欠部100bは、患者の口腔形状に合わせて個別に口蓋被覆部が作製される。人工歯の配列、裏装材の築盛、口蓋被覆部の作製はその順番を問わない。次いで、患者の口腔に試適された後、必要に応じて咬合が調整される。これにより、患者の口腔形状に合致した義歯が作製される。
図5は、本発明の下顎基準義歯床200の形状の一例を示す平面図である。図5中、点oは、唇側床縁の正中にあたる下唇小帯に相当する点である。点pは、床後縁の左側臼後隆起に相当する点であり、点qは、床後縁の右側臼後隆起に相当する点である。点mは、点pと点qとを結ぶ線分pqの中点である。この下顎基準義歯床は、線分pqの長さを1としたとき、点oと点mとを結ぶ線分omの長さが、0.76〜0.94の範囲にあり、0.80〜0.90の範囲にあることが好ましく、0.84〜0.86の範囲にあることがより好ましい。この形状を有する下顎基準義歯床は、裏装材を築盛することによって、多くの無歯顎者に適合させることができる。
(n)左側下顎第一大臼歯(左下6番)の配列位置
点s6は、線分pqの長さを1とし、線分op上にあり、点oから0.65の距離にある。点t6は、線分pqの長さを1とし、線分oq上にあり、点oから0.65の距離にある。左側下顎第一大臼歯(左下6番)は、点s6から左側頬側床縁52側への線分opに対する垂直線上であって点s6から左側頬側床縁52側に0.08の距離に中心点を有する半径0.12の円内に、左側第一大臼歯の中心窩が位置するように配列されることが好ましく、半径0.08の円内であることが特に好ましい。
同様に、右側下顎第一大臼歯は、点t6から右側頬側床縁53側への線分oqに対する垂直線上であって点t6から右側頬側床縁53側に0.08の距離に中心点を有する半径0.12の円内に、右側下顎第一大臼歯の中心窩が位置するように配列されていることが好ましく、半径0.08の円内であることが特に好ましい。
下顎中切歯は、直線om上であって点mから唇側に0.74〜0.94の距離に左側下顎中切歯と右側下顎中切歯との歯間部を有するように配列される。
左側下顎中切歯は、線分pqの長さを1とし、直線om上にあって点mから唇側に0.74〜0.94の距離にある点u1に円周が接するとともに、点u1において直線omと直交する直線上であって左側頬側床縁52側に中心点を有する直径0.12の円内に左側中切歯の中央の切縁結節が位置するように配列されていることが好ましく、点mから点u1が0.79〜0.89の距離であることがより好ましく、0.83〜0.85の距離であることが特に好ましい。
同様に、右側下顎中切歯は、線分pqの長さを1とし、直線om上にあって点mから唇側に0.74〜0.94の距離にある点u1に円周が接するとともに、点u1において直線omと直交する直線上であって右側頬側床縁53側に中心点を有する直径0.12の円内に右側中切歯の中央の切縁結節が位置するように配列されていることが好ましく、点mから点u1が0.79〜0.89の距離であることがより好ましく、0.83〜0.85の距離であることが特に好ましい。
また、左側下顎中切歯と右側下顎中切歯とは、直線omに対して左右対称に配列されていることが好ましい。
点s3は、線分pqの長さを1とし、線分op上にあり、点oから0.23の距離にある。点t3は、線分pqの長さを1とし、線分oq上にあり、点oから0.23の距離にある。左側下顎犬歯は、点s3から左側頬側床縁52側への線分opに対する垂直線上であって点s3から左側頬側床縁52側に0.17の距離に中心点を有する半径0.11の円内に、左側下顎犬歯の尖頭が位置するように配列されていることが好ましく、半径0.08の円内であることが特に好ましい。
同様に、右側下顎犬歯は、点t3から右側頬側床縁53側への線分oqに対する垂直線上であって点t3から右側頬側床縁53側に0.17の距離に中心点を有する半径0.11の円内に、右側下顎犬歯の尖頭が位置するように配列されていることが好ましく、半径0.08の円内であることが特に好ましい。
点s4は、線分pqの長さを1とし、線分op上にあり、点oから0.38の距離にある。点t4は、線分pqの長さを1とし、線分oq上にあり、点oから0.38の距離にある。左側下顎第一小臼歯は、点s4から左側頬側床縁52側への線分opに対する垂直線上であって点s4から左側頬側床縁52側に0.15の距離に中心点を有する半径0.12の円内に、その中心溝と中心咬合面隆線との交点が位置するように配列されることが好ましく、半径0.08の円内であることが特に好ましい。
同様に、右側下顎第一小臼歯は、点t4から右側頬側床縁53側への線分oqに対する垂直線上であって点t4から右側頬側床縁53側に0.15の距離に中心点を有する半径0.12の円内に、その中心溝と中心咬合面隆線との交点が位置するように配列されることが好ましく、半径0.08の円内であることが特に好ましい。
点s5は、線分pqの長さを1とし、線分op上にあり、点oから0.50の距離にある。点t5は、線分pqの長さを1とし、線分oq上にあり、点oから0.50の距離にある。左側下顎第二小臼歯は、点s5から左側頬側床縁52側への線分opに対する垂直線上であって点s5から左側頬側床縁52側に0.14の距離に中心点を有する半径0.12の円内に、その中心溝と中心咬合面隆線との交点が位置するように配列されることが好ましく、半径0.08の円内であることが特に好ましい。
同様に、右側下顎第二小臼歯は、点t5から右側頬側床縁53側への線分oqに対する垂直線上であって点t5から右側頬側床縁53側に0.14の距離に中心点を有する半径0.12の円内に、その中心溝と中心咬合面隆線との交点が位置するように配列されることが好ましく、半径0.08の円内であることが特に好ましい。
点s7は、線分pqの長さを1とし、線分op上にあり、点oから0.82の距離にある。点t7は、線分pqの長さを1とし、線分oq上にあり、点oから0.82の距離にある。左側下顎第二大臼歯は、点s7から左側頬側床縁52側への線分opに対する垂直線上であって点s7から左側頬側床縁52側に0.08の距離に中心点を有する半径0.12の円内に、その中心窩が位置するように配列されることが好ましく、半径0.08の円内であることが特に好ましい。
同様に、右側下顎第二大臼歯は、点t7から右側頬側床縁53側への線分oqに対する垂直線上であって点t7から右側頬側床縁53側に0.08の距離に中心点を有する半径0.12の円内に、その中心窩が位置するように配列されることが好ましく、半径0.08の円内であることが特に好ましい。
点s2は、線分pqの長さを1とし、線分op上にあり、点oから0.08の距離にある。点t2は、線分pqの長さを1とし、線分oq上にあり、点oから0.08の距離にある。左側下顎側切歯は、点s2から左側頬側床縁52側への線分opに対する垂直線上であって点s2から左側頬側床縁52側に0.10の距離に中心点を有する半径0.10の円内に、その近心隅角切縁が位置するように配列されることが好ましく、半径0.08の円内であることが特に好ましい。
同様に、右側下顎側切歯は、点t2から右側頬側床縁53側への線分oqに対する垂直線上であって点t2から右側頬側床縁53側に0.10の距離に中心点を有する半径0.10の円内に、その近心隅角切縁が位置するように配列されることが好ましく、半径0.08の円内であることが特に好ましい。
裏装材は、使用目的に応じて公知の材料を適宜選択すればよい。例えば、患者自身が施術し、1日ないし数日間という比較的短期間で使用する場合には、粉状、クリーム状、又はシール状の義歯床固定用糊材(いわゆる義歯安定材)である裏装材を選択することができる。また、裏装材として、歯科医師が施術する歯科用粘膜調整材、軟質裏装材、及び硬質裏装材を選択することも可能である。口腔粘膜に潰瘍や炎症があり、疼痛を緩和させつつ口腔粘膜が健全な状態に回復させるまで使用する場合には、デュロメータA硬さが55以下の裏装材(歯科用粘膜調整材、及び軟質裏装材)を選択することができる。通常、1週間から数週間使用するものが歯科用粘膜調整材であり、6か月以上の長期間使用するものが軟質裏装材である。歯科用粘膜調整材、及び軟質裏装材とも、JIS規格でその物性が規定されている。さらに、より強固に接着し、耐久性を向上させたい場合には、ヌープ硬さ7Hk以上(JIST6521(義歯床用硬質裏装材))である硬質裏装材を選択することができる。
本実施例において適合率は、基準義歯床を裏装後、形状の異なる20種類の無歯顎全顎模型に試適した際の適合する模型数の割合で評価した。
本実施例において咬合調整時間は、オーダーメイドの義歯(参考例)を作製する場合に咬合を調整するのに要する時間を100%とし、各実施例の基準義歯床に咬合を調整するのに要した時間の割合で評価した。
本実施例において粘膜適合率は、基準義歯床を形状の異なる20種類の無歯顎全顎模型に適合するように口蓋被覆部を形成した場合に、該口蓋被覆部の最大厚みを1〜3mmの範囲内とすることができる模型数の割合で評価した。
表1に記載する形状の無口蓋上顎基準義歯床を作製し、適合率、咬合調整時間、粘膜適合率を評価した。評価結果は表1に示した。なお、義歯の形状は左右対称である。
表2に記載する形状の下顎基準義歯床を作製し、適合率、咬合調整時間、粘膜適合率を評価した。評価結果は表2に示した。なお、義歯の形状は左右対称である。
11a・・・左側上顎中切歯と右側上顎中切歯との歯間部
12・・・上顎側切歯
12a・・・近心隅角切縁
13・・・上顎犬歯
13a・・・尖頭
14・・・上顎第一小臼歯
14a・・・中心溝と中心咬合面隆線との交点
15・・・上顎第二小臼歯
15a・・・中心溝と中心咬合面隆線との交点
16・・・上顎第一大臼歯
16a・・・上顎第一大臼歯の中心窩
17・・・上顎第二大臼歯
17a・・・上顎第二大臼歯の中心窩
21・・・下顎中切歯
21a・・・左側下顎中切歯と右側下顎中切歯との歯間部
22・・・下顎側切歯
22a・・・近心隅角切縁
23・・・下顎犬歯
23a・・・尖頭
24・・・下顎第一小臼歯
24a・・・中心溝と中心咬合面隆線との交点
25・・・下顎第二小臼歯
25a・・・中心溝と中心咬合面隆線との交点
26・・・下顎第一大臼歯
26a・・・下顎第一大臼歯の中心窩
27・・・下顎第二大臼歯
27a・・・下顎第二大臼歯の中心窩
50、52・・・左側頬側床縁
51、53・・・右側頬側床縁
100・・・上顎基準義歯床
100a・・・無口蓋上顎基準義歯床
100b・・・切欠部
101・・・人工歯
200・・・下顎基準義歯床
Claims (22)
- 床後縁の左側翼突上顎切痕に相当する点Pと右側翼突上顎切痕に相当する点Qとを結ぶ線分PQの長さを1とした場合、
唇側床縁の正中にあたる上唇小帯に相当する点Oと線分PQの中点Mとを結ぶ線分OMの長さが0.76〜0.98であり、
点Oと点Pとを結ぶ線分OPを4等分する各点を、点O側から点P1、点P2、点P3とし、
線分OP上の点P1、点P2、点P3からの垂直線が左側頬側床縁と交わる点を点D1、点D2、点D3とし、
点Oと点Qとを結ぶ線分OQを4等分する各点を、点O側から点Q1、点Q2、点Q3とし、
線分OQ上の点Q1、点Q2、点Q3からの垂直線が右側頬側床縁と交わる点を点E1、点E2、点E3とした場合、
線分P1D1及び線分Q1E1の長さがそれぞれ0.11〜0.36、
線分P2D2及び線分Q2E2の長さがそれぞれ0.19〜0.45、
線分P3D3及び線分Q3E3の長さがそれぞれ0.16〜0.45
である上顎基準義歯床であって、
口蓋を被覆する部分に切欠部を有することを特徴とする無口蓋上顎基準義歯床。 - 中点Mからの線分PQに対する垂直線と床後縁との交点Nと、中点Mと、を結ぶ線分NMの長さが0.50〜0.75である請求項1に記載の無口蓋上顎基準義歯床。
- 前記切欠部の切欠幅が、0.4〜0.7である請求項1に記載の無口蓋上顎基準義歯床。
- 人工歯が少なくとも1歯以上予め配列されている請求項1乃至3の何れか1項に記載の無口蓋上顎基準義歯床。
- 前記無口蓋上顎基準義歯床が、
線分PQの長さを1とした場合、
線分OP上にあり点Oから0.74の距離にある点S6と、左側頬側床縁と、を結ぶ線分OPに対する垂直線上であって、点S6から左側頬側床縁側に0.11の距離に中心点を有する半径0.14の円内に左側上顎第一大臼歯の中心窩を有し、
線分OQ上にあり点Oから0.74の距離にある点T6と、右側頬側床縁と、を結ぶ線分OQに対する垂直線上であって、点T6から右側頬側床縁側に0.11の距離に中心点を有する半径0.14の円内に右側上顎第一大臼歯の中心窩を有する請求項4に記載の無口蓋上顎基準義歯床。 - 前記無口蓋上顎基準義歯床が、
線分PQの長さを1とした場合、
直線OM上であって点Mから唇側に0.76〜1.14の距離に左側上顎中切歯と右側上顎中切歯との歯間部を有する請求項4に記載の無口蓋上顎基準義歯床。 - 前記無口蓋上顎基準義歯床が、
線分PQの長さを1とした場合、
線分OP上にあり点Oから0.30の距離にある点S3と、左側頬側床縁と、を結ぶ線分OPに対する垂直線上であって、点S3から左側頬側床縁側に0.25の距離に中心点を有する半径0.12の円内に左側上顎犬歯の尖頭を有し、
線分OQ上にあり点Oから0.30の距離にある点T3と、右側頬側床縁と、を結ぶ線分OQに対する垂直線上であって、点T3から右側頬側床縁側に0.25の距離に中心点を有する半径0.12の円内に右側上顎犬歯の尖頭を有する請求項4に記載の無口蓋上顎基準義歯床。 - 請求項1乃至7の何れか1項に記載の無口蓋上顎基準義歯床に、全歯列の人工歯が予め配列されてなることを特徴とする無口蓋上顎基準義歯。
- 床後縁の左側臼後隆起に相当する点pと右側臼後隆起に相当する点qとを結ぶ線分pqの長さを1とした場合、
唇側床縁の正中にあたる下唇小帯に相当する点oと線分pqの中点mとを結ぶ線分omの長さが0.76〜0.94であり、
点oと点pとを結ぶ線分opを4等分する各点を、点o側から点p1、点p2、点p3とし、線分op上の点p1、点p2、点p3からの垂直線が左側頬側床縁と交わる点を点d1、点d2、点d3とし、
点oと点qとを結ぶ線分oqを4等分する各点を、点o側から点q1、点q2、点q3とし、線分oq上の点q1、点q2、点q3からの垂直線が右側頬側床縁と交わる点を点e1、点e2、点e3とし、
前記点p1、点p2及び点p3からの線分opに対する垂直線が舌側床縁と交わる点をそれぞれ点b1、点b2及び点b3とし、
前記点q1、点q2及び点q3からの線分oqに対する垂直線が舌側床縁と交わる点をそれぞれ点c1、点c2及び点c3とした場合、
線分p1d1及び線分q1e1の長さがそれぞれ0.11〜0.32、
線分p2d2及び線分q2e2の長さがそれぞれ0.13〜0.34、
線分p3d3及び線分q3e3の長さがそれぞれ0.14〜0.33
であり、
線分d1b1の長さは、0.14〜0.40で、且つ線分p1d1の長さよりも長く、
線分e1c1の長さは、0.14〜0.40で、且つ線分q1e1の長さよりも長く、
線分d2b2の長さは、0.19〜0.41で、且つ線分p2d2の長さよりも長く、
線分e2c2の長さは、0.19〜0.41で、且つ線分q2e2の長さよりも長く、
線分d3b3の長さは、0.21〜0.42で、且つ線分p3d3の長さよりも長く、
線分e3c3の長さは、0.21〜0.42で、且つ線分q3e3の長さよりも長いことを特徴とする下顎基準義歯床と、
請求項1乃至8の何れか1項に記載の無口蓋上顎基準義歯床又は無口蓋上顎基準義歯と、
からなる義歯作製キット。 - 前記下顎基準義歯床が、人工歯が少なくとも1歯以上予め配列されている下顎基準義歯床である請求項9に記載の義歯作製キット。
- 前記下顎基準義歯床が、
線分pqの長さを1とした場合、
線分op上にあり点oから0.65の距離にある点s6と、左側頬側床縁と、を結ぶ線分opに対する垂直線上であって、点s6から左側頬側床縁側に0.08の距離に中心点を有する半径0.12の円内に左側下顎第一大臼歯の中心窩を有し、
線分oq上にあり点oから0.65の距離にある点t6と、右側頬側床縁と、を結ぶ線分oqに対する垂直線上であって、点t6から右側頬側床縁側に0.08の距離に中心点を有する半径0.12の円内に右側下顎第一大臼歯の中心窩を有する下顎基準義歯床である請求項10に記載の義歯作製キット。 - 前記下顎基準義歯床が、
線分pqの長さを1とした場合、
直線om上であって点mから唇側に0.74〜0.94の距離に左側下顎中切歯と右側下顎中切歯との歯間部を有する下顎基準義歯床である請求項10又は11に記載の義歯作製キット。 - 前記下顎基準義歯床が、
線分pqの長さを1とした場合、
線分op上にあり点oから0.23の距離にある点s3と、左側頬側床縁と、を結ぶ線分opに対する垂直線上であって、点s3から左側頬側床縁側に0.17の距離に中心点を有する半径0.11の円内に左側下顎犬歯の尖頭を有し、
線分oq上にあり点oから0.23の距離にある点t3と、右側頬側床縁と、を結ぶ線分oqに対する垂直線上であって、点t3から右側頬側床縁側に0.17の距離に中心点を有する半径0.11の円内に右側下顎犬歯の尖頭を有する下顎基準義歯床である請求項10乃至12の何れか1項に記載の義歯作製キット。 - 請求項1乃至8の何れか1項に記載の無口蓋上顎基準義歯床又は無口蓋上顎基準義歯と、
請求項9乃至13の何れか1項に記載の下顎基準義歯床に、全歯列の人工歯が予め配列されている下顎基準義歯と、
からなる義歯作製キット。 - 請求項1乃至7の何れか1項に記載の無口蓋上顎基準義歯床であってサイズが異なる複数の無口蓋上顎基準義歯床からなる義歯作製キット。
- 請求項1乃至7の何れか1項に記載の無口蓋上顎基準義歯床であってサイズが異なる複数の無口蓋上顎基準義歯床と、
請求項9乃至13の何れか1項に記載の下顎基準義歯床であってサイズが異なる複数の下顎基準義歯床と、
からなる義歯作製キット。 - 裏装材をさらに含む請求項9乃至16の何れか1項に記載の義歯作製キット。
- 請求項16又は17に記載の義歯作製キットから、患者の口のサイズに適合する無口蓋上顎基準義歯床及び下顎基準義歯床を選択する工程と、
前記無口蓋上顎基準義歯床及び下顎基準義歯床に人工歯を配列する工程と、
前記無口蓋上顎基準義歯床の切欠部に口蓋被覆部を形成する工程と、
前記上顎基準義歯床及び下顎基準義歯床に裏装材を築盛する工程と、
を有することを特徴とする義歯作製方法。 - 請求項8に記載の無口蓋上顎基準義歯であってサイズが異なる複数の無口蓋上顎基準義歯からなる義歯作製キット。
- 請求項8に記載の無口蓋上顎基準義歯であってサイズが異なる複数の無口蓋上顎基準義歯と、
請求項14に記載の下顎基準義歯であってサイズが異なる複数の下顎基準義歯と、
からなる義歯作製キット。 - 裏装材をさらに含む請求項19又は20に記載の義歯作製キット。
- 請求項20又は21に記載の義歯作製キットから、患者の口のサイズに適合する無口蓋上顎基準義歯及び下顎基準義歯を選択する工程と、
前記無口蓋上顎基準義歯床の切欠部に口蓋被覆部を形成する工程と、
前記無口蓋上顎基準義歯及び下顎基準義歯に裏装材を築盛する工程と、
を有することを特徴とする義歯作製方法。
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