JP6472302B2 - ガイド付き基準義歯床、義歯作製キット及び義歯作製方法 - Google Patents

ガイド付き基準義歯床、義歯作製キット及び義歯作製方法 Download PDF

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Description

本発明は、所定形状を有するとともに、人工歯の配列位置を示すガイドが形成されている既製の基準義歯床に関する。また、この基準義歯床及び連結人工歯を含んで構成される義歯作製キットに関する。さらには、該義歯作製キットを用いる義歯作製方法に関する。
従来、義歯は主として以下の手順により作製されている。
(1)印象材を用いて患者の口腔内の印象を採得する。
(2)該印象を用いて石膏模型を作製する。
(3)咬合床を患者に装着させて咬合を採得する。
(4)咬合床に人工歯を配列し、蝋義歯を作製する。
(5)蝋義歯を患者に試適させ、咬合を調整する。
(6)蝋義歯を石膏中に埋没して鋳型を作製する。
(7)鋳型に樹脂を注入、硬化させて義歯を作製する。
このように、義歯は患者の口腔形状に合わせて1つずつ手作業で作製されているため、多くの時間を必要とし、歯科医院、歯科技工所及び患者の負担が大きい。また、この義歯の作製方法は、複数回の転写工程を有しているため形状の誤差が生じ易い。さらには、歯科医師及び歯科技工士の技量により、品質が変動し易い。
特許文献1には、金型等を用いて量産された義歯床を用いる義歯の作製方法が開示されている。特許文献2には、可塑性である光重合性組成物からなる義歯床部材に、少なくとも一本の人工歯が配列する補綴義歯前駆体を用いる義歯の作製方法が開示されている。これらの方法は、一部の工程の簡略化が図れるものの、依然として石膏模型を作製する必要があるため、十分に簡略化されているとは言い難い。また、無歯顎者の口腔形状を基に作製される義歯床は、歯槽頂の吸収が患者毎に異なっているため、義歯床の形状を予め定めて量産化することが困難である。
特許文献3には、複数の人工歯が連結された連結人工歯が開示されている。しかし、特許文献3には、連結人工歯の歯列弓の形状が具体的に開示されていない。
従来の義歯作製方法は、歯槽頂間線法則に基づいて作製されるのが一般的であったが、前述のように本義歯作製方法は、煩雑であることが問題であった。さらに、患者の高齢化が進んだ現代においては、上記方法で作製した義歯は歯槽骨の退縮が著しい場合、正常な咬合を得ることが困難となり、交叉咬合等の問題が生じていた。そこで、近年は、有歯顎時に歯列弓が存在していたとされる筋圧中立帯に合わせて義歯形状を定めるデンチャースペース理論に基づく義歯作製方法が提唱されている。しかし、デンチャースペース理論に基づく義歯作製方法を習得するためには多くの時間を要する。また、デンチャースペース理論に基づく義歯作製方法であっても、義歯作製方法自体は従来と同様に煩雑である。そのため、デンチャースペース理論に基づく義歯であって、簡易な方法で作製できる義歯が求められている。
特開平6−63065号公報 特開1993−192353号公報 特許3303172号
本発明の課題は、多くの患者に適合可能な既製の基準義歯床であって、人工歯の配列位置が示されている基準義歯床を提供することにある。また、この基準義歯床と連結人工歯とから成る義歯作製キットを用いて義歯作製工程を簡略化し、義歯の作製時間を短縮することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するため、有歯顎者及び無歯顎者の口腔形状を基に義歯の形状を定め、該形状に基づいて義歯を作製することに想到した。そして、この方法により所定の形状の基準義歯床を作製した。さらに、この基準義歯床に歯列の配列位置を示すガイドを形成した。このように作製される所定形状のガイド付き基準義歯床は、多くの無歯顎者に適用可能であることを見出した。さらには、このガイド付き基準義歯床を含んで構成される義歯作製キットを用いることにより、高い適合率を維持したまま、義歯作製工程を簡略化できることを見出し、本発明を完成するに至った。
上記課題を解決する本発明は以下に記載するとおりである。なお、本願明細書において、基準義歯床とは、既製の義歯床であって人工歯が配列されていない義歯床をいう。従来のように、個別の患者の口腔形状の印象を採取しオーダーメイドで作製される義歯床とは異なり、基準義歯床は、有歯顎者の口腔形状を統計的に定めてデンチャースペース理論に基づいて作製される。そのため、数種類の基準義歯床を用意しておけば、裏装材を築盛、人工歯を配列することにより、ほぼ全ての患者に対して適合率が高い義歯を作製でき、さらに歯槽頂の吸収が激しい難症例の患者にも適合できる。また、本願明細書において、全歯列とは左顎第二大臼歯から右顎第二大臼歯までの14歯を含む歯列をいう。
〔1〕 床後縁の左側翼突上顎切痕に相当する点Pと右側翼突上顎切痕に相当する点Qとを結ぶ線分PQの長さを1とした場合、唇側床縁の正中にあたる上唇小帯に相当する点Oと線分PQの中点Mとを結ぶ線分OMの長さが0.76〜0.98である上顎用の基準義歯床であって、人工歯の配列位置を示すガイドが形成されていることを特徴とするガイド付き基準義歯床。
〔2〕 前記基準義歯床の形状が、
点Oと点Pとを結ぶ線分OPを4等分する各点を、点O側から点P1、点P2、点P3とし、線分OP上の点P1、点P2、点P3からの垂直線が左側頬側床縁と交わる点を点D1、点D2、点D3とし、
点Oと点Qとを結ぶ線分OQを4等分する各点を、点O側から点Q1、点Q2、点Q3とし、線分OQ上の点Q1、点Q2、点Q3からの垂直線が右側頬側床縁と交わる点を点E1、点E2、点E3とし、
線分PQの長さを1とした場合、
線分P1D1及び線分Q1E1の長さがそれぞれ0.11〜0.36、
線分P2D2及び線分Q2E2の長さがそれぞれ0.19〜0.45、
線分P3D3及び線分Q3E3の長さがそれぞれ0.16〜0.45
である〔1〕に記載のガイド付き基準義歯床。
上記〔1〕〜〔2〕に記載の発明は、所定形状の上顎用基準義歯床である。この基準義歯床はデンチャースペース理論に基づく所定形状を有している。さらに、人工歯を配列するためのガイドが形成されている。
〔3〕 前記ガイドが、
線分PQの長さを1とした場合、
線分OP上にあり点Oから0.74の距離にある点S6と、左側頬側床縁と、を結ぶ線分OPに対する垂直線上であって、点S6から左側頬側床縁側に0.11の距離に中心点を有する半径0.14の円内;
及び/又は、
線分OQ上にあり点Oから0.74の距離にある点T6と、右側頬側床縁と、を結ぶ線分OQに対する垂直線上であって、点T6から右側頬側床縁側に0.11の距離に中心点を有する半径0.14の円内;
に少なくとも形成されている〔1〕又は〔2〕に記載のガイド付き基準義歯床。
上記〔3〕に記載の発明は、所定形状の上顎用基準義歯床に第一大臼歯を配列するためのガイドが形成されている。
〔4〕 前記ガイドが、線分PQの長さを1とした場合、直線OM上であって、点Mから0.76〜1.14の距離にある点U1で互いに接する直径0.17の2つの円内にさらに形成されている〔3〕に記載のガイド付き基準義歯床。
上記〔4〕に記載の発明は、中切歯を配列するためのガイドがさらに形成されている。
〔5〕 前記ガイドが、
線分PQの長さを1とした場合、
線分OP上にあり点Oから0.30の距離にある点S3と、左側頬側床縁と、を結ぶ線分OPに対する垂直線上であって、点S3から左側頬側床縁側に0.25の距離に中心点を有する半径0.12の円内;
及び/又は、
線分OQ上にあり点Oから0.30の距離にある点T3と、右側頬側床縁と、を結ぶ線分OQに対する垂直線上であって、点T3から右側頬側床縁側に0.25の距離に中心点を有する半径0.12の円内;
にさらに形成されている〔4〕に記載のガイド付き基準義歯床。
上記〔5〕に記載の発明は、犬歯を配列するためのガイドがさらに形成されている。
〔6〕 床後縁の左側臼後隆起に相当する点pと右側臼後隆起に相当する点qとを結ぶ線分pqの長さを1とした場合、唇側床縁の正中にあたる下唇小帯に相当する点oと線分pqの中点mとを結ぶ線分omの長さが0.74〜0.94である下顎用の基準義歯床であって、人工歯の配列位置を示すガイドが形成されていることを特徴とするガイド付き基準義歯床。
〔7〕 前記基準義歯床の形状が、
点oと点pとを結ぶ線分opを4等分する各点を、点o側から点p1、点p2、点p3とし、線分op上の点p1、点p2、点p3からの垂直線が左側頬側床縁と交わる点を点d1、点d2、点d3とし、
点oと点qとを結ぶ線分oqを4等分する各点を、点o側から点q1、点q2、点q3とし、線分oq上の点q1、点q2、点q3からの垂直線が右側頬側床縁と交わる点を点e1、点e2、点e3とし、
線分pqの長さを1とした場合、
線分p1d1及び線分q1e1の長さがそれぞれ0.11〜0.32、
線分p2d2及び線分q2e2の長さがそれぞれ0.13〜0.34、
線分p3d3及び線分q3e3の長さがそれぞれ0.14〜0.33
である〔6〕に記載のガイド付き基準義歯床。
〔8〕 前記基準義歯床の形状が、
線分pqの長さを1とした場合、
直線d1p1、d2p2、d3p3及びe1q1、e2q2、e3q3と、舌側床縁との交点をそれぞれ点b1、点b2、点b3及び点c1、点c2、点c3とし、
線分d1b1及び線分e1c1の長さがそれぞれ0.14〜0.40、
線分d2b2及び線分e2c2の長さがそれぞれ0.19〜0.41、
線分d3b3及び線分e3c3の長さがそれぞれ0.21〜0.42
である〔6〕又は〔7〕に記載のガイド付き基準義歯床。
上記〔6〕〜〔8〕に記載の発明は、所定形状の下顎用基準義歯床である。この基準義歯床はデンチャースペース理論に基づく所定形状を有している。さらに、人工歯を配列するためのガイドが形成されている。
〔9〕 前記ガイドが、
線分pqの長さを1とした場合、
線分op上にあり点oから0.65の距離にある点s6と、左側頬側床縁と、を結ぶ線分opに対する垂直線上であって、点s6から左側頬側床縁側に0.08の距離に中心点を有する半径0.12の円内;
及び/又は、
線分oq上にあり点oから0.65の距離にある点t6と、右側頬側床縁と、を結ぶ線分oqに対する垂直線上であって、点t6から右側頬側床縁側に0.08の距離に中心点を有する半径0.12の円内;
に少なくとも形成されている〔6〕乃至〔8〕に記載のガイド付き基準義歯床。
上記〔9〕に記載の発明は、所定形状の下顎用基準義歯床に第一大臼歯を配列するためのガイドが形成されている。
〔10〕 前記ガイドが、
線分pqの長さを1とした場合、直線om上であって点mから0.74〜0.94の距離にある点u1で互いに接する直径0.12の2つの円内にさらに形成されている〔9〕に記載のガイド付き基準義歯床。
上記〔10〕に記載の発明は、中切歯を配列するためのガイドがさらに形成されている。
〔11〕 前記ガイドが、
線分pqの長さを1とした場合、
線分op上にあり点oから0.23の距離にある点s3と、左側頬側床縁と、を結ぶ線分opに対する垂直線上であって、点s3から左側頬側床縁側に0.17の距離に中心点を有する半径0.11の円内;
線分oq上にあり点oから0.23の距離にある点t3と、右側頬側床縁と、を結ぶ線分oqに対する垂直線上であって、点t3から右側頬側床縁側に0.17の距離に中心点を有する半径0.11の円内;
にさらに形成されている〔10〕に記載のガイド付き基準義歯床。
上記〔11〕に記載の発明は、犬歯を配列するためのガイドがさらに形成されている。
〔12〕 前記ガイドが、全歯列の配列位置を示すガイドである〔1〕乃至〔11〕の何れかに記載のガイド付き基準義歯床。
上記〔12〕に記載の発明は、全14歯の歯列を配列するためのガイドが形成されている。
〔13〕 前記ガイドが、前記基準義歯床に穿設された貫通孔である〔1〕乃至〔12〕の何れかに記載のガイド付き基準義歯床。
〔14〕 前記ガイドが、凹欠、印刷又は接着により前記基準義歯床に形成されているガイドである〔1〕乃至〔12〕の何れかに記載のガイド付き基準義歯床。
上記〔13〕又は〔14〕に記載の発明は、ガイドの具体的な形成方法を規定している。
〔15〕 〔1〕〜〔5〕及び〔12〕の何れかに記載の上顎用のガイド付き基準義歯床と、
〔6〕〜〔12〕の何れかに記載の下顎用のガイド付き基準義歯床と、
からなる義歯作製キット。
上記〔15〕に記載の発明は、上顎用及び下顎用のガイド付き基準義歯床から成る義歯作製キットである。
〔16〕 〔1〕〜〔5〕及び〔12〕の何れかに記載の上顎用の基準義歯床であってサイズが異なる複数のガイド付き基準義歯床;
及び/又は、
〔6〕〜〔12〕の何れかに記載の下顎用の基準義歯床であってサイズが異なる複数のガイド付き基準義歯床;
からなる義歯作製キット。
上記〔16〕に記載の発明は、複数サイズの上顎用及び下顎用のガイド付き基準義歯床が用意されている義歯作製キットである。
〔17〕 裏装材をさらに含む〔15〕又は〔16〕に記載の義歯作製キット。
〔18〕 複数の人工歯が連結して一体化して成る連結人工歯をさらに含む〔15〕〜〔17〕の何れかに記載の義歯作製キット。
上記〔18〕に記載の発明は、義歯作製キットに連結人工歯が含まれるため、歯列の配列時間が短縮される。
〔19〕 前記連結人工歯が、〔5〕又は〔11〕に記載のガイド付き基準義歯床に形成されたガイドに適合する歯列弓形状を有する〔18〕に記載の義歯作製キット。
〔20〕 〔15〕〜〔19〕の何れかに記載の義歯作製キットから、患者の口のサイズに適合するガイド付き基準義歯床を選択する工程と、
前記ガイド付き基準義歯床に、人工歯及び/又は連結人工歯を配列する工程と、
を有することを特徴とする義歯作製方法。
〔21〕 〔15〕〜〔19〕の何れかに記載の義歯作製キットから、患者の口のサイズに適合するガイド付き基準義歯床を選択する工程と、
前記ガイド付き基準義歯床に、人工歯及び/又は連結人工歯を配列する工程と、
前記ガイド付き基準義歯床に裏装材を築盛する工程と、
を有することを特徴とする義歯作製方法。
上記〔20〕及び〔21〕に記載の発明は、ガイド付き基準義歯床のサイズを選択した後、このガイド付き基準義歯床のガイドに従って人工歯を配列する義歯作製方法である。人工歯は一部又は全部が連結人工歯であっても良い。
本発明のガイド付き基準義歯床は、所定形状を有しているため、裏装材を築盛するだけで容易に患者の口腔形状に適合させることができる。即ち、従来の義歯作製の工程において、既製化された義歯床を用いることによって、義歯の作製時間を短縮することができる。また、本発明のガイド付き基準義歯床は、人工歯を配列する位置を示すガイドが形成されているため、人工歯の配列時間を短縮することができる。人工歯として連結人工歯を用いる場合には、人工歯の配列時間をさらに短縮することができる。これにより、歯科医師、歯科技工士及び患者の負担を大幅に低減することができる。
本発明の連結人工歯は、有歯顎者の口腔形状を統計的に定めてデンチャースペース理論に基づいて作製されているため、数種類の基準義歯床を用意しておけば、ほぼ全ての患者に対して適合率の高い義歯を作製できる。また、歯槽頂の吸収が激しい難症例の患者にも適合できる。
図1は、義歯を患者に装着した状態を示す説明図である。 図2は、上顎基準義歯床の形状を示す平面図である。 図3は、上顎基準義歯床に形成されるガイドの位置を示す平面図である。 図4は、上顎用義歯の一例を示す平面図である。 図5は、下顎基準義歯床の形状を示す平面図である。 図6は、下顎基準義歯床に形成されるガイドの位置を示す平面図である。 図7は、下顎用義歯の一例を示す平面図である。 図8は、上顎基準義歯床に形成されるガイドの一例を示す説明図である。
以下、図面を参照しながら本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明の義歯作製キットにより作製された義歯を患者に装着した状態を示す説明図である。図1中、100はガイド付き上顎基準義歯床で、200はガイド付き下顎基準義歯床である(以下、これらを単に「基準義歯床」ともいう。)。101は人工歯であり、少なくとも2歯が予め連結され一体化している連結人工歯であっても良い。ガイド付き基準義歯床のガイドに従って全ての歯列が配列されると義歯が完成される。
図1中、点Oは、唇側床縁の正中にあたる上唇小帯に相当する点であり、点Pは、床後縁の左側翼突上顎切痕に相当する点である。ガイド付き上顎基準義歯床100の左側頬側床縁50は、点D1〜D3を有している(後述)。点oは、唇側床縁の正中にあたる下唇小帯に相当する点である。点pは、床後縁の左側臼後隆起に相当する点である。ガイド付き下顎基準義歯床200の左側頬側床縁52は、点d1〜d3を有している(後述)。本発明のガイド付き基準義歯床は、これらの点の相対的な位置関係が所定範囲にある。また、基準義歯床の所定の位置に、人工歯の配列位置を示すガイドが形成されていることを特徴としている。
(ガイド付き上顎基準義歯床)
図2は、本発明のガイド付き上顎基準義歯床100の形状の一例を示す平面図である。図2中、点Oは、唇側床縁の正中にあたる上唇小帯に相当する点である。点Pは、床後縁の左側翼突上顎切痕に相当する点であり、点Qは、床後縁の右側翼突上顎切痕に相当する点である。点Mは、点Pと点Qとを結ぶ線分PQの中点である。このガイド付き基準義歯床は、線分PQの長さを1としたとき、点Oと点Mとを結ぶ線分OMの長さが、0.76〜0.98の範囲にあり、0.81〜0.93の範囲にあることが好ましく、0.86〜0.88の範囲にあることがより好ましい。この形状を有するガイド付き上顎基準義歯床は、裏装材を築盛することによって、多くの無歯顎者に適合させることができる。
図2中、点P1〜P3は、線分OPを4等分する点である。即ち、線分OP1、線分P1P2、線分P2P3、線分P3Pの長さは等しい。点D1〜D3は、点P1〜P3の各点それぞれからの線分OPに対する垂直線が左側頬側床縁50と交わる点である。点Q1〜Q3は、線分OQを4等分する点である。即ち、線分OQ1、線分Q1Q2、線分Q2Q3、線分Q3Qの長さは等しい。点E1〜E3は、点Q1〜Q3の各点それぞれからの線分OQに対する垂直線が右側頬側床縁51と交わる点である。
本発明のガイド付き上顎基準義歯床の形状は、線分PQの長さを1としたとき、線分P1D1及び線分Q1E1の長さは、それぞれ0.11〜0.36の範囲であることが好ましく、0.16〜0.31の範囲であることがより好ましく、0.21〜0.26の範囲であることが特に好ましい。また、線分P2D2及び線分Q2E2の長さは、それぞれ0.19〜0.45の範囲であることが好ましく、0.24〜0.40の範囲であることがより好ましく、0.29〜0.35の範囲であることが特に好ましい。さらに、線分P3D3及び線分Q3E3の長さは、それぞれ0.16〜0.45の範囲であることが好ましく、0.21〜0.40の範囲であることがより好ましく、0.26〜0.35の範囲であることが特に好ましい。この形状を有するガイド付き上顎基準義歯床は、さらに高い適合率で無歯顎者に適合させることができる。
図3は、本発明のガイド付き上顎基準義歯床に形成されるガイドの位置を示す説明図である。図4は、本発明のガイド付き上顎基準義歯床に全ての人工歯が配列されてなる上顎義歯の一例を示す平面図である。図4中、11は上顎中切歯であり、11aは左側上顎中切歯と右側上顎中切歯との歯間部である。12は上顎側切歯、13は上顎犬歯、14は上顎第一小臼歯、15は上顎第二小臼歯、16は上顎第一大臼歯、17は上顎第二大臼歯である。16aは上顎第一大臼歯の中心窩である。
(ガイド付き上顎基準義歯床におけるガイドの形成位置)
(a)左側上顎第一大臼歯用ガイドの位置
点S6は、線分PQの長さを1とし、線分OP上にあり、点Oから0.74の距離にある。点T6は、線分PQの長さを1とし、線分OQ上にあり、点Oから0.74の距離にある。左側上顎第一大臼歯用ガイドは、点S6から左側頬側床縁50側への線分OPに対する垂直線上であって点S6から左側頬側床縁50側に0.11の距離に中心点を有する半径0.14の円内に、左側上顎第一大臼歯の中心窩が位置するように形成されることが好ましく、半径0.08の円内であることが特に好ましい。
(b)右側上顎第一大臼歯用ガイドの位置
同様に、右側上顎第一大臼歯用ガイドは、点T6から右側頬側床縁51側への線分OQに対する垂直線上であって点T6から右側頬側床縁51側に0.11の距離に中心点を有する半径0.14の円内に、右側上顎第一大臼歯の中心窩が位置するように形成されることが好ましく、半径0.08の円内であることが特に好ましい。
図8は、上顎基準義歯床に形成されるガイドの一例を示す説明図である。右側上顎第一大臼歯用ガイドは、図8中、31で表される。
(c)上顎中切歯用ガイドの位置
左側上顎中切歯用ガイドは、線分PQの長さを1とし、直線OM上にあって点Mから唇側に0.76〜1.14の距離にある点U1に円周が接するとともに、点U1において直線OMと直交する直線上であって左側頬側床縁50側に中心点を有する直径0.17の円内に、左側中切歯の中央の切縁結節が位置するように形成されることが好ましく、点Mから点U1が0.86〜1.04の距離であることがより好ましく、0.91〜0.99の距離であることが特に好ましい。
同様に、右側中切歯用ガイドは、直線OM上にあって点Mから唇側に0.76〜1.14の距離にある点U1に円周が接するとともに、点U1において直線OMと直交する直線上であって右側頬側床縁51側に中心点を有する直径0.17の円内に、右側中切歯の中央の切縁結節が位置するように形成されることが好ましく、点Mから点U1が0.86〜1.04の距離であることがより好ましく、0.91〜0.99の距離であることが特に好ましい。右側上顎中切歯用ガイドは、図8中、35で表される。
また、左側上顎中切歯用ガイドと右側上顎中切歯用ガイドは直線OMに対して左右対称であることが好ましい。
(d)左側上顎犬歯用ガイドの位置
点S3は、線分PQの長さを1とし、線分OP上にあり、点Oから0.30の距離にある。点T3は、線分PQの長さを1とし、線分OQ上にあり、点Oから0.30の距離にある。左側上顎犬歯用ガイドは、点S3から左側頬側床縁50側への線分OPに対する垂直線上であって点S3から左側頬側床縁50側に0.25の距離に中心点を有する半径0.12の円内に、左側上顎犬歯の尖頭が位置するように形成されることが好ましく、半径0.07の円内であることが特に好ましい。
(e)右側上顎犬歯用ガイドの位置
同様に、右側上顎犬歯用ガイドは、点T3から右側頬側床縁51側への線分OQに対する垂直線上であって点T3から右側頬側床縁51側に0.25の距離に中心点を有する半径0.12の円内に、右側上顎犬歯の尖頭が位置するように形成されることが好ましく、半径0.07の円内であることが特に好ましい。右側上顎犬歯用ガイドは、図8中、33で表される。
(下顎基準義歯床)
図5は、本発明のガイド付き下顎基準義歯床200の形状の一例を示す平面図である。図5中、点oは、唇側床縁の正中にあたる下唇小帯に相当する点である。点pは、床後縁の左側臼後隆起に相当する点であり、点qは、床後縁の右側臼後隆起に相当する点である。点mは、点pと点qとを結ぶ線分pqの中点である。このガイド付き下顎基準義歯床は、線分pqの長さを1としたとき、点oと点mとを結ぶ線分omの長さが、0.76〜0.94の範囲にあり、0.80〜0.90の範囲にあることが好ましく、0.84〜0.86の範囲にあることがより好ましい。この形状を有するガイド付き下顎基準義歯床は、裏装材を築盛することによって、多くの無歯顎者に適合させることができる。
図5中、点p1〜p3は、線分opを4等分する点である。即ち、線分op1、線分p1p2、線分p2p3、線分p3pの長さは等しい。点d1〜d3は、点p1〜p3の各点それぞれからの線分opに対する垂直線が左側頬側床縁52と交わる点である。点q1〜q3は、線分oqを4等分する点である。即ち、線分oq1、線分q1q2、線分q2q3、線分q3qの長さは等しい。点e1〜e3は、点q1〜q3の各点それぞれからの線分oqに対する垂直線が右側頬側床縁53と交わる点である。
本発明のガイド付き下顎基準義歯床は、線分pqの長さを1としたとき、線分p1d1及び線分q1e1の長さは、それぞれ0.11〜0.32の範囲であることが好ましく、0.15〜0.28の範囲であることがより好ましく、0.19〜0.24の範囲であることが特に好ましい。また、線分p2d2及び線分q2e2の長さは、それぞれ0.13〜0.34の範囲であることが好ましく、0.17〜0.30の範囲であることがより好ましく、0.21〜0.26の範囲であることが特に好ましい。さらに、線分p3d3及び線分q3e3の長さは、それぞれ0.14〜0.33の範囲であることが好ましく、0.18〜0.29の範囲であることがより好ましく、0.22〜0.25の範囲であることが特に好ましい。この形状を有するガイド付き下顎基準義歯床は、より高い適合率で無歯顎者に適合させることができる。
図5中、点b1〜b3は、点p1〜p3の各点それぞれからの線分opに対する垂直線が舌側床縁と交わる点である。点c1〜c3は、点q1〜q3の各点それぞれからの線分oqに対する垂直線が舌側床縁と交わる点である。
本発明のガイド付き下顎基準義歯床は、線分pqの長さを1としたとき、線分d1b1及び線分e1c1の長さは、それぞれ0.14〜0.40の範囲であることが好ましく、0.19〜0.35の範囲であることがより好ましく、0.24〜0.30の範囲であることが特に好ましい。また、線分d2b2及び線分e2c2の長さは、それぞれ0.19〜0.41の範囲であることが好ましく、0.24〜0.36の範囲であることがより好ましく、0.29〜0.31の範囲であることが特に好ましい。さらに、線分d3b3及び線分e3c3の長さは、それぞれ0.21〜0.42の範囲であることが好ましく、0.25〜0.38の範囲であることがより好ましく、0.30〜0.34の範囲であることが特に好ましい。この形状を有するガイド付き下顎基準義歯床は、さらに高い適合率で無歯顎者に適合させることができる。
図6は、本発明のガイド付き下顎基準義歯床に形成されるガイドの位置を示す説明図である。図7は、本発明のガイド付き下顎基準義歯床に全ての人工歯が配列されてなる下顎義歯の一例を示す平面図である。図7中、21は下顎中切歯であり、21aは左側下顎中切歯と右側下顎中切歯との歯間部である。22は下顎側切歯、23は下顎犬歯、24は下顎第一小臼歯、25は下顎第二小臼歯、26は下顎第一大臼歯、27は下顎第二大臼歯である。26aは下顎第一大臼歯の中心窩である。
(ガイド付き下顎基準義歯床におけるガイドの形成位置)
(f)左側下顎第一大臼歯用ガイドの位置
点s6は、線分pqの長さを1とし、線分op上にあり、点oから0.65の距離にある。点t6は、線分pqの長さを1とし、線分oq上にあり、点oから0.65の距離にある。左側下顎第一大臼歯用ガイドは、点s6から左側頬側床縁52側への線分opに対する垂直線上であって点s6から左側頬側床縁52側に0.08の距離に中心点を有する半径0.12の円内に、左側第一大臼歯の中心窩が位置するように形成されることが好ましく、半径0.08の円内であることが特に好ましい。
(g)右側下顎第一大臼歯用ガイドの位置
同様に、右側下顎第一大臼歯用ガイドは、点t6から右側頬側床縁53側への線分oqに対する垂直線上であって点t6から右側頬側床縁53側に0.08の距離に中心点を有する半径0.12の円内に、右側下顎第一大臼歯の中心窩が位置するように形成されていることが好ましく、半径0.08の円内であることが特に好ましい。
(h)下顎中切歯用ガイドの位置
左側下顎中切歯用ガイドは、線分pqの長さを1とし、直線om上にあって点mから唇側に0.74〜0.94の距離にある点u1に円周が接するとともに、点u1において直線omと直交する直線上であって左側頬側床縁52側に中心点を有する直径0.12の円内に左側中切歯の中央の切縁結節が位置するように形成されていることが好ましく、点mから点u1が0.79〜0.89の距離であることがより好ましく、0.83〜0.85の距離であることが特に好ましい。
同様に、右側下顎中切歯用ガイドは、線分pqの長さを1とし、直線om上にあって点mから唇側に0.74〜0.94の距離にある点u1に円周が接するとともに、点u1において直線omと直交する直線上であって右側頬側床縁53側に中心点を有する直径0.12の円内に右側中切歯の中央の切縁結節が位置するように形成されていることが好ましく、点mから点u1が0.79〜0.89の距離であることがより好ましく、0.83〜0.85の距離であることが特に好ましい。
また、左側下顎中切歯用ガイドと右側下顎中切歯用ガイドは直線omに対して左右対称であることが好ましい。
(i)左側下顎犬歯用ガイドの位置
点s3は、線分pqの長さを1とし、線分op上にあり、点oから0.23の距離にある。点t3は、線分pqの長さを1とし、線分oq上にあり、点oから0.23の距離にある。左側下顎犬歯用ガイドは、点s3から左側頬側床縁52側への線分opに対する垂直線上であって点s3から左側頬側床縁52側に0.17の距離に中心点を有する半径0.11の円内に、左側下顎犬歯の尖頭が位置するように形成されていることが好ましく、半径0.08の円内であることが特に好ましい。
(j)右側下顎犬歯用ガイドの位置
同様に、右側下顎犬歯用ガイドは、点t3から右側頬側床縁53側への線分oqに対する垂直線上であって点t3から右側頬側床縁53側に0.17の距離に中心点を有する半径0.11の円内に、右側下顎犬歯の尖頭が位置するように形成されていることが好ましく、半径0.08の円内であることが特に好ましい。
ガイドとしては、基準義歯床に人工歯を配列するための貫通孔を形成する方法、人工歯の形状に対応する凹部を設ける方法、傷や溝等の凹欠部を設ける方法、印刷や転写等により目印を印字する方法、目印となる部材を接着する方法が例示される。
(義歯作製キット)
本発明の義歯作製キットは、本発明のガイド付き上顎基準義歯床及び/又はガイド付き下顎基準義歯床と、からなり、裏装材や連結人工歯を含んでいても良い。ガイド付き基準義歯床を用いる場合、患者の口腔形状に適合するように裏装材を築盛し、かつ人工歯を配列することにより、義歯が作製される。
本発明の義歯作製キットは、それぞれサイズが異なる複数のガイド付き上顎基準義歯床及び/又はガイド付き下顎基準義歯床と、それぞれサイズが異なる複数の連結人工歯と、を予め用意しておくことが好ましい。これにより、より患者への適合率を高めることができる。なお、ガイド付き上顎基準義歯床、ガイド付き下顎基準義歯床及び連結人工歯のサイズは、それぞれ2〜10種類用意しておくことが好ましく、2〜5種類用意しておくことがより好ましく、3種類用意しておくことが特に好ましい。
本発明の義歯作製キットを用いて義歯を作成する方法を以下に説明する。
先ず、患者の口腔サイズに適合するガイド付き上顎基準義歯床及び/又はガイド付き下顎基準義歯床をそれぞれ選択する。このようなガイド付き基準義歯床の選択は、口腔サイズの計測を基に決定できる。口腔サイズを計測する方法は、公知の方法を用いることができるが、例えば、目視・触診による計測、印象用トレーの試適によるサイズの計測等が挙げられる。これらの選択されたガイド付き上顎基準義歯床及びガイド付き下顎基準義歯床には、それぞれ形成されたガイドに従って、人工歯及び/又は連結人工歯が配列されて、上顎義歯及び下顎義歯が作製される。さらに、上顎義歯及び下顎義歯には、それぞれ裏装材が築盛されて患者の口腔形状に完全に適合される。人工歯の配列と裏装材の築盛とはどちらを先に行っても良い。次いで、患者の口腔に試適された後、咬合が調整される。これにより、患者の口腔形状に合致した義歯が作製される。
本発明におけるガイド付き基準義歯床の材料は公知のものがなんら制限なく使用できる。具体的に例示すれば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートの単独重合体若しくはこれらの共重合体から少なくとも一つ選ばれるポリ(メタ)アクリレート系樹脂、並びにポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリプロピレン)、ポリアミド系樹脂(例えば、ナイロン66(登録商標))、ポリエステル系樹脂(例えば、ポリカーボネート)、ポリエーテル系樹脂(例えば、ポリアセタール、ポリサルフォン)、ポリニトリル系樹脂(例えば、ポリアクリロニトリル)、ポリビニル系樹脂(例えば、ポリ酢酸ビニル)、セルロース系樹脂(例えば、酢酸セルロース)、フッ素系樹脂(例えば、ポリクロルフルオロエチレン)、イミド系樹脂(例えば、芳香族ポリイミド)等が挙げられる。
本発明におけるガイド付き基準義歯床には、義歯床の強度を向上させるためにフィラーを含有させることもできる。該フィラーは、有機フィラーであっても無機フィラーであっても良い。また、無機フィラーに重合性単量体を予め添加し、ペースト状にした後、重合させ、粉砕して得られる粒状の有機−無機複合フィラーを用いても良い。
本発明におけるガイド付き基準義歯床は、その一部が金属で形成されていても良い。
本発明におけるガイド付き基準義歯床は、公知の方法によって成形される。例えば、射出成形や圧縮成形等が挙げられる。
裏装材としては、公知ものが何ら制限なく使用できる。例えば、ガイド付き基準義歯床の材料として説明した上述のポリ(メタ)アクリレート系樹脂、並びにポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリニトリル系樹脂、ポリビニル系樹脂、セルロース系樹脂、フッ素系樹脂、イミド系樹脂、シリコン樹脂等が挙げられる。
本発明において人工歯としては、樹脂製やセラミック製の公知の人工歯を用いることができる。樹脂製の人工歯としては、上述のポリ(メタ)アクリレート系樹脂、並びにポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリニトリル系樹脂、ポリビニル系樹脂、セルロース系樹脂、フッ素系樹脂、イミド系樹脂、シリコン系樹脂等を材質とする人工歯が例示される。人工歯としては、2以上の人工歯が連結されて一体化している連結人工歯を用いることもできる。人工歯の固定方法としては、嵌合、接着等従来公知の方法が何ら制限なく使用できる。
第一小臼歯から第二大臼歯までを構成する人工歯は、これらの4歯が連結されていることが好ましい。同様に右側犬歯から左側犬歯までを構成する人工歯は、これらの6歯が連結されていることが好ましい。また、全歯列が連結していることが特に好ましい。さらに好ましい連結人工歯としては、上記ガイド付き基準義歯床に形成された上記(a)〜(e)又は上記(f)〜(j)のガイドに適合する形状を有する連結人工歯である。配列時間を短縮できるからである。
(適合率)
本実施例において適合率は、ガイド付き基準義歯床を裏装後、形状の異なる20種類の無歯顎全顎模型に試適した際に適合する模型数の割合で評価した。
(配列時間)
本実施例において配列時間は、参考例におけるオーダーメイドの義歯(従来法)を作製する場合に全歯列の人工歯を配列するのに要する時間を100%とし、各実施例のガイド付き基準義歯床に人工歯を配列するのに要した時間の割合で評価した。
(咬合調整時間)
本実施例において咬合調整時間は、オーダーメイドの義歯(従来法)を作製する場合に咬合を調整するのに要する時間を100%とし、各実施例の咬合を調整するのに要した時間の割合で評価した。
(実施例1−23、比較例1)
表1に記載する形状のガイド付き上顎基準義歯床を作製し、適合率、配列時間、咬合調整時間を評価した。評価結果は表1に示した。なお、義歯床の形状は左右対称である。
(実施例24−46、比較例2)
表2に記載する形状のガイド付き下顎基準義歯床を作製し、適合率、配列時間、咬合調整時間を評価した。評価結果は表2に示した。なお、義歯床の形状は左右対称である。
表中、7番とは第二大臼歯である。
また、第一大臼歯(6番)又は犬歯(3番)の場合における「0」とは、本願で規定する所定円内の中心にガイドの中心が形成されていることを意味する。また、例えば第一大臼歯(6番)における「0.14」とは、本願で規定する所定円内の中心からガイドの中心までの距離を意味する。その他の数値に関しても同様の意味である。例えば犬歯(3番)における「0.12」とは、本願で規定する所定円内の中心からガイドの中心までの距離を意味し、その他の数値に関しても同様の意味である。上顎中切歯の場合、「0.95」とは、直線OM上において点Mから唇側に0.95の距離にある点U1で接する2つの所定円内の中心に、ガイドの中心が形成されていることをいい、「1.14」及び「0.76」とは各々記載の値の距離にある点U1に接する2つの所定円内の中心に、ガイドの中心が形成されていることをいう。
下顎中切歯の場合、「0.84」とは、直線om上において点mから唇側に0.84の距離にある点u1で接する2つの所定円内の中心にガイドの中心が形成されていることをいい、「0.94」及び「0.74」とは各々記載の値の距離にある点u1に接する2つの所定円内の中心にガイドの中心が形成されていることをいう。
また、人工歯の配列は、ガイドの中心に人工歯の中心窩(第一大臼歯の場合)、尖頭(犬歯の場合)、中央の切縁結節(中切歯の場合)が位置するよう配列される。
第一大臼歯(6番)又は犬歯(3番)の場合における「0」とは、人工歯の中心窩(第一大臼歯の場合)又は尖頭(犬歯の場合)が本願で規定する所定円内の中心となるように配列されていることを意味する。
上顎中切歯の場合、「0.95」とは、直線OM上において点Mから唇側に0.95の距離にある点U1で接する2つの所定円内の中心に、それぞれ左側上顎中切歯の中央の切縁結節と、右側上顎中切歯の中央の切縁結節と、が位置するよう配列されていることをいう。
下顎中切歯の場合、「0.84」とは、直線om上において点mから唇側に0.84の距離にある点u1で接する2つの所定円内の中心に、それぞれ左側下顎中切歯の中央の切縁結節と、右側下顎中切歯の中央の切縁結節と、が位置するよう配列されていることをいう。
Figure 0006472302
Figure 0006472302
11・・・上顎中切歯
11a・・・左側上顎中切歯と右側上顎中切歯との歯間部
12・・・上顎側切歯
13・・・上顎犬歯
14・・・上顎第一小臼歯
15・・・上顎第二小臼歯
16・・・上顎第一大臼歯
16a・・・上顎第一大臼歯の中心窩
17・・・上顎第二大臼歯
21・・・下顎中切歯
21a・・・左側下顎中切歯と右側下顎中切歯との歯間部
22・・・下顎側切歯
23・・・下顎犬歯
24・・・下顎第一小臼歯
25・・・下顎第二小臼歯
26・・・下顎第一大臼歯
26a・・・下顎第一大臼歯の中心窩
27・・・下顎第二大臼歯
31、33、35・・・ガイド
50、52・・・左側頬側床縁
51、53・・・右側頬側床縁
100・・・上顎基準義歯床
101・・・人工歯
200・・・下顎基準義歯床

Claims (13)

  1. 床後縁の左側翼突上顎切痕に相当する点Pと右側翼突上顎切痕に相当する点Qとを結ぶ線分PQの長さを1とした場合、
    (1) 唇側床縁の正中にあたる上唇小帯に相当する点Oと線分PQの中点Mとを結ぶ線分OMの長さが0.76〜0.98であり、
    (2) 点Oと点Pとを結ぶ線分OPを4等分する各点を、点O側から点P1、点P2、点P3とし、線分OP上の点P1、点P2、点P3からの垂直線が左側頬側床縁と交わる点を点D1、点D2、点D3とし、
    点Oと点Qとを結ぶ線分OQを4等分する各点を、点O側から点Q1、点Q2、点Q3とし、線分OQ上の点Q1、点Q2、点Q3からの垂直線が右側頬側床縁と交わる点を点E1、点E2、点E3とした場合、
    線分P1D1及び線分Q1E1の長さがそれぞれ0.11〜0.36、
    線分P2D2及び線分Q2E2の長さがそれぞれ0.19〜0.45、
    線分P3D3及び線分Q3E3の長さがそれぞれ0.16〜0.45
    である上顎用の基準義歯床であって、人工歯の配列位置を示すガイドが形成されていることを特徴とするガイド付き基準義歯床。
  2. 前記ガイドが
    線分OP上にあり点Oから0.74の距離にある点S6と、左側頬側床縁と、を結ぶ線分OPに対する垂直線上であって、点S6から左側頬側床縁側に0.11の距離に中心点を有する半径0.14の円内;
    及び/又は、
    線分OQ上にあり点Oから0.74の距離にある点T6と、右側頬側床縁と、を結ぶ線分OQに対する垂直線上であって、点T6から右側頬側床縁側に0.11の距離に中心点を有する半径0.14の円内;
    に少なくとも形成されている請求項1に記載のガイド付き基準義歯床。
  3. 前記ガイドが
    直線OM上にあって点Mから唇側に0.76〜1.14の距離にある点に接する直径0.15〜0.17の2つの円
    に少なくとも形成されている請求項2に記載のガイド付き基準義歯床。
  4. 前記ガイドが
    線分OP上にあり点Oから0.30の距離にある点S3と、左側頬側床縁と、を結ぶ線分OPに対する垂直線上であって、点S3から左側頬側床縁側に0.25の距離に中心点を有する半径0.12の円内;
    及び/又は、
    線分OQ上にあり点Oから0.30の距離にある点T3と、右側頬側床縁と、を結ぶ線分OQに対する垂直線上であって、点T3から右側頬側床縁側に0.25の距離に中心点を有する半径0.12の円内;
    にさらに形成されている請求項3に記載のガイド付き基準義歯床。
  5. 床後縁の左側臼後隆起に相当する点pと右側臼後隆起に相当する点qとを結ぶ線分pqの長さを1とした場合、
    (1) 唇側床縁の正中にあたる下唇小帯に相当する点oと線分pqの中点mとを結ぶ線分omの長さが0.74〜0.94であり、
    (2) 点oと点pとを結ぶ線分opを4等分する各点を、点o側から点p1、点p2、点p3とし、線分op上の点p1、点p2、点p3からの垂直線が左側頬側床縁と交わる点を点d1、点d2、点d3とし、
    点oと点qとを結ぶ線分oqを4等分する各点を、点o側から点q1、点q2、点q3とし、線分oq上の点q1、点q2、点q3からの垂直線が右側頬側床縁と交わる点を点e1、点e2、点e3とした場合、
    線分p1d1及び線分q1e1の長さがそれぞれ0.11〜0.32、
    線分p2d2及び線分q2e2の長さがそれぞれ0.13〜0.34、
    線分p3d3及び線分q3e3の長さがそれぞれ0.14〜0.33であり、
    (3) 直線d1p1、d2p2、d3p3及びe1q1、e2q2、e3q3と、舌側床縁との交点をそれぞれ点b1、点b2、点b3及び点c1、点c2、点c3とし、
    線分d1b1及び線分e1c1の長さがそれぞれ0.14〜0.40、
    線分d2b2及び線分e2c2の長さがそれぞれ0.19〜0.41、
    線分d3b3及び線分e3c3の長さがそれぞれ0.21〜0.42
    である下顎用の基準義歯床であって、人工歯の配列位置を示すガイドが形成されていることを特徴とするガイド付き基準義歯床。
  6. 前記ガイドが
    線分op上にあり点oから0.65の距離にある点s6と、左側頬側床縁と、を結ぶ線分opに対する垂直線上であって、点s6から左側頬側床縁側に0.08の距離に中心点を有する半径0.12の円内;
    及び/又は、
    線分oq上にあり点oから0.65の距離にある点t6と、右側頬側床縁と、を結ぶ線分oqに対する垂直線上であって、点t6から右側頬側床縁側に0.08の距離に中心点を有する半径0.12の円内;
    に少なくとも形成されている請求項5に記載のガイド付き基準義歯床。
  7. 前記ガイドが
    直線om上にあって点mから唇側に0.74〜0.94の距離にある点に接する直径0.10〜0.12の2つの円
    に少なくとも形成されている請求項6に記載のガイド付き基準義歯床。
  8. 前記ガイドが
    線分op上にあり点oから0.23の距離にある点s3と、左側頬側床縁と、を結ぶ線分opに対する垂直線上であって、点s3から左側頬側床縁側に0.17の距離に中心点を有する半径0.11の円内;
    線分oq上にあり点oから0.23の距離にある点t3と、右側頬側床縁と、を結ぶ線分oqに対する垂直線上であって、点t3から右側頬側床縁側に0.17の距離に中心点を有する半径0.11の円内;
    にさらに形成されている請求項7に記載のガイド付き基準義歯床。
  9. 前記ガイドが、全歯列の配列位置を示すガイドである請求項1乃至8の何れか1項に記載のガイド付き基準義歯床。
  10. 前記ガイドが、前記基準義歯床に穿設された貫通孔である請求項1乃至9の何れか1項に記載のガイド付き基準義歯床。
  11. 前記ガイドが、凹欠、印刷又は接着により前記基準義歯床に形成されているガイドである請求項1乃至9の何れか1項に記載のガイド付き基準義歯床。
  12. 請求項1乃至11の何れか1項に記載のガイド付き基準義歯床に、人工歯及び/又は連結人工歯を配列する人工歯配列工程を有することを特徴とする義歯作製方法。
  13. 前記人工歯配列工程によって人工歯及び/又は連結人工歯が配列された基準義歯床に裏装材を築盛する工程を更に有することを特徴とする請求項12に記載の義歯作製方法。
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