JP6468480B2 - 蒸着マスクの製造方法および蒸着マスク - Google Patents

蒸着マスクの製造方法および蒸着マスク Download PDF

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Description

本発明は、所望のパターンで蒸着を行うために用いられる蒸着マスクを製造する方法に係り、とりわけ、精度良く貫通孔を形成することができる蒸着マスクの製造方法に関する。また、本発明は、所望のパターンで蒸着を行うために用いられる蒸着マスクに係り、とりわけ、精度良い貫通孔をもつ蒸着マスクに関する。
従来、所望のパターンで配列された複数の貫通孔を含む蒸着用マスクを用い、所望のパターンで薄膜を形成する方法が知られている。そして、昨今においては、例えば有機EL表示装置の製造時において有機材料を基板上に蒸着する場合等、極めて高価な材料を成膜する際に蒸着が用いられることがある。なお、蒸着用マスクは、一般的に、フォトリソグラフィー技術を用いたエッチングによって金属板に貫通孔を形成することにより、製造され得る(例えば、特許文献1)。
蒸着マスクを用いて蒸着材料を基板に成膜する場合、基板に精度良く蒸着材料を蒸着することが必要となる。このためには、蒸着マスクの貫通孔を精度良く形成することが求められている。
特開2004−39319号公報
上述のように、蒸着マスクはエッチングにより金属板に多数の貫通孔を形成して得られる。この場合、まず金属板にエッチングにより凹部を形成し、この凹部内に貫通孔が設けられる。このように、金属板にエッチングにより凹部を形成し、その後に凹部内に貫通孔が設けられるが、金属板に精度良く凹部を形成すること、すなわち金属板に均一な断面形状をもつ複数の凹部を形成することは容易ではなく、また、凹部の断面形状にばらつきが生じると、貫通孔を精度良く形成することはむずかしい。
このように蒸着マスクの凹部形状および貫通孔の形状にばらつきが生じると、基板に精度良く蒸着材料を蒸着させることはむずかしくなる。
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、凹部を形成することができる蒸着マスクの製造方法および蒸着マスクを提供することを目的とする。
本発明は、格子形状に配置された複数の貫通孔を含む有孔領域と、前記有孔領域の周囲に位置する周囲領域と、を備え、少なくとも一方向に引張られた状態で使用される蒸着マスクを製造する方法において、互いに対向する第1面および第2面を有する金属板の第1面上に、レジストパターンを設ける工程と、前記レジストパターンをマスクとして前記第1面の側から前記金属板をエッチングし、前記有孔領域をなす前記金属板の領域内に、前記貫通孔を有する凹部を第1面の側から形成する工程を備え、前記凹部を形成する工程において、前記金属板の第1面のうち、格子形状を構成する任意の隣り合う4つの貫通孔の中央に位置する頂部が、前記レジストパターンに接した状態を維持して凹部を形成し、各凹部は格子形状を構成する任意の隣り合う4つの頂部間を連結する矩形状の4本の稜線により囲まれ、4本の稜線のうち2本の稜線は引張方向に平行に延び、他の2本の稜線は引張方向と直交することを特徴とする蒸着マスクの製造方法である。
本発明は、格子形状に配置された複数の貫通孔を含む有孔領域と、前記有孔領域の周囲に位置する周囲領域と、を備えた蒸着マスクを製造する方法において、互いに対向する第1面および第2面を有する金属板の第1面上に、レジストパターンを設ける工程と、前記レジストパターンをマスクとして前記第1面の側から前記金属板をエッチングし、前記有孔領域をなす前記金属板の領域内に、前記貫通孔を有する凹部を第1面の側から形成する工程を備え、前記凹部を形成する工程において、前記金属板の第1面のうち、格子形状を構成する任意の隣り合う4つの貫通孔の中央に位置する頂部が、前記レジストパターンに接した状態を維持して凹部を形成し、前記貫通孔は、前記有孔領域において、互いに直交する二方向に沿ってそれぞれ所定の同一ピッチで配列され、隣り合う二つの凹部の間に延びる稜線は、貫通孔の配列方向とそれぞれ平行となる二方向に延びる、ことを特徴とする蒸着マスクの製造方法である。
本発明は、前記凹部を形成する工程において、前記金属板がハーフエッチングされ、前記凹部は第2面まで達しないことを特徴とする蒸着マスクの製造方法である。
本発明は、前記凹部を形成する工程において、エッチングによる浸食が金属板の板面に沿った方向にも進み、前記レジストパターン下にて隣り合う二つの凹部が合流し、さらに、少なくとも一つの凹部の壁面が、当該一つの凹部の周囲に位置する他のいずれかの凹部の壁面と合流することを特徴とする蒸着マスクの製造方法である。
本発明は、前記凹部を形成する工程において、前記隣り合う二つの凹部が合流してなる合流部分が前記レジストパターンから離間し、前記レジストパターン下となる当該合流部分において、エッチングによる浸食が金属板の法線方向にも進み、前記合流部分が面取されて、合流部分の厚みは頂部の厚みより小さいことを特徴とする蒸着マスクの製造方法である。
本発明は、前記金属板の前記第2面上に配置された第2レジストパターンをマスクとして前記第2面の側から前記金属板をエッチングし、第2凹部を前記第2面の側から形成する工程を、さらに備え、前記凹部と前記第2凹部が接続して前記貫通孔を作製するように、前記凹部及び前記第2凹部が形成されることを特徴とする蒸着マスクの製造方法である。
本発明は、前記金属板を貫通しないように前記第1面の側から形成された各凹部内にレーザー光を照射して、当該凹部の内部から前記金属板の前記第2面まで到達する第2凹部を形成する工程を、さらに備え、前記凹部と前記第2凹部が接続して前記貫通孔を作製するように、前記凹部及び前記第2凹部が形成されることを特徴とする蒸着マスクの製造方法である。
本発明は、互いに対向する第1面および第2面を有する金属板を第1面からエッチングすることにより得られ、少なくとも一方向に引張られた状態で使用される蒸着マスクにおいて、格子形状に配置された複数の貫通孔を含む有孔領域と、前記有孔領域の周囲に位置する周囲領域と、を備え、前記有孔領域において、前記金属板の第1面に、当該第1面へ向けて幅が広くなっていく複数の凹部が設けられ、且つ、この凹部に貫通孔が形成され、前記金属板のうち格子形状を構成する任意の隣り合う4つの貫通孔の中央に位置する頂部の厚みは、前記周囲領域の厚みに一致し、各凹部は格子形状を構成する任意の隣り合う4つの頂部間を連結する矩形状の4本の稜線により囲まれ、4本の稜線のうち2本の稜線は引張方向に平行に延び、他の2本の稜線は引張方向と直交することを特徴とする蒸着マスクである。
本発明は、互いに対向する第1面および第2面を有する金属板を第1面からエッチングすることにより得られる蒸着マスクにおいて、格子形状に配置された複数の貫通孔を含む有孔領域と、前記有孔領域の周囲に位置する周囲領域と、を備え、前記有孔領域において、前記金属板の第1面に、当該第1面へ向けて幅が広くなっていく複数の凹部が設けられ、且つ、この凹部に貫通孔が形成され、前記金属板のうち格子形状を構成する任意の隣り合う4つの貫通孔の中央に位置する頂部の厚みは、前記周囲領域の厚みに一致し、各凹部は格子形状を構成する任意の隣り合う4つの頂部間を連結する矩形状の4本の稜線により囲まれ、前記貫通孔は、前記有孔領域において、互いに直交する二方向に沿ってそれぞれ所定の同一ピッチで配列され、隣り合う二つの凹部の間に延びる稜線は、貫通孔の配列方向とそれぞれ平行となる二方向に延びることを特徴とする蒸着マスクである。
本発明は、前記凹部はハーフエッチングにより形成され、前記凹部は第2面まで達しないことを特徴とする蒸着マスクである。
本発明は、前記凹部の前記壁面と前記他の凹部の前記壁面とが合流することによって合流部分が形成され、前記蒸着マスクの法線方向に沿った前記合流部分の厚みは頂部の厚みより小さいことを特徴とする蒸着マスクである。
本発明は、前記金属板の第2面のうち凹部に対応する位置に、凹部に接続されて貫通孔を作製する第2凹部が形成されていることを特徴とする蒸着マスクである。
本発明によれば、精度良く形成された凹部および貫通孔を有する蒸着マスクが提供される。
図1は、本発明の一実施の形態を説明するための図であって、蒸着マスクを含む蒸着マスク装置の一例を示す概略斜視図である。 図2は、図1に示す蒸着マスク装置を用いて蒸着する方法を説明するための図である。 図3(a)は、図1に示された蒸着マスクを示す斜視図であり、図3(b)は蒸着マスクを示す部分平面図である。 図4は、レジストパターン付蒸着マスクを示す斜視図である。 図5は、図4のV−V線に沿った断面図である。 図6は、図4のVI−VI線に沿った断面図である。 図7は、図1に示す蒸着マスクの製造方法の一例を全体的に説明するための模式図である。 図8は、蒸着マスクの製造方法の一例を説明するための図であって、法線方向に沿った断面において長尺金属板を示す図である。 図9は、蒸着マスクの製造方法の一例を説明するための図であって、法線方向に沿った断面において長尺金属板を示す図である。 図10は、蒸着マスクの製造方法の一例を説明するための図であって、法線方向に沿った断面において長尺金属板を示す図である。 図11は、蒸着マスクの製造方法の一例を説明するための図であって、法線方向に沿った断面において長尺金属板を示す図である。 図12は、蒸着マスクの製造方法の一例を説明するための図であって、法線方向に沿った断面において長尺金属板を示す図である。 図13は、蒸着マスクの製造方法の一例を説明するための図であって、法線方向に沿った断面において長尺金属板を示す図である。 図14は、蒸着マスクの製造方法の一例を説明するための図であって、法線方向に沿った断面において長尺金属板を示す図である。 図15は、レジストパターンを示す平面図である。 図16は、図9に対応する図であって、貫通孔の形成方法の一変形例を説明するための図である。 図17は、貫通孔の形成方法の他の変形例を説明するための図。 図18は、貫通孔の形成方法の他の変形例を説明するための図。 図19は、蒸着マスクの製造方法の一変形例を説明するための図。 図20は、蒸着マスクの製造方法の一変形例を説明するための図。
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
図1〜図15は本発明による一実施の形態を説明するための図である。以下の実施の形態およびその変形例では、有機ELディスプレイ装置を製造する際に有機発光材料を所望のパターンでガラス基板上にパターニングするために用いられる蒸着マスクの製造方法を例にあげて説明する。ただし、このような適用に限定されることなく、種々の用途に用いられる蒸着マスクおよび蒸着マスクの製造方法に対し、本発明を適用することができる。
なお、本明細書において、「板」、「シート」、「フィルム」の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。例えば、「板」はシートやフィルムと呼ばれ得るような部材も含む概念であり、したがって、例えば「金属板」は、「金属シート」や「金属フィルム」と呼ばれる部材と呼称の違いのみにおいて区別され得ない。
また、「板面(シート面、フィルム面)」とは、対象となる板状(シート状、フィルム状)の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となる板状部材(シート状部材、フィルム状部材)の平面方向と一致する面のことを指す。また、板状(シート状、フィルム状)の部材に対して用いる法線方向とは、当該部材の板面(シート面、フィルム面)に対する法線方向のことを指す。
さらに、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
まず、製造方法対象となる蒸着マスクを含む蒸着マスク装置の一例について、主に図1〜図6を参照して説明する。ここで、図1は、蒸着マスクを含む蒸着マスク装置の一例を示す斜視図であり、図2は、図1に示す蒸着マスク装置の使用方法を説明するための図である。図3は、蒸着マスクを第1面の側から示す平面図であり、図5〜図6は、図4の各位置における断面図である。
蒸着マスク装置10は、矩形状の金属板21からなる蒸着マスク20と、蒸着マスク20の周縁部に取り付けられたフレーム15と、を備えている。蒸着マスク20には、互いに対向する第1面21aおよび第2面21bを有する金属板21を少なくとも第1面21aからエッチングすることにより形成された貫通孔25が、多数設けられている。この蒸着マスク装置10は、図2に示すように、蒸着マスク20が蒸着対象物である基板、例えばガラス基板92に対面するようにして蒸着装置90内に支持され、基板への蒸着材料の蒸着に使用される。
蒸着装置90内では、不図示の磁石からの磁力によって、蒸着マスク20とガラス基板92とが密着するようになる。蒸着装置90内には、この蒸着マスク装置10を挟んだガラス基板92の下方に、蒸着材料(一例として、有機発光材料)98を収容するるつぼ94と、るつぼ94を加熱するヒータ96とが配置されている。るつぼ94内の蒸着材料98は、ヒータ96からの加熱により、気化または昇華してガラス基板92の表面に付着するようになる。上述したように、蒸着マスク20には多数の貫通孔25が形成されており、蒸着材料98はこの貫通孔25を介してガラス基板92に付着する。この結果、蒸着マスク20の貫通孔25の位置に対応した所望のパターンで、蒸着材料98がガラス基板92の表面に成膜される。
図1に示すように、本実施の形態において、蒸着マスク20は、金属板21からなり、平面視において略四角形形状、さらに正確には平面視において略矩形状の輪郭を有している。蒸着マスク20の金属板21は、規則的な配列で形成された貫通孔25を含む有孔領域22と、有孔領域22を取り囲む周囲領域23と、を含んでいる。周囲領域23は、有孔領域22を支持するための領域であり、基板へ蒸着されることを意図された蒸着材料が通過する領域ではない。例えば、有機ELディスプレイ装置用の有機発光材料の蒸着に用いられる蒸着マスク20においては、有孔領域22は、有機発光材料が蒸着して画素を形成するようになる基板(ガラス基板92)上の区域、すなわち、作製された有機ELディスプレイ装置用基板の表示面をなすようになる基板上の区域に対面する、蒸着マスク20内の領域のことである。ただし、種々の目的から、周囲領域23に貫通孔や凹部が形成されていてもよい。図1に示された例において、各有孔領域22は、平面視において略四角形形状、さらに正確には平面視において略矩形状の輪郭を有している。
図示された例において、複数の有孔領域22は、蒸着マスク20の一辺と平行な一方向に沿って所定の間隔を空けて配置されるとともに、前記一方向と直交する他方向に沿って所定の間隔を空けて配置されている。図示された例では、一つの有孔領域22が一つの有機ELディスプレイ装置に対応するようになっている。すなわち、図1に示された蒸着マスク装置10(蒸着マスク20)によれば、多面付蒸着が可能となっている。ただし、図示された例に限られず、蒸着マスク20が、一方向に沿って一列に配列された複数の有孔領域22を含み、且つ、蒸着マスク装置10が、その長手方向(一方向)に直交する方向に配列されてフレーム15に取り付けられた複数の蒸着マスク20を有するようにしてもよい。
図3(a)(b)に示すように、図示された例において、各有孔領域22に形成された複数の貫通孔25は、当該有孔領域22において、互いに直交する二方向に沿ってそれぞれ所定の同一ピッチで配列されている。この場合、複数の貫通孔25は金属板21に、後述のようにエッチングにより形成され、貫通孔25は格子状に配置されている。そして、金属板21の第1面21aのうち、格子形状を構成する任意の隣り合う4つの貫通孔25の中央に位置する部分は頂部33aとなっており、この頂部33aの厚みはエッチング前の金属板21の厚みを維持している。すなわち、頂部33aの厚みは周囲領域23の厚みに一致する。この金属板21に形成された貫通孔25の一例について、図3〜図6を主に参照して更に詳述する。
なお、図3〜図6において、蒸着マスク20と、蒸着マスク20の第1面20a上に設けられた第1レジストパターン(単にレジストパターンともいう)65aとにより、レジストパターン付蒸着マスク20Aが構成される。このうち、図3は、蒸着マスク20を第1面20a側から示す斜視図である。また図4はレジストパターン付蒸着マスク20Aを示す斜視図である。さらに、図5は、図4のV−V線に沿った断面図であり、図6は、図4のVI−VI線に沿った断面図である。図5〜図6に示すように、複数の貫通孔25は、蒸着マスク20の法線方向に沿った一方の側となる第1面20aと、蒸着マスク20の法線方向に沿った他方の側となる第2面20bとの間を延びて、蒸着マスク20を貫通している。図示された例では、のちに詳述するように、蒸着マスクの法線方向における一方の側となる金属板21の第1面21aの側から金属板21に第1凹部(単に凹部ともいう)30がエッチングによって形成され、金属板21の法線方向における他方の側となる第2面21bの側から金属板21に第2凹部35が形成され、この第1凹部30および第2凹部35によって貫通孔25が形成されている。
また、図4〜図6に示すように、蒸着マスク20と、蒸着マスク20の第1面20a上に設けられた第1レジストパターン65aとからなるレジストパターン付蒸着マスク20Aにおいて、蒸着マスク20の格子形状を構成する4つの貫通孔25の中央に位置する頂部33aは、第1レジストパターン65に接触している。
また、図15に示すように、レジストパターン付蒸着マスク20Aの第1レジストパターン65aは、第1凹部30をエッチングにより形成される際のマスクとして機能するものであり、各第1凹部30に対応する孔66aと、孔66a間のブリッジ67aとを有している。また蒸着マスク20の頂部33aは、第1レジストパターン65aに、領域69aにおいて接触している。
図3〜図6に示すように、蒸着マスク20の法線方向における一方の側から他方の側へ向けて、すなわち、蒸着マスク20の第1面20aの側から第2面20bの側へ向けて、蒸着マスク20の法線方向に沿った各位置における蒸着マスク20の板面に沿った断面での各第1凹部30の断面積は、しだいに小さくなっていく。言い換えると、蒸着マスク20の法線方向に沿った断面において、蒸着マスク20の法線方向に沿った各位置における蒸着マスク20の板面に沿った各第1凹部30の幅は、蒸着マスク20の第1面20aの側から第2面20bの側に向けて、しだいに小さくなっていく。とりわけ図示された例では、蒸着マスク20の第1面20aの側から第2面20bの側に向け、各第1凹部30の断面積は、小さくなるように変化し続けている。図3に示すように、第1凹部30の壁面31は、その全領域において蒸着マスク20の法線方向に対して交差する方向に延びており、蒸着マスク20の法線方向に沿った一方の側に向けて露出している。
同様に、蒸着マスク20の法線方向に沿った各位置における蒸着マスク20の板面に沿った断面での各第2凹部35の断面積は、蒸着マスク20の法線方向における他方の側から一方の側へ向けて、すなわち、蒸着マスク20の第2面20bの側から第1面20aの側へ向けて、しだいに小さくなっていく。言い換えると、蒸着マスク20の法線方向に沿った断面において、蒸着マスク20の法線方向に沿った各位置における蒸着マスク20の板面に沿った各第2凹部35の幅は、蒸着マスク20の第2面20bの側から第1面20aの側に向けて、しだいに小さくなっていく。とりわけ図示された例では、蒸着マスク20の第2面20bの側から第1面20aの側に向け、各第2凹部35の断面積は、小さくなるように変化し続けている。第2凹部35の壁面36は、その全領域において蒸着マスク20の法線方向に対して交差する方向に延びており、蒸着マスク20の法線方向に沿った他方の側に向けて露出している。
図3〜図6に示すように、貫通孔25は、蒸着マスク20の第1面20aの側から形成された先細りする第1凹部30と、蒸着マスク20の第2面20bの側から形成された先細りする第2凹部35とが接続することによって、画成されている。図3に示すように、図示された例では、一つの貫通孔25に対して、第1凹部30及び第2凹部35がそれぞれ一つずつ形成されている。したがって、一つの第1凹部30と、当該第1凹部30に対応して設けられた第2凹部35とが接続することにより、各貫通孔25が形成されている。
なお、図3〜図6に示すように、第1凹部30の壁面31と、第2凹部35の壁面36とは、周状の接続部41を介して接続されている。接続部41は、蒸着マスクの法線方向に対して傾斜した第1凹部30の壁面31と、蒸着マスクの法線方向に対して傾斜した第2凹部35の壁面36とが合流する張り出し部の稜線によって、画成されている。そして、接続部41は、蒸着マスク20の平面視において最も貫通孔25の面積が小さくなる貫通部42を画成する。
図3〜図6に示すように、蒸着マスクの法線方向に沿った他方の側の面、すなわち、蒸着マスク20の第2面20b上において、隣り合う二つの貫通孔25は、蒸着マスクの板面に沿って互いから離間している。すなわち、後述する製造方法のように、蒸着マスク20の第2面20bに対応するようになる金属板21の第2面21b側から当該金属板21をエッチングして第2凹部35を作製する場合、隣り合う二つの第2凹部35の間に金属板21の第2面21bが残存するようになる。
一方、図3〜図6に示すように、蒸着マスクの法線方向に沿った他方の側、すなわち、蒸着マスク20の第1面20aの側において、隣り合う二つの第1凹部30が接続されている。すなわち、後述する製造方法のように、蒸着マスク20の第1面20aに対応するようになる金属板21の第1面21a側から当該金属板21をエッチングして第1凹部30を形成する場合、隣り合う二つの第1凹部30の間に頂部33aを残して、他の金属板21の第1面21aが残存しないようになる。このような第1凹部30によって形成される蒸着マスク20の第1面20aによれば、図2に示すように蒸着マスク20の第1面20aが蒸着材料98に対面するようにしてこの蒸着マスク20を用いた場合に、蒸着材料98の利用効率を効果的に改善することができる。
図2に示すようにして蒸着マスク装置10が蒸着装置90に収容された場合、蒸着マスク20の第1面20aが蒸着材料98を保持したるつぼ94側に位置し、蒸着マスク20の第2面20bがガラス基板92に対面する。図5に便宜上二点鎖線により、ガラス基板92を示す。したがって、蒸着材料98は、次第に断面積が小さくなっていく第1凹部30を通過してガラス基板92に付着する。図4のV−V線断面を示す図5において、蒸着材料98は、るつぼ94からガラス基板92に向けてガラス基板92の法線方向に沿って移動するだけでなく、ガラス基板92の法線方向に対して大きく傾斜した方向に移動することもある。このとき、後述する第1凹部30の先端縁32からなる稜線33が全長にわたってレジストパターン65aまで達していると、斜めに移動する蒸着材料98は、蒸着マスク20に付着してガラス基板92まで到達しない。また、ガラス基板92上の貫通孔25に対面する領域内には、蒸着材料98が到達しやすい領域と到達しにくい部分が生じてしまう。
すなわち、蒸着材料の利用効率(成膜効率:ガラス基板92に付着する割合)を高めて高価な蒸着材料を節約するため、且つ、高価な蒸着材料を用いた成膜を所望の領域内に安定してむらなく実施するため、蒸着マスク20のシート面に直交する図5〜図6の断面において、貫通孔25の最小断面積を持つ部分となる接続部41と、第1凹部30の稜線33のうち最も低い部分とを通過する直線L1が、蒸着マスク20の法線方向に対してなす最小角度θ(図5参照)が、十分に大きくなっていることが有利となる。そして、図示された例によれば、隣り合う二つの第1凹部30の壁面31が合流することにより、この角度θを大幅に小さくすることができている。
第1凹部30は、後に詳述するように、金属板21の第1面21aをエッチングすることにより形成される。エッチングによって形成される凹部の壁面は、一般的に、浸食方向に向けて凸となる曲面状となる。したがって、エッチングによって形成された凹部の壁面31は、エッチングの開始側となる領域において切り立ち、エッチングの開始側とは反対側となる領域、すなわち凹部の最も深い側においては、金属板21の法線方向に対して比較的大きく傾斜するようになる。そして、図示された蒸着マスク20では、隣り合う二つの第1凹部30の壁面31が、エッチングの開始側において、合流し、先端縁からなる稜線(合流部ともいう)33を形成しているので、貫通孔25の大部分をなす第1凹部30の壁面31を蒸着マスクの法線方向に対して効果的に傾斜させることができる。これにより、ここで説明した蒸着マスク20を用いた場合、蒸着材料98の利用効率を効果的に改善しながら所望のパターンでの蒸着を安定して高精度に実施することができる。
とりわけ、図示された例では、有孔領域22のすべての第1凹部30の壁面31の先端縁32が、頂部33aを除いて当該第1凹部30の周囲に位置する他のいずれかの第1凹部30の壁面31の先端縁32と合流し、稜線(合流部)33を形成している。或いは、その全周のうちの一部分において頂部33aを除いて当該第1凹部30の周囲に位置する他のいずれかの第1凹部30の壁面31の先端縁32と合流し、且つその全周のうちの他の部分において周囲領域23内に延びている。図4〜図6に示すように、所定のパターンで配列された貫通孔25のうちの最外方に位置する貫通孔25を画成する第1凹部30について、壁面31の先端縁32の一部分が、頂部33aを除いて他の第1凹部30の壁面31の先端縁32に接続し、且つ、壁面31の先端縁32のその他の部分が、周囲領域23まで延びて蒸着マスク20の平坦面、後述する製造方法によれば金属板21の第1面21aに接続している。一方、所定のパターンで配列された貫通孔25のうちの最外方以外に位置する貫通孔25を画成する第1凹部30について、壁面31の先端縁32は、頂部33aを除いて当該第1凹部30の周囲に位置する他のいずれかの第1凹部30の壁面31の先端縁32と合流している。
すなわち、図3〜図6に示された例においては、蒸着マスク20の有孔領域22内の全領域において、蒸着マスク20の第1面20aは、蒸着マスクの法線方向における一方の側に向いた第1凹部30の壁面31によって形成されている。この結果、蒸着マスク20の有孔領域22内の全領域において、蒸着マスク20の第1面20aが凹凸面をなしている。
このような蒸着マスク20によれば、有孔領域22の全域において、第1凹部30の壁面31が蒸着マスクの法線方向に対してなす傾斜角度θを効果的に増大させることができる。これにより、蒸着材料98の利用効率を効果的に改善しながら、所望のパターンでの蒸着を高精度に安定して実施することができる。
また、後述する製造方法のように蒸着マスク20の第1面20aに対応する金属板21の第1面21a側から当該金属板21をエッチングして第1凹部30を作製する場合、蒸着マスク20の有孔領域22をなす金属板21の全領域において、当該金属板21の第1面21aがエッチングにより浸食される。この場合、有孔領域22に形成され格子形状を構成する4つの貫通孔25の中央に位置する頂部33aの厚みは、エッチング前の金属板21の厚みと同一の厚みTaとなっており、この頂部33aの厚みTaは周囲領域23の厚みに一致する。
このように有孔領域22の頂部33aの厚みをエッチング前の金属板21の厚みTaに一致させることにより、頂部33aを囲む4つの第1凹部30および各第1凹部30内の貫通孔25の断面形状を略一定に維持することができる。
すなわち、各々の頂部33aの厚みにばらつきが生じている場合、頂部33aを囲む4つの第1凹部30および各第1凹部30内の貫通孔25の断面形状が種々変化することも考えられる。
これに対して本実施の形態によれば、頂部33aの厚みを厚みTaに一致させることにより、この頂部33aを基準として第1凹部30および貫通孔25の断面形状を定めることができ、これにより第1凹部30および貫通孔25の断面形状を略一定に定めることができる。
また、第1凹部30の幅は、蒸着マスクの法線方向に沿った他方の側から一方の側に向けて、広くなっていくことから、第1凹部30の壁面31の先端縁32と他の第1凹部30の壁面31の先端縁32とが合流することにより合流部としての稜線33が形成されている。図示された例において、貫通孔25は平面視において略矩形状に形成され、且つ、互いに直交する二つの方向のそれぞれに所定の同一ピッチで配列されている。したがって、図5に示すように、有孔領域22内の貫通孔25を画成する第1凹部30の壁面31の先端縁32は略矩形状に沿って延び、また、隣り合う二つの第1凹部30の間を延びる稜線33は、貫通孔25の配列方向とそれぞれ平行となる二方向に延びるようになる。ここで、略矩形をなす貫通孔25の各辺の方向は、貫通孔25の配置方向と同一または平行である。また、貫通孔25の各辺の方向は、稜線33の延びる方向と同一または平行な二方向である。
さらに、後述する製造方法のように第1凹部30はエッチングにて形成されるため、稜線(合流部)33の高さ、すなわち、蒸着マスクの法線方向における稜線33の位置は、一定ではなく変動する。言い換えると、他の第1凹部30の壁面31の先端縁32に合流する第1凹部30の壁面31の先端縁32の、蒸着マスクの法線方向における位置は、一定ではなく変動する。上述のように蒸着マスク20の複数の第1凹部30は格子状に配置され、格子形状を構成する4つの第1凹部30の中央に頂部33aが位置しているため、隣り合う頂部33a間に稜線33が延び、この稜線33の高さは、頂部33a近傍において最も高くなり、頂部33aから離れるにつれて稜線33の高さは徐々に低くなる。そして頂部33a間の中央位置において、稜線33の高さは最も低くなる(図3〜図6参照)。
このような蒸着マスク20では、とりわけ図3(a)からよく理解され得るように、第1凹部30の壁面31間の稜線33の高さは、頂部33a間の中央位置において最も低くなるため、この位置において蒸着マスク20の法線方向に対して壁面31がなす上述の角度θを、効果的に増大することができる。これにより、より効果的に蒸着材料98の利用効率を改善し且つ所望のパターンでの蒸着を高精度且つ安定して実施することができる。
さらに、図示された例においては、後述する製造方法に起因して、蒸着マスクの法線方向に沿った断面での、二つの第1凹部30の壁面31の先端縁32が合流する稜線(合流部分)33の外輪郭は、面取された形状となっている。上述したように、一般的に、エッチングで形成される第1凹部30の壁面は、エッチングによる主たる進行方向に向けて凸となる曲面状となる。したがって、エッチングで形成された二つの第1凹部30を単純に部分的に重ね合わせると、合流部分は、エッチングの開始側となる蒸着マスクの法線方向に沿った一方の側へ向けて、尖った形状となる。これに対して本実施の形態による蒸着マスク20では、合流部分33における尖った部分が面取されている。図4〜図6から理解されるように、この面取によって、蒸着マスク20の法線方向に対して壁面31がなす上述の角度θを、効果的に増大することができる。これにより、より効果的に蒸着材料98の利用効率を改善し且つ所望のパターンでの蒸着を高精度且つ安定して実施することができる。
上述したように、本実施の形態では、貫通孔25が各有孔領域22において所定のパターンで配置されている。一例として、蒸着マスク20(蒸着マスク装置10)が携帯電話やデジタルカメラ等のディスプレイ(2〜5インチ程度)を作製するために用いられる場合、貫通孔25の配列ピッチPは、58μm(440ppi)以上254μm(100ppi)以下程度とすることができる。なお、カラー表示を行いたい場合には、貫通孔25の配列方向(前述の一方向)に沿って蒸着マスク20(蒸着マスク装置10)とガラス基板92とを少しずつ相対移動させ、赤色用の有機発光材料、緑色用の有機発光材料および青色用の有機発光材料を順に蒸着させていってもよい。また、蒸着マスク20(蒸着マスク装置10)が携帯電話のディスプレイを作製するために用いられる場合、各貫通孔25の配列方向(上述の一方向)に沿った幅(スリット幅)Wは、28μm以上84μm以下程度とすることができる。
なお、蒸着マスク装置10のフレーム15は、矩形状の蒸着マスク20の周縁部に取り付けられている。フレーム15は、蒸着マスク20が撓んでしまうことがないように蒸着マスク20を一方向、あるいは一方向およびこれに直交する他方向の両方向に張った状態に保持する。蒸着マスク20とフレーム15とは、例えばスポット溶接により互いに対して固定されている。
ところで、図3(a)(b)に示すように、金属板21の第1面21aのうち、格子形状を構成する任意の隣り合う4つの貫通孔25の中央に任意する部分は頂部33aとなっており、この頂部33aの厚みはエッチング前の金属板21の厚みを維持している。また逆に任意の隣り合う4つの頂部33aは互いに4本の稜線33により連結されて格子形状を構成する。
図3(b)において、蒸着マスク20の一方向(図3(b)の左右方向)は、使用時にフレーム15に固定される際、引張られる引張方向Lとなる。図3(b)に示すように任意の隣り合う4つの頂部33aは、4本の稜線33により連結されて貫通孔25を有する第1凹部30および第2凹部35を囲んでいる。そして4本の稜線33のうち、上辺および下辺をなす2本の稜線は引張方向Lと平行に延び、側辺をなす他の2本の稜線は引張方向Lに直交している。
このように第1凹部30および第2凹部35を囲む4本の稜線33がすべて引張方向Lに対して平行に延び、あるいは直交して延びているため、例えば蒸着マスク20を引張方向Lに沿って引張った場合、この引張力を第1凹部30および第2凹部35を囲む稜線33、とりわけ上辺および下辺をなす2本の稜線33により支えることができ、このため貫通孔25が変形したりすることはない。
すなわち、上述した4本の稜線33が引張方向Lに対して傾斜している場合、蒸着マスク20を引張方向Lに沿って引張った場合、引張力を稜線33により十分に支えることができず、貫通孔25が変形することも考えられるが、本実施の形態によれば、引張力を4本の稜線33、とりわけ上辺および下辺をなす2本の稜線33により支えることができ、このため貫通孔25が変形することはない。
このようにしてフレーム15に蒸着マスク20が取り付けられた蒸着マスク装置10は、高温雰囲気となる蒸着装置90の内部に保持される。したがって、蒸着マスク20およびフレーム15は、蒸着フレームの撓みや熱応力の発生を防止するため、熱膨張率が小さな同一の材料によって作製されていることが好ましい。このような材料として、例えば、36%Niインバー材を用いることができる。
以上のような蒸着マスク20によれば、少なくとも一つの第1凹部30の壁面31の先端縁32が、頂部33aを除いて当該第1凹部30の周囲に位置する他のいずれかの第1凹部30の壁面31と合流している。このため、蒸着材料98の利用効率を効果的に改善しながら、高精細なパターンでの蒸着を所望の厚さで精度良く行うことができる。とりわけ、有機ELディスプレイ装置では、高価な蒸着材料98を高精細なパターンで基板42上にパターニングすることが所望されている。このため、本実施の形態の蒸着マスク20は、有機ELディスプレイ装置を製造するために用いられる蒸着マスクに特に適している。
次に、このような蒸着マスク20の製造方法について、主に図7〜図14を用いて説明する。以下に説明する蒸着マスク20の製造方法では、図7に示すように、帯状に延びる長尺の金属板64が供給され、この長尺金属板64に貫通孔25が形成され、さらに長尺金属板64を断裁することによって枚葉状の金属板21からなる蒸着マスク20が得られる。
より具体的には、蒸着マスク20の製造方法は、帯状に延びる長尺の金属板64を供給する工程と、フォトリソグラフィー技術を用いたエッチングを長尺の金属板64に施して、長尺金属板64に第1面64aの側から第1凹部30を形成する工程と、フォトリソグラフィー技術を用いたエッチングを長尺金属板64に施して、長尺金属板64に第2面64bの側から第2凹部35を形成する工程と、を含んでいる。そして、長尺金属板64に形成された第1凹部30と第2凹部35とが互いに連通することによって、長尺金属板64に貫通孔25が作製される。図7に示された例では、第2凹部35の形成工程が、第1凹部30の形成工程の前に実施され、且つ、第2凹部35の形成工程と第1凹部30の形成工程の間に、作製された第2凹部35を封止する工程が、さらに設けられている。以下において、各工程の詳細を説明する。
図7には、蒸着マスク20を作製するための製造装置60が示されている。図7に示すように、まず、長尺金属板64を供給コア61に巻き取った巻き体62が準備される。そして、この供給コア61が回転して巻き体62が巻き戻されることにより、図7に示すように帯状に延びる長尺金属板64が供給される。なお、長尺金属板64は、貫通孔25を形成されて枚葉状の金属板21、さらには蒸着マスク20をなすことになる。したがって、上述したように、長尺金属板64は、例えば36%Niインバー材からなる。ただし、これに限られず、ステンレス、銅、鉄、アルミニウムからなるシートを長尺金属板64として用いることも可能である。
供給された長尺金属板64は、搬送ローラ72によって、エッチング装置(エッチング手段)70に搬送される。エッチング手段70によって、図8〜図14に示された各処理が施される。まず、図8に示すように、長尺金属板64の第1面64a上に第1レジストパターン(単に、レジストパターンともいう)65aが形成されるとともに、長尺金属板64の第2面64b上に第2レジストパターン65bが形成される。一具体例として、次のようにしてネガ型のレジストパターンが形成される。まず、長尺金属板64の第1面64a上(図8の紙面における下側の面上)および第2面64b上に感光性レジスト材料を塗布し、長尺金属板64上にレジスト膜を形成する。次に、レジスト膜のうちの除去したい領域に光を透過させないようにしたガラス乾板を準備し、ガラス乾板をレジスト膜上に配置する。その後、レジスト膜をガラス乾板越しに露光し、さらにレジスト膜を現像する。以上のようにして、長尺金属板64の第1面64a上に第1レジストパターン(単に、レジストパターンともいう)65aを形成し、長尺金属板64の第2面64b上に第2レジストパターン65bを形成することができる。
次に、図9に示すように、長尺金属板64上に形成されたレジストパターン65bをマスクとして、エッチング液(例えば塩化第二鉄溶液)を用いて、長尺金属板64の第2面64b側からエッチングする。例えば、エッチング液が、搬送される長尺金属板64の第2面64bに対面する側に配置されたノズルから、レジストパターン65b越しに長尺金属板64の第2面64bに向けて噴射される。この結果、図9に示すように、長尺金属板64のうちのレジストパターン65bによって覆われていない領域で、エッチング液による浸食が進む。以上のようにして、第2面64bの側から長尺金属板64に多数の第2凹部35が形成される。
その後、図10に示すように、エッチング液に対する耐性を有した樹脂69によって、形成された第2凹部35が被覆される。すなわち、エッチング液に対する耐性を有した樹脂69によって、第2凹部35が封止される。図10に示す例において、樹脂69の膜が、形成された第2凹部35だけでなく、第2レジストパターン65bも覆うように形成されている。
次に、図11に示すように、長尺金属板64に対して第1レジストパターン65aをマスクとして第2回目のエッチングを行う。第2回目のエッチングにおいて、長尺金属板64は第1面64aの側のみからエッチングされ、第1面64aの側から第1凹部30の形成が進行していく。この際、長尺金属板64の第2面64bの側には、エッチング液に対する耐性を有した樹脂69が被覆されている。このため、第1回目のエッチングにより所望の形状に形成された第2凹部35の形状が損なわれてしまうことはない。
エッチングによる浸食は、長尺金属板64のうちのエッチング液に触れている部分において行われていく。従って、浸食は、長尺金属板64の法線方向(厚み方向)のみに進むのではなく、長尺金属板64の板面に沿った方向にも進んでいく。この結果、図12に示すように、エッチングが長尺金属板64の法線方向に進んで第1凹部30が第2凹部35と接続するだけでなく、レジストパターン65aの隣り合う二つの孔66aに対面する位置にそれぞれ形成された二つの第1凹部30が、二つの孔66aの間に位置するブリッジ部67aの裏側において、合流する。
図13に示すように、長尺金属板64の第1面64aの側からのエッチングがさらに進む。図13に示すように、隣り合う二つの第1凹部30が合流して稜線となる合流部分33が第1レジストパターン65aから離間して、レジストパターン65a下となる当該合流部分33において、エッチングによる浸食が金属板64の法線方向(厚さ方向)にも進む。これにより、図12に示すように蒸着マスクの法線方向に沿った一方の側へ向けて尖っていた合流部分33が、蒸着マスクの法線方向に沿った一方の側からエッチングされ、図13に示すように面取される。
また、上述したように、エッチングによって形成される凹部の壁面は、一般的に、浸食方向に向けて、本例では、蒸着マスクの法線方向に沿って一方の側から他方の側へ向けて凸となる曲面状となる。このため、長尺金属板64の第1面64aの側において第1凹部30の壁面が切り立つようになる。ただし、隣り合う二つの第1凹部30が、合流することによって、都合よく、この切り立った壁面31が除去されるようになる。これにより、第1凹部30の壁面31が蒸着マスクの法線方向に対してなす傾斜角度θを増大させることができる。
このようにして、有孔領域22内に形成された少なくとも一つの第1凹部30の壁面31の先端縁32が、頂部33aを除いて当該一つの第1凹部30の周囲に位置する他のいずれかの第1凹部30の壁面31と合流するようになる。とりわけ、図示された例では、図3に示すように、第1凹部30の壁面31の先端縁32が、頂部33aを除いて当該第1凹部30の周囲に位置する他のいずれかの第1凹部30の壁面31と合流し、或いは、その全周のうちの一部分において頂部33aを除いて当該第1凹部30の周囲に位置する他のいずれかの第1凹部30の壁面31と合流し且つその全周のうちの他の部分において周囲領域23をなす領域内に延びて金属板64の第1面64aと接続するようになる。
このようなエッチング処理により、図13に示すように、第1凹部30の壁面31の先端縁32が、頂部33a以外の部分でこの第1凹部30の周囲に位置する他のいずれかの第1凹部30の壁面31と合流して合流部分(稜線)33を形成する。この合流部分33は第1レジストパターン65aのブリッジ部67a裏面に形成される。またこのエッチング処理中、長尺金属板64の第1面64aのうち、格子形状を構成する4つの貫通孔25の中央に位置する頂部33aは、第1レジストパターン65aの領域69aに接触し、エッチングされることはない。
このため長尺金属板64の頂部33aの厚みは、長尺金属板64の厚みTaを維持するとともに、頂部33aの厚みは周囲領域22の厚みに一致する。
図11〜図13に示すエッチング処理は、長尺金属板64に対し第1面64a側から行なわれるハーフエッチング処理である。このハーフエッチング処理は長尺金属板64を完全に貫通するものではなく、ハーフエッチング処理により第1面64a側から形成される第1凹部30が第2面64bまで達することはない。
このように有孔領域22に形成された頂部33aは、上記エッチング処理中、常に第1レジストパターン65aに当接しており、エッチングされることはない。このため有孔領域22の頂部33aの厚みを長尺金属板64の厚みに一致させることができる。この場合、頂部33aを囲む第1凹部30の断面形状は頂部33aの断面形状により定まるため、頂部33aの厚みおよび断面形状を一定に定めることにより、第1凹部30の断面形状をばらつくことなく略一定の形状に定めることができる。
また有孔領域22の頂部33aの厚みをエッチング前の長尺金属板64の厚みに一致させることにより、後述する以後の処理、例えば、金属板64の搬送や切断、樹脂69の除去、フレーム15への取り付けといった処理中に、多数の貫通孔25を形成された有孔領域22の変形を効果的に防止することができる。また、第1凹部30および第2凹部35を囲む4本の稜線33がすべて引張方向Lに対して平行に延びるか、または直交して延びているため、蒸着マスク20を引張方向Lに沿って引張っても、この引張力を稜線33により支えることができ、多数の貫通孔25が形成された有効領域22の変形を効果的に防止することができる。
以上のようにして、長尺金属板64の第1面64aの側からのエッチング(ハーフエッチング)が予め設定した量だけ進んで、長尺金属板64に対する第2回目のエッチングが終了する。このとき、第1凹部30は長尺金属板64の厚さ方向に沿って第2凹部35に到達する位置まで延びており、これにより、互いに通じ合っている第1凹部30および第2凹部35によって貫通孔25が長尺金属板64に形成される。
その後、図14に示すように、長尺金属板64から樹脂69が除去される。樹脂膜69は、例えばアルカリ系剥離剤により、除去することができる。
次に、長尺金属板64から第1レジストパターン65aおよび第2レジストパターン65bが除去される。なお、第1凹部30を形成する工程において、エッチングによる第1面64aの浸食が、有孔領域22をなす金属板64の全領域内において進む。したがって、第1面64a上に設けられたレジストパターン65aは、有孔領域22をなす金属板64の領域内において、領域69aに接する頂部33aを除いて金属板64から既に離間している。このため、レジストパターン65a除去時に、ブラッシング等の処置を金属板21に施す必要がなく、蒸着マスク20の有孔領域22の変形等の損傷を効果的に回避することができ、蒸着マスク20の歩留まりを効果的に改善することができる。
このようにして多数の貫通孔25を形成された長尺金属板64は、当該長尺金属板64を狭持した状態で回転する搬送ローラ72,72により、切断装置(切断手段)73へ搬送される。なお、この搬送ローラ72,72の回転によって長尺金属板64にテンション(引張力)が作用し、上述した供給コア61が回転させられ、巻き体62から長尺金属板64が供給されるようになっている。なお、第1凹部30および第2凹部35を囲む4本の稜線33がすべて引張方向Lに対して平行に延びるか、または直交して延びているため、蒸着マスク20を引張方向Lに沿って引張っても、この引張力を稜線33により支えることができ、多数の貫通孔25が形成された有効領域22の変形を効果的に防止することができる。
その後、多数の第1凹部30および第2凹部35が形成された長尺金属板64を切断装置(切断手段)73によって所定の長さに切断することにより、多数の貫通孔25が形成された枚葉状の金属板21が得られる。
なお、貫通孔25は、長尺金属板64を一方の面のみからエッチングすることによっても形成され得る。しかしながら、長尺金属板64を上方側の面のみからエッチング処理した場合、浸食によって形成された先細り孔に、既に浸食に用いられ浸食能力が低くなったエッチング液が残留する。その後、金属板の孔が下方側の面に達した時、それまで孔内に残留していたエッチング液が下方の面から流れ出て、浸食能力の高いフレッシュなエッチング液が形成された孔内に流れ込む。このとき、孔内の下方側の領域がフレッシュなエッチング液により激しく浸食される。すなわち、孔の形状を十分に制御することができなくなる。一方、レジストパターンを介して金属板を下方側の面のみからエッチングした場合、浸食によって形成された先細り孔が金属板を貫通すると、上側面の孔周囲に、エッチング液が残留することがある。結果として、残留したエッチング液によって金属板の上方側の面からも浸食が進み、やはり孔の形状を十分に制御することができなくなる。これに対して、上述したエッチング方法によれば、貫通孔25の形状を安定させることができる。
以上のようにして、多数の貫通孔25を形成された金属板21からなる蒸着マスク20が得られる。そして、各蒸着マスク20に対してフレーム15を取り付けることにより、蒸着マスク装置10が得られる。なお、フレーム15は、蒸着マスク20の一方の面20aに取り付けられてもよいし、蒸着マスク20の他方の面20bに取り付けられてもよい。
以上のような本実施の形態による蒸着マスク装置の製造方法によれば、金属板21,64に第1凹部30を形成する工程において、エッチングによる浸食が金属板の板面に沿った方向にも進み、レジストパターン65a下にて隣り合う二つの第1凹部30が合流し、さらに、少なくとも一つの第1凹部30の壁面31の先端縁32が、頂部33aを除いて当該一つの第1凹部30の周囲に位置する他のいずれかの第1凹部30の壁面31と合流する。このようにして形成されて貫通孔25をなす第1凹部30の壁面31は、蒸着マスク20の法線方向に対して大きく傾斜するようになる。これにより、製造された蒸着マスク20を用いることによって、高い利用効率で蒸着材料98を使用しながら、高精細なパターンでの蒸着を安定して行うことが可能となる。
また有孔領域22に形成された頂部33aは、上記エッチング処理中、常に第1レジストパターン65aに当接しており、エッチングされることはない。このため有孔領域22の頂部33aの厚みを金属板21、64あるいは周囲領域23の厚みに一致させることができる。この場合、頂部33aを囲む第1凹部30の断面形状は頂部33aの断面形状により定まるため、頂部33aの厚みおよび断面形状を一定に定めることにより、第1凹部30の断面形状をばらつくことなく略一定の形状に定めることができ、さらに第1凹部30内に形成された貫通孔25の形状を精度良く定めることができる。
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、図面を参照しながら、変形の一例について説明する。以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いており、重複する説明を省略する。
まず、第1の変形例として、長尺の金属板64への貫通孔25の形成方法を変更することができる。上述した実施の形態において、第2凹部35を形成する工程が、第1凹部30を形成する工程の前に実施されるようにしたが、これに限られず、第1凹部30を形成する工程が、第2凹部35を形成する工程の前に実施されるようにしてもよいし、さらには、金属板21,64が第1面21a,64aおよび第2面21b,64bの側から同時にエッチングされ、第1凹部30を形成する工程および第2凹部35を形成する工程が並行して行われるようにしてもよい。また、第1凹部30を形成する際のエッチングによる長尺金属板64の浸食量が、第2凹部35を形成する際のエッチングによる長尺金属板64の浸食量よりも多いことから、図16に示すように、金属板21,64が第1面21a,64aおよび第2面21b,64bの両側から第1レジストパターン65aおよび第2レジストパターン65bを介して同時にエッチングされ、第1凹部30を形成する工程および第2凹部35を形成する工程が並行して行われ、その後、第1凹部30を形成する工程のみが引き続き行われるようにしてもよい。
また、上述した実施の形態において、長尺金属板64の第1面64a上への第1レジストパターン65aの作製と、長尺金属板64の第2面64bへの第2レジストパターン65bの作製との両方が、第1凹部30及び第2凹部35の形成の前に実施されていたが、これに限られない。例えば、第1および第2レジストパターン65a,65bの一方を作製して一方の穴を形成し、その後に他方のレジストパターンを作製して他方の穴を形成するようにしてもよい。
次に、第2の変形例を説明する。上述した実施の形態では、第2凹部35がエッチングで形成される例を示したがこれに限られない。図17に示すように、まず、金属板21,64の第1面21a,64aの側から第1レジストパターン65aを介してエッチングにより第1凹部30を形成し、次に、図18に示すように、レーザー照射機80を用いて第1凹部30内にレーザー光を照射することにより、第1凹部30の内部から金属板21,64の第2面21b,64bまで到達する第2凹部35を形成するようにしてもよい。
図17に示すように、第1凹部30は、第1レジストパターン65aを用いて金属板21,64を第1面21a,64aの側からハーフエッチングすることにより作製されている。
このとき、上述した実施の形態と同様に、金属板21,64を第1面21a,64aの側からエッチングして、隣り合う二つの第1凹部30が合流し、さらに、少なくとも一つの第1凹部30の壁面31が、頂部33aを除いて当該一つの第1凹部30の周囲に位置する他のいずれかの第1凹部30の壁面31と合流するようにすれば、上述した実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。図17において、頂部33aは、ハーフエッチング中、常時第1レジストパターン65aに接している。
加えて、図18に示すように、レーザー光をハーフエッチングされた第一面(64a)側から照射した場合、一般的にレーザー光の光束のエネルギー密度が中央部が高く外周部が低くなるという性質から、レーザー光の照射によって形成された第2凹部35は、第1凹部30と同様に、蒸着マスク20の法線方向に沿った一方の側から他方の側へ向けて、幅が狭くなっていく、言い換えると断面積が小さくなっていくようにすることができる。
このようにして形成された蒸着マスク20によれば、貫通孔25が全体として蒸着マスク20の第1面20aの側から第2面20bの側へ向けて先細りしていくので、蒸着材料98の利用効率を改善しながら、且つ、蒸着膜の周縁をはっきりさせることができる。
次に、第3の変形例を説明する。上述した実施の形態では金属板21,64に貫通孔25を形成することによって蒸着マスク20を作製する例を示したが、これに限られない。
図19に示すように、金属板21(64)と金属板21(64)に積層された樹脂層50とを有する積層体51の金属板21(64)側からエッチングすることにより、金属板21(64)を貫通して樹脂層50まで到達する第1凹部30を形成し、次に、レーザー照射機80を用いて第1凹部30内にレーザー光を照射することにより、樹脂層50を貫通する第2凹部35を形成して積層マスク20Bを形成してもよい。
図19に示すように、第1凹部30は、第1レジストパターン65aを用いて金属板21,64をエッチングすることにより作製されている。このとき、上述した実施の形態と同様に、金属板21,64をエッチングして、隣り合う二つの第1凹部30が合流し、さらに、少なくとも一つの第1凹部30の壁面31が、頂部33aを除いて当該一つの第1凹部30の周囲に位置する他のいずれかの第1凹部30の壁面31と合流するようにすれば、上述した実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。図19において、頂部33aはエッチング中、常時第1レジストパターン65aに接している。
加えて、図20に示すように、レーザー光の照射によって形成された第2凹部35は、第1凹部30と同様に、積層マスク20Bの法線方向に沿った一方の側から他方の側へ向けて、幅が狭くなっていく、言い換えると断面積が小さくなっていくようにすることができる。このようにして形成された積層マスク20Bによれば、貫通孔25が全体として積層マスク20Bの第1面20aの側から第2面20bの側へ向けて先細りしていくので、蒸着材料98の利用効率を改善しながら、且つ、蒸着膜の周縁をはっきりさせることができる。
さらに他の変形例として、上述した実施の形態では、互いに異なる二つの配列方向のそれぞれに沿って配列された複数の貫通孔25を作製する上で、一つの貫通孔25に対して一つの第1凹部30及び一つの第2凹部35を形成する例を示したが、これに限られない。例えば、貫通孔25の一方の配列方向に延びる細長状の第1凹部30を作製し、この細長状の第1凹部30に対面する位置に複数の第2凹部35が形成されるようにしてもよい。このような例においても、隣り合う二つの第1凹部30が合流し、さらに、少なくとも一つの第1凹部30の壁面31が、頂部33aを除いて当該一つの第1凹部30の周囲に位置する他のいずれかの第1凹部30の壁面31と合流するようにすれば、上述した実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
さらに他の変形例として、上述した実施の形態では、長尺の金属板64に貫通孔25を形成した後に、切断装置73によって長尺金属板64を枚葉状の金属板21に切断する例を示したが、これに限られない。例えば上述した変形例のように、レーザー光の照射によって第2凹部35を作製する場合には、まず、長尺の金属板64(長尺の積層体51)に第1凹部30を形成し、次に、切断装置73によって長尺金属板64(長尺積層体51)を枚葉状の金属板21(枚葉状の積層体51)に切断し、その後、枚葉状の金属板21(枚葉状の積層体51)に第2凹部35を形成するようにしてもよい。
なお、以上において上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。
20 蒸着マスク
20A レジストパターン付蒸着マスク
20B 積層マスク
20a蒸着マスクの第1面
20b蒸着マスクの第2面
21 金属板
21a金属板の第1面
21b金属板の第2面
22 有孔領域
23 周囲領域
25 貫通孔
30 第1凹部
31 壁面
32 先端縁
33 合流部分(稜線)
33a 頂部
35 第2凹部
36 壁面
64 長尺金属板
64a長尺金属板の第1面
64b長尺金属板の第2面
65a 第1レジストパターン
66a 孔
67a ブリッジ部

Claims (12)

  1. 格子形状に配置された複数の貫通孔を含む有孔領域と、前記有孔領域の周囲に位置する周囲領域と、を備え、少なくとも一方向に引張られた状態で使用される蒸着マスクを製造する方法において、
    互いに対向する第1面および第2面を有する金属板の第1面上に、レジストパターンを設ける工程と、
    前記レジストパターンをマスクとして前記第1面の側から前記金属板をエッチングし、前記有孔領域をなす前記金属板の領域内に、前記貫通孔を有する凹部を第1面の側から形成する工程を備え、
    前記凹部を形成する工程において、前記金属板の第1面のうち、格子形状を構成する任意の隣り合う4つの貫通孔の中央に位置する頂部が、前記レジストパターンに接した状態を維持して凹部を形成し、各凹部は格子形状を構成する任意の隣り合う4つの頂部間を連結する矩形状の4本の稜線により囲まれ
    稜線は一の頂部から前記金属板の厚み方向内方へ降下した後、他の頂部に向かって前記金属板の厚み方向外方へ上昇することを特徴とする蒸着マスクの製造方法。
  2. 格子形状に配置された複数の貫通孔を含む有孔領域と、前記有孔領域の周囲に位置する周囲領域と、を備えた蒸着マスクを製造する方法において、
    互いに対向する第1面および第2面を有する金属板の第1面上に、レジストパターンを設ける工程と、
    前記レジストパターンをマスクとして前記第1面の側から前記金属板をエッチングし、前記有孔領域をなす前記金属板の領域内に、前記貫通孔を有する凹部を第1面の側から形成する工程を備え、
    前記凹部を形成する工程において、前記金属板の第1面のうち、格子形状を構成する任意の隣り合う4つの貫通孔の中央に位置する頂部が、前記レジストパターンに接した状態を維持して凹部を形成し、各凹部は格子形状を構成する任意の隣り合う4つの頂部間を連結する矩形状の4本の稜線により囲まれ、
    前記貫通孔は、前記有孔領域において、互いに直交する二方向に沿ってそれぞれ所定の同一ピッチで配列され、
    隣り合う二つの凹部の間に延びる稜線は、貫通孔の配列方向とそれぞれ平行となる二方向に延び、
    各稜線は一の頂部から前記金属板の厚み方向内方へ降下した後、他の頂部に向かって前記金属板の厚み方向外方へ上昇することを特徴とする蒸着マスクの製造方法。
  3. 前記凹部を形成する工程において、前記金属板がハーフエッチングされ、前記凹部は第2面まで達しないことを特徴とする請求項1または2記載の蒸着マスクの製造方法。
  4. 前記凹部を形成する工程において、エッチングによる浸食が金属板の板面に沿った方向にも進み、前記レジストパターン下にて隣り合う二つの凹部が合流し、さらに、少なくとも一つの凹部の壁面が、当該一つの凹部の周囲に位置する他のいずれかの凹部の壁面と合流することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の蒸着マスクの製造方法。
  5. 前記凹部を形成する工程において、前記隣り合う二つの凹部が合流してなる合流部分が前記レジストパターンから離間し、前記レジストパターン下となる当該合流部分において、エッチングによる浸食が金属板の法線方向にも進み、前記合流部分が面取されて、合流部分の厚みは頂部の厚みより小さいことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載の蒸着マスクの製造方法。
  6. 前記金属板の前記第2面上に配置された第2レジストパターンをマスクとして前記第2面の側から前記金属板をエッチングし、第2凹部を前記第2面の側から形成する工程を、さらに備え、
    前記凹部と前記第2凹部が接続して前記貫通孔を作製するように、前記凹部及び前記第2凹部が形成されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか記載の蒸着マスクの製造方法。
  7. 前記金属板を貫通しないように前記第1面の側から形成された各凹部内にレーザー光を照射して、当該凹部の内部から前記金属板の前記第2面まで到達する第2凹部を形成する工程を、さらに備え、
    前記凹部と前記第2凹部が接続して前記貫通孔を作製するように、前記凹部及び前記第2凹部が形成されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか記載の蒸着マスクの製造方法。
  8. 互いに対向する第1面および第2面を有する金属板からなり、少なくとも一方向に引張られた状態で使用される蒸着マスクにおいて、
    格子形状に配置された複数の貫通孔を含む有孔領域と、
    前記有孔領域の周囲に位置する周囲領域と、を備え、
    前記有孔領域において、前記金属板の第1面に、当該第1面へ向けて幅が広くなっていく複数の凹部が設けられ、且つ、この凹部に貫通孔が形成され、前記金属板のうち格子形状を構成する任意の隣り合う4つの貫通孔の中央に位置する頂部の厚みは、前記周囲領域の厚みに一致し、各凹部は格子形状を構成する任意の隣り合う4つの頂部間を連結する矩形状の4本の稜線により囲まれ
    稜線は一の頂部から前記金属板の厚み方向内方へ降下した後、他の頂部に向かって前記金属板の厚み方向外方へ上昇することを特徴とする蒸着マスク。
  9. 互いに対向する第1面および第2面を有する金属板をからなる蒸着マスクにおいて、 格子形状に配置された複数の貫通孔を含む有孔領域と、
    前記有孔領域の周囲に位置する周囲領域と、を備え、
    前記有孔領域において、前記金属板の第1面に、当該第1面へ向けて幅が広くなっていく複数の凹部が設けられ、且つ、この凹部に貫通孔が形成され、前記金属板のうち格子形状を構成する任意の隣り合う4つの貫通孔の中央に位置する頂部の厚みは、前記周囲領域の厚みに一致し、各凹部は格子形状を構成する任意の隣り合う4つの頂部間を連結する矩形状の4本の稜線により囲まれ、前記貫通孔は、前記有孔領域において、互いに直交する二方向に沿ってそれぞれ所定の同一ピッチで配列され、
    隣り合う二つの凹部の間に延びる稜線は、貫通孔の配列方向とそれぞれ平行となる二方向に延び、
    各稜線は一の頂部から前記金属板の厚み方向内方へ降下した後、他の頂部に向かって前記金属板の厚み方向外方へ上昇することを特徴とする蒸着マスク。
  10. 前記凹部は第2面まで達しないことを特徴とする請求項8または9記載の蒸着マスク。
  11. 前記凹部の壁面と前記他の凹部の壁面とが合流することによって合流部分が形成され、前記蒸着マスクの法線方向に沿った前記合流部分の厚みは頂部の厚みより小さいことを特徴とする請求項8乃至10のいずれか記載の蒸着マスク。
  12. 前記金属板の第2面のうち凹部に対応する位置に、凹部に接続されて貫通孔を作製する第2凹部が形成されていることを特徴とする請求項8乃至11のいずれか記載の蒸着マスク。
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